(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141833
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20230928BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230928BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H05H1/24
H01L21/304 643A
H01L21/304 645C
H01L21/30 572B
H01L21/30 572A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048358
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】竹市 弥生
(72)【発明者】
【氏名】堀越 章
(72)【発明者】
【氏名】上野 美佳
(72)【発明者】
【氏名】中西 健二
(72)【発明者】
【氏名】高辻 茂
【テーマコード(参考)】
2G084
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
2G084AA03
2G084BB05
2G084CC03
2G084CC04
2G084CC08
2G084CC19
2G084CC34
2G084DD01
2G084DD13
2G084DD16
2G084FF07
5F146MA02
5F146MA03
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5F157AA64
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5F157BB64
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5F157CF22
5F157CF46
5F157CF48
5F157CF72
5F157DB02
5F157DB18
(57)【要約】
【課題】基板の面内における処理の均一性を向上させる技術の提供。
【解決手段】基板処理装置132は、基板Wを保持する保持部1と、保持部1に保持された基板Wの面内における中央側の部分にプラズマを照射する第1プラズマ照射部31と、保持部1に保持された基板Wの面内における外周側の部分にプラズマを照射する、第1プラズマ照射部31とは別の第2プラズマ照射部32と、第1プラズマ照射部31に電力を供給する第1電力供給部35と、第2プラズマ照射部32に電力を供給する、第1電力供給部35とは別の第2電力供給部36と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する保持部と、
前記保持部に保持された基板の面内における中央側の部分にプラズマを照射する第1プラズマ照射部と、
前記保持部に保持された基板の面内における外周側の部分にプラズマを照射する、前記第1プラズマ照射部とは別の第2プラズマ照射部と、
前記第1プラズマ照射部に電力を供給する第1電力供給部と、
前記第2プラズマ照射部に電力を供給する、前記第1電力供給部とは別の第2電力供給部と、
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記第2プラズマ照射部に供給される電力量が、前記第1プラズマ照射部に供給される電力量よりも、大きい、
基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記第1プラズマ照射部に供給される電力量が、前記第2プラズマ照射部に供給される電力量よりも、大きい、
基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、前記第2プラズマ照射部が、前記第1プラズマ照射部の周囲を取り囲んで設けられる、
基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置であって、
前記第1プラズマ照射部が、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、円形状であり、
前記第2プラズマ照射部が、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、円環状である、
基板処理装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の基板処理装置であって、
前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、
直線状の第1線状電極が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第1電極部と、
直線状の第2線状電極が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第2電極部と、
を備え、
前記延在方向および前記配列方向から規定される面の法線方向から見たときに、前記第1線状電極と前記第2線状電極とが、重ならないように交互に配置される、
基板処理装置。
【請求項7】
請求項4または5に記載の基板処理装置であって、
前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、
渦巻状に延在する第1渦巻状電極を含む第1電極部と、
渦巻状に延在する第2渦巻状電極を含む第2電極部と、
を備え、
前記第1渦巻状電極と前記第2渦巻状電極とが互いに平行な面に配設されており、該面の法線方向から見たときに、前記第1渦巻状電極と前記第2渦巻状電極とが、同心に配置されつつ、互いに重ならないものとなっている、
基板処理装置。
【請求項8】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記第1プラズマ照射部と前記第2プラズマ照射部とが、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て該基板の中心に対して偏在する境界の一方側と他方側に設けられ、
前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、前記境界に対して該基板の中心を含む側に、前記第1プラズマ照射部が配置される、
基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記境界が、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、該基板の中心を挟んでその両側に延在する互いに平行な一対の直線である、
基板処理装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の基板処理装置であって、
前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、
直線状の第1線状電極が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第1電極部と、
直線状の第2線状電極が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第2電極部と、
を備え、
前記延在方向および前記配列方向から規定される面の法線方向から見たときに、前記第1線状電極と前記第2線状電極とが、重ならないように交互に配置され、
前記第1線状電極の延在方向および前記第2線状電極の延在方向が、前記境界の延在方向と平行である、
基板処理装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、
誘電体材料によって形成される板部材と、
前記板部材を挟んで設けられた一対の電極部と、
を備え、
前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が備える前記一対の電極部のうち、前記板部材の同じ側に配置される電極部は、同じ極性とされて、同じ位相の電圧が印加される、
基板処理装置。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、
誘電体材料によって形成される板部材と、
各々が、前記板部材に設けられた収容部に収容された、一対の電極部と、
を備える、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造プロセスにおいては、基板に対して各種の処理が行われる。この処理に、プラズマが利用されることがある。例えば、特許文献1には、二次元的に広がるプラズマを発生させることができるプラズマ発生装置が開示されている。このプラズマ発生装置は、具体的には、一対の電極部が、誘電体により形成される平板状の隔離部材を挟んで配置された構成を備えている。一対の電極部の各々は、隔離部材の主面に沿って二次元的に配置された複数の線状導体を含んでおり、各電極部の各線状導体が、隔離部材の法線方向から見て互いに重ならないように配列されている。このような構成において、一対の電極部の間に電圧が印加されることによって、誘電体の主面(プラズマ発生面)に沿って二次元的に広がるプラズマが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板の主面に処理を施すにあたって、その面内における処理の均一性を向上させるためには、基板の面内の各位置において同じ速度で処理が進行すること、すなわち、処理速度のばらつきが小さいことが重要である。しかしながら、実際は、様々な要因によって、基板の面内で処理速度にばらつきが生じてしまう。
【0005】
例えば、特許文献1に記載されているプラズマ発生装置を、基板の主面に近接させつつ対向配置するとともに、一対の電極部の間に電圧を印加して二次元的に広がるプラズマを発生させることで、基板の主面の全域に一括してプラズマを照射して、該主面の全域においてプラズマ処理を進行させる場合を想定する。
【0006】
このとき、電圧が印加されたプラズマ発生装置は相当な高温となる。このため、プラズマ発生装置が近接しつつ対向配置されている基板の面内が、プラズマ発生装置からの熱を受けて、昇温する。ところが、多くの場合、プラズマ発生装置は、その全体が均一な温度に昇温するわけではなく、例えば、チャンバのダウンフローなどに晒される外周側の部分の温度が、中央側の部分の温度に比べて低くなる。すると、基板の面内における外周側の部分(すなわち、プラズマ発生装置における相対的に低温な外周側の部分と、対向配置されている部分)が、該基板の面内における中央側の部分(すなわち、プラズマ発生装置における相対的に高温な中央側の部分と、対向配置されている部分)に比べて、低い温度にまでしか加熱されない。処理速度が温度に依存する場合、基板の面内に温度のばらつきが生じてしまうと、処理速度にばらつきが生じてしまう。その結果、基板の面内における処理の均一性が十分に担保されない虞がある。
【0007】
本願は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の面内における処理の均一性を向上させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、基板処理装置であって、基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された基板の面内における中央側の部分にプラズマを照射する第1プラズマ照射部と、前記保持部に保持された基板の面内における外周側の部分にプラズマを照射する、前記第1プラズマ照射部とは別の第2プラズマ照射部と、前記第1プラズマ照射部に電力を供給する第1電力供給部と、前記第2プラズマ照射部に電力を供給する、前記第1電力供給部とは別の第2電力供給部と、を備える。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る基板処理装置であって、前記第2プラズマ照射部に供給される電力量が、前記第1プラズマ照射部に供給される電力量よりも、大きい。
【0010】
第3の態様は、第1の態様に係る基板処理装置であって、前記第1プラズマ照射部に供給される電力量が、前記第2プラズマ照射部に供給される電力量よりも、大きい。
【0011】
第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様に係る基板処理装置であって、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、前記第2プラズマ照射部が、前記第1プラズマ照射部の周囲を取り囲んで設けられる。
【0012】
第5の態様は、第4の態様に係る基板処理装置であって、前記第1プラズマ照射部が、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、円形状であり、前記第2プラズマ照射部が、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、円環状である。
【0013】
第6の態様は、第4または第5の態様に係る基板処理装置であって、前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、直線状の第1線状電極が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第1電極部と、直線状の第2線状電極が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第2電極部と、を備え、前記延在方向および前記配列方向から規定される面の法線方向から見たときに、前記第1線状電極と前記第2線状電極とが、重ならないように交互に配置される。
【0014】
第7の態様は、第4または第5の態様に係る基板処理装置であって、前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、渦巻状に延在する第1渦巻状電極を含む第1電極部と、渦巻状に延在する第2渦巻状電極を含む第2電極部と、を備え、前記第1渦巻状電極と前記第2渦巻状電極とが互いに平行な面に配設されており、該面の法線方向から見たときに、前記第1渦巻状電極と前記第2渦巻状電極とが、同心に配置されつつ、互いに重ならないものとなっている。
【0015】
第8の態様は、第1から第3のいずれかの態様に係る基板処理装置であって、前記第1プラズマ照射部と前記第2プラズマ照射部とが、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て該基板の中心に対して偏在する境界の一方側と他方側に設けられ、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、前記境界に対して該基板の中心を含む側に、前記第1プラズマ照射部が配置される。
【0016】
第9の態様は、第8の態様に係る基板処理装置であって、前記境界が、前記保持部に保持された基板の法線方向から見て、該基板の中心を挟んでその両側に延在する互いに平行な一対の直線である。
【0017】
第10の態様は、第8または第9の態様に係る基板処理装置であって、前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、直線状の第1線状電極が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第1電極部と、直線状の第2線状電極が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第2電極部と、を備え、前記延在方向および前記配列方向から規定される面の法線方向から見たときに、前記第1線状電極と前記第2線状電極とが、重ならないように交互に配置され、前記第1線状電極の延在方向および前記第2線状電極の延在方向が、前記境界の延在方向と平行である。
【0018】
第11の態様は、第1から第10のいずれかの態様に係る基板処理装置であって、前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、誘電体材料によって形成される板部材と、前記板部材を挟んで設けられた一対の電極部と、を備え、前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が備える前記一対の電極部のうち、前記板部材の同じ側に配置される電極部は、同じ極性とされて、同じ位相の電圧が印加される。
【0019】
第12の態様は、第1から第10のいずれかの態様に係る基板処理装置であって、前記第1プラズマ照射部および前記第2プラズマ照射部の各々が、誘電体材料によって形成される板部材と、各々が、前記板部材に設けられた収容部に収容された、一対の電極部と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
第1の態様に係る基板処理装置は、基板の中央側の部分にプラズマを照射するプラズマ照射部と、基板の外周側の部分にプラズマを照射するプラズマ照射部とを別に備えるとともに、これらの各プラズマ照射部に電力を供給する電力供給部も別に備えているので、各プラズマ照射部に供給される電力量を独立して調整することができる。基板の面内における各部分の処理速度は、該部分にプラズマを照射するプラズマ照射部に供給される電力量に応じて変化するため、各プラズマ照射部に供給される電力量を独立して調整することによって、基板の面内における中央側の部分と外周側の部分の各処理速度を個別に調整することができる。したがって、基板の面内における中央側の部分と外周側の部分との間に処理速度の差を生じさせるような要因が存在している場合に、この差を、各プラズマ照射部に供給される電力量の差で補填することで、基板の面内における処理速度のばらつきを低減させることができる。これにより、基板の面内における処理の均一性を向上させることができる。
【0021】
第2の態様に係る基板処理装置によると、基板の面内における外周側の部分の処理速度が、中央側の部分の処理速度よりも小さく(遅く)なるような要因が存在している場合に、この差が、各プラズマ照射部に供給される電力量の差で補填されるので、基板の面内における処理速度のばらつきが低減される。したがって、基板の面内における処理の均一性が向上する。
【0022】
第3の態様に係る基板処理装置によると、基板の面内における中央側の部分の処理速度が、外周側の部分の処理速度よりも小さくなるような要因が存在している場合に、この差が、各プラズマ照射部に供給される電力量の差で補填されるので、基板の面内における処理速度のばらつきが低減される。したがって、基板の面内における処理の均一性が向上する。
【0023】
第4の態様に係る基板処理装置によると、各プラズマ照射部からプラズマを照射する際に、必ずしも基板をその中心の周りで回転しなくとも、基板の面内における中央側の部分は第1プラズマ照射部からプラズマの照射を受け、外周側の部分は第2プラズマ照射部からプラズマの照射を受ける。すなわち、各プラズマ照射部からプラズマを照射する際に、必ずしも基板をその中心の周りで回転させる必要がないので、プラズマを照射する際に基板を回転させることが好ましくないようなプロセス条件にも対応することができる。
【0024】
第5の態様に係る基板処理装置によると、基板の主面が円形である場合に、該主面の中央側の円形状の部分と、外周側の円環状の部分とに、それぞれ別のプラズマ照射部からプラズマを照射することができる。
【0025】
第6の態様に係る基板処理装置によると、各プラズマ照射部において、二次元的に広がるプラズマを発生させることができる。
【0026】
第7の態様に係る基板処理装置によると、各プラズマ照射部において、各渦巻状電極が配設された面に沿って二次元的に広がるプラズマを発生させることができる。また、渦巻状に延在する電極は、枝分かれのない形状(一筆書きでなぞれる形状)であるので、設計および製造が容易である。
【0027】
第8の態様に係る基板処理装置によると、第1プラズマ照射部と第2プラズマ照射部とが基板の中心に対して偏在する境界の一方側と他方側に設けられるので、一方のプラズマ照射部が他方のプラズマ照射部の周囲を取り囲むような構成に比べて、プラズマ照射部の形状の単純化が容易となる。
【0028】
第9の態様に係る基板処理装置によると、第1プラズマ照射部と第2プラズマ照射部との境界が直線であるので、各プラズマ照射部の形状の単純化が特に容易である。
【0029】
第10の態様に係る基板処理装置によると、第1プラズマ照射部および第2プラズマ照射部が備える各電極部の線状電極が、両プラズマ照射部の境界と平行に延在するので、両プラズマ照射部の離間距離を十分に小さなものとすることが可能となる。したがって、両プラズマ照射部の間にプラズマの隙間が形成されにくく、基板の面内における処理の均一性が損なわれにくい。
【0030】
第11の態様に係る基板処理装置によると、第1プラズマ照射部および第2プラズマ照射部の各々が備える一対の電極部のうち、板部材の同じ側に隣り合って配置される電極部の間の電位差が十分に小さいものとなるため、該2個の電極部の間にアーキングが発生しにくくなる。したがって、該2個の電極部を近接させることが可能となる。すなわち、第1プラズマ照射部の各電極部と第2プラズマ照射部の各電極部とを近接させることが可能となる。これによって、両プラズマ照射部の間にプラズマの隙間が形成されにくくなり、基板の面内における処理の均一性が十分に担保される。
