(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141410
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】可動式覆蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 90/10 20060101AFI20230928BHJP
E02B 5/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65D90/10 D
E02B5/00 Z
B65D90/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047723
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 琢真
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA02
3E170AA30
3E170AB02
3E170DA08
3E170PA02
3E170VA20
(57)【要約】
【課題】耐荷重性能に優れる可動式覆蓋を提供する。
【解決手段】天板部11、および天板部11の下面11aにて天板部11の幅方向両端部に互いに対向する位置に下方に向けて垂設された側壁部12,13を有する覆蓋本体10と、側壁部12,13の外側面12a,13aに固定された車輪固定用Lアングル20と、車輪固定用Lアングル20に固定された車輪30と、を備え、側壁部12,13は、強化長繊維樹脂成形体を含み、側壁部12,13の厚さは、15mm以上30mm以下、側壁部12,13の密度は0.70g/cm
3以上0.80g/cm
3以下である、可動式覆蓋1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部、および前記天板部の下面にて前記天板部の幅方向両端部に互いに対向する位置に下方に向けて垂設された側壁部を有する覆蓋本体と、
前記側壁部の外側面に固定された車輪固定用Lアングルと、
前記車輪固定用Lアングルに固定された車輪と、を備え、
前記側壁部は、強化長繊維樹脂成形体を含み、
前記側壁部の厚さは、15mm以上30mm以下、
前記側壁部の密度は0.70g/cm3以上0.80g/cm3以下である、可動式覆蓋。
【請求項2】
前記車輪固定用Lアングルは、前記側壁部を厚さ方向に貫通するボルト穴内に嵌め込まれたスリーブ内に挿通されるLアングル固定用ボルトによって、前記側壁部に固定された、請求項1に記載の可動式覆蓋。
【請求項3】
前記スリーブは、ステンレス鋼から構成される、請求項2に記載の可動式覆蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式覆蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理施設には、施設の目的や用途に応じて覆蓋が設けられている。例えば、浄水施設における水槽等(ろ過池等)の覆蓋は、主に水槽内における藻類の発生防止や、異物混入防止等を目的として設置されている。また、下水処理施設における水槽等(沈砂池等)の覆蓋は、主に防臭や水槽内への転落防止を目的として設置されている。
【0003】
この種の覆蓋は、水槽内の状態(濾過状態や沈殿状態)を確認する場合や、水槽内部の保守点検を行う場合、あるいは一般の見学者が水処理施設内を見学する場合等に開放する必要がある。特に見学者が施設内を見学する場合には、対象となる水槽等が一時的に開放されるだけであるので、覆蓋は容易に開閉できる構成であることが望ましい。そこで、覆蓋に可動用の車輪を設けて適宜可動させる技術(可動式覆蓋)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の水槽開口部にベタ置きする覆蓋は、蓋にかかる荷重を受ける部分が、蓋が設置されている枠全面で荷重を受ける構造である。これに対して、可動式覆蓋は、車輪取付部で荷重を受ける構造である。そのため、可動式覆蓋は、車輪取付部に応力が集中し、蓋の耐荷重性能の範囲が限定される。具体的には、可動式覆蓋は、積雪量が多い地域での使用が制限される。そこで、可動式覆蓋では、車輪取付部の補強が必要であった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐荷重性能に優れる可動式覆蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の態様を有する。
[1]天板部、および前記天板部の下面にて前記天板部の幅方向両端部に互いに対向する位置に下方に向けて垂設された側壁部を有する覆蓋本体と、
前記側壁部の外側面に固定された車輪固定用Lアングルと、
前記車輪固定用Lアングルに固定された車輪と、を備え、
前記側壁部は、強化長繊維樹脂成形体を含み、
