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特開2023-141557支持部材、吊り具およびハンギング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141557
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】支持部材、吊り具およびハンギング装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20230928BHJP
   D06F 57/00 20060101ALI20230928BHJP
   D06F 57/12 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A47G29/00 B
D06F57/00 390
D06F57/12 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047938
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】伊東 栄治
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 智
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA05
3K100AA08
3K100AC01
3K100AE07
3K100AF04
3K100AG01
3K100AH08
3K100AH30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シャフトを揺動自在にしつつ、所定以上の外力が作用するまではシャフトを垂下状態に押さえること。
【解決手段】取付対象面に対しシャフト2を垂下状態で支持するシャフトの支持部材1は、取付対象面に取り付けられ、下方において開口部を有すると共に、当該開口部に向かうに連れて次第に縮径する曲面状の摺動面を有するベース11と、ベースの摺動面と面接触した状態でベースに揺動可能な状態で保持される球面部を有するコネクタ13と、コネクタに取り付けられると共に、シャフトを保持するソケット12と、ベースに設けられ、コネクタを挟んでソケットの反対側からコネクタを下方に向けて付勢する付勢部15と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象面に対しシャフトを垂下状態で支持するシャフトの支持部材であって、
前記取付対象面に取り付けられ、下方において開口部を有すると共に、当該開口部に向かうに連れて次第に縮径する曲面状の摺動面を有するベースと、
前記ベースの前記摺動面と面接触した状態で前記ベースに揺動可能な状態で保持される球面部を有するコネクタと、
前記コネクタに取り付けられると共に、前記シャフトを保持するソケットと、
前記ベースに設けられ、前記コネクタを挟んで前記ソケットの反対側から前記コネクタを下方に向けて付勢する付勢部と、
を備える支持部材。
【請求項2】
前記ベースに設けられ、前記コネクタに接触する押圧部を備え、
前記押圧部は、一方が前記コネクタに接触し、他方が前記付勢部によって前記コネクタに向けて付勢されている、
請求項1に記載の支持部材。
【請求項3】
前記押圧部は、前記コネクタに面接触している、
請求項2に記載の支持部材。
【請求項4】
前記ベースは、前記押圧部を上下方向において摺動自在に保持する第2の摺動面を有する、
請求項3に記載の支持部材。
【請求項5】
前記押圧部、前記コネクタ及び前記シャフトは、前記付勢部の付勢方向に沿って直線上に並んで配置されている、
請求項2から4までのいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項6】
前記付勢部は、コイルバネである、
請求項1から5までのいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項7】
前記コネクタの球面部は、前記付勢部の一部が嵌め込まれる溝を有しており、
前記付勢部が前記溝に嵌まり込んだ状態で前記シャフトが垂下状態にされている、
請求項1に記載の支持部材。
【請求項8】
前記溝は、前記コネクタの球面部の上方に環状に形成されており、
前記付勢部は、環状に形成されている、
請求項7に記載の支持部材。
【請求項9】
前記コネクタの前記球面部は、前記ベースの前記開口部から露出している、
請求項1から8までのいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項10】
前記コネクタの前記球面部の外径は、前記開口部の内径よりも大きい、
請求項9に記載の支持部材。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の支持部材と、
前記支持部材に一端が支持されたシャフトと、を備え、
前記シャフトの他端及び/または中途に、物の引っ掛け用に供される吊り輪部が設けられている、吊り具。
【請求項12】
物の引っ掛け用に供されるハンガーパイプと、
請求項1から10までのいずれか一項に記載の支持部材と、
前記支持部材に一端が支持されたシャフトと、
前記シャフトの他端及び/または中途に、前記ハンガーパイプを略水平に連結して支持する連結部材と、
を備えるハンギング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材、吊り具およびハンギング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、天井等の取付対象面に一端が取り付けられて垂下したシャフトに対し、物干し竿等に代表されるハンガーパイプを略水平に支持するハンギング装置が知られている。
また、取付対象面に取り付けられて垂下したシャフトの先端に環状の吊り輪部を備え、当該吊り輪部にハンガー等の吊掛可能な吊掛対象物を吊り掛けて用いるハンギング装置についても知られている。これらのハンギング装置におけるシャフトの一端は、何らかの支持部材によって取付対象面に取り付けられて支持されている。
【0003】
このとき、取付対象面である天井面に取り付けられている支持部材に対してシャフトが強固に固定されていると、支持部材から垂下しているシャフトに横方向から外力が加わった場合、取付対象面や支持部材に負荷がかかり、支持部材が破損するおそれがある。また、ユーザにおいては、シャフトに対してなるべくぶつからないように避ける等の神経を使う必要がある。
このような状況に鑑みて、取付対象面に固定した状態で取り付けられている支持部材に対し、シャフトを揺動自在に支持する吊掛装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4054772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャフトが揺動自在に支持されている場合、シャフトが揺れて吊掛対象物の吊り掛け作業がしにくかったり、吊り掛けられた吊掛対象物がシャフトと共に揺れて壁等にぶつかるおそれがある。
【0006】
したがって、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、シャフトを揺動自在にしつつ、所定以上の外力が作用するまではシャフトを垂下状態に押さえることができる支持部材、吊り具およびハンギング装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、取付対象面に対しシャフトを垂下状態で支持するシャフトの支持部材であって、前記取付対象面に取り付けられ、下方において開口部を有すると共に、当該開口部に向かうに連れて次第に縮径する曲面状の摺動面を有するベースと、前記ベースの前記摺動面と面接触した状態で前記ベースに揺動可能な状態で保持される球面部を有するコネクタと、前記コネクタに取り付けられると共に、前記シャフトを保持するソケットと、前記ベースに設けられ、前記コネクタを挟んで前記ソケットの反対側から前記コネクタを下方に向けて付勢する付勢部と、を備える。
