(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141725
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】イヤホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20230928BHJP
H04R 1/32 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H04R1/10 104
H04R1/32 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048195
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】押領司 誠
【テーマコード(参考)】
5D018
【Fターム(参考)】
5D018AF01
(57)【要約】
【課題】再生音の高音質化が可能なイヤホンを提供する。
【解決手段】イヤホン(91)は、スピーカユニット(81)と、スピーカユニット(81)を駆動する駆動部(84b)と、駆動部(84b)を収容した第1本体部(1)と、第1本体部(1)に連接し、スピーカユニット(81)を収容すると共にスピーカユニット(81)からの音声を外部に放出する放音孔(12a)を外表面(21)に有する第2本体部(2)と、第1本体部(1)の内部の第1空間(V1)と第2本体部(2)の内部の第2空間(V2)とを区画する区画壁(117)と、を備える。区画壁(117)におけるスピーカユニットに対向する対向面(117a)が、スピーカユニット(81)の軸線(CL81)に対し傾斜している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカユニットと、
前記スピーカユニットを駆動する駆動部と、
前記駆動部を収容した第1本体部と、
前記第1本体部に連接し、前記スピーカユニットを収容すると共に前記スピーカユニットからの音声を外部に放出する放音孔を外表面に有する第2本体部と、
前記第1本体部の内部の第1空間と前記第2本体部の内部の第2空間とを区画する区画壁と、
を備え、
前記区画壁における前記スピーカユニットに対向する対向面が、前記スピーカユニットの軸線に対し傾斜しているイヤホン。
【請求項2】
前記スピーカユニットは、前記軸線が前記第1本体部の外側を通るように前記第2本体部に収容されている請求項1記載のイヤホン。
【請求項3】
前記対向面と前記第2本体部の側壁とにより前記スピーカユニットから離れる方向に窪んだ溝部を有する請求項1又は請求項2記載のイヤホン。
【請求項4】
前記溝部は、断面形状がV字状である請求項3記載のイヤホン。
【請求項5】
前記軸線の方向から見たときに、前記溝部の少なくとも一部が前記スピーカユニットの投影領域に含まれている請求項3又は請求項4記載のイヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イントラコンカ型のイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、筐体として、電気音響変換器(以下、スピーカユニット)を収容する第1筐体と、回路基板を収容する第2筐体とを備えたワイヤレスタイプのイヤホンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたイヤホンは、第1筐体と第2筐体との間に仕切部を有し、この仕切部は、第1筐体に収容されたスピーカユニットの軸線と概ね直交する面で延在している。
【0005】
そのため、スピーカユニットの振動板が振動して背面側から放出された音は、仕切部に反射して直接的に振動板へ戻り、振動板の振動に少なからず影響を及ぼす。そのため、特許文献1に記載されたイヤホンは、再生音の高音質化を行いにくい虞があり、この点で改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、再生音の高音質化が可能なイヤホンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次の1)の構成を有する。
1) スピーカユニットと、
前記スピーカユニットを駆動する駆動部と、
前記駆動部を収容した第1本体部と、
