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特開2023-141587情報表示板の製造方法及び情報表示板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141587
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】情報表示板の製造方法及び情報表示板
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20230928BHJP
【FI】
B23K26/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047987
(22)【出願日】2022-03-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】722003082
【氏名又は名称】橋本 博美
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博美
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA02
4E168AD18
4E168CB03
4E168DA03
4E168DA23
4E168DA24
4E168DA25
4E168DA26
4E168DA28
4E168DA37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】板状部材の表面に、文字、記号、絵柄、及び2次元の幾何学模様を含む固有情報の濃度を正確に調整して刻印した情報表示板を提供する。
【解決手段】固有情報が刻印された情報表示板において、レーザ光により表面に固有情報を含むパターンを形成することが可能な板状部材を準備する工程と、板状部材の表面に形成する固有情報を含む固有情報データを準備する工程と、レーザ照射手段を備えるレーザ刻印装置を準備し、レーザ刻印装置には、X-Y方向への移動手段及び板状部材を載置するフラットテーブルに対して垂直方向の高さ調整手段を備えたレーザヘッドを有しており、板状部材にレーザ光を照射するときのレーザヘッド移動速度及び/又はレーザ出力を調整することを特徴とする情報表示板の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有情報が刻印された情報表示板において、
レーザ光により表面に固有情報を含むパターンを形成することが可能な板状部材を準備
する工程と、
板状部材の表面に形成する固有情報を含む固有情報データを準備する工程と、
レーザ照射手段を備えるレーザ刻印装置を準備し、
レーザ刻印装置には、X-Y方向への移動手段及び板状部材を載置するフラットテーブ
ルに対して垂直方向の高さ調整手段を備えたレーザヘッドを有しており、
板状部材にレーザ光を照射するときのレーザヘッド移動速度及び/又はレーザ出力を調
整することを特徴とする情報表示板の製造方法。
【請求項2】
レーザ刻印装置の走査形式がラスター形式及び/又はベクター形式であることを特徴と
する請求項1記載の情報表示板の製造方法。
【請求項3】
走査形式がラスター形式の場合、固有情報データの解像度DPIが少なくとも72DP
I以上600DPI以下の範囲であり、ベクター形式の場合、形成する固有情報パターン
のハッチング寸法が0.01mm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載
の情報表示板の製造方法。
【請求項4】
レーザヘッド移動速度が50mm/min以上8000mm/min以下であることを
特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の情報表示板の製造方法。
【請求項5】
レーザ出力を100%で刻印した場合の固有情報を基準としたとき、1回のレーザ出力
を20%~90%の範囲内で設定し、同一座標系において複数回の重複刻印することを特
徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の情報表示板の製造方法。
【請求項6】
板状部材の表面に形成される固有情報データが、文字、記号、絵柄及び2次元の幾何学
模様を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の情報表示板の製造方
法。
【請求項7】
板状部材が青森ヒバ、檜、杉、その他木材、外国からの輸入材、間伐材等を使った合成
材、積層材、紙材、皮革、合成皮革、合成樹脂を基材とすることを特徴とする請求項1乃
至6のいずれか1項記載の情報表示板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の表面に、レーザにより刻印する方法及び刻印された板状部材に関
する
【背景技術】
【0002】
従来、基材に個人情報などを印刷した、例えば、名刺や表札などを作製する際には各種
印刷や、樹脂製の貼付シートなどをカッテイングし、貼付することで表示してきた。
現在、名刺においては限られたスペースに団体、企業などに関する情報の他に運営する
ウェブページなどの情報を記載する必要があり、フォント、絵柄の大きさに制約を受ける
ようになってきている。
そのため、小さいサイズの文字や絵柄などを表示せざるを得なくなってきている。
【0003】
そのような状況において、他人の名刺との差別化を図り、印象を相手に強く与えること
を目的として、合成樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)の名刺基材にレーザマーキ
ング加工する技術が開示されている。(特許文献1参照)
【0004】
また、シリコン、ガラス、サファイア、炭化珪素、又は水晶などの脆性部材を基材とし
て、脆性部材へのレーザ加工技術の売り込みを目的とした名刺型ノベルティに関する技術
の開示もある。(特許文献2参照)
これらはレーザ加工の精度と、脆性の高い部材であっても加工できるという効果を示す
ものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-159885
【特許文献2】特開2018-180160
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のとおり、限られたスペースに固有情報を配置するため、必然的に
文字、絵柄のサイズを微細化する傾向にあるが、従来の方法によると印刷では可能であっ
た文字の彩度、明度を単にレーザを照射して実現することは非常に困難であり、基材に必
要以上のレーザ光を照射することにより、破損、貫通、及び加工部位を中心とした基材の
変形などのトラブルを誘発することになる。
【0007】
本発明はかかる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは板状部材
(本願では、基材を『板状部材』と称する)の表面に、文字、記号、絵柄、及び2次元の
幾何学模様を含む固有情報の濃度を調整し、正確に刻印した情報表示板を提供することで
ある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる情報表示板の製造方法は
固有情報が刻印された情報表示板において、
レーザ光により表面に固有情報を含むパターンを形成することが可能な板状部材を準備
する工程と、
板状部材の表面に形成する固有情報を含む固有情報データを準備する工程と、
レーザ照射手段を備えるレーザ刻印装置を準備し、