【0008】
また、前記ベースに設けられ、前記コネクタに接触する押圧部を備え、前記押圧部は、一方が前記コネクタに接触し、他方が前記付勢部によって前記コネクタに向けて付勢されている、ことが好ましい。
【0009】
また、前記押圧部は、前記コネクタに面接触している、ことが好ましい。
【0010】
また、前記ベースは、前記押圧部を上下方向において摺動自在に保持する第2の摺動面を有する、ことが好ましい。
【0011】
また、前記押圧部、前記コネクタ及び前記シャフトは、前記付勢部の付勢方向に沿って直線上に並んで配置されている、ことが好ましい。
【0012】
また、前記付勢部は、コイルバネである、ことが好ましい。
【0013】
また、前記コネクタの球面部は、前記付勢部の一部が嵌め込まれる溝を有しており、前記付勢部が前記溝に嵌まり込んだ状態で前記シャフトが垂下状態にされている、ことが好ましい。
【0014】
また、前記溝は、前記コネクタの球面部の上方に環状に形成されており、前記付勢部は、環状に形成されている、ことが好ましい。
【0015】
また、前記コネクタの前記球面部は、前記ベースの前記開口部から露出している、ことが好ましい。
【0016】
また、前記コネクタの前記球面部の外径は、前記開口部の内径よりも大きい、ことが好ましい。
【0017】
本発明の一態様は、吊り具であって、上記の支持部材と、前記支持部材に一端が支持されたシャフトと、を備え、前記シャフトの他端及び/または中途に、物の引っ掛け用に供される吊り輪部が設けられている。
【0018】
本発明の一態様は、ハンギング装置であって、物の引っ掛け用に供されるハンガーパイプと、上記の支持部材と、前記支持部材に一端が支持されたシャフトと、前記シャフトの他端及び/または中途に、前記ハンガーパイプを略水平に連結して支持する連結部材と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、シャフトを揺動自在にしつつ、所定以上の外力が作用するまではシャフトを垂下状態に押さえることができる
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の構成を示す正面図である。
図2】第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の構成を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図3】第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の部品構成を示す、図2(B)のA-A線で切断したときの縦断面図である。
図4】第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の揺動状態の説明に供する断面図である。
図5】第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材を用いた吊り具の構成を示す正面図である。
図6】第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材を用いた吊り具の中心軸を含む平面による縦断面図である。
図7】第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材を用いたハンギング装置の構成を示す斜視図である。
図8】第2の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の構成を示す正面図である。
図9】第2の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の構成を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図10】第2の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の部品構成を示す、図9(B)のB-B線で切断したときの縦断面図である。
図11】第2の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の揺動状態の説明に供する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の構成を示す正面図である。図2は、第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の構成を示す断面図(A)および平面図(B)である。図3は、第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の部品構成を示す、図2(B)のA-A線で切断したときの縦断面図である。図4は、第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の揺動状態の説明に供する断面図である。図5は、第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材を用いた吊り具の構成を示す正面図である。図6は、第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材を用いた吊り具の中心軸を含む平面による縦断面図である。図7は、第1の実施の形態にかかるシャフトの支持部材を用いたハンギング装置の構成を示す斜視図である。
【0022】
なお、第1の実施の形態において、上下とは、重力方向における上下方向を意味し、「水平」あるいは「水平面」といった場合には、重力方向と直交する平面を意味する。ただし、「水平」や「水平面」については、重力方向に対して正確に垂直である必要は無く、略水平と云える範疇は勿論、ある程度斜めの面であっても、本発明を実現し得る程度の傾きであれば、そのような傾斜面をも含む概念とする。
【0023】
シャフトの支持部材(以下、単に「支持部材」という場合があるものとする。)1は、取付対象面の一例である天井面3に対してシャフト2を垂下状態に支持するものである。なお、取付対象面としては、天井面に限定されるものではなく、例えば、構造物の梁や鴨居、屋根裏、家具内部の天面等、シャフトを支持可能な部材や部位における、下方を向く水平面であればよい。
【0024】
<支持部材>
図1図3に示すように、支持部材1は、具体的には、天井面3に取り付けられるベース11と、シャフト2の上方の一端(上端)を保持するソケット12と、ソケット12と一体に固定されベース11に対して揺動自在に支持されたコネクタ13と、ベース11に取り付けられたカバー14(図2)と、ベース11に設けられ、コネクタ13を挟んでソケット12の反対側からコネクタ13を下方に向けて付勢するコイルバネ15(図2)と、ベース11に設けられ、コネクタ13に接触し、コイルバネ15の付勢によってコネクタ13を押圧する押圧部17と、を備える。
【0025】
(ベース)
ベース11は、略円盤状の基部11aと、その基部11aの中央部分に形成された逆山型状の山部11bとを有している。ベース11の基部11aでは、軸Xを中心として、周方向の点対象となる位置に等間隔で2つの貫通孔111(図2)が設けられている。ベース11は、2つの貫通孔111を介して木ネジ112が天井面3に捻じ込まれることにより、当該天井面3に取り付けられて固定される。
