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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141574
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】河川流量推定システム
(51)【国際特許分類】
   G01P 5/20 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G01P5/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047972
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390023249
【氏名又は名称】国際航業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 圭史
(72)【発明者】
【氏名】荒居 香織
(72)【発明者】
【氏名】平山 利晶
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来の問題を解決することであり、すなわち、河川を撮影して得られた画像を利用し、しかも流速を求めることなく河川流量を把握することができる河川流量推定システムを提供することである。
【解決手段】本願発明の河川流量推定システムは、河川を撮影した観測画像に基づいて河川の流量を推定するシステムであって、河川部設定手段と河川画素数計上手段、計算流量出力手段を備えたものである。このうち河川部設定手段は、河川幅側線を設定する手段であり、河川画素数計上手段は、観測画像のうち河川幅側線に係る画素の総数を河川画素数として計上する手段である。計算流量出力手段は、河川画素数を流量算定式に入力することによって計算流量を出力する手段である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川を撮影した観測画像に基づいて、河川の流量を推定するシステムであって、
河川幅側線を設定する河川部設定手段と、
前記観測画像のうち前記河川幅側線に係る画素の総数を河川画素数として計上する河川画素数計上手段と、
前記河川画素数を流量算定式に入力することによって、計算流量を出力する計算流量出力手段と、を備え、
前記河川幅側線は、前記観測画像に含まれる河川の河川幅となるように設定され、
前記流量算定式は、前記河川画素数と前記計算流量との関係を表す関数であって、実際に計上された前記河川画素数と実際に観測された河川の流量の実績値に基づいて設定され、
前記計算流量出力手段によって出力された前記計算流量を、前記観測画像に含まれる河川の流量として推定することができる、
ことを特徴とする河川流量推定システム。
【請求項2】
前記河川部設定手段は、前記観測画像を学習済みモデルに入力することによって、前記河川幅側線を設定し、
前記学習済みモデルは、前記河川幅側線が設定された前記観測画像を機械学習することによって生成された、
ことを特徴とする請求項1記載の河川流量推定システム。
【請求項3】
河川を撮影した観測画像に基づいて、河川の流量を推定するシステムであって、
河川領域を設定する河川部設定手段と、
前記観測画像のうち前記河川領域に係る画素の総数を河川画素数として計上する河川画素数計上手段と、
前記河川画素数を流量算定式に入力することによって、計算流量を出力する計算流量出力手段と、を備え、
前記河川領域は、前記観測画像に含まれる河川の領域となるように設定され、
前記流量算定式は、前記河川画素数と前記計算流量との関係を表す関数であって、実際に計上された前記河川画素数と実際に観測された河川の流量の実績値に基づいて設定され、
前記計算流量出力手段によって出力された前記計算流量を、前記観測画像に含まれる河川の流量として推定することができる、
ことを特徴とする河川流量推定システム。
【請求項4】
前記河川部設定手段は、前記観測画像を学習済みモデルに入力することによって、前記河川領域を設定し、
前記学習済みモデルは、前記河川領域が設定された前記観測画像を機械学習することによって生成された、
ことを特徴とする請求項3記載の河川流量推定システム。
【請求項5】
前記流量算定式が、2次式又は3次式で設定された、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の河川流量推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、河川の流量を推定する技術であり、より具体的には、河川を撮影して得られた画像に基づいてその流量を推定することができる河川流量推定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川に流れる水の量(流量)を把握することは有益であり、特に大雨など洪水が予測されるときには河川流量を把握することが極めて重要になる。洪水時の流量を観測するには、これまで100年以上にわたって浮子による観測が基本とされていた。この浮子観測は、河川に投下した浮子が所定距離だけ流下するために要した時間を観測することで流速を求め、その流速と河川(通水部分)の断面積を乗ずることによってその流量を把握する方法である。そして浮子観測を行うには最低5人の観測員が必要とされ、すなわち多くの労力が求められていた。
【0003】
一方、山岳域における河川など多くの観測員を派遣することが難しいケースでは、断面計測法によって河川流量を観測するのが一般的である。断面計測法では、数cm間隔で河川断面を計測し、そのため最低2~3人の観測員が必要とされ、1地点での観測に係る時間は15~30分とされている。つまり、断面計測法によって河川流量を把握する場合も、浮子観測と同様、多くの労力が求められていた。
