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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141785
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】太陽電池システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 30/00 20140101AFI20230928BHJP
   H02S 10/40 20140101ALN20230928BHJP
   H01L 31/048 20140101ALN20230928BHJP
【FI】
H02S30/00
H02S10/40
H01L31/04 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048275
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓郎
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151BA18
5F151JA02
5F151JA03
5F151JA13
5F151JA15
5F251BA18
5F251JA02
5F251JA03
5F251JA13
5F251JA15
(57)【要約】
【課題】水上に位置する太陽光発電シートを備えた太陽光発電システムであって、太陽光発電シートの表面に付着した水分に含まれる汚れによって太陽光発電シートの発電効率が低下することを抑制可能な太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】本発明の太陽光発電システム1は、太陽光発電シート2と、支持部材3とを備える。支持部材3は、太陽光発電シート1が水上に位置するように太陽光発電シート2を支持する。太陽光発電シート2には、表面4側からの光を受けることで発電を行う発電セル11が設けられて、太陽光発電シート2の表面4の臨界表面張力γcは、4.5以上とされる。太陽光発電シート2は、表面4の最下域をなす集水部30を有する。太陽光発電シート2の集水部30以外の範囲31の表面4は、集水部30に向けて下り勾配となり、且つ、水平面に対して1.5°以上の角度で傾斜する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電シートと、
前記太陽光発電シートが水上に位置するように前記太陽光発電シートを支持する支持部材とを備え、
前記太陽光発電シートには、表面側からの光を受けることで発電を行う発電セルが設けられて、前記太陽光発電シートの表面の臨界表面張力γcは、4.5以上とされ、
前記太陽光発電シートは、以下の特徴1,2を有するように、前記支持部材に支持されている太陽光発電システム。
特徴1:前記太陽光発電シートが、表面の最下域をなす集水部を有する。
特徴2:前記太陽光発電シートの前記集水部以外の範囲の表面が、前記集水部に向けて下り勾配となり、且つ、水平面に対して1.5°以上の角度で傾斜する。
【請求項2】
前記集水部には、前記発電セルが設けられていない請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記集水部には、当該集水部を上下に貫通する排水孔が設けられる請求項1又は2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記下り勾配の方向に沿った鉛直断面において、前記集水部の幅は、前記太陽光発電シートが前記支持部材によって支持される間隔の10%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記太陽光発電シートは、前記下り勾配の方向に沿った鉛直断面において下側へ矩形状に突出する凹みを有しており、前記集水部は前記凹みの底板によって構成される請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記集水部は、前記太陽光発電シートの端部によって構成される請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記太陽光発電シートの曲げ強さは、50Mpa以上150MPa以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上に位置する太陽光発電シートを備えた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池を水上で利用するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、浮き袋にアモルファス太陽電池が取り付けられる太陽電池モジュールが開示されている。また特許文献2には、水上に浮かべられる設置台に、太陽光発電パネルを架台及び橋梁バーを介して支持させるユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-223813号公報
