(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141882
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】カートリッジ中間体、カートリッジ中間体の製造方法、カートリッジ、及びカートリッジの製造方法
(51)【国際特許分類】
A45D 40/00 20060101AFI20230928BHJP
A45D 40/20 20060101ALI20230928BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A45D40/00 X
A45D40/20 E
A45D34/04 520C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048446
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】金高 健悟
(57)【要約】
【課題】螺合の信頼性を向上できると共に、組み付け性を向上させることができるカートリッジ中間体、カートリッジ中間体の製造方法、カートリッジ、及びカートリッジの製造方法を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るカートリッジ中間体15は、塗布体を把持する把持部13cを有し、把持部13cから延びる外周に雄螺子13bが形成されたスクリュー部13と、雄螺子13bに螺合する雌螺子12vを有し、スクリュー部13の軸線Nが延びる方向である軸線方向D1に沿って延在する筒状部12と、を備える。スクリュー部13及び筒状部12は、軸線方向D1に押されることによって破断される接続部14を介して一体に形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布体を把持する把持部を有し、前記把持部から延びる外周に雄螺子が形成されたスクリュー部と、
前記雄螺子に螺合する雌螺子を有し、前記スクリュー部の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って延在する筒状部と、
を備え、
前記スクリュー部及び前記筒状部は、前記軸線方向に押されることによって破断される接続部を介して一体に形成されている、
カートリッジ中間体。
【請求項2】
前記雌螺子は、前記筒状部の前記軸線方向の端面から突出する突出部を有する、
請求項1に記載のカートリッジ中間体。
【請求項3】
前記突出部の外周面が湾曲面とされている、
請求項2に記載のカートリッジ中間体。
【請求項4】
塗布体を把持する把持部を有し、前記把持部から延びる外周に雄螺子が形成されたスクリュー部と、
前記雄螺子に螺合する雌螺子を有し、前記スクリュー部の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って延在する筒状部と、
を備えたカートリッジ中間体の製造方法であって、
前記スクリュー部及び前記筒状部を接続部を介して一体に形成する工程と、
前記スクリュー部及び前記筒状部の少なくともいずれかを前記軸線方向に押すことによって前記接続部を破断する工程と、
を備えるカートリッジ中間体の製造方法。
【請求項5】
前記一体に形成する工程では、金型によって前記スクリュー部及び前記筒状部が前記接続部を介して一体に形成され、
前記軸線方向に延びるように前記金型のコアピンを配置する工程と、
前記コアピンの前記軸線方向の先端に接触すると共に前記コアピンの幅方向に沿って並ぶように、前記金型の一対のスライドを配置する工程と、
前記コアピン及び前記一対のスライドを含む前記金型によって画成された前記金型の空間に樹脂を流し込み、前記樹脂を硬化させて前記筒状部を形成する工程と、
を含む、
請求項4に記載のカートリッジ中間体の製造方法。
【請求項6】
塗布体を把持する把持部を有し、前記把持部から延びる外周に雄螺子が形成されたスクリュー部と、
前記雄螺子に螺合する雌螺子を有し、前記スクリュー部の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って延在する筒状部と、
前記スクリュー部及び前記筒状部の少なくとも一部を収容するスリーブと、
を備えたカートリッジであって、
前記スクリュー部及び前記筒状部の少なくともいずれかは破断跡を有し、
前記破断跡は、一体に形成されていた前記スクリュー部及び前記筒状部が分離されて形成された跡である、
カートリッジ。
【請求項7】
塗布体を把持する把持部を有し、前記把持部から延びる外周に雄螺子が形成されたスクリュー部と、
前記雄螺子に螺合する雌螺子を有し、前記スクリュー部の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って延在する筒状部と、
前記スクリュー部及び前記筒状部の少なくとも一部を収容するスリーブと、
を備えたカートリッジの製造方法であって、
前記スクリュー部及び前記筒状部を接続部を介して一体に形成する工程と、
前記スリーブの内部に前記スクリュー部及び前記筒状部の少なくとも一部を収容する工程と、
前記スクリュー部及び前記筒状部の少なくともいずれかを前記軸線方向に押すことによって前記接続部を破断する工程と、
を備えるカートリッジの製造方法。
【請求項8】
前記スクリュー部及び前記筒状部の少なくとも一部を収容する工程では、前記スリーブに対して前記スクリュー部が同期回転可能に係合し、
前記把持部に前記塗布体を把持させる工程と、
前記スリーブに対して前記筒状部を相対回転させることにより、前記雄螺子と前記雌螺子の螺合作用によって前記筒状部に前記スクリュー部を繰り戻す工程と、
を備える請求項7に記載のカートリッジの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジ中間体、カートリッジ中間体の製造方法、カートリッジ、及びカートリッジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004-57610号公報には、口紅又はリップクリーム等の収納物を収納する収納容器が記載されている。収納容器は、収納筒体と、収納物を保持する受け台と、回転操作体と、ねじ軸と、一対のねじ脚と、キャップとを備える。受け台、回転操作体、ねじ軸、及び一対のねじ脚は収納筒体に収納される。回転操作体の一部は収納筒体から露出しており、回転操作体の当該露出した部分は収納筒体に対して回転可能とされている。ねじ軸は、回転操作体から突出するように回転操作体に固定されている。
