(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141863
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】緩衝装置および移動体
(51)【国際特許分類】
F16F 9/508 20060101AFI20230928BHJP
F16F 9/26 20060101ALI20230928BHJP
B60G 13/08 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
F16F9/508
F16F9/26
B60G13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048403
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】建石 湧斗
【テーマコード(参考)】
3D301
3J069
【Fターム(参考)】
3D301DA28
3D301DA33
3D301DA44
3D301DB35
3D301DB40
3D301DB45
3J069AA56
3J069AA58
3J069BB03
3J069EE02
3J069EE64
(57)【要約】
【課題】使い勝手のよい緩衝装置および移動体を提供する。
【解決手段】緩衝装置は、第1部材と第2部材との間に設けられる入力緩衝器と、入力緩衝器から延び作動流体が流通する管路と、管路に接続された第1衝撃吸収装置および第2衝撃吸収装置と、を備えている。第1衝撃吸収装置の第2筒体内には、第2ピストンが所定速度以上で移動するときに高粘度化するダイラタント流体が封入されており、第2衝撃吸収装置の第2筒体内には、非ダイラタント流体が封入されている。管路に設けられたリリーフ弁は、入力緩衝器に第1入力状態がなされている場合には、閉状態が維持され、入力緩衝器に第1入力状態よりも大きい第2入力状態がなされてダイラタント流体が高粘度化することにより入力緩衝器内の圧力が基準値以上となった場合には、開状態となり入力緩衝器から第2衝撃吸収装置に向けて作動流体が流れるのを許容する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材との間に設けられる入力緩衝器と、前記入力緩衝器から延び作動流体が流通する管路と、前記管路に接続された第1衝撃吸収装置および第2衝撃吸収装置と、
を備え、
前記第1衝撃吸収装置および第2衝撃吸収装置は、
前記管路に接続されるシリンダ装置と、
前記シリンダ装置内から外部に延出するロッドと、
前記ロッドの先端側に設けられるサスペンションと、
を有し、
前記シリンダ装置は、
前記管路が接続された第1室と、前記ロッドが位置する第2室と、を有する第1筒体と、
前記第1筒体内に摺動可能に設けられ、前記ロッドが連結された第1ピストンと、
を有し、
前記サスペンションは、
第2筒体と、
前記第2筒体内に摺動可能に設けられ、前記ロッドの先端に連結された第2ピストンと、
前記ロッドにより前記第2ピストンを移動させたときに前記第2ピストンを戻す方向に付勢する付勢部材と、
を有し、
前記第1衝撃吸収装置の前記第2筒体内には、前記第2ピストンが所定速度以上で移動するときに高粘度化するダイラタント流体が封入されており、
前記第2衝撃吸収装置の前記第2筒体内には、非ダイラタント流体が封入されており、
前記管路は、前記入力緩衝器と前記第2衝撃吸収装置との間にリリーフ弁を有し、
前記リリーフ弁は、
前記入力緩衝器に第1入力状態がなされている場合には、閉状態が維持され、
前記入力緩衝器に前記第1入力状態よりも大きい第2入力状態がなされて前記ダイラタント流体が高粘度化することにより前記入力緩衝器内の圧力が基準値以上となった場合には、開状態となり前記入力緩衝器から前記第2衝撃吸収装置に向けて前記作動流体が流れるのを許容する、緩衝装置。
【請求項2】
前記管路は、
前記入力緩衝器と前記第1衝撃吸収装置との間を接続する第1管路と、
前記入力緩衝器と前記第2衝撃吸収装置との間を接続し、前記リリーフ弁を有する第2管路と、
前記第2衝撃吸収装置と前記入力緩衝器との間を接続し、前記第2衝撃吸収装置から前記入力緩衝器に向けてのみ前記作動流体が流れるのを許容するチェック弁を有する第3管路と、
を有する、請求項1に記載の緩衝装置。
【請求項3】
前記第2衝撃吸収装置の前記付勢部材のばね定数は、前記第1衝撃吸収装置の前記付勢部材のばね定数よりも小さい、請求項1または2に記載の緩衝装置。
【請求項4】
前記第2衝撃吸収装置の前記第2ピストンのストローク長さは、前記第1衝撃吸収装置の前記第2ピストンのストローク長さよりも大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載の緩衝装置。
【請求項5】
第1部材と、
前記第1部材に対して相対移動する第2部材と、
請求項1~4のいずれか1項に記載の緩衝装置と、
