(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141856
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】折畳みコンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 6/18 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B65D6/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048392
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】593203619
【氏名又は名称】セイカン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(72)【発明者】
【氏名】塚田 真敏
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA02
3E061AB09
3E061CA02
3E061CA22
3E061DB14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単に折り畳みが可能であり、収穫および/または出荷、仕分け作業の作業時に有効な、農作物用コンテナを提供する。
【解決手段】前面パネル2と後面パネル3と左右の側面パネル4と底部5を備える折畳みコンテナであって、前面パネルと左右の側面パネルは複数の連結機構1、7にて前記底部の上に直立するように構成され、後面パネルと左右の側面パネルは連結機構2、8にて、底部の上に直立するように構成され、左右の側面パネルが後面パネル側に折り畳まれる上部4aと底部に直立して固定される下部4bからなり、後面パネルが前面側に折り畳まれる上部3aと底部に直立して固定される下部3bからなり、少なくとも左右の側面パネルの下部の高さは前面パネルと後面パネルの上部と左右の側面パネルの上部とを積み重ねた高さと等しいかわずかに高く、折り畳んだときに側面パネルの下部の上面が同じ高さになるように折り畳まれる、折畳みコンテナ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面パネルと、後面パネルと、左右の側面パネルと、底部と、を備える農作物用折畳みコンテナであって、
前記前面パネルと前記左右の側面パネルは複数の連結機構1にて、前記底部の上に直立するように構成され、
前記後面パネルと前記左右の側面パネルは連結機構2にて、底部の上に直立するように構成され、
前記左右の側面パネルが、後面パネル側に折り畳まれる上部と底部に直立して固定される下部を備え、
前記後面パネルが、前面側に折り畳まれる上部と底部に直立して固定される下部を備え、
少なくとも前記左右の側面パネルの下部の高さは、
前面パネルと後面パネルの上部と左右の側面パネルの上部とを積み重ねた高さと等しいかわずかに高く、
前面パネル、後面パネル、および左右側面パネルを折り畳んだときに、前記側面パネルの下部の上面が同じ高さになるように折り畳まれる、農作物用折畳みコンテナ。
【請求項2】
底部の下に鉄鋼板を組んでなる架台を、底部の下に備える、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記左右の側面パネルの下部および前記後面パネルの下部の高さが同じである、請求項1または2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記後面パネルの左右両端の一方には、前記側面パネルの一方の厚みに相当する干渉部が設けられている、請求項1または2に記載のコンテナ。
【請求項5】
前記連結機構1が、前記左右側面パネルに備えられたハンドル部および前面パネルに備えられた前記ハンドル部の嵌合部からなり、前記連結機構2が、ヒンジである請求項1に記載の、農作物用折畳みコンテナ。
【請求項6】
左右の側面パネルを後面パネル側に折り畳んだ時に、側面パネルの下部の上面となる面にズレ防止機構設がけられており、前記ズレ防止機構が前記左右の側面パネルの下部の上面から突出するように設けられた係止ピンと、前記係止ピンに対応する前記底部の位置に設けられた係止ピン孔からなる、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項7】
