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特開2023-141567真偽判別可能な印刷物及び真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141567
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】真偽判別可能な印刷物及び真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/14 20060101AFI20230928BHJP
   B42D 25/30 20140101ALI20230928BHJP
   B42D 25/387 20140101ALI20230928BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B41M3/14
B42D25/30 100
B42D25/387
H04N1/387 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047956
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】木内 正人
【テーマコード(参考)】
2C005
2H113
5C076
【Fターム(参考)】
2C005HA04
2C005HB01
2C005HB02
2C005HB09
2C005HB10
2C005JB13
2C005JB25
2C005JB27
2H113AA04
2H113AA06
2H113BA01
2H113BA05
2H113BB02
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB22
2H113BB23
2H113BC09
2H113CA32
2H113CA34
2H113CA36
2H113CA39
2H113CA40
2H113CA42
2H113CA44
2H113CA45
2H113CA46
2H113DA03
2H113DA04
2H113DA53
2H113DA57
2H113DA62
2H113FA24
5C076AA14
5C076BA06
(57)【要約】
【課題】
文字や記号等パターンの集合により印刷模様が構成され、所定の条件で真偽判別が可能な印刷物において、印刷模様を可視光下で観察した際に視認される図柄を高精細に表現するとともに、潜像を構成するパターンが、可視光下で視認される図柄に影響することがなく隠蔽した真偽判別可能な印刷物を提供する。
【解決手段】
基材に文字、記号等の情報パターンが複数配置された印刷模様を備え、印刷模様は、情報パターンの面積率が部分的に異なることで、可視光下で視認できる第1の有意情報を構成する第1の画像部及び共通画像部と、第1の有意情報の背景となる第2の画像部及び背景部に区分けされ、共通画像部及び第2の画像部を構成する情報パターンは、第1の画像部および背景部と同色であり、所定の観察条件の下で視認できる機能性材料を含むことで、所定の観察条件の下で視認できる第2の有意情報が形成されたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の少なくとも一部に、画線によって情報が現されて成る情報パターンが複数配置された印刷模様を備え、
前記印刷模様は、
前記情報パターンの面積率が部分的に異なることにより、可視光下で視認できる第1の有意情報を構成する第1の画像部及び共通画像部と、前記第1の有意情報の背景となる第2の画像部及び背景部に区分けされ、
前記第1の画像部及び前記背景部を構成する前記情報パターンは、前記基材と異なる色の材料から成る第1の印刷層から成り、
前記共通画像部及び前記第2の画像部を構成する前記情報パターンは、前記第1の印刷層と同じ色であって、所定の観察条件の下で視認できる機能性材料を含む材料から成る第2の印刷層と、前記第1の印刷層が積層されるか又は並置されて成り、
前記第2の印刷層によって、前記所定の観察条件の下で視認できる第2の有意情報が形成されたことを特徴とする真偽判別可能な印刷物。
【請求項2】
前記第1の画像部、前記共通部、前記第2の画像部及び前記背景部の各々の領域に配置される前記情報パターンのうち、少なくとも一つが異なる情報を現して成り、
前記情報パターンは、前記各々の領域において、同じ面積率で形成されたことを特徴とする請求項1記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項3】
前記第1の印刷層は、シアンインキ、マゼンタインキ及びイエローインキの混色によって黒色に形成され、
前記第2の印刷層は、赤外線吸収特性を有するブラックインキによって形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項4】
請求項1から3に記載の真偽判別可能な印刷物を作製するための画像データの作成方法であって、
前記可視光下で視認できる前記第1の有意情報の基となる画像を含む第1の基画像及び前記所定の観察条件で視認される前記第2の有意情報の基となる第2の基画像を同じ画像サイズとして設定する基画像設定工程と、
前記第1の基画像をシャドー側の階調に圧縮するための第1のトーンカーブを適用して第1の濃度補正画像に変換する第1の濃度補正処理と、前記第2の基画像を、前記第1の濃度補正画像の最低濃度以下のハイライト側の階調に圧縮して第2の濃度補正画像に変換する第2の濃度補正処理から成る濃度補正工程と、
前記第1の濃度補正画像及び前記第2の濃度補正画像と同じサイズの画像領域内に、画線によって情報が現された前記情報パターンの基となる第3の基画像を複数配置して情報パターン画像を生成する情報パターン画像生成工程と、
前記情報パターン画像を構成する前記第3の基画像において、前記第1の濃度補正画像と同じ位置関係にある画像の濃度に応じて、前記第3の基画像の画線幅を調整して変換した第1の印刷層用画像データを生成する処理と、前記第2の濃度補正画像と同じ位置関係にある画像の濃度に応じて、前記第3の基画像の画線幅を調整して変換した第2の印刷層用画像データを生成する処理から成る画像データ生成工程から成ることを特徴とする真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止効果を必要とする銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード、通行券等のセキュリティ印刷物の分野において、文字や記号によって形成された印刷模様を所定の観察条件で観察した際に、潜像が視認できる真偽判別可能な印刷物に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
近年のスキャナ、プリンタ、カラーコピー機等のデジタル機器の進展により、セキュリティ印刷物の複製物を容易に作製することが可能となっている。そのような複製や偽造を防止するため、プリンタやコピー機では再現不可能な偽造防止技術が提案されている。
【0003】
プリンタやコピー機では再現不可能な偽造防止技術として、例えば、磁性インキ、蛍光インキ及び赤外線領域において吸収特性を示す赤外線吸収インキ等がある。これらの機能性インキは、特定の光源やセンサを用いなければ、認識できないとともに、一般的なプリンタやコピー機に用いられていないことから、セキュリティ印刷物の偽造を防止することができる。
【0004】
一方で、セキュリティ印刷物は、前述した偽造防止効果のあるインキを用いることで、偽造を防止するだけでなく、セキュリティ印刷物の地紋や彩紋、肖像等の模様や、製造者、製造日、製造ロット等の印刷物の情報を現した文字等と組み合わさることで構成されることがある。
【0005】
その一例として、本出願人は、複数の微小な文字、記号によって構成されて成る印刷模様の一部に、赤外線吸収特性や蛍光発光特性を有する機能性インキを用いた印刷物を提案している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の印刷物は、印刷模様を構成する文字、記号が微小であるため、ルーペで拡大して観察した際に、文字、記号が認識できることで真正な印刷物であることが判定できるとともに、機能性インキによって形成された文字、記号の位置や情報によって、真偽判別を行うことができる。
【0006】
また、本出願人は、文字、ロゴマーク、シンボルマーク等によって連続階調を表現する網点図形を複数形成して可視光下と赤外光下で異なる連続階調模様が視認される印刷物を提案している(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の印刷物は、赤外吸収色素を含まないインキから成る第1の図形(網点)と、金属粉を含むインキから成る第2の図形(網点)を重ね、かつ、網点図形単位で面積が異なることで、連続階調を表現した構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-335085号公報
【特許文献2】特許第4997531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術は、複数の微小な文字、記号のうちの一部を機能性インキによって形成することで、複数の微小文字の全てを機能性インキによって形成する構成よりも、偽造防止効果が高くなるが、微小文字の各々が現す情報、例えば、特許文献1に示される「日」と「本」の文字によって、所定の観察条件で視認される図柄に意図しない濃淡差が生じてしまうという問題があった。具体的には、基材に印刷する面積が広い「本」の文字が、「日」の文字よりも濃く視認される結果となる。これにより、印刷する面積に極端な差がある文字や記号を用いると所定の観察条件で視認される図柄に影響してしまうという問題となる。これを回避するためには、印刷する面積が近い文字や記号を選択して印刷すればよいが、その場合には、微小文字群を構成する文字、記号が制約されてしまうという課題が生じる。
【0009】
また、特許文献2の技術は、網点図形単位で面積が異なることで、可視光下と赤外光下で連続階調を表現した模様が視認されるが、連続階調表現された模様の解像度と表現される階調は、網点図形に依存するものであった。具体的には、特許文献2の網点図形として「太陽」のパターンと、「太陽」のパターン毎に画線面積率の調整を行った例が開示されているが、「太陽」のパターンの中心部と端部の濃淡差が、可視光下で観察される模様に影響し、可視光下で観察される模様において、意図しない部分が淡く表現されるか、反対に、濃く表現される部分が生じるという問題があった。
【0010】
また、特許文献2の技術は、赤外吸収色素を含まないインキから成る第1の図形(網点)の面積を異ならせて配置することで、可視光下で視認される模様の濃淡を表現することができるが、網点画像を構成する第1の図形は、「太陽」のパターンのみで構成されているため、特許文献1のように、拡大して観察した際に、複数の情報を視認できるものではなく、仮に、第1の図形を異なるパターンとした場合、可視光下で視認できる模様と、赤外光下で視認できる模様を、具体的にどのように形成するかについては、特許文献2には開示されていない。
【0011】
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、文字や記号の集合によって印刷模様が構成され、赤外線吸収特性や蛍光発光特性等を用いた真偽判別が可能な印刷物において、印刷模様を可視光下で観察した際に視認される図柄を高精細に表現するとともに、印刷模様を構成する文字、記号等のパターンを異なる情報を現す構成としても、潜像を構成するパターンが、可視光下で視認される図柄に影響することがなく隠蔽した真偽判別可能な印刷物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の真偽判別可能な印刷物は、基材上の少なくとも一部に、画線によって情報が現されて成る情報パターンが複数配置された印刷模様を備え、印刷模様は、情報パターンの面積率が部分的に異なることにより、可視光下で視認できる第1の有意情報を構成する第1の画像部及び共通画像部と、第1の有意情報の背景となる第2の画像部及び背景部に区分けされ、第1の画像部及び背景部を構成する情報パターンは、基材と異なる色の材料から成る第1の印刷層から成り、共通画像部及び第2の画像部を構成する情報パターンは、第1の印刷層と同じ色であって、所定の観察条件の下で視認できる機能性材料を含む材料から成る第2の印刷層と、第1の印刷層が積層されるか又は並置されて成り、第2の印刷層によって、所定の観察条件の下で視認できる第2の有意情報が形成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の真偽判別可能な印刷物は、第1の画像部、共通部、第2の画像部及び背景部の各々の領域に配置される情報パターンのうち、少なくとも一つが異なる情報を現して成り、情報パターンは、各々の領域において、同じ面積率で形成されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の真偽判別可能な印刷物は、第1の印刷層は、シアン、マゼンタ、イエローインキの混色によって黒色に形成され、第2の印刷層は、赤外線吸収特性を有するブラックインキによって形成されたことを特徴とする。