ベース11の山部11bは、下方に向かって略円錐台状に傾斜した傾斜面11bkを有すると共に、軸Xを中心とした貫通孔111よりも内周側にカバー14を取り付けるためのスペースが設けられた円柱状の凹部110(図3)を有している。凹部110は、上方に向かって開口し、その内径はカバー14の外径よりも僅かに大きい。
【0026】
ベース11の凹部110を形成している底面110bには、軸Xを中心とした周方向の点対象となる位置に等間隔で4個のネジ孔113が設けられている。4個のネジ孔113は、ベース11を貫通することのない所定の深さに形成されており、その内周面に雌ネジ溝が切られている。但し、図2および図3においては、切断面の関係で2個のネジ孔113だけが図示されている。
【0027】
ベース11は、凹部110の底面110bのさらに内周側に所定の内径からなる穴部115を有している。穴部115は、軸Xに沿った上下方向において、上側部分に相当する円筒状面116(第2の摺動面)と、下側部分に相当する曲面状の漏斗状面117(摺動面)とによって形成されている。
穴部115における円筒状面116および漏斗状面117は、互いに段差なく滑らかに連なっている。円筒状面116は漏斗状面117よりも上下方向に沿った長さが長くなるように形成されている。なお、穴部115における円筒状面116および漏斗状面117は、上下方向におけるほぼ半分の位置で接続されていてもよいし、円筒状面116の方が漏斗状面117よりも上下方向において短くてもよい。
【0028】
漏斗状面117は、下方に向かうに連れて次第に縮径する滑らかな曲面からなる、穴部115の一部を形成する漏斗状の摺動面である。漏斗状面117は、所定の曲率半径によって形成されている。漏斗状面117は、その下方端に所定の内径からなる開口部117hを有している。
漏斗状面117の開口部117hの内径は、後述するコネクタ13の球面部131の外径よりも小さい。また、開口部117hの端縁には、R状に面取りされた面取部117eが形成されている。なお、漏斗状面117は、コネクタ13を揺動自在に保持する摺動面として機能する部分である。
【0029】
(カバー)
カバー14は、薄い板状の円盤状部材からなり、円盤部140と円柱部142とを有している。カバー14における円盤部140の外径は、ベース11の凹部110の内径より僅かに小さく、その厚さ(上下方向の高さ)は凹部110の深さより僅かに小さい。すなわち、カバー14の円盤部140は、ベース11の凹部110に収容されてベース11の上側の端面(以下、これを「上端面」と言う。)11аtよりも上方に出っ張ることはない。
【0030】
カバー14は、軸Xを中心とした周方向の点対象となる位置に等間隔で4個の貫通孔141が設けられている。これらの貫通孔141の上側の開口部分には、カバー14をベース11に取り付ける際の止めネジ145の頭部を収容するザグリ部141zが形成されている。
カバー14の円柱部142は、円盤部140に設けられた4個の貫通孔141よりも内周側に形成されており、軸Xに沿った上下方向において下方に向かう所定の長さを有している。
具体的には、カバー14の円柱部142は、円盤部140からその面方向に対して直角に突出するように形成されており、ベース11に取り付けた際に、ベース11の穴部115に進入する程度の長さを有する。円柱部142は、コイルバネ15(付勢部)の一端部(上側端部)が嵌め込まれる突起であり、コイルバネ15の一端部を位置決めする。
【0031】
(コネクタ)
コネクタ13は、全体的に略半球体形状に形成されており、半球状の球面部131と、その球面部131の下方に一体に形成された円筒部136と、を有している。
球面部131は、球体の約半分に相当する部分であり、上方を向く平坦な天面131tと、その天面131tと繋がった周側面131sと、を有している。球面部131の周側面131sは、滑らかな曲面からなり、ベース11の漏斗状面117とほぼ同じ曲率半径を有している。天面131tと周側面131sは、滑らかに連なっており、天面131tと周側面131sとの境界には、R状に面取りされた面取部131eが形成されている。
つまり、支持部材1においては、ベース11の漏斗状面117に対してコネクタ13の球面部131の周側面131sが摺接し、軸X上の所定の中心点О(図4)を中心とした上面視360度の任意の角度にてコネクタ13が揺動可能となる。図4に示すように、コネクタ13の揺動範囲は、円筒部136がベース11の面取部117eと接触するまでの角度、または、ソケット12がベース11の山部11bにおける傾斜面11bkに接触するまでの角度である。
【0032】
球面部131の外径は、ベース11の穴部115における漏斗状面117の開口部117hの内径よりも大きい。球面部131には、軸Xに沿った上下方向に貫通した孔132が形成されている。
孔132は、その内周面に雌ネジ溝が形成されており、後述する締結具である固定ネジ19の軸部19bの雄ネジ溝と螺合される。
【0033】
円筒部136は、球面部131の下端部に球面部131と一体に形成されている。円筒部136には、軸Xに沿った上下方向に貫通した孔137が形成されている。孔137は、孔132と同一軸線を有するように連通して形成されており、孔132よりも内径が大きく形成されている。円筒部136は、ソケット12に挿入される部分である。
【0034】
(押圧部)
押圧部17は、略円柱状に形成されており、柱部170と、突出部172と、を有している。
柱部170の外径は、ベース11の穴部115の円筒状面(円筒部分)116の内径より僅かに小さく、漏斗状面(漏斗状部分)117の内径よりも大きい。したがって、柱部170は、円筒状面116を上下方向(軸線方向)に摺動自在とされている。
柱部170の下端部(下端面)には、コネクタ13の天面131tが嵌め込まれる凹部174が形成されている。凹部174は、平坦な底面を有している。凹部174は、深く形成する必要はなく、コネクタ13の天面131tと押圧部17の凹部174とが嵌合して面接触することができればよい。これにより、コイルバネ15の付勢力により押圧部17がコネクタ13を押圧する際に、コネクタ13の天面131t全面を押圧することができ、ベース11内におけるコネクタ13や押圧部17の傾きを防止することができる。なお、天面131t及び凹部174の底面は必ずしも平坦面に形成する必要はなく、互いに嵌合する相補的な形状であれば、曲面状に形成されていてもよい。
【0035】
突出部172は、柱部170の上端部(上端面)に形成されており、ベース11内において、カバー14の円柱部142と対向する部分である。突出部172は、軸Xに沿った上下方向において上方に向かう所定の長さを有している。具体的には、突出部172は、柱部170からその面方向に対して直角に突出するように形成されている。突出部172は、コイルバネ15の他端部(下側端部)が嵌め込まれる突起であり、コイルバネ15の他端部を位置決めする。即ち、押圧部17は、コイルバネ15によってコネクタ13に向けて付勢されている。
また、コネクタ13、押圧部17、シャフト2は、コイルバネ15の付勢方向(軸X方向)に沿って直線上に並んで配置されている。
【0036】
(ソケット)
ソケット12は、筒状体からなり、上方の円柱部121と、その下方において円柱部121と一体に形成された円筒部122と、を有している。
円柱部121は、その上端部がコネクタ13に連結されている。円柱部121の上端面には、凹部123が形成されている。凹部123は、図4に示すように、シャフト2の揺動により、コネクタ13がベース11内を摺動した際に、ベース11の山部11bがソケット12に衝突してシャフト2の揺動を阻害しないように衝突回避空間を形成するものである。凹部123は、ソケット12の下方に向かうにつれて縮径されている。
【0037】
凹部123の底部には、コネクタ13の円筒部136の少なくとも一部が嵌まり込む孔124が連通するように形成されている。孔124の内径は、円筒部136の外径よりも僅かに大きい。
孔124には、固定ねじ19を通す孔125が連通するように形成されている。
