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特開2023-141660遮蔽材ユニット及び電気機器設置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141660
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】遮蔽材ユニット及び電気機器設置構造
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G21F3/00 P
G21F3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048095
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健太郎
(57)【要約】
【課題】遮蔽区画体に形成された貫通孔の大きさに対して遮蔽材ユニットの設置スペースが過剰になることを抑制する。
【解決手段】遮蔽材ユニット10は、遮蔽天井12に形成された貫通孔からの放射線の漏洩を防止する。遮蔽材ユニット10は、第2方向Yで互いに隣接可能な複数の単位体20から構成される。単位体20は、貫通孔の周囲を取り囲むように配置されるとともに遮蔽材ユニット10の内部空間を区画する区画壁21と、第2方向Yにおける単位体20の端部に位置する開口端部22と、を備える。第2方向Yで互いに隣接した2つの単位体20の開口端部22は、区画壁21に直交する直交方向で互いに重なり合う重合領域Rを形成する。重合領域Rを形成する2つの単位体20のうち、一方の単位体20に対する他方の単位体20の第2方向Yでの相対位置が変更可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を遮蔽する遮蔽区画体に形成された貫通孔からの放射線の漏洩を防止する遮蔽材ユニットであって、
前記遮蔽材ユニットは、隣接方向で互いに隣接可能な複数の単位体から構成され、
前記単位体は、前記貫通孔の周囲を取り囲むように配置されるとともに前記遮蔽材ユニットの内部空間を区画する区画壁と、前記隣接方向における前記単位体の端部に位置する開口端部と、を備え、
前記区画壁は、放射線を遮蔽する遮蔽材を含み、
前記隣接方向で互いに隣接した2つの前記単位体の前記開口端部は、前記区画壁に直交する直交方向で互いに重なり合う重合領域を形成し、
前記重合領域を形成する2つの前記単位体のうち、一方の前記単位体に対する他方の前記単位体の前記隣接方向での相対位置が変更可能であることを特徴とする遮蔽材ユニット。
【請求項2】
前記直交方向で互いに重なり合う前記重合領域のうち、一方の前記重合領域を第1重合領域といい、他方の前記重合領域を第2重合領域というと、
前記第1重合領域の少なくとも一部と、前記第2重合領域の少なくとも一部とは、前記直交方向で互いに離れた離間領域を有し、
前記離間領域同士の間には、前記内部空間の内外を連通させる連通空間が形成される請求項1に記載の遮蔽材ユニット。
【請求項3】
複数の前記単位体は、2つの端部単位体と、前記隣接方向において2つの前記端部単位体の間に配置される中間単位体と、からなり、
前記第1重合領域は、前記中間単位体に位置し、
前記第2重合領域は、2つの前記端部単位体のうち少なくとも一方に位置する請求項2に記載の遮蔽材ユニット。
【請求項4】
前記第1重合領域及び前記第2重合領域には、ボルト体が挿入可能な挿通孔が形成され、
前記第1重合領域に形成された前記挿通孔と前記第2重合領域に形成された前記挿通孔とは、前記直交方向において互いに対向する請求項2又は請求項3に記載の遮蔽材ユニット。
【請求項5】
前記挿通孔は、前記開口端部の端縁にて前記隣接方向に開放する開放端を有するとともに、前記開放端から離れるように前記隣接方向に延びた長孔状であり、
前記開放端から前記挿通孔に前記ボルト体が挿入可能であり、
前記挿通孔に前記ボルト体が挿入された状態で前記挿通孔のうち前記ボルト体が挿入された部分以外を被覆するとともに放射線を遮蔽する遮蔽材を含む遮蔽シートを備える請求項4に記載の遮蔽材ユニット。
【請求項6】
前記第1重合領域の少なくとも一部と、前記第2重合領域の少なくとも一部とは、前記直交方向で前記離間領域よりも互いに近づいた近接領域を有し、
前記挿通孔は、前記第1重合領域及び前記第2重合領域の前記近接領域に形成され、
前記挿通孔に前記ボルト体が挿入された状態で、前記第1重合領域の前記挿通孔のうち前記ボルト体が挿入された部分以外が前記第2重合領域の前記近接領域によって覆われ、前記第2重合領域の前記挿通孔のうち前記ボルト体が挿入された部分以外が前記第1重合領域の前記近接領域によって覆われる請求項4に記載の遮蔽材ユニット。
【請求項7】
前記連通空間には、前記内部空間に設置される電気機器と接続されたケーブルが配線可能である請求項2~請求項6のうちいずれか一項に記載の遮蔽材ユニット。
【請求項8】
複数の前記単位体のうち少なくとも1つは、前記単位体から前記内部空間の外方に向けて突出する脚部を有し、
前記脚部は、前記遮蔽区画体を支持する支持部材に支持される請求項1~請求項7のうちいずれか一項に記載の遮蔽材ユニット。
【請求項9】
前記区画壁は、放射線を遮蔽可能な鉛で形成された遮蔽部材と、当該遮蔽部材の少なくとも外面を覆うことにより前記遮蔽部材を保護する保護部材と、を備える請求項1~請求項8のうちいずれか一項に記載の遮蔽材ユニット。
【請求項10】
前記区画壁のうち前記遮蔽区画体側に位置する第1端部は、複数の前記単位体同士で互いに面一であり、
複数の前記単位体は、前記第1端部によって前記貫通孔の周囲を取り囲むことが可能である請求項1~請求項9のうちいずれか一項に記載の遮蔽材ユニット。
【請求項11】
基礎天井と、当該基礎天井から下方に離れて放射線を遮蔽する遮蔽天井と、からなる二重天井における前記遮蔽天井に電気機器が設置され、
前記電気機器を設置するために前記遮蔽天井に形成された貫通孔から放射線が漏洩するのを防止すべく、前記二重天井内で請求項7に記載の遮蔽材ユニットが前記貫通孔を覆っており、
前記遮蔽天井は、前記遮蔽区画体であり、
前記貫通孔は延設方向に延びる長孔であり、
前記連通空間が形成された前記重合領域は、前記貫通孔の前記延設方向の中心よりも前記延設方向の片方側に片寄った位置にあり、当該重合領域において、前記第2重合領域は前記第1重合領域よりも前記遮蔽材ユニットの外側に位置しており、前記第2重合領域を形成する前記単位体は前記第1重合領域を形成する前記単位体よりも前記延設方向の片方側にあることを特徴とする電気機器設置構造。
【請求項12】
基礎天井と、当該基礎天井から下方に離れて放射線を遮蔽する遮蔽天井と、からなる二重天井における前記遮蔽天井に設置された電気機器と、
前記電気機器に接続されたケーブルと、
前記基礎天井から吊り下げられた吊りボルトと、
前記電気機器を設置するために前記遮蔽天井に形成された貫通孔から放射線が漏洩するのを防止すべく、前記二重天井内で前記貫通孔を覆う遮蔽材ユニットと、を備え、
前記遮蔽材ユニットは、請求項7に記載の前記遮蔽材ユニットであり、
前記遮蔽天井は、前記遮蔽区画体であり、
前記重合領域を形成する2つの前記単位体が前記吊りボルトに固定され、
