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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141430
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047755
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】305017815
【氏名又は名称】十一屋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 貴久
(72)【発明者】
【氏名】平松 剛
(72)【発明者】
【氏名】大附 和敬
(72)【発明者】
【氏名】田原 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一道
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174DA52
2E174DA62
(57)【要約】
【課題】下部鋼柱の外面に固着した部材を、その外面から切断して撤去するような作業を要しない取付構造を提供する。
【解決手段】取付構造10は、ロボットアーム80を支持する第1支持部材20が、固定ユニット11を介して、下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に固定された構造である。連結具16は、第1締結具17と、第2締結具18とを備えており、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向の移動を拘束するように頭部17aを受け具14に着脱自在に係止させ、かつ、軸部17bを切り欠き15から法線方向に突出させた状態で、軸部17bの基端部17cは、切り欠き15の縁部15aに当接している。軸部17bが固定アングル12に挿通された状態で、頭部17aと第2締結具18とで、固定アングル12と受け具14とを挟持するように、第2締結具18は、軸部17bに締結されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部鋼柱と下部鋼柱とからなる柱同士の突合せ部分の溶接に用いられるロボットアームを、前記下部鋼柱に取り付けるための取付構造であって、
前記取付構造は、前記ロボットアームを支持する支持部材が、固定ユニットを介して、前記下部鋼柱の外面に着脱自在に固定された構造であり、
前記固定ユニットは、
前記支持部材を固定する固定部材と、
前記下部鋼柱の外面に固着され、切り欠きが形成された受け具と、
前記切り欠きを介して前記受け具と前記固定部材とを連結する連結具と、
を備えており、
前記連結具は、
前記受け具に着脱自在に係合する頭部と、前記頭部から延在する軸部と、を備えた第1締結具と、
前記軸部に螺着することにより、前記第1締結具に締結される第2締結具と、
を備えており、
前記外面の法線方向の移動を拘束するように前記頭部を前記受け具に着脱自在に係止させ、かつ、前記軸部を前記切り欠きから前記法線方向に突出させた状態で、前記軸部の基端部は、前記切り欠きの縁部に当接しており、
前記法線方向に突出した前記軸部が前記固定部材に挿通された状態で、前記頭部と前記第2締結具とで、前記固定部材と前記受け具とを挟持するように、前記第2締結具は、前記軸部に締結されていることを特徴とする取付構造。
【請求項2】
前記取付構造は、
前記支持部材として、前記下部鋼柱の対向する前記外面に前記下部鋼柱を挟むように配置され、水平な第1方向に延在する一対の第1支持部材と、
前記下部鋼柱の対向する他の外面を挟むように、前記一対の第1支持部材に跨って支持され、前記第1方向と交差する水平な第2方向に延在する一対の第2支持部材と、
前記一対の第2支持部材に沿って取り付けられ、前記ロボットアームが載置される台車の走行を案内する一対のレール部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記第1支持部材は、前記固定部材を上下一対の固定部材として、前記固定部材で上下から挟み込まれた状態で、前記連結具を介して、前記受け具としての上下一対の受け具に固定されており、
上側に位置する前記第1締結具の軸部の基端部が、上側に位置する前記受け具に形成された切り欠きの上縁部に当接し、
下側に位置する前記第1締結具の軸部の基端部が、下側に位置する前記受け具に形成された切り欠きの下縁部に当接していることを特徴とする請求項2に記載の取付構造。
【請求項4】
前記取付構造は、
前記受け具の外周を周回するリング部材と、
前記リング部材の外周側より内周側に向けて、前記リング部材の上部において、螺着するネジ体と、を備えており、
前記ネジ体は、前記ネジ体の先端で、前記第1締結具の前記頭部を上方から押さえ込むように、前記リング部材に締め込まれていることを特徴とする請求項2に記載の取付構造。
【請求項5】
前記受け具に形成された切り欠きは、水平方向に延在しており、
前記第1締結具の軸部の基端部が、前記切り欠きの下縁部に対向し、前記切り欠きの上縁部に当接していることを特徴とする請求項2に記載の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部鋼柱と下部鋼柱とからなる柱同士の突合せ部分の溶接に用いられるロボットアームを柱に取り付けるための取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場などにおいて、上部鋼柱と下部鋼柱からなる柱同士の突合せ部分は、溶接により固定されている。このような溶接方法として、ロボットアームを用いた溶接方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、鋼管の外面に支持片を溶接し、支持片に取付治具の第1支持部材(支持部材)、第2支持部材およびレール部材を固定し、レール部材に2つのロボットアームを移動可能に支持する取付治具が提案されている。この取付治具を用いることにより、異なるサイズの柱に対してロボットアームを取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-159928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上部鋼柱と下部鋼柱との突合せ部分の溶接が完了したあと、取付治具の支持部材を取り外すと、取り外し後に受け具の外面から、その法線方向に支持片が突出している。この支持片は、支持部材を支持する程度に、下部鋼柱の外面から突出しているので、そのあとの作業等に支障をきたすおそれがあり、下部鋼柱から切断して撤去しなければならないことがある。
