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  • 特開-米菓の膨化剤 図1
  • 特開-米菓の膨化剤 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141402
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】米菓の膨化剤
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/42 20060101AFI20230928BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20230928BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20230928BHJP
【FI】
A23G3/42
A23G3/34 104
A23L29/262
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047711
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】306007864
【氏名又は名称】ユニテックフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 詩絵
【テーマコード(参考)】
4B014
4B041
【Fターム(参考)】
4B014GG03
4B014GG12
4B014GL01
4B014GL11
4B014GP01
4B014GP12
4B014GP14
4B014GP16
4B014GP23
4B014GQ01
4B014GQ17
4B041LC03
4B041LC10
4B041LD01
4B041LH11
4B041LH16
4B041LK03
4B041LK13
4B041LK23
4B041LP01
4B041LP07
4B041LP11
4B041LP12
4B041LP16
(57)【要約】
【課題】あられ、おかき、せんべい等の米菓において、十分な膨らみを与えることができる米菓の膨化剤を提供する。また、この膨化剤を含む米菓や米菓の製造方法を提供する。
【解決手段】セルロース誘導体を有効成分とする米菓の膨化剤を提供する。さらに、セルロース誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースのいずれか一種以上である米菓の膨化剤を提供する。そして、これらの膨化剤を含む米菓や、米菓の製造方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース誘導体を有効成分とする米菓の膨化剤。
【請求項2】
セルロース誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースのいずれか一種以上である請求項1に記載の膨化剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の膨化剤を含む米菓。
【請求項4】
さらにタンパク質を含む請求項3に記載の米菓。
【請求項5】
次の(A)の工程を含む、米菓の製造方法。
(A)請求項1又は2に記載の膨化剤を原料に配合する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米菓の膨化剤に関する。さらに詳しくは、セルロース誘導体を有効成分とする米菓の膨化剤に関する。また、本発明はこの膨化剤を含む米菓や、米菓の製造方法に関する。
【0002】
あられ、おかき、せんべい等の米菓はでんぷんの膨化によって膨らんだ形状を有しており、これによって米菓らしい独特の食感を示す。膨化は米菓業界において「うき」という言葉で表現されており、生のでんぷんに水を加えて加熱すると、糊状になり糊化が起こるが、さらに急激に加熱すると膨らむ現象を指す。このように膨化は、でんぷん原料に含まれる水蒸気と空気が加熱によって膨張すると同時に、これを包むでんぷんが伸展しながら固まることによって起こる。従って、水が全くない状態では水蒸気が発生しないため膨化は生じない。また、膨化の程度はでんぷんの種類によって様々であるため、うるち米よりもアミロペクチンの比率の多いもち米の方が膨化力は大きくなることが知られている。
【0003】
近年、アレルギー対策や健康志向の高まりにより、グルテンフリー等を意識して、米由来の原料を用いたお菓子が選択される傾向がある。また、ダイエット等を目的とした糖質制限、健康志向による運動の広まりや高齢者のサルコペニア防止等から、主成分や成分の一部に大豆等のタンパク質を含むお菓子も幅広く製造・販売されている。