【0031】
第12の態様に係る基板処理装置によると、第1プラズマ照射部および第2プラズマ照射部の各々が備える各電極部が、誘電体材料によって形成される板部材に設けられた収容部に収容される。この構成によると、例えば、板部材を挟んでその両側に電極部が配設される構成と比べて、各プラズマ照射部の外形状を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】基板処理システムの構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】処理ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
【
図4】各プラズマリアクタと保持部に保持されている基板との位置関係を説明するための図である。
【
図5】プラズマリアクタユニットの構成を模式的に示す側断面図および平面図である。
【
図6】第1プラズマリアクタの構成を説明するための平面図である。
【
図7】第2プラズマリアクタの構成を説明するための平面図である。
【
図8】処理ユニットにおいて実行される処理の流れを示す図である。
【
図13】各プラズマリアクタと保持部に保持されている基板との位置関係を説明するための図である。
【
図14】プラズマリアクタユニットの構成を模式的に示す側断面図および平面図である。
【
図15】第1プラズマリアクタの構成を説明するための平面図である。
【
図16】第2プラズマリアクタの構成を説明するための平面図である。
【
図17】各プラズマリアクタに印加される電圧波形および流れる電流波形を模式的に示す図である。
【
図18】各プラズマリアクタと保持部に保持されている基板との位置関係を説明するための図である。
【
図19】プラズマリアクタユニットの構成を模式的に示す側断面図および平断面図である。
【
図20】各プラズマリアクタの構成を説明するための図である。
【
図21】変形例に係るプラズマリアクタユニットの構成を模式的に示す側断面図および平面図である。
【
図22】変形例に係るプラズマリアクタユニットの構成を模式的に示す側断面図および平面図である。
【
図23】第1実施形態の変形例に係るプラズマリアクタユニットの構成を模式的に示す側断面図および平面図である。
【
図24】第2実施形態の変形例に係るプラズマリアクタユニットの構成を模式的に示す側断面図および平面図である。
【
図25】線状電極の配列の仕方に係る変形例を説明するための側断面図である。
【
図26】線状電極の配列の仕方に係る変形例を説明するための側断面図である。
【
図27】線状電極の配列の仕方に係る変形例を説明するための側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本開示の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法または数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0034】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」、「同軸」、など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。また、等しい状態であることを示す表現(例えば、「同一」、「等しい」、「均質」、など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。また、形状を示す表現(例えば、「円形状」、「四角形状」、「円筒形状」、など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲の形状を表すものとし、例えば凹凸または面取りなどを有していてもよい。また、構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、「有する」、といった各表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。また、「A、BおよびCのうちの少なくとも一つ」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」、「A、BおよびCのうち任意の2つ」、「A、BおよびCの全て」が含まれる。
【0035】
<1.第1実施形態>
<1-1.基板処理システムの全体構成>
基板処理システム100の構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、基板処理システム100の構成を模式的に示す平面図である。
【0036】
基板処理システム100は、処理対象である基板Wに対して所定の処理を行う処理システムであり、インターフェース部110、インデクサ部120、本体部130、および、制御部140を備える。基板処理システム100において処理対象とされる基板Wは、例えば半導体基板である。また、処理対象とされる基板Wの形状は、例えば円板形状であり、そのサイズ(直径)は例えば約300(mm)である。
【0037】
インターフェース部110は、複数枚の基板Wを収容する基板収容器であるキャリアCを、基板処理システム100に接続するためのインターフェースであり、具体的には例えば、キャリアCが載置されるロードポート111が、複数個(図の例では3個)、水平方向に一列に並んで配列された構成を備える。キャリアCは、基板Wを密閉空間に収納するタイプのもの(例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッド、など)であってもよいし、基板Wを外気にさらすタイプのもの(例えば、OC(Open Cassette)、など)であってもよい。
【0038】
インデクサ部120は、インターフェース部110と本体部130との間に配置された部分であり、インデクサロボット121を備える。
【0039】
インデクサロボット121は、各ロードポート111に載置されたキャリアCと主搬送ロボット131(後述する)との間で基板Wを搬送する搬送ロボットであり、基板Wを保持するハンド121a、ハンド121aに接続されたアーム121b、アーム121bを伸縮、旋回、および、昇降させるための駆動部、などを含んで構成される。インデクサロボット121は、各ロードポート111に載置されているキャリアCにアクセスして、搬出動作(すなわち、キャリアCに収容されている未処理の基板Wをハンド121aで取り出す動作)、および、搬入動作(すなわち、ハンド121aに保持されている処理済みの基板WをキャリアCに搬入する動作)を行う。また、インデクサロボット121は、主搬送ロボット131との受渡位置Tにアクセスして、主搬送ロボット131との間で基板Wの受け渡しを行う。
【0040】
本体部130は、主搬送ロボット131、および、複数個(例えば12個)の処理ユニット132を備える。ここでは例えば、鉛直方向に積層された複数個(例えば3個)の処理ユニット132が、1個のタワーを構成しており、該タワーが、主搬送ロボット131の周囲を取り囲むようにして、複数個(例えば4個)、設けられる。
【0041】
主搬送ロボット131は、インデクサロボット121と各処理ユニット132との間で基板Wを搬送する搬送ロボットであり、基板Wを保持するハンド131a、ハンド131aに接続されたアーム131b、アーム131bを伸縮、旋回、および、昇降させるための駆動部、などを含んで構成される。主搬送ロボット131は、各処理ユニット132にアクセスして、搬入動作(すなわち、ハンド131aに保持されている処理対象の基板Wを処理ユニット132に搬入する動作)、および、搬出動作(すなわち、処理ユニット132に収容されている処理済みの処理の基板Wをハンド131aで取り出す動作)、を行う。また、主搬送ロボット131は、インデクサロボット121との受渡位置Tにアクセスして、インデクサロボット121との間で基板Wの受け渡しを行う。
【0042】
処理ユニット132は、基板Wに対して所定の処理を行う装置である。処理ユニット132の具体的な構成については、後に説明する。
【0043】
制御部140は、基板処理システム100が備える各部の動作を制御する要素であり、例えば、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成される。制御部140は、具体的には例えば、
図2に示されるように、データ処理を担う中央演算装置としてのCPU(Central Processor Unit)141、基本プログラムなどが格納されるROM(Read Only Memory)142、CPU141が所定の処理(データ処理)を行う際の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)143、フラッシュメモリ、ハードディスク装置、などの不揮発性記憶装置によって構成される記憶装置144、これらを相互に接続するバスライン145、などを含んで構成される。記憶装置144には、制御部140が実行する処理を規定するプログラムPが格納されており、CPU141がこのプログラムPを実行することにより、制御部140がプログラムPによって規定された処理を実行することができる。もっとも、制御部140が実行する処理の一部または全部が、専用の論理回路などのハードウェアによって実行されてもよい。
【0044】
制御部140は、基板処理システム100の全体の動作を統括して制御する主制御部と、複数のローカル制御部とが、通信可能に接続された構成とされてもよい。この場合に、複数の処理ユニット132の各々に、少なくとも1個のローカル制御部が対応付けられて、該ローカル制御部が、主制御部からの指示に基づいて、対応する処理ユニット132の動作を制御するものとしてもよい。また、このような構成が採用される場合、主制御部および各ローカル制御部の各々が、上記の各部141~145の一部あるいは全部を個別に備えるものとしてもよい。
【0045】
<1-2.処理ユニット>
次に、処理ユニット132の構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、処理ユニット132の構成を模式的に示す側面図である。なお、上記のとおり、本体部130には複数個の処理ユニット132が設けられているが、これら複数個の処理ユニット132のうちの少なくとも1個が、以下に説明する構成を有していればよい。すなわち、複数の処理ユニット132の中には、以下に説明する構成とは異なる構成を有するものが含まれてもよい。
【0046】
処理ユニット132は、例えば、基板Wに設けられているレジストを剥離(除去)する処理を行う処理装置であり、基板処理装置に相当する。処理ユニット132は、処理対象である基板Wを1枚ずつ処理する、いわゆる枚葉式の処理装置である。
【0047】
処理ユニット132は、保持部1、液供給部2、プラズマ発生部3、および、ガード部4を備える。また、処理ユニット132は、これら各部1~4が備える要素の少なくとも一部(例えば、ベース部11、ノズル21,22、プラズマリアクタユニット30、ガード41、など)を収容するチャンバ5を備える。チャンバ5の内部空間には、ファンフィルタユニット51などによって、清浄な空気のダウンフローが形成される。
【0048】
(保持部1)
保持部1は、処理対象となる基板Wを保持する要素であり、例えば、ベース部11、複数のチャックピン12、および、回転機構13を備える。
【0049】
ベース部11は、基板Wよりも僅かに大径である円板形状の部材であり、厚み方向を鉛直方向に沿わせるような姿勢で、配置される。複数のチャックピン12は、ベース部11の上面に設けられており、該上面の周縁に沿って間隔を設けつつ配列されている。各チャックピン12は、制御部140からの指示に応じて、基板Wの周縁に接触するチャック位置と、基板Wの周縁から離間する解除位置との間で変位するように構成されており、各チャックピン12がチャック位置に配置されることによって、基板Wが水平姿勢(基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿うような姿勢)でベース部11の上方に保持される。
【0050】
回転機構13は、ベース部11を回転させる機構である。回転機構13は、具体的には例えば、上端においてベース部11の下面と連結されたシャフト13a、および、シャフト13aの下端に接続されたモータ13bを含んで構成される。ここでは、例えば、ベース部11上に保持される基板Wの主面と直交するとともに、該主面の中心を通るような軸が、回転軸Qとして規定されており、シャフト13aは、この回転軸Qと同軸に設けられる。そして、モータ13bは、制御部140からの指示に応じて、制御部140から指示された回転数で、シャフト13aを回転軸Qの周りで回転させる。モータ13bの駆動を受けてシャフト13aが回転されることによって、ベース部11、ひいては、ベース部11上に保持される基板Wが、この回転軸Qの周りで回転する。このように、回転機構13を含んで構成される保持部1(すなわち、基板Wを保持しつつ回転させることができる保持部1)は、スピンチャックなどとも呼ばれる。また、スピンチャックにおけるベース部11は、スピンベースなどとも呼ばれる。
【0051】
(液供給部2)
液供給部2は、保持部1に保持されている基板Wに液体を供給する要素であり、例えば、処理液ノズル21、リンス液ノズル22、および、ノズル移動機構23を備える。
【0052】
処理液ノズル21は、保持部1に保持されている基板Wに処理液を供給するノズルであり、例えば、一端面に吐出口210が形成されたストレート型のノズルである。処理液ノズル21は、処理液供給管211を介して、所定の処理液(ここでは例えば、硫酸)を貯留する処理液供給源212に接続される。また、処理液供給管211には、バルブ213および流量調整部214が介挿される。バルブ213は、処理液供給管211を通じた処理液の供給と停止とを切り替える弁であり、制御部140によって制御される。流量調整部214は、例えばマスフローコントローラにより構成され、制御部140の制御下で、処理液供給管211を流れる処理液の流量を調整する。このような構成において、バルブ213が開かれると、流量調整部214によって調整される所定流量の処理液が、処理液供給源212から処理液供給管211を通じて処理液ノズル21に供給されて、吐出口210から吐出される。
【0053】
処理液ノズル21が後述するノズル処理位置に配置された状態で、吐出口210から処理液が吐出されることで、保持部1に保持されている基板Wに処理液が供給される(
図10)。つまり、処理液ノズル21およびこれに接続された処理液供給管211などによって、保持部1に保持されている基板Wに処理液を供給する処理液供給部が構成される。
【0054】
リンス液ノズル22は、保持部1に保持されている基板Wにリンス液を供給するノズルであり、例えば、一端面に吐出口220が形成されたストレート型のノズルである。リンス液ノズル22は、リンス液供給管221を介して、所定のリンス液(例えば、脱イオン水(DIW、H-DIW)、純水、オゾン水、炭酸水、イソプロピルアルコール、など)を貯留するリンス液供給源222に接続される。また、リンス液供給管221には、バルブ223および流量調整部224が介挿される。バルブ223は、リンス液供給管221を通じたリンス液の供給と停止とを切り替える弁であり、制御部140によって制御される。流量調整部224は、例えばマスフローコントローラにより構成され、制御部140の制御下で、リンス液供給管221を流れるリンス液の流量を調整する。このような構成において、バルブ223が開かれると、流量調整部224によって調整される所定流量のリンス液が、リンス液供給源222からリンス液供給管221を通じてリンス液ノズル22に供給されて、吐出口220から吐出される。
【0055】
リンス液ノズル22が後述するノズル処理位置に配置された状態で、吐出口220からリンス液が吐出されることで、保持部1に保持されている基板Wにリンス液が供給される(
図12)。つまり、ここでは、リンス液ノズル22およびこれに接続されたリンス液供給管221などによって、保持部1に保持されている基板Wにリンス液を供給するリンス液供給部が構成される。
【0056】
ノズル移動機構23は、処理液ノズル21およびリンス液ノズル22を、ノズル処理位置とノズル待機位置との間で移動させる機構である。ここで、「ノズル処理位置」とは、ノズル21,22の吐出口210,220から吐出される液が、保持部1に保持されている基板Wの上側の主面(上面)に供給されるような位置であり、具体的には例えば、該主面の上方であって、該主面の中心と鉛直方向において対向するような位置である(
図10、
図12)。一方、「ノズル待機位置」とは、ノズル21,22が、他の部材(プラズマ処理位置にあるプラズマリアクタユニット30、ベース部11に対して基板Wの授受を行う主搬送ロボット131のハンド131a、など)と干渉しないような位置であり、具体的には例えば、上方から見て保持部1に保持されている基板Wの周縁よりも外側(径方向の外方)の位置である(例えば、
図9)。
【0057】
ここでは、処理液ノズル21およびリンス液ノズル22が、連結部材などを介して連結されることでノズルユニットUを構成している。そして、ノズル移動機構23は、具体的には例えば、先端部においてノズルユニットUと連結されて略水平に延在するアーム、アームの基端部を支持する支柱、および、支柱をその軸の周りで回転させるモータを含んで構成される。モータは、制御部140からの指示に応じて、制御部140から指示された回転角度で、支柱をその軸の周りで回転させる。モータの駆動を受けて支柱が回転されると、アームが旋回し、その先端に連結されているノズルユニットUが円弧状の軌跡に沿って移動するところ、この軌跡上に各ノズル21,22のノズル処理位置とノズル待機位置が配置されるように、支柱の位置およびアームの長さが規定されている。つまり、ノズルユニットUが該円弧状の軌跡に沿って移動されることによって、各ノズル21,22が、各々のノズル処理位置とノズル待機位置との間で移動する。
【0058】
(プラズマ発生部3)
プラズマ発生部3は、プラズマを発生させるとともに、発生させたプラズマを保持部1に保持されている基板Wに対して照射する要素である。プラズマ発生部3の構成については、後に具体的に説明する。
【0059】
(ガード部4)
ガード部4は、保持部1に保持されている基板Wから飛散する処理液などを受け止める要素であり、例えば、1個以上(ここでは2個)のガード41、および、ガード移動機構42を備える。
【0060】
ガード41は、筒部分41a、傾斜部分41b、および、延出部分41cを含んで構成される。筒部分41aは、円筒状の部分であり、保持部1を取り囲むようにして設けられる。傾斜部分41bは、筒部分41aの上端縁に連なって設けられており、鉛直上方に向かうにつれて内方に傾斜している。延出部分41cは、平板リング状の部分であり、傾斜部分41bの上端縁から略水平面内において内方に延出するように設けられる。複数個のガード41が設けられる場合も、各ガード41は基本的に同様の構成を備える。ただし、この場合は、各ガード41のサイズが互いに異なるものとされて、複数のガード41が、入れ子状に配置される。すなわち、筒部分41aが同心状に配置され、傾斜部分41bおよび延出部分41cが上下に重ねられるようにして、入れ子状に配置される。
【0061】
ガード移動機構42は、ガード41を、ガード処理位置とガード待機位置との間で移動(昇降)させる機構である。ただし、複数個のガード41が設けられる場合、ガード移動機構42は、各ガード41を別個独立に移動させる。ここで、「ガード処理位置」とは、ガード41が、保持部1に保持されている基板Wから飛散する処理液などを受け止める位置であり、具体的には例えば、延出部分41cが、該基板Wよりも上方に配置されるような位置である(例えば、
図10)。一方、「ガード待機位置」とは、ガード41が、他の部材(ベース部11に対して基板Wの授受を行う主搬送ロボット131のハンド131a、など)と干渉しないような位置であり、具体的には例えば、延出部分41cが、保持部1に保持されている基板Wよりも下方に配置されるような位置である(例えば、
図9)。
【0062】
ガード移動機構42は、昇降移動を実現させる各種の駆動機構により実現することができる。具体的には例えば、ガード移動機構42は、ボールねじ機構、該ボールねじ機構に駆動力を与えるモータ、などを含んで構成されてもよいし、エアシリンダなどを含んで構成されてもよい。上記の通り、複数個のガード41が設けられる場合、各ガード41を別個独立に移動させるべく、複数のガード41の各々にこれらの駆動機構が設けられる。
【0063】
ガード41の下方側には、ガード41の内周面で受け止められた処理液などを排液する排液部43が設けられる。排液部43は、具体的には例えば、ガード41の下方に設けられるカップ431、カップ431に接続された排液管432、などを含んでおり、ガード処理位置に配置されているガード41の内周面で受け止められて該内周面に沿って流下した処理液が、カップ431で受け止められて、排液管432から排液されるように構成されている。なお、図示は省略されているが、複数個のガード41が設けられる場合、各ガード41の下方に、個別のカップが設けられる。
