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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141384
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】入力装置および調理器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230928BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20230928BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G06F3/041 522
A47J27/00 103R
G06F3/041 430
G06F3/044 124
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047683
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】中村 有希
(72)【発明者】
【氏名】島田 博司
(72)【発明者】
【氏名】井尻 蓮
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA05
4B055BA09
4B055CA66
4B055CD51
(57)【要約】
【課題】静電容量方式のタッチパネルにおいて、ユーザが誤って配線部を押したときに、意図しない情報が入力されてしまうことを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】入力装置2は、静電容量方式のタッチパネル40と、制御部50とを備える。タッチパネル40は、電極部61と、電極部61から延びる配線部62と、を有する電極パターン60を、複数有する。複数の配線部62のうちの少なくとも2本の配線部62は、近接配置される。制御部50は、電極パターン60の静電容量の変化に基づいて、情報の入力を検知する。また、制御部50は、近接配置された2本の配線部62を含む2つの電極パターン60の静電容量の変化量の差が、予め設定された閾値よりも小さい場合、入力を無効とする。これにより、ユーザが、誤って配線部62を押したときに、意図しない情報が入力されてしまうことを、抑制できる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の入力を受け付ける入力装置であって、
静電容量方式のタッチパネルと、
前記タッチパネルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記タッチパネルは、
電極部と、
前記電極部から延びる配線部と、
を有する電極パターンを複数有し、
複数の前記配線部のうちの少なくとも2本の配線部が、近接配置され、
前記制御部は、
前記電極パターンの静電容量の変化に基づいて、情報の入力を検知し、
前記2本の配線部を含む2つの電極パターンの静電容量の変化量の差が、予め設定された閾値よりも小さい場合、前記入力を無効とする、入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置であって、
前記2本の配線部の間隔は、0.5mm以上かつ5mm以下である、入力装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の入力装置であって、
前記2本の配線部のうちの少なくとも1本の配線部は、2つの前記電極部の間を通って延びる、入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の入力装置であって、
複数の前記電極部が、3行以上のマトリクス状に配列され、
前記2本の配線部のうちの少なくとも1本の配線部は、内側の電極部から、他の電極部の間を通って外側へ延びる、入力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の入力装置であって、
前記タッチパネルは、
前記電極部の前面に配置された表示パネル
をさらに有し、
前記表示パネルは、複数のボタンを表示し、
前記2本の配線部に接続される2つの電極部のうち、一方の電極部の前面と、他方の電極部の前面とに、共通のボタンが表示されない、入力装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の入力装置を備えた、調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の入力を受け付ける入力装置および当該入力装置を備えた調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量方式のタッチパネルが知られている。静電容量方式のタッチパネルは、複数の電極パターンを有する。各電極パターンは、電極部と、電極部から延びる配線部と、を有する。ユーザが電極部を押すと、当該電極部を含む電極パターンの静電容量が変化する。この静電容量の変化を検出することにより、情報の入力が検知される。
