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特開2023-141347車載補助電源システム、故障検知方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141347
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】車載補助電源システム、故障検知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20230928BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230928BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01R31/52
H02J7/00 Q
B60R16/02 650R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047626
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅田 健史
(72)【発明者】
【氏名】山中 章平
【テーマコード(参考)】
2G014
5G503
【Fターム(参考)】
2G014AA03
2G014AB24
2G014AB29
2G014AB56
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA02
5G503EA09
(57)【要約】
【課題】負荷に対して常時給電が必要な場合でも、負荷と電源との間に接続された第2スイッチのショート故障を検知できるようにすること。
【解決手段】車載補助電源システム1は、第2スイッチ制御回路14と、電圧検出部と、故障検知部20と、を備える。第2スイッチ制御回路14は、第2スイッチSW2の制御端子に入力する制御電圧VG2を制御することによって、第2スイッチSW2を遮断領域、線形領域、飽和領域のいずれかの領域で動作させる。電圧検出部は、第2スイッチSW2と第2端子T2との間の電路EP3に印加される電圧V3を検出する。故障検知部20は、第2スイッチSW2の動作領域が飽和領域から遮断領域に遷移するように第2スイッチ制御回路14が制御電圧VG2を変化させている状態で、電圧検出部の検出電圧の低下幅が閾値を超えると、第2スイッチSW2は正常であると検知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される第1電源が接続される第1端子と、
前記車両に搭載される負荷が接続される第2端子と、
前記第1端子に第1端が接続される第1スイッチと、
前記第1スイッチの第2端と前記第2端子との間に接続される第2スイッチと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの接続点に接続される第2電源と、
前記第2スイッチの制御端子に入力する制御電圧を制御することによって前記第2スイッチを遮断領域、線形領域、飽和領域のいずれかの領域で動作させる第2スイッチ制御回路と、
前記第2スイッチと前記第2端子との間の電路に印加される電圧を検出する電圧検出部と、
前記第2スイッチのショート故障の有無を検知する検知処理を行う故障検知部と、を備え、
前記故障検知部は、前記第2スイッチの動作領域が前記飽和領域から前記遮断領域に遷移するように前記第2スイッチ制御回路が前記制御電圧を変化させている状態で、前記電圧検出部の検出電圧の低下幅が閾値を超えると、前記第2スイッチは正常であると検知する、
車載補助電源システム。
【請求項2】
前記故障検知部は、前記車両が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた第1時点から一定時間が経過するまでの間に、前記検知処理を行う、
請求項1に記載の車載補助電源システム。
【請求項3】
前記第1スイッチのオン/オフを制御する第1スイッチ制御回路と、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの接続点と前記第2電源との間に接続された充放電回路と、を更に備え、
前記充放電回路は、充電モードでは前記第1電源を電源として前記第2電源を充電し、放電モードでは前記第2電源からの出力電圧を電圧変換して前記接続点に出力し、
前記故障検知部が前記検知処理を行う間、前記第1スイッチ制御回路が前記第1スイッチをオフにし、前記充放電回路が、前記第2電源からの出力電圧を、前記第1電源の出力電圧である第1電圧値よりも高い第2電圧値に電圧変換して前記接続点に出力する、
請求項1又は2に記載の車載補助電源システム。
【請求項4】
前記車両が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた第1時点から一定時間が経過するまでの間に、前記第1スイッチ制御回路が前記第1スイッチをオフにし、前記充放電回路が、前記第2電源からの出力電圧を、前記第1電源の出力電圧である第1電圧値よりも高い第2電圧値に電圧変換して前記接続点に出力している状態で、前記故障検知部は前記検知処理を行う、
請求項3に記載の車載補助電源システム。
【請求項5】
前記第2スイッチ制御回路が、前記第2スイッチの状態が前記飽和領域から前記遮断領域に遷移するように前記制御電圧を変化させている状態で、前記故障検知部が前記第2スイッチは正常であると検知すると、前記第2スイッチ制御回路は、前記第2スイッチの状態を前記飽和領域に遷移させるように前記制御電圧を変化させる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の車載補助電源システム。
【請求項6】
前記故障検知部の検知結果を外部に出力する出力部を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の車載補助電源システム。
【請求項7】
車両に搭載される第1電源が接続される第1端子と、
前記車両に搭載される負荷が接続される第2端子と、
前記第1端子に第1端が接続される第1スイッチと、
前記第1スイッチの第2端と前記第2端子との間に接続される第2スイッチと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの接続点に接続される第2電源と、を備える車載補助電源システムの故障検知方法であって、
前記第2スイッチの制御端子に入力する制御電圧を制御することによって、前記第2スイッチの動作領域を遮断領域、線形領域、飽和領域のいずれかの領域に切り替え可能であり、
前記第2スイッチの動作領域が前記飽和領域から前記遮断領域に遷移するように前記制御電圧を変化させる制御ステップと、
前記第2スイッチと前記第2端子との間の電路に印加される電圧の低下幅が閾値を超えると、前記第2スイッチは正常であると検知する検知ステップと、を含む
故障検知方法。
【請求項8】
前記車両が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた第1時点から一定時間が経過するまでの間に、前記制御ステップ及び前記検知ステップを実行する、
請求項7に記載の故障検知方法。
【請求項9】
前記車載補助電源システムは、充放電回路を更に備え、
前記充放電回路は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの接続点と前記第2電源との間に接続され、充電モードでは前記第1電源を電源として前記第2電源を充電し、放電モードでは前記第2電源からの出力電圧を電圧変換して前記接続点に出力し、
前記第1スイッチをオフにし、前記充放電回路が、前記第2電源からの出力電圧を、前記第1電源の出力電圧である第1電圧値よりも高い第2電圧値に電圧変換して前記接続点に出力する状態で、前記制御ステップ及び前記検知ステップを実行する、
請求項7に記載の故障検知方法。
【請求項10】
前記車両が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた第1時点から一定時間が経過するまでの間に、前記第1スイッチをオフにし、前記充放電回路が、前記第2電源からの出力電圧を、前記第1電源の出力電圧である第1電圧値よりも高い第2電圧値に電圧変換して前記接続点に出力している状態で、前記制御ステップ及び前記検知ステップを実行する、
請求項9に記載の故障検知方法。
【請求項11】
前記検知ステップで前記第2スイッチが正常であると検知すると、前記第2スイッチの状態を前記飽和領域に遷移させるように前記制御電圧を変化させる復帰ステップを、更に含む、
請求項7~10のいずれか1項に記載の故障検知方法。
【請求項12】
コンピュータシステムに、