前記ケーブルは、前記連通空間を通って前記内部空間の内部から外部に引き出されていることを特徴とする電気機器設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽材ユニット及び電気機器設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遮蔽材ユニットとしての遮蔽壁が開示されている。遮蔽壁は、遮蔽区画体に形成された貫通孔の周囲を取り囲むように配置されている。遮蔽壁によって、遮蔽区画体に形成された貫通孔からの放射線の漏洩を防止される。遮蔽壁によって区画形成された内部空間に、スイッチやコンセントなどが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-245847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遮蔽区画体に形成される貫通孔は、遮蔽材ユニットの内部に設置される電気機器の大きさ等、種々の条件に応じて大きさが変更される。大きな貫通孔に対応可能なように遮蔽材ユニットの大きさを設定すると、遮蔽区画体に形成された貫通孔が小さい場合に、貫通孔の大きさに対して遮蔽材ユニットの設置スペースが過剰になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する遮蔽材ユニットは、放射線を遮蔽する遮蔽区画体に形成された貫通孔からの放射線の漏洩を防止する遮蔽材ユニットであって、前記遮蔽材ユニットは、隣接方向で互いに隣接可能な複数の単位体から構成され、前記単位体は、前記貫通孔の周囲を取り囲むように配置されるとともに前記遮蔽材ユニットの内部空間を区画する区画壁と、前記隣接方向における前記単位体の端部に位置する開口端部と、を備え、前記区画壁は、放射線を遮蔽する遮蔽材を含み、前記隣接方向で互いに隣接した2つの前記単位体の前記開口端部は、前記区画壁に直交する直交方向で互いに重なり合う重合領域を形成し、前記重合領域を形成する2つの前記単位体のうち、一方の前記単位体に対する他方の前記単位体の前記隣接方向での相対位置が変更可能であることを要旨とする。
【0006】
遮蔽材ユニットにおいて、前記直交方向で互いに重なり合う前記重合領域のうち、一方の前記重合領域を第1重合領域といい、他方の前記重合領域を第2重合領域というと、前記第1重合領域の少なくとも一部と、前記第2重合領域の少なくとも一部とは、前記直交方向で互いに離れた離間領域を有し、前記離間領域同士の間には、前記内部空間の内外を連通させる連通空間が形成されるとよい。
【0007】
遮蔽材ユニットにおいて、複数の前記単位体は、2つの端部単位体と、前記隣接方向において2つの前記端部単位体の間に配置される中間単位体と、からなり、前記第1重合領域は、前記中間単位体に位置し、前記第2重合領域は、2つの前記端部単位体のうち少なくとも一方に位置するとよい。
【0008】
遮蔽材ユニットにおいて、前記第1重合領域及び前記第2重合領域には、ボルト体が挿入可能な挿通孔が形成され、前記第1重合領域に形成された前記挿通孔と前記第2重合領域に形成された前記挿通孔とは、前記直交方向において互いに対向するとよい。
【0009】
遮蔽材ユニットにおいて、前記挿通孔は、前記開口端部の端縁にて前記隣接方向に開放する開放端を有するとともに、前記開放端から離れるように前記隣接方向に延びた長孔状であり、前記開放端から前記挿通孔に前記ボルト体が挿入可能であり、前記挿通孔に前記ボルト体が挿入された状態で前記挿通孔のうち前記ボルト体が挿入された部分以外を被覆するとともに放射線を遮蔽する遮蔽材を含む遮蔽シートを備えるとよい。
【0010】
遮蔽材ユニットにおいて、前記第1重合領域の少なくとも一部と、前記第2重合領域の少なくとも一部とは、前記直交方向で前記離間領域よりも互いに近づいた近接領域を有し、前記挿通孔は、前記第1重合領域及び前記第2重合領域の前記近接領域に形成され、前記挿通孔に前記ボルト体が挿入された状態で、前記第1重合領域の前記挿通孔のうち前記ボルト体が挿入された部分以外が前記第2重合領域の前記近接領域によって覆われ、前記第2重合領域の前記挿通孔のうち前記ボルト体が挿入された部分以外が前記第1重合領域の前記近接領域によって覆われるとよい。
【0011】
遮蔽材ユニットにおいて、前記連通空間には、前記内部空間に設置される電気機器と接続されたケーブルが配線可能であるとよい。
遮蔽材ユニットにおいて、複数の前記単位体のうち少なくとも1つは、前記単位体から前記内部空間の外方に向けて突出する脚部を有し、前記脚部は、前記遮蔽区画体を支持する支持部材に支持されるとよい。
【0012】
遮蔽材ユニットにおいて、前記区画壁は、放射線を遮蔽可能な鉛で形成された遮蔽部材と、当該遮蔽部材の少なくとも外面を覆うことにより前記遮蔽部材を保護する保護部材と、を備えるとよい。
【0013】
遮蔽材ユニットにおいて、前記区画壁のうち前記遮蔽区画体側に位置する第1端部は、複数の前記単位体同士で互いに面一であり、複数の前記単位体は、前記第1端部によって前記貫通孔の周囲を取り囲むことが可能であるとよい。
【0014】
上記課題を解決する電気機器設置構造は、基礎天井と、当該基礎天井から下方に離れて放射線を遮蔽する遮蔽天井と、からなる二重天井における前記遮蔽天井に電気機器が設置され、前記電気機器を設置するために前記遮蔽天井に形成された貫通孔から放射線が漏洩するのを防止すべく、前記二重天井内で請求項7に記載の遮蔽材ユニットが前記貫通孔を覆っており、前記遮蔽天井は、前記遮蔽区画体であり、前記貫通孔は延設方向に延びる長孔であり、前記連通空間が形成された前記重合領域は、前記貫通孔の前記延設方向の中心よりも前記延設方向の片方側に片寄った位置にあり、当該重合領域において、前記第2重合領域は前記第1重合領域よりも前記遮蔽材ユニットの外側に位置しており、前記第2重合領域を形成する前記単位体は前記第1重合領域を形成する前記単位体よりも前記延設方向の片方側にあることを要旨とする。
【0015】
上記課題を解決する電気機器設置構造は、基礎天井と、当該基礎天井から下方に離れて放射線を遮蔽する遮蔽天井と、からなる二重天井における前記遮蔽天井に設置された電気機器と、前記電気機器に接続されたケーブルと、前記基礎天井から吊り下げられた吊りボルトと、前記電気機器を設置するために前記遮蔽天井に形成された貫通孔から放射線が漏洩するのを防止すべく、前記二重天井内で前記貫通孔を覆う遮蔽材ユニットと、を備え、前記遮蔽材ユニットは、請求項7に記載の前記遮蔽材ユニットであり、前記遮蔽天井は、前記遮蔽区画体であり、前記重合領域を形成する2つの前記単位体が前記吊りボルトに固定され、前記ケーブルは、前記連通空間を通って前記内部空間の内部から外部に引き出されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、遮蔽区画体に形成された貫通孔の大きさに対して遮蔽材ユニットの設置スペースが過剰になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の基礎天井、遮蔽天井、及び遮蔽材ユニットを示す断面図である。
図2】第1実施形態の遮蔽材ユニットを示す斜視図である。
図3】第1実施形態の遮蔽材ユニットを示す上面図である。
図4】第1実施形態の遮蔽材ユニットを示す分解斜視図である。
図5】第1実施形態の中間単位体及び端部単位体を示す斜視図である。
図6】第1実施形態の中間単位体及び端部単位体を示す上面図である。
図7】第1実施形態の中間単位体及び端部単位体を示す上面図である。
図8】第1実施形態の中間単位体及び端部単位体を示す上面図である。
図9】第1実施形態の中間単位体及び端部単位体を示す上面図である。
図10】第2実施形態の中間単位体及び端部単位体を示す斜視図である。
図11】第2実施形態の中間単位体及び端部単位体を示す上面図である。
図12】第2実施形態の中間単位体及び端部単位体を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、遮蔽材ユニット及び電気機器設置構造を具体化した第1実施形態について説明する。
【0019】
<遮蔽材ユニットの設置場所>
図1に示すように、遮蔽材ユニット10は、基礎部材としての基礎天井11と、放射線を遮蔽する遮蔽区画体としての遮蔽天井12と、の間に設置されている。遮蔽材ユニット10は、遮蔽天井12に隣接している。遮蔽天井12は平板状である。遮蔽天井12は、基礎天井11から下方に離れている。基礎天井11と遮蔽天井12とで二重天井11aが構成されている。遮蔽天井12に直交する方向を第1方向Xともいう。遮蔽天井12に沿う方向を第2方向Yともいう。遮蔽天井12に沿う方向であって、第2方向Yと直交する方向を第3方向Zともいう。
【0020】
遮蔽天井12は、放射線を遮蔽する遮蔽材を含む。遮蔽天井12は、例えば、レントゲン室等の部屋の天井として用いられる。遮蔽材としては、例えば、鉛や鉄といったX線やγ線を遮蔽可能な材料、ポリエチレンやボロン含有ポリエチレンといった中性子を遮蔽可能な材料、及びこれら材料を組み合わせた材料が挙げられる。
【0021】
遮蔽天井12には貫通孔12hが形成されている。貫通孔12hは、遮蔽天井12に沿う第2方向Yに延びる長孔である。第2方向Yは延設方向に相当する。貫通孔12hの第2方向Yにおける寸法は、貫通孔12hの第3方向Zにおける寸法よりも大きい。
