(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141363
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/34 20060101AFI20230928BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20230928BHJP
H10B 43/40 20230101ALI20230928BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230928BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G11C16/34 140
H01L27/11582
H01L27/11573
H01L29/78 371
G11C16/04 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047651
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 みな
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA08
5B225BA19
5B225DB02
5B225DB08
5B225DB30
5B225EA05
5B225FA01
5B225FA07
5F083EP18
5F083EP24
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP47
5F083EP48
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5F083ER03
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5F083GA10
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5F083JA19
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
(57)【要約】
【課題】好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1方向に並ぶ第1導電層~第3導電層と、第1方向に並ぶ第4導電層~第6導電層と、第1導電層~第3導電層と、第4導電層~第6導電層と、の間に設けられ、第1方向に延伸する第1半導体層と、第1導電層~第3導電層と、第1半導体層と、の間に設けられた第1部分、及び、第4導電層~第6導電層と、第1半導体層と、の間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、を備える。第1導電層は、第2導電層及び第3導電層の間に設けられる。第4導電層は、第5導電層及び第6導電層の間に設けられる。第1ベリファイ動作において、第1導電層にはベリファイ電圧が、第4導電層にはベリファイ電圧よりも小さい第1電圧が、第2導電層及び第5導電層には読出パス電圧が、第3導電層又は第6導電層には、読出パス電圧よりも小さい第2電圧が供給される。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並ぶ第1導電層~第3導電層と、
前記第1方向に並び、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1導電層~前記第3導電層から離間して配置された第4導電層~第6導電層と、
前記第1導電層~前記第3導電層と、前記第4導電層~前記第6導電層と、の間に設けられ、前記第1方向に延伸し、前記第1導電層~前記第6導電層と対向する第1半導体層と、
前記第1導電層~前記第3導電層と、前記第1半導体層と、の間に設けられた第1部分、及び、前記第4導電層~前記第6導電層と、前記第1半導体層と、の間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と
を備え、
前記第1導電層は、前記第2導電層及び前記第3導電層の間に設けられ、
前記第4導電層は、前記第5導電層及び前記第6導電層の間に設けられ、
前記第1導電層は、前記第2方向において前記第4導電層と並び、
前記第2導電層は、前記第2方向において前記第5導電層と並び、
前記第3導電層は、前記第2方向において前記第6導電層と並び、
前記第1導電層に対応する第1書込動作を実行可能に構成され、
前記第1書込動作は、第1ベリファイ動作を含み、
前記第1ベリファイ動作において、
前記第1導電層に、ベリファイ電圧が供給され、
前記第4導電層に、前記ベリファイ電圧よりも小さい第1電圧が供給され、
前記第2導電層及び前記第5導電層に、前記ベリファイ電圧よりも大きい読出パス電圧が供給され、
前記第3導電層又は前記第6導電層に、前記読出パス電圧よりも小さい第2電圧が供給される
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第6導電層に前記第2電圧が供給される
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第3導電層に前記読出パス電圧が供給される
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第3導電層に、前記読出パス電圧よりも小さく、前記第2電圧よりも大きい第3電圧が供給される
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第3導電層に前記第2電圧が供給される
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第6導電層に前記読出パス電圧が供給される
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第6導電層に、前記読出パス電圧よりも小さく、前記第2電圧よりも大きい第3電圧が供給される
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第2電圧として、前記第1電圧が供給される
請求項1~7のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2電圧として、接地電圧が供給される
請求項1~7のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第4導電層~前記第6導電層と共に前記第1方向に並ぶ第7導電層を備え、
前記第1半導体層は、前記第7導電層と対向し、
前記第4導電層は、前記第5導電層及び前記第7導電層の間に設けられ、
前記第1ベリファイ動作において、前記第7導電層に、前記読出パス電圧が供給される
請求項1~9のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第7導電層は、前記第4導電層と前記第6導電層との間に設けられている
請求項10記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第7導電層と前記第4導電層との間に設けられた第8導電層を備え、
前記第1ベリファイ動作において、前記第8導電層に、前記読出パス電圧が供給される
