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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001416
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】測長装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/02 20060101AFI20221226BHJP
   G01B 5/00 20060101ALI20221226BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
G01B5/02
G01B5/00 L
B23Q17/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102114
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】599047228
【氏名又は名称】菅機械産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121773
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 正
(72)【発明者】
【氏名】菅 英治
【テーマコード(参考)】
2F062
3C029
【Fターム(参考)】
2F062AA21
2F062EE01
2F062FF03
2F062MM01
3C029BB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測長位置の高さを大きく変更することのできる測長装置を提供する。
【解決手段】測長装置は、スライドレールを有するベース台2と、スライドレールにスライド自在に設置される測長器を有するスライド部と、を備え、ベース台2は、ベース部15と、スライドレールが設置されるテーブル10と、ベース部15に対してテーブル10を高さ調節可能に支持連結するテーブル高さ調節柱部材20と、を備え、テーブル高さ調節柱部材20は、ベース部15側に固定される下側柱26と、下側柱26に対して垂直方向にスライド可能に構成されると共にテーブル10側に固定される上側柱21と、一方の柱21,26の複数の高さの位置の何れかに選択的に水平に設置される荷重ピン31と、他方の柱21,26に設置される、連結時に荷重ピン31が進入する凹溝22と、を有する柱支持連結部材30と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク加工装置と組み合わせて使用され、前記ワーク加工装置により加工されるワークの長さを測定する測長装置において、
測長時に前記ワーク加工装置の傍に設置される、スライドレールを有するベース台と、
前記スライドレールにスライド自在に設置されるスライド部であって、当該スライド部が前記スライドレールに沿って移動した距離を測定する測長器と、測長時に前記ワークに当接するアーム部と、を有するスライド部と、を備え、
前記ベース台は、ベース部と、前記スライドレールが設置されるテーブルと、前記ベース部に対して前記テーブルを高さ調節可能に支持連結するテーブル高さ調節柱部材と、を備え、
前記テーブル高さ調節柱部材は、
前記ベース部側に固定される下側柱と、
前記下側柱に対して垂直方向にスライド可能に構成されると共に前記テーブル側に固定される上側柱と、
前記下側柱により前記上側柱を支持して連結するための柱支持連結部材であって、前記下側柱又は前記上側柱の一方の複数の高さの位置の何れかに選択的に水平に設置される荷重ピンと、前記下側柱又は前記上側柱の他方に設置される、連結時に前記荷重ピンが進入する凹溝とを有する柱支持連結部材と、
を備えることを特徴とする測長装置。
【請求項2】
前記上側柱及び前記下側柱は筒体であり、
前記上側柱は、前記下側柱より一回り小さく、その下部が前記下側柱内に挿入されており、
前記荷重ピンは、前記下側柱の対向する側面の間に張架され、
前記凹溝は、前記下側柱の下端部に下方に開口して形成されたU字溝であることを特徴とする請求項1記載の測長装置。
【請求項3】
前記テーブル高さ調節柱部材は、前記柱支持連結部材により支持連結されている状態において、前記上側柱及び前記下側柱が相対的に移動しないようにねじ留め固定する柱固定部材をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の測長装置。
【請求項4】
前記柱固定部材は、前記上側柱又は前記下側柱の一方の複数の高さの位置に形成された多段柱固定用穴と、前記上側柱又は前記下側柱の他方に設置された柱固定用穴と、固定ネジ部材と、を備え、
