(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141503
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20230928BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20230928BHJP
E03C 1/044 20060101ALI20230928BHJP
A47K 1/02 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A47K1/00 A
E03C1/042 C
E03C1/044
A47K1/02 B
A47K1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047854
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 啓之
(72)【発明者】
【氏名】日影 正弘
(72)【発明者】
【氏名】神野 晃一
(72)【発明者】
【氏名】中野 太久馬
(72)【発明者】
【氏名】加藤 美香
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BB07
2D060BC00
2D060BC11
2D060BE11
2D060BE15
2D060BF01
(57)【要約】
【課題】簡単な操作で吐水と止水を行えるようにする。
【解決手段】洗面化粧台Aは、ボウル部13を有する洗面台10と、洗面台10の上方に配置されたミラーキャビネット30と、ミラーキャビネット30の下方に配置されたカバー50と、吐水部42における吐水と止水を行う吐止水用バルブ25を含み、少なくとも一部がカバー50内に収容された水栓機能部20と、カバー50の前面50Fに配置され、吐止水用バルブ25を操作する吐止水用操作部材60と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部を有する洗面台と、
前記洗面台の上方に配置されたミラーキャビネットと、
前記ミラーキャビネットの下方に配置されたカバーと、
吐水部における吐水と止水を行う吐止水用バルブを含み、少なくとも一部が前記カバー内に収容された水栓機能部と、
前記カバーの前面に配置され、前記吐止水用バルブを操作する吐止水用操作部と、を備えている洗面化粧台。
【請求項2】
前記吐止水用バルブにおける吐水モードと止水モードとの切替えが、前記吐止水用操作部の前面を押すことによって行われる請求項1記載の洗面化粧台。
【請求項3】
前記吐止水用操作部が前記吐止水用バルブを止水モードに切り替えた状態では、前記吐止水用操作部の前面が、前記ミラーキャビネットを構成するミラー部材の前面に対して、前後方向でほぼ同じ位置に配置される請求項2に記載の洗面化粧台。
【請求項4】
前記吐止水用操作部が前記吐止水用バルブを吐水モードに切り替えた状態では、前記吐止水用操作部の前面が、前記ミラーキャビネットを構成するミラー部材の前面よりも前方に配置される請求項2及び請求項3のいずれか1項に記載の洗面化粧台。
【請求項5】
前記カバーの前面のうち前記吐止水用操作部を包囲する部位には、前記吐止水用操作部に近づくほど前方へ突き出すように盛り上がった膨出部が形成されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗面化粧台。
【請求項6】
前記水栓機能部が、前記吐水部から吐出される水の温度調節と流量調節を行う調節用操作部を有し、
前記吐水部と前記調節用操作部が、前記ミラーキャビネットの下方において左右方向に並ぶように配置され、
前記吐止水用操作部が、左右方向において前記吐水部と前記調節用操作部との間に配置されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の洗面化粧台。
【請求項7】
前記吐止水用操作部が、前記カバーの前面のうち下端側領域のみに配置されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の洗面化粧台。
