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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141534
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】焚火装置および焚火台
(51)【国際特許分類】
   F24B 1/18 20060101AFI20230928BHJP
   F24C 1/16 20210101ALI20230928BHJP
【FI】
F24B1/18 E
F24C1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047903
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(71)【出願人】
【識別番号】515214693
【氏名又は名称】株式会社UACJ鋳鍛
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嵐田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】高谷 謙斗
(72)【発明者】
【氏名】枝 義弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晴也
(57)【要約】
【課題】燃焼容器が高温になりにくい焚火装置を提供する。
【解決手段】焚火装置は、筒状の燃焼容器の鉛直方向に貫通する燃焼空間内において燃料を燃焼させる。平面視において放射状に配置された複数の金属板を備え、前記燃焼容器を上方に載置可能な焚火台と、を備え、前記複数の金属板の隙間を介して、前記燃焼空間が外部空間と連通する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に貫通する燃焼空間内において燃料を燃焼させる筒状の燃焼容器を備えた焚火装置であって、
平面視において前記燃焼容器の側面に対して直交する複数の金属板を備え、前記燃焼容器を上方に載置可能な焚火台と、を備え、
前記複数の金属板の間の隙間を介して、前記燃焼空間が外部空間と連通する、
焚火装置。
【請求項2】
前記燃焼容器は、筒状の内側面と、筒状の外側面と、前記内側面と前記外側面の下部を接続する底面と、前記外側面に設けられた蛇口部と、
を備える請求項1に記載の焚火装置。
【請求項3】
前記複数の金属板は、前記燃焼空間から落下する灰を受ける灰受容器によって連結されている、
請求項1に記載の焚火装置。
【請求項4】
前記燃焼容器と前記焚火台は、アルミニウム合金によって形成される、
請求項1に記載の焚火装置。
【請求項5】
前記外側面には温度によって色が変化する温度表示部が設けられる、
請求項2に記載の焚火装置。
【請求項6】
前記内側面の上端と前記外側面の上端との間を閉鎖する蓋部材が設けられ、
前記蓋部材には、平面視において前記内側面よりも内側の位置から前記外側面よりも外側の位置まで伸びる柱状の支持部が備えられ、前記支持部の下面には平面視において前記外側面よりも内側の位置から外側の位置まで伸びる通気溝が形成される
請求項2に記載の焚火装置。
【請求項7】
鉛直方向に貫通する燃焼空間内において燃料を燃焼させる筒状の燃焼容器を備えた焚火装置であって、
平面視において放射状に配置された複数の金属板を備え、前記燃焼容器を上方に載置可能な焚火台と、を備え、
前記複数の金属板の間の隙間を介して、前記燃焼空間が外部空間と連通する、
焚火装置。
【請求項8】
鉛直方向に貫通する燃焼空間内において燃料を燃焼させる筒状の燃焼容器を載置可能な焚火台であって、
平面視において前記燃焼容器の側面に対して直交する複数の金属板を備え、
前記複数の金属板の間の隙間を介して、前記燃焼空間が外部空間と連通する、
焚火台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焚火装置および焚火台に関する。
【背景技術】
【0002】