請求項11記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第7導電層と前記第4導電層との間に設けられた第8導電層を備え、
前記第1ベリファイ動作において、前記第8導電層に、前記第2電圧が供給される
請求項11記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第6導電層は、前記第4導電層と前記第7導電層との間に設けられている
請求項10記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記第6導電層と前記第4導電層との間に設けられた第9導電層を備え、
前記第1ベリファイ動作において、前記第9導電層に、前記第2電圧が供給される
請求項14記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記第1導電層に対応する第1読出動作を実行可能に構成され、
前記第1読出動作において、
前記第1導電層に、前記第1電圧よりも大きく前記読出パス電圧よりも小さい読出電圧が供給され、
前記第4導電層に、前記第1電圧が供給され、
前記第2導電層、前記第3導電層、前記第5導電層及び前記第6導電層に、前記読出パス電圧が供給される
請求項1~15のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記第2導電層に対応する第2書込動作と、
前記第3導電層に対応する第3書込動作と、
前記第1導電層~前記第3導電層に対応する第1消去動作と
を実行可能に構成され、
前記第1消去動作が一度実行されてから、もう一度実行されるまでの間において、
前記第1書込動作は、前記第2書込動作よりも後に実行可能であり、
前記第3書込動作は、前記第1書込動作よりも後に実行可能である
請求項1~16のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載された実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、この基板の表面と交差する方向に積層された複数のゲート電極と、これら複数のゲート電極に対向する半導体層と、ゲート電極及び半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、を備える半導体記憶装置が知られている。ゲート絶縁層は、例えば、窒化シリコン(Si3N4)等の絶縁性の電荷蓄積層やフローティングゲート等の導電性の電荷蓄積層等の、データを記憶可能なメモリ部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5781109号明細書
【特許文献2】特許4510060号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に並ぶ第1導電層~第3導電層と、第1方向に並び、第1方向と交差する第2方向において第1導電層~第3導電層から離間して配置された第4導電層~第6導電層と、第1導電層~第3導電層と、第4導電層~第6導電層と、の間に設けられ、第1方向に延伸し、第1導電層~第6導電層と対向する第1半導体層と、第1導電層~第3導電層と、第1半導体層と、の間に設けられた第1部分、及び、第4導電層~第6導電層と、第1半導体層と、の間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、を備える。第1導電層は、第2導電層及び第3導電層の間に設けられる。第4導電層は、第5導電層及び第6導電層の間に設けられる。第1導電層は、第2方向において第4導電層と並ぶ。第2導電層は、第2方向において第5導電層と並ぶ。第3導電層は、第2方向において第6導電層と並ぶ。また、この実施形態に係る半導体記憶装置は、第1導電層に対応する第1書込動作を実行可能に構成される。第1書込動作は、第1ベリファイ動作を含む。第1ベリファイ動作において、第1導電層には、ベリファイ電圧が供給される。また、第4導電層には、ベリファイ電圧よりも小さい第1電圧が供給される。また、第2導電層及び第5導電層には、ベリファイ電圧よりも大きい読出パス電圧が供給される。また、第3導電層又は第6導電層には、読出パス電圧よりも小さい第2電圧が供給される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図2】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な等価回路図である。
【
図3】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な等価回路図である。
【
図4】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。
【
図5】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図6】複数ビットのデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図7】第1実施形態に係る読出動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
【
図9】第1実施形態に係るプログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図10】第1実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図11】比較例に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図12】第2実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図13】第3実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図14】第3実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図15】第4実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図16】第5実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図17】第6実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントロールダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0011】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0012】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0013】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶ場合がある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0014】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0015】
[第1実施形態]
[構成]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的なブロック図である。
