(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141780
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】建具及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/74 20150101AFI20230928BHJP
E05F 15/40 20150101ALI20230928BHJP
【FI】
E05F15/74
E05F15/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048267
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸嗣
(72)【発明者】
【氏名】西川 忠伸
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052AA02
2E052BA05
2E052BA06
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC02
2E052GA06
2E052GB01
2E052GB06
2E052GD01
2E052HA01
2E052KA12
2E052KA13
(57)【要約】
【課題】複数の障子を備え、特定のエリアに人が入った場合に、障子の開閉動作の制御を適切に行うことができる建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、複数の障子20,30の開閉動作を制御する建具であって、人を検知して障子20の開閉動作をストップする第1エリアと、人を検知しても障子20の開閉動作をストップしない第2エリアとを、障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報、もしくは、障子20の縦横比の情報と、安全センサ51,52の検知角度情報と、に基づいて判定して、障子20の開閉動作を制御する制御部62を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の障子の開閉動作を制御する建具であって、
人を検知して前記障子の開閉動作をストップする第1エリアと、人を検知しても前記障子の開閉動作をストップしない第2エリアとを、前記障子の縦寸法及び横寸法の情報、もしくは、前記障子の縦横比の情報と、安全センサの検知角度情報と、に基づいて判定して、前記障子の開閉動作を制御する制御部を備える建具。
【請求項2】
前記安全センサは、照射光が被写体に当たって反射した反射光が戻る時間により距離を検知する距離センサと、前記距離センサの近傍に配置され温度変化を検知する熱センサと、を備える、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
上枠を備える枠体と、前記枠体に配置される前記複数の障子と、を備え、
前記安全センサは、前記上枠に設置される、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記複数の障子は、室内外方向に移動可能なパラレル移動障子を有し、
前記安全センサは、前記パラレル移動障子に隣接した位置に配置される、請求項1~3のいずれかに記載の建具。
【請求項5】
前記制御部は、前記安全センサが故障した場合には、前記障子の開閉動作を実行しない、請求項1~4のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
複数の障子の開閉動作を制御する建具に用いられるプログラムであって、
コンピュータに、人を検知して前記障子の開閉動作をストップする第1エリアと、人を検知しても前記障子の開閉動作をストップしない第2エリアとを、前記障子の縦寸法及び横寸法の情報、もしくは、前記障子の縦横比の情報と、安全センサの検知角度情報と、に基づいて判定して、前記障子の開閉動作を制御する処理を行わせるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、距離センサ及び熱センサの検知に基づいて、扉体の開閉動作の制御が行われる自動開閉扉装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載される扉体の開閉動作の制御は、距離センサ及び熱センサの検知に基づいて、扉体を開ける際の誤動作を防止したり、人が存在してるか否かにより扉体を閉める判断を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、複数の障子が配置される場合に、特定のエリアに人が入って障子側に近づいた場合に、隣り同士の障子や枠と障子との間に指等が挟まったりする可能性がある。そのため、複数の障子を備える建具において、特定のエリアに人が入った場合に、障子の開閉動作の制御を適切に行うことが求められている。
【0005】
