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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141366
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】計画図面作成支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20230928BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20230928BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20230928BHJP
   G06F 111/18 20200101ALN20230928BHJP
【FI】
G06F30/13
G01C15/00 103
G01C15/00 102C
G06T19/00 600
G06F111:18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047657
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】518304258
【氏名又は名称】株式会社アセス
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】森 裕次
【テーマコード(参考)】
5B050
5B146
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA09
5B050BA11
5B050CA08
5B050DA01
5B050EA19
5B050EA26
5B050FA02
5B146AA04
5B146DC05
5B146DE03
5B146DE06
5B146EA02
5B146EC04
5B146EC08
(57)【要約】
【課題】正確且つ適切な計画図面により能率的な作業の実現を図り、作業コスト及び想定外の負荷発生の抑制を可能とする計画図面作成支援システムを提供すること。
【解決手段】
2次元計画図情報を参照して3次元計画図情報を生成する3次元計画図情報生成部240と、基準点測量情報及び3次元点群データ情報並びにサーフェスデータ情報を参照して3次元現況図情報を生成する3次元現況図情報生成部260と、3次元現況図情報及び3次元計画図情報を参照して3次元仮想設計図情報を生成する3次元仮想設計図情報生成部260とを設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
机上の被対象物のX軸座標情報及びY軸座標情報を有する平面図情報並びに側面図情報、断面図情報または横断図情報から成る2次元計画図情報を格納する2次元計画図情報記憶手段と、
この2次元計画図情報記憶手段に格納された2次元計画図情報を参照して机上のX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報を有する3次元計画図情報を生成する3次元計画図情報生成手段と、
この3次元計画図情報生成手段にて生成される3次元計画図情報を予め設定された規格情報と比較する比較手段と、
この比較手段にて上記規格情報の閾値外とされる情報に対し補正処理を行う補正手段と、
上記被対象物の平面図情報に於けるX軸座標情報及びY軸座標情報と同一座標点にて、当該被対象物が設けられる現実空間に於いて基準点測量を行い基準点情報を生成する基準点測量情報生成手段と、
この基準点測量情報生成手段による基準点情報を参照し上記現実空間を実測し現況の3次元点群データ情報を取得生成する3次元点群データ情報取得生成手段と、
この3次元点群データ情報取得生成手段にて取得生成される3次元点群データ情報を現況のサーフェスデータ情報に変換する変換手段と、
この変換手段にて変換されるサーフェスデータ情報及び上記基準点情報を参照して3次元現況図情報を生成する3次元現況図情報生成手段と、
この3次元現況図情報生成手段にて生成される3次元現況図情報及び上記3次元計画図情報または上記補正手段にて補正される3次元計画図情報を参照して3次元仮想設計図情報を生成する3次元仮想設計図情報生成手段とを具備することを特徴とする計画図面作成支援システム。
【請求項2】
上記3次元仮想設計図情報生成手段にて生成される3次元仮想設計図情報を外部へ送出する機能を有する送出手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の計画図面作成支援システム。
【請求項3】
