(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141654
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】制御装置、印刷装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A45D 29/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A45D29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048089
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入江 保
(57)【要約】
【課題】高品位の印刷を行うことのできる制御装置、印刷装置、制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御装置10が、印刷対象である爪Tの第1方向における異なる2か所以上で取得された、前記第1方向と交差する第2方向に沿った外形に関する情報を取得する取得手段、及び取得手段として取得された外形に関する情報に基づいて印刷に関する設定を行う設定手段として機能する制御装置10を備えている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象である爪の第1方向における異なる2か所以上で取得された、前記第1方向と交差する第2方向に沿った外形に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段において取得された前記外形に関する情報に基づいて印刷に関する設定を行う設定手段と、
を備える、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第1方向は、爪の幅方向と交差する爪の長さ方向であり、
前記外形に関する情報は、前記爪の外形の曲率に関する曲率情報である、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記印刷に関する設定は、印刷濃度の設定である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記印刷濃度の設定は、前記爪の幅方向における中央部から端部に行くにしたがって印刷濃度を高くするように補正値を設定するものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記外形に関する情報は、少なくとも前記爪の先端側で取得された第1の情報と根元側で取得された第2の情報と、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記爪の先端側で取得された第1の情報に基づいて第1の濃度データを取得し、前記爪の根元側で取得された第2の情報に基づいて第2の濃度データを取得して、前記第1の濃度データ及び前記第2の濃度データに基づき爪の幅方向における印刷濃度の補正値を設定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記設定手段は、前記爪の印刷領域を前記第1方向の先端側から根元側までの複数の単位領域に分割し、各単位領域の、前記第1方向における位置に応じて前記第1の濃度データと前記第2の濃度データとを合成して、前記爪の幅方向における印刷濃度の補正値を設定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記各単位領域の、前記第1方向における位置に応じて前記第1の濃度データと前記第2の濃度データとの合成割合に重み付けを行う、
ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記複数の単位領域は、前記第1方向の一側から他側に向って均一に分割されている、ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
指の爪に印刷を施す印刷手段と、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の制御装置と、
を含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
印刷対象である爪の第1方向における異なる2か所以上で取得された、前記第1方向と交差する第2方向に沿った外形に関する情報を取得し、
取得された前記外形に関する情報に基づいて印刷に関する設定を行う、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
コンピュータに、
印刷対象である爪の第1方向における異なる2か所以上で取得された、前記第1方向と交差する第2方向に沿った外形に関する情報を取得する取得機能と、
前記取得機能によって取得された前記外形に関する情報に基づいて印刷に関する設定を行う設定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、印刷装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪等にデザインを印刷する印刷装置が知られている。正しい範囲に印刷を行うためには、印刷範囲となる領域(印刷領域、爪に印刷する場合には爪領域)を正確に認識する必要がある。
【0003】
この点、例えば特許文献1には、光センサを用いて爪の位置を検出し、印刷領域を設定する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、爪等のように外形が曲率を有する形状となっている場合、特許文献1に記載の構成では、印刷対象の形状を適切に認識できず、印刷を行った場合に印刷品位が低下してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、高品位の印刷を行うことのできる制御装置、印刷装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の制御装置は、
印刷対象である爪の第1方向における異なる2か所以上で取得された、前記第1方向と交差する第2方向に沿った外形に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段において取得された前記外形に関する情報に基づいて印刷に関する設定を行う設定手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高品位の印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態における印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。
【
図2】実施形態における印刷装置及び印刷装置と連携する端末装置の概略の制御構成を示す制御ブロック図である。
【
図3】本実施形態の印刷対象である爪及びその指の斜視図である。
【
図4】(a)は、爪の平面図であり、(b)は、(a)に示す位置Aの曲率を示す図であり、(c)は、(a)に示す位置Bの曲率を示す図である。
【
図5】(a)から(e)は、爪の曲率レベルの例を示す爪形状の模式図である。
【
図6】爪を8つの単位領域に分割する例を示す説明図である。
【
図7】爪先側の方が根元側よりも曲率が大きい場合の重み付け例を示す図である。
【
図8】根元側の方が爪先側よりも曲率が大きい場合の重み付け例を示す図である。
【
