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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141462
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】乾燥装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A45D29/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047793
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】刑部 文裕
(72)【発明者】
【氏名】原田 栄一
(57)【要約】
【課題】印刷後の爪の乾燥を効率的に行うことのできる乾燥装置及び印刷装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置6が、乾燥対象である爪Tの表面に向って上方向から送風する送風手段としてのファン61と、ファン61の下方に配置されるとともに、ファン61からの風を通すスリット部623が設けられ、爪Tを載置する載置台62と、載置台62の下方に形成され、スリット部623を通った風を逃がす排気空間63が設けられる嵩上げ部としての側部622と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象である爪の表面に向って上方向から送風する送風手段と、
前記送風手段の下方に配置されるとともに、前記送風手段からの風を通すスリット部が設けられ、前記爪を載置する載置台と、
前記載置台の下方に形成され、前記スリット部を通った風を逃がす排気空間が設けられる嵩上げ部と、
を備えることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記送風手段は、乾燥対象である爪に対応する部分以外の少なくとも一部を覆う被覆部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記被覆部は、前記送風手段の送風中心を含む一部を覆うものである、
ことを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記被覆部は、前記爪に対応する手指のうち前記爪以外の部分の少なくとも一部に対応する前記送風手段の部分を覆うものである、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記載置台には、前記爪を配置すべき位置の目安を示す配置指標が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項6】
装置本体を収容する筐体を備え、
筐体の周囲の壁面の少なくとも一部には、前記送風手段により生じた風を通す通風部が設けられている、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項7】
指の爪に印刷を施す印刷手段と、
印刷後の爪を乾燥対象とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の乾燥装置と、
を含むことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置及び印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば指の爪にマニキュアを施す場合、マニキュア液を塗布したのち、これを乾燥させる工程が必要となる。
従来、人の爪等に印刷を行う印刷装置が知られている。このような印刷装置を用いて印刷によってネイルプリントを施す場合でも、印刷後にインク等の液剤を乾燥させる必要がある。
【0003】
この点、例えば特許文献1には、マニキュア液を噴霧するマニキュア液塗装手段と、塗装されたマニキュア液を乾燥させるマニキュア液乾燥手段とを備えた自動マニキュア塗り器の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-287744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インク等の液剤(特許文献1においてマニキュア液)を印刷(塗布)した後、乾燥手段(送風手段)に対する爪の配置の仕方によっては、乾燥手段(送風手段)からの風を効果的に受けることができず、効率よく爪の乾燥を行うことができない。
この点、特許文献1に記載の構成では、必ずしも乾燥を効率的に行うことのできる構成とはなっていなかった。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、印刷後の爪の乾燥を効率的に行うことのできる乾燥装置及び印刷装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の乾燥装置の一態様は、
乾燥対象である爪の表面に向って上方向から送風する送風手段と、
前記送風手段の下方に配置されるとともに、前記送風手段からの風を通すスリット部が設けられ、前記爪を載置する載置台と、
前記載置台の下方に形成され、前記スリット部を通った風を逃がす排気空間が設けられる嵩上げ部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷後の爪の乾燥を効率的に行うことができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る乾燥装置を備える印刷装置の外観構成を示す要部斜視図である。