【0003】
従来の静電容量方式のタッチパネルについては、例えば、特許文献1,2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-243513号公報
【特許文献2】特開2014-216075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、静電容量方式のタッチパネルでは、電極部を押した場合だけではなく、配線部を押した場合でも、電極パターンの静電容量が変化する。このため、電極部から離れた位置において配線部を押したときにも、静電容量の変化が検出される。これにより、ユーザが意図しない情報が入力されてしまう場合がある。
【0006】
このような誤入力を防止するためには、例えば、静電容量の変化量が所定の基準値を超えた場合にのみ、情報の入力を受け付けることが考えられる。しかしながら、静電容量の変化量は、電極パターンの押圧面積に依存する。したがって、指の細い人が電極部を押したときと、指の太い人が配線部を押したときとで、静電容量の変化量が近い値となる場合がある。そのような場合には、上記の基準値を適切に設定することが困難となる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、静電容量方式のタッチパネルにおいて、ユーザが誤って配線部を押したときに、意図しない情報が入力されてしまうことを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、情報の入力を受け付ける入力装置であって、静電容量方式のタッチパネルと、前記タッチパネルと電気的に接続された制御部と、を備え、前記タッチパネルは、電極部と、前記電極部から延びる配線部と、を有する電極パターンを複数有し、複数の前記配線部のうちの少なくとも2本の配線部が、近接配置され、前記制御部は、前記電極パターンの静電容量の変化に基づいて、情報の入力を検知し、前記2本の配線部を含む2つの電極パターンの静電容量の変化量の差が、予め設定された閾値よりも小さい場合、前記入力を無効とする。
【0009】
本発明によれば、近接配置された2本の配線部が押されたときに、入力を無効とする。これにより、ユーザが、誤って配線部を押したときに、意図しない情報が入力されてしまうことを、抑制できる。
【0010】
前記2本の配線部の間隔は、0.5mm以上かつ5mm以下であることが望ましい。これにより、人の指で、2本の配線部のうちの一方のみを押すことが難しくなる。このため、2本の配線部の付近が押された場合、静電容量の変化量の差が、高い確率で閾値以下となる。これにより、情報の誤入力をより抑制できる。
【0011】
前記2本の配線部のうちの少なくとも1本の配線部は、2つの前記電極部の間を通って延びる場合がある。この場合、ユーザが電極部を押そうとしたときに、配線部を同時に押してしまう可能性がある。しかしながら、その場合には、電極部を含む電極パターンの静電容量の変化量は、配線部を含む電極パターンの静電容量の変化量よりも、十分に大きくなる。したがって、閾値を適切に設定することで、ユーザの意図通りに、電極部の押圧による情報の入力を有効とすることができる。
【0012】
特に、複数の前記電極部が、3行以上のマトリクス状に配列されている場合、前記2本の配線部のうち、内側の電極部から延びる配線部は、他の電極部の間を通って外側へ延びる。この場合、ユーザが電極部を押そうとしたときに、配線部を同時に押してしまう可能性がある。しかしながら、閾値を適切に設定することで、ユーザの意図通りに、電極部の押圧による情報の入力を有効とすることができる。
【0013】
また、前記タッチパネルは、前記電極部の前面に配置された表示パネルをさらに有し、前記表示パネルは、複数のボタンを表示し、前記2本の配線部に接続される2つの電極部のうち、一方の電極部の前面と、他方の電極部の前面とに、共通のボタンが表示されないようにすることが望ましい。すなわち、液晶表示パネル上のボタンの表示を、2本の配線部に接続される2つの電極部を同時に押す必要がないような表示とすることが望ましい。これにより、1つのボタンを押したときに入力が無効となることを、抑制できる。
【0014】
また、調理器が、上記の入力装置を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、近接配置された2本の配線部が押されたときに、入力を無効とする。これにより、ユーザが、誤って配線部を押したときに、意図しない情報が入力されてしまうことを、抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】入力装置を備えた炊飯器の斜視図である。
図2】タッチパネルの分解斜視図である。
図3】電極シートの平面図である。
図4】表示パネルの平面図である。
