(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141514
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】描画データ生成装置、描画システムおよび描画データ生成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047870
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】中津 智史
(72)【発明者】
【氏名】坂本 道昭
(72)【発明者】
【氏名】八坂 智
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA22
2H197AA26
2H197AA28
2H197AA29
2H197CA01
2H197CC05
2H197CD02
2H197CD12
2H197CD35
2H197DA03
2H197DA04
2H197EA19
2H197EB16
2H197EB23
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
(57)【要約】
【課題】所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有する文字を基板上に描画する。
【解決手段】描画データ生成装置6は、基板への描画を行う描画装置1用の描画データを生成する。描画データ生成装置6のパターンデータ変換部62は、描画されるパターンおよび文字に関する情報を含むベクトル形式の設計データから、当該パターンに関するパターン設計データを取得し、当該パターン設計データをラスタ形式のパターン描画データに変換する。フォント準備部64は、上述の設計データに含まれる文字設計データに基づいて、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有するラスタ形式の文字描画データを準備する。描画データ生成部66は、上述のパターン描画データと文字描画データとを用いてラスタ形式の描画データを生成する。これにより、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有する文字を基板上に描画することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板への描画を行う描画装置用の描画データを生成する描画データ生成装置であって、
描画されるパターンおよび文字に関する情報を含むベクトル形式の設計データから前記パターンに関するパターン設計データを取得し、前記パターン設計データをラスタ形式のパターン描画データに変換するパターンデータ変換部と、
前記設計データに含まれる文字設計データに基づいて、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有するラスタ形式の文字描画データを準備するフォント準備部と、
前記パターン描画データと前記文字描画データとを用いてラスタ形式の描画データを生成する描画データ生成部と、
を備えることを特徴とする描画データ生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の描画データ生成装置であって、
前記フォント準備部は、
前記文字設計データに基づいて準備される予定の前記文字描画データが、予め記憶されている既存文字セットデータ群に含まれている場合、前記既存文字セットデータ群から前記文字描画データを読み出すフォント抽出部と、
前記既存文字セットデータ群に前記文字描画データが含まれていない場合、前記文字設計データに基づいて前記文字描画データを生成するフォント生成部と、
を備えることを特徴とする描画データ生成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の描画データ生成装置であって、
基板の歪みに基づいて前記パターン描画データに対して歪み補正処理を行うパターン補正部をさらに備え、
前記描画データ生成部は、前記パターン補正部により補正された後の前記パターン描画データと前記文字描画データとを合成して前記描画データを生成することを特徴とする描画データ生成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の描画データ生成装置であって、
前記設計データに基づいて、基板上に描画される描画文字群を囲む文字配置領域が設定され、
前記描画データ生成部は、
前記描画文字群が、描画装置により描画される描画要素によって構成される場合、前記文字配置領域のうち前記描画文字群以外の領域が、前記描画装置による描画が行われない非描画要素によって構成されるように前記描画データを設定し、
前記描画文字群が前記非描画要素によって構成される場合、前記文字配置領域のうち前記描画文字群以外の領域が前記描画要素によって構成されるように前記描画データを設定することを特徴とする描画データ生成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の描画データ生成装置であって、
前記文字配置領域は、前記文字設計データが示す文字群の基板上における占有領域と同じ大きさおよび同じ位置に設定され、
前記フォント準備部により準備される前記文字描画データのフォントサイズは、前記設計データにより指定されるフォントサイズよりも所定量小さいことを特徴とする描画データ生成装置。
【請求項6】
基板への描画を行う描画システムであって、