図2】本実施形態に係る乾燥装置に両手をセットした状態を模式的に示す要部斜視図である。
図3】乾燥装置のファンと載置台に配置された手との位置関係を示す平面図である。
図4】本実施形態における載置台の平面図である。
図5】本実施形態に係る乾燥装置の模式的な側面図である。
図6】本実施形態に係る乾燥装置の載置台に爪が配置された状態を示す模式的な平面図である。
図7】従来の乾燥装置の模式的な側面図である。
図8】従来の乾燥装置の載置台に爪が配置された状態を示す模式的な平面図である。
図9】本実施形態に係る乾燥装置を含む印刷装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図10】乾燥装置の一変形例の要部構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から図9を参照しつつ、本発明に係る本発明に係る乾燥装置及び乾燥装置を備える印刷装置の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
本実施形態の印刷装置は、後述するように、印刷対象である指の爪に印刷を施す印刷手段(実施形態中において「印刷機構」)と、印刷後の爪を乾燥させる乾燥装置と、を含んでいる。
なお、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する印刷装置を例に説明するが、本発明における印刷装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪等を印刷対象としてもよい。
【0012】
図1は、本実施形態における印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向は、図1に示した方向をいうものとする。
【0013】
図1に示すように、印刷装置1は、ほぼ箱形に形成されたケースとしての筐体2を有している。
筐体2の前面側(印刷装置1の正面側、図1において前側)には、開口部21が形成されている。
本実施形態では、筐体2の内部は、後述するように仕切り板15によって上下に区切られており、後述するように仕切り板15の下側は、左右の手Hを並べた状態で配置することのできる乾燥用の空間となっている(図1参考)。このため、開口部21のうち、少なくとも仕切り板15よりも下側の部分(装置底面に近い部分)は、左右の手Hを並べた状態で装置内に挿入することができるように、装置左右方向(印刷装置1の横方向、左右方向、図1においてX方向)のほぼ全体に亘る広い幅を有している。
【0014】
筐体2の上面(天板)には、印刷装置1の操作部22が設けられている。操作部22は、例えば印刷装置1の電源をON/OFFする電源スイッチボタン等の操作ボタンである。操作部22が操作されると、操作に応じた操作信号が制御装置10に出力され、制御装置10が操作信号にしたがった制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。例えば操作部22が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて印刷装置1の電源がON/OFFされる。
【0015】
また筐体2の上面(天板)には、表示部23が設けられている。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお、表示部23の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部22として機能する。
本実施形態では、ユーザが操作部22等から入力・選択したネイルデザインや、各種の案内画面、警告表示画面等が表示部23に表示可能となっている。なお、表示部23に表示される内容はこれに限定されない。
なお筐体2の構成は図示例に限定されない。例えば操作部22、表示部23等の配置は、筐体2の上面(天板)に限定されず、印刷装置1の前面や側面等であってもよい。
【0016】
筐体2の内部には筐体2内を上下にわける仕切り板15等を備える装置本体が収容されている。
仕切り板15における装置左右方向(図1等におけるX方向)のほぼ中央には、印刷を行う際に印刷対象である爪Tに対応する指Uを配置する指配置部3が設けられている。
仕切り板15の下側の空間は印刷後の爪Tを乾燥させる乾燥用の空間となっており、乾燥装置6が配置されている。
本実施形態では、仕切り板15よりも上に指配置部3の開口部31が形成されており、開口部31から指配置部3に指Uを入れて、後述の印刷機構4により爪Tに印刷を行い、印刷後には、図1等に示すように、仕切り板15の下側の乾燥用の空間内に手Hを入れて、乾燥装置6により爪Tの乾燥を行うことができるようになっている。
【0017】
図2は、本実施形態における乾燥装置に両手をセットした状態を模式的に示す要部斜視図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態において、乾燥装置6は、少なくとも送風手段としてのファン61と、載置台62と、を含んでいる。
【0018】
ファン61は、例えば枠体611のほぼ中央部に図示しないモータによって回転駆動するプロペラ(翼)を有する軸流ファンである。乾燥装置6は、ファン61の回転により、枠体611の第1面611a側から風(空気)を吸い込み、逆側から風(空気)を吐き出す。
本実施形態では、図1に示すように、枠体611の第1面611a側が仕切り板15の下面に取り付けられており、ファン61は、上方から下方に向けて、直進性のある風(垂直方向の風)を吐き出すようになっている。なお、ファン61は下向に向けて垂直方向の風を発生させるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