前記係止ピン孔が、前記底部ではなく、前記架台に設けられている、請求項2~6のいずれか1項に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項8】
さらに、前記左右の側面パネルの上部長手方向の上面に、係止ピンを備える請求項1~7に記載の、農作物用折畳みコンテナ。
【請求項9】
前記後面パネルが、後傾する、請求項1~9のいずれか1項に記載の、農作物用折畳みコンテナ。
【請求項10】
前記左右の側面パネルの下部(4b)および前記後面パネルの下部(3b)が底部(5)に直立するように固着されている、または前記左右の側面パネルの下部(4b)および前記後面パネルの下部(3b)が底部(5)と一体成形されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の、農作物用折畳みコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
収穫した玉ねぎやジャガイモなどの農産物は、コンテナと呼ばれる箱に収容され、倉庫に保管したり、トラックなどに搭載されて移送される。
【0002】
また、ニンニクなどは、乾燥させて微生物の繁殖やカビの発生などを抑制する乾燥作業が必要となる。近年では、送風機により乾燥用空気を農作物に当てて乾燥を行う際にもコンテナが使用されている。
【0003】
本出願人はこれまでに、収容物の乾燥作業に適したコンテナについて鋭意工夫を重ねるとともに、特許出願を行っている。特開2019-82301号公報では、側面パネルの上部側に乾燥用空気を誘導する遮蔽板を設けた折畳み型コンテナが開示されている(特許文献1)。この特許文献1によれば、遮蔽板によって乾燥用空気が折畳み型コンテナの側面側から流出するのを抑制し、農産物を乾燥むら無く効率的に乾燥させることができるとされている。
【0004】
また、この特許文献1に記載の発明では、前面パネルおよび後面パネルを回動可能に支持する支持ピンを磁力によって変位不能にすることで、振動等によって架台から脱落しない安全性に優れた折畳み型コンテナに係る発明が開示されている。また、特許文献2には、乾燥作業に用いることができるとともに、収容物を収容した状態で前面パネルおよび後面パネルと支柱との連結を容易に取り外しすることができる、折畳み型コンテナを提供することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-082301
【特許文献2】特開2021-066472
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような折畳み機能や、作業性を向上させた農作物用コンテナは、折り畳んだ状態で上面がフラットにならないという問題があった(
図10参照)。農作物用折畳みコンテナを折り畳んで保管や輸送する際には、別途固定具を必要としていた。コンテナの架台の四隅から支柱を伸ばして、この支柱に嵌合するようにコンテナを積み上げるタイプのコンテナも開発されている。しかしながら、折り畳んだ状態でも四隅から支柱が伸びており、この支柱に嵌合させるように、すなわちコンテナの四隅を合わせるように積み上げていく必要があり、四隅と支柱を合わせづらいという問題があった。
【0007】
本発明は上述した問題に鑑みなされたもので、農作物用コンテナにおいて、組み立て、分解等の作業が容易にでき、コンテナ自体の運搬・貯蔵・多段積にも有利な設計であり、安全なコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために構成した本発明の手段は、前面パネルと、後面パネルと、左右の側面パネルと、底部と、を備える農作物用折畳みコンテナであって、
前記前面パネルと前記左右の側面パネルは複数の連結機構1にて、前記底部の上に直立するように構成され、
前記後面パネルと前記左右の側面パネルは連結機構2にて、底部の上に直立するように構成され、
前記左右の側面パネルが、後面パネル側に折り畳まれる上部と、底部に直立して固定される下部とからなり、