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の描画データ生成装置と、
前記描画データ生成装置にて生成された描画データに基づいて基板への描画を行う描画装置と、
を備えることを特徴とする描画システム。
【請求項7】
基板への描画を行う描画装置用の描画データを生成する描画データ生成方法であって、
a)描画されるパターンおよび文字に関する情報を含むベクトル形式の設計データから前記パターンに関するパターン設計データを取得し、前記パターン設計データをラスタ形式のパターン描画データに変換する工程と、
b)前記設計データに含まれる文字設計データに基づいて、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有するラスタ形式の文字描画データを準備する工程と、
c)前記パターン描画データと前記文字描画データとを用いてラスタ形式の描画データを生成する工程と、
を備えることを特徴とする描画データ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板への描画を行う描画装置用の描画データを生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板、プリント基板、または、有機EL表示装置もしくは液晶表示装置用のガラス基板等(以下、「基板」という。)に形成された感光材に光を照射することにより、パターンの描画が行われている。当該基板には、描画に用いられた描画装置の識別番号等の文字群が、パターンと共に描画される場合がある。
【0003】
特許文献1の描画装置では、ベクトル形式で記述されたパターンの設計データがラスタ形式に変換された後、変換後のパターンのデータにビットマップ形式の文字データが合成されて最終描画データが生成される。当該描画装置では、使用される可能性がある候補文字(例えば、アルファベット26文字、および、0~9までの10個の数字)について、数種類のサイズのビットマップデータが予め記憶されている。そして、文字が描画される予定の領域を、描画される可能性がある最大文字数で分割して分割領域が求められ、当該分割領域以下のサイズの候補文字のビットマップデータから、描画される文字のデータが抽出されて最終描画データに埋め込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基板への描画において、描画装置に予め記憶されているサイズとは異なるサイズの文字を描画することが求められる可能性がある。また、描画装置に予め記憶されている文字とはフォント種類が異なる文字の描画が求められる可能性もある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有する文字を基板上に描画することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、基板への描画を行う描画装置用の描画データを生成する描画データ生成装置であって、描画されるパターンおよび文字に関する情報を含むベクトル形式の設計データから前記パターンに関するパターン設計データを取得し、前記パターン設計データをラスタ形式のパターン描画データに変換するパターンデータ変換部と、前記設計データに含まれる文字設計データに基づいて、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有するラスタ形式の文字描画データを準備するフォント準備部と、前記パターン描画データと前記文字描画データとを用いてラスタ形式の描画データを生成する描画データ生成部とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の描画データ生成装置であって、前記フォント準備部は、前記文字設計データに基づいて準備される予定の前記文字描画データが、予め記憶されている既存文字セットデータ群に含まれている場合、前記既存文字セットデータ群から前記文字描画データを読み出すフォント抽出部と、前記既存文字セットデータ群に前記文字描画データが含まれていない場合、前記文字設計データに基づいて前記文字描画データを生成するフォント生成部とを備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の描画データ生成装置であって、基板の歪みに基づいて前記パターン描画データに対して歪み補正処理を行うパターン補正部をさらに備え、前記描画データ生成部は、前記パターン補正部により補正された後の前記パターン描画データと前記文字描画データとを合成して前記描画データを生成する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の描画データ生成装置であって、前記設計データに基づいて、基板上に描画される描画文字群を囲む文字配置領域が設定され、前記描画データ生成部は、前記描画文字群が、描画装置により描画される描画要素によって構成される場合、前記文字配置領域のうち前記描画文字群以外の領域が、前記描画装置による描画が行われない非描画要素によって構成されるように前記描画データを設定し、前記描画文字群が前記非描画要素によって構成される場合、前記文字配置領域のうち前記描画文字群以外の領域が前記描画要素によって構成されるように前記描画データを設定する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の描画データ生成装置であって、前記文字配置領域は、前記文字設計データが示す文字群の基板上における占有領域と同じ大きさおよび同じ位置に設定され、前記フォント準備部により準備される前記文字描画データのフォントサイズは、前記設計データにより指定されるフォントサイズよりも所定量小さい。