図9】本実施形態における印刷処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図9の合成処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図11】爪先側の方が根元側よりも曲率が大きい場合の印刷濃度を示すデータ例であり、(a)は、爪先側の曲率に応じた印刷濃度データの例であり、(b)は、根元側の曲率に応じた印刷濃度データの例であり、(c)は、(a)に示す印刷濃度データと(b)に示す印刷濃度データとを合成した合成濃度データの例である。
【
図12】根元側の方が爪先側よりも曲率が大きい場合の印刷濃度を示すデータ例であり、(a)は、爪先側の曲率に応じた印刷濃度データの例であり、(b)は、根元側の曲率に応じた印刷濃度データの例であり、(c)は、(a)に示す印刷濃度データと(b)に示す印刷濃度データとを合成した合成濃度データの例である。
【
図13】曲率の大きい部分に応じた印刷濃度データの例を示す図である。
【
図14】曲率の小さい部分に応じた印刷濃度データの例を示す図である。
【
図15】爪を8個の単位領域に分割した場合の合成濃度データの例である。
【
図16】爪を16個の単位領域に分割した場合の合成濃度データの例である。
【
図17】爪の長さ方向の位置に関わらず均一な濃度で爪に印刷を行った場合の例を示す図である。
【
図18】爪の長さ方向の位置に応じた合成濃度データを用いて爪に印刷を行った場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図18を参照しつつ、本発明に係る制御装置、印刷装置、制御方法及びプログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
例えば以下の実施形態では、印刷制御装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する印刷装置(ネイルプリント装置)を制御する制御装置である場合を例に説明するが、本発明における印刷制御装置の制御対象は、指の爪を印刷対象とする印刷装置に限るものではなく、例えば足の指の爪を印刷対象とする印刷装置でもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを印刷対象とする印刷装置でもよい。
【0011】
図1は、本実施形態における印刷装置(ネイルプリント装置)の要部外観構成を示す斜視図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、
図1に示した向きをいうものとする。また、X方向は印刷装置1の左右方向であり、Y方向は印刷装置1の前後方向である。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。
筐体2の上面(天板)には操作部21及び表示部22が設置されている。
なお、筐体2各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。例えば、操作部21や表示部22は、筐体2の上面ではなく側面や背面等に設けられていてもよい。また、図示例では、操作部21が1つのボタンで構成されている場合を示しているが、操作部21は筐体2の上面等に設けられた複数のボタン等で構成されていてもよい。その他、筐体2にはインジケータ等が設けられていてもよい。
【0013】
操作部21は、ユーザが各種入力を行うものである。
操作部21は、例えば、印刷装置1の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)等である。
操作部21が操作されると操作に応じた操作信号が制御部11に出力され、制御部11が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。例えば操作部21が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて印刷装置1の電源がON/OFFされる。
なお本実施形態では、印刷装置1が後述の端末装置8(
図2参照)等と連携しており、操作部21に代えて、後述する端末装置8の操作部83(
図2参照)等から入力された操作信号に従って印刷装置1の各部が動作してもよい。
【0014】
表示部22は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお、表示部22の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部21として機能する。
【0015】
表示部22には、ユーザが操作部21等から入力・選択したネイルデザインやユーザの爪Tを撮影した爪画像等が表示されてもよい。
さらに表示部22には、ユーザに対する各種の指示、案内、警告等を表示するメッセージ画面等が表示されてもよい。
【0016】
印刷装置1の筐体2の前面側(
図1においてY方向の手前側)であって装置の左右方向(
図1におけるX方向)のほぼ中央部には、印刷装置1による印刷時に指を挿入する開口部である指挿入口23が形成されている。
筐体2の内部には、指配置部3、印刷機構4、撮影部5(
図2参照)等を備えた図示しない装置本体が収容されている。
【0017】
指配置部3は、筐体2の内部であって指挿入口23に対応する位置に配置されている。
指配置部3は指挿入口23に対応する開口部を有し、指挿入口23から挿入された指(印刷対象である爪に対応する指)を開口部内に受け入れ、印刷に適した位置に保持する。
図示は省略するが、指配置部3は、例えば指を載せる部分(配置部本体)と指配置部3の手前側(
図1におけるY方向の手前側)を囲むように設けられた枠状部等を備えている。例えば配置部本体は昇降可能な構成を有しており、配置部本体が上方向に上がることで配置部本体に配置された指Uが枠状部との間で挟み込まれて位置が固定される。なお、指Uを固定する構成はこれに限定されない。
また枠状部よりもY方向の奥側(
図1における装置奥側)は上方が開放されており、指配置部3内に配置された指Uの爪Tの表面が、露出するようになっている。
【0018】
図2は、印刷装置及び印刷装置と連携する端末装置の概略の制御構成を示す制御ブロック図である。
図2に示すように、印刷機構4は、印刷ヘッド41、印刷ヘッド41を移動させるためのヘッド移動機構48(
図2参照)等を備えている。
本実施形態では、印刷機構4は印刷手段である印刷ヘッド41によって、印刷対象である指Uの爪T等に印刷を施す。
【0019】
本実施形態の印刷ヘッド41は、印刷対象面(爪表面)に対向する面が、インクを吐出させる複数のノズル口を備えたインク吐出面(いずれも図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から印刷対象である爪T等の表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の構成は特に限定されないが、例えばインク吐出面等の吐出機構部とインクを貯留するインクカートリッジ(いずれも図示せず)とが一体となったカートリッジ一体型のヘッドである。
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の色インクを吐出可能となっている。なお、印刷装置1は、印刷ヘッド41として、下地を形成する塗料として白色等の下地用インクも吐出可能な下地用のヘッドを備えていてもよい。なお、印刷ヘッド41に備えられるインクの種類はこれに限定されない。
【0020】
ヘッド移動機構48は、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させるための図示しないX方向移動機構及び印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させるための図示しないY方向移動機構からなる。