【0015】
また、真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法は、前述した真偽判別可能な印刷物を作製するための画像データの作成方法であって、可視光下で視認できる第1の有意情報の基となる画像を含む第1の基画像及び所定の観察条件で視認される第2の有意情報の基となる第2の基画像を同じ画像サイズとして設定する基画像設定工程と、第1の基画像をシャドー側の階調に圧縮するための第1のトーンカーブを適用して第1の濃度補正画像に変換する第1の濃度補正処理と、第2の基画像を、第1の濃度補正画像の最低濃度以下のハイライト側の階調に圧縮して第2の濃度補正画像に変換する第2の濃度補正処理から成る濃度補正工程と、第1の濃度補正画像及び第2の濃度補正画像と同じサイズの画像領域内に、画線によって情報が現された情報パターンの基となる第3の基画像を複数配置して情報パターン画像を生成する情報パターン画像生成工程と、情報パターン画像を構成する第3の基画像において、第1の濃度補正画像と同じ位置関係にある画像の濃度に応じて、第3の基画像の画線幅を調整して変換した第1の印刷層用画像データを生成する処理と、第2の濃度補正画像と同じ位置関係にある画像の濃度に応じて、第3の基画像の画線幅を調整して変換した第2の印刷層用画像データを生成する処理から成る画像データ生成工程から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の真偽判別可能な印刷物は、文字や記号の集合によって印刷模様が形成され、所定の観察条件の下で、真偽判別するためのパターンが視認できる印刷物であって、印刷模様を可視光下で観察した際に視認される図柄を高精細に表現することができる。
【0017】
また、本発明の真偽判別可能な印刷物は、印刷模様を構成する文字、記号等のパターンを異なる情報を現す構成としても、潜像を構成するパターンが、可視光下で視認される図柄に影響することがなく隠蔽することができる。
【0018】
また、本発明の真偽判別可能な印刷物用の画像データの作成方法によれば、文字や記号の集合によって印刷模様が形成され、所定の観察条件の下で、真偽判別するためのパターンが視認できる印刷物のための画像データを簡単に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明における真偽判別可能な印刷物の構成を示す図である。
図2】本発明における印刷模様の構成を示す図である。
図3】印刷模様を構成する背景部の構成を示す図である。
図4】印刷模様を構成する第1の画像部の構成を示す図である。
図5】印刷模様を構成する第2の画像部の構成を示す図である。
図6】第2の画像部に形成される情報パターンの構成を示す図である。
図7】第2の画像部に形成される情報パターンの別の構成示す図である。
図8】印刷模様を構成する共通画像部の構成を示す図である。
図9】第1の画像部と背景部の境界部分の構成を示す図である。
図10】印刷模様の各部に形成される情報パターンの構成を示す図である。
図11】印刷模様を拡散反射光下と赤外光下で視認される図柄を示す図である。
図12】第2の有意情報を階調画像とした印刷模様の構成を示す図である。
図13】第1の有意情報を階調画像とした印刷模様の構成を示す図である。
図14】第1の有意情報の図柄において、濃淡のある領域の境界を拡大して示す図である。
図15】情報パターンが、異なる文字を現して成る構成を示す図である。
図16】情報パターンが現す他の例を示す図である。
図17】情報パターンを隠蔽するカモフラージュ要素の構成を示す図である。
図18】真偽判別可能な印刷物用画像データの作成装置を示すブロック図である。
図19】真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法を示すフロー図である。
図20】基画像設定工程によって設定された基画像を示す図である。
図21】第1の濃度補正処理によって生成される第1の濃度補正画像を示す図である。
図22】第2の濃度補正処理によって生成される第2の濃度補正画像を示す図である。
図23】情報パターン画像生成工程によって生成される情報パターン画像を示す図である。
図24】第1の印刷層用画像データを生成する処理によって生成された画像データを示す図である。
図25】第1の印刷層用画像データを生成する処理について説明する図である。
図26】情報パターン画像の一部の領域において、第1の印刷層用画像データを生成する処理について説明する図である。
図27】第1の印刷層用画像データの一例である。
図28】第1の濃度補正画像に応じて変換された第1の印刷層用画像データの一例である。
図29】第1の濃度補正画像に応じて変換された第1の印刷層用画像データの別の例である。
図30】情報パターン画像の別の一部の領域において、第1の印刷層用画像データを生成する処理について説明する図である。
図31】第1の印刷層用画像データを生成する処理について説明する別の図である。
図32】第2の印刷層用画像データを生成する処理によって生成された画像データを示す図である。
図33】異なる文字が配置されて成る情報パターン画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0021】
(第1の実施の形態)
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1に、本発明における真偽判別可能な印刷物(以下、「印刷物(1)」という。)を示す。
【0022】
印刷物(1)は、基材(2)の上に、基材(2)と異なる色の印刷模様(3)を有する。本発明に用いる基材(2)には、上質紙、コート紙等の紙材又は、フィルム、プラスティック板等、印刷模様(3)を形成できるものであれば如何なるものであってもよく、材質や外形形状、寸法、色等に関しては限定されるものではない。基材(2)の表面が平坦であると、一般的な印刷機によって印刷模様(3)の加工ができるため好ましいが、曲面の表面を有する基材(2)であっても、印刷模様(3)の加工は可能である。また、図1に示す印刷物(1)は、基材(2)の一部に印刷模様(3)が形成された例であるが、基材(2)全体に印刷模様(3)が形成される構成でもよい。
【0023】
図1の印刷模様(3)内に示す「星」の図柄は、印刷模様(3)を拡散反射光下で観察した際に視認される第1の有意情報の例を示し、「月」の図柄は、印刷模様(3)を所定の観察条件、例えば、赤外光下や紫外光下で観察した際に視認される第2の有意情報の例を示している。第2の有意情報は、例えば、赤外光下や紫外光下で視認できるので、これを印刷物(1)の真偽判別手段として用いることができる。なお、本発明において、第1の有意情報と第2の有意情報が現す図柄は、これに限定されるものではなく、文字、記号や、他の図柄であってもよいし、人物や風景のような多階調画像であってもよい。なお、第2の有意情報が視認できる所定の観察条件の詳細については、後述する。
【0024】
本発明において、印刷模様(3)は、図1の拡大図に示すように、複数の情報パターン(3A)から成り、情報パターン(3A)は、基材(2)と異なる色の材料によって着色され、所望の文字、記号、図形等の情報が画線によって構成されて成る。本発明において、情報パターン(3A)が現す情報は、特に限定されるものではないが、ここでは、情報パターン(3A)が、「A」の文字を現して成る例について説明する。また、本発明において、複数の情報パターン(3A)は、互いに、異なる文字や記号を現す構成としてもよいが、ここでは、全て同じ「A」の文字とした例について説明する。
【0025】
本発明において、情報パターン(3A)の大きさは、特に限定されるものではないが、銀行券やパスポート等のセキュリティ印刷物に印刷模様(3)として形成した場合に、目視によって文字、記号等が確認できるようにするため、幅(第1の方向の大きさ)又は高さ(第2の方向の大きさ)が、500μm以上の大きさとすることが好ましい。なお、500μm以下として、ルーペ等で拡大して観察する構成としてもよい。一方で、情報パターン(3A)の大きさが大きいと、印刷模様(3)から視認できる図柄の解像度が低下することから、3mm以下とすることが好ましい。
【0026】
図1の拡大図に示すように、印刷模様(3)を構成する情報パターン(3A)は、互いに異なる方向(V1、V2)に複数配置される。本実施の形態では、図1の拡大図に示すように、情報パターン(3A)が左右方向と上下方向に、所定のピッチ(P1、P2)で配置された状態を示しているが、斜め方向に配置してもよく(図示せず)、異なる二つの方向に配置されればよい。また、情報パターン(3A)のピッチ(P1)と(P2)は、同じピッチとしてもよいし、異なるピッチとしてもよい。情報パターン(3A)のピッチ(P1、P2)は、特に限定されるものではないが、ピッチ(P1、P2)が大きいと、印刷模様(3)から視認できる図柄の解像度が低下することから、情報パターンの大きさの2倍以下とすることが好ましい。また、銀行券やパスポート等のセキュリティ印刷物に印刷模様(3)として形成した場合、印刷模様(3)から視認できる図柄の解像度が低下しないために、情報パターン(3A)同士の間の距離(ピッチと情報要素の大きさの差)が、1mm以下となる範囲とすることが好ましい。
【0027】
本発明において印刷模様(3)は、基材(2)と異なる色で着色される複数の情報パターン(3A)によって構成されるが、印刷模様(3)のうち、第1の有意情報である「星」の図柄が視認される領域と第2の有意情報である「月」の図柄が視認される領域の各々は、情報パターン(3A)の構成が異なる。以下、印刷模様(3)の詳細について説明する。
【0028】
(各部)
図2(a)から図2(d)は、印刷模様(3)のうち、第1の有意情報である「星」の図柄が視認される領域と第2の有意情報である「月」の図柄が視認される領域の各々を分解して説明する図である。以降、印刷模様(3)を構成する各部のうち、図2(a)に示す第1の有意情報(「星」の図柄)と第2の有意情報(「月」の図柄)の背景となる部位を背景部(3-1)、図2(b)に示す第1の有意情報の一部を現す部位を第1の画像部(3-2)、図2(c)に示す第2の有意情報の一部を現す部位を第2の画像部(3-3)、図2(d)に示す第1の有意情報と第2の有意情報を共通して現す共通画像部(3-4)として説明する。
【0029】
また、背景部(3-1)を構成する情報パターンを符号「3A」、第1の画像部(3-2)を構成する情報パターンを符号「3A」、第2の画像部を構成する情報パターンを符号「3A」、共通画像部(3-4)を構成する情報パターンを符号「3A」として説明する。
【0030】
また、本発明の印刷物(1)は、図2(e)に示すように、可視光下で視認できる図柄の濃淡の境界部分に跨って情報パターン(3A)が形成され(ここでは、「星」の図柄とその背景の境界部分)、可視光下で観察した際に視認される図柄を高精細に表現するために、情報パターン(3A)は、可視光下で観察した際に視認される図柄の領域と背景となる領域を境に、画線幅が異なる。なお、境界部分に形成される情報パターンについては、符号「3A」として説明する。
【0031】
(背景部)
図3は、背景部(3-1)の構成を示す図であり、背景部(3-1)を構成する情報パターン(3A)は、基材(2)と異なる色の材料から成る印刷層(以降、「第1の印刷層(4A)」という。)によって形成される。
【0032】
図3の拡大図に示す情報パターン(3A)の画線幅(W)は、「A」の文字全体において同じであり、複数の情報パターン(3A)においても、画線幅(W)は、同じ構成となっている。本発明において、第1の印刷層(4A)を形成する材料は、基材(2)と異なる色であれば特に限定されるものではなく、市販されている通常のインク及びインキを用いることができる。なお、第1の印刷層(4A)を形成する印刷方式については、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、インクジェット印刷等のあらゆる印刷方式で形成することが可能である。
【0033】
本実施の形態では、第1の印刷層(4A)が、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキで形成された例について説明する。この場合、背景部(3-1)に形成される第1の印刷層(4A)は、情報パターン(3A)が現す「A」の文字に対応して形成され、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキによって、「A」の文字の領域を塗りつぶした構成となっている。
【0034】
(第1の画像部)
図4は、第1の画像部(3-2)の構成を示す図であり、第1の画像部(3-2)を構成する情報パターン(3A)には、背景部(3-1)を形成する材料と同じ材料(本実施の形態は、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキ)から成る第1の印刷層(4A)が形成される。
【0035】
