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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141769
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20230928BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20230928BHJP
   E04G 23/08 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E02F3/40 Z
E02F9/00 K
E04G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048253
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輝
(72)【発明者】
【氏名】朝日 駿佑
(72)【発明者】
【氏名】加庭 啓充
(72)【発明者】
【氏名】天童 作
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓人
【テーマコード(参考)】
2D012
2D015
2E176
【Fターム(参考)】
2D012GB02
2D015BA02
2E176AA01
2E176DD01
2E176DD10
2E176DD64
(57)【要約】
【課題】アタッチメントシリンダの側面を適切に保護することができる作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械は、フロント作業機の幅方向においてアタッチメントシリンダ(18)に対向して配置され、第2リンクロッドの回動に応じて互いの重なり量が増減するように第2リンクロッド(19b)の回動中心回りに相対回動可能な状態で、相互に連結された複数のプレート(23~30)を有するサイドガード(21)を備え、相互に連結された複数のプレート(23)のうち、回動方向の一端のプレート(23)は第2リンクロッド(19b)と一体的に回動し、回動方向の他端のプレート(30)はアーム(13)に固定されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に支持された上部旋回体と、
前記上部旋回体に支持されて動作するフロント作業機とを備え、
前記フロント作業機は、
前記上部旋回体に起伏可能に支持されたブームと、
前記ブームの先端に回動可能に支持されたアームと、
前記アームの先端に回動可能に支持されたアタッチメントと、
作動油が給排されることによって伸縮するアタッチメントシリンダと、
前記アタッチメントシリンダが伸長したときに前記アタッチメントをダンプさせ、前記アタッチメントシリンダが縮小したときに前記アタッチメントをクラウドさせるリンク機構とを有する作業機械において、
前記アームは、
前記フロント作業機の幅方向において互いに対向する一対の側面と、
一対の前記側面の端部同士に接続され、前記アームが前記ブーム側に折り畳まれたときに前記ブームと対面する腹面と、
一対の前記側面の端部同士に接続され、前記フロント作業機の幅方向に直交する方向において前記腹面に対向する背面とを有し、
前記アタッチメントシリンダは、前記アームの前記腹面側に配置され、
前記リンク機構は、
前記アームの前記背面側において、一端が前記アタッチメントに回動可能に連結された第1リンクロッドと、
前記アームの前記側面に回動可能に支持され、一端が前記アームの前記背面側に突出して前記第1リンクロッドの他端に回動可能に連結され、他端が前記アームの前記腹面側に突出して前記アタッチメントシリンダに回動可能に連結された第2リンクロッドとを有し、
前記フロント作業機の幅方向において前記アタッチメントシリンダに対向して配置され、前記第2リンクロッドの回動に応じて互いの重なり量が増減するように前記第2リンクロッドの回動中心回りに相対回動可能な状態で、相互に連結された複数のプレートを有するサイドガードを備え、
相互に連結された複数の前記プレートのうち、回動方向の一端の前記プレートは前記第2リンクロッドと一体的に回動し、前記回動方向の他端の前記プレートは前記アームに固定されていることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記第2リンクロッドの前記他端側に固定されて前記アームの前記腹面側において前記アタッチメント及び前記アタッチメントシリンダの間に介在するフロントガードを備えることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
前記回動方向の一端の前記プレートは、前記フロントガードに固定されていることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記サイドガードの隣接する2つの前記プレートそれぞれは、
