(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141394
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20230928BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230928BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230928BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20230928BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/92
A61K8/06
A61Q15/00
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047703
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(72)【発明者】
【氏名】山科 拓也
(72)【発明者】
【氏名】宮津 友子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB282
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC792
4C083AD092
4C083AD242
4C083AD282
4C083AD532
4C083CC04
4C083CC17
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE14
4C083EE18
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、塗布後にイソプロピルメチルフェノールの塗布対象物への残存性を飛躍的に高めることができる化粧料組成物を提供することである。
【解決手段】本発明の化粧料組成物の第1の実施形態は、成分A:イソプロピルメチルフェノール、成分B1:メドウフォーム油、成分C:エタノール、成分D:水を含有する。本発明の化粧料組成物の第2の実施形態は、成分A:イソプロピルメチルフェノール、成分B2:logKоw値が9.0以上である油剤、成分C:エタノール、成分D:水を含有する。本発明の化粧料組成物は、洗い流さずに用いられる化粧料組成物であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、下記成分B1、下記成分C、及び下記成分Dを含有する化粧料組成物。
成分A:イソプロピルメチルフェノール
成分B1:メドウフォーム油
成分C:エタノール
成分D:水
【請求項2】
下記成分A、下記成分B2、下記成分C、及び下記成分Dを含有する化粧料組成物。
成分A:イソプロピルメチルフェノール
成分B2:logKоw値が9.0以上である油剤
成分C:エタノール
成分D:水
【請求項3】
ピッカリングエマルションである、請求項1または2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
洗い流さずに用いられる化粧料組成物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
デオドラント剤などの化粧料においては、イソプロピルメチルフェノール等の殺菌成分が用いられている。例えば、下記の特許文献1には、(A)制汗剤及び/又は殺菌剤、(B)不飽和脂肪酸、(C)酸化防止剤、及び(D)水性媒体を含むデオドラント組成物が開示されている。特許文献1では、肌上での速乾性に優れ、取り扱いが容易で、かつ刺激感の少ないデオドラント剤を提供できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のデオドラント組成物を用いた場合に、塗布後に腋などの塗布対象物に、イソプロピルメチルフェノールが充分に残存しにくいという問題がある。このため、塗布後に、時間が経過すると、殺菌作用が充分に得られず、例えば、消臭効果が不十分になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、塗布後にイソプロピルメチルフェノールの塗布対象物への残存性を飛躍的に高めることができる化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記成分(A)、下記成分(B1)、下記成分(C)、及び下記成分(D)を含有する化粧料組成物を提供する。
成分(A):イソプロピルメチルフェノール
成分(B1):メドウフォーム油
成分(C):エタノール
成分(D):水
【0007】
また、本発明は、下記成分(A)、下記成分(B2)、下記成分(C)、及び下記成分(D)を含有する化粧料組成物を提供する。
成分(A):イソプロピルメチルフェノール
成分(B2):logKоw値が9.0以上である油剤
成分(C):エタノール
成分(D):水
【0008】
上記化粧料組成物は、ピッカリングエマルションであることが好ましい。
【0009】
上記化粧料組成物は、洗い流さずに用いられる化粧料組成物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮膚化粧料は、塗布後にイソプロピルメチルフェノールの塗布対象物への残存性を飛躍的に高めることができる
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の化粧料組成物の第1の実施形態は、イソプロピルメチルフェノール;メドウフォーム油;エタノール;及び水を少なくとも含む。本発明の化粧料組成物の第2の実施形態は、イソプロピルメチルフェノール;logKоw値が9.0以上である油剤;エタノール;及び水を少なくとも含む。
【0013】
なお、本明細書においては、上記「イソプロピルメチルフェノール」を「成分(A)」;上記「メドウフォーム油」を「成分(B1)」;上記「logKоw値が9.0以上である油剤」を「成分(B2)」;上記「エタノール」を「成分(C)」;上記「水」を「成分(D)」とそれぞれ称する場合がある。
【0014】
本発明の化粧料組成物の第1の実施形態は、成分(A)、成分(B1)、成分(C)、及び成分(D)を含む。本発明の化粧料組成物の第2の実施形態は、成分(A)、成分(B2)、成分(C)、及び成分(D)を含む。本発明の化粧料組成物は、上記成分(A)~成分(D)以外の成分(その他の成分)を含んでもよい。また、本発明の化粧料組成物に含まれる成分(例えば、成分(A)~成分(D)やその他の成分)は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0015】
本発明の化粧料組成物は、特に限定されないが、乳化系、可溶化系などの形態をとることができる。本発明の化粧料組成物は、乳化組成物または可溶化組成物であることが好ましく、より好ましくは乳化組成物である。中でも、水中油型乳化組成物であることが好ましい。