【請求項8】
前記ミラーキャビネットは、上下方向の支持軸を支点として開閉可能なミラー部材を有しており、
前記吐止水用操作部は、前記ミラー部材の全幅に亘る範囲内のうち、前記ミラー部材の左右方向中央部よりも前記支持軸に近い位置に配置されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の洗面化粧台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボウル部を有する洗面台と、洗面台の上方に配置されたミラーキャビネットとを備えた洗面化粧台が開示されている。ミラーキャビネットの下端部には、水を吐出するための吐水部と、吐水部から吐出される水の温度と流量を調整するためのハンドルが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水の温度と流量を調節する際には、ハンドルを前後左右に動かす。温調機能と流調機能を兼ね備えたハンドルの動きは複雑であるため、使用者は指や掌でハンドルに触れながら操作を行う必要がある。このとき、指や掌が汚れていると、その汚れがハンドルに付着することになる。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、簡単な操作で吐水と止水を行えるようにすることを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の洗面化粧台は、ボウル部を有する洗面台と、前記洗面台の上方に配置されたミラーキャビネットと、前記ミラーキャビネットの下方に配置されたカバーと、吐水部における吐水と止水を行う吐止水用バルブを含み、少なくとも一部が前記カバー内に収容された水栓機能部と、前記カバーの前面に配置され、前記吐止水用バルブを操作する吐止水用操作部と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】ミラーキャビネットとカバーを外した状態の部分拡大斜視図
【
図5】吐止水用操作部材が吐水位置にある状態の部分拡大平断面図
【
図6】吐止水用操作部材が止水位置にある状態の部分拡大平断面図
【
図7】吐止水用操作部材が吐水位置にある状態の部分拡大側断面図
【
図8】吐止水用操作部材が止水位置にある状態の部分拡大側断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
以下、本開示を具体化した実施形態1を
図1~
図8を参照して説明する。本実施形態1の洗面化粧台Aは、床面に載置される洗面台10と、洗面台10の上方において建物の壁面Wに固定されたミラーキャビネット30と、水栓機能部20と、を備えている。
【0009】
以下の説明において、洗面化粧台Aの前後の方向については、使用者が洗面化粧台Aを利用する位置に立ったときに、使用者から見て手前側を前側、使用者から見て奥側(壁面W側)を後側と定義する。
図1,4~8におけるX軸の正方向が、前方である。洗面化粧台Aの左右の方向については、使用者が洗面化粧台Aを使用する位置に立ったときに、使用者から見た向きを、そのまま、左方及び右方と定義する。左右方向と幅方向を同義で用いる。
図1~6におけるY軸の正方向が、右方である。上下の方向については、
図1~4,7,8におけるZ軸の正方向を、上方と定義する。上下方向と高さ方向を同義で用いる。
【0010】
図1に示すように、洗面台10は、箱形の下側収納部11と、下側収納部11の上面に配置された天板12と、天板12に取り付けたボウル部13と、天板12の後端縁から上方へ立ち上がった立壁14とを有する。立壁14のうち左右方向中央よりも右方の領域には、水栓機能部20が取り付けられている。
図3,4に示すように、水栓機能部20は、混合栓21と吐止水用バルブ25とを備えている。混合栓21と吐止水用バルブ25は同じ高さに配置され、混合栓21は吐止水用バルブ25よりも右方に位置する。混合栓21と吐止水用バルブ25は、立壁14を前後に貫通した状態で取り付けられている。
【0011】