図5】入力処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<1.炊飯器の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置2を備えた炊飯器1の斜視図である。この炊飯器1は、食材である米を、水とともに加熱調理(炊飯)する装置である。すなわち、炊飯器1は、食材を調理する調理器の一例である。図1に示すように、炊飯器1は、本体部10、蓋体20、加熱部30、タッチパネル40、および制御部50を備えている。
【0019】
本体部10は、その内部に内鍋(図示省略)を収容可能な容器である。内鍋は、誘導加熱可能な金属からなる。炊飯器1の使用時には、本体部10の内側に設けられた凹部に、内鍋がセットされる。
【0020】
蓋体20は、本体部10の後部に設けられたヒンジにより、本体部10に対して回動可能に接続されている。蓋体20は、本体部10の上部を覆う閉鎖姿勢(図1中の姿勢)と、本体部10に対して略垂直に起立する起立姿勢との間で、ヒンジを中心として回動する。本体部10に内鍋をセットして、蓋体20を閉鎖姿勢にすると、内鍋の上部の開口が、蓋体20により閉塞される。これにより、内鍋の内部空間が密閉される。
【0021】
加熱部30は、内鍋を加熱する手段である。加熱部30は、本体部10の内部に設けられている。加熱部30には、例えば、誘導加熱コイルが使用される。炊飯器1の使用時には、誘導加熱コイルに高周波電流が供給されることにより、誘導加熱コイルから磁力線が発生する。そうすると、電磁誘導により内鍋が発熱し、内鍋の内部に収容された米および水が加熱される。
【0022】
なお、炊飯器1は、加熱部30による内鍋の加熱時に、内鍋の内部空間の圧力を調整する調圧部を、さらに備えていてもよい。
【0023】
タッチパネル40は、炊飯器1のユーザが、情報を入力するために操作するパネルである。図1の例では、蓋体20の上面に、タッチパネル40が設けられている。ただし、タッチパネル40は、本体部10の外表面に設けられていてもよい。タッチパネル40は、炊飯器1の動作に関する種々のボタンの画像を表示する。炊飯器1のユーザは、タッチパネル40に表示されたボタンの画像を押すことによって、情報を入力する。
【0024】
なお、タッチパネル40の詳細な構造については、後述する。
【0025】
制御部50は、炊飯器1の動作を制御する手段である。図1の例では、蓋体20の内部に、制御部50が設けられている。ただし、制御部50は、本体部10の内部に設けられていてもよい。制御部50は、例えば、マイコンが搭載された回路基板により構成される。制御部50は、加熱部30およびタッチパネル40と、電気的に接続されている。制御部50は、予め設定されたプログラムに従って、タッチパネル40の表示、タッチパネル40からの情報の入力、および加熱部30の動作を制御する。
【0026】
<2.入力装置の構成>
上述したタッチパネル40および制御部50は、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置2を構成している。以下では、当該入力装置2について、より詳細に説明する。
【0027】
図2は、タッチパネル40の分解斜視図である。このタッチパネル40は、ユーザの指がタッチパネル40を押したときに検出される静電容量の変化に基づいて情報の入力を検知する、いわゆる静電容量方式のタッチパネルである。図2に示すように、タッチパネル40は、複数の電極パターン60を備えた電極シート41と、表示パネル42とを有する。表示パネル42は、電極シート41の前面(本実施形態では上面)に配置されている。
【0028】
図3は、電極シート41の平面図である。図2および図3に示すように、電極シート41は、連続した導体により形成される電極パターン60を、複数有する。1つの電極パターン60は、1つの矩形の電極部61と、電極部61から延びる配線部62と、を有する。複数の電極パターン60は、互いに絶縁されている。
【0029】
複数の電極部61は、多行多列のマトリクス状に、互いに間隔をあけて配列されている。本実施形態では、18個の電極部61が、3行6列のマトリクス状に配列されている場合について、説明する。図3では、表示パネル42の外部に露出する部分である表示エリアAが、二点鎖線で示されている。複数の電極部61は、この表示エリアAと重なる位置に、配列されている。
【0030】
配線部62は、電極部61から延びる細線状の部分である。配線部62の線幅は、電極部61の1辺の長さよりも、十分に小さい。配線部62の一端部は、電極部61に接続されている。配線部62の他端部は、表示エリアAの外側まで延びている。配線部62の他端部は、直接または他の電気配線を介して、制御部50と電気的に接続されている。すなわち、制御部50と電極部61とは、配線部62を介して、電気的に接続されている。
【0031】