上記3次元計画図情報生成手段にて生成される3次元計画図情報または上記補正手段にて補正される3次元計画図情報に、上記机上の被対象物に要する施工部位情報及び部材情報を関連付ける機能を有する関連付け情報付与手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の計画図面作成支援システム。
【請求項4】
上記3次元仮想設計図情報生成手段にて生成される3次元仮想設計図情報に、上記3次元計画図情報並びに上記施工部位情報及び部材情報を参照して推奨される詳細部材情報を提供する提供手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の計画図面作成支援システム。
【請求項5】
上記被対象物が設けられることになる現実空間を撮影する撮影手段と、
この撮影手段にて撮影された撮影情報に上記3次元仮想設計図情報を融合して複合現実情報を生成する複合現実情報生成手段と、
この複合現実情報生成手段にて生成された複合現実情報を出力する出力手段とを設けたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の計画図面作成支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元計画データをもとに3次元データ化することにより、土木等の工事計画に於いて正確な工事数量が得られ、施行管理に有用な計画図面作成支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば土木工事に於いては、紙面に描かれた工事計画書に基づいて工事に着手し途中で計画と矛盾が生じた場合、都度工事計画を見直して作業工程等を変更していた。このため、工事のやり直しも含め工程数が大幅に増加し、工事コストを含めた想定外の負荷が増大化するという事態が生じていた。
【0003】
また、工事計画書の見直し作業は、多大な労力と時間を要するものである。2次元CADや3次元CADを利用するにしても、入力すべきデータ量が多く、多大な負荷を強いられるものである。
【0004】
特許文献1には、2次元CAD等で描かれた建築図面データから、その建築図面データにより表現されている建築物を立体的に表示することが可能なデータを作成できる建築図面データ変換プログラム及び建築図面データ変換装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、現実空間に位置や縮尺を合わせて図面情報を投影することが可能な図面投影システムが開示されている。このものは、従来の煩雑な墨出し作業を不要とし、また工事後の検査や完成チェック工程に於いて実際の工事の状況と設計図書とを重畳して見ることにより、作業効率の向上を図ったものである。
【0006】
特許文献3には、現況に沿った真の計画図を精度よく作成することができ、現況図の作成に熟練を要することなく作業時間を大幅に短縮することが可能な測量方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4341980号公報
【特許文献2】特許第6438995号公報
【特許文献3】特開2020-30152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現況に合致した計画図を工事施工前に精度よく適切に作成することが理想的である。例えば、2次元計画図を精度よく適切に3次元計画図にすることにより、正確な工事数量の把握、丁張作業の削減化・低減化及び工事完成後のイメージ像の共有化等が切望されている。しかしながら、斯様な要望を満たすものは現状見当たらない。
【0009】
また、近時のSDGs(Sustainnable Development Goals)の潮流を考慮すると、想定外の作業や計画外の切土、盛土または掘削残土等の処理は決して望ましいものでない。
【0010】
特許文献1に開示されたものは、2次元CAD等で描かれた建築図面データから建築物を立体的に表示することが可能なデータ作成を可能とした建築図面データ変換の手法であり、上記要望を満たすものではない。
【0011】
特許文献2に開示されたものは、現実空間に位置や縮尺を合わせて図面情報を投影可能とすることにより、従来の墨出し作業を不要としたものであり、やはり上記要望を満たすものではない。
【0012】
特許文献3に開示されたものは、現況図及び計画図をもとに3D画像データにて作成可能としているが、上記要望全てを満たすものではない。
