(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141385
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】洗浄装置および塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20230928BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047687
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 義則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 暁雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊文
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA06
4F041AB01
4F041BA12
4F041BA59
4F042AA07
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA27
4F042CC03
4F042CC04
4F042CC06
(57)【要約】
【課題】塗布器の初期化のための動作において、発塵が無いようにする。
【解決手段】洗浄装置13は、基材Wに塗布器11が液Lの塗布を行う作業領域7に並んで設けられる予備塗布面51を洗浄する。洗浄装置13は、塗布器11が予備塗布面51に予備的に吐出した液Lを、予備塗布面51に非接触状態で除去する洗浄移動体60と、予備塗布面51に対する非接触状態を維持して洗浄移動体60と予備塗布面51とを相対的に予備塗布面51に沿って移動させる駆動機構64とを備える。洗浄移動体60は、液Lが塗布された予備塗布面51に洗浄液Pを吐出する第一ノズル61と、予備塗布面51上の液Lと洗浄液Pとの溶液を吸引する第二ノズル62とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に塗布器が液の塗布を行う作業領域に並んで設けられる予備塗布面を洗浄する洗浄装置であって、
前記塗布器が前記予備塗布面に予備的に吐出した液を、前記予備塗布面に非接触状態で除去する洗浄移動体と、
前記予備塗布面に対する非接触状態を維持して前記洗浄移動体と前記予備塗布面とを相対的に前記予備塗布面に沿って移動させる駆動機構と、を備え、
前記洗浄移動体は、
前記液が塗布された前記予備塗布面に洗浄液を吐出する第一ノズルと、
前記予備塗布面上の前記液と前記洗浄液との溶液を吸引する第二ノズルと、
を有する、洗浄装置。
【請求項2】
前記第二ノズルは、前記溶液を吸引する吸引口が開口する先端面を有し、
前記先端面の高さが前記溶液の液面の高さ以下となるように、前記先端面は前記予備塗布面に近接する、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記第二ノズルは、前記溶液を吸引する吸引口が開口する先端面を有し、
前記先端面の高さを変更可能として前記第二ノズルを支持するとともに変更した位置で前記第二ノズルの高さを維持する支持機構を備える、請求項1または請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記第一ノズルは、前記洗浄液を吐出する吐出口が開口する第一先端面を有し、
前記第二ノズルは、前記溶液を吸引する吸引口が開口する第二先端面を有し、
前記第二先端面は前記第一先端面よりも前記予備塗布面に近い、または、前記予備塗布面からの距離が前記第一先端面と前記第二先端面とで同じである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記予備塗布面に対して相対的に前記洗浄移動体を往復移動させることが可能であり、
前記洗浄移動体の往路の移動の際に前記第一ノズルは前記洗浄液を吐出し、
前記洗浄移動体の復路の移動の際に前記第二ノズルは前記溶液を吸引する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
基材との関係で相対移動して前記基材に液の塗布を行う塗布器と、
前記基材に前記塗布器が液の塗布を行う作業領域に並んで設けられている予備塗布面と、
前記予備塗布面を洗浄する洗浄装置と、
を備える、塗布装置であって、
前記洗浄装置は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の洗浄装置である、塗布装置。
【請求項7】
前記作業領域および前記予備塗布面の設置領域を囲う外壁と、
前記予備塗布面を前記洗浄装置が洗浄する際に、前記外壁内の空間であって前記洗浄装置の一部または前記洗浄装置の近傍にガスを供給する供給機構と、を備える、請求項6に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記洗浄装置は、前記洗浄移動体を覆うカバーを備え、
