(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141762
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】車両用ヒップレスト
(51)【国際特許分類】
B61D 33/00 20060101AFI20230928BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20230928BHJP
B60N 2/24 20060101ALI20230928BHJP
A47C 9/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B61D33/00 F
B61D37/00 Z
B60N2/24
A47C9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048245
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽子
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 エミリ
【テーマコード(参考)】
3B087
3B095
【Fターム(参考)】
3B087CE10
3B095AC04
3B095CA07
3B095CA10
3B095DA03
(57)【要約】
【課題】身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客が、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレストを提供する。
【解決手段】鉄道車両TSのフリースペースTMを構成する車両の内壁面NHに設置され立客TKの一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部2を備えた車両用ヒップレスト10である。支持部には、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22を内蔵した支持本体部21と、当該支持本体部の上端部211における車両外方部211bから上方に延設された上支持部23と、支持本体部の下端部213における車両内方部213aから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両のフリースペースを構成する車両の内壁面に設置され立客の一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部を備えた車両用ヒップレストであって、
前記支持部には、車両内方へ湾曲状に突出した支持本体部と、当該支持本体部の上端部における車両外方部から上方に延設された上支持部とを備えていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記支持部には、前記支持本体部の下端部における車両内方部から下方に延設された下支持部を備えていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記内壁面には、前記上支持部の内端部より車両外方に設置された上手摺りと、当該上手摺りより車両下方に設置された下手摺りとを備え、
前記支持本体部は、前記下手摺りに連結されていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項4】
請求項3に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記支持本体部は、クッション部材を内蔵し、当該クッション部材を保持するクッション保持板を介して前記下手摺りに連結されていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項5】
請求項4に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記上支持部には、前記クッション部材から延設された薄肉状の上クッション部材と、当該上クッション部材を保持し前記クッション保持板から延設された弾性部材から成る上支持板とを備えたことを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項6】
請求項4に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記上支持部には、前記クッション部材から延設された薄肉状の上クッション部材と、当該上クッション部材を保持し前記クッション保持板から延設された上支持板とを備え、
前記上支持板の上端部は、前記上手摺りに連結されていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項7】
請求項3に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記上支持部は、薄肉断面に形成され、
前記上支持部の上端部は、前記上手摺りに着脱可能に連結されていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項8】
請求項7に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記支持本体部の上端部には、バケット状に形成された座部を備えていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記内壁面には、前記上支持部の内端部より車両外方に設置された上手摺りと、当該上手摺りより車両下方に設置された下手摺りとを備え、
前記上支持部は、前記上手摺りに着脱可能に装着され、
前記支持本体部は、前記下手摺りに着脱可能に装着されていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項10】
請求項9に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記支持部同士の間には、仕切り板が配置されていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項11】
請求項10に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記上手摺りと前記下手摺りとが、前記仕切り板にそれぞれ連結され、長手方向端部でU字状に湾曲して一体化されていること、
前記仕切り板は、前記内壁面に装着されていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記仕切り板の外縁部には、持ち手用の切欠き孔が形成されていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項13】
鉄道車両のフリースペースを構成する車両の内壁面に沿って水平状に設置された手摺りと、当該手摺り又は前記内壁面に装着され立客の一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部とを備えた車両用ヒップレストであって、
前記支持部には、車両内方へ湾曲状に突出した支持本体部と、当該支持本体部の下端部における車両内方部から下方に延設された下支持部とを備えていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【請求項14】
請求項13に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記下支持部は、車両外方へ弾性変形可能に形成されていることを特徴とする車両用ヒップレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ヒップレストに関し、詳しくは、身長の異なる乗客が利用しやすく形成された車両用ヒップレストに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バリアフリー化に伴い、鉄道車両(特に通勤型車両)において、車椅子やベビーカー等を使用する乗客が利用できるフリースペースが設けられるようになっている。このフリースペースは、車椅子等を使用する乗客以外にも、立った乗客(立客)が利用することがある。そのため、上記フリースペースを構成する車両の内壁面には、車椅子等を使用する乗客の邪魔にならない範囲で、立客が把持することができる手摺りや、当該手摺り等に装着され立客の臀部を載せ、又は腰部を凭れかけることができる車両用ヒップレストが設置されていることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両用ヒップレストの一態様である鉄道車両の乗客の支持構造体100が開示されている。すなわち、
図16、
図17に示すように、鉄道車両100T内の一端部には、乗客が車椅子に乗った状態で乗車可能なスペース100Sが形成され、 当該スペース100Sには、乗客を支持する支持構造体100が配置されている。支持構造体100は、側窓102より低い高さに配置され、立客の腰部又は臀部付近の高さに位置している。支持構造体100は、車両の端部から開閉扉の手前付近まで車両の長手方向に延在し、3つの取付具103により第1側壁104に取り付けられている。
【0004】
また、支持構造体100は、断面が略半楕円状の支持体101と、円形状の手摺り105とを有している。支持体101及び手摺り105は、車両長手方向に延在している。取付具103は、支持体101に対向して配置された支持体対向板110と、手摺り105に当接した手摺当接板111と、第1側壁104に固定された側壁固定板112とを有する。 手摺り105は、支持体101の右面側に位置し、支持体101の右上端部と手摺当接板111の上端部とに接するように配置されている。
【0005】
また、支持体101は、底板106及びクッション材107を含む基材108と、基材108を包囲するように配置されたシート部材109とを有する。シート部材109により、底板106及びクッション材107が1つの基材108としてまとまった状態を維持できる。 底板106は、上端部が第1側壁104に近付くように、水平方向に対して傾斜している。底板106は、クッション材107を保持可能な硬い板状の部材で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された乗客の支持構造体(車両用ヒップレスト)100には、以下のような問題があった。
