IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンリツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-物品検査検証システム 図1
  • 特開-物品検査検証システム 図2
  • 特開-物品検査検証システム 図3
  • 特開-物品検査検証システム 図4
  • 特開-物品検査検証システム 図5
  • 特開-物品検査検証システム 図6
  • 特開-物品検査検証システム 図7
  • 特開-物品検査検証システム 図8
  • 特開-物品検査検証システム 図9
  • 特開-物品検査検証システム 図10
  • 特開-物品検査検証システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141518
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】物品検査検証システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20230928BHJP
【FI】
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047874
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝井 英治
(72)【発明者】
【氏名】菊池 壽晃
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誉将
(72)【発明者】
【氏名】小澤 麻実
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 達也
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA08
2G001HA07
2G001JA09
2G001KA05
2G001PA11
(57)【要約】
【課題】物品検査装置の不良検出機能の検証作業に伴う稼働率の低下防止および検証作業の負担軽減を図った物品検査検証システムを提供する。
【解決手段】物品搬送路10上の検査区間Z1、Z2、Z3を通過する被検査物品Pの品質状態を検査し、所定の判定条件を基に良品か不良品かを判定する物品検査装置2、3、4を有する物品検査ライン1に装備される物品検査検証システム5であって、検査区間Z1、Z2、Z3中に被検査物品Pを不良品と判定させる物理的影響を発生させる物理的影響発生器51、52、53と、物理的影響発生器51、52、53による物理的影響の発生条件を予め記憶し、該発生条件に従って物品検査ライン1の運転中に物理的影響発生器51、52、53を駆動することにより、運転中の特定期間内に検査区間Z1、Z2、Z3を通過する被検査物品Pを物品検査装置2、3、4により不良品と判定させるPLC55とを含んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品搬送路上の検査区間を通過する被検査物品の品質状態を検査し、所定の判定条件を基に良品か不良品かを判定する物品検査装置を有する物品検査ラインに装備される物品検査検証システムであって、
前記検査区間中に前記被検査物品を前記物品検査装置に前記不良品と判定させる物理的影響を発生させる物理的影響発生器と、
前記物理的影響発生器による前記物理的影響の発生条件を予め記憶し、該発生条件に従って前記物品検査ラインの運転中に前記物理的影響発生器を駆動することにより、前記運転中の特定期間内に前記検査区間を通過する被検査物品を前記物品検査装置により前記不良品と判定させる物理的影響制御ユニットと、を含んでいることを特徴とする物品検査検証システム。
【請求項2】
前記運転中の特定期間内に前記検査区間を通過する被検査物品が前記物品検査装置により前記不良品と判定されたとき、前記物品検査装置の不良検出動作が正常か否かの検証情報を記録出力可能に記憶保存する検証情報記憶部をさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載の物品検査検証システム。
【請求項3】
前記物品検査ラインが、前記物品搬送路上の前記検査区間より下流側に、前記不良品と判定された被検査物品を前記物品搬送路上の前記良品の搬送経路から外れる方向に移動させる不良品振分機構を有しており、
前記検査区間と該不良品振分機構による不良品振分区間との間に、前記検査区間を通過するときに前記物理的影響発生器からの前記物理的影響により前記不良品と判定された被検査物品を、前記検査区間を迂回して前記物品搬送路の上流側に移動させる戻し搬送機構をさらに設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の物品検査検証システム。
【請求項4】
前記物品検査ラインが、前記物品検査装置として検査種別が複数種に異なる第1の物品検査装置および第2の物品検査装置を有しているとともに、前記物品搬送路上の前記検査区間より下流側に、前記第1の物品検査装置によって不良品と判定された被検査物品を前記物品搬送路上の前記良品の搬送経路から外れる方向に移動させる第1の不良品振分機構と、前記第2の物品検査装置によって不良品と判定された被検査物品を前記物品搬送路上の前記良品の搬送経路から外れる方向に移動させる第2の不良品振分機構とを有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の物品検査検証システム。
【請求項5】
前記物理的影響制御ユニットは、特定の被検査物品について物品前記第1の物品検査装置および前記第2の物品検査装置のいずれか一方または両方に対して物理的影響を発生する前記物理的影響発生器を駆動することを特徴とする請求項4に記載の物品検査検証システム。
【請求項6】
前記第1の不良品振分機構および前記第2の不良品振分機構の作動状態を検知する動作検知センサを、さらに備えることを特徴とする請求項5に記載の物品検査検証システム。
【請求項7】
前記物品検査装置が、前記被検査物品中の金属成分を検出する金属検出装置を含む一方、
前記物理的影響発生器が、前記物理的影響制御ユニットからの制御信号に従って前記検査区間中の磁界を変化させる磁界変動発生器を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の物品検査検証システム。
【請求項8】
前記物品検査装置が、前記被検査物品の重量を計量する計量装置を含む一方、
前記物理的影響発生器が、前記物理的影響制御ユニットからの制御信号に従って前記検査区間中の被検査物の重量に対しおもり荷重を付加し又は/及び除去する加除機構を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の物品検査検証システム。
【請求項9】
前記物品検査装置が、前記物品搬送路上の前記検査区間内で該区間を通過する被検査物品に対してX線を照射し、透過X線量の分布を基に前記物品検査を実行するX線検査装置を含む一方、
前記物理的影響発生器が、前記物理的影響制御ユニットからの制御信号に従って所定のX線透過特性を有するテストピースを前記検査区間内に進入および後退させるテストピース移動機構を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の物品検査検証システム。
【請求項10】
前記物理的影響制御ユニットは、前記被検査物品の品種に応じて前記物理的影響発生器への制御信号の出力条件を可変設定することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の物品検査検証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査検証システムに関し、特に物品検査による不良検出機能や不良品の選別機能が正常か否かを定期的に検証するのに好適な物品検査検証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送物品を検査する物品検査装置や同装置とその物品検査結果に応じて作動する振分装置等を含む物品検査システムにおいては、従来、物品検査装置の検査部に作用を及ぼす不良サンプルやいわゆるテストピースを用いる疑似的な不良サンプル(以下、疑似不良品という)を用いる定期的な動作検証により、所要の検出感度または精度での正常な不良検出機能が維持されているか否かを確認することで、物品検査による品質管理の信頼性担保が図られている。
【0003】
例えば、生鮮食品の検査ラインや加工食品や医薬品の製造ライン中に配置されるX線検査装置、金属検出装置、計量装置、外観検査装置その他の各種物品検査装置、あるいは、そのような物品検査装置とその検査結果に応じて被検査物品の搬送先を振り分けたり不良品を製造ライン外に選別排出したりする後段装置とを併有する各種の物品検査システムにおいて、製造ラインの始業時や、稼働中、終了時等に、疑似不良品を生産ラインに流してその疑似不良品の検出動作や不良検出時に実行されるべき後段装置の動作に異常がないか否かを確認し、その動作確認結果を記録するといった検証作業が行われる。
【0004】
そのような検証作業が行われる従来の物品検査装置や物品検査システムとしては、例えば順次搬送される物品を被検査物品として物品検査を実行する通常運転モードとは別に、物品検査装置の不良検出機能や不良検出時の後段装置の動作をチェック可能な試験的な動作確認モード、いわゆるテストモードを設定し、検証作業時にテストモードにモード切替可能にすることで、検証作業の容易化を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、図11に示すように、複数種のテストピースtp1、tp2を異物サンプルとして製品102に装着して疑似不良品を作製することで、その疑似不良品を通したときの異物検出装置100の検出信号を基に、異物サンプルtp1、tp2の識別と被検査物品の品種に応じた複数種の異物の所要感度の検出機能が正しく発揮されるか否かの判定が可能なテストモードに移行して、的確な動作確認とその結果出力を実行可能にしたものも知られている(特許文献2参照)。
【0006】
一方、製造ラインに配置される重量選別機において、製造ラインを停止させることなく、被検査物品からの付着物や堆積物等による経時的な秤量感度の変化をチェックしたり補正したりすることができるようにしたものも知られている(特許文献3、4参照)。
【0007】
また、検査領域における磁界の変動を検出して被検査品中の金属異物を検出する金属検出機にあっては、ループ回路を開閉して磁界を変動させることにより、異物サンプルを用いることなく疑似的に金属検出信号を生じさせたり、所定の異物サンプルをアクチュエータにより検査領域に挿入したりするようにして、検査装置の性能確認を人手によらず実施するようにしたものも知られている。(特許文献5、6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5906070号公報
【特許文献2】特許第5431659号公報
【特許文献3】特開昭60-25417号公報
【特許文献4】特開2002-328059号公報
【特許文献5】実開昭59-053292号公報