本開示は、複数の障子を備え、特定のエリアに人が入った場合に、障子の開閉動作の制御を適切に行うことができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、複数の障子の開閉動作を制御する建具であって、人を検知して前記障子の開閉動作をストップする第1エリアと、人を検知しても前記障子の開閉動作をストップしない第2エリアとを、前記障子の縦寸法及び横寸法の情報、もしくは、前記障子の縦横比の情報と、安全センサの検知角度情報と、に基づいて判定して、前記障子の開閉動作を制御する制御部を備える建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るパノラマ窓を室内側から見た正面図である。
【
図2】
図1のA-A線断面図であって、パノラマ窓が閉位置に位置した状態を示す横断面図である。
【
図3】
図2に示す閉位置から、パノラマ窓が途中位置に移動した状態を示す横断面図である。
【
図4】
図3に示す途中位置から、パノラマ窓が開位置に位置した状態を示す横断面図である。
【
図5】安全センサが設けられた上枠の縦断面図である。
【
図6】安全センサを左右方向に沿って縦に切断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態の建具としてのパノラマ窓1について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、パノラマ窓1は、枠体10と、枠体10内に配置されるパラレル移動障子20(障子)、スライド移動障子30(障子)及びFIX障子40と、安全センサ50と、を備える。パラレル移動障子20、スライド移動障子30及びFIX障子40は、それぞれ、複層ガラスにより構成される。
【0009】
なお、本明細書において、「見付方向」とは、建具の枠体10に納められるパラレル移動障子20、スライド移動障子30及びFIX障子40の面方向を意味し、「見込方向」とは、室内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。また、見付方向において、
図1における左右の方向を左右方向Xという。
図1における左右方向Xの一方側(左側)をX1側といい、左右方向Xの他方側(右側)をX2側という。また、
図2~
図5における室内外方向を見込方向Yという。見込方向Yにおける奥側を室外側Y1といい、手前側を室内側Y2という。
【0010】
図1に示すように、枠体10は、上枠11、下枠12及び一対の縦枠13,14が、方形状に枠組みされている。上枠11、下枠12及び一対の縦枠13,14は、例えば、アルミニウムを押し出し成形することによって形成される。枠体10内には、パラレル移動障子20、スライド移動障子30及びFIX障子40が配置される。
【0011】
図2~
図4に示すように、パラレル移動障子20、スライド移動障子30及びFIX障子40は、それぞれ、3枚のガラス板(室外側ガラス板21,31,41、中間ガラス板22,32,42、室内側ガラス板23,33,43)と、スペーサ24,34,44と、一対の補強部材25,35,45と、気密材28,38,48と、を有する複層ガラスにより構成される。
【0012】
なお、
図2~
図4に示すように、FIX障子40側の縦枠14の室内側Y2において、左右方向Xの内側の見込面には、中間部材145を介してカバー部材146が取り付けられている。これにより、FIX障子40の複層ガラス41,42,43間にあるスペーサ44は、室内側Y2から見えない構造となっている。パラレル移動障子20側の縦枠13の室内側Y2において、左右方向Xの内側の見込面には、カバー部材136が取り付けられている。パノラマ窓1において、FIX障子40を設けないこともあるが、FIX障子40を設けない場合において、スライド移動障子30が縦枠14側に設置される場合も同様に、中間部材145を介してカバー部材146が取り付けられる。この場合も同様に、スライド移動障子30の複層ガラス31,32,33間にあるスペーサ34は、室内側Y2から見えない構造となる。本実施形態においては、中間部材145及びカバー部材136,146ともにアルミニウムからなるが、樹脂で構成されてもよい。
【0013】
パラレル移動障子20及びスライド移動障子30は、コントロールユニット60(後述)の制御により、電動で動作する。コントロールユニット60の制御部62は、パラレル移動障子20を見込方向Yに移動させるように、見込方向駆動部(図示せず)を制御すると共に、スライド移動障子30を見付方向に移動させるように、見込方向駆動部(図示せず)を制御する。
【0014】
図2~
図4に示すように、FIX障子40は、枠体10内の左右方向XのX2側に固定される。パラレル移動障子20及びスライド移動障子30は、枠体10内のFIX障子40よりも左右方向XのX1側において、駆動部(図示せず)に駆動されることにより、閉位置(
図1及び
図2参照)と、途中位置(
図3参照)と、開位置(
図4参照)と、に移動可能である。