すなわち、上記支持構造体100は、側窓102より低い高さに配置され、立客の腰部又は臀部付近の高さに位置しているが、立客は老若男女様々であるため、平均的な身長の立客に合わせた高さに設置することになる。そのため、例えば、身長の高い大人の男性の立客は、支持体101の上端部及び手摺り105の上端部に臀部を載せることが多いが、支持体101の上端部及び手摺り105の上端部はクッション材107が無く、硬いので、座り心地が悪い。また、身長の低い子供の場合、支持体101が背中の高さとなるので、支持体101の下端部に腰上部が当たり、凭れかかることも難しい。したがって、上記特許文献1の支持構造体(車両用ヒップレスト)100では、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客が、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができないという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客が、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用ヒップレストは、以下の構成を備えている。
(1)鉄道車両のフリースペースを構成する車両の内壁面に設置され立客の一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部を備えた車両用ヒップレストであって、
前記支持部には、車両内方へ湾曲状に突出した支持本体部と、当該支持本体部の上端部における車両外方部から上方に延設された上支持部とを備えていることを特徴とする。なお、支持部は、車両の内壁面に対して、直接設置されても、他の部材を介して設置されても良い。
【0010】
本発明においては、支持部には、車両内方へ湾曲状に突出した支持本体部と、当該支持本体部の上端部における車両外方部から上方に延設された上支持部とを備えているので、身長の高い大人の男性の立客は、支持本体部の内端部に太ももを凭れかからせ、また、支持本体部の上端部における車両内方部に臀部を載せることができる。
【0011】
また、身長の中程度又は低い大人の女性の立客は、支持本体部の内端部に臀部又は太ももを凭れかからせることができる。また、身長の更に低い子供の立客は、支持本体部の下端部に腰上部又は背中を凭れかからせることができる。そのため、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客が、支持部の適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0012】
よって、本発明によれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客が、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレストを提供することができる。
【0013】
(2)請求項1に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記支持部には、前記支持本体部の下端部における車両内方部から下方に延設された下支持部を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、支持部には、支持本体部の下端部における車両内方部から下方に延設された下支持部を備えているので、身長のより一層低い子供の立客は、下支持部に腰上部又は背中を凭れかけることができる。そのため、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長のより一層異なる立客が、支持部の適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0015】
(3)(1)又は(2)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記内壁面には、前記上支持部の内端部より車両外方に設置された上手摺りと、当該上手摺りより車両下方に設置された下手摺りとを備え、
前記支持本体部は、前記下手摺りに連結されていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、内壁面には、上支持部の内端部より車両外方に設置された上手摺りと、当該上手摺りより車両下方に設置された下手摺りとを備え、支持本体部は、下手摺りに連結されているので、身長の高い大人の男性の立客が、支持本体部の上端部における車両内方部に臀部を載せた場合、臀部の背面側が上支持部によって規制され、腰上部又は背中が上手摺りに干渉することを回避できる。そのため、立客の腰上部又は背中が上手摺りに干渉するか否かを気にすることなく、臀部を支持本体部の上端部における車両内方部に安心して載せることができる。
【0017】
(4)(3)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記支持本体部は、クッション部材を内蔵し、当該クッション部材を保持するクッション保持板を介して前記下手摺りに連結されていることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、支持本体部は、クッション部材を内蔵し、当該クッション部材を保持するクッション保持板を介して下手摺りに連結されているので、身長の高い大人の男性の立客が、支持本体部の上端部における車両内方部に臀部を載せた場合、クッション部材が臀部の形状に沿って撓むことができ、支持本体部の上端部が臀部を優しく包み込み、臀部の位置ズレを回避できる。そのため、立客の臀部を支持本体部の上端部における車両内方部に安心して載せ、より一層心地よく座ることができる。
【0019】
(5)(4)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記上支持部には、前記クッション部材から延設された薄肉状の上クッション部材と、当該上クッション部材を保持し前記クッション保持板から延設された弾性部材から成る上支持板とを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明においては、上支持部には、クッション部材から延設された薄肉状の上クッション部材と、当該上クッション部材を保持しクッション保持板から延設された弾性部材から成る上支持板とを備えたので、身長の高い大人の男性の立客が、支持本体部の上端部における車両内方部に臀部を載せた場合、上支持部の上クッション部材が撓み、上支持板が弾性変形することによって、上支持部が臀部の背面側を優しく包み込むことができる。そのため、支持本体部の上端部における車両内方部に載せた立客の臀部の背面側を、上支持部が車両外方側から優しく包み込むことによって、臀部の位置ズレを抑制しつつ、より一層安定して心地よく座ることができる。
【0021】
(6)(4)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記上支持部には、前記クッション部材から延設された薄肉状の上クッション部材と、当該上クッション部材を保持し前記クッション保持板から延設された上支持板とを備え、
前記上支持板の上端部は、前記上手摺りに連結されていることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、上支持部には、クッション部材から延設された薄肉状の上クッション部材と、当該上クッション部材を保持しクッション保持板から延設された上支持板とを備え、上支持板の上端部は、上手摺りに連結されているので、支持部を上下に離間した上手摺りと下手摺りとによって支えることができ、車両用ヒップレストにおける耐荷重を向上させることができる。また、身長の高い大人の男性の立客が、支持本体部の上端部における車両内方部に臀部を載せた場合、上支持部が臀部の背面側を安定的に支持することができる。そのため、鉄道車両が枕木方向(内外方向)へ揺れた場合でも、支持本体部の上端部における車両内方部に載せた立客の臀部を、上支持部が車両外方から確実に支持することによって、臀部の位置ズレを抑制でき、より一層安定して心地よく座ることができる。
【0023】
(7)(4)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記上支持部は、薄肉断面に形成され、
前記上支持部の上端部は、前記上手摺りに着脱可能に連結されていることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、上支持部は、薄肉断面に形成され、上支持部の上端部は、上手摺りに着脱可能に連結されているので、支持本体部の上端部における車両内方部の着座スペースを拡大でき、身長の高い大人の男性の立客が、支持本体部の上端部における車両内方部に臀部をゆったりと載せることができる。その場合でも、上支持部が臀部の背面側を安定的に支持することもできる。また、体格の良い立客が座る場合には、上支持部の上端部を上手摺りから離脱させ、支持本体部の上端部に、より広い着座スペースを確保することができる。そのため、支持本体部の上端部には、立客の体格等に応じた広い着座スペースを確保でき、より一層安定して心地よく座ることができる。
【0025】
(8)(7)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記支持本体部の上端部には、バケット状に形成された座部を備えていることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、支持本体部の上端部には、バケット状に形成された座部を備えているので、身長の高い大人の男性の立客が、支持本体部の上端部に備えバケット状に形成された座部に、臀部をゆったりと載せることができる。その場合、バケット状に形成された座部が臀部の両側面及び背面を安定的に支持することができる。そのため、鉄道車両が枕木方向(内外方向)や上下方向に揺れた場合でも、座部に載せた立客の臀部を、安定的に支持することによって、臀部の位置ズレを抑制でき、より一層安心して心地よく座ることができる。
【0027】
(9)(1)又は(2)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記内壁面には、前記上支持部の内端部より車両外方に設置された上手摺りと、当該上手摺りより車両下方に設置された下手摺りとを備え、
前記上支持部は、前記上手摺りに着脱可能に装着され、
前記支持本体部は、前記下手摺りに着脱可能に装着されていることを特徴とする。
【0028】
本発明においては、内壁面には、上支持部の内端部より車両外方に設置された上手摺りと、当該上手摺りより車両下方に設置された下手摺りとを備え、上支持部は、上手摺りに着脱可能に装着され、支持本体部は、下手摺りに着脱可能に装着されているので、鉄道車両におけるフリースペースの混雑具合に応じて、手摺りに装着する支持部の数量を簡単に調節することができる。例えば、通勤型車両では、混雑する朝夕の時間帯において、手摺りに装着する支持部を減少させ又は無くすことによって、より多くの立客が乗車でき、また、その他の比較的空いた時間帯において、手摺りに装着する支持部の数量を増加させることによって、より多くの立客が支持部を利用して、心地よく座り又は凭れかからせることができる。また、客先の要求仕様(例えば、車両に対する最大乗客数等)に合わせて、支持部の数量を調節することができる。