レーザ刻印装置には、X-Y方向への移動手段及び板状部材を載置するフラットテーブ
ルに対して垂直方向の高さ調整手段を備えたレーザヘッドを有しており、
板状部材にレーザ光を照射するときのレーザヘッド移動速度及び/又はレーザ出力を調
整することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる情報表示板の製造方法は、
レーザ刻印装置の走査形式がラスター形式及び/又はベクター形式であることを特徴と
する。
【0010】
また、本発明にかかる情報表示板の製造方法は、
走査形式がラスター形式の場合、固有情報データの解像度DPIが少なくとも72DP
I以上600DPI以下の範囲であり、ベクター形式の場合、形成する固有情報パターン
のハッチング寸法が0.01mm以上であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる情報表示板の製造方法は、
レーザヘッド移動速度が50mm/min以上8000mm/min以下であることを
特徴とする。
【0012】
このような情報表示板の製造方法とすることにより、
レーザヘッド移動速度とレーザ出力を相互に調整することで板状部材の表面に刻印した
固有情報の濃度を正確に調整することができる。
【0013】
また、本発明にかかる情報表示板の製造方法は、
レーザ出力を100%で刻印した場合の固有情報を基準としたとき、1回のレーザ出力
を20%~90%の範囲内で設定し、同一座標系において複数回の重複刻印することを特
徴とする。
【0014】
このような情報表示板の製造方法とすることにより、
レーザ強度の特性を活かし、板状部材に焼損、炭化などの変化を起こさせるための一定
量の閾値に満たない露光量以下までレーザ出力を抑えることで、レーザ強度が得られる範
囲を小さくすることができ、これを重複刻印することで、より微細な固有情報を刻印する
ことができる。
【0015】
また、本発明にかかる情報表示板の製造方法は、
板状部材の表面に形成される固有情報データが、文字、記号、絵柄、及び2次元の幾何
学模様を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる情報表示板の製造方法は、
板状部材が青森ヒバ、檜、杉、その他木材、外国からの輸入材、間伐材等を使った合成
材、積層材、紙材、皮革、合成皮革、合成樹脂を基材とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レーザ照射の際の移動速度と、レーザ出力を相互に調整することで、
板状部材の表面に、文字、記号、絵柄、及び2次元の幾何学模様を含む固有情報の濃度を
調整し、正確に刻印することが可能となる。
また、固有情報に合わせて、走査方式を選択することで高精細な刻印が可能となる。
また、固有情報に合わせて、走査方式を選択することにより、刻印時間を低減しつつ、
位置精度の高い刻印が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】板状部材へ刻印するレーザ刻印装置を模式的に示す概念図である。
図2】板状部材を載置する座標グリッド(仮想格子)を示す概念図である。
図3】刻印形式を示す概念図であり、詳しくは、(a)ベクター形式を示し、(b)ラスター形式を示す。
図4】ベクター形式における濃度及びハッチング量の関係を示す概念図である。
図5】ラスター形式における濃度及びヘッド移動速度とレーザ出力の関係を示す概念図である。
図6】ヘッド移動速度に依存するレーザビームのX軸方向の重複度合いを示す概念図である。
図7】レーザビームのY軸方向の重複度合いを示す概念図であり、詳しくは、(a)ベクター形式におけるレーザビーム間の距離を示し、(b)Y軸方向のレーザビーム重複領域の積算露光量が小さいことを示し、(c)Y軸方向のレーザビーム重複領域の積算露光量が大きいことを示す。
図8】レーザビーム間の重複露光量及びY軸方向のハッチング量との関係を示す概念図であり、詳しくは、(a)重複露光量が閾値以上となる場合を示し、(b)は重複露光量が閾値以下となる場合を示している。
図9】板状部材の載置用治具を示す概念図である。
図10】楕円状のレーザビームを傾斜させた場合に概念図であり、詳しくは、(a)楕円状のレーザビームの傾斜角度の一例を示し、(b)楕円状のレーザビームを傾斜させてレーザビームを照射した場合のストライプを示し(c)楕円状のレーザビームを垂直にさせてレーザビームを照射した場合のストライプを示している。
図11】刻印装置の制御系について説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、
いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。
また、同一又は同種の部材については、同じ参照符号を付して、説明を省略することが
ある。
【0020】
まず、図1及び図2を参照にしながら、本発明の実施の形態にかかるレーザ刻印装置に
ついて説明を行う。
図1は、本発明の実施の形態にかかる板状部材1へ刻印する装置を模式的に示す概念図
であり、そのレーザ刻印装置は、板状部材1の表面にレーザを集光させ、特定の固有情報
(ここからは、パターンと称することもある)を描くように照射してアブレーション加工
により板状部材1を部分的に除去することで欠損部を形成する。換言すれば、板状部材1
が木材の場合、レーザにより木材表面が高熱を受けることで焼損又は炭化することで刻印
を形成する。
【0021】
レーザ刻印装置には、板状部材1を載置するフラットテーブル6と、レーザを発振する
レーザ発振器(図示しない)と、レーザ発振器で発振されたレーザを板状部材1に照射す
るレーザヘッド部5と、を備える。
レーザヘッド部5は、フラットテーブル6に対してX-Y方向への移動手段(図示しな
い)を備え、移動軌跡は、板状部材1に対して並行に移動させることが可能である。
また、板状部材1に対して、垂直方向への移動手段をレーザヘッド部に設け、フラット
テーブル6との焦点距離計測手段(図示しない)を設けることで、常時一定の焦点距離を
維持しながらX-Y方向への移動を行うようにしてもよい。
また、フラットテーブル6上に板状部材1を載置して、所定の角度に回転、移動させる
載置用治具7を用いて任意の角度で刻印することも可能である。
その場合、載置用治具7の高さを考慮する必要があるため、レーザヘッド部5の高さ及
び焦点距離を調整することは言うまでもない。
各移動手段の動力源は、パルスモーター、サーボモーター、リニアモーターなど既知の
動力源及び機構を適用することができる。
本実施の形態では、X-Y方向への移動手段について、パルスモーターを例にとり説明
を行う。
【0022】
フラットテーブル6は上面側に反射防止加工が施されており、フラットテーブル6に載
置した板状部材1に対してパターンデータの誤入力によりレーザヘッド部5が板状部材1
を外れた場合でも照射されたレーザがフラットテーブル6表面で反射することを防止して
いる。
なお、反射防止加工に代えて、板状部材1を保持する載置用治具7を載置した後に板状
部材1を載置して刻印を行ってもよいし、併用してもよい。
【0023】
図2は、板状部材1を載置するフラットテーブル6の座標グリッド(仮想格子)を示す
概念図であり、レーザ刻印装置の機械原点から+X軸方向及び+Y軸方向へ10mm以内
の範囲で移動した点を座標グリッドの原点(0,0)と定義している。
この座標グリッドの1マスは、仮に25mm×25mmに設定しているが、1mm単位
で設定が可能であり、1mm~50mmの範囲内で設定が可能である。
