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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141477
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】建設機械の冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F01P 7/02 20060101AFI20230928BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20230928BHJP
   F01P 5/02 20060101ALI20230928BHJP
   F01P 7/04 20060101ALI20230928BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20230928BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
F01P7/02 Z
F01P3/20 L
F01P5/02 H
F01P7/04 J
F01P11/10 C
F01P11/10 K
B60K11/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047815
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】小泉 博史
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AA10
3D038AB09
3D038AC11
3D038AC14
3D038AC17
3D038AC23
(57)【要約】
【課題】ファンモータの負荷を増大させることなく、迅速に冷却ファンを停止・逆転できる建設機械の冷却システムを提供する。
【解決手段】隔壁21を介してラジエータ通風路17a及びオイルクーラ通風路17bを隣接させ、隔壁21を開閉する可動板22aを設けて固定装置31,33により閉鎖位置に保持した上で、各通風路17a,17b内のラジエータ18a及びオイルクーラ18bを冷却ファン19a,19bで冷却する。例えば冷却ファン19aを逆転させる際には、固定装置31,33を解除して冷却ファン19aの駆動を中止する。通風路17a,17bの間に生じた差圧により可動板22aが開放され、ラジエータ通風路17aとオイルクーラ通風路17bとの間を循環する気流Air3,Air1,Air4,Air5が生起され、気流Air5により冷却ファン19aの回転が妨げられて停止すると、これを逆方向に駆動する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が車体外部とそれぞれ連通し、他端が機械室とそれぞれ連通し、隔壁により区画されて互いに隣接する第1及び第2の通風路と、
前記第1及び第2の通風路内にそれぞれ配設された第1及び第2の熱交換器と、
前記第1及び第2の通風路内にそれぞれ配設されて第1及び第2のファンモータにより個別に回転駆動され、正転時には、前記第1及び第2の熱交換器を経て前記機械室へと流れる気流を生起し、逆転時には、前記機械室から前記第1及び第2の熱交換器へと流れる気流を生起する第1及び第2の冷却ファンと、
前記第1及び第2のファンモータをそれぞれ駆動制御して、前記第1及び第2の冷却ファンを任意に正転または逆転させるモータ制御部を有するコントローラと、
を備えた建設機械の冷却システムにおいて、
前記隔壁に設けられ、前記隔壁を閉鎖する閉鎖位置と前記隔壁を開放する開放位置との間で切換可能な可動板をさらに備え、
前記コントローラは、前記第1及び第2の冷却ファンの正転中において何れか一方の冷却ファンを逆転させる逆転条件が成立すると、前記可動板を開放する可動板制御部をさらに備えたことを特徴とする建設機械の冷却システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記一方の冷却ファンを逆転させる逆転条件が成立すると、前記可動板制御部により前記可動板を開放位置に切り換えると共に、前記モータ制御部により前記一方の冷却ファンの駆動を中止し、前記一方の冷却ファンが回転低下すると、前記モータ制御部により前記一方の冷却ファンを逆方向に駆動し、前記一方の冷却ファンが逆転して回転上昇すると、前記可動板制御部により前記可動板を閉鎖位置に切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械の冷却システム。
【請求項3】
前記一方の冷却ファンの回転速度を検出する回転速度検出部をさらに備え、
前記コントローラは、前記回転速度検出部により検出された前記一方の冷却ファンの回転速度が0まで低下すると、前記モータ制御部により前記一方の冷却ファンを逆方向に駆動する
ことを特徴とする請求項2に記載の建設機械の冷却システム。
【請求項4】
前記コントローラは、逆転させた前記一方の冷却ファンを正転に戻す場合には、前記モータ制御部により他方の冷却ファンの回転速度を低下させる
ことを特徴とする請求項2または3に記載の建設機械の冷却システム。
【請求項5】
