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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141339
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20230928BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20230928BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230928BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B05C5/02
B05D1/26 Z
B05C11/00
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047601
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 優史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 茂宏
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC02
4D075AC64
4D075AC79
4D075AC84
4D075AC86
4D075AC88
4D075CA47
4D075DA08
4D075DB13
4D075DB14
4D075DC22
4D075DC24
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041CA02
4F041CA16
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA12
4F042ED03
(57)【要約】
【課題】 処理液の消費量を抑制しつつ基板処理面に供給される処理液の厚さを均一化することを可能にする。
【解決手段】 基板処理装置は、少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板を支持する基板支持部と、スリット状の吐出口を有する処理液ノズルと、吐出口が基板支持部に支持された基板の上面である基板処理面に平行な状態で処理液を吐出しつつ、吐出口が基板の第1の外方位置から基板の第1の端部、基板を通過して、基板の他方側の第2の外方位置へ到達するように処理液ノズルを移動可能に構成されるノズル移動部と、基板の第1の端部に近接可能な第1の近接部を有する第1の可動部材と、処理液ノズルが基板の第1の端部を通過する期間において第1の近接部が基板の第1の端部に近接するように第1の可動部材を移行させる第1の駆動部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板を支持する基板支持部と、
処理液を吐出するスリット状の吐出口を有する処理液ノズルと、
前記吐出口が前記基板支持部に支持された基板の上面である基板処理面に平行な状態で処理液を吐出しつつ、前記基板処理面に垂直な第1方向視で、前記吐出口が前記基板の一方側の第1の外方位置から前記基板の第1の端部、前記基板の中心部および前記基板の前記第1の端部と反対の第2の端部を通過して、前記基板の他方側の第2の外方位置へ到達するように前記処理液ノズルを移動可能に構成されるノズル移動部と、
前記基板の前記第1の端部に近接可能な第1の近接部を有する第1の可動部材と、
前記処理液ノズルが前記基板の前記第1の端部を通過する期間において前記第1の近接部が前記基板の前記第1の端部に近接するように前記第1の可動部材を移行させる第1の駆動部とを備えた、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板は、前記第1の端部を含む第1の外縁を有し、
前記第1の近接部は、前記第1の外縁に対応する形状を有する第1の内縁を含み、
前記第1の可動部材は、前記処理液ノズルの前記吐出口が前記基板の前記第1の端部を通過する期間において前記第1の内縁が前記基板の前記第1の外縁に近接する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記吐出口が前記第1の端部を通過している期間における前記第1の近接部と前記第1の端部との間の間隔は、前記処理液が毛細管現象により前記第1の近接部と前記第1の端部との間に流入しないように設定された、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1の近接部と前記第1の端部との近接時における前記第1の近接部と前記第1の端部との間の間隔は、0よりも大きく0.5mm以下に設定された、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の駆動部は、前記吐出口が前記第1の端部を通過した後に、前記第1の近接部が前記第1の端部から離間するように前記第1の可動部材を移動させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板処理面に平行でかつ前記処理液ノズルの移動方向に直交する方向における前記第1の可動部材の上面の長さは、前記基板の直径よりも小さい、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理液ノズルは、前記吐出口を含む平坦な底面を有し、
前記処理液ノズルの移動方向において、前記第1の可動部材の上面は、前記処理液ノズルの前記底面の幅以上の幅を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板の前記第2の端部に近接可能な第2の近接部を有する第2の可動部材と、
前記処理液ノズルが前記基板の前記第2の端部を通過する期間において前記第2の近接部が前記基板の前記第1の端部に近接するように前記第2の可動部材を移行させる第2の駆動部とをさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載される基板処理装置。
【請求項9】
前記基板は、前記第2の端部を含む第2の外縁を有し、