コンロ本体の外周面に複数の縦長の空気吸入口を等間隔に穿設したバーベキューコンロが知られている(特許文献1、参照)。特許文献1において、煙突効果により空気吸入口から空気を燃焼用空気として流入させることができ、早期に燃料を燃焼させることが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-164135号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、コンロ本体の外周面に複数の縦長の空気吸入口を穿設しただけでは、燃料の燃焼によって生じた熱が伝導できる領域が狭くなるという問題があった。コンロ本体のうちの空気吸入口を除く狭い領域に熱が籠り、コンロ本体が高温になりやすいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記課題にかんがみてなされたものであり、燃焼容器が高温になりにくい焚火装置および焚火台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の焚火装置は、筒状の燃焼容器の鉛直方向に貫通する燃焼空間内において燃料を燃焼させる焚火装置であって、平面視において燃焼容器の側面に対して直交する複数の金属板を備え、燃焼容器を上方に載置可能な焚火台と、を備え、複数の金属板の間の隙間を介して、燃焼空間が外部空間と連通する。本明細書おいて、平面視とは鉛直方向下方に見下ろすことを意味する。
【0007】
以上のように構成した焚火装置は、鉛直方向に貫通する燃焼空間内において燃料を燃焼させることができる。燃焼容器は焚火台の上方に載置されるため、燃焼空間内における燃料の燃焼によって生じた熱は燃焼容器から下方の焚火台に伝導する。焚火台は、平面視において燃焼容器の側面に対して直交する複数の金属板を備えるため、複数の金属板によって外気との接触面積を大きくすることができる。従って、燃焼容器の熱を効率よく焚火台から放熱することができ、熱による燃焼容器の劣化を低減できる。また、焚火台にて放熱ができるため、燃焼容器から焚火台の下部まで到達する熱を低減できる。従って、焚火装置を置く場所の耐熱性の要件を緩和できる。
【0008】
複数の金属板の間の隙間を介して燃焼容器の内側の燃焼空間が外部空間と連通するため、燃焼空間内にて加熱された空気が上昇する際に、いわゆる煙突効果により前記隙間から外気を燃焼空間内に流入させることができる。複数の金属板は、燃焼容器の側面に対して直交するため、流入空気が燃焼容器に向けて流入しようとすることを妨げないとともに、燃焼容器の側面に対して垂直方向に流入空気を整流できる。従って、燃料の燃焼を促進できる。さらに、複数の金属板に沿って流入空気を流すことができるため、複数の金属板から効率よく放熱できる。
【0009】
さらに、複数の金属板の間の隙間を介して燃焼空間が外部空間と連通するため、燃焼容器の内部の炎の明かりを複数の金属板の間の隙間から拡散させることができる。従って、燃焼時における焚火装置の意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、燃焼容器が高温になりにくい焚火装置および焚火台を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の一実施形態の焚火装置を示す斜視図である。
図2図2は本発明の一実施形態の焚火装置を示す斜視図である。
図3図3は本発明の一実施形態の燃焼容器を示す断面図である。
図4図4A図4Bは本発明の一実施形態の蓋部材を示す断面図である。
図5図5は本発明の一実施形態の焚火台を示す斜視図である。
図6図6は本発明の一実施形態の焚火台を示す断面図である。
図7】他の実施形態の焚火台を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を以下の順序で説明する。
(1)焚火装置の構成:
(2)製造方法:
(3)他の実施形態:
【0013】
(1)焚火装置の構成:
図1は、焚火装置1の全体を示す斜視図である。焚火装置1は、筒状の燃焼容器20の鉛直方向に貫通する燃焼空間内において燃料を燃焼させるように構成されている。そのために、焚火装置1は焚火台10と燃焼容器20と蓋部材30とを備える。焚火台10と燃焼容器20と蓋部材30は、いずれもアルミニウム合金によって形成されている。これにより、焚火装置を軽量化することができるとともに、リサイクルを可能とすることができる。
【0014】
焚火台10の上方に燃焼容器20が載置され、燃焼容器20の上方に蓋部材30が載置されている。燃焼容器20は、円筒状に形成されており、その中心軸が鉛直方向となる姿勢で焚火台10上に載置されている。なお、焚火装置1は水平面上に設置することが推奨されるものであり、以下、焚火装置1が水平面上に設置されている状態の方向を基準に各部材の構成について説明する。