【0004】
浮子観測や断面計測法によらず、測定機器を利用して直接的に流量を測定することも考えられるが、洪水時に測定機器で測定するのは危険が伴い、仮に測定機器を常設したとしても破損したり欠測したりするおそれもあることから、現実的な手法とはいえない。
【0005】
そこで、近年では河川のうち注目すべき位置にカメラやビデオカメラを設置し、その画像や映像によって河川流量を把握する試みも行われている。例えば特許文献1では、河川の画像を2以上の時期で取得し、それらの画像を用いてPIV(Particle Image Velocimetry)解析を行うことによって河川流量を把握する技術について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-216010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまで河川流量を把握するにあたっては、流速を求めたうえで流量を算出することが主流であった。例えば、浮子観測では浮子の速度を観測したり、特許文献1ではPIV解析を行ったりすることで河川流速を求め、そしてその流速に河川の断面積を乗じることで河川流量を算出していたわけである。
【0008】
しかしながら、浮子観測のように河川の流速を測定するには多くの労力を要するうえに正確な流速が得られるとは限らず、また特許文献1のようにPIV解析を行ったとしても画像の状況によってはやはり正確な流速が得られるとは限らない。そして正確な流速が得られない場合、当然ながら正確な河川流量を把握することもできない。
【0009】
本願発明の課題は、従来の問題を解決することであり、すなわち、河川を撮影して得られた画像を利用し、しかも流速を求めることなく河川流量を把握することができる河川流量推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、河川を撮影して得られた画像のうち河川に係る画素(ピクセル)の数に応じて河川流量を推定する、という点に着目したものであり、従来にはなかった発想に基づいてなされた発明である。
【0011】
本願発明の河川流量推定システムは、河川を撮影した観測画像に基づいて河川の流量を推定するシステムであって、河川部設定手段と河川画素数計上手段、計算流量出力手段を備えたものである。このうち河川部設定手段は、河川幅側線を設定する手段であり、河川画素数計上手段は、観測画像のうち河川幅側線に係る画素の総数を河川画素数として計上する手段である。計算流量出力手段は、河川画素数を流量算定式に入力することによって計算流量を出力する手段である。河川幅側線は、観測画像に含まれる河川の河川幅となるように設定される。また流量算定式は、河川画素数と計算流量との関係を表す関数であって、実際に計上された河川画素数と実際に観測された河川の流量の実績値に基づいて設定される。そして、計算流量出力手段によって出力された計算流量を、観測画像に含まれる河川の流量として推定することができる。
【0012】
本願発明の河川流量推定システムは、観測画像を学習済みモデルに入力することによって河川幅側線を設定するものとすることもできる。この場合の学習済みモデルは、河川幅側線が設定された観測画像を機械学習することによって生成される。
【0013】
本願発明の河川流量推定システムは、河川部設定手段が河川領域を設定するものとすることもできる。この場合、河川画素数計上手段は、観測画像のうち河川領域に係る画素の総数を河川画素数として計上する。
【0014】
本願発明の河川流量推定システムは、観測画像を学習済みモデルに入力することによって河川幅側線を設定するものとすることもできる。この場合の学習済みモデルは、河川領域が設定された観測画像を機械学習することによって生成される。
【0015】
本願発明の河川流量推定システムは、流量算定式が2次式や3次式で設定されたものとすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の河川流量推定システムには、次のような効果がある。
(1)観測画像を取得するだけで流量を把握することができ、例えば現地にカメラを常設すれば無人化や省力化を図ることができる。その結果、観測コストを抑えることができるうえに、観測者が危険な状況におかれることもない。
(2)また、現地にカメラを設置するだけで流量を把握することができることから、様々な場所で適用することができる。
(3)流速を求める必要がないため、不正確な流速に起因して不正確な河川流量を求めてしまう不都合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願発明の河川流量推定システムの主な構成を示すブロック図。
図2】(a)は河川部設定手段の学習済みモデルによって設定された河川幅側線を模式的に示すモデル図、(b)は河川部設定手段の学習済みモデルによって設定された河川領域を模式的に示すモデル図。
図3】流量が水深の8/3乗に比例することを説明する数式図。
図4】河川画素数の2次式として設定された流量算定式を説明するグラフ図。
図5】河川流量推定システムの主な処理の流れの一例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明の河川流量推定システムの実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本願発明の河川流量推定システム100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように本願発明の河川流量推定システム100は、河川部設定手段101と河川画素数計上手段102、計算流量出力手段103を含んで構成され、さらに流量算定式設定手段104やモデル生成手段105、画像取得手段106、出力手段107、観測画像記憶手段108、学習済みモデル記憶手段109、流量算定式記憶手段110を含んで構成することもできる。
