(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141810
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】コントローラ、機器、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230928BHJP
F24H 3/00 20220101ALI20230928BHJP
F24H 15/464 20220101ALI20230928BHJP
【FI】
H04Q9/00 331B
F24H3/00 A
F24H15/464
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048316
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA01
5K048DB04
5K048EA01
5K048EB02
5K048GA07
5K048HA05
(57)【要約】
【課題】機器を視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減すること。
【解決手段】コントローラ1は、特定の条件を満たすと特定動作を実行する機器2に、赤外線を媒体とする送信信号を無線で送信する。コントローラ1は、外部から操作入力を受け付ける操作部3と、操作部3にて操作入力を1回受け付けると、待機状態から指令状態となり、第1の赤外線信号S11を送信信号として送信する送信部11と、第1の赤外線信号S11に対して機器2から送信される鍵データを含む応答信号S2を受信する受信部15と、を備える。送信部11は、指令状態において、受信した鍵データに基づく第2の赤外線信号S12を送信信号として送信する。特定の条件は、機器2における第1の赤外線信号S11、及び第2の赤外線信号S12の受信に関する条件である。第1の赤外線信号S11と第2の赤外線信号S12とは、互いに異なるデータを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の条件を満たすと特定動作を実行する機器に、赤外線を媒体とする送信信号を無線で送信するコントローラであって、
外部から操作入力を受け付ける操作部と、
前記操作部にて前記操作入力を1回受け付けると、待機状態から指令状態となり、第1の赤外線信号を前記送信信号として送信する送信部と、
前記第1の赤外線信号に対して前記機器から送信される鍵データを含む応答信号を受信する受信部と、を備え、
前記送信部は、前記指令状態において、受信した前記応答信号の前記鍵データに基づく第2の赤外線信号を前記送信信号として送信し、
前記特定の条件は、前記機器における前記第1の赤外線信号、及び前記第2の赤外線信号の受信に関する条件であり、
前記第1の赤外線信号と前記第2の赤外線信号とは、互いに異なるデータを含む、
コントローラ。
【請求項2】
前記特定の条件は、前記機器が、前記第1の赤外線信号を受信した時点又は前記応答信号を送信した時点を始点とする所定期間内に前記第2の赤外線信号を少なくとも1回受信することである、
請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記送信部は、前記指令状態において、前記応答信号を受信し、かつ前記操作入力を再び受け付けると、前記第2の赤外線信号を送信する、
請求項1又は2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記送信部は、前記指令状態において、前記応答信号を受信すると自動的に前記第2の赤外線信号を送信する、
請求項1又は2に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記送信部は、前記応答信号の受信に失敗した場合、前記指令状態から前記待機状態に戻る、
請求項1~4のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記送信部は、前記操作部にて前記操作入力を1回受け付けて前記待機状態から前記指令状態となってから一定期間が過ぎると、前記指令状態から前記待機状態に戻る、
請求項1~5のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記応答信号は、赤外線を媒体とする信号である、
請求項1~6のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のコントローラから前記送信信号を受信する受信部と、
前記第1の赤外線信号の受信に応じて前記応答信号を前記コントローラに送信する送信部と、
前記特定動作を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記特定の条件を満たした場合に、前記特定動作を実行する、
機器。
【請求項9】
ガス燃焼式の加熱源を更に備え、
前記特定動作は、前記加熱源に関する動作である、
請求項8に記載の機器。
【請求項10】
特定の条件を満たすと特定動作を実行する機器に、赤外線を媒体とする送信信号を無線で送信するコントローラの制御方法であって、
外部から操作入力を受け付ける操作部にて前記操作入力を1回受け付けると、待機状態から指令状態となり、第1の赤外線信号を前記送信信号として送信する第1送信ステップと、
前記第1の赤外線信号に対して前記機器から送信される鍵データを含む応答信号を受信する受信ステップと、
第2送信ステップと、を含み、
前記第2送信ステップでは、前記指令状態において、受信した前記応答信号の前記鍵データに基づく第2の赤外線信号を前記送信信号として送信し、
前記特定の条件は、前記機器における前記第1の赤外線信号、及び前記第2の赤外線信号の受信に関する条件であり、
前記第1の赤外線信号と前記第2の赤外線信号とは、互いに異なるデータを含む、
制御方法。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載のコントローラと通信する機器の制御方法であって、
前記コントローラから前記送信信号を受信する受信ステップと、
前記第1の赤外線信号の受信に応じて前記応答信号を前記コントローラに送信する送信ステップと、
前記特定動作を実行する制御ステップと、を含み、
前記制御ステップでは、前記特定の条件を満たした場合に、前記特定動作を実行する、
制御方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、コントローラ、機器、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱源を備える暖房機器をワイヤレス信号により制御することを可能とした携帯電話機を用いたリモコンシステムについて記載されている。このリモコンシステムでは、携帯電話機の操作部において、複数個のキーを順に操作するパスワードを用いたり複数個のキーを同時に操作したりすることで、暖房機器の運転が開始される。そのため、携帯電話機を子供が触ったり、携帯電話機の操作部を不用意に踏んだりしたとしても、暖房機器の運転が開始される可能性が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、赤外線を媒体とする信号(赤外線信号)を受信して動作指令を受け付ける機器に対して、(例えば後付けで)遠隔操作を可能にする、いわゆるスマートリモコンが普及しつつある。携帯端末(携帯電話機)とスマートリモコンとが、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格を利用して無線通信を行う。ユーザは、スマートリモコンに対して予め機器に対応する赤外線信号を学習させておけば、携帯端末から機器の動作に関する操作を行うと、スマートリモコンが、携帯端末から当該操作に関する信号を受信し、その機器に対応した赤外線信号を機器に送信する。ユーザは、機器から比較的離れた場所からでも携帯端末を用いて機器の動作に関する操作を行えるため、利便性が向上する。
【0005】