混合栓21には、上水道(図示省略)に繋がる給水配管(図示省略)の下流端と、給湯器(図示省略)に繋がる給湯配管(図示省略)の下流端と、第1混合水配管(図示省略)の上流端と、第2混合水配管22(
図5,6参照)の上流端と、が接続されている。給水配管と給湯配管と第1混合水配管と第2混合水配管22は、いずれも、立壁14よりも後方(壁面W側)に配管されている。給水配管と給湯配管を通して混合栓21に供給された水(水と湯の両方を含む)は、第1混合水配管及び第2混合水配管22へ吐出される。
【0012】
図3,4に示すように、混合栓21は、下方へ突出した調節用操作部材23を有する。調節用操作部材23は、立壁14よりも前方に配置されている。第1混合水配管及び第2混合水配管22へ吐出される水の温度と流量は、調節用操作部材23の操作によって調節することができる。調節用操作部材23を前方へ動かすと流量が増大し、調節用操作部材23を後方へ動かすと流量が低下する。調節用操作部材23を最後端位置まで移動させると、第1混合水配管及び第2混合水配管22への吐水が停止する。調節用操作部材23を時計回り方向へ回転させると、給湯配管から混合栓21に供給される湯の量が増大し、第1混合水配管及び第2混合水配管22へ吐出される水の温度が高くなる。調節用操作部材23を反時計回り方向へ回転させると、第1混合水配管及び第2混合水配管22へ吐出される水の温度が低下する。調節用操作部材23を反時計回り方向における回転端まで回転させると、給湯配管から混合栓21への湯の供給が停止する。
【0013】
図5~8に示すように、吐止水用バルブ25は、開閉弁機構が内蔵されたバルブ本体部26と、バルブ本体部26の前面に配置された被操作部27とを有する。被操作部27は、立壁14よりも前方に位置する。バルブ本体部26には、第2混合水配管22の下流端と、第3混合水配管29(
図7,8参照)の上流端とが接続されている。第3混合水配管29は、立壁14の後方に配管されている。混合栓21の吐出ポートに接続された第1混合水配管の下流端と、吐止水用バルブ25の吐出ポートに接続された第3混合水配管29の下流端は、共通の合流配管(図示省略)に接続されている。
【0014】
被操作部27の鉛直方向の前面は、後述する吐止水用操作部材60からの操作力を受けるための操作力受け面28として機能する。吐止水用バルブ25を前方から見た正面視において、被操作部27(操作力受け面28)は円形をなしている。被操作部27は、前方からの押込力(吐止水用操作部材60からの操作力)を受ける度に、止水位置(
図6,8参照)と、止水位置よりも前方へ水平に進出した吐水位置(
図5,7参照)とに交互に保持される。被操作部27が止水位置に保持されている状態では、吐止水用バルブ25は、第3混合水配管29への吐水を停止する止水モードに維持される。止水位置の被操作部27が前方から押されると、被操作部27は、一旦後方へ移動した後、バネ(図示省略)の弾力によって前方の吐水位置へ移動し、吐水位置に保持される。
【0015】
被操作部27が吐水位置へ移動すると、吐止水用バルブ25は、第2混合水配管22から供給された水を第3混合水配管29へ吐出する吐水モードに切り替わり、吐水モードを維持する。吐止水用バルブ25は、水の温度と流量を調節する機能を有していない。したがって、吐止水用バルブ25から第3混合水配管29へ吐出される水の温度と流量は、混合栓21で規定されている温度と流量である。吐水モードにおいて、吐水位置の被操作部27が前方から押されると、被操作部27は後方の止水位置へ移動し、止水位置に保持される。被操作部27が止水位置へ移動すると、吐止水用バルブ25は、第3混合水配管29への吐水を停止する止水モードに切り替わり、止水モードを維持する。
【0016】
ミラーキャビネット30は、
図1に示すように、上側収納部31と、中央ミラー部材36Cと、左側ミラー部材36Lと、右側ミラー部材36Rとを有する。上側収納部31は、収納ボックス32(
図7,8参照)と幕板部33(
図7,8参照)とコンセントボックス34(