あられ、おかき、せんべい等の米菓も同様に、タンパク質、食品添加物等、米粉以外の様々な成分を含むものが製造されている。しかしながら、原料にタンパク質等のその他の成分が含まれた米菓は、膨化力が不十分となることがある。そのため、膨化が妨げられ、多孔質の構造がうまく形成されず、膨らみが十分でないものが得られやすく、米菓らしい食感や外観を有さないものや、割れが発生したものは廃棄となる等の問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決するべく、米菓の製造において様々な技術が開発されている。例えば、特許文献1では、米粉と植物蛋白粉末とを主成分とする米菓風スナック食品の製造にあたり、でんぷん、デキストリン等の天然糊料をバインダー(つなぎ粉)として加え、重炭酸ナトリウムなどの膨化剤を適宜混合し、必要に応じて乾燥山芋粉、卵白などの気泡剤を膨化補助剤として少量加える技術が開示されている。
特許文献2では、セロオリゴ糖と増粘多糖類を、1:99~99.9:0.1の質量比で含有することを特徴とする、メレンゲ用起泡安定剤が開示されている。
【0005】
特許文献3では、モチ米粉、おからを含有していても良い全指大豆粉等を含むモチ生地において、酵素分解大豆蛋白系起泡剤や、酵素分解大豆蛋白系起泡剤と凍結乾燥山芋との混合物を気泡剤として含むことが開示されており、このモチ生地をあられ、おかき等の米菓の生地として利用できることが記載されている。
また、特許文献4では、米粉と、繊維状の粉末セルロースとを含有する米菓生地組成物が開示されており、強度を改善させるためにカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテルをさらに含有することや、生地の膨化を良好なものとする為に、米、小麦、馬鈴薯、とうもろこし、タピオカなど由来のでんぷんを添加すること等が記載されている。
【0006】
このように米菓の製造において、様々な技術が開発されているが、バインダーと膨化剤を組み合わせることや、セロオリゴ糖、酵素分解大豆蛋白系起泡剤や繊維状の粉末セルロース等の特殊な成分を必要とする等、製造に手間やコストがかかり、簡便に利用できる技術とはいえなかった。
そこで、本発明者らは、あられ、おかき、せんべい等の米菓、さらには膨化を妨げる成分としてタンパク質、食品添加物等を原料に含む米菓においても十分な膨らみを与えることができ、簡便に利用できる米菓の膨化剤や、この膨化剤を含む米菓の提供を試みた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60-192550号公報
【特許文献2】特開2009-112219号公報
【特許文献3】特開平2-154653号公報
【特許文献4】特開2014-23448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、あられ、おかき、せんべい等の米菓において、十分な膨らみを与えることができる米菓の膨化剤の提供や、この膨化剤を含む米菓の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体を有効成分とすることで、米菓、さらには膨化を妨げる成分を原料に含む米菓においても十分な膨らみを与えることができ、かつ、簡便に利用できる膨化剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は次の(1)~(5)に示される米菓の膨化剤、米菓等に関する。
(1)セルロース誘導体を有効成分とする米菓の膨化剤。
(2)セルロース誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースのいずれか一種以上である上記(1)に記載の膨化剤。
(3)上記(1)又は(2)に記載の膨化剤を含む米菓。
(4)さらにタンパク質を含む上記(3)に記載の米菓。
(5)次の(A)の工程を含む、米菓の製造方法。
(A)上記(1)又は(2)に記載の膨化剤を原料に配合する工程
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、あられ、おかき、せんべい等の米菓に十分な膨らみを与えることができる膨化剤の提供が可能となる。この米菓の膨化剤を原料に配合することによって、膨化を妨げる成分を含む場合であっても、十分に膨らみ、かつ、栄養価の高い米菓を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】油調前後の米菓(おかき)の写真を示した図である。(実施例1)
図2】各膨化剤を配合した各米菓の油調後の大きさを示した図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の「米菓の膨化剤」とは、米菓を膨らませて、多孔質の構造を作るための剤のことをいう。ここで、本発明の「米菓」とは、でんぷん、特にアミロペクチンを含むものを原料として作られるお菓子のことをいう。ここで、でんぷん、特にアミロペクチンを含むものとして米、米粉等の米由来の原料が挙げられる。
本発明のような「米菓」として、例えば、あられ、おかき、揚げ餅、焼きせんべいや揚げせんべい等のせんべい、おこし、かきもち等が挙げられる。
【0014】
本発明の「米菓の膨化剤」は、でんぷん、特にアミロペクチン以外の成分、即ち、でんぷん、特にアミロペクチンの膨化を妨げる成分を含む場合でも、十分な膨化効果を発揮するものであることが好ましい。
でんぷん、特にアミロペクチンの膨化を妨げる成分としては、膨化が起こらない成分であればいずれのものであってもよい。
このような膨化を妨げる成分として、例えば、有機酸、鉄、アルミニウム等の食品添加物やタンパク質等が挙げられる。