を備えた、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、緩衝装置および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両や建築物などの振動や衝撃を和らげる緩衝装置が知られている。このような緩衝装置については、種々の環境下で使い勝手のよいものが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、使い勝手のよい緩衝装置および移動体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る緩衝装置は、第1部材と第2部材との間に設けられる入力緩衝器と、前記入力緩衝器から延び作動流体が流通する管路と、前記管路に接続された第1衝撃吸収装置および第2衝撃吸収装置と、を備え、前記第1衝撃吸収装置および第2衝撃吸収装置は、前記管路に接続されるシリンダ装置と、前記シリンダ装置内から外部に延出するロッドと、前記ロッドの先端側に設けられるサスペンションと、を有し、前記シリンダ装置は、前記管路が接続された第1室と、前記ロッドが位置する第2室と、を有する第1筒体と、前記第1筒体内に摺動可能に設けられ、前記ロッドが連結された第1ピストンと、を有し、前記サスペンションは、第2筒体と、前記第2筒体内に摺動可能に設けられ、前記ロッドの先端に連結された第2ピストンと、前記ロッドにより前記第2ピストンを移動させたときに前記第2ピストンを戻す方向に付勢する付勢部材と、を有し、前記第1衝撃吸収装置の前記第2筒体内には、前記第2ピストンが所定速度以上で移動するときに高粘度化するダイラタント流体が封入されており、前記第2衝撃吸収装置の前記第2筒体内には、非ダイラタント流体が封入されており、前記管路は、前記入力緩衝器と前記第2衝撃吸収装置との間にリリーフ弁を有し、前記リリーフ弁は、前記入力緩衝器に第1入力状態がなされている場合には、閉状態が維持され、前記入力緩衝器に前記第1入力状態よりも大きい第2入力状態がなされて前記ダイラタント流体が高粘度化することにより前記入力緩衝器内の圧力が基準値以上となった場合には、開状態となり前記入力緩衝器から前記第2衝撃吸収装置に向けて前記作動流体が流れるのを許容する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】緩衝装置の入力緩衝器に緩慢な力が加わった場合の作動流体の流れを表すブロック図である。
【
図2】緩衝装置の入力緩衝器に急激な力が加わった場合の作動流体の流れを表すブロック図である。
【
図4】緩衝装置を車両に適用した場合の一例を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、緩衝装置の入力緩衝器に緩慢な力が加わった場合の作動流体の流れを表すブロック図である。
図2は、緩衝装置の入力緩衝器に急激な力が加わった場合の作動流体の流れを表すブロック図である。
図3は、
図1中の第1衝撃吸収装置の断面図である。
【0009】
緩衝装置10は、例えば車両や建築物などに加わる振動や衝撃を和らげる。緩衝装置10は、入力緩衝器20と、管路30と、第1衝撃吸収装置50と、第2衝撃吸収装置80と、を備えている。
【0010】
入力緩衝器20は、第1部材と第2部材との間に設けられる。第1部材は、例えば車両の車輪側の部材であり、第2部材は、車両のボディ側の部材となっている。入力緩衝器20は、第1部材から第2部材へ伝達するエネルギを吸収することにより、第2部材の振動や衝撃を抑制する。そして、入力緩衝器20は、筒体22と、ピストン24と、ロッド26と、を有している。
【0011】
筒体22は、例えば円筒体に形成され、入力緩衝器20の外殻を構成している。筒体22の内部は、ピストン24により第1室22aと第2室22bとに区画されている。第1室22aには、空気が封入されている。筒体22は、第1室22aと外部とを連通する連通孔22cを有している。第2室22bには、作動流体H(例えば、作動油)が封入されている。第2室22bには、後述する管路30が接続されている。
【0012】
ピストン24は、筒体22内に摺動可能に設けられている。ピストン24は、例えば筒体22の内部形状に合わせて円板状に形成されている。ピストン24は、筒体22の内面との間にシール部材25を有している。シール部材25は、第2室22b内の作動流体Hが第1室22a内に漏れるのを抑制するとともに、ピストン24を筒体22内で円滑に摺動させる。
【0013】
ロッド26は、筒体22の第1室22a内に位置している。すなわち、ロッド26は、基端側がピストン24に連結され、第1室22a内を延びている。ロッド26は、先端側が筒体22の外部に突出している。ロッド26は、筒体22に対して伸縮可能となっている。すなわち、ロッド26は、筒体22からの突出量が変化する。第1部材は、ロッド26の先端に取り付けられる。一方、第2部材は、筒体22に取り付けられる。第1部材が受ける振動や衝撃は、ロッド26を介してピストン24を移動させる。
【0014】
