(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141324
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ロックボルトの連結体
(51)【国際特許分類】
E21D 20/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
E21D20/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047579
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】林 秀明
(72)【発明者】
【氏名】菅原 崇秀
(72)【発明者】
【氏名】井本 厚
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐介
(57)【要約】
【課題】ロックボルト同士の芯合わせを容易に行うことができる、ロックボルトの連結体、及びその施工方法を提供する。
【解決手段】本発明は、第1ロックボルトと、前記第1ロックボルトの後端に設けられ、第1雌ネジが形成された、円筒状のスリーブと、先端部に第1雄ネジが形成され、前記スリーブの第1雌ネジに前記第1雄ネジが螺合するように構成された、第2ロックボルトと、前記第1雌ネジと前記第2ロックボルトの第1雄ネジの芯合わせを行うための芯合わせ機構と、を備えている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロックボルトと、
前記第1ロックボルトの後端に設けられ、第1雌ネジが形成された、円筒状のスリーブと、
先端部に第1雄ネジが形成され、前記スリーブの第1雌ネジに前記第1雄ネジが螺合するように構成された、第2ロックボルトと、
前記第1雌ネジと前記第2ロックボルトの第1雄ネジの芯合わせを行うための芯合わせ機構と、
を備えている、ロックボルトの連結体。
【請求項2】
前記芯合わせ機構は、
前記第1ロックボルトの第1雄ネジから軸方向に突出し、前記第1雄ネジよりも外径の小さい円柱状の突出部と、
前記スリーブの内壁面において、前記第1雌ネジよりも前記第1ロックボルト側に形成され、前記突出部の外径と略同じ内径を有する断面円形の挿通部と、
を備え、
前記第1雄ネジの軸心と前記突出部の軸心が一致するように構成されている、請求項1に記載のロックボルトの連結体。
【請求項3】
前記芯合わせ機構は、
前記第1ロックボルトの先端部に、前記第1雄ネジとの間に隙間を形成するように当該第1雄ネジを覆う、円筒状のカバー部材を備え、
前記カバー部材の内径と、前記スリーブの外径が略同じであり、
前記第1雄ネジの軸心と前記カバー部材の軸心が一致するように構成されている、請求項1に記載のロックボルトの連結体。
【請求項4】
前記第1ロックボルトと前記スリーブは、一体的に形成されている、請求項1から3のいずれかに記載のロックボルトの連結体。
【請求項5】
前記第1ロックボルトの後端部には第2雄ネジが形成され、
前記スリーブの軸方向の両端には、前記第1ロックボルトの第2雄ネジと螺合する第2雌ネジと前記第1雌ネジが形成され、
前記第1雌ネジと前記第2雌ネジとの間に、前記挿通部が形成されている、請求項2に記載のロックボルトの連結体。
【請求項6】
前記第1ロックボルトの後端部には第2雄ネジが形成され、
少なくとも前記スリーブの軸方向の両端には、前記第1ロックボルトの第2雄ネジが螺合する第2雌ネジと前記第1雌ネジがそれぞれ形成されている、請求項3に記載のロックボルトの連結体。
【請求項7】
請求項2または5に記載のロックボルトの連結体の施工方法であって、
前記第1ロックボルトの後端に、前記スリーブを取り付けた状態で、当該第1ロックボルトを地山に打設するステップと、
前記スリーブの後端部に、前記第2ロックボルトの突出部を挿入し、当該第2ロックボルトを前進させることで前記突出部を前記挿通部に挿入しつつ、前記第1雄ネジを前記第2雌ネジに螺合するステップと、
連結された前記第1ロックボルト及び前記第2ロックボルトを、前記地山に打設するステップと、
を備えている、ロックボルトの連結体の施工方法。
【請求項8】
請求項3または6に記載のロックボルトの連結体の施工方法であって、
前記第1ロックボルトの後端に、前記スリーブを取り付けた状態で、当該第1ロックボルトを地山に打設するステップと、
前記第2ロックボルトのカバー部材に前記スリーブが挿入されるように、前記第2ロックボルトを前進させつつ、前記第1雄ネジを前記第2雌ネジに螺合するステップと、