前記第2の近接部は、前記第2の外縁に対応する形状を有する第2の内縁を含み、
前記第2の可動部材は、前記処理液ノズルが前記基板の前記第2の端部を通過する期間において前記第2の内縁が前記基板の前記第2の外縁に近接する、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記吐出口が前記第2の端部を通過している期間における前記第2の近接部と前記第2の端部との間の間隔は、前記処理液が毛細管現象により前記第2の近接部と前記第2の端部との間に流入しないように設定された、請求項8または9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第2の駆動部は、前記吐出口が前記第2の端部を通過した後に、前記第2の近接部が前記第2の端部から離間するように前記第2の可動部材を移動させる、請求項8~10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第2の駆動部は、前記吐出口が前記第2の端部を通過した後に、前記第2の近接部が前記処理液ノズルの移動速度と等しい速度で前記処理液ノズルと同じ移動方向に前記第2の端部から離間するように前記第2の可動部材を移動させる、請求項8~11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板を基板支持部により支持するステップと、
処理液ノズルの処理液を吐出するスリット状の吐出口が支持された前記基板の上面である基板処理面に平行な状態で処理液を吐出しつつ、前記基板処理面に垂直な第1方向視で、前記吐出口が前記基板の一方側の第1の外方位置から前記基板の第1の端部、前記基板の中心部および前記基板の前記第1の端部と反対の第2の端部を通過して、前記基板に他方側の第2の外方位置へ到達するように前記処理液ノズルを移動させるステップと、
前記処理液ノズルが前記基板の前記第1の端部を通過する期間において第1の可動部材の前記基板の前記第1の端部に近接可能な第1の近接部が前記基板の前記第1の端部に近接するように前記第1の可動部材を移行させるステップとを含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられる。基板処理装置の一例として、特許文献1には、基板上にレジスト膜を形成する回転式の基板処理装置が記載されている。
【0003】
回転式の基板処理装置では、回転する基板の遠心力を利用することにより、基板上にレジスト膜が形成される(以下、スピン塗布と呼ぶ。)。この場合、基板上に供給されるレジスト液が外方へ飛散するので、基板上に供給されるレジスト液のうち、実際に基板上に形成されるレジスト膜の量は、約30%程度であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-046850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、レジスト液等の処理液を効率的に使用するために、スリット状の吐出口を有する処理液ノズル(スリットノズル)を用いる方法が提案されている。この方法では、処理液ノズルのスリット状の吐出口から処理液が吐出されつつ処理液ノズルが基板上で基板の上面と平行に移動されることにより、基板上に処理液が供給される(以下、スリット塗布と呼ぶ。)。しかしながら、スリット塗布によれば、基板の上面(以下、処理面と呼ぶ。)に供給される処理液の厚みの一部が不均一になる場合がある。
【0006】
本発明の目的は、処理液の消費量を抑制しつつ基板処理面に供給される処理液の厚さを均一化することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)基板処理装置は、少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板を支持する基板支持部と、処理液を吐出するスリット状の吐出口を有する処理液ノズルと、前記吐出口が前記基板支持部に支持された基板の上面である基板処理面に平行な状態で処理液を吐出しつつ、前記基板処理面に垂直な第1方向視で、前記吐出口が前記基板の一方側の第1の外方位置から前記基板の第1の端部、前記基板の中心部および前記基板の前記第1の端部と反対の第2の端部を通過して、前記基板に他方側の第2の外方位置へ到達するように前記処理液ノズルを移動可能に構成されるノズル移動部と、前記基板の前記第1の端部に近接可能な第1の近接部を有する第1の可動部材と、前記処理液ノズルが前記基板の前記第1の端部を通過する期間において前記第1の近接部が前記基板の前記第1の端部に近接するように前記第1の可動部材を移行させる第1の駆動部とを備える。
【0008】
この基板処理装置によれば、基板が基板支持部により支持された状態で、処理液ノズルが第1の外方位置から第2の外方位置にかけて移動する。また、処理液ノズルの吐出口が基板支持部により支持された基板の第1の端部を通過する期間において、第1の可動部材の第1の近接部が基板の第1の端部に近接する。それにより、処理液ノズルの移動に伴って、第1の可動部材および基板処理面の順に処理液が供給される。この場合、処理液の供給開始位置で処理液の盛り上がりが発生する。上記の構成では、処理液の供給開始位置が基板の第1の端部ではなく第1の可動部材の上面になる。また、基板が静止しているので、処理液が周囲に飛散しない。それにより、処理液の消費量を抑制しつつ基板処理面に供給される処理液の厚さをより均一化することが可能になる。
【0009】
(2)前記基板は、前記第1の端部を含む第1の外縁を有し、前記第1の近接部は、前記第1の外縁に対応する形状を有する第1の内縁を含み、前記第1の可動部材は、前記処理液ノズルの前記吐出口が前記基板の前記第1の端部を通過する期間において前記第1の内縁が前記基板の前記第1の外縁に近接してもよい。
【0010】
この場合、第1の可動部材の近接部を含む第1の内縁が基板の第1の端部を含む第1の外縁に近接するので、処理液の吐出量が多い場合に、基板処理面の第1の端部を含む第1の外縁に沿って処理液の盛り上がりが発生することが防止される。その結果、基板に供給される処理液の厚さをさらに均一化することが可能になる。
【0011】