【0013】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、正確且つ適切な計画図面により計画の矛盾点を早期に発見可能とし、作業の見直し・やり直しの低減化・削減化を図れ、無用な作業工程、作業コスト及び想定外の負荷の抑制を可能とする計画図面作成支援システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、切土、盛土または掘削残土等を正確に事前に把握できるとともに、施工に要する各種部材を事前に適切に把握可能とする計画図面作成支援システムを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、丁張作業の削減化・低減化及び工事完成後のイメージ像の共有化を可能とする計画図面作成支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために以下の通りの構成とすることを特徴とする。
【0015】
(1) 机上の被対象物のX軸座標情報及びY軸座標情報を有する平面図情報並びに側面図情報、断面図情報または横断図情報から成る2次元計画図情報を格納する2次元計画図情報記憶手段と、この2次元計画図情報記憶手段に格納された2次元計画図情報を参照して机上のX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報を有する3次元計画図情報を生成する3次元計画図情報生成手段と、この3次元計画図情報生成手段にて生成される3次元計画図情報を予め設定された規格情報と比較する比較手段と、この比較手段にて上記規格情報の閾値外とされる情報に対し補正処理を行う補正手段と、上記被対象物の平面図情報に於けるX軸座標情報及びY軸座標情報と同一座標点にて当該被対象物が設けられる現実空間に於いて基準点測量を行い基準点情報を生成する基準点測量情報生成手段と、この基準点測量情報生成手段による基準点情報を参照し上記現実空間を実測し現況の3次元点群データ情報を取得生成する3次元点群データ情報取得生成手段と、この3次元点群データ情報取得生成手段にて取得生成される3次元点群データ情報を現況のサーフェスデータ情報に変換する変換手段と、この変換手段にて変換されるサーフェスデータ情報及び上記基準点情報を参照して3次元現況図情報を生成する3次元現況図情報生成手段と、この3次元現況図情報生成手段にて生成される3次元現況図情報及び上記3次元計画図情報または上記補正手段にて補正される3次元計画図情報を参照して3次元仮想設計図情報を生成する3次元仮想設計図情報生成手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
(2) 上記(1)の構成にあって、上記3次元仮想設計図情報生成手段にて生成される3次元仮想設計図情報を外部へ送出する機能を有する送出手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
(3) 上記(1)または(2)の構成にあって、上記3次元計画図情報生成手段にて生成される3次元計画図情報に、上記机上の被対象物に要する施工部位情報及び部材情報を関連付ける機能を有する関連付け情報付与手段を設けたことを特徴とする。
【0018】
(4) 上記(3)の構成にあって、上記3次元仮想設計図情報生成手段にて生成される3次元仮想設計図情報に、上記3次元計画図情報並びに上記施工部位情報及び部材情報を参照して推奨される詳細部材情報を提供する提供手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
(5) 上記(1)、(2)、(3)または(4)の構成にあって、上記被対象物が設けられることになる現実空間を撮影する撮影手段と、この撮影手段にて撮影された撮影情報に上記3次元仮想設計図情報を融合して複合現実情報を生成する複合現実情報生成手段と、この複合現実情報生成手段にて生成された複合現実情報を出力する出力手段とを設けたことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、正確で適切な計画図面により計画の矛盾点を事前に早期発見でき、作業の見直しまたはやり直しの低減化や削減化を図れるともに、無用な作業工程、作業コスト及び想定外の負荷の発生の抑制を実現できるものである。
【0021】
また、上記構成によれば、切土、盛土または掘削残土の状況等を事前に正確に把握でき、さらに施工に要する各種部材をも事前に適切に把握できるので、適切な施工管理を行え、ポートフォリオ的に最適な事前の準備が可能となるものである。
【0022】
さらに、上記構成によれば、煩わしい丁張作業の削減化または低減化を図れ、また工事完成後の仕上がりイメージ像を工事に係る者全員が違えることなく共有化できるものである。
【0023】
さらに、上記構成によれば、あらたなハードウェアを導入することなく実現可能としたので、実用的で経済的に極めて有用なものである。
【0024】
さらに、上記構成によれば、SDGsの観点からも有益な計画図面作成支援システムを提供できるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、正確且つ適切な3次元の計画図面により計画の矛盾点を早期に発見可能とし、作業の見直しまたはやり直しの低減化若しくは削減化並びに無用な作業工程、作業コスト及び想定外の負荷発生の抑制を実現できる。