図1,2参照)とを一体形成した部材である。収納ボックス32は、前面が開口した箱状をなし、左右に区画された3つの収納室(図示省略)を有している。幕板部33は、収納ボックス32の前面下端縁部から下方へ延出している。コンセントボックス34は、幕板部33の右端部から下方へ突出している。コンセントボックス34には、コンセント35が設けられている。
【0017】
3つのミラー部材36C,36L,36Rは、収納ボックス32に取り付けられていて、3つの収納室の前面の開口を個別に開閉するようになっている。各ミラー部材36C,36L,36Rは、前面が鏡面として機能するミラー本体37と、ミラー本体37の上端縁部及び下端縁部を保護する保護部材38とを有する。中央ミラー部材36Cは、中央ミラー部材36Cの右端部に設けた鉛直方向の支持軸39(
図2参照)を支点として、開閉されるようになっている。左側ミラー部材36Lは、左側ミラー部材36Lの右端部を支点として回転可能に支持されている。右側ミラー部材36Rは、右側ミラー部材36Rの左端部を支点として回転可能に支持されている。3つのミラー部材36C,36L,36Rの下端は、幕板部33の下端と同じ高さ、及び幕板部33の下端より上側の高さのいずれかの高さに位置する。3つのミラー部材36C,36L,36Rが閉じた状態では、幕板部33が3つのミラー部材36C,36L,36Rによって前方から覆い隠される。
【0018】
ミラーキャビネット30には、吐水部42と、カバー50と、吐止水用操作部材60と、が取り付けられている。ケース40は、上面が開放された箱形をなす。ケース40の背面部と底面部には、挿通孔41(
図3,4参照)が形成されている。ケース40は、立壁14の前面上端部に取り付けられている。ケース40は、収納ボックス32よりも下方に配置されている。吐水部42は、屈曲した形状をなし、下向きの給水ポート(図示省略)と、斜め下前方へ延びたノズル43とを有する。吐水部42は、背面部の挿通孔41と立壁14の連通孔(図示省略)を貫通した状態で、ネジ止めによってケース40に固定されている。給水ポートは、立壁14の後面側に配置される。ノズル43は、底面部の挿通孔41を貫通してケース40の下方へ突出している。ノズル43は、洗面化粧台Aの左右方向中央に配置されている。
【0019】
カバー50は、合成樹脂製であり、左右方向に細長い底板部51(
図7,8参照)と、底板部51の前端縁から上方立ち上がった左右方向に細長い前板部52(
図7,8参照)と、左側板部53L(
図2参照)と、右側板部53R(
図2参照)を有する。左側板部53Lは、底板部51及び前板部52の左側縁部に連なっている。右側板部53Rは、底板部51の右側縁部から低く立ち上がっている。カバー50の内側の空間(前板部52の上端よりも下方で、底板部51の後端よりも前方の空間)は、収容空間54として機能する。底板部51のうち左右方向中央よりも右方の領域には、
図2に示すように、操作用開口部55と、吐水用開口部56とが形成されている。
【0020】
図2に示すように、前板部52のうち左右方向中央よりも右方の領域には、ガイド用開口部57が形成されている。カバー50を前方から見た正面視において、ガイド用開口部57の開口形状は、上下方向の高さ寸法に比べて左右方向の幅寸法が大きい横長の長方形である。上下方向におけるガイド用開口部57の開口範囲は、前板部52の上下方向中央高さよりも下方の領域のみである。詳細には、ガイド用開口部57は、前板部52の下半分の領域のみに開口している。
図5~8に示すように、前板部52には、吐止水用操作部材60を前後方向に進退移動し得るようにガイドするためのガイド部58が形成されている。ガイド部58は、横長の筒状をなし、ガイド用開口部57の開口縁から後方(カバー50の内側)へ延出している。
【0021】
前板部52の前面52Fのうちガイド用開口部57を包囲する領域には、前方へ突出した形状の膨出部59が形成されている。膨出部59は、ガイド用開口部57に接近するほど、前方への突出量が大きくなる膨出形状である。膨出部59の前端面にガイド用開口部57が開口している。
【0022】
