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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141808
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】動画配信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/238 20110101AFI20230928BHJP
【FI】
H04N21/238
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048313
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】熊井 瑞
(72)【発明者】
【氏名】松原 浩
(72)【発明者】
【氏名】星 勝範
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康晴
(72)【発明者】
【氏名】工藤 智
(72)【発明者】
【氏名】金 亨▲俊▼
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164SB08S
5C164SB21P
5C164SC01S
5C164SC11S
5C164YA11
(57)【要約】
【課題】動画コンテンツ中の目的のシーンを含む一部の動画部分を、配信先の端末装置において、動画コンテンツとは別のコンテンツとして視聴できるようにする。
【解決手段】第1配信部32が、ユーザ端末装置20において視聴する動画コンテンツ72を、ユーザ端末装置20が接続されるネットワーク40上に配信する。第1取得部33が、動画コンテンツ72の映像及び音声のうち少なくとも一方から検出する要素を特定する特定データを、ユーザ端末装置20からネットワーク40を介して取得する。第1取得部33が取得した特定データにより特定される要素が映像及び音声のうち少なくとも一方に出現するシーンを、抽出部34が動画コンテンツ72から抽出する。抽出部34が抽出したシーンを含む一部の動画部分を動画コンテンツ72から抜き出した部分動画コンテンツ73を、第2配信部36が、動画コンテンツ72とは別にネットワーク40上に配信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが端末装置において視聴する動画コンテンツを、前記端末装置が接続されるネットワーク上に配信する第1配信部と、
前記動画コンテンツの映像及び音声のうち少なくとも一方から検出する要素を特定する特定データを、前記端末装置から前記ネットワークを介して取得する第1取得部と、
前記第1取得部が取得した特定データにより特定される要素が映像及び音声のうち少なくとも一方に出現するシーンを、前記動画コンテンツから抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出したシーンを含む一部の動画部分を前記動画コンテンツから抜き出した部分動画コンテンツを、前記動画コンテンツとは別に前記ネットワーク上に配信する第2配信部と、
を備える動画配信装置。
【請求項2】
前記第1配信部は、前記動画コンテンツをライブ配信し、前記第1取得部は、データのライブ配信前に前記動画コンテンツの前記特定データを取得し、前記抽出部は、データのライブ配信中に前記動画コンテンツから前記シーンを抽出する請求項1に記載の動画配信装置。
【請求項3】
前記ネットワークからの視聴要求に対する前記部分動画コンテンツの前記第2配信部による配信を許可する許可部をさらに備えており、前記第2配信部は、前記部分動画コンテンツの前記抽出部が抽出したシーンに出現する要素を特定した前記特定データの取得元の端末装置と関連付けて、前記部分動画コンテンツを配信し、前記許可部は、前記部分動画コンテンツに関連付けられた端末装置を要求元とする視聴要求に限って、前記部分動画コンテンツの前記第2配信部による配信を許可する請求項1又は2に記載の動画配信装置。
【請求項4】
前記第1取得部が取得した特定データの関連情報を取得する第2取得部をさらに備えており、前記第2配信部は、前記第1取得部が取得した特定データについて前記第2取得部が取得した関連情報を、前記部分動画コンテンツに追加して配信する請求項1~3のいずれか1項に記載の動画配信装置。
【請求項5】