【0029】
(10)(9)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記支持部同士の間には、仕切り板が配置されていることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、支持部同士の間には、仕切り板が配置されているので、支持部に座り又は凭れる立客は、鉄道車両の急停車又は揺れ等に対して、支持部同士の間に配置された仕切り板を咄嗟に把持することができる。また、支持部に座り又は凭れた立客の側部を仕切り板によって保護し、隣の立客の接近又は衝突等を回避させることができる。そのため、立客が車両用ヒップレストをより一層安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0031】
(11)(10)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記上手摺りと前記下手摺りとが、前記仕切り板にそれぞれ連結され、長手方向端部でU字状に湾曲して一体化されていること、
前記仕切り板は、前記内壁面に装着されていることを特徴とする。
【0032】
本発明においては、上手摺りと下手摺りとが、仕切り板にそれぞれ連結され、長手方向端部でU字状に湾曲して一体化され、仕切り板は、内壁面に装着されているので、支持部に座り又は凭れる立客の荷重を、仕切り板を介して車両の内壁面に伝達することができる。そのため、支持部が装着される手摺りの長手方向端部は、車両の内壁面に直接連結する必要がない。したがって、車両用ヒップレストの設置場所における自由度が増加すると共に、車両用ヒップレストを長手方向でよりコンパクトに形成でき、狭いフリースペースでも、より多くの立客の利用に供することができる。
【0033】
(12)(10)又は(11)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記仕切り板の外縁部には、持ち手用の切欠き孔が形成されていることを特徴とする。
【0034】
本発明においては、仕切り板の外縁部には、持ち手用の切欠き孔が形成されているので、支持部に座り又は凭れる立客は、鉄道車両の急停車又は揺れ等に対して、仕切り板の外縁部を手摺り代わりに素早く把持することができる。そのため、支持部同士の間に手摺りが露出していなくても、立客は、仕切り板の外縁部を把持することによって、転倒等を回避させることができる。したがって、立客は、よりコンパクトな車両用ヒップレストをより安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0035】
(13)鉄道車両のフリースペースを構成する車両の内壁面に設置され立客の一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部を備えた車両用ヒップレストであって、
前記支持部には、車両内方へ湾曲状に突出した支持本体部と、当該支持本体部の下端部における車両内方部から下方に延設された下支持部とを備えていることを特徴とする。なお、支持部は、車両の内壁面に対して、直接設置されても、他の部材を介して設置されても良い。
【0036】
本発明においては、支持部には、車両内方へ湾曲状に突出した支持本体部と、当該支持本体部の下端部における車両内方部から下方に延設された下支持部とを備えているので、身長の高い大人の男性の立客は、支持本体部の内端部に太ももを凭れかからせ、また、支持本体部の上端部における車両内方部に臀部を載せることができる。
【0037】
また、身長の中程度又は低い大人の女性の立客は、支持本体部の内端部に臀部又は太ももを凭れかからせることができる。また、身長の更に低い子供の立客は、支持本体部の下端部又は下支持部に腰上部又は背中を凭れかからせることができる。そのため、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客が、支持部の適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0038】
よって、本発明によれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客が、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレストを提供することができる。
【0039】
(14)(13)に記載された車両用ヒップレストにおいて、
前記下支持部は、車両外方へ弾性変形可能に形成されていることを特徴とする。
【0040】
本発明においては、下支持部は、車両外方へ弾性変形可能に形成されているので、身長の更に低い子供の立客は、下支持部を車両外方へ弾性変形させながら、下支持部に腰上部又は背中を凭れかからせることができる。そのため、鉄道車両が枕木方向(内外方向)に揺れた場合でも、心地よく凭れかかることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客が、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレストを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本実施形態に係る第1実施例の車両用ヒップレストの斜視図である。
【
図3】
図1に示す車両用ヒップレストに対して身長の異なる立客が座り又は凭れかかった利用状態を現わす断面図であって、(A)は身長の高い大人の男性の立客が利用した状態の断面図を示し、(B)は身長の中程度の大人の女性の立客が利用した状態の断面図を示し、(C)は身長の低い大人の女性の立客が利用した状態の断面図を示し、(D)は身長の更に低い子供の立客が利用した状態の断面図を示す。
【
図4】本実施形態に係る第2実施例の車両用ヒップレストの斜視図である。
【
図6】
図4に示す車両用ヒップレストに対して身長の異なる立客が座り又は凭れかかった利用状態を現わす断面図である。
【
図7】
図4に示す車両用ヒップレストの変形例の斜視図である。
【
図8】本実施形態に係る第3実施例の車両用ヒップレストの斜視図である。
【
図10】
図8に示す車両用ヒップレストの変形例の斜視図である。
【
図11】本実施形態に係る第4実施例の車両用ヒップレストの斜視図である。
【
図14】本実施形態に係る第5実施例の車両用ヒップレストの斜視図である。
【
図16】特許文献1に記載された鉄道車両の乗客の支持構造体を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
次に、本実施形態の一態様を表す車両用ヒップレストについて、図面を参照しながら詳細に説明する。具体的には、本実施形態に係る第1実施例~第5実施例の車両用ヒップレストを詳細に説明する。
【0044】
<本実施形態に係る車両用ヒップレスト(第1実施例)>
まず、本実施形態に係る第1実施例の車両用ヒップレストについて、
図1~
図3を用いて説明する。
図1に、本実施形態に係る第1実施例の車両用ヒップレストの斜視図を示す。
図2に、
図1に示すA-A断面図を示す。
図3に、
図1に示す車両用ヒップレストに対して身長の異なる立客が座り又は凭れかかった利用状態を現わす断面図を示し、(A)は身長の高い大人の男性の立客が利用した状態の断面図を示し、(B)は身長の中程度の大人の女性の立客が利用した状態の断面図を示し、(C)は身長の低い大人の女性の立客が利用した状態の断面図を示し、(D)は身長の更に低い子供の立客が利用した状態の断面図を示す。なお、図中に示す上下、内外、前後の矢印は、鉄道車両における方向を示したものである。
【0045】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る第1実施例の車両用ヒップレスト10は、鉄道車両TSのフリースペースTMを構成する車両の内壁面NHに設置され立客TKの一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部2を備えた車両用ヒップレスト10である。支持部2は、車両の内壁面NHに対して、直接設置されても、他の部材を介して設置されても良いが、ここでは、車両の内壁面NHに沿って水平状に設置された手摺り1を備え、支持部2は当該手摺り1に装着されている。
【0046】
ここで、フリースペースTMは、車椅子やベビーカー等を使用する乗客が利用できるスペースを意味し、一般に、車両の前後方向の端部に設けられている。また、手摺り1は、丸棒又は丸パイプで形成され、車両の内壁面NHに沿って水平状に設置されている。また、手摺り1は、側窓GMの下端部近傍に配置された下手摺り11と、下手摺り11の上方に配置された上手摺り12とから成り、一端部が妻側の内壁面に固定され、他端部が略L字状に屈曲されて側扉DR近傍の内壁面NHに固定されている。なお、第1実施例では、手摺り1は、下手摺り11のみでも良い。
【0047】
また、支持部2には、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22を内蔵した支持本体部21と、当該支持本体部21の上端部211における車両外方部211bから上方に延設された上支持部23と、支持本体部21の下端部213における車両内方部213aから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24とを備えている。
【0048】
なお、支持部2は、上支持部23と支持本体部21と下支持部24とが上下方向で略S字状に湾曲して連続状に形成されている。また、上支持部23と支持本体部21と下支持部24とは、それぞれ上下方向に長い略長方形状の断面に形成され、支持本体部21の車両内外方向の厚さが上支持部23及び下支持部24の車両内外方向の厚さより大きく形成されている。支持本体部21は、上端側より下端側が僅かに車両内方へ位置するように配設されている。また、支持部2は、表皮部材25によって外縁が被覆されている。
【0049】
したがって、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)は、支持本体部21の内端部212に、クッション部材22を撓ませながら太ももTK12を凭れかからせ、また、支持本体部21の上端部211における車両内方部211aに、クッション部材22を撓ませながら臀部TK11を載せることができる。
【0050】
また、身長の中程度又は低い大人の女性の立客TK(TK2、TK3)は、支持本体部21の内端部212に、クッション部材22を撓ませながら臀部TK21、TK31又は太ももTK22、TK32を凭れかからせることができる。また、身長の更に低い子供の立客TK(TK4)は、支持本体部21の下端部213及び下支持部24に、支持本体部21のクッション部材22を撓ませ、下支持部24を車両外方側へ弾性変形させながら腰上部TK43又は背中TK44を凭れかからせることができる。
【0051】
