(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014170
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】加熱式ゲル容器を備えるエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/10 20200101AFI20230119BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20230119BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20230119BHJP
【FI】
A24F40/10
A24F40/42
A24F40/46
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188549
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2019502564の分割
【原出願日】2017-07-06
(31)【優先権主張番号】16181949.5
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ズベール ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー ジャン-イヴ
(57)【要約】
【課題】エアロゾル発生システムを提供する。
【解決手段】エアロゾル発生システムは、電力供給源と、電力供給源に接続される電気ヒーターと、室温で固体であるゲルの形態のエアロゾル形成基体を収容する出口のないくぼみを備える基体容器と、を備え、電気ヒーターが、基体容器の外部にあり、エアロゾル形成基体と接触することなく基体容器を加熱して、エアロゾル形成基体から蒸気を発生するように構成される。液体ではなくゲルを提供することは、貯蔵および輸送の両方において、ならびに使用時において有利である。ゲルはまた、高密度かつ安定したエアロゾルを提供することができる。ゲルがヒーターと接触することを必要としないゲルの加熱により、ヒーター上の不要な材料の蓄積の可能性が低減されるため、有利である。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
電力供給源および電気ヒーターを備える装置本体であって、前記電気ヒーターが、前記電力供給源に接続される、装置本体と、
室温で固体であるゲルの形態のエアロゾル形成基体を収容する出口のないくぼみを備える基体容器を備える、消耗可能な部分であって、前記ゲルがエアロゾル形成体を含む、消耗可能な部分と、を備え、
前記消耗可能な部分が、前記装置本体に接続され、またはその中に受けられるように構成され、
前記電気ヒーターが、前記基体容器の外部にあり、前記エアロゾル形成基体と接触することなく前記基体容器を加熱して、前記エアロゾル形成基体から蒸気を発生するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記電気ヒーターが、前記出口のないくぼみ内の前記エアロゾル形成基体を加熱するように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記消耗可能な部分と分離しているマウスピースをさらに備える、請求項1または2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記基体容器の少なくとも一つの壁が、前記ヒーターと熱的接触する、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記基体容器が、前記出口のないくぼみを画定する少なくとも一つの液体および蒸気不浸透性の外側壁を備える、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記エアロゾル発生システムが、ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを発生するように構成される手持ち式のエアロゾル発生システムである、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記電気ヒーターが抵抗ヒーターを備える、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記電気ヒーターが前記基体容器を囲む、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記電気ヒーターが、可撓性の断熱基体上に一つ以上の電気抵抗性トラックを備える、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、前記エアロゾル発生システムが、電気ヒーターを備え、前記カートリッジが、
室温で固体であるゲルの形態のエアロゾル形成基体を収容する出口のないくぼみを備える基体容器を備え、前記ゲルが、エアロゾル形成体を備え、前記カートリッジが、前記エアロゾル発生システムの本体に取り外し可能に接続される、またはその中に受けられるように構成される、カートリッジ。
【請求項11】
前記基体容器が、前記出口のないくぼみを画定する少なくとも一つの液体および蒸気不浸透性の外側壁を備える、請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記出口のないくぼみが、壊れやすい、取り外し可能な、または蒸気浸透性のシーリング要素によって封止される、請求項10または11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記ゲルが、少なくとも摂氏60度の溶解温度を有する、請求項10~12のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記ゲルが熱可逆性ゲルである、請求項10~13のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記ゲルが、ニコチンまたはたばこ製品を含む、請求項10~14のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を加熱して、エアロゾルを発生させるエアロゾル発生システムに関連する。具体的には、本発明は、ゲルを加熱して、エアロゾルを形成するエアロゾル発生システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
