IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141877
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】可変光減衰器および光スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/02 20060101AFI20230928BHJP
   G02B 6/35 20060101ALI20230928BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G02B26/02 E
G02B26/02 Z
G02B6/35
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048426
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】蘆田 雄樹
【テーマコード(参考)】
2H141
3C081
【Fターム(参考)】
2H141MA12
2H141MA13
2H141MB17
2H141MB29
2H141ME01
2H141ME04
2H141ME06
2H141ME22
2H141MZ16
3C081AA14
3C081BA22
3C081BA28
3C081BA33
3C081BA42
3C081BA48
3C081BA53
3C081DA03
3C081DA09
3C081DA27
3C081EA07
3C081EA09
(57)【要約】
【課題】出力する光の光量を変更する技術において応答速度を高める。
【解決手段】可変光減衰器は、空間位相変調素子と、第1光伝送部と、第2光伝送部と、制御部とを備えている。空間位相変調素子は、ベース部および光反射面をそれぞれ持つ複数の格子要素を有し、該複数の格子要素のベース部に対する変位のパターンのピッチおよび変位量に応じて、複数の格子要素のそれぞれの光反射面に照射された光に位相変調を施して回折光を発生させる。第1光伝送部は、第1光を伝送し、複数の格子要素のそれぞれの光反射面に向けて第1光を出射する。第2光伝送部は、空間位相変調素子によって第1光に対する位相変調で生じた0次回折光とは異なる回折光である第2光が入射され、該第2光を伝送する。制御部は、ベース部に対する複数の格子要素の変位を制御することで、空間位相変調素子から第2光伝送部に入射される第2光の光量を増減させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部および光反射面をそれぞれ持つ複数の格子要素を有し、該複数の格子要素の前記ベース部に対する変位のパターンのピッチおよび変位量に応じて、前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に照射された光に位相変調を施して回折光を発生させる空間位相変調素子と、
第1光を伝送し、前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に向けて前記第1光を出射する第1光伝送部と、
前記空間位相変調素子によって前記第1光に対する位相変調で生じた0次回折光とは異なる回折光である第2光が入射され、該第2光を伝送する第2光伝送部と、
前記ベース部に対する前記複数の格子要素の変位を制御することで、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部に入射される前記第2光の光量を増減させる制御部と、を備えている、可変光減衰器。
【請求項2】
請求項1に記載の可変光減衰器であって、
前記制御部は、前記変位のパターンのピッチを維持しつつ、前記ベース部に対する前記複数の格子要素の変位量を制御することで、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部に入射される前記第2光の光量を増減させる、可変光減衰器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の可変光減衰器であって、
前記複数の格子要素は、それぞれ第1方向に沿って延在しており且つ前記光反射面を有するとともに該第1方向に直交する第2方向に沿って並んだ複数の第1反射部、を含み、
前記第1光伝送部と前記空間位相変調素子との間に位置しており且つ前記第1光の光束の断面形状を円形状から前記第2方向に沿った細長い形状に変換して該第1光を前記複数の第1反射部のそれぞれの前記光反射面に照射させる第1光学素子部、を備えている、可変光減衰器。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の可変光減衰器であって、
前記複数の格子要素は、それぞれ前記光反射面を有するとともにマトリックス状に並んだ複数の第2反射部、を含み、
前記第1光伝送部からの前記第1光は、前記複数の第2反射部のそれぞれの前記光反射面に照射される、可変光減衰器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つの請求項に記載の可変光減衰器であって、
前記複数の格子要素に対する前記第1光の照射に応じて前記空間位相変調素子が生じる0次回折光の光路上に位置し、光を吸収する光吸収体、を備えている、可変光減衰器。
【請求項6】
ベース部および光反射面をそれぞれ持つ複数の格子要素を有し、該複数の格子要素の前記ベース部に対する変位のパターンのピッチおよび変位量に応じて、前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に照射された光に位相変調を施す空間位相変調素子と、
第1光を伝送し、前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に向けて前記第1光を出射する第1光伝送部と、
前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に対する前記第1光の照射に応じて前記空間位相変調素子から発せられる光が入射され、該光を伝送する第2光伝送部と、
前記ベース部に対する前記複数の格子要素のそれぞれの変位を制御することによって、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部への光の入射の有無を切り替える制御部と、を備えている、光スイッチ。
【請求項7】
請求項6に記載の光スイッチであって、
前記第2光伝送部とは異なる第3光伝送部、を備え、
前記制御部は、前記ベース部に対する前記複数の格子要素のそれぞれの変位を制御することによって、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部へ光が入射される第1入射状態と、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部へ光が入射されることなく、前記空間位相変調素子から前記第3光伝送部へ光が入射される第2入射状態と、の間で状態を切り替える、光スイッチ。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の光スイッチであって、
前記複数の格子要素は、それぞれ第1方向に沿って延在しており且つ前記光反射面を有するとともに該第1方向に直交する第2方向に沿って並んだ複数の第1反射部、を含み、
前記第1光伝送部と前記空間位相変調素子との間に位置しており且つ前記第1光の光束の断面形状を円形状から前記第2方向に沿った細長い形状に変換して該第1光を前記複数の第1反射部のそれぞれの前記光反射面に照射させる第1光学素子部、を備えている、光スイッチ。
【請求項9】
請求項6または請求項7に記載の光スイッチであって、
前記複数の格子要素は、それぞれ前記光反射面を有するとともにマトリックス状に並んだ複数の第2反射部、を含み、
前記第1光伝送部からの前記第1光は、前記複数の第2反射部のそれぞれの前記光反射面に照射される、光スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変光減衰器および光スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信用技術においては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子を光制御用素子として用いた機器が知られている(例えば、特許文献1,2等)。
【0003】
このMEMS素子を用いた機器としては、MEMS素子の一部に配置したミラーの傾斜角度の変更によって光の反射角度を変更することで入力光の光量から出力光の光量への減少の割合(減少率ともいう)を変化させる光減衰器(可変光減衰器ともいう)、および入力光に対する出力光の出射の有無を切り替える機器(光スイッチともいう)等が知られている。
【0004】
可変光減衰器では、例えば、2芯の光ファイバ、コリメータレンズおよびミラーが配置されたMEMS素子(MEMSミラーともいう)が用いられる。具体的には、2芯の光ファイバのうちの一方の光ファイバである入力側の光ファイバから出射される光が、コリメータレンズを通過してMEMSミラーで反射され、コリメータレンズを再度通過してもう一方の光ファイバである出力側の光ファイバへ結合される。ここで、MEMSミラーの傾斜量の制御により、出力側の光ファイバの端部に対する光の照射位置をずらすことで、出力側の光ファイバへの光の結合損失を発生させ、光量の減少率が調整される。
【0005】
光スイッチでは、例えば、可変光減衰器と同様な構成において、MEMSミラーの傾斜量の制御により、出力側の光ファイバの端部に対する光の照射の有無を切り替えることで、出力側の光ファイバを介した光の出力の有無を切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-85869号公報
【特許文献2】特開2004-85870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、MEMSミラーを用いた可変光減衰器における光量の減少率の変更、およびMEMSミラーを用いた光スイッチにおける光の出力の有無の切り替えには、1枚のMEMSミラーを機械的に傾斜させる必要がある。
【0008】
このため、MEMSミラーを用いた可変光減衰器における光量の減少率の変更、およびMEMSミラーを用いた光スイッチにおける光の出力の有無の切り替えには、例えば、1ミリ秒以上等のある程度の時間を要する。よって、MEMSミラーを用いた可変光減衰器における光量の減少率の複数回の変更、およびMEMSミラーを用いた光スイッチにおける光の出力の有無の複数回の切り替えを、ごく短時間で行うことは容易でない。
【0009】
したがって、可変光減衰器における光量の減少率の変更、および光スイッチにおける光の出力の有無の切り替えについては、応答速度を高める点で改善の余地がある。
【0010】
すなわち、可変光減衰器および光スイッチ等の出力する光の光量を変更する技術においては、応答速度を高める点で改善の余地がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、出力する光の光量を変更する技術において応答速度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、第1の態様に係る可変光減衰器は、空間位相変調素子、第1光伝送部、第2光伝送部および制御部を備えている。前記空間位相変調素子は、ベース部および光反射面をそれぞれ持つ複数の格子要素を有し、該複数の格子要素の前記ベース部に対する変位のパターンのピッチおよび変位量に応じて、前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に照射された光に位相変調を施して回折光を発生させる。前記第1光伝送部は、第1光を伝送し、前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に向けて前記第1光を出射する。前記第2光伝送部は、前記空間位相変調素子によって前記第1光に対する位相変調で生じた0次回折光とは異なる回折光である第2光が入射され、該第2光を伝送する。前記制御部は、前記ベース部に対する前記複数の格子要素の変位を制御することで、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部に入射される前記第2光の光量を増減させる。
【0013】
第2の態様に係る可変光減衰器は、第1の態様に係る可変光減衰器であって、前記制御部は、前記変位のパターンのピッチを維持しつつ、前記ベース部に対する前記複数の格子要素の変位量を制御することで、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部に入射される前記第2光の光量を増減させる。
【0014】
第3の態様に係る可変光減衰器は、第1または第2の態様に係る可変光減衰器であって、前記複数の格子要素は、それぞれ第1方向に沿って延在しており且つ前記光反射面を有するとともに該第1方向に直交する第2方向に沿って並んだ複数の第1反射部、を含み、前記第1光伝送部と前記空間位相変調素子との間に位置しており且つ前記第1光の光束の断面形状を円形状から前記第2方向に沿った細長い形状に変換して該第1光を前記複数の第1反射部のそれぞれの前記光反射面に照射させる第1光学素子部、を備えている。
【0015】