連結された前記第1ロックボルト及び前記第2ロックボルトを、前記地山に打設するステップと、
を備えている、ロックボルトの連結体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明、ロックボルトの連結体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、打設した1本目のロックボルトに次のロックボルトをねじで連結して、より長尺なロックボルトの連結体を施工する手法が提案されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ねじでロックボルト同士を連結する場合には、打設された1本目のロックボルトに対して2本目のロックボルトの軸心が一致するように位置決めを行わないとねじ連結がうまくいかない。この軸芯合わせは特許文献1のような機械施工でも、人間が高所に上って目視人力施工を行う場合でも、同様に難しい。特に、トンネル支保工としてのロックボルトは、トンネル抗壁から放射方向に外側に向けて打設するため、
図12に示すように先に打設された1本目の後端を目視して2本目の軸芯を合わせるのは大変困難である。そして、軸心があっていな状態で雄ネジと雌ねじを螺合しようとすると、ねじ部が破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ロックボルト同士の芯合わせを容易に行うことができる、ロックボルトの連結体、及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1ロックボルトと、前記第1ロックボルトの後端に設けられ、第1雌ネジが形成された、円筒状のスリーブと、先端部に第1雄ネジが形成され、前記スリーブの第1雌ネジに前記第1雄ネジが螺合するように構成された、第2ロックボルトと、前記第1雌ネジと前記第2ロックボルトの第1雄ネジの芯合わせを行うための芯合わせ機構と、を備えている。
【0007】
上記ロックボルトの連結体において、前記芯合わせ機構は、前記第1ロックボルトの第1雄ネジから軸方向に突出し、前記第1雄ネジよりも外径の小さい円柱状の突出部と、前記スリーブの内壁面において、前記第1雌ネジよりも前記第1ロックボルト側に形成され、前記突出部の外径と略同じ内径を有する断面円形の挿通部と、を備え、前記第1雄ネジの軸心と前記突出部の軸心が一致するように構成することができる。
【0008】
上記ロックボルトの連結体において、前記芯合わせ機構は、前記第1ロックボルトの先端部に、前記第1雄ネジとの間に隙間を形成するように当該第1雄ネジを覆う、円筒状のカバー部材を備え、前記カバー部材の内径と、前記スリーブの外径が略同じであり、前記第1雄ネジの軸心と前記カバー部材の軸心が一致するように構成することができる。
【0009】
上記ロックボルトの連結体においては、前記第1ロックボルトと前記スリーブとを、一体的に形成することができる。
【0010】
上記ロックボルトの連結体においては、前記第1ロックボルトの後端部には第2雄ネジが形成され、前記スリーブの軸方向の両端には、前記第1ロックボルトの第2雄ネジと螺合する第2雌ネジと前記第1雌ネジが形成され、前記第1雌ネジと前記第2雌ネジとの間に、前記挿通部が形成することができる。
【0011】
上記ロックボルトの連結体においては、前記第1ロックボルトの後端部には第2雄ネジが形成され、少なくとも前記スリーブの軸方向の両端には、前記第1ロックボルトの第2雄ネジが螺合する第2雌ネジと前記第1雌ネジがそれぞれ形成することができる。
【0012】
本発明の第1のロックボルトの連結体の施工方法は、前記第1ロックボルトの後端に、前記スリーブを取り付けた状態で、当該第1ロックボルトを地山に打設するステップと、前記スリーブの後端部に、前記第2ロックボルトの突出部を挿入し、当該第2ロックボルトを前進させることで前記突出部を前記挿通部に挿入しつつ、前記第1雄ネジを前記第2雌ネジに螺合するステップと、連結された前記第1ロックボルト及び前記第2ロックボルトを、前記地山に打設するステップと、を備えている。
【0013】
