(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141532
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】シート排出装置およびそれを備えたシート後処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/36 20060101AFI20230928BHJP
B65H 45/04 20060101ALI20230928BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65H31/36
B65H45/04
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047898
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸本 正尚
【テーマコード(参考)】
3F048
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BB02
3F048CA05
3F048CB04
3F048CB12
3F048DC14
3F048EA03
3F048EB40
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BG02
3F054BJ05
3F054BJ12
3F054CA06
3F054CA12
3F054CA23
3F054CA33
3F054CA37
3F054DA01
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
(57)【要約】
【課題】折り処理されたシートの積載枚数および整合性を簡易な構成で向上させることが可能なシート排出装置およびそれを備えたシート後処理装置を提供する。
【解決手段】シート後処理装置は、シート搬送路と、折りユニットと、折りシートを排出する排出ローラー対を有するシート排出部と、トレイ上面と後壁部とを有するシート排出トレイと、トレイ上面に積載された折りシートの満杯を検知する満杯検知センサーと、トレイ上面に積載される折りシートの排出方向後端側および先端側を押さえる第1シート押さえ部材および第2シート押さえ部材と、を備える。第1シート押さえ部材は、排出ローラー対の上方から検知領域の下限よりも下方まで延在した押さえ位置で、トレイ上面に積載される最小サイズの折りシートの排出方向中央部から後壁部までの範囲の任意の位置に接触し、折りシートの積載枚数が所定枚数を超えたとき、押さえ位置から退避する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り処理が施された折りシートを排出する排出ローラー対を有するシート排出部と、
前記シート排出部から排出された前記折りシートが積載されるトレイ上面と、前記トレイ上面の排出方向上流側の端部から立ち上がる後壁部と、を有するシート排出トレイと、
前記シート排出部に設けられ、前記トレイ上面に積載された前記折りシートの積載面の高さを検知することで、前記シート排出トレイ上に積載された前記折りシートの満杯を検知する満杯検知センサーと、
前記シート排出部から排出される前記折りシートが接触するとともに、前記トレイ上面に積載される前記折りシートの排出方向後端側を押さえる第1シート押さえ部材と、
前記トレイ上面に積載される前記折りシートの排出方向先端側を押さえる第2シート押さえ部材と、
を備え、
前記満杯検知センサーは、前記排出方向と直交する幅方向の検知位置において、高さ方向に所定の幅を持った検知領域を有し、
前記第1シート押さえ部材は、前記幅方向において前記検知位置の外側に配置され、前記排出ローラー対の上方から前記検知領域の下限よりも下方まで延在した押さえ位置で、前記トレイ上面に積載される最小サイズの前記折りシートの排出方向中央部から前記後壁部までの範囲の任意の位置に接触して前記折りシートの膨らみを押さえ、前記折りシートの積載枚数が所定枚数を超えたとき、前記押さえ位置から退避して前記折りシートの積載面の上昇を許容することを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記第1シート押さえ部材に外力を加えない状態における、前記第1シート押さえ部材と前記シート排出部から排出される前記折りシートとの衝突角度が85°以下であることを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記第2シート押さえ部材は、前記検知領域の下限よりも下方まで延在した押さえ位置で、前記シート積載面に積載される最大サイズの前記折りシートの排出方向中央部から、最小サイズの前記折りシートの排出方向先端側の折り目部分までの範囲の任意の位置に接触して前記折りシートの膨らみを押さえ、前記折りシートの積載枚数が所定枚数を超えたとき、前記押さえ位置から退避して前記折りシートの積載面の上昇を許容することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記第2シート押さえ部材は、前記排出方向に対し前記第1シート押さえ部材の下流側で、前記シート排出部から排出される前記折りシートと接触し、
前記第2シート押さえ部材の先端部が前記トレイ上面に接触した状態における、前記第2シート押さえ部材と前記シート排出部から排出される前記折りシートとの衝突角度が40°以下であることを特徴とする請求項3に記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記第1シート押さえ部材は、弾性変形可能なシート状の部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記第2シート押さえ部材は、シート排出方向に沿って揺動可能な板状部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシート排出装置。
【請求項7】