【特許文献6】特許第4588707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述のような従来の物品検査装置や物品検査システムにあっては、物品検査装置の不良検出機能やその不良検出時の後段装置の動作を確認する場合には、疑似不良品を作製した上で、試験的な動作確認運転を行ったりテストモードへのモード切替により試験的な動作確認運転を行ったりする必要があり、製造ラインの通常運転の停止を余儀なくされてしまうという問題があった。
【0010】
そのため、特に、物品検査装置を配置した多数の製造ラインにおいて、各製造ラインの物品検査装置の不良検出機能やその不良検出時の後段装置の動作の検証を比較的高頻度に実行するような場合、例えば物品検査区間を流れる疑似不良品に対応する不良検出動作の確認とその後段の振分け動作の確認を1時間程度の短時間ごとに実行するような場合に、製造ラインの稼働率低下のみならず、検証作業の作業負担が非常に大きくなってしまうという問題もあった。
【0011】
さらに、多くの製造ラインは検査機能や検査性能の異なる複数の物品検査装置が設けられており、同時にすべての物品検査装置の動作確認機能や検証機能付きのものに刷新することは現実的でなく、製造メーカや製造年代が異なるときにはソフトウェアの更新等もきわめて困難となる上、通常このような動作確認機能や検証機能は各物品検査装置に装備されていて装置間での連携ができず、運転を止めて検証作業を実施し、その後に結果を記録し、その記録を整理し直す必要があったため、問題発見が遅れる懸念がある。
【0012】
このような複数種の物品検査装置が一連に配置された製造ラインの検査工程において各物品検査装置の検証作業を順次実施する場合、いずれの物品検査装置が不良品を検出したかによって後段の選別工程の動作が決定づけられており、選別工程を含めた検証を実施するためには、いわゆるテストモードではなく実稼働条件での通常運転モードで検証作業を実施しなければならないという問題もあり、検査選別工程について全体的な検証作業が困難であった。
【0013】
そこで、本発明は、物品検査装置の不良検出機能の検証作業に伴う稼働率の低下防止および検証作業の負担軽減を図った物品検査検証システムを提供することを目的とし、さらには、複数種の物品検査装置で構成される製造ラインの検査選別工程においても同様に、検証作業を確実かつ効率よく実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明に係る物品検査検証システムは、上記目的達成のため、物品搬送路上の検査区間を通過する被検査物品の品質状態を検査し、所定の判定条件を基に良品か不良品かを判定する物品検査装置を有する物品検査ラインに装備される物品検査検証システムであって、前記検査区間中に前記被検査物品を前記物品検査装置に前記不良品と判定させる物理的影響を発生させる物理的影響発生器と、前記物理的影響発生器による前記物理的影響の発生条件を予め記憶し、該発生条件に従って前記物品検査ラインの運転中に前記物理的影響発生器を駆動することにより、前記運転中の特定期間内に前記検査区間を通過する被検査物品を前記物品検査装置により前記不良品と判定させる物理的影響制御ユニットと、を含んでいることを特徴とする。
【0015】
この構成により、本発明の物品検査検証システムでは、物理的影響制御ユニットによって物品検査ラインの運転中の特定期間内に物理的影響発生器が駆動されることで、検査区間を通過する被検査物品が不良品と判定される物理的影響が該区間内に発生することになる。したがって、検査区間を通過する被検査物品に何ら影響を与えることなく、物品検査ラインの運転中に疑似不良品を物品検査検証システムからの制御により発生させ、このときに不良品とされた被検査物品に対する物品検査装置の不良検出動作が正常か否かを検証できることになる。
【0016】
(2)本発明の好ましい実施形態においては、前記運転中の特定期間内に前記検査区間を通過する被検査物品が前記物品検査装置により前記不良品と判定されたとき、前記物品検査装置の不良検出動作が正常か否かの検証情報を記録出力可能に記憶保存する検証情報記憶部をさらに含んでいる構成とすることができる。
【0017】
この場合、物品検査ラインの運転中の特定期間内に検査区間を通過する被検査物品が不良品と判定されたとき、検証情報記憶部によって物品検査装置の不良検出動作が正常か否かの検証情報が記録出力可能に記憶保存される。したがって、定期的な不良検出動作を確認しその結果を記録する検証作業が大幅に容易化されることになる。
【0018】
(3)本発明の好ましい実施形態においては、前記物品検査ラインが、前記物品搬送路上の前記検査区間より下流側に、前記不良品と判定された被検査物品を前記物品搬送路上の前記良品の搬送経路から外れる方向に移動させる不良品振分機構を有しており、前記検査区間と該不良品振分機構による不良品振分区間との間に、前記検査区間を通過するときに前記不良品と判定された被検査物品を、前記検査区間を迂回して前記物品搬送路の上流側に移動させる戻し搬送機構をさらに設けた構成とすることもできる。
【0019】
この場合、物品検査ラインの検査区間とその下流側の不良品振分機構による不良品振分区間との間に、検査区間を通過するときに不良品と判定された被検査物品を検査区間を迂回して物品搬送路の上流側に移動させる戻し搬送機構が設けられることで、疑似不良品に利用された未検査の物品すなわち疑似的な不良品とされたものであって通常の検査結果が得られていない物品を上流側に戻し、例えば通常検査を再度行うことが可能となる。
【0020】
(4)本発明の好ましい実施形態においては、前記物品検査ラインが、前記物品検査装置として検査種別が複数種に異なる第1の物品検査装置および第2の物品検査装置を有しているとともに、前記物品搬送路上の前記検査区間より下流側に、前記第1の物品検査装置によって不良品と判定された被検査物品を前記物品搬送路上の前記良品の搬送経路から外れる方向に移動させる第1の不良品振分機構と、前記第2の物品検査装置によって不良品と判定された被検査物品を前記物品搬送路上の前記良品の搬送経路から外れる方向に移動させる第2の不良品振分機構とを有している構成としてもよい。
【0021】
このようにすると、物品検査ラインが、検査種別が複数種に異なる第1および第2の物品検査装置を有しているとともに、物品搬送路上の検査区間より下流側に、第1、第2の物品検査装置によって不良品判定された被検査物品を良品搬送経路から外れる方向に移動させる第1、第2の不良品振分機構が設けられているので、第1および第2の物品検査装置の検査種別に対応する複数種の物理的影響発生器を設けることで、同一の被検査物に対する複数種の物品検査および振分機能を同一の物品検査ライン中で連続して検証可能となる。
【0022】
(5)本発明の好ましい実施形態においては、前記物理的影響制御ユニットは、特定の被検査物品について前記第1の物品検査装置および前記第2の物品検査装置のいずれか一方または両方に対応する前記物理的影響発生器を駆動する構成とすることができる。
【0023】
このようにすると、物品検査ラインが、検査種別が複数種に異なる第1の物品検査装置および第2の物品検査装置を有しているときに、いずれか一方または両方の物品検査装置により不良を検出した際の物品検査システム1の全体としての動作を、網羅的な組み合わせにより検証することができる。
【0024】
(6)本発明の好ましい実施形態においては、前記第1の不良品振分機構および前記第2の不良品振分機構の作動状態を検知する動作検知センサを、さらに備える構成とすることができる。
【0025】
このようにすると、複数種の物品検査装置のいずれかもしくは複数により不良と判定された物品に対して、後段の選別装置における振分機構の作動状態を検知することができ、この物品が正しい排出先に振り分けられるかをも検証することができる。
【0026】
(7)本発明の好ましい実施形態においては、前記物品検査装置が、前記被検査物品中の金属成分を検出する金属検出装置を含む一方、前記物理的影響発生器が、前記物理的影響制御ユニットからの制御信号に従って前記検査区間中の磁界を変化させる磁界変動発生器を含む構成とすることができる。
【0027】
この場合、金属検出装置に影響する磁界変動を発生させることで、金属検出のための検査区間を通過する被検査物品に何ら影響を与えることなく、物品検査ラインの運転中に金属検出装置に対して疑似不良品を自動的に発生させ、このときに不良品とされた被検査物品に対する金属検出装置の不良検出動作が正常か否かを検証することが可能となる。
【0028】
なお、磁界変動発生器は、例えば金属検出器の発生磁界に影響し得る素子、例えばコイルを1ターンで、もしくは、所定ターン数内で切替え可能に使用しインピーダンスを変化させるものとすることができる。
【0029】
(8)本発明の好ましい実施形態においては、前記物品検査装置が、前記被検査物品の重量を計量する計量装置を含む一方、前記物理的影響発生器が、前記物理的影響制御ユニットからの制御信号に従って前記検査区間中の被検査物の重量に対しおもり荷重を付加し又は/及び除去する加除機構を含む構成とすることもできる。
【0030】
この場合、計量値に影響する荷重の加除操作により、計量の検査区間を通過する被検査物品に何ら影響を与えることなく、物品検査ラインの運転中に計量装置に対して疑似不良品を自動的に発生させ、このときに不良品とされた被検査物品に対する計量装置の不良検出動作が正常か否かを検証できることになる。
【0031】
(9)本発明の好ましい実施形態においては、前記物品検査装置が、前記物品搬送路上の前記検査区間内で該区間を通過する被検査物品に対してX線を照射し、透過X線量の分布を基に前記物品検査を実行するX線検査装置を含む一方、前記物理的影響発生器が、前記物理的影響制御ユニットからの制御信号に従って、所定のX線透過特性を有するテストピースを前記検査区間内に進入および後退させるテストピース移動機構を含む構成とすることもできる。
【0032】
この場合、X線検査に影響するテストピースの検査区間内への出し入れにより、X線検査区間を通過する被検査物品に何ら影響を与えることなく、物品検査ラインの運転中にX線検査装置に対して疑似不良品を自動的に発生させ、このときに不良品とされた被検査物品に対するX線検査装置の不良検出動作が正常か否かを検証できることになる。
【0033】
(10)本発明の好ましい実施形態においては、前記物理的影響制御ユニットは、前記被検査物の品種に応じて前記物理的影響発生器への制御信号の出力条件を可変設定する構成とすることもできる。
【0034】
このようにすると、品種に応じた的確な物理的影響を検査区間内に発生させて、物品検査のより有効な検証作業を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、検査区間を通過する被検査物品に何ら影響を与えることなく、物品検査ラインの運転中に各物品検査装置に対して疑似不良品を自動的に発生させて物品検査装置の不良検出動作が正常か否かを検証でき、検証作業に伴う稼働率の低下防止および検証作業負担の大幅軽減が可能な物品検査検証システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1(A)は、本発明の一実施形態に係る物品検査検証システムの概略システム構成図で、図1(B)は、物品検査システムと物品検査検証システムの要部を構成する機器の配置および接続を示す概要図である。