【0012】
請求項6に記載の発明は、基板への描画を行う描画システムであって、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の描画データ生成装置と、前記描画データ生成装置にて生成された描画データに基づいて基板への描画を行う描画装置とを備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、基板への描画を行う描画装置用の描画データを生成する描画データ生成方法であって、a)描画されるパターンおよび文字に関する情報を含むベクトル形式の設計データから前記パターンに関するパターン設計データを取得し、前記パターン設計データをラスタ形式のパターン描画データに変換する工程と、b)前記設計データに含まれる文字設計データに基づいて、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有するラスタ形式の文字描画データを準備する工程と、c)前記パターン描画データと前記文字描画データとを用いてラスタ形式の描画データを生成する工程とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有する文字を基板上に描画することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一の実施の形態に係る描画装置を示す斜視図である。
【
図3】描画データ生成装置の機能を示すブロック図である。
【
図5】描画データ生成装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6A】描画データ生成装置における処理の流れを示す他のフローチャートである。
【
図6B】描画データ生成装置における処理の流れを示す他のフローチャートである。
【
図7】描画データ生成装置の機能を示す他のブロック図である。
【
図8】描画文字群および文字配置領域を示す図である。
【
図9A】描画文字群および文字配置領域を示す図である。
【
図9B】描画文字群および文字配置領域を示す図である。
【
図10A】描画文字群および文字配置領域を示す図である。
【
図10B】描画文字群および文字配置領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る描画システム7を示す斜視図である。描画システム7は、描画装置1と、描画データ生成装置6とを備える。描画装置1は、空間変調された略ビーム状の光を基板9上の感光材に照射し、当該光の照射領域を基板9上にて走査することによりパターンの描画を行う直接描画装置である。描画データ生成装置6は、描画装置1における描画に使用される描画データを生成する装置である。
図1では、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向およびZ方向として矢印にて示している。
図1に示す例では、X方向およびY方向は互いに垂直な水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。他の図においても同様である。
【0017】
描画データ生成装置6は、例えば通常のコンピュータである。以下の説明では、描画データ生成装置6が1台のコンピュータであるものとして説明するが、これには限定されない。描画データ生成装置6は、例えば、複数のコンピュータが有線または無線にて接続されたコンピュータシステムであってもよい。なお、
図1では、描画データ生成装置6を略直方体にて概念的に描いている。
【0018】
描画装置1は、ステージ121と、ステージ移動機構122と、撮像部13と、描画部14と、制御部15とを備える。ステージ121は、撮像部13および描画部14の下方(すなわち、(-Z)側)において、水平状態の基板9を下側から保持する略平板状の基板保持部である。基板9は、例えば、平面視において略矩形状の板状部材である。基板9は、例えば、プリント配線基板である。ステージ121は、例えば、基板9の下面を吸着して保持するバキュームチャックである。ステージ121は、バキュームチャック以外の構造を有していてもよい。ステージ121上に載置された基板9の上面91は、Z方向に対して略垂直であり、X方向およびY方向に略平行である。
【0019】
ステージ移動機構122は、ステージ121を撮像部13および描画部14に対して水平方向(すなわち、基板9の上面91に略平行な方向)に相対的に移動する移動機構である。ステージ移動機構122は、第1移動機構123と、第2移動機構124とを備える。第2移動機構124は、ステージ121をガイドレールに沿ってX方向に直線移動する。第1移動機構123は、ステージ121を第2移動機構124と共にガイドレールに沿ってY方向に直線移動する。第1移動機構123および第2移動機構124の駆動源は、例えば、リニアサーボモータ、または、ボールネジにモータが取り付けられたものである。第1移動機構123および第2移動機構124の構造は、様々に変更されてよい。
【0020】
描画装置1では、Z方向に延びる回転軸を中心としてステージ121を回転するステージ回転機構が設けられてもよい。また、ステージ121をZ方向に移動するステージ昇降機構が描画装置1に設けられてもよい。ステージ回転機構として、例えば、サーボモータが利用可能である。ステージ昇降機構として、例えば、リニアサーボモータが利用可能である。ステージ回転機構およびステージ昇降機構の構造は、様々に変更されてよい。
【0021】
撮像部13は、X方向に配列される複数(