請求項7~11のいずれか1項に記載の故障検知方法を実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載補助電源システム、故障検知方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、電源から負荷に対して電力を供給するための車載補助電源システム、故障検知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、主電源と負荷との間に接続された蓄電装置を開示する。この蓄電装置は、主電源と負荷との間に接続された第1スイッチと、主電源に接続された充電回路と、充電回路に接続された蓄電部と、蓄電部と負荷の間に接続された第2スイッチと、主電源及び負荷の電圧を検出する電圧検出回路と、制御部と、を備える。制御部は、第1スイッチ及び第2スイッチをオフにした状態で、電圧検出回路により検出した負荷の電圧が第2規定値以上であれば、第1スイッチ又は第2スイッチが短絡故障していると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-182872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の蓄電装置では、第1スイッチ及び第2スイッチの短絡故障を検知するために、第1スイッチ及び第2スイッチをオフにしているので、第1スイッチ及び第2スイッチが短絡故障(ショート故障)していない場合には負荷への電力供給が遮断される。
【0005】
そのため、負荷に対して常時給電する必要がある場合、特許文献1に記載された判定方法では、蓄電部と負荷との間に接続された第2スイッチの短絡故障を検知できないという問題があった。
【0006】
本開示の目的は、負荷に対して常時給電が必要な場合でも、負荷と電源との間に接続された第2スイッチのショート故障を検知することができる車載補助電源システム、故障検知方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の車載補助電源システムは、第1端子と、第2端子と、第1スイッチと、第2スイッチと、第2電源と、第2スイッチ制御回路と、電圧検出部と、故障検知部と、を備える。前記第1端子には、車両に搭載される第1電源が接続される。前記第2端子には、前記車両に搭載される負荷が接続される。前記第1スイッチは、前記第1端子に第1端が接続される。前記第2スイッチは、前記第1スイッチの第2端と前記第2端子との間に接続される。前記第2電源は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの接続点に接続される。前記第2スイッチ制御回路は、前記第2スイッチの制御端子に入力する制御電圧を制御することによって、前記第2スイッチを遮断領域、線形領域、飽和領域のいずれかの領域で動作させる。前記電圧検出部は、前記第2スイッチと前記第2端子との間の電路に印加される電圧を検出する。前記故障検知部は、前記第2スイッチのショート故障の有無を検知する検知処理を行う。前記故障検知部は、前記第2スイッチの動作領域が前記飽和領域から前記遮断領域に遷移するように前記第2スイッチ制御回路が前記制御電圧を変化させている状態で、前記電圧検出部の検出電圧の低下幅が閾値を超えると、前記第2スイッチは正常であると検知する。
【0008】
本開示の一態様の故障検知方法は、車載補助電源システムの故障検知方法である。前記車載補助電源システムは、第1端子と、第2端子と、第1スイッチと、第2スイッチと、第2電源と、を備える。前記第1端子には、車両に搭載される第1電源が接続される。前記第2端子には、前記車両に搭載される負荷が接続される。前記第1スイッチは、前記第1端子に第1端が接続される。前記第2スイッチは、前記第1スイッチの第2端と前記第2端子との間に接続される。前記第2電源は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの接続点に接続される。前記第2スイッチの制御端子に入力する制御電圧を制御することによって、前記第2スイッチの動作領域を遮断領域、線形領域、飽和領域のいずれかの領域に切り替え可能である。前記故障検知方法は、制御ステップと、検知ステップと、を含む。前記制御ステップでは、前記第2スイッチの動作領域が前記飽和領域から前記遮断領域に遷移するように前記制御電圧を変化させる。前記検知ステップでは、前記第2スイッチと前記第2端子との間の電路に印加される電圧の低下幅が閾値を超えると、前記第2スイッチは正常であると検知する。
【0009】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータシステムに、前記故障検知方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、負荷に対して常時給電が必要な場合でも、負荷と電源との間に接続された第2スイッチのショート故障を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る車載補助電源システムの概略的な回路図である。
図2図2は、同上の車載補助電源システムの動作を説明するフローチャートである。
図3図3は、同上の車載補助電源システムの故障検知時における第2スイッチの制御電圧、及び負荷電圧の時間変化を示すグラフである。
図4図4は、同上の車載補助電源システムを搭載した車両の一部破断した側面図である。
図5図5は、変形例1に係る車載補助電源システムの動作を説明するフローチャートである。
図6図6は、変形例2に係る車載補助電源システムの概略的な回路図である。
図7図7は、変形例2に係る車載補助電源システムの動作を説明するタイミングチャートである。
図8図8は、変形例2に係る車載補助電源システムの動作を説明するフローチャートである。
図9図9は、変形例3に係る車載補助電源システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
(1)概要
以下に、車載補助電源システム、及び、車載補助電源システムによる故障検知方法の実施形態を説明する。以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
本実施形態の車載補助電源システム1は、図1に示すように、第1端子T1と、第2端子T2と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第2電源11と、第2スイッチ制御回路14と、電圧検出部としての第3電圧検知回路17と、故障検知部20と、を備える。
【0014】
第1端子T1には、車両30(図4参照)に搭載される第1電源2が接続される。
【0015】
第2端子T2には、車両30に搭載される負荷3が接続される。
【0016】
第1スイッチSW1は、第1端子T1に第1端が接続されている。
【0017】
第2スイッチSW2は、第1スイッチSW1の第2端と第2端子T2との間に接続される。
【0018】
第2電源11は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の接続点CP1に接続されている。
【0019】
第2スイッチ制御回路14は、第2スイッチSW2の制御端子に入力する制御電圧VG2を制御することによって、第2スイッチSW2を遮断領域、線形領域、飽和領域のいずれかの領域で動作させる。
【0020】
電圧検出部(第3電圧検知回路17)は、第2スイッチSW2と第2端子T2との間の電路EP3に印加される電圧V3を検出する。
【0021】
故障検知部20は、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する検知処理を行う。
【0022】
故障検知部20は、第2スイッチSW2の動作領域が飽和領域から遮断領域に遷移するように第2スイッチ制御回路14が制御電圧VG2を変化させている状態で、電圧検出部(第3電圧検知回路17)の検出電圧の低下幅が閾値を超えると、第2スイッチSW2は正常であると検知する。
【0023】
ここにおいて、負荷3は、車両30に搭載される負荷であって常時給電が必要な負荷である。言い換えると、負荷3は、車両30が備えるイグニッションスイッチがオフの状態も含め、常に給電が必要な負荷であり、例えばADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)関連の制御系のECU(Electronic Control Unit)などを含み得る。本実施形態において、イグニッションスイッチがオンの状態とは、原動機(エンジン又は電動モータ)が動作可能な状態で、アクセル操作によって走行を開始可能な状態である。また、イグニッションスイッチがオフの状態とは、原動機を停止させている状態であるが、ECU等への電力供給は継続している状態である。なお、本実施形態において、イグニッションスイッチがオフの状態は、車両30に搭載されているエアコンディショナ及びオーディオ機器への電源供給を停止している状態、いわゆるアクセサリ電源がオフの状態であってもよい。