【0019】
図3は、風が吐き出される側(第1面の逆側)からファンを見た平面図である。なお、図3では、乾燥装置6内に配置される手Hの対応位置を、ファン61の下に隠れて実際には見えない部分を仮想線(二点鎖線)として示している。
図3に示すように、本実施形態のファン61は、乾燥対象である爪Tに対応する部分以外の少なくとも一部を覆う被覆部612を有している。
被覆部612は例えば枠体611に設けられており、送風手段であるファン61の送風中心を含む一部を覆っている。
ファン61の特性上、送風中心では吐き出される風量が少ない。被覆部612は、この風量の少ない部分を含む一部を覆うことで、ファン61から風が送風される開口範囲を絞るものである。被覆部612によってファン61の開口範囲を絞ることで、吐き出される風の総量は同じ風量であっても風速等を強く(速く)することができる。
【0020】
また本実施形態では、被覆部612が、爪Tに対応する手Hや指Uのうち爪T以外の部分の少なくとも一部に対応するファン61の部分を覆っている。より具体的には図3に示すように、手Hの中央部に対応する位置から、腕(図示せず)へとつながる手Hの付け根側に対応する位置にかけて被覆部612が設けられている。
ファン61からの風が手Hや指Uに直接当たると、ユーザによっては寒く感じたり、違和感や不快感等を感じる場合がある。この点、爪T以外の部分に対応する少なくとも一部を被覆部612によって塞ぐことで、乾燥対象である爪T以外にはできるだけ風が当たらないようにすることができる。
なお、被覆部612を設ける位置や形状等は図示例に限定されない。また被覆部612を設けることは必須ではない。
【0021】
図4は本実施形態における載置台を示す平面図である。また図5は、本実施形態の乾燥装置の模式的な側面図であり、図6は、本実施形態の乾燥装置の載置台に爪が配置された状態を示す模式的な平面図である。なお、図4及び図6では、乾燥装置6内におけるファン61の対応位置を仮想線(二点鎖線)で示している。
載置台62は、乾燥対象である爪T(爪Tに対応する手H及びその指U)を載置するものであり、図1図2及び図5に示すように、ファン61の下方に配置されている。載置台62は例えば樹脂等で形成されている。なお、載置台62の材料は樹脂に限定されず、載置台62にある程度強度と耐久性を持たせることのできるものであれば、広く適用可能である。
【0022】
本実施形態の載置台62は、爪Tを含む手H(指U)を載せる載置面621と、載置面621の外周縁から下方に垂設された側部622と、を有しており、印刷装置1の底面よりも高い位置に載置面621が配置されるようになっている。
載置面621及び側部622には、ファン61からの風を通すスリット部623が形成されている。図2図4及び図6等において、載置面621に形成されているスリット部623をスリット部623aとし、側部622に形成されているスリット部623をスリット部623bとする。なお、単にスリット部623という場合には、スリット部623a及びスリット部623bの両方を含むものとする。
【0023】
スリット部623は、ファン61からの風を逃がす通風孔の役割を果たすものであり、風が抜けやすい構造であれば、その具体的な形状等は特に限定されない。例えば図示例よりも目の粗い格子状等であってもよい。
また前述のように、本実施形態の載置台62では、載置面621が印刷装置1の底面よりも高い位置に配置されているため、載置台62の載置面621の下方には、空間が形成される。
この空間は、スリット部623(例えば載置面621のスリット部623a)を通った風を逃がす排気空間63として機能する。
排気空間63として機能する空間は、載置台62の載置面621が側部622の高さ分だけ設置面(床面等)よりも高くなることで形成されるものであり、本実施形態では、側部622が載置面621を嵩上げする嵩上げ部として機能する。
排気空間63を設けることで、スリット部623を通った風を対流させずに効率よく排出することができる。本実施形態では側部622にもスリット部623bが設けられているため、排気空間63に排出された風はさらにスリット部623bから外部に排出される。
【0024】
これに対して、図7は、従来の乾燥装置の模式的な側面図であり、図8は、従来の乾燥装置の載置台に爪が配置された状態を示す模式的な平面図である。なお、図8では、仮想線(二点鎖線)でファン61の対応位置を示している。
図7及び図8に示す乾燥装置6の載置台62αは、爪Tに対応する手H及びその指Uを載置する板等であり、スリット部623を有していない。なお、ファン61の構成等は図2等に示す本実施形態のファン61と同様のものとする。図5から図8において、白抜き矢印は垂直方向の風を意味し、黒い矢印は垂直以外の横方向等の風を意味している。また、各矢印の太さや長さは風の強さを意味しており、矢印が長く太いほど風が強い(すなわち、風速が早い、風量が多い等)ことを意味している。
【0025】
本実施形態の構成では、図5に示すように、ファン61による垂直方向の風は、載置台62の載置面621に載せられた手Hの各指Uの爪T表面にほぼ均一に当たっている。また図6に示すように、爪T表面に当たる風のうち垂直以外の方向の風(例えば横風等)はほとんどなく、あってもごく僅かであることが分かる。
なお、図5等において、風の勢いを示す矢印には多少のばらつきがあるが、これは、ファン61の特性として、爪Tが配置される位置によって多少風の強さが異なることに起因している。
【0026】