【0022】
遮蔽天井12の第1方向Xにおける一面である上面12aと、他面である下面12bと、は第1方向Xに直交する平面である。上面12aは、第1方向Xにおいて基礎天井11と対向している。下面12bにおける貫通孔12hの開口は、下方から不図示の閉塞部材によって閉塞されてもよい。遮蔽天井12の貫通孔12hは、電気機器14を設置するために遮蔽天井12に形成されたものである。遮蔽天井12の貫通孔12hを介して、電気機器14は、遮蔽天井12の下方から遮蔽天井12と基礎天井11との間に設置される。電気機器14としては、例えば照明器具や空調機器が挙げられる。電気機器14には、ケーブル14aが接続されている。ケーブル14aとしては、例えば電源線や通信線などが挙げられる。
【0023】
遮蔽材ユニット10は、貫通孔12hから放射線が漏洩するのを防止すべく、二重天井11a内で貫通孔12hを覆っている。電気機器14は、遮蔽材ユニット10の内部に位置する。電気機器14は、二重天井11aにおける遮蔽天井12に設置されている。
【0024】
基礎天井11と遮蔽天井12との間には、ボルト体としての吊りボルト16が設けられている。吊りボルト16は、柱状の軸部17を備えている。軸部17は、第1方向Xに延びている。軸部17の一端は基礎天井11に固定されており、他端は電気機器14が固定されている。これにより、吊りボルト16は基礎天井11から吊り下げられている。電気機器14は、吊りボルト16によって基礎天井11に支持されている。
【0025】
図2に示すように、基礎天井11と遮蔽天井12との間には、支持部材13が設けられている。支持部材13は、第1支持部材13aと、第2支持部材13bと、を含む。第2支持部材13bは、遮蔽天井12から離れる方向において第1支持部材13aとは異なる位置に設けられている。なお、遮蔽天井12から離れる方向とは、第1方向Xのうちで遮蔽天井12から離れる方向であり、図2の上方向である。
【0026】
遮蔽天井12は、第1支持部材13a及び第2支持部材13bによって基礎天井11に支持されている。第1支持部材13a及び第2支持部材13bは、基礎天井11及び遮蔽天井12の少なくとも1つに連結されている。なお、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0027】
<遮蔽材ユニットの基本構成>
図3に示すように、遮蔽材ユニット10は、複数の単位体20から構成されている。本実施形態の遮蔽材ユニット10は、3つの単位体20から構成されている。3つの単位体20は、隣接方向に相当する第2方向Yにおいて互いに隣接可能である。隣接方向としての第2方向Yのうち、一方向を第1隣接方向Y1といい、第1隣接方向Y1とは反対の方向を第2隣接方向Y2ともいう。
【0028】
<単位体>
単位体20は、区画壁21と、開口端部22と、を備える。区画壁21は、貫通孔12hの周囲を取り囲むように配置されるとともに遮蔽材ユニット10の内部空間S1(図1参照)を区画する。区画壁21は、放射線を遮蔽する遮蔽材を含む。開口端部22は、第2方向Yにおける単位体20の端部に位置する。
【0029】
図4に示すように、区画壁21は、放射線を遮蔽可能な鉛で形成された遮蔽部材21aと、遮蔽部材21aを保護する保護部材21bと、を備える。遮蔽部材21aは、鉛板が屈曲してなる。遮蔽部材21aは立体形状である。鉛板の両面のうち、一面が遮蔽部材21aの内面21cを構成し、他面が遮蔽部材21aの外面21dを構成する。区画壁21は、遮蔽部材21aと保護部材21bとの2層となっている。保護部材21bは、遮蔽部材21aの外面21dを覆うことにより、遮蔽部材21aを保護する。保護部材21bは、遮蔽部材21aに沿って位置することにより、遮蔽部材21aの形状を維持可能である。本実施形態の保護部材21bは、鉄製である。保護部材21bは、例えば、鉄板を屈曲してなるものであってもよい。
【0030】
3つの単位体20は、2つの端部単位体41と、第2方向Yにおいて2つの端部単位体41の間に配置される中間単位体31と、からなる。
<中間単位体>
中間単位体31が有する区画壁21を中間区画壁32という。中間区画壁32は、複数の立設壁部としての2つの中間立設壁部33と、天壁部としての中間天壁部34と、からなる。2つの中間立設壁部33の各々は、第1方向Xにおいて遮蔽天井12側に位置する第1端部33aと、遮蔽天井12から離れる方向において第1端部33aとは反対側に位置する第2端部33bと、を有する。中間立設壁部33は、第1端部33aと第2端部33bとの間で遮蔽天井12から離れる方向に立設する。2つの中間立設壁部33は、第3方向Zに直交するように延びる略矩形平板状である。第3方向Zからみたとき、2つの中間立設壁部33は、長手が第2方向Yに延びる略長方形状である。2つの中間立設壁部33は、第3方向Zにおいて互いに離れている。
【0031】
中間天壁部34は、2つの中間立設壁部33の第2端部33b同士を繋ぐ。中間天壁部34は、第1方向Xにおいて、遮蔽天井12と対向する。中間天壁部34は、第1方向Xに直交するように延びる略矩形平板状である。第1方向Xからみたとき、中間天壁部34は、長手が第2方向Yに延びる略長方形状である。
【0032】
中間立設壁部33は、第2方向Yにおける両端に第3中間端縁33cを有する。中間天壁部34は、第2方向Yにおける両端に中間天壁端縁34cを有する。
中間単位体31が有する開口端部22を中間開口端部37という。中間開口端部37の端縁は、2つの中間立設壁部33の第3中間端縁33cと、中間天壁端縁34cと、で形成されている。中間開口端部37は、中間単位体31の第2方向Yにおける両端に位置する。これにより、中間単位体31は、第2方向Yにおける両端が開口した形状となっている。
【0033】
2つの中間立設壁部33は、第1端部33aによって開口部としての中間開口部38を形成する。中間開口部38は、遮蔽天井12に向かって開口する。中間開口端部37は、中間立設壁部33のうち、中間開口部38を囲む周方向の一部が欠落することにより形成されている。中間開口端部37と中間開口部38とは互いに連通している。
【0034】
中間区画壁32には、挿通孔としての第1挿通孔32hが形成されている。第1挿通孔32hは、中間区画壁32を貫通する孔である。第1挿通孔32hは、中間天壁部34の第2方向Yにおける両端部にある中間開口端部37に形成されている。
【0035】
第1挿通孔32hは、開放端としての第1開放端32jを有する。第1開放端32jは、中間開口端部37の端縁である中間天壁端縁34cにて、隣接方向としての第2方向Yに開放する。詳細には、第1隣接方向Y1側の中間天壁端縁34cに位置する第1挿通孔32hにおいて、第1開放端32jは第1隣接方向Y1側に向かって開放する。第2隣接方向Y2側の中間天壁端縁34cに位置する第1挿通孔32hにおいて、第1開放端32jは第2隣接方向Y2側に向かって開放する。
【0036】
第1挿通孔32hには、第1開放端32jからボルト体としての吊りボルト16の軸部17が挿入可能である。第1挿通孔32hは、第1開放端32jから離れるように隣接方向としての第2方向Yに延びた長孔状である。詳細には、第1隣接方向Y1側の中間天壁端縁34cに位置する第1挿通孔32hは、第1開放端32jから離れるように第2隣接方向Y2に延びている。第2隣接方向Y2側の中間天壁端縁34cに位置する第1挿通孔32hは、第1開放端32jから離れるように第1隣接方向Y1に延びている。
【0037】
<端部単位体>
2つの端部単位体41は同様の構成を有する。そのため、以下では1つの端部単位体41の説明を行い、もう1つの端部単位体41の説明を適宜省略する。
【0038】
端部単位体41が有する区画壁21を端部区画壁42という。端部区画壁42は、複数の立設壁部としての3つの端立設壁部43と、天壁部としての端天壁部44と、からなる。3つの端立設壁部43の各々は、第1方向Xにおいて遮蔽天井12側に位置する第1端部43aと、遮蔽天井12から離れる方向において第1端部43aとは反対側に位置する第2端部43bと、を有する。端立設壁部43は、第1端部43aと第2端部43bとの間で遮蔽天井12から離れる方向に立設する。端立設壁部43の第1方向Xにおける寸法は、中間立設壁部33の第1方向Xにおける寸法より大きい。
