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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141386
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】交換機および回線制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/00 20060101AFI20230928BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20230928BHJP
   H04Q 3/58 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H04M3/00 D
H04M3/42 Q
H04Q3/58 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047688
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 宣之
【テーマコード(参考)】
5K049
5K201
【Fターム(参考)】
5K049CC10
5K049GG15
5K201BC28
5K201EA02
5K201EC02
5K201FA03
5K201FA08
5K201FA10
5K201FB07
(57)【要約】
【課題】 簡便に回線話中率を抑制する技術を提供する。
【解決手段】
交換機であって、交換サービスを提供する呼制御部と、交換サービスの経路上にある交換機との接続状態を管理する接続状態管理部と、交換サービスの経路上で隣接する障害検出対象交換機との間の通信障害を検出して接続状態管理部に通知する障害検出部と、通信障害を検出すると障害検出対象交換機とは異なる所定の通知対象交換機と該通信障害の障害情報を共有する障害情報共有部と、障害検出対象交換機が、接続状態において接続不可能な状態を示す場合に、障害検出対象交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信する発信規制音声ガイダンス部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換サービスを提供する呼制御部と、
前記交換サービスの経路上にある交換機との接続状態を管理する接続状態管理部と、
前記交換サービスの経路上で隣接する障害検出対象交換機との間の通信障害を検出して前記接続状態管理部に通知する障害検出部と、
前記通信障害を検出すると前記障害検出対象交換機とは異なる所定の通知対象交換機と該通信障害の障害情報を共有する障害情報共有部と、
前記障害検出対象交換機が、前記接続状態において接続不可能な状態を示す場合に、前記障害検出対象交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信する発信規制音声ガイダンス部と、
を備えることを特徴とする交換機。
【請求項2】
請求項1に記載の交換機であって、
前記接続状態管理部は、前記交換サービスの経路上で隣接する交換機である経由交換機から前記通信障害の障害情報を共有されると、該通信障害に係る前記障害検出対象交換機の前記接続状態を更新する、
ことを特徴とする交換機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の交換機であって、
前記接続状態管理部は、前記通信障害が検出されると、前記障害検出対象交換機および前記交換サービスの経路上接続不可となる交換機について接続不可能な状態の交換機であるとして前記接続状態を更新し、
前記障害情報共有部は、前記通信障害が検出されると、前記障害検出対象交換機および前記接続不可能な状態の交換機を前記通信障害の障害情報に含めて共有する、
ことを特徴とする交換機。
【請求項4】
請求項2に記載の交換機であって、
前記接続状態管理部は、前記交換サービスの経路上で隣接する交換機である経由交換機から前記通信障害の障害情報を共有されると、該経由交換機に応じて前記障害情報に係る障害検出対象交換機の前記接続状態を更新し、
前記発信規制音声ガイダンス部は、前記経由交換機のいずれからも前記障害情報が共有されている場合には該障害情報に係る交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信する、
ことを特徴とする交換機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の交換機であって、
前記障害情報共有部は、前記通信障害に係る前記障害検出対象交換機が前記交換サービスの経路上で上位に位置する交換機である場合には、前記障害検出対象交換機とは異なる所定の通知対象交換機のうち、前記交換サービスの経路上で下位に位置する交換機に対しては該通信障害の障害情報を共有しない、
ことを特徴とする交換機。
【請求項6】
複数の交換機が多段的に接続されて交換サービスを提供する交換システムにおける回線制御方法であって、
前記交換機は、プロセッサと、前記交換サービスを提供する呼制御部と、前記交換サービスの経路上にある交換機との接続状態を管理する接続状態管理部と、を備え、
前記プロセッサは、
前記交換サービスの経路上で隣接する障害検出対象交換機との間の通信障害を検出して前記接続状態管理部に通知する障害検出ステップと、
前記通信障害を検出すると前記障害検出対象交換機とは異なる所定の通知対象交換機と該通信障害の障害情報を共有する障害情報共有ステップと、
前記障害検出対象交換機が、前記接続状態において接続不可能な状態を示す場合に、前記障害検出対象交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信する発信規制音声ガイダンスステップと、
を実施することを特徴とする回線制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換機および回線制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、交換サービスの実行を制御する複数のソフトウェア群で構成された交換サービス制御部と、交換機のハードウェアおよびソフトウェアの障害監視、および交換機の輻輳状態を監視するソフトウェア群で構成された異常状態監視部とを有し、該異常状態監視部に異常状態判定部と、該交換サービス制御部にサービス起動判定部と、メモリ部に交換サービス起動判定データとを設け、サービス起動判定部では、交換サービス制御部から交換サービス起動の可否の判断依頼があったときに、交換サービス起動判定データを参照することにより、該当交換サービスの起動可否を判定して結果を返答するように構成する交換機の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-38259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された技術は、交換機内部で自交換機のサービス起動制御を行う技術の一例であるが、複数の交換機がツリー型あるいはスター型等で多段的に接続される交換システムでは、サービス起動しない交換機がある場合には発信呼が当該交換機に到達するまで障害として検出されないため、不要なトラヒックを抑えられず回線話中率が高止まってしまう。
【0005】