図1に示す例では、2つ)の撮像ヘッド131を備える。各撮像ヘッド131は、ステージ121およびステージ移動機構122を跨いで設けられるヘッド支持部130により、ステージ121およびステージ移動機構122の上方にて支持される。各撮像ヘッド131は、図示省略の撮像センサおよび光学系を備えるカメラである。各撮像ヘッド131は、基板9の上面91上における略矩形状の撮像領域の画像を取得する。なお、撮像部13の撮像ヘッド131の数は、1であってもよく、3以上であってもよい。
【0022】
描画部14は、X方向およびY方向に配列される複数(
図1に示す例では、5つ)の描画ヘッド141を備える。各描画ヘッド141は、図示省略の光源、光学系および空間光変調素子を備える。各描画ヘッド141は、ステージ121およびステージ移動機構122を跨いで設けられるヘッド支持部140により、ステージ121およびステージ移動機構122の上方にて支持される。なお、描画部14の描画ヘッド141の数は、1であってもよく、複数であってもよい。
【0023】
描画装置1では、描画部14の複数の描画ヘッド141から、変調された(すなわち、空間光変調された)光を基板9の上面91上に照射しつつ、ステージ移動機構122により基板9をY方向に移動する。これにより、複数の描画ヘッド141からの光の照射領域が基板9上にてY方向に走査され、基板9に対するパターンの描画が行われる。以下の説明では、Y方向を「走査方向」とも呼ぶ。ステージ移動機構122は、各描画ヘッド141からの光の照射領域を基板9上にて走査方向に移動する走査機構である。
【0024】
描画装置1では、基板9に対する描画は、いわゆるシングルパス(ワンパス)方式で行われる。具体的には、ステージ移動機構122により、ステージ121が複数の描画ヘッド141に対してY方向に相対移動され、複数の描画ヘッド141からの光の照射領域が、基板9の上面91上にてY方向(すなわち、走査方向)に1回のみ走査される。これにより、基板9に対する描画が完了する。なお、描画装置1では、ステージ121のY方向への移動とX方向へのステップ移動とが繰り返されるマルチパス方式により、基板9に対する描画が行われてもよい。なお、描画装置1においてマルチパス方式の描画が行われる場合、Y方向は主走査方向であり、X方向は副走査方向である。また、ステージ移動機構122の第1移動機構123は、ステージ121を主走査方向に移動させる主走査機構であり、第2移動機構124は、ステージ121を副走査方向に移動させる副走査機構である。
【0025】
制御部15は、描画データ生成装置6にて生成された描画データに基づいてステージ移動機構122、撮像部13および描画部14等を制御し、基板9に対するパターン描画を実行させる。描画システム7では、制御部15として、例えば、通常のコンピュータが利用される。
【0026】
図2は、描画データ生成装置6の構成を示す図である。描画データ生成装置6は、プロセッサ601と、メモリ602と、入出力部603と、バス604とを備える通常のコンピュータである。バス604は、プロセッサ601、メモリ602および入出力部603を接続する信号回路である。メモリ602は、各種情報を記憶する。メモリ602は、例えば、記憶媒体608に予め記憶されているプログラム609を読み出して記憶する。記憶媒体608は、例えば、USBメモリやCD-ROMである。
【0027】
プロセッサ601は、メモリ602に記憶されたプログラム609等に従って、メモリ602等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算や画像処理)を実行する。入出力部603は、オペレータからの入力を受け付けるキーボード605およびマウス606、並びに、プロセッサ601からの出力等を表示するディスプレイ607を備える。
【0028】
図3は、描画データ生成装置6によって上記プログラム609が実行されることにより実現される機能を示すブロック図である。
図3では、描画データ生成装置6以外の構成も併せて示す。描画データ生成装置6は、記憶部61と、パターンデータ変換部62と、パターン補正部63と、フォント準備部64と、描画データ生成部66とを備える。フォント準備部64は、フォント抽出部641と、フォント生成部642とを備える。
【0029】
記憶部61は、主にメモリ602(
図2参照)により実現され、描画データの生成に関する各種情報を予め記憶する。記憶部61には、基板9に描画される予定のパターンおよび文字に関する情報を含む設計データが記憶される。当該設計データは、CADデータ等のベクトル形式のデータである。設計データは、例えば、描画データ生成装置6とは異なる設計用端末にて作成され、描画データ生成装置6に送信される。
【0030】
記憶部61には、また、既存文字セットデータ群が予め記憶されている。既存文字セットデータ群は、例えば、複数の文字セットデータを含む。各文字セットデータは、描画装置1における描画にて使用される可能性がある複数の候補文字(例えば、アルファベット26文字、および、0~9までの10個の数字)について、一のフォント種類かつ一のフォントサイズにて表現したラスタ形式(例えば、ビットマップ形式)のデータである。複数の文字セットデータでは、フォント種類および/またはフォントサイズが互いに異なる。フォント種類とは、例えば、「ゴシック」や「Times New Roman」等の文字のフォントの種類を意味する。フォントサイズとは、例えば、「8pt」や「10pt」等の文字のサイズを意味する。
【0031】
各文字セットデータは、例えば、上述の36個の候補文字のそれぞれについて、向きが90°ずつ異なる4つのデータを含むことが好ましい。例えば、候補文字「A」に関する当該4つのデータは、