【0039】
3つの端立設壁部43のうち、2つの端立設壁部43は、第3方向Zに直交するように延びる略矩形平板状である。これら2つの端立設壁部43は、第3方向Zにおいて互いに離れている。これら2つの端立設壁部43を第1端立設壁部45ともいう。2つの第1端立設壁部45の内面同士の第3方向Zにおける寸法は、2つの中間立設壁部33の外面同士の第3方向Zにおける寸法と同じであってもよいし、この寸法よりも大きくてもよい。
【0040】
第1端立設壁部45以外の端立設壁部43を第2端立設壁部46ともいう。第2端立設壁部46は、第2方向Yに直交するように延びる略矩形平板状である。第2端立設壁部46は、遮蔽材ユニット10の第2方向Yにおける端部に位置する。詳細には、中間単位体31よりも第1隣接方向Y1側に位置する端部単位体41において、第2端立設壁部46は遮蔽材ユニット10の第1隣接方向Y1における端部に位置する。中間単位体31よりも第2隣接方向Y2側に位置する端部単位体41において、第2端立設壁部46は遮蔽材ユニット10の第2隣接方向Y2における端部に位置する。
【0041】
端天壁部44は、3つの端立設壁部43の第2端部43b同士を繋ぐ。端天壁部44は、第1方向Xにおいて、遮蔽天井12と対向する。端天壁部44は、第1方向Xに直交するように延びる略矩形平板状である。
【0042】
2つの第1端立設壁部45は、第2方向Yにおける一端に第3端縁43cを有する。端天壁部44は、第2方向Yにおける一端に端天壁端縁44cを有する。
端部単位体41が有する開口端部22を端開口端部47という。端開口端部47の端縁は、2つの第1端立設壁部45の第3端縁43cと、端天壁端縁44cと、で形成されている。端開口端部47は、端部単位体41の第2方向Yにおける一端に位置する。詳細には、中間単位体31よりも第1隣接方向Y1側に位置する端部単位体41において、端開口端部47は端部単位体41の第2隣接方向Y2における端部に位置する。中間単位体31よりも第2隣接方向Y2側に位置する端部単位体41において、端開口端部47は端部単位体41の第1隣接方向Y1における端部に位置する。これにより、端部単位体41は、第2方向Yにおける一端が開口した形状となっている。
【0043】
2つの第1端立設壁部45は、第1端部43aによって開口部としての端開口部48を形成する。端開口部48は、遮蔽天井12に向かって開口する。端開口端部47は、端立設壁部43のうち、端開口部48を囲む周方向の一部が欠落することにより形成されている。端開口端部47と端開口部48とは互いに連通している。
【0044】
端部区画壁42には、挿通孔としての第2挿通孔42hが形成されている。第2挿通孔42hは、端部区画壁42を貫通する孔である。第2挿通孔42hは、端天壁部44の第2方向Yにおける端部にある端開口端部47に形成されている。
【0045】
第2挿通孔42hは、開放端としての第2開放端42jを有する。第2開放端42jは、端開口端部47の端縁である端天壁端縁44cにて、隣接方向としての第2方向Yに開放する。詳細には、2つの端部単位体41のうち、第1隣接方向Y1側の端部単位体41に位置する第2挿通孔42hにおいて、第2開放端42jは第2隣接方向Y2側に向かって開放する。2つの端部単位体41のうち、第2隣接方向Y2側の端部単位体41に位置する第2挿通孔42hにおいて、第2開放端42jは第1隣接方向Y1側に向かって開放する。
【0046】
第2挿通孔42hには、第2開放端42jからボルト体としての吊りボルト16の軸部17が挿入可能である。第2挿通孔42hは、第2開放端42jから離れるように隣接方向としての第2方向Yに延びた長孔状である。詳細には、2つの端部単位体41のうち、第1隣接方向Y1側の端部単位体41に位置する第2挿通孔42hは、第2開放端42jから離れるように第1隣接方向Y1に延びている。2つの端部単位体41のうち、第2隣接方向Y2側の端部単位体41に位置する第2挿通孔42hは、第2開放端42jから離れるように第2隣接方向Y2に延びている。
【0047】
<脚部>
中間単位体31及び2つの端部単位体41は、各々の単位体20から内部空間S1の外方に向けて突出する脚部51を有する。中間単位体31における脚部51は、中間立設壁部33に位置する。端部単位体41における脚部51は、第1端立設壁部45に位置する。
【0048】
脚部51は、保護部材21bに形成されている。保護部材21bは金属製である。例えば、本実施形態の保護部材21bは、鉄製である。そのため、脚部51は塑性変形によって第1方向Xにおける位置が変更可能である。脚部51が変位するとき、保護部材21bのうちの脚部51以外の箇所によって、遮蔽部材21aの形状は維持される。
【0049】
図2に示すように、脚部51は支持部材13に支持される。脚部51は、遮蔽天井12から離れる方向に変位することにより、第1支持部材13aと第2支持部材13bとで支持される支持部材13を変更可能である。
【0050】
脚部51は、第1構成部52と第2構成部53とを有する。第1構成部52は、第3方向Zに直交するように延びる平板状である。第1構成部52には、ボルト孔52hが形成されている。第2構成部53は、第1方向Xに直交するように延びる平板状である。第2構成部53が、単位体20から外方に向けて突出する。第2構成部53には、ボルト孔53hが形成されている。
【0051】
例えば、第1支持部材13aに脚部51を支持させる場合、作業者によって第2構成部53が第1支持部材13aの上部に置かれる。この状態で、第2構成部53のボルト孔53hに不図示のボルトが挿入されることにより、ボルトによって脚部51を第1支持部材13aに支持させることができる。
【0052】
例えば、第2支持部材13bに脚部51を支持させる場合、作業者によって第2構成部53が第1方向Xにおいて遮蔽天井12から離れるように変位される。このとき、第2構成部53の位置が遮蔽天井12から離れるほど、第1構成部52の第1方向Xの上方における端部を起点として、第1構成部52が第3方向Zの単位体20の外部に向かって離れるように変形する。こうして第2構成部53が変位されながら、作業者によって第1構成部52及び第2構成部53のうち少なくとも1つが第2支持部材13bの上部に置かれる。この状態で、第1構成部52のボルト孔52h又は第2構成部53のボルト孔53hに不図示のボルトが挿入されることにより、ボルトによって脚部51を第2支持部材13bに支持させることができる。
【0053】
<単位体の位置関係>
図1に示すように、中間区画壁32のうち遮蔽天井12側に位置する第1端部33aと、端部区画壁42のうち遮蔽天井12側に位置する第1端部43aと、は3つの単位体20同士で互いに面一である。言い換えると、中間区画壁32の第1端部33aと端部区画壁42の第1端部43aとは、第1方向Xにおいて基礎天井11からの離間距離が同じである。中間区画壁32の第1端部33aと端部区画壁42の第1端部43aとは、遮蔽天井12の上面12aのうち、貫通孔12hの周りに接している。3つの単位体20は、第1端部33a,43aによって貫通孔12hの周囲を取り囲むことが可能である。
【0054】
中間単位体31の中間天壁部34と、2つの端部単位体41の端天壁部44と、は第1方向Xにおける位置が互いに異なっている。本実施形態において、端天壁部44は、中間天壁部34よりも第1方向Xにおいて遮蔽天井12から離れている。
【0055】
<重合領域>
図2に示すように、中間単位体31の中間開口端部37と、端部単位体41の端開口端部47と、は互いに重なり合っている。中間開口端部37及び端開口端部47の互いに重なり合う部分を重合領域Rという。互いに重なり合う重合領域Rのうち、一方の重合領域Rを第1重合領域R1といい、他方の重合領域Rを第2重合領域R2という。本実施形態においては、中間単位体31に位置する重合領域Rを第1重合領域R1ともいう。端部単位体41に位置する重合領域Rを第2重合領域R2ともいう。
【0056】
中間単位体31及び端部単位体41は、隣接方向としての第2方向Yで互いに隣接した2つの単位体20に相当する。第1重合領域R1を有する中間単位体31の中間開口端部37は、第2方向Yにおいて第2重合領域R2を有する端部単位体41に向かって開口する。第2重合領域R2を有する端部単位体41の端開口端部47は、第2方向Yにおいて第1重合領域R1を有する中間単位体31に向かって開口する。