前記供給機構は、前記カバー内に前記ガスを供給するため前記カバーと前記外壁とを繋ぐ流路を備える、請求項7に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布器による基材への液の塗布前、その塗布器の初期化に用いる予備塗布面を洗浄する洗浄装置、および、その洗浄装置を備える塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体の製造工程では、半導体ウエハに液状である機能性材料(以下、単に「液」と称する。)が塗布される。半導体ウエハに液を塗布する技術としてスピンコートが知られているが、スピンコートの場合、液の利用効率が悪い。そこで、近年、半導体ウエハ等の基材に液を塗布するための装置として、塗布器を備えた塗布装置が用いられる。塗布器は、一方向に長いスリットを有し、塗布器と半導体ウエハとを相対的に移動させながら、スリットから液を吐出し、半導体ウエハ上に塗膜を形成する。
【0003】
前記のような塗布装置では、基材への塗布において、塗膜の厚さが不均一となるような塗布不良が生じることがある。そこで、塗布前に、基材とは別の領域に対して塗布器のスリットから液を吐出させ、スリットの開口端における液面を揃える初期化が行われる。特許文献1に、初期化を行う塗布装置が開示されている。この塗布装置では、基材とは別の予備塗布シートに対して、塗布器のスリットから液を吐出させ、初期化が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような初期化の手段として、他に、基材とは別の回転ロールに対して塗布器のスリットから液を吐出させる手段、または、ゴムなどによって塗布器の先端面を拭き取る手段がある。回転ロールを用いる場合、液の飛散が課題となる。ゴムによる拭き取りの場合、発塵が課題となる。特に半導体製造の場合、クリーン度が高く要求されることから、ゴムによる拭き取りは不適である。
【0006】
また、基材とは別の予備塗布プレートに塗布器のスリットから液を吐出させ、その後、予備塗布プレート上の液をスクレイパによって掻き取りながら吸引する手段も考えられる。これにより、予備塗布プレートの再生(再利用)が可能となる。しかし、この場合も予備塗布プレートに対するスクレイパの接触による発塵が課題となる。つまり、初期化のために塗布器の先端面または予備塗布プレートにスクレイパなどの部材が接触する接触式の洗浄装置の場合、発塵によって、基材に塗布器が塗布を行う作業領域におけるクリーン度を保つことができない可能性がある。
【0007】
そこで、本開示では、塗布器の初期化のための動作において、発塵が無いようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示は、基材に塗布器が液の塗布を行う作業領域に並んで設けられる予備塗布面を洗浄する洗浄装置であって、前記塗布器が前記予備塗布面に予備的に吐出した液を、前記予備塗布面に非接触状態で除去する洗浄移動体と、前記予備塗布面に対する非接触状態を維持して前記洗浄移動体と前記予備塗布面とを相対的に前記予備塗布面に沿って移動させる駆動機構と、を備え、前記洗浄移動体は、前記液が塗布された前記予備塗布面に洗浄液を吐出する第一ノズルと、前記予備塗布面上の前記液と前記洗浄液との溶液を吸引する第二ノズルと、を有する。
【0009】
本開示の洗浄装置によれば、液が塗布された予備塗布面に沿って洗浄移動体が相対的に移動する際に、その予備塗布面に第一ノズルから洗浄液が吐出され、その後、第二ノズルにより予備塗布面から液と洗浄液との溶液が吸引され、除去される。溶液を除去するために、洗浄移動体は予備塗布面に非接触であるため、従来の接触式の洗浄装置の場合のような発塵が無い。よって、基材に塗布器が塗布を行う作業領域におけるクリーン度を保つことが可能である。
【0010】
(2)好ましくは、前記第二ノズルは、前記溶液を吸引する吸引口が開口する先端面を有し、前記先端面の高さが前記溶液の液面の高さ以下となるように、前記先端面は前記予備塗布面に近接する。この場合、第二ノズルの先端面が予備塗布面上の溶液に接し、前記相対移動により、その先端面と予備塗布面との間に溶液によるビードを形成しながら、第二ノズルの吸引口から溶液を吸引することが可能となる。このため、例えばスクレイパなどが無くても、予備塗布面から溶液を除去することが可能となる。
【0011】
(3)好ましくは、前記第二ノズルは、前記溶液を吸引する吸引口が開口する先端面を有し、前記先端面の高さを変更可能として前記第二ノズルを支持するとともに変更した位置で前記第二ノズルの高さを維持する支持機構を備える。この場合、予備塗布面上の溶液の液面の高さに応じて、第二ノズルの先端面を位置合わせすることが可能となる。第二ノズルの先端面が予備塗布面に近接した状態が維持され、前記相対移動により、第二ノズルの先端面と予備塗布面との間に溶液によるビードを形成しながら、第二ノズルから溶液を吸引することが可能となる。
【0012】