【0015】
図2は、蓋部材30を取り外した状態の焚火装置1の斜視図である。図3は、燃焼容器20を鉛直方向に切断した断面図である。図2図3に示すように、燃焼容器20は、筒状の内側面21と、筒状の外側面22と、内側面21と外側面22の下部を接続する底面24と、外側面22に設けられた蛇口部23とを備える。内側面21と外側面22はそれぞれ円筒状に形成されており、平面視において同心円をなす。鉛直方向における内側面21と外側面22の長さは互いに等しい。
【0016】
外側面22の上端から一定の範囲において、側方視正方形状の開口である給水口22aが形成されている。燃焼容器20の外側面22には温度によって色が変化する温度表示部22bが設けられている。例えば、温度表示部22bには熱によって色が変化する塗料である日油技研製のサーモペイント(登録商標)のNo.11が塗布される。燃焼装置20内部に水がある状態では温度表示部22bは低温色の薄緑色の表示がされているが、空焚きの状態になって110℃を超えると明るい青味紫に変色する。この温度表示部22bの色の変化によって燃焼装置20内部の水の有無を確認することができ、空焚きによる燃焼装置の熱変形等を防ぐ事ができる。この塗料は準不可逆性の塗料であり、常温に冷えた時に湿気を加える事で元の薄緑色に戻る。不可逆性の塗料を使用した場合には、温度変化で変色すると色が戻らないため継続使用する事ができず、再塗布する必要がある。なお、この塗料の他にも加熱温度で表示色が変わり、冷えると元の色に変化するシール等もあるため、温度表示部はこの塗料の塗布に限るものではない。
【0017】
以上のように、燃焼容器20の側面を二重構造とし、その下部を底面24によって閉鎖することにより、燃焼容器20の側面内部に水を貯留可能な円筒状の貯水空間Sが形成されている。蛇口部23は、貯水空間Sと外部とを連通する穴を開閉可能な弁(不図示)とレバー23aとを備えている。レバー23aを操作することにより、弁を開閉できる。
【0018】
内側面21は、それぞれ円筒状の肉薄部21a1,21a2と肉厚部21bとによって構成されている。肉薄部21aの厚さは肉厚部21bの厚さよりも薄く、平面視における肉薄部21a1,21a2の内直径Raは肉厚部21bの内直径Rbよりも大きい。肉厚部21bは、燃焼容器20の下端からの高さがH1~H2の範囲に設けられている。
【0019】
図3において、ロストル40を破線で示している。ロストル40は、平面視において円形状の金属製の網または格子である。ロストル40の直径は、肉薄部21a1,21a2の内直径Raよりも小さく、かつ、肉厚部21bの内直径Rbよりも小さい。また、ロストル40の鉛直方向における厚さは、燃焼容器20の下端から肉厚部21bまでの高さH1(下方の肉薄部21a2の高さ)よりも薄い。ロストル40は、網または格子であるため燃焼空間を閉鎖するものではない。
【0020】
以上の構成により、ロストル40を肉厚部21bの上方または肉厚部21bの下方に取り付けることができる。例えば、木炭のように嵩が小さく炎が立ちにくい燃料を使用する場合には、ロストル40を肉厚部21bの上方に取り付けることが好ましい。一方、薪のように嵩が大きく炎が立ちやすい燃料を使用する場合には、ロストル40を肉厚部21bの下方に取り付けることが好ましい。灰や燃えかす(燃焼後の燃料)はロストル40の隙間から下方に落下する。
【0021】
図4A図4Bは、蓋部材30を鉛直方向に切断した断面図である。蓋部材30は平面視において円環状の部材であり、内側面21の上端と外側面22の上端との間を閉鎖する部材である。蓋部材30は、周縁部31a,31bと基部32と給水蓋33と支持部34とを備えている。周縁部31a,31bと基部32は、それぞれ平面視において円環状であり、鉛直方向における周縁部31a,31bの厚みは基部32よりも薄い。
【0022】
基部32は、直径方向において、内側から周縁部31aと接続し、外側から周縁部31bと接続している。内側の周縁部31aの内径は内側面21の上端を構成する肉薄部21aの内直径Raとほぼ同じであり、外側の周縁部31bの外径は外側面22の外径よりも大きい。水平方向における内側の周縁部31aの幅は内側面21の厚さとほぼ同じであり、基部32の幅は内側面21と外側面22との間の間隔(貯水空間Sの厚さ)よりもわずかに狭く形成されている。