吐止水用操作部材60は、ボタンベース61とボタンヘッド65とを組み付けて一体化させた部材である。吐止水用操作部材60は、高さ寸法に比べて幅寸法の大きい偏平なトラック形状をなす。ボタンベース61の幅方向中央部には、後方へ片持ち状に突出した操作力伝達部62が形成されている。ボタンベース61の左右両端部には、後方へ片持ち状に延出した一対の弾性係止片63が形成されている。弾性係止片63の後端部には、外向きの係止突起64が形成されている。弾性係止片63は、左右方向への弾性変形が可能である。
【0023】
ボタンヘッド65は、高さ寸法に比べて幅寸法の大きい偏平な形状をなし、ボタンベース61の前端部に組み付けられている。ボタンヘッド65の前面は、操作面66として機能する。ボタンヘッド65の外周面のうち後端側領域(
図5~8における想像線よりも後方の領域)には、識別部67が形成されている。識別部67は、ボタンヘッド65の外周面の前端側領域及び操作面66に対して、表面処理、色調、光沢度等を異ならせたものである。識別部67の一例として、サテン調の表面処理を施したものがある。
【0024】
吐止水用操作部材60は、その一部をガイド部58内に収容した状態で、カバー50の前板部52に取り付けられている。ボタンベース61の前端側領域と、ボタンヘッド65の後端側領域とがガイド府内に収容されている。吐止水用操作部材60の前端部(ボタンヘッド65の前端側領域一部)は、カバー50の前面50Fの平面領域よりも前方に位置し、膨出部59(ガイド部58)の最前端から前方へ突出している。吐止水用操作部材60は、ガイド部58によってガイドされることにより、止水位置(
図6,8参照)と、止水位置よりも前方の吐水位置(
図5,7参照)との間で進退移動する。
【0025】
カバー50は、幕板部33に取り付けられている。カバー50は、収納ボックス32の下面を覆い、立壁14の前面上端縁部を覆うように配置されている。カバー50の前板部52は、幕板部33の下方に隣接するように配置される。
図7,8に示すように、前板部52の前面52F(膨出部59が形成されていない平面領域)と幕板部33の前面33Fは、前後方向において同じ位置に配置されている。膨出部59を含む前板部52の全体は、閉じた状態のミラー部材36C,36L,36Rの保護部材38の前面38Fよりも後方に位置する。カバー50は、コンセントボックス34と同じ高さに配置され、コンセントボックス34の左方に隣り合うように配置される。カバー50は、閉じた状態のミラー部材36C,36L,36Rの下端縁に沿い、且つミラー部材36C,36L,36Rの下方に並ぶように配置されている。カバー50の上端と、ミラー部材36C,36L,36Rの保護部材38の下端は、同じ高さに位置する。
【0026】
混合栓21と吐止水用バルブ25のうち立壁14から前方へ突出している部位の大部分は、カバー50の内側の収容空間54内に収容されている。混合栓21の上端部は、カバー50の前板部52の上端(幕板部33の下端)よりも上方、即ち収容空間54の外部に位置する。
図2に示すように、調節用操作部材23は、操作用開口部55を貫通して、カバー50の底板部51よりも下方へ突出している。ケース40と吐水部42の一部は、カバー50内に収容される。吐水部42のノズル43は、吐水用開口部56を貫通して、底板部51よりも下方へ突出している。
【0027】
カバー50をミラーキャビネット30に取り付けた状態では、吐止水用操作部材60の操作力伝達部62の後端面が、吐止水用バルブ25の被操作部27の前面(操作力受け面28)に当接する。
図6,8に示すように、吐止水用操作部材60が止水位置にある状態では、被操作部27が止水位置に押し込まれ、吐止水用バルブ25が止水モードに保持される。吐止水用操作部材60が止水位置にある状態では、操作面66が、閉じた状態にあるミラー部材36C,36L,36Rの保護部材38の前面38Fと、前後方向において概ね同じ位置にある。このとき、識別部67は、その全体がガイド部58内に収容されているため、識別部67を目視することができない。
【0028】
止水位置の吐止水用操作部材60の前面(操作面66)を前方から押すと、吐止水用操作部材60は、一旦僅かに後退した後、被操作部27側からの押し戻し力によって前方へ押し返される。押し返された吐止水用操作部材60が吐水位置に到達すると、