前記柱支持連結部材により支持連結されている状態において、前記多段柱固定用穴の何れかと前記柱固定用穴とが対向するように構成されており、これら対向する前記多段柱固定用穴の何れかと前記柱固定用穴とに前記固定ネジ部材を通してねじ留め固定されることを特徴とする請求項3記載の測長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置により加工されるワークの長さを測定する測長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被加工物であるワークに対して、切断、穴開け、線引き等の各種加工を行う加工装置が広く知られている。このような加工装置において、ワークに対して正確な切断位置、穴開け位置、線引き位置等の加工位置で加工を行うために、ワークの所望の場所から加工位置までの長さを正確に測定する必要がある。
【0003】
これに対して、加工装置により加工されるワークの長さを測定する測長装置が提供されており、例えば、下記特許文献1~3に開示された測長装置が知られている。特許文献1~3には、スライドレールに対してスライド自在に設置された測定器を有するスライド体に、ワークの端面に当接する当接部を設け、この当接部がワークの端面に当接した状態での測定器の測定値からワークの長さを測定する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、加工装置に直接固定するのではなく、加工装置の傍に設置してワークの長さを測定することのできる自立型の測長装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-002706号公報
【特許文献2】特開2015-152400号公報
【特許文献3】特開2016-155176号公報
【特許文献4】特開2018-66672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、加工装置によって加工位置の高さが異なる場合もあるため、測長装置による測長の位置の高さも加工位置の高さに合わせて可変であることが望ましい。しかし、特許文献4に開示された自立型の測長装置においては、脚のねじ送りにより高さを微調整することは可能であるが、測長位置の高さを大きく変更することはできない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、測長位置の高さを大きく変更することのできる測長装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る測長装置は、ワーク加工装置と組み合わせて使用され、前記ワーク加工装置により加工されるワークの長さを測定する測長装置において、測長時に前記ワーク加工装置の傍に設置される、スライドレールを有するベース台と、前記スライドレールにスライド自在に設置されるスライド部であって、当該スライド部が前記スライドレールに沿って移動した距離を測定する測長器と、測長時に前記ワークに当接するアーム部と、を有するスライド部と、を備え、前記ベース台は、ベース部と、前記スライドレールが設置されるテーブルと、前記ベース部に対して前記テーブルを高さ調節可能に支持連結するテーブル高さ調節柱部材と、を備え、前記テーブル高さ調節柱部材は、前記ベース部側に固定される下側柱と、前記下側柱に対して垂直方向にスライド可能に構成されると共に前記テーブル側に固定される上側柱と、前記下側柱により前記上側柱を支持して連結するための柱支持連結部材であって、前記下側柱又は前記上側柱の一方の複数の高さの位置の何れかに選択的に水平に設置される荷重ピンと、前記下側柱又は前記上側柱の他方に設置される、連結時に前記荷重ピンが進入する凹溝と、を有する柱支持連結部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る測長装置によれば、テーブル高さ調節柱部材により、ベース部に対してテーブルを安定してしっかりと高さ調節可能に連結することができ、測長位置の高さを大きく変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る測長装置の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るベース台の斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るベース台の分解斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るベース台の斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る測長装置の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る測長装置1について説明する。本実施形態では、切断装置9の傍に自立して設置された状態で、切断装置9により所定の長さに切断されるワークの長さを計測する自立型の測長装置1であって、計測位置の高さを調節可能な測長装置1について説明する。
【0012】
測長装置1は、設置床面上に設置されるベース台2と、ベース台2に対してスライド自在に設置されたスライド部5とを備えている。ベース台2は、テーブル10と、ベース部15と、テーブル高さ調節柱部材20と、スライドレール40とを備えている。本実施形態では、ベース台2を構成するテーブル10、ベース部15及びテーブル高さ調節柱部材20等を構成する鋼板を厚くして重量を重くすることで、設置床面に対して自立型の測長装置1が移動し難いように構成している。
【0013】