前記抽出部は、前記関連情報を用いて機械学習されるパターン認識モデルを用いたパターン認識処理により、前記動画コンテンツから前記シーンを抽出する請求項4に記載の動画配信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配信用動画のデータを配信先の端末に配信する動画配信装置が記載されている。配信用動画は、生放送による動画コンテンツの映像上でコミュニケーション画像が所定の動作を行う動画である。コミュニケーション画像は、動画コンテンツの配信先の端末において選択されるコメント等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-22237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、配信先の端末装置で視聴している動画コンテンツ中に気になるシーンを見つけたユーザが、そのシーンを再び視聴するために動画コンテンツの視聴箇所を巻き戻すと、巻き戻しを止めるまでの間、配信中の現在のシーンを視聴できなくなる。動画コンテンツの視聴箇所を気になるシーンのところに巻き戻すのも容易ではない。特許文献1の動画配信装置は、これらの問題の解決に寄与するものではない。
【0005】
本発明の目的は、動画コンテンツ中の目的のシーンを含む一部の動画部分を、動画コンテンツの配信先の端末装置において、動画コンテンツとは別のコンテンツとして視聴できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の1つの態様に係る動画配信装置は、
ユーザが端末装置において視聴する動画コンテンツを、前記端末装置が接続されるネットワーク上に配信する第1配信部と、
前記動画コンテンツの映像及び音声のうち少なくとも一方から検出する要素を特定する特定データを、前記端末装置から前記ネットワークを介して取得する第1取得部と、
前記第1取得部が取得した特定データにより特定される前記要素が映像及び音声のうち少なくとも一方に出現するシーンを、前記動画コンテンツから抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出したシーンを含む一部の動画部分を前記動画コンテンツから抜き出した部分動画コンテンツを、前記動画コンテンツとは別に前記ネットワーク上に配信する第2配信部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動画コンテンツ中の目的のシーンを含む一部の動画部分を、動画コンテンツの配信先の端末装置において、動画コンテンツとは別のコンテンツとして視聴できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る動画配信装置を含む動画コンテンツ配信システムの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、図1の表示部を筐体の正面に配置したスマートフォンを示す図である。
図3A図3Aは、図1の動画配信装置が配信する動画コンテンツから抽出するシーンに出現する要素を特定する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図3B図3Bは、図1の動画配信装置が配信する部分動画コンテンツを作成する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図3C図3Cは、図1の動画配信装置が部分動画コンテンツを配信する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、図1の動画配信装置が配信する動画コンテンツ及び部分動画コンテンツを表示部に並べて表示した図2のスマートフォンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一あるいは同等の部位、又は構成要素には、同一の符号を付している。
【0010】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものである。この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置、機能等を下記のものに特定するものでない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る動画配信装置を含む動画コンテンツ配信システムの構成を概略的に示す図である。図1の動画コンテンツ配信システム10は、ユーザが動画コンテンツを視聴する端末装置としてのユーザ端末装置20と、動画コンテンツを配信する動画配信装置30とを有している。
【0012】
ユーザ端末装置20と動画配信装置30とは、ネットワーク40を介して相互に通信することができる。ユーザ端末装置20及び動画配信装置30は、有線又は無線によってネットワーク40に接続することができる。ネットワーク40に接続されるユーザ端末装置20は、1つであってもよく複数であってもよい。ネットワーク40は、インターネット(図示せず)を含んで構成することができる。