一方の前記プレートを厚み方向に貫通して、前記回動方向に延びるガイド穴と、
他方の前記プレートから厚み方向に突出して、前記ガイド穴に挿入される突起と、
前記突起に外挿されて、隣接する2つの前記プレートの間に介在するスペーサと、
前記ガイド穴を通過した前記突起の先端側に着脱可能に取り付けられて、前記ガイド穴から前記突起が抜けるのを阻止する抜け止め部材とによって、相対回動可能に連結されていることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機械において、
前記プレートには、前記第2リンクロッドの回動中心からの距離が異なる複数の位置に、前記ガイド穴が形成されていることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメントシリンダを搭載した作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
高所の解体作業に使用される作業機械は、例えば、上部旋回体に起伏可能に支持されたブームと、ブームの先端に回動可能に支持されたアームと、アームの先端に回動可能に支持されたアタッチメントと、作動油が給排されることによって伸縮するアタッチメントシリンダと、アタッチメントシリンダが伸長したときにアタッチメントをダンプさせ、アタッチメントシリンダが縮小したときにアタッチメントをクラウドさせるリンク機構とを備える。
【0003】
また、このような作業機械には、アタッチメントシリンダを保護するために、シリンダ保護カバーが取り付けられることがある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載のシリンダ保護カバーは、蛇腹状の可撓性シートをシリンダロッドに被せることによって、アタッチメントシリンダを保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-163958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
障害物に囲まれた狭い場所で解体作業を行う場合において、上部旋回体を旋回させると、アタッチメントシリンダの側面が障害物に接触する可能性がある。しかしながら、特許文献1に記載のシリンダ保護カバーは、アタッチメントシリンダを塵埃から保護することができるに過ぎず、鉄筋やコンクリート等の障害物からアタッチメントシリンダを保護することはできない。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アタッチメントシリンダの側面を適切に保護することができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に支持された上部旋回体と、前記上部旋回体に支持されて動作するフロント作業機とを備え、前記フロント作業機は、前記上部旋回体に起伏可能に支持されたブームと、前記ブームの先端に回動可能に支持されたアームと、前記アームの先端に回動可能に支持されたアタッチメントと、作動油が給排されることによって伸縮するアタッチメントシリンダと、前記アタッチメントシリンダが伸長したときに前記アタッチメントをダンプさせ、前記アタッチメントシリンダが縮小したときに前記アタッチメントをクラウドさせるリンク機構とを有する作業機械において、前記アームは、前記フロント作業機の幅方向において互いに対向する一対の側面と、一対の前記側面の端部同士に接続され、前記アームが前記ブーム側に折り畳まれたときに前記ブームと対面する腹面と、一対の前記側面の端部同士に接続され、前記フロント作業機の幅方向に直交する方向において前記腹面に対向する背面とを有し、前記アタッチメントシリンダは、前記アームの前記腹面側に配置され、前記リンク機構は、前記アームの前記背面側において、一端が前記アタッチメントに回動可能に連結された第1リンクロッドと、前記アームの前記側面に回動可能に支持され、一端が前記アームの前記背面側に突出して前記第1リンクロッドの他端に回動可能に連結され、他端が前記アームの前記腹面側に突出して前記アタッチメントシリンダに回動可能に連結された第2リンクロッドとを有し、前記フロント作業機の幅方向において前記アタッチメントシリンダに対向して配置され、前記第2リンクロッドの回動に応じて互いの重なり量が増減するように前記第2リンクロッドの回動中心回りに相対回動可能な状態で、相互に連結された複数のプレートを有するサイドガードを備え、相互に連結された複数の前記プレートのうち、回動方向の一端の前記プレートは前記第2リンクロッドと一体的に回動し、前記回動方向の他端の前記プレートは前記アームに固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アタッチメントシリンダの側面を適切に保護することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る作業機械の側面図である。