前記第1シート押さえ部材および前記第2シート押さえ部材は、一つの保持部材に保持されており、前記保持部材は、前記シート排出部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシート排出装置。
【請求項8】
シートに所定の折り処理を施す折りユニットと、
前記シートの搬送方向に対し前記折りユニットの下流側に設けられた請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のシート排出装置と、
を備えるシート後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに折り目を形成する折り処理を施されたシートを排出するシート排出装置、およびシート排出装置を備えたシート後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置によって画像形成された後のシートに折り目を形成する折り処理を施すシート折り装置を備えたシート後処理装置が知られている。
【0003】
折り処理されたシートがシート積載トレイに排出されて積載される場合、シートの折り目部分の厚さが大きくなるため、多数枚のシートを整然と積載することが困難であった。そのため、シート積載トレイが大型化する傾向があった。
【0004】
特許文献1には、綴じ処理された用紙束を積載手段へ導く排紙手段として排紙羽根車を備えたシート後処理装置が開示されている。このシート後処理装置では、用紙束を排出するための羽根が円周方向に沿って固定された排紙羽根車を回転軸の軸方向に一段以上設けられている。排紙羽根車によって製本後の用紙束を挟みながら排出することで、用紙束を積載手段に効率よく大量に積載する。
【0005】
特許文献2には、排出シート積載手段に積載されたシートを上方から押さえるシート押さえ手段として、積載トレイに排出されるシート束の先端部を押さえるシート束押さえアームと、積載トレイに排出されるシート束の後端部を押さえる排出シートパドルとを備えたシート積載装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-62111号公報
【特許文献2】特開2002-255431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、排紙羽根車の構成が複雑であり、部品点数やコストが増加するというという問題点があった。特許文献2の構成では、排出シートパドルが排出ローラー対よりも下方に配置されており、排出されるシートの後端部を押さえるために排出シートパドルを回転させる必要があり、構成や駆動制御が複雑になるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、折り処理されたシートの積載枚数および整合性を簡易な構成で向上させることが可能なシート排出装置およびそれを備えたシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、シート排出部と、シート排出トレイと、満杯検知センサーと、第1シート押さえ部材と、第2シート押さえ部材と、を備えるシート排出装置である。シート排出部は、折り処理が施された折りシートを排出する排出ローラー対を有する。シート排出トレイは、シート排出部から排出された折りシートが積載されるトレイ上面と、トレイ上面の排出方向上流側の端部から立ち上がる後壁部と、を有する。満杯検知センサーは、シート排出部に設けられ、トレイ上面に積載された折りシートの積載面の高さを検知することで、シート排出トレイ上に積載された折りシートの満杯を検知する。満杯検知センサーは、排出方向と直交する幅方向の検知位置において、高さ方向に所定の幅を持った検知領域を有する。第1シート押さえ部材は、シート排出部から排出される折りシートが接触するとともに、トレイ上面に積載される折りシートの排出方向後端側を押さえる。第2シート押さえ部材は、トレイ上面に積載される折りシートの排出方向先端側を押さえる。第1シート押さえ部材は、幅方向において検知位置の外側に配置され、排出ローラー対の上方から検知領域の下限よりも下方まで延在した押さえ位置で、トレイ上面に積載される最小サイズの折りシートの排出方向中央部から後壁部までの範囲の任意の位置に接触して折りシートの膨らみを押さえ、折りシートの積載枚数が所定枚数を超えたとき、押さえ位置から退避して折りシートの積載面の上昇を許容する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、折りシートの後端部付近を第1シート押さえ部材によって確実に押さえることができる。従って、折りシートの後端側の膨らみによる満杯検知センサーの誤検知を回避してシート排出トレイの折りシートの積載量を確保することができる。また、折りシートの後端付近を押さえることで、折りシートの後端部がシート排出部を塞ぐことによる折りシートの潜り込みの発生が抑制される。その結果、折りシートの積載性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のシート排出装置の一例である第2シート排出部6を備えたシート後処理装置1、およびシート後処理装置1が連結される画像形成装置200から構成される画像形成システムの構成を示す概略図
【
図2】第2シート排出部6を備えたシート後処理装置1の構成を概略的に示す側面断面図
【
図3】折り処理されたシートSの側面図であって、Z折り処理(
図3(a))、外三つ折り処理(
図3(b))、内三つ折り処理(
図3(c))されたシートSを示す図
【
図4】
図2のシート後処理装置1におけるシート折りユニット100周辺を示す部分断面図
【
図5】シート折りユニット100周辺を示す断面図であって、シートSの内三つ折り処理の初期段階を示す図
【
図6】シート折りユニット100周辺を示す断面図であって、シートSの内三つ折り処理の最終段階を示す図
【
図7】シート折りユニット100周辺を示す断面図であって、シートSの二つ折り処理の初期段階を示す図
【
図8】シート後処理装置1の第2シート排出部6周辺の側面断面図
【
図9】第2シート排出部6周辺を上方から見た斜視図
【