【特許文献2】国際公開公報WO2020/122136号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで太陽光発電シートを水上(例えば海上)で使用する場合には、海水等の水分が太陽光発電シートの表面に付着する虞れがある。そして太陽光発電シートの表面に水分が付着した状態が継続する場合には、水分が蒸発することで、水分に含まれていた汚れが太陽光発電シートの表面に付着した状態になる虞がある。この場合、汚れが太陽光を遮ることで、太陽光発電シートの発電効率が低下する。
【0005】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、水上に位置する太陽光発電シートを備えた太陽光発電システムであって、太陽光発電シートの表面に付着した水分に含まれる汚れによって太陽光発電シートの発電効率が低下することを抑制可能な太陽光発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0007】
項1.太陽光発電シートと、
前記太陽光発電シートが水上に位置するように前記太陽光発電シートを支持する支持部材とを備え、
前記太陽光発電シートには、表面側からの光を受けることで発電を行う発電セルが設けられて、前記太陽光発電シートの表面の臨界表面張力γcは、4.5以上とされ、
前記太陽光発電シートは、以下の特徴1,2を有するように、前記支持部材に支持されている太陽光発電システム。
特徴1:前記太陽光発電シートが、表面の最下域をなす集水部を有する。
特徴2:前記太陽光発電シートの前記集水部以外の範囲の表面が、前記集水部に向けて下り勾配となり、且つ、水平面に対して1.5°以上の角度で傾斜する。
【0008】
項2.前記集水部には、前記発電セルが設けられていない項1に記載の太陽光発電システム。
【0009】
項3.前記集水部には、当該集水部を上下に貫通する排水孔が設けられる項1又は2に記載の太陽光発電システム。
【0010】
項4.前記下り勾配の方向に沿った鉛直断面において、前記集水部の幅は、前記太陽光発電シートが前記支持部材によって支持される間隔の10%以下であることを特徴とする項1乃至3のいずれかに記載の太陽光発電システム。
【0011】
項5.前記太陽光発電シートは、前記下り勾配の方向に沿った鉛直断面において下側へ矩形状に突出する凹みを有しており、前記集水部は前記凹みの底板によって構成される項1乃至4のいずれかに記載の太陽光発電システム。
【0012】
項6.前記集水部は、前記太陽光発電シートの端部によって構成される項1乃至5のいずれかに記載の太陽光発電システム。
【0013】
項7.前記太陽光発電シートの曲げ強さは、50Mpa以上150MPa以下であることを特徴とする項1乃至6のいずれかに記載の太陽光発電システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明の太陽光発電システムによれば、太陽光発電シートの表面に付着した水分に含まれる汚れによって太陽光発電シートの発電効率が低下することを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る太陽光発電システムを示す概略平面図である。
図2図1におけるa-a線概略断面図である。
図3図3(A)は太陽光発電シートの概略断面図であり、図3(B)は図2(A)のb部分の拡大図である。図3(C)は、図3(A)のc-c線に沿って発電部を切断した状態を示す断面図である。
図4】本発明の変形例に係る太陽光発電システムを示す概略平面図である。
図5図4におけるd-d線概略断面図である。
図6】本発明の変形例に係る太陽光発電システムを示す概略平面図である。
図7図6におけるe-e線概略断面図である。
図8図8(A)は本発明の変形例に係る太陽光発電システムを示す概略平面図であり、図8(B)は図8(A)におけるf-f線概略断面図である。
図9図9(A)は本発明の変形例に係る太陽光発電システムを示す概略平面図であり、図9(B)は図9(A)におけるg-g線概略断面図である。
図10図10(A)は本発明の変形例に係る太陽光発電システムを示す概略平面図であり、図10(B)は図10(A)におけるh-h線概略断面図である。
図11図11(A)は本発明の変形例に係る太陽光発電システムを示す概略平面図であり、図11(B)は図11(A)におけるi-i線概略断面図である。
図12図12(A)は本発明の変形例に係る太陽光発電システムを示す概略平面図であり、図12(B)は図12(A)におけるj-j線概略断面図である。
図13図13(A)は本発明の変形例に係る太陽光発電システムを示す概略平面図であり、図13(B)は図13(A)におけるk-k線概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る太陽光発電システム1を示す概略平面図である。図2は、図1におけるa-a線概略断面図である。
【0017】
本発明の実施形態に係る太陽光発電システム1は、太陽光発電シート2と、支持部材3とを備える。太陽光発電シート2は、シート状を呈しており、支持部材3は、太陽光発電シート2が水上に位置するように太陽光発電シート2を支持する(図中のWは水を示す)。本明細書でいう「シート状」は、その物体の厚さが、平面視における外縁の間の最大長さに対して、10%以下である形状を意味する。平面視における形状が矩形状である場合、「平面視における外縁の間の最大長さ」は、対角線の長さを意味する。また、平面視における形状が円形状である場合、「平面視における外縁の間の最大長さ」は、直径の長さを意味する。本明細書では、膜状、箔状、フィルム状等も、「シート状」に含まれる。