図2】油圧シリンダを収縮させたときのカッターの姿勢を示す図である。
図3】油圧シリンダを伸長させたときのカッターの姿勢を示す図である。
図4】フロントガードの斜視図である。
図5】回動方向の一端のプレート周辺の斜視図である。
図6】隣接するプレートの分解斜視図である。
図7】回動方向の他端のプレート周辺の斜視図である。
図8】油圧シリンダを収縮させたときのサイドガードを示す図である。
図9】油圧シリンダを伸長させたときのサイドガードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る作業機械の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る作業機械1の側面図である。なお、本明細書中の前後左右は、特に断らない限り、作業機械1に搭乗して操作するオペレータの視点を基準としている。
【0011】
作業機械1は、下部走行体2と、下部走行体2に支持された上部旋回体3とを備える。下部走行体2は、左右一対のクローラ8を備える。そして、走行モータ(図示省略)の回転が伝達されて左右一対のクローラ8が回転すると、作業機械1が走行する。但し、下部走行体2は、クローラ8に代えて、装輪式であってもよい。
【0012】
上部旋回体3は、下部走行体2に旋回可能に支持されている。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の前方左側に配置されたキャブ(運転席)7と、旋回フレーム5の前端中央に上下方向に回動可能に取り付けられたフロント作業機10と、旋回フレーム5の後部に配置されてフロント作業機10との重量バランスを取るカウンタウェイト6とを主に備える。
【0013】
キャブ7には、作業機械1を操作するオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。キャブ7の内部には、オペレータが着席するシート(図示省略)と、シートに着席したオペレータが操作する操作装置(ステアリング、ペダル、レバー、スイッチなど)が配置されている。そして、キャブ7に搭乗したオペレータが操作装置を操作することによって、下部走行体2が走行し、上部旋回体3が旋回し、フロント作業機10が動作する。
【0014】
フロント作業機10は、上部旋回体3に支持されて動作する。図1に示すように、フロント作業機10は、ブーム11と、第1アーム12と、第2アーム13と、カッター(アタッチメント)14と、ブームシリンダ15、第1アームシリンダ16と、第2アームシリンダ17と、アタッチメントシリンダ18と、リンク機構19と、シリンダガード20とを主に備える。なお、フロント作業機10は、第1アーム12及び第2アーム13を備えるマルチアーム式に限定されず、第1アーム12及び第2アーム13の一方のみを備えるシングルアーム式でもよい。
【0015】
ブーム11は、上部旋回体3に起伏可能に支持されている。ブーム11は、ブームシリンダ15の伸縮によって、上部旋回体3に対して起伏する。第1アーム12は、ブーム11の先端に回動可能に取り付けられている。また、第1アーム12は、第1アームシリンダ16の伸縮によって、ブーム11に対して回動する。第2アーム13は、第1アーム12の先端に回動可能に取り付けられている。また、第2アーム13は、第2アームシリンダ17の伸縮によって、第1アーム12に対して回動する。
【0016】
第2アーム13は、腹面13aと、背面13bと、左側面(側面)13cと、右側面(図示省略)とを有する。左側面13c及び右側面(一対の側面)は、左右方向(フロント作業機10の幅方向)において、互いに対向する面である。腹面13a及び背面13bは、左右方向に直交する方向において、互いに対向する面である。また、腹面13aは、第2アームシリンダ17が収縮して、第2アーム13がブーム11側に折り畳まれたときに、ブーム11と対面する面である。さらに、腹面13a及び背面13bそれぞれは、左側面13c及び右側面の端部同士に接続される。
【0017】
図2は、アタッチメントシリンダ18を収縮させたときのカッター14の姿勢を示す図である。図3は、アタッチメントシリンダ18を伸長させたときのカッター14の姿勢を示す図である。なお、図2及び図3では、シリンダガード20の図示を省略している。
【0018】
カッター14は、対象物(例えば、建築物など)を把持して解体するためのアタッチメントの一例である。図2及び図3に示すように、カッター14は、取付ブラケット14aと、旋回モータ14bと、一対の刃14c、14dと、一対の油圧シリンダ14e、14fとを主に備える。なお、アタッチメントはカッター14に限定されず、バケット、フック、リフティングマグネット、ブレーカ、フォークなどであってもよい。