(3)前記吐出口が前記第1の端部を通過している期間における前記第1の近接部と前記第1の端部との間の間隔は、前記処理液が毛細管現象により前記第1の近接部と前記第1の端部との間に流入しないように設定されてもよい。
【0012】
この場合、基板処理面に供給された処理液が第1の近接部と第1の端部との間に流入することが防止される。その結果、処理液の消費量を低減するとともに、基板処理面に供給される処理液の厚さをさらに均一化することが可能になる。
【0013】
(4)前記第1の近接部と前記第1の端部との近接時における前記第1の近接部と前記第1の端部との間の間隔は、0よりも大きく0.5mm以下に設定されてもよい。
【0014】
この場合、第1の近接部と第1の端部との間隔が0よりも大きく0.5mm以下に設定されているので、基板処理面に供給された処理液が毛細管現象により第1の近接部と第1の端部との間に流入することが防止される。それにより、処理液の消費量を低減するとともに、基板処理面に供給される処理液の厚さをさらに均一化することが可能になる。
【0015】
(5)前記第1の駆動部は、前記吐出口が前記第1の端部を通過した後に、前記第1の近接部が前記第1の端部から離間するように前記第1の可動部材を移動させてもよい。
【0016】
この場合、吐出口が第1の端部を通過した後に、第1の近接部が第1の端部から離間する。それにより、基板処理面に供給された処理液が毛細管現象により第1の近接部と第1の端部との間に流入することが十分に防止される。
【0017】
(6)前記基板処理面に平行でかつ前記処理液ノズルの移動方向に直交する方向における前記第1の可動部材の前記上面の長さは、前記基板の直径よりも小さくてもよい。
【0018】
この場合、第1の可動部材の上面に供給される処理液の量を低減することができる。したがって、処理液の消費量を低減することが可能になる。
【0019】
(7)前記処理液ノズルは、前記吐出口を含む平坦な底面を有し、前記処理液ノズルの移動方向において、前記第1の可動部材の上面は、前記処理液ノズルの前記底面の幅以上の幅を有してもよい。
【0020】
この場合、処理液ノズルの底面と第1の可動部材の上面に供給される処理液が第1の可動部材の上面から基板処理面上にはみ出すことが防止される。それにより、供給開始位置での処理液の盛り上がりの一部が基板処理面上に形成されることが防止される。
【0021】
(8)前記基板は、前記中心部に関して前記第1の端部と反対側の第2の端部を有し、基板処理装置は、前記基板の前記第2の端部に近接可能な第2の近接部を有する第2の可動部材と、前記処理液ノズルが前記基板の前記第2の端部を通過する期間において前記第2の近接部が前記基板の前記第1の端部に近接するように前記第2の可動部材を移行させる第2の駆動部とをさらに備えてもよい。
【0022】
この場合、処理液ノズルの吐出口が基板支持部により支持された基板の第2の端部を通過する期間において、第2の可動部材の第2の近接部が基板の第2の端部に近接する。それにより、処理液ノズルの移動に伴って、基板処理面および第2の可動部材の順に処理液が供給される。この場合、処理液の供給終了位置で処理液の盛り上がりが発生することがある。上記の構成では、処理液の供給終了位置が第2の可動部材の上面になる。それにより、基板処理面に供給される処理液の厚さを均一化することが可能になる。
【0023】
(9)前記基板は、前記第2の端部を含む第2の外縁を有し、前記第2の近接部は、前記第2の外縁に対応する形状を有する第2の内縁を含み、前記第2の可動部材は、前記処理液ノズルが前記基板の前記第2の端部を通過する期間において前記第2の内縁が前記基板の前記第2の外縁に近接してもよい。
【0024】
この場合、第2の可動部材の近接部を含む第2の内縁が基板の第2の端部を含む第2の外縁に近接するので、処理液の吐出量が多い場合に、基板処理面の第2の端部を含む第2の外縁に沿って処理液の盛り上がりが発生することが防止される。その結果、基板に供給される処理液の厚さをさらに均一化することが可能になる。
【0025】
(10)前記吐出口が前記第2の端部を通過している期間における前記第2の近接部と前記第2の端部との間の間隔は、前記処理液が毛細管現象により前記第2の近接部と前記第2の端部との間に流入しないように設定されてもよい。
【0026】
この場合、基板処理面に供給された処理液が第2の近接部と第2の端部との間に流入することが防止される。その結果、処理液の消費量を低減するとともに、基板処理面に供給される処理液の厚さをさらに均一化することが可能になる。
【0027】
(11)前記第2の駆動部は、前記吐出口が前記第2の端部を通過した後に、前記第2の近接部が前記第2の端部から離間するように前記第2の可動部材を移動させてもよい。
【0028】
この場合、前記吐出口が前記第2の端部を通過した後に、第2の近接部が第2の端部から離間する。それにより、基板処理面に供給された処理液が毛細管現象により第2の端部と第2の近接部との間に流入することが十分に防止される。
【0029】
(12)前記第2の駆動部は、前記吐出口が前記第2の端部を通過した後に、前記第2の近接部が前記処理液ノズルの移動速度と等しい速度で前記処理液ノズルと同じ移動方向に前記第2の端部から離間するように前記第2の可動部材を移動させてもよい。
【0030】
第2の可動部材が基板の第2の端部から離間する際に、処理液ノズルの移動速度と第2の可動部材の移動速度とが異なる場合、または第2の可動部材の移動方向と処理液ノズルの移動方向とが異なる場合には、処理液ノズルの吐出口と第2の可動部材の上面との間に存在する処理液にせん断力が作用する。それにより、処理液が処理液ノズルの外面に這い上がる。それにより、処理液ノズルの外面が汚染する。これに対して、上記の構成によれば、第2の可動部材および処理液ノズルは、同一方向に同一速度で基板から移動するので、処理液ノズルの吐出口と第2の可動部材の上面に存在する処理液にせん断力が作用しない。それにより、処理液の這い上がりによる処理液ノズルの外面の汚染が防止される。
【0031】