【0018】
(太陽光発電シート2)
図3(A)は、太陽光発電シート2の断面図である。図3(B)は、図3(A)のb部分の拡大図である。図3(C)は、図3(A)のc-c線に沿って後述の発電部11を切断した状態を示す断面図である。太陽光発電シート2は、平面視略矩形状に形成される。太陽光発電シート2には、表面4側からの光を受けることで発電を行う後述の発電セル11が設けられており、太陽光発電シート2の表面4の臨界表面張力γcは4.5以上とされる。なお太陽光発電シート2の形状としては、例えば、平面視略円形状、平面視楕円形状、平面視多角形状等であってもよく、特に制限はない。
【0019】
図3(A)に示すように、太陽光発電シート2は、バックシート10と、発電部11と、バリアシート12と、封止剤13と、封止縁材14とを備える。発電部11及び封止剤13は、バックシート10とバリアシート12との間に配置される。封止縁材14は、バックシート10の外周縁15とバリアシート12の外周縁16との間を封止する。
【0020】
太陽光発電シート2は、可撓性を有しており、太陽光発電シート2の曲げ強さは、50MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。また、太陽光発電シート2の曲げ強さは、150MPa以下であり、より好ましくは130MPa以下である。本明細書でいう「曲げ強さ」は、例えば、JIS 7171に準拠する測定方法で測定される。太陽光発電シート2の曲げ強さの設定は、主に、バックシート10及びバリアシート12の剛性によって実現され得る。バックシート10及びバリアシート12については後ほど詳述する。
【0021】
本明細書において「太陽光発電シート2」には、複数の発電セル11を有する太陽光発電シートモジュール、複数の太陽光発電シートモジュールを有する太陽光発電シートストリング、及び複数の太陽光発電シートストリングを有する太陽光発電シートアレイを含む。
【0022】
(バックシート10)
バックシート10は、太陽光発電シート2の表面4(受光面)とは反対側に配置される。バックシート10は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。バックシート10は、透光性があってもよいが、必ずしも透光性は必要ではない。
【0023】
本明細書でいう「透光性がある」とは、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、10%以上であることを意味する。
【0024】
バックシート10は、可撓性を有する。バックシート10に用いられる材料としては、縦弾性係数が100MPa以上10000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは、1000MPa以上5000MPa以下である。バックシート10の材料として、具体的には、例えば、プラスチックフィルム、プラスチック基板等が挙げられる。
【0025】
バックシート10の厚さは、50μm以上であることが好ましく、より好ましくは、100μm以上であり、より好ましくは、200μm以上である。また、バックシート10の厚さは、1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、800μm以下であり、より好ましくは、600μm以下である。バックシート10の厚さが50μm以上1000μm以下であることにより、太陽光発電シート2としての曲げ強さを、50MPa以上150MPa以下に設定しやすい。
【0026】
(発電部11)
発電部11は、光起電力効果を利用した光電変換素子であり、太陽光を受けることで発電を行う発電セル110を備える。本実施形態では、発電部11は、複数の発電セル110が太陽光発電シート1の面方向(例えば太陽光発電シート1の長手方向或い幅方向)に配置された光電変換ユニットから構成される。なお、発電部11は一つの発電セル110によって構成されてもよい。
【0027】
図3(A)に示すように、発電セル11は、透光性基材20と、透光性導電層21と、発電層22と、電極23と、を備える。透光性基材20、透光性導電層21、発電層22、及び電極23は、バリアシート12からバックシート10に向かう方向に沿って、この順で積層されている。すなわち、透光性基材20がバリアシート12に対向し、電極23がバックシート10に対向するように配置される。
【0028】
(透光性基材20)
透光性基材20は、透光性導電層21、発電層22、及び電極23を支持する。透光性基材20は、透光性を有する。透光性基材20の透光性は、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、10%以上であればよいが、好ましくは、50%以上であり、より好ましくは、80%以上である。本明細書では、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、80%以上であることを、「透明」であるとする。
【0029】