【0064】
また、ガード41の外方側には、ガード41の内周面に沿って流れるガスやミストなどを排気する排気部44が設けられる。排気部44は、具体的には例えば、ガード41を外側から囲むように設けられる周壁部441、周壁部441に接続された排気管442、などを含んでおり、ガード処理位置に配置されているガード41の内周面で受け止められて該内周面に沿って流下したガスやミストなどが、周壁部441で受け止められて、排気管442から排気されるように構成されている。
【0065】
<1-3.プラズマ発生部3>
<i.全体構成>
次に、プラズマ発生部3の構成について、
図3に加えて
図4を参照しながら、具体的に説明する。
図4は、各プラズマリアクタ31,32と保持部1に保持されている基板Wとの位置関係を説明するための図である。なお、図をわかりやすくするために、
図4などにおいては、リアクタ保持部33が透明状態で示されている。
【0066】
プラズマ発生部3は、プラズマを発生させるとともに、発生させたプラズマを保持部1に保持されている基板Wに対して照射するプラズマ照射部であるプラズマリアクタを、複数個(この実施形態では2個)、備える(第1プラズマリアクタ31、および、第2プラズマリアクタ32)。各プラズマリアクタ31,32は、大気圧下でプラズマを発生させることができるものである。ただし、ここでいう「大気圧」とは、例えば、標準気圧の80(%)以上、かつ、標準気圧の120(%)以下である。
【0067】
第1プラズマリアクタ31は、保持部1に保持された基板Wの面内における中央側の部分A1にプラズマを照射する。第1プラズマリアクタ31は、具体的には例えば、平面視にて円形状の扁平な平型形状であり、直径が、処理対象となる基板Wの直径よりも小さな寸法とされる。
【0068】
一方、第2プラズマリアクタ32は、保持部1に保持された基板Wの面内における外周側の部分A2にプラズマを照射する。第2プラズマリアクタ32は、具体的には例えば、平面視にて円環状の扁平な平型形状であり、内直径が、第1プラズマリアクタ31の直径よりも僅かに大きな寸法とされ、外直径が、処理対象となる基板Wの直径と同程度の(あるいは、これよりも僅かに大きな)寸法とされる。
【0069】
第1プラズマリアクタ31および第2プラズマリアクタ32は、第1プラズマリアクタ31の周囲を第2プラズマリアクタ32が取り囲むとともに、各プラズマリアクタ31,32が略同じ面内に配置されるような位置関係で、リアクタ保持部33によって一体的に保持される。
【0070】
リアクタ保持部33は、具体的には例えば、絶縁材料(例えば、フッ素系樹脂、など)によって形成された部材であり、一対の外リング部材331,331と、一対の内リング部材332,332とが、連結部333を介して連結された構成を備える。一対の外リング部材331,331は、第2プラズマリアクタ32の外周部分(具体的には、後述する第1電極部32aの第1集合電極322a)を厚み方向の両側から挟持する。また、一対の内リング部材332,332は、第1プラズマリアクタ31の外周部分(具体的には、後述する各電極部31a,31bの各集合電極312a,312b)、および、第2プラズマリアクタ32の内周部分(具体的には、後述する第2電極部32bの第2集合電極322b)を厚み方向の両側から挟持する。もっとも、リアクタ保持部33の構成はこれに限られるものではなく、第1プラズマリアクタ31および第2プラズマリアクタ32を所定の位置関係で一体的に保持できるものであればどのようなものであってもよい。
【0071】
リアクタ保持部33によって一体的に保持された2個のプラズマリアクタ31,32(以下、これを「プラズマリアクタユニット30」ともいう)は、厚み方向を鉛直方向に沿わせるような姿勢で、保持部1に保持されている基板Wの上方において、該基板Wと対向して配置される。このような状態において、第1プラズマリアクタ31は、該基板Wの面内における中央側の部分A1と対向配置され、第2プラズマリアクタ32は、該基板Wの面内における外周側の部分A2と対向配置されることになる。
【0072】
プラズマリアクタユニット30には、これを、プラズマ処理位置とプラズマ待機位置との間で移動(昇降)させる機構であるプラズマリアクタ移動機構34が設けられる。ここで、「プラズマ処理位置」とは、各プラズマリアクタ31,32が、保持部1に保持されている基板Wに対してプラズマを照射する位置であり、少なくともプラズマ処理に必要な量の活性種を基板Wに作用させることができる程度に、各プラズマリアクタ31,32と該基板Wとの離間距離が十分に小さい位置(例えば、該離間距離が数ミリメートル程度となる位置)である(
図11)。一方、「待機位置」とは、各プラズマリアクタ31,32が、保持部1に保持されている基板Wに対してプラズマを照射しない位置であり、少なくとも、各プラズマリアクタ31,32で発生されるプラズマが該基板Wに作用しない程度に、両者の離間距離が十分に大きくなる位置である(例えば、
図9)。
【0073】
プラズマリアクタ移動機構34は、具体的には例えば、先端部においてプラズマリアクタユニット30(具体的には例えば、リアクタ保持部33)と連結されて略水平に延在する昇降板、および、モータを含んで構成される。モータと昇降板の間には、モータの回転動作を昇降板の昇降動作に変換するカムが設けられる。したがって、モータが、制御部140からの指示に応じて、制御部140から指示された回転角度だけ回転すると、昇降板(ひいては、これと接続されたリアクタ保持部33に保持されている各プラズマリアクタ31,32)が、該回転角度に応じた距離だけ、上昇(あるいは下降)する。もっとも、プラズマリアクタ移動機構34の構成はこれに限られるものではなく、昇降移動を実現する各種の駆動機構により実現することができる。例えば、プラズマリアクタ移動機構34は、ボールねじ機構、および、これに駆動力を与えるモータを含んで構成されてもよいし、エアシリンダを含んで構成されてもよい。
【0074】
<ii.プラズマリアクタ31,32の構成>
次に、各プラズマリアクタ31,32の構成について、
図5~
図7を参照しながらさらに具体的に説明する。
図5は、プラズマリアクタユニット30の構成を模式的に示す側断面図および平面図である。また、
図6は、第1プラズマリアクタ31の構成を説明するための平面図であり、
図7は、第2プラズマリアクタ32の構成を説明するための平面図である。以下の説明では、各プラズマリアクタ31,32の厚み方向を「Z方向」とする。また、Z方向と直交する面内において、後述する線状電極311a,311b,321a,321bの延在方向を「X方向」とし、Z方向およびX方向と直交する方向を「Y方向」とする。
【0075】
(第1プラズマリアクタ31)
第1プラズマリアクタ31は、一対の電極部31a,31b、および、仕切り板31cを備えており、一対の電極部31a,31bが、仕切り板31cを間に挟んで設けられている。仕切り板31cは、具体的には例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された、平面視にて円形状の平板な部材(板部材)であり、一対の電極部31a,31bは、仕切り板31cを厚み方向から挟むようにして設けられる。以下において、仕切り板31cの厚み方向の一方側である+Z側に設けられる電極部31aを「第1電極部31a」と呼び、他方側である-Z側に設けられる電極部31bを「第2電極部31b」と呼ぶ。
【0076】
第1電極部31aは、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された複数の線状電極(第1線状電極)311aが、適宜の導電性材料(例えばアルミニウム)によって形成された集合電極(第1集合電極)312aを介して接続された構成を備えており、全体として櫛形状を呈している。
【0077】
具体的には例えば、各第1線状電極311aは、直線状(棒状)の電極であり、長尺方向をX方向に沿わせるような姿勢で配置される。また、複数の第1線状電極311aは、各第1線状電極311aの延在方向(X方向)と交差する配列方向(図の例では、X方向と直交する方向であるY方向)に沿って、間隔を設けつつ配列される。各第1線状電極311aは、好ましくは、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された管状の部材である誘電管310a内に収容される。一方、第1集合電極312aは、平面視にて円弧状に延在する長尺平板状の電極である。第1集合電極312aは、膨らみ方向を各第1線状電極311aの延在方向の一方側(図の例では、-X側)に向けるような姿勢で配置されており、その内周側に、各第1線状電極311aの-X側の端部が接続される。
【0078】
第2電極部31bは、第1電極部31aと同様、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された複数の線状電極(第2線状電極)311bが、適宜の導電性材料(例えばアルミニウム)によって形成された集合電極(第2集合電極)312bを介して接続された構成を備えており、全体として櫛形状を呈している。
【0079】
具体的には例えば、各第2線状電極311bは、直線状の電極であり、長尺方向をX方向に沿わせるような姿勢で配置される。また、複数の第2線状電極311bは、各第2線状電極311bの延在方向(X方向)と交差する配列方向(図の例では、X方向と直交する方向であるY方向)に沿って、間隔を設けつつ配列される。各第2線状電極311bは、好ましくは、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された管状の部材である誘電管310b内に収容される。一方、第2集合電極312bは、平面視にて円弧状に延在する長尺平板状の電極である。第2集合電極312bは、膨らみ方向を、第1集合電極312aの膨らみ方向の逆側(図の例では、+X側)に向けるような姿勢で配置されており、その内周側に、各第2線状電極311bの+X側の端部が接続される。
【0080】
第1電極部31aは、Z方向から見て、第1集合電極312aが、仕切り板31cの周縁の外側にこれと近接しつつ延在するような位置に配置されて、仕切り板31cの+Z側に設けられる。一方、第2電極部31bは、Z方向から見て、第2集合電極312bが、仕切り板31cの周縁の外側にこれと近接しつつ延在するような位置に配置されて、仕切り板31cの-Z側に設けられる。このとき、Z方向から見て、隣り合う第1線状電極311aの間に、第2線状電極311bが配置される。すなわち、Z方向から見て、仕切り板31cの主面内に、第1線状電極311aと第2線状電極311bとが、互いに重なることなく、Y方向に沿って交互に配置される。なお、このような状態において、各電極部31a,31bの複数の線状電極311a,311bによって、仕切り板31cの主面の略全域がカバーされるように、各線状電極311a,311bの長さがその配列位置に応じて規定されることが好ましい。
【0081】
(第2プラズマリアクタ32)
第2プラズマリアクタ32は、第1プラズマリアクタ31と同様、一対の電極部32a,32b、および、仕切り板32cを備えており、一対の電極部32a,32bが、仕切り板32cを間に挟んで設けられている。仕切り板32cは、具体的には例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された、平面視にて円環状の平板な部材(板部材)であり、一対の電極部32a,32bは、仕切り板32cを厚み方向から挟むようにして設けられる。以下において、仕切り板32cの厚み方向の一方側である+Z側に設けられる電極部32aを「第1電極部32a」と呼び、他方側である-Z側に設けられる電極部32bを「第2電極部32b」と呼ぶ。
【0082】
第1電極部32aは、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された複数の線状電極(第1線状電極)321aが、適宜の導電性材料(例えばアルミニウム)によって形成された集合電極(第1集合電極)322aを介して接続された構成を備えており、全体として櫛形状を呈している。
【0083】
具体的には例えば、各第1線状電極321aは、直線状の電極であり、長尺方向をX方向に沿わせるような姿勢で配置される。また、複数の第1線状電極321aは、各第1線状電極321aの延在方向(X方向)と交差する配列方向(図の例では、X方向と直交する方向であるY方向を弦方向とする円弧の延在方向)に沿って、間隔を設けつつ配列される。各第1線状電極321aは、好ましくは、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された管状の部材である誘電管320a内に収容される。一方、第1集合電極322aは、平面視にて略円環状(周方向の一部が分断された円環状)に延在する長尺平板状の電極である。複数の第1線状電極321aは、二列に分けて配列されており、一方の列の各第1線状電極321aは、-X側の端部において、第1集合電極322aにおける-X側に膨らんだ部分の内周側に接続され、他方の列の各第1線状電極321aは、+X側の端部において、第1集合電極322aにおける+X側に膨らんだ部分の内周側に接続される。
【0084】
第2電極部32bは、第1電極部32aと同様、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された複数の線状電極(第1線状電極)321bが、適宜の導電性材料(例えばアルミニウム)によって形成された集合電極(第1集合電極)322bを介して接続された構成を備えており、全体として櫛形状を呈している。
【0085】
具体的には例えば、各第2線状電極321bは、直線状の電極であり、長尺方向をX方向に沿わせるような姿勢で配置される。また、複数の第2線状電極321bは、その延在方向(X方向)と交差する配列方向(図の例では、X方向と直交する方向であるY方向を弦方向とする円弧の延在方向)に沿って、間隔を設けつつ配列される。各第2線状電極321bは、好ましくは、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された管状の部材である誘電管320b内に収容される。一方、第2集合電極322bは、平面視にて略円環状(周方向の一部が分断された円環状)に延在する長尺平板状の電極である。複数の第2線状電極321bは、二列に分けて配列されており、一方の列の各第2線状電極321bは、+X側の端部において、第2集合電極322bにおける-X側に膨らんだ部分の外周側に接続され、他方の列の各第2線状電極321bは、-X側の端部において、第2集合電極322bにおける+X側に膨らんだ部分の外周側に接続される。
【0086】
第1電極部32aは、Z方向から見て、第1集合電極322aが、仕切り板32cの外周縁の外側にこれと近接しつつ延在するような位置に配置されて、仕切り板32cの+Z側に設けられる。一方、第2電極部32bは、Z方向から見て、第2集合電極322bが、仕切り板32cの内周縁の内側にこれと近接しつつ延在するような位置に配置されて、仕切り板32cの-Z側に設けられる。このとき、Z方向から見て、隣り合う第1線状電極321aの間に、第2線状電極321bが配置される。すなわち、Z方向から見て、仕切り板32cの主面内に、第1線状電極321aと第2線状電極321bとが、互いに重なることなく、Y方向に沿って交互に配置される。なお、このような状態において、各電極部32a,32bの複数の線状電極321a,321bによって、仕切り板32cの主面の略全域がカバーされるように、各線状電極321a,321bの長さがその配列位置に応じて規定されることが好ましい。
【0087】
<iii.電力の供給に係る構成>
次に、各プラズマリアクタ31,32への電力の供給に係る構成について、引き続き
図5~
図7を参照しながら説明する。
【0088】
第1プラズマリアクタ31には、これにプラズマを発生させるための電力(プラズマ用電力)を供給する電力供給部である電源(第1電源)35が接続される。第1電源35は、具体的には、一対の出力端35a,35bを備えており、一方の出力端(第1出力端)35aから延びる配線(第1配線)350aが、仕切り板31cの+Z側に配置されている第1電極部31a(具体的には、第1集合電極312a)に、電気的に接続されるとともに、他方の出力端(第2出力端)35bから延びる配線(第2配線)350bが、仕切り板31cの-Z側に配置されている第2電極部31b(具体的には、第2集合電極312b)に、電気的に接続される。ここでは、第1出力端35aが+側(陽極側)とされ、第2出力端35bが-側(陰極側)とされる。つまり、第2電極部31bに対する第1電極部31aの電位を正方向とする。
【0089】
第1電源35は、制御部140によって制御されており、制御部140からの指示に応じて、第1プラズマリアクタ31に所定の電力(プラズマ用電力)を供給する。具体的には、第1電源35は、制御部140からの指示に応じて、各配線350a,350bを介して、第1電極部31aと第2電極部31bとの間に、所定の電圧(プラズマ用電圧)を印加する。すると、第1線状電極311aと第2線状電極311bとの間に電界が生じ、第1線状電極311aおよび第2線状電極311bの間に放電が発生する。両線状電極311a,311bの間には誘電体である仕切り板31cが存在しているので、この放電は、いわゆる誘電体バリア放電となる。放電が発生することによって、周囲のガスがプラズマ化する。すなわち、プラズマが発生(点灯)する。つまり、第1電源35は、周囲のガスがプラズマ化する程度の電圧を、プラズマ用電圧として両電極部31a,31bの間に印加する。
【0090】
第1電源35は、具体的には例えば、インバータ回路等のスイッチング電源回路を含んで構成されて高周波電源としての機能を備えるものであってもよく、プラズマ用電圧として、例えば、高周波電圧を両電極部31a,31bの間に印加してもよい。また、第1電源35は、例えば、交流電源であってもよい。さらに、第1電源35は、例えば、パルス発生器を含んで構成されてパルス電源としての機能を備えるものであってもよく、パルス発生器が所定の周期で発生させるパルス信号のオン期間において、両電極部31a,31bの間に高周波電圧を印加してもよい(例えば、
図17に模式的に例示される電圧波形を参照)。この場合、主として、パルス信号のオン期間において、プラズマが点灯することになる。一例として、プラズマ用電圧の電圧値(高周波電圧の振幅値)は、十数(kV)程度以上である。また、プラズマ用電圧がパルス波によって規定される各周期のオン期間に印加される場合、該パルス波の周波数は、数十(kHz)程度である。
【0091】
同様に、第2プラズマリアクタ32にも、これにプラズマを発生させるための電力(プラズマ用電力)を供給する電力供給部である電源(第2電源)36が接続される。第2電源36は、具体的には、一対の出力端36a,36bを備えており、一方の出力端(第1出力端)36aから延びる配線(第1配線)360aが、仕切り板32cの+Z側に配置されている第1電極部32a(具体的には、第1集合電極322a)に、電気的に接続されるとともに、他方の出力端(第2出力端)36bから延びる配線(第2配線)360bが、仕切り板32cの-Z側に配置されている第2電極部32b(具体的には、第2集合電極322b)に、電気的に接続される。ここでは、第1出力端36aが+側とされ、第2出力端36bが-側とされる。つまり、第2電極部32bに対する第1電極部32aの電位を正方向とする。
【0092】
第2電源36は、第1電源35と同様、制御部140によって制御されており、制御部140からの指示に応じて、第2プラズマリアクタ32に所定の電力(プラズマ用電力)を供給する。具体的には、第2電源36は、制御部140からの指示に応じて、各配線360a,360bを介して、第1電極部32aと第2電極部32bとの間に、所定の電圧(プラズマ用電圧)を印加する。すると、第1線状電極321aと第2線状電極321bとの間に電界が生じ、第1線状電極321aおよび第2線状電極321bの間に放電が発生する。両線状電極321a,321bの間には誘電体である仕切り板32cが存在しているので、この放電は、いわゆる誘電体バリア放電となる。放電が発生することによって、周囲のガスがプラズマ化する。つまり、第2電源36は、周囲のガスがプラズマ化する程度の電圧を、プラズマ用電圧として両電極部32a,32bの間に印加する。
【0093】
第2電源36は、第1電源35と同様、具体的には例えば、インバータ回路等のスイッチング電源回路を含んで構成されて高周波電源としての機能を備えるものであってもよく、プラズマ用電圧として、例えば、高周波電圧を両電極部32a,32bの間に印加してもよい。また、第2電源36は、例えば、交流電源であってもよい。さらに、第2電源36は、例えば、パルス発生器を含んで構成されてパルス電源としての機能を備えるものであってもよく、パルス発生器が所定の周期で発生させるパルス信号のオン期間において、両電極部32a,32bの間に高周波電圧を印加してもよい(
図17参照)。一例として、プラズマ用電圧の電圧値(高周波電圧の振幅値)は、十数(kV)程度以上である。また、プラズマ用電圧がパルス波によって規定される各周期のオン期間に印加される場合、該パルス波の周波数は、数十(kHz)程度である。
【0094】