液体製剤を加熱して、ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを発生させることによって動作する電子たばこなどのエアロゾル発生システムが、広範に使用されている。一般的には、それらは装置部分およびカートリッジを備える。一部のシステムでは、装置部分は、電源および制御電子回路を含み、カートリッジは、液体製剤を保持する液体貯蔵部、液体製剤を気化するためのヒーター、および液体貯蔵部からヒーターに液体を輸送する芯を含む。このタイプのシステムが一般的になった一方で、それは不都合な点を持つ。一つの不都合な点は、カートリッジが装置部分に接続された時の輸送と貯蔵の両方の間の液体貯蔵部からの液体の漏れに関する可能性である。貯蔵部からヒーターに液体を輸送するための芯の使用は、システムに複雑さを加えうる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第一の態様では、
電力供給源と、
電力供給源に接続される電気ヒーターと、
室温で固体であるゲルの形態のエアロゾル形成基体を収容する出口のないくぼみを含む、基体容器と、を備え、
電気ヒーターは、基体容器の外部にあり、エアロゾル形成基体と接触することなく基体容器を加熱して、エアロゾル形成基体から蒸気を発生するように構成される、エアロゾル発生システムが提供される。
【0004】
この文脈において、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ材料または材料の混合物である。ゲルの形態のエアロゾル形成基体の提供は、貯蔵および輸送のために、または使用時にも有利でありうる。ゲルのエアロゾル形成基体を提供することによって、装置からの漏れのリスクが低減されうる。涸渇した時、または使い果たした時のエアロゾル形成基体を用いた装置の補充がまた、例えば、漏れまたは流出のリスクを低減することによって改善されうる。
この文脈における「出口のない(blind)」は、一方の端で密閉されることを意味する。くぼみに入る、かつくぼみから抜け出るための開口部は、一つのみであることが好ましい。
【0005】
ゲルがヒーターと接触することを必要としないゲルの加熱により、ヒーター上の不要な材料の蓄積の可能性が低減されるため、有利である。ヒーターがゲルと分離している場合、ヒーターは清浄なままであることができるため、メンテナンスの必要性が低減され、またシステムの性能をより信頼性ある、かつ一貫性あるものとすることができる。
【0006】
基体容器は、ゲルに加えてその他の材料を収容しうる。
【0007】
ゲルが室温で固体であることは有利である。この文脈における「固体」は、ゲルが永続性の大きさおよび形状を有し、流れないことを意味する。この文脈における室温は、摂氏25度を意味する。
【0008】
ゲルはエアロゾル形成体を含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時に高密度で安定したエアロゾルの形成を促進する任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。エアロゾル形成体は、カートリッジの使用温度で熱分解に対して実質的に耐性がある。適切なエアロゾル形成体は当技術分野で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンまたはポリエチレングリコール(最も好ましい)など)である。
【0009】
有利なことには、ゲルは熱可逆性ゲルを含む。これは、ゲルが溶解温度に加熱された時に流体になり、ゲル化温度で再びゲルになることを意味する。ゲル化温度は、室温および大気圧であり、またはそれより高いことが好ましい。大気圧は、1大気の圧力を意味する。溶解温度は、ゲル化温度よりも高いことが好ましい。ゲルの溶解温度は、摂氏50度または摂氏60度または摂氏70度より高いことが好ましく、摂氏80度より高いことがより好ましい。この文脈における溶解温度は、ゲルが固体ではなくなり、流れ始める温度を意味する。ゲルはゲル化剤を含みうる。ゲルは、寒天またはアガロースまたはアルギン酸ナトリウムを含むことが好ましい。ゲルはゲランガムを含みうる。ゲルは材料の混合物を含みうる。ゲルは水を含みうる。
【0010】
ゲルは、単一のブロックとして提供されてもよく、または例えば、ビーズまたはカプセルなどの複数のゲル要素として提供されてもよい。ビーズまたはカプセルの使用は、エンドユーザーによる第一(または第二)のチャンバーの単純な再充填を許容しうる。カプセルまたはビーズの使用はまた、ゲルが加熱およびその後の冷却の後のゲル化に基づいて同じカプセルまたはビーズを形成しないので、カートリッジがすでに使用済であることをユーザーが見ることを可能にしうる。
【0011】
ゲルは、ユーザーへの送達のためのニコチンまたはたばこ製品または別の標的化合物を含みうる。結果として生じるエアロゾルがニコチンを含むようにする場合、液体ではなく基体容器内でゲルまたは別の固体形状でニコチンを含むことが有利である。ニコチンは、エアロゾル形成体とともにゲルに含まれうる。ニコチンは、皮膚を刺激し、毒性でありうる。したがって、室温でゲル内にニコチンを閉じ込めることによってニコチンのいくつかの可能性のある漏れを防ぐことが望ましい。
【0012】
風味化合物は、ゲルで第二のチャンバーに収容されうる。別の方法として、または追加的に、風味化合物は、別の形態で提供されてもよい。例えば、第二のチャンバーは、加熱した時に風味化合物を放出する、固体たばこ材料を収容しうる。第二のチャンバーは、例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこおよび膨化たばこのうち一つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。第二のチャンバー内の固体たばこ材料は、ルース形状であってもよい。たばこは、ゲルまたは液体に含まれうる。第二のチャンバーは、加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこの揮発性風味化合物を含みうる。
【0013】
寒天がゲル化剤として使用された時、ゲルは、0.5~5重量%(より好ましくは0.8~1重量%)の寒天を含むことが好ましい。ゲルは、0.1~2重量%のニコチンをさらに含みうる。ゲルは、30~90重量%(より好ましくは70~90重量%)のグリセリンをさらに含みうる。残りのゲルは、水およびいくつかの香味を含みうる。