一方、ユーザは、機器(及びその周辺)を直接視認できない場所からでも機器を遠隔で操作できてしまう。しかし、機器の種類(例えば、加熱源を備えた機器等)によっては、そのような状況下で操作されることが望ましくない場合もある。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、機器を視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減できるコントローラ、機器、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係るコントローラは、特定の条件を満たすと特定動作を実行する機器に、赤外線を媒体とする送信信号を無線で送信するコントローラである。前記コントローラは、外部から操作入力を受け付ける操作部と、送信部と、受信部と、を備える。前記送信部は、前記操作部にて前記操作入力を1回受け付けると、待機状態から指令状態となり、第1の赤外線信号を前記送信信号として送信する。前記受信部は、前記第1の赤外線信号に対して前記機器から送信される鍵データを含む応答信号を受信する。前記送信部は、前記指令状態において、受信した前記応答信号の前記鍵データに基づく第2の赤外線信号を前記送信信号として送信する。前記特定の条件は、前記機器における前記第1の赤外線信号、及び前記第2の赤外線信号の受信に関する条件である。前記第1の赤外線信号と前記第2の赤外線信号とは、互いに異なるデータを含む。
【0008】
請求項2の発明に係るコントローラでは、請求項1の発明に係るコントローラにおいて、前記特定の条件は、前記機器が、所定期間内に前記第2の赤外線信号を少なくとも1回受信することである。前記所定期間は、前記第1の赤外線信号を受信した時点又は前記応答信号を送信した時点を始点とする期間である。
【0009】
請求項3の発明に係るコントローラでは、請求項1又は2の発明に係るコントローラにおいて、前記送信部は、前記指令状態において、前記応答信号を受信し、かつ前記操作入力を再び受け付けると、前記第2の赤外線信号を送信する。
【0010】
請求項4の発明に係るコントローラでは、請求項1又は2の発明に係るコントローラにおいて、前記送信部は、前記指令状態において、前記応答信号を受信すると自動的に前記第2の赤外線信号を送信する。
【0011】
請求項5の発明に係るコントローラは、請求項1~4の発明のいずれか1つに係るコントローラにおいて、前記送信部は、前記応答信号の受信に失敗した場合、前記指令状態から前記待機状態に戻る。
【0012】
請求項6の発明に係るコントローラでは、請求項1~5の発明のいずれか1つに係るコントローラにおいて、前記送信部は、前記操作部にて前記操作入力を1回受け付けて前記待機状態から前記指令状態となってから一定期間が過ぎると、前記指令状態から前記待機状態に戻る。
【0013】
請求項7の発明に係るコントローラでは、請求項1~6の発明のいずれか1つに係るコントローラにおいて、前記応答信号は、赤外線を媒体とする信号である。
【0014】
請求項8の発明に係る機器は、請求項1~7の発明のいずれか1つに係るコントローラから前記送信信号を受信する受信部と、前記第1の赤外線信号の受信に応じて前記応答信号を前記コントローラに送信する送信部と、前記特定動作を実行する制御部と、を備える。前記制御部は、前記特定の条件を満たした場合に、前記特定動作を実行する。
【0015】
請求項9の発明に係る機器は、請求項8の発明に係る機器において、ガス燃焼式の加熱源を更に備える。前記特定動作は、前記加熱源に関する動作である。
【0016】
請求項10の発明に係る制御方法は、特定の条件を満たすと特定動作を実行する機器に、赤外線を媒体とする送信信号を無線で送信するコントローラの制御方法である。前記制御方法は、第1送信ステップと、受信ステップと、第2送信ステップと、を含む。前記第1送信ステップでは、外部から操作入力を受け付ける操作部にて前記操作入力を1回受け付けると、待機状態から指令状態となり、第1の赤外線信号を前記送信信号として送信する。前記受信ステップでは、前記第1の赤外線信号に対して前記機器から送信される鍵データを含む応答信号を受信する。前記第2送信ステップでは、前記指令状態において、受信した前記応答信号の前記鍵データに基づく第2の赤外線信号を前記送信信号として送信する。前記特定の条件は、前記機器における前記第1の赤外線信号、及び前記第2の赤外線信号の受信に関する条件である。前記第1の赤外線信号と前記第2の赤外線信号とは、互いに異なるデータを含む。
【0017】
請求項11の発明に係る制御方法は、請求項1~7の発明のいずれか1つに係るコントローラと通信する機器の制御方法である。前記制御方法は、前記コントローラから前記送信信号を受信する受信ステップと、前記第1の赤外線信号の受信に応じて前記応答信号を前記コントローラに送信する送信ステップと、前記特定動作を実行する制御ステップと、を含む。前記制御ステップでは、前記特定の条件を満たした場合に、前記特定動作を実行する。
【0018】
請求項12の発明に係るプログラムは、請求項10又は11の発明に係る制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明に係るコントローラでは、機器に送信される第2の赤外線信号は、そのデータが第1の赤外線信号のデータと異なり、また機器から受信する鍵データに基づく信号である。そのため、ユーザがスマートリモコンにコントローラの機能を学習させようとしても、1回目の操作入力に応じて送信される第1の赤外線信号だけがスマートリモコンにコピーされる可能性が高く、スマートリモコンの学習防止に貢献し得る。特に、スマートリモコンが鍵データを知り得る可能性は低い。その結果、機器を視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減できる。
【0020】
請求項2の発明に係るコントローラでは、特定の条件は、機器が所定期間内に第2の赤外線信号を少なくとも1回受信することであるため、ユーザが意図せずに特定動作が実行されてしまう可能性を低減できる。
【0021】
請求項3の発明に係るコントローラでは、機器に特定動作を実行させるために、ユーザは再び操作部への操作入力を行う必要がある。そのため、ユーザが意図せずに特定動作が実行されてしまう可能性を低減できる。
【0022】
請求項4の発明に係るコントローラでは、第2の赤外線信号については自動的に送信されるため、ユーザは再び操作部への操作入力を行う手間が省ける。その結果、利便性が向上する。特にこの構成は、機器の運転停止や設定温度の調節等を指令するような1回の操作入力で良い操作部に対して適用し易くなる。
【0023】
請求項5の発明に係るコントローラでは、応答信号の受信に失敗した場合、指令状態から待機状態に戻るため、機器を視認できない場所から遠隔操作される可能性を更に低減できる。また、特定動作が実行されなかった場合に、ユーザは最初から操作部への操作入力のやり直しを行い易くなる。
【0024】
請求項6の発明に係るコントローラでは、一定期間が過ぎると、指令状態から待機状態に戻るため、ユーザが意図せずに指令状態が継続してしまう可能性を低減できる。
【0025】
請求項7の発明に係るコントローラでは、応答信号は、赤外線を媒体とする信号であるため、例えばBluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の他の無線通信の規格を採用する場合に比べて、安価にコントローラ側の受信機能、及び機器側の送信機能を設けることができる。
【0026】
請求項8の発明に係る機器では、1回目の操作入力に応じてコントローラから送信される送信信号(赤外線信号)だけがスマートリモコンにコピーされる可能性が高い。そのため、スマートリモコンから連続で赤外線信号を受信しても、それらの赤外線信号の中身は同じデータが含まれているだけであり、特定動作は実行されない。その結果、視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減した機器を提供できる。
【0027】
請求項9の発明に係る機器では、ガス燃焼式の加熱源を備えた機器が視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減できる。
【0028】
請求項10の発明に係る制御方法では、機器を視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減したコントローラの制御方法を提供できる。
【0029】
