(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141851
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】電気機械変換器
(51)【国際特許分類】
H04R 11/02 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H04R11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048387
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000115636
【氏名又は名称】リオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 行志
【テーマコード(参考)】
5D021
【Fターム(参考)】
5D021AA04
5D021AA11
(57)【要約】
【課題】アーマチュアの構造部に対する意図しない運動を抑制する技術の提供。
【解決手段】電気機械変換器100は、1対のヨーク110、4対の磁石120、4つのコイル130等が一体的に配置された構造部と、その内部空間を貫くアーマチュア140と、構造部とアーマチュア140との間に配置される1対のバネ150等で構成される。コイル130に交流電流を流すと、アーマチュア140は磁気力とバネ150の復元力とを受けて、構造部に対し上下に交互に変位して振動し、構造部との間に駆動力を発生する。この駆動力は、上下で対をなす4対の磁石120とアーマチュア140とが対向する4か所に作用するため、磁石が2対配置されてこれらの磁石とアーマチュアとが対向する2か所に駆動力が作用する従来構造における場合よりも、アーマチュアの上下の面に垂直な方向への並進運動を安定させて、アーマチュアと構造部との間での意図しない運動を抑制できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、2を超える数の対をなす磁石と前記磁石による磁束を導くヨークとが一体的に配置されて内部に貫通可能な空間を有した構造部と、
空芯のコイルと、
前記構造部の内部空間を貫通し、中央部から外方に突出した複数の腕部が前記対をなす磁石に空隙をおいて挟まれたアーマチュアと、
前記アーマチュアを挟んで対をなし、各々が前記構造部と前記アーマチュアとに接合した弾性部材と
を備えた電気機械変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機械変換器において、
前記磁石は、
偶数の対をなしており、隣接する対の磁化の向きが相互に逆向きになるように配置されていることを特徴とする電気機械変換器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気機械変換器において、
前記弾性部材は、
前記中央部を挟んで1対配置されていることを特徴とする電気機械変換器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電気機械変換器において、
前記弾性部材は、
複数対配置されており、各対が前記複数の腕部を1つずつ挟んで配置されていることを特徴とする電気機械変換器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の電気機械変換器において、
前記コイルは、
前記構造部と一体的に複数個配置されていることを特徴とする電気機械変換器。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の電気機械変換器において、
前記コイルは、
複数個配置されており、各コイルはその空芯部を貫通した前記腕部に固定されていることを特徴とする電気機械変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号を機械振動に変換する電気機械変換器に関し、特に、いわゆるバランスドアーマチュア型の電気機械変換器のうち、アーマチュアに接合するバネの復元力を利用する構造を有した電気機械変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気機械変換器においては、板バネの復元力を利用していた。例えば、ヨーク、磁石、コイルが一体的に配置された構造部とアーマチュアとの間に1対の板バネが配置されたもの(特許文献1,2を参照。)や、2対の板バネが配置されたもの(特許文献3を参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-179948号公報
【特許文献2】特開2018-186378号公報
【特許文献3】特開2015-139041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した各先行技術においては、略矩形形状をなすアーマチュアが2か所でそれぞれ対をなす2対の磁石に空隙を置いて挟まれており、これら2か所でアーマチュアの面に垂直な方向の駆動力が発生し、これに伴ってアーマチュアは構造部に対して(アーマチュアと構造部とが相対的に)、アーマチュアの面に垂直な方向に変位する。この方向への並進的な変位が意図した運動であるが、実際には、アーマチュアの面に平行な2つの軸回りの回転運動等の意図しない運動も発生しうる。そして、特に大きな出力を要する場合には、意図しない運動が無視できなくなる。