本発明の目的は、簡便に回線話中率を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係る交換機は、交換サービスを提供する呼制御部と、前記交換サービスの経路上にある交換機との接続状態を管理する接続状態管理部と、前記交換サービスの経路上で隣接する障害検出対象交換機との間の通信障害を検出して前記接続状態管理部に通知する障害検出部と、前記通信障害を検出すると前記障害検出対象交換機とは異なる所定の通知対象交換機と該通信障害の障害情報を共有する障害情報共有部と、前記障害検出対象交換機が、前記接続状態において接続不可能な状態を示す場合に、前記障害検出対象交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信する発信規制音声ガイダンス部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記の交換機において、前記接続状態管理部は、前記交換サービスの経路上で隣接する交換機である経由交換機から前記通信障害の障害情報を共有されると、該通信障害に係る前記障害検出対象交換機の前記接続状態を更新するものであってもよい。
【0008】
また、上記の交換機において、前記接続状態管理部は、前記通信障害が検出されると、前記障害検出対象交換機および前記交換サービスの経路上接続不可となる交換機について接続不可能な状態の交換機であるとして前記接続状態を更新し、前記障害情報共有部は、前記通信障害が検出されると、前記障害検出対象交換機および前記接続不可能な状態の交換機を前記通信障害の障害情報に含めて共有するものであってもよい。
【0009】
また、上記の交換機において、前記接続状態管理部は、前記交換サービスの経路上で隣接する交換機である経由交換機から前記通信障害の障害情報を共有されると、該経由交換機に応じて前記障害情報に係る障害検出対象交換機の前記接続状態を更新し、前記発信規制音声ガイダンス部は、前記経由交換機のいずれからも前記障害情報が共有されている場合には該障害情報に係る交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信するものであってもよい。
【0010】
また、上記の交換機において、前記障害情報共有部は、前記通信障害に係る前記障害検出対象交換機が前記交換サービスの経路上で上位に位置する交換機である場合には、前記障害検出対象交換機とは異なる所定の通知対象交換機のうち、前記交換サービスの経路上で下位に位置する交換機に対しては該通信障害の障害情報を共有しないものであってもよい。
【0011】
また、本発明の別の態様に係る回線制御方法は、複数の交換機が多段的に接続されて交換サービスを提供する交換システムにおける回線制御方法であって、前記交換機は、プロセッサと、前記交換サービスを提供する呼制御部と、前記交換サービスの経路上にある交換機との接続状態を管理する接続状態管理部と、を備え、前記プロセッサは、前記交換サービスの経路上で隣接する障害検出対象交換機との間の通信障害を検出して前記接続状態管理部に通知する障害検出ステップと、前記通信障害を検出すると前記障害検出対象交換機とは異なる所定の通知対象交換機と該通信障害の障害情報を共有する障害情報共有ステップと、前記障害検出対象交換機が、前記接続状態において接続不可能な状態を示す場合に、前記障害検出対象交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信する発信規制音声ガイダンスステップと、を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡便に回線話中率を抑制する技術を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る交換機を用いる交換システムの構成例を示す図である。
図2】障害通知設定情報のデータ構造の例を示す図である。
図3】接続状態管理情報のデータ構造の例を示す図である。
図4】障害通知メッセージのデータ構造の例を示す図である。
図5】交換機のハードウェア構成例を示す図である。
図6】正常接続時の通知シーケンスの例を示す図である。
図7】異常接続時の通知シーケンスの例を示す図である。
図8】呼送出時の処理シーケンスの例を示す図である。
図9】ツリー型交換機ネットワークの構成例を示す図である。
図10】第2の実施形態に係る障害通知設定情報のデータ構造の例を示す図である。
図11】第2の実施形態に係る接続状態管理情報のデータ構造の例を示す図である。
図12】第2の実施形態に係る障害通知メッセージのデータ構造の例を示す図である。
図13】第2の実施形態に係る正常接続時の通知シーケンスの例を示す図である。
図14】第2の実施形態に係る異常接続時の通知シーケンスの例を示す図である。
図15】第2の実施形態に係る発呼時の処理シーケンスの例を示す図である。
図16】第2の実施形態に係るツリー型交換機ネットワークの構成例を示す図である。
図17】第2の実施形態に係る交換機の保持データの例を示す図である。
図18】第2の実施形態に係る別の交換機の保持データの例を示す図である。
図19】第2の実施形態に係るさらに別の交換機の保持データの例を示す図である。
図20】第2の実施形態に係る交換機の保持データの変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0015】
以下の説明では、交換機100の入出力部と表示部は、図示しないが、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。交換機100に対するI/Oインターフェースデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0016】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「記憶部」または「ストレージ」は、メモリと永続記憶装置のうちメモリかまたは両方であればよい。具体的には、永続記憶装置は例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0018】
また、以下の説明では、「処理部」または「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0020】
また、以下の説明では、プログラムや処理部を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0021】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」あるいは「xxx記憶部」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部又は一部が一つのテーブルであってもよい。
【0022】
情報伝達が可能な中継線で接続された複数の交換機を経由して接続する多段構成の交換システムにおいて、目的とする交換機またはその中継線が障害で接続できない場合、目的とする交換機と経路上直接接続される隣接の交換機までは回線が使用される。通常、隣接の交換機で障害を認識し、目的とする交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信する。つまり、発信規制となる発信呼であっても、隣接の交換機までの回線を一時的に使用するため、不要なトラヒックが発生し、回線話中率が高止まってしまう。
【0023】