前記後面パネルが、前面側に折り畳まれる上部と底部に直立して固定される下部からなり、
少なくとも前記左右の側面パネルの下部の高さは、
前面パネルと後面パネルの上部と左右の側面パネルの上部とを積み重ねた高さと等しいかわずかに高く、
前面パネル、後面パネル、および左右側面パネルを折り畳んだときに、前記側面パネルの下部の上面が同じ高さになるように折り畳まれる、農作物用折畳みコンテナである。
【0009】
本発明の他の実施態様は、前述の農作物用折畳みコンテナにおいて、底部の下に鉄鋼板を組んでなる架台をさらに含む、農作物用折畳みコンテナである。
【0010】
本発明の他の実施態様は、前述のいずれかの農作物用折畳みコンテナにおいて、前記左右の側面パネルの下部の上面および前記後面パネルの下部の上面の高さが同じである、農作物用折畳みコンテナである。
【0011】
本発明の他の実施態様は、前述のいずれかの農作物用折畳みコンテナにおいて、前記左右の側面パネルの長手方向の長さが、後面パネルの長手方向の半分以下である、農作物用折畳みコンテナである。
【0012】
本発明の他の実施態様は、前述のいずれかの農作物用折畳みコンテナにおいて、前記後面パネルの左右両端の一方には、前記側面パネルの一方の厚みに相当する干渉部が設けられている、農作物用折畳みコンテナである。
【0013】
本発明の他の実施態様は、前述のいずれかの農作物用折畳みコンテナにおいて、連結機構1が、左右側面パネルに備えられたハンドル部および前面パネルに備えられたハンドル部の嵌合部からなり、連結機構2が、ヒンジである、農作物用折畳みコンテナである。
【0014】
本発明の他の実施態様は、前述のいずれかの農作物用折畳みコンテナにおいて、左右の側面パネルを後面パネル側に折り畳んだ時に、側面パネルの下部の上面となる面にズレ防止機構設がけられており、前記ズレ防止機構が前記左右の側面パネルの下部の上面から突出するように設けられた係止ピンと、前記係止ピンに対応する前記底部の位置に設けられた係止ピン孔からなる、農作物用折り畳みコンテナである。
【0015】
本発明の他の実施態様は、前述のいずれかの農作物用折畳みコンテナにおいて、係止ピン孔が、底部および架台のいずれかに設けられている、農作物用折り畳みコンテナである。
【0016】
本発明の他の実施態様は、前述のいずれかの農作物用折畳みコンテナにおいて、さらに、前記左右の側面パネルの上部長手方向の上面に、係止ピンを備える、農作物用折畳みコンテナである。
【0017】
本発明の他の実施態様は、前述のいずれかの農作物用折畳みコンテナにおいて、C型鋼の溝に前記係止ピンが嵌合するように構成されている、農作物用折畳みコンテナである。
【0018】
本発明の他の実施態様は、前述のいずれかの農作物用折畳みコンテナにおいて、後面パネルが後方に傾斜する、農作物用折畳みコンテナである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、農作物用の折畳みコンテナを平面に折り畳むことができる。本発明に係る農作物用折畳みコンテナの構造上、コンテナを折り畳んだ状態で空間のロスを可能な限り削減することができる。このため、折り畳んだ状態で効率よく保管や輸送が可能となる。また、農作物を入れた状態でコンテナを積み上げた状態でも、容易かつ安定的に積み上げることが可能となる。特に、係止ピンにて折り畳んだコンテナを固定することから、積み上げ作業自体も容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明に係る農作物用折り畳みコンテナの概要を示す一実施態様における斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す一実施態様における前面パネル部を倒した状態を説明する図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す一実施態様における片側側面パネル部を後面パネル側に倒した状態を説明する図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す一実施態様における左右の側面パネル部を後面パネル側に倒した状態を説明する図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す一実施態様における片側側面パネル部と後面パネル部との間にある、緩衝部を説明する図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す一実施態様における左右の側面パネル部と後面パネル部とを水平に折り畳んだときの干渉部を説明する図である。