請求項11の発明に係る制御方法では、視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減した機器の制御方法を提供できる。
【0030】
請求項12の発明に係るプログラムでは、機器を視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減した機能を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1Aは、実施形態に係るコントローラのブロック構成図である。
図1Bは、実施形態に係る機器のブロック構成図である。
【
図2】
図2は、同上のコントローラ、及び同上の機器の概念図である。
【
図3】
図3は、同上のコントローラの動作に関するフローチャートである。
【
図4】
図4は、同上の機器の動作に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、実施形態に係るコントローラ、機器、制御方法、及びプログラムについて、図面を用いて説明する。下記の実施形態等において参照する
図2は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0033】
(実施形態)
(1)機器制御システム
実施形態に係る機器制御システム4は、
図2に示すように、実施形態に係るコントローラ1と、実施形態に係る機器2とを備える。
【0034】
(2)機器
以下、機器制御システム4の構成要素の1つである機器2について、
図1B及び
図2を参照して説明する。
【0035】
機器2は、コントローラ1(リモコン)への操作に応じて遠隔制御可能な機器である。機器2は、ユーザが利用する施設内の空間に設置され得る。例えば施設が住宅であれば、機器2は、宅内の部屋に設置されて使用され得る。施設は、住宅に限らず、非住宅(オフィスビル等)でもよい。
【0036】
機器2は、リモコンにより遠隔制御可能な機器であれば、その種類は特に限定されない。本実施形態では、機器2が、暖房機器であり、一例としてガスファンヒータであることを想定する。つまり、機器2は、加熱源21(
図1B参照)を内蔵する。機器2は、ガス燃焼式の加熱源21を備える。しかし、機器2の加熱源21は、石油燃焼式でもよいし、電熱式でもよい。
【0037】
機器2は、ユーザ操作に応じてコントローラ1から無線で送出される、赤外線を媒体とする送信信号(無線信号、以下、「赤外線信号S1」とも呼ぶことがある)を受信し、その赤外線信号S1に含まれるデータ(制御データ)に応じた制御を実行する。特に、機器2は、コントローラ1への操作に応じた制御として、特定の条件を満たすと特定動作を実行するように構成される。特定の条件は、機器2における第1の赤外線信号S11(赤外線信号S1)、及び第2の赤外線信号S12(赤外線信号S1)の受信に関する条件である。つまり、特定の条件は、少なくとも、機器2における第1の赤外線信号S11(赤外線信号S1)、及び第2の赤外線信号S12(赤外線信号S1)の受信を必須とする条件である。
【0038】
本実施形態では、特定動作は、加熱源21に関する動作であり、コントローラ1を用いた遠隔操作で実行可能な動作である。加熱源21に関する動作は、例えば、加熱源21の稼働開始(つまり、機器2の「運転開始」)の動作、加熱源21の稼働停止(つまり、機器2の「運転停止」)の動作、又は設定温度の調節動作に相当し得る。
【0039】
なお、ここで言う運転開始は、機器2の電源が入った状態で待機電力を消費中にある待機状態から、例えばユーザから手動操作を受け付けた場合に稼働状態を開始することである。また、運転停止は、稼働状態から、例えばユーザから手動操作を受け付けた場合に待機状態に戻ることである。したがって、運転停止や運転開始は、エコ運転等によって室温が設定温度以上に達したことに起因する一時的な運転の自動停止、一時的な運転停止からの自動的な再開とは異なる。
【0040】
以下では一例として、特定動作は、コントローラ1を用いた遠隔操作で実行可能な機器2の「運転開始」の動作であることを想定する。ただし、特定動作は、コントローラ1を用いた遠隔操作で実行可能な動作であれば、機器2の「運転開始」の動作以外の動作であってもよく、機器2の「運転停止」の動作でもよいし、設定温度の調節の動作でもよいし、おやすみタイマの動作でもよい。また、エコ運転開始の動作が、コントローラ1を用いた遠隔操作で実行可能であれば、特定動作は、エコ運転開始の動作でもよい。
【0041】
また、機器2は、
図1Bに示すように、制御部20、送風ファン22、受信部23、記憶部24、表示部25、複数の操作部26(図示例では1つのみ)、電源部27、送信部28、及びこれらを収容又は保持する筐体200(
図2参照)等を更に備える。また、機器2は、加熱源21等の動作を監視するためのセンサを更に備える。センサの種類は特に限定されないが、例えば、加熱源21の燃焼を確認するための燃焼センサ、加熱源21の温度、及び機器2が設置されている室内の温度を検出するための温度センサ、機器2の転倒を検出するための転倒センサ等が設けられている。また、機器2は、タイマを備え、タイマによる計時に基づき、機器2(暖房機器)の運転開始/運転停止等に関する予約スケジュールの管理を行う機能を有する。
【0042】
筐体200は、
図2に示すように、全体として前後方向に扁平な略矩形の箱状である。筐体200は、その正面の下部に、吹出口201が設けられ、また、その背面には、吸込口が設けられている。筐体200の上端面には、表示部25、及び複数の操作部26が配置されている。また、筐体200の背面には、加熱源21のガス管に燃料ガスを供給するためのガスコードが接続される接続口が設けられている。また、筐体200の背面には電源コードが延出しており、電源コードの先端の電源プラグを電源コンセントに接続することで、機器2は、例えば商用の交流電源から電力の供給を受けることができる。
【0043】
加熱源21は、燃料ガスと燃焼用空気との混合気を燃焼させる燃焼器、及び、燃焼器に向けて燃料ガスを噴射することで燃料ガスと燃焼用空気とを混合させる噴射ノズルを有する。また、加熱源21は、噴射ノズルに燃料ガスを案内するガス管、ガス管を開閉する電磁弁、及び設定温度等に応じた燃料ガスの流量調節を可能にする比例弁等を有する。燃焼器は、その燃焼室に案内された燃料に点火する点火器、及び、着火による火炎を検出して火炎の立ち消え検知を可能にする火炎センサを有する。加熱源21の電磁弁、比例弁、点火器、及び火災センサ等は、制御部20により制御される。
【0044】
送風ファン22は、筐体200内に収容されている。送風ファン22は、例えば、クロスフローファン、及びクロスフローファンを周方向に回転させるファンモータ等を有する。ファンモータは、制御部20の制御下で作動し、クロスフローファンを回転させる。クロスフローファンの回転によって、外気が、筐体200の背面に設けられた吸込口から吸い込まれ、加熱源21の燃焼器に向けて流動する。吸込口から吸い込まれた外気(空気)の一部は、燃焼用空気として燃料ガスと混合されて加熱源21の燃焼室に供給される。残りの空気は、燃焼器を迂回し、燃焼室からの燃焼排ガスと混合されて昇温した後、筐体200の正面に設けられた吹出口201から吹き出される。その結果、機器2は、暖気を機器2が設置されている室内に提供し、室内温度を設定温度に近づけることができる。
【0045】
複数の操作部26は、機器2の動作を指令する操作入力を受け付け可能に構成されたユーザインタフェースである。複数の操作部26は、例えば、筐体200の上端面に配置されている。各操作部26は、押しボタン式であることを想定する。
【0046】
具体的には、複数の操作部26は、機器2の運転を開始するためのONボタン(運転ボタン)、及び機器2の運転を停止するためのOFFボタン(停止ボタン)を含む。運転ボタン及び停止ボタンは、1つのボタンで実現されて、当該ボタンを押す度に運転開始の指令と運転停止の指令とが交互に行われてもよい。
【0047】
また、複数の操作部26は、設定温度を1℃ずつ上げさせるためのUPボタン、及び設定温度を1℃ずつ下げさせるためのDOWNボタンを更に含む。
【0048】
また、複数の操作部26は、おやすみボタン、おはようボタン、及び設定時間を入力する設定ボタン等を更に含む。おやすみボタンを押すことで、押し操作を行った時点から例えば1時間後に自動的に機器2の運転が停止される。おはようボタンを押すことで、設定時間後に自動的に機器2の運転が開始される。