【0057】
中間単位体31の第1挿通孔32hは、中間開口端部37に位置する。そのため、第1重合領域R1には、挿通孔としての第1挿通孔32hが形成されているといえる。端部単位体41の第2挿通孔42hは、端開口端部47に位置する。そのため、第2重合領域R2には、挿通孔としての第2挿通孔42hが形成されているといえる。なお、第1挿通孔32h及び第2挿通孔42hには、ボルト体としての吊りボルト16の軸部17が挿入可能である。
【0058】
第2重合領域R2は、2つの端部単位体41の両方に位置する。すなわち、中間単位体31において第1隣接方向Y1側に位置する中間開口端部37は、中間単位体31よりも第1隣接方向Y1側に位置する端部単位体41の端開口端部47と重なり合っている。中間単位体31において第2隣接方向Y2側に位置する中間開口端部37は、中間単位体31よりも第2隣接方向Y2側に位置する端部単位体41の端開口端部47と重なり合っている。端開口端部47は、中間単位体31の外側から覆うように中間開口端部37と重なり合っている。そのため、重合領域Rにおいて、第2重合領域R2は第1重合領域R1よりも遮蔽材ユニット10の外側に位置している。
【0059】
中間立設壁部33の第2方向Yにおける端部と、第1端立設壁部45の第2方向Yにおける端部と、が重なり合っている。中間天壁部34の第2方向Yにおける端部と、端天壁部44の第2方向Yにおける端部と、が重なり合っている。第1重合領域R1は、2つの中間立設壁部33の第2方向Yにおける両端部と、中間天壁部34の第2方向Yにおける両端部と、で構成される。第2重合領域R2は、2つの第1端立設壁部45の第2方向Yにおける端部と、端天壁部44の第2方向Yにおける中間単位体31側の端部と、で構成される。
【0060】
中間立設壁部33の第1重合領域R1と第1端立設壁部45の第2重合領域R2とは、第3方向Zで互いに重なり合っている。第3方向Zは、中間立設壁部33及び第1端立設壁部45に直交する直交方向に相当する。中間天壁部34の第1重合領域R1と端天壁部44の第2重合領域R2とは、第1方向Xで互いに重なり合っている。第1方向Xは、中間天壁部34及び端天壁部44に直交する直交方向に相当する。したがって、隣接方向としての第2方向Yで互いに隣接した2つの単位体20の開口端部22は、区画壁21に直交する直交方向で互いに重なり合う重合領域Rを形成するといえる。
【0061】
重合領域Rを形成する2つの単位体20のうち、一方の単位体20に対する他方の単位体20の隣接方向としての第2方向Yでの相対位置が変更可能である。本実施形態では、中間単位体31に対する端部単位体41の第2方向Yでの相対位置が変更可能である。第2方向Yにおいて中間単位体31から離れるように中間単位体31に対する端部単位体41の相対位置を変更すると、第1重合領域R1及び第2重合領域R2の第2方向Yにおける寸法が小さくなる。第2方向Yにおいて中間単位体31に近づくように中間単位体31に対する端部単位体41の相対位置を変更すると、第1重合領域R1及び第2重合領域R2の第2方向Yにおける寸法が大きくなる。
【0062】
2つの端部単位体41のうち、第1隣接方向Y1側に位置する端部単位体41は、中間単位体31よりも第1隣接方向Y1側にある。2つの端部単位体41のうち、第2隣接方向Y2側に位置する端部単位体41は、中間単位体31よりも第2隣接方向Y2側にある。中間単位体31が有する2つの中間開口端部37のうち、第1隣接方向Y1側に位置する中間開口端部37は貫通孔12hの第2方向Yの中心よりも第1隣接方向Y1側に片寄った位置にある。中間単位体31が有する2つの中間開口端部37のうち、第2隣接方向Y2側に位置する中間開口端部37は貫通孔12hの第2方向Yの中心よりも第2隣接方向Y2側に片寄った位置にある。そのため、中間開口端部37の第1重合領域R1と、この第1重合領域R1と重なり合う端開口端部47の第2重合領域R2とは、貫通孔12hの隣接方向としての第2方向Yの中心よりも第2方向Yにおいて片寄った位置にあるといえる。なお、第2方向Yは、遮蔽天井12に形成された長孔状の貫通孔12hが延びる方向である延設方向でもある。そのため、重合領域Rは、貫通孔12hの延設方向の中心よりも延設方向の片方側に片寄った位置にあるともいえる。第2重合領域R2を形成する単位体20は第1重合領域R1を形成する単位体20よりも延設方向の片方側にあるともいえる。なお、本実施形態においては、中間単位体31の両側に重合領域Rが形成されているため、遮蔽材ユニット10全体からみて、その延設方向としての第2方向Yの中心よりも第2方向Yの片方側に片寄った位置に重合領域Rがあるともいえる。
【0063】
<離間領域>
図5に示すように、中間天壁部34と端天壁部44とで第1方向Xにおける位置が互いに異なっているため、中間天壁部34の第1重合領域R1と端天壁部44の第2重合領域R2とは、第1方向Xにおける位置が互いに異なっている。端天壁部44の第2重合領域R2は、中間天壁部34の第1重合領域R1よりも第1方向Xにおいて遮蔽天井12から離れている。中間天壁部34の第1重合領域R1と端天壁部44の第2重合領域R2とは、第1方向Xにおいて互いに離れている。中間立設壁部33の第1重合領域R1と第1端立設壁部45の第2重合領域R2とは、互いに接していてもよい。これにより、第1重合領域R1の一部と、第2重合領域R2の一部とは、直交方向としての第1方向Xで互いに離れた離間領域R3を有するといえる。端天壁部44の第2重合領域R2と、中間天壁部34の第1重合領域R1と、が離間領域R3に相当する。
【0064】
図1に示すように、離間領域R3同士の間には、内部空間S1の内外を連通させる連通空間S2が形成される。連通空間S2は、中間天壁部34の離間領域R3と端天壁部44の離間領域R3との間に形成される空間である。連通空間S2は、端部単位体41の内部と連通する。連通空間S2が形成された重合領域Rは、貫通孔12hの延設方向の中心よりも延設方向としての第2方向Yの片方側に片寄った位置にある。
【0065】
連通空間S2には、内部空間S1に設置される電気機器14と接続されたケーブル14aが配線可能である。ケーブル14aは、内部空間S1において電気機器14から連通空間S2に向けて延びている。ケーブル14aは、連通空間S2を通って内部空間S1の内部から外部に引き出されている。内部空間S1の外部にまで延びたケーブル14aは、遮蔽材ユニット10の外部において、吊りボルト16等に固定されてもよい。
【0066】
<挿通孔の位置関係>
図6に示すように、第1重合領域R1に形成された挿通孔としての第1挿通孔32hと、第2重合領域R2に形成された挿通孔としての第2挿通孔42hとは、直交方向としての第1方向Xにおいて互いに対向する。
【0067】
第1方向Xにおいて互いに対向した第1挿通孔32hと第2挿通孔42hには、ボルト体としての吊りボルト16の軸部17が挿入されてもよい。第1挿通孔32hと第2挿通孔42hに吊りボルト16が挿入された状態で、吊りボルト16に不図示のナットが締結されることにより、吊りボルト16に中間単位体31及び端部単位体41が固定可能である。言い換えると、重合領域Rを形成する2つの単位体20が吊りボルト16に固定される。
【0068】
吊りボルト16は、中間天壁端縁34cに形成された第1開放端32jから第1挿通孔32hに挿入可能である。吊りボルト16は、端天壁端縁44cに形成された第2開放端42jから第2挿通孔42hに挿入可能である。
【0069】
例えば、基礎天井11と遮蔽天井12との間に設置された吊りボルト16に対して、中間単位体31及び端部単位体41が取り付けられる。吊りボルト16に中間単位体31が取り付けられるとき、中間開口端部37が吊りボルト16に近づくように作業者は中間単位体31を第2方向Yにおいて変位させる。中間単位体31を変位させつつ、吊りボルト16を第1開放端32jから第1挿通孔32hに挿通させる。吊りボルト16に端部単位体41が取り付けられるとき、端開口端部47が吊りボルト16に近づくように作業者は端部単位体41を第2方向Yにおいて変位させる。端部単位体41を変位させつつ、吊りボルト16を第2開放端42jから第2挿通孔42hに挿通させる。