(13)基板処理方法は、少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板を基板支持部により支持するステップと、処理液ノズルの処理液を吐出するスリット状の吐出口が支持された前記基板の上面である基板処理面に平行な状態で処理液を吐出しつつ、前記基板処理面に垂直な第1方向視で、前記吐出口が前記基板の一方側の第1の外方位置から前記基板の第1の端部、前記基板の中心部および前記基板の前記第1の端部と反対の第2の端部を通過して、前記基板に他方側の第2の外方位置へ到達するように前記処理液ノズルを移動させるステップと、前記処理液ノズルが前記基板の前記第1の端部を通過する期間において第1の可動部材の前記基板の前記第1の端部に近接可能な第1の近接部が前記基板の前記第1の端部に近接するように前記第1の可動部材を移行させるステップとを含む。
【0032】
この基板処理方法によれば、処理液の供給開始位置が基板の第1の端部ではなく第1の可動部材の上面になる。また、基板が静止しているので、処理液が周囲に飛散しない。それにより、処理液の消費量を抑制しつつ基板処理面に供給される処理液の厚さをより均一化することが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、処理液の消費量を抑制しつつ基板処理面に供給される処理液の厚さを均一化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】基板処理装置の模式的な外観斜視図である。
図2】基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図3】基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図4】基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図5】基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図6】基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図7】基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図8】基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図9】基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図10】基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図11】ダミー塗布板が基板から離間するタイミングを説明するための断面図である。
図12】ダミー塗布板の幅の決定方法の一例を説明するための模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、以下に説明する基板は、平面視でノッチの形成部分を除いて円形状を有する。
【0036】
(1)基板処理装置100の構成
図1は、基板処理装置100の模式的な外観斜視図である。本実施の形態に係る基板処理装置100は、基板W上に処理液としてレジスト液等の塗布液を供給する。
【0037】
図1に示すように、基板処理装置100は、制御部110、一対のステージ支持体120、ステージ装置130、一対のノズル支持体140およびノズル装置150を含む。図1および後述する所定の図には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。以下の説明では、X方向に関して、矢印が向かう方向を+X方向と呼び、矢印と逆の方向を-X方向と呼ぶ。
【0038】
一対のステージ支持体120の各々は、直方体形状を有し、X方向に沿って延びるように、図示しない筐体の底面上に設けられている。一対のステージ支持体120は、Y方向において互いに対向するように配置されている。各ステージ支持体120の上面には、X方向に沿って延びるガイドレール121が設けられている。
【0039】
ステージ装置130は、Y方向において一対のステージ支持体120の間に位置し、一対のステージ支持体120により支持されている。ステージ装置130は、プレート部材131、プレート調整部132、複数(本例では、3本)の支持ピン133、ピン昇降駆動部134、吸引駆動部135、ダミー塗布板136,137およびダミー塗布板駆動部138,139を含む。
【0040】
プレート部材131は、矩形の平板形状を有する石材により形成され、ステージ装置130の上面部分を構成する。プレート部材131の一部には、処理対象となる基板Wが載置される。基板Wが載置されるプレート部材131の部分(以下、基板載置部分と呼ぶ。)には、当該プレート部材131をZ方向に貫通するように、図示しない複数の吸気孔および複数のピン挿入孔が形成されている。
【0041】
プレート調整部132、複数の支持ピン133、ピン昇降駆動部134、吸引駆動部135およびダミー塗布板駆動部138,139は、プレート部材131の下部に設けられている。プレート調整部132は、プレート部材131の基板載置部分の温度を調整する。
【0042】
複数の支持ピン133は、上下方向に移動可能かつ複数のピン挿入孔にそれぞれ挿入可能にピン昇降駆動部134により支持されている。ピン昇降駆動部134は、制御部110の制御に基づいて、複数の支持ピン133を上下方向に移動させる。それにより、複数の支持ピン133の上端部は、プレート部材131よりも上方のピン上昇位置と、プレート部材131よりも下方のピン下降位置との間を移動する。
【0043】
これにより、基板Wの搬入時には、複数の支持ピン133の上端部がピン上昇位置にある状態で、図示しない搬送装置により保持された未処理の基板Wが複数の支持ピン133上に渡される。また、基板Wの搬出時には、複数の支持ピン133の上端部がピン上昇位置にある状態で、複数の支持ピン133上に支持された処理済の基板Wが図示しない搬送装置により受け取られる。さらに、基板処理装置100における基板Wの処理時には、複数の支持ピン133の上端部がピン下降位置にある状態で、プレート部材131の基板載置部分に載置された基板Wに後述するノズル装置150により処理液が供給される。
【0044】