図10】第2排出トレイ63上に積載される折りシートのサイズと第1シート押さえ部材65および第2シート押さえ部材67の押さえ位置との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明のシート排出装置の一例である第2シート排出部6を備えたシート後処理装置1、およびシート後処理装置1が連結される画像形成装置200で構成される画像形成システムの構成を示す概略図である。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置200は、不図示のネットワーク通信部を介して外部から入力された画像データや、画像形成装置200の上部に配置された画像読取部201によって読み取られた画像データに基づいて、シート(用紙)に画像を印刷する。
【0014】
シート後処理装置1は、画像形成装置200の側面に対して着脱可能に連結される。シート後処理装置1は、画像形成装置200によって画像形成(印刷)された後のシートに対してパンチ穴形成処理や綴じ処理、折り処理等の後処理を行う。なお、シート後処理装置1は、画像形成装置200から自動搬送されたシートに後処理を行うものに限られず、ユーザーによって不図示のトレイにセットされたシートを自ら後処理可能な位置まで搬送して、当該シートに後処理を行うものであってもかまわない。
【0015】
図2は、第2シート排出部6を備えたシート後処理装置1の構成を概略的に示す側面断面図である。
図2に示すように、シート後処理装置1は、シート搬入口2と、第1シート搬送路3と、第1シート排出部4と、第2シート搬送路5と、第2シート排出部6と、第3シート搬送路7と、第3シート排出部8と、後処理部9と、後処理制御部(制御部)10と、を備える。
【0016】
シート搬入口2は、シート後処理装置1の、画像形成装置200と対向する側面に設けられる開口である。画像形成装置200からシート後処理装置1に向けて搬送されたシートは、シート搬入口2を通過してシート後処理装置1の内部に搬入される。
【0017】
第1シート搬送路3は、シート搬入口2から第1シート排出部4まで、画像形成装置200から離れる方向(
図2における左方向)に略水平方向に延びる。なお、シート搬入口2から第1シート排出部4に向かう方向を、第1シート搬送路3におけるシート搬送方向と呼ぶ。シート搬入口2は、第1シート搬送路3のシート搬送方向の上流端に位置する。第1シート搬送路3は、複数の搬送ローラー対3rを有し、シート搬入口2からシート後処理装置1内に搬入されたシートを、シート搬送方向の下流側に向けて搬送する。
【0018】
第1シート排出部4は、シート後処理装置1の、画像形成装置200と対向する側面に対して反対側の側面に設けられる。第1シート排出部4は、第1シート搬送路3のシート搬送方向下流端に配置される。第1シート排出部4は、第1排出口41と、第1排出ローラー対42と、第1排出トレイ43と、を有する。
【0019】
第1排出口41は、第1シート搬送路3のシート搬送方向の下流端に位置する。第1排出ローラー対42は、第1排出口41に配置される。第1排出トレイ43は、第1排出口41のシート搬送方向の下流側に位置する。第1シート搬送路3を搬送され、第1排出口41に到達したシートは、第1排出ローラー対42によって、第1排出口41を通過して第1排出トレイ43上に排出される。第1排出トレイ43は、シート後処理装置1によって後処理が施されたシートの最終的な排出場所の1つである。また、第1排出トレイ43には、後処理が施されないシートや小サイズのシート等も排出される。
【0020】
第2シート搬送路5は、第1シート搬送路3上の第1分岐部(分岐部)31から分岐して第2シート排出部6まで、画像形成装置200から離れる方向(
図2における左方向)に横方向に、且つ上方向に延びる。第1分岐部31は、第1シート搬送路3におけるシート搬送方向に対して穿孔部91の下流側に配置される。なお、第1分岐部31から第2シート排出部6に向かう方向を、第2シート搬送路5におけるシート搬送方向と呼ぶ。第1分岐部31は、第2シート搬送路5のシート搬送方向の上流端に位置する。第2シート搬送路5は、複数の搬送ローラー対5rを有し、第1シート搬送路3を搬送されるシートを第1分岐部31において分岐させて第2シート排出部6に向けて搬送する。
【0021】
第1分岐部31は、第1切替ガイド311を有する。第1切替ガイド311は、シート搬入口2側から第1シート搬送路3上を搬送されるシートを、第1シート搬送路3に沿って第1排出口41に導く第1位置(
図5の破線P1)と、第1シート搬送路3から分岐させて第2シート搬送路5に導く第2位置(
図5の実線P2)と、に回動する。さらに、第1切替ガイド311は、折り処理が施されて後述する第2折り搬送路106を通過したシートを第2シート搬送路5に導く第3位置(
図5の破線P3)に回動する。第1切替ガイド311は、駆動機構(不図示)に接続され、後処理制御部10によってその動作が制御される。
【0022】
第2シート排出部6は、シート後処理装置1の、画像形成装置200と対向する側面に対して反対側の側面であって、第1シート排出部4の上方に設けられる。第2シート排出部6は、第2シート搬送路5のシート搬送方向下流端に配置される。第2シート排出部6は、第2排出口61と、第2排出ローラー対62と、第2排出トレイ63と、を有する。
【0023】
第2排出口61は、第2シート搬送路5のシート搬送方向の下流端に位置する。第2排出ローラー対62は、第2排出口61に配置される。第2排出トレイ63は、第2排出口61のシート搬送方向の下流側に位置する。第2シート搬送路5を搬送され、第2排出口61に到達したシートは、第2排出ローラー対62によって、第2排出口61を通過して第2排出トレイ63上に排出される。第2排出トレイ63は、シート後処理装置1によって後処理が施されたシートの最終的な排出場所の1つである。
【0024】
第3シート搬送路7は、第1シート搬送路3上の第2分岐部32から分岐して第3シート排出部8まで、下方向に延びる。なお、第2分岐部32から第3シート排出部8に向かう方向を、第3シート搬送路7におけるシート搬送方向と呼ぶ。第2分岐部32は、第1シート搬送路3のシート搬送方向に対し第1分岐部31の下流側に位置し、第3シート搬送路7のシート搬送方向の上流端に位置する。第3シート搬送路7は、複数の搬送ローラー対7rを有し、第1シート搬送路3を搬送されるシートを第2分岐部32において分岐させて第3シート排出部8に向けて搬送する。