図2及び
図3は、同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な等価回路図である。
【0016】
図1に示す様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、メモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAを制御する周辺回路PCと、を備える。
【0017】
メモリセルアレイMCAは、複数のメモリブロックBLKを備える。メモリブロックBLKは、複数のストリングユニットSUを備える。ストリングユニットSUは、例えば
図2に示す様に、複数のメモリユニットMUを備える。これら複数のメモリユニットMUは、それぞれ、電気的に独立な2つのメモリストリングMSa,MSbを備える。これらメモリストリングMSa,MSbの一端は、それぞれドレイン側選択トランジスタSTDに接続され、これらを介して共通のビット線BLに接続される。メモリストリングMSa,MSbの他端は、共通のソース側選択トランジスタSTSに接続され、これを介して共通のソース線SLに接続される。
【0018】
メモリストリングMSa,MSbは、それぞれ、直列に接続された複数のメモリセルMCを備える。メモリセルMCは、半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。ゲート絶縁層は、データを記憶可能な電荷蓄積層を備える。メモリセルMCのしきい値電圧は、電荷蓄積層中の電荷量に応じて変化する。メモリストリングMSaに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極は、それぞれ、ワード線WLaに接続されている。また、メモリストリングMSbに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極は、それぞれ、ワード線WLbに接続されている。ワード線WLa,WLbは、それぞれ、メモリブロックBLK中の全てのメモリユニットMUに接続されている。
【0019】
選択トランジスタ(STD、STS)は、半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。メモリストリングMSaに対応するドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極は、ドレイン側選択ゲート線SGDaに接続されている。メモリストリングMSbに対応するドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極は、ドレイン側選択ゲート線SGDbに接続されている。ドレイン側選択ゲート線SGDa,SGDbは、ストリングユニットSU中の全てのメモリユニットMUに接続されている。ソース側選択トランジスタSTSのゲート電極は、ソース側選択ゲート線SGSに接続されている。ソース側選択ゲート線SGSは、メモリブロックBLK中の全てのメモリユニットMUに接続されている。
【0020】
周辺回路PCは、例えば
図1に示す様に、メモリセルアレイMCAに接続されたロウデコーダRDa,RDbと、メモリセルアレイMCAに接続されたセンスアンプモジュールSAMと、ロウデコーダRDa,RDb及びセンスアンプモジュールSAMに接続された電圧生成回路VGと、を備える。また、周辺回路PCは、図示しないシーケンサ、アドレスレジスタ、ステータスレジスタ等を備える。
【0021】
ロウデコーダRDaは、例えば
図3に示す様に、ブロックデコーダBLKDaと、ワード線デコーダWLDaと、ドライバ回路DRVaと、を備える。
【0022】
ブロックデコーダBLKDaは、メモリセルアレイMCA中の複数のメモリブロックBLKに対応して設けられた複数のブロックデコードユニットblkdaを備える。ブロックデコードユニットblkdaは、メモリブロックBLK中の複数のワード線WLaに対応して設けられた複数のトランジスタTBLKを備える。トランジスタTBLKは、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTBLKのドレイン電極は、ワード線WLaに接続されている。トランジスタTBLKのソース電極は、配線CGに接続されている。配線CGは、ブロックデコーダBLKDa中の全てのブロックデコードユニットblkdaに接続されている。トランジスタTBLKのゲート電極は、信号供給線BLKSELに接続されている。信号供給線BLKSELは、全てのブロックデコードユニットblkdaに対応して複数設けられている。また、信号供給線BLKSELは、ブロックデコードユニットblkda中の全てのトランジスタTBLKに接続されている。
【0023】
読出動作、書込動作等においては、例えば、図示しないアドレスレジスタ中のブロックアドレスに対応する一つの信号供給線BLKSELが“H”状態となり、その他の信号供給線BLKSELが“L”状態となる。例えば、一つの信号供給線BLKSELに正の大きさを有する所定の駆動電圧が供給され、その他の信号供給線BLKSELに接地電圧VSS等が供給される。これにより、このブロックアドレスに対応する一つのメモリブロックBLK中の全てのワード線WLaが全ての配線CGと導通する。また、その他のメモリブロックBLK中の全てのワード線WLaがフローティング状態となる。
【0024】
ワード線デコーダWLDaは、メモリストリングMSa中の複数のメモリセルMCに対応して設けられた複数のワード線デコードユニットwldaを備える。図示の例において、ワード線デコードユニットwldaは、2つのトランジスタTWLを備える。トランジスタTWLは、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTWLのドレイン電極は、配線CGに接続されている。トランジスタTWLのソース電極は、配線CGS又は配線CGUに接続されている。トランジスタTWLのゲート電極は、信号供給線WLSELS又は信号供給線WLSELUに接続されている。信号供給線WLSELSは、全てのワード線デコードユニットwldaに含まれる一方のトランジスタTWLに対応して複数設けられている。信号供給線WLSELUは、全てのワード線デコードユニットwldaに含まれる他方のトランジスタTWLに対応して複数設けられている。
【0025】
読出動作、書込動作等においては、例えば、図示しないアドレスレジスタ中のページアドレスに対応する一つのワード線デコードユニットwldaに対応する信号供給線WLSELSが“H”状態となり、これに対応するWLSELUが“L”状態となる。また、それ以外のワード線デコードユニットwldaに対応する信号供給線WLSELSが“L”状態となり、これに対応するWLSELUが“H”状態となる。また、配線CGSには、選択ワード線WLaに対応する電圧が供給される。また、配線CGUには、非選択ワード線WLaに対応する電圧が供給される。これにより、上記ページアドレスに対応する一つのワード線WLaに、選択ワード線WLaに対応する電圧が供給される。また、その他のワード線WLaに、非選択ワード線WLaに対応する電圧が供給される。尚、図示しないアドレスレジスタ中のページアドレスが、ワード線WLaではなくワード線WLbに対応する場合には、全てのワード線WLaに、非選択ワード線WLaに対応する電圧が供給される場合もある。