【0019】
取付ブラケット14aは、左右方向(フロント作業機10の幅方向)に延びるピン14gによって、第2アーム13の先端に回動可能に支持されている。また、取付ブラケット14aは、左右方向に延びるピン14hによって、後述する第1リンクロッド19aの一端に回動可能に連結されている。ピン14hは、ピン14gより第2アーム13の背面13b側に配置されている。
【0020】
旋回モータ14bは、作動油が給排されることによって取付ブラケット14aに対して構成部品14c~14fを回動させる。旋回モータ14bは、ピン14g、14hと直交する方向に延びる回動軸線回りに、構成部品14c~14fを回動させる。作動油は、上部旋回体3に搭載された油圧ポンプ(図示省略)から旋回モータ14bに供給され、旋回モータ14bから上部旋回体3に搭載された作動油タンク(図示省略)に還流する。
【0021】
一対の刃14c、14dは、一対の油圧シリンダ14e、14fに作動油が給排されることによって、開閉される。より詳細には、油圧シリンダ14e、14fのボトム室に作動油が供給され、ロッド室から作動油が排出されることによって、一対の刃14c、14dが閉じる。一方、油圧シリンダ14e、14fのロッド室に作動油が供給され、ボトム室から作動油が排出されることによって、一対の刃14c、14dが開く。
【0022】
アタッチメントシリンダ18は、作動油が給排されることによって伸縮する。アタッチメントシリンダ18は、シリンダチューブ18aと、ピストン(図示省略)と、シリンダロッド18bと、キャップ18cとを有する。アタッチメントシリンダ18は、第2アーム13の腹面13a側に配置されている。より詳細には、アタッチメントシリンダ18は、第2アーム13の腹面13aに沿って、第2アーム13の長手方向に延設されている。また、アタッチメントシリンダ18は、シリンダチューブ18aの基端が第2アーム13の基端側に回動可能に支持され、シリンダロッド18bの先端が後述する第2リンクロッド19bの他端に回動可能に連結されている。
【0023】
シリンダチューブ18aは、作動油を給排可能な円筒形状の部材である。シリンダチューブ18aは、基端側が閉塞され、先端側が開放されている。ピストンは、シリンダチューブ18a内を往復動する。また、ピストンは、シリンダチューブ18aの内部空間を、基端側のボトム室と、キャップ18c側のロッド室とに区画する。
【0024】
シリンダロッド18bは、一端がピストンに連結され、他端がキャップ18cを通じてシリンダチューブ18aの外部に突出している。キャップ18cは、シリンダチューブ18aの先端にボルト(図示省略)等によって取り付けられる。キャップ18cには、シリンダロッド18bの突出を許容し、ピストンの突出を阻止する貫通孔が形成されている。
【0025】
油圧ポンプからボトム室に作動油が供給され、ロッド室から作動油タンクに作動油が還流すると、シリンダチューブ18aからシリンダロッド18bを突出させる向きにピストンが移動する(以下、この動作を「アタッチメントシリンダ18の伸長」と表記する。)。一方、油圧ポンプからロッド室に作動油が供給され、ボトム室から作動油タンクに作動油が還流すると、シリンダチューブ18aにシリンダロッド18bを没入させる向きにピストンが移動する(以下、この動作を「アタッチメントシリンダ18の収縮」と表記する。)。
【0026】
リンク機構19は、カッター14とアタッチメントシリンダ18とに接続されている。リンク機構19は、アタッチメントシリンダ18の伸縮によって、第2アーム13に対してカッター14を回動させる。図2及び図3に示すように、リンク機構19は、長尺棒状の第1リンクロッド19aと、長尺棒状の一対の第2リンクロッド19bと、左右方向に延びるピン19c、19d、19eとを有する。
【0027】
第1リンクロッド19aは、第2アーム13の背面13b側に配置されている。第1リンクロッド19aは、第2アーム13の背面13bに沿って延設されている。但し、第1リンクロッド19aは、背面13bと平行である必要はない。そして、第1リンクロッド19aの一端は、ピン14hによって取付ブラケット14aに回動可能に連結されている。また、第1リンクロッド19aの他端は、ピン19dによって一対の第2リンクロッド19bの一端に回動可能に連結されている。
【0028】
一対の第2リンクロッド19bは、第2アーム13の左側面13c及び右側面に、ピン19cによって回動可能に支持されている。一対の第2リンクロッド19bは、一端が第2アーム13の背面13b側に突出し、他端が第2アーム13の腹面13a側に突出している。そして、一対の第2リンクロッド19bの一端(背面13b側の端部)は、ピン19dによって第1リンクロッド19aの他端に回動可能に連結されている。また、一対の第2リンクロッド19bの他端(腹面13a側の端部)は、ピン19eによってシリンダロッド18bの先端に回動可能に連結されている。
【0029】