(4)好ましくは、前記第一ノズルは、前記洗浄液を吐出する吐出口が開口する第一先端面を有し、前記第二ノズルは、前記溶液を吸引する吸引口が開口する第二先端面を有し、前記第二先端面は前記第一先端面よりも前記予備塗布面に近い、または、前記予備塗布面からの距離が前記第一先端面と前記第二先端面とで同じである。この場合、第二ノズルの第二先端面が予備塗布面に近接した状態が得られる。第二ノズルの先端面と予備塗布面との間に溶液によるビードを形成しながら、第二ノズルから溶液を吸引することが可能となる。
【0013】
(5)好ましくは、前記駆動機構は、前記予備塗布面に対して相対的に前記洗浄移動体を往復移動させることが可能であり、前記洗浄移動体の往路の移動の際に前記第一ノズルは前記洗浄液を吐出し、前記洗浄移動体の復路の移動の際に前記第二ノズルは前記溶液を吸引する。この場合、予備塗布面に塗布されている液に対して洗浄液を一旦塗布してから、時間をあけて、液と洗浄液との溶液を吸引することが可能となる。このように時間をあけることで、液は洗浄液の作用を受けやすく、より一層効果的な除去作業が可能となる。
【0014】
(6)また、本開示の塗布装置は、基材との関係で相対移動して前記基材に液の塗布を行う塗布器と、前記基材に前記塗布器が液の塗布を行う作業領域に並んで設けられている予備塗布面と、前記予備塗布面を洗浄する前記洗浄装置と、を備える。
本開示の塗布装置によれば、塗布器が基材に液の塗布を行う前に、予備塗布面に対して液の塗布を行うことで、塗布器の初期化が可能となる。初期化の後、洗浄装置によって予備塗布面に塗布された液が除去され、予備塗布面の再生(再利用)が可能となる。
その除去において、液が塗布された予備塗布面に沿って洗浄移動体が相対的に移動する際に、その予備塗布面に第一ノズルから洗浄液が吐出され、その後、第二ノズルにより予備塗布面から液と洗浄液との溶液が吸引され、除去される。溶液を除去するために、洗浄移動体は予備塗布面に非接触であるため、従来の接触式の洗浄装置の場合のような発塵が無い。よって、基材に塗布器が塗布を行う作業領域におけるクリーン度を保つことが可能である。
【0015】
(7)好ましくは、前記塗布装置は、前記作業領域および前記予備塗布面の設置領域を囲う外壁と、前記予備塗布面を前記洗浄装置が洗浄する際に、前記外壁内の空間であって前記洗浄装置の一部または前記洗浄装置の近傍にガスを供給する供給機構と、を備える。
この場合、洗浄装置による予備塗布面の洗浄の際、第二ノズルが前記溶液を吸引することで、外壁内の空間の圧力が低下し、その後に行われる基材への塗布に影響を与える可能性がある。しかし、前記供給機構によれば、圧力の低下を抑制することが可能であり、基材への塗布への影響を抑えることが可能となる。
【0016】
(8)前記(7)の塗布装置において、前記洗浄装置は、前記洗浄移動体を覆うカバーを備え、前記供給機構は、前記カバー内に前記ガスを供給するため前記カバーと前記外壁とを繋ぐ流路を備える。この場合、カバーの内側において第二ノズルが前記溶液を吸引するとともに、そのカバー内にガスが供給される。外壁内の空間における圧力変動の抑制をより効果的に抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
塗布器による基材への液の塗布前、その塗布器の初期化のために用いられる予備塗布面を洗浄する際に、発塵が無い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】第一ノズルおよび第二ノズルを下から見た斜視図である。
【
図5】第一ノズル、第二ノズル、予備塗布プレート、およびその周囲の構成を示す説明図である。
【
図6】支持部材の移動ブロックへの取付構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔塗布装置の構成〕
図1は、塗布装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示す塗布装置10は、基材Wに液Lを塗布するための装置である。塗布装置10は、後にも説明するが、一方向に長い吐出口23を有する塗布器11を備え、その塗布器11と基材Wとを相対移動させながら、吐出口23から液Lを吐出させる。これにより、基材Wに液Lが塗布される。このような塗布を行うため、塗布装置10は、塗布器11、移動機構12、供給機構15、ステージ16、及び制御装置14を備える。制御装置14は、コンピュータを含み、塗布装置10の各機構の動作制御を行う。
【0020】
図1に示す塗布装置10は、予備塗布プレート50および洗浄装置13を備える。予備塗布プレート50は、基材Wに塗布器11が液Lの塗布を行う作業領域7に並んで設けられている。前記作業領域7は、ステージ16上の領域であり、その作業領域7で塗布器11による基材Wへの液Lの塗布が行われる。
【0021】
予備塗布プレート50の上面が予備塗布面51である。基材Wへの塗布の前、予備塗布面51に対して塗布器11により液Lの予備的な塗布が行われる。洗浄装置13は、液Lが塗布された予備塗布面51を洗浄する。予備塗布プレート50は、金属製であってもよいが、液Lとの接触角を大きくするため、つまり、液Lの撥液性を高めるため、ガラス(フロートガラス)または樹脂であるのが好ましい。