前記第1本体部に連接し、前記スピーカユニットを収容すると共に前記スピーカユニットからの音声を外部に放出する放音孔を外表面に有する第2本体部と、
前記第1本体部の内部の第1空間と前記第2本体部の内部の第2空間とを区画する区画壁と、
を備え、
前記区画壁における前記スピーカユニットに対向する対向面が、前記スピーカユニットの軸線に対し傾斜しているイヤホンである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、再生音の高音質化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るイヤホンの実施例であるイヤホン91を右後方から見た側面図である。
【
図2】
図2は、イヤホン91を左前方から見た側面図である。
【
図3】
図3は、イヤホン91を左の耳介Eに装着した状態を示す左側面図である。
【
図4】
図4は、
図2におけるS4-S4位置での断面図である。
【
図6】
図6は、イヤホン91を耳介Eに装着した状態での水平断面図である。
【
図7】
図7は、イヤホン91の耳介Eでの装着状態を説明するための模式的な左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係るイヤホンを、実施例のイヤホン91により説明する。実施例のイヤホン91は、耳介に装着して使用する、いわゆるイントラコンカ型のワイヤレスタイプのマイク付きイヤホンである。イヤホン91は、外部の音声再生装置からの音声信号を無線で受信し、耳介Eに装着した状態で、受信した音声信号に基づいて内部に収容したスピーカユニット81(
図4参照)から出力された音声を聴取できる。また、イヤホン91は、マイク85を備え、マイク85で収音した周囲の音声を増幅してスピーカユニット81から出力する。
【0011】
ここで説明するイヤホン91は、左耳用のマイク付きイヤホンである。右耳用のマイク付きイヤホンは、耳介Eに装着した状態で、頭部H(
図3参照)の前後方向において対称となる外観形状となっている。以下の説明では、代表として左耳用のイヤホン91を説明する。各図における左右前後上下の各方向は、イヤホン91を左の耳介Eに装着した状態での頭部の方向に概ね相当する。
【0012】
以下、
図1~
図7を参照してイヤホン91について詳述する。
図1は、イヤホン91を右後方から見た第1の側面図である。
図2は、イヤホン91を左前方から見た第2の側面図である。
図3は、イヤホン91を左の耳介Eに装着した状態を示す平面図である。
図4は、
図2におけるS4-S4位置での断面図である。
図5Aは、
図4における模式的な矢視Ya図である。
図5Bは、
図5AにおけるS5B-S5B位置での断面図である。
図5Cは、
図5AにおけるS5C-S5C位置での断面図である。
図5Dは、
図5AにおけるS5D-S5D位置での断面図である。
図6は、イヤホン91を耳介Eに装着した状態での水平断面図である。
図7は、イヤホン91の耳介Eでの装着状態を説明するための模式的な左側面図である。
【0013】
図1及び
図2に示されるように、イヤホン91は、外観上で、第1本体部1と第2本体部2とを有する。
第1本体部1は、基部1A及びステム1Bを有する。
第2本体部2は、基部1Aの右面から右斜め前方に偏って延出するように形成されている。第1本体部1と第2本体部2とは、間に外径が小さい部分である括れ部HKが形成されている。イヤホン91は、外観上、括れ部HKよりも左側となる部分HS1が第1本体部1であり、括れ部HKよりも右側となる部分HS2が第2本体部2である。
【0014】
基部1Aは、概ね円筒状に形成されている。ステム1Bは、基部1Aの下部から下方に棒状に延出して形成されている。ステム1Bの内部の下部には、マイク85が収容されており、ステム1Bの左表面の下部には、外部空間とマイク85とを連通する収音孔85aが形成されている。
【0015】
基部1Aの内部には、二次電池83と、二次電池83を電源として駆動する回路を搭載した回路基板84とが収められている。回路基板84には、外部との通信を行う通信部84a,スピーカユニット81を駆動する駆動部84b,近接センサ82(
図4参照)からの信号を処理するセンサ処理部84c,マイク85から入来した音声信号を増幅する増幅部84dなどの電子回路が備えられている。
【0016】
図4に示されるように、第2本体部2の外表面となる右面21は、基部1Aの軸線CL1Aに対し右方に向かうに従って前方に突出するように傾斜しており、中央部がわずかに右方に凸となる曲面となっている。
