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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141483
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/28 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G01N29/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047822
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 真拡
(72)【発明者】
【氏名】守田 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏昌
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA06
2G047AB05
2G047AB07
2G047BA03
2G047BB01
2G047CA01
2G047GB02
2G047GE04
(57)【要約】
【課題】より自動化に好適な検出システムを提供する。
【解決手段】実施形態に係る検出システムは、マニピュレータと、エンドエフェクタと、を備える。前記エンドエフェクタは、超音波の送信及び反射波の検出を行う検出器と、管及びヘッドを含み、対象物に供給された液状の媒質を除去する除去装置と、を有する。前記エンドエフェクタは、前記マニピュレータに取り付けられる。前記ヘッドは、前記管の一端に取り付けられる第1部分と、前記管の第1孔と連なる第2孔を有し、前記第2孔の径は前記第1孔の径よりも大きい第2部分と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニピュレータと、
超音波の送信及び反射波の検出を行う検出器と、
管及びヘッドを含み、対象物に供給された液状の媒質を除去する除去装置と、
を有し、前記マニピュレータに取り付けられたエンドエフェクタと、
を備え、
前記ヘッドは、
前記管の一端に取り付けられる第1部分と、
前記管の第1孔と連なる第2孔を有し、前記第2孔の径は前記第1孔の径よりも大きい第2部分と、
を含む、検出システム。
【請求項2】
前記管及び前記ヘッドは弾性を有する、請求項1記載の検出システム。
【請求項3】
前記第2部分の硬さは、前記第1部分の硬さよりも小さい、請求項1又は2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記第1部分の外径は、前記第2部分の外径よりも小さい、請求項1~3のいずれか1つに記載の検出システム。
【請求項5】
前記第2部分の前記対象物との接触面には、前記第2孔と前記ヘッドの外部空間とに繋がる溝が設けられた、請求項1~4のいずれか1つに記載の検出システム。
【請求項6】
前記第1部分と前記第2部分とを結ぶ第1方向に垂直な第1面において、前記第2孔は円状であり、
前記溝は、前記第2孔の接線方向に沿って形成された、請求項5記載の検出システム。
【請求項7】
前記ヘッドは、前記第1部分と前記第2部分とを結ぶ第1方向において、前記検出器に対して可動である、請求項1~6のいずれか1つに記載の検出システム。
【請求項8】
前記エンドエフェクタは、前記マニピュレータの先端部に対して固定された基部を含み、
前記ヘッドは、シリンダ又は弾性部材を介して前記基部に取り付けられる、請求項1~7のいずれか1つに記載の検出システム。
【請求項9】
前記除去装置は、前記媒質を吸引する吸引器である、請求項1~8のいずれか1つに記載の検出システム。
【請求項10】
前記エンドエフェクタは、前記対象物に前記媒質を吐出する吐出器をさらに含む、請求項1~9のいずれか1つに記載の検出システム。
【請求項11】
前記マニピュレータ及び前記エンドエフェクタを制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記検出器により、前記超音波を送信し、前記反射波を検出する探査と、
前記探査の後に、前記除去装置により、前記媒質を除去する除去動作と、
を実行する、請求項1~10のいずれか1つに記載の検出システム。
【請求項12】
前記探査による前記反射波の検出結果から、前記対象物に対する前記エンドエフェクタの傾きを算出する処理装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記探査の後に、算出された前記傾きが小さくなるように前記マニピュレータを動作させる傾き補正を実行し、
前記除去動作は、前記傾き補正の後に実行される、請求項11記載の検出システム。
【請求項13】
前記制御装置は、前記傾き補正と前記除去動作の間に、前記探査を再度実行し、
前記処理装置は、再度の前記探査による前記反射波の検出結果から前記対象物を検査する、請求項12記載の検出システム。
【請求項14】
前記処理装置は、前記除去動作の実行中に、前記検査を実行する、請求項13記載の検出システム。
【請求項15】