前記可動板は、軸線を中心として前記閉鎖位置と前記開放位置との間で回動可能に支持され、前記閉鎖位置では固定装置の磁力により吸着される一方、前記固定装置の磁力から解放されると、前記第1の通風路と前記第2の通風路との間の差圧により前記開放位置へと回動する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の建設機械の冷却システム。
【請求項6】
前記可動板は、軸線を中心として前記閉鎖位置と前記開放位置との間で回動可能に支持され、前記軸線上に配設された開閉モータの出力軸が連結されて、前記開閉モータの正逆回転に応じて前記閉鎖位置と前記開放位置との間で回動する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の建設機械の冷却システム。
【請求項7】
前記可動板は、ガイド部材に案内されて前記閉鎖位置と前記開放位置との間でスライド可能とされ、一側に設けられたラックに開閉モータのピニオンが噛合して、前記ラック及び前記ピニオンを介して前記開閉モータの正逆回転に応じて前記閉鎖位置と前記開放位置との間でスライドする
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の建設機械の冷却システム。
【請求項8】
前記コントローラの可動板制御部は、前記一方の冷却ファンを逆転させる逆転条件が成立すると、前記固定装置の磁力を解除し、前記一方の冷却ファンが逆転して回転上昇すると、前記固定装置に磁力を発生させる
ことを特徴とする請求項5に記載の建設機械の冷却システム。
【請求項9】
前記コントローラの可動板制御部は、前記一方の冷却ファンを逆転させる逆転条件が成立すると、前記開閉モータを作動させて前記可動板を開放位置に切り換え、前記一方の冷却ファンが逆転して回転上昇すると、前記開閉モータを作動させて前記可動板を閉鎖位置に切り換える
ことを特徴とする請求項6または7に記載の建設機械の冷却システム。
【請求項10】
前記機械室には、前記建設機械の動力源として機能するエンジンが配設され、
前記第1及び第2の冷却ファンの正転時に、前記第1及び第2の通風路を経た気流により前記エンジンが冷却される
ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の建設機械の冷却システム。
【請求項11】
前記第1及び第2の冷却ファンの並設方向において、前記各冷却ファンの軸線が前記エンジンの領域内に位置している
ことを特徴とする請求項10に記載の建設機械の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の建設機械の冷却システムとして、例えば特許文献1には、エンジン及び排気浄化装置が設置された機器収容室に面するように複数の熱交換器を配設して、それぞれ冷却ファンを設けた熱交換装置が開示されている。各熱交換器を流通する内部流体の温度に基づき個別に冷却ファンの回転速度を制御する一方、内部流体の温度が低い熱交換器に対しては冷却ファンを逆転させ、排気浄化装置により暖められた空気を熱交換器に流通させて昇温を図っている。
【0003】
一方、特許文献2には、電子機器を冷却するファンを備えた冷却装置が開示されている。電子機器の保守点検等のために冷却ファンを停止させる際には、電源端子を短絡させてモータを発電機として作動させ、これによりブレーキ力を発生させて迅速な冷却ファンの停止を図っている。
【0004】
そこで、特許文献1の建設機械において冷却ファンを逆転させるときに、特許文献2の技術のように、冷却ファンを駆動するファンモータの電源端子を短絡させて、迅速に停止・逆転させることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6723810号公報
【特許文献2】特開2002-119078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の技術は、冷却ファンの回転エネルギを電流に変換してブレーキ力を発生させる原理であるため、ファンモータが発熱して寿命が短くなるという弊害が生じる。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ファンモータの負荷を増大させることなく、迅速に冷却ファンを停止・逆転させることができる建設機械の冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の建設機械の冷却システムは、一端が車体外部とそれぞれ連通し、他端が機械室とそれぞれ連通し、隔壁により区画されて互いに隣接する第1及び第2の通風路と、前記第1及び第2の通風路内にそれぞれ配設された第1及び第2の熱交換器と、前記第1及び第2の通風路内にそれぞれ配設されて第1及び第2のファンモータにより個別に回転駆動され、正転時には、前記第1及び第2の熱交換器を経て前記機械室へと流れる気流を生起し、逆転時には、前記機械室から前記第1及び第2の熱交換器へと流れる気流を生起する第1及び第2の冷却ファンと、前記第1及び第2のファンモータをそれぞれ駆動制御して、前記第1及び第2の冷却ファンを任意に正転または逆転させるモータ制御部を有するコントローラと、を備えた建設機械の冷却システムにおいて、前記隔壁に設けられ、前記隔壁を閉鎖する閉鎖位置と前記隔壁を開放する開放位置との間で切換可能な可動板をさらに備え、前記コントローラは、前記第1及び第2の冷却ファンの正転中において何れか一方の冷却ファンを逆転させる逆転条件が成立すると、前記可動板を開放する可動板制御部をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の建設機械の冷却システムによれば、ファンモータの負荷を増大させることなく、迅速に冷却ファンを停止・逆転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の冷却システムが適用された実施形態の油圧ショベルを示す側面図である。