図1に示すように、ロッド26は、矢示方向の力F1が作用すると縮小する。この場合、ピストン24は、第2室22bを狭める方向に移動する。これにより、第2室22b内の作動流体Hは、ピストン24により押圧されて管路30に流出する。一方、管路30から第2室22bに作動流体Hが流入した場合には、作動流体Hの圧力によりピストン24が第1室22aを狭める方向に移動する。これにより、ロッド26は、筒体22に対して伸長する。
【0015】
管路30は、例えば樹脂材料および金属材料からなり、入力緩衝器20から延びている。管路30は、入力緩衝器20と、第1衝撃吸収装置50および第2衝撃吸収装置80と、の間を接続している。管路30は、入力緩衝器20と第1衝撃吸収装置50との間および入力緩衝器20と第2衝撃吸収装置80との間で作動流体Hを流通させる。管路30は、第1管路32と、第2管路34と、第3管路36と、を有している。
【0016】
第1管路32は、入力緩衝器20と第1衝撃吸収装置50との間を接続している。第1管路32は、一端側が入力緩衝器20の第2室22bに接続され、他端側が第1衝撃吸収装置50のシリンダ装置52に接続されている。作動流体Hは、第1管路32を介して入力緩衝器20とシリンダ装置52との間を往復動する。
【0017】
第2管路34および第3管路36は、入力緩衝器20と第2衝撃吸収装置80との間を接続している。この例では、第2管路34は、一端側が第1管路32に接続され、他端側が第2衝撃吸収装置80のシリンダ装置82に接続されている。第2管路34は、入力緩衝器20からシリンダ装置82に向けて作動流体Hを流す供給管路となっている。
【0018】
一方、第3管路36は、一端側が第1管路32に接続され、他端側が第2管路34に接続されている。第3管路36は、シリンダ装置82から入力緩衝器20に向けて作動流体Hを流す戻し管路となっている。第2管路34および第3管路36は、それぞれ一方向にのみ作動流体Hが流通する。そのために、第2管路34および第3管路36は、バルブユニット40を有している。
【0019】
バルブユニット40は、入力緩衝器20内の作動流体Hを第1衝撃吸収装置50に向けて流すか、第2衝撃吸収装置80に向けて流すかを制御する。バルブユニット40は、リリーフ弁42と、チェック弁44と、を有する。
【0020】
第2管路34は、リリーフ弁42を有している。リリーフ弁42は、常時は閉状態となっている。リリーフ弁42が閉状態となっている場合には、入力緩衝器20の第1室22bと、第2衝撃吸収装置80のシリンダ装置82と、の間で作動流体Hが流通するのが遮断されている。
【0021】
入力緩衝器20の第2室22b内の圧力が上がると、第2管路34のうちリリーフ弁42の上流側(第1管路32側)の圧力も上がる。そして、第2室22b内の圧力が基準値以上になると、リリーフ弁42が閉状態から開状態に切り替わる。これにより、リリーフ弁42は、入力緩衝器20から第2管路34を介して第2衝撃吸収装置80に作動流体Hが流れるのを許容する。一方、リリーフ弁42は、入力緩衝器20の第2室22b内の圧力が下がり、リリーフ弁42の上流側の圧力が低下すると、開状態から閉状態に切り替わる。リリーフ弁42の開閉切り替えについては、後で詳しく説明する。
【0022】
第3管路36は、チェック弁44を有している。チェック弁44は、第2衝撃吸収装置80のシリンダ装置82から入力緩衝器20に向けて作動流体Hが流れるのを許容し、作動流体Hが逆方向に流れるのを抑制する。
【0023】
第1衝撃吸収装置50は、第1管路32を介して入力緩衝器20と接続されている。第1衝撃吸収装置50は、入力緩衝器20に入力された力が緩慢な場合に、その力を減衰させるように作動する。力が緩慢な場合とは、ロッド26に対する仕事率(単位時間当たりの力×変位量)が基準値未満の第1入力状態の場合である。第1衝撃吸収装置50は、シリンダ装置52、ロッド60、およびサスペンション70を有している。
【0024】
シリンダ装置52は、管路30(第1管路32)に接続されている。シリンダ装置52は、入力緩衝器20に入力された力(エネルギ)をサスペンション70に伝達させるとともに、サスペンション70からの反力を入力緩衝器20に伝達させる。シリンダ装置52は、第1管路32に接続された第1筒体54と、第1筒体54の内部に設けられた第1ピストン56と、を有している。
【0025】
第1筒体54は、例えば円筒体に形成され、シリンダ装置52の外殻を構成している。第1筒体54の内部は、第1ピストン56により第1室54aと第2室54bとに区画されている。第1室54aは、第1管路32に接続されており、作動流体Hが封入されている。第2室54bには、ロッド60が位置しており、空気が封入されている。第1筒体54は、第2室54bと外部とを連通する連通孔54cを有している。
【0026】
第1ピストン56は、第1筒体54内に摺動可能に設けられている。第1ピストン56は、例えば第1筒体54の内部形状に合わせて円板状に形成されている。第1ピストン56は、第1筒体54の内面との間にシール部材58を有している。シール部材58は、第1室54a内の作動流体Hが第2室54b内に漏れるのを抑制するとともに、第1ピストン56を第1筒体54内で円滑に摺動させる。
