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特開2023-141516校正支援方法および校正支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141516
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】校正支援方法および校正支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20230928BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20230928BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230928BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
G06F3/12 324
G06F3/12 305
G06F3/12 344
G06F3/12 342
G06F3/12 372
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047872
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】宮本 勝道
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA07
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】互いに関連する複数の印刷ジョブが存在する場合の校正作業の効率化および校正作業のミスの低減を実現する校正支援方法および校正支援システムを提供する。
【解決手段】マスタージョブと一般ジョブとからなる複数の印刷ジョブの登録(ステップS11)後、コンピュータは各一般ジョブに対応する画像データをマスタージョブに対応する画像データと比較して互いに関連する複数の印刷ジョブを関連ジョブグループに定める自動グルーピング処理を行う(ステップS12)。関連ジョブグループに含まれる1つの印刷ジョブに対応する校正画像の共通画像領域に対して共通コメントが入力される(ステップS14)と、コンピュータは関連ジョブグループを構成する他の印刷ジョブに対応する校正画像に当該共通コメントを反映する(ステップS15)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の画像の校正を支援する校正支援方法であって、
Kを2以上の整数として、印刷対象の画像を表す画像データに対応付けられたK個の印刷ジョブであって1個のマスタージョブと(K-1)個の一般ジョブとからなるK個の印刷ジョブを作業者がコンピュータに登録する印刷ジョブ登録ステップと、
コンピュータが、各一般ジョブに対応する画像データを前記マスタージョブに対応する画像データと比較することにより、各一般ジョブに対応する画像と前記マスタージョブに対応する画像との一致率および各一般ジョブに対応する画像と前記マスタージョブに対応する画像との間で共通する画像部分である共通画像領域を求める画像データ比較ステップと、
Nを(K-1)以下の整数として、前記画像データ比較ステップで求められた一致率に基づいてコンピュータが前記マスタージョブとN個の一般ジョブとを含む(N+1)個の印刷ジョブの集合を関連ジョブグループに定めるグルーピングステップと、
前記(N+1)個の印刷ジョブの1つである校正対象ジョブに対応する画像がコンピュータの表示部に表示されている状態において作業者がコメント入力領域を指定して前記校正対象ジョブに対応する画像に対する校正に関するコメントを入力するコメント入力ステップと、
前記コメント入力ステップで前記共通画像領域を前記コメント入力領域に指定して入力されたコメントをコンピュータが前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの前記校正対象ジョブ以外の印刷ジョブに対応する画像中の前記コメント入力領域に対応する領域に反映させるコメント反映ステップと
を含むことを特徴とする、校正支援方法。
【請求項2】
前記画像データ比較ステップでは、各一般ジョブの1つのページに対応する画像と前記マスタージョブの1つのページに対応する画像との組み合わせ毎に一致率が求められ、
前記グルーピングステップは、
コンピュータが前記画像データ比較ステップで所定の閾値以上の一致率が得られた組み合わせを構成する2つのページを関連ページ対に定める関連ページ対設定ステップと、
前記(K-1)個の一般ジョブを1つずつ判定対象ジョブとして、コンピュータが前記関連ページ対設定ステップで得られた結果に基づいて前記判定対象ジョブを前記関連ジョブグループに含めるか否かを判定する関連ジョブグループ判定ステップと
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の校正支援方法。
【請求項3】
前記関連ジョブグループ判定ステップでは、前記関連ページ対設定ステップで前記判定対象ジョブの少なくとも1つのページが関連ページ対に定められていれば、前記判定対象ジョブを前記関連ジョブグループに含める旨の判定がなされることを特徴とする、請求項2に記載の校正支援方法。
【請求項4】
前記関連ジョブグループ判定ステップでは、前記関連ページ対設定ステップで前記判定対象ジョブの全てのページが関連ページ対に定められていれば、前記判定対象ジョブを前記関連ジョブグループに含める旨の判定がなされることを特徴とする、請求項2に記載の校正支援方法。
【請求項5】
前記関連ジョブグループ判定ステップでは、前記関連ページ対設定ステップで前記判定対象ジョブの全てのページのうちの所定の割合以上のページが関連ページ対に定められていれば、前記判定対象ジョブを前記関連ジョブグループに含める旨の判定がなされることを特徴とする、請求項2に記載の校正支援方法。
【請求項6】
コンピュータが前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの2以上の印刷ジョブにそれぞれ対応する画像を前記表示部に並べて表示する複数画像表示ステップを更に含み、
前記関連ジョブグループに含まれる2つの印刷ジョブである第1ジョブおよび第2ジョブのそれぞれに対応する画像が前記表示部に並べて表示されているときに作業者によって前記第1ジョブに対応する画像についての表示ページが関連ページ対を構成する2つのページの一方に変更されると、コンピュータが前記第2ジョブに対応する画像についての表示ページを当該関連ページ対を構成する2つのページの他方に変更することを特徴とする、請求項2から5までのいずれか1項に記載の校正支援方法。
【請求項7】
コンピュータが前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの2以上の印刷ジョブにそれぞれ対応する画像を前記表示部に並べて表示する複数画像表示ステップを更に含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の校正支援方法。
【請求項8】
前記コメント反映ステップでは、前記コメント入力ステップで前記共通画像領域を前記コメント入力領域に指定して入力されたコメントが、前記表示部に表示されている画像のみに対して反映されることを特徴とする、請求項7に記載の校正支援方法。
【請求項9】
前記コメント反映ステップでは、前記コメント入力ステップで前記共通画像領域を前記コメント入力領域に指定して入力されたコメントが、前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの前記校正対象ジョブ以外の全ての印刷ジョブのそれぞれに対応する画像に対して反映されることを特徴とする、請求項7に記載の校正支援方法。
【請求項10】
前記複数画像表示ステップで前記マスタージョブに対応する画像と前記N個の一般ジョブの1つに対応する画像とが前記表示部に表示される際、前記共通画像領域以外の領域である相違画像領域については、対応する画像データに基づく画像を表示することなく特定パターンの画像を表示するマスク表示が行われることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項に記載の校正支援方法。
【請求項11】
前記マスク表示を有効にするか無効にするかを作業者が設定するマスク表示設定ステップを更に含み、
前記マスク表示設定ステップで前記マスク表示を有効にする旨の設定が行われた場合のみ前記マスク表示が行われることを特徴とする、請求項10に記載の校正支援方法。
【請求項12】
前記複数画像表示ステップで前記マスタージョブに対応する画像と前記N個の印刷ジョブの1つに対応する画像とが前記表示部に表示される際、前記共通画像領域以外の領域である相違画像領域が強調表示されることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項に記載の校正支援方法。
【請求項13】
前記コメント入力ステップで入力可能なコメントとして、共通コメントと通常コメントとが設けられ、
前記コメント反映ステップでは、コンピュータは、前記共通コメントのみを前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの前記校正対象ジョブ以外の印刷ジョブに対応する画像中の前記コメント入力領域に対応する領域に反映させることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の校正支援方法。