X方向移動機構は、X方向移動モータ45(
図2参照)を含んでおり、X方向移動モータ45が駆動することにより印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させる。また、Y方向移動機構は、Y方向移動モータ47(
図2参照)を含んでおり、Y方向移動モータ47が駆動することにより印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させる。X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47は、例えばステッピングモータである。
【0021】
また、筐体2の上面(天板)の内側であって、指配置部3に配置された指Uの爪Tの上方に対応する位置には、露出する爪T(爪Tを含む指U)を撮影して画像(爪画像)を取得することのできる撮影部5が固定されている。
撮影部5は、例えば200万画素以上の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の固体撮影素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラ等であるカメラ51と、撮影対象を照明する白色LED等で構成された光源52とを備えている(
図2参照)。
なお撮影部5は、指配置部3に載置された指Uの爪T等を撮影可能な位置に配置されていればよく、その具体的な配置は特に限定されない。
【0022】
また
図2に示すように、印刷装置1は、上述した印刷機構4及び撮影部5のほかに、通信部25と、制御装置10等を備えている。
【0023】
通信部25は、印刷装置1と連携して動作する後述の端末装置8との間で情報の送受信が可能に構成されたものである。
印刷装置1と端末装置8との間での通信は、例えば無線LAN等により行われる。なお、印刷装置1と端末装置8との間での通信はこれに限定されず、いかなる方式によるものでもよい。例えば、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。また、この通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。通信部25は端末装置8の通信方式に対応するアンテナチップ等を備えている。
【0024】
印刷装置1に搭載される制御装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を有する記憶部12とを備え、印刷装置1を制御するコンピュータである。
【0025】
記憶部12には、印刷装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、記憶部12のROM等には、例えば各種の印刷制御処理を行うための印刷制御プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムを制御部11がRAMの作業領域に展開して実行することによって、印刷装置1の各部が統括制御される。
【0026】
本実施形態の制御部11は、印刷機構4の動作を制御する印刷制御手段、撮影部5の動作を制御する撮影制御手段、表示部22の表示を制御する表示制御手段、通信部25を制御する通信制御手段として機能する他、取得手段、設定手段等として機能する。これらの各機能は、制御部11のCPUと記憶部12のROM121に記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0027】
印刷制御手段として機能する制御部11は、印刷機構4の印刷ヘッド41やヘッド移動機構48を構成するX方向移動モータ45、Y方向移動モータ47等の動作を制御する。
撮影制御手段として機能する制御部11は、撮影部5のカメラ51及び光源52の動作を制御して、爪画像(爪Tを含む指Uの画像)等を撮影させ、撮影によって得られた画像データを取得する。
表示制御手段として機能する制御部11は、表示部22の表示を制御して各種の表示画面を表示部22に表示させる。
通信制御手段として機能する制御部11は、通信部25を制御して各種外部機器とデータの送受信を可能とする。
また制御部11は、取得した爪画像から印刷対象領域となる爪領域を認識したり、爪領域内にデザインを合わせ込んで印刷データを生成する機能等を有してもよい。
【0028】
さらに本実施形態の制御部11は、印刷対象である爪Tの「第1方向」における異なる2か所以上で取得された、「外形に関する情報」を取得する取得手段として機能する。「外形に関する情報」とは、第1方向と交差(例えば直交)する第2方向に沿った外形に関する情報であり、爪Tを仮に幅方向に断面した場合の外形形状である(
図5(a)~
図5(e)等参照)。
本実施形態において、「第1方向」は、爪Tの幅方向(
図3及び
図4(a)において幅方向W)と交差する爪Tの長さ方向(
図3及び
図4(a)において長さ方向L)とする。
また、制御部11が取得手段として取得する「外形に関する情報」は、爪Tの幅方向における外形の曲率に関する曲率情報である。
【0029】
爪Tの曲率情報は、爪Tの幅方向Wにおける湾曲度合(曲がり具合)の情報であって、取得手段としての制御部11は、印刷対象の爪Tの湾曲度合がどの程度きついか(又は緩いか)の情報を複数段階の曲率レベルとして取得する。
例えば本実施形態では、爪Tの曲率レベルが、
図5(a)から
図5(e)に示す5段階のレベルに分類される場合を例示する。
【0030】
図5(a)は、ほとんど湾曲していない爪Tの例であり、爪Tの中央部と端部との高さがそれほど変わらない。爪Tの曲がり具合がこの程度である場合には「曲率レベル1」とされる。これに対して
図5(e)は、大きく湾曲した爪Tの例であり、爪Tの中央部の高さよりも端部が大きく(深く)下がっている。爪Tの曲がり具合がこのような場合には「曲率レベル5」とされる。
図5(b)から
図5(d)は、
図5(a)に示す「曲率レベル1」と
図5(e)に示す「曲率レベル5」との間のレベルに位置付けられ、それぞれ「曲率レベル2」から「曲率レベル4」とされる。
【0031】
本実施形態では、この「外形に関する情報」である曲率情報(曲率レベル)が、爪Tの長さ方向Lにおける異なる2か所以上で取得されるようになっている。
例えば「外形に関する情報」は、少なくとも爪Tの先端側と根元側とで取得され、爪Tの先端側で取得された「第1の情報c1」と根元側で取得された「第2の情報c2」と、を含んでいる。
「第1の情報c1」を取得する爪Tの先端側の位置は、例えば
図3及び
図4(a)に示す位置Aである。また、「第2の情報c2」を取得する爪Tの根元側の位置は、例えば
図3及び
図4(a)に示す位置Bである。
【0032】
例えば、
図3及び
図4(a)に示す位置Aで取得された「外形に関する情報」である曲率レベルが
図4(b)に示すようなものである場合、
図5(d)と同程度の曲率レベルであると判断できる。このため、爪先側の曲率レベル(すなわち「第1の情報c1」)は、「曲率レベル4」とされる。
また例えば、
図3及び
図4(a)に示す位置Bで取得された「外形に関する情報」である曲率レベルが
図4(c)に示すようなものである場合、
図5(b)と同程度の曲率レベルであると判断できる。このため、根元側の曲率レベル(すなわち「第2の情報c2」)は、「曲率レベル2」とされる。
【0033】
なお、
図3等に示すように、爪Tの先端側の端部や根元側の端部は幅方向Wが狭くなっており、その外形を正確にとることが難しい。このため、「外形に関する情報」を取得する位置A、Bは、先端側、根元側の最端部分ではなく、例えば爪先側の位置Aであれば爪Tと指Uの皮膚とが離れる限界地点等であり、根元側の位置Bであれば爪Tの生え際から1mm程度爪先側に寄った地点とするのが好ましい。なお、「外形に関する情報」を取得する位置A、Bをどことするかはここに例示したものに限定されず、適宜設定されてよい。