【0049】
また、複数の操作部26は、エコ運転を実行するためのエコボタンを更に含む。通常運転の場合、機器2は、燃焼能力を大きくしたり小さくしたりする連続燃焼を実行する。エコ運転の場合、機器2は、室温が設定温度以上になると燃焼と停止とを繰り返す運転を実行する。
【0050】
上記のボタンの種類は、単なる一例であって、これらに限定されない。
【0051】
表示部25は、機器2の動作に関する情報をユーザに提示するように構成される。表示部25は、筐体200の上端面に配置されている。表示部25は、現在の設定温度、現在の室温、設定時間、及び運転状態(通常運転中かエコ運転中か)の表示を行う。
【0052】
記憶部24は、フラッシュメモリ等の電気的に書き換え可能な不揮発性の半導体メモリを含む。記憶部24は、制御部20のメモリでもよい。記憶部24は、コントローラ1から受信し得る(後述の)複数の制御データと、複数の制御内容とが対応付けされた情報を予め格納している。また、記憶部24は、設定温度を記憶し、制御部20は、ユーザ操作に応じて記憶部24内の設定温度を適宜更新する。また、記憶部24は、1又は複数の鍵データに関する情報を予め格納している。
【0053】
受信部23は、コントローラ1からの送信信号(赤外線信号S1)を受信する。受信部23は、筐体200の正面における右端上部に配置された送信部28の隣りに配置されている(
図2参照)。受信部23は、コントローラ1から送出される赤外光(赤外線)を受光し、光電変換を行う赤外線受光素子を含む。受信部23は、制御部20と電気的に接続されている。制御部20は、赤外線受光素子から出力される出力信号から制御データを抽出し、当該制御データに対応する制御内容を実行する。ただし、制御部20は、出力信号から「特定のデータ」(第1の赤外線信号S11に含まれるデータ)を抽出した場合、応答信号S2(
図2参照)の送信に関する処理を実行する。
【0054】
送信部28は、制御部20と電気的に接続されている。送信部28は、制御部20の制御の下、コントローラ1からの第1の赤外線信号S11の受信に応じて、応答信号S2をコントローラ1に送信する。送信部28は、制御部20で生成された応答信号S2を送出するための赤外線発光素子を含む。赤外線発光素子は、例えば、赤外光LED(Light Emitting Diode)を想定する。つまり、一例として、応答信号S2は、赤外線を媒体とする信号である。応答信号S2は、例えば、リーダーコード、カスタムコード、データコード、及びストップビット等を有するデータ構成になっている。赤外線発光素子は、筐体200の正面における右端上部において応答信号S2(赤外線信号)を出射するように露出して筐体200に保持されている。
【0055】
電源部27は、制御部20と電気的に接続されている。電源部27は、制御部20の制御下で、電源コードを介して電源コンセントから供給される例えば商用の交流電力を用いて、加熱源21、送風ファン22、受信部23、表示部25、及び送信部28等を動作させるために必要な電力を生成し、これらに供給する。
【0056】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等のプロセッサ及びメモリを含むコンピュータ(マイクロコンピュータを含む)を有する。コンピュータは、適宜のプログラムを実行することにより、制御部20として機能する。
【0057】
制御部20は、各操作部26に対する操作に基づき、加熱源21、送風ファン22、及び表示部25等の動作を制御する。また、制御部20は、受信部23で受信される、コントローラ1からの赤外線信号S1に含まれる制御データに基づき、加熱源21、送風ファン22、及び表示部25等の動作を制御する。ただし、上述の通り、制御部20は、コントローラ1から「特定のデータ」を含む第1の赤外線信号S11を受信した場合、記憶部24内の1又は複数の鍵データのうちの1つを含む応答信号S2(
図2参照)を生成して送信部28から送信させる。鍵データが記憶部24内に複数記憶されている場合、制御部20は、毎回ランダムで1つを選択してもよいし、順番に1つを選択してもよい。鍵データが記憶部24内に1つのみ記憶されている場合、制御部20は、毎回同一の鍵データを選択する。
【0058】
(3)コントローラ
以下、機器制御システム4の構成要素の1つであるコントローラ1について、
図1A及び
図2を参照して説明する。
【0059】
コントローラ1は、機器2を遠隔で操作可能なリモコンである。コントローラ1は、
図2に示すように、赤外線を媒体とする送信信号(赤外線信号S1)を無線で送信する。赤外線信号S1は、例えば、リーダーコード、カスタムコード、データコード、及びストップビット等を有するデータ構成になっている。なお、操作部3への1回の操作入力(押し操作)に対して、赤外線信号S1が、リーダーコードからストップビットまでを数回リピートして送信される場合もあるが、説明の便宜上、リピートも含めて1回分の赤外線信号S1と見なす。
【0060】
コントローラ1は、
図1Aに示すように、器体100と、制御部10と、送信部11と、記憶部12と、ユーザインタフェース13と、電源部14と、受信部15とを備える。コントローラ1は、例えば、CPU等のプロセッサ及びメモリを含むコンピュータ(マイクロコンピュータを含む)を有する。コンピュータは、適宜のプログラムを実行することにより、コントローラ1として機能する。
【0061】
器体100は、全体として一方向に長尺で、扁平な略矩形の箱状に形成されている(
図2参照)。器体100は、ユーザが片手で把持し易いような大きさと形状を有する。器体100は、例えば、樹脂製である。器体100の正面には、複数(図示例では5つ)の操作部材300が配置されている。つまり、器体100は、ユーザが片手で器体100を把持しながら操作部材300を親指等で押し操作し易い構造を有する。器体100は、制御部10、送信部11、ユーザインタフェース13、記憶部12、電源部14、及び受信部15等を収容又は保持する。
【0062】
送信部11は、制御部10と電気的に接続されている。送信部11は、制御部10の制御の下、操作部3にて操作入力を1回受け付けると、送信信号(赤外線信号S1)を送信する。ただし、送信部11は、特定の操作部3(ここではONボタン31)が操作入力を1回受け付けると、待機状態から指令状態となり、第1の赤外線信号S11を送信信号(赤外線信号S1)として送信する。また、送信部11は、制御部10の制御の下、指令状態において、機器2から受信した応答信号S2の鍵データに基づく第2の赤外線信号S12を送信信号(赤外線信号S1)として送信する。
【0063】
送信部11は、制御部10で生成された赤外線信号S1を送出するための赤外線発光素子を含む。赤外線発光素子は、例えば、赤外光LEDを想定する。赤外線発光素子は、器体100の一端面(
図2では上端面)から赤外線信号S1を出射するように当該一端面において露出して器体100に保持されている。
【0064】
ユーザインタフェース13は、複数(例えば5つ)の操作部3を有する。各操作部3は、外部(例えばユーザ)から操作入力を受け付ける。
図1A及び
図2の例では、ユーザインタフェース13は、5つの操作部3として、ONボタン31、OFFボタン32、温度DOWNボタン33、温度UPボタン34、及びおやすみボタン35を含む。各ボタン(31~35)は、押しボタン式スイッチ、及び、スイッチの前面に配置された樹脂製の操作部材300を含む。各スイッチは、器体100内のプリント基板に実装されている。器体100から露出する5つの操作部材300のいずれかをユーザが押し込むことで、裏側のスイッチの接点がONされ、制御部10は、対応する操作部3がユーザから操作入力を受けたことを検知する。
【0065】
ONボタン31は、機器2の運転を開始するための運転ボタンである。OFFボタン32は、機器2の運転を停止するための停止ボタンである。温度DOWNボタン33は、設定温度を1℃ずつ下げさせるためのボタンである。温度UPボタン34は、設定温度を1℃ずつ上げさせるためのボタンである。おやすみボタン35は、押し操作を行った時点から例えば1時間後に自動的に機器2の運転を自動的に停止させるためのボタンである。つまり、一例として、5つの操作部3の機能は、機器2側の複数の操作部26と一部重複する。