また、対象となる板状部材1の外形サイズや、固有情報に合わせて設定することも可能で
ある。
また、装置としての刻印可能範囲11は200mm×200mm~1500mm×15
00mm以内で選択することが可能である。
しかし、載置用治具7にX軸方向及び/又はY軸方向に平行にスライド可能となる機構
を設けることで刻印可能範囲11を超える板状部材1への刻印も可能となる。
この説明については後述する。
【0024】
板状部材1の載置位置を任意に設定する場合でも、装置としてのX軸及びY軸の真直度
と、座標グリッドのX軸、Y軸の真直度は一致しているため、板状部材1の任意の座標値
を始点座標として、X軸座標、Y軸座標に入力することで可能となる。
【0025】
また、板状部材1が座標グリットに対して回転ズレがある場合には、回転角θを±30
度以内で設定が可能である。しかしながら、過度の回転ズレ調整を行うと刻印の仕上がり
状態に影響があり、ベクター形式においては、刻印するパターン端部のアウトラインへの
影響が特に顕著であるため、板状部材1の再載置で対応し、微量な回転ズレに対応する手
法がより好ましい。
【0026】
なお、図9に示すように板状部材1の載置に利用する載置用治具7を用いることも可能
であり、載置用治具7の板状部材1載置座標と載置用治具7との関係を整合させることに
より、載置用治具7で全体の回転ズレを調整することも可能である。
この場合、載置用治具7の載置領域外にX軸に対する回転ズレ検出用パターンの予備刻
印領域12を設けておき、刻印の前に予備刻印として+X軸方向へ細線を刻印して、座標
グリッドとの回転ズレを計測するようにして、計測した回転ズレを回転角θ(度)の調整
で修正するようにしてもよい。
【0027】
次に、レーザ発振器で発振され、レーザヘッド部5から板状部材1に照射されるレーザ
について説明する。
使用可能なレーザは、固体レーザのYAGレーザ、ファイバレーザ、半導体レーザなど
や、気体レーザとして、CO2レーザ、エキシマレーザなどを用いることが可能であり、
本実施の形態では高出力を要求しないため、400nm~530nm程度の半導体レーザ
により行うがこれに限定するものではない。
当然に、半導体レーザ以外、例えば、CO2レーザを使用した場合には、高出力が得ら
れるため、レーザヘッド部5の移動速度を高速に設定することも可能となり、刻印に必要
とする時間が短縮されるという効果もある。
例えば、レーザ発振器のレーザパワーを2倍にすることで刻印するパターンにもよるが
必要となる時間を35%~60%短縮することが可能となる。
また、レーザ出力を低くし、レーザヘッド部5の移動速度で調整することも可能である
ため、相互の調整範囲が広がるという効果もある。
但し、高出力に合わせて移動速度を高速にすると、レーザ露光量により刻印される板状
部材1の寸法精度に影響が出る可能性があるため、過度の時間短縮はパターンの不具合を
誘発しかねないので注意が必要である。
【0028】
また、本技術で開示する半導体レーザは、一般的なガウシアン分布の特性を有するガウ
シアンビームである。
この半導体レーザは、光軸から離れた一つの点からの光が曲面で反射・屈折したあと、
一つの点に結像せず、間隔をおいた二つの直交する線分上に別々の像を結ぶ現象が発生す
る。
その線状の像間の距離を非点隔差といい、この非点隔差のために楕円状の放射パターン
を有していることが既知の技術情報として知られている。
本技術では、この楕円状の放射パターンのビームプロファイルを補正することで真円に
近い形状にするためにプリズムを複数個組み合わせることで改善している。
以下、放射パターンを真円形状とした場合の刻印方法について詳述する。
但し、楕円状の放射パターンを排除するものではなく、それを有効利用した刻印方法の
詳細についても後述する。
【0029】
次に、図11を参照にしながら、本発明の実施の形態にかかるレーザ刻印装置の制御部
13について説明する。
レーザ照射制御部14には、刻印データ入力部15と、データ処理部16、計測演算部
20及びレーザ照射部17を含み、動作制御部18は、レーザヘッド駆動部19を含んで
いる。
【0030】
刻印データ入力部15には、記憶部(図示しない)を含んでもよい。
また、記憶部は外付けの記憶装置でも可能であり、パーソナルコンピュータを接続し、
刻印データの入力部、記憶部を兼ねてもよい。
レーザ刻印装置との通信では、有線で接続してもよいし、既知の技術として、例えば、
Bluetoothのような無線通信技術で接続してもよい。
【0031】
データ処理部16は記憶部に記憶される刻印データに基づいて、ストライプ幅Wに対応
するレーザ照射データをそれぞれ生成し、生成したレーザ照射データに基づいてレーザ照
射部17を制御する。
レーザ照射データには、例えばレーザ光の出射のオンオフを表す論理値“1”及び論理
値“0”を含んでいる。
なお、刻印データはレーザビーム径、ビーム強度、ストライプ幅W、解像度DPI、
ハッチング量Hなど刻印に関する種々のパラメータの値を含む場合があり、レーザヘッド
部5の移動速度、刻印方向などのパラメータを考慮して作成される。
【0032】
種々のパラメータに基づきデータ処理部16でレーザ照射データとして制御信号CS1
を生成し、レーザ照射部17に伝送すると共に刻印データに基づくX-Y移動手段の制御
信号CS2も動作制御部を介してレーザヘッド駆動部19に伝送される。
これによりレーザ刻印装置における刻印が実行される。
【0033】
次に、フィードバック制御について説明する。
前述したように刻印データ入力部15で入力された刻印データに基づく制御信号CS1
は動作制御部18に伝送され、動作信号としてレーザヘッド駆動部19に伝送される。
これによりX-Y移動手段により刻印が実行される。
このとき、レーザヘッド駆動部19では、例えば、パルスモーターの移動速度をパルス
数や周波数で制御しつつ、フラットテーブル6の座標グリッド(仮想格子)上の位置座標
を計測手段(図示しない)を用いることで、計測データMDを取得し、動作制御部18に
フィードバックしてもよい。
【0034】
この計測データMDと制御信号CS1を計測演算部20にフィードバックFBし、実際
の座標グリッド上の位置座標を補正データCDとしてデータ処理部16にフィードバック
することで、物理的、電気的要因、例えば、板状部材1へのレーザヘッド部5の衝突又は
駆動源であるパルスモーターの脱調などにより差分が発生したことを検出した場合、刻印
データの差分を特定することにより補正された制御信号CS1、CS2がデータ処理部1
6で再度、生成され座標との差分、位置座標が特定でき、正確な位置座標での刻印が可能
となる。
【0035】
次に、レーザ刻印装置で刻印する絵柄及び2次元の幾何学模様を含む固有情報のデータ
について説明する。
データとしてレーザ刻印装置に入力するファイル形式は、png、jpeg、jpg、
bmp、gif、tiff、tif、svg、dxf等の既知のファイル形式を使用する
ことが可能である。
また、文字、記号などのフォント形式、フォントサイズも特に限定しない。
【0036】
次に、情報表示板として、例えば、縦55mm、横91mmの一般的な薄板状の名刺を
例にとり説明するが、特にこれに限定するものではなく、その他、情報を刻印した厚板、
薄板など、形状、サイズは自由に選択することが可能である。
情報表示板には、各種の情報を示す表示が付されている。その表示により示される情報
とは、例えば、個人等を特定する氏名、所属する会社等の名称、会社等のロゴマークなど
の商号商標、会社等の所在地、電話番号、FAX、2次元の幾何学模様、会社事業内容等