前記媒質はカプラント液である。請求項1~14のいずれか1つに記載の検出システム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に供給された液状の媒質を介して、超音波の送受信を行うシステムがある。このシステムについて、より自動化に好適な技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-090727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、より自動化に好適な検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る検出システムは、マニピュレータと、エンドエフェクタと、を備える。前記エンドエフェクタは、超音波の送信及び反射波の検出を行う検出器と、管及びヘッドを含み、対象物に供給された液状の媒質を除去する除去装置と、を有する。前記エンドエフェクタは、前記マニピュレータに取り付けられる。前記ヘッドは、前記管の一端に取り付けられる第1部分と、前記管の第1孔と連なる第2孔を有し、前記第2孔の径は前記第1孔の径よりも大きい第2部分と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る検出システムを示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る検出システムのエンドエフェクタを示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係る検出システムのエンドエフェクタを示す側面図である。
図4図4は、吸引器の一部を示す側面図である。
図5図5は、吸引器の一部を示す斜視図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る検出システムの動作を示す模式図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、実施形態に係る検出システムの動作を示す模式図である。
図8図8は、吸引器の一部を示す側面図である。
図9図9は、検出器の先端を示す斜視図である。
図10図10(a)~図10(c)は、実施形態に係る検出装置による検出結果を説明するための模式図である。
図11図11は、探査により得られた3次元の検出結果を例示する模式図である。
図12図12は、検出器を示す模式図である。
図13図13(a)~図13(c)は、検査において得られた画像の一例である。
図14図14は、吸引器の動きを示す模式図である。
図15図15は、実施形態に係る検出システムの動作を示すフローチャートである。
図16図16は、実施形態の変形例に係る検出システムを示す模式図である。
図17図17は、ハードウェア構成を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る検出システムを示す模式図である。
実施形態に係る検出システム1は、マニピュレータ100、エンドエフェクタ200、制御装置300、及び処理装置400を含む。
【0009】
図示した例では、マニピュレータ100は、垂直多関節型である。マニピュレータ100は、水平多関節型又はパラレルリンク型であっても良い。マニピュレータ100は、垂直多関節型、水平多関節型、及びパラレルリンク型から選択される2種以上の組み合わせを含んでも良い。マニピュレータ100は、6自由度以上を有することが好ましい。
【0010】
エンドエフェクタ200は、マニピュレータ100に取り付けられる。エンドエフェクタ200は、吐出器210及び検出器220を含む。
【0011】
吐出器210は、対象物の表面に向けて液状の媒質を吐出する。媒質は、検出器220と対象物との間の音響的な結合を高めるために使用される。超音波測定に適用可能であれば、使用される媒質は任意である。一例として、粘着性の液体(ゲル)であるカプラント液が媒質として用いられる。以降では、媒質がカプラント液である例について説明する。
【0012】
検出器220は、吐出器210によって供給されたカプラント液を介して、対象物に向けて超音波を送信し、その反射波を検出する。ここでは、超音波の送信及び反射波の検出の一連の動作を、「探査」と呼ぶ。探査は、検出器220の先端がカプラント液を介して対象物と接触した状態で実行される。検出器220は、探査によって、反射波の強度を示す強度データを取得する。
【0013】
エンドエフェクタ200は、さらに、対象物に供給されたカプラント液を除去するための除去装置を有する。図示した例では、除去装置として、カプラント液を吸引する吸引器230が設けられている。吸引器230は、探査の後に、対象物に付いたカプラント液を吸引により除去する。例えば、吸引器230の先端が対象物に接触した状態で、負圧によりカプラント液が吸引される。
【0014】
マニピュレータ100は、床面に設置された筐体150によって支持される。例えば、筐体150の内部には、電源装置や圧力調整機構などが設けられる。電源装置は、マニピュレータ100に含まれるモータなどの電動アクチュエータ、エンドエフェクタ200などに電力を供給する。圧力調整機構は、マニピュレータ100に含まれる流体アクチュエータや、吐出器210、吸引器230などの圧力を調整するためのボンベ、タンク、及びコンプレッサーを含む。
【0015】
制御装置300は、マニピュレータ100及びエンドエフェクタ200の動作を制御する。制御装置300は、いわゆるロボットコントローラである。制御装置300は、制御回路、サーボ制御部などを含む。制御装置300は、予め記憶された動作プログラムに従って各軸のモータを制御することで、マニピュレータ100の動作を制御する。制御装置300は、筐体150に格納されても良いし、筐体150とは別に設けられても良い。
【0016】