【0013】
動画コンテンツ配信システム10は、データストレージ装置50をさらに有していてもよい。動画コンテンツ配信システム10がデータストレージ装置50を有する場合、ユーザ端末装置20及び動画配信装置30は、ネットワーク40を介してデータストレージ装置50と通信することができる。データストレージ装置50は、例えば、SSD(Solid State Drive )又はHDD(Hard Disk Drive )を有する外部記憶装置によって構成することができる。
【0014】
ユーザ端末装置20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末装置、ノート型モバイルパーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ等の、携帯端末によって構成することができる。ユーザ端末装置20を携帯端末によって構成する場合、ネットワーク40は、例えば、携帯端末と接続可能な無線WAN(Wide Area Network )を含むものとすることができる。無線WANは、例えば、LTE(Long Term Evolution )等の4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)規格によるものとすることができる。
【0015】
ユーザ端末装置20は、携帯端末でなく、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ等の据え置き型の端末装置でもよい。
【0016】
ユーザ端末装置20は、汎用のマイクロコントローラ21及びタッチパネル22を有している。
【0017】
マイクロコントローラ21は、CPU(Central Processing Unit )及びメモリを備える。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。マイクロコントローラ21は、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。マイクロコントローラ21は、複数の情報処理回路により、動画配信装置30から配信される動画コンテンツを、ユーザが視聴できるように再生処理することができる。
【0018】
タッチパネル22は、ユーザインタフェースとして用いられ、ユーザからの情報の入力を受け付け、あるいは、ユーザに対する情報の出力を行う。タッチパネル22は、液晶パネルのような表示部23と位置入力装置とを組み合わせて構成することができる。本実施形態のタッチパネル22では、位置入力装置としてタッチパッド24を用いている。タッチパッド24は、タッチスクリーン、タッチ画面、又は接触画面等と呼称される場合もある。
【0019】
図1のユーザ端末装置20が、例えば、図2に示すスマートフォン60である場合、タッチパネル22の表示部23は、スマートフォン60のハウジング61の正面に配置される。タッチパッド24は、表示部23の画面上に配置されており、例えば、ユーザの指等による画面上のタッチ操作を検出する。図2では、ユーザが注目する事象の入力画面71が表示部23に表示された状態を示している。
【0020】
入力画面71は、図1の動画配信装置30がライブ配信する動画コンテンツについて、ユーザが注目する事象に関する情報を入力する画面である。ユーザが注目する事象は、例えば、人物、物品又は商品、話題、楽曲、音声等を含むものとすることができる。入力画面71では、これらの事象に関する情報として、例えば、人物名、物品又は商品の品名又は特徴(色、柄、形状等)、話題、楽曲、音源又は音質を特定する文言(事件名、楽曲名、アーティスト名、歌詞、楽器名、声域名)等を入力することができる。
【0021】
人物名(アーティスト名を含む)は、ニックネーム(あだ名)を含んでもよい。入力画面71での入力方式は、予め用意された選択肢の中からキーワードとする単語を選択する選択式でもよく、ユーザが自由に単語又は文章を記述する記述回答式でもよい。
【0022】
入力画面71は、例えば、動画配信装置30による動画コンテンツのライブ配信前に、表示部23に表示されるものとすることができる。動画コンテンツのライブ配信前とは、例えば、動画コンテンツの視聴を要求する入力操作をタッチパネル22で行う時点とすることができる。この場合は、動画コンテンツの視聴を要求する入力操作用の画面の一部として、入力画面71が表示部23に表示される。
【0023】
入力画面71は、動画コンテンツをユーザ端末装置20で視聴しているライブ配信中、又は、ユーザ端末装置20での動画コンテンツの視聴を終えたライブ配信後に、表示部23に表示されるものとしてもよい。
【0024】