の情報などがあげられる。
【0037】
2次元の幾何学模様には、情報表示板に刻印された情報、又はその他の情報が含まれて
おり、2次元の幾何学模様を所定の機器で読み込むことにより機器で情報を識別できる。
例えば、2次元の幾何学模様には情報表示板の所有者が所属する会社等のウェブページ
のアドレスが含まれてもよい。
その場合、例えば、スマートフォンに付属するカメラで2次元の幾何学模様を撮影する
ことで、アドレスをスマートフォンで読取り、ウェブページを表示することもできる。
【0038】
情報表示板の材料について説明する。情報表示板の材料としては、例えば、青森ヒバ、
檜、杉、外国からの輸入材、間伐材等を使った合成材などを利用可能である。
【0039】
また、木材以外にもレーザで刻印でき、かつ、濃度を調整できる材質であれば特に限定
するものではない。例えば、紙材、皮革、合成樹脂であっても可能である。
【0040】
図3は、刻印形式を示す概念図であり、詳しくは、(a)ベクター形式を示し、(b)
ラスター形式を示しており、図に基づき各刻印形式における情報表示板の製造方法の説明
を行う。
【0041】
(実施形態1)
ベクター形式による製造方法について説明する。
ベクター形式では、点座標とそれを結ぶ線や面のパラメータ情報で表現される刻印方法
であるため、点座標の数によって刻印されたパターンの輪郭の滑らかさが決定される。
【0042】
詳しくは、板状部材1の複数の刻印領域にその領域内のパターン形成部分にのみレーザ
を走査する方式であり、一つのパターンを刻印し終わるとレーザをOFFとし、同じ刻印
領域内の次のパターンにレーザヘッド部5が移動し、再びONとしてそのパターンを刻印
する。
一つの刻印領域内のパターン全ての刻印が終了すると、X-Y方向の移動により、次の
刻印領域ヘレーザヘッド部5が移動する。
【0043】
図3(a)に示すように、刻印領域内の一つのパターン1を刻印するときは、パターン
1内でストライプ幅Wのパターン刻印を行うため、レーザヘッド部5を+X軸方向に移動
させ点座標とその他の点座標を結ぶ線を刻印する。
そして、+Y軸方向にレーザヘッド部5を移動させることで次の点座標とその他の点座
標を結ぶ線をストライプ幅Wで刻印する。
図3(a)においては、所謂、一方向への刻印により実施されることを示している。
このとき、+X軸方向に刻印が進行し、その他の点座標まで刻印が実施され、レーザを
OFFにして+Y軸方向にレーザビーム径の距離だけ移動させ、その他の点座標側から点
座標側へ-X軸方向へ刻印をスタートする。所謂、往復刻印を実施してもよい。
そうすることで刻印時間をより短縮することが可能となる。
このような刻印を交互及び/又は個別に繰り返すことにより、刻印領域内のパターン1
の刻印を完了し、次の刻印領域内のパターン2にレーザをOFFにして移動する。
【0044】
このとき、一つのパターン内で+X軸方向に形成するストライプ幅Wのパターン刻印を
+Y軸方向にずらしながら複数回の刻印をする際に複数のストライプ幅Wのパターン間の
ピッチ及びパターン幅を設定することによりレーザ刻印したパターンの濃度を調整する。
具体的には、パターン幅(レーザビーム径)0.2mm、パターンピッチ(ハッチング
量H)を0.05mm~3.0mmの範囲内で調整し、+X軸方向のレーザヘッド部5の
移動速度を50mm/min以上8000mm/min以下の範囲内で任意に設定して、
レーザ出力は1%~100%の範囲内で調整して刻印を行う。
【0045】
図4(a)乃至(c)は、上記調整方法を実施した場合の概念図であって、図4(a)
では、パターンピッチHをレーザビーム径の0.2mmと略同一に調整した場合であり、
レーザビーム間の閾値以下のレーザ露光量が重複せず、かつ、レーザ露光量が0(ゼロ)
になっていないことを示している。図4(b)は、パターンピッチHをレーザビーム径の
半分程度にした場合を示しており、閾値以上のレーザ露光量の重複及び閾値以下のレーザ
露光量も重複していることを示している。
【0046】
そのため、板状部材1に照射されたレーザ露光量が閾値をはるかに超えるため刻印した
パターン周辺にまでレーザ露光量の影響を受けていることを示している。
図4(c)は、レーザビーム径の約2倍以上のパターンピッチHで刻印した場合には、
レーザビーム間に間隙が形成されることを示しており、この場合、刻印されるパターンに
スリットが形成された状態を示している。
パターンの濃度を調整する方法として、上記以外にレーザ出力を一定とする場合には、
レーザヘッド部5の移動速度をパルスモーターのパルス数や周波数で調整する方法も有効
である。
【0047】
図5(a)乃至(c)は、レーザ出力を一定とする場合のレーザヘッド部5の移動速度
による調整方法を実施した場合の概念図であり、図5(a)は移動速度を高速にした場合
の濃淡具合を示し、図5(c)は移動速度を低速にした場合の濃淡具合を示し、図5
(b)は、両速度の中間速度にした場合の濃淡具合を示している。
それによれば、レーザヘッド部5の移動速度を高速から低速にするにつれて刻印の濃度
が濃くなっており、レーザ出力を一定とする場合にはレーザヘッド部5の移動速度に依存
することを示している。
これらの調整方法を個々に実施してもよいし、組み合わせることも可能である。
【0048】
ここで装置の移動機構について説明する前に、本発明に供する機構は一般的な機械装置
に使用される既知の機構を利用しているため図面を省略して説明することとする。
装置の移動機構には動力源としてパルスモーターが含まれ、伝達機構を介してX-Yの
移動手段を駆動する。
その速度制御はパルスモーターに対してのパルス周波数(Hz)で決まり、ドライバに
入力するパルス数や周波数の変更でモーターの回転速度(r/min)を調整することで
達成される。
伝達機構としては、例えば、X軸にボールねじの機構を設け、ねじ部にレーザヘッド部
5を連結し、ボールねじと動力源であるパルスモーターとをタイミングプーリーとタイミ
ングベルトで連結し、タイミングプーリーの歯数で減速比を設定し、移動距離、移動速度
の調整は、パルス数や周波数で設定することにより調整可能となる。
また、上記のX軸の移動機構全体に対して、同様にY軸の移動機構を設けることにより
X-Yの移動機構を構成することが可能である。
【0049】
また、上記に加え、レーザ出力を調整するパラメータを組み合わせてもよい。
レーザ出力は1%以上100%以下の範囲で、1%単位で調整が可能である。
【0050】
また、レーザ出力を調整する場合には、次の特性を考慮することも重要である。
すなわち、レーザには前述した特有のガウシアン分布があり、照射されるレーザの光軸
から外縁に向かって、レーザ強度が同心円的に低下するという特性がある。
つまり、外縁に向かうにつれレーザ強度の低下とともに板状部材1に照射される露光量
も低下するため、一般的には、板状部材1に焼損、炭化などの変化を起こさせるための一
定量のレーザ強度を閾値とし、そのレーザ強度が得られる照射範囲を加工に供するレーザ
径として使用している。
【0051】
図6は、刻印する場合のレーザヘッド部5の移動速度と、レーザビーム間のビーム重複
度合いを示した概念図であり、低速で移動している場合、レーザビームが重複するX軸方
向のレーザビーム重複領域31の積算露光量が大きいことを示しめしている。
換言すれば、レーザ露光量が閾値以上になっていることを示している。
また、レーザヘッド部5の移動速度を高速に設定した場合、レーザビームのX軸方向の
レーザビーム重複領域32が閾値に満たない露光量が重複するため、積算露光量が小さい
ことを示している。
【0052】