図2】機械室内に搭載された冷却システムの全体構成を示す平面図である。
図3】隔壁に設けられた可動板を示す斜視図である。
図4】可動板を閉鎖状態で固定するための固定装置を示す平断面図である。
図5】コントローラが実行するファン逆転ルーチンを示すフローチャートである。
図6】第1の冷却ファンを逆転させる前の作動状態を示す説明図である。
図7】第1の冷却ファンの駆動を中止して第1の可動板が開放されたときの説明図である。
図8】第1の冷却ファンの逆転を開始したときの説明図である。
図9】第1の冷却ファンの逆転が完了して第1の可動板を閉鎖位置に切り換えたときの説明図である。
図10】モータ駆動により回動して開閉される別例1の第1の可動板を示す斜視図である。
図11】モータ駆動によりスライドして開閉される別例2の第1の可動板を示す斜視図である。
図12図11のXII-XII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を油圧ショベルの冷却システムに具体化した一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の油圧ショベルを示す側面図であり、まず、同図に基づき油圧ショベルの概略構成を説明する。なお、以下の説明では、油圧ショベルに搭乗したオペレータを主体として前後、左右、上下方向を表現する。
【0012】
油圧ショベル1の下部走行体2には左右一対のクローラ3が備えられ、クローラ3は図示しない走行用油圧モータにより駆動されて油圧ショベル1を走行させる。下部走行体2上には上部旋回体4が設けられ、上部旋回体4は図示しない旋回用油圧モータにより駆動されて旋回する。上部旋回体4の前部には多関節型の作業フロント5が設けられ、作業フロント5はブーム6、アーム7、及びバケット8から構成されている。ブーム6はブームシリンダ6aにより角度変更され、アーム7はアームシリンダ7aにより角度変更され、バケット8はバケットシリンダ8aにより角度変更される。
【0013】
上部旋回体4のフレーム9上の前部にはオペレータが搭乗する運転室10が設けられ、フレーム9上の運転室10の後側には、燃料タンク11、機械室12及びカウンタウエイト13等が設けられている。図示はしないが、運転室10にはオペレータにより運転操作される各種操作装置が設けられ、機械室12内には、油圧ショベル1の動力源として機能するエンジン14(図2に示す)が配設されている。図示はしないが、エンジン14により油圧ポンプが駆動され、吐出された作動油が操作装置の操作に応じて油圧回路により切り換えられて、上記した走行用或いは旋回用油圧モータや各シリンダ6a~8a等の各油圧アクチュエータに適宜供給される。これにより、油圧ショベル1の走行、上部旋回体4の旋回、作業フロント5の作動等が行われる。
【0014】
図2は、機械室12内に搭載された冷却システムの全体構成を示す平面図である。
機械室12は、上部旋回体4の左側壁4aに面して画成され、機械室12内の右側にはエンジン14が搭載され、左側にはエンジン14を冷却するための冷却システム16が搭載されている。全体として冷却システム16は、上部旋回体4の左側壁4aの外部(以下、単に車体外部と称する)と機械室12とを連通させる3本の通風路17a~17cと、各通風路17a~17c内にそれぞれ配設された熱交換器18a~18c、冷却ファン19a~19c及びファンモータ20a~20cと、隣接する通風路17a~17cを区画する一対の隔壁21にそれぞれ設けられた可動板22と、冷却システム16を制御するコントローラ23とから構成されている。
【0015】
各通風路17a~17cは前後方向に並設され、上記した隔壁21により区画された状態で互いに隣接している。各通風路17a~17cの左端は上部旋回体4の左側壁4aに開口し、それぞれの開口箇所に熱交換器18a~18cが配設されている。
【0016】
最も前側の通風路17a内には熱交換器としてラジエータ18aが配設されているため、以下、ラジエータ通風路17aと称し、その内部の冷却ファン19a及びファンモータ20aも「ラジエータ」を付して区別する。中間の通風路17b内には熱交換器としてオイルクーラ18bが配設されているため、以下、オイルクーラ通風路17bと称し、その内部の冷却ファン19b及びファンモータ20bも「オイルクーラ」を付して区別する。最も後側の通風路17c内には熱交換器としてインタクーラ18cが配設されているため、以下、インタクーラ通風路17cと称し、その内部の冷却ファン19c及びファンモータ20cも「インタクーラ」を付して区別する。
【0017】
