(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141362
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】蓄熱付き温風乾燥システム
(51)【国際特許分類】
F26B 21/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
F26B21/00
F26B21/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047649
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】丸本 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】兼田 慎平
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AC01
3L113AC26
3L113AC48
3L113AC49
3L113AC57
3L113AC67
3L113AC79
3L113BA02
3L113DA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】蓄熱損失を減らして有効利用される熱量を増やすことができ、被乾燥物を効率的に乾燥させることができる、装置および方法を提供する。
【解決手段】被加熱ガスと水分量が被加熱ガスよりも高い熱源ガスとの間で熱交換を行って被加熱ガスを暖め、蓄熱運転時に、熱交換の行われた被加熱ガスを蓄熱材に接触させ、蓄熱材に接触させたガスを系外に抜き出し、放熱運転時に、熱交換の行われていない被加熱ガスを蓄熱材に接触させ、蓄熱材に接触させたガスを被乾燥物を収容した乾燥室に供給し、乾燥室から排出されたガスの全部若しくは一部を熱交換の行われていない被加熱ガスに混ぜる、ことを含む、被乾燥物を乾燥させる方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱材を収容してなる反応器、
被乾燥物を収容できる乾燥室、
被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第1供給ライン、
熱源ガスを反応器に流入させるように構成された第3供給ライン、
反応器から系外にガスを流出させるように構成された第1排出ライン、
反応器から乾燥室にガスを移送するように構成された第1移送ライン、
乾燥室から系外にガスを流出させるように構成された第2排出ライン、
乾燥室から排出されるガスを移送し、反応器に流入するガスに混ぜるように構成された第1戻りライン、および
蓄熱運転時に、第3供給ラインおよび第1排出ラインを開き、第1供給ラインおよび第1移送ラインを閉じるように、且つ
放熱運転時に、第3供給ラインを閉じ、第1供給ライン、第1移送ラインおよび第1戻りラインを開くように構成された、バルブシステムを
を具有する、
乾燥装置。
【請求項2】
蓄熱材を収容してなる反応器、
被乾燥物を収容できる乾燥室、
被加熱ガスと熱源ガスとの間で熱交換を行うように構成された熱交換器、
熱交換の行われていない被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第1供給ライン、
熱交換の行われた被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第2供給ライン、
反応器から系外にガスを流出させるように構成された第1排出ライン、
反応器から乾燥室にガスを移送するように構成された第1移送ライン、
乾燥室から系外にガスを流出させるように構成された第2排出ライン、
乾燥室から排出されるガスを移送し、反応器に流入するガスに混ぜるように構成された第1戻りライン、および
蓄熱運転時に、第2供給ラインおよび第1排出ラインを開き、第1供給ラインおよび第1移送ラインを閉じるように、且つ
放熱運転時に、第2供給ラインを閉じ、第1供給ライン、第1移送ライン及び第1戻りラインを開くように構成された、バルブシステム
を具有する、
乾燥装置。
【請求項3】
蓄熱材を収容してなる反応器、
被乾燥物を収容できる乾燥室、
被加熱ガスと水分量が被加熱ガスよりも高い熱源ガスとの間で熱交換を行うように構成された熱交換器、
熱交換の行われていない被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第1供給ライン、
熱交換の行われた被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第2供給ライン、
熱交換の行われた熱源ガスを反応器に流入させるように構成された第3供給ライン、
反応器から系外にガスを流出させるように構成された第1排出ライン、
反応器から乾燥室にガスを移送するように構成された第1移送ライン、