【0023】
以上の構成により、内側の周縁部31aが内側面21の上端上に位置し、外側の周縁部31bが外側面22の上端上に位置するようにして、蓋部材30を燃焼容器20上に設置することができる。このとき、水平方向において基部32が内側面21と外側面22の上端に挟み込まれるため、蓋部材30を位置決めすることができる。蓋部材30は、水平方向に回転対称形状であるため、位置決めされた状態のまま蓋部材30を燃焼容器20上にて回転させることができる。
【0024】
外側の周縁部31bの外縁の一部を鉛直下方に延設することにより、側方視正方形状の給水蓋33が形成されている。水平方向における給水蓋33と基部32との間隔は外側面22の厚さよりわずかに大きい。給水蓋33は、側方視において給水口22aよりも大きい形状となっている。以上の構成により、蓋部材30を燃焼容器20上にて回転させることにより、給水口22aを給水蓋33によって開閉させることができる。貯水空間Sの上方を蓋部材30によって閉鎖したまま給水口22aから貯水空間Sに注水できる。注水しない際には給水口22aを閉鎖することにより、貯水空間Sの水の汚染を抑制できる。
【0025】
図1に示すように、蓋部材30は4個の支持部34を有し、平面視における蓋部材30の中心と各支持部34とを結ぶ4本の線分がなす角が直角となる。図4Bは、支持部34を通過する位置で蓋部材30を鉛直方向に切断した断面図である。図4Bに示すように、支持部34は、平面視において内側面21よりも内側の位置から外側面22よりも外側の位置まで伸びる柱状の概略形状を有する。支持部34の下面には平面視において外側面22よりも内側の位置から外側の位置まで伸びる通気溝34aが形成されている。
【0026】
図5は焚火台10の斜視図であり、図6は焚火台10を鉛直方向に切断した断面図である。図5に示すように、焚火台10は、平面視において燃焼容器20の側面に対して直交する複数(32枚)の金属板11を備えている。各金属板11は鉛直方向の板であり、平面視において各金属板11を延長した延長線は一点(中心軸)において交差する。平面視において、隣接する金属板11の延長線同士が中心軸にてなす角はすべて均等(360°/32=11.25°)となっている。以上のように、複数の金属板11は、平面視において全体として放射状に配置されている。
【0027】
また、複数の金属板11は、燃焼空間から落下する灰を受ける灰受容器12によって連結されている。灰受容器12は、底面が閉鎖された円筒状に形成されており、平面視において焚火台10の中央に位置する。複数の金属板11は、側方視において概略矩形状であり、すべて同じ形状となっている。複数の金属板11は、平面視において灰受容器12の外側面から外側に突出するように接続している。
【0028】
各金属板11の上辺11aにおける灰受容器12側の端部を上方に突出させることにより、矩形状の突起11a1が形成されており、突起11a1の外側の側面は、平面視において灰受容器12と同心円の円周上に位置し、当該同心円の半径は燃焼容器20の内側面21の下端を構成する肉薄部21a2の内直径Raよりわずかに小さい。以上の構成により、燃焼容器20の内側面21の下端の内側に金属板11の突起11a1が入り込んだ状態で、燃焼容器20を焚火台10上に位置決めして載置できる。このとき、燃焼容器20と焚火台10の鉛直方向の中心軸は一致する。
【0029】
ここで、鉛直方向における灰受容器12の位置は、金属板11の上辺11aよりも低い位置となっている。従って、金属板11の上辺11aの高さにある燃焼容器20の下端と灰受容器12との間に鉛直方向の隙間が形成される。従って、複数の金属板11の間の隙間を介して、燃焼容器20の内側の燃焼空間が外部空間と連通することとなる。すなわち、複数の金属板11の間に形成された燃焼容器20の側面と直交し、かつ、放射状の隙間を介して燃焼空間が外部空間と連通することとなる。
【0030】
以上のように構成した焚火装置1は、鉛直方向に貫通する燃焼空間内において燃料を燃焼させることができる。燃焼容器20は焚火台の上方に載置されるため、燃焼空間内における燃料の燃焼によって生じた熱は燃焼容器1から下方の焚火台10に伝導する。燃焼容器1と焚火台10はアルミニウム合金で形成されるため、良好な熱伝導を実現できる。焚火台10は、平面視において燃焼容器20の側面に対して直交する複数の金属板11を備えるため、複数の金属板11によって外気との接触面積を大きくすることができる。従って、燃焼容器20の熱を効率よく焚火台10から放熱することができ、熱による燃焼容器20の劣化を低減できる。また、焚火台10にて放熱ができるため、燃焼容器20から焚火台10の下部まで到達する熱を低減できる。従って、焚火装置1を置く場所の耐熱性の要件を緩和できる。