【0027】
ロッド60は、シリンダ装置52の第1筒体54の内部から外部(サスペンション70側)に向けて延出している。ロッド60は、基端側が第1ピストン56に連結され、第2室54b内を延びている。ロッド60は、第1筒体54に対して伸縮可能となっている。すなわち、ロッド60は、第1筒体54からの突出量が変化する。
【0028】
第1管路32から第1筒体54の第1室54a内に作動流体Hが流入した場合には、作動流体Hの圧力により第1ピストン56が第2室54bを狭める方向に移動する。これにより、ロッド60は、第1筒体54に対して伸長する。一方、ロッド60が第1筒体54に対して縮小すると、第1ピストン56が第1室54aを狭める方向に移動する。これにより、第1室54a内の作動流体Hは、第1管路32に流出する。
【0029】
サスペンション70は、ロッド60の先端側に設けられている。ロッド60の先端は、サスペンション70の第2筒体72内に位置している。すなわち、サスペンション70とシリンダ装置52とは、ロッド60により接続されている。サスペンション70は、第2筒体72、第2ピストン73、および付勢部材77を有している。
【0030】
第2筒体72は、例えば円筒体に形成され、サスペンション70の外殻を構成している。第2筒体72の内部は、第2ピストン73により第1室72aと第2室72bとに区画されている。第2筒体72内には、急激な変位が加わった場合に高粘度化するダイラタント流体Dが封入されている。力が急激な場合とは、ロッド26に対する仕事率(単位時間当たりの力×変位量)が基準値以上の第2入力状態の場合である。
【0031】
第2ピストン73は、第2筒体72内に摺動可能に設けられている。第2ピストン73は、例えば第2筒体72の内部形状に合わせて円板状に形成されている。第2ピストン73は、ロッド60の先端に連結されている。第2ピストン73は、厚さ方向に貫通する貫通孔73aを有している。貫通孔73aは、ロッド60の周囲に離間して複数個(例えば、4個)形成されている。貫通孔73aは、第2筒体72の第1室72aと第2室72bとの間を連通している。
【0032】
これにより、第2ピストン73が第2室72b側に移動した場合には、第2室72b内のダイラタント流体Dが貫通孔73aを介して第1室72aに流れる。また、第2ピストン73が第1室72a側に移動した場合には、第1室72a内のダイラタント流体Dが貫通孔73aを介して第2室72bに流れる。すなわち、貫通孔73aは、ダイラタント流体Dの流路となっている。貫通孔73aの孔径および個数は、第2ピストン73とダイラタント流体Dとの間の抵抗や後述の付勢部材77のばね定数などに基づき実験、シミュレーションにより設定されている。
【0033】
第2ピストン73は、第2筒体72の内面との間にシール部材74を有している。シール部材74は、第1室72a内と第2室72bとの間でダイラタント流体Dが漏れるのを抑制するとともに、第2ピストン73を第2筒体72内で円滑に摺動させる。
【0034】
サスペンション70は、付勢部材77が挟持される受け部75およびフランジ76を有している。受け部75は、第2筒体72のボトム側に設けられている。受け部75の外径は、第2筒体72の外径よりも大きくなっている。受け部75は、付勢部材77の一側を支持している。
【0035】
フランジ76は、第2筒体72と第1筒体54との間に位置して、ロッド60に設けられている。フランジ76の外径は、第2筒体72の外径よりも大きくなっている。受け部75とフランジ76とは、例えば同じ形状、大きさとなっている。フランジ76は、ロッド60と一緒に移動する。フランジ76は、付勢部材77の他側を支持している。
【0036】
付勢部材77は、受け部75とフランジ76との間に設けられている。付勢部材77は、例えばコイルばねとなっており、第2筒体72の外周側を巻回している。付勢部材77は、ロッド60により第2ピストン73を移動させたときに第2ピストン73を戻す方向に付勢する。すなわち、第2ピストン73が第2筒体72の第2室72b側に移動した場合には、フランジ76が付勢部材77を縮小させる。
【0037】
第2衝撃吸収装置80は、第2管路34および第3管路36を介して入力緩衝器20と接続されている。第1衝撃吸収装置50と第2衝撃吸収装置80とは、管路30により入力緩衝器20に対して並列状態で接続されている。第2衝撃吸収装置80は、入力緩衝器20に入力された力が急激な場合に、その力を減衰させるように作動する。第2衝撃吸収装置80は、その大部分が第1衝撃吸収装置50と同様の構成となっているので、以下、第1衝撃吸収装置50との相違点について詳しく説明する。
【0038】
第2衝撃吸収装置80は、シリンダ装置82、ロッド90、およびサスペンション100を有している。シリンダ装置82は、第1衝撃吸収装置50のシリンダ装置52に対応している。シリンダ装置82は、第1筒体84と、第1ピストン86と、を有している。
【0039】