そのため、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TK(TK1、TK2、TK3、TK4)が、支持部2の適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。よって、本第1実施例の車両用ヒップレスト10によれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TKが、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレスト10を提供することができる。
【0052】
また、支持部2は、一人用の横幅w1に形成され、手摺り1の長手方向に沿って所定の隙間d1を有して配置されている。これによって、支持部2に座り又は凭れる立客TKは、隣の立客TKに対して肩が触れ合わないパーソナルスペースを確保しつつ、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、支持部2同士の隙間d1に露出した手摺り1を咄嗟に把持することができる。また、車椅子を使用する乗客が、手摺り1を把持することもできる。そのため、立客TKが車両用ヒップレスト10を安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができると共に、車椅子を使用する乗客の安全性を高めることができる。また、客先の要求仕様(例えば、車両に対する最大乗客数等)に合わせて、支持部2の数量を調節することができる。なお、支持部2を手摺り1に沿ってスライド可能に形成することによって、混雑時には支持部2を寄せて、車両への乗車可能な人数を増加させることができる。
【0053】
また、上手摺り12は、上支持部23の内端部232より車両外方に設置され、支持本体部21は、クッション部材22を保持するクッション保持板26を介して下手摺り11に連結されていることが好ましい。なお、クッション保持板26は、下端側が車両内方へ屈曲し、クッション部材22が下方へずり落ちるのを阻止している。クッション部材22は、接着剤等によってクッション保持板26に接合されている。
【0054】
上記構成によって、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21の上端部211における車両内方部211aに臀部TK11を載せた場合、臀部TK11の背面側が上支持部23によって規制され、腰上部TK13又は背中TK14が上手摺り12に干渉することを回避できる。そのため、立客TK(TK1)の臀部TK11を支持本体部21の上端部211における車両内方部211aに安心して載せ、より一層心地よく座ることができる。
【0055】
また、上支持部23には、クッション部材22から延設された薄肉状の上クッション部材22aと、当該上クッション部材22aを保持しクッション保持板26から延設された弾性部材から成る上支持板231とを備えたことが好ましい。
【0056】
上記構成によって、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21の上端部211における車両内方部211aに臀部TK11を載せた場合、上支持部23の上クッション部材22aが撓み、上支持板231が弾性変形することによって、上支持部23が臀部TK11の背面側を優しく包み込むことができる。そのため、支持本体部21の上端部211における車両内方部211aに載せた立客TK(TK1)の臀部TK11の背面側を、上支持部23が車両外方側から優しく包み込むことによって、臀部TK11の位置ズレを抑制しつつ、より一層安定して心地よく座ることができる。
【0057】
なお、下支持部24には、クッション部材22から延設された薄肉状の下クッション部材22bと、当該下クッション部材22bを保持し弾性部材から成る下支持板241とを備えている。下支持板241は、クッション保持板26の下端部に連結されている。子供の立客TK(TK4)が、下支持部24に腰上部TK43又は背中TK44を凭れかけたときには、その背面側を優しく包み込むことができる。
【0058】
<本実施形態に係る車両用ヒップレスト(第2実施例)>
次に、本実施形態に係る第2実施例の車両用ヒップレストについて、
図4~
図7を用いて説明する。
図4に、本実施形態に係る第2実施例の車両用ヒップレストの斜視図を示す。
図5に、
図4に示すB-B断面図を示す。
図6に、
図4に示す車両用ヒップレストに対して身長の異なる立客が座り又は凭れかかった利用状態を現わす断面図を示す。
図7に、
図4に示す車両用ヒップレストの変形例の斜視図を示す。なお、図中に示す上下、内外、前後の矢印は、鉄道車両における方向を示したものである。
【0059】
図4~
図6に示すように、本実施形態に係る第2実施例の車両用ヒップレスト10Bは、鉄道車両TSのフリースペースTMを構成する車両の内壁面NHに設置され立客TKの一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部2Bを備えた車両用ヒップレスト10Bである。支持部2Bは、車両の内壁面NHに対して、直接設置されても、他の部材を介して設置されても良いが、ここでは、車両の内壁面NHに沿って水平状に設置された手摺り1を備え、支持部2Bは当該手摺り1に装着されている。
【0060】
また、支持部2Bには、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22Bを内蔵した支持本体部21Bと、当該支持本体部21Bの上端部211Bにおける車両外方部211Bbから上方に延設された上支持部23Bと、支持本体部21Bの下端部213Bにおける車両内方部213Baから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24Bとを備えている。
【0061】
なお、支持部2Bは、上支持部23Bと支持本体部21Bと下支持部24Bとが上下方向で略S字状に湾曲して連続状に形成されている。また、上支持部23Bと支持本体部21Bと下支持部24Bとは、各内端部232B、212B、242Bがそれぞれ略円弧形状の断面に形成され、支持本体部21Bの車両内外方向の最大厚さが上支持部23B及び下支持部24Bの車両内外方向の最大厚さより大きく形成されている。また、支持部2Bは、表皮部材25Bによって外縁が被覆されている。
【0062】
そのため、第1実施例と同様に、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TK(TK1~TK4)が、支持部2Bの適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。よって、本第2実施例の車両用ヒップレスト10Bによれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TKが、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレスト10Bを提供することができる。
【0063】
また、支持部2Bは、一人用の横幅w1に形成され、手摺り1の長手方向に沿って所定の隙間d1を有して配置されている。これによって、支持部2Bに座り又は凭れる立客TKは、隣の立客TKに対して肩が触れ合わないパーソナルスペースを確保しつつ、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、支持部2B同士の隙間d1に露出した手摺り1を咄嗟に把持することができる。また、車椅子を使用する乗客が、手摺り1を把持することもできる。そのため、立客TKが車両用ヒップレスト10Bを安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができると共に、車椅子を使用する乗客の安全性を高めることができる。
【0064】
なお、支持部2Bは、一人用の横幅w1に形成されている場合に限らず、
図7に示す変形例の車両用ヒップレスト10B1のように、複数人用の横幅w2に形成された支持部2B1でも良い。例えば、二人用の支持部2B1を備えた車両用ヒップレスト10B1でも、支持部2B1は、隣の支持部2Bと所定の隙間d1を有して配置されている。これによって、二人用の支持部2B1に座り又は凭れる立客TKは、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、二人用の支持部2B1と一人用の支部部2Bとの隙間d1等に露出した手摺り1を咄嗟に把持することができる。また、客先の要求仕様(例えば、車両に対する最大乗客数等)に合わせて、支持部2B、2B1の数量を調節することができる。なお、支持部2B、2B1を手摺り1に沿ってスライド可能に形成することによって、混雑時には支持部2B、2B1を寄せて、車両への乗車可能な人数を増加させることができる。
【0065】
また、上手摺り12は、上支持部23Bの内端部232Bより車両外方に設置され、支持本体部21Bは、クッション部材22Bを保持するクッション保持板26Bを介して下手摺り11に連結され、また、上支持部23Bには、クッション部材22Bから延設された薄肉状の上クッション部材22Baと、当該上クッション部材22Baを保持しクッション保持板26Bから延設された上支持板231Bとを備え、上支持板231Bの上端部231Baは、上手摺り12に連結されていることが好ましい。なお、クッション保持板26Bは、下端側が車両内方へ向けて傾斜し、クッション部材22Bが下方へずり落ちるのを阻止している。クッション部材22Bは、接着剤等によってクッション保持板26Bに接合されている。
【0066】
上記構成によって、支持部2Bを上下に離間した上手摺り12と下手摺り11とで支えることができ、車両用ヒップレスト10Bにおける耐荷重を向上させることができる。また、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21Bの上端部211Bにおける車両内方部211Baに臀部TK11を載せた場合、上支持部23Bが臀部TK11の背面側を安定的に支持することができる。
【0067】
そのため、鉄道車両TSが枕木方向(内外方向)へ揺れた場合でも、支持本体部21Bの上端部211Bにおける車両内方部211Baに載せた立客TK(TK1)の臀部TK11を、上支持部23Bが車両外方から確実に支持することによって、臀部TK11の位置ズレを抑制でき、より一層安定して心地よく座ることができる。また、上支持部23Bは、上クッション部材22Baが撓むことによって、揺れを吸収しながら臀部TK11の位置ズレを抑制できる。
【0068】
<本実施形態に係る車両用ヒップレスト(第3実施例)>
次に、本実施形態に係る第3実施例の車両用ヒップレストについて、
図8~
図10を用いて説明する。
図8に、本実施形態に係る第3実施例の車両用ヒップレストの斜視図を示す。
図9に、
図8に示すC-C断面図を示す。
図10に、
図8に示す車両用ヒップレストの変形例の斜視図を示す。なお、図中に示す上下、内外、前後の矢印は、鉄道車両における方向を示したものである。