入力画面71での入力内容は、タッチパネル22において所定の入力完了操作を行うことで、ユーザ端末装置20からネットワーク40を介して動画配信装置30に送信することができる。動画配信装置30には、ユーザ端末装置20又はユーザ端末装置20のユーザを識別する識別情報を含めて、入力画面71での入力内容を送信することができる。入力画面71での入力内容は、動画配信装置30による動画コンテンツのライブ配信前、配信中、配信後のいずれかの時点で、動画配信装置30に送信することができる。
【0025】
図1の動画配信装置30は、例えば、ネットワーク40に接続された据え置き型の端末装置によって構成することができる。動画配信装置30は、据え置き型の端末装置でなく、例えば、スマートフォン等の携帯端末によって構成することもできる。
【0026】
動画配信装置30は、汎用のマイクロコントローラ31を有している。マイクロコントローラ31は、CPU及びメモリを備える。メモリは、ROM及びRAMを含む。マイクロコントローラ31は、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。マイクロコントローラ31は、複数の情報処理回路により、第1配信部32、第1取得部33、抽出部34、第2取得部35、第2配信部36及び許可部37を構成することができる。
【0027】
本実施形態では、上記した各部32~37を構成する複数の情報処理回路を、マイクロコントローラ31及びソフトウェアによって実現する例を示す。もちろん、専用のハードウェアを用意して、複数の情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。ハードウェアには、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )、FPGA(Field Programmable Gate Array )等の集積回路を用いることができる。
【0028】
第1配信部32は、ユーザ端末装置20においてユーザが視聴する動画コンテンツをネットワーク40上に配信する。本実施形態では、第1配信部32は、動画コンテンツをライブ配信する。ライブ配信は、ストリーミング配信によって行う。ストリーミング配信は、事前収録した映像を配信するオンデマンド配信と、映像をリアルタイムで配信するリアルタイムストリーミング配信との、どちらの方式によるものであってもよい。
【0029】
ライブ配信をオンデマンド配信で行う場合、第1配信部32は、例えば、動画配信装置30のメモリ又はデータストレージ装置50に記憶させた動画コンテンツを配信する。ライブ配信をリアルタイムストリーミング配信で行う場合、マイクロコントローラ31は、第1配信部32によるライブ配信中の動画コンテンツを、配信した部分から順次、動画配信装置30のメモリ又はデータストレージ装置50に記憶させる。本実施形態では、ライブ配信をリアルタイムストリーミング配信で行うものとする。
【0030】
第1取得部33は、第1配信部32が配信する動画コンテンツの映像及び音声のうち少なくとも一方から検出する要素を特定する特定データを、ユーザ端末装置20からネットワーク40を介して取得する。第1取得部33がユーザ端末装置20から取得する特定データは、ユーザ端末装置20のタッチパネル22において入力画面71に入力された、第1配信部32が配信する動画コンテンツについてユーザが注目する事象に関する情報である。
【0031】
第1取得部33は、ユーザ端末装置20から送信された入力画面71での入力内容を、第1配信部32による動画コンテンツのライブ配信前、配信中、配信後のいずれかの時点で、特定データとして取得することができる。
【0032】
抽出部34は、第1取得部33が取得した特定データから、ユーザが注目している事象に関連する要素を特定する。例えば、特定データが人の名前である場合、図1の抽出部34は、その名前の人物の映像、音声等を、要素として特定する。例えば、特定データが物品又は商品の名前である場合、抽出部34は、その名前の物品又は商品の映像等を、要素として特定する。特定データが物品又は商品の品名又は特徴(色、柄、形状等)を含んでいる場合、抽出部34は、その品名又は特徴に合致する物品又は商品に絞り込んで、映像等を要素として特定してもよい。
【0033】
例えば、特定データが事件名、楽曲名、アーティスト名、歌詞、楽器名、声域名等である場合、抽出部34は、その事件に関する話題、楽曲名、アーティスト名又は歌詞に該当する楽曲、その楽器又は声域の声を音源とする楽曲等を、要素として特定する。
【0034】
抽出部34は、特定データから要素を特定する処理を、例えば、特定データとその特定データから特定する要素の画像、音声とを対応付けたデータベース(図示せず)に基づいて行うことができる。このデータベースは、例えば、動画配信装置30のメモリ又はデータストレージ装置50に構築することができる。