第4の態様に係る可変光減衰器は、第1または第2の態様に係る可変光減衰器であって、前記複数の格子要素は、それぞれ前記光反射面を有するとともにマトリックス状に並んだ複数の第2反射部、を含み、前記第1光伝送部からの前記第1光は、前記複数の第2反射部のそれぞれの前記光反射面に照射される。
【0016】
第5の態様に係る可変光減衰器は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る可変光減衰器であって、前記複数の格子要素に対する前記第1光の照射に応じて前記空間位相変調素子が生じる0次回折光の光路上に位置し、光を吸収する光吸収体、を備えている。
【0017】
第6の態様に係る光スイッチは、空間位相変調素子、第1光伝送部、第2光伝送部および制御部を備えている。前記空間位相変調素子は、ベース部および光反射面をそれぞれ持つ複数の格子要素を有し、該複数の格子要素の前記ベース部に対する変位のパターンのピッチおよび変位量に応じて、前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に照射された光に位相変調を施す。前記第1光伝送部は、第1光を伝送し、前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に向けて前記第1光を出射する。前記第2光伝送部は、前記複数の格子要素のそれぞれの前記光反射面に対する前記第1光の照射に応じて前記空間位相変調素子から発せられる光が入射され、該光を伝送する。前記制御部は、前記ベース部に対する前記複数の格子要素のそれぞれの変位を制御することによって、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部への光の入射の有無を切り替える。
【0018】
第7の態様に係る光スイッチは、第6の態様に係る光スイッチであって、前記第2光伝送部とは異なる第3光伝送部、を備え、前記制御部は、前記ベース部に対する前記複数の格子要素のそれぞれの変位を制御することによって、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部へ光が入射される第1入射状態と、前記空間位相変調素子から前記第2光伝送部へ光が入射されることなく、前記空間位相変調素子から前記第3光伝送部へ光が入射される第2入射状態と、の間で状態を切り替える。
【0019】
第8の態様に係る光スイッチは、第6または第7の態様に係る光スイッチであって、前記複数の格子要素は、それぞれ第1方向に沿って延在しており且つ前記光反射面を有するとともに該第1方向に直交する第2方向に沿って並んだ複数の第1反射部、を含み、前記第1光伝送部と前記空間位相変調素子との間に位置しており且つ前記第1光の光束の断面形状を円形状から前記第2方向に沿った細長い形状に変換して該第1光を前記複数の第1反射部のそれぞれの前記光反射面に照射させる第1光学素子部、を備えている。
【0020】
第9の態様に係る光スイッチは、第6または第7の態様に係る光スイッチであって、前記複数の格子要素は、それぞれ前記光反射面を有するとともにマトリックス状に並んだ複数の第2反射部、を含み、前記第1光伝送部からの前記第1光は、前記複数の第2反射部のそれぞれの前記光反射面に照射される。
【発明の効果】
【0021】
第1から第5の何れの態様に係る可変光減衰器によっても、例えば、ベース部に対する複数の格子要素の変位を制御することで、空間位相変調素子から第2光伝送部に入射される回折光の強度を増減させることができる。これにより、例えば、第1光伝送部で伝送される光の光量に対する第2光伝送部で伝送される光の光量の比率を迅速に切り替えることができる。その結果、可変光減衰器において、出力する光の光量の変更における応答速度を高めることができる。
【0022】
第5の態様に係る可変光減衰器によれば、例えば、可変光減衰器内における反射等によって0次回折光が第2光伝送部に入射する不具合が生じにくくなる。これにより、例えば、第1光伝送部で伝送される第1光の光量に対する第2光伝送部で伝送される第2光の光量の比率の切り替えの精度が高められ得る。したがって、可変光減衰器において、出力する光の光量の変更における精度が高まり得る。
【0023】
第6から第9の何れの態様に係る光スイッチによっても、例えば、ベース部に対する複数の格子要素のそれぞれの変位を制御することで、空間位相変調素子から第2光伝送部への光の入射の有無を迅速に切り替えることができる。したがって、光スイッチにおいて、出力する光量の変更における応答速度を高めることができる。
【0024】
第7の態様に係る光スイッチによれば、例えば、ベース部に対する複数の格子要素のそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子から第2光伝送部へ光が入射している状態と、空間位相変調素子から第3光伝送部へ光が入射している状態と、が迅速に切り替えられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、第1実施形態に係る可変光減衰器の構成の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る可変光減衰器の構成の一例を模式的に示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る可変光減衰器の構成の一例を模式的に示す図である。
図4図4は、空間位相変調素子に適用されるグレーティングライトバルブの構成の一例を模式的に示す平面図である。
図5図5は、空間位相変調素子に適用されるグレーティングライトバルブの構成の一例を模式的に示す断面図である。
図6図6は、空間位相変調素子に適用されるグレーティングライトバルブの構成の一例を模式的に示す断面図である。
図7図7は、空間位相変調素子に適用されるグレーティングライトバルブの動作の一例を模式的に示す図である。
図8図8は、空間位相変調素子に適用されるグレーティングライトバルブの動作の一例を模式的に示す図である。
図9図9は、空間位相変調素子に適用されるグレーティングライトバルブの動作の一例を模式的に示す図である。
図10図10は、第2実施形態に係る可変光減衰器の構成の一例を模式的に示す図である。
図11図11は、空間位相変調素子に適用される平面ライトバルブの構成の一例を模式的に示す平面図である。
図12図12は、空間位相変調素子に適用される平面ライトバルブにおける1つの反射素子およびその周辺部の構成の一例を模式的に示す断面図である。
図13図13は、空間位相変調素子に適用される平面ライトバルブにおける1つの反射素子およびその周辺部の構成の一例を模式的に示す断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図15図15は、第3実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図16図16は、第4実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図17図17は、第4実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図18図18は、第5実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図19図19は、第5実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図20図20は、第6実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図21図21は、第6実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図22図22は、第7実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図23図23は、第7実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図24図24は、第8実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
図25図25は、第8実施形態に係る光スイッチの構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の各種実施形態について説明する。これらの実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、同様な構成および機能を有する部分には同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面においては、理解を容易にするために、必要に応じて各部の寸法および数が誇張または簡略化されて図示されている。各図には、各要素の位置関係等を説明するために、右手系のXYZ直交座標系を付している。ここでは、後述する空間位相変調素子4,4Aの回折格子面(格子面ともいう)P0に沿った方向にX軸およびY軸が延びており、格子面P0の法線に沿った方向にZ軸が延びている。また、以下の説明では、矢印の先端が向く方を+(プラス)方向とし、その逆方向を-(マイナス)方向とする。
【0027】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」等)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」等)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」等)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸および面取り等を有する形状も表すものとする。1つの構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「~の上」および「~の下」とは、特に断らない限り、2つの要素が接している場合のほか、2つの要素が離れている場合も含む場合がある。「特定方向に移動させる」とは、特に断らない限りにおいて、この特定方向と平行に移動させる場合のみならず、この特定方向の成分を持つ方向に移動させることを含む場合がある。
【0028】
<1.第1実施形態>
<1-1.可変光減衰器の構成>
図1から図3は、それぞれ第1実施形態に係る可変光減衰器100の構成の一例を模式的に示す図である。図1には、可変光減衰器100のうちの制御部10以外の部分について+Y方向に平面視した一構成例が模式的に示されている。図2には、可変光減衰器100のうちの制御部10以外の部分について+X方向に平面視した一構成例が模式的に示されている。図3には、可変光減衰器100のうちの制御部10以外の部分について-X方向に平面視した一構成例が模式的に示されている。
【0029】
図1および図2では、後述する第1光L1が進行する経路である第1光L1の光路が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第1光L1の光束の中心および両端の各光路が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。図1および図3では、後述する第2光L2が進行する経路である第2光L2の光路が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第2光L2の光束の中心および両端の各光路が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。図1では、後述する第3光L3が進行する経路である第3光L3の光路が破線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第3光L3の光束の中心および両端の各光路が破線で描かれた矢印で示されている。
【0030】
可変光減衰器100は、可変光減衰器100の外部から入射される光(入射光とも入力光ともいう)を、光量を減じて可変光減衰器100の外部へ出射することが可能な機器である。
【0031】
図1から図3で示されるように、可変光減衰器100は、第1光伝送部1と、空間位相変調素子4と、第2光伝送部5と、制御部10とを備えている。また、第1実施形態では、可変光減衰器100は、第1光学素子部3を備えている。また、可変光減衰器100は、光学系2を備えている。ここでは、例えば、第1光伝送部1、空間位相変調素子4、第2光伝送部5、第1光学素子部3および光学系2は、種々の構造体によって相対的な位置および姿勢が一定となるように固定されている。図1から図3の例では、第1光伝送部1から出射される光が、光学系2と第1光学素子部3とをこの記載の順に経て空間位相変調素子4に照射され、空間位相変調素子4で生じた光が、第1光学素子部3および光学系2をこの記載の順に経て、第2光伝送部5等に入射する。
【0032】
<<第1光伝送部1>>
第1光伝送部1は、光(第1光ともいう)L1を伝送する部分である。第1光伝送部1は、例えば、可変光減衰器100の外部から入射する入射光(入力光)を第1光L1として伝送する。第1光L1には、例えば、波長λを有する光が適用される。第1光伝送部1には、光ファイバ等が適用される。光ファイバは、例えば、コアと、このコアよりも光の屈折率が低く且つコアの周囲を被覆するように位置しているクラッドとを有する。第1光伝送部1に適用される光ファイバは、コア内において長手方向に沿って第1光L1を伝送することができる。また、第1光伝送部1は、第1光L1を空間位相変調素子4に向けて出射する。例えば、第1光L1は、第1光伝送部1を構成している光ファイバの長手方向の端部(第1端部ともいう)1eから所定の広がり角で出射される。