【0034】
また、印刷対象である爪T(ユーザの爪T)の「外形に関する情報」である曲率情報(曲率レベル)がどの程度であるかを判断する手法は、特に限定されない。
例えばユーザや爪Tに施術を施す施術者(例えば印刷装置1が美容サロン等の店舗内に配置されている場合、当該店舗のスタッフ等)が目視にて爪Tの外形を判断してもよい。この場合には、外形を判断したユーザ等が、例えば爪先側の位置Aにおける外形は「曲率レベル4」であり、根元側の位置Bにおける外形は「曲率レベル2」である、といった目視による判断結果を操作部21等から入力し、この情報を取得手段としての制御部11が取得する。
【0035】
また、例えば撮影部5(撮影部のカメラ51)によって撮影された画像(爪画像)から曲率情報(曲率レベル)が自動的に判断されてもよい。この場合には、指配置部3に配置された爪Tを含む指Uを撮影部5のカメラ51で撮影して、その画像(爪画像)のデータを制御部11に送る。制御部11では、この画像データに各種画像処理(画像解析)等を行うことによって、爪Tの外形(例えばいずれの曲率レベルに該当するか)が自動的に判断される。そしてその判断結果を取得手段としての制御部11が取得する。なお、画像(爪画像)からの曲率情報(曲率レベル)の自動判断は、例えば外部機器のコンピュータ等、制御部11以外で行われてもよい。この場合には画像処理(画像解析)の対象となる画像データが外部機器に送信され、判断結果が印刷装置1に送り返されて制御部11に取得される。
【0036】
なお、曲率情報(曲率レベル)が画像(爪画像)から自動判断される場合、指配置部3の上方から爪Tを撮影するための撮影部5のカメラ位置では十分に爪Tの湾曲した外形を画像にとらえることが難しい。このため、例えば、撮影部5を、印刷ヘッド41を移動させるヘッド移動機構48等によってXY方向に移動可能に構成し、例えば爪Tの真上方向の他、左右斜め上方向等、複数の異なる位置から爪Tを撮影できるようにすることが好ましい。また、指配置部3の上方から爪Tを撮影する撮影部5の他に、爪Tの側方や前方等にもカメラを設けて複数の角度から爪Tを撮影し、爪Tの外形を得るための画像を取得できるようにしてもよい。
【0037】
また、本実施形態の制御部11は、取得手段として取得した「外形に関する情報」(曲率情報、曲率レベル等)に基づいて「印刷に関する設定」を行う設定手段としても機能する。
ここで「印刷に関する設定」とは、例えば印刷濃度の設定である。なお「印刷に関する設定」は印刷濃度の設定以外を含んでいてもよい。
【0038】
爪Tは、例えば
図3から
図5(a)~
図5(e)等に示すように、中央部が相対的に高くなっており、幅方向Wの端部に行くにしたがって低くなる山型形状となっていることが多い。このため、印刷時、爪Tの幅方向Wの中央部では爪Tの表面と印刷ヘッド41(印刷ヘッド41の下面の図示しないインク吐出面)との距離が近いが、幅方向Wの端部に行くにしたがって爪Tの表面と印刷ヘッド41との距離が遠くなっていく。
インクジェット方式で印刷を行う場合、インクが吐出されるインク吐出面から爪Tまでの距離が近いとインクが正しく着弾するのに対して、インク吐出面から爪Tまでの距離が遠くなるにしたがってインクの着弾が乱れてしまい、着弾位置ずれや着弾しないインク滴が増加する。そしてインクが正しく着弾しなかった部分では印刷濃度が低く(薄く)なってしまう。
このため、本実施形態では、設定手段としての制御部11が、「印刷濃度の設定」として、爪Tの幅方向Wにおける中央部から端部に行くにしたがって印刷濃度を高くするように補正値を設定するようになっている。
【0039】
特に本実施形態では、設定手段としての制御部11は、爪Tの先端側で取得された曲率レベルである「第1の情報c1」に基づいて「第1の濃度データC1」を取得し、爪Tの根元側で取得された曲率レベルである「第2の情報c2」に基づいて「第2の濃度データC2」を取得して、「第1の濃度データC1」及び「第2の濃度データC2」に基づき爪Tの幅方向Wにおける印刷濃度の補正値を設定する。
「第1の濃度データC1」及び「第2の濃度データC2」は、例えば比較的平坦な、爪Tの幅方向Wにおける中央部分の一定範囲の印刷濃度を「100」の印刷濃度としたときの、端部の印刷濃度を設定するものであり、端部に行くにしたがって、「110」、「120」…というように次第に濃度が上がるように設定される。そして、どの程度濃度を上げるか(濃度を上げる程度及び上げ方等)は、爪Tの曲率レベルに応じて変化する。中央部から端部に行くにしたがってどのようなカーブを描いてどの程度濃度を上げていくかは、各曲率レベルに対応付けて予めデータベース化されている。
【0040】
また本実施形態では、設定手段としての制御部11が、爪Tの印刷領域(すなわち爪領域と認識された領域内)を「第1方向」である爪Tの長さ方向Lの先端側から根元側までの複数の単位領域b1~bnに分割し(例えば
図6参照)、各単位領域の、「第1方向」における位置に応じて「第1の濃度データC1」と「第2の濃度データC2」とを合成して、合成濃度データを生成する。そしてこの合成濃度データを、デザイン(ネイルデザイン)の印刷データに爪Tの幅方向Wにおける印刷濃度の補正値を設定するためのデータとする。
【0041】
図6は、爪の印刷領域を8個の単位領域に分割した場合のイメージを示す説明図である。
図6に示す例では、複数の単位領域b(
図6において単位領域b1~単位領域b8とする。)は、「第1方向」の一側(図示例では爪先側)から他側(図示例では根元側)に向ってほぼ均一に分割されている。
なお、爪Tの印刷領域をいくつの単位領域bに分割するかは特に限定されない。印刷領域を細かく多くの単位領域bに分割した方がより滑らかに補正値を変化させることができる。
【0042】
また、各単位領域b1~単位領域b8を均一に分割することは必須ではない。例えば「第1方向」の両端側(すなわち、爪先側と根元側)では曲率の変化が大きいが「第1方向」の中間部分ではあまり変化が見られない爪Tのような場合に、曲率の変化が大きい部分ではより細かく多くの単位領域bに分割して、補正値を細かく取得していくのに対して、曲率の変化が小さい部分では大きな単位領域bに分割する等、爪Tの特性に応じた分割の仕方を採用してもよい。
【0043】
さらに本実施形態の制御部11は、設定手段として、各単位領域b(単位領域b1~単位領域bn)の、「第1方向」における位置に応じて「第1の濃度データC1」と「第2の濃度データC2」とを合成して合成濃度データを生成する際の合成割合に重み付けを行う。
【0044】
図7及び
図8は、合成濃度データを生成する際の合成割合に付される重み付けの一例を示す表である。
図7は、爪Tの先端側で取得された曲率レベルである「第1の情報c1」が爪Tの根元側で取得された曲率レベルである「第2の情報c2」よりも大きい(c1≧c2)場合の例を示している。すなわち、爪Tの根元側はそれほど湾曲していないが、爪の先端側では大きく湾曲して爪Tの幅方向Wの両端部が中央部分よりも低くなっている場合である。例えば
図4(a)における位置Aの外形が
図4(b)に示すような曲率を有し、位置Bの外形が
図4(c)に示すような曲率を有している爪Tは、c1≧c2の場合に該当する。
また
図8は、爪Tの根元側で取得された曲率レベルである「第2の情報c2」が爪Tの先端側で取得された曲率レベルである「第1の情報c1」よりも大きい(c1<c2)場合の例を示している。すなわち、
図7に示す例とは逆に、爪Tの先端側はそれほど湾曲していないが、爪の根元側では大きく湾曲して爪Tの幅方向Wの両端部が中央部分よりも低くなっている場合である。