【0006】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、下部鋼柱の外面に固着した部材を、その外面から切断して撤去するような作業を要しない取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る取付構造は、上部鋼柱と下部鋼柱とからなる柱同士の突合せ部分の溶接に用いられるロボットアームを、前記下部鋼柱に取り付けるための取付構造であって、前記取付構造は、前記ロボットアームを支持する支持部材が、固定ユニットを介して、前記下部鋼柱の外面に着脱自在に固定された構造であり、前記固定ユニットは、支持部材を固定する固定部材と、前記下部鋼柱の外面に固着され、切り欠きが形成された受け具と、前記切り欠きを介して前記受け具と前記固定部材とを連結する連結具と、を備えており、前記連結具は、前記受け具に着脱自在に係合する頭部と、前記頭部から延在する軸部と、を備えた第1締結具と、前記軸部に螺着することにより、前記第1締結具に締結される第2締結具と、を備えており、前記外面の法線方向の移動を拘束するように前記頭部を前記受け具に着脱自在に係止させ、かつ、前記軸部を前記切り欠きから前記法線方向に突出させた状態で、前記軸部の基端部は、前記切り欠きの縁部に当接しており、前記法線方向に突出した前記軸部が前記固定部材に挿通された状態で、前記頭部と前記第2締結具とで、前記固定部材と前記受け具とを挟持するように、前記第2締結具は、前記軸部に締結されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の取付構造によれば、ロボットアームを支持する支持部材を、固定ユニットを介して、下部鋼柱に固定することができる。具体的には、固定ユニットは、固定部材と、連結具と、受け具と、を備えており、固定部材は、連結具を介して、下部鋼柱の受け具に着脱自在に取り付けることができる。
【0009】
ここで、連結具は、第1締結具と、第2締結具と、を備えており、外面の法線方向の移動を拘束するように、第1締結具の頭部が受け具に係止しており、第1締結具の軸部が、受け具の切り欠きから法線方向に突出している。この状態で、第1締結後の軸部の基端部が、切り欠きの縁部に当接されているので、受け具に対する第1締結具の姿勢は安定する。
【0010】
このような姿勢で、第2締結具は、法線方向に突出した第1締結具の軸部を固定部材に挿通させた状態で、頭部と第2締結具とで、固定部材と受け具とを挟持するように、第1締結具の軸部に締め込まれている。このような結果、固定部材を連結具を介して受け具に連結することができ、支持部材を固定部材を介して下部鋼柱に固定することができる。
【0011】
本発明では、下部鋼柱の外面の法線方向に沿って、切り欠きから突出した軸部に第2締結具を締め込むことで、固定部材を固定するが、この軸部を構成する第1締結具は、その頭部が受け具に着脱自在に係止されているため、受け具から簡単に取り外すことができる。したがって、溶接完了後に、取付構造の各部材を解体すると、最終的には、下部鋼柱には固着された受け具のみが残る。このように、本発明では、これまでの支持片の如く、支持部材を支持できる程度に、下部鋼柱の外面の法線方向に突出した部材を、下部鋼柱に固着する必要がなく、これを下部鋼柱から切断するような撤去作業を要しない。このような結果、ロボットアームの取り付けおよび取り外しの作業性を向上させることができる。
【0012】
より好ましい態様としては、前記取付構造は、前記支持部材として、前記下部鋼柱の対向する前記外面に前記下部鋼柱を挟むように配置され、水平な第1方向に延在する一対の第1支持部材と、前記下部鋼柱の対向する他の外面を挟むように、前記一対の第1支持部材に跨って支持され、前記第1方向と交差する水平な第2方向に延在する一対の第2支持部材と、前記一対の第2支持部材に沿って取り付けられ、前記ロボットアームが載置される台車の走行を案内する一対のレール部材と、を備える。
【0013】
この態様によれば、一対の第1支持部材が、下部鋼柱を挟むように固定され、この一対の第1支持部材に跨って、一対の第2支持部材が支持されるので、下部鋼柱の大きさによらず、ロボットアームを安定して支持することができる。ロボットアームを載置した台車は、第2支持部材に沿って取り付けられたレールを走行するが、上述した取付構造により、第1支持部材は、下部鋼柱に安定して固定されているので、ロボットアームの安定した走行が実現できる。
【0014】
より好ましい態様としては、前記第1支持部材は、前記固定部材を上下一対の固定部材として、前記固定部材で上下から挟み込まれた状態で、前記連結具を介して、前記受け具としての上下一対の受け具に固定されており、上側に位置する前記第1締結具の軸部の基端部が、上側に位置する前記受け具に形成された切り欠きの上縁部に当接し、下側に位置する前記第1締結具の軸部の基端部が、下側に位置する前記受け具に形成された切り欠きの下縁部に当接している。
【0015】
この態様によれば、第1支持部材は、上下一対の固定部材で上下から挟み込んだ状態で、下部鋼柱に固定されているので、第1支持部材の浮き上がりを防止することができる。さらに、上側に位置する第1締結具の基端部が、上側の切り欠きの上縁部に当接し、下側に位置する第1締結具の基端部が、下側の切り欠きの下縁部に当接しているので、ロボットアームを載置した台車の移動に拘わらず、第1支持部材を上下方向に安定して、拘束することができる。この結果、ロボットアームによる柱同士の突合せ部分の溶接を安定して、良好に実施することができる。
【0016】
より好ましい態様としては、前記取付構造は、前記受け具の外周を周回するリング部材と、前記リング部材の外周側より内周側に向けて、前記リング部材の上部において、螺着するネジ体と、を備えており、前記ネジ体は、前記ネジ体の先端で、前記第1締結具の前記頭部を上方から押さえ込むように、前記リング部材に締め込まれている。