発明者は、このような問題に関して、中継線あるいは交換機に障害が発生したことを検出した隣接する交換機が、さらに隣接する所定の通知対象の交換機に障害情報を共有させ、障害情報を共有する交換機から障害が発生した中継線あるいは交換機への発呼を制限しつつ発信元へ発信規制音声ガイダンスを行うことを考えた。これによれば、発信規制となるべき発信呼が隣接の交換機までの回線を一時的にでも使用してしまうことを防ぎ、不要なトラヒックの発生を回避し、回線話中率の高止まりを回避できると考えた。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る交換機を用いる交換システムの構成例を示す図である。交換機100は、交換サービスを実現する交換システムの経路上の上位局10(以降、「局」という表現は、便宜的に用いる表現であり、具体的には交換機を示すものとする)と、下位局200と、に接続される。なお、経路上最下位となる交換機は、当然にさらなる下位局と接続されることはなく、同様に最上位となる交換機は、当然にさらなる上位局と接続されることはない。
【0025】
上位局10および下位局200は、基本的には交換機100と同様の構成を備えるため、説明は省略する。
【0026】
交換機100は、記憶部110と、呼制御部120と、処理部130と、通信部140と、を備える。記憶部110には、障害通知設定情報111と、接続状態管理情報112と、が含まれる。処理部130には、障害検出部131と、障害情報共有部132と、接続状態管理部133と、発信規制音声ガイダンス部134と、が含まれる。
【0027】
図2は、障害通知設定情報のデータ構造の例を示す図である。障害通知設定情報111には、障害発生局111aごとに、ゼロまたは1以上の通知対象局111bが対応付けて格納される。障害発生局111aは、交換機100からみて障害の発生が検出された交換機を特定する情報である。実際には、交換機100と障害の発生が検出された交換機との間の中継線の障害であっても、交換機100との通信が直接的に不可能となっている交換機で障害の発生が検出されたものとして扱う。
【0028】
通知対象局111bは、障害発生局111aにて障害の発生が検出された場合に、交換機100が障害の発生を通知する対象となる交換機を特定する情報である。障害発生局111aに対して複数の通知対象局111bを設定することが可能であり、その場合にはいずれの通知対象局111bも交換機100が障害の発生を通知する対象となる。
【0029】
図3は、接続状態管理情報のデータ構造の例を示す図である。接続状態管理情報112には、発信先局112aごとに、接続状態112bが対応付けて格納される。発信先局112aは、交換機100から呼を送信する先の交換機を特定する情報である。
【0030】
接続状態112bは、交換機100からみた発信先局112aの接続状態を特定する情報である。接続状態112bには、複数の状態を示す値を含みうるが、本実施形態では、通信が可能な「可」と通信が不可能な「不可」との二値をとりうるものとして扱う。
【0031】
呼制御部120は、多機能電話機インターフェースを持つ。ここで、多機能電話機とは、電話交換機に接続された電話機のことであり、特に、構内で内線電話を可能にする電話機のことを言う。呼制御部120は、電話機による内線電話の呼の送受信を制御して交換サービスを提供する。
【0032】
処理部130は、各種の制御や演算処理を行う。障害検出部131は、交換サービスの経路上で隣接する障害検出対象交換機との間の通信障害を検出して接続状態管理部133に通知する。
【0033】
障害情報共有部132は、通信障害を検出すると障害検出対象交換機とは異なる所定の通知対象交換機との間で、該通信障害の障害情報を共有する。
【0034】
図4は、障害通知メッセージのデータ構造の例を示す図である。障害通知メッセージ113は、障害情報共有部132が、通知対象交換機と通信障害の障害情報を共有する際に送信するメッセージである。障害通知メッセージ113には、メッセージヘッダ113aと、メッセージ識別113bと、障害発生局113cと、発生/復旧識別113dと、が含まれる。
【0035】
メッセージヘッダ113aは、宛先情報等の障害通知メッセージ113を送信するために必要となる情報である。メッセージ識別113bは、障害情報のメッセージであることを示す識別情報である。障害発生局113cは、通信障害が検出された交換機を特定する情報である。発生/復旧識別113dは、障害の発生または復旧のいずれが検出されたのかを特定する情報である。
【0036】
接続状態管理部133は、交換サービスの経路上にある交換機との接続状態を管理する。
【0037】
発信規制音声ガイダンス部134は、障害検出対象交換機が、接続状態において接続不可能な状態を示す場合に、障害検出対象交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信する。
【0038】
通信部140は、中継線を介して他の交換機との通信および呼の送受信を行う。
【0039】
図5は、交換機のハードウェア構成例を示す図である。交換機100には、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ101と、RAM(Random Access Memory)等のメモリ102と、ハードディスクやSSD(Solid State Drive)等のストレージ103と、通信装置104と、呼制御装置105と、これらをつなぐバスと、を含んで構成される。
【0040】
上記した記憶部110の障害通知設定情報111と、接続状態管理情報112とは、メモリ102あるいはストレージ103により実現される。呼制御部120は、呼制御装置105により実現される。また、処理部130の障害検出部131と、障害情報共有部132と、接続状態管理部133と、発信規制音声ガイダンス部134とは、プロセッサ101により実現される。そして、通信部140は、通信装置104により実現される。
【0041】
以上が、本実施形態における交換機100のハードウェア構成例である。しかし、これに限らず、その他のハードウェアを用いて構成されるものであってもよい。なお、交換機100は、図示しないが、OS、ミドルウェア、アプリケーションなどの一般的なコンピュータの公知の要素を有する。
【0042】
[動作の説明]次に、本実施形態における交換機100の動作を説明する。
【0043】
図6は、正常接続時の通知シーケンスの例を示す図である。正常接続時の通知シーケンスは、交換機100により定期的に(例えば、30秒に一度)開始される。
【0044】
まず、交換機100の障害検出部131は、交換サービスの経路上で隣接する障害検出対象交換機である障害検出対象局1000との間の通信障害を検出するために、障害検出対象局1000に対してポーリングを行う(ステップS001)。ポーリングは、障害検出対象局1000に対して交換機100から一定間隔で応答を要求するコマンドを発行することで実現する。ポーリングへの応答が正常になされることで障害検出対象局1000の正常稼働を知らせることとなる。
【0045】
障害検出対象局1000から生存通知(正常な応答)がなされた場合(ステップS002)、交換機100は、その生存通知が、障害検出対象局1000の障害状態からの復旧を示すか否かを判定する(ステップS003)。具体的には、障害検出部131は、接続状態管理情報112の発信先局112aのうち障害検出対象局1000の接続状態112bを参照する。そして、障害検出部131は、接続状態112bが「不可」であった場合には、当該生存通知は障害状態からの復旧を示すものとする。障害状態からの復旧を示すものではない場合には、障害検出部131は、正常接続時の通知シーケンスを終える。
【0046】