【0070】
<遮蔽シート>
遮蔽材ユニット10は、放射線を遮蔽する遮蔽材を含む遮蔽シート60を備える。遮蔽シート60は、挿通孔としての第1挿通孔32h及び第2挿通孔42hに吊りボルト16が挿入された状態で第1挿通孔32h及び/または第2挿通孔42hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外を被覆する。
【0071】
本実施形態においては、遮蔽材ユニット10の第1隣接方向Y1側に位置する重合領域Rと第2隣接方向側に位置する重合領域Rとで、遮蔽シート60の設置位置が異なっている。まず図6及び図7を参照して、遮蔽材ユニット10の第1隣接方向Y1側に位置する重合領域Rへの遮蔽シート60の設置位置について説明する。
【0072】
図6及び図7に示すように、遮蔽材ユニット10の第1隣接方向Y1側に位置する重合領域Rにおいて、第1開放端32jとは反対側の第1挿通孔32hの端部と、第2開放端42jとは反対側の第2挿通孔42hの端部と、が互いに対向している。こうして互いに対向する第1挿通孔32hの部分と第2挿通孔42hの部分とに吊りボルト16が挿入されている。
【0073】
第1挿通孔32hのうち、第2挿通孔42hと対向しない部分は、第2重合領域R2を形成する端天壁部44と第1方向Xにおいて対向している。これにより、第1挿通孔32hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外の部分は、端天壁部44と第1方向Xにおいて対向している。
【0074】
第2挿通孔42hのうち、第1挿通孔32hと対向しない部分は、第1重合領域R1を形成する中間天壁部34と第1方向Xにおいて対向している。これにより、第2挿通孔42hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外の部分は、中間天壁部34と第1方向Xにおいて対向している。第2挿通孔42hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外は、上方から遮蔽シート60によって被覆されている。この遮蔽シート60は、第2開放端42jを含む第2挿通孔42hの一部を塞ぐように、端天壁部44の上面に貼り付けられている。
【0075】
次に、図8及び図9を参照して、遮蔽材ユニット10の第2隣接方向Y2側に位置する重合領域Rへの遮蔽シート60の設置位置について説明する。
図8及び図9に示すように、遮蔽材ユニット10の第2隣接方向Y2側に位置する重合領域Rにおいて、第1開放端32jとは反対側の第1挿通孔32hの端部と、第2開放端42jとは反対側の第2挿通孔42hの端部と、が互いに対向している。こうして互いに対向する第1挿通孔32hの部分と第2挿通孔42hの部分とに吊りボルト16が挿入されている。
【0076】
第1挿通孔32hのうち、第2挿通孔42hと対向しない部分は、第2重合領域R2を形成する端天壁部44と第1方向Xにおいて対向している。これにより、第1挿通孔32hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外の一部が、端天壁部44と第1方向Xにおいて対向している。第1挿通孔32hのそれ以外の部分は、第2挿通孔42hと対向している。第1挿通孔32hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外は、上方から遮蔽シート60によって被覆されている。この遮蔽シート60は、第1開放端32jを含む第1挿通孔32hの一部を塞ぐように、中間天壁部34の上面に貼り付けられている。
【0077】
第2挿通孔42hのうち、第1挿通孔32hと対向しない部分は、第1重合領域R1を形成する中間天壁部34と第1方向Xにおいて対向している。これにより、第2挿通孔42hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外の一部が、中間天壁部34と第1方向Xにおいて対向している。第2挿通孔42hのそれ以外の部分は、第1挿通孔32hと対向している。第2挿通孔42hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外の一部は、上方から遮蔽シート60によって被覆されている。この遮蔽シート60は、第2開放端42jを含む第2挿通孔42hの一部を塞ぐように、端天壁部44の上面に貼り付けられている。
【0078】
[第1実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
中間単位体31と端部単位体41とが隣接方向としての第2方向Yにおいて互いに隣接する。こうして隣接する中間単位体31の中間開口端部37と端部単位体41の端開口端部47とは、互いに重なり合う。中間単位体31に対する端部単位体41の第2方向Yでの相対位置は変更可能である。こうした相対位置の変更に応じて、中間開口端部37のうちで端開口端部47と重なる領域である第1重合領域R1と、端開口端部47のうちで中間開口端部37と重なる領域である第2重合領域R2と、は第2方向Yにおける寸法が増減する。第1重合領域R1及び第2重合領域R2の第2方向Yにおける寸法の増減に伴って、遮蔽材ユニット10の第2方向Yにおける寸法を増減させることができる。
【0079】
[第1実施形態の効果]
上記実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1-1)第2方向Yで互いに隣接した2つの単位体20の開口端部22は、区画壁21に直交する直交方向で互いに重なり合う重合領域Rを形成する。重合領域Rを形成する2つの単位体20のうち、一方の単位体20に対する他方の単位体20の第2方向Yでの相対位置が変更可能である。そのため、第2方向Yで互いに隣接した2つの単位体20において、重合領域Rの第2方向Yにおける寸法を増減させることにより、遮蔽材ユニット10の第2方向Yにおける寸法を増減させることができる。そのため、遮蔽天井12に形成された貫通孔12hが小さい場合、貫通孔12hの大きさに合わせて、遮蔽材ユニット10の第2方向Yにおける寸法を小さくできる。したがって、遮蔽天井12に形成された貫通孔12hの大きさに対して遮蔽材ユニット10の設置スペースが過剰になることを抑制できる。
【0080】
(1-2)第1重合領域R1と第2重合領域R2とは直交方向で互いに離れた離間領域R3を有する。離間領域R3同士の間には、内部空間S1の内外を連通させる連通空間S2が形成される。そのため、連通空間S2を介して内部空間S1の内外でケーブル14aを延ばすことができる。遮蔽材ユニット10の内部の電気機器14が発熱する場合、発熱によって昇温した空気を連通空間S2を介して内部空間S1の外部に排出できる。
【0081】
(1-3)複数の単位体20は、2つの端部単位体41と、第2方向Yにおいて2つの端部単位体41の間に配置される中間単位体31と、からなる。第1重合領域R1は、中間単位体31に位置する。第2重合領域R2は、2つの端部単位体41に位置する。そのため、遮蔽材ユニット10が2つの単位体20から構成される場合と比較して、単位体20毎の大きさを小さくできるため、遮蔽材ユニット10の取り付けの際に作業者による単位体20の取り扱いが容易になる。
【0082】
(1-4)第1重合領域R1に形成される第1挿通孔32hと、第2重合領域R2に形成される第2挿通孔42hは、吊りボルト16が挿入可能な挿通孔である。第1挿通孔32hと第2挿通孔42hとは、第1方向Xにおいて互いに対向する。したがって、第1重合領域R1に形成される第1挿通孔32hと、第2重合領域R2に形成される第2挿通孔42hと、に共通の吊りボルト16を挿通させることにより、第2方向Yで互いに隣接した2つの単位体20を共通の吊りボルト16に固定できる。
【0083】
(1-5)遮蔽材ユニット10は、放射線を遮蔽する遮蔽材を含む遮蔽シート60を備える。遮蔽シート60は、第1挿通孔32hに吊りボルト16が挿入された状態で、第1挿通孔32hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外を被覆する。遮蔽シート60は、第2挿通孔42hに吊りボルト16が挿入された状態で、第2挿通孔42hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外を被覆する。したがって、第1挿通孔32h及び第2挿通孔42hを介した放射線の漏洩を遮蔽シート60によって抑制できる。