これに対して、図7及び図8のようなスリット部を備えない載置台62αに爪Tを配置した場合には、図8に示すように、爪T表面に当たる風のうち垂直以外の方向の風(例えば横風等)がかなり強くなり、逆に垂直方向の風が弱く、また爪Tが載置される位置による垂直方向の風の強さのばらつきも大きくなる。
これは、ファン61による上方から下方に向う垂直方向の風が載置台62αに突き当たることで跳ね返り、載置台62αの載置面上で対流、回転することで横風等が発生するためと考えられる。これにより、図8に示すように、載置台62αの載置面上には、水平方向に回転する風の流れが生じ、垂直方向の風を打ち消してしまう。
【0027】
載置台62上の爪Tを乾燥させる場合、横風等を当てるよりも上方から下方に向う垂直方向の風を当てる方が、乾燥効率に優れる。
また、載置台62上の全ての爪Tにできるだけ均一に風が当たるようにした方が乾燥速度のばらつきもなくなり、複数の爪Tを比較的均一な時間で効率よく乾燥させることができる。
この点、本実施形態のように載置台62にスリット部623を設けることで、風の逃げ道のない図7等の構成よりも、図5に示すように、ファン61からの垂直方向の風を、各爪Tにほぼ均一に当て、効率のよい乾燥処理を行うことができる。
【0028】
また図4に示すように、載置台62には、爪Tを配置すべき位置の目安を示す配置指標Mが設けられていることが好ましい。配置指標Mは、各載置台62にそれぞれ片手の5つ分の爪Tに対応して配置される。ファン61には位置によって多少風速等が異なるため、配置指標Mは、こうしたファン61の風速分布に応じて配置されることが好ましい。これにより、載置台62上に配置されたすべての爪Tに対して、ファン61から均一に同等の強さの風を当てることができ、効率的にばらつきのない乾燥を行い、ネイルを高品位に仕上げることができる。
配置指標Mの具体的な態様は特に限定されない。図4では、爪を配置すべき位置に爪型のマーク(配置指標M)を印刷等により設ける例を示している。図示例以外には例えば、配置指標Mとして爪Tを配置すべき場所に凹凸を設けることも考えられる。
また、ファン61に対応する位置や、ファン61の被覆部612に対応する位置等を載置面621等に印刷等により示してもよい(すなわち、例えば図4及び図6において仮想線(二点鎖線)で示した線等を実際に載置面621等に印刷する。)。
【0029】
前述のように、本実施形態では、被覆部612が、ファン61のうち、爪Tに対応する手Hや指Uのうち爪T以外の部分の少なくとも一部に対応する部分を覆うように設けられている。しかし、この被覆部612は、図3に示すようにファン61を下側から仰ぎ見なければその位置を確認することが難しい。
この点、手Hや指Uを配置する載置面621等に爪Tを配置する際の目安となるマーク等(配置指標M)を設けることで、ユーザが被覆部612に対応する部分を避けた、適切な位置に爪Tを配置しやすくなる。
【0030】
なお、乾燥装置6は、乾燥装置6内に配置された手Hの指Uの爪Tを乾燥可能なものであればよく、実施形態において示したファン61を備えるものに限定されない。送風手段は、上方から下方への垂直方向の空気の流れを作り出すことのできるものであれば、他の構成のものでもよい。
また、インクの種類等によっては加熱や冷却によって乾燥速度を上げることができる場合もある。このような場合には、乾燥装置6がファン61等の送風手段に加えて、例えば発熱体(ヒータ)や冷却手段等を適宜含んでもよい。
【0031】
図9は、本実施形態に係る印刷装置の制御構成を示す要部ブロック図である。
仕切り板15よりも上の空間には、図9に示す印刷機構4、撮影部5等が設けられている。
印刷機構4は、印刷対象である爪Tの表面(印刷対象面)に印刷を施すものである。
印刷機構4は、印刷ヘッド41と、印刷ヘッド41を適宜移動させる移動機構等を備えている。
【0032】
本実施形態の印刷ヘッド41は、その下面(仕切り板15の表面と対向する面)にインクを吐出させる吐出口が形成された図示しないインク吐出部を備え、インクを貯留する貯留部(インクカートリッジ)とインク吐出部とが一体に形成されたカートリッジ一体型のヘッドである。
印刷ヘッド41は、インク吐出部から微滴化したインクを印刷対象面に吹き付けて印刷を行うインクジェットヘッドである。
【0033】
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の各色のインク(以下「色インク」という。)を吐出可能となっている。なお、印刷装置1が備える印刷ヘッド41の種類はこれに限定されない。例えばデザインを印刷する前に下地となる液剤を印刷する下地用ヘッド等を備えていてもよい。
なお、印刷ヘッド41の種類や数はここに示した例に限定されない。また、印刷ヘッドはインクジェット方式で印刷を行うものに限定されず、各種方式で印刷(インク等の液剤の塗布)を行うものを含んでもよい。
【0034】
また移動機構は、印刷ヘッド41(印刷ヘッド41がホルダに保持されている場合には印刷ヘッド41を保持するホルダ)を、装置左右方向であるX方向及び装置前後方向であるY方向(図1等にいうX方向、Y方向参照)に移動させるものである。
移動機構は、X方向への移動の際に駆動するX方向移動モータ45、Y方向への移動の際に駆動するY方向移動モータ47等を含んでいる。X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47は、例えばステッピングモータである。
【0035】
また撮影部5は、カメラ51と、光源52とを備えている。