なお、取得手段、設定手段としての制御部11による処理の詳細については後述する。
【0045】
また本実施形態の印刷装置1は端末装置8と連携して処理を行う。
端末装置8は、例えばスマートフォンやタブレット等の携帯端末である。ただし、端末装置8は、印刷装置1と通信可能なものであれば特に限定されず、例えばノート型又は定置型のパソコンや、ゲーム用の端末装置等であってもよい。
図2に示すように、端末装置8は、操作部83、表示部84、通信部85、制御装置80等を備えている。
【0046】
操作部83は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、操作部83が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御装置80に送信される。なお、本実施形態では表示部84の表面にタッチパネルが一体的に設けられており、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によっても各種の入力・設定等の操作を行うことができるようになっている。
なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部83はタッチパネルである場合に限定されない。例えば各種の操作ボタンやキーボード、ポインティングデバイス等が操作部83として設けられていてもよい。
本実施形態では、ユーザが操作部83を操作することで、爪に印刷するデザイン(ネイルデザイン)の選択等ができる。
【0047】
表示部84に構成されているタッチパネルは、後述する制御部81の制御にしたがって各種の表示画面を表示させる。
また表示部84には、ユーザが操作部83から入力・選択したデザイン(ネイルデザイン)や、印刷装置1から送信された画像等が表示可能となっている。
【0048】
通信部85は、印刷装置1に対して印刷データ等を送信することが可能となっている。また、通信部85は、印刷装置1から爪画像等のデータが送信されたときには、これを受信する。通信部85は、印刷装置1の通信部25との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えている。
なお、通信部85は、印刷装置1との間で通信を行うことのできるものであればよく、印刷装置1の通信部25の通信規格と合致するものが適用される。
【0049】
制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等により構成される制御部81と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
制御部81は、端末装置8の各部の動作を統合的に制御する。制御部81は、記憶部82に記憶されたプログラムとの協働により、各種機能を実現する。
【0050】
記憶部82には、端末装置8の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的に、本実施形態の記憶部82には、端末装置8の各部を統括制御するための動作プログラムの他、印刷装置1を用いたネイルプリントを行うためのネイルプリントアプリケーションプログラム(以下「ネイルプリントAP」という。)等の各種プログラム(いずれも図示せず)が格納されており、制御装置80がこれらのプログラムを例えば記憶部82の作業領域に展開して実行することによって、端末装置8が制御される。
また、本実施形態の記憶部82には、図示しない各種のデザインデータ(ネイルデザインのデータ)が格納されている。
【0051】
続いて、
図9から
図18等を参照しつつ、制御装置10及びこれを備える印刷装置1の制御方法について説明する。なお、
図9では、爪Tの「外形に関する情報」である「曲率レベル」をユーザ等が目視で判断し入力する場合を例とし、ユーザ等により装置外で判断され入力された「曲率レベル」に基づいてその後の処理を行うものとする。
【0052】
ユーザ等は、印刷を施したい爪Tについて、その先端側の曲率レベル(すなわち、「外形に関する情報」)及び根元側の曲率レベルが、それぞれどの程度のレベルであるかを判断する。具体的には、例えばユーザは複数の曲率レベル(本実施形態では、例えば
図5(a)~
図5(e)に示すような5段階)の中から自分の爪Tの先端側の形状に近い曲率レベル、根元側の形状に近い曲率レベルを選んで操作部21等から入力する。
例えば自分の爪Tが、
図4(a)~
図4(c)に示したような形状である場合、ユーザは爪先側「曲率レベル4」、根元側「曲率レベル2」と入力する。入力された情報は制御装置10の取得手段である制御部11において取得される(
図9のステップS1)。
【0053】
次に爪に印刷するデザイン(片手5本や両手10本の指Uの爪に印刷するデザインがセットになっている場合にはそのデザインのセット)をユーザが選択し、操作部21等から入力する。これにより、所望のデザインの情報が制御部11において設定される(ステップS2)。
例えば印刷装置1の表示部22や端末装置8の表示部84には、爪Tをセットするようユーザに促すメッセージが表示され(ステップS3)、ユーザは案内を受けて、印刷したい爪Tに対応する指Uを指配置部3にセットする。なお、印刷装置1や端末装置8がスピーカ等の音声出力手段を有する場合には、各種表示部への表示に替えて、又は表示部に表示するとともに、音声による案内等を行ってもよい。
【0054】
爪に対応する指がセットされると、制御部11は、撮影部5のカメラ51で爪Tを含む指Uの画像を撮影させ、撮影された爪画像を取得する(ステップS4)。
爪画像を取得すると制御部11は、この爪画像に画像処理を施すことで、画像から印刷領域である爪領域を認識する(ステップS5)。なお、爪画像から爪領域を認識する手法は特に限定されない。
【0055】
そして設定手段としての制御部11は、取得手段として取得した爪Tの先端側の曲率レベル(「第1の情報c1」)に応じた「第1の濃度データC1」を生成する(ステップS6)。また、爪Tの根元側の曲率レベル(「第2の情報c2」)に応じた「第2の濃度データC2」を生成する(ステップS7)。
「第1の濃度データC1」及び「第2の濃度データC2」が生成されると、制御部11は、「第1の濃度データC1」及び「第2の濃度データC2」に基づいて、爪Tの先端側から根元側までの印刷領域の合成濃度データを生成する(ステップS8)。
【0056】
ここで、
図10を参照しつつ、「第1の濃度データC1」と「第2の濃度データC2」とを合成して合成濃度データを生成する合成処理(
図9のステップS8参照)の詳細について説明する。
図10に示すように、まず設定手段としての制御部11は、印刷領域(爪領域)をn個の単位領域に分割する(ステップS21)。前述のように、本実施形態では、爪先側から根元側まで8個の単位領域b(単位領域b1~b8)に分割する例を示す(
図6参照)。
【0057】
そして、まず爪Tの先端側の単位領域b(
図6において単位領域b1)を処理対象として設定する(ステップS22)。なお、処理はいずれかの端部から順次行えばよく、最初の処理対象は爪Tの根元側の単位領域b(
図6において単位領域b8)であってもよい。
制御部11は、設定された単位領域b(ここでは単位領域b1)の爪先端側から根元側の位置により、「第1の濃度データC1」及び「第2の濃度データC2」を合成する際の加重平均の重みづけを定義する(ステップS23)。
【0058】
例えば爪Tの先端側の単位領域b(
図6において単位領域b1)では、「第1の情報c1」に基づく「第1の濃度データC1」の割合が100%であり、単位領域b2、単位領域b3…と根元側の領域に移るにつれて、「第1の濃度データC1」の割合が低下し、「第2の情報c2」に基づく「第2の濃度データC2」の割合が増加する。そして最も爪Tの根元側の単位領域b(ここでは単位領域bn、本実施形態の例ではn=8)では「第2の濃度データC2」の割合が100%となる。