【0005】
本発明は、これらの課題を鑑みてなされたものであり、アーマチュアの構造部に対する意図しない運動を抑制する技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の電気機械変換器を採用する。なお、以下の括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
本発明の電気機械変換器は、少なくとも、2を超える数の対をなす磁石と磁石による磁束を導くヨークとが一体的に配置されて内部に貫通可能な空間を有した構造部と、空芯のコイルと、構造部の内部空間を貫通し、中央部から外方に突出した複数の腕部が対をなす磁石に空隙をおいて挟まれたアーマチュアと、アーマチュアを挟んで対をなし、各々が構造部とアーマチュアとに接合した弾性部材とを備えている。
【0008】
この態様の電気機械変換器においては、2を超える数の対をなす磁石がアーマチュアの複数の腕部を挟むように配置されるとともに、対をなす弾性部材(例えば、コイルバネや板バネ)がアーマチュアを挟んで配置されるため、コイルに交流電流を流すと、アーマチュアは磁気力と弾性部材の復元力を受けて構造部に対して振動し、アーマチュアと構造部との間に生じる駆動力が2を超える複数の箇所に作用する。
【0009】
したがって、この態様の電気機械変換器によれば、磁石が2対配置されて駆動力が2か所に作用する従来構造と比較して、アーマチュアの面に垂直な方向への並進運動を安定させることができ、アーマチュアの構造部に対する運動方向のブレ(変動)を低減することができ、質の良い振動を発生させることができる。
【0010】
好ましくは、上記の電気機械変換器において、磁石は、偶数の対をなしており、隣接する対の磁化の向きが相互に逆向きになるように配置されている。
【0011】
この態様の電気機械変換器によれば、磁石は2を超える偶数の対、すなわち4以上の偶数の対をなしており、隣接する対の磁石の磁化の向きが相互に逆向きになるように配置されているため、効率のよい最短の磁路を形成することができるとともに、アーマチュアを構造部に対してバランスよく運動させることができる。
【0012】
より好ましくは、上記の電気機械変換器において、弾性部材は、中央部を挟んで1対配置されている。
【0013】
この態様の電気機械変換器によれば、弾性部材が1対だけ配置されるため、電気機械変換器の構成部品の数を最小限にすることができ、製造コストを抑制することができる。
【0014】
或いは、上記の電気機械変換器において、弾性部材は、複数対配置されており、各対が複数の腕部を1つずつ挟んで配置されている。
【0015】
この態様の電気機械変換器によれば、弾性部材が複数対配置されるため、アーマチュアの構造部に対する変位に対し複数の箇所で復元力を与えることができ、運動方向をより安定して制御することができる。また複数の弾性部材により目標のスティフネスを得るようにすればよいので、設計の自由度が増す。
【0016】
さらに好ましくは、上記の電気機械変換器において、コイルは、構造部と一体的に複数個配置されている。
【0017】
この態様の電気機械変換器によれば、コイルが構造部と一体的に配置されているため、構造部に対して変位する側(以下、「アーマチュア側」と称する。)の質量を最小限に抑えることができ、振動の高周波数域での出力特性をより大きくすることができる。
【0018】
或いは、上記の電気機械変換器において、コイルは、複数個配置されており、各コイルがその空芯部を貫通した腕部に固定されている。
【0019】
この態様の電気機械変換器によれば、複数の各コイルがその空芯部を貫通したアーマチュアの腕部に固定されており、コイルとアーマチュアとの間に空隙がないため、コイルの巻数に対する抵抗成分を小さく抑制することができ、コイルとアーマチュアとの間に空隙がある場合よりも駆動力の発生効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、アーマチュアの構造部に対する意図しない運動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態の電気機械変換器100を示す斜視図である。
【
図4】電気機械変換器100の断面図(
図1中のIV-IV線に沿う断面図)である。
【
図5】電気機械変換器100における磁気回路の等価回路を示す図である。
【
図6】第1実施形態の変形例としての電気機械変換器200を示す斜視図である。
【
図7】第2実施形態の電気機械変換器300を示す斜視図である。
【
図9】第3実施形態の電気機械変換器400を示す斜視図である。
【
図10】電気機械変換器400を一部の部品を取り除いて示す平面図である。
【
図11】第4実施形態の電気機械変換器500を示す図である。
【
図13】電気機械変換器400を用いたバイブレータ600を示す図である。
【