撮影部5は例えば筐体2の天面内側や、仕切り板15上に立設された図示しない支持部材等に取り付けられている。撮影部5の配置は特に限定されないが、例えば装置左右方向(X方向)のほぼ中央部(指配置部3の上方又はその近傍位置等)に配置される。
なお、撮影部5の構成や配置は、図示例に限定されない。
【0036】
カメラ51は、例えば、200万画素以上の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の固体撮影素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラである。また光源52は、例えばLED等で構成される。
本実施形態では、指配置部3に配置された指U及びその爪Tを適宜光源52によって照らしながら撮影部5のカメラ51により撮影し、爪Tを含む指Uの画像(「爪画像」という)を取得する。そして後述するように、この「爪画像」から印刷対象である爪Tの形状(「爪輪郭」)を検出(取得)するようになっている。
【0037】
印刷装置1に搭載される制御装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される制御部11(図9参照)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部12(図9参照)とを備えるコンピュータである。
制御装置10は、例えば筐体2の上面(天板)の内側(下面側)等に配置された図示しない基板等に搭載されている。
【0038】
記憶部12は、印刷装置1を動作させるための各種プログラムやデータ等を記憶している。
具体的には、記憶部12には、印刷処理を行うための印刷制御プログラム、爪の乾燥処理を行うための乾燥制御プログラム等の各種プログラムが格納されており、制御部11がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部11において実行されることによって、印刷装置1の各部が統括制御されるようになっている。
また、記憶部12は、制御部11によって取得された爪輪郭や爪形状に関する各種データ等が記憶される。
なお、記憶部12には、撮影部5によって取得された爪画像等のデータが記憶されてもよいし、その他各種データが記憶されてもよい。
【0039】
制御部11は、機能的に見た場合、例えば表示制御手段、撮影制御手段、爪情報検出手段、印刷データ生成手段、印刷制御手段、乾燥制御手段等として機能する。なお、制御部11の機能はここに例示したものに限定されない。例えば、印刷装置1は、各種端末装置等の外部装置との間で通信を行うための通信部25を有しており、制御部11は、通信制御手段としてこの通信部25の動作を制御し、外部装置との間で通信を行わせることができる。
表示制御手段、撮影制御手段、爪情報検出手段、印刷データ生成手段、印刷制御手段、乾燥制御手段、通信制御手段等としての機能は、制御部11と記憶部12に記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0040】
表示制御手段としての制御部11は、表示部23の表示動作を制御する。
制御部11からの表示指示信号に従って表示部23の表示画面に各種の表示が行われる。
【0041】
撮影制御手段としての制御部11は、撮影部5のカメラ51や光源52を制御して撮影を行わせ、画像を取得する
本実施形態では撮影制御手段としての制御部11は、撮影部5(撮影部5のカメラ51及び光源52)を制御して、指配置部32に載置された爪T(爪Tを含む指U)を撮影させ、爪画像を取得する。
【0042】
爪情報検出手段としての制御部11は、撮影部5に撮影させて取得した爪画像を解析(画像解析、画像処理)することにより爪Tに関する情報(これを「爪情報」という。)を取得する。
具体的には、撮影部5のカメラ51によって取得された爪画像に基づき、指Uの爪Tについての爪情報を検出する。
爪情報検出手段としての制御部11によって取得される爪情報は、例えば、爪Tとそれ以外の部分(指の皮膚部分等)とを分けて爪Tの領域を画する爪輪郭である。
なお、爪情報検出手段としての制御部11によって検出される爪情報は爪輪郭に限定されない。例えば、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(爪の傾斜角度、爪曲率)等を含んでいてもよい。また、カメラ51によって撮影された爪画像等から爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置)を取得できる場合には、爪Tの高さも爪情報に含まれてよい。
【0043】
印刷データ生成手段としての制御部11は、爪情報検出手段としての制御部11によって検出された爪情報としての爪輪郭(爪輪郭の内側領域である爪領域)に所望のデザインを合わせ込む等により印刷データを生成する。
具体的には、制御部11は、ユーザによって選択されたデザイン(ネイルデザイン)の画像データを切り出し、適宜拡大縮小、配置の調整等を行うとともに、爪Tの画像から検出された爪輪郭内にフィッティングする。
なお、爪情報検出手段として爪Tの曲率等を取得した場合には、制御部11は、この爪の曲率等に基づいて、印刷データに適宜曲面補正を行ってもよい。曲面補正を行った場合には、より爪Tの形状に合った印刷データを生成することができる。
【0044】
印刷制御手段としての制御部11は、生成された印刷データにしたがって爪Tに印刷を施すように印刷機構4の各部を制御する。
具体的には、制御部11は、印刷データに基づいて印刷機構4に制御信号を出力し、爪Tに対してこの印刷データにしたがった印刷を施すように印刷機構4のX方向移動モータ45、Y方向移動モータ47、及び印刷ヘッド41等を制御する。
【0045】