図4の拡大図に示す情報パターン(3A)の画線幅(W)は、「A」の文字全体において同じであり、複数の情報パターン(3A)においても、画線幅(W)は、同じ構成となっている。また、第1の画像部(3-2)に形成される情報パターン(3A)と、背景部(3-1)に形成される情報パターン(3A)の面積率が異なる。なお、本発明において面積率とは、基材(2)の一定の面積の中に、基材(2)と異なる色の材料によって着色された面積の割合のことである。
【0036】
図4に示す拡大図では、第1の画像部(3-2)に形成される情報パターン(3A)の面積率が、背景部(3-1)に形成される情報パターン(3A)の面積率よりも高い構成を示しており、具体的には、第1の画像部(3-2)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)が、背景部(3-1)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)より大きい構成となっている。これにより、面積率の高い第1の画像部(3-2)が、拡散反射光下の観察で濃い色として視認され、この場合、「星」の図柄を現す第1の画像部(3-2)は、背景部(3-1)よりも濃い色として視認される。
【0037】
ここでは、第1の画像部(3-2)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)が、背景部(3-1)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)より大きい例について説明したが、第1の画像部(3-2)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)が、背景部(3-1)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)より小さい構成としてもよく、その場合、この場合、「星」の図柄を現す第1の画像部(3-2)は、背景部(3-1)よりも淡い色として視認される。
【0038】
(第2の画像部)
図5は、第2の画像部(3-3)の構成を示す図であり、第2の画像部(3-3)を構成する情報パターン(3A)は、背景部(3-1)を形成する材料と同じ材料(本実施の形態は、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキ)から成る第1の印刷層(4A)と、所定の観察条件で観察した際に視認できる機能性を有し、かつ、拡散反射光下で観察した際に、第1の印刷層(4A)を形成する材料と同じ色の材料から成る印刷層(以降、「第2の印刷層(5A)」という。)との組合せから成る。
【0039】
図5の拡大図に示す情報パターン(3A)の画線幅(W)は、「A」の文字全体において同じであり、複数の情報パターン(3A)においても、画線幅(W)は、同じ構成となっている。
【0040】
(機能性)
本発明において、第2の印刷層(5A)を形成するための機能性を有する材料としては、例えば、紫外線を照射した際に発光する蛍光材料がある。また、可視光下において、真偽判別可能な印刷物(1)に入射する光の角度と、反射する角度が等しい、正反射光が生じる金、銀、アルミ等の光輝性顔料や、干渉光が生じるパール顔料等がある。また、紫外線下において、紫外線を吸収する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の金属酸化物や、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等がある。また、赤外線下において、赤外線を吸収するチタン酸ニッケル、タングステン酸ニッケル、酸化ネオジウム、酸化鉄等の金属酸化物やカーボンブラックがあり、本発明において、第2の印刷層(5A)を形成する材料は、所定の観察条件で観察した際に視認できる材料であれば、上記した材料に限定されるものではない。これらの機能性を有する材料を含むインキを、第1の印刷層(4A)を形成するインキと同じ色となるように、顔料、染料を適宜配合して、第2の印刷層(5A)を形成するインキとして用いることができる。
【0041】
本実施の形態では、前述した機能性を有する材料を含んだ第2の印刷層(5A)を形成するための材料の具体例として、カーボンブラックを含む黒インキを用いた構成について説明する。以下、本発明の第2の画像部(3-3)の情報パターン(3A)を構成する第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)の一つ目の組合せについて、図6を用いて説明する。
【0042】
図6(a)は、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)の配置を示す図であり、図6(b)は、図6(a)のA-A’線における断面図である。図6に示す構成において、情報パターン(3A)は、第1の印刷層(4A)の一部に第2の印刷層(5A)が積層されて成る。
【0043】
また、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)は、同じ色であり、第1の印刷層(4A)は、情報パターン(3A)が現す「A」の文字を現す構成となっている。上記構成により、第1の印刷層(4A)の一部に第2の印刷層(5A)が積層されても、同じ色であることから、拡散反射光下で観察した際に、第2の印刷層(5A)単独としては視認することができず、第1の印刷層(4A)による、「A」の文字の情報パターン(3A)として視認することができる。
【0044】
一つ目の組合せにおいて、図6(a)では、第2の印刷層(5A)もまた、「A」の文字を現しているが、第1の印刷層(4A)の一部に積層されていればよく、図6(a)に示す構成に限定されるものではない。なお、第2の印刷層(5A)が第1の印刷層(4A)の一部に積層された別の構成については、後述する。また、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)の積層順は、図6(b)とは異なり、第2の印刷層(5A)の上に、第1の印刷層(4A)が積層されてもよい。また、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)の色は、同じ色の第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が積層された際に、目視で第2の印刷層(5A)の境界を目立たなくするために、濃い色、本実施の形態においては、紺色、黒色であることが好ましい。
【0045】
続いて、本発明の情報パターン(3A)を構成する第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)の二つ目の組合せについて、図7を用いて説明する。
【0046】
図7(a)は、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)の配置を示す図であり、図7(b)は、図7(a)のA-A’線における断面図である。図7に示す構成において、情報パターン(3A)は、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が並置されて成り、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)によるパターンの合成によって、「A」の文字を現す構成となっている。
【0047】
図7では、第1の印刷層(4A)によるパターンの内側に、第2の印刷層(5A)が配置された毛抜き合わせの配置となっているが、二つの印刷層(4A、5A)によって、「A」の文字を現す構成であれば、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)の配置は、これに限定されるものではない。また、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)は、同じ色であり、拡散反射光下で観察した際に、その境界を視認することができず、「A」の文字の情報パターン(3A)として視認することができる。
【0048】
二つ目の組合せにおいて、図7(a)では、第2の印刷層(5A)は、「A」の文字を現しているが、これに限定されるものではなく、第1の印刷層(5A)との合成によって、情報パターン(3A)が、所定の文字、記号、図形を現す構成であればよい。
【0049】
本発明において第2の画像部(3-3)は、拡散反射光下で観察した際に、背景部(3-1)と同じ色となって「星」の図柄の背景として視認されるために、第2の画像部(3-3)に形成される情報パターン(3A)と背景部(3-1)に形成される情報パターン(3A)の面積率を等しい構成とする。具体的には、第2の画像部(3-3)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)が、背景部(3-1)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)と同じ構成となっている。
【0050】
本発明において、情報パターン(3A)を構成する第2の印刷層(5A)の面積率は、所定の観察条件で観察した際に視認される第2の有意情報に応じて、変更することができる。ここでは、第2の画像部(3-3)を構成する複数の情報パターン(3A)の全てにおいて、第2の印刷層(5A)が「A」の文字を現し、全て同じ面積率で形成された例について説明するが、第2の印刷層(5A)の面積率を異ならせることによって、所定の観察条件で観察した際に視認される第2の有意情報を階調画像として表現することができる。なお、当該構成については、後述する。
【0051】
(共通画像部)
図8は、共通画像部(3-4)の構成を示す図であり、本実施の形態において共通画像部(3-4)を構成する情報パターン(3A)は、第2の画像部(3-3)と同様に、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキから成る第1の印刷層(4A)とカーボンブラックを含む黒インキから成る第2の印刷層(5A)の組合せから成り、第1の印刷層(4A)の一部に第2の印刷層(5A)が積層される構成又は第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が並置される構成となっている。
【0052】
また、図8の拡大図に示す情報パターン(3A)の画線幅(W)は、「A」の文字全体において同じであり、複数の情報パターン(3A)においても、画線幅(W)は、同じ構成となっている。
【0053】
共通画像部(3-4)は、拡散反射光下で観察した際に、第1の画像部(3-2)と同じ色となって「星」の図柄として視認されるために、共通画像部(3-4)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)と第1の画像部(3-2)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)が等しい構成となっている。
【0054】
本発明において、情報パターン(3A)を構成する第2の印刷層(5A)の面積率もまた、所定の観察条件で観察した際に視認される第2の有意情報に応じて、変更してもよい。第2の画像部(3-3)に形成される情報パターン(3A)と合わせて、第2の印刷層(5A)の面積率を異ならせることで、所定の観察条件で観察した際に視認される第2の有意情報を階調画像として表現することができる。ここでは、共通画像部(3-4)を構成する複数の情報パターン(3A)の全てにおいて、第2の印刷層(5A)が「A」の文字を現し、全て同じ面積率で形成され、かつ、第2の画像部(3-3)の情報パターン(3A)に形成される第2の印刷層(5A)と同じ面積率とした例について説明する。
【0055】
(境界)
図9は、「星」の図柄が視認される領域とその背景となる部位の境界部分に形成される情報パターン(3A)の構成を示す図であり、その一例として、背景部(3-1)と第1の画像部(3-2)の境界部分の構成を示す図である。
【0056】
図9の拡大図に示すように、「星型」の図柄が視認される領域とその背景となる部位の境界部分に形成される情報パターン(3A)は、一つの情報パターン(3A)において、「A」の文字の画線幅が異なり、背景部(3-1)側にある「A」の文字の一部の画線幅(W)は、第1の画像部(3-2)側にある「A」の文字の画線幅(W)よりも小さくなっている。本発明の印刷物(1)は、図9に示すように、一つの情報パターン(3A)において、画線幅が異なることで、「星」の図柄の境界部分を細かく表現することができる。ここでは、背景部(3-1)と第1の画像部(3-2)の境界部分に形成される情報パターン(3A)の構成について説明したが、第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)の境界部分において、「星」の図柄が視認される領域とその背景となる領域に対応して、一つの情報パターン(3A)の画線幅が異なる構成となっている。
【0057】