【0033】
<<光学系2>>
光学系2は、第1光伝送部1および第2光伝送部5と、第1光学素子部3と、の間に位置している。光学系2は、光ファイバの第1端部1eから所定の広がり角で出射された第1光L1を平行光に変換する。この平行光における光の進行方向に垂直な断面は、例えば、円形状である。光学系2には、例えば、コリメータレンズ等の光学レンズが適用される。光学系2において平行光に変換された第1光L1は、第1光学素子部3に入射する。
【0034】
<<第1光学素子部3>>
第1光学素子部3は、第1光伝送部1と空間位相変調素子4との間に位置している。また、第1光学素子部3は、空間位相変調素子4と第2光伝送部5との間に位置している。図1から図3の例では、第1光伝送部1および第2光伝送部5と、空間位相変調素子4との間に、光学系2と第1光学素子部3とがこの記載の順に並んでいる。
【0035】
第1光学素子部3は、第1光L1の光束の断面形状を円形状から細長い形状に変換して空間位相変調素子4に照射させる。ここで、第1光L1の光束の断面形状における細長い形状には、後述する第2方向としての+X方向に沿った細長い形状が適用される。これにより、空間位相変調素子4に対して、光束の断面形状が第2方向としての+X方向に沿った細長い形状である第1光L1が照射される。光の光束の断面形状は、光の光束における該光の進行方向に垂直な断面の形状である。
【0036】
また、第1光学素子部3は、空間位相変調素子4によって生じる光を円形状の断面形状を有する平行光にして第2光伝送部5に向けて出射する。空間位相変調素子4によって生じる光は、後述する第2光L2であってもよいし、後述する第3光L3であってもよい。
【0037】
第1光学素子部3には、例えば、シリンダーレンズ(シリンドリカルレンズともいう)等の光学レンズが適用される。シリンダーレンズは、例えば、半円柱状の形状(蒲鉾形状ともいう)を有する。
【0038】
<<空間位相変調素子4>>
空間位相変調素子4は、第1光L1に対して位相変調を行う。これにより、例えば、空間位相変調素子4は、第2光伝送部5に向けて回折光を発生させることができる。空間位相変調素子4には、例えば、図4から図6で示される、光位相アレイの一種であるグレーティングライトバルブ(Grating Light Valve)が適用される。図4は、空間位相変調素子4に適用されるグレーティングライトバルブの構成の一例を模式的に示す平面図である。図4では、グレーティングライトバルブの構成の一部が模式的に示されている。図5および図6は、それぞれグレーティングライトバルブの構成の一例を模式的に示す断面図である。図7から図9は、それぞれ空間位相変調素子4に適用されるグレーティングライトバルブの動作の一例を模式的に示す図である。図4から図9では、グレーティングライトバルブを構成している基板41sの+Z方向側の主面(第1主面ともいう)F1に沿った第1方向が+Y方向であり、第1主面F1に沿っており且つ+Y方向に直交する第2方向が+X方向であり、第1主面F1の法線に沿った第3方向が-Z方向である。
【0039】
グレーティングライトバルブは、例えば、ベース部41と、複数のリボン状の部分(リボン状部分ともリボンともいう)42とを有する。
【0040】
ベース部41は、例えば、基板41sと、電極(第1基準電極ともいう)41eとを有する。基板41sには、例えば、シリコン基板等の板状の基板が適用される。第1基準電極41eは、基板41sの第1主面F1に沿って位置している。第1基準電極41eには、例えば、基板41sの第1主面F1上に形成された金属膜等が適用される。
【0041】
複数のリボン42は、基板41sの第1主面F1上に位置している。複数のリボン42のそれぞれは、第1方向としての+Y方向に沿って延在している細長いリボン状の形状を有する。例えば、図4で示されるように、各リボン42は、第1方向としての+Y方向に沿った長手方向と、第2方向としての+X方向に沿った短手方向とを持つ矩形状の形状を有する。各リボン42の短手方向の長さ(幅ともいう)は、例えば、2.0マイクロメートル(μm)から25.5μm程度に設定される。各リボン42の長手方向の長さは、例えば、1ミリメートル(mm)から3mm程度に設定される。複数のリボン42は、相互に接触しておらず、複数のリボン42のうちの隣り合う2つのリボン42の間には、微小な隙間が存在している。
【0042】
各リボン42には、例えば、非晶質のシリコン窒化膜等で構成された微細な構造体が適用される。複数のリボン42は、第2方向としての+X方向に沿って並んでいる。複数のリボン42の本数は、例えば、100本から4000本程度に設定される。
【0043】
各リボン42は、例えば、格子要素としての細長い帯状の反射部(第1反射部ともいう)42rと、連結部42cとを有する。換言すれば、グレーティングライトバルブは、例えば、ベース部41と、複数の格子要素としての複数の第1反射部42rとを有する。各リボン42において、第1方向としての+Y方向の中央に第1反射部42rが位置し、第1方向としての+Y方向の両端に連結部42cが位置している。換言すれば、各リボン42では、第1方向としての+Y方向において、第1の連結部42cと、第1反射部42rと、第2の連結部42cとが、この記載の順に位置している。
【0044】
複数の第1反射部42rのそれぞれは、第1方向としての+Y方向に沿って延在している。複数の第1反射部42rは、第2方向としての+X方向に沿って並んでいる。また、複数の第1反射部42rのそれぞれは、光を正反射する面(光反射面ともいう)を有する。光反射面は、例えば、第1反射部42rのうちのベース部41とは逆側に位置している。光反射面は、XY平面に平行な面である。ここでは、例えば、各リボン42の表面は、光を正反射するアルミ等の金属の薄膜によって被覆された構成を有する。これにより、例えば、各リボン42の第1反射部42rの表面は、光反射面としての機能を有する。複数の第1反射部42rのそれぞれの光反射面には、第1光伝送部1から出射された後に光学系2および第1光学素子部3を通過した第1光L1が照射される。換言すれば、第1光伝送部1は、複数の第1反射部42rのそれぞれの光反射面に向けて第1光L1を出射する。そして、各第1反射部42rの光反射面は、第1光L1を反射することができる。また、各リボン42の第1反射部42rの表面を構成している金属の薄膜は、電極(第1可動電極ともいう)としての機能を有する。
【0045】
連結部42cは、ベース部41に連結された部分である。例えば、図5で示されるように、各リボン42は、Y方向の両端部のそれぞれにおいてベース部41に連結された連結部42cを含む。換言すれば、各リボン42は、Y方向の両端部のそれぞれにおいてベース部41の第1主面F1に連結されている。さらに換言すれば、各第1反射部42rの両端部は、それぞれ連結部42cを介してベース部41に連結されている。
【0046】
ここで、複数の第1反射部42rは、空間S1を挟んでベース部41に対向している。より具体的には、各第1反射部42rは、空間S1を挟んでベース部41の第1基準電極41eに対向している。換言すれば、ベース部41の第1基準電極41eは、複数の第1反射部42rに対向している。別の観点から言えば、第1反射部42rと該第1反射部42rの両端部をベース部41に連結している2つの連結部42cとを含む構造体であるリボン42は、第1基準電極41eに接触することなく、第1基準電極41eを跨ぐように、基板41s上に架設されている。
【0047】
各リボン42は、可撓性を有する。ここでは、例えば、第1可動電極としての機能を有する第1反射部42rと、第1基準電極41eとの間に、電位差が付与されることで、第1反射部42rと第1基準電極41eとの間に、第1反射部42rを第1基準電極41eに引き寄せる静電気力が生じる。この静電気力によってリボン42が撓む。図5には、撓んでいない状態(初期状態ともいう)のリボン42が描かれており、図6には、撓んだ状態のリボン42が描かれている。図5および図6で示されるように、リボン42は、撓むことでZ方向において変位する。ここでは、例えば、リボン42が撓んでいない初期状態における第1反射部42rの位置を基準として、リボン42が撓むことで、第1反射部42rが第3方向としての-Z方向において変位する。
【0048】
グレーティングライトバルブは、例えば、制御部10からの信号に応じた静電気力によってリボン42を撓ませることで、該信号に応じた変位量だけ第1反射部42rを変位させる。グレーティングライトバルブは、例えば、制御部10からの信号に応じて複数の第1反射部42rのそれぞれに対して個別に電位を付与するためのCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ドライバ(不図示)等を有する。
【0049】
第1実施形態では、例えば、制御部10は、複数のリボン42のそれぞれについて、第1反射部42rと第1基準電極41eとの間に付与する電位差を調整することで、第1反射部42rと第1基準電極41eとの間の静電気力によってリボン42を撓ませて、第1反射部42rのベース部41に対する変位を制御することができる。
【0050】
例えば、第1基準電極41eには、0ボルト(V)から-12V等の固定の基準となる第1電位が付与され、複数の第1反射部42rのそれぞれには、第1電位以上の第2電位が付与される。第2電位は、例えば、第2電位と第1電位との差(電位差)が0Vから25V等の所定の範囲内の所望の電位差となるように設定される。例えば、第2電位は可変の電位である。複数の第1反射部42rには、例えば、相互に異なる第2電位が付与される。これにより、複数のリボン42の間で、第1反射部42rの変位量を自在に異ならせることができる。第1反射部42rと第1基準電極41eとの間に付与される電位差に応じた静電気力によってリボン42を撓ませた後に、第1反射部42rと第1基準電極41eとの間に付与される電位差が略ゼロとなると、リボン42の弾性力によって、リボン42は撓んでいない初期状態に戻る。このとき、第1反射部42rの変位量がゼロに戻る。
【0051】
図7には、複数のリボン42における複数の第1反射部42rの変位量が等しくゼロである基準の状態(基準状態ともいう)が例示されている。この場合には、複数の第1反射部42rの光反射面は、格子面P0に沿って位置しており、グレーティングライトバルブは、鏡として機能する。ここでは、グレーティングライトバルブの格子面P0は、XY面に沿った仮想的な平面である。図7では、格子面P0が二点鎖線の細線で描かれた直線状の線分で示されており、格子面P0の法線L0が一点鎖線の細線で描かれた直線状の線分で示されている。
【0052】
ここでは、仮に複数の第1反射部42rに第1光L1が照射されると、複数の第1反射部42rから第1光L1に応じた正反射光(第4光ともいう)L4が出射される。この状態について、図7には、第1光L1の光路の一例が一点鎖線で描かれた矢印で模式的に示されており、第4光L4が進行する経路である第4光L4の光路の一例が破線で描かれた矢印で模式的に示されている。ここで、図7で示されるように、鏡として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブに照射される第1光L1が進行する方向に沿った該第1光L1の経路(第1光路ともいう)Lp1と、格子面P0の法線L0とが成す角度(入射角とも第1角度ともいう)をθ1とする。また、鏡として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブによって第1光L1が正反射することで出射される正反射光(第4光)L4が進行する方向に沿った該第4光L4の経路(第4光路ともいう)Lp4と、格子面P0の法線L0とが成す角度(正反射角とも第4角度ともいう)をθ4とする。ここで、図7で示されるように、第1光路Lp1が法線L0を基準としてY軸に平行な仮想的な回転軸を中心に反時計回りに回転する方向に傾いていれば、入射角θ1が正の角度であるものとし、第4光路Lp4が法線L0を基準としてY軸に平行な仮想的な回転軸を中心に時計回りに回転する方向に傾いていれば、第4角度θ4が正の角度であるものとする。この場合には、入射角(第1角度)θ1と、正反射角(第4角度)θ4とは同一となる。
【0053】
図8および図9のそれぞれには、複数の第1反射部42rが鋸歯状のパターンを成すように、X方向において第1反射部42rの変位量が周期的に変化しており、グレーティングライトバルブがブレーズド回折格子として機能している状態が例示されている。図8および図9では、格子面P0が二点鎖線の細線で描かれた直線状の線分で示されており、格子面P0の法線L0が一点鎖線の細線で描かれた直線状の線分で示されている。また、図8および図9のそれぞれには、ブレーズド回折格子における、第2方向としての+X方向における変位の周期である格子のピッチ(格子ピッチともいう)Δ、および第3方向としての-Z方向におけるブレーズド回折格子の鋸歯状のパターンの深さ(ブレーズ深さともいう)Φが便宜的に付されている。さらに、図8および図9のそれぞれには、第1光L1の光路の一例が一点鎖線で描かれた矢印で模式的に示されており、後述する第2光L2の光路の一例が二点鎖線で描かれた矢印で模式的に示されている。図9には、後述する第3光L3の光路の一例が破線で描かれた矢印で模式的に示されている。
【0054】