以下では、図3の上から1行目の6つの電極部61を「第1電極部61a」、当該第1電極部61aから延びる6本の配線部62を「第1配線部62a」、図3の上から2行目の6つの電極部61を「第2電極部61b」、当該第2電極部61bから延びる6本の配線部62を「第2配線部62b」、図3の上から3行目の6つの電極部61を「第3電極部61c」、当該第3電極部61cから延びる6本の配線部62を「第3配線部62c」、とそれぞれ称する。
【0032】
また、以下では、第1電極部61aと第1配線部62aとで構成される電極パターン60を「第1電極パターン60a」、第2電極部61bと第2配線部62bとで構成される電極パターン60を「第2電極パターン60b」、第3電極部61cと第3配線部62cとで構成される電極パターン60を「第3電極パターン60c」、とそれぞれ称する。
【0033】
また、以下では、同じ列の3つの電極部61が並ぶ方向を「列方向」と称する。
【0034】
図3の例では、6本の第1配線部62aは、それぞれ、第1電極部61aから、列方向の一方側(第2電極部61bおよび第3電極部61cとは反対側)へ向かって延びている。6本の第2配線部62bは、それぞれ、第2電極部61bから、列方向の他方側(第1電極部61aとは反対側)へ向かって延びている。6本の第3配線部62cは、それぞれ、第3電極部61cから、列方向の他方側(第1電極部61aおよび第2電極部61bとは反対側)ヘ向かって延びている。
【0035】
また、第2電極部61bから延びる第2配線部62bと、当該第2電極部61bと同じ列の第3電極部61cから延びる第3配線部62cとは、表示エリアAの範囲内において、互いに近接配置された状態で、平行に延びている。具体的には、第2配線部62bと第3配線部62cとが、平均的な人の指先の太さよりも十分に小さい間隔dをあけて、配置されている。
【0036】
表示エリアA内における第1配線部62a、第2配線部62b、および第3配線部62cの線幅は、例えば、0.5mm以上かつ5mm以下とされる。また、近接配置された第2配線部62bと第3配線部62cの間隔dは、例えば、0.5mm以上かつ5mm以下とされる。
【0037】
図4は、表示パネル42の平面図である。表示パネル42には、例えば、液晶表示パネルが使用される。図4に示すように、制御部50は、表示パネル42に、複数のボタン70の画像を表示する。複数のボタン70は、複数の電極部61と重なる位置に表示される。各ボタン70は、炊飯器1の動作時にユーザが入力することが可能な種々のコマンドを表している。
【0038】
複数のボタン70のうちの一部のボタン(図4の例では(1)~(5)のボタン)70は、2つ以上の電極部61に相当する大きさを有し、2つ以上の電極部61の前面に表示される。また、他のボタン(図4の例では(6)のボタン)70は、1つの電極部61に相当する大きさを有し、1つの電極部61の前面に表示される。また、制御部50は、表示パネル42に表示されるボタン70の種類を、切り替えることもできる。
【0039】
<3.入力処理について>
続いて、入力装置2における情報の入力処理の手順について、説明する。図5は、当該入力処理の手順を示すフローチャートである。
【0040】
この炊飯器1では、電源がONの状態のときには、制御部50が、電極シート41上の電極パターン60の静電容量が変化したかどうかを、常に監視する。具体的には、制御部50は、少なくとも1つの電極パターン60において、静電容量の変化量が、所定の基準値よりも大きくなったか否かを監視する(ステップS1)。この基準値は、予め制御部50に記憶されている。静電容量の変化量が、基準値以下の場合(ステップS1:No)、制御部50は、引き続き、ステップS1の監視を継続する。
【0041】
炊飯器1のユーザが、表示パネル42のボタン70を押すと、当該ボタン70の背面側の電極部61を含む電極パターン60の静電容量が変化する。このとき、ユーザの押す位置によって、1つの電極パターン60のみが押される場合と、2つ以上の電極パターン60が押される場合とがある。制御部50は、少なくとも1つの電極パターン60の静電容量の変化量が、基準値よりも大きくなった場合(ステップS1:Yes)、次に、ステップS2の判断処理を行う。
【0042】
ステップS2では、制御部50は、第2電極パターン60bの静電容量と、第3電極パターン60cの静電容量とが、共に変化したか否かを判定する(ステップS2)。第2電極パターン60bの静電容量と、第3電極パターン60cの静電容量とが、共に変化していない場合(ステップS2:No)、制御部50は、当該操作による情報の入力を有効とする(ステップS3)。
【0043】
例えば、ステップS2において、静電容量が変化した電極パターン60の数が1つだけの場合には、制御部50は、その電極パターン60による情報の入力を有効とする。すなわち、制御部50は、ユーザが押したボタン70により示されるコマンドを実行する。
【0044】
また、静電容量が変化した電極パターン60の数が2つ以上であっても、その電極パターン60の組み合わせが、第2電極パターン60bと第3電極パターン60cの組み合わせでない場合には、静電容量の変化量が最も大きい電極パターン60による情報の入力を有効とする。すなわち、制御部50は、最も静電容量の変化が大きい電極パターン60の電極部61に対応するボタン70が示すコマンドを実行する。