【0015】
膨化を妨げる成分がタンパク質である場合、タンパク質を含んでいる米菓はいずれも本願発明の「タンパク質を含む米菓」に含まれる。このような本発明の「タンパク質を含む米菓」は、米粉100gに対してタンパク質を0.01~20g含むものであることが好ましく、2~15g含むものであることがより好ましく、特に3~10g程度含むものであることが好ましい。
これらの米菓に含まれるタンパク質は食品の製造に使用できるタンパク質であれば特に制限はなく、動物性タンパク、植物性タンパク等のいずれのものであってもよい。
動物性タンパクとしては例えば、乳由来タンパク質、ホエイタンパク質(乳清)、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)、ホエイプロテインアイソレート(WPI)、加水分解ホエイペプチド、カゼインタンパク質、卵タンパク質、鶏卵由来タンパク質、卵白由来タンパク質、魚由来タンパク質、貝由来タンパク質、鶏由来タンパク質、コラーゲンペプチドやゼラチンなどの豚由来タンパク質及び牛由来タンパク等が挙げられる。植物性タンパクとしては大豆、小麦、エンドウ豆、ソラマメ、ヒヨコ豆等の豆類や、玄米、オーツ麦、コーン、ひまわりの種、かぼちゃの種、ヘンプシードといった穀類由来のタンパク等や、その他にキノコ、ポテト、ピーナツ、微細藻類、コオロギ等が挙げられる。これらは独自に調製したものや市販のもの等を用いることができ、二種類以上組み合わせて使用することもできる。
【0016】
ホエイプロテインの市販品として、例えば、SureProtein(登録商標) (フォンテラ社)、ラクトクリスタル(登録商標)plus、Wheyco W80、PROGEL800、WWP9010(いずれも日本新社製薬)等が挙げられる。
コラーゲンペプチドの市販品として、例えば、Peptan(登録商標) P5000HD、Peptan(登録商標) P2000HD(いずれもRousselot社)、ニッピペプタイド(登録商標)、Wellnex(登録商標)(いずれも新田ゼラチン社)、HACP(ゼライス社)、Naticol(登録商標)(ヴァイスハルト社)、バイオアクティブコラーゲンペプチド(ジェリータ社)、SOLUGEL(登録商標)、Italy PF、LAPI PF(いずれもPBゼラチン社)、マリンコラーゲンオリゴ(日祥社)、マトリックスネオ(焼津水産化学工業社)、UC-II(アリスコーポレーション社)、Italgel(登録商標)(イタルゼラチン社)等が挙げられる。
大豆タンパクの市販品として、例えば、プロリーナ(登録商標)250、プロリーナ(登録商標)700(いずれも不二製油社)、ALPHA(登録商標)5800(デュポン社)、CLARISOY(登録商標)170(ADM社)等が挙げられる。
【0017】
本発明の「米菓の膨化剤」は、「セルロース誘導体」を有効成分とするものであればよく、米菓の膨化に有用なその他の成分を含むものであってもよい。
「セルロース誘導体」として、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。本発明の「米菓の膨化剤」はこれらを一種以上含めばよく、二種以上組み合わせて含んでいてもよい。特にヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースのいずれか一種以上を含むのが好ましい。なお、これらの「セルロース誘導体」がメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースである場合、これらの官能基はメトキシ基が15~40%であることが好ましく、17~35%がより好ましく、特に19~32%が好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースである場合の官能基はヒドロキシプロポキシ基が3~15%、カルボキシメチルセルロースである場合の官能基はカルボキシルメチル基が0.2~2%が好ましい。
【0018】
これらの「セルロース誘導体」は食品の製造に使用できるものであればいずれのものであってもよく、市販のものや、独自で調製したもの等を用いることができる。
市販のメチルセルロースとして、例えば、ヒートゲル(登録商標)堅、ヒートゲル(登録商標)堅 SL、ヒートゲル(登録商標)超、ヒートゲル(登録商標)超 CL、ヒートゲル(登録商標)極(いずれもユニテックフーズ社)、メトセル(登録商標)MX0209、メトセル(登録商標)SGA7C、メトセル(登録商標)A15、メトセル(登録商標)A4M(いずれもダウ・ケミカル社)、メトローズ(登録商標) MCE-100TS、メトローズ(登録商標)MCE-4000、メトローズ(登録商標)MCE-1500(いずれも信越化学工業社)等が挙げられる。
【0019】
また、市販のヒドロキシプロピルメチルセルロースとして、例えば、ヒートゾル(登録商標)柔、ヒートゾル(登録商標)柔 SL、ヒートゾル(登録商標)柔 L、ヒートゾル(登録商標)緩、ヒートゾル(登録商標)緩 MH、ヒートゾル(登録商標)緩 L(いずれもユニテックフーズ社)、メトセル(登録商標)E19、メトセル(登録商標)F50、メトセル(登録商標)F4M、メトセル(登録商標)K99(いずれもダウ・ケミカル社)、メトローズ(登録商標)SFE-4000、メトローズ(登録商標)NE-4000、メトローズ(登録商標)SFE-400、メトローズ(登録商標)SE-50(いずれも信越化学工業社)等が挙げられる。