【0015】
パノラマ窓1が閉位置に位置した場合に、
図2に示すように、パラレル移動障子20、スライド移動障子30及びFIX障子40は、枠体10内において、左右方向XのX1側からX2側に向けて、この順に一直線上に並んで配置される。
【0016】
パノラマ窓1を閉位置(
図1及び
図2参照)から開位置(
図4参照)に移動させる場合には、
図2に示す閉位置から、パラレル移動障子20を見込方向Yの室内側Y2に移動させることで
図3に示す途中位置に移動させて、
図3に示す途中位置から、スライド移動障子30を見付方向の左右方向XのX1側に移動させることで、
図4に示す開位置に移動させることができる。
【0017】
また、パノラマ窓1を開位置(
図4参照)から閉位置(
図1及び
図2参照)に移動させる場合には、
図4に示す開位置から、スライド移動障子30を見付方向の左右方向XのX2側に移動させることで
図3に示す途中位置に移動させて、
図3に示す途中位置から、パラレル移動障子20を見込方向Yの室外側Y1に移動させることで、
図2に示す開位置に移動させることができる。
【0018】
安全センサ50に関する構成について説明する。
図1に示すように、建具1は、安全センサ50と、コントロールユニット60と、を備える。安全センサ50は、
図1及び
図5に示すように、上枠11に設けられる。
図5に示すように、上枠11は、下方側が開放する断面視コ字状に形成される。安全センサ50は、上枠11の室外側Y1の下端部に設けられる室外側安全センサ51と、上枠11の室内側Y2の下端部に設けられる室内側安全センサ52と、を有する。
【0019】
室内側安全センサ52は、
図1に示すように、室内側Y2から見た場合に、パラレル移動障子20に隣接した位置に配置される上枠11に設けられる。室内側安全センサ52は、上枠11におけるパラレル移動障子20が配置されるX方向のX1側の部分において、パラレル移動障子20が配置される部分に対応する位置のX方向の中央に設けられる。室外側安全センサ51についても、室外側Y1から見た図示は省略するが、
図1に示す室内側X2において室内側安全センサ52が設けられた反対側の室外側X1において、パラレル移動障子20に隣接した位置に配置される上枠11に設けられる。室外側安全センサ51は、上枠11におけるパラレル移動障子20が配置されるX方向のX1側の部分において、パラレル移動障子20が配置される部分に対応する位置のX方向の中央に設けられる。
【0020】
室外側安全センサ51及び室内側安全センサ52は、
図5に示すように、それぞれ、距離センサ511,521と、距離センサ511,521の近傍に配置される熱センサ512,522と、を有する。
【0021】
室外側安全センサ51及び室内側安全センサ52の基本的な構造は同様の構造である。そのため、室内側安全センサ52の構造について説明する。
図6及び
図7に示すように、室内側安全センサ52は、開口を有するケース部材523と、ケース部材523の内部に設置される距離センサ521及び熱センサ522と、ケース部材523の開口部を覆うように下面に配置される透光部材524と、を備える。
【0022】
ケース部材523は、左右方向Xに延びる。ケース部材523は、左右方向Xの両端部に形成されるネジ孔523aを介して、ネジ523bにより、上枠11に固定されている。距離センサ521及び熱センサ522は、ケース部材523の内部において、左右方向Xに並んで配置される。
【0023】
室外側安全センサ51及び室内側安全センサ52において、距離センサ511,521は、放射状に照射した照射光が被写体に当たり、その反射光が戻る時間により距離を検知して、その距離の範囲において、所定エリアに入った人を検知するセンサである。距離センサ511,521の検知範囲は、距離センサ511,521から放射状に広がる範囲である。そのため、距離センサ511,521から離れるほど検知範囲が大きくなるため、本実施形態のように距離センサ511,521が上枠11に設けられる場合には、下方において人を検知しやすくなる。例えば、距離センサは、一般的に、TOF(Time of Flight)センサともいわれる。
【0024】
距離センサ511,521の左右方向Xの検知範囲は、
図1に示すように、室内側Y2又は室外側Y1から見た場合に、室外側安全センサ51及び室内側安全センサ52から下方に延びる垂線に沿って配置された光軸に対して、それぞれ左右方向Xの両側に角度α1の検知範囲Aである。本実施形態においては、角度α1は、例えば、50~70°である。
【0025】
また、距離センサ511,521の見込方向Yの検知範囲は、
図5に示すように、左右方向Xに沿って見た場合に、室外側安全センサ51及び室内側安全センサ52から下方に延びる垂線に沿って配置された光軸に対して、それぞれ見込方向Yの両側に角度α2の範囲である。本実施形態においては、角度α2は、例えば、2~4°である。
【0026】