【0066】
各操作部3が押し操作(操作入力)を1回受け付ける度に、送信部11は、赤外線信号S1を1回送信する。ここでいう1回分の赤外線信号S1とは、例えばリーダーコードで始まりストップビットまでの(リピートされる場合は、リピートも含む)信号を意味する。
【0067】
ところで、ユーザがコントローラ1を不用意に踏んだり子供がコントローラ1を触ったりして、機器2の意図しない運転が開始される可能性を低減させるために、本実施形態では一例として、ONボタン31についてのみ2回押し操作を必要とすることを想定する。つまり、ユーザは、ONボタン31を連続で2回押さないと、機器2は、運転を開始しない。他のボタン(32~35)については、1回押しで、機器2は、対応する制御を実行するが、他のボタンについても「2回押し」が適用されてもよい。また、「2回押し」に限定されず、3回以上の押しが必要なボタンが設定されてもよい。
【0068】
記憶部12は、フラッシュメモリ等の電気的に書き換え可能な不揮発性の半導体メモリを含む。記憶部12は、制御部10のメモリでもよい。記憶部12は、送信部11から送信させる赤外線信号S1に関する情報を予め記憶している。すなわち、記憶部12は、各ボタン(31~35)が押し操作された場合に、赤外線信号S1に含めるための対応する制御データ(データコード)に関する情報を予め記憶している。以下では、ONボタン31、OFFボタン32、温度DOWNボタン33、温度UPボタン34、及びおやすみボタン35に対応する制御データを第1制御データ、第2制御データ、第3制御データ、第4制御データ、及び第5制御データとそれぞれ呼ぶことがある。
【0069】
ところで、「2回押し」を必要とするONボタン31に対応する第1制御データについて、1回目の「押し」に対応する第1制御データと、2回目の「押し」に対応する第1制御データとは互いに異なる。記憶部12は、ONボタン31への1回目の「押し」に対応する第1制御データについては予め記憶している。しかし、記憶部12は、ONボタン31への2回目の「押し」に対応する第1制御データを予め記憶していない。一例として、記憶部12は、ONボタン31への1回目の「押し」に対応する第1制御データとして、上記の「特定のデータ」(以下、「ON1」データと呼ぶことがある)を予め記憶している。本実施形態では一例として、ONボタン31への2回目の「押し」に対応する第1制御データは、機器2から受信する応答信号S2に含まれる鍵データである。つまり、コントローラ1は、機器2が選択した鍵データ(例えば「ON2」データとする)を2回目の「押し」に対応する第1制御データに採用する。
【0070】
なお、仮に、ONボタン31以外に、「2回押し」が必要となるボタンが設定されている場合にも(例えば、OFFボタン32とする)、1回目の「押し」に対応する制御データと、2回目の「押し」に対応する制御データとは互いに異なるように設定され得る。記憶部12は、OFFボタン32に対応する第2制御データとして、1回目の「押し」に対応する第2制御データについては予め記憶している(例えば、「OFF1」データ)。しかし、2回目の「押し」に対応する第2制御データについては、機器2から受信する応答信号S2に含まれる鍵データ(例えば、「OFF2」データ)が採用され得る。言い換えると、この場合、機器2の記憶部24は、第2制御データ用の1又は複数の鍵データに関する情報を予め格納し得る。言うまでもなく、OFFボタン32に対応する「OFF1」データ、「OFF2」データの各々は、ONボタン31に対応する「ON1」データ、「ON2」データのいずれとも一致しないデータである。
【0071】
電源部14は、制御部10と電気的に接続されている。電源部14は、例えば1又は複数の一次電池を含み得る。一次電池は、例えばボタン電池である。一次電池は、交換可能に器体100に収容されている。電源部14は、一次電池から放出される直流電力を用いて、制御部10等の動作電力を生成し、制御部10に供給する。
【0072】
受信部15は、第1の赤外線信号S11に対して機器2から送信される鍵データを含む応答信号S2を受信する。受信部23は、例えば、器体100の一端面(
図2では上端面)に配置された送信部11の隣りに配置されている(
図2参照)。応答信号S2は上述の通り赤外線信号である。受信部15は、機器2から送出される赤外光(赤外線)を受光し、光電変換を行う赤外線受光素子を含む。受信部15は、制御部10と電気的に接続されている。制御部10は、赤外線受光素子から出力される出力信号から鍵データ(「ON2」データ)を抽出する。制御部10は、再びONボタン31が押された場合、当該鍵データに基づく第2の赤外線信号S12、一例として「ON2」データを含む第2の赤外線信号S12を生成する。
【0073】
制御部10は、送信部11、ユーザインタフェース13、記憶部12、電源部14、及び受信部15等を制御する。制御部10は、5つの操作部3(ボタン31~35)のいずれかに対してユーザが押し操作を実行すると、送信部11を制御して、そのボタンに応じた制御データ(第1~第5制御データのいずれか)を含む赤外線信号S1を送信部11から送出(送信)させる。
【0074】
特に、送信部11は、制御部10の制御下で、特定の操作部3(ここではONボタン31)に対してユーザが押し操作を実行すると、待機状態から指令状態となり、先ず「ON1」データを第1制御データとして含む第1の赤外線信号S11を送信する。送信部11は、制御部10の制御下で、指令状態において、応答信号S2を受信し、かつ(同じ操作部3、つまりONボタン31にて)操作入力を再び受け付けると、第2の赤外線信号S12を送信する。すなわち、送信部11は、鍵データ(「ON2」データ)を第1制御データとして含む第2の赤外線信号S12を送信する。
【0075】
送信部11は、制御部10の制御下で、操作部3(ここではONボタン31)にて操作入力を1回受け付けて待機状態から指令状態となってから一定期間が過ぎると、指令状態から待機状態に戻る。上記の一定期間は、例えば数秒間を想定するが特に限定されない。つまり、ユーザにとっては、機器2の運転を開始させるためには、ONボタン31に対して、1回目の押し操作を行ってから上記の一定期間が過ぎるまでに2回目の押し操作を行う必要がある。なお、制御部10は、一定期間内に2回目の押し操作が有っても無くても、一定期間が過ぎて指令状態から待機状態に戻ると、機器2から受信した鍵データを消去する。
【0076】
制御部10は、タイマを備える、制御部10は、ONボタン31への1回目の押し操作を受け付けると、第1の赤外線信号S11を送信させ、さらにタイマにて上記の一定期間の計時を開始する。つまり、上記の一定期間の始点は、ONボタン31への1回目の押し操作を受け付けた時点である。制御部10は、上記の一定期間内に、ONボタン31への2回目の押し操作を受け付けると、第2の赤外線信号S12を送信させる。
【0077】
制御部10は、上記の一定期間内にONボタン31にて仮に3回目以降の押し操作を受け付けても、その押し操作を無視し、赤外線信号S1の送信は行わない。しかし、制御部10は、3回目以降の押し操作に応じて都度「ON2」データを含む第2の赤外線信号S12を送信してもよい(機器2側で3回目以降の赤外線信号S1は無効扱いすればよい)。また、制御部10は、ONボタン31への1回目の押し操作を受け付けた後、ONボタン31以外のボタンにて2回目の押し操作を受け付けても、その押し操作を無視し、赤外線信号S1の送信は行わない。
【0078】
言うまでもなく、機器2の運転中において、ONボタン31が2回押しされても、機器2側では、赤外線信号S1を無効扱いにする。機器2の運転停止中において、OFFボタン32が押されても機器2側では、赤外線信号S1を無効扱いにする。
【0079】
制御部10は、タイマにて上記の一定期間の終点を計時すると、タイマをリセットし、次回のONボタン31にて受け付ける押し操作は、1回目の押し操作として扱う。
【0080】
要するに、ONボタン31にて上記の一定期間内に2回連続で押し操作を受け付けた場合、互いに異なるデータ(「ON1」データ、「ON2」データ)をそれぞれ含んだ第1の赤外線信号S11と第2の赤外線信号S12とが、送信部11から送信される。
【0081】
なお、送信部11は、制御部10の制御下で、応答信号S2の受信に失敗した場合、指令状態から待機状態に戻る。
【0082】