テーブル10は、切断時にワークが設置される台であり、ワークを測長方向にスライド自在に設置するワーク設置レール11と、ベース台2をクレーン等で吊り下げるための吊り金具14とを備えている。吊り金具14は、テーブル10の上面に着脱自在にねじ留めされる。
【0014】
床面に設置されるベース部15は、長方形状のプレートであり、四隅に設置された高さ微調整脚16を備えており、高さ微調整脚16を介して、設置床面上に設置される。高さ微調整脚16は、いわゆる、アジャスターボルト(レベルアジャスター)であり、ベース部15の下面側に連結固定される。
【0015】
高さ微調整脚16は、下端に球体が形成されたボルト17と、球体を内部に収容する球体収容部を有するパッド18とを備えている。ボルト17は、長尺の雄ネジであり、ベース部15に形成された雌ネジに垂直方向にねじ込まれて連結されている。
【0016】
ボルト17が鉛直軸回りに回転すると、ボルト17とベース部15とが垂直方向においてねじ送りにより相対的に移動するため、四隅に設置された高さ微調整脚16をそれぞれ調整することで、ベース部15の床から高さや傾きを微調整することができる。
【0017】
パッド18は樹脂(例えば、ガラス繊維強化ナイロン樹脂)製の略円板形状であり、その中心部には上方に突出した球体収容部が形成されると共に、設置面である下面にはゴム(例えば、ニトリルゴム)シート(図示せず)が貼付されている。ゴムの静止摩擦係数は大きいため、高さ微調整脚16の設置面がゴム製であれば、ベース台2が床面に対して動きにくい。
【0018】
テーブル高さ調節柱部材20は、ベース部15に対してテーブル10を4段階で高さ調節可能に連結する柱状部材であり、上側柱21と、下側柱26と、柱支持連結部材30と、柱固定部材35とを備えている。図1図3及び図5では、4段階のうち一番低い高さで連結しており、図4では、4段階のうち一番高い高さで連結している。
【0019】
上側柱21及び下側柱26は、四角筒形状であり、水平断面がコの字型で一側面が開口して垂直方向に立設している。下側柱26は、上側柱21よりも一回り大きく、下側柱26の内側に上側柱21の下部が収納された状態で、両者は、垂直方向に相対的にスライド可能に構成されている。
【0020】
上側柱21と下側柱26とが垂直方向にスライドすることで、テーブル高さ調節柱部材20の高さが変化する。テーブル高さ調節柱部材20は、左右に1つずつ、2本設置されている。2本設置されている上側柱21及び下側柱26は、向かい合う内側の側面が開口している。
【0021】
上側柱21は、垂直に立った状態でその上端がテーブル10の下面に溶接固定されており、対向する2つの側面の下端部に下方に開口して形成された凹溝であるU字溝22と、同じく対向する2つの側面の対向する同じ位置に形成された柱固定用穴23とを備えている。U字溝22は、柱支持連結部材30の構成部材でもあり、柱固定用穴23は、柱固定部材35の構成部材でもある。
【0022】
下側柱26は、垂直に立った状態でその下端がベース部15の上面に溶接固定されており、対向する2つの側面の対向する同じ位置に形成された多段柱固定用穴28と、荷重ピン31と、同じく対向する2つの側面の対向する同じ位置に形成された多段ピン用穴33とを備えている。荷重ピン31及び多段ピン用穴33は、柱支持連結部材30の構成部材でもあり、多段柱固定用穴28は、柱固定部材35の構成部材でもある。
【0023】
柱支持連結部材30は、下側柱26により、所定の高さの位置で上側柱21を支持して連結するための部材であり、上側柱21に設置されるU字溝22と、下側柱26に設置される荷重ピン31及び多段ピン用穴33とを備える。
【0024】
多段ピン用穴33は、下側柱26の対向する2つの側面の同じ位置に、それぞれ4つの多段ピン用穴33が垂直方向に所定の間隔で一列に列んで形成されている。荷重ピン31は、同じ高さに位置する、対向する2つの多段ピン用穴33に水平に通されることで、所定の高さに設置される。すなわち、荷重ピン31の下側柱26への設置位置は、4段階で高さ調節が可能である。
【0025】
荷重ピン31は、多段ピン用穴33への設置後に抜けるのを防止するために、多段ピン用穴33よりも大きな径大ヘッド31aと、先端抜け防止用穴31bと、抜け防止ピンである割れピン32とを備えている。
【0026】
荷重ピン31を先端から対向する2つの多段ピン用穴33に通した状態で、ピン先端の抜け防止用穴31bに割れピン32を挿入することで、荷重ピン31を所定の高さの多段ピン用穴33にしっかりと固定することができる。荷重ピン31を下側柱26に設置すると、下側柱26の対向する2つの側面の間、すなわち、下側柱26の内側に荷重ピン31が水平に張架された状態となる。
【0027】
荷重ピン31の設置後、吊り金具14を使ってテーブル10及び上側柱21を上方から吊り下げ、2本の上側柱21がそれぞれ2本の下側柱26の真上に位置する状態(図4(A)参照)で降ろすと、上側柱21が下側柱26の内側に入る。
【0028】
テーブル10及び上側柱21をさらに下降させていくと、上側柱21の下端のU字溝22の真下に位置する荷重ピン31がU字溝22内に入り、荷重ピン31がU字溝22の溝奥部(上端部)に接触すると、上側柱21の降下が停止する(図4(B)参照)。これにより、テーブル10及び上側柱21の荷重が荷重ピン31に支持され、上側柱21と下側柱26とが支持連結される。