第1筒体84の内部は、第1ピストン86により第1室84aと第2室84bとに区画されている。また、第1筒体84は、第2室84bと外部とを連通する連通孔84cを有している。第1室84aは、第2管路34に接続されており、作動流体Hが封入されている。第2室84bには、ロッド90が位置しており、空気が封入されている。
【0040】
第1ピストン86は、第1筒体84内に摺動可能に設けられている。第1ピストン86は、第1筒体84の内面との間にシール部材88を有している。シール部材88は、第1室84a内の作動流体Hが第2室84b内に漏れるのを抑制するとともに、第1ピストン86を第1筒体84内で円滑に摺動させる。
【0041】
ここで、第1衝撃吸収装置50のシリンダ装置52と第2衝撃吸収装置80のシリンダ装置82との相違点について説明する。第1ピストン86のストローク長さは、第1ピストン56のストローク長さよりも大きくなっている。
【0042】
従って、例えば第2衝撃吸収装置80の第1筒体84の長手方向の長さ寸法は、第1衝撃吸収装置50の第1筒体54の長手方向の長さ寸法よりも長くなっている。なお、第1ピストン86のストロークエンドが第1ピストン56のストロークエンドよりもボトム側になるように構成されていてもよい。このような場合には、第1筒体84と第1筒体54との長手方向の長さが同じでもよい。
【0043】
ロッド90は、第1衝撃吸収装置50のロッド60に対応している。ロッド90は、基端側が第1ピストン86に連結され、第2室84b内を延びている。ロッド90は、第1ピストン86の移動により第1筒体84に対して伸縮する。すなわち、ロッド90は、第1筒体84からの突出量が変化する。
【0044】
サスペンション100は、第1衝撃吸収装置50のサスペンション70に対応している。サスペンション100は、第2筒体102、第2ピストン103、および付勢部材107を有している。第2筒体102は、第1衝撃吸収装置50の第2筒体72に対応している。第2筒体102の内部は、第2ピストン103により第1室102aと第2室102bとに区画されている。
【0045】
第2ピストン103は、第1室102aと第2室102bとの間を連通する貫通孔(図示せず)を有している。この貫通孔は、第2ピストン73の貫通孔73aに対応している。なお、第2ピストン103の貫通孔と、第2ピストン73の貫通孔73aとは、個数や孔径が異なっていてもよい。第2ピストン103は、第2筒体102の内面との間にシール部材(図示せず)を有している。このシール部材は、第2ピストン73のシール部材74に対応している。
【0046】
付勢部材107は、受け部105と、フランジ106との間に挟持されている。付勢部材107は、第1衝撃吸収装置50の付勢部材77に対応している。また、受け部105およびフランジ106は、第1衝撃吸収装置50の受け部75およびフランジ106にそれぞれ対応している。
【0047】
次に、第2衝撃吸収装置80のサスペンション100と、第1衝撃吸収装置50のサスペンション70と、の相違点について説明する。
【0048】
第1衝撃吸収装置50の第2筒体72内には、第2ピストン73が所定速度以上で移動するときに高粘度化するダイラタント流体Dが封入されている。一方、第2衝撃吸収装置80の第2筒体102内には、非ダイラタント流体が封入されている。非ダイラタント流体は、例えばニュートン流体となっている。ニュートン流体は、例えば作動流体H(作動油)と同じものである。なお、非ダイラタント流体は、塑性流体や擬塑性流体でもよい。
【0049】
第1管路32内を流れる作動流体Hの速度が遅い場合には、第1衝撃吸収装置50の付勢部材77により衝撃を抑制することができるとともに、サスペンション70により付勢部材77の動き(振幅)を抑制することができる。一方、第1管路32内を流れる作動流体Hの速度が速い場合には、第2衝撃吸収装置80の付勢部材107により衝撃を抑制することができるとともに、サスペンション100により付勢部材107の動き(振幅)を抑制することができる。
【0050】
すなわち、緩衝装置10は、入力緩衝器20への入力が緩やかな場合には、ダイラタント流体Dが封入され、ばね定数の大きい第1衝撃吸収装置50のみを作用させて振動や衝撃を押えるべき対象の変位を抑制している。このように入力緩衝器20への入力が緩やかな場合には、非ダイラタント流体(例えば、ニュートン流体)が封入され、ばね定数が小さい第2衝撃吸収装置80は作用させずに、大きいばね定数を有する第1衝撃吸収装置50で対象の変位を抑制している。第1衝撃吸収装置50および第2衝撃吸収装置80の具体的な作動については、後で詳しく説明する。
【0051】
次に、第2衝撃吸収装置80の第2ピストン103のストローク長さは、第1衝撃吸収装置50の第2ピストン73のストローク長さよりも大きくなっている。すなわち、サスペンション100の第2ピストン103のストローク長さは、サスペンション70の第2ピストン73のストローク長さL(
図3参照)よりも長くなっている。
【0052】