【0025】
第2分岐部32は、第2切替ガイド321を有する。第2切替ガイド321は、シート搬入口2側から第1シート搬送路3上を搬送されるシートを、第1シート搬送路3に沿って第1排出口41に導く第1位置(
図5参照)と、シート搬入口2側から第1シート搬送路3上を搬送されて第2分岐部32を通過した後、スイッチバックされたシートを第3シート搬送路7に導く第2位置(不図示)と、に回動する。第2切替ガイド321は、駆動機構(不図示)に接続され、後処理制御部10によってその動作が制御される。
【0026】
第3シート排出部8は、シート後処理装置1の、画像形成装置200と対向する側面に対して反対側の側面であって、第1シート排出部4の下方(シート後処理装置1の下端部付近)に設けられる。第3シート排出部8は、第3排出口81と、第3排出ローラー対82と、第3排出トレイ83と、を有する。
【0027】
第3排出口81は、第3シート搬送路7のシート搬送方向の下流端に位置する。第3排出ローラー対82は、第3排出口81に配置される。第3排出トレイ83は、第3排出口81のシート搬送方向の下流側に位置する。第3シート搬送路7を搬送され、第3排出口81に到達したシートは、第3排出ローラー対82によって、第3排出口81を通過して第3排出トレイ83上に排出される。第3排出トレイ83は、シート後処理装置1によって後処理が施されたシートの最終的な排出場所の1つである。
【0028】
後処理部9は、画像形成装置200によって画像形成され、シート後処理装置1内に搬入されたシートに対して所定の後処理を施す。後処理部9は、穿孔部91と、ステープル部92と、シート折りユニット100と、製本部94と、を含む。
【0029】
穿孔部91は、第1シート搬送路3の、シート搬入口2の下流側直近に配置される。穿孔部91は、第1シート搬送路3上を搬送されるシートに対して穿孔処理を施し、パンチ穴を形成する。
【0030】
ステープル部92は、第1シート搬送路3のシート搬送方向に対し、第1シート排出部4の上流側直近に配置される。ステープル部92は、複数枚のシートをスタックして形成したシート束に対してステープル処理(綴じ処理)を施し、シート束を綴じる。
【0031】
シート折りユニット100は、第1シート搬送路3のシート搬送方向に対し、穿孔部91より下流側であって、ステープル部92より上流側に配置される。言い換えれば、シート折りユニット100は、第1シート搬送路3のシート搬送方向に対し、第1分岐部31よりも上流側に位置する。シート折りユニット100は、1枚のシートに対して折り処理を施し、折り目を形成する。
【0032】
シート折りユニット100は、1枚のシートに対し、例えば2つ折り、Z折り、外三つ折り、内三つ折り等の折り処理を施すことができる。シート折りユニット100の詳細な構成については後述する。
【0033】
図3(a)~
図3(c)は、それぞれZ折り処理、外三つ折り処理、および内三つ折り処理されたシートSの側面図である。
【0034】
Z折りは、例えば
図3(a)に示すように、第1シート搬送路3のシート搬送方向におけるシートSの下流側を、シート搬送方向と直交するシート幅方向から見てZ字形状とする折り方である。Z折りにおいて、シートSの、第1折り目F1よりも第1シート搬送路3における下流側の下流部Sdと、第2折り目F2よりも上流側の上流部Suとは、2つの折り目の間の中間部Scを隔てて上下方向に対向する。シート搬送方向において、シートSの下流部Sdおよび中間部Scの長さは、略同じであり、上流部Suの長さよりも短い。
【0035】
外三つ折りは、例えば
図3(b)に示すように、シートSの全体を、シート幅方向から見てZ字形状とする折り方である。外三つ折りにおいて、シートSの、第1折り目F1よりも第1シート搬送路3における下流側の下流部Sdと、第2折り目F2よりも上流側の上流部Suとは、2つの折り目の間の中間部Scを隔てて上下方向に対向する。シート搬送方向において、シートSの下流部Sd、中間部Scおよび上流部Suの長さは、略同じである。
【0036】
内三つ折りは、例えば
図3(c)に示すように、第1シート搬送路3のシート搬送方向における、シートSの第1折り目F1よりも上流側の上流部Suと、第2折り目F2よりも下流側の下流部Sdとが、2つの折り目の間の中間部Scの平面の一方側(
図3(c)では上側)において上下方向に対向して面接触する。
【0037】
製本部94は、第3シート搬送路7のシート搬送方向に対し、第3シート排出部8の上流側直近に配置される。製本部94は、中折り部941と、中綴じ部942と、を有する。製本部94は、複数枚のシートをスタックして形成したシート束に対し、シート搬送方向の略中央部を折り曲げて綴じる中折り処理および中綴じ処理を施し、冊子を形成する。
【0038】
後処理制御部10は、CPU、記憶部、並びにその他の電子回路および電子部品(いずれも不図示)を含む。後処理制御部10は、画像形成装置200(
図1参照)の本体制御部と通信可能に接続される。後処理制御部10は、本体制御部から指令を受け、CPUを用いて記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、シート後処理装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してシート後処理装置1の機能に係る処理を行う。第1シート搬送路3、第1シート排出部4、第2シート搬送路5、第2シート排出部6、第3シート搬送路7、第3シート排出部8、および後処理部9のそれぞれは、後処理制御部10から個別に指令を受け、連動してシートに後処理を施す。なお、後処理制御部(制御部)10の機能は、画像形成装置200の本体制御部が兼ねることにしてもよい。
【0039】
続いて、シート折りユニット100の構成について、
図4および
図5を用いて説明する。
図4は、
図2のシート後処理装置1におけるシート折りユニット100周辺を示す部分断面図である。
