(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141479
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】車両用内装材
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B60R13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047817
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 由美子
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BC01
3D023BE17
3D023BE31
3D023BE35
(57)【要約】
【課題】表皮体の一部を基材の凹部に折り込んだ良好な外観を端縁部まで確保した車両用内装材を提供する。
【解決手段】車両用内装材1は、端縁部に連なる凹部20を表側に有する基材2と、凹部20に一部が折り込まれた状態で基材2の表側の少なくとも一部を覆い、かつ、端縁部から基材2の裏側に外縁部が折り返されて貼り付けられた表皮体3と、を備える。凹部20は、端縁部の位置でその他の位置よりも幅が狭く設定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端縁部に連なる凹部を表側に有する基材と、
前記凹部に一部が折り込まれた状態で前記基材の表側の少なくとも一部を覆い、かつ、前記端縁部から前記基材の裏側に外縁部が折り返されて貼り付けられた表皮体と、を備え、
前記凹部は、前記端縁部の位置でその他の位置よりも幅が狭く設定されている
ことを特徴とする車両用内装材。
【請求項2】
表皮体は、複数の表皮片を有し、これら表皮片の側縁部同士が互いに継ぎ合わせられて形成されているとともに、これら継ぎ合わせられた表皮片の側縁部が凹部に折り込まれている
ことを特徴とする請求項1記載の車両用内装材。
【請求項3】
継ぎ合わせられた表皮片の側縁部が前記各表皮片の裏側へとそれぞれ折り返された状態で凹部に収容されている
ことを特徴とする請求項2記載の車両用内装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の表側の少なくとも一部を覆う表皮体を備える車両用内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両の車室内を覆う内装材に高級感を付与するために、皮革や合成樹脂などからなる表皮体を備える内装材がある。このような内装材として、表皮体を構成する一対の表皮片の側縁部をそれぞれ裏側に折り返して互いに縫着するとともに、これら折り返し部を表皮片の裏側に重ねてさらに加飾縫製を施したものが知られている。この構成では、折り返し部が表皮片の裏側に重なって位置するため、この裏側に位置する折り返し部を収容するための凹部が基材の表面に形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-162343号公報 (第4-7頁、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
凹部の寸法は、折り返し部の形状のばらつきなどを考慮して、折り返し部と完全に一致する寸法ではなく、折り返し部よりも大きい寸法に形成される。基材の表面では、折り返し部と凹部とに多少の寸法差が生じていても外観上の影響は発生しにくいものの、基材の端縁部において表皮片が基材の裏側に折り返されて貼り付けられている場合、表皮片に弛みが生じないように、表皮片を引っ張って貼り付ける必要がある。
【0005】
その場合、基材の端縁部において、表皮片に引っ張り力が加わることで表皮片が引き延ばされて薄くなるため、凹部と表皮片との寸法差となる隙間の箇所に入り込み、表皮片の表面に凹みが生じ、外観が損なわれるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、表皮体の一部を基材の凹部に折り込んだ良好な外観を端縁部まで確保した車両用内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の車両用内装材は、端縁部に連なる凹部を表側に有する基材と、前記凹部に一部が折り込まれた状態で前記基材の表側の少なくとも一部を覆い、かつ、前記端縁部から前記基材の裏側に外縁部が折り返されて貼り付けられた表皮体と、を備え、前記凹部は、前記端縁部の位置でその他の位置よりも幅が狭く設定されているものである。