【0026】
ドライバ回路DRVaは、例えば、配線CGS及び配線CGUに対応して設けられた2つのドライバユニットdrvaを備える。ドライバユニットdrvaは、複数のトランジスタTDRVを備える。トランジスタTDRVは、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTDRVのドレイン電極は、配線CGS又は配線CGUに接続されている。トランジスタTDRVのソース電極は、電圧供給線LVG又は電圧供給線LPに接続されている。電圧供給線LVGは、電圧生成回路VGの複数の出力端子のうちの一つに接続されている。電圧供給線LPは、接地電圧VSSが供給されるボンディングパッド電極Pに接続されている。トランジスタTDRVのゲート電極は、信号供給線VSELに接続されている。
【0027】
読出動作、書込動作等においては、例えば、一つのドライバユニットdrvaに対応する複数の信号供給線VSELのいずれかが“H”状態となり、その他の信号供給線VSELが“L”状態となる。
【0028】
ロウデコーダRDbは、ロウデコーダRDaとほぼ同様に構成される。ただし、ロウデコーダRDb中のトランジスタTBLK,TWL,TDRV、配線CG,CGS,CGU等は、ワード線WLaではなく、ワード線WLbに電気的に接続されている。
【0029】
電圧生成回路VGは、例えば
図3に示す様に、複数の電圧生成ユニットvgを備える。電圧生成ユニットvgは、読出動作、書込動作等において、所定の大きさの電圧を生成し、上記電圧供給線L
VGを介して出力する。電圧生成ユニットvgは、例えば、チャージポンプ回路等の昇圧回路であっても良いし、レギュレータ等の降圧回路であっても良い。
【0030】
センスアンプモジュールSAM(
図1)は、複数のビット線BL(
図2)に対応して設けられた図示しない複数のセンスアンプユニットを備える。センスアンプユニットは、ビット線BLに電気的に接続されたゲート電極を備えるセンストランジスタと、センストランジスタのドレイン電極に接続された複数のデータラッチ回路と、これら複数のデータラッチ回路のうちの一つのデータに応じてビット線BLの電圧を調整する電圧調整回路と、を備える。
【0031】
次に、
図4及び
図5を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を説明する。
図4は、本実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。
図5は、本実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0032】
図4に示す様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、半導体基板100を備える。半導体基板100は、例えば、p型の不純物を含む単結晶シリコン(Si)等の半導体基板である。半導体基板の上面には、n型の不純物を含むn型ウェルと、p型の不純物を含むp型ウェルと、が設けられている。尚、半導体基板100の表面には、例えば、周辺回路PC(
図1)の少なくとも一部を構成するトランジスタや配線等が設けられている。
【0033】
半導体基板100の上方には、ストリングユニットSUが設けられている。
【0034】
ストリングユニットSUは、例えば
図4に示す様に、Y方向に並ぶ複数の積層体構造LSと、これら複数の積層体構造LSの間に設けられたトレンチ構造ATと、を備える。積層体構造LSは、Z方向に積層された複数の導電層110を備える。トレンチ構造ATは、X方向に並ぶ複数のメモリストリング構造MSSを備える。各メモリストリング構造MSSは、Z方向に延伸する略有底円筒状の半導体層120と、積層体構造LS及び半導体層120の間に設けられたゲート絶縁層130と、半導体層120の中心部分に設けられた酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層140と、を備える。また、X方向に並ぶ複数のメモリストリング構造MSSの間には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層150が設けられている。
【0035】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層であり、例えば窒化チタン(TiN)とタングステン(W)との積層膜、又は、不純物が注入された多結晶シリコン(Si)等の導電層である。一部の導電層110は、それぞれ、ワード線WLa又はワード線WLb、及び、メモリセルMC(
図2)のゲート電極として機能する。また、これよりも上方に位置する一部の導電層110は、ドレイン側選択ゲート線SGDa又はドレイン側選択ゲート線SGDb、及び、ドレイン側選択トランジスタSTD(
図2)のゲート電極として機能する。
【0036】
複数の導電層110の下方には、例えば導電層110と同様の材料を含む導電層111が設けられている。導電層111は、ソース側選択ゲート線SGS及びソース側選択トランジスタSTS(
図2)のゲート電極として機能する。
【0037】
複数の導電層110の間、最下層の導電層110及び導電層111の間、並びに、導電層111及び半導体基板100の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層101が設けられている。
【0038】
尚、
図5の例では、導電層110のゲート絶縁層130との接触面113が、絶縁層140の中心軸を中心とする略円状の領域(例えば、円状、楕円状、長円状又はその他の形状の領域)の外周に沿って、曲線状に形成されている。また、導電層110の絶縁層150との接触面114は、X方向に延伸する直線状に形成されている。
【0039】
以下、Y方向に並ぶ複数の積層体構造LSのうち、Y方向の一方側から数えて偶数番目又は奇数番目の積層体構造LSに含まれる複数の導電層110を導電層110aと呼ぶ場合がある。また、それ以外の積層体構造LSに含まれる複数の導電層110を導電層110bと呼ぶ場合がある。
【0040】
導電層110aは、メモリストリングMSaに含まれるメモリセルMCのゲート電極及びワード線WLa、又は、メモリストリングMSaに含まれるドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極及びドレイン側選択ゲート線SGDa等として機能する。
【0041】
導電層110bは、メモリストリングMSbに含まれるメモリセルMCのゲート電極及びワード線WLb、又は、メモリストリングMSbに含まれるドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極及びドレイン側選択ゲート線SGDb等として機能する。
【0042】
半導体層120は、例えば、ノンドープの多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層120は、上述の通り、略有底円筒状の形状を有する。尚、以下の説明では、半導体層120のうち、複数の導電層110aと対向する領域を領域120a(
図5)と呼び、複数の導電層110bと対向する領域を領域120b(
図5)と呼ぶ場合がある。領域120aは、メモリストリングMSa(
図2)に含まれる複数のメモリセルMC及びドレイン側選択トランジスタSTDのチャネル領域として機能する。領域120bは、メモリストリングMSb(