図2】本発明の一実施形態に係る物品検査検証システムの要部の構成図である。
図3図3(A)は、本発明の一実施形態に係る物品検査検証システムにおける金属影響ノイズ発生器の模式的な説明図で、図3(B)は物品検査システム中の金属検出装置で検出される搬送物品の物品影響とその物品影響に重畳して検出された金属影響ノイズによる影響値変動を示す実験結果のノイズ影響のグラフを物品検査検証システムの動作と関連させて示したものであり、グラフの縦軸は金属検出装置で検出される影響値を、横軸は時間を示している。
図4】本発明の一実施形態に係る物品検査検証システムにおける金属影響ノイズ発生器とそのON/OFF制御回路の概略構成図である。
図5図5(A)は、本発明の一実施形態に係る物品検査検証システムにおける計量値影響用のおもり制御器の模式的な説明図で、図5(B)は物品検査システム中の計量装置で検出される搬送物品の重量影響による測定値と計量装置の秤量台に加除されるおもりの重量影響による測定値変動を確認事項の記録例と併せて示すグラフであり、縦軸は計量装置の測定値を、横軸は時間を示している。
図6図6(A)は、本発明の一実施形態に係る物品検査検証システムにおける計量重量加除用のおもり制御器の概略構成を示す正面図であり、図6(B)は、図6(A)中のVIB方向矢視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る物品検査検証システムにおけるおもり制御器のおもり加除状態の説明図で、図7(A)は、秤量台に選択的に加重される2つのおもりのうち第1のおもりが載荷され、第2のおもりが除荷された通常時の状態を示し、図7(B)は、第1のおもりと第2のおもりが共に除荷された軽量側、すなわち-NG時の状態を示し、図7(C)は、第1のおもりと第2のおもりが共に載荷された過量側、すなわち+NG時の状態を示している。
図8図8(A)は、本発明の一実施形態に係る物品検査検証システムにおけるX線検査装置に付設されたテストピース挿入制御器の動作方向の説明図、図8(B)は、物品検査システム中のX線検査装置で所定時間ごとにX線量が検出される検査ライン上にテストピースを挿入しおよび抜出しするテストピース挿入制御器の挿入時を仮想線で、抜出し時を実線で示す要部正面図、図8(C)は、X線検査装置で物品検査期間中の所定時間ごとに検査ライン上の複数の検出素子により検出されるX線量の検出値(物品影響による減衰量相当値)の分布を検査NG発生時の所定時間を例に示すグラフであり、縦軸は検出値を、横軸は検査ライン方向である物品の幅方向位置を示している。
図9図9(A)は、本発明の他の実施形態に係る物品検査検証システムにおけるX線検査装置に付設されたテストピース挿入制御器の動作方向の説明図、図9(B)は、テストピース挿入制御器で検査ライン上に同時に挿入しおよび抜出しされる複数のテストピースの配置例を示す図9(A)のIXB方向矢視図であり、図9(C)は、X線透過方向における搬送物品の厚さが相対的に小さい場合のテストピースの配置高さを示し、図9(D)は、X線透過方向における搬送物品の厚さが相対的に大きい場合のテストピースの配置高さを示している。
図10】本発明の各実施形態に係る物品検査検証システムにより得られる検証結果の出力形態を示すリストの一例である。
図11】従来の金属検出装置等の物品検査装置における不良検出機能を、テストピースを用いて検証する場合の、その検証方法の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0038】
(一実施形態)
図1ないし図8は、本発明の一実施形態に係る物品検査検証システムを示している。
【0039】
まず、本実施形態の全体の概略構成について説明する。
【0040】
図1および図2に示すように、本発明の一実施形態は、物品検査ラインを構成する物品検査システム1の運転状態下で、物品検査システム1の不良検出機能が正常か否かを定期的に検証することができる物品検査検証システム5として構成されている。なお、詳細は後述するが、物品検査システム1においては、物品製造ラインの下流側の物品搬送路10上で搬送中の物品Pが順次検査され、不良品と判定された物品Pは物品搬送路10の正常品搬送路上から選別排出されるようになっている。
【0041】
図1(A)および図1(B)に示すように、物品検査システム1は、物品搬送路10に沿って配置された複数の物品検査装置として、金属検出装置2、計量装置3およびX線検査装置4(以下、複数種の物品検査装置2~4ともいう)を含んでおり、これら複数種の物品検査装置2~4は、物品搬送路10上の複数の検査区間Z1、Z2、Z3を通過する各々の被検査物品P(以下、単に物品Pという)の品質状態を検査区間Z1、Z2、Z3毎に異なる検査手法で検査し、各検査区間Z1、Z2又はZ3にて対応する所定の判定条件を基にOK品すなわち良品かNG品すなわち不良品かを判定するようになっている。
【0042】
勿論、物品検査システム1は、他の物品検査装置、例えば製品形状や包装袋のシール部位の不良を検出する外観検査装置等を含んで構成されてもよい。また、物品Pは、例えば食品(生鮮食品や加工食品)や薬品のように人や動物に摂取されるもの、あるいは、人や動物に装着されたり触れたりする製品として製造されるものであるが、特定の物品に限定されるものではない。
【0043】
物品検査システム1は、図1(A)に示すように物品搬送路10に沿って上流側から順に配置した複数種の物品検査装置2~4と、図1(B)および図2に示すように物品検査装置2~4の下流側に位置する選別装置20とにより構成されており、各物品検査装置2、3、4の制御部(詳細図示せず)が、LAN接続された管理用PC40にネットワーク接続されるとともに、検査関連情報および各種制御信号を送受信できるようなっている。
【0044】
複数種の物品検査装置2~4は、それぞれコンベア11、12、13を有し、物品搬送路10の一部を形成している。
【0045】
選別装置20は、物品検査装置2~4の下流側に設けられた中継用のコンベア16に続いて、物品搬送路10を形成する複数のコンベア17、18、19を有していて、上流側のコンベア17をドロップアウト方式の選別コンベアとし、さらに下流側に続くコンベア18上でそれぞれ搬送路幅員側への振分け動作を実行する複数段のフリッパ方式の振分機構27、28を含んでいる。なお、中継用のコンベア16は、物品検査装置4のコンベア13と一体でもよい。
【0046】
ドロップアウト方式の選別コンベアとして機能するコンベア17は、物品検査システム1の複数種の物品検査装置2~4の検査結果に対応付けられた物品Pの振分け動作はせずに、物品検査検証システム5の検証動作と対応付けられて、検証に用いられた物品Pを下流側のコンベア18に搬出せずに、後述する戻し搬送経路を経て回収するものである。したがって、本実施形態におけるコンベア17は、物品検査システム1の複数種の物品検査装置2~4から見た場合には、単なる搬送コンベアとして機能する。
【0047】
この物品検査システム1(物品検査ライン)のうち従来同様の構成部分は、ここでは、例えば特開2019-212234号公報に記載される検査ラインと略同様に構成されるものとし、複数種の物品検査装置2~4のそれぞれ、および、各物品検査装置2~4にコンピュータネットワークを介して接続されたホストコンピュータに対して検査結果情報を出力する管理システムについての詳細な構成説明は、一部後述する場合を除き、割愛する。ただし、複数種の物品検査装置2~4は、特定方式のものに限定されるものではない。
【0048】
すなわち、物品検査システム1を構成する複数の物品検査装置2~4について、従来公知でありかつ既設のものを用いることができる点においても物品検査検証システム5は特徴づけられる。すなわち、図1および図2に示されるように、物品検査装置2~4による検査および選別機能は、物品検査検証システム5による検証機能と独立している。
【0049】
例えば、金属検出装置2は、物品Pが検査区間を通過するときの検査領域における磁界の変動を検出する検出部を有するものでもよい(特開2018-200197号公報参照)。また、計量装置3は、電磁平衡式秤の構成を有するものでも、電気抵抗線式秤(ロードセル)の構成を有するものでもよい(特開2016-205846号公報、特開2020-122677号公報等参照)。さらに、X線検査装置4は、例えばX線異物検出装置として構成されるものでもよく(特許文献1、2等参照)、検査対象によって画像処理や良否の判定処理の内容が相違し得る。
【0050】
物品搬送路10は、複数種の物品検査装置2~4の検査区間Z1、Z2、Z3を通るとともに所定の略同一の搬送速度で駆動される複数のベルトコンベア方式のコンベア11、12、13と、選別装置20による選別区間およびその前後を通るとともに複数のコンベア11~13と略同一の搬送速度で駆動される複数のベルトコンベア方式のコンベア16、17、18、19に加え、複数種の物品検査装置2~4および選別装置20の検証に用いた物品Pを上流側に戻す専用の戻し搬送経路を形成する複数のベルトコンベア方式の戻し搬送コンベア21、22とを含んで構成されてもよい。また、選別コンベアとなるコンベア17は、無端のコンベアベルトを支持するローラ対が共通の軸支持フレームに支持されており、その軸支持フレームとコンベア17の支持体との間に、軸支持フレームを上下方向に揺動させる選別駆動アクチュエータが介装されている。なお、このようなドロップダウン式の選別コンベアの揺動駆動機構は、例えば特開2018-150130号公報に記載されるものと同様に構成してもよい。
【0051】
また、図2に示すように、選別装置20のコンベア18の両側には、一対のフリッパアーム27A、27Bおよび28A、28Bが配置されて振分機構27、28を構成し、物品搬送路10の搬送方向に物品Pを直進させるか、側方に排出させるかにより物品Pを振り分けるようになっている。なお、このようなフリッパ式の選別コンベアは、例えば特開2019-001591号公報に記載されるものと同様に構成してもよい。
【0052】
図1(A)および図1(B)に示すように、物品検査検証システム5は、物品Pを不良品と判定させる物理的影響を複数の検査区間Z1、Z2、Z3中でそれぞれに発生させる複数種の物理的影響発生器として、金属検出装置2の検査磁界中にパルス状の磁界変動(金属検出装置2からみればノイズの一種)を発生させる磁界変動発生器51(金属ピース挿入機構でもよい)と、計量装置3に付設されたおもり制御器52と、X線検査装置4に付設されたテストピース挿入制御器53とを有している。以下、これらを総称して複数種の物理的影響発生器51、52、53ともいう。
【0053】
また、物品検査検証システム5は、物理的影響制御ユニットとしてのPLC(プログラマブルロジックコントローラ)55を有しており、図1(A)に示すように、管理用PC40と協働してPLC55に対するプログラミングツールや設定入力切替器として機能するタブレット型の情報端末56を含んでいてもよい。
【0054】