図10は、以上に説明した印刷模様(3)を構成する各部と情報パターン(3A)の構成を示す図であり、第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)については、第1の印刷層(4A)の一部に第2の印刷層(5A)が積層されて成る構成を例として、本実施の形態の印刷物(1)の効果について説明する。
【0058】
本実施の形態において、背景部(3-1)の情報パターン(3A)は、図10(a)に示すように、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキによって形成され、第1の画像部(3-2)もまた、同じ材料から成る情報パターン(3A)が形成される。
【0059】
この際、図10(b)に示すように、第1の画像部(3-2)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)が、背景部(3-1)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)より大きいことで、第1の画像部(3-2)は、背景部(3-1)よりも濃い色として視認される。
【0060】
また、第2の画像部(3-3)は、図10(c)に示すように、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキから成る第1の印刷層(4A)と、カーボンブラックを含む黒インキから成る第2の印刷層(5A)が形成されるが、同じ黒色であることから、拡散反射光下では、その境界を視認することができない。さらに、第2の画像部(3-3)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)は、背景部(3-1)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)と等しいことから、拡散反射光下で背景部(3-1)と同じ色として視認される。
【0061】
また、共通画像部(3-4)は、図10(d)に示すように、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキから成る第1の印刷層(4A)と、カーボンブラックを含む黒インキから成る第2の印刷層(5A)が形成されるが、同じ黒色であることから、拡散反射光下では、その境界を視認することができない。さらに、共通画像部(3-4)の情報パターン(3A)の画線幅(W)は、第1の画像部(3-2)の情報パターン(3A)の画線幅(W)と等しいことから、拡散反射光下で第1の画像部(3-2)と同じ色として視認される。
【0062】
以上の結果、印刷模様(3)を拡散反射光下で観察すると、図11(a)に示すように、第1の画像部(3-2)と共通画像部(3-4)によって現わされる「星」の図柄は、背景部(3-1)と第2の画像部(3-3)によって現わされる「星」の図柄の背景よりも濃い色で視認される。また、前述のように、本発明の印刷模様(3)は、第1の有意情報(本実施の形態では、「星」の図柄)が視認される領域とその背景となる領域に対応して、一つの情報パターン(3A)の画線幅が異なる構成となっているため、第1の有意情報の図柄を細かく表現することができる。なお、図11(a)の拡大図に示すように、印刷模様(3)全体にわたって「A」の文字を視認することができる。
【0063】
次に、印刷模様(3)に赤外線を照射して、赤外カメラを用いて観察すると、図10に示すシアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキから成る第1の印刷層(4A)は、赤外線を透過して赤外カメラによって視認することができない。一方、カーボンブラックを含む黒色のインキから成る第2の印刷層(5A)は、赤外線を吸収して、赤外カメラによって暗く視認することが確認でき、図11(b)に示すように、第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)によって現わされる「月」の図柄を視認することができる。なお、本実施の形態において、第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)に形成される第2の印刷層(5A)の面積率が同じであることから、図11(b)に示すように、一様な濃度の「月」の図柄を視認することができる。また、本実施の形態では、図11(b)の拡大図に示すように、赤外線カメラを用いて観察すると、第2の印刷層(5A)が現す「A」の文字を視認することができる。
【0064】
本実施の形態では、第1の印刷層(4A)を形成する材料と第2の印刷層(5A)を形成する材料に、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを混合した黒色のインキと、カーボンブラックを含む黒インキを用いる例について説明したが、これらのインキは、プロセスインキとして一般的に用いられていて安価であるとともに、一般的なレーザープリンタ、インクジェットプリンタをそのまま用いることで、印刷物(1)を作製できることから好ましい。
【0065】
本実施の形態では、第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)に形成される第2の印刷層(5A)の面積率を同じ構成とすることで、一様な濃度の第2の有意情報が視認できる例について説明したが、第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)に形成される第2の印刷層(5A)の面積率を部分的に異ならせることで、第2の有意情報を階調画像として表現することができ、その例について、図12を用いて説明する。
【0066】
図12(a)は、「月」の図柄において、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなる構成の第2の有意情報を示している。前述のように、第2の有意情報は、第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)によって現わされ、図12(a)に示す各部の濃度に対応して、第2の画像部(3-3)の情報パターン(3A)と共通画像部(3-4)の情報パターン(3A)を構成する第2の印刷層(5A)の面積率が異なる。
【0067】
具体的に図12(b)は、図12(a)に示す第2の画像部(3-3)の太線で囲む領域の拡大図である。ここでは、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が積層されて成る構成の情報パターン(3A)の例について説明する。図12(b)の拡大図に示すように、複数の情報パターン(3A)において、第2の印刷層(5A)の面積率が異なり、上側から下側に向かって第2の印刷層(5A)の面積率が高くなっている。図12(b)では、第2の印刷層(5A)の面積率が異なる構成として、「A」の文字の一部に沿って形成された第2の印刷層(5A)の長さが徐々に長くなる構成について示しているが、その幅が大きくなる構成でもよい(図示せず)。また、情報パターン(3A)の領域内に、第2の印刷層(5A)を複数設けて、面積率を異ならせてもよい(図示せず)。
【0068】
また、図12(c)は、図12(a)に示す共通画像部(3-4)の点線で囲む領域の拡大図である。ここでは、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が積層されて成る構成の情報パターン(3A)の例について説明する。図12(c)の拡大図に示すように、複数の情報パターン(3A)において、第2の印刷層(5A)の面積率が異なり、上側から下側に向かって第2の印刷層(5A)の面積率が高くなっている。なお、図12(a)に示す「月」の図柄において、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなる構成の第2の有意情報に対応して、点線で囲む領域の共通画像部(3-4)は、太線で囲む第2の画像部(3-3)よりも、第2の印刷層(5A)の面積率が高くなっている。
【0069】
図12(d)は、図12(a)に示す第2の画像部(3-3)の破線で囲む領域の拡大図である。ここでは、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が積層されて成る構成の情報パターン(3A)の例について説明する。図12(d)の拡大図に示すように、複数の情報パターン(3A)において、第2の印刷層(5A)の面積率が異なり、上側から下側に向かって第2の印刷層(5A)の面積率が高くなっている。なお、図12(a)に示す「月」の図柄において、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなる構成の第2の有意情報に対応して、破線で囲む領域の第2の画像部(3-3)は、点線で囲む共通画像部(3-4)よりも、第2の印刷層(5A)の面積率が高くなっている。
【0070】
本発明において、階調のある第2の有意情報を形成する際には、拡散反射光下で視認される第1の有意情報に影響を与えないように、印刷模様(3)を構成する情報パターン(3A)のうち、面積が最も小さい情報パターン(3A)内に、第2の印刷層(5A)を形成することができる大きさの範囲で、第2の印刷層(5A)を設ける必要がある。例えば、図10に示す各部の情報パターン(3A、3A、3A、3A)において、面積が最も小さいのは、背景部(3-1)の情報パターン(3A)と、第2の画像部(3-3)の情報パターン(3A)であって、このうち、第2の印刷層(5A)が形成される第2の画像部(3-3)においては、情報パターン(3A)の範囲内で、任意に第2の印刷層(5A)の面積を異ならせることができる。また、共通画像部(3-4)においては、情報パターン(3A)の面積うち、情報パターン(3A)の面積に相当する範囲内において、第2の印刷層(5A)の面積を異ならせることができる。
【0071】
図12においては、「月」の図柄において、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなる構成の第2の有意情報について説明したが、本発明においては、所望とする第2の有意情報の階調に応じて、第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)の情報パターン(3A、3A)の領域内に形成する第2の印刷層(5A)の面積率を異ならせればよい。
【0072】
図12(c)及び図12(d)に示す情報パターン(3A、3A)は、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が積層されて成る構成の例であるが、段落(0037)及び図7で説明したように、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が並置される構成でもよく、第2の有意情報を階調画像とする場合、情報パターン(3A、3A)に形成する第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)の面積率を調整すればよい。
【0073】
図12においては、第2の有意情報を階調画像とする場合において、第2の印刷層(5A)の面積率を調整する例について説明したが、本発明において、第2の有意情報(ここでは、「月」の図柄)とその背景の境界部分に情報パターン(3A、3A)を形成し、第2の有意情報の境界に応じて、第2の印刷層(5A)を設けることで、第2の有意情報の再現性を向上させることができる。
【0074】
本実施の形態では、拡散反射光下で観察した際に、「星」の図柄の第1の有意情報が、一様な濃度で視認される例について説明したが、本発明の印刷物(1)は、拡散反射光下で視認できる第1の有意情報を階調画像として表現することができ、具体的な構成について、図13を用いて説明する。
【0075】
図13(a)は、「星」の図柄において、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなる構成の第1の有意情報を示している。前述のように、第1の有意情報は、第1の画像部(3-2)と共通画像部(3-4)によって現わされ、図13(a)に示す各部の濃度に対応して、第1の画像部(3-2)に形成される情報パターン(3A)と共通画像部(3-4)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W、W)が異なる。
【0076】
具体的に図13(b)は、図13(a)に示す第1の画像部(3-2)の太線で囲む領域の拡大図である。図13(a)に示す「星」の図柄の第1の有意情報が、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなることに対応して、図13(b)に示すように、第1の画像部(3-2)に形成される情報パターン(3A)の画線幅(W)が異なり、図13(b)に示す情報パターン(3A)は、上側から下側に向かって画線幅(W)が大きい構成となっている。
【0077】