また、本発明によれば、切土、盛土または掘削残土等の状況を事前に正確に把握でき、施工に要する各種部材を事前に適切に把握でき、能率的且つ効率的な工事を進めることができる。
さらに、本発明によれば、丁張作業の削減化または低減化を図れ、工事完成後の同一のイメージ像の共有化を実現可能とし、実用的且つ有用な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係わる計画図面作成支援システムの全体構成を概略的に示す図である。
図2】同実施形態に係わり、計画図面作成支援サーバの構成を概略的に示す図である。
図3】同実施形態に係わり、クライアント端末の構成を概略的に示す図である。
図4】同実施形態に係わり、計画図面作成処理全体の流れを概略的に示す図である。
図5】同実施形態に係わり、3次元計画図情報生成処理の流れを示す図である。
図6】同実施形態に係わり、3次元現況図情報生成処理の流れを示す図である。
図7】同実施形態に係わり、3次元仮想設計図情報生成処理の流れを示す図である。
図8】同実施形態に係わり、複合現実情報生成・表示処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明の一実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0028】
本実施形態に係わる計画図面作成支援システムは、通信ネットワーク100に接続する計画図面作成支援サーバ200(以下「サーバ200」)と、サーバ200と通信ネットワーク100を介して接続する現況測量機500、トータルステーション700(以下「TS700」)及びクライアント端末800とから構成される。
【0029】
サーバ200は、サーバコンピュータであり、図2に示すように中央制御処理部210、入力部222、出力部224、リード/ライト可能なメモリ230、3次元計画図情報生成部240、比較処理部242、補正処理部246、関連付け情報付与処理部248、3次元現況図情報生成部250、変換処理部252、3次元仮想設計図情報生成部260、詳細部材情報提供処理部262及び複合現実情報生成部270を内設し、夫々が信号線280を介して接続されている。
【0030】
中央制御処理部210は、メモリ230に格納された所定のプログラム情報を参照して当該サーバ200全体の制御処理を司る機能を有する。
【0031】
入力部222は、中央制御処理部210の管理下で、外部から送出されてくる情報を受信しメモリ230の所定の記憶領域に格納する機能を有する。例えば、クライアント端末800から送出されてくる2次元計画図情報を受信し、メモリ230の所定の記憶領域(即ち2次元計画図情報記憶領域230c)に格納するよう機能構成されている。また、現況測量機500から送出されてくる測地点の位置情報やTS700から送出されてくる角度と距離の計測情報等を受信し、メモリ230の所定領域に格納するよう機能構成されている。
【0032】
さらに、入力部222は、中央制御処理部210の管理下で、内設するキーボード等からのキー入力による入力情報をメモリ230の所定の記憶領域に格納する機能を有する。
【0033】
出力部224は、中央制御処理部210の管理下で、各種情報を出力し外部へ送出等する出力・送出機能を有する。例えば、後述する3次元仮想設計図情報をクライアント端末800に通信ネットワーク100を介して送出し、また現況測量機500やTS700に通信ネットワーク100を介して特定の情報を送出するよう機能構成されている。
【0034】
また、出力部224は、各種情報を内設するディスプレイに表示出力させ、外部接続される出力装置、例えばHMD(Head Mounted Display)400に出力情報を送出する機能を有する。
【0035】
メモリ230は、各種作業を行うための作業領域230a及び中央制御処理部210が各種制御処理・管理をするために参照するプログラム情報を格納する記憶領域であるプログラム情報記憶領域230bを有する。
【0036】
さらに、メモリ230は、以下に示す記憶領域等を有する。
・机上の被対象物のX軸座標情報及びY軸座標情報を有する平面図情報並びに側面図情報、断面図情報または横断図情報から成る2次元計画図情報を格納する2次元計画図情報記憶領域230c
・3次元計画図生成プログラム情報が格納される3次元計画図生成情報記憶領域230d
・生成される3次元計画図情報が格納される3次元計画図情報記憶領域230e
・予め設定された規格情報と比較するプログラム情報が格納される規格情報記憶領域230f