図7は、X軸方向の刻印条件を適切に調整した状態において、Y軸方向の重複度合いを
示す概念図である。
図7(a)は、一例としてベクター形式におけるパターン間の距離、すなわち、ハッチ
ング量Hを示しており、図7(b)は、Y軸方向のレーザビーム重複領域41の積算露光
量が小さいことを示しており、図7(c)は、Y軸方向のレーザビーム重複領域42の積
算露光量が大きいことを示している。
これらはベクター形式におけるレーザビーム間のハッチング量Hとの関係を示したが、
ラスター形式における1inchあたりの解像度DPIについても同様の関係がある。
【0053】
次に、板状部材1の載置用治具7について、図9を基に説明する。
載置用治具7には、板状部材1を固定する固定手段(図示しない)を備え、例えば、簡
易のチャック手段や、薄板の場合は挿入して板状部材1の端部を押圧する手段、粘着層を
備えた貼り付け手段などで板状部材1の固定を行う。
載置用治具7のベース板8の載置面は、フラットテーブル6上に載置されるため平面度
0.1mm以下の精度を要する。
そして、板状部材1の固定される側の表面は、裏面に対しての並行度0.1mm以下の
精度となっている。
この精度は、板状部材1に対して刻印を行う場合に刻印可能範囲11内においてレーザ
ヘッド部5と板状部材1との焦点距離の差が生じると板状部材1に刻印される固有情報の
解像度に影響があるため重要である。
【0054】
次に、載置用治具7で刻印可能範囲11以上の板状部材1を固定し、必要に応じて移動
させる移動手段について説明する。
載置用治具7の上側に載置テーブル9、下側にベース板8を設け、その間にX-Y方向
へスライドさせることが可能となるスライド機構10を設けることで、載置テーブル9に
固定した板状部材1を刻印開始の始点座標から回転ズレさせることなくX-Y方向へ移動
させることが可能となる。
また、スライド機構10には位置決めできる係止手段を設け、始点座標から任意の座標
にスライドして係止することができる。
なお、X-Y方向へのスライド機構10は、例えば、X軸方向のスライド手段に対し、
Y方向のスライド手段が直行度0.05mm以下であることが必要であり、各々のスライ
ド機構10も載置テーブル9及びベース板8との並行度が0.1mm以下であることが好
ましい。
このようにすることでフラットテーブル6の座標グリッドのX軸方向との並行度を前述
した方法で検出し、回転ズレθを調整することで、載置用治具7全体の回転ズレθが補正
でき、載置用治具7に固定した板状部材1との並行度も補正されることになる。
【0055】
(実施形態2)
次に、ラスター形式の刻印方法について説明する。
以下、図3(b)を参照にしながら本発明の実施の形態にかかる製造方法を説明する。
ここで、レーザ刻印装置、板状部材1の載置及び載置用治具7の説明などベクター形式
と共通する部分については省略する。
【0056】
ラスター形式では、刻印領域内で刻印するパターン形成部分に対して、ビーム径に依存
するドットパターンの数により表現される。
画像のDPI(解像度)と同様であるため、ラスター形式の刻印データはビットマップ
データと同様である。
【0057】
その刻印データを基に連続的に走査することで、X方向及び/又はY方向にパターンを
レーザビームで描くこととして定義される。
【0058】
詳しくは、板状部材1の複数の刻印領域内のパターン形成部分を含む刻印可能範囲11
全体を走査し、パターン形成部分にのみレーザを照射し、非パターン形成部分においては
レーザ照射をOFFにしつつ走査する方式である。
刻印可能範囲11全体に対して、刻印領域の始点位置から一定幅で+X軸方向に走査し
てストライプ幅Wの刻印を行い、刻印領域の終点位置まで走査すると、レーザヘッド部5
が+Y軸方向にレーザビーム径の距離だけ移動し、再度、刻印領域の始点から終点まで走
査して刻印を行う。
ここで、第1回目の走査で始点位置から終点位置まで刻印を実施し、レーザヘッド部5
が+Y軸方向にレーザビーム径の距離だけ移動した後、第1回目の終点側を始点位置とし
て、逆方向-Y軸方向に刻印を行ってもよい。所謂、往復刻印を実施することで全体の刻
印時間を短縮することが可能となる。
以後、同様に、刻印可能範囲11全体に走査が終了するまで同じ動作を繰り返す。
【0059】
一つのストライプ幅Wの刻印とは、+X軸方向に形成するストライプ幅Wのパターン刻
印をビーム径に依存するドットパターンで刻印を行い、走査を完了すると+Y軸方向に一
定幅の距離だけずらして複数回の刻印を行うことである。
ここで一定幅とはビーム径に依存するドットパターンの径の場合であるが、これに限ら
ずレーザ発振器から導かれる光路上に音響光学素子やガルバノミラー等を設け、焦点距離
とレーザビーム径を調整する機構、例えば、Fθレンズ、ビームエキスパンダーなどを組
み合わせて、レーザビームを+Y軸方向に一定幅で振りながら+X軸方向に走査するよう
にしてもよい。
また、空間光変調素子などの半導体素子によりレーザビームを反射させ、面光源として
刻印を行ってもよい。
【0060】
この方法によるとX軸方向の走査幅がレーザビーム径に依存した走査幅に比して、拡張
されたストライプ幅Wを持つため、刻印効率を向上させ、刻印時間の短縮が図れることは
言うまでもない。
【0061】
本実施例にけるストライプ幅Wのパターン刻印では、解像度DPIと同様に1inch
あたりのドット数として、72以上600までの範囲で解像度を調整している。
具体的には、ドット径を0.2mmとしX軸方向のレーザヘッド部5の移動速度を50
mm/min以上8000mm/min以下の範囲で任意に設定し、レーザ出力は1%~
100%の範囲内で調整して刻印を行う。
複数のストライプ幅Wの刻印ピッチ及びドット径を設定することによりレーザ刻印した
パターンの濃度を調整している。
【0062】
パターンの濃度を調整する方法として、レーザ出力を一定とする場合にはレーザヘッド
部5の移動速度をパルスモーターのパルス数や周波数で調整する。
【0063】
なお、レーザの出力調整と、レーザヘッド部5の駆動調整については、ベクター形式と
同様であるため省略する。
【0064】
このように種々の刻印形式を用いた場合において、ビームの走査幅やビーム径に刻印の
繋ぎ目が存在し、そのような繋ぎ目に発生する重複刻印によって不均一なレーザ露光量の
領域が刻印単位毎に周期的に発生してしまうという問題点が残ることになる。
【0065】
本発明においては、この問題点を誠意検討した結果、繋ぎ目に発生する重複刻印による
不均一なレーザ露光量の積算領域が発生することを積極的に活用する手法として次に説明
する変形例を示す。
【0066】
(変形例)
図8は、1番目のレーザビームと2番目のレーザビームのガウシアン分布を模式的に示
し、かつ、板状部材1に焼損、炭化などの変化を起こさせる一定量の閾値と、そのときの
露光量を示しており、この図に基づいて説明する。
閾値となる露光量の分布範囲がレーザビーム径として用いられる。
本発明では、レーザビーム径を0.2mmとして例示しているがこれに限定するもので
はない。
そして、レーザビーム間のハッチング量Hを調整することでパターン間における露光量
を0から閾値以上の範囲とすることが可能となる。
【0067】
図8(a)では、レーザビーム間の重複領域OR1における1番目と、2番目のレーザ
ビームの閾値以下の露光量B1を示しており、1番目と、2番目の個々のレーザビームの
露光量B1は同一領域内で積算されるため露光量A1と同等になり、板状部材1に焼損、
炭化などの変化を起こさせる一定量の閾値と同等の露光量となることを示している。