【
図7】
図7は、
図7に示す一実施態様における左右の側面パネル部を後面パネル部側に折り畳むときの態様を説明する図である。
【
図8】
図8は、後面パネルを後傾して固定する機構の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、後面パネルを折り畳んだ時の後面パネル固定機構の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、
図1に示す一実施態様における後面パネル部を倒した状態を説明する図である。
【
図11】
図11は、
図10の実施態様における、農作物用折畳みコンテナを積み上げた状態を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明に係る農作物用折畳みコンテナの係止ストッパの一態様を示す図である。
【
図13】
図13は、
図1の実施態様における農作物用折畳みコンテナを積み上げた時の前面から見た図である。
【
図14】
図14は、
図1の実施態様における農作物用折畳みコンテナを積み上げた時の側面から見た図である。
【
図15】
図15は、従来技術における農作物用折畳みコンテナを積み上げたときの実施態様を示す図である。
【
図16】
図16は、従来技術における農作物用折畳みコンテナを積み上げた時の前面から見た図である。
【
図17】
図17は、従来技術における農作物用折畳みコンテナを積み上げた時の前面から見た図である。
【
図18】
図18は、従来技術における農作物用折畳みコンテナを積み上げるための機構を説明する図である。
【
図19】
図19は、本発明における農作物用折畳みコンテナの前面パネルの固定方法の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施態様の農作物用折り畳みコンテナを示す斜視図である。架台(6)の上には底部5があり、前面パネル(2)および後面パネル(3a)並びに左右の側面パネル(4a)が架台(6)の上に直立して固定されるように構成されている。後述するように、後面パネルの下部および左右の側面パネルの下部は、底部から垂直上に延びるように溶接されていてもよい。
【0023】
前面パネル2と、左右の側面パネル4とは、連結機構1(7)により連結される。ここにおいて、連結機構1(7)は、前面パネル2と左右の側面パネル4が底板に対して垂直に固定できる機構を備えていれば、結合手段については特に限定されない。
図1に示す本発明の一実施態様において、連結機構1(7)は、前面パネル2の左右端と、左右それぞれの側面パネル4とが直交して形成する角に配置される。複数の連結機構1(7)は、それぞれが独立してロック及びリリース可能なものである。リリースされたときには、前面パネル2の固定状態が解除され、後面パネル側へと底部(5)に重なるように倒すことができる。そのためには、
図4に記載のように、前面パネルの底部付近は、左右の側面パネルの下部から突設されているピンにより軸支されており、当該ピンとの係合をナットなどで緩めることにより、後面パネル側に倒すように、折り畳むことができる。
図1に示す態様において、これらの連結機構1(7)はそれぞれロックされている状態である。
【0024】
図1の態様において、前面パネル(2)と左右の側面パネル(4)が構成する角において、連結機構1(7)は、側面パネル側に備えられる鈎部を有するアーム部分と前面パネル側に備える連結孔(図示せず)とから構成される。左右の側面パネル(4)の前面パネル側端のパネル厚み幅内に収まるように、軸周りに回動可能に設けられたアーム部分の鈎部が、前面パネル(2)にそれぞれ設けられた連結孔に嵌合するように構成される。そして作業者は、アーム部分を操作して、嵌合状態をリリースし、再度嵌合することができる。前面パネル(2)は、その下側にて、底部(5)に後面パネル側にナットなどを用いて回動可能に結合されている。このため、アーム部分を操作し、ナットを緩めることにより前面パネルをリリース状態とすると後面パネル側に倒すことができる(