また、図13(c)は、図13(a)に示す共通画像部(3-4)の点線で囲む領域の拡大図である。ここでは、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が積層されて成る構成の情報パターン(3A)の例について説明する。なお、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が積層されて成る構成の情報パターン(3A)は、第2の印刷層(5A)が第1の印刷層(4A)と同じ色であり、実質的に、第1の印刷層(4A)によって、「A」の文字が現されることから、図13(c)では、第1の印刷層(4A)のみを図示している。
【0078】
図13(c)の拡大図に示すように、共通画像部(3-4)もまた、「星」の図柄の第1の有意情報が、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなることに対応して、情報パターン(3A)の画線幅(W)が異なり、上側から下側に向かって情報パターン(3A)の画線幅(W)が大きくなっている。また、図13(a)に示す「星」の図柄において、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなる構成の第1の有意情報に対応して、点線で囲む領域の共通画像部(3-4)は、太線で囲む第1の画像部(3-2)よりも、情報パターン(3A)の画線幅(W)が大きくなっている。
【0079】
図13(d)は、図13(a)に示す第1の画像部(3-2)の破線で囲む領域の拡大図である。図13(d)の拡大図に示すように、破線で囲む領域の第1の画像部(3-2)もまた、上側から下側に向かって情報パターン(3A)の画線幅(W)が大きくなっている。なお、図13(a)に示す「月」の図柄において、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなる構成の第1の有意情報に対応して、破線で囲む領域の第1の画像部(3-2)は、点線で囲む共通画像部(3-4)よりも、情報パターン(3A)の面積率が大きくなっている。
【0080】
このように、第1の画像部(3-2)に形成する情報パターン(3A)と共通画像部(3-4)に形成する情報パターン(3A)の面積率を異ならせることにより、印刷模様(3)において相対的に情報パターン(3A)の面積率の高い領域は、濃い色で視認され、相対的に面積率が低い領域は、淡い色で視認されることで、第1の有意情報を階調表現することができる。図13においては、「星」の図柄において、上側から下側に向かって、徐々に濃度が濃くなる構成の第1の有意情報について説明したが、本発明においては、所望とする第1の有意情報の階調に応じて、第1の画像部(3-2)と共通画像部(3-4)に形成する情報パターン(3A)の面積率を異ならせればよい。
【0081】
ここでは、図13(c)に示す情報パターン(3A)が、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が積層されて成る構成について説明したが、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が並置される構成においては、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)によって、図12(c)に示す情報パターン(3A)を着色することで、同様の効果を得ることができる(図示せず)。
【0082】
図13では、情報パターン(3A、3A)毎に、画線幅(W、W)が異なる例について説明したが、本発明では、拡散反射光下で観察した際に視認される第1の有意情報の濃淡に応じて、一つの情報パターン(3A)内において、画線幅が異なってもよい。
【0083】
図14(a)は、拡散反射光下で観察した際に視認される第1の有意情報の図柄において、濃淡のある領域の境界部分を拡大して示す図であり、左側の領域(E1)は、濃度の濃い部分に対応し、右側の領域(E2)は、濃度が淡い部分に対応した例である。このとき、濃淡のある領域の境界部分に配置された情報パターン(3A)は、一つの情報パターン内(3A)において、「A」の文字の画線幅が異なり、図14(a)に示す濃淡の境界の左側にある情報パターンの一部は(3A)の画線幅が大きく、濃淡の境界の右側にある情報パターン(3A)の残りの一部は、画線幅が小さくなっている。
【0084】
また、図14(b)は、拡散反射光下で観察した際に視認される第1の有意情報の一部の領域において、四つの濃度が異なる領域(E1からE4)に対応して、情報パターン(3A)の画線幅を部分的に異ならせた構成を示したものである。このように、第1の有意情報の図柄の濃淡に応じて、情報パターン(3A)の画線幅を部分的に異ならせることで、可視光下で観察した際に視認される図柄の再現性を高くすることができる。なお、図14に示す情報パターン(3A)において、第2の印刷層(5A)を形成すると共通画像部(3-4)に対応した構成となり、第1の印刷層(4A)のみで形成すると第1の画像部(3-2)に対応した構成となる。
【0085】
続いて、印刷模様(3)を構成する情報パターン(3A)が、異なる文字を現す構成について、説明する。なお、印刷模様(3)は、図1に示すように、第1の有意情報は、「星」の図柄であり、第2の有意情報は、「月」の図柄とし、それぞれが、一様な濃度の図柄として視認される場合の、各部に形成される情報パターン(3A)の構成について説明する。
【0086】
図15(a)は、背景部(3-1)を構成する情報パターン(3A)の構成を示す図であり、図15(a)の拡大図に示すように、情報パターン(3A)は、それぞれ、「J」、「A」、「P」、「A」、「N」の文字を現して成る例を示している。なお、「JAPAN」の文字を現す情報パターン(3A)は、図15(a)の拡大図に示す領域だけでなく、背景部(3-1)全体に、所定のピッチ(P1、P2)で繰り返して配置されているものとする。
【0087】
図15(a)の拡大図において、「J」の文字を現す情報パターンを符号「3A-1」、「A」の文字を現す情報パターンを符号「3A-2」、「P」の文字を現す情報パターンを符号「3A-3」、「A」の文字を現す情報パターンを符号「3A-4」、「N」の文字を現す情報パターンを符号「3A-5」とすると、拡散反射光下で、一様な濃度の背景として視認されるために、各情報パターン(3A-1、3A-2、3A-3、3A-4、3A-5)の面積率が等しい構成、すなわち、各情報パターン(3A-1、3A-2、3A-3、3A-4、3A-5)が現す文字は異なるが、各情報パターン(3A-1、3A-2、3A-3、3A-4、3A-5)の面積が等しい構成となっている。例えば、「J」の文字を構成する画線の長さが、「A」の文字を構成する画線の長さより短い場合には、「J」の文字の画線幅を、「A」の文字の画線幅より大きくして、異なる文字を現す情報パターン(3A)の一つ一つを同じ面積となるように形成すればよい。なお、異なる文字の一つ一つを同じ面積で形成する方法については、後述する本発明の真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法において説明する。
【0088】
図15(b)は、第1の画像部(3-2)を構成する情報パターン(3A)の構成を示す図であり、図15(b)の拡大図に示すように、情報パターン(3A)は、それぞれ、「J」、「A」、「P」、「A」、「N」の文字を現して成る例を示している。なお、「JAPAN」の文字を現す情報パターン(3A)は、図15(b)の拡大図に示す領域だけでなく、第1の画像部(3-2)全体に、所定のピッチ(P1、P2)で配置されているものとする。
【0089】
図15(b)の拡大図において、「J」の文字を現す情報パターンを符号「3A-1」、「A」の文字を現す情報パターンを符号「3A-2」、「P」の文字を現す情報パターンを符号「3A-3」、「A」の文字を現す情報パターンを符号「3A-4」、「N」の文字を現す情報パターンを符号「3A-5」とすると、拡散反射光下で、「星」の図柄が一様な濃度として視認されるために、各情報パターン(3A-1、3A-2、3A-3、3A-4、3A-5)を着色する第1の印刷層(4A)の面積率が等しい構成、すなわち、文字の形状はそれぞれ異なるが、各情報パターン(3A-1、3A-2、3A-3、3A-4、3A-5)の面積は等しい構成となっている。また、「星」の図柄がその背景よりも濃い色で視認されるために、図15(b)に示す情報パターン(3A)の面積率は、図15(a)に示す情報パターン(3A)の面積率よりも高くなっている。
【0090】
図15(b)は、第1の画像部(3-2)に形成される各情報パターン(3A-1、3A-2、3A-3、3A-4、3A-5)の面積率が等しい構成を示しているが、所望とする第1の有意情報の階調に応じて、情報パターン(3A)毎に面積を異ならせてもよい。
【0091】
図15(c)は、第2の画像部(3-3)を構成する情報パターン(3A)の構成を示す図であり、図15(c)の拡大図に示すように、情報パターン(3A)は、それぞれ、「J」、「A」、「P」、「A」、「N」の文字を現して成る例を示している。なお、「JAPAN」の文字を現す情報パターン(3A)は、図15(c)の拡大図に示す領域だけでなく、第2の画像部(3-3)全体に、所定のピッチ(P1、P2)で配置されているものとする。図15(c)に示す第2の画像部(3-3)を構成する情報パターン(3A)には、実際には、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が形成されて成るが、ここでは、説明を省略し、拡散反射光下において、視認される情報パターン(3A)の構成について説明する。
【0092】
図15(c)の拡大図において、「J」の文字を現す情報パターンを符号「3A-1」、「A」の文字を現す情報パターンを符号「3A-2」、「P」の文字を現す情報パターンを符号「3A-3」、「A」の文字を現す情報パターンを符号「3A-4」、「N」の文字を現す情報パターンを符号「3A-5」とすると、拡散反射光下で、「星」の図柄の背景が一様な濃度として視認されるために、各情報パターン(3A-1、3A-2、3A-3、3A-4、3A-5)の面積が等しく、かつ、背景部(3-1)の情報パターン(3A)の面積と等しい構成となっている。
【0093】
図15(d)は、共通画像部(3-4)を構成する情報パターン(3A)の構成を示す図であり、図15(d)の拡大図に示すように、情報パターン(3A)は、それぞれ、「J」、「A」、「P」、「A」、「N」の文字を現して成る例を示している。なお、「JAPAN」の文字を現す情報パターン(3A)は、図15(d)の拡大図に示す領域だけでなく、共通画像部(3-4)全体に、所定のピッチ(P1、P2)で配置されているものとする。図15(d)に示す共通画像部(3-4)を構成する情報パターン(3A)には、実際には、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が形成されて成るが、ここでは、説明を省略し、拡散反射光下において、視認される情報パターン(3A)の構成について説明する。
【0094】
図15(d)の拡大図において、「J」の文字を現す情報パターンを符号「3A-1」、「A」の文字を現す情報パターンを符号「3A-2」、「P」の文字を現す情報パターンを符号「3A-3」、「A」の文字を現す情報パターンを符号「3A-4」、「N」の文字を現す情報パターンを符号「3A-5」とすると、拡散反射光下で、「星」の図柄が一様な濃度として視認されるために、各情報パターン(3A-1、3A-2、3A-3、3A-4、3A-5)の面積が等しく、かつ、第1の画像部(3-2)の情報パターン(3A)の面積と等しい構成となっている。
【0095】
図15(d)は、共通画像部(3-4)の情報パターンの(3A-1、3A-2、3A-3、3A-4、3A-5)の面積が等しい構成を示しているが、第1の画像部(3-2)と同様に、共通像部(3-4)の情報パターンの面積を異ならせることで、第1の有意情報を階調画像として表現することができ、所望とする第1の有意情報の階調に応じて、異なる文字を現して成る情報パターン(3A)毎に面積を異ならせて形成すればよい。
【0096】
図15では、「JAPAN」の文字を現す情報パターン(3A)が繰り返して配置される例について説明したが、異なる文字を現して成る情報パターン(3A)の一つ一つを同じ面積として複数配置してもよい。
【0097】
特許文献1の技術のように、異なる情報を現す微小文字を複数配置して印刷模様を形成する場合、文字毎に面積が異なることで、印刷模様に意図しない濃淡が生じてしまう場合があるが、図15に示すように、異なる文字を現して成る情報パターン(3A、3A、3A、3A)毎に同じ面積で形成することで、印刷模様(3)を構成する各部の濃度を、一様な濃度として表現することができることから好ましい。なお、図13に示すように、第1の有意情報の濃淡に応じて、情報パターン(3A)の画線幅を異ならせる構成と同様にして、異なる情報を現す情報パターン(3A)毎に、画線幅を異ならせて、第1の有意情報の濃淡を表現してもよい。
【0098】
情報パターン(3A)が、異なる文字を現す構成の場合、情報パターン(3A)が現す文字によって、文字が配置される方向の大きさが変わり、一定のピッチで配置した場合に、印刷模様(3)から視認される図柄の解像度が低下する場合がある。例えば、数字の「2」と数字の「1」を交互に配置する場合、「1」の文字の幅が細いことで、「2」と「1」の間が空いてしまうこととなる。その場合には、情報パターン(3A)同士の間隔が一定となるように配置することで、印刷模様(3)から視認される図柄の解像度が低下することを抑えることができる。