【0059】
爪Tの先端側で取得された曲率レベルである「第1の情報c1」が爪Tの根元側で取得された曲率レベルである「第2の情報c2」よりも大きい(c1≧c2)場合の、合成濃度データ生成時の重み付けdwは、
図7に示す例のようになる。重み付けdwは単位領域b1で最大値1となり、単位領域bnでは最小値0となる。
合成出力値は、以下の式1で得ることができる。爪Tの左右端部にこの式を適用する。
合成出力値=(1-dw)×「第2の濃度データC2」での出力値+dw×「第1の濃度データC1」での出力値 …式1
【0060】
また、爪Tの根元側で取得された曲率レベルである「第2の情報c2」が爪Tの先端側で取得された曲率レベルである「第1の情報c1」よりも大きい(c1<c2)場合の、合成濃度データ生成時の重み付けdwは、
図8に示す例のようになる。重み付けdwは単位領域b1で最小値0となり、単位領域bnでは最大値1となる。
合成出力値は、以下の式2で得ることができる。
合成出力値=dw×「第2の濃度データC2」での出力値+(1-dw)×「第1の濃度データC1」での出力値 …式2
【0061】
なお、式1及び式2において、「第1の濃度データC1」での出力値、「第2の濃度データC2」での出力値というときの、「出力値」とは、それぞれ爪Tの幅方向Wにおける中央部での印刷濃度を「100」の印刷濃度(すなわち、もともとの印刷データに設定されている印刷濃度のままの濃度)としたときの端部の印刷濃度の増加割合である。
重み付けdwが定義されると、制御部11は、ステップS22において処理対象として設定された単位領域b(ここでは単位領域b1)内の各座標について、ステップS23において定義された重み付けdwにより「第1の濃度データC1」の出力値及び「第2の濃度データC2」の出力値の加重平均を算出する(ステップS24)。
【0062】
制御部11は、全ての座標について加重平均を得たか否かを判断し(ステップS25)、まだ加重平均を得ていない座標がある場合(ステップS25;NO)には、ステップS24に戻って処理を繰り返す。
他方、全ての座標について加重平均を得た場合(ステップS25;YES)には、まだ処理を行っていない次の単位領域bがあるか否かを判断する(ステップS26)。そして、次の単位領域bがある場合(ステップS26;YES)には、次の単位領域b(例えば現在処理が終了した単位領域が単位領域b1である場合、次の単位領域b2)を処理対象に設定し(ステップS27)、ステップS23に戻ってその後の処理を繰り返す。
他方次の単位領域bがない場合(ステップS26;NO)には、合成処理を終了する。
【0063】
例えば
図11(a)から
図11(c)は、爪の先端側の曲率レベル(「第1の情報c1」)が「曲率レベル4」であり、爪の根元側の曲率レベル(「第2の情報c2」)が「曲率レベル3」である場合(c1≧c2)に、印刷領域(爪領域)を8個の単位領域b(単位領域b1~b8)に分割した例において、「第1の濃度データC1」の例(
図11(a)参照)、「第2の濃度データC2」の例(
図11(b)参照)、「第1の濃度データC1」及び「第2の濃度データC2」を、上記式1を用いて計算(合成)した合成濃度データの例(
図11(c)参照)をそれぞれ示した表である。
【0064】
図11(a)及び
図11(b)に示すように、爪Tの先端部分及び爪Tの根元部分のいずれにおいても、爪Tの幅方向Wにおける中央部分の印刷濃度(インク吐出量)を「100」としたときの、爪Tの左側端部あるいは右側端部の印刷濃度は端部に寄るほど増大しているが、曲率レベルの大きい爪Tの先端部分では、印刷濃度の変化が爪Tの根元部分よりも急峻であり、左側端部及び右側端部により多くのインクを吐出するように(印刷濃度が高くなるように)設定される。
【0065】
また例えば
図12(a)から
図12(c)は、爪の先端側の曲率レベル(「第1の情報c1」)が「曲率レベル3」であり、爪の根元側の曲率レベル(「第2の情報c2」)が「曲率レベル4」である場合(c1<c2)の例であり、
図12(a)は、「第1の濃度データC1」の例を示し、
図12(b)は、「第2の濃度データC2」の例を示し、
図12(c)は、「第1の濃度データC1」及び「第2の濃度データC2」を、上記式2を用いて計算(合成)した合成濃度データの例を示した表である。
【0066】
図12(a)及び
図12(b)に示すように、爪Tの先端部分及び爪Tの根元部分のいずれにおいても、爪Tの幅方向Wにおける中央部分の印刷濃度(インク吐出量)を「100」としたときの、爪Tの左側端部あるいは右側端部の印刷濃度は端部に寄るほど増大しているが、曲率レベルの大きい爪Tの根元部分では、印刷濃度の変化が爪Tの先端部分よりも急峻であり、左側端部及び右側端部により多くのインクを吐出するように(印刷濃度が高くなるように)設定される。
【0067】
例えば、爪Tの先端側の曲率レベル(「第1の情報c1」)が「曲率レベル4」であり、爪Tの根元側の曲率レベル(「第2の情報c2」)が「曲率レベル2」である場合、
図13は、「曲率レベル4」に対応した「第1の濃度データC1」の印刷濃度のイメージを模式的に表現した図であり、
図14は、「曲率レベル2」に対応した「第2の濃度データC2」の印刷濃度のイメージを模式的に表現した図である。図の上が爪Tの先端側、下が爪Tの根元側とした場合、
図13及び
図14では、爪Tの幅方向Wの位置によって異なる印刷濃度(すなわち、中央部から左右の両端部に行くほど濃度が濃くなる)が割り当てられているが、爪Tの長さ方向Lについては、位置に関わらず、同じ印刷濃度が割り当てられている。
【0068】
これに対して、
図15及び
図16は、「第1の濃度データC1」及び「第2の濃度データC2」を合成処理した合成濃度データの印刷濃度のイメージを模式的に表現した図である。
図15及び
図16では、「曲率レベル4」である爪Tの先端側(図において上)の方が、「曲率レベル2」である爪Tの根元側(図において下)よりも爪Tの幅方向Wの端部の印刷濃度が濃くなっている。
なお、
図15は、爪Tの印刷領域(爪領域)を8個の単位領域bに分割して合成濃度データを生成した場合の例であり、
図16は、爪Tの印刷領域(爪領域)を16個の単位領域bに分割して合成濃度データを生成した場合の例である。爪Tの幅方向Wにおける位置、爪Tの長さ方向Lにおける位置により印刷濃度が変わる点は同様であるが、8個の単位領域bに分割した場合よりも、より細かく16個の単位領域bに分割した場合の方が、各単位領域b間の境界部分での濃度差がほぼ目立たないレベルまで解消される。なお、分割する単位領域bの数を多くするほど、より確実に濃度差の影響を解消することができる。
【0069】
全ての単位領域bについての合成処理が終了すると、
図9に戻って、制御部11は、デザインを印刷するための印刷データを、合成濃度データで補正した補正後の印刷データを、印刷開始指示とともに印刷機構4に出力する(ステップS9)。
制御部11は、印刷が完了したか否かを判断し(ステップS10)、完了していない場合(ステップS10;NO)には完了するまで判断を繰り返す。
他方印刷が完了した場合(ステップS10;YES)には、さらに他にも印刷する爪Tがあるか否かを判断し(ステップS11)、他にも印刷する爪Tがある場合(ステップS11;YES)には、ステップS1に戻って以降の処理を繰り返す。
一方、他に印刷する爪Tがない場合(ステップS11;NO)には、指Uを指配置部3から退避させるように促す表示を、表示部22等に表示させる(ステップS12)。ユーザが指示にしたがって指Uを外し、印刷装置1による処理が終了する。
【0070】