【0016】
本発明の化粧料組成物が乳化組成物である場合、本発明の化粧料組成物は、界面活性剤による乳化組成物であってもよく、所謂ピッカリングエマルションであってもよい。また、高分子乳化による乳化組成物であってもよい。中でも、肌に塗布した場合に汗による再乳化を起こしにくい観点から、ピッカリングエマルションであることが特に好ましい。すなわち、本発明の化粧料組成物は、ピッカリングエマルションであることが好ましい。上記ピッカリングエマルションは、例えば、成分(D)を含む水相と、上記水相に分散した成分(B1)または成分(B2)を含む油相(油滴)とを有するピッカリングエマルションである。上記ピッカリングエマルションは、例えば、上記水相と上記油相との界面に粉体が存在する構造を有する。
【0017】
[成分(A):イソプロピルメチルフェノール]
成分(A)は、イソプロピルメチルフェノールである。成分(A)は、殺菌作用を付与する成分として機能する。
【0018】
本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、殺菌作用をより一層向上する観点から、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、また、1.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0019】
[成分(B1):メドウフォーム油]
成分(B1)は、メドウフォーム油である。成分(B1)は、成分(A)の塗布対象物への残存性を高める機能を有する。上記メドウフォーム油は、例えば、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)名で、Limnanthes Alba(Meadowfoam)Seed Oilで表記される。
【0020】
第1の実施形態である、本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(B1)の含有量は、成分(A)の塗布対象物への残存性をより一層高める観点から、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、ぬるつきをより一層低減する観点から、5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは3.0質量%以下である。
【0021】
[成分(B2):logKоw値が9.0以上である油剤]
成分(B2)は、logKоw値が9.0以上である油剤(少なくとも1種の油剤)である。成分(A)の塗布対象物への残存性を特に高める観点から、成分(B2)のlogKоw値は好ましくは9.2以上、より好ましくは9.5以上である。成分(B2)のlogKоw値は、特に限定されないが、12.0以下が好ましい。logKоw値はデータベース「Molinspiration」に基づき算出された値である。
【0022】
成分(B2)としては、炭化水素油、エステル油などが挙げられる。中でも、成分(B2)は、エステル油であることが好ましい。なお、成分(B2)には、植物油は含まれないものとする。成分(B2)の具体例としては、イソノナン酸イソデシル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、セバシン酸ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリカプリリン、ミリスチン酸オクチルドデシルなどが挙げられる。中でも、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸ヘキシルデシルが好ましい。
【0023】
第2の実施形態である、本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(B2)の含有量は、成分(A)の塗布対象物への残存性をより一層高める観点から、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、ぬるつきをより一層低減する観点から、5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは3.0質量%以下である。
【0024】
[成分(C):エタノール]
成分(C)は、エタノールである。成分(C)は、本発明の化粧料組成物の速乾性、さっぱりとした感触、殺菌効果等を高める効果を発揮する。本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、速乾性をより一層向上する観点から、30.0質量%以上が好ましく、より好ましくは50.0質量%以上、刺激低減の観点から、90.0質量%以下が好ましく、より好ましくは80.0質量%以下である。
【0025】
[成分(D):水]
成分(D)は、水であり、好ましくは精製水である。成分(D)は、本発明の化粧料組成物における基材の役割を発揮する。本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、特に限定されないが、10.0質量%以上が好ましく、より好ましくは20.0質量%以上、70.0質量%以下が好ましく、より好ましくは50.0質量%以下である。
【0026】
[粉体]
本発明の化粧料組成物は、粉体を含有してもよい。特に、本発明の化粧料組成物がピッカリングエマルションである場合には、本発明の化粧料組成物は粉体を含むことが好ましい。上記粉体は、特に限定されないが、例えば、皮膚化粧料にさらさらとした塗布感触を付与する機能を発揮したり、ピッカリングエマルションにおいて、水相と油相との界面に存在し、ピッカリングエマルションを形成する機能を発揮したりする。
【0027】
上記粉体としては、特に限定されないが、例えば、オクテニルコハク酸デンプンエステル金属塩、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、窒化ホウ素、酸化チタン、カオリン、及びマイカなどが挙げられる。特に、ピッカリングエマルションを形成する観点からは、上記粉体は、オクテニルコハク酸デンプンエステル金属塩を含むことが好ましい。
【0028】
上記オクテニルコハク酸デンプンエステル金属塩としては、オクテニルコハク酸デンプンエステルのアルミニウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄塩などが挙げられる。中でも、アルミニウム塩(オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム)が好ましい。上記オクテニルコハク酸デンプンアルミニウムは、オクテニルコハク酸デンプンAl又はオクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウムと表記される場合がある。また、上記オクテニルコハク酸デンプンアルミニウムは、INCI(Internationa Nomenclature for Cosmetic Ingredients)名で、ALUMINUM STARCH OCTENYLSUCCINATEと表記される場合がある。オクテニルコハク酸デンプンアルミニウムの市販品としては、例えば、商品名「DRY-FLO PURE」、商品名「DRY-FLO PC」(以上、Nouryon社製)、商品名「オクティエ」(日澱化学株式会社製)などが挙げられる。