例えば、第2衝撃吸収装置80の第2筒体102の長手方向の長さ寸法は、第1衝撃吸収装置50の第2筒体72の長手方向の長さ寸法よりも長くなっている。これにより、第2衝撃吸収装置80のシリンダ装置82に多量の作動流体Hが流入した場合でも、第2ピストン103の底付きを抑制できる。なお、第2ピストン103のストロークエンドが第2ピストン73のストロークエンドよりもボトム側になるように構成されていてもよい。このような場合には、第2筒体102と第2筒体72との長手方向の長さが同じでもよい。
【0053】
次に、第2衝撃吸収装置80の付勢部材107のばね定数は、第1衝撃吸収装置50の付勢部材77のばね定数よりも小さくなっている。これにより、付勢部材107は、入力緩衝器20に入力された急激な衝撃や振動をソフトに吸収することができる。
【0054】
実施形態による緩衝装置10は、上述の如き構成を有するもので、次に緩衝装置10の作動について説明する。
【0055】
図1に示すように、入力緩衝器20に緩慢な力F1が作用した場合には、ロッド26が低速で縮小する。これにより、ピストン24は、第2室22b内の作動流体Hを第1管路32に緩やかに流出させる。これにより、作動流体Hは、第1管路32を矢示A方向に流れて、第1衝撃吸収装置50の第1筒体54の第1室54aに流入する。第1筒体54の第1室54aに作動流体Hが流入すると、第1ピストン56が第2室54bを狭める方向に移動する。
【0056】
これにより、ロッド60は、付勢部材77の付勢力に抗して移動するとともに、サスペンション70の第2ピストン73を移動させる。この場合、第1筒体54の第1室54aには、緩やかに作動流体Hが流入しているので、第2ピストン73の移動速度は低速となっている。第2ピストン73が低速で移動した場合には、第2筒体72内のダイラタント流体Dの速度勾配が小さいので、ダイラタント流体Dの流動性を保つことができる。
【0057】
従って、入力緩衝器20に緩慢な力F1が作用した場合には、付勢部材77により衝撃を吸収しながら第2ピストン73を移動させることができるとともに、第2筒体72の第2室72b内のダイラタント流体Dを第2ピストン73の貫通孔73aを介して第1室72aに流すことができる。
【0058】
第1ピストン56の押圧力が付勢部材77の付勢力よりも小さくなると、第2ピストン73は、付勢部材77の付勢力により戻される。この場合、付勢部材77のばね定数は、第2ピストン73の戻り速度でダイラタント流体Dが高粘度化しないような値に設定されている。すなわち、付勢部材77は、第2ピストン73を低速で戻す。
【0059】
そして、ロッド60により押圧された第1ピストン56は、第1室54a内の作動流体Hを第1管路32から入力緩衝器20の第2室22bに戻す。第2室22bに作動流体Hが流入することにより、ピストン24が押圧されてロッド26が伸長する。
【0060】
次に、
図2に示すように、入力緩衝器20に急激な力F2が作用した場合には、ロッド26が高速で縮小する。これにより、ピストン24は、第2室22b内の作動流体Hを第1管路32に急激に流出させる。これにより、作動流体Hは、第1筒体54の第1室54aから第1ピストン56を急激に押圧する。
【0061】
これにより、ロッド60は、サスペンション70の第2ピストン73を高速で移動させる。第2ピストン73を高速で移動させた場合には、第2筒体72内のダイラタント流体Dの速度勾配が大きくなり、ダイラタント流体Dが高粘度化する。その結果、第2ピストン73は、高粘度化したダイラタント流体Dにより移動が抑制される。
【0062】
第2ピストン73の移動が抑制された場合には、入力緩衝器20の第2室22bおよび第1管路32内の圧力が増加する。この圧力が基準値を超えると、第2管路34のリリーフ弁42が閉状態から開状態に切り替わる。これにより、作動流体Hは、第2管路32内を矢示B方向に流れて、第2衝撃吸収装置80のシリンダ装置82に流入する。
【0063】
シリンダ装置82の第1筒体84の第1室84aに流入した作動流体Hは、第2室84bを狭める方向に向けて第1ピストン86を移動させる。これにより、ロッド90は、付勢部材107の付勢力に抗して移動するとともに、サスペンション100の第2ピストン103を移動させる。
【0064】
この場合、第2衝撃吸収装置80の第2筒体102内には、非ダイラタント流体(例えば、ニュートン流体)が封入されているので、第2ピストン103の速度により非ダイラタント流体の粘度は変化しない。従って、入力緩衝器20に急激な力F2が作用した場合には、付勢部材107により衝撃を吸収しながら第2ピストン103を移動させることができるとともに、第2筒体102の第2室102b内の非ダイラタント流体を第2ピストン103の貫通孔を介して第1室102aに流すことができる。
【0065】
また、第2ピストン103のストローク長さは、第2ピストン73のストローク長さよりも長くなっている。これにより、入力緩衝器20に急激な力F2が作用して、第1ピストン86の第1室86aに多量の作動流体Hが流入しても、第2ピストン103の底付きを抑制することができる。