処理装置400は、検出器220の探査によって得られた強度データを、検出器220から受信する。処理装置400は、強度データを用いて、対象物に関する種々のデータを算出する。例えば、対象物に対するエンドエフェクタ200の傾き、対象物の構造に関する数値などが算出される。
【0017】
図2及び図3は、実施形態に係る検出システムのエンドエフェクタを示す側面図である。
図2及び図3に示すように、エンドエフェクタ200は、基部250を含む。基部250は、マニピュレータ100の先端部に対して固定される。吐出器210、検出器220、及び吸引器230は、基部250を介してマニピュレータ100に取り付けられる。
【0018】
吐出器210には、管211が接続される。吐出器210には、管211を介してカプラント液が供給される。また、吐出器210には、アクチュエータ215が取り付けられる。アクチュエータ215は、基部250に対して吐出器210を移動させる。その他、吐出器210には、アクチュエータ215による吐出器210の移動量を制御するためのセンサ217などが設けられる。センサ217は、無接点スイッチ217a及び217bを含む。
【0019】
検出器220は、基部250に対して摺動可能である。検出器220と基部250との間には、バネ225が取り付けられる。バネ225は、基部250に対して、検出器220を可動とする。例えば、検出器220が対象物に接触すると、検出器220が基部250に向けて摺動する。バネ225が圧縮され、バネ225による弾性力が検出器220に加わる。検出器220が対象物から離れると、検出器220は、バネ225の弾性力により、基部250から離れる方向に摺動する。その他、検出器220と処理装置400との間で信号を伝送するための配線226、検出器220の移動量を検知するためのセンサ227などが設けられる。
【0020】
吸引器230には、シリンダ233が取り付けられる。シリンダ233は、基部250に対して吸引器230を移動させる。例えば、バネ225及びシリンダ233による検出器220及び吸引器230の移動方向は、マニピュレータ100の先端部と基部250とを結ぶZ方向(第1方向)に平行である。その他、吸引器230には、吸引したカプラント液を筐体150へ送り出すための不図示のパイプ、シリンダ233による吸引器230の移動量を制御するためのセンサ237などが設けられる。
【0021】
アクチュエータ215及びシリンダ233は、エアシリンダ又は流体シリンダである。センサ227及び237は、例えば、遮光センサ又は無接点スイッチを含む。
【0022】
図4は、吸引器の一部を示す側面図である。図5は、吸引器の一部を示す斜視図である。
図3図5を参照して、吸引器230の具体的構成を説明する。図3及び図4に示すように、吸引器230は、管231、ヘッド232、シリンダ233、及びガイド234を含む。なお、図4では、ヘッド232、シリンダ233、及びガイド234の内側に設けられた管231の一部が、破線で示されている。また、管231の孔及びヘッド232の孔が、点線で示されている。筐体233aの内側に設けられたヘッド232の一部が、鎖線で示されている。
【0023】
管231及びガイド234は、Z方向に沿って延びている。図示した例では、管231及びガイド234は、円筒形である。管231は、弾性を有し、変形可能である。管231は、ガイド234の内側に設けられる。ガイド234は、高い剛性を有し、管231の変形を抑制する。
【0024】
ヘッド232は、第1部分232a及び第2部分232bを含む。第1部分232aは、管231の一端に取り付けられる。第1部分232aは、Z方向に対して垂直なX-Y面(第1面)において、管231の一端の周りに設けられる。管231の他端は、パイプと接続される。ヘッド232は、管231と筐体233aとの間に挟み込まれる第3部分232cをさらに含んでも良い。第1部分232aは、第2部分232bと第3部分232cとの間に位置する。例えば、筐体233aを第3部分232cから取り外すことで、ヘッド232への固定を解除し、ヘッド232を管231から取り外すことができる。ヘッド232を交換し、別のヘッド232を管231に取り付けることができる。
【0025】
図4に示すように、管231は、第1孔H1を有する。2部分232bは、第1部分232aと連なり、第2孔H2を有する。第1孔H1及び第2孔H2は、互いに連なっている。第2孔H2は、吸引器230の外部の空間に面している。例えばカプラント液の吸引時、第2部分232bは、対象物に接触する。気体及びカプラント液は、第2孔H2及び第1孔H1を通して吸引される。
【0026】
第2孔H2の径D2は、第1孔H1の径D1よりも大きい。例えば、第1部分232aの外径d1及び管231の外径dのそれぞれは、第2部分232bの外径d2よりも小さい。図示した例では、外径d1は、ガイド234に向けて漸減している。
【0027】
ヘッド232は、シリンダ233を介して基部250に取り付けられる。シリンダ233は、エアシリンダ又は流体シリンダである。シリンダ233は、ヘッド232がZ方向に摺動できるようにヘッド232を支持する。シリンダ233は、具体的には、筐体233a及び支持部233bを含む。筐体233aは、基部250に対して固定される。支持部233bは、ヘッド232に対して固定され、且つ不図示のピストンに対して固定される。このため、支持部233bは、筐体233aに対してZ方向に摺動可能である。支持部233bの一部は、ヘッド232とガイド234との間に位置する。ガイド234は、ヘッド232及び支持部233bの摺動時にこれらの部材と接触しないように、ヘッド232及び支持部233bから離れている。ガイド234は、シリンダ233の筐体233aに対して固定される。