【0014】
ゲランガムがゲル化剤として使用された時、ゲルは、0.5~5重量%のゲランガムを含むことが好ましい。ゲルは、0.1~2重量%のニコチンをさらに含みうる。ゲルは、30~99.4重量%のグリセリンをさらに含みうる。残りのゲルは、水およびいくつかの香味を含みうる。
【0015】
一実施形態では、ゲルは、2重量%のニコチン、70重量%のグリセロール、27重量%の水および1重量%の寒天を含む。別の実施形態では、ゲルは、65重量%のグリセロール、20重量%の水、14.3重量%のたばこ、および0.7重量%の寒天を含む。
【0016】
有利なことには、システムは、ゲルを電気ヒーターに輸送するための輸送機構を備えない。基体容器の内容物は、有利なことには、原位置(in situ)で加熱されて、所望のエアロゾルを発生する。この文脈において、原位置(in situ)は、内容物が使用前に保持されている基体容器内の同じ位置を意味する。毛細管芯またはポンプについての要求はない。システムは、有利なことには、ヒーター近傍に液体またはゲルを保管する、または保持するための基体容器内の追加的な不揮発性構造を備えない。
【0017】
システムは、装置および別個の消耗可能な部分を備えてもよく、消耗可能な部分は、装置に接続される、または装置内に受けられるように構成され、装置は、電力供給源を備え、消耗可能な部分は、基体容器を備える。消耗可能な部分は、好都合にはカートリッジと言及されてもよい。
【0018】
カートリッジは、ゲルが消費された時に、容易に処分されて取り替えられてもよい。装置は、有利なことには、電気ヒーターの少なくとも一部分を含む。装置内にヒーターを提供することによって、カートリッジは、単純かつ安価になりうる。電気ヒーターは、カートリッジを加熱して、ゲルからカートリッジ内に蒸気を発生するように構成されうる。
【0019】
装置は、カートリッジを受けるためのくぼみを有する装置ハウジングを備えてもよい。装置のくぼみは、実質的に円柱状でありうる。くぼみの直径は、カートリッジの直径と実質的に等しいかまたはわずかに大きいのが好ましい。
【0020】
エアロゾル発生装置は、装置本体を備えてもよく、装置本体と分離しているマウスピースをさらに備えてもよい。マウスピースは、装置本体と係合するように構成されうる。装置本体は、装置本体のくぼみに消耗可能な部分を受けるように構成されうる。消耗可能な部分と分離している再使用可能なマウスピースを提供することによって、消耗可能な部分の構造は、単純かつ安価であることができる。
【0021】
基体容器の少なくとも一つの壁は、有利なことには、ヒーターと熱的接触する。基体容器の少なくとも一つの壁は、ヒーターとエアロゾル形成基体との間に位置付けられうる。基体容器の少なくとも一つの壁は、有利なことには、ヒーターと直接接触しうる。基体容器内のゲルは、その後、外側壁を通じる伝導により加熱されうる。基体容器は、有利なことには、出口のないくぼみを画定する少なくとも一つの液体不浸透性かつ蒸気不浸透性の外側壁を備える。
【0022】
カートリッジは、任意の適切な形状を持ちうる。
【0023】
カートリッジは実質的に円柱状であることが好ましい。本発明に関連して本明細書で使用される場合、「円筒」および「円筒形の」という用語は、実質的に一対の向かい合った実質的に平面状の端面を有する正円柱を指す。
【0024】
カートリッジは、任意の適切なサイズを持ちうる。
【0025】
カートリッジは、例えば、約5mm~約30mmの長さを有しうる。ある一定の実施形態では、カートリッジは約12mmの長さを持ちうる。
【0026】
カートリッジは、例えば、約4mm~約10mmの直径を有しうる。ある一定の実施形態では、カートリッジは約7mmの直径を持ちうる。
【0027】
基体容器またはカートリッジは、ハウジングを備えうる。カートリッジのハウジングは、一つ以上の材料から形成されうる。適切な材料には、金属、アルミニウム、ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂およびビニル樹脂が含まれるがこれに限定されない。
【0028】
カートリッジのハウジングは、一つ以上の熱伝導性材料から形成されうる。カートリッジの内部は、一つ以上の熱伝導性材料を含むように被覆され、または処理されてもよい。一つ以上の熱伝導性材料を使用してカートリッジを形成すること、またはカートリッジの内部を被覆することにより、有利なことに、ヒーターからゲルへの熱伝達が増大しうる。適切な熱伝導性材料には、例えば、アルミニウム、クロミウム、銅、金、鉄、ニッケルおよび銀などの金属、黄銅および鋼などの合金、ならびにセラミックまたはその組み合わせが含まれるがこれに限定されない。有利なことには、ハウジングの少なくとも一つの壁は、室温で10ワット/メートル/ケルビンより大きい熱伝導率を有する。好ましい実施形態において、ハウジングは、アルミニウムから形成された少なくとも一つの壁を備える。
【0029】
カートリッジが誘導加熱されるように構成される実施形態では、カートリッジのハウジングは、例えば、サセプタ層などのサセプタを備えうる。サセプタ層は、例えば、ハウジングの壁を形成してもよく、またはハウジングの内部または外部に加えられる被覆であってもよい。サセプタは、カートリッジのチャンバー内に位置されうる。例えば、ゲルはサセプタ材料を含みうる。
【0030】
本発明によるエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジは、適切な任意の方法により形成されうる。適切な方法には、深絞り図面、射出成形、ブリスタリング、吹込み成形および押し出しが含まれるがこれに限定されない。
【0031】
カートリッジは、マウスピースを備えてもよく、それは、ユーザーがマウスピースで吸煙して、彼らの口または肺内にエアロゾルを引き込むことを可能にするように構成される。カートリッジがマウスピースを備える場合、マウスピースはフィルターを備えてもよい。フィルターは、低い粒子濾過効率または非常に低い粒子濾過効率を有する場合がある。あるいは、マウスピースは中空管を備えてもよい。マウスピースは、例えば、リストリクターなどの気流調節剤を含んでもよい。
【0032】
カートリッジは、マウスピース管内に提供されうる。マウスピース管は、エアロゾル形成チャンバーを備えうる。マウスピース管は、気流リストリクターを備えうる。マウスピース管はフィルターを備えてもよい。マウスピース管はボール紙ハウジングを備えてもよい。マウスピース管は、ボール紙管内に一つ以上の蒸気不浸透性要素を含みうる。マウスピース管は、例えば、約7mmなどの従来の紙巻たばこと同様の直径を有しうる。マウスピース管は、それを通じてエアロゾルを吸入するためにユーザーの口内に置かれるように構成される、口側の端を有しうる。カートリッジは、例えば、口側の端と対向する端において、マウスピース管内に保持されうる。