また乾燥制御手段としての制御部11は、乾燥装置6の動作を制御するものである。
具体的には、乾燥装置6のファン61の動作を制御して上方から下方に向う垂直方向の風を発生させる。なお、乾燥装置6がファン61等の送風手段の他、発熱体(ヒータ)や冷却手段等を含んでいる場合には、制御部11はこれらについても適宜制御を行う。
【0046】
次に、本実施形態における乾燥装置6及び乾燥装置6を含む印刷装置1の作用・効果について説明する。
本実施形態において印刷装置1の操作部22(操作ボタン)等を操作して電源を入れ、印刷装置1を起動させると、爪Tに印刷したいデザインと印刷を施す爪Tに対する指Uを表示部23の図示しない選択画面等から選択・設定するとともに、撮影部5によって取得された爪画像から印刷領域である爪領域を認識する。そして、印刷機構により、認識された爪領域に所望のデザインを印刷させる。
【0047】
印刷が完了すると、印刷後の爪Tを乾燥装置6内に配置してインク等が塗布されている爪Tの乾燥を行う。なお、本実施形態では、図1及び図2において、両手をまとめて乾燥装置6内に配置する場合を例示しているが、乾燥装置6に配置する爪Tの数は特に限定されない。例えば片手ずつ乾燥装置6内に配置して爪Tの乾燥を行ってもよいし、指Uを1本ずつ乾燥装置6内に配置して爪Tの乾燥処理を行ってもよい。
具体的には、載置台62の載置面621上に乾燥を行う爪Tに対応する指Uを配置する。このとき、ユーザは配置指標Mに応じて爪Tを配置する。そして適切な位置に爪Tを配置した状態で送風手段であるファン61のスイッチをONとする。乾燥装置6のスイッチのON/OFFは印刷装置1の制御部11による動作制御による。なお、乾燥装置6のON/OFFはこれに限定されず、ユーザが手動で乾燥装置6のON/OFFを切り替える機械的なスイッチが設けられていてもよい。
【0048】
乾燥装置6がONとなると、ファン61が回転し、上方から下方に向う風が吐き出される。吐き出された風は、載置台62上の爪Tの表面に当たる。また、爪Tに当たらずに直接載置台62に向う風は、載置面621等に設けられたスリット部623から載置面621の裏側へと抜けていく。スリット部623から載置面621の裏側へと抜けた風は、排気空間63に流れて、側部622のスリット部623b等から速やかに外部に排出される。
【0049】
ファン61からの風が載置台62上で対流し渦を形成すると、垂直方向の風の多くが垂直以外の横風等に変化する。爪Tに当たる風が横風等である場合、垂直方向の風と比較して効果的な乾燥を行うことができない。さらに、乾いていないインク等が横風等を受けると、本来の位置に定着する前にインクが風で流れて滲みや色むら等を生じる原因ともなる。
本実施形態では、ファン61からの風が載置面621上で横風等に変化する前に、スリット部623を介して排気空間63へと逃がすため、爪Tに吹き付ける風のほとんどが垂直方向の風となり、爪Tの表面を効果的に乾燥させる。
【0050】
以上のように、本実施形態の乾燥装置6は、乾燥対象である爪Tに対応する部分以外の少なくとも一部を覆う被覆部612を有し、爪Tの表面に向って上方向から送風する送風手段としてのファン61と、ファン61の下方に配置されるとともに、ファン61からの風を通すスリット部623が設けられ、爪Tを載置する載置台62と、載置台62の下方に形成され、スリット部623を通った風を逃がす排気空間63と、を備えている。
このようにファン61の一部を覆う被覆部612を設けることで、ファン61の開口範囲を絞り、塞いでいない部分からの風の強さを強めることができる。
これにより、爪Tの表面にファン61から強い風を当てることができる。また、ファン61からの風が上方から下方に垂直方向に向かうように、風の流れを作り、垂直方向以外の向きの風(横風等)が発生するのを抑えて、載置台62の上に載置された爪Tに対して垂直方向の風が多く当たるようにすることができる。
このため、爪Tの表面を効果的・効率的に乾燥させることができるとともに、横風等の影響により乾燥前のインクが流れて滲みや色むら等を生じるのを防ぐことができる。
また、両手の爪T等、複数の指Uの爪Tを配置した場合にもすべての爪Tに対して均一に風を当てることができ、爪Tごとの仕上がりのばらつきを抑えて、全ての爪Tの乾燥を同一品位に短時間で行うことができる。
【0051】
また本実施形態の被覆部612は、ファン61の送風中心を含む一部を覆うものである。
ファン61の送風中心は比較的吐き出すことのできる風量が少ない部分であるところ、このような、風量の期待できない部分を塞ぐことで開口範囲を絞り、塞いでいない部分からの風の強さを強めることができる。
【0052】
また本実施形態の被覆部612は、爪Tに対応する手指のうち爪T以外の部分の少なくとも一部に対応するファン61の部分を覆うものである。
これにより、開口範囲を絞り、塞いでいない部分からの風の強さを強めることができる。
また、爪T以外の部分(例えば手Hの甲の部分や指Uの部分)に当たる風を低減させて、乾燥装置を使用するユーザが寒さを感じたり、違和感や不快感等を感じるのを防ぐことができる。
【0053】
また本実施形態の載置台62には、爪Tを配置すべき位置の目安を示す配置指標Mが設けられている。
これにより、ユーザは爪Tを配置する位置に迷わずに済み、適切に乾燥を行うことのできる場所で爪Tの乾燥を行うことができる。
【0054】
また本実施形態の印刷装置1は、上記のような乾燥装置6を、指Uの爪Tに印刷を施す印刷手段としての印刷機構4ととともに含んでいる。
これにより、印刷機構4によって印刷を行ったのちは、印刷後の爪Tを含む手Hや指Uを乾燥装置6内の載置台62に載せて乾燥装置6をONとするだけで、インク等が塗布された爪Tを効果的に乾燥させることができる。