図2に示すように、アタッチメントシリンダ18を縮小させると、第2リンクロッド19bがピン19cを中心に図2の反時計回りに回動する。換言すれば、第2リンクロッド19bは、背面13b側の端部が第2アーム13の先端側に移動し、腹面13a側の端部が第2アーム13の基端側に移動するように、ピン19cを中心に回動する。
【0030】
これにより、第1リンクロッド19aは、ピン14hの位置において、カッター14を押す向きに移動する。その結果、カッター14は、図2に矢印で示す方向に回動(すなわち、クラウド動作)する。なお、「クラウド動作」とは、カッター14を第2アーム13の腹面13a側に回動させる動作である。
【0031】
一方、図3に示すように、アタッチメントシリンダ18を伸長させると、第2リンクロッド19bがピン19cを中心に図3の時計回りに回動する。換言すれば、第2リンクロッド19bは、背面13b側の端部が第2アーム13の基端側に移動し、腹面13a側の端部が第2アーム13の先端側に移動するように、ピン19cを中心に回動する。
【0032】
これにより、第1リンクロッド19aは、ピン14hの位置において、カッター14を引く向きに移動する。その結果、カッター14は、図3に矢印で示す方向に回動(すなわち、ダンプ動作)する。なお、「ダンプ動作」とは、カッター14を第2アーム13の背面13b側に回動させる動作である。
【0033】
図4は、フロントガード21の斜視図である。図5は、回動方向の一端のプレート23周辺の斜視図である。図6は、隣接するプレート23、24、25の分解斜視図である。図7は、回動方向の他端のプレート30周辺の斜視図である。図8は、アタッチメントシリンダ18を収縮させたときのサイドガード22を示す図である。図9は、アタッチメントシリンダ18を伸長させたときのサイドガード22を示す図である。
【0034】
シリンダガード20は、作業機械1によって解体された解体対象物、及び解体対象物の周囲に存在する障害物からアタッチメントシリンダ18を保護する役割を担っている。作業機械1を解体現場で使用する場合の「障害物」とは、例えば、コンクリート製の天井、壁、床、及びこれらから露出した鉄筋などが該当する。図4図8に示すように、シリンダガード20は、フロントガード21と、一対のサイドガード22とを含む。
【0035】
フロントガード21は、ピン19cより第2アーム13の腹面13a側(すなわち、ピン19e側)において、第2リンクロッド19bの他端側に固定されている。また、フロントガード21は、第2リンクロッド19bからピン19cと反対側に突出している。さらに、フロントガード21は、アタッチメントシリンダ18の伸縮に伴って、第2リンクロッド19bと共に回動する。そして、フロントガード21の回動先端は、自由端となっている。
【0036】
より詳細には、フロントガード21は、アタッチメントシリンダ18が収縮することによって、アタッチメントシリンダ18に近づく方向に回動する。一方、図9に示すように、フロントガード21は、アタッチメントシリンダ18が伸長することによって、アタッチメントシリンダ18から遠ざかる方向に回動する。さらに、図8及び図9に示すように、フロントガード21は、第2アーム13の腹面13a側において、カッター14とアタッチメントシリンダ18との間に介在する。そして、フロントガード21は、カッター14によって解体された解体対象物(例えば、天井、壁)の破片からアタッチメントシリンダ18を保護する。
【0037】
一対のサイドガード22は、左右方向においてアタッチメントシリンダ18に対向して配置されている。以下、アタッチメントシリンダ18の左方に位置するサイドガード22の構成を説明するが、アタッチメントシリンダ18の右方に位置するサイドガード22の構成も同様である。図8及び図9に示すように、サイドガード22は、複数のプレート23、24、25、26、27、28、29、30を有する。なお、プレート23~30の数は、8枚に限定されない。
【0038】
プレート23~30は、長尺の板状の外形を有する。プレート23~30は、隣接するプレートの一部同士が互いに重なり合った状態で連結されている。また、プレート23~30は、ピン19c(第2リンクロッド19bの回動中心)回りに相対回動可能に連結されている。そして、プレート23~30は、アタッチメントシリンダ18の伸縮(換言すれば、第2リンクロッド19bの回動)に応じて、互いの重なり量が増減するように相対回動する。以下、ピン19cの延設方向に直交する平面上において、ピン19cを中心とする円の円周方向(すなわち、図8及び図9の矢印の方向)を、「プレート23~30の回動方向」と表記する。
【0039】
プレート23~30の個々の長さは、アタッチメントシリンダ18が最大まで伸長したときの長さよりも長く設定される。そして、プレート30の長手方向は、アタッチメントシリンダ18の長手方向に沿うように配置される。また、プレート23~30の幅は、アタッチメントシリンダ18の直径より大きい。さらに、プレート23の幅は、回動基端側(すなわち、ピン19c側)ほど小さく、回動先端側ほど大きい。但し、プレート23~30の具体的な形状は、図5図9の例に限定されない。