ラジエータ18aにはエンジン14の冷却回路が接続され、その内部にエンジン冷却水が流通する。オイルクーラ18bにはエンジン14の潤滑回路が接続され、その内部に潤滑油が流通する。インタクーラ18cにはエンジン14の吸気回路が接続され、その内部には吸入空気が流通する。これらの熱交換器18a~18cの内部を流通する冷却水、潤滑油、吸入空気を、以下の説明では内部流体と総称する場合がある。
【0018】
図3は、隔壁21に設けられた可動板22を示す斜視図、図4は、可動板22を閉鎖状態で固定するための固定装置を示す平断面図である。
図2~4に示すように、各可動板22は、それぞれ固定板24と共に隔壁21を構成し、隔壁21の右側半分が固定板24により形成され、左側半分が可動板22により形成されている。各隔壁21の固定板24は、隣接する通風路17a~17cの間で位置が変位しないように固定され、各隔壁21の可動板22は、左端の上下3箇所に設けられたヒンジ25の軸線Lhを中心として回動可能に支持されている。詳細は後述するが、通常時の可動板22は隔壁21を閉鎖する閉鎖位置に保たれ、冷却ファン19a~19cを逆転させる際には、隔壁21を開放する開放位置に切り換えられる。なお、可動板22は隣接する通風路17a~17cの間に生じた差圧で開放されるため、その開放位置(回動角度)は差圧の大きさに応じて変化する。
【0019】
また、各通風路17a~17cの右端は機械室12内に開口してエンジン14と相対向し、それぞれの開口箇所に冷却ファン19a~19c及びファンモータ20a~20cが配設されている。各ファンモータ20a~20cにより対応する冷却ファン19a~19cが個別に回転駆動され、各冷却ファン19a~19cの正転時には、各通風路17a~17c内に、車体外部から熱交換器18a~18cを経て機械室12へと流れる気流Air1が生起される。また、各冷却ファン19a~19cの逆転時には、各通風路17a~17c内に、機械室12から熱交換器18a~18cを経て車体外部へと流れる気流Air2(図8,9に示す)が生起される。各冷却ファン19a~19cには、回転速度を検出する回転速度センサ26(本発明の「回転速度検出部」に相当)が付設されている。なお、各冷却ファン19a~19cの領域を除いて、機械室12内の各通風路17a~17cの開口箇所はシュラウド27により閉鎖されている。
【0020】
特に図2に示す平面視において、冷却システム16とエンジン14との位置関係は以下のように設定されている。まず、エンジン14の前端に対してラジエータ冷却ファン19aの軸線Lfは若干後方に位置し、エンジン14の後端に対してインタクーラ冷却ファン19cの軸線Lfは若干前方に位置している。結果として、全ての冷却ファン19a~19cの軸線Lfはエンジン14の前後方向(本発明の「冷却ファンの並設方向」に相当)の領域内に位置しているため、各冷却ファン19a~19cの正転時には、生起された気流Air1,Air2の大部分がエンジン14に衝突する。また、各通風路17a~17cのシュラウド27とエンジン14とは左右方向に離間し、互いの間に前後方向に延びる空間を形成しており、以下に述べるように、この空間が循環通風路28として機能する。
【0021】
次いで、各隔壁21の可動板22の詳細を図3,4に基づき説明する。以下の説明では、主としてラジエータ通風路17aとオイルクーラ通風路17bとの間の隔壁21の可動板22(以下、第1の可動板22aと称する)について述べるが、他方の可動板22(以下、第2の可動板22bと称する)についても同一構成であり、その動作も共通する。
【0022】
第1の可動板22aは、正転中のラジエータ冷却ファン19aを逆転させる場合を想定して設けられ、ヒンジ25を中心として閉鎖位置からオイルクーラ通風路17b側に回動して開放されるようになっている。ラジエータ通風路17a内において、固定板24の左端の上下3箇所にはブラケット30を介して先端固定装置31が支持されている。またラジエータ通風路17a内において、第1の可動板22aの左端(ヒンジ25側)の上下2箇所にはブラケット32を介して基端固定装置33が支持されている。
【0023】
先端及び基端固定装置31,33は、それぞれ永久磁石31a,33aの周囲にコイル31b,33bを巻回してなり、第1の可動板22aが閉鎖位置に回動すると、その一側面が各固定装置31,33の永久磁石31a,33aの端部にそれぞれ当接する。各固定装置31,33のコイル31b,33bの非通電時には、永久磁石31a,33aに磁界が形成されて磁力を発生し、コイル31b,33bの通電時には、永久磁石31a,33aの磁界が妨げられて磁力が解除される。
【0024】
従って、各固定装置31,33のコイル31b,33bの非通電時において第1の可動板22aが閉鎖位置まで回動すると、金属製の第1の可動板22aは各固定装置31,33のコイル31b,33bに吸着されて閉鎖位置に保たれる。また、ヒンジ25に近接した基端固定装置33の磁力は第1の可動板22aが開放位置にあるときでも作用し、開放位置の第1の可動板22aを閉鎖位置へと回動させる。一方、各固定装置31,33のコイル31b,33bの通電時には、第1の可動板22aは磁力から解放されて自由に回動可能となり、後述するようにラジエータ通風路17aとオイルクーラ通風路17bとの差圧を受けて開放位置へと回動する。
【0025】
