(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141348
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】計画作成システム、計画管理システム、計画作成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20230928BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047627
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三井 喬士
(72)【発明者】
【氏名】宇野 亨
(72)【発明者】
【氏名】杉本 純一
(72)【発明者】
【氏名】若林 愛里
(72)【発明者】
【氏名】平松 義範
(72)【発明者】
【氏名】高岡 涼子
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】上田 高寛
(72)【発明者】
【氏名】杉本 貴大
(72)【発明者】
【氏名】青濱 広樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA09
(57)【要約】
【課題】投入可能な労働力に基づいて、組織のパフォーマンスを向上させる作業計画を作成することができる計画作成システム、計画管理システム、計画作成方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】計画作成システム1では、最小工数設定部1cは、複数の業務のそれぞれについて、対象月を構成する複数の対象時間のそれぞれに最小工数を割り当てる。残工数算出部1dは対象月の残工数を求める。追加部1fは、対象時間に残工数の少なくとも一部を追加工数として割り当てる。工数データ作成部1gは、対象時間に最小工数及び追加工数を割り当てた結果を工数データとして作成する。作業計画作成部1hは、工数データに基づいて、対象月における複数の業務と複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画を作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織において第1単位期間に複数の業務を行う作業者の作業計画を作成する計画作成システムであって、
前記複数の業務のそれぞれについて、前記第1単位期間を構成する複数の第2単位期間のそれぞれに最小の工数である最小工数を割り当てる最小工数設定部と、
前記第1単位期間に投入可能な工数である投入可能工数から前記第1単位期間における前記複数の最小工数の合計を引いた差分を残工数として求める残工数算出部と、
前記複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、前記複数の第2単位期間のうち少なくとも1つの第2単位期間に前記残工数の少なくとも一部を追加工数として割り当てる追加割当処理を行う追加部と、
前記複数の業務のそれぞれについて、前記第1単位期間において前記複数の第2単位期間のそれぞれに前記最小工数及び前記追加工数を割り当てた結果を工数データとして作成する工数データ作成部と、
前記工数データに基づいて、前記第1単位期間における前記複数の業務と前記複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画を作成する作業計画作成部と、
前記作業計画を出力する出力部と、を備える
計画作成システム。
【請求項2】
前記追加部は、前記第1単位期間において前記複数の業務のそれぞれに対応する前記複数の第2単位期間のそれぞれに割り当てられた前記最小工数と前記追加工数との和である割当工数の合計から前記投入可能工数を引いた値が割当閾値以上であれば、前記追加割当処理を完了する
請求項1の計画作成システム。
【請求項3】
前記追加部は、前記第1単位期間において前記複数の業務のそれぞれに対応する前記複数の第2単位期間のそれぞれに割り当てられた前記最小工数と前記追加工数との和である割当工数の合計を前記投入可能工数で除した値が割当閾値以上であれば、前記追加割当処理を完了する
請求項1の計画作成システム。
【請求項4】
前記第1単位期間において前記作業者の契約工数の合計である総契約工数から、前記第1単位期間において前記作業者が有給休暇に用いると予測される工数の合計である有給予測工数、及び主体業務以外の付帯業務の工数を引いた値を、前記投入可能工数として求める投入可能工数算出部を更に備える
請求項1乃至3のいずれか1つの計画作成システム。
【請求項5】
前記投入可能工数算出部は、前記作業者が前記第1単位期間に退職する予定であれば、前記第1単位期間に退職する予定がない場合に比べて、前記有給予測工数を多くする
請求項4の計画作成システム。
【請求項6】
前記第1単位期間は、第1期間、又は前記複数の業務による負荷が前記第1期間より高い第2期間であり、
前記投入可能工数算出部は、前記第1単位期間が前記第2期間であれば、前記第1単位期間が前記第1期間であるときに比べて、前記有給予測工数を少なくする
請求項4又は5の計画作成システム。
【請求項7】
前記第1単位期間を構成し、かつ、前記複数の第2単位期間のうち少なくとも2つの第2単位期間を含む複数の第3単位期間のそれぞれについて、繁忙期間であるか否かを判定する繁忙判定部を更に備え、
前記追加部は、前記複数の第2単位期間のうち前記繁忙期間に含まれる第2単位期間に前記追加割当処理を行う
請求項1乃至6のいずれか1つの計画作成システム。
【請求項8】
前記繁忙判定部は、
前記複数の第3単位期間のそれぞれにおいて必要であると予測される工数である第3予測工数、及び前記複数の第3単位期間のそれぞれにおける前記最小工数の合計に基づいて、前記複数の第3単位期間のそれぞれが前記繁忙期間であるか否かを判定する
請求項7の計画作成システム。
【請求項9】
前記繁忙判定部は、
前記複数の第3単位期間のそれぞれにおいて、前記最小工数の合計と前記第3予測工数との比率を繁忙判定値として求め、
前記複数の第3単位期間のそれぞれの前記繁忙判定値に基づいて、前記複数の第3単位期間のそれぞれが前記繁忙期間であるか否かを判定する
請求項8の計画作成システム。
【請求項10】
前記繁忙判定部は、
前記複数の第3単位期間のそれぞれにおいて、前記最小工数の合計と前記第3予測工数との差分を繁忙判定値として求め、
前記複数の第3単位期間のそれぞれの前記繁忙判定値に基づいて、前記複数の第3単位期間のそれぞれが前記繁忙期間であるか否かを判定する
請求項8の計画作成システム。
【請求項11】
前記追加部は、
前記複数の第3単位期間から1つの第3単位期間を順次抽出し、
前記1つの第3単位期間に含まれる前記第2単位期間に前記追加工数を割り当てる
請求項7乃至10のいずれか1つの計画作成システム。
【請求項12】
前記第1単位期間は月単位で設定され、
前記第3単位期間は日単位で設定され、
前記第2単位期間は分単位で設定されている
請求項7乃至11のいずれか1つの計画作成システム。
【請求項13】
前記第3単位期間に行われる前記複数の業務のそれぞれに前記最小工数及び実施時間帯を関連付けた業務計画データを記憶する記憶部を更に備え、
前記業務計画データは、前記第3単位期間の属性に相当するベースパターンに応じて、前記複数の業務のそれぞれの前記最小工数及び前記実施時間帯を設定されており、
前記最小工数設定部は、前記業務計画データに基づいて、前記複数の第2単位期間のそれぞれに前記最小工数を割り当てる
請求項12の計画作成システム。
【請求項14】
前記業務計画データでは、前記第3単位期間の前記ベースパターンが土曜日及び日曜日を含む特定日であれば、当該第3単位期間を構成する前記第2単位期間に設定される前記最小工数は、前記第3単位期間の前記ベースパターンが前記特定日以外であるときに比べて多い
請求項13の計画作成システム。
【請求項15】
前記業務計画データでは、前記第3単位期間の前記ベースパターンが土曜日、日曜日、及び祝日を含む特定日であれば、当該第3単位期間を構成する前記第2単位期間に設定される前記最小工数は、前記第3単位期間の前記ベースパターンが前記特定日以外であるときに比べて少ない
請求項13の計画作成システム。
【請求項16】
前記複数の業務のうち少なくとも一部の業務には、当該業務の優先度である業務優先度がそれぞれ設定されており、
前記追加部は、前記業務優先度に基づいて、前記追加割当処理を行う業務を前記少なくとも一部の業務から選択する
請求項1乃至12のいずれか1つの計画作成システム。
【請求項17】
前記複数の業務のうち少なくとも一部の業務には、当該業務の優先度である業務優先度がそれぞれ設定されており、
前記追加部は、前記業務優先度に基づいて、前記追加割当処理を行う業務を前記少なくとも一部の業務から選択する
請求項13乃至15のいずれか1つの計画作成システム。
【請求項18】
前記業務計画データは、前記複数の業務のそれぞれに前記業務優先度を更に関連付けている
請求項17の計画作成システム。
【請求項19】
前記複数の業務は、前記組織の売上にかかわらず一定時間又は一定工数発生する固定業務、及び前記売上に応じて増減する変動業務を含み、
前記業務計画データは、前記複数の業務のうち、前記変動業務に前記業務優先度を関連付けている
請求項18の計画作成システム。
【請求項20】
前記出力部は、前記最小工数設定部が前記複数の業務のそれぞれに前記最小工数を割り当てた結果を出力する
請求項1乃至19のいずれか1つの計画作成システム。
【請求項21】
前記作業計画に基づいて前記作業者の勤務に関するシフトデータを作成するシフトデータ作成部を更に備え、
前記出力部は、前記シフトデータを、前記作業者が使用する情報端末に出力する
請求項1乃至20のいずれか1つの計画作成システム。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1つの計画作成システムと、
前記計画作成システムから前記作業計画を受け取る業務管理システムと、を備える
計画管理システム。
【請求項23】
前記業務管理システムは、前記最小工数設定部が前記複数の業務のそれぞれに前記最小工数を割り当てた結果を前記計画作成システムから受け取り、前記最小工数の割り当て結果を修正する
請求項22の計画管理システム。
【請求項24】
組織において第1単位期間に複数の業務を行う作業者の作業計画を作成する計画作成方法であって、
前記複数の業務のそれぞれについて、前記第1単位期間を構成する複数の第2単位期間のそれぞれに最小の工数である最小工数を割り当てる最小工数設定ステップと、
前記第1単位期間に投入可能な工数である投入可能工数から前記第1単位期間における前記複数の最小工数の合計を引いた差分を残工数として求める残工数算出ステップと、
前記複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、前記複数の第2単位期間のうち少なくとも1つの第2単位期間に前記残工数の少なくとも一部を追加工数として割り当てる追加割当処理を行う追加ステップと、
前記複数の業務のそれぞれについて、前記複数の第2単位期間のそれぞれに前記最小工数及び前記追加工数を割り当てた結果を工数データとして作成する工数データ作成ステップと、
前記工数データに基づいて、前記第1単位期間における前記複数の業務と前記複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画を作成する作業計画作成ステップと、
前記作業計画を出力する出力ステップと、を含む
計画作成方法。
【請求項25】