プレート部材131に形成された複数の吸気孔(図示せず)は、吸引駆動部135および図示しないエジェクタ等の吸気系を通して工場の排気設備等に接続されている。吸引駆動部135は、後述する制御部110の制御に基づいて、複数の吸気孔と吸気系とを接続する吸気経路を連通状態と遮断状態との間で切り替える。このような構成により、プレート部材131の基板載置部分に基板Wが載置された状態で、吸引駆動部135は、吸気経路を連通状態とすることにより当該基板Wを基板載置部分に吸着保持させることができる。また、基板載置部分に基板Wが吸着保持された状態で、吸引駆動部135は、吸気経路を遮断状態とすることにより当該基板Wをプレート部材131から解放させることができる。
【0045】
プレート部材131の上面には、ダミー塗布板136,137が設けられる。ダミー塗布板136,137は、X方向において、プレート部材131の基板載置部分の両側に配置される。ダミー塗布板136、基板載置部分およびダミー塗布板137はX方向において並ぶ。ダミー塗布板136,137の下面とプレート部材131の上面との間には間隔が形成されている。
【0046】
ここで、プレート部材131上に基板Wが載置されたときに基板Wの中心を通るX方向の直線が基板Wの外周部と交差する部分を第1の端部e1および第2の端部e2と呼ぶ。また、第1の端部e1を含む基板Wの外周部の一部を第1の外縁OE1と呼び、第2の端部e2を含む基板Wの外周部の一部を第2の外縁OE2と呼ぶ。第1の外縁OE1と第2の外縁OE2とは、基板Wの中心部に関して互いに反対側に位置する。
【0047】
ダミー塗布板136は、基板Wの第1の外縁OE1に対応する円弧状の第1の内縁IE1を有する。第1の内縁IE1は、+X方向において、基板Wの第1の外縁OE1に対向する。第1の内縁IE1は、+X方向において、基板Wの第1の端部e1に対向する第1の近接部c1を含む。ダミー塗布板137は、基板Wの第2の外縁OE2に対応する円弧状の第2の内縁IE2を有する。第2の内縁IE2は、-X方向において、基板Wの第2の外縁OE2に対向する。第2の内縁IE2は、-X方向において、基板Wの第2の端部e2に対向する第2の近接部c2を含む。
【0048】
ダミー塗布板136,137の下方において、プレート部材131には、X方向に延びるスリット状開口13a,13bがそれぞれ形成されている。ダミー塗布板駆動部138,139は、プレート部材131の下方に設けられている。ダミー塗布板136,137は、スリット状開口13a,13bをそれぞれ貫通する接続部材13c,13dによりダミー塗布板駆動部138,139にそれぞれ接続される。
【0049】
ダミー塗布板駆動部138は、例えばモータ等のアクチュエータを含み、制御部110の制御に基づいて、ダミー塗布板136を第1の離間位置と第1の近接位置との間で+X方向および-X方向に移動させる。第1の離間位置は、基板Wの第1の外縁OE1とダミー塗布板136の第1の内縁IE1とが離間した位置である。第1の近接位置は、基板Wの第1の外縁OE1とダミー塗布板136の第1の内縁IE1とが近接した位置である。
【0050】
ダミー塗布板駆動部139は、例えばモータ等のアクチュエータを含み、制御部110の制御に基づいて、ダミー塗布板137を第2の離間位置と第2の近接位置との間で+X方向および-X方向に移動させる。第2の離間位置は、基板Wの第2の外縁OE2とダミー塗布板137の第2の内縁IE2とが離間した位置である。第2の近接位置は、基板Wの第2の外縁OE2とダミー塗布板137の第2の内縁IE2とが近接した位置である。
【0051】
以下、基板Wの上面を基板処理面Wpと呼ぶ。ダミー塗布板136,137がそれぞれ第1および第2の近接位置にあるときには、ダミー塗布板136,137の上面と基板処理面Wpとが面一になるように、ダミー塗布板駆動部138,139がダミー塗布板136,137を移動させる。なお、ダミー塗布板136,137の上面および基板処理面Wpが面一になる状態は、後述する効果が得られる範囲内でダミー塗布板136,137の上面の高さと基板処理面Wpの高さとが僅かに異なる場合も含む。
【0052】
一対のステージ支持体120の上面には、一対のノズル支持体140がそれぞれガイドレール121に沿ってX方向に移動可能に設けられている。一対のノズル支持体140は、Y方向において対向するように配置されている。
【0053】
ノズル装置150は、Y方向において一対のノズル支持体140の間で一対のノズル支持体140により支持されている。一対のノズル支持体140のうち少なくとも一方には、X方向駆動部141、Z方向駆動部142および液供給部143が内蔵されている。
【0054】
ノズル装置150は、Y方向に延びるノズルブロック151を含む。ノズルブロック151は、上面、前面、後面、前傾斜面、後傾斜面、底面および両側面を有する。ノズルブロック151の底面は、平坦に形成され、基板処理面Wpに平行に配置される。底面の前端は前傾斜面の下端につながり、前傾斜面の上端は前面につながる。底面の後端は後傾斜面の下端につながり、後傾斜面の上端は後面につながる。前面の上端と後面の上端とは上面につながる。上面、前面、後面、前傾斜面、後傾斜面および底面の両端は、それぞれ両側面につながる。ノズルブロック151の底面には、Y方向に延びるスリット状の吐出口151aが形成されている。スリット状の吐出口151aのY方向における長さは、基板Wの直径以上である。
【0055】
また、ノズルブロック151は、ノズル支持体140に設けられた液供給部143を介して図示しない処理液供給系に接続されている。ノズルブロック151の内部には、吐出口151aにつながる処理液流路(図示せず)が形成されている。ノズル支持体140の液供給部143は、例えばポンプおよびバルブを含み、制御部110の制御に基づいて、処理液供給系から供給される処理液をさらにノズルブロック151に供給する。それにより、ノズルブロック151においては、液供給部143から供給された処理液が、処理液流路(図示せず)を通して吐出口151aから吐出される。また、液供給部143は、制御部110の制御に基づいて、ノズルブロック151の吐出口151aからの処理液の吐出を停止する。
【0056】