図8で示された状態と図9で示された状態との間では、格子ピッチΔは同一で、ブレーズ深さΦが異なっている。グレーティングライトバルブは、例えば、複数の第1反射部42rのそれぞれに付与される第2電位の制御によって複数のリボン42の撓み量が制御されることで、格子ピッチΔおよびブレーズ深さΦが可変であるブレーズド回折格子として機能し得る。換言すれば、グレーティングライトバルブは、複数の第1反射部42rのそれぞれにおけるベース部41に対する変位量を変更することで、格子ピッチΔおよびブレーズ深さΦが異なるブレーズド回折格子として機能し得る。
【0055】
第1実施形態では、図1および図2で示されるように第1光学素子部3によって光束の断面形状が細長い形状に変換された第1光L1が、複数の格子要素としての複数の第1反射部42rのそれぞれの光反射面に照射される。より具体的には、第1光学素子部3によって光束の断面形状が細長い形状に変換された第1光L1が、複数の格子要素としての複数の第1反射部42rのそれぞれの第1方向としての+Y方向の中央部に照射される。換言すれば、第1光学素子部3によって光束の断面形状が細長い形状に変換された第1光L1は、複数の格子要素としての複数の第1反射部42rに照射される。このため、第1光学素子部3によって光束の断面形状が細長い形状に変換された第1光L1は、複数の格子要素としての複数の第1反射部42rのうちの第1方向としての-Y方向の略中央に沿った線状もしくは帯状の領域に照射される。
【0056】
ここで、ブレーズド回折格子は、鋸歯状のパターンの格子ピッチΔとブレーズ深さΦとに応じて、照射された光に位相変調を施して回折光を生じることができる。このため、グレーティングライトバルブは、複数の格子要素としての複数の第1反射部42rのベース部41に対する変位のパターンのピッチおよび変位量に応じて、複数の第1反射部42rのそれぞれの光反射面に照射された光(具体的には、第1光L1)に位相変調を施すことができる。これにより、グレーティングライトバルブは、回折光を生じることができる。変位のパターンのピッチは、複数の第1反射部42rのベース部41に対する変位の第2方向としての+X方向における繰り返しの周期であり、格子ピッチΔに対応する。
【0057】
ところで、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて、ブレーズ深さΦが、第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)に設定されている状態を想定する。ここで、図8で示されるように、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブに照射される第1光L1が進行する方向に沿った該第1光L1の経路(第1光路)Lp1と、格子面P0の法線L0とが成す角度(入射角または第1角度)をθ1とする。また、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブによって第1光L1に位相変調が施されて生じる回折光(第2光ともいう)L2が進行する方向に沿った該第2光L2の経路(第2光路ともいう)Lp2と、格子面P0の法線L0とが成す角度(第1出射角とも第2角度ともいう)をθ2とする。第2光L2としての回折光は、0次回折光以外の所望の次数の回折光である。ここでは、図8で示されるように、第1光路Lp1が法線L0を基準としてY軸に平行な仮想的な回転軸を中心に反時計回りに回転する方向に傾いていれば、入射角θ1は正の角度であり、第2光路Lp2が法線L0を基準としてY軸に平行な仮想的な回転軸を中心に時計回りに回転する方向に傾いていれば、第1出射角θ2は正の角度である。この場合には、入射角(第1角度)θ1と第1出射角(第2角度)θ2との関係は、第1光L1の波長λおよび格子ピッチΔを用いた、次の式(1)の関係を有する。
【0058】
θ2=(λ/Δ)+θ1 ・・・(1)。
【0059】
ここでは、図8で示されるように、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて、ブレーズ深さΦが、第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)に設定されていれば、回折効率が最大となる。換言すれば、第1光L1の光量に対する第2光L2の光量が最大となる。図8では、第1光L1と第2光L2との間の光量の関係を示すために、第1光路Lp1を示す一点鎖線の矢印と、第2光路Lp2を示す二点鎖線の矢印とが、ともに同一の太さで描かれている。
【0060】
図1および図3で示されるように、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブで生じた第2光L2は、第1光学素子部3および光学系2をこの記載の順に経て第2光伝送部5に入射される。このとき、空間位相変調素子4で生じた第2光L2は、第1光学素子部3で円形状の断面形状を有する平行光に変換され、この平行光に変換された第2光L2は、光学系2で集光されて、第2光伝送部5の後述する第2端部5eに入射される。ここで、第2光L2の第1出射角(第2角度)θ2は、第2光L2が第2光伝送部5に入射するように設定される。換言すれば、第1出射角(第2角度)θ2を規定する格子ピッチΔは、第2光L2が第2光伝送部5に入射するように第1光L1の波長λに応じた所定値に設定される。
【0061】
一方、図9で示されるように、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて、ブレーズ深さΦが、第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)からずれると、回折効率が低下する。これにより、第1光L1の光量に対して第2光L2の光量が減少する。この場合には、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて生じる0次回折光(第3光ともいう)L3の光量が増加する。図9では、第1光L1と第2光L2と第3光L3との間の光量の関係を示すために、第1光路Lp1を示す一点鎖線の矢印が最も太く描かれており、第2光路Lp2を示す二点鎖線の矢印が中程度の太さで描かれており、第3光路Lp3を示す破線の矢印が最も細く描かれている。ここで、例えば、鋸歯状のパターンの格子ピッチΔが一定である場合に、第1光L1の光量が一定であれば、ブレーズ深さΦにおける第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)からのずれ量に応じて、第2光L2の光量が減少するとともに、第3光L3の光量が増加する。
【0062】
ここで、図9で示されるように、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブによって第1光L1に位相変調が施されて生じる0次回折光(第3光)L3が進行する方向に沿った該第3光L3の経路(第3光路ともいう)Lp3と、格子面P0の法線L0とが成す角度(第2出射角とも第3角度ともいう)をθ3とする。ここでは、図9で示されるように、第3光路Lp3が法線L0を基準としてY軸に平行な仮想的な回転軸を中心に時計回りに回転する方向に傾いていれば、入射角θ3は正の角度である。この場合には、入射角(第1角度)θ1と、第2出射角(第3角度)θ3とは同一となる。換言すれば、第1光L1の第1光路Lp1と第3光L3の第3光路Lp3とは、格子面P0の法線L0を基準として回転対称の関係を有する。
【0063】
図1で示されるように、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブで生じた第3光L3は、第1光学素子部3および光学系2をこの記載の順に経て第2光伝送部5の第2端部5eには入射しない。換言すれば、例えば、第2光L2は、第2光伝送部5に入射し、第3光L3は、第2光伝送部5に入射しない。このとき、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブで生じた第3光L3は、第1光学素子部3で円形状の断面形状を有する平行光に変換され、この平行光に変換された第3光L3は、光学系2によって第2光伝送部5の後述する第2端部5eとは異なる位置に集光される。
【0064】
<<第2光伝送部5>>
第2光伝送部5は、入射される光を伝送する部分である。第2光伝送部5は、空間位相変調素子4における複数の第1反射部42rのそれぞれの光反射面に対する第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4から発せられる光が入射される。第1実施形態では、第2光伝送部5には、第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4から発せられる第2光L2が入射される。ここでは、第2光伝送部5には、空間位相変調素子4によって第1光L1に対する位相変調によって生じた0次回折光とは異なる回折光である第2光L2が入射される。この場合には、第2光伝送部5は、入射される第2光L2を伝送する。
【0065】
第2光伝送部5では、第2光L2を可変光減衰器100の外部に出射する光(出射光とも出力光ともいう)として伝送する。この場合には、第1光伝送部1によって伝送される第1光L1および第2光伝送部5によって伝送される第2光L2は、それぞれ同一の波長λを有する。第2光伝送部5には、第1光伝送部1と同様に、光ファイバ等が適用される。第2光伝送部5に適用される光ファイバは、第2光L2が入射される長手方向の端部(第2端部ともいう)5eを有し、コア内において長手方向に沿って第2光L2を伝送することができる。
【0066】
<<制御部10>>
制御部10は、空間位相変調素子4の動作を制御することができる。具体的には、制御部10は、空間位相変調素子4におけるベース部41に対する複数の格子要素としての複数の第1反射部42rの変位を制御することができる。そして、制御部10は、ベース部41に対する複数の第1反射部42rの変位を制御することで、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5に入射される第2光L2の光量を増減させることができる。これにより、例えば、第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率を迅速に切り替えることができる。したがって、可変光減衰器100では、出力する光の光量の変更における応答速度が高められ得る。
【0067】
例えば、制御部10は、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて、ベース部41に対する複数の第1反射部42rの変位のパターンのピッチを維持しつつ、ベース部41に対する複数の第1反射部42rの変位量を制御することで、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5に入射される第2光L2の光量を増減させることができる。ここで、変位のパターンのピッチを維持することは、繰り返しの鋸歯状の変位のパターンを規定する格子ピッチΔを維持することに対応する。ベース部41に対する複数の第1反射部42rの変位量を制御することは、繰り返しの鋸歯状の変位のパターンの深さを規定するブレーズ深さΦを制御することに対応する。
【0068】
具体的には、例えば、図8および図9で示されるように、制御部10は、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて、格子ピッチΔを維持しつつ、ブレーズ深さΦを調整するように制御することで、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5に入射される第2光L2の光量を増減させることができる。
【0069】
ここで、例えば、ブレーズ深さΦと、第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率との関係が事前に分かっていれば、制御部10によって、ブレーズ深さΦが調整されることで、第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率が制御され得る。第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率は、例えば、第2光L2の光量を第1光L1の光量で除した値によって規定されてもよいし、第1光L1の光量と第2光L2の光量との差分を第1光L1の光量で除した値によって規定されてもよい。例えば、第1光L1の光量と第2光L2の光量との差分を第1光L1の光量で除した値は、第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量から第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量への減少の割合(減少率ともいう)に対応する。
【0070】
制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、メモリおよび記憶部あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えて構成される。記憶部には、例えば、CPU等で実行可能なプログラムを格納する不揮発性の記憶媒体等が適用される。制御部10は、例えば、可変光減衰器100の外部の制御装置200からの信号または情報等に応じて、空間位相変調素子4の動作を制御する。制御装置200から制御部10に入力される信号または情報は、例えば、空間位相変調素子4におけるベース部41に対する各第1反射部42rの変位量を示す信号または情報を含む。