生存通知が障害状態からの復旧である場合には、接続状態管理部133は、接続状態を更新する(ステップS004)。具体的には、まず、障害検出部131は、接続状態管理部133に通知する。接続状態管理部133は、障害検出対象局1000の接続状態112bを「可」に変更する。
【0047】
次に、障害情報共有部132は、障害復旧を示す障害通知メッセージ113を、通知対象局2000に送信する(ステップS005)。具体的には、障害情報共有部132は、障害通知設定情報111を参照して、障害発生局111aが障害検出対象局1000である場合の通知対象局111bを抽出し、通知対象局2000としてそれぞれに障害通知メッセージ113を構成して送信する。
【0048】
当該障害通知メッセージ113の構成においては、障害情報共有部132は、メッセージヘッダ113aの宛先情報には通知対象局111bのそれぞれの通知対象局2000を設定する。障害情報共有部132は、メッセージ識別113bには、障害情報のメッセージであることを示す識別情報を設定する。障害情報共有部132は、障害発生局113cには、障害検出対象局1000を設定する。障害情報共有部132は、発生/復旧識別113dには、障害の復旧が検出されたことを特定する情報を設定する。
【0049】
通知対象局2000の接続状態管理部133は、障害通知メッセージ113を受信すると、接続状態を更新する(ステップS006)。具体的には、まず、障害情報共有部132は、障害通知メッセージ113の受信を接続状態管理部133に通知する。接続状態管理部133は、障害検出対象局1000の接続状態112bを「可」に変更する。
【0050】
次に、障害情報共有部132は、障害復旧を示す障害通知メッセージ113を、他の通知対象局に送信する(ステップS007)。具体的には、障害情報共有部132は、障害通知設定情報111を参照して、障害発生局111aが障害検出対象局1000である場合の通知対象局111bを抽出し、メッセージヘッダ113aの宛先情報を通知対象局に変更して、それぞれに障害通知メッセージ113を転送する。
【0051】
以上が、正常接続時の通知シーケンスの例である。正常接続時の通知シーケンスの例によれば、障害検出対象局1000から生存通知があった場合に、障害状態からの復旧であれば通知対象局に復旧を知らせる障害復旧メッセージを送信して障害復旧情報および接続状態を共有することができる。
【0052】
図7は、異常接続時の通知シーケンスの例を示す図である。異常接続時の通知シーケンスは、交換機100により定期的に(例えば、30秒に一度)開始される。
【0053】
まず、ステップS001のポーリングについては、正常接続時の通知シーケンスと同様である。
【0054】
障害検出対象局1000から生存通知(正常な応答)が応答されないで時間切れが発生する、あるいは異常通知がある場合、交換機100は、障害検出対象局1000の障害の発生を検出する(ステップS101)。
【0055】
障害発生が検出された場合には、接続状態管理部133は、接続状態を更新する(ステップS102)。具体的には、まず、障害検出部131は、接続状態管理部133に通知する。接続状態管理部133は、障害検出対象局1000の接続状態112bを「不可」に変更する。
【0056】
次に、障害情報共有部132は、障害発生検知を示す障害通知メッセージ113を構成する(ステップS103)。具体的には、障害情報共有部132は、障害通知設定情報111を参照して、障害発生局111aが障害検出対象局1000である場合の通知対象局111bを抽出し、通知対象局2000としてそれぞれに障害通知メッセージ113を構成する。
【0057】
当該障害通知メッセージ113の構成においては、障害情報共有部132は、メッセージヘッダ113aの宛先情報には通知対象局111bのそれぞれの通知対象局2000を設定する。障害情報共有部132は、メッセージ識別113bには、障害情報のメッセージであることを示す識別情報を設定する。障害情報共有部132は、障害発生局113cには、障害検出対象局1000を設定する。障害情報共有部132は、発生/復旧識別113dには、障害の発生が検出されたことを特定する情報を設定する。
【0058】
そして、障害情報共有部132は、構成した障害発生メッセージ(障害通知メッセージ113)を通知対象局2000に送信する(ステップS104)。具体的には、障害情報共有部132は、ステップS103において構成した障害通知メッセージ113を、通知対象局2000のそれぞれに送信する。
【0059】
通知対象局2000の接続状態管理部133は、障害通知メッセージ113を受信すると、接続状態を更新する(ステップS105)。具体的には、まず、障害情報共有部132は、障害通知メッセージ113の受信を接続状態管理部133に通知する。接続状態管理部133は、障害検出対象局1000の接続状態112bを「不可」に変更する。
【0060】
次に、障害情報共有部132は、障害発生を示す障害通知メッセージ113を、他の通知対象局に送信する(ステップS106)。具体的には、障害情報共有部132は、障害通知設定情報111を参照して、障害発生局111aが障害検出対象局1000である場合の通知対象局111bを抽出し、メッセージヘッダ113aの宛先情報を通知対象局に変更して、それぞれに障害通知メッセージ113を転送する。
【0061】
以上が、異常接続時の通知シーケンスの例である。異常接続時の通知シーケンスの例によれば、障害検出対象局1000から生存通知がなかった場合あるいは異常通知があった場合に、通知対象局に障害の発生を知らせる障害発生メッセージを送信して障害復旧情報および接続状態を共有することができる。
【0062】
図8は、呼送出時の処理シーケンスの例を示す図である。典型的には、交換機100が経路上隣接する通知非対象局3000から障害検出対象局1000宛の呼の発信があった場合や、交換機100事態に接続する電話機から障害検出対象局1000宛の呼の発信があった場合の処理である。本シーケンスの例は、交換機100が経路上隣接する通知非対象局3000から障害検出対象局1000宛の呼の発信があった場合の例である。
【0063】
まず、交換機100は、通知非対象局3000の呼制御部120から、障害検出対象局1000宛のダイヤルを受信する(ステップS201)。そして、交換機100の発信規制音声ガイダンス部134は、発信先局の接続状態を確認する(ステップS202)。具体的には、発信規制音声ガイダンス部134は、接続状態管理部133に依頼して、障害検出対象局1000の接続状態112bが「可」であるか「不可」であるか確認する。
【0064】
障害検出対象局1000の接続状態112bが「可」である場合には、呼制御部120は障害検出対象局1000宛のダイヤルを隣接する交換機に送信する(ステップS203)。
【0065】
障害検出対象局1000の接続状態112bが「不可」である場合には、発信規制音声ガイダンス部134は、接続不可能な状態を示す交換機(障害検出対象局1000)を宛先とする発呼を制限して、発信元(通知非対象局3000)へ発信規制音声ガイダンスを送信する(ステップS204)。
【0066】
以上が、呼送出時の処理シーケンスの例である。呼送出時の処理シーケンスの例によれば、発信先の障害検出対象局1000の接続状態が「不可」であれば、当該交換機において発信元(通知非対象局3000)へ発信規制音声ガイダンスを送信することができる。つまり、発信先の障害検出対象局1000に経路上隣接する交換機への到達を待たずして、しかも管理者等の操作を介することなく自動的に発信規制を行うことが可能となるといえる。そのため、発信規制となるべき発信呼が隣接の交換機までの回線を一時的にでも使用してしまうことを防ぎ、不要なトラヒックの発生を回避し、回線話中率の高止まりを回避できる。