孔125は、孔124に連通し、固定ねじ19の軸部19bが通される小孔125aと、小孔125aに連通し、固定ねじ19の頭部19aが収容される大孔125bと、を有している。ここで、大孔125bは、円筒部122の内周面122aによって形成される空間に連通している。
【0038】
円筒部122は、下方の端部に形成された開口122hを有し、その開口122hの内径がシャフト2の外径より僅かに大きい。円筒部122では、シャフト2の上方の一端(上端部)が挿入され、円筒部122の底面122bにシャフト2の上端部を当接した状態で保持する。
円筒部122には、内周面に雌ネジ溝が切られた第1の貫通孔126が形成されている。第1の貫通孔126は、円筒部122の開口122hから挿入されたシャフト2のくびれ部2c(図2)に向けて穿たれている。
なお、第1の貫通孔126よりも上方の円筒部122の内周面に雌ネジ溝を形成し、シャフト2のアダプタ部2aを取り付けて固定することも可能である。
円筒部122には、第1の貫通孔126の下方であって、内周面に雌ネジ溝が切られた第2の貫通孔127が形成されている。第2の貫通孔127は、円筒部122の開口122hから挿入されたシャフト2のくびれ部2cよりも下方の外周面に向けて穿たれている。
第1の貫通孔126および第2の貫通孔127は、上下方向に沿って所定の間隔を空けた状態で直線上に配置されている。ただし、これに限るものではなく、第1の貫通孔126および第2の貫通孔127は、上下方向に沿って直線上に配置されていなくてもよい。
【0039】
第1の貫通孔126には、この第1の貫通孔126に形成された雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝が形成された六角穴付き止めネジ128が捻じ込まれる。これにより、六角穴付き止めネジ128の先端部がシャフト2のくびれ部2cに係合されて当該シャフト2が抜け落ちることを防止している。
第2の貫通孔127には、この第2の貫通孔127に形成された雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝が形成された六角穴付き止めネジ129が捻じ込まれる。これにより、六角穴付き止めネジ129の先端部がシャフト2の外周面を押圧する。
このように、ソケット12では、円筒部122の開口122hから挿入されたシャフト2の上側端部に対して、六角穴付き止めネジ128、129により当該シャフト2が抜け落ちることのないように強固に保持することが可能である。
【0040】
(シャフト)
シャフト2は、例えば、アルミニウム合金から形成された円筒形状の管材であり、アダプタ部2aと、そのアダプタ部2aよりも下方の本体部2bと、を有している。
アダプタ部2aと本体部2bは、ネジ等の締結具により軸線方向に連結されている。アダプタ部2aと本体部2bの境界近傍には、くびれ部2cが形成されている。
アダプタ部2a及び本体部2bの外径は、ほぼ同じ外径を有するように形成されており、ソケット12の円筒部122の内径より僅かに小さく形成されている。
つまり、シャフト2では、上下方向に長い本体部2bや上下方向に短い本体部2bをアダプタ部2aに取り付ければ、シャフト2自体の長さを自由に変更することが可能となる。
【0041】
シャフト2のくびれ部2cは、六角穴付き止めネジ128の先端部が食い込むことが可能な幅の環状の溝である。したがって、六角穴付き止めネジ128の先端部がシャフト2のくびれ部2cに食い込んだ状態で取り付けられることにより、ソケット12に対してシャフト2が落下することのない状態で保持されることになる。
さらに、本体部2bの外周面には、ソケット12の円筒部122における第2の貫通孔127を介して六角穴付き止めネジ129が捻じ込まれることにより、六角穴付き止めネジ129の先端部が本体部2bの外周面を押圧することになる。これにより、シャフト2は、ソケット12に対して強固に保持される。
【0042】
<支持部材の組み立て方法>
続いて、支持部材1の組み立て方法について説明する。支持部材1では、ベース11の穴部115における円筒状面116および漏斗状面117に対して上方からコネクタ13及び押圧部17を収容する。
このとき、コネクタ13の球面部131の外径が穴部115の漏斗状面117の開口部117hの内径よりも大きいので、コネクタ13はベース11の穴部115から抜け落ちることなく、球面部131の下方部分および円筒部136が開口部117hから下方に露出した状態となる。また、円筒部136をソケット12の孔124に挿入する。
【0043】
ここで、漏斗状面117の開口部117hの内径をさらに小さくすれば、球面部131の下方部分が開口部117hから露出する量を減らすことができる。すなわち、ベース11とソケット12との間隔を短くすることが可能であり、この場合、ベース11に対するコネクタ13の揺動範囲を小さくすることができる。
逆に、漏斗状面117の開口部117hの内径をさらに大きくすれば、球面部131の下方部分が開口部117hから露出する量を増やすことができる。すなわち、ベース11とソケット12との間隔を長くすることが可能であり、この場合、ベース11に対するコネクタ13の揺動範囲を大きくすることができる。
【0044】
その状態において、押圧部17をコネクタ13の上方からコネクタ13に嵌め込み、押圧部17の凹部174にコネクタ13の天面131tを面接触させる。そして、押圧部17の突出部172にコイルバネ15の下端部を嵌め込んで配置する。そして、コイルバネ15の上端部をカバー14の円柱部142に嵌め込んだ後、カバー14の4個の貫通孔141を介して止めネジ145によりベース11にカバー14を取り付ける。
このとき、コネクタ13とカバー14との間に挟み付けられたコイルバネ15によって、押圧部17を下方に付勢し、さらに押圧部17によりコネクタ13を下方へ垂下させる付勢力が作用する。ここで、押圧部17とカバー14との間にコイルバネ15を挟み付ける際の間隔を狭く設定すれば、コネクタ13を下方へ垂下させる付勢力が強くなり、この間隔を広く設定すれば付勢力が弱くなり、任意に設定することが可能である。
【0045】
その状態において、ソケット12における孔125の大孔125bから固定ネジ19を挿入する。
このとき、固定ネジ19の軸部19bがコネクタ13の中に挿入され、固定ネジ19の軸部19bに形成された雄ネジ溝と、コネクタ13の球面部131における孔132の内周面に形成された雌ネジ溝とを螺合させる。
同時に、固定ネジ19の頭部19aが大孔125bに収容されて、コネクタ13とソケット12とがベース11を間に介して一体に固定される。
【0046】
その後、ソケット12の円筒部122に対してアダプタ部2aと本体部2bとが連結されたシャフト2の上端部、すなわち、アダプタ部2aを下方から挿入し、第1の貫通孔126から六角穴付き止めネジ128を捻じ込むと共に、第2の貫通孔127から六角穴付き止めネジ29を捻じ込む。これにより、支持部材1では、シャフト2をソケット12に対して一体に保持させることができる。かくして、支持部材1が組み立てられた状態になる。
最後に、ベース11を天井面3に押し当て、木ネジ112によってベース11を天井面3に固定することにより、支持部材1の天井面3に対する取り付けが完了する。
【0047】
以上の構成において、支持部材1においては、ソケット12にシャフト2が保持されて下方に垂下された状態をデフォルトとし(図2)、横方向からの負荷が加えられた場合、ベース11に対してコネクタ13およびソケット12がシャフト2と共に揺動(図4)する。
すなわち、支持部材1では、横方向からの負荷が加えられてコネクタ13およびソケット12がシャフト2と共に揺動した場合、軸X上の中心点Oを中心として斜めに傾くことにより、横方向からの負荷が軽減されて、天井面3や、シャフト2にぶつかった人への影響を抑制することができる。