【請求項14】
前記コメント反映ステップでは、コンピュータは、前記コメント入力ステップで前記共通画像領域以外の領域である相違画像領域に入力されたコメントについては、いずれの印刷ジョブに対応する画像にも反映させないことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の校正支援方法。
【請求項15】
印刷対象の画像の校正を支援する校正支援システムであって、
Kを2以上の整数として、印刷対象の画像を表す画像データに対応付けられたK個の印刷ジョブであって1個のマスタージョブと(K-1)個の一般ジョブとからなるK個の印刷ジョブを作業者が登録するための印刷ジョブ登録部と、
各一般ジョブに対応する画像データを前記マスタージョブに対応する画像データと比較することにより、各一般ジョブに対応する画像と前記マスタージョブに対応する画像との一致率および各一般ジョブに対応する画像と前記マスタージョブに対応する画像との間で共通する画像部分である共通画像領域を求める画像データ比較部と、
Nを(K-1)以下の整数として、前記画像データ比較部によって求められた一致率に基づいて前記マスタージョブとN個の一般ジョブとを含む(N+1)個の印刷ジョブの集合を関連ジョブグループに定めるグルーピング部と、
前記(N+1)個の印刷ジョブの1つである校正対象ジョブに対応する画像がネットワークを介してコンピュータの表示部に表示されている状態において作業者によって指定されたコメント入力領域に対するコメントであって前記校正対象ジョブに対応する画像に対する校正に関するコメントの入力を受け付けるコメント入力受け付け部と、
前記コメント入力受け付け部によって受け付けられたコメントのうちの作業者が前記共通画像領域を前記コメント入力領域に指定して入力したコメントを前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの前記校正対象ジョブ以外の印刷ジョブに対応する画像中の前記コメント入力領域に対応する領域に反映させるコメント反映部と
を含むことを特徴とする、校正支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷の前に行われる校正作業を支援する校正支援方法および校正支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷業務において、実際に印刷装置による印刷が行われる前に、RIP処理によって生成された印刷データに基づく画像を校正画像として校正が行われることがある。これに関し、従来は校正に関わる作業者間での校正画像や修正指示書などのやりとりが紙ベースで行われていたが、近年、オンラインでの校正を可能にしたオンライン校正システムが多くの印刷会社で導入されている。そのようなオンライン校正システムに関する発明が、例えば国際公開第2003/010683号パンフレットに開示されている。この発明によれば、複数作業者が同時並行的に校正作業を行うことや各校正担当者がウェブブラウザによってリアルタイムに校正内容や校正状況を確認することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2003/010683号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のオンライン校正システムによれば、校正作業は印刷ジョブ毎に行われることが想定されている。それ故、作業者は、異なる印刷ジョブに対して同じ修正指示を行う場合であっても、印刷ジョブ毎に修正の指示を行う必要がある。これに関し、図20を参照しつつ、従来のオンライン校正システムを採用した場合の校正作業の概略手順について説明する。なお、ここでは、顧客会社から印刷会社に対して2つの印刷ジョブ(ジョブJ1およびジョブJ2)に基づく印刷の発注が行われた場合であって校正作業において当該2つの印刷ジョブに対して同じ修正指示が行われる場合に着目する。また、ジョブJ1およびジョブJ2は複数のページを含む印刷ジョブであると仮定する。
【0005】
顧客会社から印刷会社に対して印刷の発注が行われると、所定の制作会社において発注内容に応じた原稿が作成される。ここでは、制作会社において、ジョブJ1およびジョブJ2の初稿(最初の原稿)の作成が行われる(ステップS90)。なお、作成された原稿のデータは、入稿データとして印刷会社に送信される。次に、印刷会社において、入稿データに基づきオンライン校正システムへの印刷ジョブ(ジョブJ1およびジョブJ2)の登録が行われる(ステップS91)。次に、印刷会社において、ジョブJ1およびジョブJ2の入稿データに対してRIP処理が施される(ステップS92)。これにより、顧客会社や制作会社での校正作業に使用される校正画像が作成される。次に、顧客会社の校正担当者である修正指示者が、校正画像を確認し、ジョブJ1の修正指示を行う(例えば、校正画像に対してコメントを入力する)(ステップS93)。そして、制作会社において、修正作業者がステップS93での修正指示に従ってジョブJ1の原稿を修正する(ステップS94)。次に、修正指示者が、ジョブJ1の修正指示内容を印刷する(ステップS95)。さらに、修正指示者が、ステップS95で得られた印刷物を見ながらジョブJ2の修正指示を行う(例えば、校正画像に対してコメントを入力する)(ステップS96)。そして、制作会社において、修正作業者がステップS96での修正指示に従ってジョブJ2の原稿を修正する(ステップS97)。ステップS94およびステップS97で得られた修正後の原稿のデータは印刷会社に送信される。以上のようにして初校(1回目の校正作業)が終了する。ステップS92~S97の処理は、顧客会社の承認者による承認が得られるまで繰り返される。すなわち、顧客会社の承認者による承認が得られるまで校正作業が行われる。なお、2回目の校正作業は「2校」あるいは「再校」と呼ばれ、3回目の校正作業は「3校」と呼ばれている。
【0006】
以上のように、修正指示者(顧客会社の校正担当者)は、ジョブJ1の修正指示を行った後、修正指示の内容の控えとなる印刷物を確保するためにジョブJ1の修正指示内容を印刷する必要がある。そして、上記ステップS96では、修正指示者は、その印刷物を見ながら、コンピュータの画面上でジョブJ2を構成する複数のページの中からジョブJ1と同じ修正指示をすべきページを見つける必要がある。また、顧客会社の承認者は、ジョブJ1に対する修正と同じ内容の修正がジョブJ2に対して正しくなされているかを確認するために目視による照合作業(目視検版)を行う必要がある。このように、従来のオンライン校正システムによれば、校正作業は非効率的であった。また、手間の要する作業が多いため、校正作業においてミスが生じやすかった。
【0007】
以上のような状況に鑑み、本発明は、互いに関連する複数の印刷ジョブが存在する場合の校正作業の効率化および校正作業のミスの低減を実現することのできる校正支援方法および校正支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、印刷対象の画像の校正を支援する校正支援方法であって、
Kを2以上の整数として、印刷対象の画像を表す画像データに対応付けられたK個の印刷ジョブであって1個のマスタージョブと(K-1)個の一般ジョブとからなるK個の印刷ジョブを作業者がコンピュータに登録する印刷ジョブ登録ステップと、
コンピュータが、各一般ジョブに対応する画像データを前記マスタージョブに対応する画像データと比較することにより、各一般ジョブに対応する画像と前記マスタージョブに対応する画像との一致率および各一般ジョブに対応する画像と前記マスタージョブに対応する画像との間で共通する画像部分である共通画像領域を求める画像データ比較ステップと、
Nを(K-1)以下の整数として、前記画像データ比較ステップで求められた一致率に基づいてコンピュータが前記マスタージョブとN個の一般ジョブとを含む(N+1)個の印刷ジョブの集合を関連ジョブグループに定めるグルーピングステップと、
前記(N+1)個の印刷ジョブの1つである校正対象ジョブに対応する画像がコンピュータの表示部に表示されている状態において作業者がコメント入力領域を指定して前記校正対象ジョブに対応する画像に対する校正に関するコメントを入力するコメント入力ステップと、
前記コメント入力ステップで前記共通画像領域を前記コメント入力領域に指定して入力されたコメントをコンピュータが前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの前記校正対象ジョブ以外の印刷ジョブに対応する画像中の前記コメント入力領域に対応する領域に反映させるコメント反映ステップと
を含むことを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、
前記画像データ比較ステップでは、各一般ジョブの1つのページに対応する画像と前記マスタージョブの1つのページに対応する画像との組み合わせ毎に一致率が求められ、
前記グルーピングステップは、
コンピュータが前記画像データ比較ステップで所定の閾値以上の一致率が得られた組み合わせを構成する2つのページを関連ページ対に定める関連ページ対設定ステップと、
前記(K-1)個の一般ジョブを1つずつ判定対象ジョブとして、コンピュータが前記関連ページ対設定ステップで得られた結果に基づいて前記判定対象ジョブを前記関連ジョブグループに含めるか否かを判定する関連ジョブグループ判定ステップと
を含むことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、