【0022】
塗布器11による基材Wへの液Lの塗布前、その塗布器11は予備塗布面51に液Lの塗布(予備塗布)を行うことで、その塗布器11が初期化される。初期化とは、基材Wの上面と別の領域である予備塗布面51に対して、塗布器11の吐出口23から液Lを吐出させ、吐出口23(スリット22の開口端)における液面を揃える処理である。塗布器11の初期化を行うことで、基材Wへの塗布において、塗膜の厚さが不均一となるような塗布不良の発生を抑制することが可能となる。初期化および洗浄装置13については後にも説明する。
【0023】
〔基材Wへ液Lを塗布するための構成〕
塗布器11、予備塗布プレート50、および洗浄装置13は、外壁18に覆われており、外壁18によって閉じた空間となるクリーンルームが構成される。なお、外壁18には外気の取り入れを可能とするフィルタ(図示せず)が設けられている。塗布装置10は、外壁18内の圧力が一定となるように調整される環境で用いられる。
【0024】
図2は、塗布器11及び基材Wの一例を示す斜視図である。塗布器11は、スリットダイとも呼ばれ、一方向に長い部材である。塗布器11は、塗布装置10が備える支持部17(
図1参照)に搭載されている。塗布器11内に、液が溜められる液溜め空間21と、スリット22とが形成されている。液溜め空間21及びスリット22は、長く直線状に形成されている。スリット22の一方側は、液溜め空間21に開口し、液溜め空間21と繋がっている。スリット22の他方側は、塗布器11の先端面24で開口している。スリット22の開口が、液Lを吐出する吐出口23である。塗布器11に供給され液溜め空間21に一旦溜められた液Lが、スリット22を通じて吐出口23から外部空間へ吐出される。塗布器11の先端面24は、基材Wに対向しており、吐出口23から吐出された液Lが基材Wに塗布される。本実施形態の基材Wは、
図2に示すように、一般的な半導体ウエハのような円形の板である。なお、基材Wは、円形以外であってもよい。また、塗布器11は、スリットダイ以外に、ストライプノズルであってもよい。
【0025】
図1において、移動機構12は、塗布器11と基材Wとを相対移動させる。本開示では、基材Wを保持するステージ16が静止状態にあり、そのステージ16に対して塗布器11が移動する。基材Wに対する塗布器11の移動方向が「塗布進行方向」となり、塗布進行方向は、塗布器11の長手方向に直交する方向となる。
各図にXYZ軸による直交座標を示す。X軸方向は塗布器11の長手方向であり、Y軸方向は塗布器11の塗布進行方向であり、Z方向は上下方向である。
【0026】
移動機構12について具体的に説明する。塗布器11および支持部17はY軸に沿って前後移動可能となって設けられている。移動機構12は、支持部17を移動させるアクチュエータ26を有する。アクチュエータ26は、例えばリニアアクチュエータである。移動機構12により、塗布器11は、基材Wの上方を通過可能であるとともに、予備塗布プレート50の上方の領域まで移動可能である。移動機構12の動作は制御装置14によって制御される。
本実施形態の構成とは反対に、塗布器11が静止状態であってステージ16および予備塗布プレート50が移動してもよい。
【0027】
図1では、予備塗布プレート50の上に洗浄装置13が有する洗浄移動体60が記載されているが、塗布器11が予備塗布プレート50の上方の領域に移動する際、洗浄移動体60は、X軸方向について一方側の退避位置に存在し、塗布器11は洗浄移動体60と干渉しない。
【0028】
作業領域7では、基材Wに対して塗布器11が移動しながら、その塗布器11の吐出口23から液Lを吐出して、キャピラリ塗布が行われる。塗布器11の吐出口23と、基材Wとの間隔(隙間)を調整するために、塗布器11は、基材Wの上面(被塗布面)に直交するZ軸方向に移動可能となって支持部17に搭載されている。
【0029】
供給機構15は、液Lを溜めるタンク31、塗布器11とタンク31とを繋ぐ流路を構成する配管32、配管32に設けられているバルブ33、及び、タンク31の液Lを減圧するとともにその液Lの圧力を調整する調圧手段34を有する。バルブ33は開閉動作するバルブであり、開状態にあると、配管32を通じて塗布器11とタンク31との間を液Lが流れることが可能である。
【0030】
調圧手段34は、吸引ポンプ(真空ポンプ)35と、レギュレータ36とを有する。吸引ポンプ35は、タンク31内を減圧することでタンク31に溜められている液Lを減圧する。レギュレータ36は、タンク31の液Lの圧力を調整する。調圧手段34により、タンク31の液Lが外壁18内の圧力(例えば大気圧)に対して負圧となる。その状態で、バルブ33が開状態になると、塗布器11内の液Lも外壁18内の圧力に対して負圧となる。
【0031】