図5は、
図4のシート折りユニット100周辺を示す断面図である。シート折りユニット100は、第1折り部101と、第1折り搬送路102と、第1折りローラー対103と、第1折りガイド104と、第2折り部105と、第2折り搬送路106と、第2折りローラー対107と、第2折りガイド108と、を備える。
【0040】
また、第1シート搬送路3に沿ってシート折りユニット100の2箇所に搬送ローラー対3rが配置されている。以下、シート折りユニット100の2箇所に配置される搬送ローラー対3rのうち、第2ローラー112と搬送ローラー114とで構成される上流側の搬送ローラー対3rを第1アシストローラー対3r1、下流側の搬送ローラー対3rを第2アシストローラー対3r2とする。
【0041】
第1折り部101は、第1シート搬送路3上に配置される。詳細に言えば、第1折り部101は、第1シート搬送路3上のシート搬送方向に対し、穿孔部91(
図2参照)よりも下流側であって、第1分岐部31よりも上流側に位置する。
【0042】
第1折り搬送路102は、第1シート搬送路3上の第1折り部101から分岐して下方に向かって延びる。本実施形態において、第1折り搬送路102は、第1折り部101から略垂直に下方に向かって延びる。第1折り搬送路102の下端部は第3シート搬送路7に接続する。
【0043】
第1折りローラー対103は、第1折り部101において第1折り搬送路102上に配置される。第1折りローラー対103は、第1折り搬送路102を挟んで一方側に配置される第1ローラー111および他方側に配置される第2ローラー112によって構成される。第1折りローラー対103は、第1ローラー111および第2ローラー112の一方が他方に向かって付勢されて接触することにより、第1折りニップ部N1を形成する。第1折り搬送路102に進入したシートは、、第1折りニップ部N1を通過し、第1折りローラー対103の下側に向かって搬送される。
【0044】
なお、第2ローラー112は、搬送ローラー114と共に第1アシストローラー対3r1を構成する。
【0045】
第1折りガイド104は、第1折り部101において第1折りニップ部N1と対向配置される。詳細に言えば、第1折りガイド104は、第1折り搬送路102のシート搬送方向に対し第1折りニップ部N1の上流側(
図4の上側)に配置される。シートに折り処理を施さない場合、第1折りガイド104は、第1シート搬送路3よりも第1折りニップ部N1から離れる方向、即ち
図4において第1シート搬送路3よりも上側に退避する。これにより、第1シート搬送路3を通過するシートは、第1折りガイド104に接触しない。
【0046】
第1折りガイド104は、ガイド駆動機構(図示せず)に接続され、第1折りニップ部N1に対して接近、離間する方向に往復移動が可能である。第1折りガイド104は、第1シート搬送路3上を搬送されるシートを第1折りニップ部N1に導く。
【0047】
第2折り部105は、第1折り搬送路102上に配置される。詳細に言えば、第2折り部105は、第1折り搬送路102のシート搬送方向に対し第1折りローラー対103よりも下流側であって、第1折りニップ部N1よりも下側に位置する。
【0048】
第2折り搬送路106は、第1折り搬送路102上の第2折り部105から分岐して延びる。第2折り搬送路106は、第2折り部105から第1シート排出部4が設けられたシート後処理装置1の側面側(
図4の左側)に向かって延びる。言い換えれば、第2折り搬送路106は、第1シート搬送路3の延在方向と略同じ方向に延びる。
【0049】
第1シート搬送路3は、第1分岐部31よりもシート搬送方向下流側に位置する合流部33を備える。第2折り搬送路106は、合流部33において第1シート搬送路3に合流する。言い換えれば、合流部33は、第1シート搬送路3のシート搬送方向に対し第1分岐部31よりも下流側に位置し、シート折りユニット100で折り処理が施されたシートが合流する。
【0050】
本実施形態では、合流部33は、第1切替ガイド311の近傍に位置する。第1切替ガイド311は、第1位置P1、第2位置P2、および第3位置P3(いずれも
図5参照)、に切り替え可能である。第1位置P1に配置された第1切替ガイド311は、シート搬入口2側から第1シート搬送路3上を搬送されるシートを第1排出口41に導く。第2位置P2に配置された第1切替ガイド311は、第1シート搬送路3上を搬送されるシートを第2シート搬送路5に導く。第3位置P3に配置された第1切替ガイド311は、第2折り搬送路106上を搬送される折り処理されたシートを、第2シート搬送路5を介して第2排出口61に導く。
【0051】
第2折りローラー対107は、第2折り部105において第2折り搬送路106上に配置される。第2折りローラー対107は、第2折り搬送路105を挟んで一方側に配置される第1ローラー111および他方側に配置される第3ローラー113によって構成される。第2折りローラー対107は、第1ローラー111および第3ローラー113の一方が他方に向かって付勢されて接触することにより、第2折りニップ部N2を形成する。第2折り搬送路106に進入したシートは、第2折りニップ部N2を通過し、合流部33側(
図4における第2折りローラー対107の左側)に向かって搬送される。
【0052】
第2折りガイド108は、第2折り部105において第2折りニップ部N2と対向配置される。詳細に言えば、第2折りガイド108は、第2折り搬送路106のシート搬送方向に対し第2折りニップ部N2の上流側(
図4の右側)に配置される。シートに折り処理を施さない場合、第2折りガイド108は、第1折り搬送路102よりも第2折りニップ部N2から離れる方向、即ち
図4において第1折り搬送路102よりも右側に退避する。これにより、第1折り搬送路102を通過するシートは、第2折りガイド108に接触しない。
【0053】
第2折りガイド108は、駆動機構(不図示)に接続され、第2折りニップ部N2に対して接近、離間する方向に往復移動が可能である。第2折りガイド108は、第1折り搬送路102上を搬送されるシートを第2折りニップ部N2に導く。
【0054】
続いて、シート折りユニット100の動作について、