前記関連ジョブグループ判定ステップでは、前記関連ページ対設定ステップで前記判定対象ジョブの少なくとも1つのページが関連ページ対に定められていれば、前記判定対象ジョブを前記関連ジョブグループに含める旨の判定がなされることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第2の発明において、
前記関連ジョブグループ判定ステップでは、前記関連ページ対設定ステップで前記判定対象ジョブの全てのページが関連ページ対に定められていれば、前記判定対象ジョブを前記関連ジョブグループに含める旨の判定がなされることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第2の発明において、
前記関連ジョブグループ判定ステップでは、前記関連ページ対設定ステップで前記判定対象ジョブの全てのページのうちの所定の割合以上のページが関連ページ対に定められていれば、前記判定対象ジョブを前記関連ジョブグループに含める旨の判定がなされることを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第2から第5までのいずれかの発明において、
前記校正支援方法は、コンピュータが前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの2以上の印刷ジョブにそれぞれ対応する画像を前記表示部に並べて表示する複数画像表示ステップを更に含み、
前記関連ジョブグループに含まれる2つの印刷ジョブである第1ジョブおよび第2ジョブのそれぞれに対応する画像が前記表示部に並べて表示されているときに作業者によって前記第1ジョブに対応する画像についての表示ページが関連ページ対を構成する2つのページの一方に変更されると、コンピュータが前記第2ジョブに対応する画像についての表示ページを当該関連ページ対を構成する2つのページの他方に変更することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
前記校正支援方法は、コンピュータが前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの2以上の印刷ジョブにそれぞれ対応する画像を前記表示部に並べて表示する複数画像表示ステップを更に含むことを特徴とする。
【0015】
第8の発明は、第7の発明において、
前記コメント反映ステップでは、前記コメント入力ステップで前記共通画像領域を前記コメント入力領域に指定して入力されたコメントが、前記表示部に表示されている画像のみに対して反映されることを特徴とする。
【0016】
第9の発明は、第7の発明において、
前記コメント反映ステップでは、前記コメント入力ステップで前記共通画像領域を前記コメント入力領域に指定して入力されたコメントが、前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの前記校正対象ジョブ以外の全ての印刷ジョブのそれぞれに対応する画像に対して反映されることを特徴とする。
【0017】
第10の発明は、第7から第9までのいずれかの発明において、
前記複数画像表示ステップで前記マスタージョブに対応する画像と前記N個の一般ジョブの1つに対応する画像とが前記表示部に表示される際、前記共通画像領域以外の領域である相違画像領域については、対応する画像データに基づく画像を表示することなく特定パターンの画像を表示するマスク表示が行われることを特徴とする。
【0018】
第11の発明は、第10の発明において、
前記校正支援方法は、前記マスク表示を有効にするか無効にするかを作業者が設定するマスク表示設定ステップを更に含み、
前記マスク表示設定ステップで前記マスク表示を有効にする旨の設定が行われた場合のみ前記マスク表示が行われることを特徴とする。
【0019】
第12の発明は、第7から第9までのいずれかの発明において、
前記複数画像表示ステップで前記マスタージョブに対応する画像と前記N個の印刷ジョブの1つに対応する画像とが前記表示部に表示される際、前記共通画像領域以外の領域である相違画像領域が強調表示されることを特徴とする。
【0020】
第13の発明は、第1から第12までのいずれかの発明において、
前記コメント入力ステップで入力可能なコメントとして、共通コメントと通常コメントとが設けられ、
前記コメント反映ステップでは、コンピュータは、前記共通コメントのみを前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの前記校正対象ジョブ以外の印刷ジョブに対応する画像中の前記コメント入力領域に対応する領域に反映させることを特徴とする。
【0021】
第14の発明は、第1から第13までのいずれかの発明において、
前記コメント反映ステップでは、コンピュータは、前記コメント入力ステップで前記共通画像領域以外の領域である相違画像領域に入力されたコメントについては、いずれの印刷ジョブに対応する画像にも反映させないことを特徴とする。
【0022】
第15の発明は、印刷対象の画像の校正を支援する校正支援システムであって、
Kを2以上の整数として、印刷対象の画像を表す画像データに対応付けられたK個の印刷ジョブであって1個のマスタージョブと(K-1)個の一般ジョブとからなるK個の印刷ジョブを作業者が登録するための印刷ジョブ登録部と、
各一般ジョブに対応する画像データを前記マスタージョブに対応する画像データと比較することにより、各一般ジョブに対応する画像と前記マスタージョブに対応する画像との一致率および各一般ジョブに対応する画像と前記マスタージョブに対応する画像との間で共通する画像部分である共通画像領域を求める画像データ比較部と、
Nを(K-1)以下の整数として、前記画像データ比較部によって求められた一致率に基づいて前記マスタージョブとN個の一般ジョブとを含む(N+1)個の印刷ジョブの集合を関連ジョブグループに定めるグルーピング部と、
前記(N+1)個の印刷ジョブの1つである校正対象ジョブに対応する画像がネットワークを介してコンピュータの表示部に表示されている状態において作業者によって指定されたコメント入力領域に対するコメントであって前記校正対象ジョブに対応する画像に対する校正に関するコメントの入力を受け付けるコメント入力受け付け部と、
前記コメント入力受け付け部によって受け付けられたコメントのうちの作業者が前記共通画像領域を前記コメント入力領域に指定して入力したコメントを前記(N+1)個の印刷ジョブのうちの前記校正対象ジョブ以外の印刷ジョブに対応する画像中の前記コメント入力領域に対応する領域に反映させるコメント反映部と
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
上記第1の発明によれば、コンピュータの処理によって、マスタージョブとして登録された印刷ジョブ以外の印刷ジョブ(一般ジョブ)に対応する画像データとマスタージョブに対応する画像データとが比較され、マスタージョブを含む互いに関連性が高い複数の印刷ジョブの集合が関連ジョブグループに定められる。そして、表示部に校正対象ジョブ(関連ジョブグループを構成する複数の印刷ジョブの1つ)に対応する画像が表示されている状態において作業者が当該画像中の共通画像領域(一般ジョブに対応する画像とマスタージョブに対応する画像との間で共通する画像部分)をコメント入力領域に指定してコメントを入力すると、コンピュータが、当該コメントを関連ジョブグループを構成する複数の印刷ジョブのうちの校正対象ジョブ以外の印刷ジョブに対応する画像に反映させる。このため、互いに関連性が高い複数の印刷ジョブに対して同じ修正指示を行う必要がある場合に、修正指示者は1つの印刷ジョブのみに対して修正指示のコメントを入力すれば良い。従って、修正指示者は従来よりも効率的かつ確実に修正作業者に対して修正指示を行うことが可能となる。以上より、互いに関連する複数の印刷ジョブが存在する場合の校正作業の効率化および校正作業のミスの低減が実現される。
【0024】
上記第2の発明によれば、マスタージョブと一般ジョブとの間でのページ単位の画像の一致率を考慮して関連ジョブグループの設定を行うことが可能となる。
【0025】
上記第3の発明によれば、できるだけ多くの印刷ジョブを関連ジョブグループに含めることが可能となる。
【0026】
上記第4の発明によれば、マスタージョブとの関連性が極めて高い印刷ジョブのみを関連ジョブグループに含めることが可能となる。
【0027】
上記第5の発明によれば、上記第2の発明と同様の効果が得られる。
【0028】
上記第6の発明によれば、互いに関連する2つの印刷ジョブに対応する2つの画像が表示されているときに作業者によって一方の印刷ジョブに対応する画像についての表示ページが変更されると、それに連動して、他方の印刷ジョブに対応する画像についての表示ページも変更される。これにより、表示ページの変更に掛かる作業者の操作負担が軽減される。
【0029】
上記第7の発明によれば、複数の印刷ジョブに対応する複数の画像を画面上で比較しながら校正作業を行うことが可能となるので、互いに関連する複数の印刷ジョブに対する校正作業を従来よりも顕著に効率的に行うことが可能となる。
【0030】
上記第8の発明によれば、修正指示者の意図していない印刷ジョブに対応する画像に対するコメントの反映が防止される。
【0031】
上記第9の発明によれば、互いに関連性が高い複数の印刷ジョブに対して同じ修正指示を行う必要がある場合に、修正指示のコメントの入力に掛かる作業者の操作負担が大幅に軽減される。
【0032】
上記第10の発明によれば、異なる内容の複数の画像に対して修正指示者が誤って同じ修正指示を行うことが防止される。