上記のとおり、第1プラズマリアクタ31は、保持部1に保持された基板Wの面内における中央側の部分A1と対向配置され、第2プラズマリアクタ32は、該基板Wの面内における外周側の部分A2と対向配置される(
図4)。したがって、各プラズマリアクタ31,32に各電源35,36からプラズマ用電力が供給されるとともに、各プラズマリアクタ31,32がプラズマ処理位置に配置されると、基板Wの面内における中央側の部分A1は、第1プラズマリアクタ31からプラズマの照射を受け、外周側の部分A2は、第2プラズマリアクタ32からプラズマの照射を受ける。これによって、基板Wに対するプラズマ処理が進行する。例えばこの実施形態に係る処理ユニット132では、処理液(ここでは例えば、硫酸)の液膜が形成された基板Wに対してプラズマが照射されることで、該基板Wに設けられているレジストが剥離される。すなわち、プラズマ処理によってレジストの剥離が行われる。
【0095】
ここで、第1プラズマリアクタ31に供給される電力量が大きいほど、第1プラズマリアクタ31で発生されるプラズマの出力値が大きくなる。したがって、基板Wの面内における、第1プラズマリアクタ31からプラズマの照射を受ける部分A1の処理速度が大きく(速く)なる。同様に、第2プラズマリアクタ32に供給される電力量が大きいほど、第2プラズマリアクタ32で発生されるプラズマの出力値が大きくなる。したがって、基板Wの面内における、第2プラズマリアクタ32からプラズマの照射を受ける部分A2の処理速度が大きくなる。ただし、ここでいう「プラズマ出力値」とは、プラズマの生成能力を示す値であり、例えば、生成されるプラズマの量(例えば、電子密度)、生成されるプラズマの発光強度、などが、プラズマ出力値を示す指標として用いられる。また、ここでいう「処理速度」とは、プラズマ処理の処理速度である。この実施形態のように、プラズマ処理によってレジストの剥離を行う場合、処理速度はレジストの剥離速度である。
【0096】
また、プラズマ処理によってレジストの剥離を行う場合、レジストの剥離は温度によって促進される。つまり、処理速度は、温度が高いほど、大きくなる。ここで、第1プラズマリアクタ31に供給される電力量が大きいほど、第1プラズマリアクタ31での発熱量が大きくなるため、基板Wの面内における第1プラズマリアクタ31と対向配置される部分A1の温度が高くなり、処理速度が大きくなる。同様に、第2プラズマリアクタ32に供給される電力量が大きいほど、第2プラズマリアクタ32での発熱量が大きくなるため、基板Wの面内における第2プラズマリアクタ32と対向配置される部分A2の温度が高くなり、処理速度が大きくなる。
【0097】
このように、基板Wの面内における各部分A1,A2の処理速度は、各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量に応じて変化する。具体的には、電力量が大きいほど、処理速度が大きくなる。
【0098】
上記のとおり、ここでは、各プラズマリアクタ31,32に電力を供給する電源35,36が別個に設けられているので、各プラズマリアクタ31,32に供給する電力量を独立して調整することができる。これによって、基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2の各処理速度を個別に調整することができる。したがって、基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2との間に、処理速度の差を生じさせるような要因が存在している場合に、この差を、各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量の差で補填することで、基板Wの面内における処理速度のばらつきを低減することができる。ひいては、基板Wの面内における処理の均一性を向上させることができる。
【0099】
例えば、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1の処理速度よりも小さくなるような要因が潜在的に存在している場合がある。すなわち、保持部1に保持された基板Wの外周側の部分A2は、チャンバ5のダウンフローなどに晒されるため、外周側の部分A2の放熱量が、中央側の部分A1の放熱量に比べて大きくなる。このため、外周側の部分A2が中央側の部分A1に比べて低温となる(ひいては、処理速度が小さくなる)傾向が生じ得る。また、プラズマリアクタユニット30も、チャンバ5のダウンフローなどに晒されるため、外周側の部分の放熱量が、中央側の部分の放熱量に比べて大きくなる。このため、プラズマリアクタユニット30の外周側の部分の温度が相対的に低下しやすく、基板Wの面内におけるプラズマリアクタユニット30の外周側の部分と対向配置される部分A2が、プラズマリアクタユニット30の中央側の部分と対向配置される部分A1に比べて、低い温度にまでしか加熱されない(ひいては、処理速度が小さくなる)、という傾向も生じ得る。
【0100】
このように、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1の処理速度よりも小さくなるような要因が潜在的に存在している場合、このような要因を考慮して、制御部140は、第2電源36から第2プラズマリアクタ32に供給される電力量が、第1電源35から第1プラズマリアクタ31に供給される電力量よりも、大きいものとなるように、各電源35,36を制御する。このような制御がなされることで、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1に比べて相対的に大きく促進されることとなる。つまり、上記の要因などに由来して生じ得る、外周側の部分A2と中央側の部分A1との間の処理速度の差が、各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量の差で補填される。これによって、基板Wの面内における処理速度のばらつきが低減され、処理の均一性が向上する。
【0101】
各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量を調整する具体的な態様は、どのようなものであってもよい。例えば、電圧の周波数、電圧の振幅、電圧の印加の切り替えに用いられるパルス信号の周波数、該パルス信号におけるオン期間の割合(オンデューティ比)、などのうちの少なくとも1個を調整することで、電力量を調整することができる。いうまでもなく、電圧の周波数、電圧の振幅、パルス信号の周波数、あるいは、オンデューティ比が、大きな値に設定されるほど、電力量は大きくなる。
【0102】
<1-4.処理の流れ>
次に、処理ユニット132で行われる処理の流れについて、
図3および
図8~
図12を参照しながら説明する。
図8は、該処理の流れを示す図である。
図9~
図12の各々は、各処理工程を説明するための図であり、該処理工程における各部の状態が模式的に示されている。
【0103】
以下の説明において、処理対象とされる基板Wは、例えば、少なくとも一方の主面にマスクとしてのレジストが設けられて、エッチングやイオン注入が行われた後の基板Wであり、処理ユニット132において、不要となったレジストを剥離(除去)するための一連の処理が行われる。以下に説明する一連の処理は、制御部140が、処理ユニット132が備える各部を制御することによって、行われる。また、以下に説明する一連の処理は、通常は、反復して行われる。すなわち、1枚の基板Wに対する一連の処理が終了すると、続いて別の新たな基板Wに対して該一連の処理が行われる。
【0104】
ステップS1:保持工程
まず、処理対象となる基板Wを、保持部1に保持させる。すなわち、主搬送ロボット131が、処理対象となる基板Wを保持したハンド131aをチャンバ5内に差し入れて、基板Wを処理ユニット132に搬入すると、保持部1が、搬入された基板Wを、レジストが設けられている主面が上側を向くような水平姿勢で、保持する(
図9)。この工程が行われる間、ハンド131aと干渉しないように、ノズル21,22、プラズマリアクタユニット30、および、ガード41は、各々の待機位置に配置されている。
【0105】
ステップS2:液膜形成工程
続いて、ノズル移動機構23が、処理液ノズル21を、ノズル待機位置からノズル処理位置に移動させる。処理液ノズル21がノズル処理位置に配置されると、処理液供給管211に設けられているバルブ213が開かれる。すると、処理液供給源212に貯留されている所定の処理液(ここでは、硫酸)が、流量調整部214によって調整される所定の流量で、処理液供給管211を通じて処理液ノズル21に供給されて、吐出口210から吐出される。すなわち、保持部1に保持されている基板Wの上側の主面に向けて処理液が吐出され、基板Wに処理液が供給され、基板Wの上面に処理液の液膜Fが形成される(
図10)。
【0106】
少なくとも基板Wに対する処理液の吐出が行われる間、回転機構13が、保持部1(ひいてはここに保持されている基板W)を、所定の回転数で、回転させることが好ましい。これにより、基板Wの上側の主面における所定の位置(例えば、該主面の中心)に着液した処理液は、遠心力によって基板Wの周縁に向けて速やかに広がり、該主面の略全体を覆う処理液の液膜Fが速やかに形成される。
【0107】
また、少なくとも保持部1が回転される間、ガード移動機構42が、ガード41(ここでは2個のガード41の両方)を、ガード処理位置に配置している。したがって、基板Wの周縁から飛散した処理液などは、ガード(内側にあるガード)41の内周面で受け止められて、該内周面に沿って流下し、さらにカップ431で受け止められて、排液管432から排液される。排液された処理液などは、回収されて再利用されてもよい。
【0108】
処理液の吐出が開始されてから所定時間が経過すると、バルブ213が閉鎖されて、吐出口210からの処理液の吐出が停止される。また、回転機構13が、保持部1(ひいてはここに保持されている基板W)の回転数を、十分に低い回転数まで低下させる、あるいは、回転を停止させる。液膜Fが形成された基板Wが、所定時間の間、十分に低い回転数で回転される(あるいは、回転が停止した状態が維持される)ことで、液膜Fが基板W上に安定して保持される(いわゆる、パドル処理)。
【0109】
ステップS3:電力供給開始工程
続いて、第1プラズマリアクタ31に対して第1電源35から所定の電力の供給が開始されるとともに、第2プラズマリアクタ32に対して第2電源36から所定の電力の供給が開始される。
【0110】
第1プラズマリアクタ31に電力が供給されて、第1電極部31aと第2電極部31bの間に電圧が印加されることによって、第1プラズマリアクタ31の周囲のガス(ここでは、空気)がプラズマ化し、プラズマが発生する。同様に、第2プラズマリアクタ32に所定の電力が供給されて、第1電極部32aと第2電極部32bの間に電圧が印加されることによって、第2プラズマリアクタ32の周囲のガス(ここでは、空気)がプラズマ化し、プラズマが発生する。各プラズマリアクタ31,32の周囲に発生するプラズマには、種々の活性種(プラズマの周囲のガスが空気である場合、例えば、酸素ラジカル、ヒドロキシルラジカル、オゾンガス、などの活性種)が含まれるが、活性種の種類や量は、各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量、各プラズマリアクタ31,32の周囲に存在するガスの種類、などによって変化する。
【0111】
ステップS4:下降工程
続いて、プラズマリアクタ移動機構34が、プラズマリアクタユニット30を、待機位置からプラズマ処理位置に移動(下降)させる。各プラズマリアクタ31,32の周囲に発生しているプラズマ中の活性種は、比較的短時間で失活してしまうため、各プラズマリアクタ31,32に近い位置では十分な量の活性種が存在していても、各プラズマリアクタ31,32から離れた位置ではほとんどの活性種が失活している。そこで、この工程において、プラズマリアクタユニット30がプラズマ処理位置まで下降されることによって、各プラズマリアクタ31,32が、基板Wに十分に近い位置(すなわち、少なくともプラズマ処理に必要な量の活性種を基板Wに作用させることができる程度に各プラズマリアクタ31,32と基板Wとの離間距離とが十分に小さくなるような位置)に、配置される。
【0112】
なお、電力供給開始工程(ステップS3)と下降工程(ステップS4)は、どちらが先に行われてもよいし、並行して行われてもよい。すなわち、各プラズマリアクタ31,32に対する電力供給の開始は、各プラズマリアクタ31,32が下降される前、下降途中、下降後、のいずれのタイミングで行われてもよい。下記のとおり、電力供給開始工程と下降工程の両方が行われることにより、基板Wに対するプラズマ処理が開始される。
【0113】
電力供給開始工程と下降工程の両方が行われると、電力が供給されている(すなわち、電圧が印加されている)プラズマリアクタ31,32が、プラズマ処理位置に配置された状態となる(
図11)。このような状態において、保持部1に保持されている基板Wに対して、その主面と対向配置されているプラズマリアクタ31,32からプラズマが照射され、該基板Wに対するプラズマ処理が進行する。具体的には、第1プラズマリアクタ31から基板Wの面内における中央側の部分A1にプラズマが照射されることで、該部分A1におけるプラズマ処理が進行し、第2プラズマリアクタ32から基板Wの面内における外周側の部分A2にプラズマが照射されることで、該部分A2におけるプラズマ処理が進行する。
【0114】
ここでは、プラズマ処理によってレジストの剥離が行われる。具体的には、各プラズマリアクタ31,32の周囲に発生しているプラズマが、基板Wの主面に形成されている処理液(ここでは、硫酸)の液膜Fに作用することで、処理液の処理性能が高められる。具体的には、プラズマ中の活性種が硫酸と反応して、処理性能(ここでは、酸化力)の高いカロ酸(ペルオキソ一硫酸:H2SO5)が生成される。生成されたカロ酸、および、プラズマ中の活性種が、基板Wの主面に設けられているレジストに作用することで、レジストが酸化されて、剥離(除去)される。
【0115】
上記のとおり、例えば、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1の処理速度よりも小さくなるような要因が潜在的に存在している場合、このような要因を考慮して、第2プラズマリアクタ32に供給される電力量が、第1プラズマリアクタ31に供給される電力量よりも大きいものとされる。これによって、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1に比べて相対的に大きく促進されて、基板Wの面内における処理速度のばらつきが低減される。したがって、基板Wの面内の全体において、均一に、処理(ここでは、レジストの剥離)が進行する。
【0116】
ステップS5:電力供給停止工程
所定の処理時間だけプラズマ処理が進行されると、第1プラズマリアクタ31に対する第1電源35からの電力の供給が停止されるとともに、第2プラズマリアクタ32に対する第2電源36からの電力の供給が停止される。これにより、プラズマの発生が停止する(すなわち、プラズマが消灯する)。
【0117】
ステップS6:上昇工程
また、所定の処理時間だけプラズマ処理が進行されると、それ以後の適宜のタイミングで、プラズマリアクタ移動機構34が、プラズマリアクタユニット30を、プラズマ処理位置から待機位置に移動(上昇)させる。
【0118】
なお、電力供給停止工程(ステップS5)と上昇工程(ステップS6)は、どちらが先に行われてもよいし、並行して行われてもよい。すなわち、各プラズマリアクタ31,32に対する電力供給の停止は、各プラズマリアクタ31,32が上昇される前、上昇途中、上昇後、のいずれのタイミングで行われてもよい。上記のとおり、基板Wに対するプラズマ処理は、電力が供給されているプラズマリアクタ31,32がプラズマ処理位置に配置されている状態において進行するものであり、例えば、電力供給停止工程と上昇工程の少なくとも一方が行われることにより、基板Wに対するプラズマ処理が終了する。
【0119】
ステップS7:リンス工程
プラズマリアクタユニット30が待機位置に配置されると、続いて、ノズル移動機構23が、リンス液ノズル22を、ノズル待機位置からノズル処理位置に移動させる。リンス液ノズル22がノズル処理位置に配置されると、リンス液供給管221に設けられているバルブ223が開かれる。すると、リンス液供給源222に貯留されている所定のリンス液が、流量調整部224によって調整される所定の流量で、リンス液供給管221を通じてリンス液ノズル22に供給されて、吐出口220から吐出される。すなわち、保持部1に保持されている基板Wの上側の主面に向けてリンス液が吐出され、基板Wにリンス液が供給される(
図12)。
【0120】
少なくとも基板Wに対するリンス液の吐出が行われる間、回転機構13が、保持部1(ひいてはここに保持されている基板W)を、所定の回転数で、回転させる。したがって、基板Wの上側の主面における所定の位置(例えば、該主面の中心)に着液したリンス液は、遠心力によって基板Wの周縁に向けて速やかに広がり、該主面の略全体を覆っていた処理液の液膜Fが、リンス液で置換されていく。すなわち、処理液の液膜Fが洗い流されていく。
【0121】
リンス液の吐出が開始されてから所定時間が経過すると、バルブ223が閉鎖されて、吐出口220からのリンス液の吐出が停止される。その一方で、回転機構13が、保持部1の回転数を、十分に高い回転数にまで上昇させる。これにより、保持部1に保持されている基板Wが、高速で回転されて、基板Wが乾燥される(いわゆる、スピンドライ)。
【0122】
ここでは、少なくとも保持部1が回転される間、ガード移動機構42が、例えば、外側のガード41をガード処理位置に配置し、内側のガード41をガード待機位置に配置している。したがって、基板Wの周縁から飛散した処理液やリンス液などは、外側にあるガード41の内周面で受け止められて、該内周面に沿って流下し、該ガード41と対応して設けられたカップ(図示省略)で受け止められて、これに接続された排液管(図示省略)から排液される。
【0123】
保持部1が、所定時間の間、十分に高い回転数で回転されると、回転機構13が保持部1の回転を停止する。そして、ノズル21,22、プラズマリアクタユニット30、および、ガード41が、各々の待機位置に配置された上で、主搬送ロボット131が、保持部1に保持されている基板Wを搬出する。
【0124】
<1-5.効果>
上記の実施形態に係る処理ユニット(基板処理装置)132は、基板Wを保持する保持部1と、保持部1に保持された基板Wの面内における中央側の部分A1にプラズマを照射する第1プラズマリアクタ(第1プラズマ照射部)31と、保持部1に保持された基板Wの面内における外周側の部分A2にプラズマを照射する、第1プラズマリアクタ31とは別の第2プラズマリアクタ(第2プラズマ照射部)32と、第1プラズマリアクタ31に電力を供給する第1電源(第1電力供給部)35と、第2プラズマリアクタ32に電力を供給する、第1電源35とは別の第2電源(第2電力供給部)36と、を備える。
【0125】
この構成によると、各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量を独立して調整することができる。基板Wの面内における各部分A1,A2の処理速度は、該部分A1,A2にプラズマを照射するプラズマリアクタ31,32に供給される電力量に応じて変化する(具体的には、電力量が大きいほど処理速度が大きくなる)ため、各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量を独立して調整することによって、基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2の各処理速度を個別に調整することができる。したがって、基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2との間に処理速度の差を生じさせるような要因が存在している場合に、この差を、各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量の差で補填することで、基板Wの面内における処理速度のばらつきを低減させることができる。これにより、基板Wの面内における処理の均一性を向上させることができる。
【0126】
例えば、第2プラズマリアクタ32に供給(投入)される電力量が、第1プラズマリアクタ31に供給される電力量よりも、大きいものとされれば、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1の処理速度よりも小さくなるような要因が存在している場合に、この差が、各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量の差で補填されるので、基板Wの面内における処理速度のばらつきが低減される。したがって、基板Wの面内における処理の均一性が向上する。
【0127】