【0029】
本発明の化粧料組成物100質量%中、上記粉体の含有量は、特に限定されないが、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、白浮きを低減する観点から5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは4.0質量%以下である。
【0030】
本発明の化粧料組成物がピッカリングエマルションである場合、本発明の化粧料組成物100質量%中、上記オクテニルコハク酸デンプンエステル金属塩の含有量は、特に限定されないが、ピッカリングエマルションがより一層形成されやすくなる観点や油浮き(エマルション粒子に含まれない油性成分が浮いて、組成物の表層に油相を形成すること)がより一層生じにくくなる観点から、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは4.0質量%以下である。
【0031】
[他の成分]
本発明の化粧料組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、成分(A)~(D)以外の成分を含んでいてもよい。上記成分(A)~(D)以外の成分は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0032】
上記成分(A)~(D)以外の成分としては、例えば、成分(C)以外の低級アルコール;グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジグリセリン、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール;カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、アクリル酸アルキルコポリマー(商品名「アキュリン33A」など)、(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー(商品名「アキュリン22」など)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、及びオレイルアルコール等の炭素数12~18の高級アルコール;ソルビトール、マルチトール、及びトレハロース等の糖アルコール;シリコーン油;脂肪酸エステル油;金属イオン封鎖剤(エデト酸二ナトリウム塩等);酸化防止剤;植物抽出エキス;染料;顔料;pH調整剤(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トリエタノールアミン等);制汗剤;清涼剤;抗炎症剤;香料;防腐剤(フェノキシエタノール、パラベン類等)等が挙げられる。
【0033】
[皮膜形成ポリマー]
本発明の化粧料組成物は、皮膜形成ポリマーを含有してもよい。皮膜形成ポリマーを含有することにより、成分(A)の塗布対象物への残存性を高める効果をより一層向上できる。その反面、皮膜形成ポリマーによる皮膜感(塗布部位のつっぱり感など)が生じる場合があるため、求める使用感によっては、皮膜形成ポリマーを含有しなくてもよい。本発明においては、成分(B1)又は成分(B2)により、皮膜形成ポリマーを含有しなくても、成分(A)の塗布対象物への残存性を高める効果を十分に発揮できる。
【0034】
上記皮膜形成ポリマーとしては、例えば、オクタデシロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース(ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース)等の疎水化ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテル/マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソボロリルアクリレート共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、(スチレン/アクリル酸アルキル)共重合体、(スチレン/アクリル酸アミド)共重合体、ウレタン-アクリル系共重合体、及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、及び(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)共重合体、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、N,Nジメチル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)アミン=N-オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体、ジアルキルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノクロル酢酸両性化物、及び(イソブチレン/ジエチルアミノプロピルマレイミド/マレイン酸)共重合体等が挙げられる。
【0035】
上記皮膜形成ポリマーを含有する場合には、本発明の化粧料組成物100質量%中、上記皮膜形成ポリマーの含有量は、特に限定されないが、0.03質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、0.8質量%以下が好ましく、より好ましくは0.6質量%以下である。上記皮膜形成ポリマーは含有しなくてもよい(即ち、上記皮膜形成ポリマーの含有量は0質量%であってもよい)。
【0036】
[界面活性剤]
本発明の化粧料組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、例えば、乳化や可溶化などの機能を発揮する。上記界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。中でも、ノニオン界面活性剤が好ましい。
【0037】
上記ノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド及びポリオキシエチレンラノリン等が挙げられる。上記ノニオン界面活性剤のHLB値は、特に限定されないが、例えば、水中油型の乳化とする場合には、7以上が好ましく、より好ましくは9以上、18以下が好ましく、より好ましくは16以下である。
【0038】
上記界面活性剤を含有する場合には、本発明の化粧料組成物100質量%中、上記界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは3.0質量%以下である。