【0033】
上記第11の発明によれば、上記第10の発明と同様の効果が得られる。
【0034】
上記第12の発明によれば、上記第10の発明と同様の効果が得られる。
【0035】
上記第13の発明によれば、2種類のコメントを使い分けることによって、より効率的に校正作業を行うことが可能となる。
【0036】
上記第14の発明によれば、異なる内容の複数の画像に対して修正指示者が誤って同じ修正指示を行うことが防止される。
【0037】
上記第15の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】上記実施形態に係る印刷システムに含まれるコンピュータの構成を示すブロック図である。
図3】上記実施形態における校正支援システム(校正支援方法を実現するためのシステム)の機能構成を示すブロック図である。
図4】上記実施形態における校正作業の概略手順を示すフローチャートである。
図5】上記実施形態における自動グルーピング処理の手順を示すフローチャートである。
図6】上記実施形態において、自動グルーピング処理について説明するための図である。
図7】上記実施形態において、関連ページ対について説明するための図である。
図8】上記実施形態において、関連ジョブグループについて説明するための図である。
図9】上記実施形態において、関連ジョブグループについて説明するための図である。
図10】上記実施形態において、運用に関する具体例について説明するためのフローチャートである。
図11】上記実施形態において、チラシの2月号の作成開始前のジョブデータ格納部の状態を模式的に示す図である。
図12】上記実施形態において、マスタージョブのジョブデータが作成された後のジョブデータ格納部の状態を模式的に示す図である。
図13】上記実施形態において、2校のジョブデータが作成された後のジョブデータ格納部の状態を模式的に示す図である。
図14】上記実施形態において、修正指示作業が行われる際に表示される校正画面の一例を示す図である。
図15】上記実施形態において、共通コメントを入力する際の操作について説明するための図である。
図16】上記実施形態において、コメント入力用の吹き出しタイプのテキストボックスが表示された校正画面の一例を示す図である。
図17】上記実施形態において、共通コメントが入力された直後の校正画面の一例を示す図である。
図18】上記実施形態において、共通コメントの反映について説明するための図である。
図19】上記実施形態において、相違画像領域に対して共通コメントが入力された場合について説明するための図である。
図20】従来のオンライン校正システムを採用した場合の校正作業の概略手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0040】
<1.印刷システムの構成>
図1は、本実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。この印刷システムは、インクジェット印刷装置10と印刷ワークフロー管理サーバ11とオンライン校正サーバ12とパソコン20とパソコン30とによって構成されている。インクジェット印刷装置10、印刷ワークフロー管理サーバ11、およびオンライン校正サーバ12は印刷会社に設置されている。パソコン20は顧客会社に設置されている。パソコン30は制作会社に設置されている。インクジェット印刷装置10と印刷ワークフロー管理サーバ11とオンライン校正サーバ12とは、印刷会社内でLAN41によって接続されている。オンライン校正サーバ12とパソコン20とパソコン30とはインターネット42を介して接続されている。
【0041】
顧客会社に設置されているパソコン20は、印刷の発注および校正作業の際の修正指示のために使用される。制作会社に設置されているパソコン30は、発注の内容に応じた原稿の作成(印刷用の入稿データの作成)および校正作業の際の原稿の修正のために使用される。オンライン校正サーバ12には、オンライン校正システムを実現するプログラムがインストールされている。すなわち、オンライン校正サーバ12は、インターネット42を介したパソコン(顧客会社に設置されているパソコン20や制作会社に設置されているパソコン30)からの要求に応じて、当該パソコンの表示部への校正作業用の画面(以下、「校正画面」という。)の表示や当該パソコンからのコメントの入力の受け付けなどを行う。本実施形態においては、作業者による校正作業を支援する機能を提供する校正支援システムがオンライン校正システムに含まれている。なお、RIP処理もオンライン校正サーバ12で行われるものと仮定する。校正画像に関して顧客会社の承認者による承認が得られた印刷ジョブのデータは印刷ワークフロー管理サーバ11に与えられる。印刷ワークフロー管理サーバ11には、インクジェット印刷装置10を用いて印刷を行うための一連の処理を管理する印刷ワークフローシステムを実現するプログラムがインストールされている。すなわち、印刷ワークフロー管理サーバ11は、印刷ワークフローの管理を行う。例えば、印刷が効率的に行われるように複数の印刷ジョブについての印刷順序を決定する処理などが行われる。インクジェット印刷装置10は、RIP処理によって生成された印刷データに基づいて、印刷版を用いることなく基材である印刷用紙にインクを吐出することによって印刷画像を出力する(すなわち、印刷を行う)。
【0042】
なお、上述した構成は一例であって、他の様々な構成を採用することができる。例えば、RIP処理が印刷ワークフロー管理サーバ11あるいはRIP処理専用のサーバで行われる構成を採用することもできる。このように、オンライン校正サーバ12と他のサーバとが連携することによってオンライン校正システムが実現されるようにしても良い。また、インクジェット印刷装置10による印刷を行う構成に代えて、印刷版を用いた印刷を行う構成(例えば、製版装置とオフセット印刷装置とからなる構成)を採用することもできる。さらに、インクジェット印刷装置10による印刷および印刷版を用いた印刷の双方が可能な構成を採用することもできる。
【0043】
<2.印刷システムを構成するコンピュータの構成>
図2は、本実施形態に係る印刷システムに含まれるコンピュータ500の構成を示すブロック図である。印刷ワークフロー管理サーバ11、オンライン校正サーバ12、パソコン20、およびパソコン30が、コンピュータ500である。図2に示すコンピュータ500は、本体510、補助記憶装置521、光ディスクドライブ522、表示部523、キーボード524、およびマウス525などを備えている。本体510は、CPU511、メモリ512、第1ディスクインタフェース部513、第2ディスクインタフェース部514、表示制御部515、入力インタフェース部516、およびネットワークインタフェース部517を含んでいる。CPU511、メモリ512、第1ディスクインタフェース部513、第2ディスクインタフェース部514、表示制御部515、入力インタフェース部516、およびネットワークインタフェース部517は、システムバスを介して互いに接続されている。第1ディスクインタフェース部513には補助記憶装置521が接続されている。補助記憶装置521は磁気ディスク装置などである。第2ディスクインタフェース部514には光ディスクドライブ522が接続されている。光ディスクドライブ522には、CD-ROMやDVD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としての光ディスク59が挿入される。表示制御部515には、表示部(表示装置)523が接続されている。表示部523は液晶ディスプレイなどである。表示部523は、オペレータが所望する情報を表示するために使用される。入力インタフェース部516には、キーボード524およびマウス525が接続されている。キーボード524およびマウス525は、このコンピュータ500に対して作業者が指示を入力するために使用される。ネットワークインタフェース部517は、通信用のインタフェース回路である。
【0044】
補助記憶装置521には、コンピュータ500で実行するプログラムや各種のデータが格納されている。CPU511は、補助記憶装置521に格納されたプログラムをメモリ512に読み出して実行することにより、各種機能を実現する。メモリ512は、RAMおよびROMを含んでいる。メモリ512は、補助記憶装置521に格納されたプログラムをCPU511が実行するためのワークエリアとして機能する。なお、プログラムは、例えば上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一過性の記録媒体)に格納されて提供される。
【0045】
<3.機能構成>
図3は、本実施形態における校正支援システム(校正支援方法を実現するためのシステム)の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、この校正支援システムには、印刷ジョブ登録部61とジョブデータ格納部62と自動グルーピング処理部63と校正画面表示部64とが設けられている。自動グルーピング処理部63には、RIP処理部631と画像データ比較部632とグルーピング部633とが含まれている。グルーピング部633には、関連ページ対設定部6331と関連ジョブグループ判定部6332とが含まれている。校正画面表示部64には、複数画像表示制御部641とコメント入力受け付け部642とコメント反映部643とが含まれている。
【0046】