透光性基材20の材料としては、例えば、無機材料、有機材料、金属材料等が挙げられる。無機材料としては、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET; polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN; polyethylene naphthalene)、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマー等のプラスチック、高分子フィルム等が挙げられる。金属材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、シリコン等が挙げられる。
【0030】
透光性基材20の厚さは、透光性導電層21、発電層22、及び電極23を支持することができれば、特に制限はなく、例えば、30μm以上300μm以下が挙げられる。
【0031】
透光性基材20は、発電セル11の製造過程で必要になる基材であり、必ずしも必要な構成ではない。透光性基材20は、例えば、太陽光発電シート2の製造途中にだけ利用されてもよく、製造後又は製造途中に取り除かれてもよい。なお、取り除かれる場合、透光性基材20に代えて、透光性を有さない基材を用いてもよい。
【0032】
(透光性導電層21)
透光性導電層21は、導電性を有する層であり、カソードとして機能する。透光性導電層21は、透光性を有する。透光性導電層21は、透明であることが好ましい。
【0033】
透光性導電層21としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO; Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO; F-doped Tin Oxide)、ネサ膜等の透明な材料が挙げられる。透光性導電層21は、透光性基板の表面に対して、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等により形成される。
【0034】
また、透光性導電層21としては、不透光性材料を用いつつ、光を透過可能なパターンを形成することで、透光性を有するように構成してもよい。不透光性材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金等が挙げられる。光を透過可能なパターンとしては、例えば、格子状、線状、波線状、ハニカム状、丸穴状等が挙げられる。
【0035】
透光性導電層21の厚さは、例えば、30nm以上300nm以下であることが好ましい。透光性導電層21が、30nm以上300nm以下であると、可撓性を高く保ちながら、良好な導電性を得ることができる。
【0036】
(発電層22)
発電層22は、光の照射によって光電変換を生じさせる層であり、光を吸収することで生成された励起子から、電子と正孔とを生じさせる。図3(B)に示すように、発電層22は、正孔輸送層221と、光電変換層222と、電子輸送層223と、を備える。正孔輸送層221、光電変換層222、及び電子輸送層223は、透光性導電層21から電極23に向かう方向に沿って、この順で積層されている。
【0037】
(正孔輸送層221)
正孔輸送層221は、光電変換層222で発生した正孔を、透光性導電層21へ抽出し、かつ光電変換層222で発生した電子が、透光性導電層21へ移動するのを妨げる。正孔輸送層221の材料としては、例えば、金属酸化物を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化リチウム、酸化カルシウム、酸化セシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、その他、デラフォサイト型化合物半導体(CuGaO2)、酸化銅、チオシアン酸銅(CuSCN)、五酸化バナジウム(V2O)、酸化グラフェン等が用いられてもよい。また、正孔輸送層221の材料として、p型有機半導体又はp型無機半導体を用いることもできる。
【0038】
正孔輸送層221の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは、10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上50nm以下である。正孔輸送層221の厚さが、1nm以上1000nm以下であれば、正孔の輸送が実現できる。
【0039】
(光電変換層222)
光電変換層222(光活性層)は、吸収した光を光電変換する層である。光電変換層222の材料としては、吸収した光を光電変換することができれば特に制限はなく、例えば、アモルファスシリコン、ペロブスカイト、非シリコン系材料(半導体材料CIGS)等が用いられる。また、光電変換層222は、これらを複合したタンデム型の積層構造としてもよい。非シリコン系材料が用いられた光電変換層222は、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)を含む半導体材料CIGSが用いられており、光電変換層の厚さを薄くしやすい。
【0040】
以下では、光電変換層の一例として、ペロブスカイトが用いられる光電変換層222を挙げて説明する。本実施形態では、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層222は、入射光の角度に対する発電効率の依存性(以下、入射角依存性という場合がある)が比較的低いという利点がある。これにより、本実施形態では、より高い発電効率を得ることができる。