右面21の前部には、上下方向に長い放音孔12aが形成され、放音孔12aの後方側には、円形の孔としてセンサ孔12bが形成されている。
【0017】
図4に示されるように、放音孔12aから臨まれる内部には、スピーカユニット81が配置されている。スピーカユニット81は、右面21の内面21aにおいて左方に向け円弧状に突出形成された環状壁部12gの内側に収められ固定されている。
【0018】
スピーカユニット81と回路基板84の駆動部84bとは、リード線SG81によって接続されている。
これにより、スピーカユニット81は、回路基板84の駆動部84bから入来した音声信号に基づく音声を出力する。スピーカユニット81から出力された音声は、放音孔12aを通して右方の外部空間に放出される。
【0019】
センサ孔12bに対応した内部には近接センサ82が配置されており、センサ孔12b内には近接センサ82のセンサ面82aが露出している。近接センサ82と回路基板84のセンサ処理部84cとはリード線SG82で接続されている。
イヤホン91が耳介Eに装着された状態で第2本体部2の右面21が耳甲介腔Ekに接触するので、近接センサ82は、耳甲介腔Ekの表面の存在を検出し、検出信号をセンサ処理部84cに向け出力する。
【0020】
センサ処理部84cは、近接センサ82が近接物を検出していない場合はイヤホン91が耳介Eに装着されていないとして電源をOFFにし、回路基板84の動作を停止する。近接センサ82が近接物(耳甲介腔Ek)を検出した場合、イヤホン91が耳介Eに装着されたとして電源をONにし、回路基板84の回路を動作状態とする。
【0021】
ステム1Bの先端部位に配置されたマイク85と回路基板84の増幅部84dとは、リード線SG85によって接続されている。増幅部84dは、マイク85から入来した音声信号を増幅して駆動部84bに送出する。
通信部84aは、外部の音声再生装置(不図示)からの音声信号を無線で受信し、受信した音声信号を増幅部84dに送出する。
これらの構成により、イヤホン91の使用者は、マイク85で収音した周囲の音声と、外部の音声再生装置からの音声信号に基づく音声とを選択的に、或いは混合して聴取できる。
【0022】
基部1Aは、複数の樹脂部材が軸線CL1A方向に組み合わされて略筒状に構成されている。樹脂は、例えばPC(ポリカーボネート)である。
具体的には、
図4の右方側からハウジング11,第1中間ハウジング13,第2中間ハウジング14,及び背側カバー15である。これらの部材によって、基部1Aの内部に第1空間V1が形成されている。
第1中間ハウジング13,第2中間ハウジング14,及び背側カバー15は、下方に延びて、棒状のステム1Bの筐体を構成している。
【0023】
図4に示されるように、ハウジング11は、右前方に半体の延出壁部118として延出している。すなわち、延出壁部118は右後方が開放されている。
延出壁部118の先端縁部には、右面21を有する先端カバー12が溶着などによって取り付けられて開放部分が塞がれている。先端カバー12は、樹脂材又はエラストマで形成されている。先端カバー12には、既述の放音孔12a及びセンサ孔12bが形成されている。
先端カバー12の内面21aは、ハウジング11における、第1空間V1を塞ぐ右壁としての区画壁117と対向している。すなわち、先端カバー12と区画壁117と延出壁部118とにより概ね密閉された第2空間V2が形成されている。
【0024】
図4に示されるように、スピーカユニット81のスピーカ軸線CL81と、区画壁117における第2空間V2に面しスピーカユニット81の対向面である区画壁右面117aとは、直交せずに傾斜している。詳しくは、スピーカ軸線CL81に直交する仮想面SF81に対して、区画壁右面117aは前方に向かうに従って左方へ向かうように傾斜している。
一方、延出壁部118の第2空間V2に面した側壁の延出壁内面118aも、スピーカ軸線CL81と平行ではなく傾斜している。詳しくは、仮想面SF81に対して、延出壁内面118aは前方に向かうに従って右方へ向かうように傾斜している。
すなわち、区画壁右面117aと延出壁内面118aとは逆向きに傾斜しており、区画壁右面117aと延出壁内面118aとが交わる部分は、窪んだ溝部VCとなる。
【0025】
イヤホン91は、さらに、区画壁右面117aにおける延出壁内面118aとの交点近傍の部分に、傾斜がよりきつい傾斜急峻部117bが形成されている。
