(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141799
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20230928BHJP
B60K 15/04 20060101ALI20230928BHJP
B60K 15/035 20060101ALI20230928BHJP
B60K 15/077 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E02F9/00 Q
B60K15/04 E
B60K15/035 A
B60K15/077 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048299
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 辰斗
(72)【発明者】
【氏名】伊美 暢春
【テーマコード(参考)】
2D015
3D038
【Fターム(参考)】
2D015CA00
3D038CA22
3D038CA31
3D038CA38
3D038CA39
3D038CB09
3D038CC13
3D038CC14
(57)【要約】
【課題】想定以上の燃料が燃料タンクに供給されるのを防止可能な作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械は、燃料を貯留する内部空間を有するタンク本体と、上面開口がタンク本体の外部に露出し、下面開口がタンク本体の内部空間に位置するように、タンク本体の外壁を貫通した筒状の燃料供給筒と、タンク本体の内部空間に貯留された燃料から浮力を受けて上下動することによって、下面開口を開閉する開閉部材とを有する燃料タンクを備える。開閉部材は、燃料タンクに貯留される燃料から受ける浮力によって燃料供給筒の外周面に沿って上下動する浮体と、浮体及び下面開口より下方に配置され、下面開口の面積よりも大きい蓋体と、蓋体及び浮体を接続する接続部材とを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンクに貯留された燃料を燃焼させて、駆動力を発生させるエンジンとを備える作業機械において、
前記燃料タンクは、
燃料を貯留する内部空間を有するタンク本体と、
上面開口が前記タンク本体の外部に露出し、下面開口が前記タンク本体の内部空間に位置するように、前記タンク本体の外壁を貫通した筒状の燃料供給筒と、
前記タンク本体の内部空間に貯留された燃料から浮力を受けて上下動することによって、前記下面開口を開閉する開閉部材とを有し、
前記開閉部材は、
前記燃料タンクに貯留される燃料から受ける浮力によって前記燃料供給筒の外周面に沿って上下動する浮体と、
前記浮体及び前記下面開口より下方に配置され、前記下面開口の面積よりも大きい蓋体と、
前記蓋体及び前記浮体を接続する接続部材とを有することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記燃料供給筒は、外周面から径方向の外向きに突出する突起を有し、
前記接続部材には、前記突起を受け入れて、上下方向に延設された凹溝が形成されていることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
前記接続部材には、前記凹溝の上端を閉塞する閉塞部材が取り付けられていることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項2に記載の作業機械において、
前記燃料供給筒は、周方向の等間隔な位置に複数の前記突起を有し、
前記開閉部材は、複数の前記突起それぞれに対面する位置に、各々に前記凹溝が形成された複数の前記接続部材を有することを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械において、
燃料から受ける浮力によって前記燃料供給筒の内部を上下動するフロート、及び前記フロートが所定の位置まで上昇したことに応じて前記上面開口から突出するインジケータを有するレベルゲージを備え、
前記接続部材は、前記インジケータが前記上面開口から突出した後に、前記蓋体が前記下面開口を閉塞する長さに設定されていることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、作業機械の多くは、エンジンで発生された駆動力によって動作する。このような作業機械において、想定以上の燃料が燃料タンクに貯留された状態で駆動されると、燃料タンク内の圧力上昇や作業機械の動作時の振動などによって、給油口から燃料が溢れる可能性がある。
【0003】