コンピュータシステムに、請求項24記載の計画作成方法を実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計画作成システム、計画管理システム、計画作成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の作業管理システムは、店舗業務に従事する作業者を管理するシステムであって、記憶部と、処理部と、を備える。
【0003】
記憶部は、調理品毎の消費量情報と、調理品の消費の推移を含む消費情報と、消費量毎の作業量情報と、作業者が従事する店舗業務を表す店舗業務情報を含む属性情報で特定可能な作業者を表す作業者情報と、を記憶する。
【0004】
処理部は、消費情報を取得し、消費情報に含まれる調理品の消費の推移を用いて調理品の消費の推移に連動する特定期間、特定日または特定時間の調理品の消費見込み量を予測する。そして、処理部は、消費見込み量と消費量情報と作業量情報とから消費見込み量に対応する予測作業量を算出する。そして、処理部は、この予測作業量を処理可能な作業者を作業者情報から算出する。
【0005】
上述の作業管理システムは、消費情報源から提供された消費情報を用いて調理品の消費見込み量を予測し、予測した消費見込み量に関連する接客の作業量を算出する。そして、作業管理システムは、消費予測、消費予測に基づく作業量、及び作業量を処理可能な人数の作業者を表す情報を、情報提示装置に提示する。管理者は、これらの情報の提示に基づいて、必要な人数の作業者を手配する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実際の店舗などの組織では、投入可能な労働力を予め確保しているが、上述の特許文献1の作業管理システムでは、作業計画を作成する際に、投入可能な労働力(投入可能な工数)を考慮していない。したがって、特許文献1では、確保している労働力を業務に割り当てた際に、労働力の不足又は余りが発生する可能性があり、店舗などの組織のパフォーマンスが十分に生かされているとは言えない。
【0008】
本開示は、投入可能な労働力に基づいて、組織のパフォーマンスを向上させる作業計画を作成することができる計画作成システム、計画管理システム、計画作成方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る計画作成システムは、組織において第1単位期間に複数の業務を行う作業者の作業計画を作成する。前記計画作成システムは、最小工数設定部と、残工数算出部と、追加部と、工数データ作成部と、作業計画作成部と、出力部と、を備える。前記最小工数設定部は、前記複数の業務のそれぞれについて、前記第1単位期間を構成する複数の第2単位期間のそれぞれに最小の工数である最小工数を割り当てる。前記残工数算出部は、前記第1単位期間に投入可能な工数である投入可能工数から前記第1単位期間における前記複数の最小工数の合計を引いた差分を残工数として求める。前記追加部は、前記複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、前記複数の第2単位期間のうち少なくとも1つの第2単位期間に前記残工数の少なくとも一部を追加工数として割り当てる追加割当処理を行う。前記工数データ作成部は、前記複数の業務のそれぞれについて、前記第1単位期間において前記複数の第2単位期間のそれぞれに前記最小工数及び前記追加工数を割り当てた結果を工数データとして作成する。前記作業計画作成部は、前記工数データに基づいて、前記第1単位期間における前記複数の業務と前記複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画を作成する。前記出力部は、前記作業計画を出力する。
【0010】
本開示の一態様に係る計画管理システムは、上述の計画作成システムと、前記計画作成システムから前記作業計画を受け取る業務管理システムと、を備える。
【0011】
本開示の一態様に係る計画作成方法は、組織において第1単位期間に複数の業務を行う作業者の作業計画を作成する。前記計画作成方法は、最小工数設定ステップと、残工数算出ステップと、追加ステップと、工数データ作成ステップと、作業計画作成ステップと、出力ステップと、を備える。前記最小工数設定ステップは、前記複数の業務のそれぞれについて、前記第1単位期間を構成する複数の第2単位期間のそれぞれに最小の工数である最小工数を割り当てる。前記残工数算出ステップは、前記第1単位期間に投入可能な工数である投入可能工数から前記第1単位期間における前記複数の最小工数の合計を引いた差分を残工数として求める。前記追加ステップは、前記複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、前記複数の第2単位期間のうち少なくとも1つの第2単位期間に前記残工数の少なくとも一部を追加工数として割り当てる追加割当処理を行う。前記工数データ作成ステップは、前記複数の業務のそれぞれについて、前記第1単位期間において前記複数の第2単位期間のそれぞれに前記最小工数及び前記追加工数を割り当てた結果を工数データとして作成する。前記作業計画作成ステップは、前記工数データに基づいて、前記第1単位期間における前記複数の業務と前記複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画を作成する。前記出力ステップは、前記作業計画を出力する。
【0012】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、上述の計画作成方法を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示は、投入可能な労働力に基づいて、組織のパフォーマンスを向上させる作業計画を作成することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る計画作成システムを備える計画管理システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の計画作成システムが備える記憶部を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の計画作成システムにおける第1単位期間、第2単位期間、及び第3単位期間を示す図である。
【
図4】
図4は、同上の計画作成システムにおける第1業務計画データを示す図である。
【
図5】
図5は、同上の計画作成システムにおける第2業務計画データを示す図である。
【
図6】
図6は、同上の計画作成システムにおける業務量予測データを示す図である。
【
図7】
図7は、同上の計画作成システムにおける追加割当処理を説明するための図である。
【
図8】
図8は、同上の計画作成システムにおける有給予測処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、同上の計画作成システムにおける最小割当データを示す図である。
【
図10】
図10は、同上の計画作成システムが実行する計画作成方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、同上の計画作成方法における最小工数設定ステップの詳細を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、同上の計画作成方法における追加ステップの詳細を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、同上の計画作成システムにおける処理データを示す図である。
【
図14】
図14は、同上の計画作成システムにおける処理データを示す図である。
【
図15】
図15は、同上の計画作成システムにおける処理データを示す図である。
【
図16】
図16は、同上の計画作成システムにおける処理データを示す図である。
【
図17】
図17は、同上の計画作成システムにおける工数データを示す図である。
【
図18】
図18は、同上の計画作成システムにおける作業計画を示す図である。
【
図19】
図19は、同上の計画作成システムにおけるシフトデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施形態は、一般に計画作成システム、計画管理システム、計画作成方法、及びプログラムに関する。より詳細に、以下の実施形態は、組織において第1単位期間に複数の業務を行う作業者の作業計画を作成する計画作成システム、計画管理システム、計画作成方法、及びプログラムに関する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の実施形態の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0016】
(1)計画管理システム
本開示の実施形態に係る計画管理システム100は、
図1に示すように、計画作成システム1、及び業務管理システム2を備える。計画管理システム100は、顧客システム3、及び情報端末4を更に備えることが好ましい。
【0017】
計画作成システム1、業務管理システム2、顧客システム3、及び情報端末4は、ネットワーク200を介して、互いに通信可能に接続される。ネットワーク200は、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット、通話回線網などである。なお、計画作成システム1、業務管理システム2、顧客システム3、及び情報端末4のそれぞれは、ネットワーク200を介した相互の通信を可能にする通信モジュール(図示しない)を有する。
【0018】
計画作成システム1は、組織P1において複数の業務を行う作業者の作業計画を作成する。組織P1は、店舗、工場、宿泊施設、倉庫、物流拠点、又は事務所などであり、組織P1では、複数の業務が作業者によって行われる。作業者は、例えば店舗の店員、工場の製造部員、又は物流の配達員などである。本実施形態の組織P1では、複数の作業者が複数の業務を行う。なお、作業者は、少なくとも1人であればよく、例えば作業者は1人でもよい。
【0019】
組織P1は、例えば物品を販売する店舗、サービスを販売する店舗、物品を製造する工場、物品を一時保管する物流倉庫、又は物品を配達する配送センターなどである。具体的に、組織P1は、食品を販売するスーパー、日用品を販売するホームセンター、飲食サービスを提供する飲食店、宿泊サービスを提供する宿泊施設、宅配サービスを提供する宅配業者などである。
【0020】
販売は、物品(食品、日用品等)の販売(物販)、及びサービス(飲食サービス、宿泊サービス、宅配サービス等)の販売などを含む。販売に関連する業務は、レジ、品出し、加工、配膳、調理、受付、及び顧客案内などを含む。
【0021】
製造は、工業製品の製造、食品の製造、家庭用品の製造、及び医薬品の製造などを含む。製造に関連する業務は、製造ラインにおけるエリア毎の業務、部品の運搬、組み立て、及び検査などを含む。
【0022】
物流に関する業務は、物流倉庫の管理、荷物の受付、及び荷物の配送などを含む。
【0023】
組織P1において各業務の作業計画を作成する際には、必要な業務量を考慮するだけでなく、リソースとしての労働力も考慮する必要がある。しかしながら、現実問題として、投入可能な労働力(雇用している作業者の契約労働時間)を柔軟に増減させることは難しいため、確保している労働力を過不足なく割り当てることが求められる。言い換えると、投入可能な労働力を制約に、組織P1のパフォーマンスを最大化するような作業計画を作成することが求められる。
【0024】
そこで、本実施形態の計画作成システム1は、発生する業務量を起点にするのではなく、投入可能な労働力を起点にして作業計画を作成する。
【0025】
計画作成システム1は、施設P1で業務を行う作業者の作業計画を作成するために、最小工数設定部1cと、残工数算出部1dと、追加部1fと、工数データ作成部1gと、作業計画作成部1hと、出力部1jと、を備える。