【0028】
なお、ヘッド232が基部250に対してZ方向に移動可能であれば、シリンダ233に代えてコイルばねなどの弾性部材が設けられても良い。
【0029】
図6(a)、図6(b)、図7(a)、及び図7(b)は、実施形態に係る検出システムの動作を示す模式図である。
まず、制御装置300は、吐出器210を対象物Oと対向させる。制御装置300は、吐出器210を対象物Oに向けて移動させる。制御装置300は、図6(a)に示すように、対象物Oに向けて吐出器210からカプラント液CPを吐出させる。
【0030】
カプラント液CPの吐出後、制御装置300は、マニピュレータ100を動作させ、検出器220を対象物Oと対向させる。制御装置300は、対象物Oに向けて検出器220を移動させる。図6(b)に示すように、検出器220の先端が、カプラント液CPを介して対象物Oと接触する。この状態で、制御装置300は、検出器220に探査を実行させる。探査によって得られた強度データは、処理装置400に送信される。
【0031】
図7(a)に示すように、制御装置300は、マニピュレータ100を動作させ、カプラント液CPが付いた部分と対向させる。制御装置300は、対象物Oに向けて吸引器230を移動させる。図7(b)に示すように、吸引器230のヘッド232が、対象物Oと接触する。この状態で、制御装置300は、吸引器230により、カプラント液CPを吸引する。図示した例において、吐出器210、検出器220、及び吸引器230が対象物Oと対向する位置は、教示点として予め設定される。
【0032】
実施形態の利点を説明する。
探査時には、検出器220と対象物Oとの間で超音波が伝搬し易くなるように、カプラント液CPが用いられる。カプラント液CPは、探査後に除去されることが望ましい。カプラント液CPが対象物Oに付いたままでは、対象物Oの表面に、変質(例えば錆び)又は劣化等が生じる可能性がある。例えば、カプラント液CPを人が拭き取る方法があるが、人手による作業が発生し、処理の自動化が阻害される。
【0033】
この課題について、実施形態に係る検出システム1では、エンドエフェクタ200が吸引器230を含む。探査の後、吸引器230を用いて、カプラント液CPを吸引できる。このため、人手によるカプラント液の拭き取り作業が省略できる。
【0034】
また、カプラント液CPには、図6(b)に示すように検出器220が接触する。このため、対象物Oの表面において、カプラント液CPが付いた領域が広がる。吸引器230のヘッド232は、第1部分232a及び第2部分232bを含む。第2部分232bの第2孔H2の径D2は、管231の第1孔H1の径D1よりも大きい。より大きな径を有する第2部分232bによってカプラント液CPを吸引することで、より広い範囲のカプラント液CPを除去できる。また、径D1を径D2よりも小さくすることで、第1部分232a及び管231を小さくできる。例えば、第1部分232aの外径d1及び管231の外径dは、第2部分232bの外径d2よりも小さい。吸引器230を小型化することで、マニピュレータ100が動作した際、吸引器230が対象物O又は他の物体と干渉し難くなる。
【0035】
実施形態によれば、自動化に好適であり、吸引器230を小型化可能な検出システム1が提供される。
【0036】
ヘッド232は、弾性を有し、変形可能であることが好ましい。弾性を有することで、ヘッド232が対象物Oと接触した際に、ヘッド232が、対象物Oの表面形状に倣って変形できる。対象物Oへのヘッド232の密着性を向上させ、カプラント液CPをより吸引し易くなる。
【0037】
ヘッド232の中で硬さに分布があっても良い。例えば、第2部分232bは対象物Oの表面形状に倣う程度の硬さを有し、第2部分232bの硬さが第1部分232aの硬さよりも大きい。これにより、ヘッド232が対象物の表面に接触した際、第2部分232bの変形によって溝Gが塞がれることを抑制できる。吸引器230による吸引動作(除去動作)の安定性を向上できる。また、第1部分232aの硬さは、第2部分232bの硬さよりも小さい。第1部分232aの硬さが相対的に小さいことで、ヘッドが対象物に接触した際に、第1部分232aが対象物Oの表面形状や傾きに倣って変形し易くなる。これにより、ヘッド232の対象物への密着性を高めることができる。
【0038】
図8は、吸引器の一部を示す側面図である。
図8では、ヘッド232及び支持部233bの内側に設けられた管231の一部が、破線で示されている。また、管231の第1孔H1、ヘッド232の第2孔H2、及び溝Gが、点線で示されている。
【0039】
図5及び図8に示すように、第2部分232bは、対象物Oと接触する接触面Sを有する。ヘッド232が対象物Oと接触していないとき、接触面Sは、X-Y面と実質的に平行である。接触面Sには、溝Gが設けられている。溝Gは、X-Y面に平行な方向に延び、第2孔H2とヘッド232の外部空間とに繋がる。吸引器230による吸引時、ヘッド232が対象物Oに吸着して空気が流れないと、カプラント液CPを吸引できない。溝Gを設けた場合、図8に示すように、ヘッド232の外部空間から第2孔H2へ、溝Gを通して、矢印Aのように空気が流れる。これにより、ヘッド232が対象物Oへ吸着することを防ぎ、カプラント液CPを吸引し易くなる。
【0040】
図示した例では、第2孔H2のX-Y面における形は、円状である。一対の溝Gが、第2孔H2の接線方向に沿ってそれぞれ形成されている。溝Gの数及び形は、カプラント液CPの吐出量、対象物Oの表面形状などに応じて、適宜変更可能である。
【0041】