【0035】
上述したデータベースに要素として登録される内容は、例えば、後述する第2取得部35が、第1取得部33が取得した特定データをキーワードとしてインターネット上のサイトを検索した際に、その検索によって得られた結果を反映した内容に更新してもよい。
【0036】
抽出部34は、第1取得部33が取得した特定データにより特定される要素が映像及び音声のうち少なくとも一方に出現するシーンを、第1配信部32が配信する動画コンテンツから抽出する。
【0037】
第1配信部32による動画コンテンツのライブ配信前に、第1取得部33が特定データを取得する場合、抽出部34は、動画コンテンツのライブ配信中に、特定データにより特定される要素の出現シーンを動画コンテンツから抽出する。この場合、抽出部34は、動画配信装置30のメモリ又はデータストレージ装置50に順次記憶される、配信が終わった部分の動画コンテンツの映像及び音声から、特定データで特定される要素の出現シーンを抽出する。
【0038】
動画コンテンツのライブ配信中又は配信後に、第1取得部33が特定データを取得する場合、抽出部34は、特定データの取得後に、動画配信装置30又はデータストレージ装置50の動画コンテンツから、特定データで特定される要素の出現シーンを抽出する。
【0039】
抽出部34は、第1配信部32が配信する動画コンテンツから、特定データにより特定される要素の出現シーンを抽出する処理を、例えば、機械学習されるパターン認識モデルを用いたパターン認識処理によって行うことができる。パターン認識処理に用いるパターン認識モデルは、例えば、第1取得部33が取得した特定データに対応する要素として上述したデータベースに登録されている画像又は音声を認識するためのモデルである。
【0040】
抽出部34が用いるパターン認識モデルは、例えば、上述したデータベースのデフォルトの内容を教師データとして構築することができる。このパターン認識モデルは、例えば、上述したデータベースの登録内容が更新された際に、更新により差分としてデータベースに追加される登録内容を学習データとして、機械学習させることができる。
【0041】
第2取得部35は、第1取得部33が取得した特定データの関連情報を取得する。特定データの関連情報は、例えば、後述する第2配信部36が配信する、抽出部34が抽出したシーンを含む一部の動画部分をライブ配信した動画コンテンツから抜き出した部分動画コンテンツのメタ(meta)データであってもよい。
【0042】
第2配信部36が配信する部分動画コンテンツを動画配信装置30が作成する際には、動画配信装置30は、作成する部分動画コンテンツの代わりに検索エンジンの検索対象となるメタデータを生成する。メタデータは、例えば、部分動画コンテンツのタイトル、作成日、作成者、タグ等を含んでいる。第2取得部35は、部分動画コンテンツのメタデータのうち、抽出部34が抽出したシーンに出現する要素に関するメタデータを、特定データの関連情報として取得してもよい。
【0043】
第2取得部35が取得する特定データの関連情報は、例えば、特定データに対応して上述したデータベースに登録された要素の詳細情報としてもよい。
【0044】
例えば、特定データが人の名前である場合、特定データに対応する要素の詳細情報は、その名前の人物について公開されたプロフィール情報とすることができる。プロフィール情報は、例えば、スポーツ選手の場合、成績等を含むことができる。
【0045】
例えば、特定データが物品又は商品の名前である場合、特定データに対応する要素の詳細情報は、その名前の物品又は商品の仕様に関する情報とすることができる。仕様に関する情報は、例えば、商品が衣類である場合、衣類のメーカ、衣類の色、柄、形状(長袖、半袖、パンツ、スカート等)等を含むことができる。特定データが物品又は商品の名前である場合、特定データに対応する要素の詳細情報は、例えば、その名前の物品又は商品の推奨する販売店の情報を含んでいてもよい。
【0046】
特定データに対応して上述したデータベースに登録された要素の詳細情報は、要素と紐付けして同じデータベース上に登録しておくことができる。この場合、第2取得部35は、第1取得部33が取得した特定データの関連情報を、データベースから取得することができる。
【0047】
第2取得部35は、第1取得部33が特定データを取得すると、その特定データをキーワードとしてインターネット上のサイトを検索し、検索の結果得られた情報を、第1取得部33が取得した特定データの関連情報として取得してもよい。
【0048】
第2取得部35が取得する特定データの関連情報を、データベースに登録された、特定データに対応する要素の詳細情報とする場合、その内容を、第2取得部35がインターネット上のサイトを検索した際に、その結果を反映した内容に更新してもよい。