本発明の第2のロックボルトの連結体の施工方法は、前記第1ロックボルトの後端に、前記スリーブを取り付けた状態で、当該第1ロックボルトを地山に打設するステップと、前記第2ロックボルトのカバー部材に前記スリーブが挿入されるように、前記第2ロックボルトを前進させつつ、前記第1雄ネジを前記第2雌ネジに螺合するステップと、連結された前記第1ロックボルト及び前記第2ロックボルトを、前記地山に打設するステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロックボルト同士の芯合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロックボルトの連結体が施工されるトンネルの断面図である。
【
図2】第1実施形態に係るロックボルトの連結体の分解図である。
【
図3】ロックボルトの打設装置と供給装置を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態のロックボルトの連結体の施工方法を説明する断面図である。
【
図5】第1実施形態のロックボルト同士の芯合わせを説明する図である。
【
図6】第1実施形態のロックボルト同士の芯合わせを説明する図である。
【
図7】第1実施形態のロックボルト同士の芯合わせを説明する図である。
【
図8】第2実施形態に係るロックボルトの連結体の分解図である。
【
図9】第2実施形態のロックボルト同士の芯合わせを説明する図である。
【
図10】第2実施形態のロックボルト同士の芯合わせを説明する図である。
【
図11】第2実施形態のロックボルト同士の芯合わせを説明する図である。
【
図12】トンネルに打設するロックボルト同士の連結を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<A.第1実施形態>
以下、本発明に係るロックボルトの連結体の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。ここでは、
図1に示すように、トンネル10の地山20において、支保が求められる領域全体に亘ってロックボルトが延びるように、第1ロックボルト1と第2ロックボルト2とをスリーブ3を介して連結したロックボルトの連結体をトンネル10の地山20に打設する場合について説明する。以下では、説明の便宜のため、各ロックボルトの打設方向の先端側を「先端」、後端側を「後端」と称することとする。
【0017】
<1.第1ロックボルト>
図2は、第1ロックボルト、スリーブ、第2ロックボルトの側面図である。
図2に示すように、第1ロックボルト1は、外周面に凹凸が形成されている。また、第1ロックボルト1の先端には、円錐状に形成された先端部材11が取り付けられている。一方、第1ロックボルト1の後端部には雄ネジ(第2雄ネジ)12が形成されている。
【0018】
<2.スリーブ>
図2に示すように、スリーブ3は、円筒状に形成され、軸方向の先端側及び後端側に、先端側雌ネジ(第2雌ネジ)31及び後端側雌ネジ(第1雌ネジ)32がそれぞれ形成されている。また、両雌ネジ31,32の間には、これら雌ネジ31,32を繋ぐように、各雌ネジ31,32の山と略同じ、あるいは山よりも内径が小さい断面円形の挿入部33が形成されている。両雌ネジ31,32の径は同じであり、第1ロックボルト1の雄ネジ12、及び次に説明する第2ロックボルト2の雄ネジ21が螺合するようになっている。
【0019】
<3.第2ロックボルト>
図2に示すように、第2ロックボルト2は、外周面に凹凸が形成されている。また、第2ロックボルト2の先端部には雄ネジ(第1雄ネジ)21が形成されており、この雄ネジ21から軸方向に円柱状の突出部23が突出している。突出部23の外径は、雄ネジ21の谷よりも小さくなっており、突出部23の軸心と雄ネジ21の軸心とが一致するように形成されている。また、突出部23の先端の外縁にはテーパ231が形成されている。さらに、この突出部23の外径は、スリーブ3の挿入部33の内径と略同じか、わずかに小さく形成されている。一方、第2ロックボルト2の後端部には、第1ロックボルト1の雄ネジ12と径が同じである雄ネジ22が形成されている。
【0020】
<4.ロックボルトの連結体の施工方法>
本実施形態では、
図1に示すように、トンネルの内壁面から径方向に複数のロックボルト1,2を周方向に所定間隔おきに打設し、さらにこれらを軸方向に所定間隔毎に打設する。以下では、そのうちの一つについて説明する。
【0021】
まず、ロックボルトの打設装置及び供給装置について、
図3を参照しつつ説明する。