【0026】
最小工数設定部1cは、複数の業務のそれぞれについて、第1単位期間T1を構成する複数の第2単位期間T2(
図3参照)のそれぞれに最小の工数である最小工数N12(
図9参照)を割り当てる。残工数算出部1dは、第1単位期間T1に投入可能な工数である投入可能工数N2(
図7参照)から第1単位期間T1における複数の最小工数N12の合計(月別最小工数N4(
図7参照))を引いた差分を残工数N5(
図7参照)として求める。追加部1fは、複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、複数の第2単位期間T2のうち少なくとも1つの第2単位期間T2に残工数N5の少なくとも一部を追加工数N6(
図7参照)として割り当てる追加割当処理を行う。工数データ作成部1gは、複数の業務のそれぞれについて、複数の第2単位期間T2のそれぞれに最小工数N12及び追加工数N6を割り当てた結果を工数データD1(
図17参照)として作成する。作業計画作成部1hは、工数データD1に基づいて、第1単位期間T1における複数の業務と複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画D2(
図18参照)を作成する。出力部1jは、作業計画D2を出力する。
【0027】
業務管理システム2は、計画作成システム1から作業計画D2を受け取る。業務管理システム2は、組織P1に設置されており、作業計画D2を組織P1の管理者などに提示することができる。
【0028】
上述の計画作成システム1、及び計画管理システム100は、投入可能な労働力(投入可能工数N2)に基づいて、組織P1のパフォーマンスを向上させる作業計画D2を作成することができる。
【0029】
顧客システム3は、組織P1が属する会社が管理しているシステムであり、組織P1及び作業者に関する各種情報及びデータを管理している。顧客システム3は、顧客システム3が管理している各種情報及びデータを、計画作成システム1及び業務管理システム2に提供することができる。
【0030】
情報端末4は、作業者が使用するスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータなどである。情報端末4は、計画作成システム1からシフトデータD3(
図19参照)を受け取り、シフトデータD3を作業者に提示できる。
【0031】
(2)計画作成システム
本開示の実施形態に係る計画作成システム1は、
図1に示すように、記憶部1a、投入可能工数算出部1b、最小工数設定部1c、残工数算出部1d、繁忙判定部1e、追加部1f、工数データ作成部1g、作業計画作成部1h、シフトデータ作成部1i、及び出力部1jを備える。
【0032】
計画作成システム1は、コンピュータシステムを備えていることが好ましい。コンピュータシステムがプログラムを実行することによって、計画作成システム1の一部又は全部の機能が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されていてもよい。
【0033】
なお、計画作成システム1は、1台のコンピュータ装置、及び互いに連携した複数台のコンピュータ装置のいずれで実現されていてもよい。また、計画作成システム1は、クラウドコンピューティングシステムとして構築されていてもよい。
【0034】
例えば、計画作成システム1は、コンピュータシステムを備えたサーバ装置であることが好ましい。この場合、計画作成システム1は、作業計画を作成するための処理能力を容易に確保できる。
【0035】
なお、以下の説明では、「工数」は、業務を行う作業者の人数と当該業務を行う時間(実施時間)との積である、とする。この場合、工数を増やすとは、作業者の人数を増やす、及び業務の実施時間を増やす、ことの少なくとも一方を行うことである。また、工数を減らすとは、作業者の人数を減らす、及び業務の実施時間を減らす、ことの少なくとも一方を行うことである。また、「工数」の定義は、他の定義であってもよい。
【0036】
また、以下の説明では、
図3に示す第1単位期間T1、第2単位期間T2、及び第3単位期間T3を用いる。第1単位期間T1は月単位で設定され、第2単位期間T2は分単位で設定され、第3単位期間T3は日単位で設定されている。具体的に、「第1単位期間T1」を1か月単位、「第2単位期間T2」を15分単位、「第3単位期間T3」を1日単位とする。本実施形態では、第1単位期間T1は、1月~12月のいずれかに対応する。すなわち、第1単位期間T1は28乃至31個の第3単位期間T3で構成され、第3単位期間T3は96個の第2単位期間T2で構成される。そして、計画作成システム1は、予測月となる将来の第1単位期間T1の工数データD1(
図17参照)、及び作業計画D2(
図18参照)を作成する。さらに、計画作成システム1は、予測月となる将来の第1単位期間T1のシフトデータD3(
図19参照)を作成することが好ましい。
【0037】
なお、以下の説明では、第1単位期間T1を対象月T1、第2単位期間T2を対象時間T2、第3単位期間T3を対象日T3と呼ぶことがある。
【0038】
(2.1)記憶部
記憶部1aは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、又はフラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリ、又はハードディスクを有することが好ましい。
【0039】
記憶部1aは、
図2に示すように、業務計画データD11、業務量予測データD12、作業者情報D13、勤務実績D14、組織情報D15、繁忙月情報D16、及びベースパターン情報D17を格納している。
【0040】
(2.1.1)業務計画データ
業務計画データD11は、対象日T3に行われる複数の業務のそれぞれに最小工数及び実施時間帯を関連付けたデータを含む。そして、最小工数設定部1cは、業務計画データD11に基づいて工数データD1に最小工数を設定する。本実施形態の業務計画データD11は、
図4に示す第1業務計画データD11a、及び
図5に示す第2業務計画データD11bを含む。
【0041】
(第1業務計画データ)
第1業務計画データD11aは、
図4に示すように複数の業務のそれぞれに、業務種類、合計工数、最小工数、及び実施時間帯を関連付けている。
【0042】
第1業務計画データD11aでは、組織P1で行われる業務として、業務Wa1-Wa5、Wb1-Wb2を設定している。組織P1が物品を販売する店舗であれば、業務Wa1-Wa5、Wb1-Wb2は、例えば「リーダ」、「品出し」、「レジ」、「清掃」、「棚整理」、「商品補充」、「棚だし」、「調理」、及び「盛付け」などのいずれかに相当する。
【0043】
業務種類は、業務が固定業務及び変動業務のいずれであるかを設定している。固定業務は、組織P1の売上にかかわらず一定時間発生又は一定工数発生する業務である。変動業務は、組織P1の売上に応じて増減する業務である。第1業務計画データD11aでは、業務Wa1-Wa5が固定業務であり、業務Wb1-Wb2が変動業務である。
【0044】
最小工数の欄では、対象日T3に各業務を行うために必要となる最小の工数である最小工数N12を対象時間T2毎に設定している。具体的に、第1業務計画データD11aは、対象日T3に各業務を行うために必要となる作業者の最小人数を最小工数N12として、対象時間T2毎に設定している。そして、複数の業務のそれぞれにおいて最小工数N12を設定している時間帯は、当該業務が行われる実施時間帯に相当する。
【0045】
合計工数には、日別最小工数N10、及び業務別最小工数N11が設定されている。業務別最小工数N11は、複数の業務のそれぞれについて、対象日T3に各業務を行うために必要となる最小の工数である。なお、「工数」は、業務を行う作業者の人数と当該業務の実施時間との積である。この場合、複数の業務のそれぞれについて、対象時間T2毎に設定されている作業者の最小人数(最小工数N12)の和に実施時間の和を乗じた値が、業務別最小工数N11になる。さらに、業務別最小工数N11の和が、日別最小工数N10になる。
【0046】
(第2業務計画データ)
第2業務計画データD11bは、
図5に示すように複数の業務のそれぞれに、業務優先度を対応付けている。業務優先度は、後述の追加割当処理を行う対象となる業務を選択する際に用いられる優先度である。本実施形態では、固定業務及び変動業務のうち、変動業務である業務Wb1、Wb2、………に業務優先度を対応付け、固定業務(例えば業務Wa1-Wa5)には業務優先度を対応付けていない。
【0047】
具体的に、第2業務計画データD11bは、業務Wb1、Wb2、Wb3、Wb4、Wb5………のそれぞれに対して、業務優先度「1」、「2」、「3」、「4」、「5」………を設定している。業務優先度は、数字が小さいほど優先度が高く、数字が大きいほど優先度が低くなる。
図5では、業務優先度が高い順に、業務Wb1、Wb2、Wb3、Wb4、Wb5………となる。また、第2業務計画データD11bでは、業務優先度を設定した対象時間T2に「1」を付している。
【0048】
ここで、対象日T3には、対象日T3の属性に相当するベースパターンとして、基本又は特定日が設定されている。そこで、対象日T3のベースパターンに応じて、複数種類の第1業務計画データD11a及び第2業務計画データD11bが予め作成されていることが好ましい。すなわち、第1業務計画データD11aは、当該第1業務計画データD11aに対応するベースパターンに応じて、複数の業務のそれぞれの最小工数N12及び実施時間帯を設定されている。また、第2業務計画データD11bは、当該第2業務計画データD11bに対応するベースパターンに応じて、業務優先度を設定されている。
【0049】
具体的に、対象日T3のベースパターンには、「基本」、「特定日」、及び「休み」がある。特定日には、「土曜日」、「日曜日」、「キャンペーン日」、及び「イベント日」などが含まれる。休みは、組織P1の業務が休みの日(休日)である。基本は、特定日及び休み以外の日であり、例えばキャンペーン日、イベント日、休日などを除いた平日が含まれる。この場合、記憶部1aは、基本、特定日、及び休みのそれぞれに対応する複数種類の第1業務計画データD11aを格納する。特定日に対応する第1業務計画データD11aに設定された最小工数N12は、基本に対応する第1業務計画データD11aに設定された最小工数N12よりも多くなる。すなわち、業務が忙しくなる傾向にあると予測される特定日(土曜日、日曜日、キャンペーン日、及びイベント日など)では、最小工数N12を基本よりも多く設定しておく。
【0050】
また、オフィス街の店舗では、土曜日、日曜日、及び祝日などの業務は、平日の業務よりも忙しくない傾向にある。そこで、組織P1がオフィス街の店舗であれば、特定日に、「土曜日」、「日曜日」、及び「祝日」などを含めることが好ましい。そして、特定日に対応する第1業務計画データD11aに設定された最小工数N12は、基本に対応する第1業務計画データD11aに設定された最小工数N12よりも少なくする。すなわち、業務が忙しくない傾向にあると予測される特定日(土曜日、日曜日、及び祝日など)では、最小工数N12を基本よりも少なく設定しておく。
【0051】
計画作成システム1は、上述のように、複数の対象日T3をベースパターン毎に分類し、第1業務計画データD11aをベースパターン毎に使い分ける。この結果、計画作成システム1が作成した作業計画D2は、組織P1の運営効率を向上させることができる。
【0052】
(2.1.2)業務量予測データ
業務量予測データD12は、複数の業務のそれぞれについて、過去の業務量の履歴に基づいて、将来の業務量を予測した結果(予測業務量)を示すデータを含む。繁忙判定部1eは、業務量予測データD12に基づいて、対象日T3が繁忙日(繁忙期間)であるか否かを判定する。