図8(b)ではレーザビーム間のハッチング量Hを大きくすることで重複領域OR2を
拡げたことを示しており、重複領域OR2における1番目と、2番目のレーザビームの閾
値以下の露光量B2を示しており、1番目と、2番目の個々のレーザビームの露光量B2
を同一領域内で積算したとしても積算した露光量A2は閾値に満たない露光量となること
を示している。
【0068】
例えば、露光量B1が閾値の1/3とした場合、重複領域内における積算露光量は2/
3となるため、板状部材1に焼損、炭化などの変化を起こさせるための露光量A1には達
しないことを示している。
但し、レーザビーム間の見た目の濃度を低くする場合には有効であり、刻印デザインの
類型において説明する。
【0069】
なお、ハッチング量Hの調整では、0.05mm~3.0mmまで0.01mm単位で
調整可能だが、ハッチング量Hには、1番目のレーザビームと、2番目のレーザビームの
重複領域OR1、OR2が含まれるが、図8(b)のように重複領域OR2≦ハッチング
量Hとなる場合があることは言うまでもない。
このような露光量をハッチング量Hで調整しつつ、1番目、2番目、3番目乃至第n番
目(nは整数)まで刻印を繰り返すことでパターンの刻印が実施される。
【0070】
また、前述したレーザ特有のガウシアン分布に関連して板状部材1に焼損、炭化などの
変化を起こさせるための一定量のレーザ強度が得られる範囲を、加工に供するレーザ径と
することを説明したが、このレーザ強度の特性を活かしレーザにより板状部材1に焼損、
炭化などの変化を起こさせるための一定量の閾値に満たない露光量以下までレーザ出力を
抑えることで、レーザ強度が得られる範囲を小さくすることも可能となる。
【0071】
その場合において、出力の低いレーザ強度を照射したい位置座標に複数回の照射を行う
ことで、板状部材1に焼損、炭化などの変化を起こさせる一定量以上の閾値を超えるよう
にしてもよい。
そうすることにより、100%の出力の場合のレーザ径よりも小さい径による刻印が可
能となるため、より微細なパターンに対応することも可能となる。
換言すると、レーザ径を小さく設定し、その範囲になるようにレーザ出力を調整して、
パターンの基準となる濃度のレーザ出力100%に対しての比率を求め、その比率から照
射の回数を逆算してもよい。
そのようにすると、1inchあたりのドット数として解像度DPIを600DPIに
することも可能となるが、その反面、レーザヘッド部5の移動速度を設定することによる
刻印時間の増加が考えられるため、刻印するパターン・サイズによっては刻印時間の増加
が発生する場合がある。
【0072】
また、ラスター形式とベクター形式を刻印領域内において刻印するパターン形状に対応
させて選択すること及び/又は混在させる手法で刻印を行ってもよい。
その場合、ベクター形式では、点座標とそれを結ぶ線のパラメータ情報において、濃度
が高くなるように設定し、面のパラメータ情報においては、濃度が低くなるように設定
し、異ならせることで刻印したパターンの輪郭を強調させる刻印パターンも可能となる。
逆に、点座標とそれを結ぶ線のパラメータ情報において、濃度が低くなるように設定
し、面のパラメータ情報においては、濃度が高くなるように設定し、異ならせることで刻
印したパターンに陰影をつけることも可能となる。
【0073】
また、上記に加えハッチング量Hの調整を組み合わせることにより濃度の調整も可能で
あり、ハッチング量Hの調整に合わせてレーザビーム径の略半径分の距離だけずらして刻
印することで微細なホールパターンを形成できる。これについては後述する。
【0074】
また、上記ハッチング量Hの調整以外に、刻印方向の設定を組み合わせてもよい。
詳しくは、パターン内で刻印するストライプ単位でX軸方向に刻印する場合に対して、
Y軸方向に刻印するようにしてもよいし、X軸方向とY軸方向を重複させるようにして刻
印してもよい。
【0075】
また、刻印するパターンに対してレーザ出力を低減し、同一パラメータで刻印を行い、
刻印終了後、一旦、座標グリッドの原点にレーザヘッド部5を復帰させ、再度、刻印濃度
を変更するパターンのみを選択的に重ね刻印することで刻印の濃度調整を行ってもよい。
この場合、座標グリッドの原点に復帰することによる装置の位置座標の再現性が問題と
なるが、再現性の誤差は数μm程度であるため、目視により視認される程度の重ね刻印の
ズレの発生に繋がらないため、有効な刻印方法である。
また、前述したフィードバック制御を活用することで精度の高い刻印も可能となる。
【0076】
以上の実施形態、ならびに変形例はレーザビーム径のビームプロファイルの補正により
真円に近い形状を前提として説明したが、ビームプロファイルを補正することなく楕円状
の放射パターンを使用する刻印方法を次に説明する。
【0077】
本技術では、先に説明した非点隔差による楕円状のレーザビームを使用することで板状
部材1への刻印したパターンのアウトラインを均一にする手法も開示する。
図10(a)では、板状部材1を平面視した場合において、楕円状の長半径側のレーザ
ビーム光軸中心を通る中心線の傾きを座標グリッドのX軸に対して、0以上90度以下に
傾斜させ、好ましくは、30度±15度の範囲内で傾斜させて、先に説明したX軸方向の
重複及びY軸方向の重複を調整することで刻印濃度の分布及びアウトラインを均一にする
ことが可能となる。
図10(b)、(c)では、傾斜させながらX軸方向に重複させつつ刻印を行うことで
楕円状の曲率が小さい方向の頂点間の距離が拡がる代わりに、刻印したストライプ幅Wの
アウトライン(凹凸具合い)を90度と比較して滑らかにすることができる。
しかしながら、ストライプ幅Wは、狭くなるため傾斜角度を適切に調整することが必要
となるが、傾斜角度は上記に限定するものではない。
【0078】
また、前述したレーザビーム径の略半径分の距離をずらして刻印する手法も開示する。
(図示しない)
楕円状の長半径側のレーザビーム光軸中心を通る中心線の傾きを座標グリッドのX軸に
対して0度に設定し、楕円状のレーザビーム径の略半径分の距離をずらして刻印する場合
に、板状部材1に焼損、炭化などの変化を起こさせる一定量の閾値を超えない、略半分の
レーザ強度で刻印することにより、略半径分の重複領域のみ一定量の閾値を超えるように
することで楕円状のレーザビームでありながら真円に近いパターン形状を得ることが可能
となる。但し、X軸方向のハッチング量Hの調整が必要であることは言うまでもない。
このようにすることで、同一座標に一定量の閾値を超えないレーザ強度で刻印する場合
と比較して、板状部材1に焼損、炭化などの変化を起こさせる一定量の閾値を超える領域
外の一定量の閾値を超えないレーザ強度で刻印された領域により形成されるストライプの
輪郭が不安定な変化を起こすことを抑制することが可能となる。
【0079】
また、楕円状のレーザビームの放射パターン径を有効に活用する場合には、コリメート
することも可能である。
楕円状のレーザビームをコリメートする既知の技術としては、次に説明する技術が一般
的である。
ガウシアンビームから平行光を得るには、板状部材1の表面上がビームウエストである
と仮定し、光源から板状部材1の表面までの距離d及び焦点距離fがd=f となるところ
にコリメートレンズを配置すればコリメートされる。これも一般的に知られている技術で
ある。
【0080】
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形、変更、組合せを行うことが
可能であって、それらも本発明の均等の範囲内であることは言うまでもない。
【0081】
(検証実験例)