【0045】
ステップS2において、第2電極パターン60bの静電容量と、第3電極パターン60cの静電容量とが、共に変化している場合(ステップS2:Yes)、次に、制御部50は、ステップS4の判断処理を行う。
【0046】
ステップS4では、制御部50は、第2電極パターン60bの静電容量の変化量と、第3電極パターン60cの静電容量の変化量との差が、所定の閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS4)。この閾値は、予め制御部50に記憶されている。
【0047】
第2電極パターン60bの静電容量の変化量と、第3電極パターン60cの静電容量の変化量との差が、閾値以上の場合(ステップS4:No)、制御部50は、第2電極パターン60bおよび第3電極パターン60cのうち、静電容量の変化量が大きい電極パターン60による情報の入力を有効とする(ステップS3)。すなわち、制御部50は、第2電極パターン60bおよび第3電極パターン60cのうち、静電容量の変化量が大きい電極パターン60の電極部61に対応するボタン70が示すコマンドを実行する。
【0048】
一方、第2電極パターン60bの静電容量の変化量と、第3電極パターン60cの静電容量の変化量との差が、閾値よりも小さい場合(ステップS4:Yes)、制御部50は、当該操作よる情報の入力を無効とする(ステップS5)。すなわち、制御部50は、いずれのボタン70が示すコマンドも実行しない。
【0049】
<4.誤入力防止の例>
この入力装置2では、上記の入力処理を実行することにより、情報の誤入力を防止できる。以下では、上記の入力処理により実現される誤入力防止の例について、説明する。
【0050】
<4-1.第1の例>
ユーザが、図4の位置P1のように、第2配線部62bと第3配線部62cとが近接配置された位置を押した場合、第2電極パターン60bの静電容量と、第3電極パターン60cの静電容量とが、ともに変化する。しかしながら、第2配線部62bと第3配線部62cとが近接配置されているため、第2電極パターン60bの静電容量の変化量と、第3電極パターン60cの静電容量の変化量とは、近い値となる。したがって、上述したステップS4において、静電容量の変化量の差が、閾値よりも小さくなるので、この操作による情報の入力は、無効とされる。
【0051】
このようにすれば、ユーザが図4の(4)のボタン70を押そうとして、誤って位置P1を押してしまった場合に、第2電極パターン60bの静電容量の変化により、(1)のボタン70のコマンドが有効とされてしまうような誤入力を防止できる。
【0052】
特に、第2配線部62bと第3配線部62cの間隔dは、上述の通り、0.5mm以上かつ5mm以下である。このようにすれば、人の指で、第2配線部62bおよび第3配線部62cのうちの一方のみを押すことが難しい。このため、位置P1の付近が押された場合、第2電極パターン60bの静電容量の変化量と、第3電極パターン60cの静電容量の変化量との差が、高い確率で閾値以下となる。これにより、情報の誤入力をより抑制できる。
【0053】
<4-2.第2の例>
ユーザが、(4)のボタン70の領域内において、2つの第3電極部61cの境界の位置P2を押した場合、この位置を通る第2配線部62bも同時に押すこととなる。この場合、第2電極パターン60bの静電容量と、第3電極パターン60cの静電容量とが、ともに変化する。しかしながら、この場合には、第3電極部61cの押圧面積が、第2配線部62bの押圧面積よりも、十分に大きくなる。したがって、第3電極パターン60cの静電容量の変化量が、第2電極パターン60bの静電容量の変化量よりも、十分に大きくなる。したがって、上述したステップS4において、静電容量の変化量の差が、閾値よりも大きくなるので、この操作による情報の入力は、有効とされる。
【0054】
このようにすれば、ユーザが(4)のボタン70の領域内を押しているにもかかわらず、コマンドが無効とされてしまうことを防止できる。
【0055】
本実施形態のように、複数の電極部61が、3行以上のマトリクス状に配列されている場合、内側の電極部61から延びる配線部62は、他の電極部61の間を通らざるを得ない。このため、ユーザが電極部61を押そうとしたときに、配線部62を同時に押してしまう可能性がある。しかしながら、閾値を適切に設定することで、上述の通り、ユーザの意図通りに、電極部61の押圧による情報の入力を有効とすることができる。
【0056】
<4-3.第3の例>
ユーザが、(2)のボタン70と(5)のボタン70の境界の位置P3を押した場合、第2電極パターン60bの静電容量と、第3電極パターン60cの静電容量とが、ともに変化する。しかしながら、第2電極部61bの押圧面積と、第3電極部61cの押圧面積との差が小さい場合、上述したステップS4において、静電容量の変化量の差が、閾値よりも小さくなる。したがって、この操作による情報の入力は、無効とされる。