図2)。
【0025】
図1に例示するように、前面パネルは上下の2つの構成に分かれていて、上パネルと下パネルがヒンジ等の結合手段(11)により回動可能に結合されていてもよい。そして、
図1において、連結機構1(7)およびそれに対応する他の連結機構をリリースすると、上パネル部が、各ヒンジの軸周りに回動して、外側に倒れるように構成してもよい。
図1では、水平に位置する他の三ヵ所のヒンジ構造で前面パネル(2)の上パネルと下パネルを回動可能に結合している。図示を省略するが、上パネルを外側に倒すことが可能になると、作業者が農作物を出し入れしやすくなる。また、
図1において、連結機構1(7)およびそれに対応する他の連結機構をリリースして、下パネルが、各ヒンジの軸周りに回動して、外側に跳ね上がり固定されるように構成してもよい。
図1では、水平に位置する他の三ヵ所のヒンジ構造で前面パネル(2)の上パネルと下パネルを回動可能に結合している。図示を省略するが、下パネルを外側に上げて固定することが可能になると、作業者が農作物を出し入れしやすくなる。なお、収納する農作物の形状や作業内容等を考慮して、更に多くの箇所で分割するようにしても良い。
【0026】
次に、
図1において、後面パネル(3)と左右の側面パネル(4)の結合状態について説明する。左右の側面パネル(4)は概して、上部パネル(4a)と下部パネル(4b)とからなる。上部パネルには、農作物を乾燥するときの空気の流れをコントロールするための遮蔽板(10)を設けてもよい。本発明において、左右の側面パネルの下部(4b)および後面パネルの下部は底部(5)に溶着されていてもよい。
【0027】
図1において、左右の側面パネルの上部(4a)は、鋼板を組んで構成されていることが好ましいが、特に限定されるものではない。左右の側面パネルの上部(4a)は下部(4b)と互いに分離可能に結合されている。「分離可能に結合されている」とは、例えば
図3に示すように、左右の側面パネルの下部(4b)が底板に垂直に固定されたままで、上部(4a)が後面パネルに左右の側面パネルの上部(4a)は、下部と分離したときに、例えば、
図3および
図4に示すように後部パネル側に回動可能に結合することができる。この態様において、左右の側面パネルの上部は後面パネルに対して略コの字型にヒンジ等で結合されている。いわゆる、観音開きの形状とすることができる。
【0028】
図1の態様において、左右の側面パネル(4)の長手方向の長さは、後面パネル(3)の長手方向の長さよりもわずかに短くすることが好ましい。この場合、左右の側面パネルの上部(4a)において、先に後面パネル側に倒す側を決めておいてもよい。
図4に示すように、先に倒した側面パネルの上部(4a)の厚みの分だけ、反対側の側面パネルと後面パネルの結合部分に緩衝部(20)を設けることで、左右の側面パネルを後面パネル側に倒して重ねた場合に、平面に重ねることができる。このような干渉部(20)の一例として、
図5に示すような、側面パネルの厚み分のプレートを後面パネルと左右の側面パネルのいずれか片側にヒンジで結合したものがある。
図5のような構成を備えることで、
図6に記載のように、後面パネルの上部(3a)および左右の側面パネルの上部(4a)を水平に折り畳むことができる。
【0029】
このような構造を備えていない従来の折畳み農作物用コンテナは一定の厚みを有するパネルを折り畳んだときに、一定の間隔を担保しないと平面上に重ねることが困難であった(
図15および
図16)。さらに、従来品は、先に後面パネルを倒し、その上に左右の側面パネルを底部に倒して折り畳む構造となっていた(
図15)。そのため、作業者は、後面パネルの上に乗るか、あるいはコンテナの外側から、左右の側面パネルの上部をリリースして折り畳む作業を行う必要があった。
【0030】
本発明の更なる態様において、
図7に記載のように、後面パネルの上部は一定の確度で後傾するように構成されている。このように一部のパネルを一定の確度で後傾して保持することは、例えば特開2019-082301に記載のように、従来技術の範囲である。しかしながら、
図7のように側面パネルを結合したまま、後面パネルを倒して折り畳みが可能となる農作物用折畳みコンテナは存在せず、本願発明において、後面パネルと側面パネルが