【0071】
制御装置200には、例えば、CPUおよび記憶部等を有するパーソナルコンピュータ等の各種のコンピュータ等が適用される。制御装置200は、例えば、可変光減衰器100における第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率に対応するブレーズド回折格子の表面形状(具体的には、格子ピッチΔおよびブレーズ深さΦ等)に応じて、空間位相変調素子4におけるベース部41に対する各第1反射部42rの変位量を示す情報を生成する。ここで、第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率と、ブレーズ深さΦとの関係は、例えば、ブレーズド回折格子による光の位相変調に係る計算式を用いた演算、シミュレーション、または可変光減衰器100の構成を用いた実験等によって求められ得る。
【0072】
ところで、例えば、背景技術で説明したMEMSミラーを用いた可変光減衰器では、第1実施形態に係る可変光減衰器100における第1反射部42rによりも大きなMEMSミラーの傾斜量が調整されることで、入力光の光量に対する出力光の光量の減少率が調整される。これに対して、第1実施形態に係る可変光減衰器100では、例えば、複数の格子要素としての複数の第1反射部42rのそれぞれが微小であるため、変位量が迅速かつ精度よく制御され得る。これにより、例えば、出力する光の光量が迅速かつ精度よく変更され得る。
【0073】
また、例えば、背景技術で説明したMEMSミラーを用いた可変光減衰器では、MEMSミラーの傾斜量を制御することで、出力側の光ファイバの端部に対する光の照射位置がずらされることで、入力光の光量に対する出力光の光量の減少率が調整される。このため、例えば、出力側の光ファイバの端部の縁に光を照射する際には、出力側の光ファイバの端部に照射する光の光束の外縁部付近における光量の揺らぎによって、入力光の光量に対する出力光の光量の減少率の制御が難しくなる。よって、背景技術で説明したMEMSミラーを用いた可変光減衰器では、入力光の光量に対する出力光の光量の減少率を高精度で制御することが可能な範囲が限られる。これに対して、第1実施形態に係る可変光減衰器100では、例えば、第2光伝送部5の第2端部5eに対して第2光L2が照射される位置を動かすことなく、第1光L1の光量に対して第2光伝送部5に入射される第2光L2の光量を減少させることができる。これにより、例えば、入力光としての第1光L1の光量に対する出力光としての第2光L2の光量の減少率を高精度で制御することが可能な範囲を広く設定することが可能となる。
【0074】
<<第1実施形態の変形例>>
第1実施形態では、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて、格子ピッチΔを維持しつつ、ブレーズ深さΦを調整するように制御することで、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5に入射される第2光L2の光量を増減させたが、これに代えて、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおける格子ピッチΔを変更することによって、第2光伝送部5の第2端部5e(例えば、出力側の光ファイバの端部)に対する光の照射位置をずらし、入力光の光量に対する出力光の光量の減少率を調整してもよい。この場合、第2光伝送部5の第2端部5eに照射する光の光束の外縁部付近における光量の揺らぎにより入力光の光量に対する出力光の光量の減少率の制御が難しい、という点は残るものの、例えば背景技術で説明したMEMSミラーを用いた可変光減衰器に比べると、出力する光の光量を迅速に変位させることができるという利点がある。また、例えば、図1で示されるように、可変光減衰器100は、複数の第1反射部42rに対する第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブが生じる0次回折光(第3光L3)の光路上に位置し、光を吸収する物体(光吸収体ともいう)6を備えていてもよい。これにより、例えば、可変光減衰器100内における反射等によって0次回折光が第2光伝送部5に入射する不具合が生じにくくなる。これにより、例えば、第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率の切り替えの精度が高められ得る。したがって、可変光減衰器100において、出力光の光量の変更における精度が高まり得る。
【0075】
図1では、光吸収体6が配置される領域の一例が細い二点鎖線で描かれた四角形で囲まれている。光吸収体6には、例えば、クロム等を用いた黒体等が適用され得る。光吸収体6は、例えば、種々の構造体によって第1光伝送部1および第2光伝送部5等に固定される。
【0076】
<1-2.第1実施形態のまとめ>
以上のように、第1実施形態に係る可変光減衰器100では、例えば、制御部10は、ベース部41に対する複数の第1反射部42rの変位を制御することで、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5に入射される第2光L2の光量を増減させることができる。これにより、例えば、第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率を迅速に切り替えることができる。したがって、可変光減衰器100では、出力する光の光量の変更における応答速度が高められ得る。
【0077】
<2.他の実施形態>
本発明は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良等が可能である。
【0078】
<2-1.第2実施形態>
上記第1実施形態において、例えば、空間位相変調素子4は、グレーティングライトバルブの代わりに光位相アレイの一種である平面ライトバルブが適用された空間位相変調素子4Aに変更されてもよい。
【0079】
図10は、第2実施形態に係る可変光減衰器100Aの構成の一例を模式的に示す図である。図10では、図1と同様に、第1光L1の光路の一例が一点鎖線で描かれた矢印で示されており、第2光L2の光路の一例が二点鎖線で描かれた矢印で示されており、第3光L3の光路の一例が破線で描かれた矢印で示されている。具体的には、第1光L1の光束の中心および両端の各光路が一点鎖線で描かれた矢印で示されており、第2光L2の光束の中心および両端の各光路が二点鎖線で描かれた矢印で示されており、第3光L3の光束の中心および両端の各光路が破線で描かれた矢印で示されている。
【0080】
可変光減衰器100Aは、上記第1実施形態に係る可変光減衰器100を基礎として、空間位相変調素子4が、平面ライトバルブが適用された空間位相変調素子4Aに変更されるとともに、第1光学素子部3が削除された構成を有する。第1光伝送部1、空間位相変調素子4A、第2光伝送部5および光学系2は、例えば、種々の構造体によって相対的な位置および姿勢が一定となるように固定されている。
【0081】
ここでは、第1光伝送部1から出射された第1光L1が光学系2で平行光に変換され、この平行光に変換された第1光L1が、空間位相変調素子4Aに照射される。また、空間位相変調素子4Aで生じる平行光の形態を有する第2光L2は、光学系2によって集光されて、第2光伝送部5の第2端部5eに入射される。また、空間位相変調素子4Aで生じる平行光の形態を有する第3光L3は、光学系2によって第2光伝送部5の第2端部5eとは異なる位置に集光される。
【0082】
図11は、空間位相変調素子4Aに適用される平面ライトバルブの構成の一例を模式的に示す平面図である。図11では、平面ライトバルブの構成の一部が示されている。図12および図13は、それぞれ空間位相変調素子4Aに適用される平面ライトバルブにおける1つの反射素子44およびその周辺部の構成の一例を模式的に示す断面図である。図11から図13では、平面ライトバルブを構成している基板43sの+Z方向側の主面(第2主面ともいう)F2に沿った第1方向が+Y方向であり、第2主面F2に沿っており且つ+Y方向に直交する第2方向が+X方向であり、第2主面F2の法線に沿った第3方向が-Z方向である。図12および図13では、後述する支持部44sの図示が便宜的に省略されている。
【0083】
空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブは、例えば、ベース部43と、複数の反射素子44とを有する。
【0084】
ベース部43は、例えば、基板43sと、電極(第2基準電極ともいう)43eとを有する。基板43sには、例えば、シリコン基板等の板状の基板が適用される。第2基準電極43eは、基板43sの第2主面F2に沿って位置している。第2基準電極43eには、例えば、基板43sの第2主面F2上に形成された金属膜が適用される。第2基準電極43eは、例えば、反射素子44ごとに設けられた電極であってもよいし、複数の反射素子44に対して共通の電極であってもよい。
【0085】
複数の反射素子44は、マトリックス状に並んでいる。より具体的には、複数の反射素子44は、基板43sの第2主面F2上においてマトリックス状に配列されている。平面ライトバルブでは、例えば、+Y方向にM個で且つ+X方向にN個の反射素子44が配置されている。ここで、MおよびNは自然数であり、MおよびNのそれぞれは、例えば、数百から数千の数値である。
【0086】
複数の反射素子44のそれぞれは、第2反射部44rと、支持部44sとを含む。換言すれば、平面ライトバルブは、例えば、複数の格子要素としてのマトリックス状に並んだ複数の第2反射部44rを有する。また、図11から図13の例では、複数の反射素子44のそれぞれは、固定反射部44fを含む。
【0087】
図11から図13で示されるように、固定反射部44fは、基板43sに固定された平面状の略矩形の部分であり、中央に略円形の開口を有する。固定反射部44fの+Z方向を向いた面(上面ともいう)は、例えば、光を正反射する光反射面(固定光反射面ともいう)を有する。
【0088】
第2反射部44rは、光を正反射する光反射面(可動光反射面ともいう)を有する。光反射面は、例えば、第2反射部44rのうちのベース部43とは逆側に位置している。光反射面は、XY平面に平行な面である。例えば、各第2反射部44rの表面は、光を正反射するアルミ等の金属の薄膜によって被覆された構成を有する。これにより、例えば、各第2反射部44rのベース部43とは逆側の表面は、光反射面としての機能を有する。第2実施形態では、第1光伝送部1からの第1光L1は、複数の第2反射部44rのそれぞれの光反射面に照射される。そして、各第2反射部44rの光反射面は、第1光L1を反射することができる。
【0089】
支持部44sは、可撓性を有しており、第2反射部44rの複数箇所をそれぞれ支持しており且つベース部43に連結されている。支持部44sには、例えば、非晶質のシリコン窒化膜等で構成された微細な構造が適用される。支持部44sは、例えば、十字状の構造体(十字状構造体ともいう)の一部によって構成される。この場合には、十字状構造体は、第2反射部44rの-Z方向の面(裏面ともいう)の一部を構成する中央部、および第2反射部44rとベース部43との間に架設された支持部44sとしての4つの端部を有する。十字状構造体の表面は、アルミ等の金属の薄膜が被覆された構成を有する。この金属の薄膜は、電極(第2可動電極ともいう)としての機能を有する。換言すれば、第2反射部44rは、第2可動電極としての機能を有する。
【0090】
ここで、第2反射部44rは、空間S1Aを挟んでベース部43に対向している。そして、各第2反射部44rは、空間S1Aを挟んでベース部43の第2基準電極43eに対向している。換言すれば、ベース部43の第2基準電極43eは、各第2反射部44rに対向している。また、支持部44sは、例えば、第2基準電極43eとは接触することなく第2反射部44rを支持している。このため、例えば、支持部44sが撓むことで、図12から図13で示されるように、第2反射部44rがベース部43に対して変位し得る。
【0091】
ここでは、例えば、第2可動電極としての機能を有する第2反射部44rと、第2基準電極43eとの間に、電位差が付与されることで、第2反射部44rと第2基準電極43eとの間に、第2反射部44rを第2基準電極43eに引き寄せる静電気力が生じる。この静電気力によって支持部44sが撓む。
【0092】
空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブは、例えば、制御部10からの信号に応じた静電気力によって支持部44sを撓ませることで、該信号に応じた変位量だけ第2反射部44rを変位させる。
【0093】
例えば、制御部10は、複数の反射素子44のそれぞれについて、第2反射部44rと第2基準電極43eとの間に付与する電位差を調整することで、第2反射部44rと第2基準電極43eとの間の静電気力によって支持部44sを撓ませて、第2反射部44rのベース部43に対する変位を制御することができる。換言すれば、制御部10は、ベース部43に対する複数の格子要素としての複数の第2反射部44rの変位を制御することができる。なお、ここでは、例えば、第2反射部44rと第2基準電極43eとの間に付与される電位差に応じた静電気力によって支持部44sを撓ませた後に、第2反射部44rと第2基準電極43eとの間に付与される電位差が略ゼロとなると、支持部44sの弾性力によって、支持部44sは撓んでいない状態に戻る。このとき、第2反射部44rの変位量がゼロに戻る。