塗布器11に圧力センサ39が設けられていて、圧力センサ39は塗布器11内の液Lの圧力を検出する。制御装置14は圧力センサ39の測定値を取得し、その測定値に基づいてレギュレータ36を制御する。圧力センサ39が用いられて、塗布器11内の液Lの圧力が所定の値(負圧)に保たれるように、タンク31に溜めている液Lの圧力が調圧手段34によって調整される。調圧手段34は、塗布器11内の液Lの圧力を、外壁18内の圧力に対して負圧に調整することが可能であり、これにより、塗布器11によるキャピラリ塗布が可能となる。調圧手段34の動作の他、バルブ33の開閉動作は制御装置14によって制御される。なお、塗布器11によるキャピラリ塗布が可能であれば、供給機構15は、その他の構成であってもよい。
【0032】
〔初期化および洗浄装置13について〕
塗布器11を用いた塗布の場合、基材Wへの液Lの塗布において、塗膜の厚さが不均一となる可能性がある。そこで、前記のとおり、基材Wへの液の塗布前に、予備塗布面51に対して塗布器11のスリット22から液を吐出させ、スリット22の開口端における液面を揃える初期化が行われる。初期化は、基材Wへの塗布ごとに、その塗布の処理前に行われる。つまり、ステージ16上から基材Wが交換されるごとに、塗布器11の初期化が行われ、その後、交換された基材Wへの塗布が行われる。このため、初期化ごとに、洗浄装置13が予備塗布面51を洗浄する。これにより、予備塗布面51が再生(再利用)される。
【0033】
洗浄装置13について説明する。洗浄装置13は、洗浄移動体60と、駆動機構64とを備える。洗浄移動体60は、前記初期化のために塗布器11が予備塗布面51に予備的に吐出した液Lを、予備塗布面51に非接触状態で除去する。駆動機構64は、予備塗布面51に対する非接触状態を維持して、洗浄移動体60と予備塗布面51とを相対的に予備塗布面51に沿って移動させる。本実施形態では、予備塗布プレート50が装置基台19に固定されていることから、洗浄移動体60が予備塗布面51に対して移動する。
【0034】
図3は、洗浄装置13の一部を示す斜視図である。洗浄移動体60は、第一ノズル61と第二ノズル62とを有する。第一ノズル61と第二ノズル62とは並んで設けられており、一体となって構成されている。第一ノズル61および第二ノズル62は、それぞれがY軸方向に長く構成されており、X軸方向に並んで設けられている。塗布器11(
図1参照)は、Y軸に沿って移動しながら予備塗布面51に液Lの予備塗布を行う。
図3に示すように、予備塗布面51に、Y軸方向よりもX軸方向に長い塗膜Sが形成される。洗浄移動体60は、X軸に沿って移動しながら予備塗布面51の洗浄を行う。
【0035】
図4は、第一ノズル61および第二ノズル62を下から見た斜視図である。第一ノズル61は、液Lが塗布された予備塗布面51に洗浄液Pを吐出する。洗浄液Pは、液Lの溶剤を含む。図外の供給装置から延びる配管65が第一ノズル61に接続されており、前記供給装置によって供給された洗浄液Pが第一ノズル61に供給される。第一ノズル61内に、拡大空間67および洗浄液Pを吐出する吐出口が設けられている。
図4に示す形態では、前記吐出口は、Y軸方向に並んで設けられている複数の穴66により構成されている。吐出口を小さい穴66とすることで、吐出する洗浄液Pの流速を高くすることが可能となる。第一ノズル61は、駆動機構64によってX軸に沿った方向に移動しながら、洗浄液Pを、拡大空間67から複数の穴66を通じて予備塗布面51に吐出する。予備塗布面51に塗布されている液Lに洗浄液Pが混合することで溶液Qとなる。
【0036】
第二ノズル62は、予備塗布面51上の液Lと洗浄液Pとの溶液Qを吸引する。図外の吸引装置から延びる配管75が第二ノズル62に接続されており、予備塗布面51上の溶液Qが第二ノズル62を通じて前記吸引装置により吸引される。第二ノズル62に、吸引口が設けられており、
図4に示す形態では、前記吸引口は、Y軸方向に長いスリット76により構成されている。スリット76のY軸方向の長さは、予備塗布面51上の溶液Qの塗布幅(Y軸方向の幅)よりも大きい。吸引口をスリット76とすることで、予備塗布面51上の溶液Qを全幅にわたって吸引することが可能となる。第二ノズル62は、駆動機構64によってX軸に沿った方向に移動しながら、溶液Qを吸引する。
【0037】
図5は、第一ノズル61、第二ノズル62、予備塗布プレート50、およびその周囲の構成を示す説明図である。第一ノズル61は、洗浄液Pを吐出する吐出口(穴66)が開口する第一先端面81を有する。第二ノズル62は、溶液Qを吸引する吸引口(スリット76)が開口する第二先端面82を有する。
図5に示す形態では、第一先端面81と第二先端面82とは、Z軸方向について同じ位置、つまり、同じ高さ位置に設定されている。このため、予備塗布面51からの距離が第一先端面81と第二先端面82とで同じである。その変形例として、第二先端面82は第一先端面81よりも予備塗布面51に近くてもよい。いずれの場合においても、第二先端面82が予備塗布面51に近接した状態にある。
【0038】