・規格外とされた情報を規格内に収まるようにするための補正プログラム情報が格納される補正情報記憶領域230g
・現況測量機500及びTS700から送出されてくる基準点測量情報等が格納される基準点情報記憶領域230h
・現況測量機500から送出されてくる3次元点群データ情報等を格納する3次元点群データ情報記憶領域230i
・サーフェスデータに変換するプログラム情報及び変換されたサーフェスデータ情報が格納されるサーフェスデータ情報記憶領域230j
・3次元現況図情報生成プログラム情報及び生成された3次元現況図情報が格納される3次元現況図情報記憶領域230k
・3次元仮想設計図情報生成プログラム情報及び生成された3次元仮想設計図情報が格納される3次元仮想設計図情報記憶領域230m
・被対象物に対して要することが想定される施工部位情報、部材情報及びこれらを関連付けるプログラム情報が格納される関連付け情報記憶領域230n
・生成される3次元仮想設計図情報に対して提供が推奨される詳細部材情報を抽出するプログラム情報及び抽出された詳細部材情報を格納する詳細部材情報記憶領域230p
・現実空間の撮影画像情報と3次元仮想設計図情報を融合する複合現実生成プログラム情報及び生成された複合現実情報が格納される複合現実情報記憶領域230q
【0037】
3次元計画図情報生成部240は、中央制御処理部210の管理下で、2次元計画図情報記憶領域230cに格納された2次元計画図情報及び3次元計画図生成情報記憶領域230dを参照して机上のX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報を有する3次元計画図情報を生成する機能を有する。これは、数値化された2次元計画図情報をもとに展開図を組み立てるように3次元データを生成することになる。例えば平面図情報からは主要点の座標や線形等、側面図情報からは縦断線形や計画標高・勾配等、また横断図情報からは幅員や横断勾配等をもとに3次元データが生成される。生成した3次元計画図情報は、3次元計画図情報記憶領域230eに格納するよう機能構成されている。
【0038】
比較処理部242は、中央制御処理部210の管理下で、規格情報記憶領域230fを参照して、3次元計画図情報生成部240にて生成された3次元計画図情報を予め設定された規格情報と比較する機能を有する。即ち、比較処理部242は、メモリ230やサーバ200に外部接続されるデータベース(DB)300に格納されたX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報に関する閾値情報と、生成された3次元計画図情報を比較する機能を有する。
【0039】
補正処理部246は、中央制御処理部210の管理下で、補正情報記憶領域230gを参照して、比較処理部242にて規格情報の閾値外と認識された情報に対し規格内に収まるよう補正処理を行う機能を有する。補正処理が行われた情報は、3次元計画図情報記憶領域230eに格納される。
【0040】
関連付け情報付与処理部248は、中央制御処理部210の管理下で、関連付け情報記憶領域230nを参照して、3次元計画図情報生成部240にて生成される3次元計画図情報または補正処理部246にて補正された3次元計画図情報に、被対象物に要することが想定される施工部位情報及び部材情報を関連付ける機能を有する。
【0041】
この関連付け情報は、例えば任意の施工箇所(下水官、建物の1階部分の鉄骨や2階部分の床等)と、その施工に使用する各部材の種類と位置、施工箇所の面積、長さ及び体積等の情報の紐付け情報である。なお、各部材の個別の情報(種類、面積、体積及び長さ等)は、メモリ230またはDB300に予め格納されている。
【0042】
3次元現況図情報生成部250は、中央制御処理部210の管理下で、3次元現況図情報記憶領域230kを参照して、基準点情報記憶領域230hに格納された基準点測量情報とサーフェスデータ情報記憶領域230jに格納されたサーフェスデータ情報とを合成して3次元現況図情報を生成する機能を有する。生成した3次元現況図情報は、3次元現況図情報記憶領域230kに格納するよう機能構成されている。
【0043】
変換処理部252は、中央制御処理部210の管理下で、3次元点群データ情報記憶領域230iを参照して、3次元点群データ情報をサーフェスデータ情報へと変換する機能を有する。変換したサーフェスデータ情報は、サーフェスデータ情報記憶領域230jに格納するよう機能構成されている。
なお、サーフェスデータ情報への変換に際しては、所望により、基準点情報記憶領域230hに格納された測量データ情報を参照してサーフェスデータ情報へと変換することも可能としている。
【0044】