【0066】
また、第2衝撃吸収装置80の付勢部材107のばね定数は、第1衝撃吸収装置50の付勢部材77のばね定数よりも小さくなっている。これにより、付勢部材107は、入力緩衝器20に入力された急激な力F2をソフト(軟らか)に吸収することができる。
【0067】
入力緩衝器20に入力された急激な力F2が弱くなると、筒体22の第2室22bおよび第1管路32内の作動流体Hの圧力が小さくなり、リリーフ弁42が開状態から閉状態に切り替わる。そして、第2ピストン103は、付勢部材107の付勢力により戻される。
【0068】
ロッド90により押圧された第1ピストン86は、第1室84a内の作動流体Hを第3管路36から入力緩衝器20の第2室22bに戻す(
図2中の矢示C参照)。第2室22bに作動流体Hが流入することにより、ピストン24が押圧されてロッド26が伸長する。
【0069】
実施形態による緩衝装置10は、入力緩衝器20に入力される力の大きさにより、第1衝撃吸収装置50と、第2衝撃吸収装置80とを切り替えて振動および衝撃を抑制している。入力緩衝器20に入力される力の大きさ(急激な入力および緩慢な入力)は、「単位時間当たりの力×変位量」で求められる仕事率の大小関係となっている。すなわち、緩慢な入力は、仕事率が基準値未満の第1入力状態である。一方、急激な入力は、仕事率が基準値以上の第2入力状態である。この基準値は、ダイラタント流体Dが高粘度化するか否かの閾値である。
【0070】
入力が緩やかな場合には、ダイラタント流体Dが封入され、大きいばね定数の付勢部材77を有する第1衝撃吸収装置50を作用させている。一方、入力が急激な場合には、非ダイラタント流体(例えば、ニュートン流体)が封入され、付勢部材77よりも小さいばね定数の付勢部材107を有する第2衝撃吸収装置80を作用させている。すなわち、緩衝装置10は、入力緩衝器20に入力される力の大きさ(第1入力状態または第2入力状態)により、異なるばね定数のサスペンションに切り替えている。この場合、緩衝装置10は、リリーフ弁42を介して第1衝撃吸収装置50と第2衝撃吸収装置80とを切り替えている。リリーフ弁42は、入力緩衝器20への入力状態(入力速度)に応じて、ダイラタント流体Dが粘度変化(高粘度化)することによる第1管路32および筒体22の第2室22bの圧力差で機能するように用いられている。
【0071】
緩衝装置10は、リリーフ弁42やダイラタント流体Dの流動性を利用することにより、第1衝撃吸収装置50と第2衝撃吸収装置80との切り替えを電力供給することなく行うことができる。従って、緩衝装置10は、電気的制御によらずに広い範囲の減衰力調整を行うことができる。
【0072】
その結果、緩衝装置10は、外部環境に左右されずに適用可能となっている。緩衝装置10は、例えば高ノイズ環境下、高線量下でも安定して用いることができる。また、緩衝装置10は、電気的制御を必要としないので、ケーブルやコントローラなどが周囲に錯綜するのを抑制できる。さらに、緩衝装置10は、入力緩衝器20と、第1衝撃吸収装置50および第2衝撃吸収装置80と、を分離したユニットとしているので、車両や機器などに配置する場合の自由度をもたせることができる。従って、使い勝手のよい緩衝装置10を提供することができる。
【0073】
次に、緩衝装置10を車両としての移動体に用いた場合について、
図4を参照して説明する。
図4は、緩衝装置を車両に適用した場合の一例を表す斜視図である。
【0074】
図4に示すように、移動体200は、車輪210が取り付けられるフレーム220と、フレーム220に対して相対移動するボディ230と、フレーム220とボディ230との間に設けられた緩衝装置10と、を備えている。フレーム220は、第1部材を構成している。ボディ230は、第2部材を構成している。
【0075】
入力緩衝器20は、ロッド26の先端がフレーム220に取り付けられ、筒体22がボディ230に取り付けられている。なお、ロッド26の先端がボディ230に取り付けられ、筒体22がフレーム220に取り付けられていてもよい。この例では、第1衝撃吸収装置50および第2衝撃吸収装置80がそれぞれケース内に収納されている。第1衝撃吸収装置50および第2衝撃吸収装置80は、例えば車体に取り付けられている。
【0076】
車輪210の振動や衝撃が小さい場合には、第1衝撃吸収装置50により、その振動および衝撃を吸収させることができる。一方、車輪210の振動や衝撃が大きい場合には、第2衝撃吸収装置80により、その振動および衝撃を吸収させることができる。これにより、緩衝装置10は、車輪210の振動や衝撃がボディ230に伝わるのを効果的に抑制できる。
【0077】