【0017】
この態様によれば、リング部材の外周側からネジ体を締め込んで、ネジ体の先端で、切り欠きに収容された第1締結具の頭部を上方から押さえ込むことができる。このようにして、よりシンプルな構造で、切り欠きに収容された第1締結具の上方向の移動を防止することができ、第1支持部材の固定状態を安定させることができる。このようにして、ロボットアームによる柱同士の突合せ部分の溶接を安定して、良好に実施することができる。
【0018】
より好ましい態様としては、前記受け具に形成された前記切り欠きは、水平方向に延在しており、前記第1締結具の軸部の基端部が、前記切り欠きの下縁部に対向し、前記切り欠きの上縁部に当接している。
【0019】
この態様によれば、上述した態様の如く、第1支持部材を、上下から固定アングルで挟み込んだり、リング部材を用いたりすることなく、よりシンプルな構造で、切り欠きの上縁部と下縁部により、第1締結具の上下方向の移動を拘束することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、下部鋼柱の外面に固着した部材を、その外面から切断して撤去するような作業を要せず、作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る取付構造を用いてロボットアームを柱に取り付けた状態を示す斜視図である。
図2図1に示す取付構造の第1支持部材と固定部材の構造を分解して示す斜視図である。
図3図1に示す取付構造の第1支持部材の柱に対する取付部分を示し、(a)は要部正面図、(b)は(a)の右側面図である。
図4図3に示す取付部分の詳細を示し、(a)は要部平面図、(b)は要部正面図、(c)は固定用のナットを含む要部右側面図である。
図5図3に示す取付部分を示す要部斜視図である。
図6図5に示す取付部分の要部構成を分解した状態の斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る取付構造の第1支持部材に取り付けられる取付具およびケーブル避け部材の構造を説明するための斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る取付構造のケーブル避け部材周辺の構造を示す平面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る取付構造の第1支持部材の柱に対する取付部分を示し、(a)は要部正面図、(b)は(a)の右側面図である。
図10図9に示す取付構造の要部構成を分解した状態の斜視図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る取付構造における第1支持部材の柱に対する取付部分を示し、(a)は要部正面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)のA-A線に沿う断面図である。
図12図11に示す固定構造の要部構成を分解した状態の斜視図である。
図13図3に示す取付部分において、着脱ユニットの変形例を示す要部斜視図である。
図14図13に示す着脱ユニットの変形例を示す分解状態の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る取付構造の第1実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る取付構造を用いて、2つのロボットアームを柱に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、建設現場等においては、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bとの突合せ部分1aを溶接するために、ロボットアーム80が用いられる。ロボットアーム80を支持する第1及び第2支持部材20、30は、取付構造10を用いて下部鋼柱1Aの外面に着脱可能に取り付けられる。
【0024】
下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの外面は、対向する外面1b、1bと、対向する他の外面1c、1cの4つの外面で構成され、4つの平面部と4つの湾曲部によって形成されている。下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの外面1b、1cの平面部の所定位置には、複数(ここでは4つ)の突片(エレクションピースともいう)2が溶接されている。この突片2は、上下に隣接する下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bを仮固定するために設けられている。上下に配置された2つの突片2には、仮固定治具3が取り付けられている。
【0025】
仮固定治具3は、上下方向に延設されており、上側の端部はボルト4等を用いて上側の突片2に締結されており、下側の端部はボルト4等を用いて下側の突片2に締結されている。仮固定治具3は、ここでは詳細な説明を省略するが、上下に配置された2つの突片2同士の間の距離を調節可能に構成されていてもよい。これにより、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bとの隙間を調節することが可能であるとともに、上部鋼柱1Bの傾きを調節することが可能である。なお、仮固定治具3は、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bの突合せ部分1aの溶接が完了した際、又は突合せ部分1aの溶接途中であっても、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bとの間の接合強度が建設中の建物を支持するのに十分な大きさになった際に、突片2から取り外される。
【0026】
つぎに、取付構造10について、図2から図6を参照して説明する。取付構造10は、ロボットアーム80を支持する第1支持部材20が、固定ユニット11を介して、下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に固定された構造である。