図2)に含まれる複数のメモリセルMC及びドレイン側選択トランジスタSTDのチャネル領域として機能する。
【0043】
半導体層120の下端には、半導体層121(
図4)が接続されている。半導体層121は、Y方向において隣り合う2つの導電層111に対向する。半導体層121は、単結晶シリコン(Si)等の半導体層であり、ソース側選択トランジスタSTS(
図2)のチャネル領域として機能する。半導体層121及び導電層111の間には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層123が設けられる。
【0044】
尚、
図4の例では、半導体基板100がソース線SL(
図2)の一部として機能し、半導体層120が半導体層121及び半導体基板100を介して周辺回路PCに電気的に接続されている。しかしながら、この様な構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、半導体層121を省略し、メモリブロックBLKの下方又は上方にソース線SL(
図2)の一部として機能する配線等を設け、この配線等を介して半導体層120と周辺回路PCとを電気的に接続しても良い。
【0045】
ゲート絶縁層130は、略円筒状の形状を有し、半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。ゲート絶縁層130は、半導体層120側から導電層110側にかけて設けられた、酸化シリコン(SiO2)等のトンネル絶縁層131と、窒化シリコン(SiN)等の電荷蓄積層132と、酸化シリコン(SiO2)等のブロック絶縁層133と、を備える。
【0046】
尚、以下の説明では、電荷蓄積層132のうち、導電層110aと半導体層120の領域120aとの間に設けられた領域を領域132a(
図5)と呼び、導電層110bと半導体層120の領域120bとの間に設けられた領域を領域132b(
図5)と呼ぶ場合がある。同様に、以下の説明では、トンネル絶縁層131のうち、上記領域120aと領域132aとの間に設けられた領域を領域131a(
図5)と呼び、上記領域120bと領域132bとの間に設けられた領域を第2領域131b(
図5)と呼ぶ場合がある。
【0047】
[メモリセルMCのしきい値電圧]
次に、
図6を参照して、メモリセルMCのしきい値電圧について説明する。
【0048】
上述の通り、メモリセルアレイMCAは、複数のメモリセルMCを備える。これら複数のメモリセルMCに書込動作が実行された場合、これらメモリセルMCのしきい値電圧は複数通りのステートに制御される。
【0049】
図6は、複数ビットのデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。横軸はワード線WLa,WLbの電圧を示しており、縦軸はメモリセルMCの数を示している。
【0050】
図6には、メモリセルMCのしきい値電圧の分布を3つ図示している。例えば、Erステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、読出遮断電圧V
OFFよりも大きく、読出電圧V
CGARより小さい。また、Aステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、読出電圧V
CGARよりも大きく、読出電圧V
CGBRよりも小さい。尚、Aステートのしきい値分布に含まれる最も小さいしきい値電圧の大きさは、ベリファイ電圧V
VFYAの大きさ程度である。また、Bステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、読出電圧V
CGBRよりも大きい。尚、Bステートのしきい値分布に含まれる最も小さいしきい値電圧の大きさは、ベリファイ電圧V
VFYBの大きさ程度である。また、全てのメモリセルMCのしきい値電圧は、読出パス電圧V
READよりも小さい。
【0051】
これらのしきい値分布には、それぞれ、1ビット又は複数ビットのデータが割り当てられる。
【0052】
例えばメモリセルMCに3ビットのデータが割り当てられる場合、メモリセルMCのしきい値電圧は、23=8通りのしきい値分布のいずれかに属する様に制御される。また、これら8通りのしきい値分布に、“0,0,0”,“0,0,1”,“0,1,0”,“0,1,1”,“1,0,0”,“1,0,1”,“1,1,0”,“1,1,1”のいずれかのデータが割り当てられる。
【0053】
また、例えばメモリセルMCに1ビットのデータが割り当てられる場合、メモリセルMCのしきい値電圧は、21=2通りのしきい値分布のいずれかに属する様に制御される。また、これら2通りのしきい値分布に、“0”,“1”のいずれかのデータが割り当てられる。
【0054】
[読出動作]
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作について説明する。
図7は、同読出動作について説明するための模式的な断面図である。尚、本実施形態に係る読出動作は、指定されたメモリブロックBLK中の指定されたストリングユニットSUに含まれ、且つ、指定されたワード線WLa又はワード線WLbに接続された全てのメモリセルMCに対して一括して実行される。以下、この様な複数のメモリセルMCを含む構成を、ページ部と呼ぶ場合がある。
図7では、メモリストリングMSaに対応するページ部に対して読出動作を実行する例について説明する。
【0055】
尚、以下の説明では、非選択ワード線WLaのうち、選択ワード線WLaよりもビット線BL側に位置するものを、表面ドレイン側ワード線WLaと呼ぶ場合がある。また、非選択ワード線WLaのうち、選択ワード線WLaよりもソース線SL側に位置するものを、表面ソース側ワード線WLaと呼ぶ場合がある。
【0056】
また、以下の説明では、選択ワード線WLaとY方向において隣り合うワード線WLbを、隣接ワード線WLbと呼ぶ場合がある。また、非選択ワード線WLbのうち、隣接ワード線WLbよりもビット線BL側に位置するものを、裏面ドレイン側ワード線WLbと呼ぶ場合がある。また、非選択ワード線WLbのうち、隣接ワード線WLbよりもソース線SL側に位置するものを、裏面ソース側ワード線WLbと呼ぶ場合がある。
【0057】
図7に示す様に、読出動作においては、選択ワード線WLaに読出電圧V
CGXR(
図6の読出電圧V
CGAR,V
CGBR又はその他の読出電圧)を供給し、非選択ワード線WLaに読出パス電圧V
READを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDaに電圧V
SGを供給する。また、隣接ワード線WLbに読出遮断電圧V
OFFを供給し、その他の非選択ワード線WLbに読出パス電圧V
READを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDbに接地電圧V
SSを供給する。また、ソース側選択ゲート線SGSに電圧V
SGを供給し、半導体基板100にソース電圧V
SRCを供給する。
【0058】
尚、電圧VSGは、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSがON状態となる程度の電圧であり、接地電圧VSSよりも大きい。ソース電圧VSRCは、接地電圧VSSと同程度の大きさの電圧であり、接地電圧VSSよりも大きい。