【0040】
図5に示すように、複数のプレート23~30のうち、回動方向の一端のプレート23は、フロントガード21に固定(例えば、溶接)されている。すなわち、プレート23は、ピン19cより第2アーム13の腹面13a側において、第2リンクロッド19bに間接的に固定されている。そして、プレート23は、第2アーム13及びフロントガード21と共に、ピン19cを中心として回動方向に回動する。
【0041】
図6に示すように、プレート24には、ガイド穴24a、24bが形成されている。ガイド穴24a、24bは、プレート24を厚み方向に貫通している。また、ガイド穴24aは、回動方向に延びている。さらに、ガイド穴24a、24bは、ピン19cからの距離が異なる位置に形成されている。すなわち、ガイド穴24a、24bは、ピン19cを中心とする同心円の円周の一部に沿って形成されている。
【0042】
また、プレート24には、突起24c、24dが設けられている。突起24c、24dは、回動方向におけるガイド穴24a、24bの延長線上に設けられている。また、突起24c、24dは、隣接するプレート25に向けて、プレート24の表面から厚み方向に突出している。突起24c、24dは、プレート25のガイド穴25a、25bに挿入可能な大きさ(直径)の円柱形状の外形を呈する。
【0043】
また、図6に示すように、プレート24に隣接するプレート23、25にも、ガイド穴23a、23b、25a、25bが形成され、突起23c、23d、25c、25dが設けられている。さらに、他のプレート26、27、28、29、30も同様の構成となっている。
【0044】
そして、隣接する2つプレート24、25は、プレート25(一方のプレート)のガイド穴25a、25bと、プレート24(他方のプレート)の突起24c、24dと、スペーサ24e、24fと、抜け止めピン24g、24h(抜け止め部材)とによって、相対回動可能に連結される。
【0045】
スペーサ24e、24fは、内径寸法が突起24c、25dの外形寸法より大きく、外径寸法がガイド穴25a、25bの開口幅より大きいリング形状の外形を呈する。また、スペーサ24e、24fの厚み寸法は、突起24c、24dの突出長さより短く設定されている。そして、スペーサ24e、24fは、突起24c、24dに外挿される。
【0046】
スペーサ24e、24fが外挿された突起24c、24dは、ガイド穴25a、25bに挿入される。このとき、スペーサ24e、24fは、ガイド穴25a、25bを通過せずに、プレート24、25の間に介在する。すなわち、プレート24、25は、スペーサ24e、24fの厚み寸法だけ離間した状態で互いに重なり合う。
【0047】
ガイド穴25a、25bを通過した突起24c、24dの先端側には、抜け止めピン24g、24hが着脱可能に取り付けられる。より詳細には、突起24c、24dには、ガイド穴25a、25bを通過する位置に径方向に貫通する貫通孔が形成されている。そして、抜け止めピン24g、24hは、ガイド穴25a、25bを通過した突起24c、24dの貫通孔に挿入される。
【0048】
これにより、隣接するプレート24、25が相互に連結される。また、突起24c、24dがガイド穴25a、25bに沿って移動することによって、プレート24、25が相対回動する。但し、隣接する2つのプレート24、25を相対回動可能に連結する方法は、前述の例に限定されない。
【0049】
また、プレート23、24も同様に、スペーサ23e、23fが外挿された突起23c、23dがガイド穴24a、24bに挿入され、ガイド穴24a、24bを通過した突起23c、23dに抜け止めピン23g、23hが取り付けられることによって、相対回動可能に連結される。隣接する他のプレート25&26、26&27、27&28、28&29、29&30も同様である。
【0050】
図7に示すように、複数のプレート23~30のうち、回動方向の他端のプレート30は、第2アーム13に固定されている。より詳細には、第2アーム13の腹面13aには、ブラケット31が固定(例えば、溶接)される。ブラケット31は、第2アーム13の延設方向に離間した位置から突出する一対の柱部32、33を備える。プレート30の突起30cは、一対の柱部32、33の間に挿入される。そして、柱部32、33の先端に梁部材34をボルトで固定することによって、プレート30が第2アーム13に固定される。但し、第2アーム13に対するプレート30の固定方法は、前述の例に限定されない。
【0051】