図7に示すように結合されてなる農作物用折畳みコンテナは、作業者が安定な底部の上にたち、作業者がその場で、後面パネルと側面パネルを折り畳むことが可能となる。これまで以上に、作業者は安全かつ安易に折り畳むことができる農作物用コンテナが提供できることになった。
【0031】
図8は、後面パネルの上部と下部の結合部分にある後傾時のストッパの構造を示す図である。本発明の農作物用折畳みコンテナにおいて、作業者はまず前面パネルを側面パネルからリリースし、前面パネルを後面パネル側に倒す。その後、作業者は、当該ストッパの機構を利用して、後面パネルの上部を一定程度後傾させた状態で維持しつつ、左右の側面パネルの上部を後面パネルに重ねるように折り畳み、左右の側面パネルと後面パネルを前面パネル側に倒す。
図8において、後面パネルの上部は、取付ボルト(40)を緩め、当該取付ボルトを軸として後面パネル下部の上面に設けられた傾斜部に沿って一定の角度まで倒す。
図8に示す状態にてこれ以上後面パネルは倒れない構造になっている。また、当該ボルトを締めて固定を補強するように構成してもよい。このように構成することで、作業者が一人で安全に本発明に係る農作物用折畳みコンテナを折り畳むことができる。
図9は、本発明に係る農作物用折り畳みコンテナが、全て折り畳まれた状態の後面パネルの上部と下部の結合部分を示す。
【0032】
本発明の他の実施態様において、左右の側面パネル(4)の長手方向の長さを後面パネル(3)の長手方向の長さの半分以下とすることもできる。この場合、左右の側面パネルの上部(4a)のいずれにおいても、前述の緩衝機構を設けることなく、後面パネル(3)と左右の側面パネルの上部(4a)を水平に折り畳んで重ねることが可能となる。
【0033】
本発明において、後面パネル(3)と重ねて折り畳まれる左右の側面パネルの上部(4a)は、安全上の配慮から、折り畳んだ状態でお互いを固定するロック機構を有していてもよい。
【0034】
図1の態様において、左右の側面パネルの下部(4b)は底部(5)若しくは架台(6)に垂直に固定されている。左右の側面パネルの下部(4b)は、左右側面のパネル上部(4a)を後面パネル(3)に重ねたとき、すなわち、左右の側面パネル上部(4a)が左右の側面パネルの下部(4b)と分離されたときに、底部(5)から垂直に固定されている側面パネルの下部(4b)の上面に、係止装置が現れるように構成されている。
【0035】
本発明の一実施態様において、このような係止装置は、
図4に示すような、左右の側面パネルの下部(4b)の上面に突出するように設けられている係止ピン(30)でもよい。このような係止ピン(30)は、左右の側面パネルの下部(4b)の上面の任意の場所に任意の数設けることができるが、積重ねた時の安定性を担保する観点からは、複数個所に設けることが好ましい。
【0036】
架台(6)の下面もしくは、架台がない態様においては底部(5)の下面には、係止ピン(3)に嵌合するための孔を設けて、折り畳んだコンテナを積み重ねた状態で固定することができる。係止ピンへの嵌合方法については、これに限定されることは意図しておらず、例えば、
図12に示すように、架台(6)の下面もしくは、架台がない態様においては底部(5)の下面を、係止ピンの幅の溝を持つC型鋼材で構成することにより、嵌合孔のようなピンポイントの位置合わせを行わずに、折り畳んだコンテナを重ねて固定することができる。
【0037】
本発明の一実施態様において、左右の側面パネルの上部(4a)を後面パネル(3)側に重ねて、前面パネル(2)側に倒し、前面パネル(2)、左右の側面パネル(4)および後面パネル(3)の順に重ねた時に、それらの厚みの合計は、左右の側面パネルの下部(4b)の高さとほぼ同じになるように構成されている。左右の側面パネルの下部(4b)の高さは、前面パネル(2)、左右の側面パネル(4)および後面パネル(3)の順に重ねた時に、それらの厚みの合計よりも高くしてもよいが、左右の側面パネルの下部(4b)の高さの差分は、本発明の農作物用折畳みコンテナを積み重ねたときの保管効率や輸送効率に関係するため、可能な限り小さくすることが好ましい。
【0038】