ここでいう管理用PC40は、複数種の物品検査装置2~4の検査結果を表す検査関連情報を順次受信できるようなプログラムが実行でき、受信した検査データを記憶媒体に記憶するデータ収録部として機能するほか、PLC55から出力される各種データと組み合わせで各種分析を行う分析プログラムが実行できるようになっている。
【0055】
PLC55は、複数種の物理的影響発生器51、52、53による物理的影響の発生条件すなわち各物理的影響発生器51、52、53に対する制御手順をシーケンス制御用のプログラムリストとして予め記憶し、それぞれの発生条件に従って物品検査システム1の運転中に物理的影響発生器51~53を駆動することにより、運転中の特定期間内に検査区間Z1、Z2、Z3を通過する物品Pを物品検査装置2、3、4により不良品と判定させることができるように構成されている。
【0056】
ここにいう運転中の特定期間とは、例えばライン始業時、ライン稼働中およびライン終業時であり、具体的には、ライン始業時となる検査開始時の所定検査時間中もしくは所定検査個数内の検査中、ライン稼働中となる検査開始後の一定時間経過ごとの所定検査時間内、ライン終業時となる検査終了時の所定検査時間内に相当する期間であり、検査開始後の一定時間経過ごととは、好ましくは、検査開始後の1時間ごとである。
【0057】
このような運転中の特定期間内においても、物品検査システム1の複数種の物品検査装置2~4は、運転モードを切り替えるというような設定変更操作を受けることなく、それぞれ通常の物品検査を継続する。
【0058】
PLC55は、物品検査システム1の運転中の特定期間内に搬入される物品Pを物品検査システム1の入口側で物品検知センサ15により検知したときの検知信号に基づき、その物品Pを検証対象物品に設定し、この検査対象物品が複数種の物品検査装置2~4のそれぞれの検査区間Z1~Z3を通過するタイミングに合わせて物理的影響発生器51~53のいずれかを駆動制御するとともに、その動作記録としての検証データを生成する機能を有している。
【0059】
このとき、複数種の物品検査装置2~4のいずれに対してそれぞれ対応する物理的影響発生器51~53をどのように駆動制御するかは、予めPLC55に検証スケジュールとして設定しておいてもよいし、管理用PC40から検証スケジュールをデータとして受信してもよい。また、PLCには複数の検証パターン(PT01、PT02、・・・)を記憶しておいて、記憶された複数の検証パターンから実行する検証パターンを検証スケジュールにおいて指定するようにしてもよく、検証パターンが設定されている場合には、いずれの検証パターンを適用したかにより容易に検証の記録を残すことができる。
【0060】
なお、検査対象となる物品Pが検査区間Z1、Z2、Z3を通過するタイミングは、物品検査システム1への物品Pの搬入を検知する物品検知センサ15による検知信号に基づいて予め遅延時間を設定してもよいが、各検査区間Z1、Z2、Z3への搬入を検知可能な物品検知センサ66、75、83(図9中の84でもよい)を各検査区間Z1~Z3の上流側近傍に設けて、物品搬送経路10上で生じ得る物品Pの搬送タイミングのずれや、各コンベア11~13の搬送速度の変動の影響を低減するとよい。
【0061】
また、PLC55は、搬入検知用の物品検知センサ15、66、75、83(84)の検知信号および複数種の物品検査装置2~4から判定結果情報の他に、管理用PC40に対してライン監視画像を入力するカメラ23の監視画像、選別装置20のドロップアウト式の選別コンベア17の作動状態や複数段のフリッパ方式の振分機構27、28の作動状態を検知する複数の動作検知センサ31、33、34の検知情報、ドロップアウト選別された物品Pを検知する戻し物品検知センサ32の検知情報、良品通過検知センサ35の検知情報等を取り込むことで、物品検査システム1における選別装置20の動作を検証することができるようになっていてもよい。
【0062】
具体的には、図2に示すように、PLC55は、例えばプログラミングツールにより書き換え可能なシーケンス制御プログラムをプログラムリストのステップ番号順に実行するものであり、そのプログラム実行のための演算制御部であるCPU部55aと、各種の命令語とデバイス(オペランド)を含む回路プログラムや命令をステップ番号順に読出し可能に記憶する各種メモリで構成されるメモリ部55bと、外部のセンサやスイッチ等からの入力情報を取り込む入力部55cと、CPU部55aの演算結果を外部に出力する出力部55dと、複数種の物理的影響発生器51、52、53や上位の管理用PC40やタブレット型の情報端末56に通信接続可能にするためのインターフェースである通信I/F55eと、電源部55fとを有している。
【0063】
なお、物品検査検証システム5を既設の物品検査システム1に後付けする場合には、上述した搬入検知検知用の物品検知センサ15の検知信号、複数種の物品検査装置2~4の判定結果情報等を取り込んで記録するための管理用PCによる管理システムが構築されているため、物品検査検証システム5は既に構築された管理システムと連携しつつ、各物品検査装置の検証動作の制御およびその動作記録の生成までを主としてPLC55で実行し、検証データを管理用PC40に出力するようにするとよい。
【0064】
ここでいうPLC55は、本発明の実施形態における各機能を実現するための制御信号を入出力可能なポートおよび関連する制御プログラムを実行するマイクロプロセッサ等を有したユニットの好適な例示であって、具体的な機器構成を特定するのものではない。
【0065】
図3(A)および図4に示すように、金属検出装置2に付設された磁界変動発生器51は、物理的影響制御ユニットであるPLC55からの所定の制御信号RJ0-t1に従って、ドライバ64を介し、リレー回路62により金属検出装置2による検査区間Z1内もしくは近傍に影響するループコイル61をON/OFF切替えするとともに、インピーダンス調整用の可変抵抗器63を調整することができる。これにより、磁界変動発生器51は、図3(B)に示すように、金属検出装置2の送信コイルにより形成される磁界を物品Pへの金属異物、例えば金属異物のサンプル(テストピース)混入時に近い状態に乱し、検出信号のレベル変動を生じさせることができるようになっている。なお、この図中では、2種類の金属球に相当する磁界変動をパルス状のノイズ信号として異なるタイミングで発生させた場合の検出波形を例示している。また、金属検出装置2の検査区間Z1の入り口となる上流端付近の物品検知センサ66からPLC55に検知信号が取り込まれるようになっている。
【0066】
ループコイル61は、例えば1ターンのマグネットワイヤ(銅線)により平面状に形成され、このループコイル61を固定、封入したコイルケースが図示しない締結具により固定されることにより、金属検出装置2の検査区間Z1近傍に安定的かつ容易に付設できる。なお、ループコイル61は、ターン数やそのターン数の多段切換え、ループ径の異なる複数種のコイル(61、61、・・・(図示せず))の切換え等を行うものでもよい。
【0067】
そして、ループコイル61を封入したコイルケースには、可変抵抗器63、リレー回路62やドライバ64を収納した別体の部品ボックスが可撓性のケーブルで接続されていて、ループコイル61の設置場所の自由度を確保している。
【0068】
また、ループコイル61が封入されるケースは磁性を持たない樹脂製が好ましいが、製造ラインの清掃や洗浄に耐えうるように耐環境性を向上するため、弱磁性を示すステンレス鋼等の金属板で形成することもできる。
【0069】
このような形態とすることにより、図3(A)に示すように、既設の金属検出装置2であっても、検出部(検査区間)の近傍にループコイル61を設置し、リレー回路62、可変抵抗器63およびライバ64を収納した別体のボックスを金属検出装置2の脚部に設置し、物品検知センサ66をコンベア11の近傍に設置することが容易となる。
【0070】
また、PLC55のメモリ部55bの一部には、所定の制御信号RJ0-t1のON/OFFおよび検査対象の物品Pの品種に応じたドライバ64によるリレー回路62の切替えのための動作保持/解除命令や、可変抵抗器63の抵抗値を規定するレジスタ等の回路プログラムが記憶されている。
【0071】
ここで、可変抵抗器63は電気信号によりON/OFFの制御が可能な複数の抵抗器で構成され、回路を構成する抵抗器の組み合わせに応じてループコイルのインピーダンスを決定づけ、リレー回路62がONされてループコイル61とともに閉回路を形成したときの直流インピーダンスを設定するようになっているとよい。ループコイル61の直流インピーダンスは、金属検出装置2に作用する磁界変動作用の強さすなわち検出信号のレベルと相関し、金属異物のサンプル(テストピース)のサイズを種々変更して動作検証することと同等の検証機能が実現される。
【0072】
このように、金属検出装置2に対する物理的影響発生器51は、ループコイル61およびループコイル61を開閉するリレー回路62により磁界変動発生器51としてユニット化して構成することができ、また、ループコイル61のインピーダンスを設定することにより影響レベルを調整できるようになっている。
【0073】
さらに、磁界変動発生器51は、金属検出装置2に対して電磁的に作用を及ぼすものでり、外観上の可動部がないため、リレー回路62の状態をモニタするモニタ回路を設け、意図しない断線等を検知して信頼性を向上させるとよい。
【0074】
図3(B)には、金属検出装置2において検出される通過物品Pの検出波形と、物品検知センサ66の物品検知に応じた磁界変動発生器51の動作との関係を示すタイムチャートが示されている。
【0075】
金属検出装置2は、検出波形のレベルが判定リミットを越えたときに金属ありと判定するようになっている。
【0076】
したがって、物品検査検証システム5は、物品Pが金属検出装置2の検査区間Z1を通過中に、磁界変動発生器51を動作させて、その物品Pを金属ありと判定させる必要がある。
【0077】
次に、物品検査検証システム5の検証動作について、金属検出装置2に搬入される物品Pを検証対象物品とし、金属ありと判定させるための動作を説明する。
【0078】
PLC55は、物品検知センサ66により物品Pの搬入を検知すると、この物品Pが金属検出装置2により金属ありと判定されるように、磁界変動発生器51を動作させる。
【0079】
図3(B)に示すように、物品検知センサ66は、検査区間Z1に差し掛かった物品Pを検知すると、検知信号をHレベルからLレベルに切替える。なお、他の物品検知センサ75、83(84)も同様である。
【0080】
PLC55は、物品検知センサ66が物品Pの検査区間Z1に差し掛かったことを検知すると、PLC55に内蔵された図示しない2つの第1タイマおよび第2タイマが起動するとともに、磁界変動発生器51に可変抵抗器63の抵抗値を設定させ、第1タイマが設定時間(図3(B)中のTD1もしくはTD1')で終了すると制御信号を出力し、リレー回路62をONさせてループコイル61による閉回路を形成させ、第2タイマ(図3(B)中のTD2)が終了するとリレー回路62をOFFさせて、パルス状のノイズ信号を発生させる。ここで、第1タイマの設定時間(TD1またはTD1')および第2タイマの設定時間(TD2)は、金属検出装置3が物品Pの通過中に出力する検出信号に上述したパルス状のノイズ信号が重畳するようなタイミングに設定されている。