図2の例では、コントローラ1から、1回目の押し操作に対して「ON1」データ(矩形波W1を参照)を含む第1の赤外線信号S11が送信されている。また、
図2の例では、コントローラ1から、2回目の押し操作に対して「ON2」データ(矩形波W2を参照)を含む第2の赤外線信号S12が送信されている。この「ON2」データは、
図2に示すように、機器2から送信された応答信号S2に含まれる鍵データ(矩形波X1を参照)に基づいており、第2の赤外線信号S12に含まれている。
【0083】
図2の矩形波W1と矩形波W2(矩形波X1)は、「ON1」データと「ON2」データとが互いに異なることが直感的に理解し易いように、それぞれ、データコードの先頭の一部だけを抜粋して模式的に示されている。「ON1」データ(矩形波W1)は、データコードの先頭に、ON期間(赤外線発光素子の点灯期間)とOFF期間(赤外線発光素子の消灯期間)の長さが同じ“0”データを含んでいる。「ON2」データ(矩形波W2、矩形波X1)は、OFF期間がON期間よりも長い“1”データを含んでいる。
【0084】
つまり、「ON1」データと「ON2」データとが異なるとは、対応する制御内容は同じ「運転の開始」であれど、データコード(例えば8ビットデータ)の内容が異なることに相当する。例えば、「ON2」データの方が「ON1」データよりも“1”データを多く含んでいれば、データ長は「ON2」データの方が長くなり得る。
【0085】
一方、機器2の制御部20は、コントローラ1への遠隔操作に応じて、特定動作を実行する。本実施形態では一例として、特定動作は、コントローラ1において「2回押し」を必要とする機器2の「運転開始」の動作である。制御部20は、特定の条件を満たした場合に、特定動作(運転開始の動作)を実行する。特定の条件は、コントローラ1において運転開始の動作を指令するためにONボタン31に対し「2回押し」が実行されることにより、コントローラ1から送出される(異なる第1制御データを含んだ)第1の赤外線信号S11及び第2の赤外線信号S12を機器2が受信することである。より具体的には、特定の条件は、機器2が、第1の赤外線信号S11を受信した時点又は応答信号S2を送信した時点を始点とする所定期間内に第2の赤外線信号S12を少なくとも1回(ここでは1回)受信することである。上記の所定期間は、例えば数秒間を想定するが特に限定されない。
【0086】
機器2の制御部20においても、タイマを用いて上記の所定期間を計時する。機器2の制御部20は、1回目の第1制御データ(例えば「ON1」データ)を含む第1の赤外線信号S11を受信すると(又は応答信号S2を送信すると)、上記の所定期間の計時を開始する。制御部20は、1又は複数の鍵データの中からいずれか1つを選択し、選択した鍵データ(例えば「ON2」データ)を含めて応答信号S2を送信する。その際、制御部20は、1回目の第1制御データとは異なる鍵データを選択する。例えば、機器2の記憶部24に「ON1」~「ON5」データが鍵データとして予め記憶されているとする。制御部20は、コントローラ1から1回目の第1制御データとして「ON1」データを受信すると、「ON1」データ以外のデータ(「ON2」~「ON5」データ)の中から1つを選択し、鍵データとして含めて応答信号S2を送信する。当然、コントローラ1は、常に1回目の第1制御データとして「ON1」データを固定的に送信し、機器2は、常に鍵データとして「ON2」データを固定的に送信してもよい。
【0087】
制御部20は、上記の所定期間内に、2回目の第1制御データ(「ON2」データ)を含む第2の赤外線信号S12を受信すると、受信した「ON2」データが、送信した鍵データと一致するか否かを判定する。制御部10は、2回目の第1制御データが1回目の第1制御データと異なるデータであるかを判定してもよい。制御部20は、上記の所定期間内に、3回目の第1制御データを含む赤外線信号S1を受信しても無効扱いする。
【0088】
一例として、コントローラ1の制御部10がタイマを用いて計時する上記の一定期間と、機器2の制御部20がタイマを用いて計時する上記の所定期間とが同じ長さ(例えば数秒)であることを想定するが、厳密に同じでなくてもよい。
【0089】
機器2の制御部20は、タイマにて上記の所定期間の終点を計時すると、タイマをリセットし、次回の第1制御データを含む赤外線信号S1の受信を1回目の受信として扱う。
【0090】
機器2の記憶部24においても、第1制御データとしての「ON1」、「ON2」、「ON3」・・・データ(これらは鍵データとしても扱われ得る)が、機器2の運転開始の動作という制御内容と対応付けされて予め記憶されている。機器2の制御部20は、上記の所定期間内に受信した第1、第2の赤外線信号S11、S12が運転開始という制御内容に対応する第1制御データをそれぞれ含み、第2の赤外線信号S12の第1制御データが、送信した鍵データと一致していると判定すると、機器2の運転を開始する。
【0091】
(4)コントローラの動作の流れ
以下、コントローラ1の動作の一連の流れについて
図3を参照して説明する。
図3に示すフローチャートは、本発明に係るコントローラ1の動作のフローの一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0092】
コントローラ1(の制御部10)は、常時、各操作部3に対する押し操作の発生の有無を監視する(ステップST1)。コントローラ1は、いずれかの操作部3に対して押し操作が発生するまで待機する(ステップST1:No)。
【0093】
いずれかの操作部3に対して押し操作が発生すると(ステップST1:Yes)、コントローラ1は、例えば、そのタイミングで、一定期間の計時を開始する(ステップST2)。
【0094】
コントローラ1は、どのボタン(操作部3)が押されたか、特にONボタン31が押されたか否かを判定する(ステップST3)。コントローラ1は、ONボタン31以外のボタンが押されたと判定すると(ステップST3:No)、そのボタンに対応する制御データを含む赤外線信号S1を送信する(ステップST4)。そして、コントローラ1は、一定期間の計時をリセットし(ステップST12)、再び押し操作の発生を待つ待機状態に戻る。
【0095】
一方、コントローラ1は、ONボタン31が押されたと判定すると(ステップST3:Yes)、待機状態から指令状態となり、例えば「ON1」データを第1制御データとして第1の赤外線信号S11に含めて送信する(ステップST5)。
【0096】
すると、コントローラ1は、直ちに機器2から鍵データ(例えば「ON2」データ)を含む応答信号S2を受信する(ステップST6)。
【0097】
次に、コントローラ1は、指令状態にて、2回目の押し操作の発生の有無を監視する(ステップST7)。2回目の押し操作の発生がないまま(ステップST7:No)、一定期間が終了すると(ステップST8:Yes)、コントローラ1は、一定期間の計時をリセットし(ステップST12)、指令状態から再び押し操作の発生を待つ待機状態に戻る。すなわち、コントローラ1は、一定期間が終了するまでは(ステップST8:No)、指令状態のまま2回目の押し操作の発生を待つ。
【0098】
一定期間が終了するまでに2回目の押し操作が発生すると(ステップST7:Yes)、コントローラ1は、どのボタン(操作部3)が押されたか、特にONボタン31が再び押されたか否かを判定する(ステップST9)。
【0099】
コントローラ1は、ONボタン31が再び押されたと判定すると(ステップST9:Yes)、ステップST6で受信した「ON2」データ(鍵データ)を第1制御データとして第2の赤外線信号S12に含めて送信する(ステップST11)。そして、コントローラ1は、第2の赤外線信号S12を送信したタイミングで(或いは、一定期間の終了まで待ち、終了したタイミングで)一定期間の計時をリセットし(ステップST12)、指令状態から再び押し操作の発生を待つ待機状態に戻る。
【0100】
コントローラ1は、応答信号S2の受信に失敗した場合にも、指令状態から待機状態に戻る。コントローラ1は、例えば、応答信号S2の受信よりも先にONボタン31に2回目の押し操作が発生したり、応答信号S2の受信よりも先に一定期間が終了したりすると、応答信号S2の受信に失敗したと判定する。コントローラ1は、応答信号S2の受信に失敗した場合、器体100に設けられた表示ランプ(不図示)を点灯させて、その旨をユーザに通知してもよい。