【0020】
本願発明の河川流量推定システム100を構成する河川部設定手段101と河川画素数計上手段102、計算流量出力手段103、流量算定式設定手段104、モデル生成手段105は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。このコンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリを具備しており、さらにマウスやキーボード等の入力手段やディスプレイ等の表示手段を含むものもあり、例えばパーソナルコンピュータ(PC)やサーバなどによって構成することができる。
【0021】
また、観測画像記憶手段108と学習済みモデル記憶手段109、流量算定式記憶手段110は、汎用的コンピュータ(例えば、PC)の記憶装置を利用することもできるし、データベースサーバに構築することもできる。データベースサーバに構築する場合、ローカルなネットワーク(LAN:Local Area Network)に置くこともできるし、インターネット経由で保存するクラウドサーバとすることもできる。
【0022】
以下、河川流量推定システム100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0023】
(画像取得手段)
画像取得手段106は、河川を撮影して得られる画像(以下、「観測画像」という。)を静止画や動画として取得するものであり、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スマートフォン、タブレット型PCなどを利用することができる。観測画像を取得するにあたっては、観測者が携行した画像取得手段106で撮影することもできるし、現地に常設したいわゆる定点カメラの画像取得手段106によって撮影することもでき、さらに衛星画像を利用することもできる。画像取得手段106によって取得された静止画や動画は、観測画像記憶手段108に記憶される(図1)。なお、定点カメラの画像取得手段106によって撮影された観測画像は、通信手段を介して伝送されたうえで観測画像記憶手段108に記憶するとよい。
【0024】
(河川部設定手段)
河川部設定手段101は、観測画像のうち河川に相当する部分(以下、単に「河川部分」という。)を設定する手段である。なお本願発明の河川流量推定システム100は、図2(a)に示すように河川の幅(以下、単に「河川幅」という。)を示す側線(以下、「河川幅側線」という。)を河川部分とする形態(以下、「第1形態」という。)と、図2(b)に示すように河川を示す領域(以下、「河川領域」という。)を河川部分とする形態(以下、「第2形態」という。)に大別することができる。すなわち、第1形態における河川部設定手段101は河川部分として河川幅側線を設定し、第2形態における河川部設定手段101は河川部分として河川領域を設定する。
【0025】
河川部設定手段101は、ディスプレイ(出力手段107)に表示された観測画像を確認しながら、オペレータが河川幅側線や河川領域を設定する仕様とすることができる。この場合、河川部設定手段101としてポインティングデバイス(マウスやタッチパネル、ペンタブレット、タッチパッド、トラックパッド、トラックボールなど)やキーボード等を利用するとよい。
【0026】
また河川部設定手段101は、観測画像から河川幅側線や河川領域を自動的(機械的)に設定する仕様とすることもできる。この場合、従来用いられる画像認識技術を用いて河川領域を自動抽出したうえで、河川幅側線や河川領域を設定することができる。あるいは「学習済みモデル」を用いて河川幅側線や河川領域を設定することもできる。
【0027】
学習済みモデルは、モデル生成手段105によって生成される。第1形態の場合、このモデル生成手段105は、河川幅側線が設定された観測画像を教師データとする機械学習(例えば、ディープラーニング等)を行うことによって学習済みモデルを生成する。一方、第2形態の場合、モデル生成手段105は、河川領域が設定された観測画像を教師データとする機械学習を行うことによって学習済みモデルを生成する。モデル生成手段105によって生成された学習済みモデルは、学習済みモデル記憶手段109に記憶される(図1)。
【0028】
河川部設定手段101が学習済みモデルを利用する場合、観測画像を学習済みモデルに入力することによって河川幅側線や河川領域が設定される。例えば、図2(a)では観測画像が入力された学習済みモデルが河川幅側線を設定しており、図2(b)では観測画像が入力された学習済みモデルが河川領域を設定している。
【0029】
(河川画素数計上手段)
河川画素数計上手段102は、観測画像を構成する画素(ピクセル)のうち河川部分に相当する画素の数(以下、「河川画素数」という。)を計上する手段である。すなわち、第1形態における河川画素数計上手段102は、観測画像を読み出すとともに、河川部設定手段101によって設定され河川幅側線を読み出し、その河川幅側線に係る(河川幅側線を構成する)画素を抽出したうえでその総数を河川画素数として計上する。一方、第2形態における河川画素数計上手段102は、観測画像を読み出すとともに、河川部設定手段101によって設定され河川領域を読み出し、その河川領域に係る(河川領域を構成する)画素を抽出したうえでその総数を河川画素数として計上する。