【0081】
金属検出装置3は、金属が含まれていない物品Pに対しても水分、塩分等の影響による磁界変動に応じた検出信号を出力し、かつ、その検出信号のレベルは物品Pの材質、温度、形状や包装材料等の影響を受けて一定レベルとはならないため、磁界変動発生器51により発生させる磁界変動(パルス状のノイズ信号)の発生タイミングを、物品Pに対する検出信号での相対位置が変化するように複数(TD1、TD1'、・・・)設定しておき、順に切り替えて適用することで金属ピースを付加する位置を変えることに対応させるのがよい。
【0082】
図5ないし図7に示すように、計量装置3は、計量器71と、その計量器71およびコンベア12の間に介在する秤量台72と、計量器71の出力信号を基に計量器71に加わる荷重からコンベア12および秤量台72の重量分を差し引いた荷重から物品の質量を算出する不図示の質量算出回路とを有している。
【0083】
図6(A)および図6(B)に示すように、秤量台72は、コンベア12を直接支持するコンベアフレーム72Aと、おもり台72Bとから構成され、おもり台72Bは、コンベアフレーム72Aの一部に図示しない締結具により取り付けられており、コンベア12上の物品Pの荷重とともに、おもり台72Bに載置されるおもりWt(Wt1、Wt2)の荷重を、コンベアフレーム72Aを介して計量器71に作用させる。
【0084】
なお、おもり台72Bは、コンベア12の下部空間で、かつコンベアフレーム72Aに側部を囲われた領域であり、計量器71の外部に配置されていて、大幅な構造変更を伴うことなく、既設の計量装置3に付設できるようになっている。
【0085】
おもり台72Bには、2ヶ所のおもり載置穴が同一面上に設けられ、錐状のおもりWt1およびWt2が、テーパ面を接して安定的に保持されるようになっている。
【0086】
また、計量装置3に付設されたおもり制御器52は、同一質量の2個のおもりWt1、Wt2のいずれか一方又は双方を昇降させることで、2段階ないし3段階の異なるおもり荷重を秤量台72に対し加除操作する加除機構73と、コンベア12を間に挟んで投光部75aおよび受光部75bを有する物品検知用の光電センサ75と、光電センサ75の検知信号に応じて加除機構73を作動させる駆動回路とを含んで構成されている。なお、加除機構73の駆動方式や具体的なおもりの操作機構は、モータ軸に固定したねじ機構でおもりのフック付きの吊り上げ部材を昇降駆動するもの、モータでカムを駆動しておもりの吊り上げレバーを昇降駆動するもの、他のエアクチュエータを用いるもの等が考えられ、特に限定されるものではないが、例えば特許文献4に記載される加除機構および加除機構制御手段と同様に構成することができ、いずれの構成であっても、秤量台72に荷重が負荷された状態のおもりと加除機構の一部とが接触しないような隙間が設けられる。
【0087】
このおもり制御器52の加除機構73は、物理的影響制御ユニットであるPLC55からの所定の制御信号RJ0-t4/t5に従って駆動回路を介し加除機構73を駆動することで、秤量台72を介し計量器71にかかる荷重を増減変化させ、図7(A)、図7(B)および図7(C)に示すような3つの異なる計量状態のうち任意のいずれかの状態に切り換えることができるようになっている。
【0088】
3つの異なる計量状態とは、具体的には、図7(A)に示すように、2個のおもりWt1、Wt2のうち片方、例えばおもりWt2のみの重量が秤量台72を介し計量器71に加重される通常のゼロセット状態と、図7(B)に示すように、2個のおもりWt1、Wt2のうちいずれの重量も秤量台72を介し計量器71に加重されていない-NG側すなわち軽量側の状態と、図7(C)に示すように、2個のおもりWt1、Wt2のうち双方の重量が秤量台72を介し計量器71に加重されている+NG側すなわち過量側の状態である。
【0089】
図5(B)には、計量装置3における物品Pの計量と、光電センサ75の物品検知に応じたおもり制御器52の動作との関係を示すタイムチャートが示されている。
【0090】
まず、計量装置3の計量動作について、物品検査検証システム5の検証動作と関連する部分を簡単に説明する。
【0091】
計量装置3は、物品Pがコンベア12に差し掛かったことを検知すると、その時点で計量器61をゼロセットする。そして、物品Pがコンベア12上に乗り移ってから所定時間経過後に計量値を取得し、その計量値が上限値および下限値からなる基準範囲内にあるかを判定する。このとき、上限値を超えていれば過量(+NG)、下限値を下回っていれば軽量(-NG)と判定する。
【0092】
次に、物品検査検証システム5の検証動作について、計量装置3に搬入される物品Pを検証対象物品とし、軽量(-NG)または過量(+NG)と判定させるための動作を説明する。
【0093】
初めに、計量装置3に対して、計量(-NG)を発生させる場合について説明する。
【0094】
PLC55は、物品検知センサ75により物品Pの搬入を検知すると、この物品Pが計量装置3により軽量(-NG)と判定されるように、計量器71に荷重変動を作用させるためにおもり制御器52を制御する。
【0095】
図5(B)に示すように、物品検知センサ75が物品Pの検査区間Z2に差し掛かったことを検知すると、PLC55に内蔵された図示しない2つの第3タイマおよび第4タイマが起動し、第3タイマが設定時間(同図中のTD2A)で終了すると、おもり制御器52に制御信号を出力し、おもり台72Bに載置されているおもりWt2を上側位置に退避させて保持し、軽量状態を発生させる。ここで、第3タイマの設定時間(TD2A)は、計量器71のゼロセット後におもり制御器52を動作させるための遅延時間であり、おもりの加除操作に必要な操作時間が加味され、計量装置3が物品Pに対する判定のための計量値を得るよりも前に、おもりWt2の操作が完了するようになっている。
【0096】
この軽量状態において、計量装置3が物品Pに対して軽量(-NG)判定を出力することとなる。
【0097】
そして、PLC55は、第4タイマが設定時間(図5(B)中のTD2B)で終了すると、おもり制御器52に制御信号を出力し、上側位置に退避させたおもりWt2を下側位置に下ろし、再びおもり台52に載置させる。第4タイマの設定時間(TD2B)は、計量装置3が判定のための計量値を得た後におもり制御器52を動作させるための遅延時間であり、次に物品Pが搬入されるよりも前におもりWt2の操作が完了するようになっている。
【0098】
次に、計量装置3に対して、過量(+NG)を発生させる場合について説明する。
【0099】
PLC55は、物品検知センサ75により物品Pの搬入を検知すると、この物品Pが計量装置3により過量(+NG)と判定されるように、計量器61に荷重変動を作用させるためにおもり制御器52を制御する。
【0100】
図5(B)に示すように、物品検知センサ75が物品Pの検査区間Z2に差し掛かったことを検知すると、PLC55に内蔵された図示しない2つの第3タイマおよび第4タイマが起動し、第3タイマが設定時間(TD2A)で終了すると、おもり制御器52に制御信号を出力し、上側位置に退避されているおもりWt1を下側位置に下ろしておもり台52Bに載置させ、過量状態を発生させる。ここで、第3タイマの設定時間(TD2A)は、計量器61のゼロセット後におもり制御器52を動作させるための遅延時間であり、おもりの加除操作に必要な時間が加味され、計量装置3が物品Pに対する判定のための計量値を得るよりも前に、おもりWt1の操作が完了するようになっている。
【0101】
この過量状態において、計量装置3が物品Pに対して過量(+NG)判定を出力することとなる。
【0102】
そして、PLC55は、第4タイマが設定時間(TD2B)で終了すると、おもり制御器52に制御信号を出力し、おもり台52Bに載置させたおもりWt1を再び上側位置に退避させる。第4タイマの設定時間(TD2B)は、計量装置3が判定のための計量値を得た後におもり制御器52を動作させるための遅延時間であり、次に物品Pが搬入されるよりも前におもりWt1の操作が完了するようになっている。
【0103】
なお、2個のおもりWt1、Wt2は必ずしも同一質量である必要はなく、計量器71の計量可能範囲内で軽量側および過量側の状態とできるような、それぞれ任意の質量であってもよい。
【0104】
例えば、おもり制御器52で用いるおもりWt1、Wt2の質量は、各おもりを加除操作することにより秤量台72を介して計量器71に対する荷重変動作用の影響レベルとなるから、各おもりの加除操作に応じて物品Pの計量値が過量(+NG)または軽量(-NG)と判定される値となるように設定されればよい。
【0105】
具体的には、計量器71の有効計量範囲が20~500g、順次投入される複数の物品Pに想定される質量分布が280g~310g、基準となる上限値および下限値がそれぞれ310g、290gであるとき、物品検査検証システム1により280gの物品Pに対して過量(+NG)を発生させるためのおもりの最小質量は30gとなる。同様に、310gの物品Pに対して軽量(-NG)を発生させるためのおもりの最小質量は20gとなる。実際には、計量器71の計量誤差や、物品Pの想定範囲を超える質量変動もあるため、この例では、それぞれ35g~40g、25g~30g程度のおもりを使用するのがよく、同一質量の35g~40gに設定しておけば、必要以上に重いおもりを用いることなく、かついずれのおもりを加除操作するかによらずに、計量器71の有効計量範囲内においていずれの物品Pに対しても過量(+NG)、軽量(-NG)を確実に発生できる。
【0106】
このように、本実施形態において例示されたおもりWt1、Wt2の質量(40g)は、計量器71の有効計量範囲、物品Pの質量分布および計量装置3に設定される過量(+NG)および軽量(-NG)の基準となる上限値と下限値、および計量装置3の計量性能等を複合的に加味して設定されるのがよい。
【0107】
図8(A)および図8(B)に示すように、X線検査装置4は、X線管等を有するX線照射部81と、物品搬送方向と直交する方向に延びるX線ラインセンサ82aを有するX線検出部82とを含んでいる。また、図示しないが、X線検査装置4は、物品PがX線検出部82のX線ラインセンサ82a上を通過する検査期間中におけるX線検出部82の所定時間ごとの透過X線量データを基にX線透過画像のデータを生成する画像生成部と、X線透過画像中の急峻な透過量変化部位等を特定し異物を検出する異物検出部とをさらに含んで構成されている。
【0108】
X線検査装置4には、物品PにX線を照射する領域として検査空間ZXが形成されており、金属製の筐体および遮蔽体等で覆うことにより外部へのX線漏洩を防止している。この遮蔽体として、検査空間内ZXにのれん状の遮蔽カーテン85を吊り下げてもよいし、検査空間ZXの前後にトンネル状の遮蔽カバー(図示せず)を設置してもよく、物品Pの形状や搬送特性により選択される。
【0109】
X線検査装置4の検査空間ZXの上部には、テストピース挿入制御器53が設けられ、X線照射部81からX線検出部82に向けて照射されるX線を遮る位置に、テストピースtpを移動させるようになっている。
【0110】