【0084】
(1-6)単位体20は、単位体20から内部空間S1の外方に向けて突出する脚部51を有する。脚部51は、遮蔽天井12を支持する支持部材13に支持される。したがって、脚部51を支持部材13に固定することにより、遮蔽材ユニット10を安定した姿勢で設置できる。
【0085】
(1-7)区画壁21は、放射線を遮蔽可能な鉛で形成された遮蔽部材21aと、遮蔽部材21aの外面21dを覆うことにより遮蔽部材21aを保護する保護部材21bと、を備える。したがって、遮蔽材ユニット10の外部から遮蔽材ユニット10に衝撃が作用したとしても、保護部材21bによって遮蔽部材21aの変形を抑制できる。
【0086】
(1-8)区画壁21のうち遮蔽天井12側に位置する第1端部33a,43aは、複数の単位体20同士で互いに面一である。複数の単位体20は、第1端部33a,43aによって貫通孔12hの周囲を取り囲むことが可能である。したがって、第1端部33a,43aを遮蔽天井12に接触させた状態で第1端部33a,43aによって貫通孔12hの周囲を取り囲むことができるため、遮蔽材ユニット10による放射線の遮蔽効果をより高められる。
【0087】
(1-9)連通空間S2が形成された重合領域Rは、貫通孔12hの第2方向Yの中心よりも第2方向Yの片方側に片寄った位置にある。第2重合領域R2は、第1重合領域R1よりも遮蔽材ユニット10の外側に位置している。第2重合領域R2を形成する単位体20は第1重合領域R1を形成する単位体20よりも延設方向としての第2方向Yの片方側にある。そのため、延設方向としての第2方向Yに延びる長孔である貫通孔12hを遮蔽材ユニット10によって覆うことができる。また、第1重合領域R1を有する単位体20である中間単位体31の内部の空間と連通空間S2とを途中で屈曲した形で互いに連通させることができるため、連通空間S2を介した遮蔽材ユニット10の外部への放射線の漏洩を防止できる。
【0088】
(1-10)端開口端部47と重なり合う第1重合領域R1は、中間単位体31の第2方向Yにおける両端部に位置する。そのため、第1重合領域R1が1つである場合と比較して、重合領域Rの第2方向Yにおける寸法の調整が可能な箇所が多くなる。したがって、遮蔽天井12に形成された貫通孔12hの第2方向Yにおける寸法に応じて、遮蔽材ユニット10の第2方向Yの寸法をより広範囲の寸法範囲の中で調整可能になる。
【0089】
(1-11)区画壁21は、鉛板からなる遮蔽部材21aと、鉄板の保護部材21bとの2層となっている。そのため、保護部材21bを共通して利用し、鉛板の厚みを変更することにより、遮蔽部材21aによる放射線の遮蔽能力を部分的または全体的に容易に増大させることができる。
【0090】
[第2実施形態]
以下、遮蔽材ユニット及び電気機器設置構造を具体化した第2実施形態について説明する。第2実施形態における遮蔽材ユニット10は、中間単位体31の形状が第1実施形態と異なっている。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すとともに、説明を適宜省略する。
【0091】
<中間単位体>
図10に示すように、本実施形態の中間単位体31において、中間天壁部34は、第1中間天壁部71、第2中間天壁部72、及び第3中間天壁部73から構成されている。第1中間天壁部71は、2つの中間立設壁部33の第2端部33bから延びる矩形平板状である。第2中間天壁部72は、第1中間天壁部71の第3方向Zにおける端部から延びる矩形平板状である。第2中間天壁部72は、第3方向Zに直交するように延びている。第3中間天壁部73は、第2中間天壁部72の第1方向Xにおける端部から延びる矩形平板状である。第3中間天壁部73は、第1方向Xに直交するように延びる。
【0092】
<離間領域および近接領域>
第1中間天壁部71の第1重合領域R1と端天壁部44の第2重合領域R2とは、第1方向Xにおいて互いに離れている。本実施形態において、第1中間天壁部71の第1重合領域R1と、端天壁部44のうちで第1中間天壁部71に第1方向Xにおいて対向する部分の第2重合領域R2と、が離間領域R3に相当する。この離間領域R3同士の間に、内部空間S1の内外を連通させる連通空間S2が形成される。
【0093】
第1中間天壁部71と第3中間天壁部73とで、第1方向Xにおける位置が互いに異なっている。第3中間天壁部73は、第1中間天壁部71よりも第1方向Xにおいて端天壁部44に近い位置にある。第3中間天壁部73の第1重合領域R1と端天壁部44の第2重合領域R2とは、第1方向Xにおいて互いに接していてもよい。本実施形態において、第3中間天壁部73の第1重合領域R1と、端天壁部44のうちで第3中間天壁部73に第1方向Xにおいて対向する部分の第2重合領域R2と、が近接領域R4に相当する。近接領域R4は、直交方向としての第1方向Xにおいて離間領域R3よりも互いに近づいた第1重合領域R1及び第2重合領域R2をいう。第1重合領域R1の一部と第2重合領域R2の一部とは近接領域R4を有すると言える。
【0094】
<第1挿通孔および第2挿通孔>
図11及び図12に示すように、第1挿通孔32hは、第3中間天壁部73の近接領域R4に形成されている。第2挿通孔42hは、端天壁部44の近接領域R4に形成されている。第1開放端32jとは反対側の第1挿通孔32hの端部と、第2開放端42jとは反対側の第2挿通孔42hの端部と、が第1方向Xにおいて互いに対向している。こうして互いに対向する第1挿通孔32hの部分と第2挿通孔42hの部分とに吊りボルト16が挿入されている。
【0095】
第1挿通孔32hのうち、第2挿通孔42hと対向しない部分は、近接領域R4を形成する端天壁部44と第1方向Xにおいて対向している。これにより、第1挿通孔32hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外の部分は、端天壁部44と第1方向Xにおいて対向している。挿通孔としての第1挿通孔32hにボルト体としての吊りボルト16が挿入された状態で、第1重合領域R1の第1挿通孔32hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外が第2重合領域R2の近接領域R4によって覆われている。
【0096】
第2挿通孔42hのうち、第1挿通孔32hと対向しない部分は、近接領域R4を形成する第3中間天壁部73と第1方向Xにおいて対向している。これにより、第2挿通孔42hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外の部分は、第3中間天壁部73と第1方向Xにおいて対向している。挿通孔としての第2挿通孔42hにボルト体としての吊りボルト16が挿入された状態で、第2重合領域R2の第2挿通孔42hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外が第1重合領域R1の近接領域R4によって覆われている。
【0097】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用を得ることができる。
[第2実施形態の効果]
上記実施形態によれば、第1実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0098】
(2-1)挿通孔としての第1挿通孔32hは、第1重合領域R1の近接領域R4に形成されている。連通孔としての第2挿通孔42hは、第2重合領域R2の近接領域R4に形成されている。第1挿通孔32h及び第2挿通孔42hにボルト体としての吊りボルト16が挿入された状態で、第1重合領域R1の第1挿通孔32hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外が第2重合領域R2の近接領域R4によって覆われている。第2重合領域R2の第2挿通孔42hのうち吊りボルト16が挿入された部分以外が第1重合領域R1の近接領域R4によって覆われている。したがって、遮蔽シート60等、放射線の漏洩を防止するための部材を別途用いなくても、第1挿通孔32h及び第2挿通孔42hを介した放射線の漏洩を抑制できる。