図14】電気機械変換器100を用いたスピーカユニット700を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施形態は好ましい例示であり、本発明はこの例示に限定されるものではない。また、説明の便宜のため、構造に関する方向を各図面の紙面上の方向に沿って、上、下、左、右として示す場合がある。
【0023】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の電気機械変換器100を示す斜視図である。
電気機械変換器100は、上下に略対称な構造を有しており、1対(2つ)のヨーク110と、1対のヨーク110の内側に固定される4対(8つ)の磁石120と、1対のヨーク110の内側かつ4対の各磁石に近接する位置に固定される4つの空芯のコイル130と、1対のヨーク110の外側に固定される1対(2つ)の押さえ板160等で一体的に構成された構造部と、構造部の内部空間を貫いて配置されるアーマチュア140と、構造部とアーマチュア140との間に配置される1対(2つ)のコイルバネ150等からなる。
【0024】
図2は、アーマチュア140を示す平面図である。
アーマチュア140は、略十字形の平板形状をなしており、十字の縦横が交差した中央部140aと、中央部140aから四方に延びた4つの腕部140bと、中央部140aの中心部に穿孔された貫通孔140cと、各腕部140bの端部から幅を狭めて外方に突き出た4つの突出部140dとを有している。
【0025】
図3は、電気機械変換器100の分解斜視図である。
ヨーク110は、環状の形状をなしており、中心部にコイルバネ150の外径より大きい略円形の貫通孔を有している。各ヨーク110のアーマチュア140側の面、すなわち電気機械変換器100の完成状態における内側(以下、完成状態における内側又は外側を、単に「内側」又は「外側」と称する場合がある。)の面に対しては、それぞれの中心軸について略4回対称な位置に4つの磁石120が接着剤で固定される。また、各ヨーク110の外側の面に対しては、貫通孔より大きい径を有した略円板状の押さえ板160が貫通孔を塞ぐようにして同軸上に配置され、レーザー溶接等で固定される。
【0026】
アーマチュア140に対しては、先ず貫通孔140cにブッシュ142が配置される。ブッシュ142は、その軸がアーマチュア140の上下の各面と垂直になるように配置され、接着剤又はレーザー溶接等で固定される。ブッシュ142には、樹脂製の滑りブッシュやボール循環型のリニアブッシュを用いることができる。ブッシュ142の内周側にはシャフト144が通され、外周側には上下の両側から1つずつコイルバネ150が配置される。また、4つの腕部140bがそれぞれコイル130の空芯部を貫通する。
【0027】
4つのコイル130は、各ヨーク110の内側の面に対して磁石120より中心側の位置に接着剤で固定される。1対の押さえ板160は、その中心部にてシャフト144を挟み込み、外側からボルト162でシャフト144の各端部のネジ穴に締結され固定される。各コイルバネ150は、その自由長よりも圧縮された状態で、一端側がアーマチュアの中央部140aに接合し、他端側が押さえ板160に接合する。
【0028】
電気機械変換器100においては、アーマチュア140、ブッシュ142、コイルバネ150を除いた部品が一体的に構成されて構造部をなしており、そのように構成された構造部が内部に有する空間(内部空間)を貫通してアーマチュア140が配置されており、アーマチュア140が構造部に対して相対的に変位可能である。また、構造部に対するアーマチュア140の運動は、シャフト144とブッシュ142との間に生じうるガタつきを無視すれば、コイルバネ150のたわみ量の変化を伴うシャフト144の軸方向の運動及び軸回りの運動に限られる。
【0029】
図4は、電気機械変換器100の垂直断面図(
図1中のIV-IV線に沿う断面図)である。
図4に示されるように、電気機械変換器100においては、1対の押さえ板160間の距離がシャフト144の長さで決定され、これにより、
図4の左右に図示された2対の各磁石120間の空隙距離D
1,D
2が略同一となる。なお、
図4においては、図示された2対の磁石における空隙距離が示されているが、図示されていない他の2対の磁石についても同様であり、4か所の空隙距離が全て略同一となる。
【0030】
4対の磁石120は、2対を上向きに磁化しつつ他の2対を下向きに磁化させる必要があるが、磁路は短い方がよいため、通常は隣接する対の磁化の向きが相互に逆向きになるように磁化させる。また、4つのコイル130は、電気的に直列接続又は並列接続され、ある向きの電流を流したときに発生する磁気力が4か所の空隙(4対の各磁石120間の空隙)で同じ向きになるように接続される。各コイル130は、アーマチュア140が上下に変位してもアーマチュア140と接触しない程度の空隙を有している。また、ヨーク110、磁石120、コイル130及びアーマチュア140と磁石120との間の空隙180は、この変換器の磁気回路を構成する。
【0031】
図5は、電気機械変換器100における磁気回路の等価回路を示す図である。