乾燥室から系外にガスを流出させるように構成された第2排出ライン、
乾燥室から排出されたガスを移送し、反応器に流入するガスに混ぜるように構成された第1戻りライン、および
蓄熱運転時に、第2供給ラインおよび第1排出ラインを開き、第1供給ライン、第1移送ラインおよび第3供給ラインを閉じるように、且つ
放熱運転時に、第2供給ラインを閉じ、第1供給ライン、第3供給ライン、第1移送ライン及び第1戻りラインを開くように構成された、バルブシステム
を具備する、
乾燥装置。
【請求項4】
熱交換の行われた被加熱ガスを乾燥室に流入させるように構成された第2移送ラインをさらに具備する、請求項2または3に記載の乾燥装置。
【請求項5】
被加熱ガスと水分量が被加熱ガスよりも高い熱源ガスとの間で熱交換を行って被加熱ガスを暖め、
蓄熱運転時に、熱交換の行われた被加熱ガスを蓄熱材に接触させ、蓄熱材に接触させたガスを系外に抜き出し、
放熱運転時に、熱交換の行われていない被加熱ガスを蓄熱材に接触させ、蓄熱材に接触させたガスを被乾燥物の収容された乾燥室に供給し、乾燥室から排出されたガスの全部若しくは一部を熱交換の行われていない被加熱ガスに混ぜる、
ことを含む、
被乾燥物を乾燥させる方法。
【請求項6】
熱交換の行われた被加熱ガスを被乾燥物の収容された乾燥室に供給する、ことをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
放熱運転時に、蓄熱材に接触させたガスが被乾燥物を収容した乾燥室の要求物性を満たさない間、蓄熱材に接触させたガスを系外に抜き出す、ことをさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
放熱運転時に、蓄熱材に接触させたガスが被乾燥物を収容した乾燥室の要求物性を満たさない間、蓄熱材に接触させたガスを、蓄熱材に再び接触させる、ことをさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱付き温風乾燥システムに関する。より詳細に、本発明は、蓄熱損失を減らして有効利用される熱量を増やすことができ、被乾燥物を効率的に乾燥させることができる、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学蓄熱装置は、間接熱交換方式と直接熱交換方式とに大別される。
間接熱交換方式の化学蓄熱装置は、反応材が充填された反応器と、水などの作動流体を貯蔵する蒸発/凝縮器とからなり、反応器内に熱交換器が設けられていて熱媒体との間で熱交換が行われる。作動流体は圧力差を推進力として、反応器と蒸発/凝縮器との間を移動する。
直接熱交換方式の化学蓄熱装置は、反応材が充填された反応器のみからなり、反応器内に熱媒体を通して反応材との間で直接に熱交換が行われる。
直接熱交換方式の化学蓄熱装置は、間接熱交換方式の化学蓄熱装置に比べて、放熱操作時に取り出せる温度が低いが、蓄熱量および熱効率が高く、設備コストが低い。直接熱交換方式の化学蓄熱装置において、大気を熱媒体に利用することは、運転コストのさらなる低下に繋がる。しかし、大気は、季節、気候などによって温度、湿度が変化する。装置の安定的な運転のために、大気の温度および湿度を所望の値に調節することが必要である。
【0003】
エネルギーの有効利用および運転コスト低減の観点から化学蓄熱装置の種々の利用法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、化学蓄熱材の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および前記反応生成物の脱水吸熱反応によって前記化学蓄熱材と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有するケミカルヒートポンプを備える燃焼設備において、水素原子を含む燃料を燃焼するバーナが設けられた炉と、前記バーナの燃焼により生じた前記炉の内部の排ガスを排気する排気ラインと、前記化学蓄熱材が収容された反応容器と、前記排気ラインから分岐し前記反応容器の前記化学蓄熱材を貫通するように配置され弁が介設された第1取出ラインと、前記排気ラインから分岐して前記排ガスを前記反応容器に導入可能に配置され弁が介設された第2取出ラインとを備え、前記第2取出ラインの弁を開弁し、前記第2取出ラインに流入した前記炉の排ガスに含まれる水蒸気と前記化学蓄熱材との水和反応により反応生成物と熱を生成させて前記熱を放熱し、前記第1取出ラインの弁を開弁し、前記第1取出ラインに流入した前記炉の排ガスの熱を前記化学蓄熱材の反応生成物に吸熱させて前記化学蓄熱材を生成するように蓄熱することを特徴とする燃焼設備を開示している。
【0005】
特許文献2は、硫化ナトリウムの水和・脱水反応を利用した化学蓄熱で物質の脱水ないし乾燥を行う乾燥法において、水和に要する水分の少なくとも一部に該物質中の含有水分を宛てることを特徴とする化学蓄熱による乾燥法を開示している。