そこで、このような課題を解決するために、特許文献1には、燃料タンク内の燃料から浮力を受けて回動するプレートによって、予め定められた量の燃料が燃料タンクに供給されたタイミングで、給油口の下面を閉塞する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の燃料タンクでは、給油口を通じて供給される燃料が直接当たる位置にプレートが配置されているので、燃料が勢いよく供給されると、燃料がプレートに衝突してプレートの回動が妨げられる。その結果、給油口が適切なタイミングで閉塞されずに、想定以上の燃料が燃料タンクに供給されてしまうという課題が依然として残る。
【0006】
本発明は、上記した実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、想定以上の燃料が燃料タンクに供給されるのを防止可能な作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンクに貯留された燃料を燃焼させて、駆動力を発生させるエンジンとを備える作業機械において、前記燃料タンクは、燃料を貯留する内部空間を有するタンク本体と、上面開口が前記タンク本体の外部に露出し、下面開口が前記タンク本体の内部空間に位置するように、前記タンク本体の外壁を貫通した筒状の燃料供給筒と、前記タンク本体の内部空間に貯留された燃料から浮力を受けて上下動することによって、前記下面開口を開閉する開閉部材とを有し、前記開閉部材は、前記燃料タンクに貯留される燃料から受ける浮力によって前記燃料供給筒の外周面に沿って上下動する浮体と、前記浮体及び前記下面開口より下方に配置され、前記下面開口の面積よりも大きい蓋体と、前記蓋体及び前記浮体を接続する接続部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、想定以上の燃料が燃料タンクに供給されるのを防止可能な作業機械を得ることができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る作業機械の代表例である油圧ショベルの斜視図である。
【
図2】左側壁が省略された燃料タンクの斜視図である。
【
図5】燃料供給筒に開閉部材を取り付けた状態の斜視図である。
【
図7】連動して動作する開閉部材及びレベルゲージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る作業機械の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る作業機械の代表例である油圧ショベル1の斜視図である。なお、本明細書中の前後左右は、特に断らない限り、油圧ショベル1に搭乗して操作するオペレータの視点を基準としている。
【0011】
油圧ショベル1は、下部走行体2と、下部走行体2に支持された上部旋回体3とを備える。下部走行体2及び上部旋回体3は、車体の一例である。下部走行体2は、左右一対のクローラを備える。そして、走行モータ(図示省略)の回転が伝達されて左右一対のクローラが回転すると、油圧ショベル1が走行する。但し、下部走行体2は、クローラに代えて、装輪式であってもよい。
【0012】
上部旋回体3は、下部走行体2に旋回可能に支持されている。上部旋回体3は、旋回モータ(図示省略)の駆動力が伝達されて、下部走行体2に対して旋回する。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の前端中央に上下方向に回動可能に取り付けられたフロント作業機4と、旋回フレーム5の前方左側に配置されたキャブ(運転席)7と、旋回フレーム5の後端に配置されたカウンタウェイト6とを主に備える。
【0013】
フロント作業機4は、上部旋回体3に起伏可能に支持されたブーム4aと、ブーム4aの先端に揺動可能に支持されたアーム4bと、アーム4bの先端に揺動可能に支持されたバケット4cと、ブーム4a、アーム4b、及びバケット4cを駆動させる油圧シリンダ4d、4e、4fとを含む。カウンタウェイト6は、フロント作業機4との重量バランスを取るためのもので、上面視円弧形状を成す重量物である。
【0014】
キャブ7には、油圧ショベル1を操作するオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。キャブ7の内部空間には、オペレータが着席するシートと、シートに着席したオペレータが操作する操作装置が配置されている。そして、キャブ7に搭乗したオペレータが操作装置を操作することによって、下部走行体2が走行し、上部旋回体3が旋回し、フロント作業機4が動作する。
【0015】
また、上部旋回体3は、エンジン建屋8を支持している。エンジン建屋8は、フロント作業機4及びキャブ7より後方で、カウンタウェイト6より前方において、旋回フレーム5に支持されている。エンジン建屋8は、油圧ショベル1を動作させるための構成部品(例えば、エンジン9の他、熱交換器、冷却ファン、後処理装置、油圧ポンプなど)を収容する内部空間を有する。
【0016】
さらに、上部旋回体3は、燃料タンク10を支持している。燃料タンク10は、エンジン建屋8より前方で、キャブ7の右方において、旋回フレーム5に支持されている。また、燃料タンク10の上面及び右面は、上部旋回体3の外部に露出している。燃料タンク10は、燃料(例えば、軽油)を貯留する。そして、エンジン9は、燃料タンク10に貯留された燃料を燃焼させることによって、油圧ショベル1を動作させるための駆動力を発生させる。