【0008】
請求項2記載の車両用内装材は、請求項1記載の車両用内装材において、表皮体は、複数の表皮片を有し、これら表皮片の側縁部同士が互いに継ぎ合わせられて形成されているとともに、これら継ぎ合わせられた表皮片の側縁部が凹部に折り込まれているものである。
【0009】
請求項3記載の車両用内装材は、請求項2記載の車両用内装材において、継ぎ合わせられた表皮片の側縁部が前記各表皮片の裏側へとそれぞれ折り返された状態で凹部に収容されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の車両用内装材によれば、基材の裏側へと折り返される表皮体が基材の端縁部の位置で引っ張られて薄くなったとしても、この位置で凹部が狭くなっていることにより、凹部と表皮体の折り込んだ部分との寸法差となる隙間に表皮体が入り込むことが規制され、表皮体の隙間への入り込みに起因する外観上の凹みが端縁部に生じることがないので、表皮体の一部を基材の凹部に折り込んだ良好な外観を端縁部まで確保できる。
【0011】
請求項2記載の車両用内装材によれば、請求項1記載の車両用内装材の効果に加えて、基材の凹部の位置に沿って複数の表皮片の継ぎ目を意匠として有する、意匠性に優れた車両用内装材を構成できる。
【0012】
請求項3記載の車両用内装材によれば、請求項2記載の車両用内装材の効果に加えて、表皮片同士が側縁部の位置で互いに巻き込まれた、意匠性に優れた外観を呈することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は本発明の第1の実施の形態の車両用内装材を示す
図3(b)のI-I相当位置の断面図、(b)は同上車両用内装材の基材の一部を示す
図3(a)のA矢視図である。
【
図2】同上車両用内装材の一部を示す
図3(b)のB矢視図である。
【
図3】(a)は同上車両用内装材の基材を示す斜視図、(b)は同上車両用内装材を示す斜視図である。
【
図4】比較例の車両用内装材の一部を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態の車両用内装材の一部を示す断面図である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態の車両用内装材の一部を示す断面図である。
【
図7】本発明の第4の実施の形態の車両用内装材の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図3(b)において、1は車両用内装材を示す。本実施の形態において、車両用内装材1は、例えば自動車などの車両用の内装用として用いられる。図示される例では、車両用内装材1は所定方向に長手状の四角形状に形成されているが、これに限られず、配置位置の形状や所望の意匠などに応じた任意の形状としてよい。本実施の形態においては、車両用内装材1の長手方向を第一方向(矢印Xに示す)、その直交方向である幅方向を第二方向(矢印Yに示す)、それらの直交方向である厚み方向を第三方向(矢印Zに示す)として説明する。
【0016】
図1(a)に示すように、車両用内装材1は、基材2と、表皮体3と、が互いに重ねられて構成されている。基材2と表皮体3との間の少なくとも一部には、弾性材(クッション材)などの別部材が配置されていてもよい。そして、車両用内装材1は、表皮体3側を乗員側、手前側、表側あるいは意匠側とし、基材2側を車体側、反乗員側、背後側、裏側として配置される。
【0017】
図1(b)及び
図3(a)に示す基材2は、合成樹脂などの部材により成形されている。本実施の形態において、基材2は、基材本体部5と、基材本体部5から第三方向に延びる延出部6と、を一体的に備える。基材本体部5は、第一方向に長手方向、第二方向に短手方向を有する四角形状に形成されている。本実施の形態において、延出部6は、基材本体部5の両側部及び両端部、すなわち第二方向の端部及び第一方向の端部に連なっている。延出部6は、基材本体部5を囲んで形成されている。延出部6には、基材本体部5の両側部すなわち第二方向に連なる側部延出部7と、基材本体部5の両端部すなわち第一方向に連なる端部延出部8と、が備えられ、側部延出部7,7の第一方向の両端部にそれぞれ端部延出部8が連なっている。