このとき、支持部材1では、コネクタ13の球面部131が半球体であり、ベース11の漏斗状面117と曲面同志で面接触しているため、緩やか、かつ、滑らかに斜めに傾くことができる。なお、コネクタ13の球面部131とベース11の漏斗状面117とは摺接しているため、衝突音等が発生することもない。
また、ベース11に対してコネクタ13およびソケット12がシャフト2と共に揺動した場合、コネクタ13は押圧部17に当接しているので、コネクタ13はコイルバネ15の付勢力に抗して押圧部17を上方に押し上げる。これにより、コイルバネ15は縮むので、元に戻ろうとする弾性力は大きくなり、この弾性力が押圧部17を下方に押す付勢力となる。
これにより、シャフト2を揺動自在にしつつ、所定以上の外力が作用するまではシャフト2を垂下状態に押さえることができる。また、コイルバネ15の付勢力により押圧部17がコネクタ13を元の位置に戻そうとするため、シャフト2の揺動を早く抑えて垂下状態にすることができる。
【0048】
一方、支持部材1においては、横方向からの負荷が加えられていない場合、コイルバネ15の付勢力が作用した押圧部17によるコネクタ13の押圧とシャフト2の自重によりシャフト2を下方に垂下させた垂下状態を維持することができる。これにより、物を吊る際にも揺れにくく、作業を安定した状態で行うことができる。
ここで、コネクタ13およびソケット12がシャフト2と共に揺動する角度範囲は、ベース11の山部11bにおける面取部117eがコネクタ13の円筒部136に接触するまでの範囲である。
【0049】
また、支持部材1は、横方向からの負荷が加えられた状態から加えられなくなった状態に移行した場合、コイルバネ15の弾性力により、押圧部17をコネクタ13に向けて押す付勢力が作用し、押圧部17は、コネクタ13およびソケット12を元の垂下状態に戻そうとするようにコネクタ13を押圧すると同時に、シャフト2が鉛直状態に戻ろうとする重力が作用する。
このとき、支持部材1では、コネクタ13の球面部131が半球体であり、ベース11の漏斗状面117と曲面同志で面接触しているため、シャフト2を元の垂下状態に戻す際、緩やか、かつ、滑らかに戻すことができる。この場合も、コネクタ13の球面部131とベース11の漏斗状面117とは摺接しているため、衝突音等が発生することもない。また、押圧部17は、コネクタ13に面接触しているので、押圧部17は面でコネクタ13を下方に向けて押圧することになり、局所的にコネクタ13を押すことはない。
また、押圧部17は、ベース11の穴部115の円筒状面116に摺動自在に保持されているので、押圧部17は、上下方向(X方向)に沿って往復移動してコネクタ13を上下方向に沿って真っ直ぐに押すことができ、コネクタ13を局所的に押すことはない。
また、押圧部17、コネクタ13、シャフト2は、コイルバネ15の付勢方向に沿って直線上に並んで配置されているので、コイルバネ15の付勢力を別方向の力として失いにくい。
また、支持部材1においては、シャフト2のアダプタ部2aに対して本体部2bが着脱自在(取り付け、取り外しが自在)になっている。したがって、アダプタ部2aに対して、異なる長さの本体部2bを取り付ければ、天井面3の高さに合わせてシャフト2の長さを自由に変更することができる。
【0050】
<吊り具>
上述した支持部材1は、例えば、図5および図6に示すように、下端や中途部分にリング状の吊り輪部7を設けたシャフト2を天井面3から垂下させることにより、それ自体を吊り具100として用いることができる。
吊り具100においては、支持部材1と、支持部材1のソケット12に一端が保持されたシャフト2と、を有し、シャフト2の他端部(下端部)に、物の引っ掛け用に供される吊り輪部7が設けられている。
【0051】
吊り具100の吊り輪部7は、筒状の固定部71と、その下端に固定された環状部72と、を有している。固定部71の上部は開口しており、シャフト2の下側端部が差し込まれて位置決めされている。
固定部71は、ソケット12の円筒部122における第1の貫通孔126および第2の貫通孔127と同様、内周面に雌ネジ溝が形成された2つの貫通孔714a、714bを有する。
貫通孔714a、714bは、固定部71に嵌入されるシャフト2に向けて穿たれている。この貫通孔714a、714bには、貫通孔714a、714bに形成された雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝が形成された六角穴付き止めネジ715a、715bがそれぞれ捻じ込まれている。
【0052】
シャフト2の下側端部近傍には、全周にわたって環状に陥没してくびれたくびれ部25が形成され、くびれ部25に連なった下側端部までは、くびれ部25より上方のシャフト本体部2bと同径の首部26となっている。
固定部71に挿入されたシャフト2の下側端部が当該固定部71の底面に当接して位置決めされると、くびれ部25が雄ネジ715aの先端部と対向する位置に配置されるようになっている。
【0053】
その状態で、六角穴付き止めネジ715a、715bが貫通孔714a、714bに対して捻じ込まれると、その先端部が固定部71の内周面から突出し、シャフト2の外周面を押圧する。六角穴付き止めネジ715a、715bの押圧力によって、シャフト2の下端部が固定部71に対して固定され、シャフト2に吊り輪部7が一体に取り付けられる。
このとき、貫通孔714aに捻じ込まれた六角穴付き止めネジ715aの先端部は、シャフト2のくびれ部25に嵌り込むように突出してシャフト2を押圧し、上下動が生じないようにしっかりと固定部71が固定される。
一方、貫通孔714bに捻じ込まれた六角穴付き止めネジ715bの先端部は、シャフト2の本体部2bの外周面に突出し、シャフト2を押圧して横方向から押さえ込んでいる。即ち、六角穴付き止めネジ715aによって吊り輪部7の上下動を規制しつつ、六角穴付き止めネジ715a及び715bによって、吊り輪部7全体をシャフト2に固定している。
【0054】
以上のように構成された吊り具100は、シャフト2に設けられた吊り輪部7の環状部72に、例えば、衣類や洗濯物のハンガー、あるいは、図6に示されるように物干し竿8の一端等を吊り掛けて用いることができる。物干し竿8を吊り掛けて用いる場合には、当該吊り具100をもう一つ用意して一対とし、物干し竿8の両端を吊り輪部7の環状部72に吊り掛けて橋渡すようにして利用することができる。
この吊り具100によれば、吊り掛け対象物である衣類や物干し竿8、あるいは、シャフト2に対して横方向の外力が作用した際には、シャフト2がソケット12と共に揺動して斜めに傾くことが可能となっている。そのため、吊り具100全体が天井面3等の取付対象面に対して斜めに撓ることで、横方向からの負荷が軽減されて、その影響を抑制することができる。
なお、吊り具100において、吊り輪部7は、シャフト2の下端部にのみ設けられているが、シャフト2の支持部材1を用いた吊り具100としては、これに限定されない。即ち、吊り輪部7が、シャフト2の下端部と、1箇所または2箇所以上の中途との計2箇所以上に設けられていても構わないし、1箇所または2箇所以上の中途にのみ設けられていても構わない。
【0055】
<ハンギング装置>
さらに、支持部材1は、図7に示すように、シャフト2とともに、いわゆるハンギング装置200の一部として、ハンガーパイプ5を支持する構成部材として用いることができる。
図7に示されるように、ハンギング装置200は、物の引っ掛け用に供されるハンガーパイプ5、左右一対(2個)の支持部材1、それぞれの支持部材1に一端部が保持された一対(2本)のシャフト2、それぞれのシャフト2の下端部に、ハンガーパイプ5の両端部を支持する一対(2個)の連結部材4、を有している。
