(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141843
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】工具マガジン装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/157 20060101AFI20230928BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B23Q3/157 F
B23Q11/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048375
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 睦
【テーマコード(参考)】
3C002
3C011
【Fターム(参考)】
3C002AA05
3C002JJ04
3C002LL12
3C011DD00
(57)【要約】
【課題】 作業性に優れており、装置の小型化も可能な工具マガジン装置を提供する。
【解決手段】 工具入替装置15は、工具マガジンの所定位置に設けられた開口部に設置された固定枠21と、鉛直方向の旋回軸を中心として旋回可能なように固定枠21内に配された旋回枠22と、旋回枠22に固定された入替用工具ラック23とを備えている。旋回枠22は、入替用工具ラック23が工具マガジン内の工具ラックと平行であって工具搬送装置との間で工具Tの受渡しが可能な受渡し可能位置と、入替用工具ラック23が工具マガジンの外側にあって新旧工具Tの入替えが可能な入替え可能位置とに旋回する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具の軸方向に対して直交する方向に並列に工具を収納する工具ラックが複数配置された工具マガジンと、前記工具マガジン内の工具を所要位置に搬送する工具搬送装置と、前記工具マガジン内の旧工具と前記工具マガジン外の新工具とを入れ替える工具入替装置とを備えている工具マガジン装置において、
前記工具入替装置は、前記工具マガジンの所定位置に設けられた開口部に設置された固定枠と、鉛直方向の旋回軸を中心として旋回可能なように前記固定枠内に配された旋回枠と、前記旋回枠に固定された入替用工具ラックとを備えており、
前記旋回枠は、前記入替用工具ラックが前記工具マガジン内の工具ラックと平行であって前記工具搬送装置との間で工具の受渡しが可能な受渡し可能位置と、前記入替用工具ラックが前記工具マガジンの外側にあって新旧工具の入替えが可能な入替え可能位置とに旋回することを特徴とする工具マガジン装置。
【請求項2】
前記旋回枠内を前記工具マガジンの外側から覆う旋回カバーが前記旋回枠と一体で旋回するように設けられていることを特徴とする請求項1の工具マガジン装置。
【請求項3】
制御装置により前記工具搬送装置を前記旋回枠の旋回領域外で停止させることが可能とされているとともに、前記入替え可能位置および前記受渡し可能位置のそれぞれにおいて前記旋回枠のロックおよびロック解除が可能なロックスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1または2の工具マガジン装置。
【請求項4】
前記旋回軸は、前記旋回枠の上下横材の中間位置同士をつなぐように形成されていることを特徴とする請求項1または2の工具マガジン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マシニングセンタなど自動工具交換機能を有する工作機械に設けられて、主軸との間で自動で工具交換を行う工具マガジン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この明細書において、「工具」という用語は、工具単体を意味する場合と、工具ホルダおよびこれに取り付けられた工具単体を合わせて意味する場合とがある。
【0003】
自動工具交換機能を有するマシニングセンタは、主軸と、複数の工具を収納する工具マガジン装置と、主軸と工具マガジン装置との間で工具を交換する自動工具交換装置とを備えており、このようなマシニングセンタで使用される工具マガジン装置として、工具の軸方向に対して直交する方向に並列に工具を収納する工具ラックが複数配置された工具マガジン(多本数工具マガジン)を備えたものが知られている。
【0004】