距離センサ511,521の左右方向Xの検知範囲は、後述するコントロールユニット60の入力部61においてパラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報を入力することで、検知範囲を設定できる。
【0027】
熱センサ512,522は、人や動物などの温度を持つものから自然に放射されている赤外線による温度変化を検知するセンサである。熱センサ512,522の検知範囲は、熱センサ512,522から放射状に広がる範囲である。そのため、熱センサ512,522から離れるほど検知範囲が大きくなるため、本実施形態のように熱センサ512,522が上枠11に設けられる場合には、下方において人を検知しやすくなる。例えば、熱センサは、非接触温度センサともいわれる。
【0028】
熱センサ512,522の左右方向Xの検知範囲は、
図1に示すように、室内側Y2又は室外側Y1から見た場合に、室外側安全センサ51及び室内側安全センサ52から下方に延びる垂線に沿って配置された光軸に対して、それぞれ左右方向Xの両側に角度β1の範囲である。熱センサ512,522の検知範囲の角度は、距離センサ511,521の検知範囲の角度とほぼ同じ範囲である。本実施形態においては、熱センサ512,522の左右方向Xの検知範囲の角度は、距離センサ511,521の左右方向Xの検知範囲の角度よりも僅かに狭い範囲である。
【0029】
また、熱センサ512,522の見込方向Yの検知範囲は、
図5に示すように、左右方向Xに沿って見た場合に、室外側安全センサ51及び室内側安全センサ52から下方に延びる垂線に沿って配置された光軸に対して、それぞれ見込方向Yの両側に角度β2の範囲である。本実施形態においては、熱センサ512,522の見込方向Yの検知範囲の角度は、距離センサ511,521の見込方向Yの検知範囲の角度よりも僅かに狭い範囲である。
【0030】
コントロールユニット60は、
図1に示すように、例えば、パノラマ窓1が設置された場所から離れた別室等に設けられている。コントロールユニット60は、パノラマ窓1に電気的に接続されている。コントロールユニット60は、入力部61と、制御部62と、を有する。
【0031】
入力部61は、各種設定値を入力可能である。例えば、入力部61は、後述するパラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報を入力可能である。
【0032】
制御部62は、電動のパノラマ窓1の各種動作を制御する。例えば、制御部62は、パラレル移動障子20を見込方向Yに移動させるように、見込方向駆動部(図示せず)を制御すると共に、スライド移動障子30を見付方向に移動させるように、見込方向駆動部(図示せず)を制御する。また、制御部62は、スライド移動障子30に所定以上の負荷が掛かった場合に、スライド移動障子30の開閉動作をストップする制御などを実行する。
【0033】
制御部62は、パラレル移動障子20が配置される範囲に人が入ったと判定された場合に、パラレル移動障子20の開閉動作をストップする制御を実行する。
【0034】
具体的には、制御部62は、パラレル移動障子20が配置される範囲の第1エリアA1と、パラレル移動障子20が配置されない範囲の第2エリアA2とを、パラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報と、距離センサ511,521の検知角度情報と、に基づいて判定する。パラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報は、例えば、入力部61により入力される。なお、パラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報は、例えば、制御部62において予め設定されていてもよい。第1エリアA1及び第2エリアA2は、距離センサ511,521により検知される検知範囲Aに含まれる。
【0035】
第1エリアA1は、パラレル移動障子20の開閉動作をストップするエリアである。第2エリアA2は、人を検知してもパラレル移動障子20の開閉動作をストップしないエリアである。
【0036】
制御部62には、距離センサ511,521の検知角度が、室外側安全センサ51及び室内側安全センサ52から下方に延びる垂線に沿って配置された光軸に対してそれぞれ左右方向Xに角度α1であるという検知角度情報が予め入力されている。そのため、制御部62は、パラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報と、距離センサ511,521の検知角度情報と、に基づいて、パラレル移動障子20が配置される範囲である第1エリアA1を認識できる。
【0037】
制御部62は、距離センサ511,521により認識した第1エリアA1に動くものが入っていることを検出し、かつ、熱センサ512,522により温度変化を検出した場合に、パラレル移動障子20の開閉動作をストップする制御を実行する。これにより、制御部62は、人を検知してパラレル移動障子20の開閉動作をストップする第1エリアA1と、人を検知してもパラレル移動障子20の開閉動作をストップしない第2エリアA2とを、パラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報と、距離センサ511,521の検知角度情報と、に基づいて判定して、パラレル移動障子20の開閉動作を制御できる。