【0018】
基材2の表側の少なくとも一部が、
図1(a)及び
図3(b)に示す表皮体3により覆われている。本実施の形態では、基材2の基材本体部5の表面と延出部6の表面との全体が表皮体3により覆われている。
【0019】
表皮体3は、シート状となっている。本実施の形態において、表皮体3は、複数の表皮片12が継ぎ合わせられて一体的に構成されている。図示される例では、表皮片12は一対設定されている。表皮片12は、天然皮革、人工皮革、樹脂など、任意の素材によりシート状に形成されている。表皮片12は、複数の異なる材質のシートが重ね合わせられて一体的に形成された複合素材でもよい。
【0020】
本実施の形態において、表皮片12は、基材2の第二方向の一方側と他方側とにそれぞれ設定され、互いの側縁部が継ぎ合わされて基材2の表側の全体を覆うように配置されている。表皮体3の裏面をなす表皮片12の裏面が基材2に対して例えば接着剤などにより貼り合わせられている。
【0021】
表皮片12は、基材2の表側を覆い車両用内装材1の意匠部分を構成する表皮片本体部14と、この表皮片本体部14に連なり表皮片本体部14の裏側へと折り込まれた折り込み部15と、を一体的に有する。
【0022】
表皮片本体部14は、表皮片12の過半を構成する。表皮片本体部14は、基材2の基材本体部5及び延出部6の形状に応じて任意の形状に形成されている。表皮片本体部14の外縁部すなわち端縁部が、基材2に対して裏側に折り返されて、基材2の裏側に貼り合わせられて固定されている。
【0023】
折り込み部15は、外観から見えない位置にある。折り込み部15は、表皮片本体部14の側縁部に連なって、表皮片本体部14に対して折り曲げられている。折り込み部15の位置で表皮片12同士が互いに継ぎ合わせられる。折り込み部15は、接合部17により互いに接合されている。本実施の形態において、接合部17は、縫製により形成される。接合部17は、隣り合う表皮片12,12の表皮片本体部14,14の側縁部間に位置して、表側からは実質的に見えない部分である。
【0024】
図示される例では、折り込み部15は、表皮片本体部14の裏側に折り返されて裏面に重ねられた折り返し部である。折り込み部15は、第二方向に表皮片本体部14よりも狭い所定の幅を有する短冊状に形成されている。本実施の形態において、折り込み部15は、第一方向に細長い四角形状となっている。
【0025】
折り込み部15は、基材2の表側に形成された凹部20に収容されている。本実施の形態において、凹部20は、第二方向に互いに離れた側壁部20a,20aと、これら側壁部20a,20a間に連なる底部20bと、を有する。凹部20は、
図3(a)に示すように、基材本体部5から、延出部6の先端部すなわち基材2の端縁部に亘り連なっている。凹部20は、任意の位置に任意の方向に形成されていてよいが、本実施の形態では、基材2の第二方向の一方側(
図3(a)中の左側)寄りの位置に、第一方向に沿って直線状に形成されている。図示される例では、凹部20は、基材本体部5から端部延出部8,8に亘り連なっている。凹部20の両端部は、端部延出部8,8の先端部の位置に開口されている。すなわち、凹部20は、基材2の端縁部を除く位置に形成されている一般部22と、基材2の端縁部に形成されている開口部23と、を有する。開口部23は、基材2の端縁部において、基材2の表側と裏側との境界となる頂部(木端部)24に形成されている。
【0026】
図1(a)に示すように、凹部20の深さD、すなわち基材2の表面から凹部20の底部20bまでの第三方向の距離は、折り込み部15の厚み以上に設定されている。そのため、折り込み部15が凹部20に収容された状態で、表皮片12(表皮体3)の表側が折り込み部15近傍の位置で盛り上がることなく一連の面状をなすように配置される。
【0027】
また、
図1(b)に示すように、凹部20の幅すなわち側壁部20a,20a間の第二方向における距離は、一般部22において、幅W1に設定され、少なくともいずれか、本実施の形態では両方の開口部23において、幅W2に設定されている。幅W1,W2は、それぞれ折り込み部15の幅以上に設定されている。そのため、凹部20に収容された折り込み部15に対し、凹部20の側壁部20aが第二方向に離れて位置する。
【0028】