前記側壁部の厚さは、15mm以上30mm以下、
前記側壁部の密度は0.70g/cm3以上0.80g/cm3以下である、可動式覆蓋。
[2]前記車輪固定用Lアングルは、前記側壁部を厚さ方向に貫通するボルト穴内に嵌め込まれたスリーブ内に挿通されるLアングル固定用ボルトによって、前記側壁部に固定された、[1]に記載の可動式覆蓋。
[3]前記スリーブは、ステンレス鋼から構成される、[2]に記載の可動式覆蓋。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐荷重性能に優れる可動式覆蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を示す側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を構成するスリーブの長さ方向の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を構成するスリーブを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の可動式覆蓋について、実施形態を示して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を示す正面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を示す平面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を示す側面図である。
図4は、
図1の一部を拡大した図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を構成するスリーブの長さ方向の断面図である。
図6は、本発明の一実施形態に係る可動式覆蓋を構成するスリーブを示す正面図である。
なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右の位置関係は、通常の設置位置(
図1)を基準に説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の可動式覆蓋1は、例えば、水処理施設(下水処理場や浄水場等)における水槽100(または水路)の開口部101の上側に配されるものである。また、本実施形態の可動式覆蓋1は、水槽100の両側の開口縁102,103上に配置される車輪可動用Lアングル(可動式覆蓋のレール)110上を、一定の方向に移動が可能となっている。
【0013】
可動式覆蓋1は、覆蓋本体10と、車輪取付用Lアングル20と、車輪30とを備える。また、可動式覆蓋1は、車輪固定用ボルト40と、Lアングル固定用ボルト50と、スリーブ60とを備えていてもよい。
【0014】
覆蓋本体10は、
図1に示すように、正面視にて略コ字状をした蓋体である。覆蓋本体10は、天板部11と、2つの側壁部12,13とから構成されている。具体的には、平板状の天板部11の下面11aにおいて、幅方向両端部からそれぞれ2つの側壁部12,13が下方に向けて垂設されている。すなわち、2つの側壁部12,13は、互いに天板部11を介して対向する位置に垂設されている。また、側壁部12と側壁部13の垂設方向は、互いに略平行となっており、それぞれの垂設長さが等しくなっている。
【0015】
車輪取付用Lアングル20は、一方の辺21の外面(L字の外側の面)21aが、側壁部12の外側面12aに接するように配置されている。一方の辺21のボルト穴21bと側壁部12のボルト穴12bとに、Lアングル固定用ボルト50を挿通し、ナット70でLアングル固定用ボルト50を締め付けることにより、車輪取付用Lアングル20は、側壁部12の外側面12aに固定されている。これにより、車輪取付用Lアングル20の他方の辺22は、天板部11の上面と略平行に配置されるとともに、側壁部12の外側面12aから外側に延びるように配置される。車輪取付用Lアングル20の一方の辺21のボルト穴21bは、一方の辺21の中央部に、一方の辺21を厚さ方向に貫通するように形成されている。ボルト穴12bは、側壁部12の高さ方向の中央部に、側壁部12をその高さ方向と垂直方向に貫通するように形成されている。
【0016】
また、車輪取付用Lアングル20は、一方の辺21の外面(L字の外側の面)21aが、側壁部13の外側面13aに接するように配置されている。一方の辺21のボルト穴21bと側壁部13のボルト穴13bとに、Lアングル固定用ボルト50を挿通し、ナット70でLアングル固定用ボルト50を締め付けることにより、車輪取付用Lアングル20は、側壁部13の外側面13aに固定されている。これにより、車輪取付用Lアングル20の他方の辺22は、天板部11の上面と略平行に配置されるとともに、側壁部13の外側面13aから外側に延びるように配置される。ボルト穴13bは、側壁部13の高さ方向の中央部に、側壁部13をその高さ方向と垂直方向に貫通するように形成されている。