このように、本実施形態では爪Tの長さ方向Lの異なる複数位置で爪Tの曲率レベルを見て、これに応じて印刷データの曲面補正を行う。このため、爪Tの先端側と根元側とで曲率が大きく変わっているような爪Tの場合にも、位置に応じた適切な補正を行うことができる。
例えば特に爪Tの先端側において曲率が強い爪Tの場合に、爪Tの長さ方向Lの根元側等、1か所で爪Tの曲率レベルを判断し、これに応じて印刷データの曲面補正を行った場合には、
図17に示すように、爪Tの幅方向Wの中央部分や、曲率が正しく判断された、爪Tの長さ方向Lの根元側では正しく曲面補正が行われるが、爪Tの根元側よりも曲率の強い爪Tの先端側では、左右両端部の印刷濃度の補正が足りず、爪Tの先端側の両端部高が他の部分よりも色が薄い印刷結果となってしまう。
これに対して、本実施形態のように、爪Tの先端側と根元側の曲率レベル(「第1の情報c1」「第2の情報c2」)を取得して、各曲率レベルに対応する濃度データ(「第1の濃度データC1」「第2の濃度データC2」)を合成処理した合成濃度データによって補正を行った場合には、
図18に示すように、印刷領域(爪領域)の全体に均一な印刷結果を得ることができる。
【0071】
以上のように、本実施形態によれば、印刷装置1の制御装置10が、印刷対象である爪Tの「第1方向」(本実施形態において爪や指の長手方向)における異なる2か所以上で取得された、形状に関する情報を取得する取得手段、取得された形状に関する情報に基づいて印刷に関する設定を行う設定手段として機能する制御部11を備えている。
爪Tの幅方向Wの形状(外形)に応じた曲面補正を行っても、爪Tが長さ方向Lにおいて曲がり具合(曲率レベル)が異なる場合、補正の基準とした部分の曲率レベルと異なる曲面レベルの箇所については正しく補正することができない。
この点本実施形態では、爪Tの長さ方向Lにおいて異なる2か所で曲がり具合(曲率レベル)を取得して補正を行う。
このため、爪Tの全体について適切な濃度調整(濃度補正)を行うことができる。これにより、爪Tの曲率の影響をできるだけ軽減させて、全体的に均一な仕上がりの印刷とすることができ、印刷品位の向上を図ることができる。
【0072】
また本実施形態において、「第1方向」は、爪Tの幅方向Wと交差する爪Tの長さ方向Lであり、「外形に関する情報」は、爪Tの外形の曲率に関する曲率情報(曲率レベル)である。
これにより、爪Tの長さ方向Lの先端側と根元側等で外形の曲率レベルが大きく異なる爪Tの場合にも各位置に応じた適切な濃度補正値を得ることができる。このため、高品位の印刷を実現することができる。
【0073】
また本実施形態において、「印刷に関する設定」は、印刷濃度の設定である。
これにより、幅方向Wに行くほど高さが低く(深く)なっていく爪Tに印刷する場合にも低い部分では印刷濃度を上げてインクを多く吐出させ印刷濃度を調整する制御を行うことができ、全体が均一な仕上がりに見えるような、高品位の印刷結果を得ることができる。
【0074】
また本実施形態において、「形状に関する情報」は、少なくとも爪Tの先端側で取得された「第1の情報c1」と根元側で取得された「第2の情報c2」と、を含んでいる。
これにより、形状の差が出やすい2か所である爪Tの先端側と根元側との曲率レベルを把握することができる。このため、適切な印刷データを用いて高品位の印刷を行うことができる。
【0075】
また本実施形態において、設定手段としての制御部11は、爪Tの先端側で取得された「第1の情報c1」に基づいて「第1の濃度データC1」を取得し、爪Tの根元側で取得された「第2の情報c2」に基づいて「第2の濃度データC2」を取得して、「第1の濃度データC1」及び「第2の濃度データC2」に基づき「第1方向」である爪Tの長さ方向Lにおける印刷に関する補正値を設定する。
これにより、形状の差が出やすい2か所である爪Tの先端側と根元側との曲率レベルを考慮した曲面補正を行うことができる。このため、高品位の印刷を行うことができる。
【0076】
また本実施形態において、設定手段としての制御部11は、爪Tの印刷領域(爪領域)を「第1方向」である爪Tの長さ方向Lの先端側から根元側までの複数の単位領域bに分割し、各単位領域bの、「第1方向」における位置に応じて「第1の濃度データC1」と「第2の濃度データC2」とを合成して、「第1方向」における印刷に関する補正値を設定する。
これにより、爪Tの長さ方向Lの先端側と根元側等で外形の曲率レベルが大きく異なる爪Tの場合にも各位置に応じた適切な補正値を得ることができ、全体的に均一な仕上がりとなる高品位の印刷を実現することができる。
【0077】
また本実施形態において、設定手段としての制御部11は、各単位領域bの、「第1方向」における位置に応じて「第1の濃度データC1」と「第2の濃度データC2」との合成割合に重み付けdwを行う。
爪Tの長さ方向Lの位置に応じた重み付けdwを行うことで、爪Tの長さ方向Lの先端側と根元側等の複数個所で取得した外形の曲率レベルに応じた印刷濃度を、爪Tの長さ方向Lの全体に適切に反映させることができ、全体に均一な仕上がりとすることができる。
【0078】
また本実施形態において、複数の単位領域bは、「第1方向」である爪Tの長さ方向Lに沿って均一に分割されている。
これにより、外形の曲率レベルに応じた印刷濃度が爪Tの長さ方向Lに自然に変化するように印刷濃度の補正を行うことができる。
【0079】
また本実施形態の印刷装置1は、指Uの爪Tに印刷を施す印刷手段としての印刷ヘッド41と、取得手段、設定手段として機能する制御部11を有する制御装置と、を含んでいる。
これにより、印刷装置1単体として、適切な曲面補正を行い、高品位の印刷を実現することができる。
【0080】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0081】
例えば、本実施形態では、印刷装置1が端末装置8と連携して印刷システムを構成し、ネイルデザインの選択等を端末装置8側で行った上で、印刷動作を印刷装置1側で実行する場合を例示したが、印刷装置1はここに示すようなものに限定されない。
例えば、ユーザが印刷装置1の操作部や表示部により各種操作等を行い、印刷装置1の制御装置がこれらの処理を行うようにしてもよい。このように構成した場合には、端末装置8と連携することなく、印刷装置1が単体で印刷動作を完結できるように構成することもできる。また、印刷装置1と端末装置8との連携の度合い(処理の分担程度)を本実施形態のものから変更してもよく、例えば撮影や印刷以外の殆どの処理を端末装置8が担ってもよい。なお本実施形態において印刷装置1の制御装置10の制御部11が取得手段や設定手段として機能したが、制御部11が取得手段や設定手段として行った処理を端末装置8の制御装置80の制御部81が行う場合には、端末装置8の制御装置80が取得手段及び設定手段を備える制御装置として機能する。また、制御部81が取得手段や設定手段として機能するためのプログラムも制御装置80側の記憶部82等に格納される。
【0082】
また、ネイルデザインや撮影された爪の画像、爪の形状情報等の各種データは、端末装置8の記憶部82に記憶されてもよいし、印刷装置1の記憶部12に記憶されていてもよい。
あるいは、ネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等に各種データを記憶させておき、端末装置8又は印刷装置1がサーバ装置等にアクセスしてこのデータを参照可能に構成してもよい。このようにすることで、より多くのネイルデザインの中から印刷するデザインを選択することなどが可能となる。
【0083】