なお、第2の可動板22bは、オイルクーラ冷却ファン19bを逆転させる場合を想定して、インタクーラ通風路17c側に回動して開放されるようになっている。このため第2の可動板22bの各固定装置31,33は、オイルクーラ通風路17b内に配設されて上記と同様に動作する。
【0026】
図2に示すようにコントローラ23は、モータ制御部23a及び可動板制御部23bを有する。
コントローラ23には、各回転速度センサ26により検出された冷却ファン19a~19cの回転速度、及びエンジン14の冷却水温、油温、吸気温等の各種検出情報が入力される。それらに基づきコントローラ23は、運転中のエンジン14の冷却水温、油温、吸気温等を適温に保つべく、各冷却ファン19a~19cの正転時の目標回転速度を設定する。
【0027】
またコントローラ23は、熱交換器18a~18cに付着したゴミの除去や内部流体の昇温を要する場合には、該当する熱交換器18a~18cの冷却ファン19a~19cを逆転させる。熱交換器18a~18cにゴミが付着すると、内部流体の冷却効率が悪化してしまうため、ゴミの除去が必要になる。また、内部流体の温度が過剰に低いと、油圧ポンプを駆動するエンジン14の円滑な運転が望めなくなり、結果として油圧ポンプからの作動油で駆動される油圧ショベル1が正常に動作しない可能性が生じるため、内部流体の昇温が必要になる。
【0028】
熱交換器18a~18cにゴミが付着すると、同一のファン回転速度において熱交換器18a~18cが温度上昇し、且つファンモータ20a~20cの消費電力が増大するため、これらの相関関係に基づきゴミの除去の要否を判定する(後述する逆転条件に相当)。冷却ファン19a~19cの逆転により、熱交換器18a~18cを経て車体外部へと流れる気流Air2と共にゴミを車体外部に排出できる。
【0029】
内部流体の昇温の要否については、所定の判定値以下の内部流体の温度が図示しない温度センサにより検出された場合に、昇温を要すると判定する(後述する逆転条件に相当)。例えばエンジン14の始動直後でも、機械室12内の空気はエンジン表面からの受熱により昇温し、先行して温度上昇した何れかの熱交換器18a~18cを通過した空気の流入によっても昇温している。このような機械室12内の空気が、冷却ファン19a~19cの逆転により気流Air2として昇温を要する熱交換器18a~18cを流通し、これにより内部流体の昇温を促進できる。
【0030】
既述したように冷却ファン19a~19cを逆転させる際に、特許文献2に記載のようにファンモータの電源端子を短絡させれば迅速に停止できるものの、ファンモータが発熱して寿命が短くなるという不具合が生じる。そこで本実施形態では、ラジエータ冷却ファン19aまたはオイルクーラ冷却ファン19bの何れかを逆転させる場合には、隣接する冷却ファン19b,19cの気流Air1を利用して、逆転させるべき冷却ファン19a,19bの回転(正転)を妨げる対策を講じている。この対策を実行するには、隣接する冷却ファン19b,19cとの間の可動板22a,22bを開放する必要があり、そのための各固定装置31,33の制御をコントローラ23の可動板制御部23bが実行する。
【0031】
またモータ制御部23aは、通常時において目標回転速度に基づき各ファンモータ20a~20cを制御する一方、何れかの冷却ファン19a~19cの逆転時には、その冷却ファン19a~19cの通電停止や逆転を制御する。
【0032】
以下、ラジエータ冷却ファン19aまたはオイルクーラ冷却ファン19bを逆転させる場合の制御状況について説明する。
説明の前提として、第1,2の可動板22a,22bが閉鎖位置に保たれ、全ての冷却ファン19a~19cが正転で回転駆動されているものとし、この状態でラジエータ冷却ファン19aを逆転させる場合について述べる。
【0033】
この制御状況においては、ラジエータ通風路17a及びオイルクーラ通風路17bが、本発明の「第1及び第2の通風路」に相当し、ラジエータ18a及びオイルクーラ18bが、本発明の「第1及び第2の熱交換器」に相当し、ラジエータ冷却ファン19a及びオイルクーラ冷却ファン19bが、本発明の「第1及び第2の冷却ファン」に相当し、ラジエータファンモータ20a及びオイルクーラファンモータ20bが、本発明の「第1及び第2のファンモータ」に相当し、第1の可動板22aが、本発明の「可動板」に相当する。
【0034】
なお、ラジエータ冷却ファン19aを逆転させる場合には、インタクーラ通風路17c側の制御状態(インタクーラ通風路17c内の気流の流通状態、インタクーラ冷却ファン19cの駆動状態、第2の可動板22bの開閉状態等)は変化しないため、これらの制御状態は言及せずに、インタクーラ通風路17cの図示を省略した図6~9に基づき説明する。
【0035】
図5は、コントローラ23が実行するファン逆転ルーチンを示すフローチャート、図6は、ラジエータ冷却ファン19aを逆転させる前の作動状態を示す説明図、図7は、ラジエータ冷却ファン19aの駆動を中止して第1の可動板22aが開放されたときの説明図、図8は、ラジエータ冷却ファン19aの逆転を開始したときの説明図、図9は、ラジエータ冷却ファン19aの逆転が完了して第1の可動板22aを閉鎖位置に切り換えたときの説明図である。
【0036】