【0033】
基体容器の開端部は、一つ以上の壊れやすいバリアにより封止されうる。
【0034】
一つ以上の壊れやすいバリアは任意の適切な材料で形成されうる。例えば、一つ以上の壊れやすいバリアは、例えば金属を含む、箔またはフィルムから形成されうる。カートリッジが、第一のチャンバーおよび第二のチャンバーのうち一方または両方を密封する一つ以上の壊れやすいバリアを含む場合、装置本体は、一つ以上の壊れやすいバリアを破壊するよう構成されている貫通部材をさらに備えることが好ましい。
【0035】
別の方法として、または追加的に、基体容器は、一つ以上の取り外し可能なバリアにより封止されうる。例えば、基体容器は、一つ以上の剥ぎ取り式シールにより封止されうる。
【0036】
一つ以上の取り外し可能なバリアは任意の適切な材料で形成されうる。例えば、一つ以上の取り外し可能なバリアは、例えば、金属を含む、箔またはフィルムから形成されうる。
【0037】
基体容器の開端部は、例えば、膜またはメッシュなどの蒸気浸透性要素により封止されてもよく、それは膜またはメッシュを通じる基体容器からの蒸気の漏れを可能にするように構成される。別の方法として、基体容器は、弁にわたる圧力差が閾値圧力差を超えた時に弁を通じる蒸気の放出を許容する、圧力作動弁によって封止されてもよい。
【0038】
基体容器は、ゲルを収容する第一のチャンバーと、第一のチャンバーと分離している第二のチャンバーと、を備えうる。第二のチャンバーは、第一のチャンバーと同じゲルを含んでもよく、または第一のチャンバーと異なるゲルまたは異なる材料を含んでもよい。
【0039】
第一および第二のチャンバーは、恒久的に一緒に固定されていてもよく、または互いに分離されていてもよい。第一および第二のチャンバーは、別々に提供されてもよく、スナップ嵌めまたはねじ取付などの適切な機械的な連結を用いてユーザーにより一緒に固定されてもよい。別の方法として、第一および第二のチャンバーは、使用時に分離されたままであってもよい。
【0040】
第一および第二のチャンバーを別々に提供することによって、ユーザーが「ミックスアンドマッチ」タイプセットの選択を利用できるようにしうる。第一のチャンバーの内容物は、ニコチンなどのユーザーへの送達のための特定の一回分の量の標的化合物を提供することができ、特定の密度のエアロゾルを提供することができ、ユーザーが多様な選択肢を利用できるようにしうる。第二のチャンバーの内容物は、主に、風味化合物を提供することができ、ユーザーが第二のチャンバーに関する多様な選択肢を利用できるようにしうる。ユーザーは、多様な第一のチャンバーから一つのチャンバー、および多様な第二のチャンバーから一つのチャンバーを選択することができ、それらを一緒に嵌合して、完全なカートリッジを形成しうる。
【0041】
第一および第二のチャンバーが一緒に提供され、互いに恒久的に固定される場合でさえ、同じミックスアンドマッチ手法が、多様な異なるカートリッジを提供するために製造元によりとられてもよい。
【0042】
第一および第二のチャンバーは、互いに同じ大きさおよび形状を有してもよい、あるいはそれらは互いに異なる大きさまたは形状を有してもよい。第一および第二のチャンバーの大きさおよび形状は、それらの内容物に適するように、また使用時に特定の加熱レートで提供するように選択されうる。
【0043】
三つ以上のチャンバーを有することも可能である。チャンバーのうちの少なくとも二つが異なる内容物を有する、カートリッジ内に三つ以上のチャンバーを有することが望ましくありうる。
【0044】
第一および第二のチャンバーは、有利には、異なる組成物を収容しうる。第一および第二のチャンバーはどちらも、ゲルを収容しうる。有利なことには、第一のチャンバーおよび第二のチャンバーはどちらも、室温で液体を収容しない。有利なことには、第一のチャンバーおよび第二のチャンバーはどちらも、液体保持材料または芯材料を含まない。
【0045】
第一および第二のチャンバーは、並んでまたは他方の中の一つとして位置付けられてもよく、または気流が最初に一方のチャンバーを通過し、次に他方を通過するように、直列に配置されてもよい。
【0046】
カートリッジは、第一のチャンバーと第二のチャンバーとの間にスロットを含みうる。スロットは、発熱体を受けるように構成されうる。発熱体は、例えば、カートリッジがエアロゾル形成装置に取り付けられた時に、スロットに受けられうる。発熱体がその中に受けられるスロットの提供は、発熱体からの熱エネルギーが、例えば、システムのその他の要素または周囲空気を加熱するのではなく基体容器の内部に直接的に通ることを容易にすることにより、効率的な加熱を提供しうる。有利なことには、スロットは出口のないスロットである。この文脈における出口のない(blind)は、一方の端で密閉されることを意味する。出口のないスロットの提供は、システムにより発生した蒸気またはエアロゾルから発熱体を保護することを可能にし、ヒーター上の凝縮物の蓄積を防ぐのに役立つことができる。
【0047】
基体が第一および第二のチャンバーを備える場合、スロットは、第一のチャンバーと第二のチャンバーとの間に提供されうる。例えば、スロットは、第一および第二のチャンバーを分離する壁内に提供されうる。
【0048】
電気ヒーターは抵抗ヒーターを含みうる。電気ヒーターは、一つ以上の発熱体を備えうる。
【0049】
電気発熱体は、一つ以上の外部発熱体、一つ以上の内部発熱体、または一つ以上の外部発熱体および一つ以上の内部発熱体を備えうる。この文脈において、外部は、くぼみの外側を意味し、内部は、装置のくぼみの内側を意味する。
【0050】
一つ以上の外部発熱体は、くぼみの内表面の周囲に配置される外部発熱体のアレイを備えうる。ある特定の実施例において、外部発熱体は、くぼみの長軸方向に沿って延びる。この構成では、発熱体は、カートリッジがくぼみに挿入され、またそのくぼみから取り外される方向と同じ方向に沿って延在しうる。これは、発熱体とカートリッジとの間の干渉を減少しうる。一部の実施形態において、外部発熱体は、くぼみの長さ方向に沿って延び、かつ周囲方向に間隙を介している。発熱体が一つ以上の内部発熱体を備える場合、一つ以上の内部発熱体は、任意の適切な数の発熱体を備えうる。例えば、発熱体は単一の内部発熱体を備える場合がある。単一の内部発熱体は、くぼみの長軸方向に沿って延びてもよい。