図5中の「Fm」は、磁石120による起磁力を示しており、「Fc」は、コイル130に電流が流れたときの起磁力を示しており、「Rg」は、磁石120とアーマチュア140との間の空隙における磁気抵抗を示しており、「Ra」は、アーマチュア140の各部における磁気抵抗を示している。また、
図5中の太矢印は、磁石120の磁化の向きを示しており、実線矢印は、対をなす磁石120が作る空隙磁路における磁束の向きを示しており、破線矢印は、コイル130にある向きの電流が流れたときにコイルが作る磁束の向きを示している。なお、
図5に示した等価回路においては、ヨークの磁気抵抗や漏洩磁路等を無視している。
【0032】
図示された磁気回路においては、磁石120は隣接する対の磁化の向きが相互に逆向きになるように磁化され(太矢印の向き)、4か所の空隙(アーマチュア140を挟んで対をなす各磁石間の空隙を1か所とした)を貫通するこれらの磁石が作る磁束は、実線矢印の向きに流れる。電気入力端子にある向きの電流を流したとき、各コイル130が作る磁束が破線矢印の向きに発生したとすると、
図5中の上側に示されたRgを貫通する磁束においては、磁石120が作る磁束の向き(実線矢印の向き)とコイル130が作る磁束の向き(破線矢印の向き)とが4か所とも同じになる一方、下側に示されたRgを貫通する磁束においては、これらが4か所とも逆になる。その結果、上側の空隙においては磁束が増える一方、下側の空隙においては磁束が減るため、アーマチュア140に対して上向きの磁気力が発生し、アーマチュア140は構造部に対して上側に変位する。また、電気入力端子に逆向きの電流を流したときは、アーマチュア140に対して下向きの磁気力が発生し、アーマチュア140は構造部に対して下側に変位する。
【0033】
アーマチュア140と構造部との間に配置される2つのコイルバネ150は、アーマチュア140と構造部との間での相対的な変位に対する復元力を発生し、アーマチュア140が構造部に対して変位したとき、コイルバネ150の力は変位を戻す方向に作用する。静的には、電気入力によりアーマチュア140と構造部との間に作用する磁気力とコイルバネ150による復元力とがつり合う位置まで、アーマチュア140が構造部に対して変位する。コイル130に交流電流を流せば、アーマチュア140は構造部に対し交互に変位して振動する。
【0034】
アーマチュア140と構造部との間で生じる駆動力は、4対の磁石120とアーマチュア140とが対向する4か所、言い換えるとアーマチュア140の中心軸について略4回対称な位置に作用する。したがって、本実施形態の構造によれば、2対の磁石を有し、駆動力が2か所に作用する上記の特許文献1-3の構造(以下、「従来構造」と称する。)における場合よりも、アーマチュアの上下の面に垂直な方向への並進運動を安定させることができる。
【0035】
ヨーク110及びアーマチュア140は、磁気回路の一部をなすため、例えば電磁純鉄又は3%ケイ素鋼等の軟磁性材料で形成される。また、例えば、磁石120にはネオジム磁石が使用され、コイル130には自己融着銅線が使用され、シャフト144には黄銅又はステンレス鋼が使用され、バネ150にはバネ用ステンレス鋼(SUS301等)が使用され、押さえ板160にはステンレス鋼が使用される。なお、シャフト144及び押さえ板160には、非磁性の材料を使用することが望ましい。また、ブッシュ142についても、非磁性の材料を使用することが望ましいが、磁石120からある程度離れた位置に配置される場合には磁性材料を用いても構わない。本実施形態においては、2つのヨーク110、8つの磁石120、4つのコイル130、2つのバネ150、2つの押さえ板160は、それぞれ同じ形状・材質であるが、異なる形状・材質であっても原理的には可能である。
【0036】
コイルバネ150の復元力は、磁気力より大きくする必要がある。コイルバネ150のスティフネス(バネ定数)が大きくなると、必要な変位量を確保するためにはその長さも長くなる。このように設計されたコイルバネ150をアーマチュア140と押さえ板160との間に配置するには、両者間の距離が短すぎる場合もある。そのような場合には、押さえ板160の形状を、コイルバネ150を収容する空間(長さ)を大きく確保できるように成形して対応することが可能である。
【0037】
〔第1実施形態の変形例〕
図6は、第1実施形態の変形例としての電気機械変換器200を示している。このうち(A)は、電気機械変換器200を示す斜視図であり、(B)は、その内部構造を視認可能とするために一部の部品を取り除いて示す斜視図である。
【0038】
図6中(A):電気機械変換器200を示す斜視図である。電気機械変換器200は、外観上は第1実施形態の電気機械変換器100(
図1)とほとんど差異がないが、コイルバネに代えて板バネが配置されている点、及び、押さえ板が板バネを配置し易い形状に形成されている点において、電気機械変換器100と異なっている。なお、電気機械変換器200を構成する板バネ250及び押さえ板260以外の部品は、電気機械変換器100と同じである。電気機械変換器100における1対(2つ)のコイルバネ150と同様に、電気機械変換器200においては、1対(2つ)の板バネ250がアーマチュア140と1対(2つ)の押さえ板160との間に挟み込んで配置される。
【0039】