【0029】
このように、重量物であるテーブル10及び上側柱21等の荷重は、2本の荷重ピン31にかかり、また、測長装置1の使用時には、スライドレール40、スライド部5、ワーク等の荷重が2本の荷重ピン31にかかることになるため、荷重ピン31は、これらの荷重に耐えられるように、ある程度の太さを有している。
【0030】
柱固定部材35は、柱支持連結部材30により支持連結された上側柱21と下側柱26とが相対的に移動しないようにしっかりと固定するための部材であり、上側柱21に設置される柱固定用穴23と、下側柱26に設置される多段柱固定用穴28と、4つの固定ネジ部材36とを備える。
【0031】
上側柱21において、柱固定用穴23は、U字溝22の横に1つだけ設置されており、雌ネジが形成されている。下側柱26において、多段柱固定用穴28は、多段ピン用穴33の横に、平行に垂直方向に一列に列んで設置されており、多段ピン用穴33と同じ高さの位置に、4つの多段柱固定用穴28が形成されている。
【0032】
本実施形態では、柱支持連結部材30により、上側柱21が下側柱26に対して4段階の高さに調節されるが、何れの高さに位置するときであっても、柱固定用穴23の対向する位置に4段の多段柱固定用穴28の何れかが位置するように構成されている。このような支持連結状態において、固定ネジ部材36を対向して位置する多段柱固定用穴28と柱固定用穴23とに通してねじ留めすることができる。
【0033】
このように、固定ネジ部材36でねじ留めすることで、柱支持連結部材30により支持連結された上側柱21と下側柱26とが、相対的に移動しないようにしっかりと固定される。これにより、地震等により縦揺れを起こした場合等、下側柱26に対して、上側柱21が上方に移動して、U字溝22から荷重ピン31が抜けてしまうような事態を確実に防ぐことができる。
【0034】
ここで、テーブル10等の荷重は、荷重ピン31が受けるため、固定ネジ部材36は、上側柱21と下側柱26とが相対的に移動しないようにねじ留めするだけである。よって、固定ネジ部材36としては、比較的小さなネジを用いることができる。固定ネジ部材36は、図示しない緩み止めワッシャーを備えおり、ねじ留め後、容易に緩むことはない。
【0035】
スライドレール40は、テーブル10の上面に長尺方向に延在するように固定設置されている。スライドレール40のスライド方向の両側面には、スライド方向に延びる一対のスライド溝41が形成されている。スライドレール40のスライド方向端部には、スライド部5がスライドレール40の末端から離脱するのを防ぐためのスライドストッパー42が設置されている。
【0036】
スライド部5は、スライド体50と、アーム部60と、デジタル測長器80とを備える。スライド体50は、クランプ55と、リニアガイド(不図示)とを有し、スライドレール40に対してスライド自在であって、所定のスライド位置に固定可能に設置されている。
【0037】
アーム部60は、スライド体50に固定されるアーム支持軸61と、スプリング63と、ワーク当接アーム65とを備える。ワークを測長する際には、ワーク当接アーム65の先端部分が切断装置9やワークに接触する。
【0038】
ワーク当接アーム65は、スライド方向に延在するアーム支持軸61によってスライド方向に微小距離スライド可能に軸支されている。スプリング63は、アーム支持軸61に同軸に設置され、ワーク当接アーム65を弾性力によりその先端方向に付勢している。
【0039】
デジタル測長器80は、スライド体50のスライドレール40に対するスライド距離を測定する図示しない測距部を備えており、この測距部が測定した測定値を表示する表示部82を備えている。測定値に関しては、作業者がデジタル測長器80を操作することにより、スライド距離を0にリセットすることができる。
【0040】
測長装置1は、ワークの一端から測定対象であるワークの所定の部分までの距離を測定するためのものであり、測距部は、スライド距離がリセットされた場所を原点として、この原点からの距離を測定値として出力するように構成されている。
【0041】
デジタル測長器80の測距部は、原点である加工位置から離れる方向(図1において略右方向)を正方向として計測しており、原点からのスライド部5の総スライド距離ではなく、スライド部5が現在位置する場所の原点からの距離を表示する。
【0042】
以上、測長装置1の構成について説明したが、続いて、測長装置1によりワークの長さを計測しながら、切断装置9によりワークを所定の長さに切り出す際の手順について説明する。図5は、本実施形態に係る測長装置の使用状態を示す斜視図である。
【0043】
本実施形態では、測長装置1を切断装置9と組み合わせて使用しており、測長時には、測長装置1を切断装置9の傍に設置して使用する。測長装置1を使用しながら切断作業を行うことで、切断装置9により、所望の切断位置(加工位置)において、ワークを所望の長さに正確に切り出すことができる。
【0044】
具体的には、ワークの設置前に、スライド部5をスライドさせて、ワーク当接アーム65のワークに当接する先端部分を加工位置である切断位置(切断装置9の切断刃91の側面に接触する位置)に位置させたうえで、デジタル測長器80の測定値を0にリセットする。