【0049】
第2配信部36は、抽出部34が抽出したシーンを含む一部の動画部分を動画コンテンツから抜き出した部分動画コンテンツを、動画コンテンツとは別にネットワーク40上に配信する。第2配信部36が配信する部分動画コンテンツは、上述したように、動画配信装置30が作成する。動画配信装置30は、抽出部34が抽出したシーンとその前後の一定時間に亘る期間の動画部分を、第1配信部32が配信する動画コンテンツから抜き出し、抜き出した動画部分を部分動画コンテンツとする。
【0050】
第2配信部36は、動画配信装置30が作成した部分動画コンテンツに、ユーザ端末装置20を関連付けて配信する。部分動画コンテンツに関連付けるユーザ端末装置20は、部分動画コンテンツに含まれる、抽出部34が動画コンテンツから抽出したシーンに対応するユーザ端末装置20とする。詳しくは、抽出部34が動画コンテンツから抽出したシーンに出現する要素を特定するのに用いた特定データの取得元のユーザ端末装置20を、抽出部34が動画コンテンツから抽出したシーンを含む部分動画コンテンツに関連付ける。
【0051】
特定データの取得元のユーザ端末装置20は、第1取得部33が特定データと共にユーザ端末装置20から取得した、ユーザ端末装置20又はユーザ端末装置20のユーザを識別する識別情報によって特定することができる。
【0052】
第2配信部36は、第1取得部33が取得した特定データについて第2取得部35が取得した関連情報を、抽出部34が抽出したシーンを含む部分動画コンテンツに、メタ情報として追加して配信してもよい。
【0053】
許可部37は、ネットワーク40からの視聴要求に対する部分動画コンテンツの第2配信部36による配信を許可する。ネットワーク40からの視聴要求は、第2配信部36が配信する部分動画コンテンツの視聴を要求するユーザ端末装置20からの視聴要求である。許可部37は、部分動画コンテンツに関連付けられたユーザ端末装置20を要求元とする視聴要求に限って、部分動画コンテンツの第2配信部36による配信を許可する。
【0054】
以上の構成による動画配信装置30が行う処理の手順の一例を、図3A図3Cのフローチャートを参照して説明する。
【0055】
動画配信装置30は、図3Aのフローチャートに示す、第1配信部32が配信する動画コンテンツから抽出するシーンに出現する要素の特定処理を行う。要素の特定処理では、動画配信装置30は、抽出部34において、第1配信部32が配信する動画コンテンツについてユーザが注目する事象に関する情報が、そのユーザのユーザ端末装置20から入力されたか否かを確認する(ステップS11)。ユーザが注目する事象に関する情報が入力されたか否かは、第1取得部33が特定データを取得したか否かによって確認することができる。
【0056】
第1取得部33が特定データを取得した場合は、ユーザが注目する事象に関する情報が入力されたものとする(ステップS11でYES)。この場合、動画配信装置30は、抽出部34において、取得した特定データから、ユーザが注目している事象に関連する要素を特定し(ステップS13)、要素の特定処理を終了する。第1取得部33が特定データを取得していない場合は、ユーザが注目する事象に関する情報が入力されていないものとして(ステップS11でNO)、要素の特定処理を終了する。
【0057】
動画配信装置30は、図3Bのフローチャートに示す、部分動画コンテンツの作成処理を行う。部分動画コンテンツの作成処理では、動画配信装置30は、リアルタイムストリーミング配信で第1配信部32がライブ配信した動画コンテンツのイベントを常時録画する(ステップS31)。イベントの常時録画は、動画コンテンツを、配信した部分から順次、動画配信装置30のメモリ又はデータストレージ装置50に記憶させることで行う。
【0058】
動画配信装置30は、視聴者が見たい要素が検知されたか否かを確認する(ステップS33)。視聴者が見たい要素が検知されたか否かは、図3AのステップS13において、第1取得部33が取得した特定データから、ユーザが注目している事象に関連する要素を抽出部34において特定したか否かによって確認することができる。抽出部34において要素を特定していない場合は、視聴者が見たい要素が検知されていないものとし(ステップS33でNO)、部分動画コンテンツの作成処理を終了する。
【0059】
抽出部34において要素を特定した場合は、視聴者が見たい要素が検知されたものとする(ステップS33でYES)。この場合、動画配信装置30は、抽出部34が抽出したシーンとその前後の一定時間に亘る期間の動画部分を切り抜き保存する(ステップS35)。切り抜き保存する動画部分は、第1配信部32が配信する動画コンテンツから抜き出した部分動画コンテンツに当たる。部分動画コンテンツの保存は、例えば、部分動画コンテンツを動画配信装置30のメモリ又はデータストレージ装置50に記憶させることで行う。