後に説明するが、洗浄移動体60の高さ位置は調整可能である。そこで、その調整を行うことで、第一先端面81および第二先端面82を予備塗布面51に近接させる。具体的に説明すると、第二先端面82の高さが、予備塗布面51上の溶液Qの液面の高さ以下となるように、第二先端面82は予備塗布面51に近接している。予備塗布面51からの第二先端面82の高さは、例えば、500マイクロメートル以下であり、好ましくは、200マイクロメートル以下である。第二先端面82は、予備塗布面51に非接触である。なお、予備塗布面51上の液L(塗膜S)に洗浄液Pが供給されることで、溶液Qの液面は、塗膜Sの上面よりも僅かに高くなる。
【0039】
駆動機構64は、洗浄移動体60を移動させる構成であればよく、様々な形式のアクチュエータを採用することが可能である。例えば、駆動機構64は、リニアサーボモータを含む構成を有する。なお、アクチュエータは非接触駆動とするのが、発塵を抑える点で好ましい。または、リニアサーボモータ以外として、直流サーボモータとボールねじとを含むアクチュエータであってもよく、直流サーボモータとタイミングベルトとを含むアクチュエータであってもよい。この場合、ねじやベルトなどの摺動部分から発塵が生じる可能性があるため、そのアクチュエータの近傍に、粉塵を吸引して排出する機構を駆動機構64はさらに有するのが好ましい。駆動機構64は、洗浄移動体60と一体移動可能となる移動ブロック69(
図6参照)を有し、前記アクチュエータにより、その移動ブロック69は、X軸に沿って往復移動可能となる。
【0040】
図3において、第一ノズル61および第二ノズル62を含む洗浄移動体60は、支持部材70によって支持されている。支持部材70が、駆動機構64の移動ブロック69(
図6参照)と一体となる。よって、移動ブロック69が移動することで、洗浄移動体60はX軸に沿った方向に移動する。駆動機構64により洗浄移動体60はX軸に沿って往復移動可能となる。
図5では、往路または復路の移動の際に、第一ノズル61は洗浄液Pを吐出し、第二ノズル62は溶液Qを吸引する様子が示されている。これとは異なり、洗浄移動体60の「往路」の移動の際に、第一ノズル61は洗浄液Pを吐出し、洗浄移動体60の「復路」の移動の際に、第二ノズル62は溶液Qを吸引するように、洗浄移動体60を動作させてもよい。
【0041】
なお、図示しないが、予備塗布プレート50が移動可能となっていて、洗浄移動体60が固定状態となっていてもよい。つまり、駆動機構64は、予備塗布面51に対して相対的に洗浄移動体60を往復移動させることが可能であればよい。
【0042】
図6は、支持部材70の移動ブロック69への取付構造を説明する図である。本実施形態の洗浄装置13は、洗浄移動体60の高さ、つまり、洗浄移動体60のZ軸方向の位置を調整可能とする支持機構55を備える。
【0043】
本実施形態では、支持機構55として、支持部材70の一部に設けられている長穴72と、移動ブロック69に設けられているねじ穴73と、そのねじ穴73に締め付けられる止めねじ74とを有する。支持機構55の具体的構成について説明する。支持部材70が有する板片71にZ軸方向に長い長穴72が設けられている。移動ブロック69の一部に、ねじ穴73が設けられている。
【0044】
止めねじ74が長穴72を通過してねじ穴73に締め付けられる。これにより支持部材70は移動ブロック69に固定される。止めねじ74を緩めると、長穴72によって支持部材70はZ軸方向に移動可能となる。これにより、支持部材70および洗浄移動体60は、Z軸方向についての位置を変更することが可能となる。任意の位置で、止めねじ74を締め付けることで、支持部材70および洗浄移動体60を、その位置に固定することができる。
【0045】
図6に示す形態では、支持部材70は2つ設けられていて、一方の支持部材70に第一ノズル61が支持されていて、他方の支持部材70に第二ノズル62が支持されている。一方の支持部材70と他方の支持部材70とは、移動ブロック69に対して、独立してZ軸方向に移動可能であり、独立してZ軸方向についての位置を変更することが可能となる。
【0046】
以上のように、支持機構55は、洗浄移動体60の高さを変更可能として洗浄移動体60を支持するとともに、変更した位置で洗浄移動体60の高さを維持する(固定する)ことが可能とである。洗浄移動体60に第一ノズル61および第二ノズル62が含まれている(
図3参照)。このため、支持機構55は、第一ノズル61の第一先端面81の高さを変更可能として第一ノズル61を支持するとともに、変更した位置で第一ノズル61の高さを維持することが可能である。さらに、支持機構55は、第二ノズル62の第二先端面82の高さを変更可能として第二ノズル62を支持するとともに、変更した位置で第二ノズル62の高さを維持することが可能である。
【0047】
本実施形態では、第一ノズル61および第二ノズル62それぞれが個別に別の支持部材70に搭載されており、個別に高さ変更されるように支持機構55が構成されている。その変形例として、図示しないが、第一ノズル61と第二ノズル62とが、共通する支持部材70に搭載されていて、第一ノズル61と第二ノズル62との位置が同時に変更されるように支持機構55が構成されていてもよい。