【0053】
具体的に
図6に示すように、業務量予測データD12は、対象日T3において全ての業務を行うのに必要となる工数を、日別予測工数(第3予測工数)N20として予測した結果を含む。
【0054】
例えば、組織P1を訪れる顧客の人数(来客数)が増えれば、レジ、調理、及び盛付けなどの業務を行うために必要となる工数も増える。例えば、来客数と工数との間に比例関係があれば、同一属性の対象日T3には、同一の比例関係を適用できる。この場合、業務量予測データD12の日別予測工数N20は、来客数の予測結果に基づいて求められる。
【0055】
また、組織P1に入荷する物品の量が増えれば、品出し、棚整理、商品補充、及び棚だしなどの業務を行うために必要となる工数も増える。この場合、業務量予測データD12の日別予測工数N20は、入荷量の予測結果に基づいて求められる。
【0056】
また、組織P1の受注量が増えれば、注文受付などの業務を行うために必要となる工数も増える。例えば、ネット販売及び通信販売の受付業務は忙しくなる。この場合、業務量予測データD12の日別予測工数N20は、受注量の予測結果に基づいて求められる。
【0057】
また、業務量予測データD12の日別予測工数N20は、天気予報、カレンダ情報、及びイベント情報などに基づいて求められてもよい。例えば、日別予測工数N20は、来客数、入荷量、及び受注量を用いることなく、予測結果天気予報、カレンダ情報、及びイベント情報などに基づいて求められてもよい。
【0058】
業務量予測データD12は、予測工数N22のデータを含んでいてもよい。予測工数N22は、対象日T3における複数の業務のそれぞれについて、対象時間T2毎に必要と予測される工数である。業務量予測データD12は、予測工数N22のデータを含むのであれば、対象日T3に各業務を行うために必要となる作業者の予測人数を予測工数N22として、対象時間T2毎に設定している。
【0059】
業務量予測データD12は、業務別予測工数N21のデータを含む。業務別予測工数N21は、複数の業務のそれぞれについて、対象日T3に各業務を行うために必要であると予測される工数である。なお、「工数」は、業務を行う作業者の人数と当該業務の実施時間との積である。この場合、複数の業務のそれぞれについて、対象時間T2毎に設定されている作業者の人数(予測工数N22)の和に実施時間の和を乗じた値が、業務別予測工数N21になる。さらに、業務別予測工数N21の和が、日別予測工数N20になる。
【0060】
日別予測工数N20、業務別予測工数N21、及び予測工数N22は、機械学習によって構築された学習モデルを用いて予測されることが好ましい。ただし、学習モデルは、機械学習以外の手法で生成されたモデル(例えば、統計データに基づく線形予測モデル等)であってもよい。
【0061】
なお、工数予測用の学習モデルの構築に好適な機械学習は、教師あり学習であるが、教師なし学習、強化学習等でもよい。教師あり学習は、回帰(連続値予測)型が好適であるが、分類(離散値予測)型でもよい。
【0062】
機械学習は、LightGBM(Gradientboosting machine)であることが好ましい。LightGBMは、決定木と勾配ブースティングを組み合わせたアルゴリズムであり、回帰及び分類の両方の機能を有する。
【0063】
なお、機械学習は、決定木でもよいし、その他のアルゴリズム(例えば、ニューラルネットワーク、クラスタリング、サポートベクターマシン、ディープラーニング、ランダフォレスト、重回帰など)でも構わない。また、機械学習は、これらのアルゴリズムを複数組み合わせるアンサンブル手法、を用いたものでもよい。
【0064】
(2.1.3)作業者情報
作業者情報D13は、各作業者に関する情報を含む。投入可能工数算出部1bは、作業者情報D13に基づいて、投入可能工数を算出する。作業計画作成部1hは、作業者情報D13に基づいて作業計画D2を作成する。
【0065】
具体的に、作業者情報D13は、組織P1に登録されている各作業者が組織P1との間で取り決めている契約工数(対象月T1に業務を行う時間)、作業者と組織P1との間で締結されている契約、及び作業者が有するスキルなどの情報である。
【0066】
(2.1.4)勤務実績
勤務実績D14は、作業者の勤務実績に関する情報を含む。投入可能工数算出部1bは、勤務実績D14に基づいて、投入可能工数を算出する。具体的に、勤務実績D14は、作業者の勤怠状況を表す情報である。
【0067】
(2.1.5)組織情報
組織情報D15は、組織P1における作業者の部門間の移動に関する情報、及び組織P1における部門の統廃合に関する情報を含む。作業計画作成部1hは、組織情報D15に基づいて作業計画D2を作成する。
【0068】
(2.1.6)繁忙月情報
繁忙月情報D16は、対象月T1が、通常月(第1期間)及び繁忙月(第2期間)のいずれであるかを示す情報である。繁忙月は、通常月に比べて業務が忙しくなる(業務の実施に求められる工数が多くなる)期間である。具体的に、1月~12月の各月は繁忙月又は通常月に予め設定されており、対象月T1は1月~12月のいずれかに相当する。なお、繁忙月は、組織P1の業種、場所などに応じて設定される。
【0069】
(2.1.7)ベースパターン情報
ベースパターン情報D17は、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれのベースパターンを設定している。対象日T3のベースパターンには、「基本」、「特定日」、及び「休み」がある。特定日には、土曜日、日曜日、キャンペーン日、及びイベント日などが含まれる。
【0070】
(2.2)投入可能工数算出部
投入可能工数算出部1bは、
図7に示すように、対象月T1において複数の業務のそれぞれを行う作業者の契約工数の合計である総契約工数N1から、対象月T1において作業者が有給休暇に用いると予測される工数の合計である有給予測工数N3を引いた値を、投入可能工数N2として求める。総契約工数N1は、組織P1において投入可能な労働力に相当する。なお、投入可能工数N2は、総契約工数N1から有給予測工数N3だけでなく、主体業務以外の付帯業務(例えば、予め計画された研修など、単体では利益を生み出さないような業務)の工数もあわせて引いた値としてもよい。
【0071】
作業者は、組織P1との間で、対象月T1に業務を行う時間を、契約工数として予め取り決めている。記憶部1aの作業者情報D13は、作業者のそれぞれの契約工数の情報を含む。そこで、投入可能工数算出部1bは、記憶部1aの作業者情報D13(作業者のそれぞれの契約工数の情報)を読み出し、作業者のそれぞれの契約工数の合計を総契約工数N1として求める。本実施形態では、作業者のそれぞれ契約工数は時間で表され、総契約工数N1も時間で表される。
【0072】
また、投入可能工数算出部1bは、対象月T1において各作業者が有給休暇に用いると予測される工数の合計である有給予測工数N3を求める。記憶部1aの作業者情報D13は、作業者と組織P1との間で締結されている契約の情報として、有給休暇の残日数、退職予定の有無、及び退職予定月の情報を含む。また、記憶部1aの勤務実績D14は、作業者の勤怠状況を含む。そこで、投入可能工数算出部1bは、記憶部1aの作業者情報D13(有給休暇の残日数、退職予定の有無、及び退職予定月)、及び勤務実績D14(作業者の勤怠状況)を読み出し、対象月T1における各作業者の有給休暇の取得時間(有給休暇として消費される工数)を予測する。投入可能工数算出部1bは、各作業者の有給休暇の取得時間の合計を、有給予測工数N3として求める。
【0073】
そして、投入可能工数算出部1bは、総契約工数N1から有給予測工数N3を引いた値を、投入可能工数N2として求める。投入可能工数N2は、対象月T1に用いることができる全工数である。
【0074】
図8は、投入可能工数算出部1bが、対象月T1において有給休暇に用いると予測される工数を作業者毎に求める有給予測処理を示すフローチャートである。
【0075】
投入可能工数算出部1bは、有給予測処理を開始すると、作業者情報D13に基づいて、複数の作業者のうち予測対象となる作業者の退職月が、対象月T1であるか否かを判定する(S1)。
【0076】
投入可能工数算出部1bは、作業者の退職月が対象月T1でなければ、勤務実績D14に基づいて、作業者が1か月に有給休暇に用いる工数の平均値を求め、この平均値を暫定予測工数とする(S2)。
【0077】
投入可能工数算出部1bは、予測対象の対象月T1が通常月及び繁忙月のいずれであるかを判定する(S3)。記憶部1aの繁忙月情報D16では、1月~12月の各月は繁忙月又は通常月に予め設定されており、対象月T1は1月~12月のいずれかに相当する。繁忙月は、通常月に比べて業務が忙しくなる期間である。そこで、投入可能工数算出部1bは、繁忙月情報D16に基づいて、対象月T1が繁忙月及び通常月のいずれであるかを判定する。
【0078】
投入可能工数算出部1bは、対象月T1が繁忙月であれば、作業者が1か月に有給休暇に用いる工数の平均値に、1未満の正数を係数(例えば、0.8)として乗じた値を暫定予測工数とする(S4)。投入可能工数算出部1bは、対象月T1が繁忙月でなければ(通常月であれば)、ステップS2で求めた平均値を暫定予測工数とする。なお、係数は、0.8以外でもよい。また、係数は、複数の作業者の過去の実績から導出された統計値であってもよい。
【0079】
そして、投入可能工数算出部1bは、ステップS2又はステップS4で求めた暫定予測工数と、有給休暇の残日数に相当する残有給工数とのうち、少ないほうを有給予測工数N3とする(S5)。すなわち、投入可能工数算出部1bは、作業者の退職月が対象月T1でなければ、暫定予測工数と残有給工数とのうち少ないほうを有給予測工数N3とする。
【0080】
一方、ステップS1において作業者の退職月が対象月T1であれば、投入可能工数算出部1bは、予め決められた定数Yと、有給休暇の残日数に相当する残有給工数とのうち、少ないほうを有給予測工数N3とする(S6)。定数Yは、退職月に取得される有給休暇の工数の平均値、中央値、又は最大値などであり、過去の有給の取得履歴を用いて構築された学習モデルを用いて算出された値であることが好ましい。例えば、定数Yは20に設定される。
【0081】
上述のように、投入可能工数算出部1bは、対象月T1が繁忙月であれば、対象月T1が通常月であるときに比べて、有給予測工数N3を少なくする。したがって投入可能工数算出部1bは、投入可能工数N2を精度よく求めることができる。
【0082】
(2.3)最小工数設定部
最小工数設定部1cは、複数の業務のそれぞれについて、対象月T1を構成する複数の対象時間T2のそれぞれに最小の工数である最小工数N12(
図4参照)を割り当てる。
【0083】
具体的に、最小工数設定部1cは、第1業務計画データD11a(
図4参照)に基づいて、
図9の最小割当データD20を対象日T3毎に作成する。最小割当データD20は、対象日T3のベースパターンに応じて、各対象時間T2に最小工数N12(
図4参照)を割り当てる。
図4の最小割当データD20では、複数の業務Wa1-Wa5、Wb1、Wb2について、対象日T3のベースパターンに対応する第1業務計画データD11aに基づく日別最小工数N10、業務別最小工数N11、最小工数N12を割り当てている。
【0084】
(2.4)残工数算出部
残工数算出部1dは、対象月T1に投入可能な工数である投入可能工数N2から対象月T1における複数の最小工数N12の合計である月別最小工数N4を引いた差分を残工数N5として求める。
【0085】
具体的に、残工数算出部1dは、投入可能工数算出部1bが算出した投入可能工数N2のデータを取得する。また、残工数算出部1dは、第1業務計画データD11a(