また、本実施形態では、取得手段としての制御部11が取得する「外形に関する情報」が爪Tの長さ方向Lにおける先端側と根元側の2か所における曲率レベルである場合を例示したが、「外形に関する情報」は、「第1方向」である爪Tの長さ方向Lにおける2か所以上で取得されればよく、爪Tの先端側と根元側に限定されない。例えば爪Tの先端側と根元側に加えて、その中間位置でも1か所以上で「外形に関する情報」を取得してもよい。
この場合には、各位置における「外形に関する情報」(曲率レベル)に応じた濃度データを生成し、それぞれ位置に応じた重み付けを行った上で合成濃度データを生成する合成処理を行う。
「外形に関する情報」(曲率レベル)を取得する位置を多くした場合には、その分「第1方向」である爪Tの長さ方向Lにおける形状の変化に細かく対応することができ、爪Tが特殊な形状である場合にも適切な印刷を行うことができる。
【0084】
また、本実施形態では、「外形に関する情報」としての曲面レベルが、
図5(a)から
図5(e)に示す5種類である場合を例示したが、曲面レベルは5種類に限定されず、これより少なくてもよいし、6種類以上に細かく分類されていてもよい。
また、「外形に関する情報」は、爪Tの先端側と根元側とでそれぞれ別個に設定する場合に限られない。例えば爪先側の曲率が大きく根元側の曲率が小さいAパターン、根元側の曲率が大きく爪先側の曲率が小さいBパターン、爪先側の曲率と根元側の曲率ほぼ同じであるCパターン、等に分類してもよい。そして、この分類の中にもさらに、Aパターンのうち、爪先側の曲率と根元側の曲率とが大きく異なるA1パターン、爪先側の曲率と根元側の曲率とがそれほど異ならないA2パターン、Bパターンのうち、爪先側の曲率と根元側の曲率とが大きく異なるB1パターン、爪先側の曲率と根元側の曲率とがそれほど異ならないB2パターン等、にさらに分かれてもよい。
このようにすることで、自分の当てはまるパターンを簡易に設定することが可能になる。
【0085】
また本実施形態では、複数の単位領域bが「第1方向」である爪Tの長さ方向Lに沿って均一に分割されている場合を例示し、重み付けdwも各単位領域bに均一にかけるようにしたが、印刷領域(爪領域)の分割の仕方はこれに限定されない。
例えば比較的曲率の変化が大きい爪Tの長さ方向Lにおける端部(先端側端部及び根元側端部)では細かく単位領域bを設定し、中央部では分割する数を少なくしてもよいし、例えば根元側は比較的平坦な爪Tであるような場合には根元側では粗く領域分割し、爪Tの先端側に行くほど細かく分割する等、曲率の変化の仕方に応じて領域分割の仕方を変えてもよい。
また、合成濃度データを生成する際の重み付けdwも、各単位領域bごとに変えてもよい。
これにより、より実際の爪Tの形状に合った印刷濃度の補正値を得られる可能性がある。
【0086】
また本実施形態では、ユーザ等が目視にて「外形に関する情報」(曲率レベル)を判断する場合を前提としたため、指Uを装置にセットする前に曲率レベルを判断する流れを説明したが(すなわち、
図9におけるステップS1~ステップS3等参照)、例えばカメラ等で撮影した画像から「外形に関する情報」(曲率レベル)を自動的に判断する構成とした場合には、まず爪Tに対応する指Uを印刷装置1内にセットさせ、爪Tの画像を取得して爪Tの形状認識を行う流れとする。
「外形に関する情報」(曲率レベル)を自動的に判断する構成の場合、ユーザ等が判断するよりも判断を正確に行うことができる可能性がある。また、ユーザ等の手間を省くこともでき、より手軽に高品位のネイル印刷を楽しむことができる。
【0087】
なお、一度設定された「外形に関する情報」(曲率レベル)は、ユーザを識別できる情報と対応付けて記憶させておき、次回からの処理の際にはこの情報を読み出すだけで適切な印刷濃度の補正を行うことができるようにしてもよい。
この場合には、ユーザにとってより便利かつ容易に高品位の印刷を行うことができる。
【0088】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
印刷対象である爪の第1方向における異なる2か所以上で取得された、前記第1方向と交差する第2方向に沿った外形に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段において取得された前記外形に関する情報に基づいて印刷に関する設定を行う設定手段と、
を備える、
ことを特徴とする制御装置。
<請求項2>
前記第1方向は、爪の幅方向と交差する爪の長さ方向であり、
前記外形に関する情報は、前記爪の外形の曲率に関する曲率情報である、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
<請求項3>
前記印刷に関する設定は、印刷濃度の設定である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
<請求項4>
前記印刷濃度の設定は、前記爪の幅方向における中央部から端部に行くにしたがって印刷濃度を高くするように補正値を設定するものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
<請求項5>
前記外形に関する情報は、少なくとも前記爪の先端側で取得された第1の情報と根元側で取得された第2の情報と、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の制御装置。
<請求項6>
前記設定手段は、前記爪の先端側で取得された第1の情報に基づいて第1の濃度データを取得し、前記爪の根元側で取得された第2の情報に基づいて第2の濃度データを取得して、前記第1の濃度データ及び前記第2の濃度データに基づき爪の幅方向における印刷濃度の補正値を設定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の制御装置。
<請求項7>
前記設定手段は、前記爪の印刷領域を前記第1方向の先端側から根元側までの複数の単位領域に分割し、各単位領域の、前記第1方向における位置に応じて前記第1の濃度データと前記第2の濃度データとを合成して、前記爪の幅方向における印刷濃度の補正値を設定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
<請求項8>
前記設定手段は、前記各単位領域の、前記第1方向における位置に応じて前記第1の濃度データと前記第2の濃度データとの合成割合に重み付けを行う、
ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
<請求項9>
前記複数の単位領域は、前記第1方向の一側から他側に向って均一に分割されている、ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の制御装置。
<請求項10>
指の爪に印刷を施す印刷手段と、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の制御装置と、
を含むことを特徴とする印刷装置。
<請求項11>
印刷対象である爪の第1方向における異なる2か所以上で取得された、前記第1方向と交差する第2方向に沿った外形に関する情報を取得し、
取得された前記外形に関する情報に基づいて印刷に関する設定を行う、
ことを特徴とする制御方法。
<請求項12>
コンピュータに、
印刷対象である爪の第1方向における異なる2か所以上で取得された、前記第1方向と交差する第2方向に沿った外形に関する情報を取得する取得機能と、
前記取得機能によって取得された前記外形に関する情報に基づいて印刷に関する設定を行う設定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0089】
1 印刷装置
3 指配置部
4 印刷機構
41 印刷ヘッド(印刷手段)
8 端末装置
10 制御装置
11 制御部
12 記憶部
21 操作部
22 表示部