図6中(B):電気機械変換器200の内部構造を視認可能とするために、その一部の部品、具体的には、上側の押さえ板260及びヨーク210、アーマチュア140が有する手前側の2つの腕部周辺に配置された磁石120及びコイル130を取り除いて示す斜視図である。板バネ250は、ブッシュ142が貫通する孔が中心部に穿孔された底板部250aと、底板部250aの外周上の4か所から略同一の幅で押さえ板260に向かって弧を描くように延びた曲板部250bと、各曲板部250bの先端部に穿孔された孔250cとを有しており、全体として4片の花びら状の形状をなしている。また、各押さえ板260の内側の面には、4つの孔250cに対応して、これらの位置決め用に4つの突起260aが設けられている。板バネ250は、底板部250aの貫通孔にブッシュ142を通して配置されて底板部250aがアーマチュア140に接合するとともに、4つの孔250cにそれぞれ突起260aが挿入されて、曲板部250bがたわんだ状態で押さえ板260に接合する。
【0040】
続いて、他の様々な実施形態の電気機械変換器について説明する。他の実施形態の電気機械変換器はいずれも、上下に略対称な構造を有しており、ヨーク、磁石、空芯のコイル等で一体的に構成された構造部の内部空間を貫いてアーマチュアが配置され、構造部とアーマチュアとの間にコイルバネが配置される点や、アーマチュアが上下に変位する原理等においては、第1実施形態の電気機械変換器100と共通するが、コイルバネや磁石の個数(対の数)が電気機械変換器100とは特に異なっている。
【0041】
以下の説明においては、第1実施形態と共通する点についての説明を適宜省略する。また、他の実施形態の構成部品のうち、第1実施形態の構成部品と同等のものについては、その符号の下2桁以下を第1実施形態の構成部品と同じ値で表すこととする。例えば、ヨークは下2桁が「10」の符号で表され、アーマチュアは下2桁が「40」の符号で表され、アーマチュアが有する各腕部(特殊なものを除く)は下2桁以下が「40b」の符号で表される。
【0042】
〔第2実施形態〕
図7は、第2実施形態の電気機械変換器300を示す斜視図である。また、
図8は、電気機械変換器300の分解斜視図である。
【0043】
電気機械変換器300は、コイルバネが配置される位置やコイルバネが4対(8つ)配置される点において、第1実施形態の電気機械変換器100(
図1)と特に異なっている。また、これらの相違点に関連して、ヨーク、アーマチュア、押さえ板等の構成部品も形状が異なっている。
【0044】
ヨーク310は、略十字形の形状をなしている。各ヨーク310の十字をなす縦横の各端部における内側の面に対しては、4つの磁石320が接着剤で固定される。また、各ヨーク310の外側の面に対しては、略十字形の平板形状をなした押さえ板360がレーザー溶接等で固定される。
【0045】
アーマチュア340もまた、略十字形の平板形状をなしている。アーマチュア340は、中央部から四方に延びた4つの腕部340bと、各腕部340bの端部から幅を少し狭めてさらに外方に延びた4つの突出部340dと、各突出部340dに穿孔された貫通孔340cとを有している。各腕部340bの中央部寄りの位置を取り囲むようにしてコイル330が1つずつ配置された後に、各貫通孔340cにブッシュ342が1つずつ配置され、接着剤又はレーザー溶接等で固定される。各ブッシュ342の内周側にはシャフト344が通され、外周側には上下の両側から1つずつコイルバネ350が配置される。
【0046】
4つのコイル330は、各ヨーク310の内側の面に対して磁石320より中心側の位置に接着剤で固定される。1対の押さえ板360は、4つの端部で4本のシャフト144を挟み込み、外側からボルト362でシャフト344の各端部のネジ穴に締結され固定される。各コイルバネ350は、その自由長よりも圧縮された状態で、一端側がアーマチュアの突出部340dに接合し、他端側が押さえ板360に接合する。
【0047】
このような構造により、電気機械変換器300の構造部においては、1対の押さえ板360間の距離がシャフト344の長さで決定され、これにより、4対の各磁石320間の空隙距離が略同一となる。なお、電気機械変換器300における、4対の磁石の磁化の態様や4つのコイルの接続態様、アーマチュア340の構造部に対する相対的な変位の態様は、第1実施形態の電気機械変換器100と同様である。
【0048】
〔第3実施形態〕
図9は、第3実施形態の電気機械変換器400を示す斜視図である。また、
図10は、電気機械変換器400の内部構造を視認可能とするために、上側のヨーク410及びこれより上に配置された部品を取り除いて示す平面図である。
【0049】
第1実施形態の電気機械変換器100(
図1)においては、磁石が4対(8個)、コイルが4個配置され、コイルがヨークに固定されていたのに対し、電気機械変換器400においては、磁石が6対(12個)、コイルが6個配置され、コイルがアーマチュアに固定されている。また、これらの相違点に関連して、アーマチュアの形状や磁石の大きさ等も第1実施形態と異なっている。
【0050】
アーマチュア440は、中央部から放射状に突出した6つの腕部440bと、各腕部440bの端部から幅を狭めてさらに外方に突き出た6つの突出部440dとを有した、略星形の平板形状をなしている。また、