コントローラ23は、冷却システム16の稼働中に図5のルーチンを所定の制御インターバルで実行する。まず、ステップ1で冷却ファン19a~19cについて逆転条件が成立したか否かを判定し、No(否定)の場合にはステップ1の処理を継続する。この逆転条件は、上記したゴミの除去或いは内部流体の昇温の要否に基づき判定され、逆転すべきと判定された冷却ファン19a~19cがある場合には、その冷却ファン19a~19cを対象として以降の処理が実行される。従って、この場合のステップ1では、ラジエータ18aに付着したゴミの除去、或いはエンジン冷却水の昇温の何れかを要すると判定されて、ラジエータ冷却ファン19aが逆転される。
【0037】
この時点の冷却システム16は、図6に示すようにラジエータ冷却ファン19a及びオイルクーラ冷却ファン19b(同じくインタクーラ冷却ファン19cも)が正転で回転し、それぞれの吸込側(熱交換器18a~18c側)に大きな負圧を発生させ、吐出側(機械室12側)に大きな正圧を発生させている。このため、ラジエータ通風路17a内及びオイルクーラ通風路17b内にはそれぞれ車体外部から機械室12へと流れる気流Air1が生起され、これらの気流Air1はラジエータ18aまたはオイルクーラ18bを冷却した後、機械室12内でエンジン14に衝突して冷却作用を奏する。
【0038】
コントローラ23は、ステップ1でYes(肯定)の判定を下すと、ステップ2に移行してラジエータ冷却ファン19aの駆動を中止し、続くステップ3で第1の可動板22aの先端及び基端固定装置31,33の各コイル31b,33bを通電する。閉鎖位置の第1の可動板22aは磁力から解放されて自由に回動可能となり、ラジエータ冷却ファン19aは空気抵抗を受けて次第に回転速度を低下させる。回転低下に伴ってラジエータ冷却ファン19aにより生起される気流Air1の流量が減少すると共に、その吸込側の負圧及び吐出側の正圧が次第に低下する。このため、ラジエータ通風路17a内とオイルクーラ通風路17b内との間に差圧が生じる。図7に示すように、この差圧を受けて第1の可動板22aはヒンジ25を中心として開放位置へと回動し、これによりラジエータ通風路17aとオイルクーラ通風路17bとが連通して、ラジエータ通風路17aからオイルクーラ通風路17bへと流れる気流Air3が生起される。
【0039】
差圧は、機械室12内に開口するラジエータ冷却ファン19aの吐出側とオイルクーラ冷却ファン19bの吐出側との間にも生じる。このため、オイルクーラ冷却ファン19bから吐出されてエンジン14に衝突した気流Air1の一部は、気流Air4として循環通風路28に沿ってラジエータ冷却ファン19a側へと流れ、その後に、ラジエータ冷却ファン19aを逆流する気流Air5を生起する。結果として、オイルクーラ冷却ファン19bから吐出された気流Air1の一部は、気流Air4、気流Air5、気流Air3としてラジエータ通風路17aとオイルクーラ通風路17bとの間を循環し、ラジエータ冷却ファン19aを逆流する気流Air5は、その回転(正転)を妨げる方向に作用して回転低下を促進させる。従って、ラジエータ冷却ファン19aは急激に回転速度を低下させて早期のタイミングで停止する。
【0040】
なお、生起された気流Air5の流量は、ラジエータ冷却ファン19aの回転低下に伴って次第に増加する。即ち、生起された当初の気流Air5は、ラジエータ冷却ファン19a上の主として図7中の下側(オイルクーラ冷却ファン19b側)の狭い領域を逆流するに過ぎない。しかし、ラジエータ冷却ファン19aの回転低下に伴って元々の気流Air1の流量が次第に減少するため、それに応じて気流Air5の流通領域が次第に図7中の上側へと拡大し、ラジエータ冷却ファン19aが停止した時点では、気流Air5がラジエータ冷却ファン19a全体に及ぶことになる。
【0041】
図5のルーチンに戻って説明を続けると、ステップ3の処理を終えたコントローラ23はステップ4に移行し、回転速度センサ26により検出されたラジエータ冷却ファン19aの回転速度Nfが0以下であるか否かを判定する。ラジエータ冷却ファン19aが停止してステップ4の判定がYesになると、ステップ5に移行してラジエータファンモータ20aを逆方向に駆動する。なお、逆駆動の開始タイミングはこれに限るものではなく、例えば、ラジエータ冷却ファン19aが停止する以前にラジエータファンモータ20aの逆駆動を開始してもよい。
【0042】
図8に示すように、ラジエータ冷却ファン19aは停止状態から逆転を開始し、これにより吸込側(負圧)と吐出側(正圧)とが反転して、機械室12からラジエータ18aを経て車体外部へと流れる気流Air2を生起する。ラジエータ冷却ファン19aは次第に回転上昇し、それに伴って気流Air2の流量が増加する。
【0043】
コントローラ23は、ステップ5の処理を終えるとステップ6に移行し、ラジエータ冷却ファン19aの回転速度Nfが目標回転速度Nftgtに達したか否かを判定する。例えば目標回転速度Nftgtとしては、ゴミの除去及び内部流体の昇温に対して好適な値がそれぞれ予め設定されており、ラジエータ冷却ファン19aを逆転させる目的(逆転条件に基づく)に応じて何れかの値を選択してステップ6の処理に適用する。
【0044】