図4Aに示すように向きが0°の文字、
図4Bに示すように向きが右回りに90°回転した文字、
図4Cに示すように向きが180°回転した文字、および、
図4Dに示すように向きが右回りに270°回転した文字のデータである。なお、候補文字は、上記例には限定されず、例えば、ひらがな、カタカナまたは漢字等であってもよく、日本以外の公用語に使用される文字等であってもよい。
【0032】
図3に示すパターンデータ変換部62、パターン補正部63、フォント準備部64および描画データ生成部66は、主にプロセッサ101(
図2参照)により実現される。パターンデータ変換部62は、記憶部61に記憶されているベクトル形式の上記設計データから、パターンに関するデータ(以下、「パターン設計データ」とも呼ぶ。)を取得し、当該パターン設計データをラスタ形式のパターン描画データに変換する。パターンデータ変換部62におけるパターン設計データからパターン描画データへの変換では、公知のラスタライズ技術が利用可能である。パターン描画データは、例えばランレングスデータである。
【0033】
パターン補正部63は、描画が行われる予定の基板9の歪みに基づいて、上述のパターン描画データに対して歪み補正処理を行う。当該歪み補正処理は、公知の歪み補正方法を用いて行うことが可能である。基板9の歪みは、当該基板9の上面91に設けられたアライメントマークを、描画装置1の撮像部13(
図1参照)により撮像し、当該アライメントマークの設計位置からのズレ等に基づいて求めることができる。
【0034】
フォント準備部64は、上述の設計データに含まれる文字を示すデータ(以下、「文字設計データ」とも呼ぶ。)に基づいて、設計データにて指定されている所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有するラスタ形式の文字描画データを準備する。所望のフォント種類および所望のフォントサイズとは、描画システム7を操作するオペレータが文字の描画に使用したいと希望しているフォント種類およびフォントサイズであり、描画データ生成装置6に予め記憶されているフォント種類およびフォントサイズには限定されない。文字描画データは、例えば、固定長RUN形式またはビットマップ形式のデータである。なお、文字描画データは、固定長RUN形式およびビットマップ形式以外のラスタ形式のデータであってもよい。
【0035】
設計データに含まれる文字設計データは、例えば、社名や描画装置1の機種名のように、各文字が固定された具体的な文字群を示す。また、当該文字設計データは、描画装置1にて描画が行われる複数の基板9に順番に付与される通し番号のように、予め設定されたルールに従って一部の文字または全ての文字が基板9毎に変化する文字群を示していてもよい。あるいは、設計データの作成時点では当該文字設計データに対応する文字群の内容は決定されておらず、当該文字設計データは、描画データ生成装置6においてオペレータにより入力される文字群を代入する、という指示であってもよい。
【0036】
フォント準備部64では、設計データに含まれる文字設計データに基づいて準備される予定の文字描画データ(以下、「準備予定の文字描画データ」とも呼ぶ。)が、記憶部61内の既存文字セットデータ群に含まれているか否かが判断される。上記準備予定の文字描画データは、設計データにて指定されているフォント種類と同じフォント種類を有する。また、当該準備予定の文字描画データは、設計データにて指定されているフォントサイズと同じフォントサイズを有する。
【0037】
フォント準備部64では、準備予定の文字描画データとフォント種類およびフォントサイズが同じ文字セットデータが既存文字セットデータ群に含まれている場合、準備予定の文字描画データが既存文字セットデータ群に含まれていると判断される。この場合、フォント抽出部641により、準備予定の文字描画データに対応する文字セットデータが既存文字セットデータ群から抽出される。そして、文字設計データが示す文字群を構成する各文字のデータが、抽出された文字セットデータ中から選択されて配列されることにより、文字描画データが作成される。換言すれば、フォント抽出部641は、準備予定の文字描画データが既存文字セットデータ群に含まれている場合、既存文字セットデータ群から当該文字描画データを読み出す。
【0038】
具体的には、例えば、文字設計データが、フォント種類およびフォントサイズが「ゴシック」および「10pt」である「ABC」という文字群を示す場合、フォント抽出部641により、フォント種類およびフォントサイズが「ゴシック」および「10pt」である文字セットデータが既存文字セットデータ群から抽出される。そして、抽出された文字セットデータから、文字「A」、文字「B」および文字「C」のデータが選択され、「ABC」の順に配列されることにより、文字描画データが作成される。文字「A」、文字「B」および文字「C」のデータの選択は、描画装置1におけるこれらの文字の描画の向きを考慮して、上述の4つの向きのうち適切な向きのデータが選択される。
【0039】
一方、フォント準備部64では、準備予定の文字描画データとフォント種類およびフォントサイズが同じ文字セットデータが既存文字セットデータ群に含まれていない場合、準備予定の文字描画データが既存文字セットデータ群に含まれていないと判断される。この場合、フォント生成部642により、準備予定の文字描画データとフォント種類およびフォントサイズが同じ新たな文字セットデータが、文字設計データに基づいて生成される。そして、当該新たな文字セットデータ中から、文字設計データが示す文字群を構成する各文字のデータが選択されて配列されることにより、文字描画データが生成される。換言すれば、フォント生成部642は、文字設計データに基づいて文字描画データを生成する。上述の新たな文字セットデータは、記憶部61へと送られ、既存文字セットデータ群に含められる。なお、当該新たな文字セットデータは、既存文字セットデータ群に含まれている他の文字セットデータと同様のデータ構成を有する。