図5、
図6を用いて説明する。シート折りユニット100の動作については、一例としてシートを
図3(c)に示した内三つ折りとする内三つ折り処理について説明する。
図5および
図6は、
図4のシート折りユニット100周辺を示す断面図であって、シートSの内三つ折り処理の推移の初期段階および最終段階を示す図である。
【0055】
図5に示すように、シート搬入口2(
図2参照)から第1シート搬送路3に搬入されたシートSは、シート搬送方向下流部が第1分岐部31から第2シート搬送路5に導かれる。第1分岐部31の第1切替ガイド311は、シート搬入口2側から第1シート搬送路3上を搬送されるシートSを第2シート搬送路5に導く第2位置P2に位置している。
【0056】
なお、第1折り部101において、第1折りガイド104は、第1シート搬送路3よりも第1折りニップ部N1から離れる方向、即ち
図5において第1シート搬送路3よりも上側に退避した位置(退避位置)に配置されている。
【0057】
シートSの第1折り目F1(
図3(c)参照)に対応する箇所が第1折り部101に到達すると、第2アシストローラー対3r2、第1アシストローラー対3r1、および第2シート搬送路5の各搬送ローラー対5rの回転が停止され、シートSの搬送が停止される。
【0058】
第1アシストローラー対3r1を停止させた状態で、第2アシストローラー対3r2、および第2シート搬送路5の各搬送ローラー対5rを逆回転することにより、シートSの第1アシストローラー対3r1よりも下流側の部分が上流側(
図5の右側)に移動し、第1折り部101においてシートSに撓みが生じる。その後、第1折りガイド104の、退避位置から第1折りニップ部N1に接近する方向への移動を開始する。
【0059】
第2アシストローラー対3r2をさらに逆回転させるとともに、第1折りガイド104を、シートSを介して第1折りニップ部N1に接触する位置(折り位置)まで移動させる。第1折りガイド104が退避位置から折り位置に移動することで、シートSの撓み部分が第1折りニップ部N1に案内される。このように、シートSに撓みを形成した後に第1折りガイド104を折り位置に移動させることで、シートSに対し第1折りガイド104による過剰な負荷が作用せず、シートSのシワや破断の発生を抑制することができる。第1折りニップ部N1を通過したシートSには、第1折り目F1が形成される。
【0060】
なお、シートSに第1折り目F1を形成するタイミングは、シート検知センサー(不図示)によるシートSの第1シート搬送路3におけるシート搬送方向下流端の検知タイミングと、シートSのシート搬送方向の全長と、シートSの搬送速度と、に基づいて決定される。後述する第2折り目F2を形成するタイミングについても同様である。
【0061】
また、第2折り部105において、第2折りガイド108は、第1折り搬送路102よりも第2折りニップ部N2から離れる方向(
図5において第1折り搬送路102よりも右側)に退避している。
【0062】
第1折りニップ部N1を通過したシートSは、第1折り目F1の箇所を先頭に、シート搬送方向に沿って延びる2つの領域が重なった状態で、第1折り搬送路102を第1折りローラー対103から離れる方向(下方向)に搬送される。第1折り搬送路102を通過したシートSの搬送方向上流部は、第3シート搬送路7に一時的に進入する。
【0063】
シートSの第2折り目F2(
図3(c)参照)に対応する箇所が第2折り部105に到達すると、第2アシストローラー対3r2、第1アシストローラー対3r1、第2シート搬送路5の各搬送ローラー対5r、第1折りローラー対103、および第3シート搬送路7の各搬送ローラー対7rの回転が停止され、シートSの搬送が停止される。
【0064】
シートSの搬送を停止した後、第3シート搬送路7の各搬送ローラー対7rを逆回転させることにより、シートSの、第2折り部105よりもシート搬送方向下流側(
図5の第2折り部105よりも下側)の部分が上流側(
図5の上側)に移動し、第2折り部105の箇所においてシートSに撓みが生じる。
【0065】
続いて、第2折りガイド108が第2折りニップ部N2に接近する方向に移動し、シートSに接触する。第2折りガイド108が接触することで、シートSの撓み部分は、第2折りローラー対107の第2折りニップ部N2に案内される。そして、第2折りニップ部N2を通過したシートSには、第2折り目F2が形成される(
図6参照)。
【0066】
図6に示すように、第2折りニップ部N2を通過したシートSは、第2折り目F2の箇所を先頭に、シート搬送方向に沿って延びる3つの領域が重なった状態で、第2折り搬送路106を第2折りローラー対107から離れる方向に搬送される。第2折り搬送路106を通過したシートSの搬送方向上流部は、合流部33に進入する。このとき、合流部33では、第3位置P3に配置された第1切替ガイド311によって、シートSは第2シート搬送路5に案内され、第2排出口61を通過して第2シート排出部6(
図2参照)に排出される。
【0067】
後処理制御部10は、シート折りユニット100でシートSに折り処理を施す場合に、シート搬入口2から第1シート搬送路3に搬入されたシートSのシート搬送方向下流部を第1分岐部31から第2シート搬送路5に導いた後に、シートSの搬送方向を反転させてシートSをシート折りユニット100に導き、シートSに折り処理を施す。さらに、後処理制御部10は、折り処理が施されたシートSを合流部33において第2シート搬送路5へ合流させる。
【0068】
以上、シートSの内三つ折り処理について説明したが、シートSを
図3(a)に示したZ折りとするZ折り処理、
図3(b)に示した外三つ折りとするとする外三つ折り処理についても、シートSに第1折り目F1、第2折り目F2を形成するタイミングを変更することにより、
図5、
図6に示した手順で全く同様に行うことができる。
【0069】