【0006】
特許文献3は、加熱により水蒸気を放出しながら蓄熱するとともに吸湿により放熱する蓄熱材と、洗濯槽に供給する温風を生成するとともに、前記蓄熱材に蓄熱させる熱を生じさせる電気ヒータとを備え、乾燥運転時、予め蓄熱された前記蓄熱材の放熱により生じた熱、及び、前記電気ヒータで生じた熱の双方の熱によって生じた温風を前記洗濯槽に送風することで洗濯物を乾燥することを特徴とする洗濯乾燥機を開示している。この洗濯乾燥機は、乾燥運転時に洗濯槽からの高湿空気を前記蓄熱材に接触させることで前記放熱を行い、蓄熱材との接触により除湿されるとともに放熱により昇温して生成した温風を前記洗濯槽に供給する循環風路を備えるようである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-108697号公報
【特許文献2】特開昭63-6794号公報
【特許文献3】特開2021-180813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、大気の温度および湿度に関わらず、蓄熱損失を減らして有効利用される熱量を増やすことができ、被乾燥物を効率的に乾燥させることができる、装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく検討した結果、以下のような態様を包含する本発明を完成するに至った。
【0010】
〔1〕 蓄熱材を収容してなる反応器、
被乾燥物を収容できる乾燥室、
被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第1供給ライン、
熱源ガスを反応器に流入させるように構成された第3供給ライン、
反応器から系外にガスを流出させるように構成された第1排出ライン、
反応器から乾燥室にガスを移送するように構成された第1移送ライン、
乾燥室から系外にガスを流出させるように構成された第2排出ライン、
乾燥室から排出されるガスを移送し、反応器に流入するガスに混ぜるように構成された第1戻りライン、および
蓄熱運転時に、第3供給ラインおよび第1排出ラインを開き、第1供給ラインおよび第1移送ラインを閉じるように、且つ
放熱運転時に、第3供給ラインを閉じ、第1供給ライン、第1移送ラインおよび第1戻りラインを開くように構成された、バルブシステムを
を具有する、
乾燥装置。
【0011】
〔2〕 蓄熱材を収容してなる反応器、
被乾燥物を収容できる乾燥室、
被加熱ガスと熱源ガスとの間で熱交換を行うように構成された熱交換器、
熱交換の行われていない被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第1供給ライン、
熱交換の行われた被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第2供給ライン、
反応器から系外にガスを流出させるように構成された第1排出ライン、
反応器から乾燥室にガスを移送するように構成された第1移送ライン、
乾燥室から系外にガスを流出させるように構成された第2排出ライン、
乾燥室から排出されるガスを移送し、反応器に流入するガスに混ぜるように構成された第1戻りライン、および
蓄熱運転時に、第2供給ラインおよび第1排出ラインを開き、第1供給ラインおよび第1移送ラインを閉じるように、且つ
放熱運転時に、第2供給ラインを閉じ、第1供給ライン、第1移送ライン及び第1戻りラインを開くように構成された、バルブシステム
を具有する、
乾燥装置。
【0012】
〔3〕 蓄熱材を収容してなる反応器、
被乾燥物を収容できる乾燥室、
被加熱ガスと水分量が被加熱ガスよりも高い熱源ガスとの間で熱交換を行うように構成された熱交換器、
熱交換の行われていない被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第1供給ライン、
熱交換の行われた被加熱ガスを反応器に流入させるように構成された第2供給ライン、
熱交換の行われた熱源ガスを反応器に流入させるように構成された第3供給ライン、
反応器から系外にガスを流出させるように構成された第1排出ライン、
反応器から乾燥室にガスを移送するように構成された第1移送ライン、
乾燥室から系外にガスを流出させるように構成された第2排出ライン、
乾燥室から排出されたガスを移送し、反応器に流入するガスに混ぜるように構成された第1戻りライン、および
蓄熱運転時に、第2供給ラインおよび第1排出ラインを開き、第1供給ライン、第1移送ラインおよび第3供給ラインを閉じるように、且つ
放熱運転時に、第2供給ラインを閉じ、第1供給ライン、第3供給ライン、第1移送ライン及び第1戻りラインを開くように構成された、バルブシステム
を具備する、
乾燥装置。
【0013】
〔4〕 熱交換の行われた被加熱ガスを乾燥室に流入させるように構成された第2移送ラインをさらに具備する、〔2〕または〔3〕に記載の乾燥装置。