【0041】
ペロブスカイト化合物は、ペロブスカイト結晶構造体及びこれに類似する結晶を有する構造体である。ペロブスカイト結晶構造体は、組成式 ABXで表される。この組成式において、例えば、Aは有機カチオン、Bは金属カチオン、Xはハロゲンアニオンを示す。ただし、Aサイト、Bサイト及びXサイトはこれに限定されない。
【0042】
Aサイトを構成する有機カチオンの有機基としては、特に制限はなく、例えば、アルキルアンモニウム誘導体、ホルムアミジニウム誘導体等が挙げられる。Aサイトを構成する有機カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0043】
Bサイトを構成する金属カチオンの金属としては、特に制限はなく、例えば、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Eu等が挙げられる。Bサイトを構成する金属カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0044】
Xサイトを構成するハロゲンアニオンのハロゲンには、特に制限はなく、例えば、F、Cl、Br、I等が挙げられる。Xサイトを構成するハロゲンアニオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0045】
光電変換層222の厚さは、例えば、1nm以上100000nm以下が好ましく、より好ましくは、5nm以上50000nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上1000nm以下である。光電変換層222の厚さが、1nm以上100000nm以下であると、光電変換効率が向上する。
【0046】
(電子輸送層223)
電子輸送層223は、光電変換層222で発生した電子を電極23へ抽出し、かつ光電変換層222で発生した正孔が、電極23へ移動するのを妨げる。電子輸送層223としては、例えば、ハロゲン化合物又は金属酸化物のいずれかを含むことが好ましい。
【0047】
ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化リチウム(LiF、LiCl、LiBr、LiI)、ハロゲン化ナトリウム(NaF、NaCl、NaBr、NaI)等が挙げられる。金属酸化物を構成する元素としては、チタン、モリブデン、バナジウム、亜鉛、ニッケル、リチウム、カリウム、セシウム、アルミニウム、ニオブ、スズ、バリウム等が挙げられる。また、電子輸送層223の材料として、n型有機半導体又はn型無機半導体を用いることもできる。
【0048】
電子輸送層223の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは、10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上50nm以下である。電子輸送層223の厚さが、1nm以上1000nm以下であれば、電子の輸送が実現できる。
【0049】
(電極23)
電極23は導電性を有し、アノードとして機能する。電極23は、光電変換層222によって生じた光電変換に応じて、光電変換層222から電子を取り出すことができる。電極23は、透光性を有していてもよいし、不透光性材料で構成されてもよい。電極23の材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金等が挙げられる。
【0050】
(バリアシート12)
バリアシート12は、太陽光発電シート2の厚さ方向において、バックシート10とは反対側に配置される。バリアシート12は、透光性を有しており、上述した「臨界表面張力γcが20以上45以下であり、水平面に対して1.5°以上の角度で傾斜する太陽光発電シート2の表面4」は、バリアシート12の表面によって構成される。バリアシート12は、透明であることが好ましい。バリアシート12は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。
【0051】
バリアシート12は、可撓性を有する。バリアシート17に用いられる材料としては、縦弾性係数が100Pa以上10000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは、1000MPa以上5000MPa以下である。バリアシート12の材料として、具体的には、例えば、プラスチックフィルム、ビニルフィルム等が挙げられる。
【0052】
また、バリアシート12の厚さは、50μm以上であることが好ましく、より好ましくは、100μm以上であり、より好ましくは、200μm以上である。また、バリアシート17の厚さは、1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、800μm以下である。バリアシート12の厚さが50μm以上1000μm以下であることにより、太陽光発電シート2としての曲げ強さを、50MPa以上150MPa以下に設定しやすい。
【0053】
(封止剤13)
封止剤13は、バリアシート12とバックシート10との間に発電層22を配置した状態で、バリアシート12とバックシート10との間に充填される。封止剤13は、発電層22に対して、発電層22の周囲から浸水するのを妨げる。封止剤13は、透光性を有しており、好ましくは、透明である。