【0057】
このようにすれば、ユーザが図4の(2)のボタン70を押そうとして、誤って位置P3を押してしまった場合に、第3電極パターン60cの静電容量の変化により、(5)のボタン70のコマンドが有効とされてしまうような誤入力を防止できる。あるいは、ユーザが図4の(5)のボタン70を押そうとして、誤って位置P2を押してしまった場合に、第2電極パターン60bの静電容量の変化により、(2)のボタン70のコマンドが有効とされてしまうような誤入力を防止できる。
【0058】
<4-4.第4の例>
ユーザが、(2)のボタン70の領域内において、第1電極部61aと第2電極部61bの境界の位置P4を押した場合、第1電極パターン60aの静電容量と、第2電極パターン60bの静電容量とが、ともに変化する。しかしながら、この場合には、上記のステップS2において、第3電極パターン60cの静電容量が変化していないと判定される。したがって、この操作による情報の入力は、有効とされる。
【0059】
このようにすれば、ユーザが(2)のボタン70の領域内を押しているにもかかわらず、コマンドが無効とされてしまうことを防止できる。
【0060】
このように、本実施形態では、近接配置される第2配線部62bと第3配線部62cに接続される第2電極部61bと第3電極部61cの前面には、共通のボタン70が表示されない。すなわち、表示パネル42上のボタン70の表示を、第2電極部61bと第3電極部61cを同時に押す必要がないような表示としている。これにより、1つのボタン70の領域内を押したときに、入力が無効となってしまうことを防止できる。
【0061】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0062】
<5-1.第1変形例>
上記の実施形態では、第2配線部62bが、列方向の他方側へ延びており、第2配線部62bと第3配線部62cとが、近接配置されていた。しかしながら、第2配線部62bを、列方向の一方側へ延ばすようにし、第1配線部62aと第2配線部62bとを、近接配置してもよい。その場合、制御部50は、第1電極パターン60aの静電容量の変化量と、第2電極パターン60bの静電容量の変化量との差が、閾値よりも小さい場合に、入力を無効とすればよい。
【0063】
<5-2.第2変形例>
また、第1配線部62a、第2配線部62b、および第3配線部62cを、全て同じ方向に延ばしてもよい。そして、第1配線部62a、第2配線部62b、および第3配線部62cの3本の配線部62を、近接配置してもよい。その場合、制御部50は、第1電極パターン60a、第2電極パターン60b、および第3電極パターン60cのうち、静電容量の変化量が大きい2つの電極パターン60に着目し、それらの静電容量の変化量の差が、閾値よりも小さい場合に、入力を無効とすればよい。
【0064】
<5-3.第3変形例>
上記の実施形態では、電極シート41において、18個の電極部61が、3行6列のマトリクス状に配列されていた。しかしながら、電極シート41に配列される電極部61の数や、配列の態様は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、電極部61の配列態様は、4行5列、3行7列などであってもよい。また、複数の電極部61の配列態様は、必ずしもマトリクス状でなくてもよい。例えば、多行多列に並ぶ複数の位置のうちの一部の位置には電極部61が配置されず、残りの位置に複数の電極部61が配置されていてもよい。
【0065】
<5-4.他の変形例>
また、上記の実施形態では、調理器の一例である炊飯器1について説明した。しかしながら、本発明の調理器は、米以外の食材を加熱調理するものであってもよい。炊飯器1等の調理器には、多数の調理メニューが設定されている場合が多い。このため、タッチパネル40に、多数のボタン70をマトリクス状に表示する必要がある。上記の実施形態の構成を採れば、タッチパネル40に多数のボタン70をマトリクス状に表示し、かつ、誤入力の少ない入力装置2を実現できる。
【0066】
ただし、本発明の入力装置2は、空気清浄機、ホットプレート、オーブントースター、コーヒーメーカー、もちつき機、食器乾燥機、電気ポット、加湿器、空気清浄機等の他の家電製品に搭載されるものであってもよい。
【0067】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 炊飯器(調理器)
2 入力装置
10 本体部
20 蓋体
30 加熱部
40 タッチパネル
41 電極シート
42 表示パネル
50 制御部
60 電極パターン
60a 第1電極パターン
60b 第2電極パターン
60c 第3電極パターン
61 電極部
61a 第1電極部
61b 第2電極部
61c 第3電極部
62 配線部
62a 第1配線部
62b 第2配線部
62c 第3配線部
70 ボタン
A 表示エリア
図1
図2
図3
図4
図5