【0048】
前記のとおり(
図1参照)、塗布装置10は、作業領域7および予備塗布面51の設置領域8を囲う外壁18を備える。塗布装置10は、予備塗布面51を洗浄装置13が洗浄する際に、外壁18内の空間にガスを供給する供給機構40を備える(
図5参照)。供給機構40は、予備塗布面51を洗浄装置13が洗浄する際に、外壁18内の空間であって洗浄装置13の一部または洗浄装置13の近傍にガスを供給する。本実施形態では、
図5に示すように、洗浄装置13の一部にガスを供給する。供給するガスは、外壁18内の雰囲気ガスである。供給機構40について以下説明する。
【0049】
洗浄装置13は、洗浄移動体60を覆うカバー41を備える。カバー41は、支持部材70(
図3参照)に搭載されており、洗浄移動体60と一体となって移動する。なお、
図3では、洗浄移動体60の説明のためにカバー41を省略している。供給機構40は、カバー41内にガスを供給する。
図5に示すように、供給機構40は、カバー41内にガスを供給するため、カバー41と外壁18とを繋ぐ流路として配管42を備える。外壁18外に、図外のガス供給装置が設けられており、そのガス供給装置からガスが配管42を通じて、洗浄移動体60とカバー41との間に供給される。供給機構40およびカバー41の機能については後に説明する。
【0050】
〔本実施形態の塗布装置10および洗浄装置13について〕
以上のように、本実施形態に係る塗布装置10は(
図1参照)、基材Wとの関係で相対移動してその基材Wに液Lの塗布を行う塗布器11を備える。塗布装置10は、予備塗布面51と、予備塗布面51を洗浄する洗浄装置13とを備える。予備塗布面51は、基材Wに塗布器11が液Lの塗布を行う作業領域7に並んで設けられている。
【0051】
洗浄装置13は、洗浄移動体60と、予備塗布面51に対して洗浄移動体60を予備塗布面51に沿って移動させる駆動機構64とを備える。洗浄移動体60は、前記初期化のために塗布器11が予備塗布面51に予備的に吐出した液Lを、予備塗布面51に非接触状態で除去する。駆動機構64は、予備塗布面51に対する非接触状態を維持して、洗浄移動体60と予備塗布面51とを相対的に予備塗布面51に沿って移動させる。
【0052】
図5に示すように、洗浄移動体60は、第一ノズル61と第二ノズル62とを有する。第一ノズル61は、液Lが塗布された予備塗布面51に洗浄液Pを吐出する。第二ノズル62は、予備塗布面51上の液Lと洗浄液Pとの溶液Qを吸引する。第一ノズル61、第二ノズル62、およびこれらを支持する支持部材70は、予備塗布面51に非接触である。洗浄移動体60は、非接触式の構成を備える。
【0053】
本実施形態の塗布装置10によれば、塗布器11が基材Wに液Lの塗布を行う前に、予備塗布面51に対して液Lの塗布を行うことで、塗布器11の初期化が可能となる。初期化の後、洗浄装置13によって予備塗布面51に塗布された液Lが除去され、予備塗布面51が再生(再利用)される。
その除去において、液Lが塗布された予備塗布面51に沿って洗浄移動体60が移動する際に、その予備塗布面51に第一ノズル61から洗浄液Pが吐出され、その後、第二ノズル62により予備塗布面51から液Lと洗浄液Pとの溶液Qが吸引され、除去される。溶液Qを除去するために、洗浄移動体60は予備塗布面51に非接触であるため、従来の接触式の洗浄装置の場合のような発塵が無い。よって、基材Wに塗布器11が塗布を行う作業領域7におけるクリーン度を保つことが可能である。
【0054】
本実施形態では(
図5参照)、第二ノズル62において、スリット76が開口する第二先端面82の高さが、溶液Qの液面の高さ以下となるように、第二先端面82は予備塗布面51に近接する。そして、第二先端面82が、予備塗布面51上の溶液Qの液面の高さ以下となる状態で、第二ノズル62は溶液Qの吸引を開始し、その高さを維持する。このため、第二先端面82が予備塗布面51上の溶液Qに接し、洗浄移動体60の移動により、その第二先端面82と予備塗布面51との間に溶液QによるビードBを形成しながら、スリット76から溶液Qを吸引することが可能となる。このため、例えば予備塗布面51に接触するスクレイパなどが無くても、予備塗布面51から溶液Qを、きれいに除去することが可能となる。
【0055】
本実施形態では、洗浄装置13は、第二ノズル62を有する洗浄移動体60を支持する支持機構55を備える(
図6参照)。支持機構55は、第二先端面82の高さを変更可能として第二ノズル62を支持するとともに、変更した位置で第二ノズル62の高さを維持するように構成されている。この構成により、予備塗布面51上の溶液Qの液面の高さに応じて、第二先端面82を位置合わせすることが可能となる。第二先端面82が予備塗布面51に近接した状態が維持され、洗浄移動体60の移動により、第二先端面82と予備塗布面51との間に溶液QによるビードBを形成しながら、第二ノズル62のスリット76から溶液Qを吸引することが可能となる。