【0054】
封止剤13として、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA; Ethylene-vinyl acetate)、ポリオレフィン、ブチルゴム、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール等を使用できる。
【0055】
(封止縁材14)
封止縁材14は、バックシート10とバリアシート12との間に複数の発電セル11及び封止剤13が配置された状態で、バックシート10の外周縁15とバリアシート12の外周縁16との間を封止する。太陽光発電シート2の外周縁17は封止縁材14の外周縁によって構成される。図2に示すように、封止縁材14は、第1接着部101と、第2接着部102と、第1接着部101と第2接着部102とをつなぐ封着部103と、を備える。第1接着部101は、バリアシート12の表面(図では上面)に接着される。第2接着部102は、バックシート10の裏面(図では下面)に接着される。第1接着部101、封着部103、及び第2接着部102は、一体に形成されている。
【0056】
封止縁材14の材料としては、例えば、ブチルゴム、シリコーンゴム等からなるテープ材が挙げられる。
【0057】
(太陽光発電シート2の作用)
太陽光発電シート2の表面4側(バリアシート12側)から太陽光発電シート2に光が照射されると、発電層22の光電変換層222が光を吸収して光電変換を行うことで、光電変換層222で電子と正孔とが生じる。当該電子が電子輸送層223を介して電極23(アノード)へ抽出され、正孔が正孔輸送層221を介して透光性導電層21(カソード)へ抽出されることで、透光性導電層21から電極23へと電流が流れる(すなわち発電が行われる)。
【0058】
発電部11を構成する光電変換ユニットでは、各発電セル110の電極23(アノード)に延長部23aが設けられる(図3(C))。当該電極23の延長部23aは透光性導電層21(カソード)側へ延びる。隣り合う2つの発電セル110,110では、一方のセル110の電極23の延長部23aが、他方のセル110の透光性導電層21に接合される。この接合により、太陽光発電シート4に光が照射される間では、発電部11(光電変換ユニット)の一方側端にある透光性導電層21Aから、発電部11の他方側端にある電極23Aへと電流が流れる(図3(C)では電流の流れを矢印で示している)。当該電流は、図示しない配電線を介して取り出される。
【0059】
発電部11を上記の光電変換ユニットから構成することで、一部の発電セル110で不具合が生じても、発電部11からの電気取り出し量を安定化させることができる。
【0060】
なお各発電セル110の電極23(アノード)に延長部23aを設けることの代わりに、各発電セル110の透光性導電層21(カソード)に、電極23(アノード)側へ延びる延長部を設けてもよい。この場合、隣り合う2つの発電セル110,110では、一方のセル110の透光性導電層21の延長部が、他方のセル110の電極23に接合される。このようにしても上記と同様の効果が得られる。
【0061】
また発電部11に透光性基材20を設ける場合には、発電部11の製造を容易にする観点から、図3(C)に示すように、各発電セル110の透光性導電層21、発電層22及び電極23を、共通の透光性基材20に支持させることが好ましい。
【0062】
また発電部11が一つの発電セル110によって構成される場合には、電極23から透光性導電層21へと流れる電流が配電線を介して取り出される。
【0063】
なお太陽光発電シート1には、複数の発電部11が含まれていてもよい。この場合、複数の発電部11は、太陽光発電シート4の面方向に配置されて、直列又は並列に電気的に接続される。
【0064】
発電部11が光電変換ユニットから構成される場合には、複数の発電部11を直列に接続するために、隣り合う2つの発電部11,11において、一方の発電部11の端にある透光性導電層21Aと、他方の発電部11の端にある電極23Aとを、配電線を介して接続することが行われる。複数の発電部11を並列に接続する場合には、隣り合う2つの発電部11,11の端にある透光性導電層21A,21A同士と、上記隣り合う2つの発電部11,11の端にある電極23A,23A同士とを、それぞれ配電線を介して接続することが行われる。
【0065】
また発電部11が一つの発電セル110から構成される場合には、複数の発電部11を直列に接続するために、隣り合う2つの発電部11,11において、一方の発電部11の透光性導電層21と、他方の発電部11の電極23とを配電線を介して接続することが行われる。複数の発電部11を並列に接続する場合には、隣り合う2つの発電部11,11の透光性導電層21,21同士と、上記隣り合う2つの発電部11,11の電極23,23同士とを、それぞれ配電線を介して接続することが行われる。
【0066】
なお発電部11が、上記の光電変換ユニット及び一つの発電セル70のいずれから構成される場合においても、隣り合う発電部11,11の間の距離は、0mm超であればよく、好ましくは2mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、更に好ましくは、15mm以上である。また、隣り合う発電部11,11の間の距離は、100mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以上であり、更に好ましくは、20mm以下である。