【0014】
〔5〕 被加熱ガスと熱源ガスとの間で熱交換を行って被加熱ガスを暖め、
蓄熱運転時に、熱交換の行われた被加熱ガスを蓄熱材に接触させ、蓄熱材に接触させたガスを系外に抜き出し、
放熱運転時に、熱交換の行われていない被加熱ガスを蓄熱材に接触させ、蓄熱材に接触させたガスを被乾燥物の収容された乾燥室に供給し、乾燥室から排出されたガスの全部若しくは一部を熱交換の行われていない被加熱ガスに混ぜる、
ことを含む、
被乾燥物を乾燥させる方法。
【0015】
〔6〕 熱交換の行われた被加熱ガスを被乾燥物の収容された乾燥室に供給する、ことをさらに含む、〔5〕に記載の方法。
【0016】
〔7〕 放熱運転時に、蓄熱材に接触させたガスが被乾燥物を収容した乾燥室の要求物性を満たさない間、蓄熱材に接触させたガスを系外に抜き出す、ことをさらに含む、〔5〕または〔6〕に記載の方法。
【0017】
〔8〕 放熱運転時に、蓄熱材に接触させたガスが被乾燥物を収容した乾燥室の要求物性を満たさない間、蓄熱材に接触させたガスを、蓄熱材に再び接触させる、ことをさらに含む、〔6〕または〔7〕に記載の方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明の装置および方法は、大気の温度および湿度に関わらず、蓄熱損失を減らして有効利用される熱量を増やすことができ、被乾燥物を効率的に乾燥させることができる。反応器内に収容した蓄熱材に被加熱ガスが直接に接触するので熱伝達率が高い。被加熱ガスの湿度が低い場合にも蓄熱材の安定的な放熱を実現できる。
熱交換の行われた被加熱ガスを乾燥室に流入させるように構成された第2移送ラインをさらに具備する本発明の乾燥装置は、乾燥室において被乾燥物を乾燥させている間に、蓄熱材への蓄熱を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の乾燥装置(蓄熱進行・乾燥停止)の構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の乾燥装置(放熱進行・乾燥進行)の構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の乾燥装置(蓄熱進行・乾燥停止)の構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の乾燥装置(放熱進行・乾燥進行)の構成の一例を示す図である。
【
図5】本発明の蓄放熱装置(蓄熱進行・乾燥停止)の構成の一例を示す図である。
【
図6】本発明の蓄放熱装置(放熱開始・乾燥開始)の構成の一例を示す図である。
【
図7】本発明の蓄放熱装置(放熱開始・乾燥開始)の構成の一例を示す図である。
【
図8】本発明の蓄放熱装置(放熱進行・乾燥進行)の構成の一例を示す図である。
【
図9】本発明の蓄放熱装置(蓄熱進行・乾燥進行)の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照しながら、本発明を説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明の範囲はこれら例示によって何等制限されるものでない。
図1~8において、実線矢印のラインはガスが流れていることを、点線のラインはガスが流れていないことを意味する。白抜きの弁は開いていることを、黒塗りの弁は閉じていることを意味する。
【0021】
(第一形態)
図1および
図2に示す、第一形態の乾燥装置は、反応器1、乾燥室10、第1供給ライン5、第3供給ライン7、第1排出ライン8、第1移送ライン9、第2排出ライン13、および第1戻りライン14を具備する。
【0022】
反応器1には、蓄熱材が収容されている。該蓄熱材は、化学反応、吸着などの時の、発熱または吸熱を利用して、放熱または蓄熱を行うことができる物質を主成分(含有率5割超の成分)として含むことが好ましい。蓄熱材の主成分の具体例としては、マグネシウムの水酸化物または酸化物、ストロンチウムの水酸化物または酸化物、バリウムの水酸化物または酸化物、カルシウムの水酸化物または酸化物、硫酸カルシウム、ゼオライト(X型ゼオライト、A型ゼオライト、LXS型ゼオライト、Mg交換A型ゼオライトNa6-2xMgxAl6Si6O48 nH2Oなど)、ハスクレイ(非晶質アルミニウムケイ酸塩(HAS : Hydroxyl Aluminum Silicate)と低結晶性粘土(Clay)とからなる複合体)などを挙げることができる。
【0023】
マグネシウムの水酸化物または酸化物は、水酸化マグネシウムが脱水して酸化マグネシウムに変化する際の吸熱と、酸化マグネシウムが水和して水酸化マグネシウムに変化する際の発熱とを利用する、化学蓄熱材である。マグネシウムの水酸化物または酸化物による放蓄熱作動温度は350℃前後である。
【0024】