X線検査装置4に付設されたテストピース挿入制御器53は、物品搬送路10のコンベア13による物品Pの搬送速度と同等の移動速度でX線検出部82のX線ラインセンサ82a上を通過できるテストピース台53aと、そのテストピース台53a上に支持された異物のテストピースtpと、テストピース台53aに連結された直動ガイドロッド53bと、直動ガイドロッド53bを物品搬送方向と平行に移動可能に支持するブラケット53cと、ブラケット53cに対し直動ガイドロッド53bを物品搬送方向と逆の方向である図8中の左方側に付勢してテストピース台53a上のテストピースtpをX線照射部81からの照射X線領域から外すよう付勢する圧縮ばね53dと、圧縮ばね53dの付勢力に抗してテストピース台53aを物品搬送方向に移動させ、テストピースtpを照射X線領域内に挿入する図示しない挿入駆動機構および駆動回路とを含んで構成されている。
【0111】
ここにいう挿入駆動機構は、例えばモータおよび直線/回転運動変換機構で構成され、そのモータがPLC55からの所定の制御信号RJ0-t2に従って駆動回路を介しモータの回転駆動とその回転方向の切替え制御が実行されることで、テストピース挿入制御器53により、異物のテストピースtpが照射X線領域内に物品検査期間に符合するタイミングで挿入されるようになっている。
【0112】
なお、テストピース台53aには、物品Pの品質管理基準としてユーザが規定した基準サンプルをテストピースtpとして支持するようにしてもよいし、また複数の異なる材質や形状を有する異物のテストピース(tp、tp、・・・)を支持してもよい。
【0113】
図8(C)は、物品PがX線検出部82のX線ラインセンサ82a上を通過するよう搬送されるとともに、異物のテストピースtpが照射X線領域内に挿入される状態下で、X線検出部82で検出されるX線量の検出値(減衰量相当値)を、X線ラインセンサ82aの検出素子配列方向である幅方向の分布図として示している。
【0114】
管理用PC40は、例えば複数種の物品検査装置2~4のそれぞれの制御部とPLC55とに対して所定の有線又は無線のバス形式でLAN接続された産業用PC等で構成されており、物品検査システム1および物品検査検証システム5における統括的な設定と、両システム1、5の動作履歴の記録と、所定形式のレポートの作成および出力と、これら設定、記録、レポート等の画面41への表示出力の機能を有している。
【0115】
この管理用PC40は、例えばキャッシュ内蔵のプロセッサであるCPU、RAM、ROMおよび入出力インターフェース回路と、SSDおよびHDD等のストレージデバイスと、ROMやストレージデバイスに記憶格納された複数の制御プログラムおよび各種設定情報等(制御パラメータを含む)とを有しており、CPUにより各種センサ情報および設定情報等に基づき所定の制御プログラムを実行することで、前述の諸機能を発揮するとともに、次に述べるような複数の機能部として動作するようになっている。
【0116】
すなわち、管理用PC40は、物品検査システム1の運転中の特定期間、例えば前述のライン始業時、ライン稼働中およびライン終業時の所定時間内に、検査区間Z1、Z2、Z3を通過する物品Pが物品検査装置2~4のいずれか又はそれぞれにより不良品と判定されたとき、各物品検査装置2、3、4の不良検出動作が正常か否かの検証情報を記録出力可能に記憶保存する検証情報記憶部42を含んでいる(図2参照)。
【0117】
ただし、物品検査検証システム5における複数種の物品検査装置2~4の検証動作は、物品Pの搬送タイミング応じて順次実行されるものであり、LAN接続された管理用PC40からの直接的な制御では遅延(レイテンシ)が生じるため、検証動作の確からしさを確保する観点においても、リアルタイム性が求められる各物品検知センサ15、66、75、83(84)からの検知信号の受信および各物理的影響発生器51、52、53(図9中の54でもよい)に対する制御信号等の送受信は、各物品検査ラインの近傍に設置されたPLC55を主たる制御ユニットとして信号の電圧レベル(ハイレベル/ローレベル)やバス接続を含むシリアル通信による制御コマンドを用いるのがよい。
【0118】
選別装置20は、複数種の物品検査装置2~4のうち異物検出可能な金属検出装置2およびX線検査装置4からの不良検出信号である選別指令RJ1、RJ2のいずれかに応じてフリッパ方式の振分機構27(27Aまたは27B)を選別排出動作させる一方、複数種の物品検査装置2~4のうち内容量の過不足(+NG、-NG)の検出が可能な計量装置3からの不良検出信号である選別指令RJ4、RJ5のいずれかに応じてフリッパ方式の振分機構28(28Aまたは28B)を選別排出動作させることができる選別排出駆動回路25を有している。
【0119】
この選別排出駆動回路25は、また、PLC55からの検証用物品排出信号である選別指令RJ0が入力されたとき、その選別指令RJ0に応じてドロップアウト式の選別コンベア17を選別排出動作させることができるようになっている。
【0120】
具体的には、ドロップアウト式の選別コンベア17およびフリッパ方式の振分機構27、28は、エアシリンダCYL1、CYL2、CYL3からの直線運動出力を対応するリンク・レバー機構等の直線/回転運動変換機構Mc1、Mc2、Mc3により回転運動に変換することで、それぞれの選別排出動作を実行することができるようになっている。
【0121】
ここで、ドロップアウト式の選別コンベア17は、物品搬送路10上の検査区間Z1、Z2、Z3が設定されるコンベア11、12、13(14)より下流側で、不良品と判定された物品Pを物品搬送路10から外れる方向に排出するための振分機構27、28が設けられるコンベア18~19の上流側に配置されており、物品搬送路10から外れる方向、例えば図2中に仮想線で示す傾斜姿勢となるまで下流端側を下降させる一方、物品Pを下流側に搬送可能な姿勢、例えば図2中に実線で示す水平姿勢に保持することができるようになっている。
【0122】
また、フリッパ方式の振分機構27、28は、より具体的には、選別コンベア17に続くコンベア18のベルト幅方向両側に配置された一対のフリッパ(27A、27Bおよび28A、28B)と、各フリッパに対応するエアシリンダCYL2、CYL3および直線/回転運動変換機構Mc2、Mc3とを含んで構成されており、それぞれのフリッパが、例えば下流側の基端部を回動軸で支持され、上流側の先端部をコンベア18上に所定交差角度に進入させる所定の選別排出動作を実行できるようになっている。そして、選別指令RJ1、RJ2のいずれかの選別排出駆動回路25への入力期間中、フリッパ方式の振分機構27の一対のフリッパのうち対応する片方が所定の選別排出動作を実行し、選別指令RJ4、RJ5のいずれかの選別排出駆動回路25への入力期間中、フリッパ方式の振分機構28の一対のフリッパのうち対応する片方が所定の選別排出動作を実行するようになっている。
【0123】
また、各エアシリンダCYL1、CYL2、CYL3は、一対のエア給排ポートに接続された対応するエア給排制御バルブV1、V2又はV3により、伸縮方向のいずれか一方側の圧力室に圧縮空気(図2中に〇印で示す供給圧)を供給しつつ他方側の圧力室から残留空気を排出(図2中に×印で示す)させることができ、複数のエア給排制御バルブV1、V2、V3の切替え制御により、ドロップアウト式の選別コンベア17およびフリッパ方式の振分機構27、28が、ぞれぞれ、選別指令RJ0、RJ1、RJ2、RJ4、RJ5のON/OFFに応じた選別排出動作とその動作位置から通常動作位置への復帰とを実行可能になっている。
【0124】
選別排出駆動回路25は、ある物品Pについて複数の選別指令を受けることができ、このときにいずれの選別指令により物品Pを排出するかの選別優先順位が予め設定されている。
【0125】
例えば、ある物品Pに対して、金属検出装置2における金属検出による不良と、計量装置3における軽量または過量による不良とが重複して発生した場合には、金属検出による不良として物品Pを排出するというように設定されている。
【0126】
さらに、例えば、ある物品Pに対して、金属検出装置2における金属検出による不良と、X線検査装置4における異物検出による不良とが重複して発生した場合には、異物検出による不良として物品Pを排出するというように設定されている。
【0127】
このように、ある特定の物品Pについて、複数の不良が発生した場合、その物品Pは予め設定された選別優先順位に基づいて、特定の排出先に振り分けられるようになっている。
【0128】
物品検査検証システム5は、物品検査システム1の動作を検証するためのものであり、検証用物品排出信号である選別指令RJ0とそれ以外の選別指令RJ0、RJ1、RJ2、RJ4、RJ5との間に選別優先順位はない。
【0129】
これにより、物品検査システム5で発生させた不良に対し、検証対象物品としての物品Pを選別コンベア17により良品搬送経路10から排出させるとともに、あたかも物品Pが通常の不良であるかのごとく、その不良に応じた選別指令に基づいて振分機構が動作させることができる。あらためて詳述するまでもなく、選別コンベア17が設けられていない場合は、検証対象物品としての物品Pは選別指令に基づいていずれの排出先に振り分けられる。
【0130】
選別装置20においては、また、選別コンベア17から排出された検証対象物品としての物品Pを、物品搬送路10の上流側に移動させる戻し搬送機構が、戻し搬送コンベア21、22として併設されている。
【0131】
戻し搬送コンベア21、22は、ここでは選別コンベア17の選別排出動作姿勢に対応して、コンベア16、17、18より鉛直方向の下方側に配置されているが、物品搬送路10からの選別排出方向を異なる方向に設定することで、任意の位置に配置可能である。また、戻し搬送コンベア21は、選別コンベア17から検証用の疑似不良品として使用された実際には未検査の物品Pを受け取って、戻し搬送コンベア22に送り出し受け渡し用のコンベアであり、姿勢は水平でなくその受け渡しに好適な傾斜姿勢でもよいし変化してもよい。戻し搬送コンベア22は、図外の上流側の製品ストック台や滞留用のコンベア等に物品Pを搬送できるようになっている。
【0132】
戻し搬送コンベア21上には、ドロップアウト式の選別コンベア17から検証用の疑似不良品として使用された未検査品の物品Pが排出されたときに、その物品Pを検出する戻し物品検知センサ32が設けられており、動作検知センサ32により検証対象物品として排出された物品Pが検出されると、戻し搬送コンベア21、22が戻し搬送方向に駆動されるようになっている。
【0133】
また、フリッパ方式の振分機構27、28の各フリッパの回転支持軸の回転を検知する各動作検知センサ33、34の検知情報を基に、各フリッパの選別排出動作が検知可能になっている。良品通過検知センサ35は、フリッパ方式の振分機構27、28が配置されるコンベア18とそれより下流側のコンベア19との間に配置されており、物品Pの後段への通過を検知する。
【0134】
このように、本実施形態においては、物品検査システム1が、物品検査装置2、3、4として検査種別が複数種に異なる第1の物品検査装置2又は4と第2の物品検査装置3とを有しているとともに、物品搬送路10上の検査区間Z1、Z2、Z3より下流側に、第1の物品検査装置2又は4によって不良品と判定されたNG品の物品Pを物品搬送路10上の良品の搬送経路となるコンベア16~19から外れる方向に移動させる第1の不良品振分機構であるフリッパ方式の振分機構27と、第2の物品検査装置3によって不良品と判定されたNG品の物品Pを物品搬送路10上の良品の搬送経路となるコンベア16~19から外れる方向に移動させる第2の不良品振分機構であるフリッパ式の振分機構28とを有している構成となっている。