なお、基板Wの面内における中央側の部分A1(すなわち、第1プラズマリアクタ31からプラズマの照射を受ける部分)と、外周側の部分A2(すなわち、第2プラズマリアクタ32からプラズマの照射を受ける部分)との境界は、任意に規定することができる。例えば、実験、シミュレーションなどによって、基板Wの面内における処理速度の分布を特定し、ここから、基板Wの面内を相対的に処理速度が大きい領域と相対的に処理速度が小さい領域とに区画するような境界を規定して、これを両部分A1,A2の境界として採用してもよい。また、処理速度が温度に依存する場合、例えば、基板Wの面内における温度の分布を特定し、ここから、基板Wの面内を相対的に温度が高い領域と相対的に温度が低い領域とに区画するような境界を規定して、これを両部分A1,A2の境界として採用してもよい。
【0128】
両部分A1,A2の境界が規定されれば、その境界の位置に応じて、各プラズマリアクタ31,32の寸法(具体的には例えば、第1プラズマリアクタ31の直径、および、第2プラズマリアクタ32の内直径)を規定すればよい。一例として、直径が300(mm)の基板Wの外周縁から30(mm)だけ内側の位置に、両部分A1,A2の境界が規定された場合、例えば、第1プラズマリアクタ31の直径を、約240(mm)とし、第2プラズマリアクタ32の外直径および内直径を、それぞれ、約300(mm)および約240(mm)とすればよい(すなわち、幅が30(mm))。いうまでもなく、両部分A1,A2の境界は、仮想的なものであり、実際は、第1プラズマリアクタ31からプラズマの照射を受ける部分A1と、第2プラズマリアクタ32からプラズマの照射を受ける部分A2とは、規定された境界の近傍において互いに重複する領域であってよい。
【0129】
例えば、平面視にて基板Wと略同一のサイズの1個のプラズマリアクタを用いて、基板Wの面内の全域にプラズマを照射するような構成において、プラズマリアクタの外周側の部分の温度が中央側の部分に比べて低下しやすいために、基板Wの面内における外周側の部分A2の温度が中央側の部分A1に比べて低くなる(ひいては、処理速度が小さくなる)という問題を回避するべく、プラズマリアクタのサイズを基板Wよりも十分に大きなものとして、相対的に温度が低い外周側の部分が、基板Wの外側に配置されるようにすることが一案として考えられる。ところが、この方策によると、プラズマリアクタのサイズが大きくなる分、これにプラズマを発生させるために供給するべき電力量が大きくなり、容量(電源容量)が大きな電源が必要になってくる。大容量の電源は、サイズも大きくコストもかかるため、装置への搭載が難しくなる。上記の実施形態に係る処理ユニット132では、このような問題が生じることがない。すなわち、プラズマリアクタのサイズを大きくする必要がないので、サイズを大きくした分だけ必要な電源容量が増加する、といった事態が生じることがない。
【0130】
また、上記の実施形態に係る処理ユニット132は、保持部1に保持された基板Wの法線方向から見て、第2プラズマリアクタ32が、第1プラズマリアクタ31の周囲を取り囲んで設けられる。この構成によると、各プラズマリアクタ31,32からプラズマを照射する際に、必ずしも基板Wをその中心の周りで回転しなくとも、基板Wの面内における中央側の部分A1は第1プラズマリアクタ31からプラズマの照射を受け、外周側の部分A2は第2プラズマリアクタ32からプラズマの照射を受ける。すなわち、各プラズマリアクタ31,32からプラズマを照射する際に、必ずしも基板Wをその中心の周りで回転させる必要がないので、プラズマを照射する際に基板Wを回転させることが好ましくないようなプロセス条件にも対応することができる。
【0131】
また、上記の実施形態に係る処理ユニット132は、第1プラズマリアクタ31が、保持部1に保持された基板Wの法線方向から見て、円形状であり、第2プラズマリアクタ32が、保持部1に保持された基板Wの法線方向から見て、円環状である。この構成によると、基板Wの主面が円形である場合に、該主面の中央側の円形状の部分A1と、外周側の円環状の部分A2とに、それぞれ別のプラズマリアクタ31,32からプラズマを照射することができる。
【0132】
また、上記の実施形態に係る処理ユニット132は、第1プラズマリアクタ31および第2プラズマリアクタ32の各々が、直線状の第1線状電極311a(321a)が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第1電極部31a(32a)と、直線状の第2線状電極311b(321b)が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第2電極部31b(32b)と、を備え、該延在方向および該記配列方向から規定される面の法線方向から見たときに、第1線状電極311a(321a)と第2線状電極311b(321b)とが、重ならないように交互に配置される。この構成によると、各プラズマリアクタ31,32において、二次元的に広がるプラズマを発生させることができる。
【0133】
<2.第2実施形態>
<2-1.プラズマ発生部6>
<i.全体構成>
第2実施形態に係るプラズマ発生部6の構成について、
図13を参照しながら説明する。
図13は、各プラズマリアクタ61,62と保持部1に保持されている基板Wとの位置関係を説明するための図である。図をわかりやすくするために、
図13などにおいては、リアクタ保持部63が透明状態で示されている。
【0134】
プラズマ発生部6は、例えば、第1実施形態において説明した処理ユニット132に設けられる。以下においては、第1実施形態と相違しない要素については、同じ符号を付して示すとともに、その説明を省略する。
【0135】
プラズマ発生部6は、第1実施形態に係るプラズマ発生部3と同様、プラズマを発生させるとともに、発生させたプラズマを保持部1に保持されている基板Wに対して照射するプラズマ照射部であるプラズマリアクタを、複数個(この実施形態では2個)、備える(第1プラズマリアクタ61、および、第2プラズマリアクタ62)。各プラズマリアクタ61,62は、大気圧下でプラズマを発生させることができるものである。
【0136】
第1プラズマリアクタ61は、保持部1に保持された基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2とにプラズマを照射する。第1プラズマリアクタ61は、具体的には例えば、扁平な平型形状であり、平面視にて、対向する一対の円弧部分と、対向する一対の弦部分とを含む形状である。
【0137】
一方、第2プラズマリアクタ62は、保持部1に保持された基板Wの面内における外周側の部分A2にプラズマを照射する。第2プラズマリアクタ62は、具体的には例えば、扁平な平型形状であり、平面視にて、円弧部分と弦部分で囲まれる形状部分620を、2個含むものである。
【0138】
第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62は、各々の弦部分が突き合わされるとともに、各プラズマリアクタ61,62が略同じ面内に配置されるような位置関係で、リアクタ保持部63によって一体的に保持される。ただし、第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62は、各々の弦部分を突き合わせるようにして配置されたときに、平面視にて、円形状(具体的には例えば、処理対象となる基板Wの直径と同程度の(あるいは、これよりも僅かに大きな)直径を有する円形状)を呈するように、各部の寸法が規定されている。
【0139】
リアクタ保持部63は、具体的には例えば、絶縁材料(例えば、フッ素系樹脂、など)によって形成された部材であり、一対の外リング部材631,631を備える。一対の外リング部材631,631は、第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62の各円弧部分(具体的には、後述する各集合電極612a,612bおよび各集合電極622a,622b)を厚み方向の両側から挟持する。もっとも、リアクタ保持部63の構成はこれに限られるものではなく、第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62を所定の位置関係で一体的に保持できるものであればどのようなものであってもよい。
【0140】
リアクタ保持部63によって一体的に保持された2個のプラズマリアクタ61,62(以下、これを「プラズマリアクタユニット60」ともいう)は、厚み方向を鉛直方向に沿わせるような姿勢で、保持部1に保持されている基板Wの上方において、該基板Wと対向して配置される。このような状態において、両プラズマリアクタ61,62の境界は、有端状であり、保持部1に保持されている基板Wの法線方向から見て、該基板Wの中心に対して偏在する位置に配置される。より具体的には、両プラズマリアクタ61,62の境界は、保持部1に保持されている基板Wの法線方向から見て、該基板Wの中心を挟んでその両側に延在する互いに平行な一対の直線であり、この境界に対して基板Wの中心を含む側に、第1プラズマリアクタ61が配置され、他方側に、第2プラズマリアクタ62の各形状部分620が配置される。したがって、第1プラズマリアクタ61は、保持部1に保持されている基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2の一部分とに対向配置され、第2プラズマリアクタ62は、外周側の部分A2の一部分に対向配置されることになる。
【0141】
プラズマリアクタユニット60には、これを、プラズマ処理位置とプラズマ待機位置との間で移動させる機構であるプラズマリアクタ移動機構が設けられる。プラズマリアクタ移動機構の構成は、第1実施形態に係るプラズマリアクタ移動機構34と同様である。
【0142】
<ii.プラズマリアクタ61,62の構成>
次に、各プラズマリアクタ61,62の構成について、
図14~
図16を参照しながらさらに具体的に説明する。
図14は、プラズマリアクタユニット60の構成を模式的に示す側断面図および平面図である。また、
図15は、第1プラズマリアクタ61の構成を説明するための平面図であり、
図16は、第2プラズマリアクタ62の構成を説明するための平面図である。第1実施形態と同様、以下の説明でも、各プラズマリアクタ61,62の厚み方向を「Z方向」とする。また、Z方向と直交する面内において、後述する線状電極611a,611b,621a,621bの延在方向を「X方向」とし、Z方向およびX方向と直交する方向を「Y方向」とする。
【0143】
(第1プラズマリアクタ61)
第1プラズマリアクタ61は、一対の電極部61a,61b、および、仕切り板61cを備えており、一対の電極部61a,61bが、仕切り板61cを間に挟んで設けられている。仕切り板61cは、具体的には例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された、平板な部材(板部材)であり、平面視にて、対向する一対の円弧部分と、対向する一対の弦部分とを含む形状である。一対の電極部61a,61bは、仕切り板61cを厚み方向から挟むようにして設けられる。以下において、仕切り板61cの厚み方向の一方側である+Z側に設けられる電極部61aを「第1電極部61a」と呼び、他方側である-Z側に設けられる電極部61bを「第2電極部61b」と呼ぶ。
【0144】
第1電極部61aは、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された複数の線状電極(第1線状電極)611aが、適宜の導電性材料(例えばアルミニウム)によって形成された集合電極(第1集合電極)612aを介して接続された構成を備えており、全体として櫛形状を呈している。
【0145】
具体的には例えば、各第1線状電極611aは、直線状の電極であり、長尺方向をX方向に沿わせるような姿勢で配置される。また、複数の第1線状電極611aは、各第1線状電極611aの延在方向(X方向)と交差する配列方向(図の例では、X方向と直交する方向であるY方向)に沿って、間隔を設けつつ配列される。各第1線状電極611aは、好ましくは、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された管状の部材である誘電管610a内に収容される。一方、第1集合電極612aは、平面視にて円弧状に延在する長尺平板状の電極である。第1集合電極612aは、膨らみ方向を各第1線状電極611aの延在方向の一方側(図の例では、-X側)に向けるような姿勢で配置されており、その内周側に、各第1線状電極611aの-X側の端部が接続される。
【0146】
第2電極部61bは、第1電極部61aと同様、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された複数の線状電極(第2線状電極)611bが、適宜の導電性材料(例えばアルミニウム)によって形成された集合電極(第2集合電極)612bを介して接続された構成を備えており、全体として櫛形状を呈している。
【0147】
具体的には例えば、各第2線状電極611bは、直線状の電極であり、長尺方向をX方向に沿わせるような姿勢で配置される。また、複数の第2線状電極611bは、各第2線状電極611bの延在方向(X方向)と交差する配列方向(図の例では、X方向と直交する方向であるY方向)に沿って、間隔を設けつつ配列される。各第2線状電極611bは、好ましくは、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された管状の部材である誘電管610b内に収容される。一方、第2集合電極612bは、平面視にて円弧状に延在する長尺平板状の電極である。第2集合電極612bは、膨らみ方向を、第1集合電極612aの膨らみ方向の逆側(図の例では、+X側)に向けるような姿勢で配置されており、その内周側に、各第2線状電極611bの+X側の端部が接続される。
【0148】
第1電極部61aは、Z方向から見て、第1集合電極612aが、仕切り板61cの円弧部分の外側にこれと近接しつつ延在するような位置に配置されて、仕切り板61cの+Z側に設けられる。一方、第2電極部61bは、Z方向から見て、第2集合電極612bが、仕切り板61cの円弧部分の外側にこれと近接しつつ延在するような位置に配置されて、仕切り板61cの-Z側に設けられる。このとき、Z方向から見て、各線状電極611a,611bは、第2プラズマリアクタ62との境界を構成する仕切り板61cの弦部分と、平行に延在する。すなわち、各線状電極611a,611bの延在方向は、両プラズマリアクタ61,62の境界の延在方向と平行とされる。また、このとき、Z方向から見て、隣り合う第1線状電極611aの間に、第2線状電極611bが配置される。すなわち、Z方向から見て、仕切り板61cの主面内に、第1線状電極611aと第2線状電極611bとが、互いに重なることなく、Y方向に沿って交互に配置される。なお、このような状態において、各電極部61a,61bの複数の線状電極611a,611bによって、仕切り板61cの主面の略全域がカバーされるように、各線状電極611a,611bの長さがその配列位置に応じて規定されることが好ましい。
【0149】
(第2プラズマリアクタ62)
第2プラズマリアクタ62も、第1プラズマリアクタ61と同様、一対の電極部62a,62b、および、仕切り板62cを備えており、一対の電極部62a,62bが、仕切り板62cを間に挟んで設けられている。仕切り板62cは、具体的には例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された、平板な部材(板部材)であり、平面視にて、円弧部分と弦部分で囲まれる形状部分620cを、2個含むものである。一対の電極部62a,62bは、仕切り板62cの各形状部分620cを厚み方向から挟むようにして設けられる。以下において、仕切り板62cの厚み方向の一方側である+Z側に設けられる電極部62aを「第1電極部62a」と呼び、他方側である-Z側に設けられる電極部62bを「第2電極部62b」と呼ぶ。
【0150】
第1電極部62aは、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された複数の線状電極(第1線状電極)621aが、適宜の導電性材料(例えばアルミニウム)によって形成された集合電極(第1集合電極)622aを介して接続された構成を備えており、全体として櫛形状を呈している。
【0151】
具体的には例えば、各第1線状電極621aは、直線状の電極であり、長尺方向をX方向に沿わせるような姿勢で配置される。また、複数の第1線状電極621aは、各第1線状電極621aの延在方向(X方向)と交差する配列方向(図の例では、X方向と直交する方向であるY方向)に沿って、間隔を設けつつ配列される。各第1線状電極621aは、好ましくは、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された管状の部材である誘電管620a内に収容される。一方、第1集合電極622aは、平面視にて円弧状に延在する長尺平板状の電極である。第1集合電極622aは、膨らみ方向を各第1線状電極621aの延在方向の一方側(図の例では、-X側)に向けるような姿勢で配置されており、その内周側に、各第1線状電極621aの-X側の端部が接続される。
【0152】
ただし、第1集合電極622aの延在長さは、第1プラズマリアクタ61の第1電極部61aが備える第1集合電極612aの延在長さよりも長いものとされており、第1集合電極622aの延在方向の中央部分における、第1プラズマリアクタ61の第1集合電極612aの延在長さに相当する領域は、第1線状電極621aが配設されない間隙領域とされる。
【0153】
第2電極部62bは、第1電極部62aと同様、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された複数の線状電極(第2線状電極)621bが、適宜の導電性材料(例えばアルミニウム)によって形成された集合電極(第2集合電極)622bを介して接続された構成を備えており、全体として櫛形状を呈している。
【0154】
具体的には例えば、各第2線状電極621bは、直線状の電極であり、長尺方向をX方向に沿わせるような姿勢で配置される。また、複数の第2線状電極621bは、各第2線状電極621bの延在方向(X方向)と交差する配列方向(図の例では、X方向と直交する方向であるY方向)に沿って、間隔を設けつつ配列される。各第2線状電極621bは、好ましくは、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された管状の部材である誘電管620b内に収容される。一方、第2集合電極622bは、平面視にて円弧状に延在する長尺平板状の電極である。第2集合電極622bは、膨らみ方向を、第1集合電極622aの膨らみ方向の逆側(図の例では、+X側)に向けるような姿勢で配置されており、その内周側に、各第2線状電極621bの+X側の端部が接続される。
【0155】
ただし、第2集合電極622bの延在長さは、第1プラズマリアクタ61の第2電極部61bが備える第2集合電極612bの延在長さよりも長いものとされており、第2集合電極622bの延在方向の中央部分における、第1プラズマリアクタ61の第2集合電極612bの延在長さに相当する領域は、第2線状電極621bが配設されない間隙領域とされる。
【0156】
仕切り板62cの2個の形状部分620cは、これらの間に、第1プラズマリアクタ61が配置されるための隙間を設けつつ、弦部分を対向させて配置される。そして、第1電極部62aは、Z方向から見て、第1集合電極622aが、仕切り板62cの両形状部分620cの円弧部分の外側にこれと近接しつつ延在するような位置に配置されて、仕切り板62cの+Z側に設けられる。一方、第2電極部62bは、Z方向から見て、第2集合電極622bが、仕切り板62cの両形状部分620cの円弧部分の外側にこれと近接しつつ延在するような位置に配置されて、仕切り板62cの-Z側に設けられる。このとき、Z方向から見て、各線状電極621a,621bは、第1プラズマリアクタ61との境界を構成する各形状部分620cの弦部分と、平行に延在する。すなわち、各線状電極621a,621bの延在方向は、両プラズマリアクタ61,62の境界の延在方向と平行とされる。また、このとき、Z方向から見て、隣り合う第1線状電極621aの間に、第2線状電極621bが配置される。すなわち、Z方向から見て、仕切り板62cの各形状部分620cの主面内に、第1線状電極621aと第2線状電極621bとが、互いに重なることなく、Y方向に沿って交互に配置される。ただし、Z方向から見て、仕切り板62cの各形状部分620cの間に設けられている隙間の部分は、線状電極621a,621bが配設されない間隙領域と重なる。つまり、各形状部分620cの隙間の部分には、線状電極621a,621bは配設されない。なお、このような状態において、各電極部62a,62bの複数の線状電極621a,621bによって、仕切り板62cの各形状部分620cの主面の略全域がカバーされるように、各線状電極621a,621bの長さがその配列位置に応じて規定されることが好ましい。
【0157】
<iii.電力の供給に係る構成>
次に、各プラズマリアクタ61,62への電力の供給に係る構成について、引き続き
図13~
図16を参照しながら説明する。
【0158】