【0024】
第2スイッチSW2は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの電界効果トランジスタであり、制御端子であるゲート電極に印加される制御電圧VG2に応じて、飽和領域、線形領域、遮断領域のいずれかの状態で動作する。
【0025】
故障検知部20は、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知しており、第2スイッチSW2が「正常」であるとは、第2スイッチSW2にショート故障の異常が発生していないことをいう。
【0026】
また、故障検知部20は、第2スイッチSW2の動作領域が飽和領域から遮断領域に遷移するように第2スイッチ制御回路14が制御電圧VG2を変化させている状態で、電圧検出部(第3電圧検知回路17)の検出電圧の低下幅に基づいて、ショート故障の有無を検知する。ここで、故障検知部20は、電圧検出部の検出電圧の低下幅が閾値を超えると、第2スイッチSW2のショート故障は発生していないと検知する。一方、故障検知部20は、電圧検出部の検出電圧の低下幅が閾値以下に収まっていると、第2スイッチSW2のショート故障が発生したと検知する。
【0027】
ここにおいて、故障検知部20は、第2スイッチSW2の動作領域が飽和領域から遮断領域に遷移するように第2スイッチSW2を線形領域で動作させている状態で、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知している。第2スイッチSW2にショート故障が発生していない場合、第2スイッチSW2の動作領域を飽和領域から遮断領域に遷移させるように第2スイッチSW2を線形領域で動作させると、第2スイッチSW2での電圧降下が増加するため、電路EP3の電圧は低下する。したがって、故障検知部20では、電圧検出部(第3電圧検知回路17)の検出電圧(電路EP3の電圧V3)に基づいてショート故障の有無を検知しており、電圧V3の低下幅が閾値を超えていれば、第2スイッチSW2が正常であると検知する。また、故障検知部20は、電圧V3の低下幅が閾値以下に収まっていれば、第2スイッチSW2の動作状態を飽和領域から遮断領域に遷移させているにも関わらず、オンの状態を維持していることから、第2スイッチSW2のショート故障が発生していると検知する。
【0028】
したがって、第2スイッチSW2を線形領域で動作させ、負荷3への電力供給を継続している状態で、故障検知部20は、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知することができる。よって、負荷3に対して常時給電が必要な場合でも、負荷3と第1電源2との間に接続された第2スイッチSW2のショート故障を検知することができる車載補助電源システム1を実現することができる。
【0029】
本実施形態の車載補助電源システム1は、例えば自動車のような車両30(図4参照)に搭載されている。すなわち、車両30は、車載補助電源システム1と、車両本体31と、を備える。車両本体31は、車載補助電源システム1と、第1電源2と、負荷3とを搭載する。車載補助電源システム1は、例えば、車両30の第1電源2(例えば車両30のバッテリ)が失陥した場合(失陥状態)、又は、第1電源2が失陥していない非失陥状態で第1電源2からの電力供給と合わせて負荷3に給電する場合、第2電源11から負荷3に電力を供給する。負荷3は、車両30に搭載された常時給電が必要な負荷であり、例えば、ADAS関連のECUを含み、車両30に搭載された電動ブレーキシステムの動作を制御するECU等を含む。これにより、負荷3は、第1電源2が失陥した場合、又は、第1電源2の残量が低下した場合でも、第2電源11からの電力供給によって動作を継続することができる。なお、第1電源2が失陥する失陥状態とは、第1電源2の故障、劣化又は断線等によって、第1電源2から負荷3への電力の供給が停止している状態である。第1電源2が失陥していない非失陥状態は、第1電源2から負荷3に電力を供給可能な状態である。
【0030】
なお、図4は、車載補助電源システム1を搭載する車両30の模式図であり、車両本体31において、車載補助電源システム1、第1電源2及び負荷3の位置は図4に示す位置に限定されず、適宜変更が可能である。
【0031】
また、以下では、車載補助電源システム1が自動車のような車両30に搭載される場合を例示するが、車両30は自動車に限定されず、自動二輪車、電動自転車、又は電車等でもよい。
【0032】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る車載補助電源システム1について図面を参照して詳しく説明する。
【0033】
(2.1)構成
車載補助電源システム1は、上述のように、第1端子T1と、第2端子T2と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第2電源11と、第2スイッチ制御回路14と、電圧検出部としての第3電圧検知回路17と、故障検知部20と、を備える。本実施形態では、車載補助電源システム1は、故障検知部20の機能を有する処理回路10と、充放電回路12と、第1スイッチ制御回路13と、第1電圧検知回路15と、第2電圧検知回路16と、を更に備えている。
【0034】
第1端子T1には、車両30のバッテリのような第1電源2が接続されている。
【0035】
第2端子T2には、負荷3が接続される。負荷3は、常時給電が必要な負荷であり、例えば、ADAS関連の制御系のECU等を含み得る。
【0036】
第2電源11は、例えば、急速な充放電が可能な電気二重層キャパシタ(EDLC:Electrical Double Layer Capacitor)である。第2電源11は、電気的に並列又は直列に接続された、2個以上の蓄電装置(例えば電気二重層キャパシタ)にて構成されてもよいし、2個以上の蓄電装置がそれぞれ直列に接続された複数の直列回路を、並列に接続して構成されてもよい。すなわち、第2電源11は、2個以上の蓄電装置の並列回路若しくは直列回路、又はその組み合わせによって実現されてもよい。
【0037】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、例えばPチャネル型MOSFETである。
【0038】
第1スイッチSW1の第1端であるドレイン電極は第1端子T1に接続されている。第2スイッチSW2は、第1スイッチSW1の第2端であるソース電極と、第2端子T2との間に接続されている。ここで、第2スイッチSW2のソース電極は、第1スイッチSW1のソース電極に接続され、第2スイッチSW2のドレイン電極は、第2端子T2に接続されている。なお、第1スイッチSW1のボディダイオードは、第1端子T1から第2端子T2に電流が流れる向きに接続されており、第2スイッチSW2のボディダイオードは、第2端子T2から第1端子T1に電流が流れる向きに接続されている。
【0039】
充放電回路12は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の接続点CP1と、第2電源11との間に接続されている。充放電回路12は、例えば双方向DC-DC変換回路であり、充電モード又は放電モードで動作する。充放電回路12は、充電モードでは第1電源2を電源として第2電源11を充電する。充放電回路12は、放電モードでは第2電源11からの出力電圧を電圧変換して接続点CP1に出力する。
【0040】
第1スイッチ制御回路13は、第1スイッチSW1のオン/オフを制御する。第1スイッチ制御回路13は、処理回路10から入力される制御信号に応じて、第1スイッチSW1の制御端子であるゲート電極に制御電圧VG1を出力することによって、第1スイッチSW1をオン又はオフに制御する。なお、第1スイッチ制御回路13は、第2スイッチ制御回路14と同様、第1スイッチSW1のゲート電極に出力する制御電圧VG1を制御することによって、第1スイッチSW1を飽和領域、線形領域、遮断領域のいずれかの状態で動作させる。
【0041】
第2スイッチ制御回路14は、処理回路10から入力される制御信号に応じて、第2スイッチSW2の制御端子であるゲート電極に制御電圧VG2を出力することによって、第2スイッチSW2を飽和領域、線形領域、遮断領域のいずれかの状態で動作させる。
【0042】
第1電圧検知回路15は、第1端子T1と第1スイッチSW1との間の電路EP1に印加される電圧V1を検出し、検出結果を処理回路10に出力する。
【0043】
第2電圧検知回路16は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間の電路EP2に印加される電圧V2を検出し、検出結果を処理回路10に出力する。
【0044】
第3電圧検知回路17は、第2スイッチSW2と第2端子T2との間の電路EP3に印加される電圧V3を検出し、検出結果を処理回路10に出力する。