【0040】
描画データ生成部66は、上述のパターン描画データと文字描画データとを用いて描画データを生成する。具体的には、描画データ生成部66は、パターン補正部63によって補正された後のラスタ形式のパターン描画データと、フォント準備部64によって準備されたラスタ形式の文字描画データとを合成することにより、ラスタ形式の描画データを生成する。このとき、パターン描画データに合成される文字描画データの位置(すなわち、パターン描画データが示すパターンに対する、文字描画データが示す文字群の相対位置)は、パターン補正部63による上記補正に合わせて調節されてもよい。
【0041】
描画データ生成部66により生成された上記描画データは、入出力部603(
図2参照)等を介して描画データ生成装置6から描画装置1へと送られる。
図1に示す描画装置1では、制御部15により、当該描画データ等に基づいてステージ移動機構122、撮像部13および描画部14等が制御され、基板9に対するパターンの描画が行われる。
【0042】
図5は、描画データ生成装置6における処理の流れを示すフローチャートである。描画データ生成装置6では、まず、記憶部61(
図3参照)に記憶されているベクトル形式の設計データから、パターンデータ変換部62によりパターン設計データが取得され、ラスタ形式のパターン描画データに変換される(ステップS11)。続いて、パターン補正部63により、当該パターン描画データに対する歪み補正処理が行われる(ステップS12)。
【0043】
ステップS12が終了すると、フォント準備部64(
図3参照)により、上述の設計データから文字設計データが取得され、当該文字設計データに基づいて、準備予定の文字描画データが既存文字セットデータ群に含まれているか否かが判断される(ステップS13)。そして、準備予定の文字描画データが既存文字セットデータ群に含まれていると判断されると、フォント抽出部641により、既存文字セットデータ群から当該文字描画データが読み出される(ステップS14)。これにより、当該文字描画データの準備に要する時間が短縮される。
【0044】
一方、準備予定の文字描画データが既存文字セットデータ群に含まれていないと判断されると、フォント生成部642により、文字設計データに基づいて新たな文字セットデータが生成され、文字描画データが生成される(ステップS15)。また、当該新たな文字セットデータは、既存文字セットデータ群に含められる(ステップS16)。これにより、以降の文字描画データの準備に要する時間が短縮され得る。なお、ステップS13~S16は、ステップS11~S12と並行して行われてもよく、ステップS11~S12よりも前に行われてもよい。
【0045】
ステップS11~S16が終了すると、描画データ生成部66(
図3参照)により、上述の文字描画データと補正後のパターン描画データとが合成され、ラスタ形式の描画データが生成される(ステップS17)。その後、描画データ生成装置6から描画装置1へと当該描画データが送られる(ステップS18)。描画装置1では、上述のように、当該描画データに基づいてパターンの描画が行われる。
【0046】
なお、描画データ生成装置6では、必ずしもステップS12におけるパターン描画データの歪み補正処理は行われる必要はない。この場合、ステップS17では、ステップS11における変換(すなわち、ラスタライズ)により取得されたパターン描画データと上述の文字描画データとが合成されて描画データが生成される。すなわち、ステップS17では、ステップS11にて取得されたパターン描画データと上述の文字描画データとを用いて描画データが生成される。
【0047】
以上に説明したように、描画データ生成装置6は、基板9への描画を行う描画装置1用の描画データを生成する。描画データ生成装置6は、パターンデータ変換部62と、フォント準備部64と、描画データ生成部66とを備える。パターンデータ変換部62は、描画されるパターンおよび文字に関する情報を含むベクトル形式の設計データから、当該パターンに関するパターン設計データを取得し、当該パターン設計データをラスタ形式のパターン描画データに変換する。フォント準備部64は、上述の設計データに含まれる文字設計データに基づいて、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有するラスタ形式の文字描画データを準備する。描画データ生成部66は、上述のパターン描画データと文字描画データとを用いてラスタ形式の描画データを生成する。これにより、描画装置1において、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有する文字を基板9上に描画することができる。
【0048】
描画システム7は、上記描画データ生成装置6と、描画データ生成装置6にて生成された描画データに基づいて基板9への描画を行う描画装置1と、を備える。当該描画システム7では、上述のように、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有する文字を基板9上に描画することができる。
【0049】