【0030】
第1形態における河川画素数計上手段102は、河川領域を構成する画素数に基づいて河川幅側線の河川画素数を計上する仕様とすることもできる。例えば、観測画像に対して第1軸(例えば、縦軸)とこれに直交する第2軸(例えば、横軸)を設定するとともに、第2軸に沿って配列された画素が第1軸方向に並べられることで河川領域が構成されると考え、第2軸に並ぶ画素数の平均値を河川幅側線の河川画素数として計上することができる。したがってこの場合の河川部設定手段101は、河川部分として河川領域を設定する。
【0031】
(流量算定式設定手段)
流量算定式設定手段104は、「流量算定式」を設定する手段である。この流量算定式は、計算によって求められる流量(以下「計算流量」という。)と、河川画素数との関係を表す関数であって、実際に計上された河川画素数(以下、「実績河川画素数」という。)と実際に観測された河川の流量(以下、「実績河川流量」という。)に基づいて設定される。以下、流量算定式を設定する手順について説明する。
【0032】
まず、河川の流量を測定することで実績河川流量を得るとともに、そのときの観測画像を取得することで実績河川画素数を得る。このとき、流量の値が異なる状況において流量の測定と観測画像の取得を行うことによって、実績河川画素数と実績河川流量からなる組み合わせを複数用意するとよい。複数の実績河川画素数と実績河川流量からなる組み合わせが用意できると、最小二乗法などによって流量算定式を設定する。流量算定式設定手段104によって設定された流量算定式は、流量算定式記憶手段110に記憶される(図1)。
【0033】
ところで、一般的に河川の流量は、図3の数式(1)に示すように断面積と流速の積で求められ、またその流速は図3の数式(2)によって算出されることが多い。そして、図3に示すようにその断面形状が概ね台形となる場合、数式(3)~(7)を用いることによって河川の流量を数式(8)で表すことができる。仮に、この数式(8)のうち河川底Bを0に近づけると(つまり、三角形に近づけると)、流量Qは水深hの8/3乗に比例する(数式(9))。つまり流量Qは、水深hを変数とする関数で求めることができ、しかも水深hの2次式(2次関数)や3次式(3次関数)との相関が高いことが想定される。そこで本願発明の発明者らは、河川画素数を変数とする2次式や3次式として流量算定式(河川画素数との関係を表す関数)を設定したところ、予想どおり高い相関を示すことが分かった。例えば図4に示す流量算定式は、河川画素数の2次式として設定されているが、その相関係数R2は0.88と高い値を示している。すなわち流量算定式は、河川画素数の2次式や3次式として設定することがより好ましいといえる。
【0034】
(計算流量出力手段)
計算流量出力手段103は、流量算定式によって求められる流量(以下、「計算流量」という。)を、ディスプレイやプリンタといった出力手段107に出力する手段である(図1)。すなわち計算流量出力手段103は、河川画素数計上手段102によって計上された河川画素数を読み出すとともに、流量算定式設定手段104によって設定された流量算定式を読み出し、その河川画素数を流量算定式に入力することによって計算流量を出力する。そして、ここで出力された計算流量を、観測画像に収められたときの河川の流量として推定することができるわけである。
【0035】
(処理の流れ)
以下、図5を参照しながら河川流量推定システム100の主な処理について詳しく説明する。図5は、河川流量推定システム100の主な処理の流れの一例を示すフロー図であり、中央の列に実行する処理を示し、左列にはその処理に必要なものを、右列にはその処理から生ずるものを示している。
【0036】
河川流量推定システム100を利用して河川の流量を推定するには、図5に示すようにまずは観測画像を取得する(図5のStep201)。このとき、観測者が携行した画像取得手段106で観測画像を取得することもできるし、現地に常設したいわゆる定点カメラの画像取得手段106によって観測画像を取得することもできることは、既述したとおりである。
【0037】
観測画像を取得すると、河川部設定手段101が読み出した観測画像から河川部分(河川幅側線、あるいは河川領域)を設定する(図5のStep202)。そして河川画素数計上手段102が観測画像と河川幅側線を読み出して河川画素数を計上し(図5のStep203)、計算流量出力手段103が河川画素数と設定された流量算定式を読み出して計算流量を出力する(図5のStep204)。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本願発明の河川流量推定システムは、国や地方自治体をはじめとする河川管理者にとって特に有用である。本願発明が、洪水など河川に伴う水害をいち早く予見することができ、その結果、災害から多くの住民を守ることができることを考えれば、本願発明は産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献が期待できる発明といえる。
【符号の説明】
【0039】
100 本願発明の河川流量推定システム
101 (河川流量推定システムの)河川部設定手段
102 (河川流量推定システムの)河川画素数計上手段
103 (河川流量推定システムの)計算流量出力手段
104 (河川流量推定システムの)流量算定式設定手段
105 (河川流量推定システムの)モデル生成手段
106 (河川流量推定システムの)画像取得手段
107 (河川流量推定システムの)出力手段
108 (河川流量推定システムの)観測画像記憶手段
109 (河川流量推定システムの)学習済みモデル記憶手段
110 (河川流量推定システムの)流量算定式記憶手段
図1
図2
図3
図4
図5