X方向駆動部141は、例えばモータ等のアクチュエータを含み、制御部110の制御に基づいて、一対のノズル支持体140を一対のステージ支持体120のガイドレール121に沿って+X方向および-X方向に移動させる。Z方向駆動部142は、例えばモータ等のアクチュエータを含み、制御部110の制御に基づいて、一対のノズル支持体140によって支持されるノズル装置150をZ方向およびその逆方向(上下方向)に移動させる。これにより、基板処理装置100においては、図1に白抜きの矢印AX,AZで示すように、ステージ装置130のプレート部材131上に載置された基板W上で、ノズル装置150を±X方向および上下(±Z方向)に移動させることが可能である。
【0057】
処理液の塗布処理時には、プレート部材131上に基板Wが吸着保持された状態で、ノズル装置150が基板Wの上方の空間を+X方向に移動する。このとき、ノズル装置150の底面が基板処理面Wpに近接している。ノズル装置150のZ方向の位置(高さ)は、例えばノズルブロック151内の処理液が毛細管現象により吐出口151aからノズルブロック151の底面と基板処理面Wpとの間の隙間に引き出されるように設定される。このように、ノズル装置150の吐出口151aから毛細管現象を利用して基板W上に処理液を供給する方法は、キャピラリ塗布と呼ばれる。
【0058】
キャピラリ塗布において、基板W上に処理液による液膜を形成する場合、基板W上での処理液の供給開始位置および供給終了位置が基板Wに供給される処理液の厚みに対する特異点となる。本実施の形態では、基板Wの第1の端部e1が基板Wでの処理液の供給開始位置であり、基板Wの第2の端部e2が基板Wでの処理液の供給終了位置である。
【0059】
また、基板Wへの処理液の供給開始位置および供給終了位置においては、処理液の表面張力および密度差が他の位置と異なる。そのため、基板Wでの処理液の供給開始位置および供給終了位置においては、処理液の盛り上がりが発生することがある。それにより、処理液の供給開始位置および供給終了位置では、供給された処理液が他の位置に比べて大きい厚みを有するという膜厚異常が発生することがある。本実施の形態の基板処理装置100は、キャピラリ塗布時に、ダミー塗布板136,137を用いることにより上述した膜厚異常の発生を回避することが可能になる。
【0060】
(2)基板処理装置100の動作例
図1の制御部110は、ピン昇降駆動部134、吸引駆動部135、ダミー塗布板駆動部138,139、X方向駆動部141、Z方向駆動部142および液供給部143の動作を制御する。制御部110は、CPU、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。CPUが記憶装置に記憶された処理プログラムをRAM上で実行することにより基板処理装置100の各部の動作が制御される。
【0061】
図2図10は、基板処理装置100の動作例を説明するための模式図である。図2図10の下部には、基板処理装置100の平面図が示される。図2図10の上部には、下部に示す基板処理装置100のA-A線断面図が示される。
【0062】
図2図10の上部には、ノズルブロック151の底面152、前傾斜面153および後傾斜面154が示される。底面152は、X方向における幅aを有する。ダミー塗布板136の第1の近接部c1を通るX方向の幅b1は、ノズルブロック151の幅a以上に設定される。同様に、ダミー塗布板137の第2の近接部c2を通るX方向の幅b2は、ノズルブロック151の幅a以上に設定される。本例では、ダミー塗布板136,137の幅b1,b2は、ノズルブロック151の幅aに等しい。これにより、ダミー塗布板136,137の面積が小さくなる。
【0063】
まず、図2に示すように、処理液の供給が開始される前には、ノズル装置150のノズルブロック151は基板Wの第1の外方位置で待機している。第1の外方位置は、ダミー塗布板136よりも-X方向にずれた位置である。
【0064】
次に、ダミー塗布板136,137がそれぞれ第1および第2の離間位置から第1および第2の近接位置に+X方向および-X方向に移動する。それにより、ダミー塗布板136,137の第1および第2の内縁IE1,IE2が基板Wの第1および第2の外縁OE1,OE2にそれぞれ近接する。
【0065】
本例においては、図3に示すように、第1および第2の近接位置で、ダミー塗布板136,137の第1および第2の内縁IE1,IE2と基板Wの第1および第2の外縁OE1,OE2との間に間隔tが設定される。間隔tは、基板処理面Wpに供給された処理液が毛細管現象により第1および第2の内縁IE1,IE2と基板Wの第1および第2の外縁OE1,OE2との間に流入しないように設定されることが好ましい。例えば、間隔tは、0mmより大きく0.5mm以下に設定され、本例では0.3mmに設定される。なお、間隔tは、上記の範囲内の値に限定されず、基板Wのサイズ等に応じて適切な値に設定される。
【0066】
この状態で、ノズル装置150のノズルブロック151が+X方向に移動する。ノズルブロック151がダミー塗布板136の直前の位置に達したときに、ノズル装置150は吐出口151aから処理液を吐出する。この状態で、吐出口151aがダミー塗布板136上に達すると、吐出口151aから吐出される処理液がダミー塗布板136の上面に供給される。この場合、ダミー塗布板136の上面が処理液の供給開始位置である。
【0067】
図4に示すように、ノズルブロック151の底面152が基板Wの第1の端部e1を通過する期間において、ダミー塗布板136が第1の近接位置に保持される。それにより、第1の近接部c1と第1の端部e1との間の間隔tが保たれる。ダミー塗布板136の上面上に供給された処理液には、盛り上がりが発生する。
【0068】
次に、図5に示すように、ノズルブロック151の底面152が基板処理面Wp上に移動する。それにより、基板処理面Wp上に処理液が供給される。ダミー塗布板136の上面上、間隔t上および基板処理面Wp上でノズルブロック151の底面152が距離D移動した時点で、ダミー塗布板136が基板Wから離間するように-X方向に移動する。それにより、図6に示すように、ダミー塗布板136は第1の離間位置に戻る。また、ノズルブロック151は、吐出口151aから処理液を吐出しながら基板処理面Wp上を+X方向に移動する。
【0069】