【0094】
ここでは、+Y方向に沿って並ぶ複数の第2反射部44rの変位量は同一となるように制御される。換言すれば、マトリックス状に並ぶ複数の第2反射部44rは、Y方向に沿って並ぶ1列を成す複数の第2反射部44rが1つの単位とされて、第2反射部44rの変位量が制御される。このため、例えば、平面ライトバルブは、上述したグレーティングライトバルブにおける図8および図9で示された両状態と同様な態様で、+X方向において第2反射部44rの変位量が周期的に変化してブレーズド回折格子として機能し得る。そして、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブは、例えば、複数の第2反射部44rのそれぞれの第2可動電極に付与される電位の制御等によって複数の支持部44sの撓み量が制御されることで、格子ピッチΔおよびブレーズ深さΦが可変であるブレーズド回折格子として機能し得る。換言すれば、平面ライトバルブは、複数の第2反射部44rのそれぞれにおけるベース部43に対する変位量を変更することで、格子ピッチΔおよびブレーズ深さΦが異なるブレーズド回折格子として機能し得る。
【0095】
上述したように、ブレーズド回折格子は、鋸歯状のパターンの格子ピッチΔとブレーズ深さΦとに応じて、照射された光に位相変調を施して回折光を生じることができる。このため、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブは、複数の格子要素としての複数の第2反射部44rのベース部41に対する変位のパターンのピッチおよび変位量に応じて、複数の第2反射部44rのそれぞれの光反射面に照射された光(具体的には、第1光L1)に位相変調を施して回折光を発生させることができる。変位のパターンのピッチは、複数の第2反射部44rのベース部43に対する変位の第2方向としての+X方向における繰り返しの周期であり、格子ピッチΔに対応する。
【0096】
よって、平面ライトバルブを適用した空間位相変調素子4Aが採用された場合であっても、上記第1実施形態と同様に、制御部10は、ベース部43に対する複数の第2反射部44rの変位を制御することで、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5に入射される第2光L2の光量を増減させることができる。これにより、例えば、第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率を迅速に切り替えることができる。したがって、可変光減衰器100Aでは、出力する光の光量の変更における応答速度が高められ得る。
【0097】
例えば、制御部10は、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブにおいて、ベース部43に対する複数の第2反射部44rの変位のパターンのピッチを維持しつつ、ベース部43に対する複数の第2反射部44rの変位量を制御することで、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5に入射される第2光L2の光量を増減させることができる。ここで、変位のパターンのピッチを維持することは、繰り返しの鋸歯状の変位のパターンを規定する格子ピッチΔを維持することに対応する。ベース部43に対する複数の第2反射部44rの変位量を制御することは、繰り返しの鋸歯状の変位のパターンの深さを規定するブレーズ深さΦを制御することに対応する。このため、上記第1実施形態と同様に、制御部10は、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブにおいて、格子ピッチΔを維持しつつ、ブレーズ深さΦを調整するように制御することで、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5に入射される第2光L2の光量を増減させることができる。
【0098】
ここで、例えば、複数の第2反射部44rのそれぞれ形状は、円板状に限られず、上下面が矩形の板状等、種々の板状の形状であってもよい。
【0099】
なお、例えば、図10で示されるように、第2実施形態に係る可変光減衰器100Aは、複数の第2反射部44rに対する第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブが生じる0次回折光(第3光L3)の光路上に位置し、光を吸収する光吸収体6を備えていてもよい。例えば、光学系2によって第3光L3が集光される場所に光吸収体6が配置される。これにより、例えば、可変光減衰器100A内における反射等によって0次回折光が第2光伝送部5に入射する不具合が生じにくくなる。よって、例えば、第1光伝送部1で伝送される第1光L1の光量に対する第2光伝送部5で伝送される第2光L2の光量の比率の切り替えの精度が高められ得る。したがって、可変光減衰器100Aにおいて、出力光の光量の変更における精度が高まり得る。
【0100】
<2-2.第3実施形態>
上記第1実施形態に係る可変光減衰器100は、例えば、図14および図15で示されるように、制御部10が、この制御部10とは異なる空間位相変調素子4の動作の制御を行う制御部10Aに置換された光スイッチ300に変更されてもよい。
【0101】
図14および図15は、それぞれ第3実施形態に係る光スイッチ300の構成の一例を模式的に示す図である。図14および図15では、図1と同様に、第1光L1の光路の一例が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第1光L1の光束の中心および両端の各光路が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。図14では、図1と同様に、第2光L2の光路の一例が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第2光L2の光束の中心および両端の各光路が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。図15では、第4光L4の光路の一例が破線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第4光L4の光束の中心および両端の各光路が破線で描かれた矢印で示されている。
【0102】
制御部10Aは、例えば、上記第1実施形態に係る制御部10と同様な構成を有し、空間位相変調素子4の動作を制御することができる。具体的には、制御部10Aは、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおけるベース部41に対する複数の第1反射部42rの変位を制御することができる。そして、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第1反射部42rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5への光の入射の有無を切り替えることができる。これにより、例えば、空間位相変調素子4から第2光伝送部5への光の入射の有無を迅速に切り替えることができる。したがって、光スイッチ300において、出力する光量の変更における応答速度を高めることができる。
【0103】
第3実施形態では、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第1反射部42rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5への第2光L2の入射の有無を切り替えることができる。
【0104】
例えば、図8で示されるように、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて、格子ピッチΔが、第2光L2が第2光伝送部5に入射するように第1光L1の波長λに応じた所定値に設定され、ブレーズ深さΦが、第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)に設定されている状態(第1状態ともいう)では、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射される。
【0105】
また、例えば、図7で示されるように、複数の第1反射部42rの変位量が等しくゼロである状態(基準状態)では、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブが鏡として機能し、第2光L2を生じず、正反射光(第4光)L4を生じる。このため、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へは第2光L2が入射されない。
【0106】
この場合には、例えば、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第1反射部42rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4の状態を、ブレーズド回折格子として機能しており且つ格子ピッチΔが所定値に設定されているとともにブレーズ深さΦが第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)に設定されている第1状態と、複数の第1反射部42rの変位量が等しくゼロである基準状態との間で切り替えることができる。これにより、図14で示されるように空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射している状態と、図15で示されるように空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射していない状態との間で、状態が切り替えられる。
【0107】
図15で示される場合には、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブで生じた第4光L4は、第1光学素子部3で円形状の断面形状を有する平行光に変換され、この平行光に変換された第4光L4は、光学系2によって第2光伝送部5の第2端部5eとは異なる位置に集光される。
【0108】
なお、ここで、例えば、図15で示されるように、第3実施形態に係る光スイッチ300は、複数の第1反射部42rに対する第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブが生じる正反射光(第4光L4)の光路上に位置し、光を吸収する光吸収体6を備えていてもよい。例えば、光学系2によって第4光L4が集光される場所に光吸収体6が配置される。これにより、例えば、光スイッチ300内における反射等によって第4光L4が第2光伝送部5に入射する不具合が生じにくくなる。
【0109】
また、ここで、例えば、制御部10Aが、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて、格子ピッチΔを変更することによって、グレーティングライトバルブで生じる第2光L2の第2光路Lp2と格子面P0の法線L0とが成す角度(第2角度)θ2を変更してもよい。これにより、制御部10Aが、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射している状態と、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射していない状態との間で、状態を切り替えてもよい。
【0110】
<2-3.第4実施形態>
上記第3実施形態において、例えば、空間位相変調素子4は、グレーティングライトバルブの代わりに光位相アレイの一種である平面ライトバルブが適用された空間位相変調素子4Aに変更されてもよい。別の観点から言えば、上記第2実施形態に係る可変光減衰器100Aは、例えば、図16および図17で示されるように、制御部10が、この制御部10とは異なる空間位相変調素子4Aの動作の制御を行う制御部10Aに置換された光スイッチ300Aに変更されてもよい。
【0111】
図16および図17は、それぞれ第4実施形態に係る光スイッチ300Aの構成の一例を模式的に示す図である。図16および図17では、図14および図15と同様に、第1光L1の光路の一例が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第1光L1の光束の中心および両端の各光路が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。図16では、図14と同様に、第2光L2の光路の一例が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第2光L2の光束の中心および両端の各光路が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。図17では、図15と同様に、第4光L4の光路の一例が破線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第4光L4の光束の中心および両端の各光路が破線で描かれた矢印で示されている。
【0112】