【0059】
これにより、半導体層120に、ビット線BLと選択メモリセルMCのチャネル領域とを導通させる電子のチャネル、及び、ソース線SLと選択メモリセルMCのチャネル領域とを導通させる電子のチャネルが形成される。また、選択メモリセルMCの電荷蓄積層132に蓄積された電荷量に応じて、選択メモリセルMCがON状態又はOFF状態となる。周辺回路PC(
図1)は、例えば、ビット線BLの電圧の高低、又は、ビット線BLに流れる電流の大小を検出することにより、メモリセルMCに記録されたデータを判定する。
【0060】
[書込動作]
次に、
図8~
図10を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の書込動作について説明する。
図8は、同書込動作について説明するための模式的なフローチャートである。
図9は、プログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
図10は、ベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。尚、本実施形態に係る書込動作は、指定されたページ部内のメモリセルMCに対して一括して実行される。
図9及び
図10では、メモリストリングMSaに対応するページ部に対して書込動作を実行する例について説明する。
【0061】
ステップS101(
図8)では、ループ回数n
Wを1に設定する。ループ回数n
Wは、レジスタ等に記録される。
【0062】
ステップS102では、プログラム動作を実行する。
【0063】
プログラム動作に際しては、例えば、複数の選択メモリセルMCのうちしきい値電圧の調整を行うものに接続されたビット線BL(
図2)にソース電圧V
SRCを供給し、複数の選択メモリセルMCのうちしきい値電圧の調整を行わないものに接続されたビット線BLに電圧V
DDを供給する。
【0064】
また、
図9に示す様に、選択ワード線WLaにプログラム電圧V
PGMを供給し、非選択ワード線WLa,WLbに書込パス電圧V
PASSを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDa,SGDbに電圧V
SGDを供給し、ソース側選択ゲート線SGSに接地電圧V
SSを供給する。
【0065】
プログラム電圧VPGMは、選択メモリセルMCの電荷蓄積層132に電子を蓄積させる程度の電圧であり、上述の読出パス電圧VREADよりも大きい。書込パス電圧VPASSは、メモリセルMCに記録されたデータに拘わらずメモリセルMCがON状態となる程度の電圧であり、上述の読出パス電圧VREADと同じかそれよりも大きく、プログラム電圧VPGMよりも小さい。電圧VSGDは、ビット線BLにソース電圧VSRCが供給されている場合にはドレイン側選択トランジスタSTDがON状態となり、ビット線BLに所定の駆動電圧が供給されている場合にはドレイン側選択トランジスタSTDがOFF状態となる程度の電圧である。電圧VSGDは、接地電圧VSSよりも大きく、上述の電圧VSGよりも小さい。
【0066】
これにより、半導体層120に、ビット線BLと選択メモリセルMCのチャネル領域とを導通させる電子のチャネルが形成される。また、選択メモリセルMCのチャネル領域の電子がトンネル絶縁層131をトンネルして電荷蓄積層132に蓄積される。
【0067】
ステップS103(
図8)では、ベリファイ動作を実行する。
【0068】
図10に示す様に、ベリファイ動作は、基本的には読出動作と同様に実行される。
【0069】
ただし、ベリファイ動作においては、選択ワード線WLaに、読出電圧V
CGXRではなく、ベリファイ電圧V
VFYX(
図6のベリファイ電圧V
VFYA,V
VFYB又はその他のベリファイ電圧)を供給する。
【0070】
また、ベリファイ動作においては、隣接ワード線WLb、及び、裏面ドレイン側ワード線WLbに読出遮断電圧VOFFを供給し、裏面ソース側ワード線WLbに読出パス電圧VREADを供給する。
【0071】
ステップS104(
図8)では、ベリファイ動作の結果を判定する。例えば、ベリファイ動作においてON状態として検出されたメモリセルMCの割合が一定数以上であった場合にはベリファイFAILと判定し、ステップS105に進む。一方、ベリファイ動作においてON状態として検出されたメモリセルMCの割合が一定数未満であった場合にはベリファイPASSと判定し、ステップS107に進む。
【0072】
ステップS105では、ループ回数nWが所定の回数NWに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS106に進む。達していた場合にはステップS108に進む。
【0073】
ステップS106では、ループ回数n
Wに1を加算して、ステップS102に進む。また、ステップS106では、例えば、プログラム電圧V
PGMに所定の電圧ΔVを加算する。例えば、プログラム電圧V
PGMを出力する電圧生成ユニットvg(
図3)の出力電圧を、電圧ΔVだけ増大させる。
【0074】
ステップS107では、図示しないステータスレジスタに、書込動作が正常に終了した旨のステータスデータを格納し、書込動作を終了する。
【0075】
ステップS108では、図示しないステータスレジスタに、書込動作が正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、書込動作を終了する。
【0076】
[書込動作の対象となるページ部]
本実施形態に係る半導体記憶装置では、消去動作が、メモリブロックBLK内の全てのメモリセルMCに対して一括して実行される。これにより、消去動作直後のメモリブロックBLKに含まれる全てのメモリセルMCは、
図6を参照して説明したErステートに制御される。以下、この様なメモリブロックBLKを、消去済ブロックと呼ぶ場合がある。
【0077】
消去済ブロックに対しては、例えば、下方に設けられたページ部から順に、書込動作が実行される。例えば、
図10の例では、消去動作が実行されてから最初に書込動作が実行されるページ部は、下方から数えて1番目の導電層110aに対応するページ部である。次に書込動作が実行されるページ部は、下方から数えて1番目の導電層110bに対応するページ部である。以下、下方に設けられた導電層110a,110bに対応するページ部に対して、順に書込動作が実行される。以下、一部のページ部に対して書込動作が実行されたメモリブロックBLKを、インプットブロックと呼ぶ場合がある。また、全てのページ部に書込動作が実行されたメモリブロックBLKを、アクティブブロックと呼ぶ場合がある。
【0078】
[比較例]
次に、
図11を参照して、比較例に係るベリファイ動作について説明する。
図11は、比較例に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0079】
比較例に係るベリファイ動作では、
図11に示す様に、隣接ワード線WLbに読出遮断電圧V
OFFを供給し、その他の非選択ワード線WLbに読出パス電圧V
READを供給する。
【0080】
ここで、表面ソース側ワード線WLa及び裏面ソース側ワード線WLbに対応するページ部には、既にデータが書き込まれている。従って、これらのページ部に含まれるメモリセルMCは、
図6を参照して説明したErステート、Aステート、Bステート又はその他のステートに制御されている。