上述した実施形態では、第2管路34および第3管路36が第1管路32に接続された場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限らず、例えば第2管路34および第3管路36が入力緩衝器20の第2室22bに直接接続されていてもよい。また、上述した実施形態では、第3管路36が第2管路34に接続された場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限らず、例えば第2管路34および第3管路36がそれぞれ別個にシリンダ装置82に接続されていてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、付勢部材77が第2筒体72の外周を巻回して設けられた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限らず、例えば付勢部材を第2筒体72の内部に設けて、第2ピストン73を直接付勢していてもよい。このことは、第2衝撃吸収装置80の付勢部材107についても同様である。
【0079】
上述した実施形態では、移動体として車両を例に挙げて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限らず、例えば移動体は、建築物やロボットなどでもよい。すなわち、緩衝装置10は、建築物やロボットの可動部などの振動や衝撃を抑制するために取り付けられてもよい。
【0080】
以上説明した実施形態によれば、使い勝手のよい緩衝装置および移動体を実現することができる。
【0081】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
第1部材と第2部材との間に設けられる入力緩衝器と、前記入力緩衝器から延び作動流体が流通する管路と、前記管路に接続された第1衝撃吸収装置および第2衝撃吸収装置と、
を備え、
前記第1衝撃吸収装置および第2衝撃吸収装置は、
前記管路に接続されるシリンダ装置と、
前記シリンダ装置内から外部に延出するロッドと、
前記ロッドの先端側に設けられるサスペンションと、
を有し、
前記シリンダ装置は、
前記管路が接続された第1室と、前記ロッドが位置する第2室と、を有する第1筒体と、
前記第1筒体内に摺動可能に設けられ、前記ロッドが連結された第1ピストンと、
を有し、
前記サスペンションは、
第2筒体と、
前記第2筒体内に摺動可能に設けられ、前記ロッドの先端に連結された第2ピストンと、
前記ロッドにより前記第2ピストンを移動させたときに前記第2ピストンを戻す方向に付勢する付勢部材と、
を有し、
前記第1衝撃吸収装置の前記第2筒体内には、前記第2ピストンが所定速度以上で移動するときに高粘度化するダイラタント流体が封入されており、
前記第2衝撃吸収装置の前記第2筒体内には、非ダイラタント流体が封入されており、
前記管路は、前記入力緩衝器と前記第2衝撃吸収装置との間にリリーフ弁を有し、
前記リリーフ弁は、
前記入力緩衝器に第1入力状態がなされている場合には、閉状態が維持され、
前記入力緩衝器に前記第1入力状態よりも大きい第2入力状態がなされて前記ダイラタント流体が高粘度化することにより前記入力緩衝器内の圧力が基準値以上となった場合には、開状態となり前記入力緩衝器から前記第2衝撃吸収装置に向けて前記作動流体が流れるのを許容する、緩衝装置。
(構成2)
前記管路は、
前記入力緩衝器と前記第1衝撃吸収装置との間を接続する第1管路と、
前記入力緩衝器と前記第2衝撃吸収装置との間を接続し、前記リリーフ弁を有する第2管路と、
前記第2衝撃吸収装置と前記入力緩衝器との間を接続し、前記第2衝撃吸収装置から前記入力緩衝器に向けてのみ前記作動流体が流れるのを許容するチェック弁を有する第3管路と、
を有する、構成1に記載の緩衝装置。
(構成3)
前記第2衝撃吸収装置の前記付勢部材のばね定数は、前記第1衝撃吸収装置の前記付勢部材のばね定数よりも小さい、構成1または2に記載の緩衝装置。
(構成4)
前記第2衝撃吸収装置の前記第2ピストンのストローク長さは、前記第1衝撃吸収装置の前記第2ピストンのストローク長さよりも大きい、構成1~3のいずれか1つに記載の緩衝装置。
(構成5)
第1部材と、
前記第1部材に対して相対移動する第2部材と、
構成1~4のいずれか1つに記載の緩衝装置と、
を備えた、移動体。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 緩衝装置
20 入力緩衝器
22 筒体
22a 第1室
22b 第2室
22c 連通孔
24 ピストン
25 シール部材
26 ロッド
30 管路
32 第1管路
34 第2管路
36 第3管路
40 バルブユニット
42 リリーフ弁
44 チェック弁
50 第1衝撃吸収装置
52、82 シリンダ装置
54、84 第1筒体
54a、84a 第1室
54b、84b 第2室
54c、84c 連通孔
56、86 第1ピストン
58、88 シール部材
60、90 ロッド
70、100 サスペンション
72、102 第2筒体
72a、102a 第1室
72b、102b 第2室
73、103 第2ピストン
73a 貫通孔
74 シール部材
75、105 受け部
76、106 フランジ
77、107 付勢部材
80 第2衝撃吸収装置
200 移動体
210 車輪
220 フレーム(第1部材)
230 ボディ(第2部材)
D ダイラタント流体
H 作動流体