【0067】
[構成例の説明]次に、本実施形態における交換機100を用いた交換システムの構成例を説明する。
【0068】
図9は、ツリー型交換機ネットワークの構成例を示す図である。ツリー型交換機ネットワーク500は、交換機A510、交換機B520、交換機C521、交換機D522、交換機E523、交換機F530を含んで構成される。交換機B520および交換機F530は、最上位の交換機A510の下位交換機として中継線により接続され、交換機B520と交換機F530との間は直接の中継線は接続されていない。交換機C521および交換機E523は、交換機B520の下位交換機として中継線により接続され、交換機C521と交換機E523との間は直接の中継線は接続されていない。また、交換機D522は、交換機C521の下位交換機として中継線により接続されているものとする。なお、ツリー型交換機ネットワーク500においては、交換機は他の局へ発呼する場合には、上位交換機を介する経路を採用する。その一方、障害通知メッセージ113を送信する場合には、その限りではない。
【0069】
ここで、交換機B520の記憶部110には、図示するように障害通知設定情報520Aと、接続状態管理情報520Bと、が格納されている。障害通知設定情報520Aには、交換機A510が障害発生局となった場合には、交換機C521および交換機E523を障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、交換機C521が障害発生局となった場合には、交換機A510および交換機E523を障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、交換機E523が障害発生局となった場合には、交換機A510および交換機C521が障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、が含まれている。
【0070】
また、接続状態管理情報520Bには、交換機A510、交換機C521、交換機D522、交換機E523および交換機F530についての接続状態(障害未発生時は「可」)が含まれている。
【0071】
同様に、交換機C521の記憶部110には、図示するように障害通知設定情報521Aと、接続状態管理情報521Bと、が格納されている。障害通知設定情報521Aには、交換機B520が障害発生局となった場合には、交換機D522を障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、交換機D522が障害発生局となった場合には、交換機B520を障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、が含まれている。
【0072】
また、接続状態管理情報521Bには、交換機A510、交換機B520、交換機D522、交換機E523および交換機F530についての接続状態(障害未発生時は「可」)が含まれている。
【0073】
このような構成例において、交換機B520と、交換機A510との間の中継線の障害が発生した場合を例に、具体的に上述の異常接続時の通知シーケンスを説明する。
【0074】
まず、交換機B520の障害検出部131は、障害検出対象局1000としての交換機A510から、生存通知(正常な応答)が応答されないで時間切れが発生したことをもって交換機A510との間の障害の発生を検出する(ステップS101に相当)。
【0075】
そして、接続状態管理部133は、交換機A510の接続状態を更新する(ステップS102に相当)。具体的には、接続状態管理部133は、接続状態管理情報520Bにおいて、交換機A510の接続状態を「可」から「不可」に変更する。
【0076】
次に、障害情報共有部132は、交換機A510における障害発生検知を示す障害通知メッセージ113を構成する(ステップS103に相当)。具体的には、障害情報共有部132は、障害通知設定情報520Aを参照して、交換機A510が障害発生局となった場合の通知対象局として交換機C521と交換機E523を抽出しそれぞれに障害通知メッセージ113を構成する。
【0077】
当該障害通知メッセージ113の構成においては、障害情報共有部132は、交換機C521宛ての障害通知メッセージと、交換機E523宛ての障害通知メッセージと、をそれぞれ生成する。メッセージヘッダ113aの宛先情報には、それぞれ交換機C521、交換機E523、が設定される。障害情報共有部132は、メッセージ識別113bには、障害情報のメッセージであることを示す識別情報を設定する。障害情報共有部132は、障害発生局113cには、交換機A510を設定する。障害情報共有部132は、発生/復旧識別113dには、障害の発生が検出されたことを特定する情報を設定する。
【0078】
そして、障害情報共有部132は、構成した障害発生メッセージ(障害通知メッセージ113)を交換機C521と交換機E523とのそれぞれに送信する(ステップS104に相当)。
【0079】
通知対象局2000に相当する交換機C521と交換機E523の接続状態管理部133は、それぞれ障害通知メッセージ113を受信すると、接続状態を更新する(ステップS105に相当)。ここでは、交換機C521における例を説明するが、交換機E523においても同様の処理がなされる。具体的には、接続状態管理部133は、接続状態管理情報521Bにおいて、交換機A510の接続状態を「可」から「不可」に変更する。
【0080】
次に、障害情報共有部132は、障害発生を示す障害通知メッセージ113を、交換機B520から受け付けた場合の通知対象局である交換機D522に送信する(ステップS106に相当)。具体的には、障害情報共有部132は、障害通知設定情報521Aを参照して、通知対象局として交換機D522を抽出し、メッセージヘッダ113aの宛先情報を交換機D522に変更して、障害通知メッセージ113を転送する。
【0081】
以上が、異常接続時の通知シーケンスの例である。この例では、交換機B520が交換機A510との接続不可を検出すると、交換機C521、交換機D522まで障害情報として自動的に共有される。つまり、交換機B520、交換機C521、交換機D522においては、それぞれの接続状態管理情報において、交換機A510の接続状態が「不可」に変更される。
【0082】
そのため、交換機B520、交換機C521、交換機D522のいずれにおいても、呼送出時の処理シーケンスにおいて、発信規制音声ガイダンス部134は、宛先を接続不可能な状態を示す交換機(交換機A510)とする発呼を制限して、発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信することができる(ステップS204に相当)。
【0083】
以上が、第1の実施形態に係る交換機、該交換機を用いる交換システムおよび回線制御方法である。第1の実施形態に係る交換機、該交換機を用いる交換システムおよび回線制御方法によれば、発信規制となるべき発信呼が隣接の交換機までの回線を一時的にでも使用してしまうことを防ぎ、不要なトラヒックの発生を回避し、回線話中率の高止まりを回避できる。
【0084】