本実施の形態において、幅W1は、幅W2よりも大きく(W1>W2)設定されている。すなわち、凹部20は、基材2の端縁部の位置でその他の位置よりも幅が狭く設定されている。そのため、凹部20には、基材2の端縁部において側壁部20a,20aと底部20bとが連なる位置、つまり凹部20の底角部に、肉盛り部25,25が形成されている。各肉盛り部25は、基材2の端縁部の頂部24に形成されている。各肉盛り部25は、第二方向すなわち凹部20の一般部22における側壁部20aに対して幅方向にそれぞれ延びている。図示される例では、各肉盛り部25は、基材2の端縁部の頂部24に対し、面一または略面一に形成されているが、頂部24に対して、僅かに低くてもよい。
【0029】
また、本実施の形態において、
図1(a)に示すように、肉盛り部25の第二方向の端部に位置する側面部25aは、凹部20の底部20bに対し垂直または略垂直に形成されている。すなわち、側面部25aは、第一方向及び第二方向に拡がる面状に形成されて、第三方向に沿って位置する。したがって、肉盛り部25の第二方向の幅は、肉盛り部25全体において一定または略一定となっている。図示される例では、側面部25aは、表皮体3の折り込み部15の折り返された先端部と第二方向に対向して位置する。
【0030】
そして、好ましくは、折り込み部15は、表皮片本体部14と重ねられて加飾縫製により一体的に固定されている。すなわち、折り込み部15には、縫製部28が形成されている。表皮片本体部14と、この表皮片本体部14の裏面側に折り返されて重ねられた折り込み部15と、が縫製部28により縫い合わせられている。本実施の形態において、縫製部28は、第一方向に直線状に延びている。縫製部28は、少なくともいずれかの表皮片12に形成されていればよいが、本実施の形態では各表皮片12に形成されている。そのため、
図3(b)に示すように、縫製部28,28は、表皮片12,12の継ぎ合わせ部を中心としてその両側に並んで位置する、いわゆるダブルステッチとなっている。本実施の形態では、縫製部28,28は、平行または略平行に位置する。
【0031】
次に、第1の実施の形態の車両用内装材1の製造方法について説明する。
【0032】
まず、予め形成した表皮片12,12の表側同士を互いに重ね、表皮片12,12の側縁部を接合部17により接合する。本実施の形態では、接合部17が一次縫製となる。
【0033】
この後、表皮片12,12を開くことで、接合部17により接合された部分から側縁部側の部分が折り込み部15,15となり、その残りの部分が表皮片本体部14,14となる。
【0034】
次いで、折り込み部15,15を表皮片本体部14,14に重ねた状態で、縫製部28,28により折り込み部15,15と表皮片本体部14,14とを接合する。本実施の形態では、縫製部28が二次縫製となる。
【0035】
この結果、表皮片12,12が第二方向に側縁部の位置で隣接して面状に拡がり、かつ、表皮片12,12が継ぎ合わせられた位置を挟んで縫製部28,28が延びる表皮体3が形成される。
【0036】
そして、この表皮体3を、予め別途成形された基材2に接着剤によって貼り合わせる。表皮体3は、折り込み部15,15を凹部20に収容しつつ、中央部分で基材2の基材本体部5を覆い、外縁部で延出部6を覆うように貼り付ける。外縁部については、基材2に弛みが生じないように側部延出部7の位置では側部延出部7の面に沿って第二方向及び第三方向に引っ張って延ばし、端部延出部8の位置では端部延出部8の面に沿って第一方向及び第三方向に引っ張って延ばしつつ、それぞれの端縁部の頂部24の位置で折り返して、基材2の裏側に貼り付ける。
【0037】
このとき、特に伸縮性が良好な表皮体3(表皮片12)の場合、表皮体3(表皮片12)に引っ張り力が加わることで表皮体3(表皮片12)が頂部24の位置で最も引き延ばされて薄くなるため、
図4に示す比較例の車両用内装材1aのように、凹部20の側壁部20aと表皮体3(表皮片12)の折り込み部15の先端部との寸法差となる僅かな隙間Gがある場合、この隙間Gに頂部24の位置で表皮体3(表皮片12)が入り込んで凹み30を形成しようとする。
【0038】
この点、