ハンギング装置200は、一対の連結部材4によって、ハンガーパイプ5の左右の両端部を支持し、略水平に保持している。一対、即ち2個(本)の支持部材1、シャフト2及び連結部材4は、それぞれ同一の構成の物である。したがって、以下、便宜的に、1つの物についてのみ説明する。
【0056】
支持部材1は、ベース11が木ネジ等により取付対象面である天井面3に取り付けられるとともに、ソケット12にシャフト2の上側端部が挿入されて保持している。即ち、支持部材1によって、シャフト2が、天井面3から垂下した状態で取り付けられている。
連結部材4としては、特に制限はなく、例えば、シャフト2の下側端部を挿入する上向きのソケット部4aと、ハンガーパイプ5の端部を挿入する横向きのソケット部4bとを備え、それぞれの抜け止めのための手段、例えばネジ止め具を有する構成のものを挙げることができる。
なお、ハンギング装置200において、連結部材4は、シャフト2の下側端部のみに設けられた例を挙げているが、これに限定されるものではない。即ち、連結部材4は、例えば、シャフト2の中途に設けられて、そこでハンガーパイプ5を支持するようにしてもよいし、中途の1箇所または2箇所以上と下側端部とに対して合計複数個設け、複数本のハンガーパイプ5を支持するようにしてもよい。その場合、中途に設けられる連結部材と、下側端部に設けられる連結部材とは、形状、構造等が異なっていて、その機能に応じた物になっていてもよい。
【0057】
ハンガーパイプ5は、上下面に丸みを有する断面略長方形の直管である。ハンギング装置200では、このハンガーパイプ5に対して植木鉢6等の吊り掛け対象物が吊り掛けられて用いられる。ハンガーパイプ5は、例えば、アルミニウムや樹脂等の材料で成形されたものである。ハンガーパイプ5の周面には、吊り掛け対象物が滑ったり外れたりしにくいように、滑り止め加工が施されていてもよい。
なお、ハンギング装置200では、ハンガーパイプ5として、意匠性と実用性の高い断面略長方形のものを例示しているが、一般的な物干し竿のような断面円形の直管をハンガーパイプとしても構わないし、さらにはパイプ状でもない中実の棒(例えば木製の棒材)をハンガーパイプとしても構わない(即ち、本発明において「ハンガーパイプ」の概念には、中実の物を含むこととする。)。
【0058】
このハンギング装置200によれば、植木鉢6等の吊り掛け対象物、ハンガーパイプ5、あるいは、シャフト2に対して横方向の外力が作用した際には、シャフト2が揺動可能となっている。そのため、ハンギング装置200全体が天井面3の取付箇所に対して斜めに撓ることになり、横方向からの負荷が軽減されて、その影響を抑制することができる。
以上、支持部材1及びこれを用いたハンギング装置200について、好ましい実施の形態を挙げて説明したが、支持部材1及びこれを用いたハンギング装置200は上記の構成に限定されるものではない。例えば、上記においては、支持部材1に対するシャフト2の固定方法として、ネジ止め具等によりシャフト2の外周面を押圧して固定する例を挙げているが、従来公知の如何なる態様であっても構わない。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。図8は、第2の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の構成を示す正面図である。図9は、第2の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の構成を示す断面図(A)および平面図(B)である。図10は、第2の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の部品構成を示す、図9(B)のB-B線で切断したときの縦断面図である。図11は、第2の実施の形態にかかるシャフトの支持部材の揺動状態の説明に供する断面図である。
【0060】
なお、第2の実施の形態において、上下とは、重力方向における上下方向を意味し、「水平」あるいは「水平面」といった場合には、重力方向と直交する平面を意味する。ただし、「水平」や「水平面」については、重力方向に対して正確に垂直である必要は無く、略水平と云える範疇は勿論、ある程度斜めの面であっても、本発明を実現し得る程度の傾きであれば、そのような傾斜面をも含む概念とする。また、第1の実施の形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0061】
シャフトの支持部材(以下、単に「支持部材」という場合があるものとする。)1Aは、取付対象面の一例である天井面3に対してシャフト2を垂下状態に支持するものである。なお、取付対象面としては、天井面に限定されるものではなく、例えば、構造物の梁や鴨居、屋根裏、家具内部の天面等、シャフトを支持可能な部材や部位における、下方を向く水平面であればよい。
【0062】
<支持部材>
図8図10に示すように、支持部材1Aは、具体的には、天井面3に取り付けられるベース21と、シャフト2の上方の一端(上端)を保持するソケット22と、ソケット22と一体に固定されベース21に対して揺動自在に支持されたコネクタ23と、ベース21に取り付けられたカバー24(図9)と、カバー24に設けられ、コネクタ23を挟んでソケット22の反対側からコネクタ23を下方に向けて付勢するリング25(付勢部:図9図10)と、ソケット22の上側の端面(以下、これを「上端面」とも言う。)に固定された緩衝材26と、を備える。
【0063】
(ベース)
ベース21は、略円盤状の基部21aと、その基部21aの中央部分に形成された逆山型状の山部21bとを有している。ベース21の基部21aでは、軸Xを中心として、周方向の点対象となる位置に等間隔で2つの貫通孔211(図9)が設けられている。ベース21は、2つの貫通孔211を介して木ネジ212が天井面3に捻じ込まれることにより、当該天井面3に取り付けられて固定される。
ベース21の山部21bは、下方に向かって略円錐台状に傾斜した傾斜面21bkを有すると共に、軸Xを中心とした貫通孔211よりも内周側にカバー24を取り付けるためのスペースが設けられた円柱状の凹部210(図10)を有している。凹部210は、上方に向かって開口し、その内径はカバー24の外径よりも僅かに大きい。
【0064】
ベース21の凹部210を形成している底面210bには、軸Xを中心とした周方向に等間隔で3個のネジ孔213が設けられている。3個のネジ孔213は、ベース21を貫通することのない所定の深さに形成されており、その内周面に雌ネジ溝が切られている。但し、図9および図10においては、切断面の関係で1個のネジ孔213だけが図示されている。
【0065】
ベース21は、凹部210の底面210bにおいて、凹部210に連通し、リング25を収容する凹部214を有している。凹部214は、上方に向かって開口し、その内径はリング25の外径よりも僅かに大きい。凹部214は、その中心が凹部210の中心と同一軸線上に並ぶように形成されている。凹部214の内径は、凹部210の内径よりも小さい。これは、カバー24の外径よりもリング25の外径の方が小さいためである。
【0066】
ベース21は、凹部214の底面214bにおいて、凹部214に連通し、コネクタ23を収容する穴部215を有している。穴部215は、上方に向かって開口し、その上端部における内径はコネクタ23の外径よりも大きい。穴部215は、その中心が凹部210及び凹部214の中心と同一軸線上に並ぶように形成されている。穴部215の内径は、凹部214の内径よりも小さい。これは、リング25の外径よりもコネクタ23の外径の方が小さいためである。
穴部215は、下方に向かうに連れて次第に縮径する滑らかな曲面からなる漏斗状の摺動面を有している。穴部215は、所定の曲率半径によって形成されている。穴部215は、その下方端に所定の内径からなる開口部217hを有している。