【0099】
本実施の形態において、印刷模様(3)を構成する情報パターン(3A)が文字を現して成る構成ついて説明したが、図16(a)に示すように、情報パターン(3A)が記号を現して成る構成でもよいし、図16(b)に示すように、情報パターン(3A)が図形を現して成る構成でもよい。また、図16(c)に示すように、文字、記号、図形を現して成る情報パターン(3A)としてもよい。また、図15に示す背景部(3-1)、第1の画像部(3-2)、第2の画像部(3-3)及び共通画像部(3-4)を構成する情報パターン(3A)は、「JAPAN」の文字を現して成る例について説明したが、情報パターン(3A)が現す文字、記号、図形等の情報は、各部(3-1、3-2、3-3、3-4)毎に異なる情報としてもよい。
【0100】
(カモフラージュパターン)
本発明において、印刷模様(3)を構成する情報パターン(3A)が現す情報が視認され難くするために、図17に示すように、第1の印刷層(4A)と同じ色の材料から成るカモフラージュ要素(6A)を設けてもよい。
【0101】
図17に示すように、情報パターン(3A)同士の間に、第1の印刷層(4A)と同じ色のカモフラージュ要素(6A)を設けることにより、印刷模様(3)から離れて観察する際の、「A」の文字の隠蔽性を向上することができる。図17に示す構成の印刷物(1)は、単純に、本発明の情報パターン(3A)のみを真似て印刷模様(3)を形成した偽造品に対する、一つの真偽判別機能となり、偽造防止効果に優れる形態である。
【0102】
また、第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)に、カモフラージュ要素(6A)を設ける構成において、第2の印刷層(5A)を形成する材料(第1の印刷層と同じ色)を、カモフラージュ要素(6A)に重ねて形成するか、又は、第2の印刷層(5A)を形成する材料によってカモフラージュ要素(6A)を形成して、第2の印刷層(5A)を備えて成る情報パターン(3A、3A)同士の間を埋めることにより、特定の観察条件で観察した際に視認できる第2の有意情報の視認性を向上させることができる。
【0103】
(真偽判別可能な印刷物用画像データの作成装置)
図18は、真偽判別可能な印刷物用画像データの作成装置(M)の構成を示すブロック図であり、図18に示す真偽判別可能な印刷物用画像データの作成装置(M)は、入力手段(M1)、編集手段(M2)、通信インターフェース(M3)、データベース(M4)及び表示手段(M5)を備える。なお、表示手段(M5)は、真偽判別可能な印刷物用画像データの作成に必須の構成とするものではない。また、図18に示す印刷手段(P)は、真偽判別可能な印刷物用画像データの作成装置(M)によって作成されたデータを基に、基材(2)に印刷模様(3)を印刷する手段であって、真偽判別可能な印刷物用画像データの作成に必須の構成とするものではないが、印刷手段(P)を後述するレーザープリンタ、インクジェットプリンタによって構成して、真偽判別可能な印刷物用画像データの作成装置(M)と接続して用いることで、データの生成から真偽判別可能な印刷物(1)の作製までを一つの装置として行うことができる。
【0104】
(入力手段)
入力手段(M1)は、不可視画像入力手段(M1a)、可視画像入力手段(M1b)、テキスト入力手段(M1c)及び情報入力手段(M1d)とで構成される。不可視画像入力手段(M1a)は、所定の観察条件で観察した際に視認される第2の有意情報の基となる画像(以下、「第2の基画像(20)」という。)を入力する手段である。また、可視画像入力手段(M1b)は、可視光下で肉眼視した際に観察される第1の有意情報の基となる画像(以下、「第1の基画像(10)」という。)を入力する手段である。第1の基画像(10)及び第2の基画像(20)の入力は、デジタルカメラによる撮像、スキャナによるスキャニング等や、データベース(M4)又は通信インターフェース(M3)によって接続された外部のデータベースサーバに、予め記憶された画像を読み出して行う。なお、不可視画像入力手段(M1a)あるいは可視画像入力手段(M1b)が、マウス、キーボード等によって構成され、Adobe(登録商標)社製の画像処理ソフトウェアであるPhotoshop(登録商標)の画像処理ソフトを用いて、直接、第1の基画像(10)及び第2の基画像(20)を作成してもよい。
【0105】
テキスト入力手段(M1c)は、印刷模様(3)を構成する情報パターン(3A)が現す文字や記号の情報を入力する手段である。情報パターン(3A)が現す文字や記号の情報の入力は、キーボードによる打ち込み等や、データベース(M4)又は通信インターフェース(M3)によって接続された外部のデータベースサーバに、予め記憶された文字や記号を読み出して行う。
【0106】
情報入力手段(M1d)は、マウス、キーボード等によって構成され、編集手段(M2)で用いる濃度補正の値の入力や、各画像処理を実行する指示の入力を行ってもよい。
【0107】
(編集手段)
図18に示す編集手段(M2)は、グレースケール変換手段(M2a)、トーンカーブ調整手段(M2b)、テキストパターン変換手段(M2c)、画像データ生成手段(M2d)及び合成手段(M2e)を有する。
【0108】
グレースケール変換手段(M2a)では、不可視画像入力手段(M1a)により入力した第2の基画像(20)と可視画像入力手段(M1b)により入力した第1の基画像(10)が、RGB画像、モノクロの2値画像の場合、グレースケール画像(8bit)に変換する。
【0109】
トーンカーブ調整手段(M2b)では、グレースケール画像(8bit)の第1の基画像(10)と第2の基画像(20)の濃度補正を行う。
【0110】
テキストパターン変換手段(M2c)では、テキスト入力手段(M1c)により得られた文字や記号等の第3の基画像(30)を繰り返して配置し、連続階調を有する複数ビット形式ビットマップ画像からなる情報パターン画像(31)に変換する。
【0111】
画像データ生成手段(M2d)では、トーンカーブ調整後の各画像データと情報パターン画像(31)を用いて、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)を形成するための画像データを生成する。
【0112】
合成手段(M2e)では、画像データ生成手段(M2d)で得られた第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)を形成するための画像データを合成する。
【0113】
(他の手段)
印刷手段(P)は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ等のコンピュータからの画像を印刷可能な印刷装置や真偽判別可能な印刷物用画像データの作成装置(M)が作成した画像データを基に、公知の製版方法により製版した版面を用いるオフセット印刷、凸版印刷等の印刷機構を備えた印刷機であり、特に限定されるものではない。表示手段(M5)は、パソコンのモニタ、専用のモニタ等、特に限定されるものではない。また、通信インターフェース(M3)は、USB、RS-232C、IEEE1394等、特に限定されるものではない。
【0114】
(真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法)
次に、前述した作成装置(M)を用いて真偽判別可能な印刷物用画像データを作成する方法について、図19を用いて説明する。なお、印刷模様(3)を構成する情報要素(3A、3A)が、第1の印刷層(4A)の上に、第2の印刷層(5A)が重なって成る構成の印刷物(1)を形成するためのデータの作成方法について説明する。また、本発明の偽造防止印刷物用データの作成方法について、分かり易く説明するため、第1の印刷層(4A)をシアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキにより形成し、第2の印刷層(5A)を、カーボンブラックを含む黒インキインキにより形成する例について説明する。
【0115】
(基画像設定工程)
図19に示す符号(S1)は、真偽判別可能な印刷物用画像データの作成装置(M)の可視画像入力手段(M1b)により、第1の有意情報の基となる画像を含む第1の基画像(10)のデータをグレースケール画像の形式で設定する第1の基画像設定工程(S1-1)と、不可視画像入力手段(M1a)により、第2の有意情報の基となる第2の基画像(20)のデータをグレースケール画像の形式で設定する第2の基画像設定工程(S2-1)から成る工程(以降、「基画像設定工程(S1)」という。)である。なお、第1の基画像(10)は、第1の印刷層(4A)を形成するために加工する画像データに対応し、第2の基画像(20)は、第2の印刷層(5A)を形成するために加工する画像データに対応している。
【0116】
本実施の形態では、図20(a)に示すように、第1の有意情報は、階調を有する風景画像であり、その背景を含む画像を第1の基画像(10)として設定し、図20(b)に示すように、階調を有する顔画像を第2の基画像(20)として設定した例について説明するが、設定する基画像の構成は、これに限定されるものではない。例えば、印刷物(1)の構成で説明した第1の有意情報のように、第1の基画像(10)においては、「星」の図柄とその背景のそれぞれで、一様な濃度を有する画像でもよい。また、第2の基画像(20)においては、印刷物(1)の構成で説明した第2の有意情報のように、「月」の図柄が一様な濃度を有する画像でもよい。
【0117】
図20(c)は、図20(a)に示す第1の基画像(10)と図20(b)に示す第2の基画像(20)に対応した印刷模様(3)を構成する各領域について示す図である。図20(a)に示す第1の基画像(10)において、「風景画像」の第1の有意情報は、図20(c)に示す第1の画像部(3-2)と共通画像部(3-4)に対応しており、第1の基画像(10)は、第1の有意情報の背景となる領域(3-1、3-3)を含んだ画像となっている。
【0118】
また、図20(b)に示す「顔画像」の第2の有意情報は、図20(c)に示す第2の画像部(3-3)と共通画像部(3-4)に対応している。このように、第1の基画像(10)は、第1の印刷層(4A)が形成される印刷模様(3)を構成する各領域(3-1、3-2、3-3、3-4)に対応した画像となっており、第2の基画像(20)は、第2の印刷層(5A)が形成される各領域(3-3、3-4)に対応した画像となっている。
【0119】
第1の基画像(10)と第2の基画像(20)の設定は、不可視画像入力手段(M1a)と可視画像入力手段(M1b)により、デジタルカメラによる撮像や、予めデータベース(M4)に登録された画像の読み出し等によって行う。不可視画像入力手段(M1a)と可視画像入力手段(M1b)により入力された画像がグレースケール画像(8bit)の場合、そのまま第1の基画像(10)と第2の基画像(20)として設定し、仮にRGB画像、モノクロの2値画像の場合、グレースケール変換手段(M2a)によりグレースケール画像(8bit)に変換して第1の基画像(10)と第2の基画像(20)として設定する。なお、グレースケール変換手段(M2a)が行う処理は、例えば、Adobe(登録商標)社製の画像処理ソフトウェアであるPhotoshop(登録商標)のモード変換処理機能を用いて行うことができる。第1の基画像(10)と第2の基画像(20)は、同じ解像度の画像(縦横の画素数が同じ)を設定する必要があり、入力された画像の解像度が異なる場合は、解像度を変更して、同じ解像度の画像とすればよい。解像度を変更する処理は、PhotoShop(登録商標)の解像度変更機能により行うことができる。
【0120】
(濃度補正工程)
図19に示す符号(S2)は、第1の基画像(10)のデータに、第1の濃度補正処理(S2-1)を行って、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキによって形成する第1の印刷層(4A)に対応した第1の濃度補正画像(11)の生成と、第2の基画像(20)のデータに、第2の濃度補正処理(S2-2)を行って、カーボンブラックを含む黒インキインキによって形成する第2の印刷層(5A)に対応した第2の濃度補正画像(21)の生成を行う工程(以降、「濃度補正工程(S2)」という。)である。
【0121】
(第1の濃度補正処理)