【0099】
[変更例]
なお、上記の各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記の各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0100】
○ 第1重合領域R1及び第重合領域R2は、遮蔽材ユニット10の第2方向Yの中心に位置してもよい。
○ 連通空間S2に配置される部材は、内部空間S1に設置される電気機器14と接続されたケーブル14aに限らない。例えば、内部空間S1にスプリンクラーが配置される場合、スプリンクラーに水などの液体を供給するための配管を連通空間S2を通過するように配置させてもよい。連通空間S2にケーブル14aを配線させない場合、ケーブル14aを遮蔽天井12の下面12bに配線させてもよい。
【0101】
○ 連通空間S2にケーブル14a等の部材を配設させなくてもよい。この場合の連通空間S2は、電気機器14において発生した熱により昇温した空気を内部空間S1の外部に排出させる排出通路として機能させてもよい。
【0102】
○ 端部区画壁42の第1端部43aと、中間単位体31の中間区画壁32の第1端部33aと、の少なくとも一方は、単位体20の外部又は内部に向けて折り曲げられることによって形成された当接面を有してもよい。この当接面を遮蔽天井12の上面12aに接触させることにより、広い接触面積をもって区画壁21が遮蔽天井12の上面12aに接触した状態で、単位体20は貫通孔12hの周囲を散り囲むことができる。
【0103】
○ 端部区画壁42の第1端部43aと、中間単位体31の中間区画壁32の第1端部33aと、の少なくとも一方は、遮蔽天井12の上面12aに沿うように撓んだ状態で上面12aに接していてもよい。
【0104】
○ 端部区画壁42の第1端部43aと、中間単位体31の中間区画壁32の第1端部33aと、の少なくとも一方は、遮蔽天井12の上面12aと接していなくてもよい。
○ 2つの端部単位体41の少なくとも1つにおける端部区画壁42の第1端部43aは、中間単位体31の中間区画壁32の第1端部33aと互いに面一でなくてもよい。この場合、端部区画壁42の第1端部43aと中間区画壁32の第1端部33aとで第1方向Xにおける位置が異なることになる。
【0105】
○ 保護部材21bは、遮蔽部材21aの内面21cの少なくとも一部を覆ってもよい。要するに、保護部材21bは、遮蔽部材21aの少なくとも外面21dを覆うものであればよい。
【0106】
○ 保護部材21bは鉄製に限らない。遮蔽部材21aは鉛製に限らない。
○ 複数の単位体20の少なくとも1つにおいて、区画壁21から保護部材21bを省略してもよい。
【0107】
○ 脚部51は保護部材21bに形成されていなくてもよい。例えば、脚部51は、遮蔽部材21aに形成されてもよい。
○ 中間単位体31及び2つの端部単位体41の少なくとも1つから脚部51を省略してもよい。
【0108】
○ 第2実施形態において、第1重合領域R1及び第2重合領域R2の全体が近接領域R4として機能してもよい。この場合、例えば、中間天壁部34の全体で第1方向Xにおける位置に違いがないとともに、中間天壁部34の第1重合領域R1と端天壁部44の第2重合領域R2とが接している。
【0109】
○ 第1重合領域R1及び第2重合領域R2のうち、近接領域R4として機能する部分は、互いに離れていてもよい。要するに、近接領域R4においては、第1重合領域R1と第2重合領域R2とが離間領域R3よりも互いに近づいていればよい。
【0110】
○ 第1挿通孔32hは第1開放端32jを有さなくてもよい。この場合、第1挿通孔32hの全体が中間開口端部37の端縁から離れて形成される。第2挿通孔42hは第2開放端42jを有さなくてもよい。この場合、第2挿通孔42hの全体が端開口端部47の端縁から離れて形成される。
【0111】
○ 第1挿通孔32h及び第2挿通孔42hの少なくとも一方は、第2方向Yに延びた長孔状以外の形状であってもよい。この場合の第1挿通孔32h及び第2挿通孔42hの形状としては、例えば正円状に開口した孔が挙げられる。
【0112】
○ 遮蔽材ユニット10の第1隣接方向Y1側に位置する重合領域Rと第2隣接方向側に位置する重合領域Rとで、遮蔽シート60の設置位置が同じであってもよい。遮蔽シート60は、互いに重なり合う重合領域Rのうち、遮蔽材ユニット10の外側に位置する重合領域Rのみに設置されてもよい。
【0113】
○ 第1実施形態において遮蔽材ユニット10から遮蔽シート60を省略してもよい。
○ 第1挿通孔32hと第2挿通孔42hとは、区画壁21に直交する直交方向において互いに対向する位置からずれていてもよい。第1挿通孔32hは、第1重合領域R1以外の中間単位体31の部分に形成されてもよい。第2挿通孔42hは、第2重合領域R2以外の端部単位体41の部分に形成されてもよい。
【0114】
○ 第2重合領域R2は、2つの端部単位体41のうちのいずれか一方のみに位置してもよい。この場合、第1重合領域R1は、中間単位体31の第2方向Yにおける一端のみに位置する。
【0115】
○ 中間単位体31は、第2方向Yにおいて分割された複数の分割体で構成されてもよい。
○ 複数の単位体20は、1つの中間単位体31と1つの端部単位体41で構成されてもよい。または、複数の単位体20は、隣接方向としての第2方向Yの端部が内外に重合可能な重合領域Rを形成し、かつ第2方向Yの外側が端部区画壁42で塞がれた2つの端部単位体41で構成されてもよい。
【0116】
○ 遮蔽区画体は、区画壁であってもよいし区画床であってもよい。
[付記]
次に、上記の各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0117】
○ 前記区画壁は、前記遮蔽区画体側に位置する第1端部と前記遮蔽区画体から離れる方向において前記第1端部とは反対側に位置する第2端部との間で前記遮蔽区画体から離れる方向に立設する複数の立設壁部と、複数の前記立設壁部の前記第2端部同士を繋ぐとともに前記遮蔽区画体と対向する天壁部と、からなり、
複数の前記立設壁部は、前記第1端部によって前記遮蔽区画体に向かって開口する開口部を形成し、
前記開口端部は、複数の前記立設壁部のうち、前記開口部を囲む周方向の一部が欠落することにより形成され、
前記開口端部と前記開口部とが連通している請求項2又は請求項3に記載の遮蔽材ユニット。
【0118】
○ 前記支持部材は、第1支持部材と、前記遮蔽区画体から離れる方向において前記第1支持部材とは異なる位置に設けられた第2支持部材と、を含み、
前記脚部は、前記遮蔽区画体から離れる方向に変位することにより、前記第1支持部材と前記第2支持部材とで支持される前記支持部材を変更可能である請求項8に記載の遮蔽材ユニット。
【0119】
○ 前記遮蔽部材は、鉛板が屈曲してなり、
前記保護部材は、前記遮蔽部材に沿って位置することにより、前記遮蔽部材の形状を維持可能であり、
複数の前記単位体のうち少なくとも1つは、前記単位体から前記内部空間の外方に向けて突出する脚部を有し、
前記脚部は、前記保護部材に形成され、前記遮蔽区画体を支持する支持部材に支持される請求項9に記載の遮蔽材ユニット。
【符号の説明】
【0120】
R…重合領域、R1…第1重合領域、R2…第2重合領域、R3…離間領域、R4…近接領域、S1…内部空間、S2…連通空間、X…第1方向、Y…第2方向、Z…第3方向、10…遮蔽材ユニット、11…基礎天井、11a…二重天井、12…遮蔽天井、12h…貫通孔、13…支持部材、14…電気機器、14a…ケーブル、16…吊りボルト、20…単位体、21…区画壁、21a…遮蔽部材、21b…保護部材、21d…外面、22…開口端部、31…中間単位体、32…中間区画壁、32h…第1挿通孔、32j…第1開放端、33a,43a…第1端部、37…中間開口端部、41…端部単位体、42…端部区画壁、42h…第2挿通孔、42j…第2開放端、47…端開口端部、51…脚部、60…遮蔽シート。
図1
図2
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図9
図10
図11
図12