また、ヘッド232は、図3及び図4に示すように、シリンダ233又は弾性部材を介して基部250に取り付けられ、基部250に対して可動であることが好ましい。吸引器230を対象物Oに押し当てた際、ヘッド232には、対象物Oからの反力が加わる。反力に応じて吸引器230が基部250に対して移動することで、マニピュレータ100又はエンドエフェクタ200に加わる反力を低減し、マニピュレータ100又はエンドエフェクタ200が損傷することを抑制できる。
【0042】
カプラント液CPを吸引する際、吸引器230の姿勢は、検出器220によって得られた強度データに応じて調整されても良い。ここでは、検出器220による反射波の検出方法、処理装置400による強度データの処理などについて説明する。
【0043】
図9は、検出器の先端を示す斜視図である。
検出器220は、図9に示すように、素子アレイ221及び伝搬部222を含む。素子アレイ221は、検出器220の内部に設けられ、複数の検出素子221aを含む。検出素子221aは、例えば、トランスデューサであり、1MHz以上100MHz以下の周波数の超音波を発する。複数の検出素子221aは、Z方向に対して垂直な方向に沿って配列されている。図示した例では、複数の検出素子221aが、互いに交差するX方向及びY方向に沿って配列されている。
【0044】
伝搬部222は、検出器220の先端に設けられる。伝搬部222は、超音波が伝搬可能である。伝搬部222は、固体であり、例えば樹脂から構成される。検出器220の動作時にも実質的な変形が生じないように十分な硬さを有する。これにより、素子アレイ221の損傷を抑制できる。
【0045】
図9の例では、検出の対象物は接合体50である。接合体50では、金属部材51(第1部材)と金属部材52(第2部材)が、溶接部53において、スポット抵抗溶接によって接合されている。溶接部53では、金属部材51の一部と金属部材52の一部が溶融し、混ざり合って凝固した凝固部54(ナゲット)が形成されている。探査において、それぞれの検出素子221aは、接合体50に向けて超音波USを送信し、接合体50からの反射波RWを受信する。探査時、カプラント液CPが、接合体50と伝搬部222との間に位置する。
【0046】
具体的な一例として、図9に示すように、1つの検出素子221aが溶接部53に向けて超音波USを送信する。超音波USの一部は、接合体50の上面または下面などで反射される。複数の検出素子221aのそれぞれは、この反射波RWを受信(検出)する。それぞれの検出素子221aが順次超音波USを送信し、それぞれの反射波RWを複数の検出素子221aで検出する。各検出素子221aは、反射波の検出に応じて電気信号を出力する。電気信号の大きさは、反射波の強度に対応する。それぞれの検出素子221aは、検出した反射波の強度を示す強度データを処理装置400へ送信する。処理装置400は、強度データに基づいて、各種処理を実行する。
【0047】
図10は、実施形態に係る検出装置による検出結果を説明するための模式図である。
検出器220から超音波が送信されると、図10(a)に示すように、超音波USの一部は、金属部材51の上面51aまたは溶接部53の上面53aで反射される。超音波USの別の一部は、接合体50に入射し、金属部材51の下面51bまたは溶接部53の下面53bで反射する。
【0048】
上面51a、下面51b、上面53a、及び下面53bのZ方向における位置は、互いに異なる。すなわち、これらの面と検出素子221aとの間のZ方向における距離が、互いに異なる。検出素子221aが、これらの面からの反射波を検出すると、反射波の強度のピークが検出される。超音波USを送信した後、各ピークが検出されるまでの時間を算出することで、どの面で超音波USが反射されているか調べることができる。
【0049】
図10(b)及び図10(c)は、超音波USを送信した後の時間と、反射波RWの強度と、の関係を例示するグラフである。ここでは、反射波RWの強度を絶対値で表している。図10(b)のグラフは、金属部材51の上面51a及び下面51b、金属部材52の下面からの反射波RWの検出結果を例示している。図10(c)のグラフは、溶接部53の上面53a及び下面53bからの反射波RWの検出結果を例示している。
【0050】
図10(b)及び図10(c)のグラフにおいて、ピークPe0は、伝搬部222と他の部材との間の境界面からの反射波RWに基づく。ピークPe1は、上面51aからの反射波RWに基づく。ピークPe2は、下面51bからの反射波RWに基づく。超音波USの送信からピークPe1及びピークPe2が検出されるまでの時間は、それぞれ、金属部材51の上面51a及び下面51bのZ方向における位置に対応する。
【0051】
同様に、ピークPe3は、上面53aからの反射波RWに基づく。ピークPe4は、下面53bからの反射波RWに基づく。超音波USの送信からピークPe3及びピークPe4が検出されるまでの時間は、それぞれ、溶接部53の上面53a及び下面53bのZ方向における位置に対応する。
【0052】
なお、反射波の強度は、任意の態様で表現されて良い。例えば、検出素子221aから出力される反射波強度は、位相に応じて、正の値及び負の値を含む。正の値及び負の値を含む反射波強度に基づいて、各種処理が実行されても良い。正の値及び負の値を含む反射波強度を、絶対値に変換しても良い。各時刻における反射波強度から、反射波強度の平均値を減じても良い。又は、各時刻における反射波強度から、反射波強度の加重平均値、重み付き移動平均値などを減じても良い。反射波強度にこれらの処理を加えた結果を用いた場合でも、本願で説明する各種処理を実行可能である。