図10では視認できないが、アーマチュア440の中央部には貫通孔が穿孔されており、ここにブッシュ442が挿入されて接着剤又はレーザー溶接等で固定される。また、6つの腕部440bの中央部寄りの位置には、6つのコイル430が接着剤で固定され、アーマチュア440の中央部のいずれかの面(図示の例においては上面)には、端子板470が接着剤で固定され、端子板470には各コイル430の巻き始め側及び巻き終わり側の2つのリード線がはんだ付けされる。そして、端子板470の2つの電気入力端子にそれぞれリード線472がはんだ付けされ、リード線472を通して外部から電気信号を入力できるよう構成される。
【0051】
ヨーク410及び押さえ板460は、第1実施形態のヨーク110及び押さえ板160と同様の形状を有しており(
図3参照)、各ヨーク410の内側の面に対しては、それぞれの中心軸について略6回対称な位置に6個の磁石420が接着剤で固定され、外側の面に対しては、押さえ板460が同軸上に配置されてレーザー溶接等で固定される。
【0052】
そして、アーマチュア440に固定されたブッシュ442には、その内周側にシャフト444が通され、外周側に上下の両側から1つずつコイルバネ450が配置される。この状態で、1対の押さえ板460が、その中心部にてシャフト444を挟み込み、外側からボルトでシャフト444の各端部に締結され固定される。このような構造により、電気機械変換器400の構造部においては、6対の各磁石420間の空隙距離が略同一となる。
【0053】
第1実施形態の電気機械変換器100においては、コイル130が構造部側に固定されているため、アーマチュア140がシャフト144の軸回りに大きく回転することはない。これに対し、第3実施形態の電気機械変換器400においては、コイル430がアーマチュア440に固定されており、その分だけアーマチュア440と一体的に構成された部位の質量が大きいため、電気信号が入力されない状態では、アーマチュア440がシャフト444の軸回りに大きく回転する可能性があり、最悪の場合リード線を切断する虞がある。そこで、電気機械変換器400においては、構造部とアーマチュア440との間での回転を規制するストッパーが設けられている(
図10には図示されていない)。
【0054】
電気機械変換器400においては、アーマチュア440と構造部との間で生じる駆動力が、6対の磁石420とアーマチュア440とが対向する6か所、言い換えるとアーマチュア440の中心軸について略6回対称な位置に作用するため、磁石が2対配置されて駆動力が2か所に作用する従来構造における場合よりも、アーマチュア440の上下の面に垂直な方向への並進運動を安定させることができる。
【0055】
ところで、第1及び第2実施形態の電気機械変換器(
図1、
図6、
図7)のように、コイルが構造部側に固定されている場合には、アーマチュア側の質量を最小限に抑えられる点でメリットがある一方、アーマチュアと構造部との間の変位量が大きくなると、コイルとアーマチュアとの間の空隙も大きくなり、結果としてコイルの巻数に対する抵抗成分が大きくなることから電気機械変換器の駆動効率(消費電力当たりの発生駆動力の大きさ)が悪くなる点でデメリットがある。これに対し、第3実施形態の電気機械変換器(
図9)のように、コイルがアーマチュアに固定されている場合には、コイルとアーマチュアとの間に空隙がないため、コイルの巻数に対する抵抗成分を小さくすることができ、駆動効率を大きくすることができる点でメリットがある一方、アーマチュア側の質量がコイルの分だけ増加する点でデメリットがある。このように、コイルは、構造部又はアーマチュアのいずれに固定しても一長一短があるため、構造部に固定してもよいし、アーマチュアに固定してもよい。
【0056】
〔第4実施形態〕
図11は、第4実施形態の電気機械変換器500を示す図である。また、
図12は、アーマチュア540を示す平面図である。
【0057】
電気機械変換器500は、第3実施形態の電気機械変換器400(
図9)を変形させたものである。電気機械変換器500においては、電気機械変換器400と同様に、磁石が6対(12個)、コイルが6個配置され、コイルがアーマチュアに固定されているが、ヨーク、アーマチュア、押さえ板の各形状や、コイルバネの個数(対の数)や配置される位置が第3実施形態と大きく異なっている。
【0058】
具体的には、ヨーク510は、略六角形の中央部から外方に向かって軸対称に突出した6つの突出部を有した略星形形状をなしている。押さえ板560は、軸対称な3つの突出部を有した平板形状をなしている。各ヨーク510の内側の面に対しては、その6つの突出部に6つの磁石520が接着剤で固定される。また、各ヨーク510の外側の面に対しては、押さえ板560がレーザー溶接等で固定される。
【0059】