【0135】
ここで、ドロップアウト式の選別コンベア17の作動状態を検知する動作検知センサ31の検知信号、フリッパ方式の振分機構27(27A、27B)、28(28A、28B)の作動状態を検知する動作検知センサ33、34、さらに良品通過検知センサ35から出力される検知信号は、物品検査検証システム5を構成するPLC55に入力されるようになっているが、フリッパ方式の振分機構27、28に対する動作検知センサ33、34や良品通過検知センサの検知信号がすでに物品検査システム1に対して入力されている場合には、管理用PC40において全体的な動作検証を行うことができるため、PLC55に検知信号を入力させるように接続先を変更したり、あるいは検知信号をPLC55にも入力させるように分岐したりする必要はない。すなわち、既存の物品検査システム1および各物品検査装置2~4の機能を変更したり、各種センサの接続先を変更したりすることなく、物品検査検証システム5を構築できる。
【0136】
また、物品検査システム1の複数種の物品検査装置が物品P中の金属成分を検出する金属検出装置2を含む一方、物品検査検証システム5の物理的影響発生器51が、物理的影響制御ユニット55からの検証用の磁界変動発生を要求する制御信号(RJ0-t1)に従って、検査区間中の磁界を変化させる磁界変動発生器を含んでいる。
【0137】
さらに、物品検査システム1の複数種の物品検査装置が、物品Pの重量を計量する計量装置3を含む一方、物品検査検証システム5の物理的影響発生器52が、物理的影響制御ユニット55からのおもり荷重増減用の制御信号(RJ0-t4/t5)に従って、検査区間Z2中の被検査物Pの重量に対しおもり荷重を付加しおよび除去する加除機構73を含む構成となっている。
【0138】
加えて、物品検査システム1の複数種の物品検査装置2~4が、物品搬送路10上の検査区間Z3内でその区間Z3を通過する物品Pに対してX線を照射し、透過X線量分布を基に物品検査を実行するX線検査装置4を含む一方、物品検査検証システム5の物理的影響発生器53が、物理的影響制御ユニット55からのテストピース挿入要求用の制御信号(RJ0-t2)に従って、所定のX線透過特性を有するテストピースtpを検査区間Z3内のX線ラインセンサ82a上となる照射X線領域内に挿入しおよび後退させるテストピース移動機構として構成されている。
【0139】
また、本実施形態におけるPLC55は、プログラミングツールにより書き換え可能なシーケンス制御プログラムをプログラムリストのステップ番号順に実行するので、物品Pの品種に応じて物理的影響発生器51、52、53への制御信号((RJ0-t1)、(RJ0-t4/t5)、(RJ0-t2))の出力条件を可変設定することができる物理的影響制御ユニットが構成されている。
【0140】
このような本実施形態の物品検査検証システム5は、物品搬送路10上の検査区間Z1、Z2、Z3を通過する物品Pの品質状態を検査し、所定の判定条件を基に良品か不良品かを判定する複数種の物品検査装置2~4を有する物品検査システム1に装備されるものであり、検査区間Z1~Z3中に物品Pを不良品と判定させる物理的影響を発生させる物理的影響発生器51、52、53と、物理的影響発生器51、52、53による物理的影響の発生条件を予め記憶し、その発生条件に従って物品検査システム1の運転中に物理的影響発生器51、52、53を駆動することにより、運転中の特定期間内に検査区間Z1、Z2、Z3を通過する物品Pを複数種の物品検査装置2、3、4により不良品と判定させる物理的影響制御ユニットとしてのPLC55とを含んでいる。
【0141】
言い換えれば、PLC55の制御により、物理的影響発生器51、52、53は、それぞれ物品検査装置2~4のうち対応する一の物品検査装置に対して物理的影響を作用させ、他の物品検査装置に対してはその物理的影響を作用させないようになっているから、特定の物品Pに対して、複数種の物品検査装置2~4について任意の組み合わせで不良と判定させることができる。
【0142】
また、このような本実施形態の構成においては、物品検査システム1が、検査種別が複数種に異なる第1の物品検査装置2、4とおよび第2の物品検査装置3を有しているとともに、物品搬送路10上の検査区間Z1、Z2、Z3より下流側に、第1の物品検査装置2又は4によって不良品と判定されたNG品の物品Pを物品搬送路10上の良品の搬送経路となるコンベア16~19から外れる方向に移動させる第1の不良品振分機構としての振分機構27と、第2の物品検査装置3によって不良品と判定されたNG品の物品Pを物品搬送路10上の良品の搬送経路となるコンベア16~19から外れる方向に移動させる第2の不良品振分機構としての振分機構28とを有するものとなっている。
【0143】
物品検査検証システム5がPLC55において生成する動作データについて説明する。
【0144】
PLC55は、図10中の物品検知センサおよび磁界変動発生器の欄に示すように、物品検知センサ66の検知信号により物品Pを検知したとき、第1タイマが終了してループコイル61を形成するリレー回路62を第2タイマーで規定される時間だけONしたときに、それらに関連する動作データを生成する。ここでの動作データには、例えば時刻(タイムスタンプ)、デバイスID、イベントコード、設定値等が含まれ得る。
【0145】
PLC55が生成する検証データは、物品検知センサ66の識別ID、形成されたループコイル61のIDまたはON操作したリレー素子のID、可変抵抗器63の抵抗値または抵抗値を設定したレジスタの情報等に時刻情報を付加し、検証条件を識別するヘッダ情報とともに一連のデータセットとして記録される。
【0146】
リレー回路62がモニタ回路を有している場合には、リレー回路62が動作したことをしめすモニタ情報も記録される。
【0147】
また、PLC55は、図10中のおもり制御器の欄等に示すように、物品検知センサ75の検知信号により物品Pを検知したとき、第3タイマおよび第4タイマが終了しておもりWt1の加除操作をしたときにそれぞれ検証動作データを生成する。
【0148】
PLC55が生成する検証動作データは、物品検知センサ75の識別ID、加除操作されたおもりWt1のIDまたは加除操作したモータのID、おもりWt1を加除操作した方向を示す情報等に時刻情報を付加し、検証条件を識別するヘッダ情報とともに一連のデータセットとして記録される。
【0149】
さらに、PLC55は、図10中のテストピース挿入制御器の欄等に示すように、物品検知センサ83(84)の検知信号により物品Pを検知したとき、第5タイマーが終了してテストピース台53a(54a)を挿入操作したときに動作データを生成する。
【0150】
PLC55が生成する検証動作データは、物品検知センサ83(84)の識別ID、テストピースを挿入操作したテストピース挿入制御器53(54)の識別ID等に時刻情報を付加し、検証条件を識別するヘッダ情報とともに一連のデータセットとして記録される。
【0151】
そして、PLC55は、それぞれの検証動作のデータセットを、通信可能に接続された管理用PC40に対して所定のデータ通信手順、およびデータ形式で出力するようにプログラムされている。
【0152】
次に、作用について説明する。
【0153】
上述のように構成された本実施形態においては、物理的影響制御ユニットであるPLC55からの検証用の制御信号(RJ0-t1)、(RJ0-t4/t5)、(RJ0-t2)によって物品検査システム1の運転中の特定期間内に物理的影響発生器51、52、53が順次駆動されることで、検査区間Z1、Z2、Z3を通過する物品Pが不良品と判定される物理的影響が、磁界影響ノイズやおもり荷重の増減又はテストピースの挿入等の形で、対応する区間内に発生することになる。したがって、各検査区間Z1、Z2、Z3を通過する物品Pが実際に良品か不良品かに関係なく、物品検査システム1の運転中に疑似不良品を物品検査検証システム5からの制御により発生させ、このときに不良品とされた物品Pに対する物品検査装置の不良検出動作が正常か否かを検証できることになる。
【0154】
また、本実施形態では、物品検査システム1の運転中の特定期間内に検査区間Z1、Z2、Z3を通過する物品Pが不良品と判定されたとき、各物品検査装置2、3、4の不良検出動作が正常か否かの検証情報を記録出力可能に検証情報記憶部42に記憶保存する。したがって、定期的に各物品検査装置2、3、4の不良検出動作を確認し、その結果を記録する検証作業が大幅に容易化されることになる。
【0155】
さらに、本実施形態では、物品搬送路10上の検査区間Z1~Z3より下流側にフリッパ方式の振分機構27、28が配置され、それら不良品振分用の振分機構27、28による不良品振分区間Zrj1/2、Zrj4/5と上流側の検査区間Z1~Z3との間に、検査区間Z1~Z3を通過するときに不良品と判定されたNG品の物品Pを、検査区間Z1~Z3を迂回して物品搬送路10の上流側に移動させる戻し搬送コンベア21、22が設けられている。したがって、物品検査システム1の検査区間Z1~Z3とその下流側の不良品振分機構による不良品振分区間Zrj1/2、Zrj4/5との間に、疑似的に不良品とされたものであって通常の検査結果が得られていない物品Pを、検査区間Z1~Z3を迂回して物品搬送路10の上流側に戻し、例えば通常検査を再度行うことが可能となる。
【0156】
加えて、本実施形態では、物品検査システム1が、検査種別が複数種に異なる第1の物品検査装置2又は4および第2の物品検査装置3を有しているとともに、物品搬送路10上の検査区間Z1~Z3より下流側に、第1の物品検査装置2又は4によって不良品と判定された物品Pを物品搬送路10上の良品の搬送経路となるコンベア16~19から外れる方向に移動させる第1の不良品振分用の振分機構27と、第2の物品検査装置3によって不良品と判定された物品をコンベア16~19から外れる方向に移動させる第2の不良品振分用の振分機構28とを有している。したがって、第1および第2の物品検査装置2、3の検査種別に対応する複数種の物理的影響発生器51、52を設けることで、同一の物品Pに対する複数種の物品検査および振分機能を同一の物品検査システム1中で連続して検証可能となる。
【0157】
さらに、本実施形態では、物品検査システム1が、検査種別が複数種に異なる物品検査装置2~4を有しているときに、物品検査システム5の物理的影響制御ユニット51、52、53は、それぞれ、特定の被検査物品について第1の物品検査装置および第2の物品検査装置のいずれか一方または両方に対応する物理的影響発生器を駆動する構成とすることができる。したがって、物品検査ラインが、検査種別が複数種に異なる第1の物品検査装置および第2の物品検査装置を有しているときに、いずれか一方または両方の物品検査装置により不良を検出した際の物品検査システム1の全体としての動作を、網羅的な組み合わせにより検証することができる。
【0158】