第1の濃度補正処理(S2-1)は、シャドー側の階調に第1の基画像(10)の濃度を圧縮する処理を行う。具体的には、図21(a)に示す第1の基画像(10)を、図21(b)に示す第1のトーンカーブ(T1)を適用して、図21(c)に示す第1の濃度補正画像(11)を生成する。図21(b)は、シャドー側の階調に第1の基画像(10)の濃度を圧縮する第1のトーンカーブ(T1)の一例であり、第1の基画像(10)における網点面積率の0%を20%とし、第1の基画像(10)の網点面積率の100%を100%とする2点を直線で結び、濃度変換するための変換式に相当する。図21(b)に示す第1のトーンカーブ(T1)を適用することにより、第1の基画像(10)は、濃度が圧縮されるとともに、画像全体が暗いシャドー側の第1の濃度補正画像(11)に変換される。なお、第1の濃度補正処理(S2-1)として、図21(b)に示すトーンカーブを適用(設定)する処理は、例えば、Adobe(登録商標)社製の画像処理ソフトウェアであるPhotoshop(登録商標)のトーンカーブの変更機能を用いて所定のトーンカーブを設定することで可能であり、本発明のトーンカーブ調整手段(M2b)は、当該機能を用いればよく、第2の濃度補正処理(S2-2)においても、これと同様である。
【0122】
(第2の濃度補正処理)
第2の濃度補正処理(S2-2)は、第1の濃度補正画像(11)の最低濃度以下のハイライト側の階調に第2の基画像(20)の濃度を圧縮する処理を行う。具体的には、図22(a)に示す第2の基画像(20)を、図22(b)に示す第2のトーンカーブ(T2)を適用して、図22(c)に示す第2の濃度補正画像(21)を生成する。図22(b)は、第1の濃度補正画像(11)の最低濃度以下のハイライト側の階調に圧縮する第2のトーンカーブ(T2)の一例であり、第2の基画像(20)における網点面積率の0%を0%とし、第2の基画像(20)の網点面積率の100%を20%とする2点を直線で結び、濃度変換するための変換式に相当する。図22(b)に示す第2のトーンカーブ(T2)を適用することにより、第2の基画像(20)は、濃度が圧縮されるとともに、画像全体が明るいハイライト側の第2の濃度補正画像(21)に変換される。
【0123】
濃度補正工程(S2)においては、第2の濃度補正画像(21)の最大面積率(ここでは、20%)が、第1の濃度補正画像(11)の最低面積率(ここでは、20%)以下として、濃度補正する必要がある。これは、第1の濃度補正画像(11)を基に形成する第1の印刷層(4A)の上に、第2の濃度補正画像(21)を基に形成する第2の印刷層(5A)を重ねて形成するためである。ここでは、濃度補正工程(S2)において、第1の濃度補正画像(11)の最低面積率を20%となるように濃度補正する例について説明したが、本発明においては、これに限定されるものではない。仮に、第2の有意情報の濃度表現する範囲を広くしたい場合には、第2の濃度補正画像(21)の最大面積率が大きくなるように(その分、第1の濃度補正画像の最低面積率が大きくなり、第1の有意情報の濃度表現できる範囲は、狭くなる)濃度変換すればよい。また、ここでは、第1のトーンカーブ(T1)によって変換される第1の濃度補正画像(11)の最低面積率(20%)と、第2のトーンカーブ(T2)によって変換する第2の濃度補正画像(21)の最大面積率(20%)が同じ例について説明したが、第2のトーンカーブ(T2)によって変換する第2の濃度補正画像(21)の最大面積率は、第1の濃度補正画像(11)の最低面積率より小さくてもよい。
【0124】
(情報パターン画像生成工程)
図19に示す符号(S3)は、情報パターン(3A)を形成するための基の画像となる、所望の文字、記号、図形等が画線によって構成された画像(以降、「第3の基画像(30)」という。)を設定する工程(S3-1)と、設定された第3の基画像(30)を繰り返して配置し、情報パターン画像(31)に変換する工程(S3-2)から成る(以降、「情報パターン画像生成工程(S3)」という。)である。
【0125】
第3の基画像を設定する工程(S3-1)は、テキスト入力手段(M1c)によって、キーボードによる打ち込み等や、データベース(M4)又は通信インターフェース(M3)によって接続された外部のデータベースサーバに、予め記憶された文字や記号を読み出して行う。ここでは、第3の基画像を設定する工程(S3-1)により、図23(a)に示す「A」の文字が設定された例について説明するが、第3の基画像(30)は、これに限定されるものではなく、画線によって文字、記号、図形等を構成したものや、これらの組合せで構成されたものでもよい。
【0126】
また、情報パターン画像を生成する工程(S3-2)は、第3の基画像を設定する工程(S3-1)で設定された第3の基画像(30)を、テキストパターン変換手段(M2c)により、第1の濃度補正画像(11)及び第2の濃度補正画像(21)と同じ画像サイズの中に繰り返して配置し、図23(b)に示す情報パターン画像(31)を生成する。情報パターン画像(31)の画像形式については、8bitグレースケール画像、白黒2値画像、RGB画像等、特に限定されるものではない。図23(b)に示す「A」の文字の間隔は、前述した印刷物(1)の構成における情報パターン(3A)のピッチ(P1、P2)に対応していることから、所望とする印刷物(1)に応じて、繰り返して配置すればよい。情報パターン画像を生成する工程(S3-2)は、テキストパターン変換手段(M2c)によって、例えば、一般的なワープロソフトや画像処理ソフトにおいて、文字の入力や文字を配置する機能を用いて行うことができる。
【0127】
(画像データ生成工程)
図19に示す符号(S4)は、画像データ生成手段(M2d)により、第1の濃度補正画像(11)と情報パターン画像(31)を用いて、第1の印刷層用画像データ(12)を生成する処理(S4-1)と、第2の濃度補正画像(21)と情報パターン画像(31)を用いて、第2の印刷層用画像データ(22)を生成する処理(S4-2)を行う工程(以降、「画像データ生成工程(S4)」という。)である。
【0128】
(第1の印刷層用画像データの生成)
第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)は、同じ画像サイズ(同じ画素数で構成)で生成された第1の濃度補正画像(11)と情報パターン画像(31)において、第1の濃度補正画像(11)が現す「風景画像」を、情報パターン画像(31)を構成する「A」の文字で置き換えることによって、第1の印刷層用画像データ(12)を生成する。図24は、第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)によって生成された第1の印刷層用画像データ(12)を示す図であり、拡大図に示すように、「A」の文字の画線幅が異なることによって、階調を有する「風景画像」が表現されている。以下、第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)の詳細について説明する。
【0129】
図25は、第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)について説明する図であり、図25(a)及び図25(b)に示す同じ画像サイズの第1の濃度補正画像(11)と情報パターン画像(31)において、例えば、図25(b)に示す太線で囲まれた「A」の文字を構成する画素を、それと同じ位置関係にある第1の濃度補正画像(11)の濃度に応じて、「A」の文字の画線幅が異なるように、順次、変換して第1の印刷層用画像データ(12)を生成する。なお、同じ位置関係にある第1の濃度補正画像(11)とは、図25(a)及び図25(b)に示す画像の原点をそれぞれ、符号(O、O)とした場合に、それぞれの原点(O、O)を基準に同じ位置にある画素が集合した画像のことである。
【0130】
図25(c)は、同じ位置関係にある第1の濃度補正画像(11)と情報パターン画像(31)における「A」の文字を拡大して示す図であり、それぞれの画像は、複数の画素で構成されている。第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)は、「A」の文字を構成している画素と重なる第1の濃度補正画像(11)の濃度を参照して、図25(d)に示す第1の印刷層用画像データ(12)を生成する。その際、参照する第1の濃度補正画像(11)の濃度が高い程、図25(d)に示す「A」の文字の画線の幅(W31)が広くなるように変換する処理を行うことで、階調のある「風景画像」の濃淡に応じて、「A」の文字の画線幅が異なる情報パターン(3A)を形成するための第1の印刷層用画像データ(12)を生成する。ここでは、図25(c)に示す第1の濃度補正画像(11)全体が一様な濃度で構成された例を示しており、その場合、図25(d)に示すように、「A」の文字が同じ画線幅で構成された第1の印刷層用画像データ(12)が生成される。続いて、第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)について、具体例を用いて詳細に説明する。
【0131】
図26は、本発明において、第1の濃度補正画像(11)の濃度に応じて、「A」の文字の画線幅を調整する処理について説明するための図である。ここでは、図26(a)に示す情報パターン画像(31)における「A」の文字の一部の領域(E1)を変換する処理について説明する。
【0132】
図26(b)、図26(c)及び図26(d)は、図26(a)に示す情報パターン画像(31)における「A」の文字の一部の領域(E1)を構成している画素と重なる第1の濃度補正画像(11)において、濃度が異なる場合に生成される第1の印刷層用データ(12)を示す図である。説明の便宜上、図26(b)に示す第1の濃度補正画像は、符号(11a)とし、図26(c)に示す第1の濃度補正画像は、符号(11b)とし、図26(d)に示す第1の濃度補正画像は、符号(11c)として説明し、それぞれの画像が変換された第1の印刷層用画像データのそれぞれを、符号(12a、12b、12c)として説明する。なお、図26(b)に示す第1の濃度補正画像(11a)、図26(c)に示す第1の濃度補正画像(11b)、図26(d)に示す第1の濃度補正画像(11c)の順に、画像の濃度が濃くなっているものとする。
【0133】
図26(b)に示す第1の印刷層用画像データ(12a)は、第1の濃度補正画像(11a)の濃度を参照して変換された画像であり、ここでは、「A」の文字の一部の画線の幅をY軸方向(図26(b)の画像における縦方向)に2画素分の幅で構成するように変換した例を示している。また、図26(c)に示す第1の印刷層用画像データ(12b)は、第1の濃度補正画像(11b)の濃度を参照して変換された画像であり、ここでは、「A」の文字の一部の画線の幅をY軸方向(図26(c)の画像における縦方向)に4画素分の幅で構成するように変換した例を示している。また、図26(d)に示す第1の印刷層用画像データ(12c)は、第1の濃度補正画像(11c)の濃度を参照して変換された画像であり、ここでは、「A」の文字の一部の画線の幅をY軸方向(図26(d)の画像における縦方向)に6画素分の幅で構成するように変換した例を示している。このように、第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)において変換する際に、文字の幅を異ならせることで、第1の濃度補正画像(11a、11b、11c)の濃度に応じた第1の印刷層用画像データ(12a、12b、12c)を生成することができる。
【0134】
図26は、本発明の第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)の一例であり、第1の濃度補正画像(11)の濃度に応じて、第1の印刷層用画像データ(12)における文字の幅をどの程度に変換するかは、適宜、変更することができる。
【0135】
例えば、図26(b)に示す第1の濃度補正画像(11a)と図26(c)に示す第1の濃度補正画像(11b)の中間の濃度の画像に対して変換する場合には、図27(a)に示すように、第1の印刷層用画像データ(12)における「A」の文字の一部の画線の幅をY軸方向に3画素分の幅で変換してもよいし、図27(b)に示すように、図26(b)に示す第1の印刷層用画像データ(12a)を基に、X軸方向に向かって、Y軸方向に1画素ずつ、交互にずらして幅を広げるように変換してもよい。図27(a)と図27(b)に示す第1の印刷層用画像データ(12a)は、「A」の文字の一部を構成する画素の数が同じであることから、同じ濃度を表現することができる。
【0136】
図26(b)に示す第1の濃度補正画像(11a)と図26(c)に示す第1の濃度補正画像(11b)の間の濃度を段階的に現わすことも可能である。
【0137】
図28(a)と図28(b)は、図26(b)に示す第1の印刷層用画像データ(12a)を基に、X軸方向に配置する画素の間隔を異ならせた例である。図28に示すように、同じ画像領域内に、画線を構成する画素の数を調整することで、細かな濃淡を表現することができる。また、図28は、X軸方向に配置する画素の数を調整した例であるが、図29(a)と図29(b)に示すように、Y軸方向に配置する画素の数を調整することでも、濃淡を表現することができる。
【0138】
また、例えば、図26(b)に示す「A」の文字の一部の画線の幅をY軸方向に1画素分とし、図26(c)に示す「A」の文字の一部の画線の幅をY軸方向に3画素分とし、図26(d)に示す「A」の文字の一部の画線の幅をY軸方向に5画素分として変換してもよい。いずれにしても、本発明の第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)においては、第1の印刷層用画像データ(12)における文字の幅、すなわち、文字を構成する画素の数を調整して、第1の濃度補正画像(11)の濃度を表現するように変換すればよい。