図12に示されるように、アーマチュア540は、中央部540aから外方に向かって略等間隔で突出した6つの腕部を有した略星形形状をなしている。また、6つの腕部は、3つの第1腕部540eが他の3つの第2腕部540fより長く形成されており、第1腕部540eと第2腕部540fとが交互に配置されている。6つの腕部(3つの第1腕部540e及び3つの第2腕部540f)の中央部寄りの位置には、6つのコイル530が接着剤で固定される。また、各第1腕部540eの端部には貫通孔540cが穿孔されており、貫通孔540cにブッシュ542が挿入されて接着剤又はレーザー溶接等で固定される。なお、
図11では視認できないが、アーマチュア540の中央部のいずれかの面には端子板が接着剤で固定され、各コイル530の巻き始め側及び巻き終わり側の2つのリード線が端子板にはんだ付けされる。
【0060】
各ブッシュ542の内周側にはシャフト544が通され、外周側には上下の両側から1つずつコイルバネ550が配置される。この状態で、1対の押さえ板560が、3つの突出部で3本のシャフト544を挟み込み、外側からボルトでシャフト544の各端部に締結され固定される。このような構造により、電気機械変換器500の構造部においては、6対の各磁石520間の空隙距離が略同一となる。また、電気機械変換器500においては、コイルバネ550が3対(6つ)配置され、各コイルバネ550は、その自由長より圧縮された状態で、一端側がアーマチュアの各第1腕部540eに接合し、他端側が押さえ板560に接合する。
【0061】
〔電気機械変換器の応用例〕
続いて、上述した実施形態の電気機械変換器の応用例について説明する。
電気機械変換器は、各種の機器の駆動部として組み込まれ、電気機械変換器で発生する振動(駆動力)がアーマチュアの先端部を介して伝達される。具体的には、第1実施形態又はその変形例の電気機械変換器(
図1-6)が組み込まれると、アーマチュアが有する4つの突出部140dが振動伝達部として作用し、第2実施形態の電気機械変換器(
図7-8)が組み込まれると、アーマチュアが有する4つの突出部340dにおける先端部が振動伝達部として作用し、第3実施形態の電気機械変換器(
図9-10)が組み込まれると、アーマチュアが有する6つの突出部440dが振動伝達部として作用し、第4実施形態の電気機械変換器(
図11)が組み込まれると、アーマチュアが有する長尺な3つの第1腕部540eにおける先端部が振動伝達部として作用することとなる。
【0062】
図13は、第3実施形態の電気機械変換器400(
図9)を駆動部として用いたバイブレータ600を示している。このうち、(A)は、バイブレータ600の斜視図であり、(B)は、バイブレータ600の外殻をなすハウジング610の一部を破断してその内部の様子を示している。
【0063】
ハウジング610の内部には、電気機械変換器400が配置されており、アーマチュアが有する6つの突出部440dは、上ハウジング610aと下ハウジング610bとの間に挟まれて固定されている。また、端子板470の2つの電気入力端子にそれぞれはんだ付けされたリード線472が、ハウジング610の外に引き出されている。
【0064】
リード線472を通して電気信号を入力する(電流を流す)と、アーマチュア及びハウジング610と構造部との間に駆動力が発生する。交流信号を入力すれば(交流電流を流せば)、アーマチュア及びハウジング610と構造部との間に相対振動が発生し、ハウジング610を振動板等の物体に接触又は固定させれば、その物体を振動させることができる。
【0065】
図14は、第1実施形態の電気機械変換器100を駆動部として用いたスピーカユニット700を示している。このうち、(A)は、スピーカユニット700を正面側から見た斜視図であり、(B)は、スピーカユニット700を背面側から見た斜視図であり、(C)は、電気機械変換器100の周辺部のみを拡大して示す斜視図である。
【0066】
本応用例においては、電気機械変換器100における一方のヨーク110の外側の面に端子板170が接着剤で固定されている。端子板170には、4つの各コイル130の巻き始め側及び巻き終わり側の2つのリード線がはんだ付けされている。端子板170が固定されたヨーク110には、フレーム710に取り付けるためのフレーム取付リング730がレーザー溶接等で固定されている。フレーム取付リング730はまた、フレーム710にもレーザー溶接等で固定されている。すなわち、電気機械変換器100の構造部は、フレーム取付リング730を介してフレーム710に固定されている。また、アーマチュアが有する4つの突出部140dは、略円筒形状をなす連結部740の一端側に接着剤で固定されており、振動板720は、連結部740の他端側に接着剤で固定されている。
【0067】
端子板170は2つの電気入力端子を有しており、交流信号を入力すると、フレーム710に固定された構造部に対してアーマチュア440が振動し、連結部740を通して振動板720を振動させ、これにより音圧を発生させることができる。
【0068】
上述したように、各実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
(1)第1実施形態及びその変形例、第2実施形態の電気機械変換器によれば、アーマチュアが略十字形の平板形状をなしており、その4つの腕部の両面に空隙を介して対向するように4対の磁石が配置されて、アーマチュアと構造部との間で生じる駆動力が4か所に作用するため、磁石が2対配置されて駆動力が2か所に作用する従来構造と比較して、アーマチュアの面に垂直な方向への並進運動を安定させることができ、アーマチュアと構造部との間での意図しない運動を抑制することができる。