第1プラズマリアクタ61には、これにプラズマを発生させるための電力(プラズマ用電力)を供給する電力供給部である電源(第1電源)65が接続される。第1電源65は、具体的には、一対の出力端65a,65bを備えており、一方の出力端(第1出力端)65aから延びる配線(第1配線)650aが、仕切り板61cの+Z側に配置されている第1電極部61a(具体的には、第1集合電極612a)に、電気的に接続されるとともに、他方の出力端(第2出力端)65bから延びる配線(第2配線)650bが、仕切り板61cの-Z側に配置されている第2電極部61b(具体的には、第2集合電極612b)に、電気的に接続される。ここでは、第1出力端65aが+側とされ、第2出力端65bが-側とされる。つまり、第2電極部61bに対する第1電極部61aの電位を正方向とする。
【0159】
第1電源65は、制御部140によって制御されており、制御部140からの指示に応じて、第1プラズマリアクタ61に所定の電力(プラズマ用電力)を供給する。具体的には、第1電源65は、制御部140からの指示に応じて、各配線650a,650bを介して、第1電極部61aと第2電極部61bとの間に、所定の電圧(プラズマ用電圧)を印加する。すると、第1線状電極611aと第2線状電極611bとの間に電界が生じ、第1線状電極611aおよび第2線状電極611bの間に放電が発生する。両線状電極611a,611bの間には誘電体である仕切り板61cが存在しているので、この放電は、いわゆる誘電体バリア放電となる。放電が発生することによって、周囲のガスがプラズマ化する。つまり、第1電源65は、周囲のガスがプラズマ化する程度の電圧を、プラズマ用電圧として両電極部61a,61bの間に印加する。
【0160】
同様に、第2プラズマリアクタ62にも、これにプラズマを発生させるための電力(プラズマ用電力)を供給する電力供給部である電源(第2電源)66が接続される。第2電源66は、具体的には、一対の出力端66a,66bを備えており、一方の出力端(第1出力端)66aから延びる配線(第1配線)660aが、仕切り板62cの+Z側に配置されている第1電極部62a(具体的には、第1集合電極622a)に、電気的に接続されるとともに、他方の出力端(第2出力端)66bから延びる配線(第2配線)660bが、仕切り板62cの-Z側に配置されている第2電極部62b(具体的には、第2集合電極622b)に、電気的に接続される。ここでは、第1出力端66aが+側とされ、第2出力端66bが-側とされる。つまり、第2電極部62bに対する第1電極部62aの電位を正方向とする。
【0161】
第2電源66は、第1電源65と同様、制御部140によって制御されており、制御部140からの指示に応じて、第2プラズマリアクタ62に所定の電力(プラズマ用電力)を供給する。具体的には、第2電源66は、制御部140からの指示に応じて、各配線660a,660bを介して、第1電極部62aと第2電極部62bとの間に、所定の電圧(プラズマ用電圧)を印加する。すると、第1線状電極621aと第2線状電極621bとの間に電界が生じ、第1線状電極621aおよび第2線状電極621bの間に放電が発生する。両線状電極621a,621bの間には誘電体である仕切り板62cが存在しているので、この放電は、いわゆる誘電体バリア放電となる。放電が発生することによって、周囲のガスがプラズマ化する。つまり、第2電源66は、周囲のガスがプラズマ化する程度の電圧を、プラズマ用電圧として両電極部62a,62bの間に印加する。
【0162】
第1電源65および第2電源66は、第1実施形態に係る各電源35,36と同様、具体的には例えば、インバータ回路等のスイッチング電源回路を含んで構成されて高周波電源としての機能を備えるものであってもよく、プラズマ用電圧として、例えば、高周波電圧を両電極部61a,61bの間(あるいは、両電極部62a,62bの間)に印加してもよい。また、第1電源65および第2電源66は、例えば、交流電源であってもよい。さらに、第1電源65および第2電源66は、例えば、パルス発生器を含んで構成されてパルス電源としての機能を備えるものであってもよく、パルス発生器が所定の周期で発生させるパルス信号のオン期間において、両電極部61a,61bの間(あるいは、両電極部62a,62bの間)に高周波電圧を印加してもよい。一例として、プラズマ用電圧の電圧値(高周波電圧の振幅値)は、十数(kV)程度以上である。また、プラズマ用電圧がパルス波によって規定される各周期のオン期間に印加される場合、該パルス波の周波数は、数十(kHz)程度である。
【0163】
上記のとおり、第1プラズマリアクタ61は、保持部1に保持された基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2の一部分とに対向配置され、第2プラズマリアクタ62は、外周側の部分A2の一部分に対向配置される(
図13)。後に明らかになるように、この実施形態では、基板Wが、その中心の周りで回転されつつ、各プラズマリアクタ61,62からのプラズマの照射を受ける。したがって、各プラズマリアクタ61,62に各電源65,66からプラズマ用電力が供給されるとともに、各プラズマリアクタ61,62がプラズマ処理位置に配置され、さらに、基板Wがその中心の周りで回転されると、基板Wの面内における中央側の部分A1は、第1プラズマリアクタ61からプラズマの照射を受け、外周側の部分A2内の各位置は、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62とから交互にプラズマの照射を受ける。これによって、基板Wに対するプラズマ処理が進行する。上記のとおり、処理ユニット132では、プラズマ処理によってレジストの剥離が行われる。
【0164】
第1実施形態において説明したとおり、基板Wの面内における各部分A1,A2の処理速度は、各プラズマリアクタ61,62に供給される電力量に応じて変化する。具体的には、電力量が大きいほど、処理速度が大きくなる。この実施形態でも、第1実施形態と同様、各プラズマリアクタ61,62に電力を供給する電源65,66が別個に設けられているので、各プラズマリアクタ61,62に供給する電力量を独立して調整することができる。これによって、基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2の各処理速度を個別に調整することができる。したがって、基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2との間に、処理速度の差を生じさせるような要因が存在している場合に、この差を、各プラズマリアクタ61,62に供給される電力量の差で補填することで、基板Wの面内における処理速度のばらつきを低減することができる。ひいては、基板Wの面内における処理の均一性を向上させることができる。
【0165】
例えば、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1の処理速度よりも小さくなるような要因が潜在的に存在している場合、制御部140が、第2プラズマリアクタ62に供給される電力量が、第1プラズマリアクタ61に供給される電力量よりも、大きいものとなるように、各電源65,66を制御する。このような制御がなされることで、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1に比べて相対的に大きく促進されることとなり、外周側の部分A2と中央側の部分A1との間の処理速度の差が、各プラズマリアクタ61,62に供給される電力量の差で補填される。これによって、基板Wの面内における処理速度のばらつきが低減され、処理の均一性が向上する。
【0166】
なお、ここでも、各プラズマリアクタ61,62に供給される電力量を調整する具体的な態様は、どのようなものであってもよい。例えば、電圧の周波数、電圧の振幅、電圧の印加の切り替えに用いられるパルス信号の周波数、該パルス信号におけるオン期間の割合(オンデューティ比)、などのうちの少なくとも1個を調整することで、電力量を調整することができる。
【0167】
<iv.電極の位置と電圧の関係>
上記のとおり、第1プラズマリアクタ61の第1電極部61aと第2プラズマリアクタ62の第1電極部62aとは、いずれも、仕切り板61c,62cの+Z側に配置される。また、第1プラズマリアクタ61の第2電極部61bと第2プラズマリアクタ62の第2電極部62bとは、いずれも、仕切り板61c,62cの-Z側に配置される。ここで、仕切り板61c,62cの同じ側に配置される2個の電極部は、同じ極性とされて、同じ位相の電圧が印加される。すなわち、制御部140は、仕切り板61c,62cの同じ側に配置される2個の電極部に、同じ極性であって、同じ位相の電圧が印加されるように、第1電源65および第2電源66を同期させる。
【0168】
図17には、第1電源65から第1プラズマリアクタ61の一対の電極部61a,61bの間に印加される電圧波形K1、および、第2電源66から第2プラズマリアクタ62の一対の電極部62a,62bの間に印加される電圧波形K2の一例が、模式的に示されている。図には、該電圧波形K1,K2の電圧が印加された場合に流れる電流の波形K10,K20の一例も併せて模式的に示されている。ここに示される例では、パルス信号のオン期間において高周波電圧が印加されているところ、その印加にあたって、第1プラズマリアクタ61の一対の電極部61a,61bの間に印加される電圧(電圧波形K1)と、第2プラズマリアクタ62の一対の電極部62a,62bの間に印加される電圧(電圧波形K2)の位相が同期されている。したがって、各プラズマリアクタ61,62の+側の電極(すなわち、仕切り板61c,62cの+Z側に配置される第1電極部61aと第1電極部62a)に、同じ極性であって、同じ位相の電圧が印加される。また、各プラズマリアクタ61,62の-側の電極(すなわち、仕切り板61c,62cの-Z側に配置される第2電極部61bと第2電極部62b)に、同じ極性であって、同じ位相の電圧が印加される。
【0169】
仕切り板61c,62cの同じ側に配置される2個の電極部(例えば、第1プラズマリアクタ61の第1電極部61aと第2プラズマリアクタ62の第1電極部62a)に、同じ極性であって、同じ位相の電圧が印加されると、該2個の電極部の間の電位差が十分に小さいものとなるため、該2個の電極部の間にアーキングが発生しにくくなる。したがって、該2個の電極部を近接させることが可能となる。すなわち、第1プラズマリアクタ61の各電極部61a,61bと第2プラズマリアクタ62の各電極部62a,62bとを近接させることが可能となる。これによって、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62との間にプラズマの隙間が形成されにくくなり、基板Wの面内における処理の均一性が十分に担保される。
【0170】
<2-2.処理の流れ>
プラズマ発生部6を備える処理ユニット132で行われる処理の流れは、第1実施形態において説明したものとほぼ同様である(
図8~
図12参照)。
【0171】
すなわち、この実施形態においても、電力供給開始工程(ステップS3)と下降工程(ステップS4)の両方が行われることにより、電力が供給されているプラズマリアクタ61,62が、プラズマ処理位置に配置された状態となり、このような状態において、保持部1に保持されている基板Wに対するプラズマ処理(レジストの剥離)が進行する。ただし、この実施形態では、基板Wに対してプラズマ処理が行われる間、回転機構13が、保持部1(ひいてはここに保持されている基板W)を、所定の回転数で、回転させる。これにより、基板Wの面内における中央側の部分A1に対して、第1プラズマリアクタ61からプラズマが照射され、基板Wの面内における外周側の部分A2内の各位置に対して、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62から交互にプラズマが照射されて、各部分A1,A2においてプラズマ処理が進行する。
【0172】
この実施形態においても、例えば、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1の処理速度よりも小さくなるような要因が潜在的に存在している場合、このような要因を考慮して、第2プラズマリアクタ62に供給される電力量が、第1プラズマリアクタ61に供給される電力量よりも大きいものとされる。これによって、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1に比べて相対的に大きく促進されて、基板Wの面内における処理速度のばらつきが低減される。したがって、基板Wの面内の全体において、均一に、処理(レジストの剥離)が進行する。
【0173】
<2-3.効果>
上記の実施形態に係るプラズマ発生部6は、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62とが、保持部1に保持された基板Wの法線方向から見て該基板Wの中心に対して偏在する境界の一方側と他方側に設けられ、保持部1に保持された基板Wの法線方向から見て、該境界に対して該基板Wの中心を含む側に、第1プラズマリアクタ61が配置される。この構成によると、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62とが基板Wの中心に対して偏在する境界の一方側と他方側に設けられるので、一方のプラズマリアクタが他方のプラズマリアクタの周囲を取り囲むような構成に比べて、プラズマリアクタ61,62の形状の単純化が容易となる。
【0174】
特に、上記の実施形態に係るプラズマ発生部6は、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62との境界が、保持部1に保持された基板Wの法線方向から見て、該基板の中心を挟んでその両側に延在する互いに平行な一対の直線である。この構成によると、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62との境界が直線であるので、各プラズマリアクタ61,62の形状の単純化が特に容易である。
【0175】
なお、第1実施形態と同様、上記の実施形態でも、基板Wの面内における中央側の部分A1(すなわち、第1プラズマリアクタ61からプラズマの照射を受ける部分)と、外周側の部分A2(すなわち、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62から交互にプラズマの照射を受ける部分)との境界は任意に規定することが可能であり、規定された境界の位置に応じて、各プラズマリアクタ61,62の寸法が規定されればよい。一例として、直径が300(mm)の基板Wの外周縁から30(mm)だけ内側の位置に、両部分A1,A2の境界が規定された場合、例えば、第1プラズマリアクタ61における一対の円弧部分の対向方向に沿う長さを、約300(mm)とし、一対の弦部分の対向方向に沿う長さを、約240(mm)とするとともに、第2プラズマリアクタ62の各形状部分620における円弧部分の中心と弦部分の中心とを結ぶ直線の長さを、約30(mm)とすればよい。
【0176】
また、上記の実施形態に係るプラズマ発生部6は、第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62の各々が、直線状の第1線状電極611a(621a)が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第1電極部61a(62a)と、直線状の第2線状電極611b(621b)が、その延在方向と交差する配列方向に沿って複数個配列された構成を備える第2電極部61b(62b)と、を備え、該延在方向および該配列方向から規定される面の法線方向から見たときに、第1線状電極611a(621a)と第2線状電極611b(621b)とが、重ならないように交互に配置され、第1線状電極611a(621a)の延在方向および第2線状電極611b(621b)の延在方向が、両プラズマリアクタ61,62の境界の延在方向と平行である。この構成によると、両プラズマリアクタ61,62の離間距離を十分に小さなものとすることが可能となる。したがって、両プラズマリアクタ61,62の間にプラズマの隙間が形成されにくく、基板Wの面内における処理の均一性が損なわれにくい。
【0177】
また、上記の実施形態に係るプラズマ発生部6は、第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62の各々が、誘電体材料によって形成される仕切り板(板部材)61c,62cと、仕切り板61c,62cを挟んで設けられた一対の電極部61a,61b(62a,62b)と、を備え、第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62の各々が備える一対の電極部61a,61b(62a,62b)のうち、仕切り板61c,62cの同じ側に配置される電極部(例えば、第1プラズマリアクタ61の第1電極部61aと第2プラズマリアクタ62の第1電極部62a)は、同じ極性とされて、同じ位相の電圧が印加される。この構成によると、第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62の各々が備える一対の電極部61a,61b(62a,62b)のうち、仕切り板61c,62cの同じ側に隣り合って配置される電極部の間の電位差が十分に小さいものとなるため、該2個の電極部の間にアーキングが発生しにくくなる。したがって、該2個の電極部を近接させることが可能となる。すなわち、第1プラズマリアクタ61の各電極部61a,61bと第2プラズマリアクタ62の各電極部62a,62bとを近接させることが可能となる。これによって、両プラズマリアクタ61,62との間にプラズマの隙間が形成されにくくなり、基板Wの面内における処理の均一性が十分に担保される。
【0178】
<3.第3実施形態>
<3-1.プラズマ発生部7>
<i.全体構成>
第3実施形態に係るプラズマ発生部7の構成について、
図18~
図20を参照しながら説明する。
図18は、各プラズマリアクタ71,72と保持部1に保持されている基板Wとの位置関係を説明するための図である。
図19は、プラズマリアクタユニット70の構成を模式的に示す側断面図および平断面図である。また、
図20は、各プラズマリアクタ71,72の構成を説明するための図である。
【0179】
プラズマ発生部7は、例えば、第1実施形態において説明した処理ユニット132に設けられる。以下においては、第1実施形態と相違しない要素については、同じ符号を付して示すとともに、その説明を省略する。
【0180】
プラズマ発生部7は、第1実施形態に係るプラズマ発生部3と同様、プラズマを発生させるとともに、発生させたプラズマを保持部1に保持されている基板Wに対して照射するプラズマ照射部であるプラズマリアクタを、複数個(この実施形態では2個)、備える(第1プラズマリアクタ71、および、第2プラズマリアクタ72)。各プラズマリアクタ71,72は、大気圧下でプラズマを発生させることができるものである。
【0181】
第1プラズマリアクタ71は、保持部1に保持された基板Wの面内における中央側の部分A1にプラズマを照射するプラズマ照射部であり、一対の電極部(第1電極部71a、および、第2電極部71b)を備える。
【0182】
第1電極部71aは、渦巻状に延在する渦巻状電極(第1渦巻状電極)710aを備える。同様に、第2電極部71bも、渦巻状に延在する渦巻状電極(第2渦巻状電極)710bを備える。各渦巻状電極710a,710bは、具体的には例えば、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された細長い長尺の線状電極が、平面視にて略円形状の領域内に渦巻状に屈曲されたものであり、外直径が、処理対象となる基板Wの直径よりも小さな寸法とされる。
【0183】
第1渦巻状電極710aと第2渦巻状電極710bは、互いに平行な面(この実施形態では、同じ面)において、互いに同心に配置される。ただし、各渦巻状電極710a,710bは、渦巻のピッチが互いに略同じものとされ、かつ、半ピッチ分だけ互いにずれた径で周回する形状とされている。したがって、各渦巻状電極710a,710bを、これらが配置されている面の法線方向から見たときに、両渦巻状電極710a,710bは、互いに重なり合うことなく、互いの隙間に配置される(すなわち、渦巻の径方向に沿って交互に配置される)。
【0184】
第2プラズマリアクタ72は、保持部1に保持された基板Wの面内における外周側の部分A2にプラズマを照射するプラズマ照射部であり、一対の電極部(第1電極部72a、および、第2電極部72b)を備える。
【0185】
第1電極部72aは、渦巻状に延在する渦巻状電極(第1渦巻状電極)720aを備える。同様に、第2電極部72bも、渦巻状に延在する渦巻状電極(第2渦巻状電極)720bを備える。各渦巻状電極720a,720bは、具体的には例えば、適宜の導電性材料(例えばタングステン)によって形成された細長い長尺の線状電極が、平面視にて略円環状の領域内に渦巻状に屈曲されたものであり、内直径が、第1プラズマリアクタ71の各渦巻状電極710a,710bの外直径よりも僅かに大きな寸法とされ、外直径が、処理対象となる基板Wの直径と同程度の(あるいは、基板Wの直径よりも僅かに大きな、あるいは、基板Wの直径よりも僅かに小さな)寸法とされる。
【0186】