【0060】
動画配信装置30は、ステップS33で検知された、視聴者が見たい要素の詳細情報を検索し(ステップS37)、詳細情報が見つかったか否かを確認する(ステップS39)。視聴者が見たい要素の詳細情報が見つかったか否かは、第2取得部35が、第1取得部33が取得した特定データの関連情報を取得したか否かで確認することができる。
【0061】
第2取得部35が特定データの関連情報を取得していない場合は、視聴者が見たい要素の詳細情報が見つかっていないものとして(ステップS39でNO)、後述するステップS43に処理を移行する。第2取得部35が特定データの関連情報を取得した場合は、視聴者が見たい要素の詳細情報が見つかったものとする(ステップS39でYES)。この場合、動画配信装置30は、見つかった詳細情報を、ステップS35で保存した切り抜き動画に付加し(ステップS41)、ステップS43に処理を移行する。切り抜き動画への詳細情報の付加は、第1取得部33が取得した特定データについて第2取得部35が取得した関連情報を、第2配信部36が、その特定データで特定される要素の出現シーンを含む部分動画コンテンツに追加することに当たる。
【0062】
ステップS43では、動画配信装置30は、ステップS35で保存した切り抜き動画を視聴者に配信する。抽出部34が抽出したシーンを含む部分動画コンテンツを、第2配信部36がネットワーク40上に配信することは、切り抜き動画を視聴者に配信することに当たる。以上で、部分動画コンテンツの作成処理を終了する。
【0063】
動画配信装置30は、図3Cのフローチャートに示す、部分動画コンテンツの配信処理を行う。部分動画コンテンツの配信処理では、動画配信装置30は、切り抜き動画へのアクセスがあったか否かを確認する(ステップS51)。切り抜き動画へのアクセスがあったか否かは、第2配信部36が配信した部分動画コンテンツの視聴要求がネットワーク40からあったか否かによって確認することができる。ネットワーク40からの部分動画コンテンツの視聴要求がない場合は、切り抜き動画へのアクセスがないものとして(ステップS51でNO)、部分動画コンテンツの配信処理を終了する。
【0064】
ネットワーク40からの部分動画コンテンツの視聴要求がある場合は、切り抜き動画へのアクセスがあったものとして(ステップS51でYES)、動画配信装置30は、切り抜き動画の要素を指定したユーザ本人のアクセスか否かを確認する(ステップS53)。ユーザ本人か否かは、ネットワーク40からの視聴要求に対する部分動画コンテンツの第2配信部36による配信を許可部37が許可したか否かによって確認することができる。
【0065】
部分動画コンテンツの第2配信部36による配信を許可部37が許可した場合は、ユーザ本人のアクセスであるものとする(ステップS53でYES)。この場合、動画配信装置30は、切り抜き動画を再生し(ステップS55)、再生を完了して(ステップS57)、部分動画コンテンツの配信処理を終了する。切り抜き動画の再生及び再生の完了は、許可部37が許可したユーザ端末装置20からの視聴要求に対して第2配信部36が部分動画コンテンツを配信することに当たる。
【0066】
部分動画コンテンツの第2配信部36による配信を許可部37が許可しなかった場合は、ユーザ本人のアクセスでないものとする(ステップS53でNO)。この場合、動画配信装置30は、要求元のユーザ端末装置20に、動画の再生不可のポップアップ画像を表示させるデータを配信し(ステップS59)、部分動画コンテンツの配信処理を終了する。
【0067】
図1のユーザ端末装置20では、例えば、図2に示すスマートフォン60の表示部23に、動画配信装置30へのアクセスページ(図示せず)を表示させて、専用URLをクリックすることで、コンテンツの配信ページを表示部23に表示させることができる。
【0068】
コンテンツの配信ページでは、動画配信装置30から配信させるコンテンツを選択することができる。コンテンツの選択肢には、図1の第1配信部32が配信する動画コンテンツが含まれる。部分動画コンテンツの第2配信部36による配信を、ユーザ端末装置20のユーザに対して許可部37が許可している場合は、コンテンツの選択肢に部分動画コンテンツを含めることができる。
【0069】
第1配信部32が配信する動画コンテンツのイベントが終了しており、イベントの再視聴が認められていない場合は、第1配信部32が配信する動画コンテンツを、配信ページで選択できるコンテンツの選択肢から外してもよい。第1配信部32が配信する動画コンテンツのイベントの終了後は、第2配信部36が配信する部分動画コンテンツのみの配信ページを表示部23に表示させるようにしてもよい。この場合、ユーザのID、パスワード等の入力画面を表示部23に事前に表示させ、入力されたID、パスワード等を照合した上で、配信ページを表示部23に表示させてもよい。