【0017】
側壁部12のボルト穴12b内および側壁部13のボルト穴13b内のそれぞれには、スリーブ60が嵌め込まれていることが好ましい。そのスリーブ60内にLアングル固定用ボルト50が挿通されていることが好ましい。
【0018】
車輪30は、車輪固定用ボルト40によって、車輪取付用Lアングル20の他方の辺22に固定されている。これにより、車輪取付用Lアングル20の他方の辺22から車輪30が下方に向けて垂設されている。
【0019】
車輪可動用Lアングル110は、水槽100の両側の開口縁102,103のそれぞれの上に配置されている。車輪可動用Lアングル110は、一方の辺111の外面(L字の外側の面)111aが、水槽100の開口縁102に接するように配置されている。一方の辺111のボルト穴111bに、開口縁102に対して垂直に埋め込まれたアンカーボルト120を挿通し、ナット121でアンカーボルト120を締め付けることにより、車輪可動用Lアングル110は、水槽100の開口縁102に固定されている。これにより、車輪可動用Lアングル110の他方の辺112が水槽100の開口縁102に対して垂直に配置される。
【0020】
また、車輪可動用Lアングル110は、一方の辺111の外面(L字の外側の面)111aが、水槽100の開口縁103に接するように配置されている。一方の辺111のボルト穴111bに、開口縁103に対して垂直に埋め込まれたアンカーボルト120を挿通し、ナット121でアンカーボルト120を締め付けることにより、車輪可動用Lアングル110は、水槽100の開口縁103に固定されている。これにより、車輪可動用Lアングル110の他方の辺112が水槽100の開口縁103に対して垂直に配置される。
【0021】
上述のようにして、水槽100の開口縁102および開口縁103のそれぞれに対して垂直に配置された車輪可動用Lアングル110の他方の辺112の端面112aに車輪30を載せることにより、車輪可動用Lアングル110の他方の辺112上を可動式覆蓋1が移動可能となっている。すなわち、可動式覆蓋1が、水槽100の両側の開口縁102,103上を移動可能となっている。
【0022】
覆蓋本体10、すなわち、天板部11と2つの側壁部12,13の材質は、特に限定されないが、例えば、軽量性の観点から、強化長繊維樹脂(繊維強化プラスチック、Fiber Reinforced Plastics;FRP)を含む成形体(以下、「強化長繊維樹脂成形体」と言うこともある。)であることが好ましい。
強化長繊維樹脂は、長繊維と、前記長繊維を結合する樹脂とを含む。
長繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の平均繊維長50mm以上の繊維が挙げられる。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
強化長繊維樹脂成形体としては、特に限定されないが、例えば、積水化学工業株式会社製のエスロンネオランバーFFU(商品名)が好ましい。
【0023】
天板部11および側壁部12,13は、一部または全部が強化長繊維樹脂成形体で形成されていることが好ましい。このような構成の天板部11および側壁部12,13は、金属製の覆蓋等に比べて耐腐食性が高いという利点がある。さらに、天板部11および側壁部12,13は、軽量化と同時に撓みに対する剛性を高くすることができるという利点もある。
【0024】
側壁部12,13の厚さ(
図1、
図4に示すT)は、15mm以上30mm以下である。
【0025】
側壁部12,13を構成する強化長繊維樹脂成形体の密度は、0.70g/cm3以上0.80g/cm3以下であり、0.71g/cm3以上0.77g/cm3以下が好ましい。側壁部12,13を構成する強化長繊維樹脂成形体の密度が前記下限値未満では、側壁部12,13の圧縮強度が不足し、可動式覆蓋1の高さ方向、すなわち、側壁部12,13をその高さ方向(天板部11の厚さ方向)に圧縮する力が加えられた際に、側壁部12,13が破損することがある。側壁部12,13を構成する強化長繊維樹脂成形体の密度が前記上限値を超えると、強化長繊維樹脂成形体における長繊維の含有量が過剰となり、強化長繊維樹脂成形体を成形することができなくなる。
【0026】
天板部11を構成する強化長繊維樹脂成形体の密度は、0.70g/cm3以上0.80g/cm3以下が好ましく、0.71g/cm3以上0.77g/cm3以下がより好ましい。天板部11を構成する強化長繊維樹脂成形体の密度が前記下限値未満では、強化長繊維樹脂成形体の圧縮強度が下がり、蓋の耐荷重性能が低下する。天板部11を構成する強化長繊維樹脂成形体の密度が前記上限値を超えると、樹脂に対する長繊維の割合が多くなり、強化長繊維樹脂成形体の作製が困難となる。
【0027】
図5、