図3に示すように、打設装置4は、削孔の延びる方向に配置されるガイドセル41と、このガイドセル41上をスライドし、ロックボルト1,2が取り付けられるドリフタ(打設機)42と、を備えている。また、ガイドセル41の先端にはセントラライザー43が設けられ、このセントラライザー43の後方にはサブセントラライザー44が設けられている。セントラライザー43には各ロックボルト1,2が挿入される貫通孔が形成されており、これによってロックボルト1,2をドリフタ42から真っ直ぐに支持することができる。サブセントラライザー44も同様の役割を果たすが、供給装置5に設置されたロックボルトを、サブセントラライザー44上に供給するため、サブセントラライザー44には貫通孔ではなく、切欠きが形成されている。これにより、サブセントラライザー44の径方向外方から切欠き上にロックボルト1,2を配置可能となっている。このように、ロックボルト1,2は、セントラライザー43及びサブセントラライザー44に支持された状態で、ドリフタ42によって地山に打設される。
【0022】
ドリフタ42は、公知のものであり、取り付けられたロックボルト1,2に対して回転力と断続的な打撃力を付与できるように構成されており、図示を省略する駆動装置によって削孔に向けてガイドセル41上を前進したり、あるいは後退するようになっている。
【0023】
次に、ロックボルトの供給装置5について、説明する。
図3に示すように、ロックボルトの供給装置5には、4本のロックボルトを保持する回転可能な複数のマガジン51が設けられている。4本のロックボルトは、第1及び第2ロックボルト1,2であり、例えば、2本の第1ロックボルト1と2本の第2ロックボルト2を設置することができる。各マガジン51は、円板状に形成されており、これらが軸方向に所定間隔を置いて配置されている。そして、各マガジン51の外周面には、4つの凹部511が周方向に等間隔で形成されており、各凹部511にロックボルト1,2が収容されている。また、ロックボルト1,2が収容された各凹部511には開閉可能な蓋部512が取り付けられており、蓋部512によって各ロックボルト1,2が凹部511から離脱しないようになっている。なお、保持できるロックボルトの数は4以外にすることもできる。
【0024】
供給装置5からロックボルト1,2を供給するには、マガジン51を回転させ、供給すべきロックボルト1,2が収容されたいずれかの凹部511を打設装置4上に向ける。次に、蓋部512を開いて、ロックボルト1,2を打設装置4上に配置し、ドリフタ42と連結する。なお、図示を省略するが、打設装置4上には供給されたロックボルト1,2を支持し、ロックボルト1,2とドリフタ42との連結を自動で行う機構を設けられている。
【0025】
続いて、ロックボルトの施工方法について、
図4~
図7を参照しつつ説明する。まず、
図4(a)に示すように、公知の方法でトンネルの内壁面に削孔6を形成し、この削孔6にモルタル等の注入材61を注入する。また、削孔6の外側には上述した打設装置4を配置しておき、第1ロックボルト1の雄ネジ12にスリーブ3を螺合させた上で、スリーブ3の後端側雌ネジ32をドリフタ42に取り付けておく。
【0026】
次に、
図4(b)に示すように、ドリフタ42を前進させ、第1ロックボルト1を削孔6に挿入する。そして、第1ロックボルト1の大部分が削孔6に挿入されると、
図4(c)に示すように、第1ロックボルト1とドリフタ42との連結を解除し、ドリフタ42を後退させる。このとき、スリーブ3は削孔6の外側に位置するようにしておく。また、削孔6とドリフタ42との間に、第2ロックボルト2が配置可能な程度にドリフタ42を後退させる。
【0027】
続いて、供給装置5から第2ロックボルト2を打設装置4に対して供給し、第2ロックボルト2の雄ネジ22をドリフタ42に取り付ける。これに続いて、
図4(d)に示すように、第2ロックボルト2を回転させながら、第2ロックボルト2の先端がスリーブ3の後端に向かうように、ドリフタ42を前進させる。これにより、
図4(e)に示すように、第2ロックボルト2の雄ネジ21が、スリーブ3の後端側雌ネジ32に螺合し、第1ロックボルト1と第2ロックボルト2とがスリーブ3を介して連結される。
【0028】
この点について、
図5~
図7を参照して詳細に説明する。
図5に示すように、第2ロックボルト2をスリーブ3に近接させると、第2ロックボルト2の雄ネジ21とスリーブ3の後端側雌ネジ32の芯が揃わない場合がある。これに対して、本実施形態では、
図6に示すように、雄ネジ21に先立って、突出部23がスリーブ3に進入するように構成されている。