【0101】
なお、コントローラ1は、一定期間が終了するまでにONボタン31以外のボタンが押されたと判定すると(ステップST9:No)、そのボタンに対応する赤外線信号S1を送信しない。すなわち、コントローラ1は、当該押し操作を無効扱いとし(ステップST10)、一定期間の計時をリセットし(ステップST12)、押し操作の発生を待つ待機状態に戻る。
【0102】
コントローラ1は、ONボタン31に対する2回押しを受け付けた後、暫くはどのボタンが押されても赤外線信号S1を送信せずに無効扱いとする無効期間(例えば数秒間)を設定してもよい。
【0103】
コントローラ1は、例えば、指令状態から待機状態に戻ったタイミングで、ステップST6で受信した「ON2」データ(鍵データ)に関する情報を消去(クリア)することが好ましい。
【0104】
(5)機器の動作の流れ
以下、機器2の動作の一連の流れについて
図4を参照して説明する。
図4に示すフローチャートは、本発明に係る機器2の動作のフローの一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。なお、ここではコントローラ1から受信する赤外線信号S1に応じた機器2の動作について説明し、機器2の操作部26への操作に対する動作については説明を省略する。
【0105】
機器2(の制御部20)は、電源が入った状態で待機電力を消費して待機状態の間、赤外線信号S1の受信の有無を監視する(ステップST21)。機器2は、赤外線信号S1を受信するまで待機する(ステップST21:No)。
【0106】
赤外線信号S1を受信すると(ステップST21:Yes)、機器2は、例えば、そのタイミングで、所定期間の計時を開始する(ステップST22)。機器2は、赤外線信号S1から制御データを抽出する(ステップST23)。
【0107】
機器2は、抽出した制御データがどの制御内容に対応する制御データか、特に「2回押し」を必要とする機器2の運転開始に対応する第1制御データか否かを判定する(ステップST24)。機器2は、第1制御データ以外の制御データであると判定すると(ステップST24:No)、その制御データに対応する制御内容を実行する(ステップST25)。そして、機器2は、所定期間の計時をリセットし(ステップST34)、再び赤外線信号S1の受信を待つ待機状態に戻る。
【0108】
一方、機器2は、抽出した制御データが第1制御データであると判定すると(ステップST24:Yes)、その第1制御データ(ここでは「ON1」)を記憶部24に一時的に記憶する(ステップST26)。さらに機器2は、記憶部24内に予め格納されている1又は複数の鍵データの中から、受信した「ON1」とは異なる鍵データ(ここでは「ON2」)を選択し、選択した鍵データを含む応答信号S2を送信する(ステップST27)。
【0109】
そして、機器2は、次の赤外線信号S1の受信を待つ(ステップST28)。2回目の赤外線信号S1の受信がないまま(ステップST28:No)、所定期間が終了すると(ステップST29:Yes)、機器2は、所定期間の計時をリセットし(ステップST34)、再び赤外線信号S1の受信を待つ待機状態に戻る。すなわち、機器2は、所定期間が終了するまでは(ステップST29:No)、2回目の赤外線信号S1の受信を待つ。
【0110】
所定期間が終了するまでに2回目の赤外線信号S1を受信すると(ステップST28:Yes)、機器2は、赤外線信号S1から制御データを抽出する(ステップST30)。
【0111】
機器2は、抽出した制御データがどの制御内容に対応する制御データか、特に機器2の運転開始に対応する第1制御データか否かを判定する(ステップST31)。
【0112】
機器2は、抽出した制御データが第1制御データであると判定すると(ステップST31:Yes)、次に、その2回目の第1制御データが、ステップST27で送信した鍵データ(ここでは「ON2」)と一致するか否かを判定する(ステップST32)。2回目の第1制御データが送信した鍵データと一致すれば(ステップST32:Yes)、機器2は、運転を開始する、すなわち、加熱源21及び送風ファン22の稼働を開始する(ステップST33)。そして、機器2は、所定期間の計時をリセットし(ステップST34)、再び赤外線信号S1の受信を待つ待機状態に戻る。
【0113】
なお、機器2は、所定期間が終了するまでに受信した制御データが第1制御データ以外の制御データであると判定すると(ステップST31:No)、その制御データに対応する制御内容を実行しない。すなわち、機器2は、その制御データを無効扱いとし(ステップST35)、所定期間の計時をリセットし(ステップST34)、再び赤外線信号S1の受信を待つ待機状態に戻る。要するに、機器2は、第1制御データを受信した後に、第1制御データ以外の制御データを受信した場合、コントローラ1からの指令を破棄する。
【0114】
また、機器2は、2回目の第1制御データが送信した鍵データと不一致である場合にも(ステップST32:No)、その制御データに対応する制御内容を実行しない。すなわち、機器2は、運転を開始せず、その制御データを無効扱いとし(ステップST35)、所定期間の計時をリセットし(ステップST34)、再び赤外線信号S1の受信を待つ待機状態に戻る。要するに、機器2は、事前に送信した鍵データと異なる第1制御データを2回目に受信した場合、コントローラ1からの指令を破棄する。
【0115】
機器2は、運転を開始した後、暫くはどの制御データを受信しても対応する制御内容を実行せずに無効扱いとする無効期間(例えば数秒間)を設定してもよい。
【0116】
(6)効果
本実施形態に係るコントローラ1では、「2回押し」を必要とする操作部3(例えばONボタン31)にて一定期間内に「2回押し」を受け付けた場合、2回目に送信される第2の赤外線信号S12のデータは、1回目に送信された第1の赤外線信号S11のデータと異なる。また、第2の赤外線信号S12は、機器2から受信した鍵データに基づく信号である。そのため、ユーザがスマートリモコンにコントローラ1の機能を学習させようとしても、1回目の操作入力に応じてコントローラ1から送信される第1制御データ(例えば「ON1」データ)を含む第1の赤外線信号S11だけがスマートリモコンにコピーされる可能性が高い。つまり、スマートリモコンは、同一ボタンへの連続押しにも関わらず、1回目の押しと2回目の押しとで、異なるデータ(「ON1」、「ON2」)の赤外線信号が送信されることまで想定して製造されている可能性が低い。その結果、ユーザは、コントローラ1でONボタン31を2回押しする感覚で、携帯端末の画面で対応するアイコンを2回タップする操作を行っても、スマートリモコンは、単に、「ON1」データを含む赤外線信号を2回連続で機器2に送信するだけになる。すると、機器2は、
図4のステップST32において2回目の第1制御データが事前に送信した鍵データと不一致である、と判定することになり、運転の開始は実行されない。特に、スマートリモコンが鍵データを知り得る可能性は低い。このようにスマートリモコンの学習防止に貢献し、機器2を視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減できる。
【0117】
また、本実施形態に係るコントローラ1では、特定の条件は、機器2が所定期間内に第2の赤外線信号S12を少なくとも1回受信することであるため、ユーザが意図せずに特定動作(例えば運転開始の動作)が実行されてしまう可能性を低減できる。
【0118】
また、本実施形態に係るコントローラ1では、機器2に特定動作(例えば運転開始の動作)を実行させるために操作部3(例えばONボタン31)に対する一定期間内における操作入力が2回必要となる。そのため、ユーザが意図せずに特定動作(例えば運転開始の動作)が実行されてしまう可能性を低減できる。また、3回以上の操作入力が必要となる場合に比べて、ユーザの利便性が低下することを抑制できる。
【0119】
また、本実施形態に係るコントローラ1では、機器2からの応答信号S2の受信に失敗した場合、指令状態から待機状態に戻るため、機器2を視認できない場所から遠隔操作される可能性を更に低減できる。また、特定動作(例えば運転開始の動作)が実行されなかった場合に、ユーザは最初から操作部3(例えばONボタン31)への操作入力のやり直しを行い易くなる。