【0051】
電気発熱体は電気抵抗性材料を含みうる。適切な電気抵抗性の材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とでできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例には、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロミウム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation(1999 Broadway Suite 4300,Denver Colorado)の登録商標である。複合材料では、電気抵抗性の材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的性質に応じて、随意に断熱材料に包埋、封入、または断熱材料で被覆されてもよく、もしくはその逆であってもよい。発熱体は、二層の不活性材料の間で絶縁された、金属製でエッチング加工が施された箔を含んでもよい。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I.du Pont de Nemours and Company(1007 Market Street,Wilmington,Delaware 19898,United States of America)の登録商標である。このタイプの可撓性発熱体は、くぼみの形状に適合してもよく、くぼみの周辺部の周りを延在しうる。
【0052】
電気発熱体は、温度と比抵抗の間で明確な関係を持つ金属を使用して形成しうる。こうした実施形態で、金属は二層の適切な絶縁材の間のトラックとして形成しうる。このように形成された電気発熱体は、ヒーターおよび温度センサーのどちらとしても使用されうる。
【0053】
電気発熱体がサセプタを備える場合、エアロゾル発生装置本体は、くぼみ内に変動電磁場を発生させるように配置されたインダクタと、インダクタに接続された電力供給源とを備えることが好ましい。インダクタは変動電磁場を発生させる一つ以上のコイルを備えうる。コイル(単一または複数)はくぼみを囲みうる。
【0054】
装置本体は1~30MHzの変動電磁場、例えば2~10MHz、例えば5~7MHzの変動電磁場を発生させる能力があることが好ましい。装置本体は、1~5kA/mの磁界強度(H場)、例えば2~3kA/m、例えば約2.5kA/mの磁界強度を有する変動電磁場を発生させる能力があることが好ましい。
【0055】
本発明によるエアロゾル発生システムは、単一のヒーターを備えうる。これは、有利なことに単純な装置の構造を提供する。単一のヒーターは、使用時に、くぼみの外側に位置付けられる外部ヒーターとして構成されうる。別の方法として、単一のヒーターは、使用時に、くぼみの内部に位置し、カートリッジ内のスロットに受けられる内部ヒーターとして構成されうる。単一のヒーターは、内部ヒーターとして構成されることが好ましい。
【0056】
単一のヒーターが内部ヒーターとして構成される場合、エアロゾル発生装置は、有利なことに、内部ヒーターとカートリッジとの適切な整列を促進する案内手段を備えうる。
【0057】
単一のヒーターは、電気抵抗性材料を含む電気発熱体であることが好ましい。電気発熱体は、例えば、ガラス、アルミナ(Al2O3)および窒化珪素(Si3N4)、またはプリント基板またはシリコンゴムなど、セラミック焼結材料といった非弾性材料を含みうる。別の方法として、電気発熱体は、例えば鉄合金またはニッケルクロム合金などの弾性金属材料を備えうる。
【0058】
単一のヒーターは、カートリッジを加熱するための適切な任意の形状を持ちうる。電気ヒーターは、カートリッジが装置本体に接続され、またはその中に受けられた時、カートリッジの第一のチャンバーと第二のチャンバーとの間に位置付けられうる。ヒーターは、エアロゾル発生装置から突き出ないことが好ましい。
【0059】
電気ヒーターは、基体容器を囲むことが好ましい。電気ヒーターは、柔軟性のある断熱基体上に一つ以上の電気抵抗性のあるトラックを備えることが好ましい。
【0060】
本発明のエアロゾル発生システムは、電気発熱体のうちの少なくとも一つの温度を感知するように構成された一つ以上の温度センサーをさらに備えうる。こうした実施形態では、システムは、コントローラを備えてもよく、コントローラは、検出した温度に基づいて電気ヒーターへの電力供給を制御するように構成されてもよい。有利なことには、コントローラは、検出されたユーザー吸入に応じるのではなくシステムの作動後に、連続的にヒーターに電力を供給するように構成される。別の方法として、コントローラは、ユーザー吸入に応じて、ヒーターに電力を供給するように構成されうる。
【0061】
システムは、電気回路を備えてもよく、それは電気ヒーターへの電力供給を制御する。電子回路は、単純なスイッチでもよい。別の方法として、電気回路は、一つ以上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを備えてもよい。電子回路はプログラム可能なものであってもよい。
【0062】
電力供給源はDC電圧供与源であってもよい。好ましい実施形態では、電源は電池である。例えば、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト、リチウム鉄リン酸塩またはリチウムポリマー電池としうる。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置としうる。電源は再充電を必要とすることがあり、またエアロゾル発生装置を一つ以上のエアロゾル発生物品とともに使用するのに十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を持つものとしうる。
【0063】
エアロゾル発生システムは、ユーザーによる吸入のためにエアロゾルを発生するように構成されることが好ましい。エアロゾル発生システムは、手持ち式のシステムであってもよく、ユーザーが使用時に、そこで吸うまたは引き出すマウスピースを備えてもよい。
【0064】
有利なことには、システムは、エアロゾル形成体をヒーターに輸送するための輸送機構を備えない。カートリッジの内容物は、有利なことには、原位置(in situ)で加熱されて、所望のエアロゾルを発生する。この文脈において、原位置(in situ)は、内容物が使用前に保持されている第一および第二のチャンバー内の同じ位置を意味する。毛細管芯またはポンプについての要求はない。