第1渦巻状電極720aと第2渦巻状電極720bは、互いに平行な面(この実施形態では、同じ面)において、互いに同心に配置される。ただし、各渦巻状電極720a,720bは、渦巻のピッチが互いに略同じものとされ、かつ、半ピッチ分だけ互いにずれた径で周回する形状とされている。したがって、各渦巻状電極720a,720bを、これらが配置されている面の法線方向から見たときに、両渦巻状電極720a,720bは、互いに重なり合うことなく、互いの隙間に配置される(すなわち、渦巻の径方向に沿って交互に配置される)。
【0187】
第1プラズマリアクタ71が備える各電極部71a,71b、および、第2プラズマリアクタ72が備える各電極部72a,72bは、収容板70cに設けられた各収容部701c~704cに収容される。収容板70cは、具体的には例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された、平面視にて円形状の平板な部材(板部材)である。
【0188】
第1収容部701cおよび第2収容部702cは、収容板70cの中央側の部分に設けられている。第1収容部701cは、具体的には、平面視にて、第1プラズマリアクタ71の第1電極部71a(具体的には、第1渦巻状電極710a)と重なるような渦巻状の空間であり、ここに、第1渦巻状電極710aが収容される。一方、第2収容部702cは、平面視にて、第1プラズマリアクタ71の第2電極部71b(具体的には、第2渦巻状電極710b)と重なるような渦巻状の空間であり、ここに、第2渦巻状電極710bが収容される。第1収容部701cと第2収容部702cは、互いに同心に設けられている。したがって、各収容部701c,702cに収容されることで、第1渦巻状電極710aおよび第2渦巻状電極710bが、互いに同心に配置される。
【0189】
また、第3収容部703cおよび第4収容部704cは、収容板70cの外周側の部分に設けられている。第3収容部703cは、具体的には、平面視にて、第2プラズマリアクタ72の第1電極部72a(具体的には、第1渦巻状電極720a)と重なるような渦巻状の空間であり、ここに、第1渦巻状電極720aが収容される。一方、第4収容部704cは、平面視にて、第2プラズマリアクタ72の第2電極部72b(具体的には、第2渦巻状電極720b)と重なるような渦巻状の空間であり、ここに、第2渦巻状電極720bが収容される。第3収容部703cと第4収容部704cは、互いに同心に設けられている。したがって、各収容部703c,704cに収容されることで、第1渦巻状電極720aおよび第2渦巻状電極720bが、互いに同心に配置される。
【0190】
このように、第1プラズマリアクタ71は、一対の電極部71a,71bの各々が、収容板70cの中央側の部分に設けられた各収容部701c,702cに収容された構成を備えている。つまり、収容板70cの中央側の部分と、ここに設けられた各収容部701c,702cに収容された電極部71a,71bとが、第1プラズマリアクタ71としての役割を担っている。また、第2プラズマリアクタ72は、一対の電極部72a,72bの各々が、収容板70cの外周側の部分に設けられた各収容部703c,704cに収容された構成を備えている。つまり、収容板70cの外周側の部分と、ここに設けられた各収容部703c,704cに収容された電極部72a,72bとが、第2プラズマリアクタ72としての役割を担っている。ここでは、2個のプラズマリアクタ71,72の間で収容板70cが共用されることで、第1プラズマリアクタ71の周囲を第2プラズマリアクタ72が取り囲むような位置関係で、両プラズマリアクタ71,72が一体的に形成されている。
【0191】
一体的に形成された2個のプラズマリアクタ71,72(以下、これを「プラズマリアクタユニット70」ともいう)は、厚み方向を鉛直方向に沿わせるような姿勢で、保持部1に保持されている基板Wの上方において、該基板Wと対向して配置される。このような状態において、第1プラズマリアクタ71は、該基板Wの面内における中央側の部分A1と対向配置され、第2プラズマリアクタ72は、該基板Wの面内における外周側の部分A2と対向配置されることになる。
【0192】
プラズマリアクタユニット70には、これを、プラズマ処理位置とプラズマ待機位置との間で移動させる機構であるプラズマリアクタ移動機構が設けられる。プラズマリアクタ移動機構の構成は、第1実施形態に係るプラズマリアクタ移動機構34と同様である。
【0193】
<ii.電力の供給に係る構成>
次に、各プラズマリアクタ71,72への電力の供給に係る構成について、引き続き、
図18~
図20を参照しながら説明する。
【0194】
第1プラズマリアクタ71には、これにプラズマを発生させるための電力(プラズマ用電力)を供給する電力供給部である電源(第1電源)75が接続される。第1電源75は、具体的には、一対の出力端75a,75bを備えており、一方の出力端(第1出力端)75aから延びる配線(第1配線)750aが、第1電極部71aに電気的に接続されるとともに、他方の出力端(第2出力端)75bから延びる配線(第2配線)750bが、第2電極部71bに電気的に接続される。ここでは、第1出力端75aが+側とされ、第2出力端75bが-側とされる。つまり、第2電極部71bに対する第1電極部71aの電位を正方向とする。
【0195】
第1電源75は、制御部140によって制御されており、制御部140からの指示に応じて、第1プラズマリアクタ71に所定の電力(プラズマ用電力)を供給する。具体的には、第1電源75は、制御部140からの指示に応じて、各配線750a,750bを介して、第1電極部71aと第2電極部71bとの間に、所定の電圧(プラズマ用電圧)を印加する。すると、両電極部71a,71bの間に電界が生じ、両電極部71a,71bの間に放電が発生する。両電極部71a,71bの間には誘電体である収容板70cの一部分(例えば、第1収容部701cと第2収容部702cを隔てる隔壁部分)が存在しているので、この放電は、いわゆる誘電体バリア放電となる。放電が発生することによって、周囲のガスがプラズマ化する。つまり、第1電源75は、周囲のガスがプラズマ化する程度の電圧を、プラズマ用電圧として両電極部71a,71bの間に印加する。
【0196】
同様に、第2プラズマリアクタ72にも、これにプラズマを発生させるための電力(プラズマ用電力)を供給する電力供給部である電源(第2電源)76が接続される。第2電源76は、具体的には、一対の出力端76a,76bを備えており、一方の出力端(第1出力端)76aから延びる配線(第1配線)760aが、第1電極部72aに電気的に接続されるとともに、他方の出力端(第2出力端)76bから延びる配線(第2配線)760bが、第2電極部72bに電気的に接続される。ここでは、第1出力端76aが+側とされ、第2出力端76bが-側とされる。つまり、第2電極部72bに対する第1電極部72aの電位を正方向とする。
【0197】
第2電源76は、第1電源75と同様、制御部140によって制御されており、制御部140からの指示に応じて、第2プラズマリアクタ72に所定の電力(プラズマ用電力)を供給する。具体的には、第2電源76は、制御部140からの指示に応じて、各配線760a,760bを介して、第1電極部72aと第2電極部72bとの間に、所定の電圧(プラズマ用電圧)を印加する。すると、両電極部72a,72bの間に電界が生じ、両電極部72a,72bの間に放電が発生する。両電極部72a,72bの間には誘電体である収容板70cの一部分(例えば、第3収容部703cと第4収容部704cを隔てる隔壁部分)が存在しているので、この放電は、いわゆる誘電体バリア放電となる。放電が発生することによって、周囲のガスがプラズマ化する。つまり、第2電源76は、周囲のガスがプラズマ化する程度の電圧を、プラズマ用電圧として両電極部72a,72bの間に印加する。
【0198】
第1電源75および第2電源76は、第1実施形態に係る各電源35,36と同様、具体的には例えば、インバータ回路等のスイッチング電源回路を含んで構成されて高周波電源としての機能を備えるものであってもよく、プラズマ用電圧として、例えば、高周波電圧を両電極部71a,71bの間(あるいは、両電極部72a,72bの間)に印加してもよい。また、第1電源75および第2電源76は、例えば、交流電源であってもよい。さらに、第1電源75および第2電源76は、例えば、パルス発生器を含んで構成されてパルス電源としての機能を備えるものであってもよく、パルス発生器が所定の周期で発生させるパルス信号のオン期間において、両電極部71a,71bの間(あるいは、両電極部72a,72bの間)に高周波電圧を印加してもよい。一例として、プラズマ用電圧の電圧値(高周波電圧の振幅値)は、十数(kV)程度以上である。また、プラズマ用電圧がパルス波によって規定される各周期のオン期間に印加される場合、該パルス波の周波数は、数十(kHz)程度である。
【0199】
上記のとおり、第1プラズマリアクタ71は、保持部1に保持された基板Wの面内における中央側の部分A1と対向配置され、第2プラズマリアクタ72は、該基板Wの面内における外周側の部分A2と対向配置される(
図18)。したがって、各プラズマリアクタ71,72に各電源75,76からプラズマ用電力が供給されるとともに、各プラズマリアクタ71,72がプラズマ処理位置に配置されると、基板Wの面内における中央側の部分A1は、第1プラズマリアクタ71からプラズマの照射を受け、外周側の部分A2は、第2プラズマリアクタ72からプラズマの照射を受ける。これによって、基板Wに対するプラズマ処理が進行する。上記のとおり、処理ユニット132では、プラズマ処理によってレジストの剥離が行われる。
【0200】
第1実施形態において説明したとおり、基板Wの面内における各部分A1,A2の処理速度は、各プラズマリアクタ71,72に供給される電力量に応じて変化する。具体的には、電力量が大きいほど、処理速度が大きくなる。この実施形態でも、第1実施形態と同様、各プラズマリアクタ71,72に電力を供給する電源75,76が別個に設けられているので、各プラズマリアクタ71,72に供給する電力量を独立して調整することができる。これによって、基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2の各処理速度を個別に調整することができる。したがって、基板Wの面内における中央側の部分A1と外周側の部分A2との間に、処理速度の差を生じさせるような要因が存在している場合に、この差を、各プラズマリアクタ71,72に供給される電力量の差で補填することで、基板Wの面内における処理速度のばらつきを低減することができる。ひいては、基板Wの面内における処理の均一性を向上させることができる。
【0201】
例えば、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1の処理速度よりも小さくなるような要因が潜在的に存在している場合、制御部140が、第2プラズマリアクタ72に供給される電力量が、第1プラズマリアクタ71に供給される電力量よりも、大きいものとなるように、各電源75,76を制御する。このような制御がなされることで、基板Wの面内における外周側の部分A2の処理速度が、中央側の部分A1に比べて相対的に大きく促進されることとなり、外周側の部分A2と中央側の部分A1との間の処理速度の差が、各プラズマリアクタ71,72に供給される電力量の差で補填される。これによって、基板Wの面内における処理速度のばらつきが低減され、処理の均一性が向上する。
【0202】
なお、ここでも、各プラズマリアクタ71,72に供給される電力量を調整する具体的な態様は、どのようなものであってもよい。例えば、電圧の周波数、電圧の振幅、電圧の印加の切り替えに用いられるパルス信号の周波数、該パルス信号におけるオン期間の割合(オンデューティ比)、などのうちの少なくとも1個を調整することで、電力量を調整することができる。
【0203】
<3-2.処理の流れ>
プラズマ発生部7を備える処理ユニット132において、基板Wに対して行われる一連の処理の流れは、第1実施形態において説明したものと同様である(
図8~
図12参照)。
【0204】
<3-3.効果>
上記の実施形態に係るプラズマ発生部7は、第1プラズマリアクタ71および第2プラズマリアクタ72の各々が、渦巻状に延在する第1渦巻状電極710a(720a)を含む第1電極部71a(72a)と、渦巻状に延在する第2渦巻状電極710b(720b)を含む第2電極部71b(72b)と、を備え、第1渦巻状電極710a(720a)と第2渦巻状電極710b(720b)とが互いに平行な面に配設されており、該面の法線方向から見たときに、第1渦巻状電極710a(720a)と第2渦巻状電極710b(720b)とが、同心に配置されつつ、互いに重ならないものとなっている。この構成によると、各プラズマリアクタ71,72において、各渦巻状電極710a,710b(720a,720b)が配設された面に沿って二次元的に広がるプラズマを発生させることができる。また、各渦巻状電極710a,710b(720a,720b)は、枝分かれのない形状(一筆書きでなぞれる形状)であるので、設計および製造が容易である。
【0205】
また、上記の実施形態に係るプラズマ発生部7は、第1プラズマリアクタ71および第2プラズマリアクタ72の各々が、誘電体材料によって形成される収容板(板部材)70cと、各々が、収容板70cに設けられた収容部701c,702c(703c,704c)に収容された、一対の電極部71a,71b(72a,72b)と、を備える。この構成によると、例えば、板部材を挟んでその両側に電極部が配設される構成と比べて、各プラズマリアクタ71,72の外形状を単純化することができる。例えば、処理対象である基板W上の処理液が気化するなどして収容板70cの主面に付着したとしても、付着物を難なく除去することができる。
【0206】
<4.変形例>
<4-1.第1変形例>
第1実施形態に係るプラズマ発生部3が備える各プラズマリアクタ31,32は、一対の電極部31a,31b(32a,32b)が、仕切り板31c(32c)を間に挟んで設けられるものとしたが、各プラズマリアクタ31,32の構成はこれに限られるものではない。
【0207】
例えば、
図21に示されるように、第1プラズマリアクタ31’は、第1電極部31a(具体的には、第1線状電極311a)が、収容板31dに設けられた第1収容部301dに収容されるとともに、第2電極部31b(具体的には、第2線状電極311b)が、該収容板31dに設けられた第2収容部302dに収容されるものとしてもよい。
【0208】
この場合、収容板31dは、具体的には例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された、平面視にて円形状の平板な部材(板部材)である。
【0209】
第1収容部301dは、具体的には例えば、収容板31dの側面に開口する直線状の長尺な穴部分を、複数個備える。複数の穴部分の各々は、平面視にて、第1電極部31aが備える複数の第1線状電極311aのいずれかと重なる位置に設けられており、各穴部分に、1個の第1線状電極311aが収容される。一方、第2収容部302dも、具体的には例えば、収容板31dの側面に開口する直線状の長尺な穴部分を、複数個備える。複数の穴部分の各々は、平面視にて、第2電極部31bが備える複数の第2線状電極311bのいずれかと重なる位置に設けられており、各穴部分に、1個の第2線状電極311bが収容される。
【0210】
同じく、
図21に示されるように、第2プラズマリアクタ32’は、第1電極部32a(具体的には、第1線状電極321a)が、収容板32dに設けられた第3収容部303dに収容されるとともに、第2電極部32b(具体的には、第2線状電極321b)が、該収容板32dに設けられた第4収容部304dに収容されるものとしてもよい。
【0211】
この場合、収容板32dは、具体的には例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された、平面視にて円環状の平板な部材(板部材)である。
【0212】
第3収容部303dは、具体的には例えば、収容板32dの側面に開口する直線状の長尺な穴部分を、複数個備える。複数の穴部分の各々は、平面視にて、第1電極部32aが備える複数の第1線状電極321aのいずれかと重なる位置に設けられており、各穴部分に、1個の第1線状電極321aが収容される。一方、第4収容部304dも、具体的には例えば、収容板32dの側面に開口する直線状の長尺な穴部分を、複数個備える。複数の穴部分の各々は、平面視にて、第2電極部32bが備える複数の第2線状電極321bのいずれかと重なる位置に設けられており、各穴部分に、1個の第2線状電極321bが収容される。
【0213】
<4-2.第2変形例>
第2実施形態に係るプラズマ発生部6が備える各プラズマリアクタ61,62は、一対の電極部61a,61b(62a,62b)が、仕切り板61c(62c)を間に挟んで設けられるものとしたが、各プラズマリアクタ61,62の構成はこれに限られるものではない。
【0214】
例えば、
図22に示されるように、第1プラズマリアクタ61’は、第1電極部61a(具体的には、第1線状電極611a)が、収容板60dに設けられた第1収容部601dに収容されるとともに、第2電極部61b(具体的には、第2線状電極611b)が、該収容板60dに設けられた第2収容部602dに収容されるものとしてもよい。さらに、第2プラズマリアクタ62’は、第1電極部62a(具体的には、第1線状電極621a)が、該収容板60dに設けられた第3収容部603dに収容されるとともに、第2電極部62b(具体的には、第2線状電極621b)が、該収容板60dに設けられた第4収容部604dに収容されるものとしてもよい。
【0215】
この場合、収容板60dは、具体的には例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成された、平面視にて円形状の平板な部材(板部材)である。
【0216】
各収容部601d~604dは、具体的には例えば、収容板60dの側面に開口する直線状の長尺な穴部分を、複数個備える。第1収容部601dが備える複数の穴部分の各々は、平面視にて、第1プラズマリアクタ61’の第1電極部61aが備える複数の第1線状電極611aのいずれかと重なる位置に設けられており、各穴部分に、1個の第1線状電極611aが収容される。また、第2収容部602dが備える複数の穴部分の各々は、平面視にて、第1プラズマリアクタ61’の第2電極部61bが備える複数の第2線状電極611bのいずれかと重なる位置に設けられており、各穴部分に、1個の第2線状電極611bが収容される。また、第3収容部603dが備える複数の穴部分の各々は、平面視にて、第2プラズマリアクタ62’の第1電極部62aが備える複数の第1線状電極621aのいずれかと重なる位置に設けられており、各穴部分に、1個の第1線状電極621aが収容される。また、第4収容部604dが備える複数の穴部分の各々は、平面視にて、第2プラズマリアクタ62’の第2電極部62bが備える複数の第2線状電極621bのいずれかと重なる位置に設けられており、各穴部分に、1個の第2線状電極621bが収容される。
【0217】
<4-3.第3変形例>
第1実施形態に係るプラズマ発生部3が備える各プラズマリアクタ31,32は、一対の電極部31a,31b(32a,32b)が、個別の仕切り板31c(32c)を間に挟んで設けられるものとしたが、仕切り板の構成はこれに限られるものではない。
【0218】
例えば、
図23に示されるように、第1実施形態において、第1プラズマリアクタ31と第2プラズマリアクタ32との間で、仕切り板が共用されてもよい。
図23は、第1実施形態の変形例に係るプラズマリアクタユニット800の構成を模式的に示す側断面図および平面図である。以下においても、第1実施形態と相違しない要素については、同じ符号を付して示すとともに、その説明を省略する。
【0219】
第1プラズマリアクタ801と第2プラズマリアクタ802には、共用の仕切り板80cが設けられる。仕切り板80cは、例えば、平面視にて、処理対象となる基板Wの直径と同程度の(あるいは、これよりも僅かに大きな)直径を有する円形状の平板部材である。仕切り板80cは、例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成される。
【0220】
第1プラズマリアクタ801は、第1実施形態に係る第1プラズマリアクタ31と同様、一対の電極部(第1電極部31a、および、第2電極部31b)を備える。一対の電極部31a,31bは、仕切り板80cの中央側の中央領域81cを厚み方向から挟むようにして設けられる。
【0221】
第2プラズマリアクタ802は、第1実施形態に係る第2プラズマリアクタ32と同様、一対の電極部(第1電極部32a、および、第2電極部32b)を備える。一対の電極部32a,32bは、仕切り板80cの外周領域82cを厚み方向から挟むようにして設けられる。ここで、外周領域82cは、第1プラズマリアクタ801の第1電極部31aと第2電極部31bにより厚み方向から挟まれる仕切り板80cの中央領域81cを、平面視で全周にわたって取り囲む領域である。
【0222】