【0039】
上記制汗剤としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛などが挙げられる。
【0040】
上記清涼剤としては、例えば、メントール、メンチルグリセリルエーテル、乳酸メンチル、カンファー、ユーカリプトール、イシリンなどが挙げられる。
【0041】
上記抗炎症剤としては、例えば、アラントイン、イクタモール、イソプロピルアミノカプロン酸又はその塩、イプシロンアミノカプロン酸、インドメタシン、グアイアズレン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、アセチルサリチル酸、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、甘草エキス、エイジツエキス、カマズレン、シコンエキス、ヒドロコルチゾン、γ-オリザノール、トラネキサム酸などが挙げられる。
【0042】
(化粧料組成物の他の詳細)
本発明の化粧料組成物の性状は、特に限定されず、液状、ジェル状、クリーム状、ワックス状、及び固形状のいずれであってもよい。本発明の化粧料組成物は、液状、ジェル状であることが好ましい。
【0043】
本発明の化粧料組成物の剤型としては、特に限定されないが、ローション、ミスト、ジェル、スプレー(エアゾール型、非エアゾール型)、チューブ、シート、ロールオンなどが挙げられる。本発明の化粧料組成物は、ローション剤型、ジェル剤型で好ましく用いられる。
【0044】
本発明の化粧料組成物の25℃における粘度は、塗布のしやすさの観点から、好ましくは5.0mPa・s以上、より好ましくは10.0mPa・s以上、好ましくは7000mPa・s以下、より好ましくは5000mPa・s以下である。上記粘度は、粘度計を用いて、No.4ローターを使用して回転速度12rpm、回転時間1分間の条件で測定される。上記粘度計としては、例えば、東機産業社製、TV-22型粘度計を用いることができる。
【0045】
本発明の化粧料組成物の用途は、特に限定されず、皮膚用(例えば、顔、首、頭皮、肩、体、腕、肘、掌、手の甲、腿、ふくらはぎ、膝、足首、足の甲、足の裏等)、毛髪用のいずれにも用いることができる。すなわち、本発明の化粧料組成物は毛髪化粧料及び皮膚化粧料のいずれとして用いてもよい。中でも、本発明の化粧料組成物は皮膚化粧料であることが好ましい。また、本発明の化粧料組成物は、塗布後にイソプロピルメチルフェノールの塗布対象物への残存性を飛躍的に高めることができる効果をより有効に発揮する観点から、塗布後に洗い流さずに用いられる、所謂リーブオンの化粧料組成物であることが好ましい。本発明の化粧料組成物としては、例えば、体臭抑制剤(デオドラント剤)、ニキビ予防用皮膚化粧料、抗炎症化粧水、育毛トニックなどが挙げられる。中でも、体臭抑制剤(デオドラント剤)、ニキビ予防用皮膚化粧料であることが好ましい。
【0046】
本発明の化粧料組成物は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、上記各成分を混合し、ディスパーミキサー、パドルミキサー等の公知の撹拌装置を用いて撹拌する方法などで、各成分を混合する方法が挙げられる。
【実施例0047】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0048】
(実施例1~11及び比較例1~9)
下記の表に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、常法により、下記の表に示す組成を有する化粧料組成物を調製した。表中の配合量は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。
【0049】
(評価)
以下のとおり評価を行った。
【0050】
(イソプロピルメチルフェノール(IPMP)の残存率の評価)
JIS L0848:2004に準じて、人口汗を調製した。具体的には、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物0.5g、塩化ナトリウム5g、りん酸ニ水素ナトリウム二水和物2.2gを水に溶かし、次に0.1mol/L水酸化ナトリウム15mLと全量が1Lとなるように水とを加えて、酸性人口汗を調製した。得られた酸性人口汗のpHは5.5であった。
実施例及び比較例得られた化粧料組成物20μLをケラチン布に塗布した。上記酸性人口汗20mLを100mLビーカーに入れた後に、塗布後のケラチン布をビーカーに入れ、100rpmで10分間振とうし、振とう後のケラチン布を得た。
15mL遠沈管にメタノール10mLを入れた後、振とう後のケラチン布を遠沈管に入れ、150rpmで10分間振とうした。その後、遠沈管内の液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。
その後、ろ過後の液中のIPMPの量(Y)を、HPLCで評価した。また、実施例及び比較例得られた化粧料組成物20μLをケラチン布に塗布した評価サンプルを別途用意し、酸性人口汗中での振とうを行わずに同様の処理をしたときのろ過後の液中のIPMPの量(X)を評価した。IPMPの量(X)を基準として、IPMPの残存率((Y)/(X)×100%)を求めた。繰り返し評価数は3回で行った(n=3)。
【0051】
結果を下記の表に示す。
【0052】
【0053】
【0054】
以下に、本発明の化粧料組成物の処方例を示す。
【0055】
処方例1(制汗剤・ピッカリングエマルション)
水 残部
エタノール 50.0質量%
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.3質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.2質量%
ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル 1.0質量%
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウム 1.0質量%
メントール 0.3質量%
合計 100質量%
【0056】
処方例2(アクネケアローション・ピッカリングエマルション)
水 残部
エタノール 10.0質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
グリセリン 2.0質量%
リン酸水素二ナトリウム 0.45質量%
リン酸二水素ナトリウム 0.15質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05質量%
水酸化カリウム 0.05質量%
カルボマー 0.1質量%
メドウフォーム油 1.0質量%
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウム 1.0質量%
合計 100質量%