3次元仮想設計図情報生成部260は、中央制御処理部210の管理下で、3次元仮想設計図情報記憶領域230mを参照して、3次元計画図情報記憶領域230eに格納された3次元計画図情報と3次元現況図情報記憶領域230kに格納された3次元現況図情報とを合成して3次元仮想設計図情報を生成する機能を有する。生成した3次元仮想設計図情報は、3次元仮想設計図情報記憶領域230mに格納するよう機能構成されている。
【0045】
詳細部材情報提供処理部262は、中央制御処理部210の管理下で、詳細部材情報記憶領域230pを参照するとともに3次元計画図情報並びに施工部位情報及び部材情報を参照して、生成される3次元仮想設計図情報に提供が推奨される詳細部材情報を提供する機能を有する。推奨される詳細部材情報は、詳細部材情報記憶領域230pに格納するよう機能構成されている。
ここで、3次元仮想設計図情報に付与される詳細部材情報とは、例えば各施工箇所に於ける必要な部材の具体的な形状、寸法、材質及び個数等の現地工事に則した具体的な情報であり、メモリ230またはDB300に予め格納されている。
【0046】
複合現実情報生成部270は、中央制御処理部210の管理下で、複合現実情報記憶領域230qを参照して、被対象物が設けられることになる現実空間の撮影画像情報と3次元仮想設計図情報を融合して複合現実情報を生成する機能を有する。而して生成された複合現実情報は、複合現実情報記憶領域230qに格納され、例えばHMD400に表示出力される。
【0047】
DB300は、サーバ200に外部接続され、例えば上述したX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報に関する閾値情報、各種規格情報、施工部位情報、部材情報及び詳細部材情報をリード/ライト可能に格納するものである。
【0048】
現況測量機500は、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)測量機能、3次元レーザースキャナ機能及び入出力機能を有し、現況測量する機能を有する。
人工衛星600から送出される電波を受信・利用するGNSS測量機能により、基準点測量情報が取得され、3次元レーザースキャナ機能により、当該基準点測量情報に基づく現況のX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報の点群データ情報が取得される。取得された情報は、現況測量機500の入出力機能により通信ネットワーク100を介してサーバ200に送出可能となるよう機能構成してある。
【0049】
なお、本実施形態の現況測量機500は、GNSS測量機能と3次元レーザースキャナ機能を一体化させてあるが、これに限らずGNSS測量機器と3次元レーザースキャナ機器として夫々分離独立した構成であってもよいことは勿論である。
【0050】
TS700は、水平角と鉛直角を計測する経緯儀に測距儀の機能を内設する測量機器である。計測された測量情報は、TS700に内設する入出力機能により通信ネットワーク100を介してサーバ200に送出可能となるよう機能構成されている。
【0051】
クライアント端末800は、制御処理部810、入力部820、出力部830及びリード/ライト可能なメモリ840を内設し、夫々が信号線850を介して接続されている(図3参照)。
【0052】
ここで、制御処理部810は、メモリ840に格納された所定のプログラム情報を参照してクライアント端末800の制御処理を司る機能を有する。
【0053】
入力部820は、制御処理部810の管理下で、内設するキーボードからのキー入力若しくはペン入力等による入力情報や外部から送出されてくる受信情報をメモリ840に格納する機能を有する。
【0054】
出力部830は、制御処理部810の管理下で、各種情報を表示出力、印字出力または音声出力し、各種情報を通信ネットワーク100を介して外部へ送出する機能を有する。
【0055】
メモリ840は、各種作業を行うための作業領域840a、制御処理部810が各種制御処理・管理をするために参照するプログラム情報を格納するプログラム情報記憶領域840bを有する。
また、メモリ840は、机上の被対象物のX軸座標情報及びY軸座標情報を有する平面図情報並びに側面図情報、断面図情報または横断図情報から成る2次元計画図情報を格納する2次元計画図情報記憶領域840c、サーバ200から送出されてくる3次元仮想設計図情報及び関連情報等が格納される3次元仮想計画図情報等記憶領域840d並びに入力情報や出力情報等を一時的に格納しておくための一時記憶領域等の記憶領域を有する。
【0056】
上記構成につき、2次元計画図情報から3次元仮想設計図情報を作成・生成する流れを、土木計画図の3次元データ化を例に以下に説明する。
【0057】
クライアント端末800が保有する土木計画図情報たる2次元計画図情報が通信ネットワーク100を介して送出されてくると、サーバ200は入力部222を介してこれを受信し、当該情報を2次元計画図情報記憶領域230cに格納する(図4のステップS100参照)。