工具マガジン内の工具については、加工されるワークに合わせて或いは磨耗や破損などに伴い、寿命となった工具等の旧工具と使用予定の新工具とを入れ替える必要がある。したがって、自動工具交換機能を有するマシニングセンタで使用される工具マガジン装置では、通常、自動工具交換装置に加えて、工具交換位置から離れた工具入替え位置において工具マガジン内の工具を入れ替える工具入替装置が設けられている。
【0005】
特許文献1には、こうした工具マガジン装置で使用されている工具入替装置の1例として、第1スライダ、第2スライダおよび第3スライダよりなる移動台と、スライダの移動に伴って開閉する上下の扉とを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多本数工具マガジンを備える工作機械において、長時間無人運転準備のためには、新旧工具の入替作業が必要であり、そのために、工具入替装置が設けられている。工具交換を作業者が行う場合、工具マガジン装置の動作を止め、ドアを開けて工具を交換する必要があり、加工中に工具交換が必要となった場合には、加工の中断が必要な場合があった。
【0008】
工具入替装置に対しては、加工を中断することなく入替作業が行えて、その際の作業性に優れていること、装置の小型化などが求められており、従来のものでは、その点でまだ不十分であった。
【0009】
この発明は、従来の技術の有する上記課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、作業性に優れており、装置の小型化も可能な工具マガジン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の工具マガジン装置は、工具の軸方向に対して直交する方向に並列に工具を収納する工具ラックが複数配置された工具マガジンと、前記工具マガジン内の工具を所要位置に搬送する工具搬送装置と、前記工具マガジン内の旧工具と前記工具マガジン外の新工具とを入れ替える工具入替装置とを備えている工具マガジン装置において、前記工具入替装置は、前記工具マガジンの所定位置に設けられた開口部に設置された固定枠と、鉛直方向の旋回軸を中心として旋回可能なように前記固定枠内に配された旋回枠と、前記旋回枠に固定された入替用工具ラックとを備えており、前記旋回枠は、前記入替用工具ラックが前記工具マガジン内の工具ラックと平行であって前記工具搬送装置との間で工具の受渡しが可能な受渡し可能位置と、前記入替用工具ラックが前記工具マガジンの外側にあって新旧工具の入替えが可能な入替え可能位置とに旋回することを特徴とするものである。
【0011】
工具の軸方向としては、水平方向のものと鉛直方向のものとがあり、これに対応して、工具ラックは、鉛直方向に複数の工具収納部が設けられたものと水平方向に複数の工具収納部が設けられたものとがある。旋回軸は、いずれの場合でも、鉛直方向(上下方向)の軸線を持つものとされる。
【0012】
この発明の工具マガジン装置によると、旋回枠を入替え可能位置に旋回させることによって新旧工具の入替えが可能であり(入替えは、作業者が手動で行ってもよく、旋回装置・ロボットなどを用いた自動で行ってもよい。)、旋回枠を受渡し可能位置に旋回させて工具搬送装置を動作可能とすることによって、複数の新旧工具の入替作業をしながら工具マガジン装置の連続稼働を可能とすることができる。ここで、旋回枠を旋回させることで工具の入替えが可能となることから、作業性に優れており、また、装置の小型化も可能となる。
【0013】
前記旋回枠内を前記工具マガジンの外側から覆う旋回カバーが前記旋回枠と一体で旋回するように設けられていることが好ましい。
【0014】
このようにすると、旋回枠が受渡し可能位置にある場合には、工具マガジン外側にいる作業者に対して、工具マガジン内側に位置している入替用工具ラックが正面側からカバーで覆われていることで作業者の安全が確保され、旋回枠が入替え可能位置にある場合には、工具マガジン外側にいる作業者に対して、工具マガジン外側に位置している入替用工具ラックが背面側からカバーで覆われていることで作業者の安全が確保される。
【0015】
制御装置により前記工具搬送装置を前記旋回枠の旋回領域外で停止させることが可能とされているとともに、前記入替え可能位置および前記受渡し可能位置のそれぞれにおいて前記旋回枠のロックおよびロック解除が可能なロックスイッチが設けられていることがより好ましい。
【0016】