上述のように、フォント準備部64は、フォント抽出部641と、フォント生成部642とを備えることが好ましい。フォント抽出部641は、文字設計データに基づいて準備される予定の文字描画データが、予め記憶されている既存文字セットデータ群に含まれている場合、当該既存文字セットデータ群から文字描画データを読み出す。フォント生成部642は、当該既存文字セットデータ群に文字描画データが含まれていない場合、文字設計データに基づいて文字描画データを生成する。これにより、準備予定の文字描画データが既存文字セットデータ群に含まれている場合、描画データの生成に要する時間を短縮することができる。また、準備予定の文字描画データが既存文字セットデータ群に含まれていない場合であっても、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有する文字を、描画装置1において基板9上に好適に描画することができる。
【0050】
上述のように、描画データ生成装置6は、基板9の歪みに基づいて上述のパターン描画データに対して歪み補正処理を行うパターン補正部63をさらに備えることが好ましい。そして、描画データ生成部66は、パターン補正部63により補正された後のパターン描画データと上述の文字描画データとを合成して描画データを生成することが好ましい。このように、基板9上に描画予定の文字を、歪み補正処理後のパターンと合成することにより、歪み補正処理によって当該文字が変形することを防止することができる。その結果、描画装置1において、当該文字を基板9上に好適に描画することができる。
【0051】
上述の描画データ生成方法は、描画されるパターンおよび文字に関する情報を含むベクトル形式の設計データから、当該パターンに関するパターン設計データを取得し、当該パターン設計データをラスタ形式のパターン描画データに変換する工程(ステップS11)と、当該設計データに含まれる文字設計データに基づいて、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有するラスタ形式の文字描画データを準備する工程(ステップS13~S15)と、上記パターン描画データと文字描画データとを用いてラスタ形式の描画データを生成する工程(ステップS17)と、を備える。これにより、上記と同様に、所望のフォント種類および所望のフォントサイズを有する文字を基板9上に描画することができる。
【0052】
描画データ生成装置6では、上述のステップS11~S18に加えて、他のデータ処理が行われてもよい。例えば、
図6Aおよび
図6Bのフローチャートに示す例では、ステップS12とステップS13との間にステップS21が行われ、ステップS13~S16とステップS17との間にステップS31~S33が行われる。この場合、
図7に示すように、描画データ生成装置6は、
図3に示す各構成に加えて配置領域設定部65をさらに備える。
【0053】
図6Aおよび
図6Bに示す例では、ステップS11~S12が終了すると、配置領域設定部65により、設計データから文字設計データが取得され、当該文字設計データに基づいて文字配置領域が設定される(ステップS21)。
図8に示すように、文字配置領域82は、文字設計データに基づいて基板9上に文字群81(すなわち、1つまたは複数の文字であり、以下、「描画文字群81」とも呼ぶ。)が描画される際に、描画文字群81を囲む領域である。
図8に示す例では、描画文字群81は「ABC」という文字群であり、文字配置領域82は、描画文字群81に外接しつつ描画文字群81全体を内部に含む最小矩形領域である。配置領域設定部65により設定された文字配置領域82の大きさおよび位置は、描画データ生成部66へと送られる。
【0054】
描画データ生成部66では、上述のように、設計データにて指定されているフォント種類およびフォントサイズと同じフォント種類およびフォントサイズを有する文字描画データが、フォント準備部64により準備される(ステップS13~S16)。
【0055】
ステップS13~S16が終了すると、文字描画データが示す文字群が描画要素により構成されるか、非描画要素により構成されるかが確認される(ステップS31)。描画要素とは、描画装置1において基板9上に光が照射されて描画される微小領域(すなわち、露光される画素)を意味する。非描画要素とは、基板9上の描画要素以外の領域を構成する微小領域であり、描画装置1による描画が行われない(すなわち、露光されない)画素を意味する。
【0056】
そして、文字描画データが示す文字群が描画要素により構成される場合、描画データ生成部66は、
図9Aに示すように、歪み補正処理後のパターン描画データにおいて、文字配置領域82のうち描画文字群81以外の領域を非描画要素によって構成されるように描画データを設定する(ステップS32)。
図9Aでは、描画要素を黒色に着色して、または、平行斜線を付して示し、非描画要素には着色せず、平行斜線も付さない(
図9B、
図10Aおよび
図10Bにおいても同様)。これにより、描画文字群81の周囲の領域が、描画要素により構成されている場合であっても、描画要素により構成される描画文字群81を容易に読み取り可能とすることができる。なお、実際の基板9への描画では、文字配置領域82の輪郭は描画されないため、
図9Aでは、文字配置領域82の輪郭を二点鎖線にて示す(
図9B、
図10Aおよび
図10Bにおいても同様)。
【0057】
また、文字描画データが示す文字群が非描画要素により構成される場合、描画データ生成部66は、
図9Bに示すように、歪み補正処理後のパターン描画データにおいて、文字配置領域82のうち描画文字群81以外の領域を描画要素によって構成されるように描画データを設定する(ステップS33)。これにより、描画文字群81の周囲の領域が、非描画要素により構成されている場合であっても、非描画要素により構成される描画文字群81を容易に読み取り可能とすることができる。