図4参照)に基づいて、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれの最小工数N12のデータを取得する。残工数算出部1dは、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれの最小工数N12の合計を、月別最小工数N4(
図7参照)とする。すなわち、残工数算出部1dは、対象月T1における最小工数N12の合計として、月別最小工数N4を求める。そして、
図7に示すように、残工数算出部1dは、投入可能工数N2から月別最小工数N4を引いた差分を残工数N5として求める。
【0086】
(2.5)繁忙判定部
繁忙判定部1eは、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれについて、繁忙日(繁忙期間)であるか否かを判定する。
【0087】
特に、繁忙判定部1eは、複数の対象日T3のそれぞれにおいて必要であると予測される工数である日別予測工数(第3予測工数)N20(
図6参照)、及び日別最小工数N10(
図4参照)に基づいて、複数の対象日T3のそれぞれが繁忙日であるか否かを判定することが好ましい。なお、日別最小工数N10は、業務別最小工数N11の合計に相当する。
【0088】
具体的に、繁忙判定部1eは、対象月T1を構成する対象日T3のそれぞれにおいて、日別最小工数N10(
図4参照)に対する日別予測工数N20(
図6参照)の比率[N20/N10]を繁忙判定値として求める。そして、繁忙判定部1eは、複数の対象日T3のそれぞれの繁忙判定値[N20/N10]に基づいて、対象日T3が繁忙日であるか否かを判定する。例えば、繁忙判定部1eは、対象日T3の繁忙判定値[N20/N10]が予め決められた第1繁忙閾値以上であれば、当該対象日T3は繁忙日であると判定する。また、繁忙判定部1eは、対象日T3の繁忙判定値[N20/N10]が第1繁忙閾値未満であれば、当該対象日T3は繁忙日でないと判定する。
【0089】
また、繁忙判定部1eは、日別予測工数N20(
図6参照)に対する日別最小工数N10(
図4参照)の比率[N10/N20]を繁忙判定値として求めてもよい。この場合、繁忙判定部1eは、対象日T3の繁忙判定値[N10/N20]が予め決められた第1繁忙閾値以下であれば、当該対象日T3は繁忙日であると判定する。また、繁忙判定部1eは、対象日T3の繁忙判定値[N10/N20]が第1繁忙閾値より大きければ、当該対象日T3は繁忙日でないと判定する。
【0090】
したがって、繁忙判定部1eは、第3単位期間T3が繁忙期間であるか否かを精度よく判定できる。
【0091】
あるいは、繁忙判定部1eは、対象月T1を構成する対象日T3のそれぞれにおいて、日別予測工数N20(
図6参照)から日別最小工数N10(
図4参照)を引いた値(差分)[N20-N10]を繁忙判定値として求めてもよい。この場合、繁忙判定部1eは、複数の対象日T3のそれぞれの繁忙判定値[N20-N10]に基づいて、対象日T3が繁忙日であるか否かを判定する。例えば、繁忙判定部1eは、対象日T3の繁忙判定値[N20-N10]が予め決められた第2繁忙閾値以上であれば、当該対象日T3は繁忙日であると判定する。また、繁忙判定部1eは、対象日T3の繁忙判定値[N20-N10]が第2繁忙閾値未満であれば、当該対象日T3は繁忙日でないと判定する。
【0092】
また、繁忙判定部1eは、日別最小工数N10(
図4参照)から日別予測工数N20(
図6参照)を引いた値(差分)[N10-N20]を繁忙判定値として求めてもよい。この場合、繁忙判定部1eは、対象日T3の繁忙判定値[N10-N20]が予め決められた第2繁忙閾値以下であれば、当該対象日T3は繁忙日であると判定する。また、繁忙判定部1eは、対象日T3の繁忙判定値[N10-N20]が第2繁忙閾値より大きければ、当該対象日T3は繁忙日でないと判定する。
【0093】
したがって、繁忙判定部1eは、第3単位期間T3が繁忙期間であるか否かを精度よく判定できる。
【0094】
(2.6)追加部
追加部1fは、複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、複数の対象時間T2のうち少なくとも1つの対象時間T2に残工数N5の少なくとも一部を追加工数N6(
図7参照)として割り当てる追加割当処理を行う。具体的に
図7に示すように、追加部1fは、残工数N5を用いて、少なくとも1つの対象時間T2の最小工数N12に追加工数N6を上乗せする。
【0095】
業務実施のリソースである作業者を有効に活用するという観点から、追加部1fは、残工数N5をできるだけ使い切るように、複数の対象時間T2に追加工数N6を割り当てることが好ましい。すなわち、追加部1fは残工数N5を追加工数N6として使い切ることが好ましい。そこで、追加部1fは、月別割当工数N30(
図13-
図16参照)から投入可能工数N2を引いた値が割当閾値K1以上であれば、追加割当処理を完了する。月別割当工数N30は、対象月T1において、複数の業務のそれぞれに対応する複数の対象時間T2のそれぞれに割り当てられた割当工数N32(
図17参照)の合計である。割当工数N32は、最小工数N12と追加工数N6との和である。割当閾値K1は、正値、負値、及びゼロのいずれでもよい。割当閾値K1がゼロに近いほど、投入可能工数N2(割り当て可能な工数)と月別割当工数N30(実際に割り当てた工数)との差が小さくなり、提供可能な労働力を効率よく用いることができる。すなわち、追加部1fは、投入可能な労働力を効率よく用いて追加工数N6を割り当てることができる。
【0096】
また、追加部1fは、複数の対象時間T2のうち繁忙日に含まれる対象時間T2に追加割当処理を行うことが好ましい。この場合、追加部1fは、繁忙日における作業者の負荷を抑えることができるので、各対象日T3の忙しさを平準化できる。
【0097】
なお、追加部1fの動作の詳細は後述する。
【0098】
(2.7)工数データ作成部
工数データ作成部1gは、複数の業務のそれぞれについて、対象月T1を構成する複数の対象時間T2のそれぞれに最小工数N12及び追加工数N6を割り当てた結果を工数データD1(
図17参照)として作成する。
【0099】
工数データD1は、
図17に示すように、対象月T1における複数の業務のそれぞれの割当工数N32を示すデータである。割当工数N32は、最小工数N12と追加工数N6との和である。具体的に、工数データD1は、対象月T1を複数の対象日T3に分割し、複数の対象日T3のそれぞれにおいて対象時間T2毎に割当工数N32を設定している。
【0100】
(2.8)作業計画作成部
作業計画作成部1hは、工数データD1に基づいて、対象月T1における複数の業務と複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画D2(
図18参照)を作成する。作業計画作成部1hは、作業計画D2を作成する際に、作業者情報D13及び組織情報D15も用いる。
【0101】
作業計画D2は、
図18に示すように、対象日T3における複数の作業者のそれぞれの業務を時系列に沿って並べて表示する画像データである。作業計画作成部1hは、作業計画D2として、
図18に示す画像データを、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれについて作成する。
【0102】
(2.9)シフトデータ作成部
シフトデータ作成部1iは、作業計画D2に基づいて作業者の勤務に関するシフトデータD3(
図19参照)を作成する。
【0103】
シフトデータD3は、
図19に示すように、作業者個人の勤務のシフトに関するデータである。具体的に、シフトデータD3は、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれについて、作業者が担当する業務を時系列に沿って並べて表示する画像データである。シフトデータD3は、シフトデータD3を見て勤務を行う作業者が使用する情報端末4に紐付けられている。
【0104】
なお、シフトデータ作成部1iは、シフトデータD3として、作業者毎に日別の詳細な業務計画データ、及びシフトとしてより一般的な、日毎の業務開始時刻、業務終了時刻が記載されたデータのいずれを作成してもよい。
【0105】
(2.10)出力部
出力部1jは、ネットワーク200を介した通信を行う通信モジュールに含まれている。
【0106】
具体的に、出力部1jは、作業計画D2を業務管理システム2へ送信(出力)する。また、出力部1jは、最小割当データD20を業務管理システム2へ送信(出力)してもよい。したがって、業務管理システム2は、作業計画D2、及び最小割当データD20を検証できる。
【0107】
また、出力部1jは、シフトデータD3を、当該シフトデータD3に紐付けられている情報端末4へ送信(出力)する。したがって、作業者は、自分のシフトデータD3を確認することができる。
【0108】
(2.11)動作
計画作成システム1の動作を、
図10-
図12のフローチャートを用いて説明する。
図10は、計画作成システム1が行う計画作成方法を示しており、計画作成方法は、データ取得ステップS11、最小工数設定ステップS12、残工数算出ステップS13、追加ステップS14、工数データ作成ステップS15、作業計画作成ステップS16、シフトデータ作成ステップS17、及び出力ステップS18を含む。
【0109】
(データ取得ステップ)
まず、データ取得ステップS11において、計画作成システム1は、各データを顧客システム3からネットワーク200を介して取得し、取得した各データを記憶部1aに格納する。顧客システム3から取得するデータは、業務計画データD11(
図4、
図5参照)、業務量予測データD12(
図6参照)、作業者情報D13、勤務実績D14、組織情報D15、繁忙月情報D16、及びベースパターン情報D17を含む。なお、本実施形態の業務計画データD11は、第1業務計画データD11a(
図4参照)、及び第2業務計画データD11b(
図5参照)を含む。
【0110】
(最小工数設定ステップ)
次に、最小工数設定ステップS12において、最小工数設定部1cは、第1業務計画データD11a(
図4参照)に基づいて、最小割当データD20(
図9参照)を作成する。最小割当データD20は、各対象時間T2に最小工数N12を割り当てる。
図4の最小割当データD20では、複数の業務Wa1-Wa5、Wb1-Wb2について、第1業務計画データD11aに設定されている日別最小工数N10、業務別最小工数N11、最小工数N12を割り当てている。
【0111】
図11は、最小工数設定ステップS12の詳細を示し、最小工数設定ステップS12は、ベースパターン判定ステップS121、及び最小工数割当ステップS122を含む。
【0112】
ベースパターン判定ステップS121において、最小工数設定部1cは、記憶部1aに格納されているベースパターン情報D17から、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれのベースパターンが基本、特定日、及び休みのいずれであるかを判定する。
【0113】
最小工数割当ステップS122において、最小工数設定部1cは、ベースパターンに対応する最小工数N12及び実施時間帯を第1業務計画データD11aから読み出して、最小工数N12及び実施時間帯を複数の対象日T3のそれぞれに設定する。すなわち、最小工数設定部1cは、複数の対象日T3のそれぞれに対応する最小割当データD20(
図9参照)を、複数の対象日T3のそれぞれのベースパターンに応じて作成する。
【0114】
そして、最小工数設定部1cは、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれに対応する最小割当データD20に基づいて、処理データD4として
図13の処理データD4(1)を作成する。
【0115】