印刷ジョブ登録部61は、作業者の操作に基づき、印刷対象の画像を表す画像データに対応付けられた印刷ジョブの登録を行う。これに関し、本実施形態においては、1つのまとまりのある複数の印刷ジョブ毎に1つの印刷ジョブをマスタージョブとして登録することが可能となっている。なお、本明細書では、マスタージョブ以外の印刷ジョブを便宜上「一般ジョブ」という。以上より、印刷ジョブ登録部61は、作業者の操作に基づき、Kを2以上の整数として、印刷対象の画像を表す画像データに対応付けられたK個の印刷ジョブであって1個のマスタージョブと(K-1)個の一般ジョブとからなるK個の印刷ジョブの登録を行う。
【0047】
ジョブデータ格納部62には、印刷ジョブ登録部61によって登録された印刷ジョブのデータ(以下、「ジョブデータ」という。)が格納される。ジョブデータには、印刷対象の画像データに加えて、印刷の実行に必要な各種の情報(例えば、用紙サイズの情報)が含まれている。なお、このジョブデータ格納部62には、RIP処理前の画像データもRIP処理後の画像データも格納される。また、このジョブデータ格納部62には、校正前の画像データも校正後の画像データも格納される。さらに、このジョブデータ格納部62には、修正指示のコメントが付与された画像データも格納される。
【0048】
自動グルーピング処理部63は、互いに関連する複数の印刷ジョブを自動的にグループ化する後述の自動グルーピング処理を行う。
【0049】
RIP処理部631は、ジョブデータ格納部62に格納されているジョブデータに含まれる画像データに対してRIP処理を施す。これにより、顧客会社および制作会社での校正作業に用いられる画像である校正画像が作成される。
【0050】
画像データ比較部632は、複数の印刷ジョブについてのRIP処理後の画像データGDと、各印刷ジョブがマスタージョブであるのか一般ジョブであるのかを示す情報を含むジョブ情報JIとに基づいて、各一般ジョブに対応する画像データをマスタージョブに対応する画像データと比較する。これにより、比較結果REとして、各一般ジョブに対応する画像とマスタージョブに対応する画像との一致率および各一般ジョブに対応する画像とマスタージョブに対応する画像との間で共通する画像部分である共通画像領域が求められる。なお、この画像データ比較部632による一致率の算出は、各一般ジョブの1つのページに対応する画像とマスタージョブの1つのページに対応する画像との組み合わせ毎に行われる。
【0051】
グルーピング部633は、画像データ比較部632の処理で得られた比較結果REとジョブ情報JIとに基づいて、マスタージョブと、当該マスタージョブとの関連性が高い1以上の一般ジョブとを、当該マスタージョブを主とする関連ジョブグループとしてまとめる。これに関し、どの一般ジョブを関連ジョブグループに含めるかは、一致率に基づいて決定される。印刷ジョブ登録部61によって1個のマスタージョブと(K-1)個の一般ジョブとが登録されていれば(但し、Kを2以上の整数とする)、最大で(K-1)個の一般ジョブが当該マスタージョブを主とする関連ジョブグループに含められる。以上より、グルーピング部633は、Nを(K-1)以下の整数として、画像データ比較部632によって求められた一致率に基づいてマスタージョブとN個の一般ジョブとを含む(N+1)個の印刷ジョブの集合を関連ジョブグループに定める。
【0052】
関連ページ対設定部6331は、画像データ比較部632によって所定の閾値以上の一致率が得られた組み合わせを構成する2つのページを関連ページ対に定める。ところで、上述したように、画像データ比較部632による一致率の算出は、各一般ジョブの1つのページに対応する画像とマスタージョブの1つのページに対応する画像との組み合わせ毎に行われる。例えば、マスタージョブの画像データが4ページ分のデータであって比較対象の一般ジョブの画像データが3ページ分のデータであれば、マスタージョブの画像データと比較対象の一般ジョブの画像データとを比較することによって、次の12個の一致率が算出される。
(1)一般ジョブの第1ページとマスタージョブの第1ページとの一致率
(2)一般ジョブの第1ページとマスタージョブの第2ページとの一致率
(3)一般ジョブの第1ページとマスタージョブの第3ページとの一致率
(4)一般ジョブの第1ページとマスタージョブの第4ページとの一致率
(5)一般ジョブの第2ページとマスタージョブの第1ページとの一致率
(6)一般ジョブの第2ページとマスタージョブの第2ページとの一致率
(7)一般ジョブの第2ページとマスタージョブの第3ページとの一致率
(8)一般ジョブの第2ページとマスタージョブの第4ページとの一致率
(9)一般ジョブの第3ページとマスタージョブの第1ページとの一致率
(10)一般ジョブの第3ページとマスタージョブの第2ページとの一致率
(11)一般ジョブの第3ページとマスタージョブの第3ページとの一致率
(12)一般ジョブの第3ページとマスタージョブの第4ページとの一致率
そして、所定の閾値以上の一致率が得られた組み合わせを構成する2つのページ(一般ジョブの1つのページとマスタージョブの1つのページ)が関連ページ対に定められる。但し、閾値が好適に設定されていなければ、一般ジョブの或る1つのページに関して、マスタージョブの複数のページについて一致率が閾値以上となることが考えられる。例えば、上記の例で、一般ジョブの第1ページとマスタージョブの第2ページとの一致率が閾値以上かつ一般ジョブの第1ページとマスタージョブの第3ページとの一致率が閾値以上となることが考えられる。このような場合には、例えば、最も高い一致率が得られた組み合わせを構成する2つのページのみを関連ページ対に定めるようにすれば良い。
【0053】
関連ジョブグループ判定部6332は、各一般ジョブについて、マスタージョブを主とする関連ジョブグループに含めるか否かを判定する。その際、上述したように印刷ジョブ登録部61によって(K-1)個の一般ジョブが登録されていれば、それら(K-1)個の一般ジョブが1つずつ順に判定の対象とされる。また、判定の際には、関連ページ対設定部6331によって定められた関連ページ対の情報が参照される。以上より、関連ジョブグループ判定部6332は、(K-1)個の一般ジョブを1つずつ判定対象ジョブとして、関連ページ対設定部6331によって定められた関連ページ対の情報に基づいて判定対象ジョブを関連ジョブグループに含めるか否かを判定する。判定の手法の具体的な例としては、例えば次の3つの例が挙げられる。
(第1の例)関連ページ対設定部6331によって判定対象ジョブの少なくとも1つのページが関連ページ対に定められていれば、判定対象ジョブを関連ジョブグループに含める。
(第2の例)関連ページ対設定部6331によって判定対象ジョブの全てのページが関連ページ対に定められていれば、判定対象ジョブを関連ジョブグループに含める。
(第3の例)関連ページ対設定部6331によって判定対象ジョブの全てのページのうちの所定の割合以上のページが関連ページ対に定められていれば、判定対象ジョブを関連ジョブグループに含める。
【0054】
校正画面表示部64は、顧客会社のパソコン20あるいは制作会社のパソコン30からの要求に応じてパソコン20あるいはパソコン30の表示部に校正画面を表示させ、作業者による操作を受け付ける。
【0055】
複数画像表示制御部641は、パソコン20あるいはパソコン30の表示部に、関連ジョブグループに含まれている複数の印刷ジョブにそれぞれ対応する複数の校正画像を並べて表示させる。なお、典型的には、マスタージョブに対応する校正画像と一般ジョブに対応する校正画像とが並べて表示される。ところで、複数画像表示制御部641はオンライン校正サーバ12に設けられた構成要素であって、校正画像が表示されるのは顧客会社のパソコン20あるいは制作会社のパソコン30の表示部である。また、上述したように、グルーピング部633によって、(N+1)個の印刷ジョブの集合が関連ジョブグループに定められる。以上より、複数画像表示制御部641は、ネットワークを介して表示部に(N+1)個の印刷ジョブのうちの2以上の印刷ジョブにそれぞれ対応する画像を並べて表示させる。また、関連ジョブグループに含まれる2つの印刷ジョブに対応する2つの校正画像が表示部に並べて表示されているときに作業者によって一方の印刷ジョブに対応する校正画像についての表示ページが変更されると、それに連動して、他方の印刷ジョブに対応する校正画像についての表示ページも変更される。すなわち、複数画像表示制御部641は、関連ジョブグループに含まれる2つの印刷ジョブ(ここでは、第1ジョブおよび第2ジョブとする)のそれぞれに対応する画像が表示部に並べて表示されているときに作業者によって第1ジョブに対応する画像についての表示ページが関連ページ対を構成する2つのページの一方に変更されると、第2ジョブに対応する画像についての表示ページを当該関連ページ対を構成する2つのページの他方に変更する。
【0056】
コメント入力受け付け部642は、校正対象の印刷ジョブに対応する校正画像が表示部に表示されている状態において、作業者による校正に関するコメントの入力を受け付ける。これに関し、作業者は、コメント入力領域を指定してからコメントを入力する。ところで、コメント入力受け付け部642はオンライン校正サーバ12に設けられた構成要素であって、校正画像が表示されるのは顧客会社のパソコン20あるいは制作会社のパソコン30の表示部である。また、上述したように、グルーピング部633によって、(N+1)個の印刷ジョブの集合が関連ジョブグループに定められる。以上より、コメント入力受け付け部642は、(N+1)個の印刷ジョブの1つである校正対象ジョブに対応する画像がネットワークを介してコンピュータの表示部に表示されている状態において作業者によって指定されたコメント入力領域に対するコメントであって校正対象ジョブに対応する画像に対する校正に関するコメントの入力を受け付ける。なお、本実施形態においては、作業者が入力可能なコメントとして、共通コメントC1と通常コメントC2とが設けられている。共通コメントC1は、複数の印刷ジョブに対して同じ内容の指示を入力したいときに使用するためのコメントである。通常コメントC2は、1つの印刷ジョブに対する指示を入力したいときに使用するためのコメントである。