【0065】
エアロゾル発生装置は、ユーザーが単一の手の指の間に持ちやすい、携帯用またはハンドヘルドのエアロゾル発生装置であることが好ましい。
【0066】
エアロゾル発生装置は、形状において実質的に円柱状でもよい。エアロゾル発生装置は、およそ70ミリメートル~およそ120ミリメートルの長さを有してもよい。
【0067】
本発明の別の態様では、エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、エアロゾル発生システムは、電気ヒーターを備え、カートリッジは、
【0068】
室温で固体であるゲルの形態のエアロゾル形成基体を収容する出口のないくぼみを備える、基体容器を備え、カートリッジは、エアロゾル発生システムの本体に取り外し可能に接続される、またはそれに受けられるように構成される、カートリッジが提供される。
【0069】
本発明の第一の態様に関連して説明された基体容器およびカートリッジの特徴は、本発明の第二の態様のカートリッジに適用しうる。具体的には、基体容器は、出口のないくぼみを画定する少なくとも一つの液体および蒸気不浸透性の外側壁を備えうる。出口のないくぼみは、壊れやすい、取り外し可能な、または蒸気浸透性のシーリング要素によって封止されうる。
【0070】
ここで、本発明による実施形態をさらに図解する添付図面を参照しながら本発明に関してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1a】
図1aは、本発明の第一の実施形態に従うエアロゾル発生装置の概略図である。
【
図1b】
図1bは、カートリッジが装置のくぼみに受けられた状態の
図1aの装置を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図である。
【
図5】
図5は、
図4のシステムのマウスピースを図示したものである。
【
図6a】
図6aは、
図4のシステムのカートリッジを図示したものである。
【
図6b】
図6bは、
図4のシステムのカートリッジを図示したものである。
【
図7a】
図7aは、本発明の第四の実施形態の概略図である。
【
図7b】
図7bは、本発明の第四の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1aは、本発明の第一の実施形態に従うエアロゾル発生装置の概略図である。
図1aは、
図2に示すような容器200を用いて使用するためのエアロゾル発生装置100の断面図を示す。エアロゾル発生装置は、再充電可能電池などの電源104と、制御回路106とを収容する、外側ハウジング102を備える。ハウジング102は、容器200を受けるように構成されたくぼみ108をさらに備える。ヒーター110は、くぼみ108の周辺部に延在する。制御回路は、ヒーター110に接続される。ヒーターは、ポリイミドなどの可撓性の熱的に安定した基体材料の二つの層の間に挟まれた一つ以上の金属加熱トラックから形成される。エアロゾル発生装置100は、押し込み取付またはねじ式取付によってエアロゾル発生装置ハウジング102の近位端に取付け可能なマウスピース112をさらに備える。マウスピースは、貫通部分114、空気吸込み口118、および空気出口116を備える。
【0073】
ユーザーが装置のくぼみ108内に置く容器またはカートリッジ200を
図2に示す。容器は、良好な熱的導体であるアルミニウムから形成されたハウジング210を有する。容器のハウジングは、出口のないくぼみを画定するカップの形態である。ハウジング210は、深絞り加工などの適切な公知の技術を用いて製造されうる。容器はゲル10を収容する。この実施形態では、ゲルは、2重量%のニコチン、70重量%のグリセロール、27重量%の水および1重量%の寒天を含む。別の実施形態では、ゲルは、65重量%のグリセロール、20重量%の水、14.3重量%の固体粉末たばこ、および0.7重量%の寒天を含む。ゲルは、壊れやすいシーリング箔214によって容器のくぼみ内に封止される。シーリング箔は、ハウジング210のリップ212に接合され、熱封止され、または接着される。このタイプの容器は、きわめて安価であることができる。
【0074】
図1bは、ハウジングのくぼみ108に受けられた容器200を有するエアロゾル発生装置100の断面図を示す。使用時に、ユーザーは、容器200をエアロゾル発生装置100のくぼみ108に挿入してから、マウスピース112をハウジング102に取り付ける。マウスピースを取り付けることにより、貫通部分114が容器のシーリング箔214を貫通し、空気吸込み口118から容器を通して空気出口への気流経路115を形成する。ユーザーは次に、ボタン(図示せず)を押して装置を起動する。装置の起動後、ヒーターに、電源104から制御電子回路106によって電力が供給される。ヒーターは、次にカートリッジの外側壁を直接的に加熱する。容器200の温度が約摂氏250度の使用温度に達した時、インジケータ(図示せず)の手段によってユーザーは通知を受け、その後でユーザーは出口116でマウスピースを吸うことができる。ユーザーがマウスピースを吸う時、空気は空気吸込み口118に入り、マウスピースを通って容器200内に進み、蒸発したゲルを混入してから、マウスピース内の空気出口116を経由してユーザーの口へと抜け出る。ヒーターは、作動後決まった時間にわたり、すなわち6分間動作してもよく、またはユーザーがシステムオフに切り替えるまで動作してもよい。
【0075】
カートリッジ内のゲルを使い果たした時、カートリッジは、ユーザーにより取り外されて、新しいカートリッジと取り替えられうる。
【0076】
図3は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図である。
図3の実施形態は、抵抗加熱を用いるのではなく誘導加熱を用いて動作する。カートリッジが受けられるくぼみの周りの抵抗ヒーターを使用する代わりに、装置は、くぼみを囲む誘導コイル310を備え、サセプタは、カートリッジの一部分として、この実施例ではくぼみ内に提供される。
【0077】
エアロゾル発生装置は、再充電可能電池などの電源304と、制御回路306とを収容する、外側ハウジング302を備える。ハウジング302は、容器250を受けるように構成されたくぼみ308をさらに備える。誘導コイルは、くぼみ308の周辺部に位置付けられる。制御回路は、誘導コイル310に接続される。制御回路は、誘導コイル224に供給されるAC信号を生成するための構成要素を含む。エアロゾル発生装置100は、押し込み取付またはねじ式取付によってエアロゾル発生装置ハウジング302の近位端に取付け可能なマウスピース312をさらに備える。マウスピースは、