開口部217hの内径は、コネクタ23の球面部231の外径よりも小さい。また、開口部217hの端縁には、R状に面取りされた面取部217eが形成されている。なお、穴部215は、コネクタ23を揺動自在に保持する摺動面として機能する部分である。
【0067】
(カバー)
カバー24は、薄い板状の円盤状部材からなり、円盤部240と円柱部242とを有している。カバー24における円盤部240の外径は、ベース21の凹部210の内径より僅かに小さく、その厚さ(上下方向の高さ)は凹部210の深さより僅かに小さい。すなわち、カバー24の円盤部240は、ベース21の凹部210に収容されてベース21の上側の端面(以下、これを「上端面」と言う。)21аtよりも上方に出っ張ることはない。
【0068】
カバー24は、軸Xを中心とした周方向に等間隔で3個の貫通孔241が設けられている。これらの貫通孔241の上側の開口部分には、カバー24をベース21に取り付ける際の止めネジ245の頭部を収容するザグリ部241zが形成されている。
【0069】
カバー24の円柱部242は、円盤部240に設けられた3個の貫通孔241よりも内周側に形成されており、軸Xに沿った上下方向において下方に向かう所定の長さを有している。
具体的には、カバー24の円柱部242は、円盤部240からその面方向に対して直角に突出するように形成されており、ベース21に取り付けた際に、ベース21の凹部214に収容される長さを有する。
円柱部242には、コネクタ23の上部とリング25とを収容する凹部246が形成されている。凹部246は、下方に向けて開口しており、凹部246の周縁部246aにリング25の少なくとも一部が嵌め込まれ、周縁部246aに囲まれる中央部246bにはコネクタ23が収容される。周縁部246aは、リング25の大部分が収容される程度の大きさに形成されているが、リング25を完全に収容することはできず、収容されたリング25の一部は周縁部246aからコネクタ23に向けて突出した状態となる。
【0070】
(コネクタ)
コネクタ23は、全体的に略球体形状に形成されており、球状の球面部231と、その球面部231の下方に一体に形成された円筒部236と、を有している。
球面部231は、球体に相当する部分であり、ベース21の穴部215に対してコネクタ23の球面部231が摺接し、軸X上の所定の中心点О(図11)を中心とした上面視360度の任意の角度にてコネクタ23が揺動可能となる。図11に示すように、コネクタ23の揺動範囲は、円筒部236がベース21の面取部217eと接触するまでの角度、または、ソケット22がベース21の山部21bにおける傾斜面21bkに接触するまでの角度である。
球面部231の外径は、ベース21の穴部215における開口部217hの内径よりも大きい。
球面部231における中心よりも上方の外周面(球面部231の上半分における外周面)には、円環状に形成された溝232が形成されている。溝232は、断面が円弧状に凹んでおり、リング25の一部が嵌め込まれる部分である。溝232は、軸Xに直交する平面上に形成されている。
【0071】
円筒部236は、球面部231の下端部に球面部231と一体に形成されている。円筒部236には、軸Xに沿って球面部231の中心近傍まで延びる孔237が形成されている。孔237は、その内周面に雌ネジ溝が形成されており、固定ネジ19の軸部19bの雄ネジ溝と螺合される。円筒部236は、ソケット22に挿入される部分である。
円筒部236は、その一部が縮径された首部233を有しており、首部233が球面部231に連なっている。すなわち、円筒部236は段差が形成されている。図11に示すように、コネクタ23が揺動した際には、、円筒部236の首部233がベース21の面取部217eと接触することになるため、首部233を縮径することにより、コネクタ23の揺動範囲を広げることができる。
【0072】
(リング)
リング25は、例えば、円環状に形成されたOリングである。リング25は、一部がカバー24の凹部246の周縁部246aに嵌め込まれ、他部がコネクタ23の上部近傍の外周面に形成された溝232に嵌め込まれる。リング25が溝232に嵌まり込んだ状態でシャフト2が垂下状態にされる。リング25は、自身の弾性力でコネクタ23を付勢することができるよう、例えば、ゴムや樹脂等の弾性体から形成されている。リング25は、自身の弾性力でコネクタ23を付勢することができれば、その材質は問わない。
リング25は、その軸線方向に直交する断面が円形状となるように形成されている。
【0073】
(緩衝材)
緩衝材26は、ソケット22の上端面に設けられている。緩衝材26は、樹脂、プラスチック、フィルム、紙、ゴム等から形成されており、円環状に形成されている。緩衝材26は、その軸線方向に直交する断面が円形状となるように形成されている。
緩衝材26は、シャフト2と共にコネクタ23及びソケット22が揺動して、ソケット22の緩衝材26がベース21の傾斜面21bkに接触した場合に、両部材の接触による大きな衝突音の発生を抑えることができるほか、衝突による両部材の損傷を抑えることができる。
【0074】
(ソケット)
ソケット22は、筒状体からなり、上方の円柱部221と、その下方において円柱部221と一体に形成された円筒部222と、を有している。
円柱部221は、その上端部がコネクタ23に連結されている。
円柱部221の上端面には、緩衝材26の少なくとも一部が嵌まり込む円環状の溝223が形成されている。緩衝材26は、溝223に嵌め込まれた状態で円柱部221の上端面よりも上方に突出しており、シャフト2と共にコネクタ23及びソケット22が揺動した場合に、緩衝材26がベース21の傾斜面21bkに接触する。
円柱部221の上端面には、コネクタ23の円筒部236の少なくとも一部が嵌まり込む孔224が形成されている。孔224は、溝223に囲まれたソケット22の内側(中心側)に形成されている。孔224の内径は、円筒部236の外径よりも僅かに大きい。
孔224には、固定ねじ19を通す孔225が連通するように形成されている。
孔225は、孔224に連通し、固定ねじ19の軸部19bが通される小孔225aと、小孔225aに連通し、固定ねじ19の頭部19aが収容される大孔225bと、を有している。ここで、大孔225bは、円筒部222の内周面222aによって形成される空間に連通している。
【0075】
円筒部222は、下方の端部に形成された開口222hを有し、その開口222hの内径がシャフト2の外径より僅かに大きい。円筒部222では、シャフト2の上方の一端(上端部)が挿入され、円筒部222の底面222bにシャフト2の上端部を当接した状態で保持する。
円筒部222には、内周面に雌ネジ溝が切られた第1の貫通孔226が形成されている。第1の貫通孔226は、円筒部222の開口222hから挿入されたシャフト2のくびれ部2c(図9)に向けて穿たれている。
なお、第1の貫通孔226よりも上方の円筒部222の内周面に雌ネジ溝を形成し、シャフト2のアダプタ部2aを取り付けて固定することも可能である。
円筒部222には、第1の貫通孔226の下方であって、内周面に雌ネジ溝が切られた第2の貫通孔227が形成されている。第2の貫通孔227は、円筒部222の開口222hから挿入されたシャフト2のくびれ部2cよりも下方の外周面に向けて穿たれている。
第1の貫通孔226および第2の貫通孔227は、上下方向に沿って所定の間隔を空けた状態で直線上に配置されている。ただし、これに限るものではなく、第1の貫通孔226および第2の貫通孔227は、上下方向に沿って直線上に配置されていなくてもよい。
【0076】
第1の貫通孔226には、この第1の貫通孔226に形成された雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝が形成された六角穴付き止めネジ228が捻じ込まれる。これにより、六角穴付き止めネジ228の先端部がシャフト2のくびれ部2cに係合されて当該シャフト2が抜け落ちることを防止している。