処理データD4(1)は、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれのベースパターン、日別予測工数N20、日別割当工数N31、誤差率E1を示す。
【0116】
ベースパターンには、「基本」、「特定日」、及び「休み」がある。特定日には、「土曜日」、「日曜日」、「キャンペーン日」、及び「イベント日」などが含まれる。
【0117】
日別予測工数N20は、対象日T3において必要であると予測される工数である。
【0118】
日別割当工数N31は、対象日T3において、複数の業務のそれぞれに対応する複数の対象時間T2のそれぞれに割り当てられた最小工数N12と追加工数N6との和である。すなわち、日別割当工数N31は、対象日T3に既に割り当てられた割当済みの工数である。処理データD4(1)では、日別割当工数N31は、対象日T3における最小工数N12の合計になる。
【0119】
誤差率E1は、E1=(N31-N20)/N20で求められる。すなわち、誤差率E1は、日別予測工数N20に対する日別割当工数N31の誤差(ずれ)を表す。
【0120】
この処理データD4(1)は、追加部1fによる追加割当処理のベースになるデータである。
【0121】
(残工数算出ステップ)
残工数算出ステップS13において、残工数算出部1dは、投入可能工数N2から月別最小工数N4を引いた差分を残工数N5として求める。
【0122】
具体的に、残工数算出部1dは、投入可能工数算出部1bが算出した投入可能工数N2のデータを取得する。また、残工数算出部1dは、第1業務計画データD11a(
図4参照)に基づいて、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれの最小工数N12のデータを取得する。残工数算出部1dは、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれの最小工数N12の合計を、月別最小工数N4(
図7参照)とする。すなわち、残工数算出部1dは、対象月T1における最小工数N12の合計として、月別最小工数N4を求める。そして、
図7に示すように、残工数算出部1dは、投入可能工数N2から月別最小工数N4を引いた差分を残工数N5として求める。
【0123】
(追加ステップ)
追加ステップS14において、追加部1fは、複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、複数の対象時間T2のうち少なくとも1つの対象時間T2に、残工数N5の少なくとも一部を追加工数N6(
図7参照)として割り当てる追加割当処理を行う。すなわち、
図7に示すように、追加部1fは、残工数N5を用いて、少なくとも1つの対象時間T2の最小工数N12に追加工数N6を上乗せする。
【0124】
図12は、追加ステップS14の詳細を示し、追加ステップS14は、完了判定ステップS141、変動業務判定ステップS142、及び追加割当処理ステップS143を含む。
【0125】
完了判定ステップS141において、追加部1fは、追加割当処理を完了させるか否かを判定する。具体的に、追加部1fは、月別割当工数N30(
図13-
図16参照)から投入可能工数N2を引いた値が割当閾値K1以上であれば、追加割当処理を完了する。月別割当工数N30は、対象月T1において、複数の業務のそれぞれに対応する複数の対象時間T2のそれぞれに割り当てられた割当工数N32(
図17参照)の合計である。割当工数N32は、最小工数N12と追加工数N6との和である。割当閾値K1は、正値、負値、及びゼロのいずれでもよい。割当閾値K1がゼロに近いほど、投入可能工数N2(割り当て可能な工数)と月別割当工数N30(実際に割り当てた工数)との差が小さくなり、提供可能な労働力を効率よく用いることができる。
【0126】
追加部1fは、月別割当工数N30から投入可能工数N2を引いた値が割当閾値K1未満であれば、変動業務判定ステップS142の処理を行う。変動業務判定ステップS142において、追加部1fは、対象月T1に行われる複数の業務に変動業務が含まれているか否かを判定する。ここでは、対象月T1に行われる複数の業務に変動業務(例えば
図4及び
図5のWb1、Wb2参照)が含まれており、変動業務のそれぞれに業務優先度が設定されている。
【0127】
そこで、追加割当処理ステップS143において、追加部1fは、変動業務に対して、業務優先度に基づく追加割当処理を行う。追加部1fは、追加割当処理ステップS143の処理を行うと、完了判定ステップS141に戻って、上述の処理を繰り返す。この結果、計画作成システム1が作成した作業計画D2は、組織P1の運営効率を向上させることができる。
【0128】
以下、
図13-
図16を用いて追加ステップS14について説明する。
【0129】
追加部1fは、1回目の追加割当処理として、処理データD4(1)に追加割当処理を施すことで、
図14に示す処理データD4(2)を作成する。具体的に、追加部1fは、処理データD4(1)の複数の対象日T3のうち誤差率E1が最も高い対象日T31の変動業務を、追加割当処理の対象とする。追加部1fは、対象日T31の変動業務のうち業務優先度が最も高い変動業務について、第2業務計画データD11b(
図5参照)において「1」が付されている対象時間T2に追加工数N6を追加する。この結果、処理データD4(2)では、対象日T31の日別割当工数N311に追加工数N6として「2.75」が追加されている。
【0130】
そして、追加部1fは、処理データD4(2)において月別割当工数N30から投入可能工数N2を引いた値が割当閾値K1(ここでは、K1=-4)以上であるか否かを判定する。処理データD4(2)では、月別割当工数N30から投入可能工数N2を引いた値は「-44.5」であり、割当閾値「-4」未満である。
【0131】
そこで、追加部1fは、2回目の追加割当処理として、処理データD4(2)に追加割当処理を施すことで、
図15に示す処理データD4(3)を作成する。具体的に、追加部1fは、処理データD4(2)の複数の対象日T3のうち誤差率E1が最も高い対象日T32の変動業務を、追加割当処理の対象とする。追加部1fは、対象日T32の変動業務のうち業務優先度が最も高い変動業務について、第2業務計画データD11b(
図5参照)において「1」が付されている対象時間T2に追加工数N6を追加する。この結果、処理データD4(3)では、対象日T32の日別割当工数N312に追加工数N6として「2.75」が追加されている。
【0132】
そして、追加部1fは、処理データD4(3)において月別割当工数N30から投入可能工数N2を引いた値が割当閾値「-4」以上であるか否かを判定する。処理データD4(3)では、月別割当工数N30から投入可能工数N2を引いた値は「-41.75」であり、割当閾値「-4」未満である。
【0133】
そこで、追加部1fは、3回目の追加割当処理を上記同様に行う。そして、追加部1fは、月別割当工数N30から投入可能工数N2を引いた値が割当閾値「-4」以上になるまで追加割当処理をm回繰り返して、
図16に示す処理データD(m)を作成する。すなわち、追加部1fは、月別割当工数N30から投入可能工数N2を引いた値が割当閾値「-4」以上になると、追加割当処理を完了する。処理データD(m)では、月別割当工数N30から投入可能工数N2を引いた値は「-0.75」であり、割当閾値「-4」以上である。
【0134】
上述のように、追加部1fは、複数の対象日T3から1つの対象日T3を順次抽出し、抽出した1つの対象日T3に含まれる対象時間T2に追加工数N6を割り当てる。したがって、追加部1fは、複数の対象日T3のそれぞれの忙しさを平準化できる。
【0135】
なお、追加工数N6は、複数の業務に対して同じ値でもよいし、業務毎に異なる値でもよい。
【0136】
また、追加工数N6は、各業務の優先度に応じて決まる値でもよい。例えば、業務の優先度が高いほど、当該業務に割り当てられる追加工数N6を大きくする。
【0137】
また、追加工数N6は、残工数N5に応じて決まる値でもよい。例えば、残工数N5が大きいほど、追加工数N6を大きくする。
【0138】
(工数データ作成ステップ)
追加割当処理が完了すると、工数データ作成ステップS15において、工数データ作成部1gは
図17に示す工数データD1を作成する。工数データD1は、複数の業務のそれぞれについて、対象月T1において複数の対象時間T2のそれぞれに最小工数N12及び追加工数N6を割り当てた結果である。
【0139】
具体的に、工数データD1は、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれについて、複数の対象時間T2に割り当てられた割当工数N32(最小工数N12と追加工数N6との和)のデータである。
【0140】
(作業計画作成ステップ)
作業計画作成ステップS16において、作業計画作成部1hは、工数データD1、作業者情報D13及び組織情報D15に基づいて、
図18に示す作業計画D2を作成する。作業計画D2は、対象月T1における複数の業務と複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けたデータである。作業計画作成部1hは、作業者情報D13及び組織情報D15を用いて、工数データD1に沿った作業計画D2を作成する。作業者情報D13は、各作業者が組織P1との間で取り決めている契約工数、作業者と組織P1との間で締結されている契約、及び作業者が有するスキルなどの情報である。組織情報D15は、作業者の部門間の移動に関する情報、及び組織P1における部門の統廃合に関する情報である。したがって、作業計画作成部1hは、各作業者の契約及び適性に応じた作業計画D2を作成することができる。
【0141】
作業計画D2は、
図18に示すように、対象日T3における複数の作業者のそれぞれの業務を時系列に沿って並べて表示する画像データである。作業計画作成部1hは、作業計画D2として、
図18に示す画像データを、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれについて作成する。
【0142】
(シフトデータ作成ステップ)
シフトデータ作成ステップS17において、シフトデータ作成部1iは、作業計画D2に基づいて作業者の勤務に関するシフトデータD3を作成する。
【0143】
シフトデータD3は、
図19に示すように、作業者個人の勤務のシフトに関するデータである。具体的に、シフトデータD3は、対象月T1を構成する複数の対象日T3のそれぞれについて、作業者が担当する業務を時系列に沿って並べて表示する画像データである。シフトデータD3は、シフトデータD3を見て勤務を行う作業者が使用する情報端末4に紐付けられている。
【0144】
(出力ステップ)
出力ステップS18において、出力部1jは、作業計画D2、及びシフトデータD3をネットワーク200を介して送信(出力)する。さらに、出力部1jは、最小割当データD20をネットワーク200を介して送信(出力)することが好ましい。
【0145】
具体的に、出力部1jは、作業計画D2及び最小割当データD20を業務管理システム2へ送信する。業務管理システム2は、表示部2a、操作部2b、及びデータ処理部2c(
図1参照)を備える。
【0146】
表示部2aは、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどを含み、組織P1の管理者に各種情報を視覚的に伝えるユーザインタフェース機能を有する。操作部2bは、キーボード、マウス、及びマイクロホンなどを含み、管理者の操作を受け付けるユーザインタフェース機能を有する。なお、表示部2a及び操作部2bは、タッチパネルディスプレイで構成されてもよい。業務管理システム2は、管理者に各種情報を聴覚的に伝えるユーザインタフェース機能を更に有していてもよい。
【0147】