【0017】
図2は、左側壁が省略された燃料タンク10の斜視図である。
図3は、燃料供給筒12の外観図である。
図4は、開閉部材13の外観図である。
図5は、燃料供給筒12に開閉部材13を取り付けた状態の斜視図である。
図6は、レベルゲージ14の外観図である。
図2に示すように、燃料タンク10は、タンク本体11と、燃料供給筒12と、開閉部材13と、レベルゲージ14とを主に備える。
【0018】
図2に示すように、タンク本体11は、概ね直方体の外形を呈する。また、タンク本体11は、燃料を貯留する内部空間15を有する。さらに、タンク本体11の内部空間15は、天壁16と、底壁17と、前側壁18と、後側壁19と、右側壁20と、左側壁(図示省略)とによって画定されている。但し、タンク本体11の具体的な形状は、
図2の例に限定されない。
【0019】
内部空間15の天面を画定する天壁16には、厚み方向に貫通する貫通孔21が形成されている。そして、貫通孔21には、燃料供給筒12が取り付けられる。また、内部空間15の底面を画定する底壁17には、厚み方向に貫通する貫通孔22が形成されている。そして、貫通孔22には、エンジン9に燃料を供給するための配管(図示省略)が接続される。すなわち、貫通孔21に取り付けられた燃料供給筒12を通じて内部空間15に燃料が供給され、貫通孔22に接続された配管を通じて内部空間15から燃料が流出する。
【0020】
図3に示すように、燃料供給筒12は、軸方向の両端面が開口した筒形状(より詳細には、円筒形状)の外形を呈する。すなわち、燃料供給筒12は、軸方向に貫通している。以下、燃料供給筒12の上面側の開口を「上面開口23」と表記し、下面側の開口を「下面開口24」と表記する。
【0021】
燃料供給筒12は、タンク本体11の天壁16(外壁)を貫通している。また、燃料供給筒12は、上面開口23が上方を向き、下面開口24が下方を向くように、上下方向に延設されている。また、上面開口23は、タンク本体11の外部に露出している。一方、下面開口24は、タンク本体11の内部空間15内に位置している。さらに、燃料供給筒12の上端に着脱可能なキャップ(図示省略)によって、上面開口23が開閉される。
【0022】
燃料供給筒12には、突起25a、25bが設けられている。突起25a、25bは、燃料供給筒12の外周面から径方向の外向きに突出している。また、突起25a、25bは、燃料供給筒12の周方向において、等間隔(本実施形態では、180°間隔)に配置されている。さらに、突起25a、25bは、燃料供給筒12の下端に設けられている。すなわち、突起25a、25bは、燃料供給筒12が貫通孔21に取り付けられたときに、タンク本体11の内部空間15内に配置される。
【0023】
また、突起25a、25bは、下方に向かって突出量を減じるように傾斜したテーパ面26a、26bを有する。一方、突起25a、25bの上面は、開閉部材13の移動方向(すなわち、上下方向)に直交する平面である。但し、突起25a、25bの数は2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0024】
開閉部材13は、タンク本体11の内部空間15に配置される。そして、タンク本体11の内部空間15に貯留された燃料から浮力を受けて上下動することによって、下面開口24を開閉する。より詳細には、開閉部材13は、内部空間15に貯留される燃料が増加するのに伴って、上方に移動して下面開口24を閉塞する。また、開閉部材13は、内部空間15に貯留される燃料が減少するのに伴って、下方に移動して下面開口24を開放する。
図4に示すように、開閉部材13は、蓋体27と、浮体28と、接続部材29a、29bと、閉塞部材30a、30bとで構成される。
【0025】
蓋体27は、円盤形状の外形を呈する。また、蓋体27の直径は、下面開口24の直径より大きく設定されている。さらに、蓋体27は、内部空間15に貯留される燃料より密度が大きい材料で形成されている。すなわち、蓋体27は、内部空間15に貯留される燃料中に沈むように構成されている。
【0026】
浮体28は、リング形状の外形を呈する。浮体28の内径寸法は、燃料供給筒12の外形寸法より大きく設定されている。さらに、浮体28は、内部空間15に貯留される燃料より密度が小さい材料で形成されている。すなわち、浮体28は、内部空間15に貯留される燃料に浮くように構成されている。
【0027】
接続部材29a、29bは、蓋体27と浮体28とを接続する。より詳細には、接続部材29a、29bは、下端が蓋体27の上面に接続され、上端が浮体28の下面に接続されている。また、接続部材29a、29bの少なくとも一部は、浮体28の内周面より径方向の内側に位置している。さらに、接続部材29a、29bは、蓋体27及び浮体28の周方向において、等間隔(本実施形態では、180°間隔)に配置されている。接続部材29a、29bの数及び配置は、燃料供給筒12に設けられた突起25a、25bに対応する。