第2の貫通孔227には、この第2の貫通孔227に形成された雌ネジ溝と螺合する雄ネジ溝が形成された六角穴付き止めネジ229が捻じ込まれる。これにより、六角穴付き止めネジ229の先端部がシャフト2の外周面を押圧する。
このように、ソケット12では、円筒部222の開口222hから挿入されたシャフト2の上側端部に対して、六角穴付き止めネジ228、229により当該シャフト2が抜け落ちることのないように強固に保持することが可能である。
【0077】
<支持部材の組み立て方法>
続いて、支持部材1Aの組み立て方法について説明する。支持部材1Aでは、ベース21の穴部215に対して上方からコネクタ23及びリング25を収容する。
このとき、コネクタ23の球面部231の外径が穴部215の開口部217hの内径よりも大きいので、コネクタ23はベース21の穴部215から抜け落ちることなく、球面部231の下方部分および円筒部236が開口部217hから下方に露出した状態となる。また、円筒部236をソケット22の孔224に挿入する。
【0078】
ここで、開口部217hの内径をさらに小さくすれば、球面部231の下方部分が開口部217hから露出する量を減らすことができる。すなわち、ベース21とソケット22との間隔を短くすることが可能であり、この場合、ベース21に対するコネクタ23の揺動範囲を小さくすることができる。
逆に、開口部217hの内径をさらに大きくすれば、球面部231の下方部分が開口部217hから露出する量を増やすことができる。すなわち、ベース21とソケット22との間隔を長くすることが可能であり、この場合、ベース21に対するコネクタ23の揺動範囲を大きくすることができる。
【0079】
その状態において、リング25をコネクタ23の上方からコネクタ23の溝232に嵌め込み、リング25をカバー24の凹部246の周縁部246aに嵌め込んだ後、カバー24の3個の貫通孔241を介して止めネジ245によりベース21にカバー24を取り付ける。
このとき、コネクタ23とカバー24との間に挟み付けられたリング25によって、コネクタ23の揺動を抑えて、コネクタ23を垂下させる付勢力が作用する。
【0080】
その状態において、ソケット22における孔225の大孔225bから固定ネジ19を挿入する。
このとき、固定ネジ19の軸部19bがコネクタ23の中に挿入され、固定ネジ19の軸部19bに形成された雄ネジ溝と、コネクタ23の球面部231における孔237の内周面に形成された雌ネジ溝とを螺合させる。
同時に、固定ネジ19の頭部19aが大孔225bに収容されて、コネクタ23とソケット22とがベース21を間に介して一体に固定される。
【0081】
その後、ソケット22の円筒部222に対してアダプタ部2aと本体部2bとが連結されたシャフト2の上端部、すなわち、アダプタ部2aを下方から挿入し、第1の貫通孔226から六角穴付き止めネジ228を捻じ込むと共に、第2の貫通孔227から六角穴付き止めネジ229を捻じ込む。これにより、支持部材1Aでは、シャフト2をソケット22に対して一体に保持させることができる。かくして、支持部材1Aが組み立てられた状態になる。
最後に、ベース21を天井面3に押し当て、木ネジ212によってベース21を天井面3に固定することにより、支持部材1Aの天井面3に対する取り付けが完了する。
【0082】
以上の構成において、支持部材1Aにおいては、ソケット22にシャフト2が保持されて下方に垂下された状態をデフォルトとし(図9)、横方向からの負荷が加えられた場合、ベース21に対してコネクタ23およびソケット22がシャフト2と共に揺動(図11)する。
すなわち、支持部材1Aでは、横方向からの負荷が加えられてコネクタ23およびソケット22がシャフト2と共に揺動した場合、軸X上の中心点Oを中心として斜めに傾くことにより、横方向からの負荷が軽減されて、天井面3や、シャフト2にぶつかった人への影響を抑制することができる。
このとき、支持部材1Aでは、コネクタ23の球面部231が球体であり、ベース21の穴部215と曲面同志で面接触しているため、緩やか、かつ、滑らかに斜めに傾くことができる。なお、コネクタ23の球面部231とベース21の穴部215とは摺接しているため、衝突音等が発生することもない。
【0083】
また、ベース21に対してコネクタ23およびソケット22がシャフト2と共に揺動した場合、コネクタ23は弾性体から形成されたリング25に当接しているので、コネクタ23はリング25の付勢力に抗して穴部215内を摺動する。これにより、リング25は押し潰されて、元に戻ろうとする弾性力は大きくなり、この弾性力がコネクタ23を押す付勢力となる。
したがって、リング25が弾性変形することにより、コネクタ23を押圧する付勢力がシャフト2やソケット22の自重によるシャフト2の垂下状態への移動を抑制する大きさであれば、シャフト2は傾斜したまま維持された状態となり、後から人の手によって戻すことができる。このとき、リング25がコネクタ23の溝232に出入りする際の感触を感じることができる。
一方、リング25が弾性変形することにより、コネクタ23を押圧する付勢力がシャフト2やソケット22の自重によるシャフト2の垂下状態への移動を抑制できない大きさであれば、シャフト2は自重で垂下状態に戻り、戻る際にリング25はコネクタ23の溝232に嵌まってコネクタ23を付勢するので、シャフト2の垂下状態を保持することができる。
これにより、シャフト2を揺動自在にしつつ、所定以上の外力が作用するまではシャフト2を垂下状態に押さえることができる。
【0084】
一方、支持部材1Aにおいては、横方向からの負荷が加えられていない場合、リング25の付勢力によるコネクタ23の押圧とシャフト2の自重によりシャフト2を下方に垂下させた垂下状態を維持することができる。これにより、物を吊る際にも揺れにくく、作業を安定した状態で行うことができる。
ここで、コネクタ23およびソケット22がシャフト2と共に揺動する角度範囲は、ベース21の山部21bにおける面取部217eがコネクタ23の円筒部236に接触するまでの範囲、または、緩衝部26がベース21の傾斜面21bkに接触するまでの範囲である。
【0085】
また、支持部材1Aは、横方向からの負荷が加えられた状態から加えられなくなった状態に移行した場合、シャフト2には垂下状態に戻ろうとする重力が作用する。
このとき、支持部材1Aでは、コネクタ23の球面部231が球体であり、ベース21の穴部215と曲面同志で面接触しているため、シャフト2を元の垂下状態に戻す際、緩やか、かつ、滑らかに戻すことができる。この場合も、コネクタ23の球面部231とベース21の穴部215とは摺接しているため、衝突音等が発生することもない。
また、支持部材1Aにおいては、シャフト2のアダプタ部2aに対して本体部2bが着脱自在(取り付け、取り外しが自在)になっている。したがって、アダプタ部2aに対して、異なる長さの本体部2bを取り付ければ、天井面3の高さに合わせてシャフト2の長さを自由に変更することができる。
【0086】
なお、吊り具やハンギング装置は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0087】
1,1A…支持部材、2…シャフト、2a…アダプタ部、2b…本体部、3…天井面(取付対象面)、4…連結部材、5…ハンガーパイプ、6…植木鉢(吊り掛け対象物)、7…吊り輪部、8…物干し竿、11,21…ベース、12,22…ソケット、13,23…コネクタ、131,231…球面部、14,24…カバー、15…コイルバネ(付勢部)、26…緩衝材、17…押圧部、25…リング(付勢部)、117h,227h…開口部、232…溝、19…固定ネジ、100…吊り具、200…ハンギング装置。
図1
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図11