図5に示すように、弾性係止片63の係止突起64がガイド部58の後端縁に引っ掛かることによって、吐止水用操作部材60と被操作部27が吐水位置に保持される。
図5,7に示すように、吐止水用操作部材60が吐水位置へ移動すると、吐止水用バルブ25が吐水モードに切り替わる。吐水位置にある吐止水用操作部材60の操作面66を押し操作すると、吐止水用操作部材60と被操作部27が止水位置へ移動し、吐止水用バルブ25が止水モードに保持される。
【0029】
吐止水用操作部材60が吐水位置にある状態では、操作面66が、閉じた状態にあるミラー部材36C,36L,36Rの保護部材38の前面38Fよりも前方へ突出した位置にある。このとき、識別部67がガイド用開口部57(膨出部59の最前端)よりも前方へ露出するので、目視することができる。識別部67を目視できるか否かによって、吐止水用操作部材60が止水位置と吐水位置のいずれに位置しているか(吐止水用バルブ25が止水モードと吐水モードのいずれであるか)を識別することができる。
【0030】
吐止水用操作部材60の中心部は、左右方向及び上下方向において、吐止水用バルブ25の被操作部27の中心と同じ位置にある。吐止水用操作部材60は、左右方向において、吐水部42のノズル43と、混合栓21の調節用操作部材23との間に配置されている。左右方向に細長い吐止水用操作部材60は、中央ミラー部材36Cの左右方向に延びる下端縁に沿うように配置されている。
図7,8に示すように、吐止水用操作部材60の上端縁と、中央ミラー部材36Cの下端縁との間には、前方へ開放された指掛け空間68(間隔)が確保されている。例えば、使用者の掌や指先が汚れているような場合に、手の甲で吐止水用操作部材60を押し操作しても、手の甲が中央ミラー部材36Cの下端部に当たる虞がない。
【0031】
中央ミラー部材36Cは、中央ミラー部材36Cの右端部の支持軸39を支点として開閉する。中央ミラー部材36Cを開くときには、中央ミラー部材36Cの下端縁部のうち支持軸39(吊元)から遠い部位(戸先側の部位)に対して下から指を引っ掛けて手前に引くようにする。この点に鑑み、左右方向において、吐止水用操作部材60は、中央ミラー部材36Cの中央と右端部(支持軸39)との間に配置した。この配置によれば、中央ミラー部材36Cを開くときに、指や手が吐止水用操作部材60に当たる虞がない。
【0032】
本実施形態1の洗面化粧台Aは、ボウル部13を有する洗面台10と、ミラー部材36C,36L,36Rを有するミラーキャビネット30と、カバー50と、水栓機能部20と、吐止水用操作部材60とを備えている。ミラーキャビネット30は、洗面台10の上方に配置されている。カバー50は、ミラーキャビネット30の下方に配置されている。水栓機能部20は、吐水部42における吐水と止水を行うための吐止水用バルブ25を含んでいる。水栓機能部20の少なくとも一部は、カバー50内に収容されている。
【0033】
吐止水用操作部材60は、吐止水用バルブ25を操作するための部材であり、カバー50の前面50Fに配置されている。カバー50は中央ミラー部材36Cの下端縁に沿うように配置されているので、吐止水用操作部材60も、中央ミラー部材36Cの下端縁に沿うように位置する。吐止水用操作部材60を操作することによって、吐止水用バルブ25が止水モードと吐水モードとに切り替えられ、吐水部42における吐水と止水とが行われる。吐止水用操作部材60は、吐出する水の温度や流量を調整する機能を有していないので、操作が簡単である。
【0034】
吐止水用バルブ25における吐水モードと止水モードとの切替えは、吐止水用操作部材60の前面の操作面66を押すことによって行われるので、吐止水用操作部材60を2本の指で摘む必要がない。掌や指が汚れている場合は、手の甲によって吐止水用操作部材60を操作することができる。手や指の運動機能が低下した高齢者や身障者でも、吐止水用操作部材60を操作することができる。
【0035】