【0028】
また、接続部材29a、29bには、凹溝31a、31b(31aは図示省略)が設けられている。凹溝31a、31bは、接続部材29a、29bの内面を凹ませて形成される。また、凹溝31a、31bは、上下方向に延設されている。さらに、凹溝31a、31bは、下端が蓋体27によって閉塞され、上端が閉塞部材30a、30bによって閉塞されている。閉塞部材30a、30bは、接続部材29a、29bに着脱可能であってもよい。
【0029】
開閉部材13は、全体として内部空間15に貯留された燃料に浮くように構成されている。より詳細には、蓋体27の全体が燃料中に沈み、浮体28の少なくとも一部が液面の上方に位置するように、開閉部材13の密度(浮力)が設定される。
【0030】
図5に示すように、開閉部材13は、燃料供給筒12の下部に取り付けられる。より詳細には、蓋体27を下にし、浮体28を上にし、接続部材29a、29bを突起25a、25bに対面させた状態で、燃料供給筒12の下方から上方に向けて開閉部材13を挿入する。このとき、テーパ面26a、26bに案内された接続部材29a、29bが外向きに拡がるように弾性変形して、閉塞部材30a、30bが突起25a、25bを乗り越える。これにより、突起25a、25bが凹溝31a、31bに進入して、開閉部材13が燃料供給筒12に取り付けられる。
【0031】
但し、開閉部材13を燃料供給筒12に取り付ける方法は、前述の例に限定されない。他の例として、閉塞部材30a、30bを取り外した状態で開閉部材13を燃料供給筒12に取り付けてもよい。そして、突起25a、25bを凹溝31a、31bに進入させた後に、閉塞部材30a、30bを接続部材29a、29bに取り付けてもよい。
【0032】
燃料供給筒12に開閉部材13が取り付けられると、蓋体27は、下面開口24の下方に配置される。また、蓋体27は、燃料供給筒12の延設方向から平面視して、下面開口24に重なる位置に配置される。浮体28は、蓋体27より上方において、燃料供給筒12の外周面を囲むように配置される。接続部材29a、29bは、突起25a、25bに対面する位置に配置される。そして、凹溝31a、31bは、突起25a、25bを受け入れる。
【0033】
開閉部材13は、凹溝31a、31b内に進入した突起25a、25bにガイドされて、燃料供給筒12の延設方向に移動(すなわち、上下動)する。
図5(A)に示すように、開閉部材13の移動範囲の下端は、突起25a、25bが閉塞部材30a、30bに当接する位置である。このとき、燃料供給筒12の下端から蓋体27が離間して、下面開口24が開放される。一方、
図5(B)に示すように、開閉部材13の移動範囲の上端は、燃料供給筒12の下端に蓋体27が当接する位置である。これにより、下面開口24が閉塞される。
【0034】
レベルゲージ14は、タンク本体11の内部空間15に予め定められた量の燃料が貯留されたことを、オペレータに認識させるためのものである。レベルゲージ14は、燃料供給筒12の内部に配置される。
図6に示すように、レベルゲージ14は、フレーム32と、フロート33と、インジケータ34と、ガード部材35とを主に備える。
【0035】
フレーム32は、柱状の部材が組み合わさることによって、上面及び側面が開口した円筒形状に形成される。フレーム32は、燃料供給筒12に収容される。また、フレーム32は、フロート33を上下方向に移動可能に支持している。さらに、フレーム32は、フロート33より上方において、ガード部材35を支持している。
【0036】
フロート33は、フレーム32の下部において、上下動可能に支持されている。フロート33は、燃料より密度が小さい材料で構成されている。すなわち、フロート33は、燃料供給筒12の内部の燃料から受ける浮力によって、燃料供給筒12の内部を上下動する。より詳細には、フロート33は、燃料供給筒12内の燃料が増加するのに伴って上昇し、燃料供給筒12内の燃料が減少するのに伴って下降する。
【0037】
インジケータ34は、フロート33から上方に突出する長尺棒状の部材である。そして、インジケータ34は、フロート33と共に上下動する。
図6(A)に示すように、フロート33が移動範囲の下端に位置するとき、インジケータ34の上端は、フレーム32(換言すれば、燃料供給筒12)内に没入する。一方、
図6(B)に示すように、フロート33が所定の位置まで上昇すると、インジケータ34の上端は、フレーム32の上端(換言すれば、燃料供給筒12の上面開口23)から上方に突出する。
【0038】
ガード部材35は、円錐形状の外形を呈する。ガード部材35は、フロート33より上方において、頂点を上に向けた状態でフレーム32内に固定されている。ガード部材35は、上方から供給される燃料を、フレーム32の側面に設けられた開口に導く。これにより、上面開口23を通じて燃料供給筒12に供給された燃料が、フロート33に直接当たることが防止される。
【0039】