【0027】
取付構造10は、2つのロボットアーム80を支持する一対の第1支持部材20と、一対の第1支持部材20に跨って支持される一対の第2支持部材30と、一対の第2支持部材30に沿ってその上部に取り付けられ、2つのロボットアーム80が載置される台車90の走行を案内する一対のレール部材40と、を備えている。
【0028】
一対の第1支持部材20は、水平な第1方向(矢印A方向)に延在するとともに下部鋼柱1Aを挟むように、下部鋼柱1Aの対向する外面1bに固定されている。一対の第2支持部材30は、第1方向と交差(直交)する第2方向(矢印B方向)に延在するとともに下部鋼柱1Aの対向する他の外面1cを挟むように、一対の第1支持部材20に跨って支持されている。一対のレール部材40は、一対の第2支持部材30上に固定されているとともに、2つのロボットアーム80を第2方向(矢印B方向)に案内する。なお、第1方向(矢印A方向)および第2方向(矢印B方向)は、下部鋼柱1Aの外面1b、1cの平面部に平行または垂直な方向である。
【0029】
つぎに、第1支持部材20の詳細構造について、図2を参照して説明する。第1支持部材20の材質および断面形状は特に限定されるものではないが、軽量化の観点からここではアルミニウム合金が用いられるが、鋼が用いられていてもよい。第1支持部材20は、図2に示すように、一対のフランジ21および22と、一対のフランジ21および22を接続するウェブ23と、を有する断面H形状に形成されているとともに、所定方向(下部鋼柱1Aに取り付けられた状態では矢印A方向)に延びるように形成されている。フランジ21の長手方向(矢印A方向)両側には、後述する第1取付具51を締結するための複数の貫通孔(通し孔ともいう)21aが設けられている。複数の貫通孔21aがフランジ21の長手方向に沿って設けられているため、フランジ21に対する第1取付具51の締結位置をフランジ21の長手方向(矢印A方向)に調整することが可能である。
【0030】
フランジ22の長手方向中央寄りの位置には、フランジ22の長手方向に所定の間隔をおいて、後述する固定ユニット11を構成する固定アングル12を締結するための複数の貫通孔21bが設けられている。貫通孔21bは、フランジ22の長手方向に長い長孔であり、これにより、固定アングル12の締結位置をフランジ22の長手方向(矢印A方向)に微調整することができる。
【0031】
本実施形態の取付構造10は、図2から図6に示すように、2つのロボットアーム80を支持する一対の第1支持部材20を備えており、第1支持部材20は、固定ユニット11を介して下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に固定されている。固定ユニット11は、一対の第1支持部材20を固定する固定部材としての固定アングル12と、固定アングル12を下部鋼柱1Aに着脱自在に取り付ける着脱ユニット13とを備えている。したがって、2つの固定ユニット11により、下部鋼柱1Aの対向する2つの外面1bに、一対の第1支持部材20が着脱自在に固定されている。固定アングル12は、第1支持部材20を支持する上方の支持面が水平になるように固定されている。
【0032】
着脱ユニット13は、図3から図6に示すように、下部鋼柱1Aの外面1bに固着され、固定アングル12を介して第1支持部材20を受ける受け具14と、受け具14に固定アングル12を連結する連結具16と、を備えている。受け具14は、鋼板等の金属板材をプレス成形して成形されたものであり、2つの対向した立ち上がり壁14aと、2つの立ち上がり壁14a同士を繋ぐ連結壁14bと、により断面コ字状に形成されている。
【0033】
図4(b)および図6に示すように、受け具14には、連結壁14bに切り欠き15が形成されている。切り欠き15は、U字状の切り欠きであり、上方が開口している。切り欠き15の縁部15aは、この開口から下方に向かって連続して形成されており、後述するように、下縁部15bにおいて、第1締結具17が当接している。
【0034】
連結具16は、第1締結具17と第2締結具18とから構成されており、本実施形態とでは、その一例として、これらは、六角ボルトとナットである。第1締結具17は、受け具14に着脱自在に係合する頭部17aと、頭部17aから延在する軸部17bと、を備えている。頭部17aは平面視六角形で大径であり、軸部17bは小径の軸になっている。
【0035】
第1締結具17の軸部17bは、その先端から基端部17cに向かって、雄ネジが形成されており、雌ネジが形成された第2締結具18が、第1締結具17の軸部17bに螺着することにより、第1締結具17に締結されている。本実施形態では、第1締結具17の軸部17bの基端部17c(図4図6参照)まで、雄ネジが形成されているが、第2締結具18に螺着することができるのであれば、基端部17cの形状は特に限定されるものではない。
【0036】
本実施形態では、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向の移動を拘束するように、第1締結具17の頭部17aが、受け具14に着脱自在に係止している。さらに、第1締結具17の軸部17bは、切り欠き15から、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に突出している。この状態で、第1締結具17の軸部17bの基端部17cは、切り欠き15の縁部15a(具体的には、下縁部15b)に当接している。
【0037】
より具体的には、図4に示すように、切り欠き15の幅w1は、軸部17bの直径より大きく、かつ、頭部17aおよび第2締結具18の幅よりも狭く設定されている。すなわち、切り欠き15の幅w1は、切り欠き15内に第1締結具17の軸部17b(具体的には基端部17c)が挿入可能となる幅となっており、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に、第1締結具17が拘束されている。
【0038】