【0067】
(支持部材2)
支持部材2は、水上に浮遊する浮体(図示せず)に取り付けられる。太陽光発電シート2は、以下の特徴1,2を有するものとなるように、支持部材2に支持される。
特徴1:太陽光発電シート2が、表面4の最下域をなす集水部30を有する。
特徴2:太陽光発電シート2の集水部30以外の範囲31の表面が、集水部30に向けて下り勾配となり、且つ、水平面に対して1.5°以上の角度θで傾斜する。
【0068】
なお上記の特徴1に示す「表面4の最下域」とは、「表面4の最下位置が含まれて、水平面に対する角度が1.5°未満となる表面4の領域」である。
【0069】
本実施形態では、太陽光発電シート2が自重で下側に撓むように、太陽光発電シート2の長手方向に相対する2辺が支持部材2に支持される。これにより太陽光発電シート2の長手方向の中央において、太陽光発電シート2の全幅に延びる集水部30が形成されており、太陽光発電シート2の集水部30以外の範囲31の表面4が、上記条件2に示す角度θで集水部30に向かう下り勾配とされている。
【0070】
支持部材2の構造は、特に限定されないが、例えば図2に示すように、支持部材2は、第一支持台40と、第二支持台41と、第一支持台40に支持される第一プレート42と、第二支持台41に支持される第二プレート43とを備えるものとされる。この場合、第一支持台40及び第二支持台41が浮体に取り付けられ、太陽光発電シート2の長手方向に相対する2辺32,33のうち、一方の辺32が第一支持台40と第一プレート42との間に挟み込まれ、他方の辺33が第二支持台41と第二プレート43との間に挟み込まれることで、太陽光発電シート2が支持部材2に支持される。なお第一支持台40及び第二支持台41は、水底(例えば海底)に立設されるものであってもよい(つまり第一支持台40及び第二支持台41は、これらの下端が水底に支持されるものであってもよい)。また支持部材2が浮体に取り付けられて、浮体の浮力で支持部材2が水面に浮遊するものとされる場合には、上記の特徴2に示す「角度θ(1.5°以上)」は、支持部材2が波打っていない水面に浮いているときの角度とされる。
【0071】
(作用効果)
本実施形態に係る太陽光発電システム1によれば、太陽光発電シート2の集水部30以外の範囲31の表面4が、1.5°以上の傾斜角度θで集水部30に向かう下り勾配とされるとともに、太陽光発電シート2の表面4が、臨界表面張力γcが4以上となる平滑性を有するため、上記範囲31の表面4上にある水分は、その蒸発前に、集水部30に向けて流れる(本願の概略平面図では水分の流れを矢印で記している)。これにより、上記の水分に含まれる汚れが範囲31の表面4に付着することを抑制できるので、上記の汚れによって太陽光が遮られて太陽光発電シート2の発電効率が低下することを抑制できる。
【0072】
また太陽光発電システム1によれば、集水部30が太陽光発電シート2の全幅に延びることで、集水部30上へ流れた水分を、集水部30の外側縁から太陽光発電シート2の外側に落下させることができる。
【0073】
また太陽光発電システム1によれば、太陽光発電シート2の曲げ強さが、90MPa以上140MPa以下であるため、太陽光発電シート2の表面4に勾配を設けることを容易に実現できる。またひび割れ等の破損が太陽光発電シート2に生じることを抑制できる。
【0074】
<変形例>
本発明の太陽光発電システムは、上記実施形態に示したものに限定されず、種々改変できる。以下、本発明の太陽光発電システムの変形例について説明する。なお以下では、上記実施形態と相違する点を説明し、上記実施形態に示す構成に対応する構成については、同一の符号を付して上記実施形態と共通する特徴の説明を省略する。
【0075】
例えば、本発明の太陽光発電システムは、図4及び図5に示すように変更され得る。図4及び図5に示す太陽光発電システム50では、太陽光発電シート2は、集水部30を構成する凹み51を有する。凹み51は、太陽光発電シート2の製造過程において、太陽光発電シート2の長手方向中央に形成されたものである。表面4の下り勾配の方向に沿った鉛直断面において凹み51は下側へ突出する矩形状を呈しており、集水部30は凹み51の底板52によって構成されている(図5は、上記の「表面4の下り勾配の方向に沿った鉛直断面」を示す)。太陽光発電システム50によれば、波等によって太陽光発電シート2に揺れが生じる場合に、凹み51内へ流れた水分(集水部30上に流れた水分)を凹み51内に留めることができるので、水分が集水部30以外の範囲31に逆流することを防止できる。このため太陽光発電シート2に揺れが生じる場合でも、水分に含まれる汚れが範囲31の表面4に付着することを抑制できる。
【0076】
なお図4に示すように凹み50は太陽光発電シート2の全幅に延びることが好ましい。このようにすれば凹み50内へ流れた水分(集水部30上に流れた水分)を、凹み50の外縁から太陽光発電シート2の外側へ落下させることができる。なお凹み50の形状は、図4及び図5に示す形状に限定されず、集水部30をなす底部を有した様々な形状とされ得る。
【0077】