このようにすると、工具搬送装置の動作時には、ロックスイッチにより旋回枠をロックして旋回できないものとすることができ、工具マガジン装置の稼働状態が確保される。工具の入替えに際しては、ロックスイッチを解除することにより手動で旋回枠を旋回でき、入替用工具ラックを工具マガジンの外側に移動させて旧工具を新工具に手動で交換することができる。この後、制御装置により工具搬送装置を旋回枠の旋回領域外で停止するとともに、ロックスイッチを解除し、手動で旋回枠を受渡し可能位置に旋回させることで、工具マガジン装置を稼働状態に戻すことができる。
【0017】
前記旋回軸は、前記旋回枠の上下横材の中間位置同士をつなぐように形成されていることが好ましい。
【0018】
このようにすると、旋回枠の旋回領域を小さいものとでき、工具マガジン装置の設置に必要なスペースを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の工具マガジン装置によれば、旋回枠を旋回させることで工具の入替えが可能となることから、作業性に優れており、また、装置の小型化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の工具マガジン装置が使用されている工作機械の1例を示すマシニングセンタの平面図である。
【
図2】
図1の工具マガジン装置で使用されている工具ラックを示す斜視図である。
【
図3】この発明の工具マガジン装置における工具入替装置のカバーを外した状態を示す斜視図であり、工具マガジン装置稼働時の状態を示している。
【
図4】
図3の状態から旋回枠を旋回させた状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4の状態から旋回枠をさらに旋回させて、工具の入替えが可能となった状態を示す斜視図である。
【
図6】工具入替装置のカバーを示す斜視図であり、工具マガジン装置稼働時の状態を示している。
【
図7】
図6の状態から旋回枠を旋回させて、工具の入替えが可能となった状態のカバーを示す斜視図である。
【
図8】工具入替装置の旋回枠の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、
図1の左右を左右といい、同図の下側を前(正面側)、上側を後(背面側)といい、同図の紙面表側を上、紙面裏側を下というものとする。
【0022】
図1に、この発明による工具マガジン装置が使用されている工作機械の1例である自動工具交換機能を有する横形マシニングセンタ(1)を示している。
【0023】
マシニングセンタ(1)は、加工室(2)内に移動自在に配された主軸(3)と、複数の工具(T)を収納する工具マガジン装置(4)と、主軸(3)と工具マガジン装置(4)との間で工具(T)の交換を行う自動工具交換装置(5)とを備えている。
【0024】
工具マガジン装置(4)は、長さや径が異なるなどの種々の工具(T)を保持する複数の工具ラック(12)が配置された工具マガジン(11)と、工具ラック(12)に保持された工具(T)を所要位置に搬送する工具搬送装置(13)と、自動工具交換装置(5)との間で工具(T)を交換するマガジン内工具交換装置(14)と、工具マガジン(11)内にある寿命となった工具や折損した工具等の旧工具(T)と工具マガジン(11)外に準備されている使用予定の新工具(T)とを入れ替えるための工具入替装置(15)とを備えている。
【0025】
工具ラック(12)は、この実施形態では、
図2に示すように、工具収納部(12a)が上下方向に並列に設けられており、左右方向(工具(T)の軸方向)に対して直交する上下方向(鉛直方向)に並列に工具(T)を収納するようになされている。工具ラック(12)は、前側にあって工具収納部(12a)の開口を後方に向けているものと、これとは反対に後側にあって工具収納部(12a)の開口を前方に向けているものとの2列に配置されている。
【0026】
工具搬送装置(13)は、詳細な図示は省略するが、2列の工具ラック(12)の間(工具(T)が二点鎖線で示されている位置)を左右方向に移動するとともに、工具ラック(12)に沿って上下方向に移動して工具(T)を搬送し、所要の工具ラック(12)の所要の工具収納部(12a)に収納されていた工具(T)をマガジン内工具交換装置(14)まで搬送したり、旧工具(T)をマガジン内工具交換装置(14)から工具入替装置(15)まで搬送したりすることができる。
【0027】