【0057】
コメント反映部643は、作業者によって入力されたコメントが画像データ比較部632によって求められた共通画像領域に対して入力されたコメントであれば、関連ジョブグループを構成する他の印刷ジョブに対応する校正画像の共通画像領域に当該コメントを反映させる。換言すれば、コメント反映部643は、コメント入力受け付け部642によって受け付けられたコメントのうちの作業者が共通画像領域をコメント入力領域に指定して入力したコメントを(N+1)個の印刷ジョブ(マスタージョブを主とする関連ジョブグループに含まれる印刷ジョブ)のうちの校正対象ジョブ以外の印刷ジョブに対応する画像中のコメント入力領域に対応する領域に反映させる。但し、本実施形態においては、共通コメントC1のみがコメント反映部643の処理対象とされる。
【0058】
<4.校正作業の手順>
図4を参照しつつ、本実施形態における校正作業の手順について説明する。ここでも、顧客会社から印刷会社に対して2つの印刷ジョブ(ジョブJ1およびジョブJ2)に基づく印刷の発注が行われた場合であって校正作業において当該2つの印刷ジョブに対して同じ修正指示が行われる場合に着目する。
【0059】
顧客会社から印刷会社に対して印刷の発注が行われると、所定の制作会社において発注内容に応じた原稿が作成される。ここでは、制作会社のパソコン30で、ジョブJ1およびジョブJ2の初稿の作成が行われる(ステップS10)。なお、作成された原稿のデータ(入稿データ)は、インターネット42を介してパソコン30からオンライン校正サーバ12へと送信される。
【0060】
次に、印刷会社において、入稿データに基づいて、印刷ジョブ登録部61によってオンライン校正システムへのジョブJ1およびジョブJ2の登録が行われる(ステップS11)。ここでは、ジョブJ1はマスタージョブとして登録されジョブJ2は一般ジョブとして登録されるものと仮定する。
【0061】
次に、印刷会社のオンライン校正サーバ12で、詳しくは後述する自動グルーピング処理が行われる(ステップS12)。この例では、自動グルーピング処理によって、ジョブJ1とジョブJ2とが関連ジョブグループとしてまとめられる。なお、ジョブJ1およびジョブJ2の入稿データに対するRIP処理は、自動グルーピング処理の中で行われる。そのRIP処理により、校正画像が作成される。
【0062】
次に、顧客会社のパソコン20の表示部に、ジョブJ1に対応する校正画像とジョブJ2に対応する校正画像とが並べて表示される(ステップS13)。このように2つの印刷ジョブが並べて表示された状態において、校正画像の内容を確認して修正を指示する作業が修正指示者(顧客会社の校正担当者)によって行われる(ステップS14)。ステップS14では、具体的には、修正指示者が、一方の印刷ジョブに対応する校正画像の共通画像領域(ジョブJ1に対応する校正画像とジョブJ2に対応する校正画像との間で共通する画像部分)に対して共通コメントを入力する。その後、ステップS14で入力された共通コメントが、他方の印刷ジョブに対応する校正画像に反映される(ステップS15)。このような動作が行われるので、ジョブJ1とジョブJ2とに対して同じ修正指示を行う必要がある場合には修正指示者は一方の印刷ジョブに対してのみ修正指示を行えば良い。
【0063】
その後、制作会社において、ステップS14での修正指示に従い、制作会社のパソコン30で修正作業者によりジョブJ1の原稿の修正(ステップS16)およびジョブJ2の原稿の修正(ステップS17)が行われる。そして、顧客会社の承認者による承認が得られるまで、ステップS12~S17の処理が繰り返される。なお、後述するように自動グルーピング処理によって複数の印刷ジョブの間でページの関連付けが行われるので、顧客会社の承認者は承認作業に関してデジタル検版を活用することができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、上記ステップS11によって印刷ジョブ登録ステップが実現され、上記ステップS13によって複数画像表示ステップが実現され、上記ステップS14によってコメント入力ステップが実現され、上記ステップS15によってコメント反映ステップが実現されている。
【0065】
<5.自動グルーピング処理>
図5に示すフローチャートを参照しつつ、自動グルーピング処理の手順について説明する。この自動グルーピング処理は、例えば、オンライン校正サーバ12で作業者が自動グルーピング処理の実行を指示するメニューを選択することによって開始される。ところで、この自動グルーピング処理は、マスタージョブと比較すべき一般ジョブの数だけ繰り返される。すなわち、以下に記すステップS121以降の処理は一般ジョブ毎に行われる。そこで、以下では、マスタージョブとの比較対象となっている1つの一般ジョブ(判定対象ジョブ)についての処理に着目する。なお、ここでは、関連ジョブグループ判定部6332は判定対象ジョブの少なくとも1つのページが関連ページ対に定められていれば当該判定対象ジョブを関連ジョブグループに含める旨の判定を行うものと仮定する(上記第1の例を参照)。
【0066】
自動グルーピング処理の開始後、まず、RIP処理部631によって、マスタージョブに対応する画像データおよび判定対象ジョブに対応する画像データに対してRIP処理が施される(ステップS121)。但し、この自動グルーピング処理が2回以上繰り返される場合には、マスタージョブに対応する画像データに対するRIP処理は1度だけ実行されれば良い。
【0067】
次に、画像データ比較部632によって、RIP処理後の画像データを用いて判定対象ジョブに対応する校正画像とマスタージョブに対応する校正画像とを比較するデジタル検版が行われる(ステップS122)。そして、ステップS122で得られた結果から、判定対象ジョブとマスタージョブとの間での一致率および上述した共通画像領域が求められる(ステップS123)。なお、一致率は、判定対象ジョブの1つのページに対応する校正画像とマスタージョブの1つのページに対応する校正画像との組み合わせ毎に算出される。また、デジタル検版に関し、文字詰めや画像レイアウトの微調整に起因する差異が検出されないように予め検出感度を調整するようにしても良い。
【0068】
次に、関連ページ対設定部6331によって、ステップS123で算出された一致率に基づき関連ページ対を設定する処理が行われる(ステップS124)。その後、関連ジョブグループ判定部6332によって、関連ページ対があるか否かが判定される(ステップS125)。ところで、ステップS124では、ステップS123で算出された複数の一致率のうち所定の閾値以上の一致率が得られた組み合わせを構成する2つのページ(判定対象ジョブの1つのページとマスタージョブの1つのページ)が関連ページ対に定められる。従って、ステップS125では、ステップS123で算出された複数の一致率の中に1つでも閾値以上の一致率があれば、関連ページ対がある旨の判定が行われる。ステップS125での判定の結果、関連ページ対があれば処理はステップS126に進み、関連ページ対がなければ処理はステップS127に進む。
【0069】
ステップS126では、関連ジョブグループ判定部6332が、判定対象ジョブをマスタージョブを主とする関連ジョブグループに含める旨の判定を行う。ステップS127では、関連ジョブグループ判定部6332が、判定対象ジョブをマスタージョブを主とする関連ジョブグループに含めない旨の判定を行う。ステップS126またはステップS127の処理が終了することにより、自動グルーピング処理は終了する。
【0070】
ここで、模式的には図6に示すような画像に対応する4つの印刷ジョブ(ジョブJ1~J4)が印刷ジョブ登録部61によって登録されたケースに着目する。なお、ジョブJ1はマスタージョブとして登録されジョブJ2~J4は一般ジョブとして登録されているものと仮定する。また、上記ステップS123で算出される一致率と比較される閾値は0.8に設定されているものと仮定する。
【0071】
一般ジョブJ2に対応する校正画像とマスタージョブJ1に対応する校正画像とを比較した結果に基づき、例えば、一般ジョブJ2の第1ページとマスタージョブJ1の第1ページとが関連ページ対に定められ、一般ジョブJ2の第3ページとマスタージョブJ1の第4ページとが関連ページ対に定められる。また、一般ジョブJ3に対応する校正画像とマスタージョブJ1に対応する校正画像とを比較した結果に基づき、例えば、一般ジョブJ3の第1ページとマスタージョブJ1の第1ページとが関連ページ対に定められ、一般ジョブJ3の第2ページとマスタージョブJ1の第2ページとが関連ページ対に定められ、一般ジョブJ3の第4ページとマスタージョブJ1の第4ページとが関連ページ対に定められる。一般ジョブJ4については、マスタージョブJ1との間で関連ページ対を構成するページは存在しない。
【0072】
以上より、ジョブJ1~J3の各ページは図7に示すように互いに関連付けられる。例えば、図7で符号69を付した矢印で示す行は、マスタージョブJ1の第4ページと一般ジョブJ2の第3ページと一般ジョブJ3の第4ページとが互いに関連付けられていることを表している。このように複数の印刷ジョブの間でページの関連付けが行われるので、顧客会社の承認者は承認作業に関してデジタル検版を活用することが可能となる。