データ処理部2cは、コンピュータシステムを備えており、操作部2bの操作に応じて、作業計画D2及び最小割当データD20などの各種データの修正などを行う。例えば、管理者は、表示部2aに表示されている最小割当データD20を、操作部2bの操作によって修正する。すなわち、データ処理部2cは、最小工数設定部1cが複数の業務のそれぞれに最小工数N12を割り当てた結果を計画作成システム1から受け取り、最小工数N12の割り当て結果を修正することができる。修正された最小割当データD20は、業務管理システム2から計画作成システム1へネットワーク200を介して送信される。計画作成システム1は、修正された最小割当データD20を基にして、工数データD1を作成する。
【0148】
また、出力部1jは、シフトデータD3を情報端末4へ送信する。シフトデータD3は、シフトデータD3を見て勤務を行う作業者が使用する情報端末4に紐付けられている。そこで、出力部1jは、シフトデータD3の送信先となる情報端末4を、当該シフトデータD3に紐付けられた情報端末4とする。したがって、作業者は、自分のシフトデータD3を確認することはできても、他の作業者のシフトデータD3を確認することはできない。
【0149】
なお、出力部1jの出力は、例えば業務管理システム2における表示部2aでの表示であるが、スピーカからの音声出力、プリンタによるプリントアウト、他の装置への送信、記録媒体への記録などでもよい。
【0150】
(3)第1変形例
上述の追加ステップS14(
図10参照)においてにおいて、追加部1fは、以下のように追加割当処理を完了させるか否かを判定してもよい。
【0151】
具体的に、追加ステップS14の完了判定ステップS141(
図12参照)において、追加部1fは、月別割当工数N30(
図13-
図16参照)を投入可能工数N2で除した値が割当閾値K2以上であれば、追加割当処理を完了する。月別割当工数N30は、割当工数N32(
図17参照)の合計である。割当工数N3は、複数の業務のそれぞれに対応する複数の対象時間T2のそれぞれに割り当てられた最小工数N12と追加工数N6との和である。割当閾値K2は、0より大きい正数である。割当閾値K2が1に近いほど、投入可能工数N2(割り当て可能な工数)と月別割当工数N30(実際に割り当てた工数)との差が小さくなり、提供可能な労働力を効率よく用いることができる。すなわち、追加部1fは、投入可能な労働力を効率よく用いて追加工数N6を割り当てることができる。
【0152】
(4)第2変形例
上述の追加ステップS14(
図10参照)において、追加部1fは、複数の対象時間T2のうち繁忙日(繁忙期間)に含まれる対象時間T2に追加割当処理を行うことが好ましい。この結果、追加部1fは、繁忙日における作業者の負荷を抑えることができる。
【0153】
具体的に、追加ステップS14の追加割当処理ステップS143(
図12参照)において、追加部1fは、複数の対象日T3から繁忙日である対象日T3を抽出する。そして、追加部1fは、繁忙日となる対象日T3のうち誤差率E1が最も高い対象日T3の変動業務を、追加割当処理の対象とする。そして、追加部1fは、追加割当処理の対象とした対象日T3の変動業務のうち業務優先度が最も高い変動業務について、第2業務計画データD11b(
図5参照)において「1」が付されている対象時間T2に追加工数N6を追加する。
【0154】
すなわち、追加部1fは、複数の対象時間T2のうち繁忙期間に含まれる対象時間T2に追加割当処理を行う。
【0155】
(5)計画作成方法及びプログラム
上記実施形態に係る計画作成システム1と同様の機能は、計画作成方法、プログラム(コンピュータプログラム)、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0156】
計画作成方法は、
図10に示すフローチャートの各ステップのうち、少なくとも、最小工数設定ステップS12と、残工数算出ステップS13と、追加ステップS14と、工数データ作成ステップS15と、作業計画作成ステップS16と、出力ステップS18と、を含む。
【0157】
最小工数設定ステップS12において、最小工数設定部1cは、複数の業務のそれぞれについて、第1単位期間T1を構成する複数の第2単位期間T2(
図3参照)のそれぞれに最小の工数である最小工数N12(
図9参照)を割り当てる。
【0158】
残工数算出ステップS13において、残工数算出部1dは、第1単位期間T1に投入可能な工数である投入可能工数N2(
図7参照)から第1単位期間T1における複数の最小工数N12の合計(月別最小工数N4(
図7参照))を引いた差分を残工数N5(
図7参照)として求める。
【0159】
追加ステップS14において、追加部1fは、複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、複数の第2単位期間T2のうち少なくとも1つの第2単位期間T2に残工数N5の少なくとも一部を追加工数N6(
図7参照)として割り当てる追加割当処理を行う。
【0160】
工数データ作成ステップS15において、工数データ作成部1gは、複数の業務のそれぞれについて、複数の第2単位期間T2のそれぞれに最小工数N12及び追加工数N6を割り当てた結果を工数データD1(
図17参照)として作成する。
【0161】
作業計画作成ステップS16において、作業計画作成部1hは、工数データD1に基づいて、第1単位期間T1における複数の業務と複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画D2(
図18参照)を作成する。
【0162】
出力ステップS18において、出力部1jは、作業計画D2を出力する。
【0163】
プログラムは、上記計画作成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0164】
(6)まとめ
実施形態に係る第1の態様の計画作成システム(1)は、組織(P1)において第1単位期間(T1)に複数の業務を行う作業者の作業計画(D2)を作成する。計画作成システム(1)は、最小工数設定部(1c)と、残工数算出部(1d)と、追加部(1f)と、工数データ作成部(1g)と、作業計画作成部(1h)と、出力部(1j)と、を備える。最小工数設定部(1c)は、複数の業務のそれぞれについて、第1単位期間(T1)を構成する複数の第2単位期間(T2)のそれぞれに最小の工数である最小工数(N12)を割り当てる。残工数算出部(1d)は、第1単位期間(T1)に投入可能な工数である投入可能工数(N2)から第1単位期間(T1)における複数の最小工数(N12)の合計(月別最小工数N4)を引いた差分を残工数(N5)として求める。追加部(1f)は、複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、複数の第2単位期間(T2)のうち少なくとも1つの第2単位期間(T2)に残工数(N5)の少なくとも一部を追加工数(N6)として割り当てる追加割当処理を行う。工数データ作成部(1g)は、複数の業務のそれぞれについて、複数の第2単位期間(T2)のそれぞれに最小工数(N12)及び追加工数(N6)を割り当てた結果を工数データ(D1)として作成する。作業計画作成部(1h)は、工数データ(D1)に基づいて、第1単位期間(T1)における複数の業務と複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画(D2)を作成する。出力部(1j)は、作業計画(D2)を出力する。
【0165】
上述の計画作成システム(1)は、投入可能な労働力に基づいて、組織(P1)のパフォーマンスを向上させる作業計画(D2)を作成することができる。
【0166】
実施形態に係る第2の態様の計画作成システム(1)では、第1の態様において、追加部(1f)は、第1単位期間(T1)において複数の業務のそれぞれに対応する複数の第2単位期間(T2)のそれぞれに割り当てられた最小工数(N12)と追加工数(N6)との和である割当工数(N32)の合計(N30)から投入可能工数(N2)を引いた値が割当閾値(K1)以上であれば、追加割当処理を完了することが好ましい。
【0167】
上述の計画作成システム(1)は、投入可能な労働力を効率よく用いて追加工数(N6)を割り当てることができる。
【0168】
実施形態に係る第3の態様の計画作成システム(1)では、第1の態様において、追加部(1f)は、第1単位期間(T1)において複数の業務のそれぞれに対応する複数の第2単位期間(T2)のそれぞれに割り当てられた最小工数(N12)と追加工数(N6)との和である割当工数(N32)の合計(N30)を投入可能工数(N2)で除した値が割当閾値(K2)以上であれば、追加割当処理を完了することが好ましい。
【0169】
上述の計画作成システム(1)は、投入可能な労働力を効率よく用いて追加工数(N6)を割り当てることができる。
【0170】
実施形態に係る第4の態様の計画作成システム(1)は、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、投入可能工数算出部(1b)を更に備えることが好ましい。投入可能工数算出部(1b)は、第1単位期間(T1)において作業者の契約工数の合計である総契約工数(N1)から、第1単位期間(T1)において作業者が有給休暇に用いると予測される工数の合計である有給予測工数(N3)、及び主体業務以外の付帯業務の工数を引いた値を、投入可能工数(N2)として求める。
【0171】
上述の計画作成システム(1)は、投入可能工数(N2)を精度よく求めることができる。
【0172】
実施形態に係る第5の態様の計画作成システム(1)では、第4の態様において、投入可能工数算出部(1b)は、作業者が第1単位期間(T1)に退職する予定であれば、第1単位期間(T1)に退職する予定がない場合に比べて、有給予測工数(N3)を多くすることが好ましい。
【0173】
上述の計画作成システム(1)は、投入可能工数(N2)を精度よく求めることができる。
【0174】
実施形態に係る第6の態様の計画作成システム(1)では、第4又は第5の態様において、第1単位期間は、第1期間(通常月)、又は複数の業務による負荷が第1期間より高い第2期間(繁忙月)である。そして、投入可能工数算出部(1b)は、第1単位期間(T1)が第2期間であれば、第1単位期間(T1)が第1期間であるときに比べて、有給予測工数(N3)を少なくすることが好ましい。
【0175】
上述の計画作成システム(1)は、投入可能工数(N2)を精度よく求めることができる。
【0176】
実施形態に係る第7の態様の計画作成システム(1)は、第1乃至第6の態様のいずれか1つにおいて、繁忙判定部(1e)を更に備えることが好ましい。繁忙判定部(1e)は、第1単位期間(T1)を構成し、かつ、複数の第2単位期間(T2)のうち少なくとも2つの第2単位期間(T2)を含む複数の第3単位期間(T3)のそれぞれについて、繁忙期間(繁忙日)であるか否かを判定する。追加部(1f)は、複数の第2単位期間(T2)のうち繁忙期間に含まれる第2単位期間(T2)に追加割当処理を行う。
【0177】
上述の計画作成システム(1)は、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれの忙しさを平準化できる。
【0178】
実施形態に係る第8の態様の計画作成システム(1)では、第7の態様において、繁忙判定部(1e)は、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれにおいて必要であると予測される工数である第3予測工数(N20)、及び複数の第3単位期間(T3)のそれぞれにおける最小工数(N12)の合計に基づいて、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれが繁忙期間であるか否かを判定することが好ましい。