【0038】
例えば、第1エリアA1において、カーテンが揺れていても、熱センサ512,522により温度変化を検出しない場合には、制御部62は、パラレル移動障子20の開閉動作をストップする制御を実行しない。したがって、例えばカーテンなどが風などで検知領域に入ってきてもパラレル移動障子20の開閉動作をストップする制御を実行せず、人や動物を確実に検知して制御を実行できる。また、例えば、熱センサ512,522により温度変化を検出しても、距離センサ511,521により認識した範囲が第1エリアA1ではなく第2エリアA2である場合には、制御部62は、パラレル移動障子20の開閉動作をストップする制御を実行しない。
【0039】
従来、スライド移動障子30が左右方向Xに移動する際に、スライド移動障子30においては一定の負荷が掛かった場合には、スライド移動障子30の開閉動作をストップする制御が行われていた。一方、
図3に示す室内側Y2に位置するパラレル移動障子20が、
図2に示すように、室内側Y2から室外側Y1に移動する場合に、パラレル移動障子20とスライド移動障子30との間に指を挟んだり、パラレル移動障子20と縦枠13との間に指を挟む可能性がある。
【0040】
これに対して、本開示においては、人を検知してパラレル移動障子20の開閉動作をストップする第1エリアA1と、人を検知してもパラレル移動障子20の開閉動作をストップしない第2エリアA2とを、パラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報、安全センサ50(室外側安全センサ51、室内側安全センサ52)の検知角度情報と、に基づいて判定して、パラレル移動障子20の開閉動作を制御する制御部62を備えることで、パラレル移動障子20が配置される第1エリアA1において、人や動物を検知したときのみ、パラレル移動障子20の開閉動作をストップさせることができる。よって、パラレル移動障子20の開閉動作を安全に実行することができる。
【0041】
また、制御部62は、安全センサ50(室外側安全センサ51、室内側安全センサ52)が故障した場合には、パラレル移動障子20の開閉動作を実行しない。これにより、パラレル移動障子20の開閉動作を安全に実行することができる。安全センサ50(室外側安全センサ51、室内側安全センサ52)の故障の判定は、例えば、制御部62が、安全センサ50(室外側安全センサ51、室内側安全センサ52)からの検知信号を受信していない場合等により判定できる。
【0042】
本実施形態のパノラマ窓1において、複数の障子の開閉動作の制御は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。本実施形態においては、パノラマ窓1に用いられるプログラムとして、コンピュータに、人を検知してパラレル移動障子20の開閉動作をストップする第1エリアA1と、人を検知してもパラレル移動障子20の開閉動作をストップしない第2エリアA2とを、パラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報と、安全センサ50(室外側安全センサ51、室内側安全センサ52)の検知角度情報と、に基づいて判定して、パラレル移動障子20の開閉動作を制御する処理を行わせるためのプログラムとすることができる。
【0043】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。また、本実施形態では室内側Y2から見て左側から順に、パラレル移動障子20、スライド移動障子30及びFIX障子40が配置されているが、パラレル移動障子20とスライド移動障子30が隣接する並びであればよい。例えば、室内側Y2から見て左側から、FIX障子40、スライド移動障子30、パラレル移動障子20の順でもよいし、パラレル移動障子20、スライド移動障子30、スライド移動障子30、パラレル移動障子20の順で並んでもよく、これらの左右方向の両端又は一方の端にFIX障子40が配置されていてもよい。また、スライド移動障子30、パラレル移動障子20だけでもよい。
【0044】
前記実施形態においては、制御部62に入力する情報として、パラレル移動障子20の縦寸法H及び横寸法Wの情報を用いたが、これに限定されない。パラレル移動障子20の縦横比の情報を用いてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 建具、20 パラレル移動障子(障子)、30 スライド移動障子(障子)、51 室外側安全センサ(安全センサ),52 室内側安全センサ(安全センサ)、62 制御部、511,521 距離センサ、512,522 熱センサ