図7は、シート折りユニット100周辺を示す断面図であって、シートSの二つ折り処理の初期段階を示す図である。シートSを二つ折りする場合は、第1折りガイド104を折り位置に配置した状態でシートSをシート折りユニット100に搬入する。これにより、シートSの先端が第1折りガイド104および第2ローラー112に沿って第1折りニップ部N1に案内される。次に、シートSの中央が第2折りローラー対107の第2折りニップ部N2に対向する位置で停止させる。この状態で、第2折りガイド108を第2折りニップ部N2に接近する方向に移動してシートSに接触させることで、シートSの中央が第2折りローラー対107の第2折りニップ部N2に案内される。これにより、第2折りニップ部N2を通過したシートSに折り目が形成され、二つ折り処理が行われる。二つ折りされたシートSは、第3位置P3に配置された第1切替ガイド311によって第2シート搬送路5に案内され、第2排出口61を通過して第2シート排出部6(
図2参照)に排出される。
【0070】
図8は、シート後処理装置1の第2シート排出部6周辺の側面断面図である。
図9は、第2シート排出部6周辺を上方から見た斜視図である。第2シート排出部6は、第2排出ローラー対62と、第2排出トレイ63と、第1シート押さえ部材65と、第2シート押さえ部材67とを備える。
【0071】
第2排出トレイ63は、シート折りユニット100で折り処理が施されて第2排出口61より排出されるシート(以下、折りシートという)が積載されるトレイ上面63aと、トレイ上面63aの排出方向上流側の端部から立ち上がる後壁部63bとを有する。
【0072】
第1シート押さえ部材65は、一端部(基端部)が排出ローラー対62の上方に固定されており、他端部(先端部65a)が第2排出ローラー対62の下方まで延びている。第1シート押さえ部材65は、第2排出口61より排出される折りシートに接触し、第2排出トレイ63のトレイ上面63aに積載された折りシートの排出方向上流側端部~中央部付近を押さえる。
【0073】
第1シート押さえ部材65は、弾性変形可能なシート状の部材である。トレイ上面63aに積載された折りシートの積載枚数に応じて第1シート押さえ部材65が撓み変形することで、折りシートを押さえる箇所が変化する。第1シート押さえ部材65の材質としては、例えば厚み0.2~0.3mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが挙げられる。
【0074】
第1シート押さえ部材65は、自重によりシート排出方向(
図8の右から左方向)に沿って揺動可能な板状部材で構成されていてもよい。この場合、トレイ上面63aに積載された折りシートの積載枚数に応じて第1シート押さえ部材65が揺動することで、折りシートを押さえる箇所が変化する。
【0075】
第2シート押さえ部材67は、第2排出トレイ63のトレイ上面63aに排出されて積載された折りシートの排出方向下流側の折り目部分~中央部付近を押さえる。第2シート押さえ部材67は、第1シート押さえ部材65よりも排出方向下流側に設けられた回転支点67aに揺動可能に支持されている。第2シート押さえ部材67は、トレイ上面63aに積載された折りシートの積載枚数に応じてシートの排出方向下流側(
図8の時計回り方向)または上流側(
図8の反時計回り方向)へ揺動することで、第2排出口61から第2排出トレイ63への折りシートの排出を遮ることなく、トレイ上面63aに積載された折りシートの折り目付近を押さえる。
【0076】
第1シート押さえ部材65と第2シート押さえ部材67は、保持部材68に保持されている。保持部材68は、第2シート排出部6に対して着脱可能である。第1シート押さえ部材65と第2シート押さえ部材67は、第2シート排出部6に対して保持部材68と共に一体的に着脱可能である。
【0077】
第2シート排出部6は、満杯検知センサー69を備える。満杯検知センサー69は、第2排出トレイ63の後壁面63aの内側(排出方向上流側)であって、第2排出ローラー対62の直下付近に配置され、トレイ上面63aに積載された折りシートの満杯状態を検知する。満杯検知センサー69は、排出方向と直交する幅方向の検知位置において、高さ方向に所定の幅を持った検知領域R(
図10参照)を有する。
【0078】
満杯検知センサー69は、発光部と受光部を有する検知部を備えた反射型のPI(フォトインタラプター)センサーである。トレイ上面63aに積載された折りシートの積載量が一定枚数(例えば30枚)以上になると、折りシートの積載面(上面)が満杯検知センサー69の検知領域Rにかかる。この状態で、満杯検知センサー69の検知部が折りシートからの反射光を検知可能となり、トレイ上面63aに積載された折りシートの満杯状態を検知する。
【0079】
図10は、トレイ上面63aに積載される折りシートのサイズと第1シート押さえ部材65および第2シート押さえ部材67の押さえ位置との関係を示す図である。本実施形態では、S1~S5の5種類の折りシートが第2排出口61より第2排出トレイ63に排出されて積載される。
【0080】
折りシートS1は、A4Rサイズのシートを内三つ折り(
図3(c)参照)したものである。折りシートS1の排出方向のサイズL1は102mmである。折りシートS2は、A3サイズのシートを内三つ折りしたものである。折りシートS2の排出方向のサイズL2は140mmである。
【0081】
折りシートS3は、A4サイズのシートをZ折り(
図3(a)参照)したものである。折りシートS3の排出方向のサイズL3は148.5mmである。折りシートS4は、A3サイズのシートをZ折りしたものである。折りシートS4の排出方向のサイズL4は210mmである。折りシートS5は、13インチサイズのシートを二つ折りしたものである。折りシートS5の排出方向のサイズL5は241.3mmである。
【0082】
第1シート押さえ部材65は、満杯検知センサー69の検知領域Rにかかる折りシートの後端部を押さえることで、第2排出トレイ63の折りシートの積載量を確保する。第1シート押さえ部材65は、第2排出トレイ63のトレイ上面63aに積載される最小サイズの折りシートS1の排出方向中央部から後壁面63aまでの範囲(後壁面63aから50mmの範囲)の任意の位置を押さえる。また、第1シート押さえ部材65は、先端部65aが満杯検知センサー69の検知領域R(