次に、図7に示すように、ノズルブロック151の底面152が基板Wの第2の端部e2を通過する期間において、ダミー塗布板137が第2の近接位置に保持される。それにより、第1の近接部c1と第1の端部e1との間の間隔tが保たれる。その後、図8に示すように、ノズルブロック151の底面152がダミー塗布板137の上面上に移動する。それにより、ダミー塗布板137上に処理液が供給される。ノズルブロック151の底面152の全体がダミー塗布板137上に移動した時点で、ダミー塗布板137が基板Wから離間するように+X方向に移動する。また、ノズル装置150は、吐出口151aからの処理液の吐出を停止する。
【0070】
このとき、図9に示すように、ダミー塗布板137は、ノズルブロック151の移動速度と同じ速度で移動する。最後に、図10に示すように、ノズルブロック151はダミー塗布板137から離間するように第2の待機位置に戻る。
【0071】
図11は、ダミー塗布板136が基板Wから離間するタイミングを説明するための断面図である。図11に示すように、基板処理装置100において処理される基板Wの外周部には、ベベル部WBが形成されている。この場合、図5における距離Dは次式により決定される。
【0072】
D=2a+t+r …(1)
【0073】
上式(1)において、rは平面視でのベベル部のWBの幅である。ノズルブロック151の底面152の前端がダミー塗布板136の後端に到達した時点からノズルブロック151が距離D移動した時点で、ノズルブロック151の底面152の底面152の後端が基板Wの外周部のベベル部WBを除く位置に達する。このとき、ノズルブロック151の底面152の全体が基板処理面Wp上に位置する。この時点でダミー塗布板136が基板Wから-X方向に離間することにより、毛細管現象により基板Wとダミー塗布板136との間に処理液が流入することが防止される。これにより、処理液の消費量を低減することが可能になる。
なお、基板Wの外周部にベベル部WBが形成されていない場合、距離Dは、次式により決定されてもよい。
【0074】
D=2a+t …(2)
【0075】
この場合にも、処理液の消費量を低減することが可能になる。
【0076】
図12は、ダミー塗布板136,137の幅の決定方法の一例を説明するための模式的平面図である。ここでは、ダミー塗布板136のY方向における上面の幅Hの決定方法について説明する。図12には、ダミー塗布板136に処理液の供給開始位置からノズルブロック151の底面152が移動した距離が長さDに到達した時点の平面図が示される。
【0077】
処理液の消費量を低減するためには、ダミー塗布板136の面積は小さいことが望ましい。例えば、ダミー塗布板136のY方向の寸法は小さいことが望ましい。しかしながら、基板Wの第1の端部e1を含む第1の外縁OE1に沿った領域において処理液の厚みをより均一にするためには、ダミー塗布板136のY方向の寸法が小さすぎないことが好ましい。そこで、本実施の形態では、ダミー塗布板136のY方向の寸法は、次のように決定される。
図12において、基板Wの半径(ベベル部WBを除く。)をRとした場合、ダミー塗布板136のY方向における幅Hは、次式(3)のように決定することができる。
【0078】
H/2={R-(R-a))}1/2 …(3)
【0079】
上式(2)からY方向のダミー塗布板136の幅Hは、次式のようになる。
【0080】
H=2{R-(R-a)1/2 …(4)
【0081】
上式(4)において、右辺を整理すると、幅Hは、次式(5)で決定することができる。
【0082】
H=2(2aR-a1/2 …(5)
【0083】
ダミー塗布板137の幅Hも同様にして上式(5)により決定することができる。この方法によれば、基板Wのサイズに応じてダミー塗布板136,137の寸法を容易に決定することができる。なお、ダミー塗布板136,137の幅Hは、上式(5)で決定されるよりも大きくてもよい。その場合、基板Wの第1および第2の外縁OE1,OE2に沿った長い領域で処理液の均一性を向上させることができる。一方、ダミー塗布板136,137の幅Hは、上式(5)で決定されるよりも小さくてもよい。その場合、ダミー塗布板136,137上に供給される処理液の量を低減することができる。
【0084】
(3)実施の形態の効果
上記実施の形態の基板処理装置100においては、プレート部材131により基板Wが支持された状態で、ノズルブロック151が+X方向に移動する。また、ノズルブロック151の吐出口151aが基板の第1の端部e1を通過する期間において、ダミー塗布板136の第1の近接部c1が基板Wの第1の端部e1に近接するとともに、ダミー塗布板136の上面および基板Wの基板処理面Wpの順に処理液が供給される。上記の構成では、処理液の供給開始位置が基板Wの第1の端部e1ではなくダミー塗布板136の上面になるので、図5に示すように、ダミー塗布板136の上面の処理液の供給開始位置で処理液の盛り上がりが発生する。また、基板Wが静止しているので、処理液が周囲に飛散しない。それにより、処理液の消費量を抑制しつつ基板Wの基板処理面Wpに供給される処理液の厚さをより均一化することが可能になる。
【0085】
また、上記実施の形態においては、ノズルブロック151の吐出口151aが基板Wの第2の端部e2を通過する期間において、ダミー塗布板137の第2の近接部c2が基板Wの第2の端部e2に近接するとともに、ノズルブロック151の移動に伴って、基板Wの基板処理面Wpおよびダミー塗布板137の上面の順に処理液が供給される。処理液の供給終了位置がダミー塗布板137の上面になるので、図10に示すように、ダミー塗布板137上に、処理液の盛り上がりが発生する。それにより、基板Wの基板処理面Wpに供給される処理液の厚さを均一化することが可能になる。
【0086】
また、上記実施の形態においては、ダミー塗布板136の第1の内縁IE1が基板Wの第1の端部e1を含む第1の外縁OE1に近接し、ダミー塗布板137の第2の内縁IE2が基板Wの第2の端部e2を含む第2の外縁OE2に近接する。この場合、基板処理面Wpの第1の端部e1を含む第1の外縁OE1に沿って処理液の盛り上がりを発生することが防止される。また、基板処理面Wpの第2の端部e2を含む第2の外縁OE2に沿って処理液の盛り上がりを発生することが防止される。
【0087】