【0073】
上記のケースでは、まず、一般ジョブJ2に対応する校正画像とマスタージョブJ1に対応する校正画像とを比較した結果に基づき、図8に示すように、マスタージョブJ1と一般ジョブJ2とからなる関連ジョブグループ(マスタージョブJ1を主とする関連ジョブグループ)が生成される。そして、一般ジョブJ3に対応する校正画像とマスタージョブJ1に対応する校正画像とを比較した結果に基づき、図9に示すように、マスタージョブJ1を主とする関連ジョブグループに一般ジョブJ3が追加される。
【0074】
なお、本実施形態においては、上記ステップS122,S123によって画像データ比較ステップが実現され、上記ステップS124~S127によってグルーピングステップが実現されている。また、上記ステップS124によって関連ページ対設定ステップが実現され、上記ステップS125~S127によって関連ジョブグループ判定ステップが実現されている。
【0075】
<6.運用の具体例>
次に、図10に示すフローチャートを参照しつつ、運用に関する具体例について説明する。ここでは、チェーン展開されているスーパーマーケット向けのチラシの校正作業を例に挙げる。また、着目するスーパーマーケットの名称は「ABCスーパーマーケット」であると仮定し、チラシの1月号が存在している状況下におけるチラシの2月号の作成に着目する。ここでは、関連ジョブグループ判定部6332は判定対象ジョブの全てのページが関連ページ対に定められていれば当該判定対象ジョブを関連ジョブグループに含める旨の判定を行うものと仮定する(上記第2の例を参照)。なお、以下においては、初校(1回目の校正作業)の際に処理対象となるジョブデータを「初校のジョブデータ」といい、2校(2回目の校正作業)の際に処理対象となるジョブデータを「2校のジョブデータ」という。
【0076】
図11は、チラシの2月号の作成開始前のジョブデータ格納部62(図3参照)の状態を模式的に示す図である。ルートフォルダ7の下位に顧客会社毎の作業フォルダが設けられている。図11には、ABCスーパーマーケット用作業フォルダ71と、他の顧客会社用作業フォルダ72,73とが示されている。ABCスーパーマーケット用作業フォルダ71の下位には既に1月号作成用フォルダ711が存在している。
【0077】
以上のような状況下、ABCスーパーマーケット用作業フォルダ71の下位に、チラシの2月号を作成するための作業フォルダとなる2月号作成用フォルダ712(図12参照)が作成される(ステップS200)。次に、マスタージョブの登録が行われる(ステップS202)。具体的には、制作会社のパソコン30で作成されたマスタージョブのジョブデータ7120が2月号作成用フォルダ712の中に格納される。マスタージョブのジョブデータ7120は、後述する地方版のチラシの作成元となるデータであって、この例では3つのページ(P1~P3)によって構成されている。なお、マスタージョブを作成する作業者、マスタージョブを承認する承認者、および後述する地方版フォルダを作成する作業者のみが2月号作成用フォルダ712の直下にアクセス可能となるように管理者権限の設定が行われる。
【0078】
マスタージョブが登録された後、地方版のチラシを作成する作業が開始される。具体的には、まず、地方版のチラシの作成に用いるフォルダである地方版フォルダが2月号作成用フォルダ712の下位に作成される(ステップS204)。なお、ここでは、「第1地区」、「第2地区」、および「第3地区」の3つの地方版のチラシを作成するケースに着目する。このケースでは、図13に示すように、2月号作成用フォルダ712の下位に、地方版フォルダとして、第1地区用作業フォルダ7121、第2地区用作業フォルダ7122、および第3地区用作業フォルダ7123が作成される。それら各地区用作業フォルダには、該当の地区の印刷ジョブを作成する作業者と当該印刷ジョブを承認する承認者のみがアクセス可能となるように管理者権限の設定が行われる。
【0079】
次に、第1地区の作業者が、マスタージョブを元にして、第1地区用の印刷ジョブ(チラシの原稿)を作成する(ステップS206)。ステップS206で作成された第1地区用の初校のジョブデータ7121aは第1地区用作業フォルダ7121に格納される。同様にして、第2地区用の印刷ジョブが作成され(ステップS208)、さらに第3地区用の印刷ジョブが作成される(ステップS210)。ステップS208で作成された第2地区用の初校のジョブデータ7122aは第2地区用作業フォルダ7122に格納され、ステップS210で作成された第3地区用の初校のジョブデータ7123aは第3地区用作業フォルダ7123に格納される。この例では、第1地区用の初校のジョブデータ7121a、第2地区用の初校のジョブデータ7122a、および第3地区用の初校のジョブデータ7123aは、いずれも3つのページ(P1~P3)によって構成されている。なお、ステップS206、ステップS208、およびステップS210の処理については、特に順序は限定されず、また、それらが同時並行的に行われても良い。
【0080】
第1~第3地区用の初校のジョブデータの作成後、自動グルーピング処理が行われる(ステップS212~S216)。これに関し、まず、RIP処理が行われる(ステップS212)。このケースでは、マスタージョブのジョブデータ7120に含まれる画像データ、第1地区用の初校のジョブデータ7121aに含まれる画像データ、第2地区用の初校のジョブデータ7122aに含まれる画像データ、第3地区用の初校のジョブデータ7123aに含まれる画像データに対して、RIP処理が施される。
【0081】
次に、各地区用の初校のジョブデータ7121a~7123aとマスタージョブのジョブデータ7120とが比較される(ステップS214)。より詳しくは、第1地区用の初校のジョブデータ7121aに含まれる画像データとマスタージョブのジョブデータ7120に含まれる画像データとが比較され、第2地区用の初校のジョブデータ7122aに含まれる画像データとマスタージョブのジョブデータ7120に含まれる画像データとが比較され、第3地区用の初校のジョブデータ7123aに含まれる画像データとマスタージョブのジョブデータ7120に含まれる画像データとが比較される。
【0082】
そして、ステップS214で得られた比較結果に基づいて、マスタージョブと、当該マスタージョブとの関連性が高い各地区用の印刷ジョブとが、当該マスタージョブを主とする関連ジョブグループとしてまとめられる(ステップS216)。ここで、第1地区用の初校のジョブデータ7121aの第1~第3ページは、それぞれ、マスタージョブのジョブデータ7120の第1~第3ページとほぼ一致する(すなわち、一致率が閾値以上である)と仮定する。このとき、第1地区用の初校のジョブデータ7121aに対応する印刷ジョブは、マスタージョブを主とする関連ジョブグループに含められる。また、第2地区用の初校のジョブデータ7122aの第1~第3ページも、それぞれ、マスタージョブのジョブデータ7120の第1~第3ページとほぼ一致すると仮定する。このとき、第2地区用の初校のジョブデータ7122aに対応する印刷ジョブは、マスタージョブを主とする関連ジョブグループに含められる。また、第3地区用の初校のジョブデータ7123aの第1~第2ページはそれぞれマスタージョブのジョブデータ7120の第1~第2ページとほぼ一致するが、第3地区用の初校のジョブデータ7123aの第3ページはマスタージョブのジョブデータ7120の第3ページとはほとんど一致しない(すなわち、一致率が閾値未満である)と仮定する。このとき、第3地区用の初校のジョブデータ7123aに対応する印刷ジョブは、マスタージョブを主とする関連ジョブグループには含められない。
【0083】
その後、各地区の作業者が使用するパソコンの表示部に校正画面が表示される。そして、校正画面に表示されている校正画像の共通画像領域に対して共通コメントが入力されたか否かが判定される(ステップS218)。その結果、共通コメントが入力されていれば処理はステップS220に進み、共通コメントが入力されていなければ処理はステップS222に進む。
【0084】
ステップS220では、関連ジョブグループを構成する複数の印刷ジョブのうちの1つに対応する校正画像の共通画像領域に入力された共通コメントが当該関連ジョブグループを構成する他の印刷ジョブに対応する校正画像の共通画像領域に反映される。例えば、マスタージョブに対応する校正画像の共通画像領域に対して共通コメントが入力されると、第1地区用の印刷ジョブに対応する校正画像の共通画像領域および第2地区用の印刷ジョブに対応する校正画像の共通画像領域に反映される。ステップS220の終了後、処理はステップS206に戻る。
【0085】
ステップS222では、各地区用の印刷ジョブに関して承認者による承認が得られたか否かが判定される。その結果、全ての地区用の印刷ジョブに関して承認者による承認が得られていれば処理は終了し、少なくとも1つの地区用の印刷ジョブに関して承認者による承認が得られていなければ処理はステップS206に戻る。このようにして、全ての地区用の印刷ジョブに関して承認者による承認が得られるまで、ステップS206~ステップS222が繰り返される。なお、この処理の2回目以降のループの際には、承認者による承認が得られていない地区についてのみ印刷ジョブが再作成される。図13に示す例では、第1地区用作業フォルダ7121に第1地区用の2校のジョブデータ7121bが格納され、第2地区用作業フォルダ7122に第2地区用の2校のジョブデータ7122bが格納されている。
【0086】