【0139】
図30は、本発明の第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)の別の例を示す図であり、図26(a)に示す「A」の文字において変換した領域(E1)とは、別の領域(E2)において、第1の印刷層用画像データ(12)に変換する処理について説明する図である。
【0140】
図26(a)に示す領域(E1)の文字の一部が、横方向に画線が配置されていることに対して、図30(a)に示す情報パターン画像(31)における一部の領域(E2)は、縦方向に画線が配置されている点で異なり、当該部分を変換する例について説明する。説明の便宜上、図30(b)に示す第1の濃度補正画像は、符号(11d)とし、図30(c)に示す第1の濃度補正画像は、符号(11e)とし、図30(d)に示す第1の濃度補正画像は、符号(11f)として説明し、それぞれの画像が変換された第1の印刷層用画像データのそれぞれを、符号(12d、12e、12f)として説明する。なお、図30(b)に示す第1の濃度補正画像(11d)、図30(c)に示す第1の濃度補正画像(11e)、図30(d)に示す第1の濃度補正画像(11f)の順に、画像の濃度が濃くなっているものとする。
【0141】
図30(b)に示す第1の印刷層用画像データ(12d)は、第1の濃度補正画像(11d)の濃度を参照して変換された画像であり、ここでは、「A」の文字の一部の画線の幅をX軸方向(図30(b)の画像における横方向)に2画素分の幅で構成するように変換した例を示している。
【0142】
また、図30(c)に示す第1の印刷層用画像データ(12e)は、第1の濃度補正画像(11e)の濃度を参照して変換された画像であり、ここでは、「A」の文字の一部の画線の幅をX軸方向(図30(c)の画像における横方向)に4画素分の幅で構成するように変換した例を示している。
【0143】
また、図30(d)に示す第1の印刷層用画像データ(12f)は、第1の濃度補正画像(11f)の濃度を参照して変換された画像であり、ここでは、「A」の文字の一部の画線の幅をX軸方向(図30(d)の画像における横方向)に6画素分の幅で構成するように変換した例を示している。このように、情報パターン画像(31)において、縦方向に画線が配置されている場合には、X軸方向に幅を調整して変換することで、第1の濃度補正画像(11d、11e、11f)の濃度に応じた第1の印刷層用画像データ(12d、12e、12f)を生成することができる。なお、図30(b)に示す第1の濃度補正画像(11d)と図30(c)に示す第1の濃度補正画像(11e)の中間の濃度の画像に対して変換する場合は、幅を調整する方向は異なるが、段落(0115)で説明した方法と同様にして、変換すればよい。また、本実施の形態では、情報パターン画像(31)において、横方向に配置された画線と、縦方向に配置された画線に対して、X軸方向とY軸方向の幅を調整して変換する例について説明したが、X軸方向とY軸方向の幅の調整を同時に行って変換する処理をしてよい。
【0144】
図31は、第1の濃度補正画像(11)において、部分的に濃度が異なる画像を変換する処理の例について説明する図である。
【0145】
図31(a)に示す第1の濃度補正画像(11)は、上側半分が淡い濃度の画像で、下側半分が濃い濃度の画像で構成された例であり、この場合、変換される「A」の文字の第1の印刷層用画像データ(12)は、図31(b)に示すように、上側半分の画線幅(W31A)が細く、下側半分の画線幅(W31B)が太い画像に変換される。なお、図31(a)は、第1の濃度補正画像(11)の濃度の一例を示したもので、実際には、第1の濃度補正画像(11)は、図25(a)に示す濃淡のある画像であり、「A」の文字を構成する画素と同じ位置関係にある第1の濃度補正画像(11)の濃度に応じて、変換処理が行われる。また、ここでは、図25(b)に示す一つの「A」の文字を第1の印刷層用画像データ(12)に変換する処理について説明したが、第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)は、図25(b)に示す情報パターン画像(31)全体において、「A」の文字を構成する各々の画素と同じ位置関係にある第1の濃度補正画像(11)の濃度に応じて変換することで、図24に示す階調を有する「風景画像」を現す第1の印刷層用画像データ(12)を生成することができる。
【0146】
画像データ生成手段(M2d)による第1の濃度補正画像(11)の濃度を参照して、図25(d)に示す「A」の文字の幅を調整して変換する処理については、予め、段落(0108)から段落(0120)で説明した変換規則を定めた臨界値配列画像を適用することで行うことができ、例えば、Adobe(登録商標)社製の画像処理ソフトウェアであるPhotoshop(登録商標)の、モード変換処理機能において、予め作成したカスタムパターンを用いて行うことができる。また、第3の基画像(30)として設定する各文字や記号毎に、第1の濃度補正画像(11)の濃度に応じて、変換される画像の画線幅を調整する変換ソフトを予め作成しておくことで、第1の印刷層用画像データ(12)を生成することができる。
【0147】
(第2の印刷層用画像データの生成)
第2の印刷層用画像データを生成する処理(S4-2)は、同じ画像サイズ(同じ画素数で構成)で生成された第2の濃度補正画像(21)と情報パターン画像(31)において、第2の濃度補正画像(21)が現す「顔画像」を、情報パターン画像(31)を構成する「A」の文字で置き換えることによって、第2の印刷層用画像データ(22)を生成する。図32は、第2の印刷層用画像データを生成する処理(S4-2)によって生成された第2の印刷層用画像データ(22)を示す図であり、拡大図に示すように、「A」の文字の画線幅が異なることによって、階調を有する「顔画像」が表現されている。図32に示す第2の印刷層用画像データ(22)は、特定の観察条件で視認される第2の有意情報に対応した画像であり、本実施の形態のように、カーボンブラックを含む黒インキによって形成する画像とする場合、赤外カメラを用いて観察すると「顔画像」を視認することができる。以下、第2の印刷層用画像データを生成する処理(S4-2)の詳細について説明する。
【0148】
第2の印刷層用画像データを生成する処理(S4-2)は、第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)と同様にして、情報パターン画像(31)の「A」の文字を構成する画素と同じ位置関係にある第2の濃度補正画像(21)の濃度に応じて、「A」の文字の画線幅が異なるように、順次、変換して第2の印刷層用画像データ(22)を生成する。なお、第2の濃度補正画像(21)の濃度を参照して、図32に示す「A」の文字の幅を調整して変換する処理については、第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-2)と同じ変換方法によって行うことができ、画像データ生成手段(M2d)としては、例えば、Adobe(登録商標)社製の画像処理ソフトウェアであるPhotoshop(登録商標)の、モード変換処理機能において、予め作成したカスタムパターンを用いて行うことができる。
【0149】
前述のように、濃度補正工程(S2)において、第2の濃度補正画像(21)の最大面積率(「顔画像」の内、最も濃い部分)は、第1の濃度補正画像(11)の最低面積率(「風景画像」の内、最も淡い部分)以下となるように、濃度補正されることから、第2の印刷層用画像データを生成する処理(S4-2)によって変換された「A」の文字の画線幅の最大値は、第1の印刷層用画像データを生成する処理(S4-1)によって変換された「A」の文字の画線幅の最小値以下となる。
【0150】
本発明の真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法により作成された第1の印刷層用画像データ(12)と第2の印刷層用画像データ(22)は、別々にデータベース(M4)に保存してもよいし、合成手段(M2e)により合成した一つの画像データとしてデータベース(M4)に保存してもよい。
【0151】
真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法により作成された第1の印刷層用画像データ(12)と第2の印刷層用画像データ(22)を、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ等の出力手段(P)により、基材(2)に印刷することで真偽判別可能な偽造防止印刷物(1)を作製することができる。なお、第1の印刷層用画像データ(12)と第2の印刷層用画像データ(22)又はそれらを合成した画像データは、ビットマップ、JPEG等の形式は特に限定はない。PDF(Adobe Portable Document format)形式の場合、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキ及びカーボンブラックを含む黒インキの各色のインキ用の画像データとして保存することができ、PDF形式の画像データをそのまま用いて、デジタル印刷機により、第1の印刷層用画像データ(12)と第2の印刷層用画像データ(22)を印刷することができる。
【0152】
また、保存したデータを用いて、公知の製版工程によりシアン、マゼンタ、イエローインキ用の版面とカーボンブラックを含む黒インキ用の版面を作製し、所定の印刷機により印刷することで真偽判別可能な印刷物(1)を作製することができる。また、本発明の真偽判別可能な印刷物用画像データの作成方法により作成された第1の印刷層用画像データ(12)と第2の印刷層用画像データ(22)を、表示手段(M5)に表示して、画像データが生成されたことを確認できるようにしてもよい。
【0153】
本実施の形態では、図23(b)に示すように、情報パターン画像(31)が「A」の文字が繰り返して配置された例を示しているが、図33(a)に示すように、破線で囲む領域内に、異なる文字を配置した情報パターン画像(31)としてもよい。また、図33(b)に示すように、破線で囲む領域内に、「ABC」の文字を繰り返して配置した情報パターン画像(31)としてもよい。また、図33(c)に示すように、「ABC」の文字を、破線で囲む領域の左右方向にずらして配置した情報パターン画像(31)としてもよい。
【0154】
図33に示すように、情報パターン画像(30)を構成する文字が異なる場合、異なる文字毎に、第1の濃度補正画像(11)の濃度を参照して変換するための臨界値配列画像を予め作成しておき、情報パターン画像(30)の異なる文字を構成する画素ごとに、同じ位置関係にある第1の濃度補正画像(21)の濃度に応じて、文字の画線幅が異なるように、順次、変換して第1の印刷層用画像データ(12)を生成すればよい。情報パターン画像(30)において、異なる文字に変換する際に、第1の濃度補正画像(11)の参照する濃度が同じ場合には、同じ画素数(異なる文字を現す情報パターンの面積が等しい)となるような臨界値配列画像を予め作成しておき、変換することで、段落(0070)で説明した構成の印刷物(1)を作製することができる。
【0155】
以上に説明した方法によって作成されたデータを基に、所望の印刷方法によって基材(2)に印刷した場合、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキによって形成される第1の印刷層(4A)の一部に、カーボンブラックを含む黒インキによって形成される第2の印刷層(5A)が重なる構成(例えば、図6(b))の印刷物(1)が得られるが、第1の印刷層用画像データ(12)のうち、第2の印刷用画像データ(22)と重複する部分を除く処理を行って、それぞれのデータを基に印刷した場合には、第1の印刷層(4A)と第2の印刷層(5A)が並置されて成る構成(例えば、図7(b))の印刷物(1)が得られる。
【符号の説明】
【0156】
1 真偽判別可能な印刷物(印刷物)
2 基材
3 印刷模様
3-1 背景部
3-2 第1の画像部
3-3 第2の画像部
3-4 共通画像部
3A 印刷領域
3A 印刷領域(背景部)
3A 印刷領域(第1の画像部)
3A 印刷領域(第2の画像部)
3A 印刷領域(共通画像部)
4A 第1の印刷層
5A 第2の印刷層
6A カモフラージュ要素
10 第1の基画像
11 第1の濃度補正画像
12 第1の印刷層用画像データ
20 第2の基画像
21 第2の濃度補正画像
22 第2の印刷層用画像データ
30 第3の基画像
31 情報パターン画像
M 真偽判別可能な印刷物用画像データの作成装置
M1 入力手段
M2 編集手段
M3 通信インターフェース
M4 データベース
M5 表示手段
図1
図2
図3
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図5
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