【0058】
3次元計画図情報生成部240は、受信・格納した2次元計画図情報を参照して3次元計画図生成プログラム情報に基づき3次元計画図情報の生成を行う(ステップS200)。
【0059】
他方、現況測量機500やTS700により現況測量が行われ、3次元現況図情報生成部250が3次元現況図情報生成プログラム情報に基づき3次元点群データ情報等を参照して3次元現況図情報の生成を行う(ステップS300)。
【0060】
この後、3次元計画図情報及び3次元現況図情報を参照して、3次元仮想設計図情報生成部260が3次元現況図情報生成プログラム情報に基づき3次元仮想設計図情報の生成を行う(ステップS400)。
【0061】
而してサーバ200は、生成された3次元仮想設計図情報と関連する情報とを、2次元計画図情報を送出してきたクライアント端末800に対して送出する(ステップS500)。
【0062】
所望により複合現実情報生成部270は、複合現実生成プログラム情報に基づき生成された3次元仮想設計図情報と被対象物が設けられることになる現実空間の撮影画像情報を融合して複合現実情報を生成し表示出力する(ステップS600)。
【0063】
さて、ステップS200の処理(「3次元計画図情報生成処理」)について、図5を参照して詳述する。
【0064】
先ず、3次元計画図情報生成部240は、2次元計画図情報及び3次元計画図生成プログラム情報を参照して、机上の被対象物のX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報を有する3次元計画図情報を生成する(ステップS202)。
【0065】
次に、生成された3次元計画図情報について、当初の計画図情報との座標点等のズレや矛盾点の有無の確認が行われる(ステップS204)。これは、比較処理部242が行う、予め設定された規格情報との比較、即ちX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報に関する閾値情報との比較である。
【0066】
閾値内と判断されると(ステップS204のN)、生成された3次元計画図情報は3次元計画図情報記憶領域230eに格納される。
【0067】
他方、閾値外と判断されると(ステップS204のY)、補正処理部246にて閾値内に収まるよう補正処理が行われる(ステップS206)。そして、補正処理が行われた3次元計画図情報は3次元計画図情報記憶領域230eに格納される。
【0068】
この後、関連付け情報付与処理部248により、関連付け情報記憶領域230nを参照して、生成または補正された3次元計画図情報に、被対象物に要することが想定される施工部位情報及び部材情報が関連付けられる。この関連付け情報は、例えばテーブル形式にてメモリ230またはDB300に格納される(ステップS208)。
【0069】
次に、ステップS300の処理(「3次元現況図情報生成処理」)について、図6を参照して詳述する。
【0070】
先ず、2次元計画図情報のX軸座標情報及びY軸座標情報を参照して現況測量機500のGNSS測量機能により、基準点測量情報が取得される(ステップS302)。
【0071】
次に、現況測量機500の3次元レーザースキャナ機能により、取得された基準点測量情報をもとに現況のX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報の3次元点群データ情報が取得される(ステップS304)。
【0072】
ここで、所望によりTS700による測量が行われ(ステップS306のY)、測量情報が取得される(ステップS308)。
【0073】
取得された基準点測量情報、3次元点群データ情報及び測量情報は、サーバ200に送出され、変換処理部252は3次元点群データ情報をサーフェスデータ情報に変換する(ステップS310)。ここで、変換処理部252は、3次元点群データ情報と測量情報を組み合わせてサーフェスデータ情報に変換してもよい。
【0074】
この後、3次元現況図情報生成部250が基準点測量情報の座標値情報とサーフェスデータ情報を合成して3次元現況図情報を生成する。当該情報は3次元現況図情報記憶領域230kに格納される(ステップS312)。
【0075】
続いて、ステップS400の処理(「3次元仮想設計図情報生成処理」)について、図7を参照して詳述する。
【0076】
3次元仮想設計図情報生成部260は、夫々生成された3次元計画図情報と3次元現況図情報を合成して3次元仮想設計図情報を生成する(ステップS402)。
【0077】