光スイッチ300Aは、上記第3実施形態に係る光スイッチ300を基礎として、空間位相変調素子4が、平面ライトバルブが適用された空間位相変調素子4Aに変更されるとともに、第1光学素子部3が削除された構成を有する。第1光伝送部1、空間位相変調素子4A、第2光伝送部5および光学系2は、例えば、種々の構造体によって相対的な位置および姿勢が一定となるように固定されている。
【0113】
ここでは、図16および図17で示されるように、第1光伝送部1から出射された第1光L1が光学系2で平行光に変換され、この平行光に変換された第1光L1が、空間位相変調素子4Aに照射される。また、図16で示されるように、空間位相変調素子4Aで生じる平行光の形態を有する第2光L2は、光学系2で集光されて、第2光伝送部5の第2端部5eに入射される。また、図17で示されるように、空間位相変調素子4Aで生じる平行光の形態を有する第4光L4は、光学系2によって第2光伝送部5の第2端部5eとは異なる位置に集光される。
【0114】
平面ライトバルブを適用した空間位相変調素子4Aが採用された場合であっても、上記第3実施形態と同様に、制御部10Aは、例えば、空間位相変調素子4の動作を制御することができる。具体的には、制御部10Aは、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブにおけるベース部43に対する複数の第2反射部44rの変位を制御することができる。そして、制御部10Aは、ベース部43に対する複数の第2反射部44rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5への光の入射の有無を切り替えることができる。これにより、例えば、空間位相変調素子4Aから第2光伝送部5への光の入射の有無を迅速に切り替えることができる。したがって、光スイッチ300Aにおいて、出力する光量の変更における応答速度を高めることができる。
【0115】
第4実施形態では、上記第3実施形態と同様に、制御部10Aは、ベース部43に対する複数の第2反射部44rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5への第2光L2の入射の有無を切り替えることができる。例えば、制御部10Aは、ベース部43に対する複数の第2反射部44rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4Aの状態を、ブレーズド回折格子として機能しており且つ格子ピッチΔが所定値に設定されているとともにブレーズ深さΦが第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)に設定されている第1状態と、複数の第2反射部44rの変位量が等しくゼロである基準状態との間で切り替えることができる。これにより、図16で示されるように空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射している状態と、図17で示されるように空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射していない状態との間で、状態が切り替えられる。
【0116】
なお、ここで、例えば、図17で示されるように、第4実施形態に係る光スイッチ300Aは、複数の第2反射部44rに対する第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブが生じる正反射光(第4光L4)の光路上に位置し、光を吸収する光吸収体6を備えていてもよい。例えば、光学系2によって第4光L4が集光される場所に光吸収体6が配置される。これにより、例えば、光スイッチ300A内における反射等によって第4光L4が第2光伝送部5に入射する不具合が生じにくくなる。
【0117】
<2-4.第5実施形態>
上記第3実施形態において、例えば、図18および図19で示されるように、第2光伝送部5は、第2光L2が入射されず、第4光L4が入射されて該第4光L4を伝送するように配置されていてもよい。
【0118】
図18および図19は、それぞれ第5実施形態に係る光スイッチ300Bの構成の一例を模式的に示す図である。図18および図19では、図14および図15と同様に、第1光L1の光路の一例が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第1光L1の光束の中心および両端の各光路が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。図18では、図15と同様に、第4光L4の光路の一例が破線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第4光L4の光束の中心および両端の各光路が破線で描かれた矢印で示されている。図19では、図14と同様に、第2光L2の光路の一例が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第2光L2の光束の中心および両端の各光路が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。
【0119】
光スイッチ300Bは、上記第3実施形態に係る光スイッチ300を基礎として、第2光伝送部5の配置が変更された構成を有する。
【0120】
上記構成が採用されても、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第1反射部42rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5への光の入射の有無を切り替えることができる。これにより、例えば、空間位相変調素子4から第2光伝送部5への光の入射の有無を迅速に切り替えることができる。したがって、光スイッチ300Bにおいて、出力する光量の変更における応答速度を高めることができる。
【0121】
第5実施形態では、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第1反射部42rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5への第4光L4の入射の有無を切り替えることができる。例えば、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第1反射部42rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4の状態を、複数の第1反射部42rの変位量が等しくゼロである基準状態と、ブレーズド回折格子として機能しており且つ格子ピッチΔが所定値に設定されているとともにブレーズ深さΦが第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)に設定されている第1状態との間で切り替えることができる。これにより、図18で示されるように空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ第4光L4が入射している状態と、図19で示されるように空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ第4光L4が入射していない状態との間で、状態が切り替えられる。
【0122】
なお、ここで、例えば、図19で示されるように、第5実施形態に係る光スイッチ300Bは、複数の第1反射部42rに対する第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブが生じる回折光(第2光L2)の光路上に位置し、光を吸収する光吸収体6を備えていてもよい。例えば、光学系2によって第2光L2が集光される場所に光吸収体6が配置される。これにより、例えば、光スイッチ300B内における反射等によって第2光L2が第2光伝送部5に入射する不具合が生じにくくなる。
【0123】
<2-5.第6実施形態>
上記第5実施形態において、例えば、空間位相変調素子4は、グレーティングライトバルブの代わりに光位相アレイの一種である平面ライトバルブが適用された空間位相変調素子4Aに変更されてもよい。別の観点から言えば、上記第4実施形態において、例えば、図20および図21で示されるように、第2光伝送部5は、第2光L2が入射されず、第4光L4が入射されて該第4光L4を伝送するように配置されていてもよい。
【0124】
図20および図21は、それぞれ第6実施形態に係る光スイッチ300Cの構成の一例を模式的に示す図である。図20および図21では、図16および図17と同様に、第1光L1の光路の一例が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第1光L1の光束の中心および両端の各光路が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。図20では、図17と同様に、第4光L4の光路の一例が破線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第4光L4の光束の中心および両端の各光路が破線で描かれた矢印で示されている。図21では、図16と同様に、第2光L2の光路の一例が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第2光L2の光束の中心および両端の各光路が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。
【0125】
光スイッチ300Cは、上記第5実施形態に係る光スイッチ300Bを基礎として、空間位相変調素子4が、平面ライトバルブが適用された空間位相変調素子4Aに変更されるとともに、第1光学素子部3が削除された構成を有する。第1光伝送部1、空間位相変調素子4A、第2光伝送部5および光学系2は、例えば、種々の構造体によって相対的な位置および姿勢が一定となるように固定されている。
【0126】
ここでは、図20および図21で示されるように、第1光伝送部1から出射された第1光L1が光学系2で平行光に変換され、この平行光に変換された第1光L1が、空間位相変調素子4Aに照射される。また、図20で示されるように、空間位相変調素子4Aで生じる平行光の形態を有する第4光L4は、光学系2によって集光されて、第2光伝送部5の第2端部5eに入射される。また、図21で示されるように、空間位相変調素子4Aで生じる平行光の形態を有する第2光L2は、光学系2によって第2光伝送部5の第2端部5eとは異なる位置に集光される。
【0127】
平面ライトバルブを適用した空間位相変調素子4Aが採用された場合であっても、上記第5実施形態と同様に、制御部10Aは、例えば、空間位相変調素子4の動作を制御することができる。具体的には、制御部10Aは、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブにおけるベース部43に対する複数の第2反射部44rのそれぞれの変位を制御することができる。そして、制御部10Aは、ベース部43に対する複数の第2反射部44rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5への光の入射の有無を切り替えることができる。これにより、例えば、空間位相変調素子4Aから第2光伝送部5への光の入射の有無を迅速に切り替えることができる。したがって、光スイッチ300Cにおいて、出力する光量の変更における応答速度を高めることができる。
【0128】
第6実施形態では、上記第5実施形態と同様に、制御部10Aは、ベース部43に対する複数の第2反射部44rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5への第4光L4の入射の有無を切り替えることができる。例えば、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第2反射部44rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4Aの状態を、複数の第2反射部44rの変位量が等しくゼロである基準状態と、ブレーズド回折格子として機能しており且つ格子ピッチΔが所定値に設定されているとともにブレーズ深さΦが第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)に設定されている第1状態との間で切り替えることができる。これにより、図20で示されるように空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ第4光L4が入射している状態と、図21で示されるように空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ第4光L4が入射していない状態との間で、状態が切り替えられる。
【0129】
なお、ここで、例えば、図21で示されるように、第6実施形態に係る光スイッチ300Cは、複数の第2反射部44rに対する第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブが生じる回折光(第2光L2)の光路上に位置し、光を吸収する光吸収体6を備えていてもよい。例えば、光学系2によって第2光L2が集光される場所に光吸収体6が配置される。これにより、例えば、光スイッチ300B内における反射等によって第2光L2が第2光伝送部5に入射する不具合が生じにくくなる。
【0130】
<2-6.第7実施形態>