【0045】
処理回路10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが処理回路10として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0046】
処理回路10は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のオン/オフを制御することによって、負荷3への電力供給を制御する。また、処理回路10は、故障検知部20及び出力部21の機能を有している。
【0047】
故障検知部20は、例えば、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する。なお、故障検知部20は、第1スイッチSW1のショート故障の有無を検知してもよい。
【0048】
出力部21は、故障検知部20の検知結果を外部に出力する。出力部21は、例えば車両30のECU等に故障検知部20の検知結果を出力する。処理回路20は、例えば車両30内の通信ネットワークを介して車両30のECU等と通信する通信機能を有しており,出力部21は、処理回路20の通信機能を利用して車両30のECU等に故障検知部20の検知結果を出力する。車両30のECUは、第2スイッチSW2のショート故障が発生したとの検知結果を受信すると、例えば車両30のコンソールパネルに車載補助電源システム1での故障の発生を通知する情報を表示して、車両30の乗員に車載補助電源システム1での故障の発生を通知する。
【0049】
(2.2)動作説明
実施形態に係る車載補助電源システム1の動作について以下に説明する。
【0050】
(2.2.1)給電動作の説明
第1電圧検知回路15は、電路EP1の電圧V1(つまり第1電源2から入力される電圧)を検出しており、検出結果を処理回路10に出力する。
【0051】
処理回路10は、電路EP1の電圧V1を所定の基準電圧と比較し、電路EP1の電圧V1が基準電圧以上であれば、第1電源2が失陥していないと判断し、電路EP1の電圧V1が基準電圧未満であれば、第1電源2が失陥していると判断する。
【0052】
処理回路10は、第1電源2が失陥していないと判断すると、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオンにする制御信号を第1スイッチ制御回路13及び第2スイッチ制御回路14に出力する。第1スイッチ制御回路13は、第1スイッチSW1のゲート電極に印加する制御電圧VG1を制御して、第1スイッチSW1をオンにする(飽和領域で動作させる)。また、第2スイッチ制御回路14は、第2スイッチSW2のゲート電極に印加する制御電圧VG2を制御して、第2スイッチSW2を飽和領域で動作させる(つまりオンにする)。
【0053】
このとき、負荷3は第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を介して第1電源2に接続され、第1電源2から負荷3に電力が供給される。これにより、負荷3は、第1電源2から電力供給を受けて動作する。また、処理回路10は充放電回路12を充電モードで動作させる。充放電回路12は、第2電源11に充電電流を供給し、第2電源11を所定の電圧値まで充電させる。
【0054】
また、処理回路10は、第1電源2が失陥していると判断すると、第1スイッチSW1をオフにする制御信号を第1スイッチ制御回路13に出力し、第2スイッチSW2をオンにする制御信号を第2スイッチ制御回路14に出力する。第1スイッチ制御回路13は、第1スイッチSW1のゲート電極に印加する制御電圧VG1を制御して、第1スイッチSW1をオフにする(遮断領域で動作させる)。また、第2スイッチ制御回路14は、第2スイッチSW2のゲート電極に印加する制御電圧VG2を制御して、第2スイッチSW2を飽和領域で動作させる(つまりオンにする)。
【0055】
このとき、負荷3は、第1電源2から電気的に切り離され、第2スイッチSW2を介して第2電源11に接続される。また、処理回路10は充放電回路12を放電モードで動作させる。充放電回路12は、第2電源11の出力電圧を所望の電圧値に電圧変換して負荷3に供給する。これにより、負荷3は、第2電源11から電力供給を受けて動作する。
【0056】
また、例えば車両30のECUから処理回路10に、負荷3側の回路で短絡が発生したとの信号が入力されると、処理回路10は、第2スイッチSW2をオフにする制御信号を第2スイッチ制御回路14に出力する。第2スイッチ制御回路14は、第2スイッチSW2のゲート電極に印加する制御電圧VG2を制御して、第2スイッチSW2を遮断領域で動作させる(つまりオフにする)。これにより、第1電源2及び第2電源11を、短絡が発生した負荷3側の回路から切り離すことができる。
【0057】
(2.2.2)故障検知動作の説明
次に、故障検知部20が、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する動作について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2に示すフローチャートは、本実施形態に係る故障検知方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0058】
本実施形態の車載補助電源システム1は、負荷3に常時電力供給を行うので、処理回路10は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を、オンに制御、つまり飽和領域で動作させている。
【0059】
故障検知部20が、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する検知処理を開始すると、第1スイッチSW1をオンに制御した状態で、第2スイッチSW2を飽和領域から遮断領域に遷移するように第2スイッチSW2を線形領域で動作させる。すなわち、故障検知部20は第2スイッチ制御回路14を制御して、第2スイッチ制御回路14が第2スイッチSW2のゲート電極に出力する制御電圧VG2を、第2スイッチSW2を飽和領域で動作させるときの電圧値VG21(図3参照)から徐々に低下させる(ステップST1)。なお、図3は、故障検知部20が検知処理を行う間の制御電圧VG2、及び、電路EP3の電圧V3の時間変化を示すグラフであり、時点t1において、第2スイッチ制御回路14が制御電圧VG2を電圧値VG21(図3参照)から漸減させる処理を開始している。
【0060】
第2電圧検知回路16及び第3電圧検知回路17は、それぞれ、第2スイッチSW2の第1端(ソース電極)の電圧V2、第2スイッチSW2の第2端(ドレイン電極)の電圧V3を逐次測定している。故障検知部20は、第2電圧検知回路16及び第3電圧検知回路17から電圧V2,V3の測定値を取得する(ステップST2)。
【0061】
ここで、故障検知部20は、第2スイッチSW2のゲート電極に出力する制御電圧VG2が、第2スイッチSW2を遮断領域で動作させるときの電圧VG22(図3参照)以下に低下したか否かを判断する(ステップST3)。
【0062】
ステップST3の判断において、制御電圧VG2が電圧VG22よりも高ければ(ステップST3:Yes)、つまり第2スイッチSW2を線形領域で動作させる制御電圧VG2が第2スイッチSW2のゲート電極に入力されていれば、故障検知部20は、電圧V2と電圧V3の差(V2-V3)が閾値ΔV1以上であるか否かを判断する(ステップST4)。
【0063】
ステップST4の判断において、電圧V2と電圧V3の差(V2-V3)が閾値ΔV1未満であれば(ステップST4:No)、故障検知部20は、ステップST1に戻り、制御電圧VG2を更に低下させて、ステップST2以降の処理を行う。
【0064】
ステップST4の判断において、電圧V2と電圧V3の差(V2-V3)が閾値ΔV1以上であれば(ステップST4:Yes)、故障検知部20は、第2スイッチSW2のショート故障は発生していない、つまり正常であると判断する(ステップST5)。なお、第2スイッチSW2のショート故障が発生していなければ、第2スイッチSW2を飽和領域から遮断領域に遷移させることよって、第2スイッチSW2での電圧降下が増加し、電圧V2と電圧V3の差(V2-V3)が閾値ΔV1を超えることになる。したがって、故障検知部20は、電圧V2と電圧V3の差(V2-V3)が閾値ΔV1以上であれば、第2スイッチSW2のショート故障が発生していないと検出することができる。
【0065】
なお、ショート故障の有無を検知するための閾値ΔV1は、第1電源2の電圧V1から閾値ΔV1だけ低下した電圧(V1-ΔV1)が負荷3に印加された場合でも、負荷3が正常に動作できるような電圧値に設定されている。つまり、電圧(V1-ΔV1)が負荷3の動作保証電圧よりも高くなるように閾値ΔV1の値は設定されている。
【0066】