【0069】
図8、
図9に示すように、本実施形態に係る第3実施例の車両用ヒップレスト10Cは、鉄道車両TSのフリースペースTMを構成する車両の内壁面NHに設置され立客TKの一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部2Cを備えた車両用ヒップレスト10Cである。支持部2Cは、車両の内壁面NHに対して、直接設置されても、他の部材を介して設置されても良いが、ここでは、車両の内壁面NHに沿って水平状に設置された手摺り1を備え、支持部2Cは当該手摺り1に装着されている。
【0070】
また、支持部2Cには、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22Cを内蔵した支持本体部21Cと、当該支持本体部21Cの上端部211Cにおける車両外方部211Cbから上方に延設された上支持部23Cと、支持本体部21Cの下端部213Cにおける車両内方部213Caから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24Cとを備えている。
【0071】
なお、支持部2Cは、上支持部23Cと支持本体部21Cと下支持部24Cとが上下方向で略S字状に湾曲して連続状に形成されている。また、上支持部23Cは、直線状の薄肉断面に形成され、支持本体部21Cと下支持部24Cとは、各内端部212C、242Cがそれぞれ略円弧形状の断面に形成されている。また、支持本体部21Cの車両内外方向の最大厚さが下支持部24Cの車両内外方向の最大厚さより大きく形成されている。また、支持部2Cは、表皮部材25Cによって外縁が被覆されている。
【0072】
そのため、第1実施例と同様に、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TK(TK1~TK4)が、支持部2Cの適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。よって、本第3実施例の車両用ヒップレスト10Cによれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TKが、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレスト10Cを提供することができる。
【0073】
また、支持部2Cは、一人用の横幅w1に形成され、手摺り1の長手方向に沿って所定の隙間d1を有して配置されている。これによって、支持部2Cに座り又は凭れる立客TKは、隣の立客TKに対して肩が触れ合わないパーソナルスペースを確保しつつ、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、支持部2C同士の隙間d1に露出した手摺り1を咄嗟に把持することができる。また、車椅子を使用する乗客が、手摺り1を把持することもできる。そのため、立客TKが車両用ヒップレスト10Cを安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができると共に、車椅子を使用する乗客の安全性を高めることができる。また、客先の要求仕様(例えば、車両に対する最大乗客数等)に合わせて、支持部2Cの数量を調節することができる。なお、支持部2Cを手摺り1に沿ってスライド可能に形成することによって、混雑時には支持部2Cを寄せて、車両への乗車可能な人数を増加させることができる。
【0074】
また、内壁面NHには、上支持部23Cの内端部232Cより車両外方に設置された上手摺り12と、当該上手摺り12より車両下方に設置された下手摺り11とを備え、支持本体部21Cは、クッション部材22Cを保持するクッション保持板26Cを介して下手摺り11に連結されていることが好ましい。
【0075】
上記構成によって、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21Cの上端部211Cにおける車両内方部211Caに臀部TK11を載せた場合、臀部TK11の背面側が上支持部23Cによって規制され、腰上部TK13又は背中TK14が上手摺り12に干渉することを回避できる。そのため、立客TK(TK1)の臀部TK11を支持本体部21Cの上端部211Cにおける車両内方部211Caに安心して載せ、より一層心地よく座ることができる。
【0076】
また、上支持部23Cは、薄肉断面に形成され、上支持部23Cの上端部23Caは、上手摺り12に着脱可能に連結されていることが好ましい。上支持部23Cは、例えば、板バネ部材から成る上支持板231Cを備え、上支持部23Cの上端部23Caを逆U字状に折り曲げて、上手摺り12に係合可能に形成されている。
【0077】
上記構成によって、支持本体部21Cの上端部211Cにおける車両内方部211Caの着座スペースを拡大でき、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21Cの上端部211Cにおける車両内方部211Caに臀部TK11をゆったりと載せることができる。その場合でも、上支持部23Cが臀部TK11の背面側を安定的に支持することもできる。
【0078】
また、体格の良い立客TK(TK1)が座る場合には、上支持部23Cの上端部23Caを上手摺り12から離脱させ、支持本体部21Cの上端部211Cに、より広い着座スペースを確保することができる。そのため、支持本体部21Cの上端部211Cには、立客TK(TK1)の体格等に応じた広い着座スペースを確保でき、より一層安定して心地よく座ることができる。
【0079】
なお、支持本体部21Cの上端部211Cは、平坦に形成されている場合に限らず、
図10に示す変形例の車両用ヒップレスト10C1のように、支持本体部21C1の上端部211C1には、バケット状に形成された座部SZを備えていても良い。
【0080】
この場合、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21C1の上端部211C1に備えバケット状に形成された座部SZに、臀部TK11をより一層ゆったりと載せることができる。その場合、バケット状に形成された座部SZが臀部TK11の両側面及び背面を安定的に支持することができる。そのため、鉄道車両TSが枕木方向(内外方向)や上下方向に揺れた場合でも、座部SZに載せた立客TK(TK1)の臀部TK11を、安定的に支持することによって、臀部TK11の位置ズレを抑制でき、より一層安心して心地よく座ることができる。
【0081】
<本実施形態に係る車両用ヒップレスト(第4実施例)>
次に、本実施形態に係る第4実施例の車両用ヒップレストについて、
図11~
図13を用いて説明する。
図11に、本実施形態に係る第4実施例の車両用ヒップレストの斜視図を示す。
図12に、
図11に示すD-D断面図を示す。
図13に、
図12に示すE-E断面図を示す。なお、図中に示す上下、内外、前後の矢印は、鉄道車両における方向を示したものである。
【0082】
図11~
図13に示すように、本実施形態に係る第4実施例の車両用ヒップレスト10Dは、鉄道車両TSのフリースペースTMを構成する車両の内壁面NHに設置され立客TKの一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部2Dを備えた車両用ヒップレスト10Dである。支持部2Dは、車両の内壁面NHに対して、直接設置されても、他の部材を介して設置されても良いが、ここでは、車両の内壁面NHに沿って水平状に設置された手摺り1を備え、支持部2Dは当該手摺り1に装着されている。
【0083】
また、支持部2Dには、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22Dを内蔵した支持本体部21Dと、当該支持本体部21Dの上端部211Dにおける車両外方部211Dbから上方に延設された上支持部23Dと、支持本体部21Dの下端部213Dにおける車両内方部213Daから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24Dとを備えている。
【0084】
なお、支持部2Dは、上支持部23Dと支持本体部21Dと下支持部24Dとが上下方向で略S字状に湾曲して連続状に形成されている。また、上支持部23Dは、内端部232Dが略円弧形状の断面に形成され、支持本体部21Dと下支持部24Dとは、各内端部212D、242Dが一体の略円弧形状又は略くの字形状の断面に形成されている。また、支持本体部21Dの車両内外方向の最大厚さが上支持部23D及び下支持部24Dの車両内外方向の最大厚さより大きく形成されている。また、支持部2Dは、表皮部材25Dによって外縁が被覆されている。
【0085】
そのため、第1実施例と同様に、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TK(TK1~TK4)が、支持部2Dの適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。よって、本第4実施例の車両用ヒップレスト10Dによれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TKが、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレスト10Dを提供することができる。
【0086】
また、支持部2Dは、一人用の横幅w1に形成され、手摺り1の長手方向に沿って所定の隙間d1を有して配置されている。これによって、支持部2Dに座り又は凭れる立客TKは、隣の立客TKに対して肩が触れ合わないパーソナルスペースを確保しつつ、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、支持部2D同士の隙間d1に露出した手摺り1を咄嗟に把持することができる。また、車椅子を使用する乗客が、手摺り1を把持することもできる。そのため、立客TKが車両用ヒップレスト10Dを安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができると共に、車椅子を使用する乗客の安全性を高めることができる。また、客先の要求仕様(例えば、車両に対する最大乗客数等)に合わせて、支持部2Dの数量を調節することができる。なお、支持部2Dを手摺り1に沿ってスライド可能に形成することによって、混雑時には支持部2Dを寄せて、車両への乗車可能な人数を増加させることができる。
【0087】
また、内壁面NHには、上支持部23Dの内端部232Dより車両外方に設置された上手摺り12と、当該上手摺り12より車両下方に設置された下手摺り11とを備え、上支持部23Dは、上手摺り12に着脱可能に装着され、支持本体部21Dは、下手摺り11に着脱可能に装着されていることが好ましい。
【0088】