【0069】
(2)第3実施形態、第4実施形態の電気機械変換器によれば、アーマチュアが略星形の平板形状をなしており、その6つの腕部の両面に空隙を介して対向するように6対の磁石が配置されて、アーマチュアと構造部との間で生じる駆動力が6か所に作用するため、磁石が2対配置されて駆動力が2か所に作用する従来構造と比較して、また、第1実施形態及びその変形例や第2実施形態と比較しても、アーマチュアの面に垂直な方向への並進運動をさらに安定させることができ、アーマチュアと構造部との間での意図しない運動をさらに抑制することができる。
【0070】
(3)各実施形態の電気機械変換器によれば、アーマチュアと構造部との間での意図しない運動を抑制することができるため、意図しない運動により生じうる損失を低減することができ、アーマチュアの振動、ひいては電気機械変換器が発生させる駆動力を最大限の大きさで得ることができ、所望の大きさの駆動力を効率よく発生させることができる。したがって、各実施形態によれば、大きな出力を要する機器や大きな変位量を必要とする機器においても、上記の従来構造よりも運動方向のブレ(変動)が小さい質の良い振動を発生させることができる。
【0071】
(4)各実施形態の電気機械変換器によれば、大きな出力を要するオーディオスピーカ等の機器において、上記の従来構造と比較して音質を改善することができ、バランスドアーマチュア型であっても所望の音質を確保することができる。
【0072】
(5)第1実施形態及びその変形例、第3実施形態の電気機械変換器によれば、コイルバネがアーマチュアの中央部を挟んで1対配置されるため、ブッシュ及びシャフトも1つずつで済み、電気機械変換器の構成部品の数を最小限とすることができるため、製造コストを抑制することができる。
【0073】
(6)第2実施形態、第4実施形態の電気機械変換器によれば、コイルバネがアーマチュアの各腕部を挟んで複数対配置されるため、アーマチュアの面に垂直な方向に対する変位に対し複数の箇所で復元力を与えることができ、アーマチュアの構造部に対する変位をより安定して制御することができる。
【0074】
(7)各実施形態の電気機械変換器によれば、アーマチュアの貫通孔にブッシュが固定されており、その内側をシャフトが貫通しているため、アーマチュアが構造部に対しシャフトの軸方向に沿って変位する際に、シャフトとの間に生じる摩擦を小さくして動きを滑らかにすることができる。
【0075】
本発明は、上述した各実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することが可能である。
【0076】
上述した各実施形態においては、アーマチュアが単一の軟磁性材料で形成されているが、部位に応じて異なる材料で形成されてもよい。具体的には、アーマチュアのうち、磁石と空隙を介して対向する部分及びコイルを貫通して磁束を導く部分は磁気回路を構成するため軟磁性材料を用いる必要があるが、磁気回路を構成しないその他の部分(例えば、貫通孔の周辺部等)は磁性材料を用いる必要はない。また、アーマチュアを複数の部品で構成し、これらの部品が一体的に作用するようにしてもよい。このような構成とすることにより、コイルを配置した後にアーマチュアを一体的に組み立てることが可能となるため、アーマチュアを構成する各部品の板厚や形状等に関する設計の自由度を高めることができる。
【0077】
上述した実施形態においては、アーマチュアの両面に対向するように4対又は6対の磁石が配置されているが、配置される磁石の対の数はこれらに限定されず、2を超える任意の数の対(N対)の磁石を配置することができる。その場合には、アーマチュアを、その中心軸について略N回対称な位置でN対の各磁石と対向できるような形状に形成すればよい。また、磁路を考慮すると、磁石の対の数(N)は偶数が好ましい。偶数対の磁石を配置することにより、全ての磁石の対を、隣接する対の磁化の向きが相互に逆向きになるように配置することができ、結果として、効率のよい磁路を形成しながら、アーマチュアを構造部に対してバランスよく変位させることができる。
【0078】
各実施形態においては、アーマチュアと構造部との間での相対的な変位に対する復元力を得るために、コイルバネ又は板バネを用いているが、復元力が得られる部材であればよく、その他の種類のバネを用いてもよいし、バネ以外の弾性部材を用いてもよい。
【0079】
各実施形態に用いられるシャフトのネジ穴を除く部位(両端部のネジ穴の間に延びる部位)は、略円柱状に形成されていてもよいし、略円筒状に形成されていてもよい。
【0080】
その他、電気機械変換器100,200,300,400,500の各構成部品の例として挙げた材料や数値等はあくまで例示であり、本発明の実施に際して適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
100 電気機械変換器
110 ヨーク
120 磁石
130 コイル
140 アーマチュア
142 ブッシュ
144 シャフト
150 コイルバネ(弾性部材)
160 押さえ板
170 端子板