ストロンチウムの水酸化物または酸化物は、水酸化ストロンチウムが脱水して酸化ストロンチウムに変化する際の吸熱と、酸化ストロンチウムが水和して水酸化ストロンチウムに変化する際の発熱とを利用する、化学蓄熱材である。
【0025】
バリウムの水酸化物または酸化物は、水酸化バリウムが脱水して酸化バリウムに変化する際の吸熱と、酸化バリウムが水和して水酸化バリウムに変化する際の発熱とを利用する、化学蓄熱材である。
【0026】
カルシウムの水酸化物または酸化物は、水酸化カルシウムが脱水して酸化カルシウムに変化する際の吸熱と、酸化カルシウムが水和して水酸化カルシウムに変化する際の発熱とを利用する、化学蓄熱材である。カルシウムの水酸化物または酸化物による放蓄熱作動温度は500℃前後である。
【0027】
硫酸カルシウムは、硫酸カルシウム0.5水和物が脱水して無水硫酸カルシウムに変化する際の吸熱と、無水硫酸カルシウムが水和して硫酸カルシウム0.5水和物に変化する際の発熱とを利用する、化学蓄熱材である。硫酸カルシウムによる蓄熱作動温度は90℃前後である。
【0028】
ゼオライト、ハスクレイなどは、水分を吸着する際の発熱と、水分を脱着する際の吸熱とを利用する、吸着蓄熱材である。
【0029】
蓄熱材は、機械的強度、熱伝導性などの観点から、熱可塑性樹脂、熱伝導性付与材、無機充填剤、補強繊維、シリカゾル、ケイ酸塩、リン酸塩、セメントなどの添加剤を副成分として含むことができる。
【0030】
熱可塑性樹脂の具体例としては、ジエン系重合体、シリコーン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアリ-レート;ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素含有重合体;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリーエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、アクリル樹脂、水酸基含有アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、イソプレン-イソブチレン共重合体、水添イソプレン-イソブチレン共重合体などのオレフィン系重合体;C4石油樹脂、C5石油樹脂、C5-C9石油樹脂、C9石油樹脂およびこれらの水素化物などの石油樹脂(炭化水素樹脂)を挙げることができる。これらのうち、オレフィン系重合体が好ましく、ポリイソブチレン、イソプレン-イソブチレン共重合体がより好ましい。
熱可塑性樹脂の量は、例えば、蓄熱材主成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上30質量部以下、より好ましくは3質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは4質量部以上15質量部以下である。
【0031】
無機充填剤としては、酸化チタン、酸化ケイ素、アルミナシリケート繊維、Eガラス繊維などを挙げることができる。酸化チタンおよび酸化ケイ素は、粉末状のものであることが好ましい。
無機充填剤の量は、例えば、蓄熱材主成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上55質量部以下、より好ましくは8質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上45質量部以下である。
【0032】
熱伝導性付与材としては、溶融シリカ、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルムニウム、窒化珪素、炭酸マグネシウム、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、酸化ベリリウムなどを挙げることができる。
補強繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、ビニロン繊維、鋼繊維などを挙げることができる。
【0033】
他の添加剤として、活性白土、セピオライト、ベントナイト、パリゴルスタイト、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、黒鉛、フェライトなどを挙げることができる。これらのうち、蓄熱材が多孔質となる添加剤が好ましく用いられる。
【0034】
本発明に用いられる蓄熱材は、公知の成形法によって、球、ラシヒリング、ベルルサドル、ポールリング; ハニカム、板、コルゲートなどの形状にしたものであってもよい。蓄熱材は、反応器の中に、固定床、流動床、または移動床を形成するように収容することができる。
【0035】
乾燥室10には被乾燥物10dが収容できる。被乾燥物は、特に制限されない。例えば、自動車、金属製品、紙などにコートする塗膜、窯業用原料、粉末成形品、成形用樹脂材料などを挙げることができる。乾燥室10は、