マガジン内工具交換装置(14)は、工具搬送装置(13)から工具(T)を受け取って次に使用する工具(T)として自動工具交換装置(5)に受け渡したり、旧工具(T)を自動工具交換装置(5)から受け取って工具搬送装置(13)に受け渡したりすることができる。
【0028】
工具入替装置(15)は、
図1に示した工具マガジン(11)の前方左側(これに限定されない適宜な位置)に設けられた方形の開口部に設けられており、作業者は、この工具入替装置(15)によって、Aの位置(工具マガジン(11)内)にある実線で示す旧工具(T)を二点鎖線で示すBの位置(工具マガジン(11)外)に移動させ、この旧工具(T)を新工具(T)に変更した後、この新工具(T)をAの位置(工具マガジン(11)内)に移動させることで、新旧工具(T)の入替えを行うことができる。
【0029】
工具入替装置(15)は、
図3から
図7までに示すように、工具マガジン(11)に設けられた方形の開口部に嵌められた方形の固定枠(21)と、鉛直方向の旋回軸を中心として旋回可能なように固定枠(21)内に配された方形の旋回枠(22)と、旋回枠(22)に固定された入替用工具ラック(23)と、カバー(24)(25)とを備えている。
【0030】
旋回枠(22)は、固定枠(21)の上下横材(21a)(21b)のほぼ中央と旋回枠(22)の上下横材(22a)(22b)のほぼ中央との間にそれぞれ設けられた上下軸受(26)(27)を介して上下方向(鉛直方向)の軸線回りに旋回可能に固定枠(21)に支持されており、鉛直方向の旋回軸を中心として旋回する。旋回枠(22)は、作業者が手動で旋回させることができる。
【0031】
固定枠(21)の上下横材(21a)(21b)の左右の下面には、固定枠(21)に対する旋回枠(22)の旋回をロックおよびロック解除を可能とするロックスイッチ(28)(29)が設けられている。
【0032】
図3には、
図1のAに示されている状態の工具入替装置(15)がカバー(24)(25)を外した状態で示されている。この状態では、入替用工具ラック(23)は、工具マガジン(11)内の他の工具ラック(12)と平行になっており、入替用工具ラック(23)に収納されている工具(T)を工具搬送装置(13)によって搬送することができる。
【0033】
図5には、
図1のBに示されている状態の工具入替装置(15)がカバー(24)(25)を外した状態で示されている。この状態は、
図3に示した状態から旋回枠(22)を180°旋回させたものであり、入替用工具ラック(23)が工具マガジン(11)の外側を向いており、これにより、工具(T)の入替えが可能となっている。
【0034】
図4には、
図3の状態から旋回枠(22)を120°程度旋回させた状態、すなわち、
図3の状態から
図5の状態となる途中の状態が示されている。
【0035】
図6には、
図3の状態におけるカバー(24)(25)が示されている。カバー(24)(25)は、旋回枠(22)に固定されて旋回枠(22)と一体で旋回する方形状の旋回カバー(24)と、旋回カバー(24)の回りを囲むように固定枠(21)に固定された方形枠状の固定カバー(25)とからなる。
【0036】
旋回カバー(24)には、方形の窓(24a)と取っ手部(取っ手をつかむために手を差し入れる開口を含む)(24b)とが設けられている。
【0037】
図1のAに示されている状態の工具入替装置(15)においては、
図6に示されているように、固定枠(21)および旋回枠(22)は、固定カバー(25)および旋回カバー(24)で覆われており、窓(24a)から工具マガジン(11)内にある入替用工具ラック(23)およびこれに収納されている工具(T)を確認することができる。
【0038】
図7には、
図5の状態におけるカバー(24)(25)が示されている。すなわち、旋回カバー(24)が旋回枠(22)と一体で旋回して背面側に移動し、旋回枠(22)に固定されている入替用工具ラック(23)が正面側に移動している。
【0039】
図7に示されているように、旋回枠(22)の背面側には、入替用工具ラック(23)の上下端部を支持する上下横材(30a)(30b)と入替用工具ラック(23)に対向するように上下横材(30a)(30b)を連結する縦材(30c)とからなるコの字状の補強枠(30)が固定されている。
【0040】
図1のBに示されている状態の工具入替装置(15)においては、