【0056】
前記のとおり、予備塗布面51上の溶液Qの洗浄を行う処理において、洗浄移動体60の「往路」の移動の際に第一ノズル61は洗浄液Pを吐出し、洗浄移動体60の「復路」の移動の際に第二ノズル62は溶液Qを吸引することが可能である。この動作の場合、予備塗布面51に塗布されている液Lに対して洗浄液Pを一旦塗布してから、時間をあけて、液Lと洗浄液Pとの溶液Qを吸引することが可能となる。このように時間をあけることで、液Lは洗浄液Pの作用を受けやすく、より一層効果的な除去作業が可能となる。
【0057】
なお、予備塗布面51上の溶液Qの洗浄を行う処理は、別の方式であってもよい。例えば、
図5に示すように、洗浄移動体60の往路(または復路)の一方向のストローク動作の間に、第一ノズル61は洗浄液Pを吐出するとともに、第二ノズル62は溶液Qを吸引することが可能である。この場合、洗浄移動体60の移動速度を遅く設定するのが好ましい。また、第一ノズル61と第二ノズル62とのX軸方向の間隔を大きく設定してもよい。この場合でも、液Lに対する洗浄液Pの供給から溶液Qの吸引まで時間をあけることが可能となり、液Lは洗浄液Pの作用を受けやすく、より一層効果的な除去作業が可能となる。
【0058】
本実施形態の塗布装置10は、前記のとおりキャピラリ塗布を行う装置である。キャピラリ塗布の場合、塗布器11の内外の圧力設定が、液Lの吐出動作および塗布品質に影響を与える。さらに、
図1に示すように、基材Wへの塗布を行う作業領域7、および塗布器11の初期化に用いられる予備塗布面51の設置領域8が、外壁18により囲われている。外壁18内の空間における圧力変動が塗布品質に影響を及ぼしやすい。特に、洗浄装置13による予備塗布面51の洗浄の際、第二ノズル62が溶液Qを吸引する。このため、外壁18内の空間の圧力が低下し、その後に行われる基材Wへのキャピラリ塗布に影響を与える可能性がある。しかし、本実施形態では、予備塗布面51を洗浄装置13が洗浄する際に、外壁18内の空間であって洗浄装置13の一部にガスを供給する供給機構40を備える(
図5参照)。供給機構40によれば、圧力の低下を抑制することが可能であり、基材Wへのキャピラリ塗布への影響を抑えることが可能となる。
【0059】
図5に示す形態では、洗浄装置13は、洗浄移動体60を覆うカバー41を備える。供給機構40は、カバー41と外壁18とを繋ぐ流路として配管42を備え、その配管42を通じてカバー41内にガスを供給する。この構成によれば、カバー41の内側において第二ノズル62が溶液Qを吸引するとともに、そのカバー41内にガスが供給される。このため、外壁18内の空間における圧力変動の抑制をより効果的に抑えることが可能となる。なお、洗浄処理の際、カバー41は予備塗布面51に非接触である。
【0060】
カバー41は省略されていてもよい。この場合、例えば、予備塗布面51を洗浄装置13が洗浄する際に、供給機構40は、外壁18内の空間であって洗浄装置13の近傍にガスを供給してもよい。作業領域7よりも予備塗布面51に近い位置に、供給機構40はガスを供給するのが好ましい。例えば、予備塗布面51の隣接する領域に開口が設けられており、その開口からガスを供給してもよい。
【0061】
前記実施形態では、第二ノズル62(洗浄移動体60)を支持する支持機構55として(
図6参照)、支持部材70に設けられている長穴72と、移動ブロック69に設けられているねじ穴73と、そのねじ穴73に締め付けられる止めねじ74とを有する場合について説明した。この場合、第二ノズル62(洗浄移動体60)の高さ調整は、作業者の作業による。
支持機構55は別の形式であってもよい。長穴72の形成部材は、他であってもよい。また、支持機構55は、長穴72が形成される部材を含む構成以外に、例えば、洗浄移動体60を支持する支持部材70の高さを調整可能とするアクチュエータを含む構成であってもよい。そのアクチュエータは、手動式であってもよく、電動式であってもよい。
図6に示す支持機構55では、移動ブロック69に対して支持部材70がZ軸方向に移動可能であり位置調整可能となるが、その他の構成として、支持部材70に対して第一ノズル61および第二ノズル62がZ軸方向に移動可能であり位置調整可能となるように構成されてもよい。
【0062】
または、図示しないが、予備塗布プレート50の高さを変更可能としてもよい。つまり、第二ノズル62の第二先端面82と予備塗布面51との間隔を変更し、その変更した間隔を維持する昇降調整機構を、洗浄装置13は有していてもよい。
【0063】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0064】
7 作業領域
8 設置領域
10 塗布装置
11 塗布器
13 洗浄装置
18 外壁
40 供給機構
41 カバー
42 配管(流路)
51 予備塗布面
55 支持機構
60 洗浄移動体
61 第一ノズル
62 第二ノズル
64 駆動機構
66 穴(吐出口)
76 スリット(吸引口)
81 第一先端面
82 第二先端面
L 液
P 洗浄液
Q 溶液
W 基材