【0020】
さらに、市販のカルボキシメチルセルロースとして、例えば、サンローズ(登録商標)F、サンローズ(登録商標)A、サンローズ(登録商標)P、サンローズ(登録商標)S、サンローズ(登録商標)B、サンローズ(登録商標)MAC、サンローズ(登録商標)SLD(いずれも日本製紙社)、SYL-1、SYL-1W、PL-4、P-3、P-10、F-2、F-2E、F-10、F-30、F-100(いずれもキミカ社)等が挙げられる。
【0021】
本発明の「米菓」は、セルロース誘導体を有効成分とする本発明の米菓の膨化剤を、原料に配合する工程を含む製造方法によって製造することができる。この製造方法はさらに、本発明の「米菓」の製造に有用なその他の工程を含むものであってもよい。
本発明の「米菓」の製造において、原料に含まれる米粉等の米由来のもの100gに対して、セルロース誘導体が0.1~1.0gとなるように配合することが好ましく、さらに0.2~0.8g、特に0.4~0.6gとなるように配合することが好ましい。
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明の具体的な実施態様について説明する。なお、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【実施例0023】
本発明の実施例において、別途記載がない限りは次の試料を使用した。
<試料>
1)タンパク質
PEPTAN(登録商標)P5000HD(コラーゲンペプチド、ROUSSELOT社)
2)セルロース誘導体
(1)メチルセルロース(MC)
ヒートゲル(登録商標)堅 SL(ユニテックフーズ社)
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
a. ヒートゾル(登録商標)柔 L(ユニテックフーズ社)
b. ヒートゾル(登録商標)柔 SL(ユニテックフーズ社)
c. ヒートゾル(登録商標)緩 L(ユニテックフーズ社)
(3)カルボキシメチルセルロース(CMC)
F-2(キミカ社)
3)キサンタンガム
SATIAXANE(登録商標)CX90(カーギル社)
【0024】
[実施例1]
1.米菓の膨化剤の調製
各セルロース誘導体をそのまま米菓の膨化剤とした。
【0025】
2.米菓の製造
米菓の製造方法(A)
次の工程により、米菓を製造した。
1)表1に記載の配合量となるように、米粉等の原料と本発明の米菓の膨化剤を混合した後、水を少しずつ加えて捏ねた。
2)上記1)の工程を経たものを次の条件で蒸し混捏し、均一の米菓生地を得た。
蒸し混捏条件:
スチームコンベクションオーブン(ホシザキ社)を用いて、スチームモード(100℃、蒸気100%)で5分間蒸した後に一度捏ね、さらに5分間蒸した後に捏ねた。
3)上記2)の工程によって得られた米菓生地を、厚み2.8-3.0mmに伸ばし、約1cm四方となるようにカットした。
4)上記3)の工程を経たものを乾燥(60℃、2晩)した。
5)上記4)の工程を経たものを油調(200℃、5分)し、米菓を製造した。
なお、コントロールとしてセルロース誘導体を添加しないものを同様の製造方法によって製造した。
【0026】
【表1】
【0027】
米菓の製造方法(B)
表2に記載の配合量となるように、米粉等の原料と本発明の米菓の膨化剤を混合した後、上記の米菓の製造方法(A)の1)、2)と同様の工程によって、均一の米菓生地を得た。これを4℃で一晩冷蔵保存して生地中の水分をなじませた後、3)、4)と同様の工程を行い、室温で静置(約3時間)して生地中の水分を均一化させた後、5)と同様の工程を行い、米菓を製造した。
なお、コントロールとしてセルロース誘導体を添加しないもの、比較としてセルロース誘導体の替わりにキサンタンガムを混合したものを、同様の製造方法によって製造した。なお、キサンタンガムは粘度が高く、セルロース誘導体と同量添加すると喫食に適さないため、添加量を減らして比較例を製造した。
【0028】
【表2】
【0029】
3.結果
図1にHPMC(b)を有効成分とする米菓の膨化剤を用いて製造した米菓(おかき)の写真を示した。また、図2に油調後のおかきの縦横の大きさ(mm)(n=20)を測定した結果を示した。
これらの結果から示されるように、有効成分がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のいずれのセルロース誘導体であっても、本発明の米菓の膨化剤を用いることにより、コントロールや比較例のものと比べて油調により膨張し、全体がきれいに膨らんだ米菓が製造できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によって、あられ、おかき、せんべい等の米菓に十分な膨らみを与えることができる膨化剤の提供が可能となる。この米菓の膨化剤を原料に配合することによって、膨化を妨げる成分を含む場合であっても、十分に膨らみ、かつ、栄養価の高い米菓を容易に提供することができる。
図1
図2