吐止水用操作部材60が吐止水用バルブ25を止水モードに切り替えた状態では、吐止水用操作部材60の前面(操作面66)が、中央ミラー部材36Cの前面38Fに対して、前後方向でほぼ同じ位置に配置される。吐止水用操作部材60が吐止水用バルブ25を吐水モードに切り替えた状態では、操作面66が、中央ミラー部材36Cの前面38Fよりも前方へ突出した位置に配置される。吐止水用操作部材60の前面とミラー部材36Cの前面38Fとの位置関係を目視することによって、吐止水用バルブ25が止水モードと吐水モードのいずれに切り替わっているかを判断することができる。
【0036】
カバー50の前面50Fのうち吐止水用操作部材60を包囲する部位には、吐止水用操作部材60に近づくほど前方へ突き出すように盛り上がった膨出部59が形成されている。膨出部59が吐止水用操作部材60を囲むように配置されていることによって、吐止水用操作部材60の周辺部におけるデザイン性が高められている。
【0037】
水栓機能部20は、吐水部42から吐出される水の温度調節と流量調節を行う調節用操作部材23を有している。吐水部42と調節用操作部材23は、ミラーキャビネット30の下方において左右方向に並ぶように配置され、カバー50の下端縁よりも下方へ突出している。吐止水用操作部材60は、左右方向において吐水部42と調節用操作部材23との間に配置され、吐水部42及び調節用操作部材23よりも上方に位置している。この配置によって、混合栓21と吐止水用バルブ25に接続される配管に関して、効率的な設計を行うことができる。
【0038】
吐止水用操作部材60は、カバー50の前面50Fのうち下端側領域のみに配置されている。吐止水用操作部材60の上端縁と、ミラーキャビネット30の下端縁との間には間隔(指掛け空間68)が空いている。吐止水用操作部材60がミラーキャビネット30の下端縁に近接して配置されている場合に比べると、吐止水用操作部材60の位置が分かり易い。
【0039】
ミラーキャビネット30は、上下方向の支持軸39を支点として開閉可能な中央ミラー部材36Cを有している。吐止水用操作部材60は、中央ミラー部材36Cの全幅に亘る範囲内のうち、中央ミラー部材36Cの左右方向中央部よりも支持軸39に近い位置(吊元側の位置)に配置されている。中央ミラー部材36Cの下端縁部に指を引っかけて中央ミラー部材36Cを開くときに、指が吐止水用操作部材60に当たる虞がない。
【0040】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
吐止水用操作部は、容量センサ型のタッチ式の操作部でもよく、非接触タイプの操作部でもよい。
吐止水用操作部は、斜め下方から押すものであってもよい。
吐止水用操作部が吐止水用バルブを止水モードに切り替えたときに、吐止水用操作部の前面がミラー部材の前面よりも前方へ大きく突出してもよく、吐止水用操作部の前面がミラー部材の前面よりも後方へ後退してもよい。
吐止水用操作部が吐止水用バルブを吐水モードに切り替えたときに、吐止水用操作部の前面がミラー部材の前面と前後方向において同じ位置にあってもよく、吐止水用操作部の前面がミラー部材の前面よりも後方へ後退してもよい。
カバーの前面のうち吐止水用操作部を包囲する部位は、盛り上がった形状ではなく、平面形状であってもよい。
吐止水用操作部は、吐水部と調節用操作部とに挟まれない位置に配置してもよい。
吐止水用操作部は、カバーの上端側領域のみに配置してもよく、カバーの上下方向中央部のみに配置してもよく、カバーの全高さ範囲に亘って配置してもよい。
吐止水用操作部の操作面の正面視形状は、トラック形状に限らず、長方形、正方形、円形、楕円形、長円形等でもよい。操作面は、平面に限らず、スリット状の面や、複数の突起がランダムに配置された面等でもよい。
【符号の説明】
【0041】
W…洗面化粧台、13…ボウル部、10…洗面台、20…水栓機能部、23…調節用操作部材(調節用操作部)、25…吐止水用バルブ、30…ミラーキャビネット、36C…中央ミラー部材(ミラー部材)、38F…中央ミラー部材の前面、39…支持軸、42…吐水部、50…カバー、59…膨出部、50F…カバーの前面、60…吐止水用操作部材(吐止水用操作部)、66…操作面(吐止水用操作部材の前面)