ところで、上記の例では2月号作成用フォルダ712内にジョブデータが格納されているマスタージョブと2月号作成用フォルダ712内にジョブデータが格納されている各地区用の印刷ジョブとの間でグルーピングの処理が行われている。すなわち、2月号作成用フォルダ712内にジョブデータが格納されている印刷ジョブ間でグルーピングの処理が行われている。しかしながら、これには限定されず、例えば、2月号作成用フォルダ712内にジョブデータが格納されているマスタージョブと1月号作成用フォルダ711内にジョブデータが格納されている各地区用の印刷ジョブとの間でグルーピングの処理が行われても良い。
【0087】
<7.修正指示作業>
次に、顧客会社のパソコン20で行われる修正指示作業について詳しく説明する。ここでは、マスタージョブに対応する校正画像と1つの一般ジョブに対応する校正画像とを並べて表示して修正指示作業を行うケースに着目する。なお、マスタージョブJ1と一般ジョブJ2とによって関連ジョブグループが構成されているものと仮定する。
【0088】
本実施形態においては、修正指示作業が行われる際、顧客会社のパソコン20の表示部には図14に示すような校正画面800が表示される。なお、図14に関し、本発明に直接には関係しないメニューボタン等は省略している。校正画面800には、2つのドロップダウンリスト81a,81bが設けられている。それらドロップダウンリスト81a,81bによって、校正画面800内に表示する印刷ジョブを選択することが可能となっている。ドロップダウンリスト81aによって選択された印刷ジョブに対応する校正画像は校正画面800内の左方に表示され、ドロップダウンリスト81bによって選択された印刷ジョブに対応する校正画像は校正画面800内の右方に表示される。図14に示す例では、マスタージョブJ1に対応する校正画像が校正画面800内の左方に表示され、一般ジョブJ2に対応する校正画像が校正画面800内の右方に表示されている。
【0089】
校正画面800には、また、2つのページサムネイル表示領域82a,82bが設けられている。校正画面800内の左方には、ドロップダウンリスト81aによって選択された印刷ジョブを構成する1以上のページのうちのページサムネイル表示領域82aで選択されたページの校正画像が表示される。校正画面800内の右方には、ドロップダウンリスト81bによって選択された印刷ジョブを構成する1以上のページのうちのページサムネイル表示領域82bで選択されたページの校正画像が表示される。ここで、作業者によって一方の印刷ジョブに対応する校正画像についての表示ページが他のページに変更されると、それに連動して、他方の印刷ジョブに対応する校正画像についての表示ページが自動的に変更される。詳しくは、作業者によって一方の印刷ジョブに対応する校正画像についての表示ページが関連ページ対を構成する2つのページの一方に変更されると、他方の印刷ジョブに対応する校正画像についての表示ページが当該関連ページ対を構成する2つのページの他方に自動的に変更される。
【0090】
校正画面800において、マスタージョブJ1に対応する校正画像と一般ジョブJ2に対応する校正画像との相違が大きい領域すなわち共通画像領域以外の領域(以下、「相違画像領域」という。)については、図14で符号83a,83bを付した部分に示すように、画像データに基づく校正画像を表示することなく特定パターンの画像を表示するマスク表示が行われる。なお、マスク表示に代えて、相違画像領域が強調表示されるようにしても良い。また、作業者の操作によりマスク表示と強調表示とを切り換えることができるようにしても良い。
【0091】
修正指示は、作業者が校正画像に対してコメントを入力することによって行われる。これに関し、本実施形態においては、上述したように、修正指示者(作業者)による入力が可能なコメントとして、共通コメントと通常コメントとが設けられている。通常コメントについては、一方の印刷ジョブに対応する校正画像に対して入力されても、他方の印刷ジョブに対応する校正画像に反映されることはない。これに対して、共通コメントについては、一方の印刷ジョブに対応する校正画像に対して入力され、かつ、入力された領域が共通画像領域であれば、他方の印刷ジョブに対応する校正画像に反映される。
【0092】
図14に示すケースに関し、マスタージョブJ1および一般ジョブJ2の双方について自動車の絵を電車の絵に変更する旨の修正指示を行うことを想定する。この場合、修正指示者は、まず、共通コメントのメニュー(不図示)を選択した上で、図15に示すように自動車の絵の画像部分を矩形枠84で囲むことによって指定する(矩形枠84で囲まれた領域がコメント入力領域となる)。そうすると、図16に示すように、校正画面800内にコメント入力用の吹き出しタイプのテキストボックス85a,85bが表示される。そして、修正指示者は、例えば図17に示すように、テキストボックス85aにコメントを入力する。そうすると、図18に示すように、テキストボックス85aに入力されたコメントと同じコメントが自動的にテキストボックス85bに表示される。なお、テキストボックス85bにコメントが入力された場合には、当該コメントと同じコメントが自動的にテキストボックス85aに表示される。
【0093】
ところで、図19に示すように一方の印刷ジョブに対応する校正画像のうちの相違画像領域に対して共通コメントが入力された場合には、当該共通コメントは他方の印刷ジョブに対応する校正画像には反映されない。なお、共通コメントのメニューが選択された場合には相違画像領域に対してコメントを入力することができないようにしても良い。
【0094】
なお、ここでは校正画面800内に2つの印刷ジョブに対応する2つの校正画像が表示されるケースを例示したが、Pを3以上の整数として校正画面800内にP個の印刷ジョブに対応するP個の校正画像が表示されるようにしても良い。例えば、関連ジョブグループを構成する4個の印刷ジョブに対応する4つの校正画像が校正画面800内に表示されるようにしても良い。その場合、それら4つの校正画像のうちの1つの校正画像の共通画像領域に対して共通コメントが入力されると、当該共通コメントが他の3つの校正画像の共通画像領域に反映される。
【0095】
また、マスク表示を有効にするか無効にするかを作業者が設定できるようにしてマスク表示を有効にする旨の設定が行われている場合のみマスク表示が行われるようにしても良い。この場合、例えば、自動グルーピング処理(図4のステップS12)が開始されるよりも前に、マスク表示を有効にするか無効にするかを作業者が設定するステップ(マスク表示設定ステップ)を設けると良い。
【0096】
<8.効果>
本実施形態によれば、コンピュータの処理によって、マスタージョブとして登録された印刷ジョブ以外の印刷ジョブ(一般ジョブ)に対応する画像データとマスタージョブに対応する画像データとが比較され、マスタージョブを含む互いに関連性が高い複数の印刷ジョブの集合が関連ジョブグループに定められる。そして、顧客会社のパソコン20の表示部に校正対象ジョブ(関連ジョブグループを構成する複数の印刷ジョブの1つ)に対応する校正画像が表示されている状態において修正指示者が当該校正画像中の共通画像領域(一般ジョブに対応する校正画像とマスタージョブに対応する校正画像との間で共通する画像部分)をコメント入力領域に指定して共通コメントを入力すると、コンピュータが、当該共通コメントを関連ジョブグループを構成する複数の印刷ジョブのうちの校正対象ジョブ以外の印刷ジョブに対応する校正画像に反映させる。このため、互いに関連性が高い複数の印刷ジョブに対して同じ修正指示を行う必要がある場合に、修正指示者は1つの印刷ジョブのみに対して修正指示のコメントを入力すれば良い。従って、修正指示者は従来よりも効率的かつ確実に修正作業者に対して修正指示を行うことが可能となる。以上のように、本実施形態によれば、互いに関連する複数の印刷ジョブが存在する場合の校正作業の効率化および校正作業のミスの低減が実現される。
【0097】
<9.その他>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施形態においては印刷会社には2つのサーバ(印刷ワークフロー管理サーバ11およびオンライン校正サーバ12)が設けられているが、これには限定されず、それら2つのサーバで実現される機能が1つのサーバ(コンピュータ)で実現される場合にも本発明を適用することができる。また、上記実施形態においては校正画面には複数の印刷ジョブに対応する複数の校正画像が表示されるが、これには限定されず、1つの印刷ジョブに対応する校正画像のみが校正画面に表示される場合にも本発明を適用することができる。この場合、校正画面に表示されている校正画像の共通画像領域に対して共通コメントが入力されると、関連ジョブグループを構成する他の印刷ジョブの校正画像を校正画面に表示したときに当該校正画像の共通画像領域に当該共通コメントが表示されるよう内部的に画像データが修正される。
【符号の説明】
【0098】
10…インクジェット印刷装置
11…印刷ワークフロー管理サーバ
12…オンライン校正サーバ
20…(顧客会社の)パソコン
30…(制作会社の)パソコン
42…インターネット
61…印刷ジョブ登録部
62…ジョブデータ格納部
63…自動グルーピング処理部
64…校正画面表示部
631…RIP処理部
632…画像データ比較部
633…グルーピング部
641…複数画像表示制御部
642…コメント入力受け付け部
643…コメント反映部
800…校正画面
6331…関連ページ対設定部
6332…関連ジョブグループ判定部
図1
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