図1(a)に示す本実施の形態では、凹部20が基材2の端縁部の位置でその他の位置よりも幅が狭く設定されているため、基材2の裏側へと折り返される表皮体3が基材2の端縁部の位置で引っ張られて薄くなったとしても、この位置で凹部20が狭くなって肉盛り部25が形成されていることにより、凹部20の側壁部20aと表皮体3の折り込み部15との寸法差となる隙間に表皮体3が入り込むことが規制される。そこで、表皮体3の伸縮率や引っ張りの力加減に拘らず表皮体3の隙間への入り込みに起因する外観上の凹みが端縁部に生じることがない。よって、表皮体3の一部を基材2の凹部20に折り込んだ良好な外観を端縁部まで確保した、意匠性に優れた車両用内装材1を提供できる。
【0039】
また、基材2の端末部の位置では、表皮体3が薄く引き伸ばされているため、肉盛り部25に重ねられる表皮体3の厚みは大きくなく、肉盛り部25に相当する位置のみ極端に表皮体3が基材2に対して浮き上がって見えることもない。
【0040】
また、表皮片12において、互いに継ぎ合わせられた側縁部を基材2の凹部20に折り込んで配置することにより、基材2の凹部20の位置に沿って複数の表皮片12の継ぎ目を意匠として有する、意匠性に優れた車両用内装材1を構成できる。
【0041】
さらに、折り込み部15を、表皮片12の裏側に折り返した状態で凹部20に収容することにより、表皮片12同士が側縁部の位置で互いに巻き込まれた、意匠性に優れた外観を呈することができる。
【0042】
表皮体3の表皮片12の折り込み部15に沿って縫製部28を有することで、縫製部28によって装飾性を向上できる。特に、本実施の形態では、各表皮片12がそれぞれ折り込み部15を備えるため、これら折り込み部15に沿って縫製部28を有することで、ダブルステッチとなり、装飾性がより向上する。
【0043】
次に、第2の実施の形態について、
図4を参照して説明する。なお、上記の第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0044】
本実施の形態では、肉盛り部25の側面部25aが凹部20の底部20bに対して垂直な方向である第三方向に対して傾斜している。側面部25aは、底部20bに向かい、開口部23の幅つまり第二方向の寸法が徐々に狭くなるよう傾斜している。
【0045】
このように構成することで、基材2の裏側へと折り返される表皮体3が基材2の端縁部の位置で引っ張られて薄くなったとしても、この位置で凹部20が狭くなっていることにより、凹部20と表皮体3の折り込み部15との寸法差となる隙間に表皮体3が入り込むことが規制され、表皮体3の隙間への入り込みに起因する外観上の凹みが端縁部に生じることがないので、表皮体3の一部を基材2の凹部20に折り込んだ良好な外観を端縁部まで確保できるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
また、表皮体3の伸縮率に応じて表皮体3の隙間へ入り込む量が異なるため、肉盛り部23の側面部25aを傾斜させて肉盛り部23の幅が変化するように設定することで、表皮体3の隙間への入り込み量を調整し、表皮体3の伸縮率に拘らず、端縁部まで良好な外観を保つことができる。
【0047】
なお、上記の各実施の形態においては、折り込み部15が表皮片本体部14の裏側に折り返された形状としたが、これに限らず、例えば
図6に示す第3の実施の形態のように、一方の折り込み部15を折り返し、他方の折り込み部15をそれに重ねた状態で凹部20に収容するようにしても。また、
図7に示す第4の実施の形態のように、折り込み部15同士を表皮片本体部14の厚み方向である第三方向に沿わせた状態のまま、すなわち表皮片本体部14に対して直角状に折り曲げた状態で凹部20にそれぞれ収容するようにしてもよい。これらの場合であっても、凹部20の幅を端縁部の位置でその他の位置よりも狭く設定することで、表皮体3の一部を基材2の凹部20に折り込んだ良好な外観を端縁部まで確保できるなど、各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
また、上記の各実施の形態において、表皮体3は、複数の表皮片12からなるものとしたが、これに限らず、1枚の一体のシート状に構成されたものでもよい。
【0049】
さらに、縫製部28を備えていない構成であっても、同様の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば自動車の車両用内装材として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 車両用内装材
2 基材
3 表皮体
12 表皮片
20 凹部