上支持部23Dは、例えば、板バネ部材から成る上支持板231Dを備え、上支持板231Dを略C字状に折り曲げて、上手摺り12に係合可能に形成されている。また、支持本体部21Dは、例えば、板バネ部材から成る下支持板241Dを備え、下支持板241Dを逆U字状に折り曲げて、下手摺り11に係合可能に形成されている。上支持板231Dと下支持板241Dは、クッション部材22Dを保持するクッション保持板26Dに連結されている。なお、下支持板241Dは、クッション部材22Dから延設され下支持部24Dに内蔵される下クッション部材22Dbを保持するように形成されている。
【0089】
上記構成によって、鉄道車両TSにおけるフリースペースTMの混雑具合に応じて、手摺り1に装着する支持部2Dの数量を簡単に調節することができる。例えば、通勤型車両では、混雑する朝夕の時間帯において、手摺り1に装着する支持部2Dを減少させ又は無くすことによって、より多くの立客TKが乗車でき、また、その他の比較的空いた時間帯において、手摺り1に装着する支持部2Dの数量を増加させることによって、より多くの立客TKが支持部2Dを利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。なお、支持部2Dを手摺り1に沿ってスライド可能に形成することによって、混雑時には支持部2Dを寄せて、車両への乗車可能な人数を増加させることができる。また、客先の要求仕様(例えば、車両に対する最大乗客数等)に合わせて、支持部2Dの数量を調節することができる。
【0090】
また、支持部2D同士の間には、仕切り板3Dが配置されていることが好ましい。仕切り板3Dは、例えば、その外縁部31Dが支持部2Dの外縁より車内側へ突出し、上部が略S字形状で下部が略円弧形状に形成されている。また、仕切り板3Dの基端部32Dは、取付金具33Dによって車両の内壁面NHに締結されている。仕切り板3Dには、上手摺り12と下手摺り11とが貫通されている。
【0091】
上記構成によって、支持部2Dに座り又は凭れる立客TKは、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、支持部2D同士の間に配置された仕切り板3Dを咄嗟に把持することができる。また、支持部2Dに座り又は凭れた立客TKの側部を仕切り板3Dによって保護し、隣の立客TKの衝突等を回避させることができる。そのため、立客TKが車両用ヒップレスト10Dをより一層安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0092】
<本実施形態に係る車両用ヒップレスト(第5実施例)>
次に、本実施形態に係る第5実施例の車両用ヒップレストについて、
図14、
図15を用いて説明する。
図14に、本実施形態に係る第5実施例の車両用ヒップレストの斜視図を示す。
図15に、
図14に示すF-F断面図を示す。なお、図中に示す上下、内外、前後の矢印は、鉄道車両における方向を示したものである。
【0093】
図14、
図15に示すように、本実施形態に係る第5実施例の車両用ヒップレスト10Eは、鉄道車両TSのフリースペースTMを構成する車両の内壁面NHに設置され立客TKの一部を載せ又は凭れかからせることができる複数の支持部2Eを備えた車両用ヒップレスト10Eである。支持部2Eは、車両の内壁面NHに対して、直接設置されても、他の部材を介して設置されても良いが、ここでは、車両の内壁面NHに沿って水平状に設置された手摺り1Eを備え、支持部2Eは当該手摺り1Eに装着されている。
【0094】
また、支持部2Eには、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22Eを内蔵した支持本体部21Eと、当該支持本体部21Eの上端部211Eにおける車両外方部211Ebから上方に延設された上支持部23Eと、支持本体部21Eの下端部213Eにおける車両内方部213Eaから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24Eとを備えている。
【0095】
なお、支持部2Eは、上支持部23Eと支持本体部21Eと下支持部24Eとが上下方向で略S字状に湾曲して連続状に形成されている。また、上支持部23Eは、内端部232Eが略円弧形状の断面に形成され、支持本体部21Eと下支持部24Eとは、各内端部212E、242Eが一体の略円弧形状又は略くの字形状の断面に形成されている。また、支持本体部21Eの車両内外方向の最大厚さが上支持部23E及び下支持部24Eの車両内外方向の最大厚さより大きく形成されている。また、支持部2Eは、表皮部材25Eによって外縁が被覆されている。
【0096】
そのため、第1実施例と同様に、身長の高い大人から身長の低い子供まで、伸長の異なる立客TK(TK1~TK4)が、支持部2Eの適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。よって、本第5実施例の車両用ヒップレスト10Eによれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TKが、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレスト10Eを提供することができる。
【0097】
また、内壁面NHには、上支持部23Eの内端部232Eより車両外方に設置された上手摺り12Eと、当該上手摺り12Eより車両下方に設置された下手摺り11Eとが貫通する仕切り板3Eが取付金具33Eを介して取り付けられ(詳細後述)、上支持部23Eは、上手摺り12Eに着脱可能に装着され、支持本体部21Eは、下手摺り11Eに着脱可能に装着されていることが好ましい。
【0098】
上支持部23Eは、例えば、板バネ部材から成る上支持板231Eを備え、上支持板231Eを略C字状に折り曲げて、上手摺り12Eに係合可能に形成されている。また、支持本体部21Eは、例えば、板バネ部材から成る下支持板241Eを備え、下支持板241Eを逆U字状に折り曲げて、下手摺り11Eに係合可能に形成されている。上支持板231Eと下支持板241Eは、クッション部材22Eを保持するクッション保持板26Eに連結されている。なお、下支持板241Eは、クッション部材22Eから延設され下支持部24Eに内蔵される下クッション部材22Ebを保持するように形成されている。
【0099】
上記構成によって、鉄道車両TSにおけるフリースペースTMの混雑具合に応じて、手摺り1Eに装着する支持部2Eの数量を簡単に調節することができる。例えば、通勤型車両では、混雑する朝夕の時間帯において、手摺り1Eに装着する支持部2Eを減少させ又は無くすことによって、より多くの立客TKが乗車でき、また、その他の比較的空いた時間帯において、手摺り1Eに装着する支持部2Eの数量を増加させることによって、より多くの立客TKが支持部2Eを利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。また、客先の要求仕様(例えば、車両に対する最大乗客数等)に合わせて、支持部2Eの数量を調節することができる。
【0100】
また、支持部2E同士の間には、仕切り板3Eが配置されていることが好ましい。仕切り板3Eは、支持部2Eの両側部(ここでは、車両前後方向の両側)に配置されている。また、仕切り板3Eは、例えば、その外縁部31Eが支持部2Eの外縁より車内側へ突出し、略半楕円弧形状に形成されている。また、仕切り板3Eの基端部32Eは、取付金具33Eによって車両の内壁面NHに締結されている。仕切り板3Eには、上手摺り12Eと下手摺り11Eとが貫通されている。
【0101】
上記構成によって、支持部2Eに座り又は凭れる立客TKは、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、支持部2E同士の間に配置された仕切り板3Eを咄嗟に把持することができる。また、支持部2Eに座り又は凭れた立客TKの側部を仕切り板3Eによって保護し、隣の立客TKの衝突等を回避させることができる。そのため、立客TKが車両用ヒップレスト10Eをより一層安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0102】
なお、支持部2Eは、一人用の横幅w1に形成されている。これによって、支持部2Eに座り又は凭れる立客TKは、隣の立客TKに対して肩が触れ合わないパーソナルスペースを確保しつつ、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、支持部2E同士の間の仕切り板3Eを咄嗟に把持することができる。
【0103】
また、上手摺り12Eと下手摺り11Eとが、仕切り板3Eにそれぞれ連結され、長手方向端部13EでU字状に湾曲して一体化され、仕切り板3Eは、内壁面NHに装着されていることが好ましい。
【0104】
上記構成によって、支持部2Eに座り又は凭れる立客TKの荷重を、仕切り板3Eを介して車両の内壁面NHに伝達することができる。そのため、支持部2Eが装着される手摺り1Eの長手方向端部13Eは、車両の内壁面NHに直接連結する必要がない。したがって、車両用ヒップレスト10Eの設置場所における自由度が増加すると共に、車両用ヒップレスト10Eを長手方向でよりコンパクトに形成でき、狭いフリースペースTMでも、より多くの立客TKの利用に供することができる。
【0105】
また、仕切り板3Eの外縁部31Eには、持ち手用の切欠き孔34Eが形成されていることが好ましい。切欠き孔34Eは、仕切り板3Eの上下方向の中央付近で、縦長の略三角形状に形成されている。この場合、支持部2Eに座り又は凭れる立客TKは、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、仕切り板3Eの外縁部31Eを手摺り代わりに素早く把持することができる。そのため、支持部2E同士の間に手摺り1Eが露出していなくても、立客TKは、仕切り板3Eの外縁部31Eを把持することによって、転倒等を回避させることができる。したがって、立客TKは、よりコンパクトな車両用ヒップレスト10Eをより安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0106】
<変形例>
本発明は、要旨を変更しない範囲で、各種形態に変更できることは言うまでもない。例えば、本実施形態では、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2D、2Eには、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22、22B、22C、22D、22Eを内蔵した支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eと、当該支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの上端部211、211B、211C、211D、211Eにおける車両外方部211b、211Bb、211Cb、211Db、211Ebから上方に延設された上支持部23、23B、23B1、23C、23C1、23D、23Eと、支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの下端部213、213B、213C、213D、213Eにおける車両内方部213a、213Ba213Ca、213Da、213Eaから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24、24B、24B1、24C、24C1、24D、24Eとを備えているが、必ずしもこれに限る必要はない。