【0179】
上述の計画作成システム(1)は、第3単位期間(T3)が繁忙期間であるか否かを精度よく判定できる。
【0180】
実施形態に係る第9の態様の計画作成システム(1)では、第8の態様において、繁忙判定部(1e)は、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれにおいて、最小工数(N12)の合計と第3予測工数(N20)との比率を繁忙判定値として求めることが好ましい。繁忙判定部(1e)は、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれの繁忙判定値に基づいて、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれが繁忙期間であるか否かを判定する。
【0181】
上述の計画作成システム(1)は、第3単位期間(T3)が繁忙期間であるか否かを精度よく判定できる。
【0182】
実施形態に係る第10の態様の計画作成システム(1)では、第8の態様において、繁忙判定部は(1e)は、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれにおいて、最小工数(N12)の合計と第3予測工数(N20)との差分を繁忙判定値として求めることが好ましい。繁忙判定部は(1e)は、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれの繁忙判定値に基づいて、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれが繁忙期間であるか否かを判定する。
【0183】
上述の計画作成システム(1)は、第3単位期間(T3)が繁忙期間であるか否かを精度よく判定できる。
【0184】
実施形態に係る第11の態様の計画作成システム(1)では、第7乃至第10の態様のいずれか1つにおいて、追加部(1f)は、複数の第3単位期間(T3)から1つの第3単位期間(T3)を順次抽出し、1つの第3単位期間(T3)に含まれる第2単位期間(T2)に追加工数(N6)を割り当てることが好ましい。
【0185】
上述の計画作成システム(1)は、複数の第3単位期間(T3)のそれぞれの忙しさを平準化できる。
【0186】
実施形態に係る第12の態様の計画作成システム(1)では、第7乃至第11の態様のいずれか1つにおいて、第1単位期間(T1)は月単位で設定され、第3単位期間(T3)は日単位で設定され、第2単位期間(T2)は分単位で設定されていることが好ましい。
【0187】
上述の計画作成システム(1)は、月毎の作業計画(D2)を作成できる。
【0188】
実施形態に係る第13の態様の計画作成システム(1)は、第12の態様において、記憶部(1a)を更に備えることが好ましい。記憶部(1a)は、第3単位期間(T3)に行われる複数の業務のそれぞれに最小工数(N12)及び実施時間帯を関連付けた業務計画データ(D11)を記憶する。業務計画データ(D11)は、第3単位期間(T3)の属性に相当するベースパターンに応じて、複数の業務のそれぞれの最小工数(N12)及び実施時間帯を設定されている。最小工数設定部(1c)は、業務計画データ(D11)に基づいて、複数の第2単位期間(T2)のそれぞれに最小工数(N12)を割り当てる。
【0189】
上述の計画作成システム(1)は、複数の第3単位期間(T3)をベースパターン毎に分類し、業務計画データ(D11)をベースパターン毎に使い分けることで、業務計画データ(D11)に第3単位期間(T3)の属性を反映させることができる。この結果、計画作成システム(1)が作成した作業計画(D2)は、組織(P1)の運営効率を向上させることができる。
【0190】
実施形態に係る第14の態様の計画作成システム(1)では、第13の態様において、業務計画データ(D11)では、第3単位期間(T3)のベースパターンが土曜日及び日曜日を含む特定日であれば、当該第3単位期間(T3)を構成する第2単位期間(T2)に設定される最小工数(N12)は、第3単位期間(T3)のベースパターンが特定日以外であるときに比べて多いことが好ましい。
【0191】
上述の計画作成システム(1)が作成した作業計画(D2)は、組織(P1)の運営効率を向上させることができる。
【0192】
実施形態に係る第15の態様の計画作成システム(1)では、第13の態様において、業務計画データ(D11)では、第3単位期間(T3)のベースパターンが土曜日、日曜日、及び祝日を含む特定日であれば、当該第3単位期間(T3)を構成する第2単位期間(T2)に設定される最小工数(N12)は、第3単位期間(T3)のベースパターンが特定日以外であるときに比べて少ないことが好ましい。
【0193】
上述の計画作成システム(1)が作成した作業計画(D2)は、組織(P1)の運営効率を向上させることができる。
【0194】
実施形態に係る第16の態様の計画作成システム(1)では、第1乃至第12の態様のいずれか1つにおいて、複数の業務のうち少なくとも一部の業務には、当該業務の優先度である業務優先度がそれぞれ設定されていることが好ましい。追加部(1f)は、業務優先度に基づいて、追加割当処理を行う業務を少なくとも一部の業務から選択する。
【0195】
上述の計画作成システム(1)が作成した作業計画(D2)は、組織(P1)の運営効率を向上させることができる。
【0196】
実施形態に係る第17の態様の計画作成システム(1)では、第13乃至15のいずれか1つの態様のいずれか1つにおいて、複数の業務のうち少なくとも一部の業務には、当該業務の優先度である業務優先度がそれぞれ設定されていることが好ましい。追加部(1f)は、業務優先度に基づいて、追加割当処理を行う業務を少なくとも一部の業務から選択する。
【0197】
上述の計画作成システム(1)が作成した作業計画(D2)は、組織(P1)の運営効率を向上させることができる。
【0198】
実施形態に係る第18の態様の計画作成システム(1)では、第17の態様において、業務計画データ(D11)は、複数の業務のそれぞれに業務優先度を更に関連付けていることが好ましい。
【0199】
上述の計画作成システム(1)が作成した作業計画(D2)は、組織(P1)の運営効率を向上させることができる。
【0200】
実施形態に係る第19の態様の計画作成システム(1)では、第18の態様において、複数の業務は、組織(P1)の売上にかかわらず一定時間又は一定工数発生する固定業務(Wa1、Wa2、…)、及び売上に応じて増減する変動業務(Wb1、Wb2、…)を含むことが好ましい。業務計画データ(D11)は、複数の業務のうち、変動業務(Wb1、Wb2、…)に業務優先度を関連付けている。
【0201】
上述の計画作成システム(1)が作成した作業計画(D2)は、組織(P1)の運営効率を向上させることができる。
【0202】
実施形態に係る第20の態様の計画作成システム(1)では、第1乃至第19の態様のいずれか1つにおいて、出力部(1j)は、最小工数設定部(1c)が複数の業務のそれぞれに最小工数(N12)を割り当てた結果を出力することが好ましい。
【0203】
上述の計画作成システム(1)は、外部システムに最小工数(N12)の割り当て結果を検証させることができる。
【0204】
実施形態に係る第21の態様の計画作成システム(1)は、第1乃至第20の態様のいずれか1つにおいて、作業計画(D2)に基づいて作業者の勤務に関するシフトデータ(D3)を作成するシフトデータ作成部(1i)を更に備えることが好ましい。出力部(1j)は、シフトデータ(D3)を、作業者が使用する情報端末(4)に出力する。
【0205】
上述の計画作成システム(1)は、作業者に自分のシフトデータ(D3)を確認させることができる。
【0206】
実施形態に係る第22の態様の計画管理システム(100)は、第1乃至第21の態様のいずれか1つの計画作成システム(1)と、計画作成システム(1)から作業計画(D2)を受け取る業務管理システム(2)と、を備える。
【0207】
上述の計画管理システム(100)は、投入可能な労働力に基づいて、組織(P1)のパフォーマンスを向上させる作業計画(D2)を作成することができる。
【0208】
実施形態に係る第23の態様の計画管理システム(100)は、第22の態様において、業務管理システム(2)は、最小工数設定部(1c)が複数の業務のそれぞれに最小工数(N12)を割り当てた結果を計画作成システム(1)から受け取り、最小工数の割り当て結果を修正することが好ましい。
【0209】
上述の計画管理システム(100)は、最小工数の割り当て結果を検証することができる。
【0210】
実施形態に係る第24の態様の計画作成方法は、組織(P1)において第1単位期間(T1)に複数の業務を行う作業者の作業計画(D2)を作成する。計画作成方法は、最小工数設定ステップ(S12)と、残工数算出ステップ(S13)と、追加ステップ(S14)と、工数データ作成ステップ(S15)と、作業計画作成ステップ(S16)と、出力ステップ(S18)と、を備える。最小工数設定ステップ(S12)は、複数の業務のそれぞれについて、第1単位期間(T1)を構成する複数の第2単位期間T2のそれぞれに最小の工数である最小工数(N12)を割り当てる。残工数算出ステップ(S13)は、第1単位期間(T1)に投入可能な工数である投入可能工数(N2)から第1単位期間(T1)における複数の最小工数(N12)の合計(月別最小工数N4)を引いた差分を残工数(N5)として求める。追加ステップ(S14)は、複数の業務のうち少なくとも1つの業務について、複数の第2単位期間(T2)のうち少なくとも1つの第2単位期間(T2)に残工数(N5)の少なくとも一部を追加工数(N6)として割り当てる追加割当処理を行う。工数データ作成ステップ(S15)は、複数の業務のそれぞれについて、複数の第2単位期間(T2)のそれぞれに最小工数(N12)及び追加工数(N6)を割り当てた結果を工数データ(D1)として作成する。作業計画作成ステップ(S16)は、工数データ(D1)に基づいて、第1単位期間(T1)における複数の業務と複数の業務のそれぞれを行う作業者とを対応付けた作業計画(D2)を作成する。出力ステップ(S18)は、作業計画(D2)を出力する。
【0211】
上述の計画作成方法は、投入可能な労働力に基づいて、組織(P1)のパフォーマンスを向上させる作業計画(D2)を作成することができる。
【0212】
実施形態に係る第25の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第24の態様の計画作成方法を実行させる。
【0213】
上述のプログラムは、投入可能な労働力に基づいて、組織(P1)のパフォーマンスを向上させる作業計画(D2)を作成することができる。
【符号の説明】
【0214】
1 計画作成システム
1a 記憶部
1b 投入可能工数算出部
1c 最小工数設定部
1d 残工数算出部
1e 繁忙判定部
1f 追加部
1g 工数データ作成部
1h 作業計画作成部
1i シフトデータ作成部
1j 出力部
4 情報端末
100 計画管理システム
D1 工数データ
D2 作業計画
D3 シフトデータ
D11 業務計画データ
T1 対象月(第1単位期間)
T2 対象時間(第2単位期間)
T3 対象日(第3単位期間)
N1 総契約工数
N2 投入可能工数
N3 有給予測工数
N4 月別最小工数
N5 残工数
N6 追加工数
N12 最小工数
N20 日別予測工数(第3予測工数)
N30 月別割当工数
N32 割当工数
K1、K2 割当閾値
P1 組織
Wa1、Wa2、… 固定業務
Wb1、Wb2、… 変動業務
S12 最小工数設定ステップ
S13 残工数算出ステップ
S14 追加ステップ
S15 工数データ作成ステップ
S16 作業計画作成ステップ
S18 出力ステップ