これにより、イヤホン91の溝部VCは、区画壁右面117aと延出壁内面118aが延長して交わって形成される場合の溝よりも深く、溝開口角度θがより小さい溝部VC1として形成されている。
【0026】
図4に示されるように、基部1Aの右後部は、円弧状の稜線として第2本体部2よりも径方向外方の右後方側に突出した肩部PSとなっている。
【0027】
第2本体部2の第2空間V2において、スピーカユニット81は、スピーカ軸線CL81が概ね溝部VC1又は溝部VC1の近傍を通り、基部1Aには交わらずその外側を通る位置及び姿勢で配置されている。
図5Aは、
図4のスピーカユニット81及び溝部VC1を右方から見た矢視Yaの模式図である。
図5Aにおいて、スピーカユニット81の外形は二点鎖線で示されている。
【0028】
図5Aに示されるように、溝部VCとしての溝部VC1は、基部1Aが円筒状であることから矢視Ya視において弧状を呈する。スピーカ軸線CL81は、溝部VC1に対しその径方向外側に位置する。
溝部VC1は、この例においてスピーカユニット81の外形線で囲まれた投影範囲ARを貫いて両端部が投影範囲ARの外側に位置するように形成されている。投影範囲ARは、平行投影であって、
図4における矢視Ya方向からの垂直投影によって得た範囲である。
溝部VC1と投影範囲ARとの関係はこれに限定されず、溝部VC1の一部がスピーカユニット81の投影範囲ARに含まれていればよい。
【0029】
第2本体部2と基部1Aとの間の括れ部HK(
図4参照)は、前端部から後方側へ向かうほど右方へ向かうように傾斜して形成されている。そのため、溝部VC1は、前端部から弧状に後方へ向かうに従って、深さが浅くなっている。
図5Bは、
図5AにおけるS5B-S5B位置での断面図であり、
図5Cは、
図5AにおけるS5C-S5C位置での断面図であり、
図5Dは、
図5AにおけるS5D-S5D位置での断面図である。
【0030】
図5B~
図5Dで明らかなように、溝部VC1は、断面形状が例えばV字状で端部に向かうほど浅くなっており、
図5Aに示されるように、スピーカユニット81の中央位置に近くなるほど溝部VC1の深さは深くなっている。
【0031】
次に、イヤホン91を耳介Eに装着した状態(以下、装着状態)について、
図3,
図6,及び
図7を主に参照して説明する。
図3,
図6,及び
図7に示されるように、装着状態において、第2本体部2は放音孔12aを外耳道Ehの開口部に対応した位置として耳介Eの耳甲介腔Ekに対しその表面に接触しつつ、耳介Eの耳甲介腔Ekに収められるよう、装着可能な大きさで形成されている。
詳しくは、装着状態において、第2本体部2の前部2fは耳珠Ejの内壁Ej1(
図6及び
図7)に当接し、第2本体部2の上部2tが耳輪脚Eeの内壁にEe1(
図7参照)に当接している。
また、装着状態において、第2本体部2の右面21は、耳甲介腔Ekに密着している。
【0032】
装着状態で、ステム1Bは、珠間切痕Eg(
図3参照)に対応した位置で斜め前下方に延出し、第1本体部1の基部1Aにおける肩部PSは、対耳輪Edの内壁Ed1に密着するように当接している。
放音孔12aは、
図7に示されるように、外耳道Ehの開口部に対応した位置にある。
【0033】
イヤホン91は、その内部構造に起因して聴取される音は高音質となる。
具体的には、イヤホン91は、二次電池83及び回路基板84を収容した第1本体部1と、スピーカユニット81を収容した第2本体部2とを有する。第1本体部1からはステム1Bが延出し、ステム1Bの内部の先端部位には、マイク85が収められている。
第1本体部1の内部の第1空間V1と第2本体部2の内部の第2空間V2とは、区画壁117によって実質的に分離されている。
【0034】
区画壁117は、スピーカユニット81のスピーカ軸線CL81に対して直交せず傾斜して延在している。そのため、スピーカユニット81の背面である区画壁117側の第2空間V2に放出された音声のうち、区画壁117に反射して直接にスピーカユニット81の振動板81a(
図4参照)に達する音声はわずかである。
すなわち、区画壁117の反射音は、実質的に振動板81aの振動に影響をほとんど与えないので、イヤホン91は音声信号に忠実な良好な再生音が得られる。
【0035】