図8に示すように、アタッチメントシリンダ18を収縮させると、第2リンクロッド19bがピン19cを中心に反時計回りに回動するのに伴って、フロントガード21も反時計回りに回動する。これにより、フロントガード21に固定されているプレート23もプレート30(換言すれば、第2アーム13の腹面13a)に近づく方向に回動する。そして、プレート23の突起23c、23dが、プレート24のガイド穴24a、24bのプレート30に近い側に到達して、プレート24をプレート30側に押す。これにより、プレート24もプレート30に近づく方向に回動する。さらに、プレート25~29も同様に、プレート30に近づく方向に回動する。これにより、プレート23~30は、隣接するプレート23~30との重なり量が増加するように相対回動する。
【0052】
一方、図9に示すように、アタッチメントシリンダ18を伸長させると、第2リンクロッド19bがピン19cを中心に時計回りに回動するのに伴って、フロントガード21も時計回りに回動する。これにより、フロントガード21に固定されているプレート23もプレート30(換言すれば、第2アーム13の腹面13a)から遠ざかる方向に回動する。そして、プレート23の突起23c、23dが、プレート24のガイド穴24a、24bのプレート30から遠い側に到達して、プレート24をプレート30と反対側に押す。これにより、プレート24もプレート30から遠ざかる方向に回動する。さらに、プレート25~29も同様に、プレート30から遠ざかる方向に回動する。これにより、プレート23~30は、隣接するプレート23~30との重なり量が減少するように相対回動する。
【0053】
上記の実施形態によれば、図8及び図9に示すように、第2アーム13に対するカッター14の姿勢に拘わらず、サイドガード22によってアタッチメントシリンダ18の側面が覆われる。これにより、障害物に囲まれた狭い場所で解体作業を行う場合において、上部旋回体3を旋回させても、アタッチメントシリンダ18の側面が障害物に接触するのを防止できる。
【0054】
また、上記の実施形態によれば、第2アーム13の腹面13a側において、カッター14及びアタッチメントシリンダ18の間にフロントガード21を介在させることによって、カッター14によって解体された解体対象物(例えば、天井、壁)の破片がアタッチメントシリンダ18に接触するのを防止できる。但し、フロントガード21は省略可能である。
【0055】
また、上記の実施形態によれば、プレート23を第2リンクロッド19bに固定するためのブラケットとして、フロントガード21を利用する。これにより、プレート23を第2リンクロッド19bに直接固定する場合と比較して、プレート23の回動先端に近い側を支持することができるので、プレート23を安定して回動させることができる。
【0056】
また、プレート23~30は、作業機械1の周囲の障害物に接触して損傷した場合に、交換する必要がある。そこで上記の実施形態によれば、ガイド穴25a、25b、突起24c、24d、スペーサ24e、24f、及び抜け止めピン24g、24hを用いて、隣接するプレート24、25を連結するので、プレート24、25を容易に着脱することができる。すなわち、損傷したプレート24、25の交換が容易になる。他のプレート23、26~30についても同様である。
【0057】
さらに、上記の実施形態によれば、プレート25に2つのガイド穴25a、25bを設けたので、プレート25に対するプレート24の回動がスムーズになる。なお、プレート25に設けるガイド穴25a、25bの数は2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。他のプレート23、24、26~30についても同様である。
【0058】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 作業機械
2 下部走行体
3 上部旋回体
5 旋回フレーム
6 カウンタウェイト
7 キャブ
8 クローラ
10 フロント作業機
11 ブーム
12 第1アーム
13 第2アーム
13a 腹面
13b 背面
13c 左側面
14 カッター
14a 取付ブラケット
14b 旋回モータ
14c,14d 刃
14e,14f 油圧シリンダ
14g,14h,19c,19d,19e ピン
15 ブームシリンダ
16 第1アームシリンダ
17 第2アームシリンダ
18 アタッチメントシリンダ
18a シリンダチューブ
18b シリンダロッド
18c キャップ
19 リンク機構
19a 第1リンクロッド
19b 第2リンクロッド
20 シリンダガード
21 フロントガード
22 サイドガード
23~30 プレート
23a,23b,24a,24b,25a,25b ガイド穴
23c,23d,24c,24d,25c,25d,30c 突起
23e,23f,24e,24f,25e,25f スペーサ
23g,23h,24g,24h 抜け止めピン(抜け止め部材)
31 ブラケット
32,33 柱部
34 梁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9