このため、ネイルデザインの印刷から仕上げまでの工程を1台の装置で容易に完結させることができる。
【0055】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0056】
例えば、本実施形態では、図1及び図2に示すように、乾燥装置6が、左右の手Hの爪Tの乾燥に対応するように、ファン61、載置台62ともに左右一対備えている場合を例示したが、乾燥装置6が備えるファン61及び載置台62は、1つずつであってもよい。この場合ユーザは、片方の手Hずつ乾燥装置6内に配置して、片手ずつ爪Tの乾燥を行う。
乾燥装置6を1つしか備えない場合には、両手を装置内に配置する構成と比較して、幅方向(X方向)にコンパクトな装置構成を実現することができる。なお、ファン61や載置台62の構成はほぼ左右対称であるため、1つのファン61及び載置台62で左右いずれの手Hの爪Tにも対応することができる。
また、左右両手を装置内に配置できる構成としてファン61は左右に2つ設けるとした場合にも、載置台62は、装置の幅方向(図1等のX方向)に広い、一つながりの台としてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、印刷装置1が乾燥装置6を含んでいる場合を例示したが、乾燥装置6は印刷装置1と一体となったものに限定されず、乾燥装置単体として構成されているものであってもよい。
【0058】
乾燥装置を単体の装置として構成した場合の一例を図10に示す。
図10に示す例では、乾燥装置60は、装置本体を収容するケースとして、ほぼ箱状の筐体600を備え、ファン61及び載置台62cがこの筐体600内に配置されている。なお、図10では、内部の構成を見やすくするため、筐体600を二点鎖線で示し、筐体600内部を透過させて図示している。
【0059】
図10に示す例において、ファン61はその第1面側が筐体600の天面内側等に取り付けられている。ファンの具体的な構成は前述の実施形態で示したものであるので、同様の箇所には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0060】
載置台62cは、ファン61の下方に配置され、ファン61に対向する面である載置面621上には、乾燥対象である爪T(爪Tに対応する手H及びその指U)が載置される。
載置面621にはファン61からの風を逃がす通風孔の役割を果たすスリット部623(スリット部623c)が形成されている。なお、スリット部623の形状等が特に限定されないことは図4等に示すスリット部623(スリット部623a)と同様である。
図示はしないが、載置面621上には、印刷等で配置指標が設けられることが好ましい。
【0061】
図10に示す例では、載置台62cが板状に形成されており、載置面621として爪T等を配置する部分の両側(装置幅方向の両側、図10においてX方向の両側)には、係止板部624が設けられている。筐体600における装置幅方向の両側の壁部601には、係止板部624をスライドさせて嵌め込むことができるガイド溝部603が装置の手前側から奥行き方向にかけて高さの異なる複数段階に形成されている。
【0062】
手Hの大きさや厚みはユーザごとに異なることから、手Hの厚みが厚い人と薄い人とでは、載置面621に載置された手H(手Hの指Uの爪T)とファン61との距離が異なる。ファン61との距離が遠すぎると十分な風を受けることができず、効率のよい乾燥を行うことができない。他方でファン61との距離が近すぎると強すぎる風によって乾燥前のインクが流れたり滲んだりしてしまうおそれがある。さらに、装置内に手Hを出し入れする際に誤ってファン61等に爪Tが触れてインクが剥がれる等の失敗の原因にもなる。
この点、載置台62cに係止板部624を設け、壁部601に高さの異なる複数段階のガイド溝部603を設けて所望の高さのガイド溝部603に係止板部624を係止することができるように構成することで、ユーザが自分の手Hに合った高さ位置で爪Tの乾燥を行うことができる。
【0063】
なお、ガイド溝部603は最も低い位置でも装置を設置する床面(設置面)よりも高い位置に係止板部624及び載置台62cを保持する構成となっている。これにより、いずれの高さのガイド溝部603に係止板部624を係止させた場合でも、載置台62cの下方に排気空間64を確保することができる。
乾燥装置60がこのような構成の場合、係止板部624及び載置台62cを保持する筐体600の両側の壁部601が、係止板部624及び載置台62cを嵩上げして排気空間64として機能する空間を載置台62cの下方に創出する嵩上げ部として機能する。
また、乾燥装置60を単体の装置として構成する場合に、載置台62cをガイド溝部603に係止板部624を係止させることで筐体600に保持させることは必須ではない。このような構成をとらず、前述の図1及び図2等に示したように、載置面621の外周縁から側部622が垂設されることで載置面621の下方に排気空間63を確保する構成としてもよい。
逆に印刷装置1内に乾燥装置6を組み込む場合に、載置面の高さ調整が可能な構成を採用してもよい。
【0064】
また、図10に示すように、筐体600の周囲の壁面である壁部601の少なくとも一部に、ファン61により生じた風を通す通風部602を設けてもよい。
載置台62cにスリット部623を設けるのみならず、筐体600にも風の通り道(逃げ道)を設けることにより、ファン61からの風の流れをより円滑にすることができ、装置内部で風が対流し渦を巻くような現象の発生をさらに抑えることが期待できる。