故障検知部20は、第2スイッチSW2が正常であると判断すると、第2スイッチ制御回路14を制御して、第2スイッチ制御回路14が第2スイッチSW2のゲート電極に出力する制御電圧VG2を電圧値VG21に設定する(ステップST6)。これにより、第2スイッチSW2は飽和領域で動作するので、故障検知部20は、負荷3への電力供給を継続している状態で、第2スイッチSW2のショート故障を検知することができる。
【0067】
なお、図3において、実線A,Cで示す制御電圧VG2及び電圧V3の波形は、時点t2においてショート故障が発生していないことを検知した後に、制御電圧VG2を、飽和領域で動作させる場合の電圧VG21に戻したときの波形をそれぞれ示している。また、図3において、点線B,Eで示す制御電圧VG2及び電圧V3の波形は、制御電圧VG2を遮断領域で動作させる場合の電圧VG22まで低下させた場合の波形をそれぞれ示している。この場合、第2スイッチSW2がオフになり、負荷3への給電が停止してしまうため、本実施形態では、故障検知部20は、第2スイッチSW2のショート故障が発生していないことを検知した時点t2で制御電圧VG2を、飽和領域で動作させる場合の電圧VG21に制御する復帰処理を行っている。
【0068】
すなわち、上記の検知処理において、第2スイッチ制御回路14が、第2スイッチSW2の状態が飽和領域から遮断領域に遷移するように制御電圧を変化させている状態で、故障検知部20が第2スイッチSW2は正常であると検知すると、第2スイッチ制御回路14は、第2スイッチSW2の状態を飽和領域に遷移させるように制御電圧VG2を変化させている。言い換えると、故障検知部20は、検知ステップ(上記の検知処理)で第2スイッチSW2が正常であると検知すると、第2スイッチSW2の状態を飽和領域に遷移させるように制御電圧VG2を変化させる復帰ステップを実行する。第2スイッチSW2のショート故障が発生していないと故障検知部20が検知した場合、第2スイッチSW2を飽和領域で動作させているので、車載補助電源システム1は、負荷3への電力供給を継続して行うことができる。
【0069】
一方、ステップST3の判断において、制御電圧VG2が電圧VG22以下に低下している場合(ステップST3:No)、第2スイッチSW2は遮断領域で動作しているはずなのに、電圧V2と電圧V3の差(V2-V3)が閾値ΔV1未満であることから、故障検知部20は、第2スイッチSW2のショート故障が発生していると検知する(ステップST7)。このとき、出力部21が、例えば車両30のECU等にショート故障の発生を通知する通知信号を出力しており(ステップST8)、車両30のECUでは、車載補助電源システム1から入力された通知信号に基づいてショート故障の発生を把握することができる。また、車両30のECUでは、コンソールパネル等に車載補助電源システム1での故障の発生を通知する情報を表示して、車両30の乗員に車載補助電源システム1での故障の発生を通知していてもよい。
【0070】
なお、故障検知部20が第1スイッチSW1のショート故障の有無を検知する場合、第1スイッチSW1をオフしても、第1スイッチSW1のボディダイオードを介して負荷3への電源供給は継続できるので、第2スイッチSW2とは異なり、第1スイッチSW1のオフは可能である。第1スイッチSW1をオフしたとき、ボディダイオードでの電圧降下分が電圧V1と電圧V2の差として現れる。したがって、故障検知部20は、第1スイッチSW1をオフしたときの第1電圧検知回路15及び第2電圧検知回路16の検知結果に基づき、電圧V1と電圧V2の差が、所定の閾値未満であれば第1スイッチSW1はショート故障していると判断し、所定の閾値以上であれば第1スイッチSW1はショート故障していないと判断する。
【0071】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、車載補助電源システム1と同様の機能は、故障検知方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。
【0072】
一態様に係る故障検知方法は、車載補助電源システム1の故障検知方法である。車載補助電源システム1は、第1端子T1と、第2端子T2と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第2電源11と、を備える。第1端子T1には、車両30に搭載される第1電源2が接続される。第2端子T2には、車両30に搭載される負荷3が接続される。第1スイッチSW1は、第1端子T1に第1端が接続される。第2スイッチSW2は、第1スイッチSW1の第2端と第2端子T2との間に接続される。第2電源11は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の接続点CP1に接続される。第2スイッチSW2の制御端子に入力する制御電圧VG2を制御することによって、第2スイッチSW2の動作領域を遮断領域、線形領域、飽和領域のいずれかの領域に切り替え可能である。故障検知方法は、制御ステップと、検知ステップと、を含む。制御ステップでは、第2スイッチSW2の動作領域が飽和領域から遮断領域に遷移するように制御電圧VG2を変化させる。検知ステップでは、第2スイッチSW2と第2端子T2との間の電路に印加される電圧の低下幅が閾値を超えると、第2スイッチSW2は正常であると検知する。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、コンピュータシステムに、上記実施形態及び変形例に係る故障検知方法を実行させるためのプログラムである。
【0073】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0074】
本開示における車載補助電源システム1又は故障検知方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における車載補助電源システム1又は故障検知方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0075】
また、車載補助電源システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは車載補助電源システム1に必須の構成ではなく、車載補助電源システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、車載補助電源システム1の少なくとも一部の機能、例えば、故障検知部20の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0076】
また、上記の実施形態において、測定データなどの2値の比較において、「超える」としているところは「以上」であってもよい。つまり、2値の比較において、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「超える」か「以上」かに技術上の差異はない。同様に、「以下」としているところは「未満」であってもよい。
【0077】
(3.1)変形例1
変形例1の車載補助電源システム1について図5を参照して説明する。なお、変形例1の車載補助電源システム1の構成は上記実施形態と同様であるので、共通の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0078】
上述のように、故障検知部20は、第2スイッチSW2が飽和状態から遮断状態へと遷移するように線形領域で動作させている状態で、電圧V2と電圧V3の差(V2-V3)と閾値ΔV1との高低に基づいて、ショート故障の有無を検知している。ここで、車両30に搭載される第1電源2の出力は不安定であり、ノイズ等によって第1電源2の電圧V1が変動する可能性がある。電圧V2は第1電源2の電圧V1と略同じであるから、第1電源2の電圧変動により電圧V2の電圧値が変動すると、故障検知部20が、ショート故障の有無を正しく検知できない可能性がある。
【0079】
そこで、変形例1の車載補助電源システム1では、故障検知部20が検知処理を行う間、第1スイッチ制御回路13が第1スイッチSW1をオフにし、充放電回路12が、第2電源11からの出力電圧を第2電圧値に電圧変換して接続点CP1に出力する。言い換えると、変形例1の車載補助電源システム1では、第1スイッチSW1をオフにし、充放電回路12が、第2電源11からの出力電圧を第2電圧値に電圧変換して接続点CP1に出力する状態で、上記の制御ステップ及び検知ステップを実行する。第2電圧値は、第1電源2の出力電圧である第1電圧値よりも高い電圧値である。
【0080】
これにより、故障検知部20が検知処理を行う間、第2スイッチSW2のソース電極には、充放電回路12が第2電源11の出力電圧を電圧変換したほぼ一定(第2電圧値)の電圧が印加されることになる。したがって、出力が不安定な第1電源2の電圧が第2スイッチSW2のソース電極に入力される場合に比べて、故障検知部20が、ショート故障の有無を誤検知する可能性を低減できる。