また、図6に示すように、受け具14の2つの立ち上がり壁14a、14aの幅w2(内壁面同士の距離)は、第1締結具17の頭部17aの幅w3より僅かに大きく設定されている。頭部(六角頭部)17aは、2つの立ち上がり壁14a、14aと連結壁14bで形成される空間内に収容されるように設定されている。頭部17aが受け具14の空間内に収容された状態で、第1締結具17は、回転不能の状態となり、受け具14に対して上方から着脱自在になっている。
【0039】
このように構成された受け具14は、下部鋼柱1Aの対向する外面1b、1bに2つずつ水平方向に並べた状態で、下部鋼柱1Aの4つの平面部の幅に合わせて所定の間隔を空けて溶接等で固着されている。溶接部分は、2つの立ち上がり壁14a、14aの先端と、柱の外面1b、1bとの接触部分であり、溶接部分は図示していないが若干盛り上がって形成される。
【0040】
受け具14は、切り欠き15の開口が上方を向くように下部鋼柱1Aの外面1bに固着され、第1締結具17は頭部17aが受け具14の2つの立ち上がり壁14a、14a間の空間に進入するとともに、軸部17bの基端部17cが切り欠き15内に進入するように装着される。このため、第1締結具17の頭部17aは、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向の移動を拘束するように、受け具14に着脱自在に係止され、軸部17bが、受け具14から下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に突出している。さらに、軸部17bの基端部17cは、切り欠き15の下縁部15bに当接している。
【0041】
図2に示すように、固定ユニット11を構成する固定部材である固定アングル12は、第1支持部材20を載置した状態で支持する機能を有している。固定アングル12の水平部には第1支持部材20の4つの貫通孔21bに対応して、4つの貫通孔12aが形成されている。また、鉛直部には、第1締結具17の軸部17bが挿入される2つの貫通孔12bが形成されている。
【0042】
固定アングル12は、下部鋼柱1Aの外面1bに固着された2つの受け具14から突出する2本の第1締結具17の軸部17bに2つの貫通孔12bを挿通し、第2締結具(ナット)18を螺着させて締結される。このようにして、第1締結具17の頭部17aと第2締結具である第2締結具18とで、固定アングル12と受け具14とを挟持することができ、固定アングル12が、下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に固定されている。
【0043】
図1図7に示すように、第1支持部材20の両端部には、第1支持部材20の幅方向(矢印B方向)の外側に突出し、ロボットアーム80に接続された後述するケーブル89が第1支持部材20に接触するのを回避するケーブル避け部材28が固定されている。
【0044】
具体的には、ケーブル避け部材28は、第1支持部材20の両端部にボルト29aおよびナット29bを用いて固定される固定面部28aと、固定面部28aから第1支持部材20の幅方向(矢印B方向)に突出するとともに、第1支持部材20の長手方向の内側に向かって延びる延在部28bとを含んでいる。延在部28bは、管材または棒材などを折り曲げることによって形成されている。
【0045】
第1支持部材20の上部に固定される第2支持部材30について説明する。第2支持部材30の材質は特に限定されるものではないが、軽量化の観点からここではアルミニウム合金が用いられる。第2支持部材30は、第1支持部材20に取り付けられた状態では矢印B方向に延びるように形成されている。また、第2支持部材30は、長手方向(矢印B方向)の中心位置で分割可能に構成されている。以下、第2支持部材30を分割した状態のものを支持部材構造体30aという。
【0046】
支持部材構造体30aは、図1に示すように、第2方向(矢印B方向)に延びる管材または棒材などからなる複数(ここでは4本)の弦材31と、弦材31の両端に溶接される端部プレート32と、を有する細長の枠状に形成されている。端部プレート32は、4本の弦材31同士の間隔を一定に保持する。また、端部プレート32には、支持部材構造体30a同士を連結して第2支持部材30とする際にボルト(図示せず)が挿入される複数の貫通孔が設けられている。
【0047】
また、支持部材構造体30aは、4本の弦材31に対して傾斜して配置される管材または棒材などからなる複数の斜材33と、4本の弦材31に対して垂直に配置される管材または棒材などからなる複数の補強材34と、を含むトラス構造に形成されている。
【0048】
この支持部材構造体30aは、図1に示すように、固定部材50を用いて第1支持部材20に固定されている。固定部材50は、図1に示すように、第1支持部材20に取り付けられる板状の第1取付具51と、支持部材構造体30aの4本の弦材31のうちの2本を第1取付具51に固定する第2取付具52とを含んでいる。各支持部材構造体30aは、2つの第1取付具51と、4つの第2取付具52と、ボルトおよびナットを用いて第1支持部材20に固定されている。
【0049】
2つの支持部材構造体30aを連結した一対の第2支持部材30上には、図1に示すように、一対のレール部材40が固定されている。レール部材40の材質は特に限定されるものではないが、例えば鋼材を用いることができる。レール部材40は、図1に示すように、本体部41と、本体部41の上部にボルト等を用いて固定された一対のレール(リニアガイドレールともいう)42と、を備えている。
【0050】
一対のレール42には、ロボットアーム80の台車90がスライド可能に係合している。レール部材40は、レール固定部材60を介して、第2支持部材30に固定されている。レール固定部材60は、第2支持部材30の弦材31に取り付けられる第3取付具(図示せず)と、第3取付具に固定される支持プレート(図示せず)とを含んでいる。
【0051】
次に、ロボットアーム80の構造について簡単に説明する。ロボットアーム80は、図1および図8に示すように、レール部材40上に載置され、レール部材40に沿って走行移動する台車90上に載置される。台車90には、ロボットアーム80の動作のための電力を供給するケーブル89が接続されている。ロボットアーム80は、台車90上に配置され上下方向に延びる軸を中心として旋回可能な旋回台82と、旋回台82上に配置され上方向に延びる基台部83とを備えている。
【0052】