ここで、合成された3次元仮想設計図情報について、当初の計画図情報との座標点等のズレや矛盾点等の不具合の有無の確認が行われる(ステップS404)。これは、中央制御処理部210の管理下で、メモリ240に格納された比較処理部242が行う、予め設定された規格情報との比較、即ちX軸座標情報、Y軸座標情報及びZ軸座標情報等の各種情報との比較である。
【0078】
不具合がないものと判断されると(ステップS404のN)、生成された3次元仮想設計図情報に提供が推奨される詳細部材情報が付与される。そして、3次元仮想設計図情報及び詳細部材情報は、メモリ230の所定領域に格納される(ステップS410)。
【0079】
他方、「不具合あり」と判断されると(ステップS404のY)、当該不具合が解消されるよう例えば座標情報等が予め設定された範囲内に収まるよう補正される(ステップS406)。この後、補正された3次元仮想設計図情報には、提供が推奨される詳細部材情報が付与される。そして、補正された3次元仮想設計図情報、修正情報及び詳細部材情報は、メモリ230の所定領域に格納される(ステップS410)。
【0080】
ここで、3次元計画図情報には関連付け情報が紐付けされているので、合成された3次元仮想設計図情報及び補正された3次元仮想設計図情報に付与される詳細部材情報には、例えば各施工箇所に於ける必要な部材の種類、寸法及び個数等を適切に把握できることになる。
【0081】
斯様にして生成された3次元仮想設計図情報は、メモリ240の所定の記憶領域に格納され、また出力部224を介してクライアント端末800に送出される。
【0082】
最後にステップS600の処理(「複合現実情報生成・表示処理」)について、図8を参照して詳述する。
【0083】
撮影機器(不図示)により被対象物が設けられることになる現実空間の撮影が行われ、撮影画像は画像情報としてメモリ240の所定の記憶領域に格納される(ステップS602)。
【0084】
複合現実情報生成部270は、この画像情報、TS700等により導出された撮影機器の位置情報と紐付けた位置情報付加画像情報及び3次元仮想計画図情報とを合成・融合する(ステップS604)。
【0085】
而して、上記合成・融合された情報をHMD400に表示出力する(ステップS606)。
【0086】
これにより、例えば施工前の完成図を、現場にて正確に把握・確認することができる。また、施工時には、正確な作業位置を把握・確認できる。
【0087】
上記実施形態によれば、高精度な計画図面情報により計画の矛盾点を事前に早期発見でき、作業の見直しまたはやり直しの低減化や削減化を図れ、以って、無用な作業工程、作業コスト及び想定外の負荷の抑制を実現できる。
【0088】
また、上記実施形態によれば、切土、盛土または掘削残土の状況等を事前に正確に把握でき、さらに施工に要する各種部材をも事前に適切に把握できるので、適切な施工管理を行え、能率的で最適な事前の準備が可能となる。而して廃棄部材の発生をも抑制し、CO2の削減にも貢献でき、SDGsの観点からも有益なシステムを提供できるものである。
【0089】
さらに、3次元仮想計画図情報で確定したX座標軸情報、Y座標軸情報及びZ座標軸情報を現況測量機500やTS700に送出することで、当該情報に基づき、現況測量機500やTS700の出力部(画面)にて、作業基準点(作業基準地点、作業高さ等)を容易に確認できる。そのため、煩わしい丁張作業の削減化または低減化を図れ、また工事完成後の仕上がりイメージ像を違えることなく共有化できるものである。
【0090】
さらに、上記実施形態によれば、あらたなハードウェアを導入することなく実現可能であり、また専門的知識のない人材でも容易に作業を行えるので、実用的で経済的にも極めて有用なものである。
【0091】
上記実施形態では、関連付け情報付与処理部248及び詳細部材情報提供処理部262の機能は、内設する所定のプログラム情報や予め設定・格納された部材情報等を参照して最適な情報を抽出し付与するように機能構成してあるが、これに限定される必要はない。他に例えば、ビッグデータを活用したディープランニング及びAI機能により、最適な情報を提供できるよう機能構成してもよいことは勿論である。
【0092】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0093】
100 …通信ネットワーク
200 …計画図面作成支援サーバ
224 …出力部
240 …3次元計画図情報生成部
242 …比較処理部
246 …補正処理部
248 …関連付け情報付与処理部
250 …3次元現況図情報生成部
252 …変換処理部
260 …3次元仮想設計図情報生成部
262 …詳細部材情報提供処理部
270 …複合現実情報生成部
400 …HMD
500 …現況測量機
700 …トータルステーション(TS)
800 …クライアント端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8