ステップ6の判定がYesになると、ステップ7に移行して基端固定装置33のコイル33bの通電を中止し、続くステップ8で先端固定装置31のコイル31bの通電を中止し、その後にルーチンを終了する。図9に示すように、基端固定装置33のコイル33bの通電が中止されると、その磁力が第1の可動板22aに作用して閉鎖位置へと回動させる。なお、ステップ7,8の処理は同時に実行してもよい。そして、先端固定装置31のコイル31bの通電が中止されると、その永久磁石31aに第1の可動板22aが吸着されて閉鎖位置に保たれる。
【0045】
第1の可動板22aが開放位置にあるときには、ラジエータ通風路17aからオイルクーラ通風路17bへと流れる気流Air3の相当分だけ、ラジエータ18aを通過する気流Air2の流量が減少している。しかし、閉鎖位置への第1の可動板22aの回動が完了すると、ラジエータ冷却ファン19aの逆転により生起された全ての気流Air2がラジエータ18aを流通する。従って、ゴミの除去を目的とした逆転の場合には、ラジエータ18aに付着したゴミが車体外部に排出され、内部流体の昇温を目的とした逆転の場合には、ラジエータ18a内のエンジン冷却水が昇温される。
【0046】
以上のようにラジエータ冷却ファン19aを逆転させる際には、隣接するオイルクーラ冷却ファン19bにより生起される気流Air1を利用して、ラジエータ冷却ファン19aを逆流する気流Air5を生起して回転を妨げ、これによりラジエータ冷却ファン19aの迅速な回転停止、ひいては迅速な逆転を実現している。そして、特許文献1の技術のように、電源端子の短絡によりファンモータを発熱させていないため、ラジエータファンモータ20aの寿命が短くなる等の弊害を未然に防止することができる。結果として、本実施形態によれば、早期のタイミングでゴミの除去や内部流体の昇温を完了でき、いち早く本来のラジエータ18aによるエンジン冷却水の冷却を再開することができる。
【0047】
そして、何れかのタイミングでラジエータ冷却ファン19aは逆転から正転に戻されるが、本実施形態では、このときオイルクーラ冷却ファン19bの回転速度Nfを一時的に低下させている。正転に戻されたラジエータ冷却ファン19aは目標回転速度まで回転上昇するが、その際に循環通風路28を流れる気流Air4が回転上昇を妨げる方向に作用する。オイルクーラ冷却ファン19bの回転低下により気流Air4が弱められるため、ラジエータ冷却ファン19aをより迅速に正転に戻すことができるという効果が得られる。
【0048】
なお、以上はラジエータ冷却ファン19aを逆転させる場合について説明したが、オイルクーラ冷却ファン19bを逆転させる場合も制御内容については同様である。従って、重複する説明はしないが、図5のルーチンのステップ2,3の処理を、ラジエータファンモータ20aに代えてオイルクーラファンモータ20bに適用し、ステップ3,7,8の処理を、第1の可動板22aの各固定装置31,33に代えて第2の可動板22bの各固定装置31,33に適用すればよい。
【0049】
これによりオイルクーラ18bに付着したゴミの除去、或いはエンジン潤滑油の昇温を達成できる。さらに、その際に上記と同様の過程を経て、差圧により第2の可動板22bを開放してオイルクーラ通風路17bからインタクーラ通風路17cへと流れる気流Air3が生起されると共に、オイルクーラ冷却ファン19bの回転を妨げる気流Air5が生起されるため、オイルクーラ冷却ファン19bを迅速に停止・逆転させることができる。
【0050】
この制御状況においては、オイルクーラ通風路17b及びインタクーラ通風路17cが、本発明の「第1及び第2の通風路」に相当し、オイルクーラ18b及びインタクーラ18cが、本発明の「第1及び第2の熱交換器」に相当し、オイルクーラ冷却ファン19b及びインタクーラ冷却ファン19cが、本発明の「第1及び第2の冷却ファン」に相当し、オイルクーラファンモータ20b及びインタクーラファンモータ20cが、本発明の「第1及び第2のファンモータ」に相当し、第2の可動板22bが、本発明の「可動板」に相当する。
【0051】
また、本実施形態では、インタクーラ冷却ファン19cを逆転させることは可能であるものの、隣接するオイルクーラ冷却ファン19bにより生起される気流Air1を利用したインタクーラ冷却ファン19cの迅速な停止・逆転は望めない。図4に示す構造では、第2の可動板22bがオイルクーラ通風路17b側に回動不能なため、インタクーラ冷却ファン19cの駆動を中止しても、インタクーラ通風路17cからオイルクーラ通風路17bへと流れる気流Air3を生起できないためである。しかしながら、第2の可動板22bをオイルクーラ通風路17b側にも回動可能に構成すれば、インタクーラ冷却ファン19cについても迅速な停止・逆転を実現できることから、このように第2の可動板22bを構成してもよい。
【0052】
なお、第1,2可動板22a,22bは、隣接する通風路17a~17cの間に生じる差圧を利用して開放する構成に限るものではない。例えば開閉モータにより可動板22a,22bを開閉駆動してもよく、以下に別例1,2として説明する。実施形態と共通する構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。なお、第1,2の可動板22a,22bは同一構成のため、以下の説明では、第1の可動板22aを例示する。
【0053】
[別例1]
図10は、モータ駆動により回動して開閉される別例1の第1の可動板22aを示す斜視図である。