【0081】
ここで、図5のフローチャートを参照して、変形例1の車載補助電源システム1によるショート故障の検知処理について説明する。なお、図5に示すフローチャートは、変形例1に係る故障検知方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0082】
処理回路10は、第1スイッチ制御回路13及び第2スイッチ制御回路14を制御して、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオンにしている状態で、第1電源2から負荷3に電力を供給するとともに、充放電回路12を制御して第2電源11を充電する(ステップST11)。
【0083】
故障検知部20が第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する場合、故障検知部20は、第1スイッチ制御回路13を制御して第1スイッチSW1をオフにする(ステップST12)。故障検知部20は、充放電回路12を制御して放電モードで動作させ、第2電源11から負荷3に給電する(ステップST13)。このとき、充放電回路12は、第2電源11の出力電圧を、第1電源2の出力電圧V1の第1電圧値よりも高い第2電圧値に変換して接続点CP1に出力する。
【0084】
故障検知部20は、第2電源11から負荷3に給電している状態で、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する検知処理(ステップST14~ST19、ST22~ST23)を行う。なお、ステップST14~ST19、ST22~ST23の検知処理は、図2のフローチャートで説明したステップST1~ST8の検知処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0085】
故障検知部20は、検知処理の結果、第2スイッチSW2が正常であると検知すると(ステップST18)、第2スイッチ制御回路14を制御して、第2スイッチ制御回路14が第2スイッチSW2のゲート電極に出力する制御電圧VG2を電圧値VG21に設定する(ステップST19)。
【0086】
そして、故障検知部20は、充放電回路12を充電モードに制御して、第2電源11から負荷3への給電を停止した後(ステップST20)、第1スイッチ制御回路13を制御して第1スイッチSW1をオンにする(ステップST21)。これにより、第1電源2から負荷3に電力が供給されるとともに、充放電回路12によって第2電源11が充電される。
【0087】
(3.2)変形例2
変形例2の車載補助電源システム1について図6図8を参照して説明する。変形例2の車載補助電源システム1は、故障検知部20によるショート故障の検知結果を記憶する不揮発性メモリ22を更に備える点で上記実施形態と相違する。なお、変形例2の車載補助電源システム1の構成は、不揮発性メモリ22を備える点を除いては上記実施形態と同様であるので、共通の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0088】
車両30に用いられる車載補助電源システム1では、車両30がワントリップする間に、故障検知部20が少なくとも1回は第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のショート故障検知を行うことが好ましい。
【0089】
また、車両30のイグニッションスイッチがオンの場合は、第1電源2の失陥が発生すると、第2電源11から負荷3へのバックアップ給電を直ちに開始する必要があるため、第2スイッチSW2に大電流を流せるように、第2スイッチSW2を飽和状態で動作させるのが好ましい。したがって、車両30のイグニッションスイッチがオフの場合に、故障検知部20が第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する処理を行うことが好ましい。さらに、車両30のイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた直後は、イグニッションスイッチがオンに切り替えられる可能性が低いので、故障検知部20は、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた直後に、ショート故障の有無を検知する検知処理を実行することが好ましい。
【0090】
そこで、変形例2の車載補助電源システム1では、故障検知部20は、図7に示すように、第1時点t11から一定時間が経過するまでの間(つまり時点t11から時点t12までの第1期間DT1)に、検知処理を行っている。言い換えると、故障検知部20は、第1時点t11から一定時間が経過するまでの間に、上記の制御ステップ及び検知ステップを実行する。第1時点t11は、車両30が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた時点である。これにより、負荷3へのバックアップ給電が行われる可能性が低い期間に、故障検知部20は、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知することができる。
【0091】
ここで、図8のフローチャートを参照して、変形例2の車載補助電源システム1によるショート故障の検知処理について説明する。なお、図8に示すフローチャートは、変形例2に係る故障検知方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0092】
処理回路10は、例えば車両30のECUから通知される情報を監視することによって、イグニッションスイッチがオフに切り替えられたか否かを検知する(ステップST31)。
【0093】
イグニッションスイッチがオフに切り替えられると(ステップST31:Yes)、故障検知部20は、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する検知処理(ステップST32~ST37及びST40)を行う。なお、ステップST32~ST37及びST40の検知処理は、図2のフローチャートで説明したステップST1~ST7の検知処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0094】
故障検知部20は、検知処理を終了すると、検知結果を不揮発性メモリ22に保存し(ステップST38)、休止モードに移行する(ステップST39)。
【0095】
その後、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替えられると、出力部21は、不揮発性メモリ22に保存されている検知結果を、例えば車両30のECU等に出力しており、第2スイッチSW2のショート故障の有無を車両30のECU等に通知することができる。
【0096】
なお、イグニッションスイッチがオフの状態で、車両30を始動させる準備動作が発生してから、負荷3へのバックアップ給電を可能な状態にするまでの期間に、ショート故障の有無を検知する検知処理を完了できるのであれば、準備動作が発生したタイミングで検知処理を実行してもよい。車両30を始動させる準備動作とは、例えば車両30にドライバーが乗り込むためにドアを開ける動作、エンジンを始動させるためにブレーキペダルを踏み込む動作等である。イグニッションスイッチがオフの状態で、車両30のECU等から準備動作の発生を通知する通知信号が入力されると、故障検知部20が、ショート故障の有無を検知する検知処理を実行すればよい。また、故障検知部20は、イグニッションスイッチがオフの期間のどこかで、ショート故障の有無を検知する検知処理を実行してもよい。
【0097】
(3.3)変形例3
変形例3の車載補助電源システム1について図9を参照して説明する。変形例3の車載補助電源システム1の構成は、変形例2と同様であるので、共通の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0098】
変形例3の車載補助電源システム1では、変形例2と同様に、車両30が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた第1時点から一定時間が経過するまでの間(第1期間DT1)に、第1スイッチ制御回路13が第1スイッチSW1をオフにする。そして、第1期間DT1において、変形例1と同様に、充放電回路12が、第2電源11からの出力電圧を、第1電源2の出力電圧である第1電圧値よりも高い第2電圧値に電圧変換して接続点CP1に出力している状態で、故障検知部20が検知処理(上記の制御ステップ及び検知ステップ)を行っている。
【0099】