図7に示すように、第2ロックボルト2がさらに前進すると、突出部23はスリーブ3の挿入部33に進入する。挿入部33の内径と突出部23の外径は概ね同じであるため、突出部23がスリーブ3の挿入部33に進入することで、スリーブ3と第2ロックボルト2の芯が揃う。したがって、第2ロックボルト2をさらに前進させながら、軸周りに回転させると、芯が揃った状態で、第2ロックボルト2の雄ネジ21とスリーブ3の後端側雌ネジ32とが螺合する。
【0029】
次に、ドリフタ42により第2ロックボルト2に必要に応じて打撃を加えながら、ドリフタ42を前進させる。これにより、連結された第1ロックボルト1及び第2ロックボルト2が、削孔6にさらに挿入される。こうして、
図4(f)に示すように、ドリフタ42が削孔6に近接し、第2ロックボルト2の大部分が削孔6に挿入されるとロックボルトの打設が完了する。
【0030】
こうして、
図1に示すように、トンネルの地山20には、径方向に放射状に延びるように複数のロックボルトが打設される。これにより、支保が求められる領域の全体に亘ってロックボルト1,2が打設される。その後、注入材61が固結すると、打設されたロックボルト1,2が地山に定着し、地山が補強される。
【0031】
<5.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、第2ロックボルト2の雄ネジ21から突出する円柱状の突出部23を形成し、スリーブ3には後端側雌ネジ32よりも先端側に突出部23がスライド可能な挿入部33を形成している。そのため、雄ネジ21に先立って、突出部23がスリーブ3の挿入部33に進入することで、スリーブ3と第2ロックボルト2の芯を揃えることができる。したがって、トンネルのように打設済の第1ロックボルト1の軸心がわかりにくいものに対して、第2ロックボルト2を打設する場合、機械打設でも人力打設でも、適切に芯合わせを行うことができる。その結果、ねじの破損を抑制することができる。
【0032】
<6.変形例>
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0033】
(1)上記実施形態では、第1ロックボルト1と第2ロックボルト2をスリーブ3を介して連結する場合について説明したが、第2ロックボルト2の後端にさらに第3ロックボルトを連結することもできる。この場合、第2ロックボルト2の後端にスリーブ3を取り付けた状態で、このスリーブに第2ロックボルト2と同一構成の第3ロックボルトを固定する。したがって、この構成では、第2ロックボルト2が本発明の第1ロックボルトに相当し、第3ロックボルトが本発明の第2ロックボルトに相当する。
【0034】
すなわち、上述したスリーブ3が設けられた先端側のロックボルトと、このスリーブ3に固定される後端側のロックボルトとを連結するものであれば、連結するロックボルトの数は特には限定されない。したがって、本発明の第1ロックボトルと第2ロックボルトと同一構成のロックボルトが、ロックボルトの連結体に含まれていればよい。
【0035】
(2)上記実施形態では、第1ロックボルト1にスリーブ3を螺合しているが、第1ロックボルト1とスリーブ3とを一体的に形成することもできる。すなわち、第1ロックボルト1に雄ネジ12を形成せず、挿入部33と後端側雌ネジ32が形成された円筒状の部位を、第1ロックボルト1の後端に一体的に設けることができる。
【0036】
(3)各ロックボルト1の外周面の構造は特には限定されず、上記のように矩形状の凹部を形成したものの他、ねじ状に形成することもできる。この点は、後述する第2実施形態でも同じである。
【0037】
(4)本実施形態では、ロックボルトの連結体をトンネルの地山に打設する例について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、トンネル以外の地山にロックボルトを打設する場合の全般に適用することができる。この点は、後述する第2実施形態でも同じである。
【0038】
<B.第2実施形態>
次に、本発明に係るロックボルトの連結体の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。第2実施形態のロックボルトの連結体も,第1実施形態と同様に、第1ロックボルト1と第2ロックボルト2とをスリーブ3を介して連結したものであり、これらをトンネル10の地山20に打設するように構成されている。以下では、主として第1実施形態と相違する点について説明する。
【0039】
<1.第1ロックボルト>
図8は、第1ロックボルト、スリーブ、第2ロックボルトの側面図である。
図2に示すように、第1ロックボルト1は、第110つ指形態と同じであるため、説明を省略する。
【0040】