【0107】
例えば、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2D、2Eは、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22、22B、22C、22D、22Eを内蔵した支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eと、当該支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの上端部211、211B、211C、211D、211Eにおける車両外方部211b、211Bb、211Cb、211Db、211Ebから上方に延設された上支持部23、23B、23B1、23C、23C1、23D、23Eとを備えたものでも良い。また、支持部2は、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22を内蔵した支持本体部21と、支持本体部21の下端部213における車両内方部213aから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24とを備えたものでも良い。
【0108】
また、例えば、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2D、2Eは、車両内方へ湾曲状に突出した支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eと、当該支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの上端部211、211B、211C、211D、211Eにおける車両外方部211b、211Bb、211Cb、211Db、211Ebから上方に延設された上支持部23、23B、23B1、23C、23C1、23D、23Eとを備えたものでも良い。また、支持部2は、車両内方へ湾曲状に突出した支持本体部21と、支持本体部21の下端部213における車両内方部213aから下方に延設された下支持部24とを備えたものでも良い。この場合、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2D、2Eは、FRP(Fiber Reinforced Plastics)等の樹脂部材で形成しても良い。
【0109】
また、本実施形態の手摺り1、1Eは、鉄道車両TSのフリースペースTMを構成する車両の内壁面NHに沿って水平状に設置されているが、直接、内壁面NHに設置する必要はなく、ブラケット等を介して設置しても良い。また、側窓GMの窓枠等に設置しても良く、設置場所を限定するものではない。また、手摺り1、1Eは、大人の立客TKが、腰部付近で把持でき、手摺りとして使用できるものであれば、特に限定されることはない。
【0110】
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る車両用ヒップレスト10、10B、10B1、10C、10C1、10D、10Eによれば、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2D、2Eには、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22、22B、22C、22D、22Eを内蔵した支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eと、当該支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの上端部211、211B、211C、211D、211Eにおける車両外方部211b、211Bb、211Cb、211Db、211Ebから上方に延設された上支持部23、23B、23B1、23C、23C1、23D、23Eとを備えているので、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)は、支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの内端部212、212B、212C、212D、212Eに、クッション部材22、22B、22C、22D、22Eを撓ませながら太ももTK12を凭れかからせ、また、支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの上端部211、211B、211C、211D、211Eにおける車両内方部211a、211Ba、211Ca、211Da、211Eaに、クッション部材22、22B、22C、22D、22Eを撓ませながら臀部TK11を載せることができる。
【0111】
また、身長の中程度又は低い大人の女性の立客TK(TK2、TK3)は、支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの内端部212、212B、212C、212D、212Eに、クッション部材22、22B、22C、22D、22Eを撓ませながら臀部TK21、TK31又は太ももTK22、TK32を凭れかからせることができる。また、身長の更に低い子供の立客TK(TK4)は、支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの下端部213、213B、213C、213D、213Eに、支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eのクッション部材22、22B、22C、22D、22Eを撓ませながら腰上部TK43又は背中TK44を凭れかからせることができる。そのため、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TK(TK1、TK2、TK3、TK4)が、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2D、2Eの適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0112】
よって、本実施形態によれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TKが、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレスト10、10B、10B1、10C、10C1、10D、10Eを提供することができる。
【0113】
また、本実施形態に係る車両用ヒップレスト10、10B、10B1、10C、10C1、10D、10Eによれば、支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1、21D、21Eの下端部213、213B、213C、213D、213Eにおける車両内方部213a、213Ba、213Ca、213Da、213Eaから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24、24B、24B1、24C、24C1、24D、24Eを備えているので、身長のより一層低い子供の立客TK(TK4)は、下支持部24、24B、24B1、24C、24C1、24D、24Eに、下支持部24、24B、24B1、24C、24C1、24D、24Eを車両外方側へ弾性変形させながら腰上部TK43又は背中TK44を凭れかからせることができる。そのため、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長のより一層異なる立客TK(TK1、TK2、TK3、TK4)が、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2D、2Eの適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0114】
また、本実施形態によれば、内壁面NHには、上支持部23、23B、23B1、23C、23C1の内端部232、232B、232Cより車両外方に設置された上手摺り12と、当該上手摺り12より車両下方に設置された下手摺り11とを備え、支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1は、クッション部材22、22B、22Cを保持するクッション保持板26、26B、26Cを介して下手摺り11に連結されているので、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1の上端部211、211B、211Cにおける車両内方部211a、211Ba、211Caに臀部TK11を載せた場合、臀部TK11の背面側が上支持部23、23B、23B1、23C、23C1によって規制され、腰上部TK13又は背中TK14が上手摺り12に干渉することを回避できる。そのため、立客TK(TK1)の臀部TK11を支持本体部21、21B、21B1、21C、21C1の上端部211、211B、211Cにおける車両内方部211a、211Ba、211Caに安心して載せ、より一層心地よく座ることができる。
【0115】
また、本実施形態によれば、上支持部23には、クッション部材22から延設された薄肉状の上クッション部材22aと、当該上クッション部材22aを保持しクッション保持板26から延設された弾性部材から成る上支持板231とを備えたので、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21の上端部211における車両内方部211aに臀部TK11を載せた場合、上支持部23の上クッション部材22aが撓み、上支持板231が弾性変形することによって、上支持部23が臀部TK11の背面側を優しく包み込むことができる。そのため、支持本体部21の上端部211における車両内方部211aに載せた立客TK(TK1)の臀部TK11の背面側を、上支持部23が車両外方側から優しく包み込むことによって、臀部TK11の位置ズレを抑制しつつ、より一層安定して心地よく座ることができる。
【0116】