さらに、ロボットアーム80は、基台部83上に配置され水平方向に延びる軸を中心として回動可能な第1アーム84と、第1アーム84に連設され、水平方向に延びる軸を中心として回動可能な第2アーム85とを備えている。
【0053】
第2アーム85は、その軸方向沿って回転するアーム本体86を備えており、アーム本体86の先端には、第3アーム87が旋回自在に取り付けられている。第3アーム87には、溶接トーチ88が取り付けられており、溶接トーチ88は、ケーブル99に接続されている。
【0054】
ロボットアーム80は、台車90によって所定位置に移動され、旋回台82、第1アーム84、第2アーム85、および第3アーム87を駆動することによって、溶接トーチ88の先端を下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの突合せ部分1aの所望の位置に配置して溶接を行う。なお、ロボットアーム80および台車90は、手動で駆動させるものであってもよいし、自動で駆動するものであってもよい。
【0055】
前記の如く構成された本実施形態の取付構造10の作用について以下に説明する。下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの突合せ部分1aの溶接するため、ロボットアーム80を下部鋼柱1Aに取り付けるときは、まず、取付構造10の第1支持部材20を下部鋼柱1Aの外面1bに固定する。
【0056】
具体的には、下部鋼柱1Aの外面1bに固定ユニット11を構成する受け具14を溶接で固着する。本実施形態では、各外面1bに、2つ受け具14が、水平方向に並設されているが、第1支持部材20を安定して固定することができるのであれば、この個数は特に限定されない。受け具14には、対向して平行な2つの立ち上がり壁14aと、これらを繋ぐ連結壁14bと、により空間が形成されており、連結壁14bには切り欠き15が形成されている。
【0057】
ここで、受け具14の空間に、第1締結具(連結ボルト)17の頭部17aが収容されるように、軸部17bの基端部17cを切り欠き15内に挿入する。これにより、基端部17cは、切り欠き15の下縁部15bに当接し、軸部17bは、切り欠き15から、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に沿って突出する。このようにして、第1締結具17は、切り欠き15を介して、受け具14に対して、回転不能に支持される。
【0058】
次に、第1締結具17の軸部17bに、固定アングル12の貫通孔12bを挿通し、軸部17bに第2締結具(ナット)18を締め込む。これにより、固定アングル12と受け具14とを、第1締結具17の頭部17aと第2締結具18とで挟持することができる。これにより、固定アングル12を下部鋼柱1Aに固定することができる。
【0059】
この際、貫通孔12bと軸部17bとの隙間を利用して、固定アングル12が水平になるように、固定アングル12を調整して、第2締結具18を軸部17bに対して締め込む。つぎに、固定アングル12の水平面に形成された貫通孔12aと、第1支持部材20のフランジ22に形成された貫通孔21bと、にボルトを挿通し、ナットをねじ込んでボルトナット25で第1支持部材20を下部鋼柱1Aに水平状態に固定する。対向する他方の外面1bについても、同様にして第1支持部材20を水平状態に固定する。
【0060】
このように、図5および図7に示すように、下部鋼柱1AのA方向に沿って、2本の第1支持部材20が固定ユニット11により水平方向に下部鋼柱1Aを挟むように平行に固定される。このあと、図1および図8に示すように、2本の第1支持部材20に跨るように2本の第2支持部材30が固定される。具体的には、第1支持部材20の上に固定手段を構成する2つの第1取付具51および4つの第2取付具52、ボルトおよびナットを用いて固定する。このとき、第1支持部材20の複数の貫通孔21aと、第1取付具51の複数の貫通孔51cとを用いて、下部鋼柱1Aのサイズに合わせて第2支持部材30を固定することができる。第2支持部材30は、2つの支持部材構造体30aを連結した状態で一対の第1支持部材20上に固定される。次いで、第2支持部材30にレール固定部材60を固定し、一対のレール部材40を固定する。
【0061】
このようにして、各第2支持部材30にレール部材40をB方向に沿って固定したあと、一対のレール部材40にロボットアーム80の台車90を移動可能に設置する。これにより、ロボットアーム80は一対のレール部材40上を台車90で走行することができる。ロボットアーム80は一対のレール部材40上を走行し、下部鋼柱1Aの突合せ部分1aを溶接し、上下に配置された分割状態の下部鋼柱1Aを接合することができる。
【0062】
突合せ部分1aの接合後または接合途中において、4つの突片2に取り付けられた仮固定治具3を取り外す。突合せ部分1aの接合後には、一対のレール部材40に設置されたロボットアーム80とともに、下部鋼柱1Aから取付構造10を構成する第1および第2支持部材20、30を取り外す。
【0063】
まず、一対のレール部材40上に設置された台車90とともに、ロボットアーム80を取り外し、一対の第2支持部材30に固定された一対のレール部材40を取り外す。ついで、一対の第2支持部材30を一対の第1支持部材20から取り外す。第2支持部材30は、2つの支持部材構造体30aに分割され、搬送される。
【0064】
このあと、下部鋼柱1Aに固定ユニット11で固定された一対の第1支持部材20を取り外す。まず、一対の固定アングル12のボルトナット25を緩め、一対の第1支持部材20を取り外す。ついで、一対の第2締結具(ナット)18を緩め、固定アングル12を一対の第1締結具(連結ボルト)17から取り外す。このあと、受け具14の切り欠き15から一対の第1締結具17を外すと、下部鋼柱1Aの外面1bには溶接された一対の受け具14のみが残る。
【0065】