【0081】
一方、表面ドレイン側ワード線WLa及び裏面ドレイン側ワード線WLbに対応するページ部には、データが書き込まれていない。従って、これらのページ部に含まれるメモリセルMCは、全て、
図6を参照して説明したErステートに制御されている。
【0082】
ここで、例えば、アクティブブロックに対して読出動作を実行する場合、表面ドレイン側ワード線WLa及び裏面ドレイン側ワード線WLbに対応するページ部には、全て、書込動作が実行されている。従って、これらのページ部に含まれるメモリセルMCのしきい値電圧は比較的大きく、読出動作に際してビット線BLに流れる電流は、ベリファイ動作に際してビット線BLに流れる電流よりも、小さくなってしまう場合がある。これにより、選択ワード線WLa,WLbに対応するメモリセルMCのしきい値電圧を好適に判定することが出来ず、誤読み出しが発生してしまう恐れがある。
【0083】
[効果]
図10を参照して説明した様に、第1実施形態に係るベリファイ動作では、裏面ドレイン側ワード線WLbに、読出遮断電圧V
OFFを供給する。これにより、ベリファイ動作に際してビット線BLに流れる電流と、読出動作に際してビット線BLに流れる電流と、の大きさを近づけて、誤読み出しの発生を抑制することが可能である。
【0084】
また、
図3を参照して説明した様に、書込動作においては、電圧生成回路VGに含まれる複数の電圧生成ユニットvgが、それぞれ、所定の大きさの電圧を生成して出力する。ここで、第1実施形態に係るベリファイ動作において、裏面ドレイン側ワード線WLbに供給する読出遮断電圧V
OFFは、隣接ワード線WLbに供給する電圧と等しい。従って、第1実施形態に係るベリファイ動作は、一度に供給される電圧の種類を増やすことなく実現可能であり、電圧生成回路VGの回路面積を増大させることなく実現可能である。
【0085】
[第2実施形態]
次に、
図12を参照して、第2実施形態に係るベリファイ動作について説明する。
図12は、第2実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0086】
図10を参照して説明した様に、第1実施形態に係るベリファイ動作においては、裏面ドレイン側ワード線WLbに、読出遮断電圧V
OFFを供給する。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示である。裏面ドレイン側ワード線WLbに供給する電圧は、読出パス電圧V
READよりも小さい電圧であればよい。
【0087】
例えば、
図12に示す様に、第2実施形態に係るベリファイ動作では、裏面ドレイン側ワード線WLbに、読出遮断電圧V
OFFではなく、接地電圧V
SSが供給される。
【0088】
この様な方法によっても、ベリファイ動作に際してビット線BLに流れる電流を抑制可能である。また、接地電圧V
SSは、
図3を参照して説明したボンディングパッド電極Pを介して供給可能であるため、電圧生成回路VGの回路面積を増大させることなく利用可能である。
【0089】
[第3実施形態]
次に、
図13及び
図14を参照して、第3実施形態に係るベリファイ動作について説明する。
図13及び
図14は、第3実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0090】
図10及び
図12を参照して説明した様に、第1実施形態及び第2実施形態に係るベリファイ動作においては、全ての裏面ドレイン側ワード線WLbに、読出パス電圧V
READよりも低い電圧(例えば、読出遮断電圧V
OFF又は接地電圧V
SS)を供給する。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示である。例えば、一部の裏面ドレイン側ワード線WLbに読出パス電圧V
READを供給し、一部の裏面ドレイン側ワード線WLbに読出パス電圧V
READよりも低い電圧を供給してもよい。
【0091】
例えば、
図13に示す様に、第3実施形態に係るベリファイ動作では、複数の裏面ドレイン側ワード線WLbのうち、ある高さ位置よりも上方に設けられたものに読出パス電圧V
READを供給し、ある高さ位置よりも下方に設けられたものに読出パス電圧V
READよりも低い電圧(
図13の例では、読出遮断電圧V
OFF)を供給する。
【0092】
例えば、第1実施形態又は第2実施形態に係るベリファイ動作において、ビット線BLの電流が小さくなりすぎてしまう場合、裏面ドレイン側ワード線WLbに供給する電圧の大きさを調整することにより、ビット線BLの電流を調整することも考えられる。しかしながら、この様な方法を採用した場合、一度に供給される電圧の種類が増えてしまい、電圧生成回路VGの回路面積が増大してしまう場合がある。一方、第3実施形態に係るベリファイ動作によれば、他の配線に供給する電圧のみを利用して、ビット線BLの電流を調整することが可能である。従って、この方法は、電圧生成回路VGの回路面積を増大させることなく実現可能である。
【0093】
尚、
図13に示す様な方法は、あくまでも例示であり、具体的な方法は適宜調整可能である。
【0094】
例えば、
図14に示す様に、第3実施形態に係るベリファイ動作では、複数の裏面ドレイン側ワード線WLbのうち、ある高さ位置よりも下方に設けられたものに読出パス電圧V
READを供給し、ある高さ位置よりも上方に設けられたものに読出パス電圧V
READよりも低い電圧(
図14の例では、読出遮断電圧V
OFF)を供給してもよい。
【0095】
また、
図13及び
図14の例において、読出遮断電圧V
OFFが供給される複数の導電層110bに対して、読出遮断電圧V
OFFのかわりに、その他の電圧(例えば、接地電圧V
SS)を供給してもよい。
【0096】
[第4実施形態]
次に、
図15を参照して、第4実施形態に係るベリファイ動作について説明する。
図15は、第4実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0097】
図13及び
図14を参照して説明した様に、第3実施形態に係るベリファイ動作においては、複数の裏面ドレイン側ワード線WLbのうち、ある高さ位置よりも上方に設けられたもの、及び、ある高さ位置よりも下方に設けられたものの、一方に読出パス電圧V
READを供給し、他方に読出パス電圧V
READよりも低い電圧(例えば、読出遮断電圧V
OFF又は接地電圧V
SS)を供給する。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示である。
【0098】
例えば、
図15に示す様に、第4実施形態に係るベリファイ動作では、複数の裏面ドレイン側ワード線WLbのうち、下方から数えて偶数番目に設けられたもの、及び、下方から数えて奇数番目に設けられたものの、一方に読出パス電圧V
READを供給し、他方に読出パス電圧V
READよりも低い電圧(例えば、読出遮断電圧V
OFF又は接地電圧V
SS)を供給する。
【0099】
[第5実施形態]
次に、
図16を参照して、第5実施形態に係るベリファイ動作について説明する。
図16は、第5実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0100】
図10及び
図12~
図15を参照して説明した様に、第1実施形態~第4実施形態に係るベリファイ動作においては、表面ドレイン側ワード線WLaに、読出パス電圧V