【0031】
複数の金属板11の間の隙間を介して燃焼容器20の内側の燃焼空間が外部空間と連通するため、燃焼空間内にて加熱された空気が上昇する際に、いわゆる煙突効果により前記隙間から外気を燃焼空間内に流入させることができる。複数の金属板11は、燃焼容器20の側面に対して直交するため、流入空気が燃焼容器20に向けて流入しようとすることを妨げないとともに、燃焼容器20の側面に対して垂直方向に流入空気を整流できる。従って、燃料の燃焼を促進できる。さらに、複数の金属板11に沿って流入空気を流すことができるため、複数の金属板11から効率よく放熱できる。
【0032】
さらに、複数の金属板11の間の隙間を介して燃焼空間が外部空間と連通するため、燃焼容器20の内部の炎の明かりを複数の金属板11の間の隙間から拡散させることができる。従って、燃焼時における焚火装置1の意匠性を高めることができる。また、灰受容器12によって複数の金属板11を連結して焚火台11を一体化することができるとともに、灰受容器12によって上方の燃焼空間から落下する灰等を回収できる。
【0033】
また、燃焼容器20の側面内部に水を貯留可能な貯水空間Sが形成されているため、焚火の熱を利用して燃焼容器20内に貯留されている水を加熱する湯沸し機能を備えさせることができる。さらに、外側面22に備えられた蛇口部23からお湯を排出できる。また、燃焼容器20の側面内部に水を貯留することにより、燃焼容器20の温度上昇を抑制することができる。蛇口部23の形状は特に限定されず、例えば市販品と換装可能であってもよい。
【0034】
燃焼容器20に貯留されている水がすべて気化すると、燃焼容器20の外側面の温度が急激に上昇する。そのため、温度表示部22bを視認することにより、燃焼容器20に貯留されている水がすべて気化して空焚きとなっているか否かを認識できる。また、燃焼容器20に貯留されている水の水温が認識可能となるように、低温(室温~100℃)の範囲で色が変化する塗料によって温度表示部20が形成されてもよい。
【0035】
さらに、蓋部材30により、燃焼容器20の舞い上がった灰などが側面内部の貯水空間Sが入る可能性を低減でき、貯水空間Sに貯留された水が汚染される可能性を低減できる。また、蓋部材30は、平面視において内側面21よりも内側の位置から外側面22よりも外側の位置まで伸びる柱状の支持部34を備える。そのため、鍋,フランパン,やかん等の加熱調理器具を燃焼容器20の上方に置いて調理をするための五徳として蓋部材30を機能させることができる。なお、支持部34の有無に拘わらず、平面上の鉄板や焼き網を燃焼容器20の上方に載置して調理を行うことができる。支持部34の下面には平面視において外側面22よりも内側の位置から外側の位置まで伸びる通気溝34aが形成されているため、燃焼容器20の側面内部にて発生した蒸気を外部に放出することができる。なお、支持部34の個数は3個以上であればよく、4個に限定されない。
【0036】
(2)製造方法:
本実施形態において、焚火台10は、全体が鋳造によって製造される。例えば、石膏型を用いた圧力鋳造法(低圧鋳造法,減圧鋳造法,差圧鋳造法)によってアルミニウム合金の溶湯を鋳造することにより焚火台10が製造される。また、鋳造後の焚火台10に対して各種熱処理を行ってもよいし、仕上げのために各種機械加工を行ってもよい。本実施形態において、蓋部材30も焚火台10と同様の方法で製造される。
【0037】
本実施形態において、燃焼容器20の内側面21と外側面22は、予め適切な形状に切断されたアルミニウム合金の圧延板を円筒状に曲げ加工し、端部を溶接することにより製造される。内側面21は、肉薄部21a1,21a2の厚さと燃焼容器20の高さを有する圧延板から製造した円筒の内側に、肉厚部21bと肉薄部21a1,21a2との差分の厚さと肉厚部21bの高さとを有する圧延板から製造した円筒を溶接することにより製造される。燃焼容器20の底面23は、アルミニウム合金の圧延板を円環状に切断加工することにより製造される。そして、底面23の内周と外周とをそれぞれ内側面21と外側面22の下端と溶接することにより、燃焼容器20が製造される。ロストル40は、市販品を用いることができる。