図1の実施形態と同じ様式において、貫通部分314、空気吸込み口318、および空気出口316を備える。
【0078】
図3のカートリッジ250は、
図2に示すカートリッジと同様である。ゲルの組成物は、
図1の実施形態におけるものと同じでありうる。しかし、カートリッジのハウジングは、交流磁場で加熱するサセプタ材料を含む。サセプタは、ハウジングの内部または外部上の被覆として提供されてもよく、単独でハウジング内にあってもよい。この実施例におけるサセプタ材料は、装置本体の部分ではなくカートリッジの部分として提供されるステンレス鋼であるが、サセプタ材料が装置本体の部分またはカートリッジと装置本体の両方の部分として提供されることも可能である。カートリッジ全体がサセプタ材料から形成されてもよく、またはサセプタ材料は、カートリッジの一つ以上の表面上の被覆または層として提供されてもよい。ゲル内に浮遊される、またはその他の材料がそこに含まれる第一および第二のチャンバー内のサセプタ材料を提供することも可能である。
【0079】
動作において、システムは、
図1の実施形態におけるような連続的な加熱モードで動作するように構成される。このことは、ユーザーがデバイスをオンに切り替えられた時に、装置がくぼみ内に交流磁場を生成するために誘導コイルにAC信号を供給することを意味する。これは、サセプタの加熱をもたらすサセプタ内の電流の流れを誘引する。強磁性材料がサセプタとして用いられる場合、ヒステリシス損失がまた、加熱に貢献しうる。誘導コイルは、この文脈において誘導ヒーターとして記載されてもよい。AC信号の大きさおよび周波数を制御することによって、カートリッジ250内の温度が制御されうる。温度センサーは、くぼみ308内に提供されてもよく、フィードバック制御ループが用いられる。この場合もやはり、誘導ヒーターは、作動後決まった時間にわたり、すなわち6分間動作してもよく、またはユーザーがシステムオフに切り替えるまで動作してもよい。
【0080】
図4は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図である。システムは、エアロゾル発生装置410と交換可能なカートリッジ420とを備える。エアロゾル発生装置は、装置本体412およびマウスピース部分414を備える。
【0081】
装置本体412は、リチウムイオン電池416である電源と、電子的制御回路418とを備える。装置本体はまた、装置本体のハウジングのくぼみ424内に突出するブレードの形態のヒーター422を含む。ヒーターは、セラミック基体材料上に電気抵抗性トラックを備える電気ヒーターである。制御回路は、電池416から電気ヒーター422への電力供給を制御するように構成される。
【0082】
マウスピース部分414は、単純な押し込み取付を用いて装置本体と係合するが、スナップ式装着またはねじ取付などの任意のタイプの接続が用いられてもよい。この実施形態におけるマウスピース部分は、いくつかのフィルター要素のない単純な先細の中空管であり、
図5でより詳細に示される。しかしながら、マウスピース部分に一つ以上のフィルター要素を備えることが可能である。マウスピース部分は、空気吸込み口穴442を備え、蒸気がユーザーの口に入る前にその中の気流内で凝縮しうるエアロゾル形成チャンバー440(
図4に示す)を囲む。
【0083】
カートリッジ420は、出口のないチャンバーを画定するハウジングを備える。チャンバー430は、マウスピース端部で開放状態である。膜437(
図4に示す)は、チャンバーの開端部を封止する。取り外し可能なシールは、ユーザーが使用前にはがす膜を覆って設けられうる。その中に受けられるヒーター422のためのチャンバー内に延在する出口のないスロット434が提供される。出口のないスロット434は、スロット壁439によって囲まれ、ヒーターがチャンバーの内容物と接触しないようにマウスピース端部で密閉される。チャンバー430は、
図2の実施形態に関連して説明したように、ニコチンおよびエアロゾル形成体を含むゲルを保持する。
【0084】
図6aは、カートリッジハウジングの下面斜視図である。
図6bは、カートリッジハウジングの斜視図である。カートリッジ420は、略円筒形状をもつハウジングを有する。スロット壁439は、チャンバー内に延在する。出口のないスロット434はスロット壁内にある。チャネル438は、カートリッジハウジングの壁に提供され、それはくぼみ424の対応するリブと係合する。このことは、カートリッジが、ヒーターブレードがスロット434に受けられる一方向にのみくぼみ424内に挿入されうることを確実にする。
【0085】
第一のチャンバー430内のゲルは、グリセリン、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの一つまたは二つのエアロゾル形成体を含む。エアロゾル形成体の相対的な濃度は、システムの特定の要求に適合されうる。この実施形態では、第一のチャンバー430内のゲルは、以下を含む(重量で)。2%のニコチン、70%のグリセリン、27%の水、および1%の寒天。
【0086】
ゲル化剤は、寒天であることが好ましい。それは、85°Cより高い温度で溶解し、約40°Cでゲルに戻る属性を有する。この属性は、それが高温環境に適するようにする。ゲルは、50°Cで溶解せず、そのことは例えば、日に当たる高温の自動車内にシステムが置かれた場合に有用である。約85°Cでの液体への位相変化は、ゲルが比較的低温に加熱されて、低いエネルギー消費を許容するエアロゾル化を誘発することのみを必要とすることを意味する。それは、寒天の代わりとして寒天の成分のうちの一つであるアガロースのみを使用する場合に有益でありうる。
【0087】
メントールなどのさらなる、または異なる風味が、ゲルの形成の前に水またはエアロゾル形成体のどちらかに加えられてもよい。
【0088】
カートリッジ内に提供されるゲルの量はまた、特定のニーズに適するように選択されうる。カートリッジは、ユーザーのための一回分の用量または使用セッションを提供するために十分なゲルを含んでもよく、または数回もしくは多数回分の用量または使用セッションのための十分なゲルを含んでもよい。
【0089】