通風路17a,17b間の外部上面には開閉モータ41が固定され、その出力軸41aはヒンジ25の軸線Lh上に位置して第1の可動板22aに連結されている。これにより第1の可動板22aは、開閉モータ41の正逆回転に応じて閉鎖位置と開放位置との間で回動する。
【0054】
従って、図5のステップ3では、固定装置31,33のコイル31b,33bを通電する代わりに、開閉モータ41を作動させて第1の可動板22aを開放位置へと回動させる。またステップ7,8では、固定装置31,33のコイル31b,33bの通電を中止する代わりに、開閉モータ41を作動させて第1の可動板22aを閉鎖位置へと回動させる。これにより、上記実施形態と同様に、第1の可動板22aの開閉に応じて気流Air3を生起することができる。
【0055】
この別例1によれば、上記実施形態の作用効果に加えて、冷却ファン19a,19bの逆転を一層迅速に行うことができる。詳しくは、実施形態の場合には、冷却ファン19a,19bの駆動を中止しても、差圧が発生するまでは可動板22a,22bが開放されないため、その分だけ気流Air3の生起に遅れが生じる。これに対して別例1では、冷却ファン19a,19bの駆動中止と共に遅滞なく可動板22a,22bを開放できるため、より迅速に気流Air3を生起できる。結果として冷却ファン19a,19bの回転停止、ひいては逆転のタイミングを早めることができる。
【0056】
[別例2]
図11は、モータ駆動によりスライドして開閉される別例2の第1の可動板22aを示す斜視図、図12は、図11のXII-XII線断面図である。
オイルクーラ通風路17b内の上下には、隔壁21の固定板24に沿ってガイドレール51(本発明の「ガイド部材」に相当し、図12に上側のみ示す)が延設されている。第1の可動板22aの上端及び下端は各ガイドレール51に嵌め込まれ、ガイドレール51に案内されて隣接する通風路17a,17bを遮断する閉鎖位置と、通風路17a,17bを連通させる開放位置との間でスライド可能となっている。
【0057】
通風路17a,17b間の外部上面には開閉モータ52が固定され、その出力軸52aに固定されたピニオン53は、第1の可動板22aの上縁に沿って設けられたラック54と噛合している。開閉モータ52の出力軸52aの回転運動はピニオン53及びラック54を介して直線運動に変換されるため、開閉モータ52の正逆回転に応じて、ガイドレール51に案内されながら第1の可動板22aが閉鎖位置と開放位置との間でスライドする。
【0058】
開閉モータ52の作動タイミングは別例1と同様であり、これにより第1の可動板22aの開閉に応じて気流Air3を生起できる。重複する説明はしないが、この別例2においても、差圧の発生に関わらず遅滞なく可動板22a,22bを開放できるため、より迅速な冷却ファン19a,19bの逆転を実現することができる。
【0059】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、油圧ショベル1の冷却システム16に具体化したが、対象となる建設機械はこれに限るものではなく、互いに隣接する通風路内に熱交換器及び冷却ファンを配設した冷却システムを備えた建設機械であれば適用可能である。従って、例えばホイールローダ、タイヤローラ、ダンプトラック等の冷却システムとして具体化してもよい。
【0060】
また上記実施形態では、熱交換器18a~18cの下流側に冷却ファン19a~19cを配設し、車体外部の空気を冷却ファン19a~19cにより引き込んで熱交換器18a~18cに流通させる所謂引込式の冷却システム16として具体化したが、これに限るものではない。例えば、熱交換器18a~18cの上流側に冷却ファン19a~19cを配設し、車体外部の空気を冷却ファン19a~19cにより熱交換器18a~18cに押し込んで流通させる所謂押込式の冷却システムとして具体化してもよく、この場合でも上記実施形態で述べた各種作用効果を達成することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 油圧ショベル
12 機械室
14 エンジン
17a ラジエータ通風路(第1及び第2の通風路)
17b オイルクーラ通風路(第1及び第2の通風路)
17c インタクーラ通風路(第1及び第2の通風路)
18a ラジエータ(第1及び第2の熱交換器)
18b オイルクーラ(第1及び第2の熱交換器)
18c インタクーラ(第1及び第2の熱交換器)
19a ラジエータ冷却ファン(第1及び第2の冷却ファン)
19b オイルクーラ冷却ファン(第1及び第2の冷却ファン)
19c インタクーラ冷却ファン(第1及び第2の冷却ファン)
20a ラジエータファンモータ(第1及び第2のファンモータ)
20b オイルクーラファンモータ(第1及び第2のファンモータ)
20c インタクーラファンモータ(第1及び第2のファンモータ)
21 隔壁
22a 第1の可動板(可動板)
22b 第2の可動板(可動板)
23 コントローラ
23a モータ制御部
23b 可動板制御部
26 回転速度センサ(回転速度検出部)
31 先端固定装置(固定装置)
33 基端定装置(固定装置)
41,52 開閉モータ
41a,52a 出力軸
51 ガイドレール(ガイド部材)
53 ピニオン
54 ラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12