図2等に示すような回分式材料静置乾燥方式の乾燥室であってもよいし、連続式材料移送乾燥方式の乾燥室であってもよい。連続式材料移送乾燥方式の乾燥室としては、被乾燥物を熱風中に分散させる形式(噴霧乾燥、気流乾燥、流動層乾燥、回転乾燥など)、被乾燥物を静置させた状態のまま移送させる形式(通気バンド乾燥、トンネル乾燥など)、被乾燥物自体を移動させる形式(噴出流乾燥、通気若しくは並行流乾燥など)、被乾燥物を機械的に撹拌しながら熱風と接触させる形式(多段円盤乾燥、撹拌型乾燥など)を挙げることができる。
【0036】
第一形態の乾燥装置は、蓄熱進行・乾燥停止時(
図1)に、第3供給ライン7および第1排出ライン8を開き、第1供給ライン5および第1移送ライン9を閉じるように構成され、且つ放熱進行・乾燥進行時(
図2)に、第3供給ライン7を閉じ、第1供給ライン5、第1移送ライン9および第1戻りライン14を開くように構成された、バルブシステムを具有する。
【0037】
第3供給ライン7は、熱源ガス3を反応器に流入させるように構成されている。第1排出ラインは、反応器から系外11にガスを流出させるように構成されている。熱源ガスとしては、例えば、ボイラやガスタービンなどから排出される使用済みの燃焼ガス(燃焼排ガス)などを挙げることができる。燃焼排ガスは脱硝処理、脱硫処理、脱炭酸処理、脱水処理などの浄化処理を施したものであってもよいし、浄化処理を施してないものであってもよい。熱源ガスに含まれる微量成分が蓄熱材に付着して蓄熱材の劣化を招くおそれがあるときや熱源ガスに水分が多く含まれるために蓄熱反応が進み難いときは、浄化処理、除湿処理などを施した熱源ガスを利用することが好ましい。熱源ガスが反応器1を通過するときに蓄熱材が熱源ガスから熱エネルギーを受け取り蓄える。
【0038】
第1供給ライン5は、被加熱ガス4を反応器に流入させるように構成されている。第1移送ライン9は、反応器から乾燥室にガスを移送するように構成されている。第2排出ライン13は、乾燥室から系外にガスを流出させるように構成されている。第1戻りライン14は、乾燥室から排出されるガスを移送し、反応器に流入するガスに混ぜるように構成されている。被加熱ガスは、少なくとも水分を含むガスが好ましく、例えば、大気などである。被加熱ガスが反応器を通過するときに蓄熱材が被加熱ガスを除湿し暖める。高温低湿となったガスを乾燥室に送り、被乾燥物を乾かす。乾燥室から排出される高湿度のガスは第1戻りラインによって移送され反応器を通過し、加温および除湿が施される。大気などである被加熱ガスが、低湿度である場合でも、第1戻りラインからのガスによって反応器内の蓄熱材が熱を発するので、効率的且つ安定的に被乾燥物の乾燥を行うことができる。
【0039】
(第二形態)
図3および
図4に示す、第二形態の乾燥装置は、反応器1、乾燥室10、熱交換器2、第1供給ライン5、第2供給ライン6、第1排出ライン8、第1移送ライン9、第2排出ライン13および第1戻りライン14を具備する。第二形態の乾燥装置における反応器1および乾燥室10は、第一形態の乾燥装置におけるそれらと同じ構成であることができる。
【0040】
熱交換器2は、被加熱ガス4と熱源ガス3との間で熱交換を行うように構成されている。被加熱ガスと熱源ガスとの間での熱交換によって、被加熱ガスは暖められる。熱交換量は、被加熱ガスの流れるラインおよび熱源ガスの流れるラインに設置された流量調節弁a,bの開度を調整することによって、適宜に、変更することができる。
【0041】
熱交換する前の被加熱ガスは、例えば、大気などである。熱交換する前の被加熱ガスは、温度が、例えば、好ましくは-10~50℃、より好ましくは5~35℃である。
【0042】
熱交換する前の熱源ガスは、温度が、例えば、好ましくは120~200℃、より好ましくは140~180℃である。
【0043】
熱交換した後の熱源ガスは、温度が、例えば、好ましくは90~150℃、より好ましくは110~130℃である。
【0044】
第二形態の乾燥装置は、蓄熱進行・乾燥停止時(
図3)に、第2供給ライン6および第1排出ライン8を開き、第1供給ライン5および第1移送ライン9を閉じるように構成され、且つ放熱進行・乾燥進行時(
図4)に、第2供給ライン6を閉じ、第1供給ライン5、第1移送ライン9及び第1戻りライン14を開くように構成された、バルブシステムを具有する。
【0045】
第2供給ラインは、熱交換の行われた被加熱ガスを反応器に流入させるように構成されている。第1排出ラインは、反応器から系外にガスを流出させるように構成されている。熱交換の行われた被加熱ガス(高温)が反応器1を通過するときに蓄熱材が被加熱ガス(高温)から熱エネルギーを受け取り蓄える。
蓄熱運転時に反応器に流入するガスは、温度が、例えば、好ましくは100~180℃、より好ましくは120~160℃である。