図10の三角形の内側)の下限よりも下方に突出した押さえ位置で折りシートS1の膨らみを押さえる。トレイ上面63aに積載される折りシートS1~S5の積載枚数が所定枚数を超えると、第1シート押さえ部材65が押さえ位置から退避して折りシートS1~S5の積載面の上昇を許容する。
【0083】
これにより、後端側の膨らみが大きくなる三つ折りされた折りシートS1、S2の後端部付近を第1シート押さえ部材65によって確実に押さえることができる。従って、折りシートS1、S2の後端側の膨らみによる満杯検知センサー69の誤検知を回避して第2排出トレイ63の折りシートS1、S2の積載量を確保することができる。また、折りシートS1~S5の後端付近を押さえることで、折りシートS1~S5の後端部が第2排出口61を塞ぐことによる折りシートの潜り込みの発生が抑制される。その結果、折りシートS1~S5の積載性を向上することができる。
【0084】
なお、第1シート押さえ部材65との衝突負荷によって、第2排出口61から排出される折りシートS1~S5に丸まりやジャムが発生するおそれがある。そこで、第1シート押さえ部材65に外力を加えない状態における、第1シート押さえ部材65と第2排出口61から排出される折りシートS1~S5との衝突角度θ1を85°以下とすることが好ましい。
【0085】
第2シート押さえ部材67は、トレイ上面63aに積載される折りシートS1~S5の先端部の折り目付近を押さえることで、トレイ上面63aの折りシートS1~S5の積載量を確保する。第2シート押さえ部材67の先端部67bは、トレイ上面63aに積載される最大サイズの折りシートS5の排出方向中央部から、最小サイズの折りシートS1の排出方向先端側の折り目部分までの範囲(後壁面63aから100~140mmの範囲)の任意の位置を押さえる。また、第2シート押さえ部材67は、先端部67aが満杯検知センサー69の検知領域Rの下限よりも下方に突出した押さえ位置で、折りシートS1~S5の膨らみを押さえる。折りシートS1~S5の積載枚数が所定枚数を超えると、第2シート押さえ部材67が押さえ位置から退避して折りシートS1~S5の積載面の上昇を許容する。
【0086】
これにより、先端側の膨らみが大きくなるZ折りされた折りシートS3、S4の折り目付近を第2シート押さえ部材67によって確実に押さえることができる。従って、折りシートS3、S4の先端側の膨らみによる満杯検知センサー69の誤検知を回避して第2排出トレイ63の折りシートS3~S5の積載量を確保することができる。また、既に第2排出トレイ63に積載された折りシートS1~S5の排出方向中央部~先端部を押さえることで、後続の折りシートS1~S5による押し出しが抑制されるため、折りシートS1~S5の排出方向および幅方向の整合性を向上することができる。
【0087】
ここで、第2シート押さえ部材67の先端部67bが折りシートS3、S4の折り目付近を押さえるように第2シート押さえ部材67を配置すると、第2シート押さえ部材67の先端部67bは最小サイズの折りシートS1の先端側の折り目部分を押さえることができない。そこで、第2シート押さえ部材67の下面に、先端部67bからトレイ上面63aに近づく方向に傾斜する傾斜面67cを形成している。これにより、トレイ上面63aに折りシートS1が複数枚積載された状態で、第2シート押さえ部材67の傾斜面67cが折りシートS1の先端側の折り目部分に接触する。その結果、折りシートS1の先端側の膨らみを抑制することができる。
【0088】
なお、第2シート押さえ部材67との衝突負荷によって、第2排出口61から排出される折りシートに丸まりやジャムが発生するおそれがある。そこで、第2シート押さえ部材67の先端部67bが第2排出トレイ63に接触した姿勢(
図10の破線位置)における、第2シート押さえ部材67と第2排出口61から排出される折りシートS1~S5との衝突角度θ2を40°以下とすることが好ましい。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、シート折りユニット100が第1ローラー111~第3ローラー113の3本のローラーで構成される第1折りローラー対103、第2折りローラー対107を備える例について示したが、本発明はこれに限らず、シート折りユニット100が第1ローラー111と第2ローラー112からなる第1折りローラー対103のみを備える構成であってもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、シート折りユニット100によって折り処理が施されたシートを第2シート排出部6に排出する構成としたが、折り処理が施されたシートを第1シート排出部4に排出する構成としてもよい。その場合、第1シート押さえ部材65および第2シート押さえ部材67を第1シート排出部4に配置すればよい。
【0091】
また、上記実施形態では、本発明のシート排出装置として、シートに折り処理を施すシート折りユニット100を備えたシート後処理装置1の第2シート排出部6を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、シート後処理装置1がシート折りユニット100を備えておらず、別体のシート折り装置によって折り処理が施された折りシートが搬入されるシート後処理装置1のシート排出部にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、シートに折り目を形成する折り処理を施されたシートを排出するシート排出装置、およびシート排出装置を備えたシート後処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 シート後処理装置
2 シート搬入口
3 第1シート搬送路
3r 搬送ローラー対
3r1 第1アシストローラー対
3r2 第2アシストローラー対
4 第1シート排出部
5 第2シート搬送路
6 第2シート排出部(シート排出装置)
61 第2排出口
62 第2排出ローラー対(排出ローラー対)
63 第2排出トレイ(シート排出トレイ)
63a トレイ上面
63b 後壁部
65 第1シート押さえ部材
67 第2シート押さえ部材
68 保持部材
69 満杯検知センサー
10 後処理制御部
100 シート折りユニット
S シート
S1~S5 折りシート