これにより、爪Tに当たる風から、できる限り垂直以外の方向からの風を排除することができ、ファン61からの垂直方向の強い風がより効果的に爪T表面に当たり、効率よく爪Tを乾燥させることができる。
なお、通風部602は風を通すことのできるものであればよく、通風部602が設けられる位置や大きさ、形状等は特に限定されない。図10では筐体600の両側の壁部601に通風部602を設ける場合を図示したが、通風部602は例えば筐体600の背面側の壁部601に設けられてもよい。
さらに、筐体にファン61により生じた風を通す通風部602を設けることは、乾燥装置60を単体の装置として構成する場合に限定されない。図1に示すように印刷装置1内に乾燥装置6を組み込む場合でも、例えば乾燥装置6が配置される、仕切り板15よりも下方の部分において、筐体2の一部にスリット部や通風部を設けて、ファン61により生じた風が筐体2から抜けるように構成してもよい。
【0065】
また、本実施形態では、印刷装置1が単体で印刷処理作及び乾燥処理を完結することができるように構成されたものを例示したが、印刷装置1はここに示すようなものに限定されず、例えばスマートフォン等の端末装置等、各種の外部機器と連携して印刷処理等を行うものであってもよい。
印刷装置1が外部機器と連携して各種処理を行う場合には、例えば、爪画像からの爪情報の検出処理や印刷データの生成処理等が、外部機器(例えばスマートフォン等である端末装置)において行われる構成としてもよい。
この場合には、撮影部5のカメラ51により爪Tが撮影され爪画像(指Uを含む爪Tの画像)が取得されると、撮影部5によって取得された爪画像は、通信部25を介して外部機器に送られる。そして外部機器の制御装置によって爪情報の検出や印刷データの生成が行われて、生成された印刷データが印刷装置1に送られるようになっていてもよい。
この場合、印刷装置1は印刷機構4、撮影部5、乾燥装置6のみを備えていればよく、印刷装置1の構成を簡易なものとすることができる。
【0066】
さらに、本実施形態では、印刷装置1に操作部22や表示部23が設けられている場合を例示したが、印刷装置1が外部機器と連携して各種処理を行う場合には、外部機器の操作部や表示部がこれらに代わって各種入力操作を行ったり各種画面を表示させてもよく、この場合には印刷装置1が操作部22や表示部23を備えなくてもよい。
【0067】
また、爪Tに印刷するデザイン(ネイルデザイン)の取得の仕方は特に限定されない。
例えば外部機器に保存されているデータを、印刷装置1が通信部25を介して取得してもよい。
また、ネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等にネイルデザインの画像データを記憶させておき、サーバ装置等にアクセスしてネイルデザインのデータを参照可能に構成してもよい。
このようにすることで、記憶部12の容量等を増やすことなく、印刷可能なネイルデザインのバリエーションを増やすことができる。
【0068】
また、本実施形態では、印刷装置1の印刷ヘッド41として、インクジェット方式の印刷ヘッド41を備える構成としたが、印刷ヘッド41の構成はこれに限定されない。
シリンジ型のヘッドやペン型のヘッド等、インクジェット方式の印刷ヘッド41とは異なる構成のものを備えてもよい。
【0069】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
乾燥対象である爪の表面に向って上方向から送風する送風手段と、
前記送風手段の下方に配置されるとともに、前記送風手段からの風を通すスリット部が設けられ、前記爪を載置する載置台と、
前記載置台の下方に形成され、前記スリット部を通った風を逃がす排気空間が設けられる嵩上げ部と、
を備えることを特徴とする乾燥装置。
<請求項2>
前記送風手段は、乾燥対象である爪に対応する部分以外の少なくとも一部を覆う被覆部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
<請求項3>
前記被覆部は、前記送風手段の送風中心を含む一部を覆うものである、
ことを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
<請求項4>
前記被覆部は、前記爪に対応する手指のうち前記爪以外の部分の少なくとも一部に対応する前記送風手段の部分を覆うものである、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の乾燥装置。
<請求項5>
前記載置台には、前記爪を配置すべき位置の目安を示す配置指標が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の乾燥装置。
<請求項6>
装置本体を収容する筐体を備え、
筐体の周囲の壁面の少なくとも一部には、前記送風手段により生じた風を通す通風部が設けられている、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の乾燥装置。
<請求項7>
指の爪に印刷を施す印刷手段と、
印刷後の爪を乾燥対象とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の乾燥装置と、
を含むことを特徴とする印刷装置。
【符号の説明】
【0070】
1 印刷装置
2 筐体
4 印刷機構
41 印刷ヘッド
5 撮影部
6 乾燥装置
61 ファン(送風手段)
612 被覆部
62 載置台
623 スリット部
63 排気空間
11 制御部
12 記憶部
M 配置指標
T 爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10