蓄熱運転時に反応器から流出するガスは、温度が、例えば、好ましくは70~150℃、より好ましくは90~130℃である。蓄熱運転時に反応器から流出するガスは、第1排出ライン8を経て、系外に抜き出される。これにより、凝縮器を設置する必要が無くなる。第3排出ライン15は、熱交換の行われた熱源ガスを系外に抜き出すように構成されている。熱源ガスが浄化処理を施してないガスであるときは、第3排出ライン15の先に浄化処理装置を設けることができる。
【0046】
第1供給ラインは、熱交換の行われていない被加熱ガスを反応器に流入させるように構成されている。第1移送ラインは、反応器から乾燥室にガスを移送するように構成されている。第2排出ラインは、乾燥室から系外にガスを流出させるように構成されている。第1戻りラインは、乾燥室から排出されるガスを移送し、反応器に流入するガスに混ぜるように構成されている。大気などの被加熱ガスが第1供給ライン経由で反応器を通過するときに蓄熱材が被加熱ガスを除湿し暖める。高温低湿となったガスを乾燥室に送り、被乾燥物を乾かす。放熱運転時に反応器から流出するガスは、水分量が少ないので、乾燥効率が高い。乾燥室から排出される高湿度のガスの一部または全部は第1戻りラインによって移送され反応器を通過し、加温および除湿が施され、再び乾燥室に送られる。乾燥室から排出される高湿度のガスの残部は第二排出ライン13を経て系外に送られる。
【0047】
第1供給ライン5を経て反応器1に流入するガスと第1戻りラインを経て反応器1に流入するガスとの比率を適宜調整することによって、放熱運転時に反応器に流入するガスの温度および水分量を変更できる。
【0048】
放熱運転時に反応器に流入するガスは、温度が、例えば、好ましくは20~80℃、より好ましくは40~60℃である。放熱運転時に反応器に流入するガスは、水分量が、蓄熱運転時に反応器に流入するガスよりも多く、例えば、好ましくは3~8体積%、より好ましくは4~6体積%である。なお、放熱運転時に反応器に流入するガスの温度および水分量は、この例示に限定されない。
【0049】
放熱運転時に反応器から流出するガスは、温度が、例えば、好ましくは70~150℃、より好ましくは90~130℃である。放熱運転時に反応器から流出するガスは、水分量が、例えば、好ましくは0~0.5体積%、より好ましくは0体積%である。
【0050】
(第三形態)
図5~
図9に示す、第三形態の乾燥装置は、反応器1、乾燥室10、熱交換器2、第1供給ライン5、第2供給ライン6、第3供給ライン7、第1排出ライン8、第1移送ライン9、第2排出ライン13、および第1戻りライン14を具備する。第三形態の乾燥装置における反応器1、乾燥室10、熱交換器2は、第一形態の乾燥装置におけるそれらと同じ構成であることができる。
【0051】
第三形態の乾燥装置は、蓄熱進行・乾燥停止時(
図5)に、第2供給ラインおよび第1排出ラインを開き、第1供給ライン、第1移送ラインおよび第3供給ラインを閉じるように構成され、且つ放熱進行・乾燥進行時(
図8)に、第2供給ラインを閉じ、第1供給ライン、第3供給ライン、第1移送ライン及び第1戻りラインを開くように構成された、バルブシステムを具有する。
【0052】
第2供給ラインは、熱交換の行われた被加熱ガスを反応器に流入させるように構成されている。第1排出ラインは、反応器から系外にガスを流出させるように構成されている。熱交換の行われた被加熱ガス(高温)が反応器1を通過するときに蓄熱材が被加熱ガス(高温)から熱エネルギーを受け取り蓄える。
【0053】
第1供給ラインは、熱交換の行われていない被加熱ガスを反応器に流入させるように構成されている。第3供給ラインは、熱交換の行われた熱源ガスを反応器に流入させるように構成されている。第1移送ラインは、反応器から乾燥室にガスを移送するように構成されている。第1戻りラインは、乾燥室から排出されたガスを移送し、反応器に流入するガスに混ぜるように構成されている。第2排出ラインは、乾燥室から系外にガスを流出させるように構成されている。大気などの被加熱ガスが反応器を通過するときに蓄熱材が被加熱ガスを除湿し暖める。高温低湿となったガスを乾燥室に送り、被乾燥物を乾かす。乾燥室から排出される高湿度のガスは第1戻りラインによって移送され反応器を通過し、加温および除湿が施される。
【0054】
第1供給ライン5を経て反応器1に流入するガスと第3供給ライン7を経て反応器1に流入するガスと第1戻りラインを経て反応器1に流入するガスとの比率を適宜調整することによって、放熱運転時に反応器に流入するガスの温度および水分量を変更できる。
【0055】
放熱運転時に反応器に流入するガスは、温度が、例えば、好ましくは20~80℃、より好ましくは40~60℃である。放熱運転時に反応器に流入するガスは、水分量が、蓄熱運転時に反応器に流入するガスよりも多く、例えば、好ましくは3~8体積%、より好ましくは4~6体積%である。放熱運転時に反応器に流入するガスの温度および水分量は、この例示に限定されない。
【0056】