また、本実施形態によれば、上支持部23B、23B1には、クッション部材22Bから延設された薄肉状の上クッション部材22Baと、当該上クッション部材22Baを保持しクッション保持板26Bから延設された上支持板231Bとを備え、上支持板231Bの上端部231Baは、上手摺り12に連結されているので、支持部2B、2B1を上下に離間した上手摺り12と下手摺り11とで支えることができ、車両用ヒップレスト10B、10B1における耐荷重を向上させることができる。また、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21B、21B1の上端部211Bにおける車両内方部211Baに臀部TK11を載せた場合、上支持部23B、23B1が臀部TK11の背面側を安定的に支持することができる。そのため、鉄道車両TSが枕木方向(内外方向)へ揺れた場合でも、支持本体部21B、21B1の上端部211Bにおける車両内方部211Baに載せた立客TK(TK1)の臀部TK11を、上支持部23B、23B1が車両外方から確実に支持することによって、臀部TK11の位置ズレを抑制でき、より一層安定して心地よく座ることができる。
【0117】
また、本実施形態によれば、上支持部23C、23C1は、薄肉断面に形成され、上支持部23C、23C1の上端部23Caは、上手摺り12に着脱可能に連結されているので、支持本体部21C、21C1の上端部211C、211C1における車両内方部211Caの着座スペースを拡大でき、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21C、21C1の上端部211C、211C1における車両内方部211Caに臀部TK11をゆったりと載せることができる。その場合でも、上支持部23C、23C1が臀部TK11の背面側を安定的に支持することもできる。また、体格の良い立客TK(TK1)が座る場合には、上支持部23C、23C1の上端部23Caを上手摺り12から離脱させ、支持本体部21C、21C1の上端部211C、211C1に、より広い着座スペースを確保することができる。そのため、支持本体部21C、21C1の上端部211C、211C1には、立客TK(TK1)の体格等に応じた広い着座スペースを確保でき、より一層安定して心地よく座ることができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、支持本体部21C1の上端部211C1には、バケット状に形成された座部SZを備えているので、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)が、支持本体部21C1の上端部211C1に備えバケット状に形成された座部SZに、臀部TK11をゆったりと載せることができる。その場合、バケット状に形成された座部SZが臀部TK11の両側面及び背面を安定的に支持することができる。そのため、鉄道車両TSが枕木方向(内外方向)や上下方向に揺れた場合でも、座部SZに載せた立客TK(TK1)の臀部TK11を、安定的に支持することによって、臀部TK11の位置ズレを抑制でき、より一層安心して心地よく座ることができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、内壁面NHには、上支持部23D、23Eの内端部232D、232Eより車両外方に設置された上手摺り12、12Eと、当該上手摺り12、12Eより車両下方に設置された下手摺り11、11Eとを備え、上支持部23D、23Eは、上手摺り12、12Eに着脱可能に装着され、支持本体部21D、21Eは、下手摺り11、11Eに着脱可能に装着されているので、鉄道車両TSにおけるフリースペースTMの混雑具合に応じて、手摺り1、1Eに装着する支持部2D、2Eの数量を簡単に調節することができる。例えば、通勤型車両では、混雑する朝夕の時間帯において、手摺り1に装着する支持部2D、2Eを減少させ又は無くすことによって、より多くの立客TKが乗車でき、また、その他の比較的空いた時間帯において、手摺り1、1Eに装着する支持部2D、2Eの数量を増加させることによって、より多くの立客TKが支持部2D、2Eを利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。また、客先の要求仕様(例えば、車両に対する最大乗客数等)に合わせて、支持部2D、2Eの数量を調節することができる。
【0120】
また、本実施形態によれば、支持部2D、2E同士の間には、仕切り板3D、3Eが配置されているので、支持部2D、2Eに座り又は凭れる立客TKは、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、支持部2D、2E同士の間に配置された仕切り板3D、3Eを咄嗟に把持することができる。また、支持部2D、2Eに座り又は凭れた立客TKの側部を仕切り板3D、3Eによって保護し、隣の立客TKの衝突等を回避させることができる。そのため、立客TKが車両用ヒップレスト10D、10Eをより一層安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0121】
また、本実施形態によれば、上手摺り12Eと下手摺り11Eとが、仕切り板3Eにそれぞれ連結され、長手方向端部13EでU字状に湾曲して一体化され、仕切り板3Eは、内壁面NHに装着されているので、支持部2Eに座り又は凭れる立客TKの荷重を、仕切り板3Eを介して車両の内壁面NHに伝達することができる。そのため、支持部2Eが装着される手摺り1Eの長手方向端部13Eは、車両の内壁面NHに直接連結する必要がない。したがって、車両用ヒップレスト10Eの設置場所における自由度が増加すると共に、車両用ヒップレスト10Eを長手方向でよりコンパクトに形成でき、狭い多目的スペースTMでも、より多くの立客TKの利用に供することができる。
【0122】
また、本実施形態によれば、仕切り板3Eの外縁部31Eには、持ち手用の切欠き孔34Eが形成されているので、支持部2Eに座り又は凭れる立客TKは、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、仕切り板3Eの外縁部31Eを手摺り代わりに素早く把持することができる。そのため、支持部2E同士の間に手摺り1Eが露出していなくても、立客TKは、仕切り板3Eの外縁部31Eを把持することによって、転倒等を回避させることができる。したがって、立客TKは、よりコンパクトな車両用ヒップレスト10Eをより安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0123】
また、本実施形態によれば、支持部2には、車両内方へ湾曲状に突出しクッション部材22を内蔵した支持本体部21と、当該支持本体部21の下端部213における車両内方部213aから下方に延設され車両外方側へ弾性変形可能に形成された下支持部24とを備えているので、身長の高い大人の男性の立客TK(TK1)は、支持本体部21の内端部212に、クッション部材22を撓ませながら太ももを凭れかからせ、また、支持本体部21の上端部211における車両内方部211aに、クッション部材22を撓ませながら臀部TK11を載せることができる。
【0124】
また、身長の中程度又は低い大人の女性の立客TK(TK2、TK3)は、支持本体部21の内端部212に、クッション部材22を撓ませながら臀部TK21、TK31又は太ももTK22、TK32を凭れかからせることができる。また、身長の更に低い子供の立客TK(TK4)は、支持本体部21の下端部213に、支持本体部21のクッション部材22を撓ませながら腰上部TK43又は背中を凭れかからせ、又は下支持部を車両外方側へ弾性変形させながら腰上部又は背中TK44を凭れかからせることができる。そのため、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TKが、支持部2の適所に対して、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる。
【0125】
よって、本実施形態によれば、身長の高い大人から身長の低い子供まで、身長の異なる立客TKが、それぞれ心地よく座り又は凭れかかることができる車両用ヒップレスト10を提供することができる。
【0126】
また、本実施形態によれば、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2Dは、一人用又は複数人用の横幅(w1、w2)に形成され、手摺り1の長手方向に沿って所定の隙間d1を有して配置されているので、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2Dに座り又は凭れる立客TKは、鉄道車両TSの急停車又は揺れ等に対して、支持部2、2B、2B1、2C、2C1、2D同士の隙間に露出した手摺り1を咄嗟に把持することができる。そのため、立客TKが車両用ヒップレスト10、10B、10B1、10C、10C1、10Dを安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができる。また、車椅子を使用する乗客が、手摺り1を把持することもできる。そのため、立客TKが車両用ヒップレスト10、10B、10B1、10C、10C1、10Dを安全に利用して、心地よく座り又は凭れかかることができると共に、車椅子を使用する乗客の安全性を高めることができる。なお、一人用の支持部2、2B、2C、2C1、2Dでは、隣の立客TKに対して肩が触れ合わないパーソナルスペースを確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、身長の異なる乗客が利用しやすく形成された車両用ヒップレストとして利用できる。
【符号の説明】
【0128】
1、1E 手摺り
2、2B、2B1、2C 支持部
2C1、2D、2E 支持部
3D、3E 仕切り板
10、10B、10B1、10C 車両用ヒップレスト
10C1、10D、10E 車両用ヒップレスト
11、11E 下手摺り
12、12E 上手摺り
13E 長手方向端部
21、21B、21B1、21C 支持本体部
21C1、21D、21E 支持本体部
22、22B、22C クッション部材
22a、22Ba 上クッション部材
22D、22E クッション部材
23、23B、23B1、23C 上支持部
23Ca 上端部
23D、23E 上支持部
24、24B、24B1、24C 下支持部
24D、24E 下支持部
26、26B、26C クッション保持板
26D、26E クッション保持板
31E 外縁部
34E 切欠き孔
211、211B、211C 上端部
211C1、211D、211E 上端部
211b、211Bb、211Cb 車両外方部
211Db、211Eb 車両外方部
212、212B、212C 内端部
212D、212E 内端部
213、213B、213C 下端部
213D、213E 下端部
213a、213Ba、213Ca 車両内方部
213Da、213Ea 車両内方部
231、231B 上支持板
231Ba 上端部
NH 内壁面
SZ 座部
TK、TK1、TK2 立客
TK3、TK4 立客
TM 多目的スペース
TS 鉄道車両
d1 隙間
w1、w2 横幅