【0070】
ユーザ端末装置20のユーザは、動画コンテンツの配信ページにおいて、選択肢の中から配信を希望するコンテンツを選択することで、選択したコンテンツを表示部23に表示させることができる。第1配信部32が配信する動画コンテンツと第2配信部36が配信する部分動画コンテンツとを選択した場合は、選択した動画コンテンツとは別に、選択した部分動画コンテンツを、表示部23に並べて表示させることができる。
【0071】
図4は、ライブ配信中の野球の試合の動画コンテンツ72と、動画コンテンツ72から抽出されたシーンを含む部分動画コンテンツ73とを、スマートフォン60の表示部23に並べて表示させている例を示している。
【0072】
部分動画コンテンツ73は、例えば、図2の入力画面71において、ユーザが注目する事象として入力した名前の選手が映像上に出現したシーンを含む、動画コンテンツ72から一部の動画部分を抜き出したコンテンツである。部分動画コンテンツ73は、表示部23に表示された機能バー74を操作することで、再生開始から終了までの範囲で、再生箇所を移動(巻き戻し、早送り)することができる。部分動画コンテンツ73の表示部分には、映像と共に、入力画面71において入力した名前の選手の詳細情報75として、その選手の成績の情報を表示させることができる。
【0073】
動画コンテンツ72の映像、音声は、リアルタイムストリーミング配信でライブ配信されているので、部分動画コンテンツ73の再生箇所の移動とは無関係に、試合の進行に応じて進行する。動画コンテンツ72でライブ配信した試合(イベント)が終了している場合は、部分動画コンテンツ73のみを、スマートフォン60の表示部23に表示させてもよい。
【0074】
図4では、動画コンテンツ72が野球の試合の動画である場合を示しているが、例えば、ファッションショー、野球以外のスポーツイベント、ミュージックフェスティバルのような音楽イベント等の動画を、動画コンテンツ72として配信してもよい。
【0075】
動画コンテンツ72がファッションショーの動画である場合は、例えば、図2の入力画面71において入力した衣服等のアイテムが映像上に出現したシーンを含む動画部分を動画コンテンツ72から抜き出して、部分動画コンテンツ73として配信してもよい。この場合、詳細情報75として、部分動画コンテンツ73に出現したアイテムのメーカ、販売中の衣類の色、柄、形状(長袖、半袖、パンツ、スカート等)、推奨する販売店等の情報を、表示部23の部分動画コンテンツ73の表示部分に表示させてもよい。
【0076】
本実施形態の動画配信装置30では、ユーザ端末装置20に配信した動画コンテンツ72から、ユーザが注目する事象が出現するシーンを含む一部の動画部分を抜き出して、動画コンテンツ72とは別の部分動画コンテンツ73として配信することができる。このため、動画コンテンツ72中に気になるシーンを見つけたユーザは、部分動画コンテンツ73によって、気になるシーンを視聴することができる。
【0077】
部分動画コンテンツ73は、動画コンテンツ72から一部の動画部分を抜き出した動画であるため、気になるシーンの箇所に視聴箇所を容易に巻き戻すことができる。また、気になるシーンを再び視聴するために、動画コンテンツ72の視聴箇所を巻き戻す必要がないので、視聴箇所の巻き戻しを止めるまでの間も、配信中の動画コンテンツ72において、現在のシーンを視聴し続けることができる。
【0078】
上述した実施形態では、ユーザが入力した特定データから特定した、ユーザが注目している事象に関連する要素が、映像である場合について説明した。しかし、ユーザが注目する事象から特定される要素は、音声であってもよい。特定した音声が出現するシーンは、例えば、音声の周波数、波形等のパターン認識モデルを用いて、音声に対するパターン認識処理を行うことで、動画コンテンツ72から抽出することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 動画コンテンツ配信システム
20 ユーザ端末装置
21 マイクロコントローラ
22 タッチパネル
23 表示部
24 タッチパッド
30 動画配信装置
31 マイクロコントローラ
32 第1配信部
33 第1取得部
34 抽出部
35 第2取得部
36 第2配信部
37 許可部
40 ネットワーク
50 データストレージ装置
60 スマートフォン
61 ハウジング
71 入力画面
72 動画コンテンツ
73 部分動画コンテンツ
74 機能バー
75 詳細情報
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4