図6に示すように、スリーブ60は、円筒状の部材であり、その内周面60aおよび外周面60bは、凹凸等が存在しない平滑面であることが好ましい。これにより、可動式覆蓋1の高さ方向、すなわち、側壁部12,13をその高さ方向(天板部11の厚さ方向)に圧縮する力が加えられた際に、スリーブ60の外周面60b全体でその圧縮する力を受けることができるため、ボルト穴12a,13aで、側壁部12,13が破損することを抑制できる。
【0028】
スリーブ60の厚さ(
図5に示すt)は、2mm以上4mm以下であることが好ましい。スリーブ60の外径(
図5に示すw)は、16mm以上20mm以下であることが好ましい。スリーブ60の長さ(
図5に示すl)は、15mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0029】
車輪取付用Lアングル20、車輪30、車輪固定用ボルト40、Lアングル固定用ボルト50、スリーブ60、およびアンカーボルト120の材質は、特に限定されないが、耐久性および腐食性の観点から、ステンレス鋼であることが好ましい。
ステンレス鋼としては、特に限定されないが、例えば、SUS304、SUS30等が挙げられる。耐久性および腐食性により優れる点から、SUS304が好ましい。
【0030】
本実施形態の可動式覆蓋1によれば、側壁部12,13を構成する強化長繊維樹脂成形体の密度が0.70g/cm3以上0.80g/cm3以下であるため、側壁部12,13の圧縮強度が向上し、可動式覆蓋1の耐荷重性能が向上する。
また、本実施形態の可動式覆蓋1によれば、側壁部12のボルト穴12b内および側壁部13のボルト穴13b内のそれぞれにスリーブ60が嵌め込まれ、そのスリーブ60内にLアングル固定用ボルト50が挿通されているため、側壁部12,13を構成する強化長繊維樹脂成形体の圧縮面積が増加し、側壁部12,13に対する荷重が分散され、可動式覆蓋1の耐荷重性能が向上する。
【0031】
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。さらに、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。
【実施例0032】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
図1に示すような可動式覆蓋を作製した。
表1に示すように、可動式覆蓋の側壁部を構成する強化長繊維樹脂成形体を積水化学工業株式会社製のエスロンネオランバーFFU74(商品名)で形成した。
また、側壁部のボルト穴内にスリーブを嵌め込まずに、側壁部に、車輪を固定した車輪固定用Lアングルを固定した。
【0034】
[実施例2]
図1に示すような可動式覆蓋を作製した。
表1に示すように、可動式覆蓋の側壁部を構成する強化長繊維樹脂成形体を積水化学工業株式会社製のエスロンネオランバーFFU74(商品名)で形成した。
また、側壁部のボルト穴内に、SUS304製の円筒状のスリーブを嵌め込んで、側壁部に、車輪を固定した車輪固定用Lアングルを固定した。
表1に、スリーブの厚さt、スリーブの外径w、およびスリーブの長さlを示す。
【0035】
[比較例1]
図1に示すような可動式覆蓋を作製した。
表1に示すように、可動式覆蓋の側壁部を構成する強化長繊維樹脂成形体を積水化学工業株式会社製のエスロンネオランバーFFU50(商品名)で形成した。
また、側壁部のボルト穴内にスリーブを嵌め込まずに、側壁部に、車輪を固定した車輪固定用Lアングルを固定した。
【0036】
[評価]
(可動式覆蓋の載荷試験)
汎用の鋼材で可動式覆蓋をその高さ方向に圧縮した際の比例限度圧縮荷重を、テンシロン万能材料試験機(商品名:UCT-10T、オリエンテック社製)を用いて測定した。圧縮速度を0.1mm/minとした。耐荷重値の結果を表1に示す。
【0037】
(積雪量に対する耐久性)
可動式覆蓋上に雪を積もらせて、可動式覆蓋が破損するまでの積雪量(積雪高さ)を算出した。
積雪量は、下記の計算式(1)により算出した。
積雪量[cm]={(耐荷重値[N]/安全率[-])×ボルト数[本]-蓋の自重[N]}/(蓋面積[m2]×単位面積あたりの積雪荷重[N/m2]) (1)
計算式(1)において、耐荷重値をボルト1本当たりの値(試験結果)[N]、安全率を2.0[-]、ボルト数を9本(4つの車輪中、3つで荷重を受ける場合のボルト数)、蓋の自重を1058N、蓋面積を4.5m2、単位面積あたりの積雪荷重を30N/m2(積雪高さ1cm毎、出典:建築基準法施行細則)とした。
結果を表1に示す。
【0038】
【0039】
表1に示す結果から、実施例1の耐荷重値は2105Nであり、比較例1の耐荷重値999Nの2倍以上であった。また、実施例2の耐荷重値は3611Nであり、比較例1の耐荷重値999Nの3倍以上であった。
表1に示す結果から、実施例1の積雪量は62cmであり、比較例1の積雪量25cmの2倍以上であった。また、実施例2の積雪量は112cmであり、比較例1の積雪量25cmの4倍以上であった。