図7に示されているように、入替用工具ラック(23)に対して正面側から作業を行うに際して、旋回カバー(24)が背面側から旋回枠(22)を覆っていることで、作業空間の安全が確保されており、また、窓(24a)から工具マガジン(11)内にある入替用工具ラック(23)およびこれに収納されている工具(T)を確認することもできるようになっている。
【0041】
上記実施形態の工具マガジン装置(4)によると、工具入替装置(15)が
図3に示した状態(
図1のAの位置)にあるときには、ロックスイッチ(28)がオンとされて旋回枠(22)がロックされ、工具搬送装置(13)は、工具マガジン(11)内の工具ラック(12)および入替用工具ラック(23)とマガジン内工具交換装置(14)との間を自由に移動して、所要の工具(T)を所要の位置に搬送する。
【0042】
そして、新旧工具(T)の入替えが必要になったときには、作業者は、まず、工具搬送装置(13)を旋回枠(22)の旋回領域外に停止させ、この状態で、ロックスイッチ(28)をオフとして旋回枠(22)を旋回可能とし、
図4の状態を経て
図5に示した状態(
図1のBの位置)となるまでこれを旋回させる。この状態で、ロックスイッチ(29)をオンとすることによって旋回枠(22)はロックされ、これによって、工具搬送装置(13)は、入替用工具ラック(23)以外の工具マガジン(11)内の工具ラック(12)とマガジン内工具交換装置(14)との間を自由に移動して所要の工具(T)を所要の位置に搬送することができ、工具マガジン装置(4)の稼働状態が確保される。
【0043】
工具入替装置(15)が
図5に示した状態にあるとき、作業者は、旧工具(T)を入替用工具ラック(23)から取り出して、新工具(T)を入替用工具ラック(23)に収納することで、新旧工具(T)の入替えを容易に行うことができる。
【0044】
これで入替作業が終了するので、作業者は、先に、工具搬送装置(13)を旋回枠(22)の旋回領域外に停止させ(入替作業中にも工具搬送装置(13)は工具(T)を搬送しているため、このステップは常に実施する必要がある)、この状態で、ロックスイッチ(29)をオフとして旋回枠(22)を旋回可能とし、これを180°逆方向に旋回させて
図4の状態を経て
図3の状態へと戻す。そして、ロックスイッチ(28)をオンとすることによって旋回枠(22)はロックされ、これによって、工具マガジン装置(4)は、工具搬送装置(13)が工具マガジン(11)内の工具ラック(12)および入替用工具ラック(23)とマガジン内工具交換装置(14)との間を自由に移動できる稼働状態に復帰する。
【0045】
上記の実施形態では、工具(T)の軸方向が水平方向にある工具マガジン装置(4)を示したが、上記の工具マガジン装置(4)は、工具(T)の軸方向が鉛直方向にあるものにも適用可能であり、この場合の工具入替装置(31)は、
図8に示すように、上記の実施形態のものと同様に、工具マガジンに設けられた方形の開口部に嵌められた方形の固定枠(図示略)と、鉛直方向の旋回軸を中心として旋回可能なように固定枠内に配された方形の旋回枠(32)と、旋回枠(32)に固定された入替用工具ラック(33)と、カバー(図示略)とを備え、旋回枠(32)は、その上下横材(32a)(32b)の中央部が軸受を介して上下方向(鉛直方向)の軸線回りに旋回可能に固定枠に支持されて、鉛直方向の旋回軸を中心として旋回するものとされる。
【0046】
そして、上記の実施形態との相違点として、入替用工具ラック(33)は、工具収納部(33a)が左右方向に並列に設けられており(工具マガジンの他の工具ラックについても工具収納部(33a)が左右方向に並列に設けられている)、上下方向(工具(T)の軸方向)に対して直交する左右方向に並列に工具(T)を収納するようになされている。
【0047】
なお、工具入替装置(15)(31)を使用した新旧工具(T)の入替えに際しては、旋回枠(22)(32)の旋回操作を含めて作業者が手動で行うことができるが、これに代えて、旋回装置・ロボットなどを使用して自動で行うこともできる。
【符号の説明】
【0048】
(4):工具マガジン装置
(11):工具マガジン
(12):工具ラック
(12a):工具収納部
(13):工具搬送装置
(14):マガジン内工具交換装置
(15):工具入替装置
(21):固定枠
(21a)(21b):上下横材
(22):旋回枠
(22a)(22b):上下横材
(23):入替用工具ラック
(24):旋回カバー
(25):固定カバー
(26)(27):軸受
(28)(29):ロックスイッチ
(T):工具
(31):工具入替装置
(32):旋回枠
(33):入替用工具ラック