このように、本実施形態では、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に沿って、切り欠き15から突出した軸部17bに第2締結具(ナット)18を締め込むことで、固定アングル12を固定する。この軸部17bを構成する第1締結具(連結ボルト)17は、その頭部17aが受け具14に着脱自在に係止されている。このため、受け具14から簡単に取り外すことができる。このようにして、これまでの支持片の如く、支持部材を支持できる程度に、下部鋼柱1Aの外面の法線方向に突出した部材を、下部鋼柱1Aに溶接等で固着する必要がなく、このような部材を下部鋼柱1Aから切断するような撤去作業を要しない。このような結果、ロボットアーム80の取り付けおよび取り外しの作業性を向上させることができる。
【0066】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る取付構造について、図9図10を参照して説明する。第2実施形態の取付構造10Aは、第1実施形態の取付構造10における第1支持部材20を固定する固定ユニット11の固定状態を安定させるために、第1支持部材20の上側にも、類似の固定ユニット70を設けた点である。
【0067】
具体的には、本実施形態の取付構造10Aは、上下一対の固定アングル(固定部材)12、71と、上下一対の着脱ユニット13、72とを備えている。なお、第2実施形態の取付構造10Aでは、上下一対の固定アングルと、上下一対の着脱ユニットの構成以外の構成は前記第1実施形態と同じ構成であり、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
第2実施形態の取付構造10Aでは、第1支持部材20は、上下一対の固定アングル12、71で上下から挟み込まれた状態で、連結具16、75を介して、上下一対の受け具14、73のそれぞれに固定されている。下側の固定ユニット11は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0069】
本実施形態では、第1支持部材20の上方に、固定ユニット70を備えており、固定ユニット70の固定アングル71と着脱ユニット72により、第1支持部材20の上面に当接して第1支持部材20の浮き上がりを防止している。固定ユニット70は、本実施形態では左右の2セットで用いられているが、1セットでも、その機能を発揮できるものであり、以下、その1セットについて詳細に説明する。
【0070】
固定ユニット70は、固定部材として固定アングル71と、固定アングル71を下部鋼柱1Aに着脱自在に取り付ける着脱ユニット72とを備えている。固定アングル71は、第1支持部材20に当接するものであり、着脱ユニット72は固定アングル71を下部鋼柱1Aに着脱自在に取り付けるものである。着脱ユニット72は、下部鋼柱1Aの外面1bに固着された受け具73を備えている。受け具73には、第1実施形態と同様に、切り欠き74が形成され、着脱ユニット72は、受け具73と固定アングル71とを連結する連結具75を備えている。
【0071】
連結具75は、第1締結具(連結ボルト)75Aと第2締結具(ナット)75Bとを備えており、第1締結具75Aは受け具73に係合する頭部75aと、頭部75aから延在する小径の軸部75bとを備えている。第2締結具75Bは第1締結具75Aの軸部75bに螺着して第1締結具75Aに締結され、固定アングル71を下部鋼柱1Aの外面1bに固定するものである。
【0072】
固定アングル71には、第1支持部材20に当接し、固定アングル71の高さを調整する調整機構9が設けられている。具体的には、調整機構9は、固定アングル71に軸部91bが螺着し、その頭部91aが第1支持部材20に当接するボルト91と、軸部91bに螺着するナット92とを備えている。
【0073】
本実施形態では、固定アングル71は、水平方向に延在する水平部71aと、これに連続し、鉛直方向に立設した鉛直部71bにより形成されたL字状の断面を有している。ボルト91の軸部91bは、水平部71aに形成されたネジ孔に螺着しており、ナット92をさらに螺着させることにより、固定アングル71に対してボルト91を固定することができる。本実施形態では、第1支持部材20に対する固定アングル71の高さを、ボルト91とナット92により調整したが、例えば、固定アングル71と、第1支持部材20との間に、高さを調整するスペーサなどを設けてもよい。
【0074】
本実施形態では、受け具73は、第1実施形態の受け具14を上下反転したものであり、受け具73には、切り欠き74が下方に開口するように形成されている。具体的には、第1実施形態の受け具14と同様に、受け具73は、2つの平行な立ち上がり壁73aと、2つの立ち上がり壁73a同士を繋ぐ連結壁73bとにより断面コ字状に形成されている。また、受け具73には、連結壁73bに下向きの切り欠き74が下部開口で形成されている。
【0075】
本実施形態では、図10に示すように、上側に位置する第1締結具75Aの軸部75bの基端部75cが、上側に位置する受け具73に形成された切り欠き74の上縁部74bに当接するまで、固定アングル71の高さが、調整機構9により調整されている。
【0076】
このようにして、第2実施形態に係る取付構造10Aは、上側に位置する第1締結具75Aの軸部75bの基端部75cが、上側に位置する受け具73に形成された切り欠き74の上縁部74bに当接している。さらに、下側に位置する第1締結具17の軸部17bの基端部17cが、下側に位置する受け具14に形成された切り欠き15の下縁部15bに当接している。
【0077】
このような結果、第1支持部材20は、上下一対の固定アングル12、71で上下から挟み込んだ状態で、下部鋼柱1Aに固定されているので、第1支持部材20の浮き上がりを防止することができる。さらに、上側に位置する第1締結具75Aの基端部75cが、上側の切り欠き74の上縁部74bに当接し、下側に位置する第1締結具17の基端部17cが、下側の切り欠き15の下縁部15bに当接しているので、ロボットアーム80を載置した台車90の移動に拘わらず、第1支持部材20を上下方向に安定して、拘束することができる。この結果、ロボットアーム80による突合せ部分1aの溶接を安定して、良好に実施することができる。
【0078】
(第3実施形態)
つぎに、本発明の第3実施形態に係る取付構造について、図11図12を参照して説明する。第3実施形態の取付構造10Bは、第1実施形態の取付構造10における第1支持部材20を固定する固定ユニット11の固定状態を安定させるための構成として、浮き上がり防止具77を備えている。