【0053】
図11は、探査により得られた3次元の検出結果を例示する模式図である。
探査では、上述したように、それぞれの検出素子221aが超音波を順次送信し、それぞれの反射波を複数の検出素子221aで検出する。図9に示す具体例では、8×8の64個の検出素子221aが設けられている。この場合、64個の検出素子221aが超音波を順次送信する。1つの検出素子221aは、反射波を64回繰り返し検出する。1つの検出素子221aからは、Z方向の反射波強度分布の検出結果が、64回出力される。1つの検出素子221aから出力された64回の反射波の強度分布は、合算される。合算された強度分布が、1回の探査において、1つの検出素子221aが設けられた座標における強度分布となる。64個の検出素子221aのそれぞれによる検出結果について、同様の処理が実行される。これにより、X-Y面内の各点において、Z方向における反射波の強度分布が生成される。図11は、その3次元の強度分布を画像で示すものである。図11において、輝度が高い部分は、超音波の反射波強度が相対的に大きい部分である。
【0054】
反射波に含まれる各ピークの強度、各ピークのZ方向における位置などは、対象物の状態に応じて変化する。このため、強度データから、対象物についての情報を得ることができる。例えば、強度データは、吸引器230の姿勢の調整の他、対象物の内部構造の検査に利用可能である。
【0055】
図12は、検出器を示す模式図である。
傾きは、例えば図12に示した、検出器220の方向Di1に対応する。方向Di1は、複数の検出素子221aの配列方向に対して垂直である。傾きは、検出器220の方向Di1と、溶接部53の法線方向Di2と、の間のX方向まわりの角度θx及びY方向まわりの角度θyによって表される。
【0056】
図13(a)~図13(c)は、検査において得られた画像の一例である。
傾きの算出方法について説明する。図13(a)は、溶接部53近傍のX-Y面における反射波の強度分布を示す画像である。図13(b)は、溶接部53近傍のY-Z面における反射波の強度分布を示す画像である。図13(c)は、溶接部53近傍のX-Z面における反射波の強度分布を示す画像である。図13(a)~図13(c)の各画像において、輝度は、反射波の強度に対応する。すなわち、画素の色が明るいほど、その点における反射波強度が高いことを示している。
【0057】
角度θxは、図13(b)に示したように、Y-Z面での検出結果に基づいて算出される。角度θyは、図13(c)に示したように、X-Z面での検出結果に基づいて算出される。具体的には、処理装置400は、3次元の輝度勾配の平均を算出する。処理装置400は、X方向まわりの勾配の平均を角度θxとして用いる。処理装置400は、Y方向まわりの勾配の平均を角度θyとして用いる。
【0058】
図14は、吸引器の動きを示す模式図である。
制御装置300は、処理装置400による傾きの算出に応じて、傾き補正を実行する。傾き補正において、制御装置300は、マニピュレータ100を動作させる。図14に示すように、エンドエフェクタ200は、吸引器230の溶接部53に対する傾きが小さくなるように動く。検出システム1では、吸引器230の方向Di3は、検出器220の方向Di1と実質的に平行である。方向Di3は、ヘッド232の第1部分232aと第2部分232bとを結ぶ方向、又は管231及びガイド234が延びる方向に対応する。このため、角度θx及び角度θyが小さくなるようにエンドエフェクタ200を移動させることで、吸引器230の溶接部53に対する傾きを小さくできる。
【0059】
又は、方向Di3は、方向Di1と交差しても良い。その場合、方向Di1に対する方向Di3の傾きを用いて、算出された角度θx及び角度θyが補正されても良い。制御装置300は、補正された角度θx及び角度θyに基づき、吸引器230の溶接部53に対する傾きが小さくなるように、エンドエフェクタ200を移動させる。
【0060】
吸引器230が接合体50の表面に対してより垂直であるほど、ヘッド232が接合体50の表面形状に倣って変形し易くなる。例えば、吸引時にヘッド232と接合体50との間に生じる隙間を小さくし、カプラント液CPをより吸引し易くなる。このため、吸引器230による吸引は、傾き補正の後に実行されることが好ましい。
【0061】
検出器220は、傾き補正の後、探査を再び実行しても良い。傾きが小さいほど、対象物からの反射波が検出器220によって検出され易くなる。このため、傾き補正の後に探査を実行することで、対象物に関するより正確な情報が得られる。この場合、再度の探査の後に、吸引動作が実行される。なお、再度の探査の後、さらに傾きが補正されても良い。吸引動作は、追加の傾き補正の後に実行される。
【0062】
処理装置400は、探査によって得られた強度データを用いて、対象物を検査することができる。例えば、処理装置400は、X-Y面内の各点におけるZ方向の反射波強度分布において、ピークPe2が存在するか判定する。一例として、処理装置400は、ピークPe2が検出されうるZ方向の所定範囲におけるピークを検出する。一例として、図10に示す強度データのうち、範囲Raが所定範囲として設定される。範囲Raには、ピークPe2が含まれる。範囲Raは、ピークPe1を基準に設定される。又は、範囲Raは、伝搬部222の厚さ、金属部材51の厚さなどに基づき、予め設定されても良い。処理装置400は、範囲Raに含まれるピークの強度を、所定の閾値と比較する。ピークが閾値を超えているとき、処理装置400は、そのピークがピークPe2であると判定する。X-Y面においてピークPe2が存在する点は、下面51bが存在する点に対応する。すなわち、ピークPe2の存在は、その点で金属部材51と金属部材52が接合されていないことを示す。処理装置400は、ピークPe2が検出された点を、接合されていないと判定する。