動作において、システムは、連続的な加熱モードで動作するように構成される。これは、ヒーター422が検知したユーザー吸入に応じるのではなく、動作セッションを通じてカートリッジを加熱することを意味する。ユーザーは、単純なスイッチ(図示せず)の使用に基づいてシステムの電源を入れ、ヒーターは、カートリッジを加熱する。温度センサーは、エアロゾルを発生する使用温度に達した時の表示がユーザーに提供されうるように、システムに含まれてもよい。ゲルは、85oCより高い加熱に基づいて液状になる。ニコチンおよびグリセリンを含むエアロゾルは、180°C~250°Cの温度で生成される。動作時に、ヒーターは、およそ250°Cで動作する。ヒーターは、作動後決まった時間にわたり、すなわち6分間動作してもよく、またはユーザーがシステムオフに切り替えるまで動作してもよい。動作時間は、カートリッジ内に含まれるゲルの量に依存しうる。
【0090】
カートリッジハウジングは、良好な熱的導体であるアルミニウムから形成される。ヒーターは、ゲルまたはいくつかの発生した蒸気もしくはエアロゾルと接触しない。それは出口のないスロット434に保持され、そのため発生したエアロゾルから分離される。このことは、動作における望ましくない化合物の発生を導くであろうヒーター上の凝縮物の蓄積が存在しないことを確実にする。
【0091】
図7aおよび
図7bは、本発明の第四の実施形態に従うカートリッジの概略図である。
図7aの実施形態において、カートリッジ330は、マウスピース管300内に保持される。流れリストリクター350およびライニング管340、360、370はまた、マウスピース管内に保持される。
図7bは、マウスピース管330内に保持される構成要素を分解組立図で示す。
【0092】
カートリッジ330は、
図6aおよび
図6bに示したカートリッジと類似している。カートリッジ330は一般的に円筒形状である。しかし、カートリッジ330は、二つの出口のないチャンバーを画定するハウジングを備える。第一および第二のチャンバーは、同じ大きさおよび形状を有し、仕切り壁336により分離される。二つのチャンバー331、332は、マウスピース端部において開放状態である。出口のないスロットは、ヒーターがその中に受けられるように二つのチャンバー間の仕切り壁336に提供される。出口のないスロットは、マウスピース端部で閉じられる。第一のチャンバー331は、ニコチンおよびエアロゾル形成体を含む第一のゲルを保持し、第二のチャンバー332は、断片たばこ葉を含む第二のゲルを保持する。
【0093】
カートリッジ330は、膜またはシーリング要素を有さないが、カートリッジの壁に形成される気流チャネル335と、第一および第二のチャンバーの開端部に通じる空気を可能にする気流チャネルの上部における空気吸込み口334と、を含む。
【0094】
マウスピース管は、ボール紙から形成され、6.6mmの直径および45mmの長さを有する。ライニング管340は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成され、ボール紙のマウスピース管がマウスピース管内からの湿気を吸収することを防ぐために提供される。ライニング管は、この実施形態では、0.3mmの厚さを有するようにきわめて薄く作られうる。リストリクター350は、気流を制限するために提供され、それにより、カートリッジからの蒸気と空気の混合を確実にし、ライニング管360におけるリストリクターに続く空間内のエアロゾルの生成を確実にする。
【0095】
図7は、動作時の
図6aのマウスピース管内の気流を図示したものである。マウスピース管は、
図1に示したタイプの装置12のくぼみ24内に示される。しかし、
図7の装置は、マウスピースを有さない。
図7は、マウスピース管を受ける装置の端部のみを示す。電池および制御回路は示されない。装置は、くぼみ24の周辺部の装置内に形成された内部気流通路365に通じる空気を可能にする、装置空気吸込み口355を含む。スペーサー要素352は、くぼみの基部に位置付けられ、それにより、空気が、内部気流通路365からくぼみ24内に、次にカートリッジ330における気流チャネル335内に、さらに空気吸込み口334を通じてマウスピース管の内部に流れることを可能にする。
【0096】
図7aおよび
図7bに示すカートリッジは、
図4に示したタイプまたは
図1もしくは
図3に示したタイプのヒーターにより加熱されうる。動作において、システムは、連続的な加熱モードで動作するように構成される。これは、ヒーターが感知されたユーザー吸入に応じるのではなく、動作セッションを通じてカートリッジを加熱することを意味する。ユーザーは、単純なスイッチ(図示せず)の使用に基づいてシステムの電源を入れ、ヒーターは、カートリッジを加熱する。第一および第二のチャンバー内のゲルは、加熱に伴って液状になり、ニコチンおよびグリセリンを含む蒸気は、180°C~250°Cの温度で発生する。
【0097】
システムが使用温度にある時、ユーザーは、マウスピース管の口側の端で吸い、マウスピース管を通じて空気を引き出す。空気は、内部通路365からマウスピース端部に対向するマウスピース管の遠位端に引き出される。空気は、気流チャネル335を上の方へ、また空間345内へ空気吸込み口334を通じて進む。空気は、空間345において、第一および第二のチャンバーからの蒸気と混合する。混合された空気と蒸気は、次にリストリクター350を通り抜け、その後、連続して冷却されて、ユーザーの口内へ引き出される前にエアロゾルを形成する。動作後に、カートリッジを含むマウスピース管は、装置から引き出され、処分されうる。このタイプのマウスピース管は、システムの複数の動作を提供するためにパックで売られてもよい。
【0098】
説明された実施形態は、連続的な加熱機構を動作させるように構成されるものとしてそれぞれ説明されたが、ここにおいて、ヒーターは、ユーザーが数回の吸煙をとりうる所定の時間にわたり作動する。しかし、説明されたシステムは、異なる方法で動作するように構成されてもよい。例えば、電力は、システム内の気流センサーからの信号に基づいて、各ユーザー吸入の継続時間の間だけヒーターまたは誘導コイルに供給されうる。別の方法として、または追加的に、ヒーターまたは誘導コイルへの電力は、ボタンまたはスイッチのユーザーの動作に応じてスイッチンオンおよびオフされうる。
【0099】
図は、本発明の特定の実施形態を示す。しかし、変更が本発明の範囲内の説明された実施形態に加えられうることは明らかであるべきである。具体的には、システムを通じる気流のための異なる構成が提供されてもよく、非電気的なヒーターなどの異なる加熱構成が想定されうる。