本発明の一実施態様において、後面パネル(3)は、一枚のパネルで構成されている。本発明において、重要なことは、後面パネル(3)の左右両端において、左右の側面パネルの上部(4a)とそれぞれ回動可能に結合されていることである。また、本発明の農作物用折畳みコンテナにおける後面パネル(3)において、左右の側面パネルの上部(4a)を折り畳み重ねた状態で前面パネル(2)の上に重ねたときに、水平になるために、後面パネル(3)は、左右の側面パネル(4)と同じように上部(3a)と下部(3b)から構成されている(
図1)。このことにより、前面パネル(2)、左右の側面パネルの上部(4a)および後面パネルの上部(3a)の厚みの合計が後面パネルの下部(3b)の高さおよび左右の側面パネルの下部(4b)の高さと同じになるように構成することが好ましい。
【0039】
次に、
図2を参照して、本願発明の前面パネル(2)を倒した状態を説明する。
図1における連結機構1(7)は、左右の側面パネルの上部(4a)の高さ方向のパネル幅に沿って、それぞれ2か所設けられている。
図2では、鈎部を有するアーム部分を一旦嵌合を外して元の位置に戻し、
図18におけるナットを緩めた状態とし、前面パネルを倒している。
【0040】
次に
図3を参照して、左右の側面パネルの上部(4a)の片側を後面パネル(3)側に倒した状態を説明する。後面パネル(3)と左右の側面パネルの上部(4a)の先に折り畳まれる側のパネルはヒンジ等の結合手段により回動可能に結合されている。本図において、後面パネル側に折り畳まれている左右の側面パネルの上部(4a)は、下部(4b)と分離可能に結合されている。しかしながら、構造上の安全の観点からは、
図4に示すように左右の側面パネルの上部(4a)と下部(4b)は、係止ピンなどの係止機構を用いて固定可能に構成されることが好ましい。このような場合、単に左右の側面パネルの上部(4a)を前面パネル(2)からリリースしただけでは、後面パネル(3)側にスムーズに移動することができない。そのため、
図7に示すように、後面パネルを後傾させることにより、前面パネル(2)との連結機構(7)をリリースしたあと、後面パネルを後傾させることで、折り畳もうとする左右の側面パネルの上部(4a)を後面パネル(3)側に動かすことができる。
図3は本発明の説明のために、方側の側面を折り畳んだコンテナを図示するが、実際に折り畳む場合には、
図7の形となる。
【0041】
次に
図4を参照して、
図3の状態以後、左右の側面パネルの上部(4a)の片側を後面パネル(3)側に倒した状態を説明する。後面パネル(3)と左右の側面パネルの上部(4a)はヒンジ等の結合手段により回動可能に結合されている。本図において、先に折り畳まれている左右の側面パネルの上部(4a)と同様に、左右の側面パネルの上部(4a)は下部(4b)と分離可能に結合されている。本図に示すように左右の側面パネルの上部(4a)と下部(4b)は、係止ピンなどの係止機構を用いて固定可能に構成されている。このような場合、先に折り畳まれている左右の側面パネルの上部(4a)と同様に、単に左右の側面パネルの上部(4a)を前面パネル(2)からリリースしただけでは、後面パネル(3)側にスムーズに移動することができない。すなわち、係止ピン(30)とこれに勘合している上部(4a)に備えられた孔をリリースするために、
図7に示すように後面パネルを後傾固定する。このことにより、係止ピン(30)と係止孔を容易にリリースすることができる。このような構成の代わりに、上下可動式ヒンジなど上下に一定程度可動性を有するものを用いて、折り畳もうとする左右の側面パネルの上部(4a)を少し上に持ち上げ、係止ピン(30)との嵌合を解いて、後面パネル(3)側に動かすこともできる。
【0042】
図4~
図6を参照して、後から畳まれる側の側面パネルの上部(4a)と、後面パネル(3)の間には、先に折り畳まれる側面パネルの上部(4a)の厚み分の緩衝部(20)が設けられている。緩衝部(20)があることにより、後から折り畳まれる側面パネルの上部(4a)が、水平に先に折り畳まれた側面パネル(4a)の上に折り畳むことができる。このような緩衝部(20)は、これらの図に限定されるものではなく、後面パネル(3)と後から折り畳まれる側面パネルの上部(4a)の結合部分が、先に折り畳まれる側の側面パネルの上部(4a)の厚み分可動であればよい。
【0043】
次に