これにより、故障検知部20が検知処理を行う間、第2スイッチSW2のソース電極には、充放電回路12が第2電源11の出力電圧を電圧変換したほぼ一定(第2電圧値)の電圧が印加されることになる。したがって、出力が不安定な第1電源2の電圧が第2スイッチSW2のソース電極に入力される場合に比べて、故障検知部20が、ショート故障の有無を誤検知する可能性を低減できる。また、負荷3へのバックアップ給電が行われる可能性が低い期間に、故障検知部20は、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知することができる。
【0100】
ここで、図9のフローチャートを参照して、変形例3の車載補助電源システム1によるショート故障の検知処理について説明する。なお、図9に示すフローチャートは、変形例3に係る故障検知方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0101】
処理回路10は、例えば車両30のECUから通知される情報を監視することによって、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられたか否かを検知する(ステップST51)。
【0102】
イグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられると(ステップST51:Yes)、故障検知部20が第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する検知処理を開始する準備を行う。まず、故障検知部20は、第1スイッチ制御回路13を制御して第1スイッチSW1をオフにして(ステップST52)、充放電回路12を放電モードに制御する。充放電回路12は、放電モードで動作すると、第2電源11から負荷3に給電する(ステップST53)。このとき、充放電回路12は、第2電源11の出力電圧を、第1電源2の出力電圧V1よりも高い第2電圧に変換して接続点CP1に出力する。
【0103】
故障検知部20は、第2電源11から負荷3に給電している状態で、第2スイッチSW2のショート故障の有無を検知する検知処理(ステップST54~ST59、ST64)を行う。なお、ステップST54~ST59、ST64の検知処理は、図2のフローチャートで説明したステップST1~ST7の検知処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0104】
故障検知部20は、検知処理を終了すると、充放電回路12を制御して、第2電源11から負荷3への給電を停止した後(ステップST60)、第1スイッチ制御回路13を制御して第1スイッチSW1をオンにする(ステップST61)。これにより、第1電源2から負荷3に電力が供給されるとともに、充放電回路12によって第2電源11が充電される。
【0105】
また、故障検知部20は、検知結果を不揮発性メモリ22に保存し(ステップST62)、休止モードに移行する(ステップST63)。
【0106】
その後、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替えられると、出力部21は、不揮発性メモリ22に保存されている検知結果を、例えば車両30のECU等に出力しており、第2スイッチSW2のショート故障の有無を車両30のECU等に通知することができる。
【0107】
なお、変形例3においても、故障検知部20は、イグニッションスイッチがオフの期間、又は、車両30を始動させる準備動作が発生したタイミングで検知処理を実行してもよい。例えば、イグニッションスイッチがオフの状態で、車両30のECU等から準備動作の発生を通知する通知信号が処理回路10に入力されると、故障検知部20が、ショート故障の有無を検知する検知処理を実行すればよい。
【0108】
(3.4)その他の変形例
上記の実施形態において、第2電源11は、電気二重層キャパシタに限らず、リチウムイオンキャパシタ(LIC:Lithium Ion Capacitor)、又はリチウムイオン電池(LIB:Lithium Ion Battery)等の二次電池であってもよい。リチウムイオンキャパシタでは、EDLCと同様の材質(例えば活性炭)で正極が形成され、LIBと同様の材質(例えば黒鉛等の炭素材料)で負極が形成される。
【0109】
また、第2電源11は、例えば、以下に説明する構成を有する電気化学デバイスであってもよい。ここでいう電気化学デバイスは、正極部材と、負極部材と、非水電解液と、を備える。正極部材は、正極集電体と、正極集電体に担持され正極活物質を含む正極材料層と、を有する。正極材料層は、アニオン(ドーパント)をドープ及び脱ドープする正極活物質として導電性高分子を含む。負極部材は、負極活物質を含む負極材料層を有する。負極活物質は、一例として、リチウムイオンの吸蔵及び放出を伴う酸化還元反応が進行する物質であり、具体的には、炭素材料、金属化合物、合金又はセラミックス材料等である。非水電解液は、一例として、リチウムイオン伝導性を有する。この種の非水電解液は、リチウム塩と、リチウム塩を溶解させる非水溶液と、を含んでいる。このような構成の電気化学デバイスは、電気二重層キャパシタ等に比べて、高いエネルギ密度を有する。
【0110】
上記実施形態において、処理回路10は、コンピュータシステムによって実現されるものに限定されず、アナログ回路によって実現されてもよい。
【0111】
上記の実施形態では、車載補助電源システム1は、車両30のバッテリである第1電源2の失陥時に第2電源11から負荷3に電力を供給しているが、第1電源2が失陥していない状態で、第1電源2及び第2電源11の両方から負荷3に電力を供給してもよい。
【0112】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の車載補助電源システム(1)は、第1端子(T1)と、第2端子(T2)と、第1スイッチ(SW1)と、第2スイッチ(SW2)と、第2電源(11)と、第2スイッチ制御回路(14)と、電圧検出部(17)と、故障検知部(20)と、を備える。第1端子(T1)には、車両(30)に搭載される第1電源(2)が接続される。第2端子(T2)には、車両(30)に搭載される負荷(3)が接続される。第1スイッチ(SW1)は、第1端子(T1)に第1端が接続される。第2スイッチ(SW2)は、第1スイッチ(SW1)の第2端と第2端子(T2)との間に接続される。第2電源(11)は、第1スイッチ(SW1)及び第2スイッチ(SW2)の接続点(CP1)に接続される。第2スイッチ制御回路(14)は、第2スイッチ(SW2)の制御端子に入力する制御電圧(VG2)を制御することによって、第2スイッチ(SW2)を遮断領域、線形領域、飽和領域のいずれかの領域で動作させる。電圧検出部(17)は、第2スイッチ(SW2)と第2端子(T2)との間の電路に印加される電圧を検出する。故障検知部(20)は、第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を検知する検知処理を行う。故障検知部(20)は、第2スイッチ(SW2)の動作領域が飽和領域から遮断領域に遷移するように第2スイッチ制御回路(14)が制御電圧(VG2)を変化させている状態で、電圧検出部(17)の検出電圧の低下幅が閾値を超えると、第2スイッチ(SW2)は正常であると検知する。
【0113】
この態様によれば、負荷(3)に対して常時給電している状態でも、負荷(3)と第1電源(2)との間に接続された第2スイッチ(SW2)のショート故障を検知することができる。
【0114】
第2の態様の車載補助電源システム(1)では、第1の態様において、故障検知部(20)は、車両(30)が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた第1時点から一定時間が経過するまでの間に、検知処理を行う。
【0115】
この態様によれば、第2電源(11)から負荷(3)への電力供給を行う可能性が低い期間に、第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を検知する検知処理を実行することができる。
【0116】
第3の態様の車載補助電源システム(1)は、第1又は第2の態様において、第1スイッチ制御回路(13)と、充放電回路(12)と、を更に備える。第1スイッチ制御回路(13)は、第1スイッチ(SW1)のオン/オフを制御する。充放電回路(12)は、第1スイッチ(SW1)及び第2スイッチ(SW2)の接続点(CP1)と第2電源(11)との間に接続される。充放電回路(12)は、充電モードでは第1電源(2)を電源として第2電源(11)を充電し、放電モードでは第2電源(11)からの出力電圧を電圧変換して接続点(CP1)に出力する。故障検知部(20)が検知処理を行う間、第1スイッチ制御回路(13)が第1スイッチ(SW1)をオフにし、充放電回路(12)が、第2電源(11)からの出力電圧を、第1電源(2)の出力電圧である第1電圧値よりも高い第2電圧値に電圧変換して接続点(CP1)に出力する。