【0079】
浮き上がり防止具77は、固定ユニット11を構成する受け具14の外周を周回する形状のリング部材78と、リング部材78の外周側より内周側に向けて、リング部材78の上部において、螺着するネジ体79と、を備えている。なお、本実施形態では、リング部材78は、金属製であり、受け具14の外周を連続して周回しているが、リング部材の剛性を確保することができるのであれば、その一部が切断されていてもよい。ネジ体79は、連結具16の第1締結具(連結ボルト)17の切り欠き15に沿う上方への移動を阻止する機能を有している。浮き上がり防止具77は、固定アングル12を第1締結具(連結ボルト)17で固定する前段階で、受け具14の外周にリング部材78を配置し、下部鋼柱1Aの外面1bと固定アングル12との間に挟まれて装着される。
【0080】
浮き上がり防止具77のリング部材78は、受け具14の2つの立ち上がり壁14aと下部鋼柱1Aとの溶接部の盛り上がりを避けるために、柱側の面に切り取り部78a(図12参照)が形成されている。リング部材78は鋼製角パイプを輪切りにして形成されるもので、正面形状は長四角形状に形成されている。長四角形の上辺にはネジ体79がねじ込まれており、ネジ体79は、リング部材78に対して上下動自在となっている。ネジ体79を下方に向けてねじ込んでいくと、ネジ体79の先端は第1締結具17の頭部17aに当接する。
【0081】
第3実施形態の取付構造10Bでは、浮き上がり防止具77を下部鋼柱1Aと固定アングル12との間に挟んだ状態で、第1締結具17を固定アングル12の貫通孔12a(図12参照)に挿通し、第1締結具17の先端から第2締結具18をねじ込んで固定アングル12を固定する。
【0082】
この状態では、リング部材78は固定アングル12と下部鋼柱1Aの外面1bとの間で、上下動可能に支持されている。そこで、本実施形態では、ネジ体79を回転させ、下降させることで、ネジ体79の先端で第1締結具17の頭部17aを押圧する。
【0083】
取付構造10において、一対の第1支持部材20を固定する固定ユニット11の第1締結具17は、受け具14の上方開口の切り欠き15内に位置するため、第2締結具18のねじ込み状態が緩い場合に上方に移動(浮き上がり)する可能性がある。しかしながら、本実施形態の取付構造10Bでは、浮き上がり防止具77のリング部材78の外周側からネジ体79を締め込んで、ネジ体79の先端で、切り欠き15に収容された第1締結具17の頭部17aを上方から押さえ込むことができる。このようにして、よりシンプルな構造で、切り欠き15に収容された第1締結具17の上方向の移動を防止することができ、第1支持部材20の固定状態が安定する。このようにして、ロボットアーム80による突合せ部分1aの溶接を安定して、良好に実施することができる。
【0084】
なお、前記した第1実施形態の取付構造10では、固定ユニット11を構成する受け具14は上方向に開口する切り欠き15を備えており、第2実施形態の取付構造10Aでは、固定アングル71を固定するための受け具73は、第1実施形態の受け具14を上下反転したものを溶接している。しかしながら、たとえば、図13および図14に示すように、受け具14に形成された切り欠き15が、水平方向に延在するように、受け具14を下部鋼柱1Aに固着してもよい。
【0085】
本実施形態では、切り欠き15の縁部15aのうち、上縁部15dと下縁部15cとが対向するように形成され、2つの受け具14の切り欠き15の開口が水平方向に反対側に向くように、受け具14が固着されている。これにより、切り欠き15に収容された第1締結具17の基端部17cが、上縁部15dと下縁部15eとのそれぞれに対向し、基端部17cが、上縁部15dに当接している。このような結果、第1締結具17を介して、固定アングル12を、受け具14により支持することができる。さらに、第2実施形態のように、第1支持部材20を、上下から固定アングル12、71で挟み込んだり、第2実施形態の如く、リング部材78を用いたりすることなく、よりシンプルな構造で、切り欠き15上縁部15dと下縁部15eにより、第1締結具17の上下方向の移動を拘束することができる。さらに、切り欠き15を有する受け具14を固着すると、下向きに開口する切り欠きのように、切り欠き15に挿入される六角ボルト等の連結具が落下することを防止できる。なお、図13および図14では、2つの受け具14の切り欠き15の開口が水平方向に反対側に向くように、受け具14を固着したが、たとえば、2つの受け具14の切り欠き15の開口が水平方向に向き合いに、受け具14を固着してもよく、これにより、同様の効果を期待することができる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【0087】
例えば、着脱ユニットを構成する受け具と連結具において、連結具の第1締結具は六角ボルトの例を示したが、これに限られるものでなく、四角の頭部を有するボルトや、六角穴を形成した頭部を有するボルト等、他の頭部形状を有する連結具を用いることもできる。
【0088】
さらに、第1実施形態では、固定ユニットを、第1支持部材の下方に設けたが、第2実施形態に示すように、第1支持部材の上方のみに固定ユニットを設けてもよく、その場合には、第3実施形態に示す形態の固定ユニットを設けてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1A:下部鋼柱、1B:上部鋼柱、1a:突合せ部分、1b、1c:外面、10、10A、10B:取付構造、11:固定ユニット、12:固定アングル(固定部材)、13:着脱ユニット、14:受け具、15:切り欠き、16:連結具、17:第1締結具(連結ボルト)、17a:六角頭部(頭部)、17b:軸部、17c:基端部、18:第2締結具(ナット)、20:第1支持部材、30:第2支持部材、40:レール部材、70:固定ユニット、71:固定アングル(固定部材)、72:着脱ユニット、73:受け具、74:切り欠き、75:連結具、75A:第1締結具(連結ボルト)、75B:第2締結具(ナット)、77:浮き上がり防止具、78:リング部材、79:ネジ体、80:ロボットアーム、90:台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14