【0120】
また、本実施形態に係るコントローラ1では、一定期間が過ぎると、指令状態から待機状態に戻るため、ユーザが意図せずに指令状態が継続してしまう可能性を低減できる。
【0121】
また、本実施形態に係るコントローラ1では、応答信号S2は、赤外線を媒体とする信号である。そのため、例えばBluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の他の無線通信の規格を採用する場合に比べて、安価なコントローラ1の受信部15、及び機器2の送信部28を設けることができる。
【0122】
本実施形態に係る機器2では、1回目の操作入力に応じてコントローラ1から送信される送信信号(赤外線信号S1)だけがスマートリモコンにコピーされる可能性が高い。そのため、スマートリモコンから連続で赤外線信号を受信しても、それらの赤外線信号の中身は同じデータが含まれているだけであり、特定動作(例えば運転開始の動作)は実行されない。すなわち、機器2は、スマートリモコンから2回分の赤外線信号を受信しても、
図4のステップST32において2回目の第1制御データが事前に送信した鍵データと不一致である、と判定することになり、運転の開始を実行しない。その結果、機器2を視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減できる。
【0123】
特に、本実施形態のようにガス燃焼式の加熱源21を備える機器2の場合、テレビ受信機や空調機器、空気清浄器等の家電機器と違って、ユーザが直接機器2を視認できない場所(例えば別の部屋や外出先)から遠隔操作されてしまうことは好ましくない場合がある。この点で、本実施形態に係る機器2では、視認できない場所から遠隔操作される可能性を低減できる。
【0124】
(7)変形例
以上説明した実施形態は、本発明の様々な実施形態の一部に過ぎない。また、実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0125】
上記実施形態に係るコントローラ1と同様の機能は、コントローラ1の制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0126】
本発明に係る一の制御方法は、特定の条件を満たすと特定動作(例えば運転開始の動作)を実行する機器2に、赤外線を媒体とする送信信号(赤外線信号S1)を無線で送信するコントローラ1の制御方法である。制御方法は、第1送信ステップと、受信ステップと、第2送信ステップと、を含む。第1送信ステップでは、外部から操作入力を受け付ける操作部3にて操作入力を1回受け付けると、待機状態から指令状態となり、第1の赤外線信号S11を送信信号(赤外線信号S1)として送信する。受信ステップでは、第1の赤外線信号S11に対して機器2から送信される鍵データを含む応答信号S2を受信する。第2送信ステップでは、指令状態において、受信した応答信号S2の鍵データに基づく第2の赤外線信号S12を送信信号(赤外線信号S1)として送信する。特定の条件は、機器2における第1の赤外線信号S11、及び第2の赤外線信号S12の受信に関する条件である。第1の赤外線信号S11と第2の赤外線信号S12とは、互いに異なるデータを含む。本発明に係る一のプログラムは、この制御方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0127】
また、上記実施形態に係る機器2と同様の機能は、機器2の制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0128】
本発明に係る別の制御方法は、コントローラ1と通信する機器2の制御方法である。制御方法は、コントローラ1から送信信号(赤外線信号S1)を受信する受信ステップと、第1の赤外線信号S11の受信に応じて応答信号S2をコントローラ1に送信する送信ステップと、特定動作を実行する制御ステップと、を含む。制御ステップでは、特定の条件を満たした場合に、特定動作を実行する。本発明に係る別のプログラムは、この制御方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0129】
上記実施形態では、応答信号S2は、赤外線信号S1と同様に、赤外線を媒体とした無線信号である。しかし、機器2は、コントローラ1に対して無線で鍵データを送信できればよく、応答信号S2は、例えばBluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の他の無線通信の規格に準拠した無線信号でもよい。
【0130】
上記実施形態では、コントローラ1は、機器2から受信した鍵データ(「ON2」データ)を第1制御データとして第2の赤外線信号S12に含めて送信している。しかし、必ずしも機器2は、鍵データとして、第1制御データ(「ON2」データ)自体を送信する必要はない。例えば、「鍵1」データが「ON1」データに対応、「鍵2」データが「ON2」データに対応、「鍵3」データが「ON3」データに対応・・・というように対応関係の情報を、コントローラ1の記憶部12と、機器2の記憶部24とに予め格納しておけば、機器2は、鍵データとして、「鍵2」データを含む応答信号S2を送信してもよい。コントローラ1は、記憶部12を参照して「鍵2」に対応する「ON2」データを選択して第2の赤外線信号S12に含めて送信してもよい。
【0131】
上記実施形態では、コントローラ1の送信部11は、指令状態において、ONボタン31が押し操作されることをトリガーに第2の赤外線信号S12を送信している。しかし、送信部11は、指令状態において、応答信号S2を受信すると自動的に第2の赤外線信号S12を送信してもよい。この場合、ユーザは再びONボタン31への操作入力を行う手間が省ける。その結果、利便性が向上する。
【0132】
特に、送信部11が応答信号S2を受信すると自動的に第2の赤外線信号S12を送信する場合、「1回押し」のみで良い他のボタン32~35に適用しやすくなる。つまり、この場合、特定動作は、機器2の「運転停止」、設定温度の調節、及び1時間後の自動運転停止等の動作に該当し得る。
【0133】
上記実施形態では、コントローラ1は、ONボタン31への1回目の押し操作に対して、毎回同じ「ON1」データを含む第1の赤外線信号S11を送信している。しかし、コントローラ1の記憶部12は、第1制御データとして、互いに異なる3種類以上のデータ(例えば「ON1」~「ON5」の5種類のデータ)を予め格納していてもよい。そして、コントローラ1は、1回目に送信する第1制御データとして、「ON1」~「ON5」の中から1つを毎回ランダムに選択してもよい。或いは、コントローラ1は、例えば「ON1」~「ON5」の中から1つを、特定の順序に従って(例えばサイクリックに)選択してもよい。つまり、第1の赤外線信号S11の第1制御データは、毎回違ってもよい。この場合、機器2の記憶部24にも「ON1」~「ON5」の5種類のデータを予め記憶し得る。機器2は、第1制御データが毎回違う可能性のある第1の赤外線信号S11を受信すると、当該第1制御データ以外の鍵データを選択して送信する。
【0134】
また、3回以上の押し(例えば3回押し)が操作部3(例えばONボタン31)に適用されてもよい。当然、機器2側でも「3回押し」を必要とする制御内容を把握していることになる。この場合、3回分の制御データのうち、2回目以降の制御データの中に少なくとも1回、鍵データに基づく制御データが送信されればよい。例えば、3回分の制御データは、順に、「ON1」、「ON2(鍵データ)」、「ON1」でもよいし、「ON1」、「ON2(鍵データ)」、及び「ON2(鍵データ)」でもよいし、「ON1」、「ON1」、及び「ON2(鍵データ)」でもよい。「ON1」、「ON1」、及び「ON2(鍵データ)」の順の場合、機器2は、1回目の制御データを受信した時点で応答信号S2を送信してもよいし、2回目の制御データを受信した時点で応答信号S2を送信してもよいし、そして、3回目に鍵データに基づく制御データを受信することになる。
【符号の説明】
【0135】
1 コントローラ
11 送信部
15 受信部
2 機器
20 制御部
21 加熱源
23 受信部
28 送信部
3 操作部
S1 赤外線信号(送信信号)
S11 第1の赤外線信号
S12 第2の赤外線信号
S2 応答信号