また、延出壁部118と区画壁117との交わる位置に、溝部VCが形成されており、溝部VCは矢視Ya視でスピーカユニット81の投影領域に存在している。そのため、スピーカユニット81から区画壁117側に放出された音の一部は溝部VCに進入する。
溝部VCに進入した音は、溝部VC内の対向壁で反射を繰り返して奥へ進行するうちに減衰してほとんどスピーカユニット81側に戻ってこない。仮に戻ってくる音があったとしてもそのエネルギは小さい。そのため、区画壁117での反射音はより少なくなり、実質的に振動板81aの振動に影響を与えない。
これにより、イヤホン91は、より良好な再生音が得られる。
【0036】
溝部VCを、傾斜急峻部117bを設けてより幅の狭く深い溝部VC1とすることで、溝部VC1に進入した音のスピーカユニット81側への戻り分をより少なくできる。すなわち、溝部VCを溝部VC1とすることで、イヤホン91はさらに良好な再生音が得られる。
【0037】
スピーカユニット81の取付位置及び姿勢を、スピーカ軸線CL81が第1本体部1の基部1Aと交わらずその外側を通るようにするとよく、これにより、溝部VC及び溝部VC1を比較的容易に形成することができる。
【0038】
また、イヤホン91は、上述した構造を有するイントラコンカ型であっても、耳介Eへの取付態様は、その構造に起因して特徴的である。これにより、イヤホン91は、マイク85を備えたワイヤレスの集音器でありながらハウリングの発生が良好に抑制されている。
【0039】
すなわち、
図6及び
図7に示されるように、イヤホン91は、第2本体部2の右面21が、耳甲介腔Ekに良好に密着し、頭部Hの前方には耳珠Ejの内壁Ej1に良好に密着するようになっている。これにより、第2本体部2の放音孔12aから放出された音声が外部に漏れにくくなっている。
【0040】
また、イヤホン91は、スピーカユニット81を収容した第2空間V2と、マイク85を収容したステム1Bの内部空間に連接した第1空間V1との間に、両空間の間の振動伝播を実質的に遮断する区画壁117を有する。
これにより、スピーカユニット81から第2空間V2に放出された音は、マイク85に極めて到達しにくくなっている。また、スピーカユニット81から第2空間V2に放出された音は、その一部が溝部VC(又は溝部VC1)に進入してエネルギが消耗するので、よりマイク85に到達しにくくなっている。
【0041】
また、マイク85は、放音孔12aが形成された右面側(頭部H側)とは反対側となる左面側の、ステム1Bの最先端近傍に配置されている。すなわち、放音孔12aからマイク85までの距離HM(
図7参照)がイヤホン91における可能な配置関係において最も長く(遠く)なっている。
【0042】
これらにより、イヤホン91は、スピーカユニット81から出力された音声が、イヤホン91の外部空間を通る経路においてマイク85に到達しにくく、内部空間を通る経路でもマイク85に到達しにくくなっており、ハウリングが生じにくい。
【0043】
以上詳述した実施例は、その構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0044】
イヤホン91は、ワイヤレスタイプでなくてもよく、外部の音声再生装置からケーブルを介して音声信号を受信するワイヤードタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 第1本体部
1A 基部
1B ステム
11 ハウジング
117 区画壁
117a 区画壁右面
117b 傾斜急峻部
118 延出壁部
118a 延出壁内面
12 先端カバー
12a 放音孔
12b センサ孔
12g 環状壁部
13 第1中間ハウジング
14 第2中間ハウジング
15 背側カバー
2 第2本体部
2f 前部
2t 上部
21 右面
21a 内面
81 スピーカユニット
81a 振動板
82 近接センサ
82a センサ面
83 二次電池
84 回路基板
84a 通信部
84b 駆動部
84c センサ処理部
84d 増幅部
85 マイク
85a 収音孔
91 イヤホン
AR 投影範囲
CL1A 軸線
CL81 スピーカ軸線
E 耳介
Ed 対耳輪
Ed1 内壁
Ee 耳輪脚
Ee1 内壁
Eg 珠間切痕
Eh 外耳道
Ej 耳珠
Ej1 内壁
Ek 耳甲介腔
H 頭部
HK 括れ部
HM 距離
HS1,HS2 部分
PS 肩部
SF81 仮想面
SG81,SG82,SG85 リード線
VC,VC1 溝部
V1 第1空間
V2 第2空間
θ 溝開口角度