図7は、連動して動作する開閉部材13及びレベルゲージ14を示す図である。タンク本体11の内部空間15に貯留された燃料の液面が下面開口24より下方のとき、
図5(A)に示すように開閉部材13は移動範囲の下端に位置し、
図6(A)に示すようにフロート33は移動範囲の下端に位置している。すなわち、
図7(A)に示すように、下面開口24は開放され、インジケータ34は燃料供給筒12内に没入している。
【0040】
上面開口23を通じて燃料供給筒12内に供給された燃料は、下面開口24を通じてタンク本体11の内部空間15に供給される。そして、内部空間15内の液面が浮体28の位置に達した後は、液面の上昇に伴って開閉部材13が上昇する。また、内部空間15内の液面が下面開口24に達した後は、タンク本体11及び燃料供給筒12内の液面の高さは一致する。さらに、燃料供給筒12内の液面の上昇に伴って、フロート33が上昇する。
【0041】
燃料供給筒12に燃料がさらに供給されると、
図7(B)に示すように、インジケータ34の先端が上面開口23より上方に突出する。一方、インジケータ34の先端が上面開口23から突出したタイミングでは、蓋体27は未だ下面開口24を閉塞していない。そして、燃料供給筒12に燃料がさらに供給されると、蓋体27が燃料供給筒12の下端に当接して、下面開口24を閉塞する。
【0042】
インジケータ34が突出するタイミングと、蓋体27による下面開口24の閉塞タイミングとは、接続部材29a、29bまたはインジケータ34の長さによって実現される。すなわち、接続部材29a、29b(または、インジケータ34)は、インジケータ34が上面開口23から突出した後に、蓋体27が下面開口24を閉塞する長さに設定されるのが望ましい。換言すれば、接続部材29a、29b(または、インジケータ34)は、蓋体27が下面開口24を閉塞する前に、インジケータ34が上面開口23から突出する長さに設定されるのが望ましい。
【0043】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0044】
上記の実施形態によれば、内部空間15に貯留された燃料中に蓋体27が沈み、燃料供給筒12の外周面に沿って浮体28が移動するので、下面開口24を通じて内部空間15に流入する燃料が開閉部材13に直接当たることがない。これにより、燃料供給筒12に供給される燃料の勢いに拘わらず、予め定められたタイミングで蓋体27によって下面開口24が閉塞される。その結果、想定以上の燃料が燃料タンク10に供給されることが防止される。
【0045】
また、上記の実施形態によれば、凹溝31a、31bに進入した突起25a、25bによって、開閉部材13の上下動がガイドされるので、開閉部材13はスムーズに上下動する。また、突起25a、25b及び凹溝31a、31bが等間隔に配置されることによって、開閉部材13の上下動はさらにスムーズになる。
【0046】
また、上記の実施形態によれば、凹溝31a、31bの上端に閉塞部材30a、30bが取り付けられることによって、内部空間15内の燃料の液面が下面開口24を下回った場合でも、開閉部材13が燃料供給筒12から脱落することが防止される。
【0047】
また、上記の実施形態のように、蓋体27が下面開口24を閉塞する前に、インジケータ34を突出させることによって、下面開口24が閉塞された後も燃料補給が継続されることが防止される。その結果、下面開口24が閉塞された後に、燃料供給筒12内に残留する燃料の量を従来よりも減少させることができる。
【0048】
さらに、上述した実施形態では、作業機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、ホイールローダ、ダンプトラック、油圧クレーン等の他の作業機械にも広く適用することができる。
【0049】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。例えば、蓋体27は円形に限られず、下面開口24の断面積よりも大きく、燃料供給筒12に当接した際に下面開口24を塞ぐことが可能な形状であれば、任意の形状でよい。
【符号の説明】
【0050】
1 油圧ショベル(作業機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4 フロント作業機
4a ブーム
4b アーム
4c バケット
4d,4e,4f 油圧シリンダ
5 旋回フレーム
6 カウンタウェイト
7 キャブ
8 エンジン建屋
9 エンジン
10 燃料タンク
11 タンク本体
12 燃料供給筒
13 開閉部材
14 レベルゲージ
15 内部空間
16 天壁(外壁)
17 底壁
18 前側壁
19 後側壁
20 右側壁
21 貫通孔
22 貫通孔
23 上面開口
24 下面開口
25a,25b 突起
26a,26b テーパ面
27 蓋体
28 浮体
29a,29b 接続部材
30a,30b 閉塞部材
31a,31b 凹溝
32 フレーム
33 フロート
34 インジケータ
35 ガード部材