また本発明の太陽光発電システムは、図6及び図7に示すように変更され得る。図6及び図7に示す太陽光発電システム60では、太陽光発電シート2の端部によって集水部30が構成される(以下、集水部30を構成する端部の符号として、集水部の符号30を用いる)。太陽光発電シート2は、端部30以外の範囲31の表面が、端部30に向けて下り勾配となり、且つ、水平面に対して1.5°以上の角度θで傾斜するように支持部材2に支持される。上記の太陽光発電システム60によれば、端部30以外の範囲31の表面4上にある水分が、端部30に向けて流れることで、水分に含まれる汚れによって太陽光発電シート2の発電効率が低下することを抑制できる。なお図示例では、太陽光発電シート2の長手方向一方側の端部によって集水部30が構成されてる例を示しているが、太陽光発電シート2の幅方向一方側の端部によって集水部30が構成されてもよい。また太陽光発電シート2が、平面視略円形状、平面視楕円形状、或いは平面視多角形状を呈する場合には、太陽光発電シート2の外周の一部をなす端部によって集水部が構成される。
【0078】
また図1及び図2に示した太陽光発電システム1は、図8或いは図9に示すように変形でき、図4及び図5に示した太陽光発電システム50は、図10或いは図11に示すように変形でき、図6及び図7に示した太陽光発電システム60は、図12或いは図13に示すように変形できる。
【0079】
図1図2図4図7に示す太陽光発電システム1,50,60では、集水部30を含む太陽光発電シート2の略全体に発電セル11が設けられているが、図8図13に示す太陽光発電システム70,80,90,100,120,130のように、集水部30に発電セル11を設けないようにしてもよい(すなわち集水部30ではない太陽光発電シート2の範囲に発電セル11を設けてよい)。このようにすれば、集水部30上に流れた水分や汚れによって発電が阻害される無駄を省くことができる。
【0080】
また図9図11図13に示す太陽光発電システム80,100,130のように、集水部30を上下に貫通する排水孔53が設けられてもよい。このようにすれば、集水部30上に流れた水分を排水孔53から排水できるので、過剰な量の水分が集水部30上に滞留することを防止できる。
【0081】
また上述した太陽光発電システム1,50,60,70,80,90,100,120,130では、「表面4の下り勾配の方向に沿った鉛直断面」において、集水部30の幅Hを、太陽光発電シート2が支持部材2によって支持される間隔Kの10%以下とすることが好ましい(図2図5図7図8(B),図9(B),図10(B),図11(B),図12(B),図13(B)は、上記の「表面4の下り勾配の方向に沿った鉛直断面」を示す)。このようにすることで、集水部30を形成することによる発電量の影響を小さく抑えることができる。
【0082】
また上述した太陽光発電システム1,50,60,70,80,90,100,120,130では、支持部材2の代わりに、四本の柱材(図示せず)を備えた支持部材が設けられてもよい。この場合、例えば太陽光発電シート2の四隅の各々が固定材を用いて一の柱材に固定されることにより、太陽光発電シート2の集水部30以外の範囲31の表面4が、集水部30に向けて下り勾配となり、且つ、水平面に対する傾斜角度θが1.5°以上となるように、太陽光発電シート2が支持部材2に支持される。上記の固定材として、例えば、ボルト、ねじ、クリップ、接着剤、磁石、ピン、ネイル、重石等が挙げられる。防水性の観点から、穴を空けることを要しない、接着剤、磁石、又は重石が用いられること好ましい。また、施工性及び取付け強度の観点から、ボルト、ねじが用いられることが好ましい。なお上記の支持部材は、柱材が浮体に取り付けられてもよく、或いは、柱材が水底(例えば海底)に立設されてもよい。また柱材が浮体に取り付けられて、浮体の浮力で支持部材が水面に浮遊する場合には、上記の特徴2に示す「角度θ(1.5°以上)」は、支持部材が波打っていない水面に浮いているときの角度とされる。また上記の支持部材が使用される場合も、「表面6の下り勾配の方向に沿った鉛直断面」において、集水部30の幅が、太陽光発電シート2が支持部材2によって支持される間隔の10以下となることが好ましい。
【0083】
また上記では、太陽光発電シートの一形態として、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する太陽光発電シート2を挙げて説明をしたが、本発明では、可撓性を有する太陽電池シートであれば同等の効果を発揮することができる。また、本発明で使用される太陽光発電シートとしては、光により発電効果が得られる太陽電池だけでなく、光エネルギーを別のエネルギーに変換するシートであってもよい。例えば、太陽光発電シートとしては、光エネルギーを熱エネルギーに変換する光発熱シート(太陽光駆動型熱電変換デバイス)等であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,40,50,60,70,80,90,100,120,130 太陽光発電システム
2 太陽光発電シート
3 支持部材
4 太陽光発電シートの表面
11 発電セル
30 集水部
41 凹み
42 凹みの底板
43 排水孔
H 集水部の幅
K 太陽光発電シートが支持部材によって支持される間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13