第1プラズマリアクタ801と第2プラズマリアクタ802に、共用の仕切り板80cが設けられることで、第1プラズマリアクタ801と第2プラズマリアクタ802との間でアーキングが一層発生しにくくなる。具体的には、第1プラズマリアクタ801の第1電極部31aと第2プラズマリアクタ802の第2電極部32bとの間でアーキングが一層発生しにくくなる。また、第1プラズマリアクタ801の第2電極部31bと第2プラズマリアクタ802の第1電極部32aとの間でアーキングが一層発生しにくくなる。さらに、別々の電源35,36により電力を供給される第1プラズマリアクタ801と第2プラズマリアクタ802との間でアーキングが発生することに起因する電源35,36の故障を、一層防ぐことができる。
【0223】
<4-4.第4変形例>
第2実施形態に係るプラズマ発生部6が備える各プラズマリアクタ61,62は、一対の電極部61a,61b(62a,62b)が、個別の仕切り板61c(62c)を間に挟んで設けられるものとしたが、仕切り板の構成はこれに限られるものではない。
【0224】
例えば、
図24に示されるように、第2実施形態において、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62との間で、仕切り板が共用されてもよい。
図24は、第2実施形態の変形例に係るプラズマリアクタユニット900の構成を模式的に示す側断面図および平面図である。以下においても、第2実施形態と相違しない要素については、同じ符号を付して示すとともに、その説明を省略する。
【0225】
第1プラズマリアクタ901と第2プラズマリアクタ902には、共用の仕切り板90cが設けられる。仕切り板90cは、例えば、平面視にて、処理対象となる基板Wの直径と同程度の(あるいは、これよりも僅かに大きな)直径を有する円形状の平板部材である。仕切り板90cは、例えば、誘電体材料(例えば、石英、セラミックス、など)によって形成される。
【0226】
第1プラズマリアクタ901は、第2実施形態に係る第1プラズマリアクタ61と同様、一対の電極部(第1電極部61a、および、第2電極部61b)を備える。一対の電極部61a,61bは、仕切り板90cの中心を含む内側の内側領域91cを厚み方向から挟むようにして設けられる。
【0227】
第2プラズマリアクタ902は、第2実施形態に係る第2プラズマリアクタ62と同様、一対の電極部(第1電極部62a、および、第2電極部62b)を備える。一対の電極部62a,62bは、仕切り板90cの2つの外側領域92cを厚み方向から挟むようにして設けられる。ここで、2つの外側領域92cは、第1プラズマリアクタ901の第1電極部61aと第2電極部61bにより厚み方向から挟まれる仕切り板90cの内側領域91cを、平面視で挟む領域である。
【0228】
第1プラズマリアクタ901と第2プラズマリアクタ902に、共用の仕切り板90cが設けられることで、第1プラズマリアクタ901と第2プラズマリアクタ902との間でアーキングが一層発生しにくくなる。具体的には、第1プラズマリアクタ901の第1電極部61aと第2プラズマリアクタ902の第2電極部62bとの間でアーキングが一層発生しにくくなる。また、第1プラズマリアクタ901の第2電極部61bと第2プラズマリアクタ902の第1電極部62aとの間でアーキングが一層発生しにくくなる。さらに、別々の電源65,66により電力を供給される第1プラズマリアクタ901と第2プラズマリアクタ902との間でアーキングが発生することに起因する電源65,66の故障を、一層防ぐことができる。
【0229】
<4-5.他の変形例>
上記の各実施形態に係るプラズマ発生部3,6,7が備える各プラズマリアクタ31,32,801,802,61,62,901,902,71,72の構成は、上記に例示したものに限られるものではない。
【0230】
例えば、第2実施形態において、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと第2線状電極611b、第2プラズマリアクタ62の第1線状電極621aと第2線状電極621bの配列の仕方は、適宜変更されてもよい。以下に、
図25~
図27を参照して、第1線状電極611a、第2線状電極611b、第1線状電極621a、および第2線状電極621bの配列の仕方が変更される例を説明する。なお、
図25~
図27においては、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62との間で、仕切り板が共用される場合が示されているが、本変形例はこれに限られない。
【0231】
例えば、
図25に示すように、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第2プラズマリアクタ62の第2線状電極621bとの距離を、十分に大きくしてもよい。具体的には、平面視で、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第2プラズマリアクタ62の第2線状電極621bとの距離k1が、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第1プラズマリアクタ61の第2線状電極611bとの距離k2よりも大きくなるように配列されてもよい。これにより、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62との間で、アーキングが発生することを、一層防止することができる。
【0232】
また、
図26に示すように、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第2プラズマリアクタ62の第2線状電極621bとの距離を十分に大きくすることに加え、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第2プラズマリアクタ62の第1線状電極621aとの距離を小さくしてもよい。具体的には、平面視で、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第2プラズマリアクタ62の第2線状電極621bとの距離k1が、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第1プラズマリアクタ61の第2線状電極611bとの距離k2よりも大きくなるように配列し、かつ、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第2プラズマリアクタ62の第2線状電極621bとの間に、第2プラズマリアクタ62の第1線状電極621aが設けられるように配列されてもよい。これにより、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62との間で、アーキングが発生することを、一層防止することができる。さらに、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62との間にプラズマの隙間が形成されにくくなり、基板Wの面内における処理の均一性が十分に担保される。
【0233】
第2実施形態においては、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと第2プラズマリアクタ62の第1線状電極621aには、同じ位相の電圧が印加されて、同じ極性とされていた。また、第1プラズマリアクタ61の第2線状電極611bと、第2プラズマリアクタ62の第2線状電極621bには、同じ位相の電圧が印加されて、同じ極性とされていた。つまり、第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62の各々が備える一対の電極部61a,61b(62a,62b)のうち、仕切り板61c,62cの同じ側に配置される電極部は、同じ極性とされて、同じ位相の電圧が印加されていた。本変形例においては、
図27に示すように、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第2プラズマリアクタ62の第1線状電極621aには、逆の位相の電圧が印加されて、反対の極性とされてもよい。また、第1プラズマリアクタ61の第2線状電極611bと、第2プラズマリアクタ62の第2線状電極621bには、逆の位相の電圧が印加されて、反対の極性とされてもよい。つまり、第1プラズマリアクタ61および第2プラズマリアクタ62の各々が備える一対の電極部61a,61b(62a,62b)のうち、仕切り板90cに対して互いに逆の側に配置される電極部が、同じ極性とされて、同じ位相の電圧が印加されてもよい。それに加えて、平面視で、第1プラズマリアクタ61の第1線状電極611aと、第2プラズマリアクタ62の第1線状電極621aとの距離k3が、隣り合う第1線状電極611a間の距離k4よりも大きくなるように配列されてもよい。これにより、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62との間で、アーキングが発生することを、一層防止することができる。
【0234】
また例えば、第3実施形態において、第1プラズマリアクタ71と第2プラズマリアクタ72との間で、収容板70cが共用されずに、個別に設けられてもよい。この場合、第1プラズマリアクタ71の収容板は、第1収容部701cおよび第2収容部702cが設けられた、平面視にて円形状の平板部材により実現することができる。また、第2プラズマリアクタ72の収容板は、第3収容部703cおよび第4収容部704cが設けられた、平面視にて円環状の平板部材により実現することができる。
【0235】
また例えば、第2実施形態では、第1プラズマリアクタ61と第2プラズマリアクタ62の境界は、保持部1に保持されている基板Wの法線方向から見て、該基板Wの中心を挟んでその両側に延在する互いに平行な一対の直線であるとしたが、両プラズマリアクタ61,62の境界はこれに限るものではない。例えば、両プラズマリアクタ61,62の境界は、保持部1に保持されている基板Wの法線方向から見て、該基板Wの中心を通らない1個の直線(弦)であってもよい。いうまでもなく、この場合、境界に対して基板Wの中心を含む側に、第1プラズマリアクタ61が配置され、他方側に、第2プラズマリアクタ62が配置される。
【0236】
また例えば、第3実施形態において、各プラズマリアクタ71,72は、一対の電極部71a,71b(72a,72b)の各々が、収容板70cに設けられた各収容部701c~704cに収容されるものとしたが、例えば、各プラズマリアクタ71,72は、一対の電極部71a,71b(72a,72b)が、誘電体材料によって形成される平板な部材(板部材)である仕切り板を間に挟んで設けられるものであってもよい。
【0237】
また、第1実施形態に係る各プラズマリアクタ31,32が備える各電極部31a,31bの形状(具体的には例えば、線状電極311a,311bの本数、線状電極311a,311bの長さ、線状電極311a,311bの配列態様、集合電極312a,312bの形状、など)は、上記に例示したものに限られるものではなく、適宜に変更することができる。他の実施形態および各変形例に係る各プラズマリアクタ801,802,61,62,901,902,71,72においても同様である。
【0238】
また、第3実施形態に係る各プラズマリアクタ71,72において、収容部701c~704cに電極部71a,71b,72a,72bが収容された状態で、各電極部71a,71b,72a,72bと収容板70cにおける基板Wと対向配置される側の主面との間の離間距離が、各電極部71a,71b,72a,72bと収容板70cにおける逆側の主面との間の離間距離よりも小さくなるようにされることが好ましい。このような構成によると、収容板70cにおける基板Wと対向配置される側の主面の近傍におけるプラズマの発生が促進されるとともに、逆側の主面の近傍におけるプラズマの発生が抑制される。したがって、基板Wの処理に寄与するプラズマを効率的に発生させることができる。また、必要なプラズマ発生量を十分に確保しつつ、収容板70cの厚みを大きくすることができるので、収容板70cの強度および剛性を向上させることができる。第1変形例および第2変形例に係る各プラズマリアクタ31’,32’,61’,62’においても同様である。
【0239】
また、各実施形態に係るプラズマ発生部3,6,7は、3個以上のプラズマリアクタを含んで構成されてもよい。具体的には例えば、平面視にて円形状の第1プラズマリアクタと、第1プラズマリアクタの周囲を取り囲むように設けられた平面視にて円環状の第2プラズマリアクタと、第2プラズマリアクタの周囲を取り囲むように設けられた平面視にて円環状の第3プラズマリアクタと、を含んで構成されてもよい。この場合も、各プラズマリアクタに電力を供給する電源を個別に設けるとともに、基板Wの面内において処理速度のばらつきが生じないように、各電源から各プラズマリアクタに供給する電力量を調整することが好ましい。
【0240】
上記の各実施形態に係る各プラズマリアクタ31,32,801,802,61,62,901,902,71,72に電力を供給する態様は、上記に例示したものに限られるものではない。
【0241】
例えば、第1実施形態では、基板Wの面内における外周側の部分A2にプラズマを照射する第2プラズマリアクタ32に供給される電力量が、中央側の部分A1にプラズマを照射する第1プラズマリアクタ31に供給される電力量よりも大きなものとされていたが、この大小関係が逆であってもよい。すなわち、第1プラズマリアクタ31に供給される電力量が、第2プラズマリアクタ32に供給される電力量よりも大きなものとされてもよい。他の実施形態および各変形例に係る各プラズマリアクタ801,802,61,62,901,902,71,72においても同様である。
【0242】
この変形例は、基板Wの面内における中央側の部分A1の処理速度が、外周側の部分A2の処理速度よりも小さくなるような要因が潜在的に存在している場合に、有効である。一例として、基板Wを保持する保持部1が、ベース部11の上面に設けた吸引機構で基板Wの裏面の例えば中心付近を吸着(真空吸着)することによって、基板Wを水平姿勢で保持するものである場合、保持部1に保持された基板Wの中央側の部分A1が、外周側の部分A2に比べて低温となる(ひいては、処理速度が小さくなる)傾向が生じ得る。このような場合、制御部140が、第1プラズマリアクタ31に供給される電力量が、第2プラズマリアクタ32に供給される電力量よりも、大きいものとなるように、各電源35,36を制御すればよい。このような制御がなされることで、基板Wの面内における中央側の部分A1の処理速度が、外周側の部分A2に比べて相対的に大きく促進されることとなり、中央側の部分A1と外周側の部分A2との間の処理速度の差が、各プラズマリアクタ31,32に供給される電力量の差で補填される。これによって、基板Wの面内における処理速度のばらつきが低減され、処理の均一性が向上する。
【0243】
また例えば、第2実施形態においては、制御部140は、仕切り板61c,62cの同じ側に配置される2個の電極部(例えば、第1プラズマリアクタ61の第1電極部61aと第2プラズマリアクタ62の第1電極部62a)に、同じ極性であって、同じ位相の電圧が印加されるように、第1電源65および第2電源66を同期させるものとしたが、このような制御態様は、他の実施形態および変形例に適用されてもよい。例えば、第1実施形態において、制御部140は、仕切り板31c,32cの同じ側に配置される2個の電極部(例えば、第1プラズマリアクタ31の第1電極部31aと第2プラズマリアクタ32の第1電極部32a)に、同じ極性であって、同じ位相の電圧が印加されるように、第1電源35および第2電源36を同期させるものとしてもよい。もっとも、いずれの実施形態およびいずれの変形例においても、このような制御は必須ではない。
【0244】
処理ユニット132の構成やここで行われる処理の流れも、上記の実施形態において例示したものに限られるものではない。
【0245】
例えば、第2実施形態だけでなく、他の実施形態および変形例においても、プラズマ処理が行われる間、回転機構13が、保持部1(ひいてはここに保持されている基板W)を、基板Wの主面と直交する回転軸Qの周りで回転させるものとしてもよい。
【0246】
また、上記の各実施形態においては、各プラズマリアクタ31,32,801,802,61,62,901,902,71,72は、大気圧下でプラズマを発生させるものとしていたが、低圧状態でプラズマを発生させてもよい。すなわち、チャンバ5の内部空間を減圧するためのポンプを設けて、該ポンプでチャンバ5の内部空間を所定の圧力まで減圧した状態で、各プラズマリアクタ31,32,801,802,61,62,901,902,71,72に電圧を印加して、プラズマを発生させてもよい。
【0247】
また、上記の各実施形態において、保持部1は、基板Wの周縁をチャックピン12で把持することによって基板Wを水平姿勢で保持するものであったが、基板Wを保持する方式はこれに限られるものではなく、どのようなものであってもよい。例えば、保持部1は、ベース部11の上面に設けた吸引機構で基板Wの裏面を吸着することによって、基板Wを水平姿勢で保持するものであってもよい。
【0248】
また、上記の各実施形態において、プラズマリアクタユニット30,800,60,900,70を移動させるプラズマリアクタ移動機構34は必須ではなく、プラズマリアクタユニット30,800,60,900,70は固定的に設けられてもよい。この場合、例えば、ベース部11を昇降させる機構を設け、これがベース部11を昇降させることによって、ベース部11上に保持されている基板Wとプラズマリアクタユニット30,800,60,900,70との離間距離を変更すればよい。このような構成においては、ベース部11を昇降させる機構が、プラズマリアクタユニット30,800,60,900,70をプラズマ処理位置と待機位置との間で移動させる移動機構となる。
【0249】
また、上記の各実施形態においては、処理ユニット132では、基板Wに形成されたレジストを除去する処理が行われるものとしたが、処理ユニット132で行われる処理はこれに限られるものではない。例えば、処理ユニット132では、基板W上に存在している有機物(例えば、有機物のパーティクル、有機物の層、有機物の膜)などを除去する処理が行われてもよい。
【0250】
また、上記の各実施形態では、処理液として硫酸が用いられるものとしたが、処理液はこれに限られるものではない。例えば、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸、および、ペルオキソ硫酸塩のうちの少なくとも1つを含む薬液が、処理液として用いられてもよい。また、過酸化水素を含む薬液が処理液として用いられてもよく、例えば硫酸と過酸化水素水との混合液が処理液として用いられてもよい。さらに、プラズマ処理の目的、除去対象物の種類、などによっては、SC1(過酸化水素水とアンモニアとの混合液)、SC2(過酸化水素水と塩酸との混合液)などの薬液(いわゆる、洗浄用薬液)が、処理液として用いられてもよいし、フッ酸、塩酸、リン酸などの薬液(いわゆる、エッチング用薬液)が、処理液として用いられてもよい。
【0251】
基板処理システム100の構成やここで行われる処理の流れは、上記の実施形態において例示したものに限られるものではない。
【0252】
例えば、基板処理システム100に設けられる処理ユニット132の数は、12個でなくともよい。また例えば、基板処理システム100に設けられるロードポート111の数は、3個でなくともよい。
【0253】
また、プログラムPは、記録媒体に記憶されていてもよく、この記録媒体を用いて、制御部140にプログラムPをインストールするものとしてもよい。
【0254】
また、基板処理システム100において処理対象とされる基板Wは、必ずしも半導体基板でなくともよい。例えば、処理対象とされる基板Wは、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、などであってもよい。また、処理対象とされる基板Wの形状およびサイズも、上記に例示したものに限られるものではない。例えば、処理対象とされる基板Wの形状は、平面視にて矩形の板形状であってもよい。
【0255】
以上のように、基板処理装置および基板処理方法は詳細に説明されたが、上記の説明は、全ての局面において例示であって、基板処理装置および基板処理方法がこれ限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記の各実施形態、および、上記の各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0256】
1 保持部
2 液供給部
3,6,7 プラズマ発生部
31,61,71 第1プラズマ照射部(第1プラズマリアクタ)
31a,61a,71a 第1電極部
31b,61b,71b 第2電極部
31c,61c 仕切り板
32,62,72 第2プラズマ照射部(第2プラズマリアクタ)
32a,62a,72a 第1電極部
32b,62b,72b 第2電極部
32c,62c 仕切り板
70c 収容板
33,63 保持部
34 プラズマリアクタ移動機構
35,65,75 第1電力供給部(第1電源)
36,66,76 第2電力供給部(第2電源)
4 ガード部
5 チャンバ
132 基板処理装置(処理ユニット)
100 基板処理システム