次に、本発明の実施形態の検証として、刻印形式毎に種々の実験例を示す。
実験例1、3では、レーザ出力を100%、75%、50%の3段階に可変した場合を
示す。
実験例2、4は、レーザヘッド移動速度を1000、1500、2000mm/min
の3段階に可変した場合を示す。以上の実験例について表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
(実験例1-1:ベクター形式 レーザ出力:100%)
・刻印形式:ベクター形式
・レーザの種類:半導体レーザ (400~530nm帯レーザ)
・レーザ出力:100%
・レーザヘッド移動速度: 1500mm/min(一定)
・ハッチング幅: 0.1mm
・パターン幅: 0.2mm
・パターン形式: 標準フォント(明朝体)、フォントサイズ(9)
本実験例では、板状部材1として檜材及び/又は青森ヒバを準備し、レーザ刻印装置の
刻印可能範囲11内での座標グリッドの原点位置に合わせて載置した。
次に、制御ソフトに上記パラメータを入力して、板状部材1に刻印するパターン(標準
フォント)を入力し、刻印を開始した。
結果、標準フォントで構成したパターン(10文字)を刻印するのにかかった所要時間
が150秒であった。
そして、本実験例1-1で得られた濃度%を仮に基準として以下の実験例との比較検証
を行った。
【0084】
なお、検証結果である濃度%を検出する計測器としては、種々の計測器を使用すること
ができる。例えば、濃度計、光沢度計、測色計などの計測器単体で計測してもよいし、適
宜、組み合わせて計測してもよい。
また、撮像装置で取得した画像信号を基に計測してもよい。
本発明の検証では、板状部材1として檜材及び/又は青森ヒバを使用するため、板状部
材1の状態も濃度に影響すると考えられる。
そのため、検証に必要な装置への設定条件を優先して濃度%については定性的な表現に
留めることとした。
【0085】
(実験例1-2:ベクター形式 レーザ出力:75%)
実験例1-1と同様のパラメータにおいて、レーザ出力を75%とした場合のベクター
形式について同様に行った。
結果、標準フォントで構成したパターン(10文字)を刻印するのにかかった所要時間
が150秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、1/4程度薄くなった。
【0086】
(実験例1-3:ベクター形式による刻印方法 レーザ出力:50%)
実験例1-1と同様のパラメータにおいて、レーザ出力を50%とした場合のベクター
刻印について同様に行った。
結果、標準フォントで構成したパターン(10文字)を刻印するのにかかった所要時間
が140秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、1/2程度薄くなった。
以上の実験例1:ベクター形式による結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
以上の結果からレーザヘッド移動速度を一定としてレーザ出力を可変した場合、レーザ
出力の減少に依存して、刻印される情報の濃度が低下することが確認できた。
【0089】
次に、レーザヘッド移動速度を可変する場合について実験する。但し、各刻印条件の
うち、同一条件については省略する。
(実験例2-1:ベクター形式 レーザ出力:100%)
実験例1-1と同様のパラメータにおいて、レーザ出力を100%とした場合のベクタ
ー刻印について、レーザヘッド移動速度を1000mm/minとして行った。
結果、標準フォントで構成したパターン(10文字)を刻印するのにかかった所要時間
が220秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、1/2程度濃くなった。
【0090】
(実験例2-2:ベクター形式による刻印方法 レーザ出力:100%)
実験例2-1と同様のパラメータにおいて、レーザヘッド移動速度を1500mm/m
inとして同様に行った。
結果、標準フォントで構成したパターン(10文字)を刻印するのにかかった所要時間
が150秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、ほぼ同等となった。
【0091】
(実験例2-3:ベクター形式による刻印方法 レーザ出力:100%)
実験例2-1と同様のパラメータにおいて、レーザヘッド移動速度を2000mm/m
inとして同様に行った。
結果、標準フォントで構成したパターン(10文字)を刻印するのにかかった所要時間
が110秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、1/2程度薄くなった。
以上の実験例2:ベクター形式による結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
以上の結果から、レーザ出力を一定としてレーザヘッド移動速度を可変した場合、速度
を低速から高速に変化させることで刻印されるパターンの濃度が高濃度から低濃度になる
ことが確認でき、レーザヘッド移動速度に依存することが確認できた。
また、パターン間でのレーザが照射されずに移動する際のレーザヘッド移動速度を調整
することにより、刻印時間の短縮を図れることは言うまでもなく、量産する際の加工時間
短縮により生産効率の向上が図れる。
【0094】
引き続きラスター形式についての種々の実験例を示す。
実験例3は、レーザ出力を100%、75%、50%の3段階に可変した場合を示す。
実験例4は、レーザヘッド移動速度を1000、1500、2000mm/minの3
段階に可変した場合を示す。以上の実験例については表1と同様である。
【0095】
(実験例3―1:ラスター形式による刻印方法)
・刻印形式:ラスター形式
・レーザの種類:半導体レーザ (400~530nm帯レーザ)
・レーザ出力:100%
・レーザヘッド移動速度: 1500mm/min(一定)
・DPI: 254
・パターン形式: 記号を含む標準フォント(明朝体)、フォントサイズ(9)の画像
本実験例では板状部材1として檜材及び/又は青森ヒバを準備し、刻印装置の刻印可能
範囲11内で座標グリッドの原点位置に合わせて載置した。
次に、制御ソフトに上記パラメータを入力し、板状部材1に刻印するパターン(2次元
の幾何学模様)を入力し、刻印を開始した。
結果、パターンを刻印するのにかかった所要時間が340秒であった。
このとき験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、ほぼ同等となった。
【0096】
(実験例3-2:ラスター形式 レーザ出力:75%
実験例3-1と同様のパラメータにおいて、レーザ出力を75%とした場合のベクター
刻印について同様に行った。
結果、パターンを刻印するのにかかった所要時間が340秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、1/4程度薄くなった。
【0097】
(実験例3-3:ラスター形式による刻印方法 レーザ出力:50%)
実験例3-1と同様のパラメータにおいて、レーザ出力を50%とした場合のベクター
刻印について同様に行った。
結果、パターンを刻印するのにかかった所要時間が340秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、1/2程度薄くなった。
以上の実験例3:ラスター形式による結果を表4に示す。
【0098】
【表4】
【0099】
以上の結果から、レーザヘッド移動速度が一定で、レーザ出力を可変した場合、レーザ