[第2の実施形態]第1の実施形態に係る交換機、該交換機を用いる交換システムおよび回線制御方法においては、交換システムを構成する一部の交換機の障害の際に、当該交換機を宛先とする発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信することができる。しかし、ツリー構造やスター構造等の交換機が多段的に組み合わされた構造により交換機が接続される場合、一部の交換機の障害が発生したことに付随して同様に発信規制されるのが適切な交換機が発生し得ることについて改善の余地がある。また、逆に、中継線の障害の場合には当該中継線を用いる経路以外の経路が設定されていれば、障害発生に伴って一律に発信制限を行う必要がない場合もあることも考慮に入れる余地がある。
【0085】
このような改善を行った第2の実施形態に係る交換機、該交換機を用いる交換システムおよび回線制御方法について、以下説明する。なお、第2の実施形態に係る交換機、該交換機を用いる交換システムおよび回線制御方法は、基本的には上記した第1の実施形態に係る交換機、該交換機を用いる交換システムおよび回線制御方法と略同様であるため、差異のある点を中心に説明する。
【0086】
まず、第2の実施形態に係る交換機100の処理部130について説明する。障害情報共有部132は、通信障害が検出されると、障害検出対象交換機および接続不可能な状態の交換機を通信障害の障害情報に含めて共有する。なお、障害情報共有部132は、通信障害に係る障害検出対象交換機が交換サービスの経路上で上位に位置する交換機である場合には、障害検出対象交換機とは異なる所定の通知対象交換機のうち、交換サービスの経路上で下位に位置する交換機に対しては該通信障害の障害情報を共有しない。
【0087】
接続状態管理部133は、交換サービスの経路上で隣接する交換機である経由交換機から通信障害の障害情報を共有されると、該通信障害に係る障害検出対象交換機の接続状態を更新する。また、接続状態管理部133は、通信障害が検出されると、障害検出対象交換機だけでなく、交換サービスの経路上接続不可となる交換機についても、接続不可能な交換機であるとして接続状態を更新する。また、接続状態管理部133は、交換サービスの経路上で隣接する交換機である経由交換機から通信障害の障害情報を共有されると、該経由交換機(すなわち経路)に応じて障害情報に係る、障害検出対象交換機および経路上接続不可となる交換機の接続状態を更新する。
【0088】
発信規制音声ガイダンス部134は、経由交換機のいずれからも障害情報が共有されている場合には該障害情報に係る交換機への発呼を制限して発信元へ発信規制音声ガイダンスを送信する。
【0089】
図10は、第2の実施形態に係る障害通知設定情報のデータ構造の例を示す図である。第2の実施形態に係る障害通知設定情報111´は、障害発生局111aごとに、複数(N:整数)の接続不可局を設定する項目(第1の接続不可局111c~第Nの接続不可局111d)を含む。接続不可局を設定する項目を設ける目的は、障害発生局の障害発生に伴い、その下位の交換機すべてに対する発呼が制限されるべき構成となっている場合に、これを一度に設定できるようにするためである。例えば、障害発生局111aのみを介して他の交換機と接続可能な交換機を宛先とする呼についても、まとめて制限する目的である。
【0090】
図11は、第2の実施形態に係る接続状態管理情報のデータ構造の例を示す図である。第2の実施形態に係る接続状態管理情報112´は、発信先局112aについて、障害通知の通知経路(経由交換機)に応じた接続状態を含む。障害通知の通知経路(経由交換機)に応じた接続状態を含ませる目的は、障害発生局で障害が発生したように検出される場合でも、実際には中継線に障害が発生している場合でも、当該障害発生局が正常な他の交換機に中継線で接続されていれば、正常な他の交換機を介する経路で接続可能な場合があり、これをより細やかに制御するためである。例えば、障害発生局の交換機まで接続する経路が複数あれば、いずれかの経路が接続可能であれば回線を利用可能とする目的である。
【0091】
また、このような複数の経路で障害発生局まで接続する場合には、障害通知メッセージも経路ごとに受信する可能性がある。特に中継線の障害の場合かつ該中継線で接続される交換機が互いを障害検出対象局としている場合には、互いに相手方の交換機に障害が発生したと検出して障害通知を行う可能性がある。そのどちらの障害通知も受け取った交換機では、該中継線で接続される二つの交換機がともに障害となっているように接続状態が誤認されることを回避する目的である。
【0092】
図12は、第2の実施形態に係る障害通知メッセージのデータ構造の例を示す図である。第2の実施形態に係る障害通知メッセージ113´は、第2の実施形態に係る障害通知設定情報111´において接続不可局を設定する項目の設定が可能となったことを受けて、障害通知メッセージに複数の接続不可局の情報を障害発生局として含ませることができるようにしたものである。つまり、障害通知メッセージ113´は、通知局数113eと、第1の障害発生局113c´ごとの発生/復旧識別113dと、が含まれている。また、接続不可局があれば、その数に応じた(第2~第Mの)障害発生局113f、131hおよび発生/復旧識別113g、113jの情報が含まれている。
【0093】
図13は、第2の実施形態に係る正常接続時の通知シーケンスの例を示す図である。第2の実施形態に係る正常接続時の通知シーケンスの例では、ステップS003の実施後、生存通知が障害状態からの復旧である場合には、接続状態管理部133は、局ごとの接続状態を更新する(ステップS004´)。具体的には、まず、障害検出部131は、接続状態管理部133に通知する。接続状態管理部133は、障害検出対象局1000の接続状態112bを「可」に変更する。併せて、接続状態管理部133は、接続不可局の接続状態112bについても「可」に変更する。
【0094】
また、障害通知メッセージ113の構成においては、障害情報共有部132は、通知局数113eには、障害検出対象局1000および接続不可局の和を設定する。障害情報共有部132は、第1の障害発生局113c´には、障害検出対象局1000を設定する。障害情報共有部132は、発生/復旧識別113dには、障害の復旧が検出されたことを特定する情報を設定する。また、障害情報共有部132は、接続不可局ごとに、第2の障害発生局113f~第Mの障害発生局113hまでを設定し、発生/復旧識別113g、113jには、障害の復旧が検出されたことを特定する情報を設定する。
【0095】
そして、通知対象局2000の接続状態管理部133は、障害通知メッセージ113を受信すると、局ごとの接続状態を更新する(ステップS006´)。具体的には、まず、障害情報共有部132は、障害通知メッセージ113の受信を接続状態管理部133に通知する。接続状態管理部133は、障害検出対象局1000の接続状態112bを「可」に変更する。併せて、接続状態管理部133は、接続不可局の接続状態112bについても「可」に変更する。
【0096】
以上が、第2の実施形態に係る正常接続時の通知シーケンスの例である。第2の実施形態に係る正常接続時の通知シーケンスの例によれば、障害検出対象局1000から生存通知があった場合に、障害状態からの復旧であれば通知対象局に復旧を知らせる障害復旧メッセージを送信して、接続不可局についても障害復旧情報および接続状態を共有することができる。
【0097】
図14は、第2の実施形態に係る異常接続時の通知シーケンスの例を示す図である。第2の実施形態に係る異常接続時の通知シーケンスの例では、ステップS101において障害発生が検出された場合には、接続状態管理部133は、接続不可局を含む接続状態を更新する(ステップS102´)。具体的には、接続状態管理部133は、障害検出対象局1000の接続状態112bを「不可」に変更する。併せて、接続状態管理部133は、接続不可局の接続状態112bについても「不可」に変更する。