そして、本実施形態では、前記第1の不良品振分機構および前記第2の不良品振分機構の作動状態を検知する動作検知センサを、さらに備える構成とすることができる。したがって、複数種の物品検査装置2~4のいずれかもしくは複数により不良と判定された物品Pに対して、後段の選別装置20における振分機構の作動状態を検知することができ、この物品Pが正しい排出先に振り分けられるかをも検証することができる。
【0159】
また、本実施形態の物品検査システム1が物品検査装置として物品P中の金属成分を検出する金属検出装置2を含む一方、金属検出装置2に付設された物理的影響発生器51が、PLC55からの制御信号RJ0-t1に従って、検査区間Z1中の磁界を変化させる磁界変動を発生させる。したがって、検査区間Z1を通過する物品Pに何ら影響を与えることなく、物品検査システム1の運転中に金属検出装置2に対して疑似不良品を自動的に発生させ、このときに不良品とされた物品Pに対する金属検出装置2の不良検出動作が正常か否かを容易にかつ的確に検証可能となる。
【0160】
さらに、本実施形態では、物品検査装置としての計量装置3に付設される物理的影響発生器52が、PLC55からの制御信号に従って検査区間Z2中の物品Pの重量に対しおもり荷重を秤量台72から計量器71に加重しおよび除去する加除機構73を含んでいる。したがって、計量値に影響する荷重の加除により、検査区間Z2を通過する物品Pに何ら影響を与えることなく、物品検査システム1の運転中に計量装置2に対して疑似不良品を自動的に発生させ、このときに不良品とされた物品Pに対する計量装置3の不良検出動作が正常か否かを容易にかつ的確に検証できることになる。
【0161】
本実施形態においては、物品検査装置として、物品搬送路10上の検査区間Z3内を通過する物品Pに対してX線を照射し、透過したX線量の検出値分布を基に物品検査を実行するX線検査装置4を含む一方、そこに付設された物理的影響発生器53が、PLC55からの制御信号RJ0-t2に従って、所定のX線透過特性を有するテストピースtpを検査区間内に進入および後退させるテストピース移動機構を構成している。したがって、X線検査に影響するテストピースtpの検査区間Z3内への出し入れにより、検査区間Z3を通過する物品Pに何ら影響を与えることなく、物品検査システム1の運転中にX線検査装置4に対して疑似不良品を自動的に発生させ、このときに不良品とされた物品Pに対するX線検査装置4の不良検出動作が正常か否かを検証できることになる。
【0162】
また、本実施形態では、物理的影響制御ユニットであるPLC55が物品Pの品種に応じて物理的影響発生器51、52、53への制御信号(RJ0-t1)、(RJ0-t4/t5)、(RJ0-t2)の出力条件を可変設定するので、品種に応じた的確な物理的影響を検査区間Z1、Z2、Z3内に発生させて、物品検査の有効な検証作業を行うことができる。
【0163】
以上のように、本実施形態によれば、検査区間Z1~Z3を通過する物品Pに何ら影響を与えることなく、物品検査システム1の運転中に各物品検査装置2、3、4に対して疑似不良品を自動的に発生させて物品検査装置2、3、4の不良検出動作が正常か否かを検証でき、検証作業に伴う物品検査システム1の稼働率の低下を防止しおよび検証作業の作業負担を大幅に軽減可能な物品検査検証システムを提供することができる。
【0164】
(他の実施形態)
図9は、本発明の他の実施形態に係る物品検査検証システムを示している。
【0165】
同図に示すように、本実施形態は、物品検査システム1の運転状態下で、物品検査システム1の不良検出機能が正常か否かを定期的に検証することができる物品検査検証システム5として構成される点では、前述の一実施形態と同様である。
【0166】
また、物品検査検証システム5が、物品Pを不良品と判定させる物理的影響を複数の検査区間Z1、Z2中でそれぞれに発生させる複数種の物理的影響発生器として、金属検出装置2に付設された検査磁界への磁界変動発生器51と、計量装置3に付設されたおもり制御器52とを有している点でも、前述の一実施形態と同様である。
【0167】
ただし、本実施形態の物品検査検証システム5は、物品Pを不良品と判定させる物理的影響を他の検査区間Z3中で発生させる複数種の物理的影響発生器として、X線検査装置4に付設された揺動式のテストピース挿入制御器54を有している点で、直動式のテストピース挿入制御器53を有する前述の一実施形態とは、相違する。
【0168】
X線検査装置4に付設される本実施形態のテストピース挿入制御器54は、物品搬送路10のコンベア13による物品Pの搬送速度と同等の移動速度でX線検出部82のX線ラインセンサ82a上を通過できるテストピース台54aと、そのテストピース台54a上に支持された異物のテストピースtpと、テストピース台54aに連結されるとともにモータ54cの主軸に対し一体に上端支持された揺動ロッド54bと、揺動ロッド54bを物品搬送方向と平行な方向に揺動させることができる前述のモータ54cと、テストピース台54aを物品搬送方向と略平行な方向に移動させ、テストピースtpをX線検出部82のX線ラインセンサ82a上の照射X線領域内に選択的に挿入する図示しない挿入駆動機構および駆動回路とを含んで構成されている。
【0169】
なお、図9に例示されるX線検査装置4の検査空間ZXには、のれん状の遮蔽部材が吊り下げられており、テストピース挿入制御器54を配置できるスペースがのれん状の遮蔽部材の内側に限られている点において図8に例示される実施形態より制約が多いものの、揺動ロッド54bにテストピース台54aを連結させ、モータ54cにより駆動する構成として小型化を図り、既設のX線検査装置4に容易に付加できるようになっている。
【0170】
その他の構成は、前述の実施形態と同様であり、本実施形態においても、一実施形態と略同様の作用効果が期待できる。
【0171】
また、本実施形態では、挿入駆動機構は、例えばPLC55からの所定の制御信号RJ0-t2に応動するモータ54cの往復回動により、その駆動回路を介しモータ54cの回転駆動とその回転方向の切替え制御が実行されるので、テストピース挿入制御器53により、異物のテストピースtpが照射X線領域内に物品検査期間に符合するタイミングで所定の高さ位置に挿入できる。
【0172】
さらに、本実施形態では、テストピース台54aを揺動ロッド54bに支持する位置を変更することによりテストピース台54aの高さが変化し得るので、物品Pの高さに応じてテストピース台54aおよびテストピースtpの設置高さを調整可能であるという利点もある。この場合、モータ54cの主軸からの距離に応じてモータ54cの回転速度を調整し、X線の照射位置を通過するときのテストピース台54aの移動速度を物品Pの搬送速度に合わせるのがよい。また、この実施形態のテストピース挿入制御器53は構成部品が小型で軽量なため、モータ54cを物品搬送方向または高さ方向に変位可能とし、取付位置を容易に調整することも勿論可能である。
【0173】
なお、上述の一実施形態においては、物品検査システム1の複数の検査区間Z1、Z2、Z3中でそれぞれに物理的影響を発生させる複数種の物理的影響発生器として、金属検出装置2の検査磁界中へのノイズ発生器51を例示したが、これに代えて金属ピースを検査領域内に投入するような機構であってもよいし、異なるノイズ発生器を併用することも考えられる。また、計量装置3に付設されたおもり制御器52は、計量器71や秤量台72に通常運転状態下で同一質量の2個のうち1個のおもりを加重するものとしたが、質量の異なる複数種類の3個以上の多数個のおもりのうち1個又は複数個を通常状態下で加重し、それを複数の異なるおもりで細かくもしくは大きく増減変更するようにすることも考えられる。さらに、X線検査装置4に付設されたテストピース挿入制御器53として、水平回転式や水平スライド式のテストピース台の高さをその支持ブラケットの高さ調節機構で変化させるようなことも勿論考えられる。各実施形態において、振分機構27、28は、不良品を物品搬送路から外方に排出するものとしたが、本発明にいう不良品振分機構は、不良品を良品の搬送経路と別の経路に振り分けるものであればよいことは勿論である。
【0174】
以上説明したように、本発明の物品検査検証システムにおいては、物品検査装置の不良検出機能の検証作業に伴う稼働率の低下防止および検証作業の負担軽減を図った物品検査検証システムを提供できるものであり、さらには、複数種の物品検査装置で構成される製造ラインの検査選別工程においても同様に、検証作業を確実かつ効率よく実現可能にするものである。かかる本発明は、物品検査による不良検出機能が正常か否かを定期的に検証するのに好適な物品検査検証システム全般に有用である。
【符号の説明】
【0175】
1 物品検査システム(物品検査ライン)
2 金属検出装置(物品検査装置、第1の物品検査装置、MD)
3 計量装置(物品検査装置、第2の物品検査装置、CW)
4 X線検査装置(物品検査装置、第1の物品検査装置、XR)
5 物品検査検証システム
10 物品搬送路
11、12、13 コンベア(ベルトコンベア)
15 物品検知センサ
16、18、19 コンベア(搬送経路、ベルトコンベア)
17 コンベア(選別コンベア、搬送経路、ベルトコンベア)
20 選別装置
21、22 コンベア(戻し搬送コンベア、戻し搬送機構)
23 カメラ
25 選別排出駆動回路
27 振分機構(フリッパ方式の振分機構、第1の不良品振分機構)
28 振分機構(フリッパ方式の振分機構、第2の不良品振分機構)
31、33、34 動作検知センサ
32 戻し物品検知センサ
35 良品通過検知センサ
40 管理用PC
41 画面
42 検証情報記憶部
51 磁界変動発生器(物理的影響発生器)
52 おもり制御器(物理的影響発生器、おもり制御機構)
53 テストピース挿入制御器(物理的影響発生器、テストピース移動機構)
53a テストピース台
53b 直動ガイドロッド
53c ブラケット
54 テストピース挿入制御器(物理的影響発生器、テストピース移動機構)
54a テストピース台
54b 揺動ロッド
54c モータ
55 PLC(プログラマブルロジックコントローラ、物理的影響制御ユニット)
55a CPU部(演算制御部)
55b メモリ部(各種メモリ)
55c 入力部(デジタル入力、パルス入力、アナログ入力の入力部)
55d 出力部(デジタル出力、パルス出力、アナログ出力の出力部)
55e 通信I/F(通信インターフェース)
55f 電源部
56 情報端末(タブレット型の情報端末、プログラミングツール、設定入力切替器)
61 ループコイル
62 リレー回路
63 可変抵抗器
64 ドライバ
66 物品検知センサ
71 計量器
72 秤量台
73 加除機構(おもり荷重加除機構)
81 X線照射部
82 X線検出部
82a X線ラインセンサ
CYL1、CYL2、CYL3 エアシリンダ
Mc1、Mc2、Mc3 直線/回転運動変換機構
P 物品(被検査物品)
RJ0、RJ1、RJ2、RJ4、RJ5 不良検出信号(選別指令)
RJ0-t1、RJ0-t2、RJ0-t4、RJ0-t5 制御信号
V1、V2、V3 エア給排制御バルブ
W1、Wt2 おもり
Z1、Z2、Z3 検査区間
Zrj1/2、Zrj4/5 不良品振分区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11