READを供給する。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示である。
【0101】
例えば、
図16に示す様に、第5実施形態に係るベリファイ動作では、表面ドレイン側ワード線WLaに、電圧V
DIMを供給する。電圧V
DIMは、
図6を参照して説明した接地電圧V
SSよりも大きく、読出パス電圧V
READよりも小さい。
【0102】
第5実施形態に係るベリファイ動作は、例えば、第1実施形態又は第2実施形態に係るベリファイ動作において、ビット線BLの電流を十分に抑制できない場合に使用することが考えられる。
【0103】
尚、
図16には、裏面ドレイン側ワード線WLbに、第1実施形態に係るベリファイ動作と同様の電圧を供給する例を示した。しかしながら、第5実施形態に係るベリファイ動作では、裏面ドレイン側ワード線WLbに、第2実施形態~第4実施形態のいずれかに係るベリファイ動作と同様の電圧を供給してもよい。
【0104】
また、
図16には、全ての表面ドレイン側ワード線WLaに、電圧V
DIMを供給する例を示した。しかしながら、第5実施形態に係るベリファイ動作では、一部の表面ドレイン側ワード線WLaに電圧V
DIMを供給し、その他の表面ドレイン側ワード線WLaには読出パス電圧V
READを供給してもよい。
【0105】
[第6実施形態]
次に、
図17を参照して、第6実施形態に係るベリファイ動作について説明する。
図17は、第6実施形態に係るベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【0106】
図10及び
図12~
図16を参照して説明した様に、第1実施形態~第5実施形態に係るベリファイ動作においては、裏面ドレイン側ワード線WLbの少なくとも一部に供給する電圧を、表面ドレイン側ワード線に供給する電圧よりも小さくする。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示である。
【0107】
例えば、
図17に示す様に、第6実施形態に係るベリファイ動作では、表面ドレイン側ワード線WLaの少なくとも一部に供給する電圧を、裏面ドレイン側ワード線に供給する電圧よりも小さくする。具体的には、表面ドレイン側ワード線に、読出パス電圧V
READよりも低い電圧(例えば、読出遮断電圧V
OFF又は接地電圧V
SS)を供給する。また、裏面ドレイン側ワード線に、読出パス電圧V
READを供給する。
【0108】
ここで、第1実施形態~第5実施形態に係る半導体記憶装置では、一つのメモリブロックBLKが、ワード線WLa及びワード線WLbの双方を含む。しかしながら、一つのメモリブロックBLKは、ワード線WLa及びワード線WLbの一方のみを含んでいても良い。換言すれば、ワード線WLaとワード線WLbとは、異なるメモリブロックBLKに含まれていても良い。
【0109】
この様な場合、例えば、導電層110aを含むメモリブロックBLKが上述したインプットブロックであり、導電層110bを含むメモリブロックBLKが上述したアクティブブロックである場合がある。この様な場合、導電層110aに対応するページ部に対して書込動作を実行する場合であっても、裏面ドレイン側ワード線WLbに対応するメモリセルMCを介して電流を流した方が、ベリファイ動作におけるビット線BLの電流と、読出動作におけるビット線BLの電流とを、近づけられる場合がある。
【0110】
尚、
図17には、表面ドレイン側ワード線WLaに、第1実施形態に係るベリファイ動作において裏面ドレイン側ワード線WLbに供給する電圧と、同様の電圧を供給する例を示した。しかしながら、第6実施形態に係るベリファイ動作では、表面ドレイン側ワード線WLaに、第2実施形態~第5実施形態のいずれかに係るベリファイ動作において裏面ドレイン側ワード線WLbに供給する電圧と、同様の電圧を供給してもよい。
【0111】
また、
図17には、裏面ドレイン側ワード線WLbに、読出パス電圧V
READを供給する例を示した。しかしながら、第6実施形態に係るベリファイ動作では、裏面ドレイン側ワード線WLbに電圧V
DIMを供給してもよい。また、一部の裏面ドレイン側ワード線WLbに電圧V
DIMを供給し、その他の裏面ドレイン側ワード線WLbには読出パス電圧V
READを供給してもよい。
【0112】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第6実施形態に係る半導体記憶装置について例示した。しかしながら、以上の態様はあくまでも例示に過ぎず、具体的な態様等は適宜調整可能である。
【0113】
例えば、第1実施形態~第6実施形態に係る半導体記憶装置では、下方に設けられたページ部から順に、書込動作が実行される。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示に過ぎない。例えば、上方に設けられたページ部から順に、書込動作が実行されてもよい。
【0114】
ここで、下方に設けられたページ部から順に書込動作が実行される場合、書込動作では、表面ソース側ワード線WLa及び裏面ソース側ワード線WLbに対応するページ部に含まれるメモリセルMCが、Erステート、Aステート、Bステート又はその他のステートに制御されている。また、表面ドレイン側ワード線WLa及び裏面ドレイン側ワード線WLbに対応するページ部に含まれるメモリセルMCが全てErステートである。従って、ベリファイ動作において、表面ドレイン側ワード線WLa及び裏面ドレイン側ワード線WLbの少なくとも一方の電圧を下げることにより、ベリファイ動作に際してビット線BLに流れる電流と、読出動作に際してビット線BLに流れる電流と、の大きさを近づけることが可能である。
【0115】
一方、上方に設けられたページ部から順に書込動作が実行される場合、書込動作では、表面ドレイン側ワード線WLa及び裏面ドレイン側ワード線WLbに対応するページ部に含まれるメモリセルMCが、Erステート、Aステート、Bステート又はその他のステートに制御されている。また、表面ソース側ワード線WLa及び裏面ソース側ワード線WLbに対応するページ部に含まれるメモリセルMCが全てErステートである。従って、ベリファイ動作において、表面ソース側ワード線WLa及び裏面ソース側ワード線WLbの少なくとも一方の電圧を下げることにより、ベリファイ動作に際してビット線BLに流れる電流と、読出動作に際してビット線BLに流れる電流と、の大きさを近づけることが可能である。
【0116】
従って、上方に設けられたページ部から順に書込動作が実行される場合、ベリファイ動作では、第1実施形態~第6実施形態に係るベリファイ動作において表面ドレイン側ワード線WLa及び裏面ドレイン側ワード線WLbに供給する電圧を、表面ソース側ワード線WLa及び裏面ソース側ワード線WLbに供給することが可能である。また、第1実施形態~第6実施形態に係るベリファイ動作において表面ソース側ワード線WLa及び裏面ソース側ワード線WLbに供給する電圧を、表面ドレイン側ワード線WLa及び裏面ドレイン側ワード線WLbに供給することが可能である。
【0117】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
100…半導体基板、110…導電層、120…半導体層、130…ゲート絶縁層、131…トンネル絶縁層、132…電荷蓄積層、133…ブロック絶縁層。