上記第3実施形態において、例えば、図22および図23で示されるように、第4光L4が入射されて該第4光L4を伝送する第3光伝送部7が加えられてもよい。
【0131】
図22および図23は、それぞれ第7実施形態に係る光スイッチ300Dの構成の一例を模式的に示す図である。図22および図23では、図14および図15と同様に、第1光L1の光路の一例が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第1光L1の光束の中心および両端の各光路が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。図22では、図14と同様に、第2光L2の光路の一例が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第2光L2の光束の中心および両端の各光路が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。図23では、図15と同様に、第4光L4の光路の一例が破線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第4光L4の光束の中心および両端の各光路が破線で描かれた矢印で示されている。
【0132】
光スイッチ300Dは、上記第3実施形態に係る光スイッチ300を基礎として、第2光伝送部5とは異なる第3光伝送部7を更に備えた構成を有する。ここでは、例えば、第1光伝送部1、空間位相変調素子4、第2光伝送部5、第1光学素子部3、光学系2および第3光伝送部7は、種々の構造体によって相対的な位置および姿勢が一定となるように固定されている。
【0133】
第3光伝送部7は、入射される光を伝送する部分である。第3光伝送部7は、空間位相変調素子4における複数の第1反射部42rのそれぞれの光反射面に対する第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4から発せられる光が入射される。第7実施形態では、第3光伝送部7には、空間位相変調素子4によって第1光L1の照射に応じて空間位相変調素子4から発せられる第4光L4が入射される。この場合には、第3光伝送部7は、入射される第4光L4を伝送する。
【0134】
第7実施形態では、第2光伝送部5が、第2光L2を光スイッチ300Dの外部に出射する光(第1の出射光とも第1の出力光ともいう)として伝送し、第3光伝送部7が、第4光L4を光スイッチ300Dの外部に出射する光(第2の出射光とも第2の出力光ともいう)として伝送する。第3光伝送部7には、第1光伝送部1および第2光伝送部5と同様に、光ファイバ等が適用される。第3光伝送部7に適用される光ファイバは、第4光L4が入射される長手方向の端部(第3端部ともいう)7eを有し、コア内において長手方向に沿って第4光L4を伝送することができる。ここでは、例えば、光学系2によって第4光L4が集光される場所に第3端部7eが配置される。
【0135】
第7実施形態では、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第1反射部42rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ光(具体的には、第2光L2)が入射される状態(第1入射状態ともいう)と、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第3光伝送部7へ光(具体的には、第4光L4)が入射される状態(第2入射状態ともいう)との間で、状態を切り替えることができる。これにより、例えば、ベース部41に対する複数の第1反射部42rの変位を制御することによって、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ光が入射している状態と、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第3光伝送部7へ光が入射している状態とが迅速に切り替えられ得る。したがって、光スイッチ300Dにおいて、出力する光量の変更における応答速度を高めることができる。
【0136】
ここでは、例えば、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第1反射部42rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4の状態を、ブレーズド回折格子として機能しており且つ格子ピッチΔが所定値に設定されているとともにブレーズ深さΦが第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)に設定されている第1状態と、複数の第1反射部42rの変位量が等しくゼロである基準状態との間で切り替えることができる。これにより、図22で示されるように空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射している状態と、図23で示されるように、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射しておらず、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第3光伝送部7へ第4光L4が入射している状態との間で、状態が切り替えられる。
【0137】
また、ここで、例えば、制御部10Aが、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブにおいて、格子ピッチΔを変更することによって、グレーティングライトバルブで生じる第2光L2の第2光路Lp2と格子面P0の法線L0とが成す角度(第2角度)θ2を変更することで、第1入射状態と第2入射状態との間で状態が切り替えられてもよい。ここでは、第1入射状態は、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ光(具体的には、第2光L2)が入射している状態である。第2入射状態は、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第2光伝送部5へ光(具体的には、第2光L2)が入射しておらず、空間位相変調素子4としてのグレーティングライトバルブから第3光伝送部7へ光(具体的には、第2光L2)が入射している状態である。
【0138】
<2-7.第8実施形態>
上記第7実施形態において、例えば、空間位相変調素子4は、グレーティングライトバルブの代わりに光位相アレイの一種である平面ライトバルブが適用された空間位相変調素子4Aに変更されてもよい。
【0139】
図24および図25は、それぞれ第8実施形態に係る光スイッチ300Eの構成の一例を模式的に示す図である。図24および図25では、図22および図23と同様に、第1光L1の光路の一例が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第1光L1の光束の中心および両端の各光路が一点鎖線で描かれた矢印で示されている。図24では、図22と同様に、第2光L2の光路の一例が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第2光L2の光束の中心および両端の各光路が二点鎖線で描かれた矢印で示されている。図25では、図23と同様に、第4光L4の光路の一例が破線で描かれた矢印で示されている。より具体的には、第4光L4の光束の中心および両端の各光路が破線で描かれた矢印で示されている。
【0140】
光スイッチ300Eは、上記第7実施形態に係る光スイッチ300Dを基礎として、空間位相変調素子4が、平面ライトバルブが適用された空間位相変調素子4Aに変更されるとともに、第1光学素子部3が削除された構成を有する。ここでは、例えば、第1光伝送部1、空間位相変調素子4A、第2光伝送部5、光学系2および第3光伝送部7は、種々の構造体によって相対的な位置および姿勢が一定となるように固定されている。
【0141】
ここでは、図24および図25で示されるように、第1光伝送部1から出射された第1光L1が光学系2で平行光に変換され、この平行光に変換された第1光L1が、空間位相変調素子4Aに照射される。また、図24で示されるように、空間位相変調素子4Aで生じる平行光の形態を有する光(具体的には、第2光L2)は、光学系2によって集光されて、第2光伝送部5の第2端部5eに入射される。また、図25で示されるように、空間位相変調素子4Aで生じる平行光の形態を有する光(具体的には、第4光L4)は、光学系2によって集光されて、第3光伝送部7の第3端部7eに入射される。
【0142】
平面ライトバルブを適用した空間位相変調素子4Aが採用された場合であっても、上記第7実施形態と同様に、制御部10Aは、ベース部43に対する複数の第2反射部44rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ光(具体的には、第2光L2)が入射される状態(第1入射状態)と、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第3光伝送部7へ光(具体的には、第4光L4)が入射される状態(第2入射状態)との間で、状態を切り替えることができる。これにより、例えば、ベース部43に対する複数の第2反射部44rの変位を制御することによって、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ光が入射している状態と、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第3光伝送部7へ光が入射している状態とが迅速に切り替えられ得る。したがって、光スイッチ300Eにおいて、出力する光量の変更における応答速度を高めることができる。
【0143】
ここでは、例えば、制御部10Aは、ベース部41に対する複数の第1反射部42rのそれぞれの変位を制御することによって、空間位相変調素子4Aの状態を、ブレーズド回折格子として機能しており且つ格子ピッチΔが所定値に設定されているとともにブレーズ深さΦが第1光L1の波長λの半分の値(=λ/2)に設定されている第1状態と、複数の第2反射部44rの変位量が等しくゼロである基準状態との間で切り替えることができる。これにより、図24で示されるように空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射している状態と、図25で示されるように、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射しておらず、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第3光伝送部7へ第4光L4が入射している状態との間で、状態が切り替えられる。
【0144】
また、ここで、例えば、制御部10Aが、ブレーズド回折格子として機能している空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブにおいて、格子ピッチΔを変更することによって、平面ライトバルブで生じる第2光L2の第2光路Lp2と格子面P0の法線L0とが成す角度(第2角度)θ2を変更することで、第1入射状態と第2入射状態との間で状態が切り替えられてもよい。ここでは、第1入射状態は、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ光(具体的には、第2光L2)が入射している状態である。第2入射状態は、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第2光伝送部5へ第2光L2が入射しておらず、空間位相変調素子4Aとしての平面ライトバルブから第3光伝送部7へ光(具体的には、第2光L2)が入射している状態である。
【0145】
<2-8.その他>
上記各実施形態において、例えば、第1光伝送部1、第2光伝送部5および第3光伝送部7のそれぞれは、1本の光ファイバに限られず、ライトガイドであってもよい。ライトガイドは、例えば、複数本の光ファイバが束ねられた構成を有していてもよいし、湾曲可能なチューブ状の部材の内周面で光を反射させることで光を伝送する構成を有していてもよいし、湾曲可能な線状の単一の透光部材の内部において光を伝送する構成を有していてもよい。湾曲可能なチューブ状の部材は、例えば、アクリル樹脂等で形成され得る。
【0146】
また、上記各実施形態において、例えば、制御部10の少なくとも一部の機能を可変光減衰器100,100Aの外部の装置に持たせてもよいし、制御部10Aの少なくとも一部の機能を光スイッチ300,300A,300B,300C,300Eの外部の装置に持たせてもよい。外部の装置には、例えば、制御装置200等が適用され得る。
【0147】
なお、上記各種実施形態および上記各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0148】
1 第1光伝送部
10,10A 制御部
100,100A 可変光減衰器
2 光学系
3 第1光学素子部
300,300A,300B,300C,300E 光スイッチ
4,4A 空間位相変調素子
41,43 ベース部
42r 第1反射部
44r 第2反射部
5 第2光伝送部
6 光吸収体
7 第3光伝送部
L1 第1光
L2 第2光
L3 第3光
L4 第4光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25