【0045】
続いて、ワークを所定の長さで切り出せるように、スライド部5を切断位置から所望の距離だけ離れるようにスライドさせる。このとき、スライド部5をスライドさせると、デジタル測長器80の表示部82にリセット位置(切断位置)からの移動距離が表示される。
【0046】
そして、表示部82の表示値が所望の長さの値となる位置でスライド部5を固定する。そうすると、切断位置からワーク当接アーム65の先端までの距離が所望の長さになるため、一端がワーク当接アーム65の先端に接するようにワーク設置レール11上にワークを設置して切断作業を行うと、ワークを所望の長さで切断することができる。
【0047】
以上、本実施形態に係る測長装置1について詳細に説明したが、測長装置1によれば、切断装置9等の加工装置に固定する必要がなく、加工装置の傍において床面上に自立して設置することができる。加工装置に固定する必要のない自立型の測長装置1であれば、加工装置の形状に制限されることなく、既に工場に設置されている様々なメーカーの加工装置に対しても後付けで組み合わせて使用することができる。
【0048】
また、本実施形態では、テーブル高さ調節柱部材20により、スライド部5が設置されるテーブル10の高さを所望の高さに設置することができる。すなわち、切断装置9等の加工装置の高さに合わせて、所望の高さで測長を行うことができる。さらに、本実施形態によれば、高さ微調整脚16により、テーブル10の高さや角度の微調整を行うこともできる。
【0049】
また、本実施形態では、テーブル高さ調節柱部材20が、主として荷重を受けるための柱支持連結部材30と、主として相対的に移動しないように固定するための柱固定部材35とを備え、荷重を受ける機能と固定する機能とを別々の部材に担わせているため、ベース部15に対してテーブル10を安定してしっかりと高さ調節可能に連結することができる。
【0050】
また、本実施形態では、荷重を受けるための柱支持連結部材30が荷重ピン31とU字溝22とにより構成されているため、上側柱21を下側柱26に支持連結させる際に、テーブル10及び上側柱21をクレーン等で吊り下げて、荷重ピン31がU字溝22内に入るように降ろしていくだけで良いので、穴と穴とを正確に合わせるといった難しい作業を行うことなく、容易に連結作業を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、柱支持連結部材30により、上側柱21と下側柱26とを支持連結すると、柱固定部材35の2つの固定用穴23,28の位置がぴったり対向するように構成されているため、支持連結作業後の固定作業においては、位置合わせ等の作業が必要なく、容易に行うことができる。
【0052】
以上、本実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態に係る測長装置を構成する各部材の形状やサイズは適宜変更可能である。
【0053】
また、上記実施形態では、ベース部に対して高さ調節可能にテーブルを支持連結する柱支持連結部材を2本設置しているが、1本でも良いし、3本以上設置しても良い。また、上記実施形態では、加工装置として、切断装置を例に挙げて説明したが、本実施形態に係る測長装置は、ワークの所定の場所に穴を開ける穴開け装置や、ワークの所定の場所に線を引く線引き装置など、他の様々な加工装置と組み合わせて使用することができる。
【0054】
また、上記実施形態では、荷重ピンと荷重ピンを水平に支持するための多段ピン用穴とを下側柱に設置し、荷重ピンが嵌まるU字溝を上側柱に設置しているが、荷重ピンと多段ピン用穴を上側柱に設置し、U字溝を下側柱に設置しするようにしても良い。
【0055】
但し、柱構造を簡素で安定させるためには、一回り大きな柱の方の内部に荷重ピンを設置し、この柱の内側にU字溝が設置された一回り小さな柱を挿入する構成とするのが望ましい。
【0056】
また、上記実施形態では、柱固定部材に関して、多段柱固定用穴を下側柱に設置し、柱固定用穴を上側柱に設置したが、上下逆でも良いし、柱固定用穴及び多段柱固定用穴を形成する位置も多段ピン用穴の横に限らず、適宜所定の場所に設置することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 測長装置
2 ベース台
10 テーブル
11 ワーク設置レール
14 吊り金具
15 ベース部
16 高さ微調整脚
17 ボルト
18 パッド
20 テーブル高さ調節柱部材
21 上側柱
22 U字溝
22a 溝奥部
23 柱固定用穴
26 下側柱
28 多段柱固定用穴
31 荷重ピン
33 多段ピン用穴
30 柱支持連結部材
31 荷重ピン
31a 径大ヘッド
31b 先端抜け防止用穴
32 割れピン
33 多段ピン用穴
35 柱固定部材
36 固定ネジ部材
40 スライドレール
41 スライド溝
42 スライドストッパー
5 スライド部
50 スライド体
55 クランプ
60 アーム部
61 アーム支持軸
63 スプリング
65 ワーク当接アーム
80 デジタル測長器
82 表示部
9 切断装置
91 切断刃
図1
図2
図3
図4
図5