【0063】
処理装置400は、X-Y面内の各点が接合されているか順次判定する。接合されていると判定された点の集合が、溶接部53に対応する。例えば、検査では、溶接部53が形成されているかを調べる。例えば、処理装置400は、検査において、溶接部53の径を算出する。径は、X-Y面に平行な任意の一方向における溶接部53の長さである。処理装置400は、検査において、溶接部53の厚み、又は溶接部53の上面53aの深さを算出しても良い。溶接部53の厚みは、上面53aと下面53bとの間のZ方向における距離である。溶接部53の厚みは、ピークPe3とピークPe4との間の時間差TD1に基づいて算出できる。上面53aの深さは、上面51aと上面53aとの間のZ方向における距離である。上面53aの深さは、ピークPe1とピークPe3との間の時間差TD2に基づいて算出できる。処理装置400は、検査において、溶接部53の径、溶接部53の厚さ、及び上面53aの深さの少なくともいずれかを、予め設定された閾値と比較し、溶接の良否を判定しても良い。
【0064】
例えば、検査は、探査の後の吸引動作と並行して実行される。具体的には、吸引器230が対象物に向けて移動している間、吸引器230がカプラント液を吸引している間などに、検査に関する計算処理の少なくとも一部が実行される。これにより、1つの対象物に対する処理時間を短縮できる。
【0065】
図15は、実施形態に係る検出システムの動作を示すフローチャートである。
図15を参照して、一実施例に係る検出システム1の動作の概要を説明する。制御装置300は、マニピュレータ100を動作させ、エンドエフェクタ200を移動させる(ステップS1)。制御装置300は、吐出器210により対象物へカプラント液を吐出する吐出動作を実行する(ステップS2)。制御装置300は、検出器220による探査を実行する(ステップS3)。処理装置400は、探査で得られた強度データに基づいて、対象物に対する検出器220の傾きを算出する(ステップS4)。処理装置400は、算出された傾きを予め設定された閾値と比較する(ステップS5)。傾きが閾値よりも大きい場合、制御装置300は、傾きが小さくなるようにマニピュレータ100を動作させる傾き補正を実行する(ステップS6)。これにより、検出器220の対象物に対する傾きが補正されるとともに、吸引器230の対象物に対する傾きも補正される。その後、ステップS3が再度実行される。
【0066】
ステップS5において傾きが閾値以下である場合、制御装置300は、吸引器230によるカプラント液の吸引動作を実行する(ステップS7)。また、処理装置400は、最後の探査(ステップS3)で得られた強度データに基づいて、検査を実行する(ステップS8)。吸引動作の後、制御装置300は、検査されていない他の対象物が有るか判定する(ステップS9)。他の対象物が有る場合、その対象物に対してステップS1が再度実行される。
【0067】
なお、図15に示すフローチャートでは、ステップS9における判定が、ステップS7及びS8の後に実行されている。ステップS9は、ステップS7の完了後であれば、ステップS8が完了したか否かに拘わらず実行されて良い。例えば、ステップS8における計算処理の一部は、他の対象物に向けたマニピュレータ100の動作中に実行されても良い。
【0068】
(変形例)
図16は、実施形態の変形例に係る検出システムを示す模式図である。
検出システム1では、1つのマニピュレータ100に、検出器220及び吸引器230を含む1つのエンドエフェクタ200が取り付けられる。これに対して、図16に示す検出システム2は、マニピュレータ100a、マニピュレータ100b、エンドエフェクタ200a、エンドエフェクタ200b、制御装置300a、及び制御装置300bを含む。
【0069】
マニピュレータ100aの構成及びマニピュレータ100bの構成として、マニピュレータ100と同様の構成をそれぞれ採用することができる。エンドエフェクタ200aは、マニピュレータ100aに取り付けられる。エンドエフェクタ200aは、吐出器210及び検出器220を含む。制御装置300aは、マニピュレータ100a及びエンドエフェクタ200aを制御する。エンドエフェクタ200bは、マニピュレータ100bに取り付けられる。エンドエフェクタ200bは、吸引器230を含む。制御装置300bは、マニピュレータ100b及びエンドエフェクタ200bを制御する。
【0070】
検出システム2は、検出システム1と同様の動作を実行可能である。例えば、エンドエフェクタ200aによる吐出及び探査の後、エンドエフェクタ200bによる吸引動作が実行される。エンドエフェクタ200aの傾き補正が実行されるとともに、エンドエフェクタ200bの傾き補正が実行されても良い。これにより、吸引器230がカプラント液CPをより吸引し易くなる。
【0071】
例えば、制御装置300aは、処理装置400による傾きの算出に応じて、マニピュレータ100aを動作させ、エンドエフェクタ200aの傾き補正を実行する。これにより、検出器220の溶接部53に対する傾きが小さくなる。また、制御装置300bが、処理装置400による傾きの算出に応じて、マニピュレータ100bを動作させ、エンドエフェクタ200bの傾き補正を実行する。これにより、吸引器230の溶接部53に対する傾きが小さくなる。