出力の減少に依存して、刻印される情報の濃度が低下することが確認できた。
【0100】
(実験例4-1:ラスター形式による刻印方法 レーザ出力:100%)
実験例3-1と同様のパラメータにおいて、レーザ出力を100%とした場合のラスタ
ー刻印について、レーザヘッド移動速度を1000mm/minとして行った。
結果、パターンを刻印するのにかかった所要時間が510秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、1/2程度濃くなった。
【0101】
(実験例4-2:ラスター形式による刻印方法 レーザ出力:100%)
実験例3-1と同様のパラメータにおいて、レーザヘッド移動速度を1500mm/m
inとして同様に行った。
結果、パターンを刻印するのにかかった所要時間が340秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、ほぼ同等となった。
【0102】
(実験例4-3:ラスター形式による刻印方法 レーザ出力:100%)
実験例3-1と同様のパラメータにおいて、レーザヘッド移動速度を2000mm/m
inとして同様に行った。
結果、パターンを刻印するのにかかった所要時間が260秒であった。
このとき実験例1-1と比較したパターンの見た目の濃度は、1/2程度薄くなった。
以上の実験例4:ラスター形式による結果を表5に示す。
【0103】
【表5】
【0104】
以上の結果から、レーザ出力を一定としてレーザヘッド移動速度を可変した場合、速度
を低速から高速に変化させることで刻印される情報の濃度が低下することが確認できた。
以上、検証した実験結果を表6に示す。
【0105】
【表6】
【0106】
実験例1 から実験例4 の実験結果より、レーザ出力の調整によりほぼリニアに濃度の
変動が確認できた。
また、レーザヘッド移動速度の調整によって、刻印されるパターンの単位面積当たりの
レーザ露光量が変動するため、刻印濃度の増減となることが確認できた。
また、レーザヘッド移動速度に依存して刻印時間の増減が確認できた。
【0107】
以上、上記実験例により、本発明におけるレーザヘッド移動速度一定によるレーザ出力
調整による刻印と、レーザ出力一定によるレーザヘッド移動速度調整による刻印ついて説
明した。
【0108】
(刻印デザイン類型の一例)
次に、本発明における情報表示板のデザイン類型について説明する。
デザイン類型の一例として、透かし型、縁取り型、滲み型について、その手法及びデザ
インの特徴となる点について説明する。
【0109】
(透かし型)
本デザインの刻印条件では、刻印する領域の単位面積当たりのスリット量の比率により
決定される。
具体的には、刻印する領域の刻印条件としてレーザ出力を、例えば、10%~100%
の範囲内で設定し、レーザヘッド部5の移動速度を調整することで濃度を調整する。
このとき、刻印濃度を低くする設定条件として、例えば、(表6)に基づいて、レーザ
出力と、レーザヘッド移動速度を調整しつつ、図4(c)のように横方向に対してハッチ
ング量Hを設定することで可能となる。
本デザインの濃度としては、(表6)に示した基準となる濃度に対して25%~50%
の濃度が適正範囲となる。
濃度の考え方として、刻印された領域とスリットが形成された領域、すなわち、未刻印
の領域の面積比によって決定される。
濃度の計測については、前述した既知の計測方法で計測することが可能である。
【0110】
(縁取り型)
本デザインの刻印条件についても刻印する領域の単位面積当たりのスリット量の比率で
決定されるが、透かし型との差異は、スリットを形成する方向にある。
本デザインでのスリット形成では、横方向及び縦方向にスリットを形成することで実施
される。
具体的には、刻印する領域の刻印条件としてレーザ出力を、例えば、10%~100%
の範囲内で設定し、レーザヘッド部5の移動速度を調整することで濃度を調整する。
このとき、刻印濃度を高くする設定条件として、例えば、(表6)に基づいて、レーザ
出力と、レーザヘッド移動速度を調整しつつ、図4(c)のように横方向に対してハッチ
ング量Hを設定し、同時に縦方向のハッチング量(図示しない)を設定することで刻印の
方向が横と縦の重複となるため、実質的には2重に刻印される領域を設定することとなり
刻印されるパターンのアウトライン、所謂、縁取りの効果を奏することとなる。
【0111】
このときのハッチング量は、透かし型に比べ、狭く設定することで板状部材1に焼損、
炭化などの変化を起こさせるための一定量のレーザ強度を閾値としたとき、その閾値に満
たない露光量B1を隣接させることが可能となり、単位面積当たりの濃度が高くなる。
そのため、レーザ出力を一定とした場合でもレーザヘッド移動速度を高く設定すること
が可能となる。
また、刻印されるパターンのアウトライン、所謂、縁取りの効果に対しても効果を奏す
ることとなる。
この考え方については、図8(a)を参照して変形例で詳述したため省略する。
また、濃度の計測についても同様であるため省略する。
【0112】
(滲み型)
本デザインの刻印条件についても刻印する領域の単位面積当たりのスリット量の比率で
決定し、基本的には先の縁取り型と同様である。
そのため縁取り型との差異についてのみ説明し、共通する部分については省略する。
本デザインにおけるスリット形成は、ハッチング量が縁取り型に比べやや広い点にある
ため、図8(b)を参照しつつ説明する。
【0113】
本デザインでは、縁取り型に比べてハッチング量を広く設定するため、板状部材1に焼
損、炭化などの変化を起こさせるための一定量のレーザ強度を閾値としたとき、その閾値
に満たない露光量B2の領域が、縁取り型と比べて閾値に満たない重複する露光量A2と
なるため、全体に濃度が低くなる。
そのため、レーザ出力を一定とした場合にはレーザヘッド移動速度を低く設定すること
が必要となる。
【0114】
また、刻印されるパターンのアウトライン、所謂、縁取りの効果も薄れることになる。
これは、閾値に満たない重複する露光量A2の領域が固有情報のアウトラインにも発生
するため、パターンのアウトラインに濃度の高低差が発生することで、パターンが滲んだ
ように、換言すると、陰影が発生しているようになる。
【0115】
以上説明した実施形態、実験例、及びデザイン類型は、本発明を実施するための一例に
すぎず、本発明はこれらに限定されることなく、種々の変形、変更、組合せなどが可能で
あり、それらも本発明の均等の範囲内であることは言うまでもない。
更に本発明の範囲内において他の様々な実施例が可能であることは上記の記載から自明
である。
【符号の説明】
【0116】
1 板状部材
2 レーザビーム
31、32 X軸方向のレーザビーム重複領域
41、42 Y軸方向のレーザビーム重複領域
5 レーザヘッド
6 フラットテーブル
7 載置用治具
8 ベース板
9 載置テーブル
10 スライド機構
11 刻印可能範囲
12 予備刻印領域
13 制御部
14 照射制御部
15 刻印データ入力部
16 データ処理部
17 レーザ照射部
18 動作制御部
19 レーザヘッド駆動部
20 計測演算部
A1、A2 閾値又は閾値以上の露光量
B1、B2 閾値以下の露光量
CD 補正データ
CS1、CS2 制御信号
DS 刻印データ(パラメータ)
FB フィードバック信号
H ハッチング量(パターンピッチ)
OR1、OR2 重複領域
MD 計測データ
OS 動作信号
W ストライプ幅


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11