【0098】
次に、障害情報共有部132は、接続不可局を含む障害通知メッセージ113を構成する(ステップS103´)。具体的には、障害情報共有部132は、障害通知設定情報111を参照して、障害発生局111aが障害検出対象局1000である場合の通知対象局111bを抽出し、通知対象局2000としてそれぞれに障害通知メッセージ113を構成する。
【0099】
当該障害通知メッセージ113の構成においては、通知局数113eには、障害検出対象局1000および接続不可局の和を設定する。障害情報共有部132は、第1の障害発生局113c´には、障害検出対象局1000を設定する。障害情報共有部132は、発生/復旧識別113dには、障害の発生が検出されたことを特定する情報を設定する。また、障害情報共有部132は、接続不可局ごとに、第2の障害発生局113f~第Mの障害発生局113hまでを設定し、発生/復旧識別113g、113jには、障害の発生が検出されたことを特定する情報を設定する。
【0100】
通知対象局2000の接続状態管理部133は、障害通知メッセージ113を受信すると、通知経路別に接続状態を更新する(ステップS105´)。具体的には、まず、障害情報共有部132は、障害通知メッセージ113の受信を接続状態管理部133に通知する。接続状態管理部133は、障害検出対象局1000の交換機100を経由交換機とする接続状態112c、112dのいずれかを「不可」に変更する。併せて、接続状態管理部133は、接続不可局の接続状態112bについても「不可」に変更する。
【0101】
以上が、第2の実施形態に係る異常接続時の通知シーケンスの例である。第2の実施形態に係る異常接続時の通知シーケンスの例によれば、障害検出対象局1000から生存通知がなかった場合あるいは異常通知があった場合に、通知対象局に経路別に障害の発生を知らせる障害発生メッセージを送信して接続不可局についても障害発生情報および接続状態を共有することができる。
【0102】
図15は、第2の実施形態に係る呼送出時の処理シーケンスの例を示す図である。第2の実施形態に係る呼送出時の通知シーケンスの例では、ステップS201の後、交換機100の発信規制音声ガイダンス部134は、発信先局への経路ごとの接続状態を確認する(ステップS202´)。具体的には、発信規制音声ガイダンス部134は、接続状態管理部133に依頼して、障害検出対象局1000について、経路(経由交換機)ごとに接続状態112bが「可」であるか「不可」であるか特定し、いずれかの経路において接続状態が「可」であるものが存在するか判定する。
【0103】
いずれかの経路に障害検出対象局1000の接続状態112bが「可」であるものがある場合には、呼制御部120は障害検出対象局1000宛のダイヤルを隣接する交換機に送信する(ステップS203´)。
【0104】
いずれの経路にも障害検出対象局1000の接続状態112bが「可」であるものがない場合には、発信規制音声ガイダンス部134は、接続不可能な状態を示す交換機(障害検出対象局1000)を宛先とする発呼を制限して、発信元(通知非対象局3000)へ発信規制音声ガイダンスを送信する(ステップS204´)。
【0105】
以上が、第2の実施形態に係る呼送出時の処理シーケンスの例である。第2の実施形態に係る呼送出時の処理シーケンスの例によれば、発信先の障害検出対象局1000への経路のいずれについても、接続状態が「不可」であれば、当該交換機において発信元(通知非対象局3000)へ発信規制音声ガイダンスを送信することができる。また、障害検出対象局1000の交換機の障害が発生したことに付随して同様に発信規制されるのが適切な交換機についても、自動的に発信規制を行うことができる。また、逆に、異なる経由交換機が想定される複数の経路が設定されている場合、いずれかの経路により接続可能であれば障害発生に伴って一律に発信制限を行う必要はないため、過度な発信制限を避けることができる。
【0106】
[構成例の説明]次に、第2の実施形態における交換機100を用いた交換システムの構成例を説明する。
【0107】
図16は、第2の実施形態に係るツリー型交換機ネットワークの構成例を示す図である。第2の実施形態に係るツリー型交換機ネットワーク600は、交換機A610、交換機B620、交換機C621、交換機D622、交換機E623、交換機F630、交換機G624、交換機H625を含んで構成される。交換機B620および交換機F630は、最上位の交換機A610の下位交換機として中継線により接続され、交換機B620と交換機F630との間は直接の中継線は接続されていない。交換機C621は、交換機B620の下位交換機として中継繊維より接続される。交換機E623は、交換機B620と交換機F630の下位交換機として中継線により接続され、交換機C621と交換機E623との間は直接の中継線は接続されていない。交換機D622は、交換機C621の下位交換機として中継線により接続されているものとする。また、交換機G624および交換機H625は、交換機E623の下位交換機として中継線により接続され、交換機G624と交換機H625との間は直接の中継線は接続されていない。
【0108】
なお、第2の実施形態に係るツリー型交換機ネットワーク600においては、交換機は他の局へ発呼する場合には、上位交換機を介する経路を採用する。その一方、障害通知メッセージ113を送信する場合には、その限りではない。
【0109】
ここで、交換機B620の記憶部110には、図17に示すように障害通知設定情報620Aと、接続状態管理情報620Bと、が格納されている。
【0110】
図17は、第2の実施形態に係る交換機の保持データの例を示す図である。障害通知設定情報620Aには、交換機A610が障害発生局となった場合には、交換機C621および交換機E623を障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、交換機C621が障害発生局となった場合には、交換機A610および交換機E623を障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、交換機E623が障害発生局となった場合には、交換機A610および交換機C621が障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、が含まれている。
【0111】
また、障害通知設定情報620Aには、交換機C621が障害発生局となった場合には、交換機D622が接続不可局となること、交換機E623が障害発生局となった場合には、交換機G624および交換機H625が接続不可局となること、が含まれている。
【0112】
また、接続状態管理情報620Bには、交換機A610、交換機C621、交換機D622、交換機E623、交換機F630、交換機G624および交換機H625についての接続状態(障害未発生時は「可」)が含まれている。
【0113】
また、接続状態管理情報620Bには、交換機F630に対しては、経由交換機が交換機A610の場合の接続状態と、経由交換機が交換機E623の場合の2つの通知経路があることが含まれている。
【0114】
図18は、第2の実施形態に係る別の交換機の保持データの例を示す図である。交換機C621の記憶部110には、障害通知設定情報621Aと、接続状態管理情報621Bと、が格納されている。
【0115】