【0072】
検出システム2によれば、吐出器210及び検出器220の姿勢に拘わらず、吸引器230の姿勢を制御できる。例えば、検出器220による探査と並行して、吸引器230の姿勢を制御できる。このため、1つの対象物に対する処理時間を短縮可能である。一方、検出システム1によれば、マニピュレータ同士の干渉を回避できる。マニピュレータ100に対する教示作業が容易となる。
【0073】
図17は、ハードウェア構成を表す模式図である。
制御装置300、制御装置300a、制御装置300b、及び処理装置400として、例えば図17に示すコンピュータ90をそれぞれ用いることができる。コンピュータ90は、CPU91、ROM92、RAM93、記憶装置94、入力インタフェース95、出力インタフェース96、及び通信インタフェース97を含む。
【0074】
ROM92は、コンピュータ90の動作を制御するプログラムを格納している。ROM92には、上述した各処理をコンピュータ90に実現させるために必要なプログラムが格納されている。RAM93は、ROM92に格納されたプログラムが展開される記憶領域として機能する。
【0075】
CPU91は、処理回路を含む。CPU91は、RAM93をワークメモリとして、ROM92又は記憶装置94の少なくともいずれかに記憶されたプログラムを実行する。プログラムの実行中、CPU91は、システムバス98を介して各構成を制御し、種々の処理を実行する。
【0076】
記憶装置94は、プログラムの実行に必要なデータや、プログラムの実行によって得られたデータを記憶する。
【0077】
入力インタフェース(I/F)95は、コンピュータ90と入力装置95aとを接続する。入力I/F95は、例えば、USB等のシリアルバスインタフェースである。CPU91は、入力I/F95を介して、入力装置95aから各種データを読み込むことができる。
【0078】
出力インタフェース(I/F)96は、コンピュータ90と出力装置96aとを接続する。出力I/F96は、例えば、Digital Visual Interface(DVI)やHigh-Definition Multimedia Interface(HPMI(登録商標))等の映像出力インタフェースである。CPU91は、出力I/F96を介して、出力装置96aにデータを送信し、出力装置96aに画像を表示させることができる。
【0079】
通信インタフェース(I/F)97は、コンピュータ90外部のサーバ97aと、コンピュータ90と、を接続する。通信I/F97は、例えば、LANカード等のネットワークカードである。CPU91は、通信I/F97を介して、サーバ97aから各種データを読み込むことができる。
【0080】
記憶装置94は、Hard Disk Drive(HDD)及びSolid State Drive(SSD)から選択される1つ以上を含む。入力装置95aは、マウス、キーボード、マイク(音声入力)、及びタッチパッドから選択される1つ以上を含む。出力装置96aは、モニタ、プロジェクタ、プリンタ、及びスピーカから選択される1つ以上を含む。タッチパネルのように、入力装置95aと出力装置96aの両方の機能を備えた機器が用いられても良い。
【0081】
上記の種々のデータの処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又は、他の非一時的なコンピュータで読取可能な記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されても良い。
【0082】
例えば、記録媒体に記録された情報は、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0083】
以上で説明した実施形態によれば、自動化に好適な検出システムが提供される。
【0084】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0085】
1,2:検出システム、 50:接合体、 51:金属部材、 51a:上面、 51b:下面、 52:金属部材、 53:溶接部、 53a:上面、 53b:下面、 54:凝固部、 90:コンピュータ、 91:CPU、 92:ROM、 93:RAM、 94:記憶装置、 95:入力インタフェース、 95a:入力装置、 96:出力インタフェース、 96a:出力装置、 97:通信インタフェース、 97a:サーバ、 98:システムバス、 100,100a、100b:マニピュレータ、 150:筐体、 200,200a,200b:エンドエフェクタ、 210:吐出器、 211:管、 215:アクチュエータ、 217:センサ、 220:検出器、 221:素子アレイ、 221a:検出素子、 222:伝搬部、 225:バネ、 226:配線、 227:センサ、 230:吸引器、 231:管、 232:ヘッド、 232a:第1部分、 232b:第2部分、 232c:第3部分、 233:シリンダ、 233a:筐体、 233b:支持部、 234:ガイド、 237:センサ、 250:基部、 300,300a,300b:制御装置、 400:処理装置、 CP:カプラント液、 D1,D2:径、 Di1~Di3:方向、 G:溝、 H1:第1孔、 H2:第2孔、 O:対象物、 Pe0~Pe4:ピーク、 RW:反射波、 Ra:範囲、 S:接触面、 TD1:時間差、 TD2:時間差、 US:超音波、 d,d1,d2:外径、 θx,θy:角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17