【0117】
この態様によれば、第1電源(2)の出力電圧が不安定な場合でも、充放電回路(12)が第2電源(11)からの出力電圧を第2電圧値に変換して接続点(CP1)に出力している状態で、故障検知部(20)が第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を検知する検知処理を実行することができる。したがって、第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を誤検知する可能性を低減できる。
【0118】
第4の態様の車載補助電源システム(1)では、第3の態様において、車両(30)が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた第1時点から一定時間が経過するまでの間(第1期間)に、第1スイッチ制御回路(13)が第1スイッチ(SW1)をオフにする。第1期間において、充放電回路(12)が、第2電源(11)からの出力電圧を、第1電源(2)の出力電圧である第1電圧値よりも高い第2電圧値に電圧変換して接続点(CP1)に出力している状態で、故障検知部(20)は検知処理を行う。
【0119】
この態様によれば、第2電源(11)から負荷(3)への電力供給を行う可能性が低い期間に、第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を検知する検知処理を実行することができる。
【0120】
第5の態様の車載補助電源システム(1)では、第1~第4のいずれかの態様において、第2スイッチ制御回路(14)が、第2スイッチ(SW2)の状態が飽和領域から遮断領域に遷移するように制御電圧(VG2)を変化させている状態で、故障検知部(20)が第2スイッチ(SW2)は正常であると検知すると、第2スイッチ制御回路(14)は、第2スイッチ(SW2)の状態を飽和領域に遷移させるように制御電圧(VG2)を変化させる。
【0121】
この態様によれば、負荷(3)に対して常時給電することができる。
【0122】
第6の態様の車載補助電源システム(1)は、第1~第5のいずれかの態様において、故障検知部(20)の検知結果を外部に出力する出力部(21)を更に備える。
【0123】
この態様によれば、第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を外部に通知することができる。
【0124】
第7の態様の故障検知方法は、車載補助電源システム(1)の故障検知方法である。車載補助電源システム(1)は、第1端子(T1)と、第2端子(T2)と、第1スイッチ(SW1)と、第2スイッチ(SW2)と、第2電源(11)と、を備える。第1端子(T1)には、車両(30)に搭載される第1電源(2)が接続される。第2端子(T2)には、車両(30)に搭載される負荷(3)が接続される。第1スイッチ(SW1)は、第1端子(T1)に第1端が接続される。第2スイッチ(SW2)は、第1スイッチ(SW1)の第2端と第2端子(T2)との間に接続される。第2電源(11)は、第1スイッチ(SW1)及び第2スイッチ(SW2)の接続点(CP1)に接続される。第2スイッチ(SW2)の制御端子に入力する制御電圧(VG2)を制御することによって、第2スイッチ(SW2)の動作領域を遮断領域、線形領域、飽和領域のいずれかの領域に切り替え可能である。故障検知方法は、制御ステップと、検知ステップと、を含む。制御ステップでは、第2スイッチ(SW2)の動作領域が飽和領域から遮断領域に遷移するように制御電圧(VG2)を変化させる。検知ステップでは、第2スイッチ(SW2)と第2端子(T2)との間の電路に印加される電圧の低下幅が閾値を超えると、第2スイッチ(SW2)は正常であると検知する。
【0125】
この態様によれば、負荷(3)に対して常時給電している状態でも、負荷(3)と第1電源(2)との間に接続された第2スイッチ(SW2)のショート故障を検知することができる。
【0126】
第8の態様の故障検知方法では、第7の態様において、車両(30)が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた第1時点から一定時間が経過するまでの間に、制御ステップ及び検知ステップを実行する。
【0127】
この態様によれば、第2電源(11)から負荷(3)への電力供給を行う可能性が低い期間に、第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を検知する検知処理を実行することができる。
【0128】
第9の態様の故障検知方法では、第7の態様において、車載補助電源システム(1)は、充放電回路(12)を更に備える。充放電回路(12)は、第1スイッチ(SW1)及び第2スイッチ(SW2)の接続点(CP1)と第2電源(11)との間に接続される。充放電回路(12)は、充電モードでは第1電源(2)を電源として第2電源(11)を充電し、放電モードでは第2電源(11)からの出力電圧を電圧変換して接続点(CP1)に出力する。故障検知方法では、第1スイッチ(SW1)をオフにし、充放電回路(12)が、第2電源(11)からの出力電圧を、第1電源(2)の出力電圧である第1電圧値よりも高い第2電圧値に電圧変換して接続点(CP1)に出力する状態で、制御ステップ及び検知ステップを実行する。
【0129】
この態様によれば、第1電源(2)の出力電圧が不安定な場合でも、充放電回路(12)が第2電源(11)からの出力電圧を第2電圧値に変換して接続点(CP1)に出力している状態で、第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を検知する検知ステップを実行することができる。したがって、第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を誤検知する可能性を低減できる。
【0130】
第10の態様の故障検知方法では、第9の態様において、車両(30)が備えるイグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられた第1時点から一定時間が経過するまでの間(第1期間)に、第1スイッチ(SW1)をオフにする。故障検知方法では、第1期間において、充放電回路(12)が、第2電源(11)からの出力電圧を、第1電源(2)の出力電圧である第1電圧値よりも高い第2電圧値に電圧変換して接続点(CP1)に出力している状態で、制御ステップ及び検知ステップを実行する。
【0131】
この態様によれば、第2電源(11)から負荷(3)への電力供給を行う可能性が低い期間に、第2スイッチ(SW2)のショート故障の有無を検知する検知処理を実行することができる。
【0132】
第11の態様の故障検知方法は、第7~第10のいずれかの態様において、復帰ステップを、更に含む。復帰ステップでは、検知ステップで第2スイッチ(SW2)が正常であると検知すると、第2スイッチ(SW2)の状態を飽和領域に遷移させるように制御電圧(VG2)を変化させる。
【0133】
この態様によれば、負荷(3)に対して常時給電することができる。
【0134】
第12の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第7~第11のいずれかの態様の故障検知方法を実行させるためのプログラムである。
【0135】
この態様によれば、負荷(3)に対して常時給電している状態でも、負荷(3)と第1電源(2)との間に接続された第2スイッチ(SW2)のショート故障を検知することができる。
【0136】
上記態様に限らず、実施形態に係る車載補助電源システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、故障検知方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
【0137】
第2~第6の態様に係る構成については、車載補助電源システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。第8~第11の態様に係る構成については、故障検知方法に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0138】
1 車載補助電源システム
2 第1電源
3 負荷
11 第2電源
12 充放電回路
13 第1スイッチ制御回路
14 第2スイッチ制御回路
17 第3電圧検知回路(電圧検出部)
20 故障検知部
21 出力部
30 車両
CP1 接続点
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
T1 第1端子
T2 第2端子
VG2 制御電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9