また、上記実施の形態においては、第1の近接部c1と第1の端部e1との近接時における第1の近接部c1と第1の端部e1との間の間隔tおよび第2の近接部c2と第2の端部e2との近接時における第2の近接部c2と第2の端部e2との間の間隔tは、0より大きく0.5mm以下の値に設定される。それにより、基板処理面Wpに供給された処理液が毛細管現象により第1の近接部c1と第1の端部e1との間に流入することが防止される。それにより、処理液の消費量を低減するとともに、基板処理面Wpに供給される処理液の厚さをさらに均一化することが可能になる。
【0088】
さらに、上記実施の形態においては、図5において、ノズルブロック151の底面152が基板Wの第1の端部e1を通過した後に、ダミー塗布板136が基板Wから離間するように-X方向に移動する。この場合、基板処理面Wpに供給された処理液が毛細管現象により第1の近接部c1と第1の端部e1との間に流入することが十分に防止される。具体的には、ノズルブロック151の底面152の前端の中心がダミー塗布板136の後端に到達した時点からノズルブロック151が距離D移動した時点でダミー塗布板136が基板Wから離間するように-X方向に移動する。上述したように、距離Dは、容易に算出可能であるので、制御部110は、より正確にダミー塗布板136の離間動作を制御することが可能になる。
【0089】
また、上記実施の形態においては、図8において、ノズルブロック151の底面152が基板Wの第2の端部e2を通過した後に、ダミー塗布板137の第2の近接部c2が基板Wの第2の端部e2から離間する。それにより、基板処理面Wpに供給された処理液が毛細管現象により基板Wの第2の端部e2とダミー塗布板137の第2の近接部c2との間に流入することが十分に防止される。
【0090】
また、ダミー塗布板137の離間時の移動速度とノズルブロック151の移動速度とが異なる場合、またはダミー塗布板137の第2の近接部c2の移動方向とノズルブロック151の移動方向とが異なる場合には、ノズルブロック151の底面152とダミー塗布板137の上面との間に存在する処理液にせん断力が作用する。それにより、処理液がノズルブロック151の前傾斜面および後傾斜面に這い上がることにより、ノズルブロック151が汚染する。これに対し、上記実施の形態においては、図9において、ノズルブロック151の底面152が基板Wの第2の端部e2を通過した後に、ダミー塗布板137がノズルブロック151の移動速度と等しい速度でかつ同じ方向に基板Wの第2の端部e2から離間する。この場合、ノズルブロック151の底面152とダミー塗布板137の上面に存在する処理液にせん断力が作用しない。それにより、処理液の這い上がりによるノズルブロック151の前傾斜面および後傾斜面の汚染が防止される。
【0091】
(4)他の実施の形態
(4-1)上記実施の形態においては、ダミー塗布板136が基板Wの第1の外縁OE1に対応する第1の内縁IE1を含む形状を有するが、ダミー塗布板136は、少なくとも第1の近接部c1が基板Wの第1の端部e1に近接可能な他の形状を有してもよい。また、ダミー塗布板137が基板Wの第2の外縁OE2に対応する第2の内縁IE2を含む形状を有するが、ダミー塗布板137は、少なくとも第2の近接部c2が基板Wの第2の端部e2に近接可能な他の形状を有してもよい。
【0092】
(4-2)上記実施の形態において、ノズルブロック151が基板Wの第1の端部e1および第2の端部e2をそれぞれ通過した後にダミー塗布板136,137が基板Wから離間されるが、本発明はこれに限定されない。ダミー塗布板136,137と基板Wとの間に毛細管現象により処理液が流入しない場合には、ダミー塗布板136,137は、ノズルブロック151が基板Wの第1の端部e1および第2の端部e2をそれぞれ通過した後に基板Wから離間されなくてもよい。
【0093】
(4-3)上記実施の形態においては、ダミー塗布板136,137の幅b1,b2は、ノズルブロック151の幅aに等しいが本発明はこれに限定されない。ダミー塗布板136,137の幅b1,b2は、ノズルブロック151の幅aより大きく設定されてもよい。この場合、ノズルブロック151の底面152とダミー塗布板137の上面に供給される処理液が基板Wの基板処理面Wpにはみ出すことが十分に防止される。それにより、供給開始位置での処理液の盛り上がりの一部が基板処理面Wp上に形成されることが防止される。
【0094】
(4-4)上記実施の形態において、図5および図8において、ダミー塗布板136,137が基板Wからそれぞれ-X方向および+X方向に離間するが、本発明はこれに限定されない。例えば、ダミー塗布板136,137は、基板Wから上方向または下方向に離間してもよい。
【0095】
(5)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、プレート部材131が基板支持部の例であり、ノズルブロック151が処理液ノズルの例であり、X方向駆動部141およびZ方向駆動部142がノズル移動部の例であり、ダミー塗布板136が第1の可動部材の例であり、ダミー塗布板駆動部138が第1の駆動部の例であり、ダミー塗布板137が第2の可動部材の例であり、ダミー塗布板駆動部139が第2の駆動部の例である。
【符号の説明】
【0096】
1…基板処理装置,13a,13b…スリット状開口,13c,13d…接続部材,100…基板処理装置,110…制御部,120…ステージ支持体,121…ガイドレール,130…ステージ装置,131…プレート部材,132…プレート調整部,133…支持ピン,134…ピン昇降駆動部,135…吸引駆動部,136,137…ダミー塗布板,138,139…ダミー塗布板駆動部,140…ノズル支持体,141…X方向駆動部,142…Z方向駆動部,143…液供給部,150…ノズル装置,151…ノズルブロック,151a…吐出口,152…底面,153…前傾斜面,154…後傾斜面,D…距離,IE1…第1の内縁,IE2…第2の内縁,OE1…第1の外縁,OE2…第2の外縁,W…基板,WB…ベベル部,Wp…基板処理面,c1…第1の近接部,c2…第2の近接部,e1…第1の端部,e2…第2の端部,t…間隔
図1
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図12