<2.スリーブ>
図8に示すように、スリーブ3は、円筒状に形成され、内壁面の全体に亘って雌ネジ(第1雌ネジ)35が形成されている。この雌ネジ35には、第1ロックボルト1の雄ネジ12、及び次に説明する第2ロックボルト2の雄ネジ21が螺合するようになっている。
【0041】
<3.第2ロックボルト>
図8に示すように、第2ロックボルト2は、外周面に凹凸が形成されている。また、第2ロックボルト2の先端部及び後端部には、それぞれ雄ネジ21,22が形成されている。また、第2ロックボルト2の先端部には、雄ネジ(第1雄ネジ)21を覆うように円筒状のカバー部材7が取り付けられている。このカバー部材7の後端部は、雄ネジ21の後端付近に固定されており、カバー部材7の内壁面と雄ネジ21との間には隙間が形成されている。より詳細には、カバー部材7の内径は、スリーブ3の外径と略同じか、やや大きく形成されている。また、カバー部材7の内壁面の軸心と、雄ネジ21の軸心とが一致するように構成されている。
【0042】
<4.ロックボルトの連結体の施工方法>
次に、ロックボルトの施工方法は、について、
図9~
図11を参照しつつ説明する。第2実施形態のロックボルトの施工方法は、第1実施形態と概ね同じであるが、スリーブと第2ロックボルトの新合わせの方法が相違するため、この点について説明する。
【0043】
図9に示すように、第2ロックボルト2をスリーブ3に近接させると、第2ロックボルト2の雄ネジ21とスリーブ3の後端側雌ネジ32の芯が揃わない場合がある。これに対して、本実施形態では、
図10に示すように、雄ネジ21に先立って、カバー部材7がスリーブ3の外周面に接するように構成されている。
図11に示すように、第2ロックボルト2がさらに前進すると、相対的に、スリーブ3がカバー部材7の内部に進入する。カバー部材7の内径とスリーブの外径は概ね同じであるため、スリーブ3がカバー部材7に進入することで、スリーブ3と第2ロックボルト2の芯が揃う。したがって、第2ロックボルト2をさらに前進させながら、軸周りに回転させると、芯が揃った状態で、第2ロックボルト2の雄ネジ21とスリーブ3の雌ネジ35とが螺合する。
【0044】
<5.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、第2ロックボルト2の雄ネジ21を覆うようにカバー部材7を設けている。このカバー部材7は、スリーブ3の外周面に沿ってスライド可能に構成されている。そのため、雄ネジ21に先立って、カバー部材7がスリーブ3の外周面に沿ってスライドすることで、スリーブ3と第2ロックボルト2の芯を揃えることができる。したがって、第1実施形態と同様に、機械打設でも人力打設でも、適切に芯合わせを行うことができる。その結果、ねじの破損を抑制することができる。
【0045】
<6.変形例>
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0046】
(1)上記第2実施形態では、第1ロックボルト1と第2ロックボルト2をスリーブ3を介して連結する場合について説明したが、第2ロックボルト2の後端にさらに第3ロックボルトを連結することもできる。この場合、第2ロックボルト2の後端にスリーブ3を取り付けた状態で、このスリーブに第2ロックボルト2と同一構成の第3ロックボルトを固定する。したがって、この構成では、第2ロックボルト2が本発明の第1ロックボルトに相当し、第3ロックボルトが本発明の第2ロックボルトに相当する。
【0047】
すなわち、上述したスリーブ3が設けられた先端側のロックボルトと、このスリーブ3に固定される、カバー部材が設けられた後端側のロックボルトとを連結するものであれば、連結するロックボルトの数は特には限定されない。したがって、本発明の第1ロックボトルと第2ロックボルトと同一構成のロックボルトが、ロックボルトの連結体に含まれていればよい。
【0048】
(2)上記実施形態では、第1ロックボルト1にスリーブ3を螺合しているが、第1ロックボルト1とスリーブ3とを一体的に形成することもできる。すなわち、第1ロックボルト1に雄ネジ12を形成せず、雌ネジ35が形成された円筒状の部位を、第1ロックボルト1の後端に一体的に設けることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 第1ロックボルト
12 雄ネジ
2 第2ロックボルト
21 雄ネジ
23 突出部
3 スリーブ
31 先端側雌ネジ
32 後端側雌ネジ
33 挿入部
35 雌ネジ
7 カバー部材