放熱運転の開始直後においては、蓄熱材からの熱エネルギーの放出が充分でないことがあり、反応器から流出したガスの温度が低いことがある。その場合には、蓄熱材に接触させたガスが乾燥室の要求物性を満たさない間、
図7に示すように、第1排出ライン8を開いたままにして系外にガスを抜き出すように構成してもよいし、または
図6に示すように、第1排出ライン8を閉じ、第2戻りライン16を開いて、ガスを反応器に戻し、蓄熱材に再び接触させるように構成してもよい。
【0057】
第2移送ライン12は、熱交換の行われた被加熱ガスを乾燥室に供給するように構成されている。放熱運転時および/または蓄熱運転時において第2移送ライン12を閉じてもよいし、放熱運転時および/または蓄熱運転時において第2移送ライン12を開いて熱交換の行われた被加熱ガスを乾燥室に供給してもよい。蓄熱運転時に乾燥室が熱エネルギーを要求する場合は、第2移送ライン12を開いて、熱交換の行われた被加熱ガスの一部を、乾燥室に供給することができる(
図9)。
【0058】
被乾燥物を乾燥するとき次のようなプロセスが進行する。被乾燥物表面の水分が蒸発する。蒸発した水分は、表面の静止した空気境膜を透過して、対流する空気に達する。対流する空気によって水分が運ばれる。表面の水分が蒸発して希薄になる。材料内部から材料表面に水分が拡散される。材料表面と空気中の水分が平衡となれば(飽和すると)水分の移動は止まる。材料内部と材料表面の水分が平衡になれば水分の移動は止まる。
【0059】
定常乾燥条件下で行われる乾燥は、次の期間を経る。材料予熱期間:初期状態から乾燥条件に適応した状態へ変化する。定率乾燥期間:材料の表面と中心温度がほぼ同一でほぼ一定に保たれ、含水量が時間とともに直線的に減少する。セラミック材の様に硬質の安定している材料では、出来るだけ早く定率乾燥期間から減率乾燥期間に移行することが好ましい。液状塗料では、発泡やワキなどの塗膜欠陥が発生することがあるので、適切な温度勾配を保つことが好ましい。減率乾燥期間前期:表面温度が急速に上昇し始め、中心温度も表面温度に追従して上昇する。減率乾燥期間後期:材料の表面温度が熱源温度近くまでゆっくり上昇する。中心温度は平衡含水率に近づくにつれ急速に上昇し、最終的には熱源の温度に近づく。平衡乾燥期間:材料の表面温度と中心温度は熱源温度に近づく。材料の乾量含水率(含水比)は平衡含水率となり、これ以上水分の移動が生じない。定率乾燥期間は、材料に供給する熱エネルギーと、蒸発潜熱として消費する熱エネルギーとが釣り合うことがなければ出現しない。
【0060】
非定常乾燥条件下で行われる乾燥は、材料予熱期間、表面蒸発期間および減率乾燥期間を経る。材料予熱期間、表面蒸発期間および減率乾燥期間は、被乾燥物(材料)と熱風とが、並流となる場合と向流となる場合とによって、その挙動が異なる。並流においては、高含水率で高温の熱風に接触し、低含水率で比較的に低温の熱風に接触する。表面蒸発期間においては、高温の熱風に触れても材料の温度は湿球温度に保たれる。減率乾燥期間においては熱風温度が下がるので低含水率が要求される用途には不向きかもしれない。一方、向流においては、低含水率で高温の熱風に接触し、高含水率で比較的に低温の熱風に接触するので、並流に比べて、乾燥速度が均一となりやすい。ただ、低含水率で高温の熱風に接触するので被乾燥物の温度が高くなりすぎる場合があるので、被乾燥物に温度制限が有る場合には不向きかもしれない。
【0061】
本発明の乾燥装置または乾燥方法は、非定常乾燥条件下で行われる乾燥および定常乾燥条件下で行われる乾燥のどちらにも適用できるが、定常乾燥条件下で行われる乾燥への適用が好ましく、特に、定常乾燥条件下で行われる乾燥における予熱期間、定率乾燥期間および減率乾燥期間前期への適用がより好ましく、定常乾燥条件下で行われる乾燥における予熱期間、定率乾燥期間への適用がさらに好ましい。
【0062】
本発明の乾燥装置または乾燥方法は、燃焼排ガスなどの熱源ガスから熱エネルギーを汲み上げ、蓄熱材に蓄えることができる。そして、乾燥室の要求に応じて、蓄熱材に蓄えた熱エネルギーを放出し、供給することができる。蓄熱材に蓄えた熱エネルギーが乏しい場合でも、熱源ガスから熱エネルギーを汲み上げ、それを乾燥室に供給することができる。本発明の乾燥装置または乾燥方法は、蓄熱運転時における水の凝縮に起因する熱損失がほとんど無い。本発明の乾燥装置または乾燥方法は、蓄熱損失を減らして有効利用される熱量を増やすことができ、熱エネルギーの不定期な需要に即座に対応することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:反応器
2:熱交換器
3:熱源ガス
4:被加熱ガス
5:第1供給ライン
6:第2供給ライン
7:第3供給ライン
8:第1排出ライン
9:第1移送ライン
10:乾燥室
10d:被乾燥物
11:系外
12:第2移送ライン
13:第2排出ライン
14:第1戻りライン
15:第3排出ライン
16:第2戻りライン
a,b,c,f,i,j:流量調節弁
d,e,g,h,k:開閉弁