図10を参照して、本発明に係る農作物用折畳みコンテナを平面上に折り畳んだ状態を説明する。本図は、前述のように、前面パネル(2)、左右の側面パネルの上部(4a)および後面パネル(3)を順に折り畳んだ状態を示している。前面パネル(2)、左右の側面パネルの上部(4a)および後面パネル(3)を折り畳んだ状態で、左右の側面パネルの下部(4b)の高さと、折り畳まれたパネルの厚みの合計が同じであるため、コンテナを折り畳んだ状態の上面は略水平になり、隙間なく積み上げることができる(
図10および
図11)。
図5において、左右の側面パネル(4b)の垂直上面に係止ピンが設けられており、この係止ピンに嵌合する構成を、架台(6)もしくは架台のない場合には底部(5)が備えることにより積み上げた状態で一定程度固定することができる。また、係止ピンを嵌合する構成は、嵌合孔である必要はなく、架台(6)の下面もしくは架台のない場合には底部(5)の下面を係止ピンに嵌合する形状の溝を構成することでもよい。このような溝を構成した場合には、積み上げたときに溝と係止ピンとを嵌合させることが孔の場合にも容易になる。
【0044】
次に
図11を参照して、本願発明に係る農作物用折畳みコンテナを積んだ状態を説明する。本図において、農作物用折畳みコンテナは、略水平に積み上げることができる。本図の態様において、積み上げた状態では隙間なく積み上げることができる。
図11の態様を、前面および側面から見た状態を示すのが、
図13および
図14である。
【0045】
次に
図15および
図16を参照して、従来技術における農作物用折畳みコンテナを折り畳んだ状態を説明する。まず、
図15に示すように、従来の農作物用折畳みコンテナは、前面パネルと左右の側面パネルと後面パネルとをそれらのパネルが直角に接触する、いわゆる四隅にて、ヒンジ等の回動可能な結合手段で結合したものである。基本的に、従来技術における農作物用折畳みコンテナは、前面パネルおよび後面パネルは同じ構成を採用し、左右の側面パネルも同じ構成を採用している。
【0046】
そのため、従来の農作物用折畳みコンテナを四隅のヒンジ結合部分で折り畳むと、先に折り畳まれたパネルの厚みと後から重ねて折り畳まれるパネルのヒンジ結合の高さ方向の位置がずれることにより、少なくとも最上面のパネルは
図15に示すように斜めになってしまう。このような状態の農作物用折畳みコンテナを保管および輸送等するために積み上げるには、コンテナを折り畳んだ状態で四隅に支柱を形成して、積み上げることが行われている。
【0047】
図18を参照して、従来技術における農作物用折畳みコンテナの係止構造について説明する。本図のaは、折り畳んだ状態でコンテナの四隅から高さ方向に突出して構成される支柱である。支柱の上面には、係止用のピンbが構成されている。このような係止用ピンbは嵌合孔cに入るように構成されている。このような構成により、支柱の高さを、最上面のパネル位置より高くすることで、折り畳まれたコンテナを一定程度積み上げることができる。この構成により積み上げた農作物用折畳みコンテナを横から見た図が、
図17となる。
【0048】
従来技術におけるこのような折り畳みコンテナは、積み上げたときにコンテナの上下に隙間ができるため、保管および輸送効率において、本願発明に係る農作物用輸送コンテナよりも劣る。また、支柱に過重が係るため、大型のコンテナを高く積み、これを保管や輸送することには不向きであった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明に係る農作物用折畳みコンテナはこのような従来の農作物用折畳みコンテナの不具合を解消できるものである。
【0050】
上記の各態様及び実施例は、本発明の実施態様としての一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない限り、さまざまな変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0051】
1コンテナ、2前面パネル、3後面パネル、3a後面パネル上部、3b後面パネル下部、4側面パネル、4a側面パネル上部、4b側面パネル下部、5底部、6架台、7連結機構1、8連結機構2、10遮蔽板、11ヒンジ、12係止ピン、20緩衝部、30係止ピン、40取付ボルト、a支柱、b係止ピン、c嵌合孔