【0038】
以上説明した製造方法は一例に過ぎず、他の手法によって焚火装置1が製造されてもよい。例えば、アルミニウム合金の圧延板から製造された金属板11を灰受容器12と溶接やろう付けによる金属接合によって焚火台10が製造されてもよい。また、燃焼容器20は鋳造によって製造されてもよいし、燃焼容器20の内側面21と外側面22が押出加工によって製造されてもよい。さらに、圧延や押出加工や鍛造によって製造された板材を切削加工することにより、焚火台10や蓋部材30が形成されてもよい。
【0039】
(3)他の実施形態:
上述した焚火装置1は一例に過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で各部の形状や材質等を変更可能である。燃焼容器20は、概略形状が筒状となっていればよく、平面視における断面形状が多角形状であってもよい。燃焼容器20は、内側の燃焼空間が鉛直方向に貫通する状態で焚火台10上に載置されればよく、焚火台10に固定されてもよい。
【0040】
また、燃焼容器20は、一体の部材でなくてもよく、分解・組立可能であってもよい。同様に、焚火台10も分解・組立可能であってもよい。焚火装置1の大きさは、特に限定されず卓上型や据置型等のいずれであってもよい。なお、本発明は、複数の金属板11を備える焚火台10によって実現することができ、焚火台10上に載置する燃焼容器20は必ずしも専用のものでなくてもよい。むろん、燃焼容器20は湯沸し機能を備えていなくてもよいし、温度表示部20が省略されてもよい。
【0041】
焚火台10は、少なくとも複数の金属板11を備えればよく、金属板11の枚数は特に限定されない。基本的に、空気との接触面積を増大させることができるため、金属板11の枚数が多いほど望ましい。例えば、金属板11の枚数は、10枚以上が望ましく、20枚以上がより望ましい。金属板11は、必ずしも鉛直方向の平面板でなくてもよく、鉛直方向から一定の仰角・俯角だけ傾斜した平面であってもよい。
【0042】
複数の金属板11は、必ずしも燃焼容器20の側面に対して直交していなくてもよい。図7は、他の実施形態にかかる焚火台110の平面図である。図7に示すように、全体が放射状となるように複数の金属板111が配置されていればよい。全体が放射状となるように複数の金属板11が配置されていれば、複数の金属板111に沿って燃焼容器20の中央に向けて流入空気を吹き込ませることができる。
【0043】
例えば、平面視において各金属板111と外側面22との垂線とがなす角が一定の傾斜角度(例えば45°以下の任意の角度)となっていてもよい。この傾斜角度が大きくなるほど流入空気の圧力損失が大きくなるため、傾斜角度の設計によって燃料の燃焼しやすさを調整できる。また、使用時に傾斜角度が調整できるように、可動式の金属板111が備えられてもよい。さらに、図7に示すように、金属板111は曲面板であってもよい。
【0044】
必ずしもロストル40の設置高さは2段階でなくてもよく、3段階以上に調整可能であってもよい。また、ロストル40は、必ずしも肉薄部21a1,21a2と肉厚部21bの段差に設置されなくてもよく、ロストル40を一定の高さに保持するための爪やフックが備えられてもよい。
【0045】
全体がアルミニウム合金で形成された焚火装置1を例示したが、焚火装置1の全部または一部がステンレス等の他の金属で形成されてもよい。また、必ずしも複数の金属板11は灰受容器12によって連結されていなくてもよく、互いに連結した複数の金属板11のみによって焚火台10が構成されてもよい。焚火装置1は蓋部材30を備えていなくてもよく、支持部34が省略された蓋部材30を備えてもよい。さらに、外側面22から開口(給水口22a)が省略されてもよく、蓋部材30を外した状態で給水が行われてもよい。また、給水口22aは、ペットボトルやボトル缶等のボトル容器の飲み口が装着可能な開口であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…焚火装置,10…焚火台,11…金属板,12…灰受容器,20…燃焼容器,21…内側面,22…外側面,30…蓋部材,34…支持部,40…ロストル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7