【0058】
描画データ生成装置6では、ステップS21において文字配置領域82が設定された後、ステップS13~S16において文字描画データが準備される際に、文字描画データが示す文字群のフォントサイズは、必ずしも、設計データにて指定されているフォントサイズと同じである必要はない。例えば、ステップS21において、文字配置領域82は、文字設計データが示す文字群の基板9上における占有領域(すなわち、設計データにて指定されているフォントサイズと同じフォントサイズを有する当該文字群に外接しつつ当該文字群全体を内部に含む最小矩形領域)と同じ大きさおよび同じ位置に設定される。そして、ステップS13~S16において、設計データにて指定されているフォントサイズよりも所定量(例えば、1pt)小さいフォントサイズの文字描画データが、フォント準備部64により準備されてもよい。
【0059】
これにより、当該文字描画データが示す描画文字群81aは、
図10Aおよび
図10Bに示すように、文字配置領域82内において文字配置領域82の外縁から内側に離れて描画可能となる。したがって、描画文字群81aの読み取りをさらに容易とすることができる。また、文字配置領域82が、文字設計データの上記占有領域からはみ出すことが防止されるため、文字配置領域82において描画文字群81aの周囲に設定される描画要素または非描画要素が、パターンに好ましくない影響を与えることを防止することができる。その結果、描画装置1において、基板9に対するパターンの描画を好適に行うことができる。
【0060】
以上に説明したように、描画データ生成装置6では、上述の設計データに基づいて、基板9上に描画される描画文字群81,81aを囲む文字配置領域82が設定されることが好ましい。そして、描画データ生成部66は、描画文字群81,81aが、描画装置1により描画される描画要素によって構成される場合、文字配置領域82のうち描画文字群81,81a以外の領域が、描画装置1による描画が行われない非描画要素によって構成されるように描画データを設定することが好ましい。また、描画データ生成部66は、描画文字群81,81aが非描画要素によって構成される場合、文字配置領域82のうち描画文字群81,81a以外の領域が描画要素によって構成されるように描画データを設定することが好ましい。これにより、上述のように、描画文字群81,81aの読み取りを容易とすることができる。
【0061】
また、文字配置領域82は、上述の文字設計データが示す文字群の基板9上における占有領域と同じ大きさおよび同じ位置に設定されることが好ましい。そして、フォント準備部64により準備される文字描画データのフォントサイズは、設計データにより指定されるフォントサイズよりも所定量小さいことが好ましい。これにより、上述のように、描画文字群81aの読み取りをさらに容易とすることができる。また、文字配置領域82がパターンに好ましくない影響を与えることを防止し、基板9に対するパターンの描画を好適に行うことができる。
【0062】
上述の描画データ生成装置6、描画システム7および描画データ生成方法では、様々な変更が可能である。
【0063】
例えば、既存文字セットデータ群に含まれる文字セットデータは、必ずしも、
図4A~
図4Dに示す4つの向きの文字のデータを含む必要はなく、他の個数(例えば、1つまたは2つ)の向きの文字のデータを含むものであってもよい。
【0064】
設計データは、必ずしもフォント種類を指定する情報を含んでいなくてもよい。例えば、所望のフォント種類は別途、入出力部603を介した入力により指定されてもよい。
【0065】
描画データ生成装置6では、必ずしも、既存文字セットデータ群が記憶部61に記憶されている必要はなく、文字描画データが既存文字セットデータ群から読み出される必要もない。例えば、フォント準備部64では、設計データから文字設計データが取得される毎に、当該文字設計データに基づいて文字描画データが生成されてもよい。この場合、文字設計データに基づく文字セットデータの生成は、行われてもよく、行われなくてもよい。また、フォント抽出部641およびフォント生成部642は、描画データ生成装置6から省略されてもよい。
【0066】
描画システム7では、制御部15は、必ずしも描画装置1に設けられる必要はなく、描画データ生成装置6が、描画装置1の各構成を制御する制御部として機能してもよい。
【0067】
上述のように、描画データ生成装置6は、複数のコンピュータが有線または無線にて接続されたコンピュータシステムであってもよい。例えば、フォント準備部64は、パターンデータ変換部62および描画データ生成部66が設けられるコンピュータとは異なるコンピュータ(例えば、設計データの作成を行う設計用端末)に設けられてもよい。
【0068】
基板9は、必ずしもプリント配線基板には限定されない。描画装置1では、例えば、半導体基板、液晶表示装置や有機EL表示装置等のフラットパネル表示装置用のガラス基板、フォトマスク用のガラス基板、太陽電池パネル用の基板等に対する描画が行われてもよい。
【0069】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0070】
1 描画装置
6 描画データ生成装置
7 描画システム
9 基板
62 パターンデータ変換部
63 パターン補正部
64 フォント準備部
66 描画データ生成部
81,81a 描画文字群
82 文字配置領域
641 フォント抽出部
642 フォント生成部
S11~S18,S21,S31~S33 ステップ