障害通知設定情報621Aには、交換機B620が障害発生局となった場合には、交換機D622を障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、交換機D622が障害発生局となった場合には、交換機B620を障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、が含まれている。
【0116】
また、障害通知設定情報621Aには、交換機B620が障害発生局となった場合には、交換機A610と、交換機F630と、交換機E623と、交換機G624と、交換機H625と、が接続不可局となること、が含まれている。
【0117】
接続状態管理情報620Bには、交換機A610、交換機B620、交換機D622、交換機E623、交換機F630、交換機G624および交換機H625についての接続状態(障害未発生時は「可」)が含まれている。
【0118】
図19は、第2の実施形態に係るさらに別の交換機の保持データの例を示す図である。交換機E623の記憶部110には、障害通知設定情報623Aと、接続状態管理情報623Bと、が格納されている。
【0119】
障害通知設定情報623Aには、交換機B620が障害発生局となった場合には、交換機F630と交換機G624と、交換機H625とを障害通知メッセージの通知対象局とする情報が含まれている。また、障害通知設定情報623Aには、交換機F630が障害発生局となった場合には、交換機B620と、交換機G624と、交換機H625とを障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、が含まれている。また、障害通知設定情報623Aには、交換機G624が障害発生局となった場合には、交換機B620と、交換機F630と、交換機H625とを障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、が含まれている。また、障害通知設定情報623Aには、交換機H625が障害発生局となった場合には、交換機B620と、交換機F630と、交換機G624とを障害通知メッセージの通知対象局とする情報と、が含まれている。
【0120】
また、接続状態管理情報623Bには、交換機A610、交換機B620、交換機C621、交換機D622、交換機F630、交換機G624および交換機H625についての接続状態(障害未発生時は「可」)が含まれている。
【0121】
また、接続状態管理情報623Bには、交換機A610に対しては、経由交換機が交換機B620の場合の接続状態と、経由交換機が交換機F630の場合の2つの通知経路があることが含まれている。
【0122】
これらの保持データの値を、設定し格納していくことにより、障害対応の影響範囲等を変更し、回線話中率をより効率よく抑制することが可能となる。
【0123】
例えば、交換機C621および交換機E623について、上位の交換機B620および交換機F630よりさらに上位側の交換機の障害による下位の交換機D622、交換機G624、交換機H625間の通話への影響を抑える設定を図20に例示する。
【0124】
図20は、第2の実施形態に係る交換機の保持データの変更例を示す図である。交換機C621の障害通知設定情報621Aから、交換機B620が障害発生局となった場合の接続不可局として設定されている交換機A610と、交換機F630と、交換機E623と、交換機G624と、交換機H625と、通知対象局として設定されている交換機D622と、を削除(null化)することで、交換機B620より上位の交換機の障害情報については交換機C621は交換機D622に共有しないこととなる。
【0125】
そのため、交換機D622には交換機B620より上位の交換機の障害は共有されず、接続不可局も共有されない。つまり、交換機D622から交換機G624、交換機H625への発信は制限を受けずに行うことができる。ただし、交換機C621は交換機B620に接続不可となっている場合(交換機B620との中継線あるいは交換機B620にて障害が発生している場合)等、交換機D622から交換機G624、交換機H625への経路上(交換機C621、交換機B620、交換機E623、交換機G624または交換機H625)に障害が発生している場合を除く。その場合には交換機C621等により発信は制限される。
【0126】
また、交換機E623の障害通知設定情報623Aから、交換機B620および交換機F630が障害発生局となった場合の通知対象局として設定されている交換機G624と、交換機H625と、を削除(null化)する。また、交換機E623の障害通知設定情報623Aから、交換機G624が障害発生局となった場合の通知対象局として設定されている交換機H625と、交換機H625が障害発生局となった場合の通知対象局として設定されている交換機G624と、を削除(null化)する。これにより、交換機G624、交換機H625は、交換機B620および交換機F630より上位の交換機の障害情報を交換機E623から共有されず、また交換機G624および交換機H625は互いの障害情報を交換機E623から共有されないこととなる。つまり、交換機G624、交換機H625のそれぞれから交換機D622への発信は制限を受けずに行うことができる。
【0127】
以上が、第2の実施形態に係る交換機、該交換機を用いる交換システムおよび回線制御方法である。第2の実施形態に係る交換機、該交換機を用いる交換システムおよび回線制御方法によれば、なるべく障害の影響を最小限に抑えて不要なトラヒックの発生を回避し、回線話中率の高止まりを回避できる。具体的には、ツリー構造やスター構造等の交換機が多段的に組み合わされた構造により交換機が接続される場合、一部の交換機の障害が発生したことに付随して同様に発信規制されるのが適切な交換機を設けることができる。また、逆に、中継線の障害の場合には当該中継線を用いる経路以外の経路が設定されていれば、障害発生に伴って、本来接続可能な交換機に対しても一律に発信制限されてしまうことを避けることができる。
【0128】
以上、実施形態を挙げて具体的に説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、交換機はツリー型あるいはスター型のような典型的なトポロジーに限られず、多段的に構成されていればよい。なお、上記した実施形態では本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0129】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0130】
また、上記した交換機100の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば別の装置で実行して統合処理する等によりセキュアに分散システムで実現してもよい。
【0131】
また、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品のような複数の部分に分けられて適用されるようにしてもよい。
【0132】
以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0133】
10:上位局、100:交換機、110:記憶部、111:障害通知設定情報、112:接続状態管理情報、120:呼制御部、130:処理部、131:障害検出部、132:障害情報共有部、133:接続状態管理部、134:発信規制音声ガイダンス部、140:通信部、200:下位局。
図1
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