【0003】
受け台は、ねじ軸の上方において収納筒体に対して回転不能に係合する。受け台は、円筒状を呈する。一対のねじ脚は、受け台の外周の下端から下方に延在している。一対のねじ脚は、受け台の外周の下端を支点として揺動可能とされている。各ねじ脚は、受け台とは反対側の端部に雌ねじを有する。この雌ねじは、ねじ脚が受け台の径方向の内側に揺動したときにねじ軸の雄ねじに螺合する。
【0004】
収納容器に収納された状態において、一対のねじ脚のそれぞれの雌ねじはねじ軸の雄ねじに螺合している。収納容器は、受け台とねじ軸とを互いに接続する破断部を有する。収納筒体に対して回転操作体を回転操作すると、回転操作体と共にねじ軸が回転すると共に、雄ねじと雌ねじの螺合作用が働いてねじ軸に対して受け台が離隔する方向に移動する。その結果、ねじ軸と受け台とが破断部を介して破断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した収納容器では、収納容器に受け台、回転操作体、ねじ軸、及び一対のねじ脚が収納されるときに、一対のねじ脚を受け台の径方向の内側に揺動させた状態とする必要がある。ねじ脚は、ねじ軸に対して移動可能とされているので、雄ねじと雌ねじの螺合の信頼性の点で改善の余地がある。一対のねじ脚を受け台の径方向の内側に揺動させて受け台、回転操作体、ねじ軸、及び一対のねじ軸を収納筒体に収納した後には、収納筒体に対して回転操作体を回転させて破断部を破断しなければ、収納物を繰り出すことができない。従って、収納容器の組み付けが煩雑となりうるため、組み付け性の点において改善の余地がある。
【0007】
本開示は、螺合の信頼性を向上できると共に、組み付け性を向上させることができるカートリッジ中間体、カートリッジ中間体の製造方法、カートリッジ、及びカートリッジの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るカートリッジ中間体は、塗布体を把持する把持部を有し、把持部から延びる外周に雄螺子が形成されたスクリュー部と、雄螺子に螺合する雌螺子を有し、スクリュー部の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って延在する筒状部と、を備える。スクリュー部及び筒状部は、軸線方向に押されることによって破断される接続部を介して一体に形成されている。
【0009】
本開示に係るカートリッジ中間体の製造方法は、塗布体を把持する把持部を有し、把持部から延びる外周に雄螺子が形成されたスクリュー部と、雄螺子に螺合する雌螺子を有し、スクリュー部の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って延在する筒状部と、を備えたカートリッジ中間体の製造方法である。カートリッジ中間体の製造方法は、スクリュー部及び筒状部を接続部を介して一体に形成する工程と、スクリュー部及び筒状部の少なくともいずれかを軸線方向に押すことによって接続部を破断する工程と、を備える。
【0010】
このカートリッジ中間体、及びカートリッジ中間体の製造方法では、塗布体を把持する把持部及び雄螺子が形成されたスクリュー部が、当該雄螺子に螺合する雌螺子を有する筒状部と一体に形成されている。スクリュー部及び筒状部は、スクリュー部の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って延在している。スクリュー部及び筒状部は接続部を介して一体に形成されている。スクリュー部及び筒状部の少なくともいずれかが軸線方向に押されることによって接続部が破断する。スクリュー部及び筒状部の少なくともいずれかを軸線方向に押すことによって接続部を破断することが可能となるので、カートリッジ中間体の組み付けを容易に行うことができる。このカートリッジ中間体は、スクリュー部及び筒状部のいずれにも径方向等に揺動する部分を有しない。従って、接続部を破断した後に雄螺子に雌螺子を確実に螺合させることができるので、組み付け性を向上させることができると共に螺合の信頼性を向上させることができる。
【0011】
雌螺子は、筒状部の軸線方向の端面から突出する突出部を有してもよい。この場合、雌螺子が突出部を有することにより、スクリュー部の雄螺子と雌螺子との距離を短くすることが可能となる。従って、スクリュー部及び筒状部の少なくともいずれかが軸線方向に押されたときに、雄螺子と雌螺子とが勢いよく衝突することを抑制できるので、雄螺子及び雌螺子の破損を抑制できる。雌螺子が筒状部の端面から突出する突出部を有することにより、雄螺子と雌螺子を見ながら組み付けを行うことができるため、組み付けを容易に行えると共に組み付け時の不具合をより確実に抑制できる。雌螺子が筒状部の端面から突出する突出部を有することにより、筒状部に対する軸線方向へのスクリュー部の移動距離を長くできるので、塗布体をより長く繰り出すことができる。
【0012】
突出部の外周面が湾曲面とされていてもよい。この場合、スクリュー部の雄螺子に対する雌螺子の接触面積を広く確保できるので、軸線方向に押されたときに生じる雄螺子に対する雌螺子の衝突による衝撃を緩和することができる。従って、雄螺子及び雌螺子の破損をより確実に抑制できる。
【0013】
前述したカートリッジ中間体の製造方法における一体に形成する工程では、金型によってスクリュー部及び筒状部が接続部を介して一体に形成される。カートリッジ中間体の製造方法は、軸線方向に延びるように金型のコアピンを配置する工程と、コアピンの軸線方向の先端に接触すると共にコアピンの幅方向に沿って並ぶように、金型の一対のスライドを配置する工程と、コアピン及び一対のスライドを含む金型によって画成された金型の空間に樹脂を流し込み、樹脂を硬化させて筒状部を形成する工程と、を含んでもよい。この場合、コアピン及び一対のスライドにより、軸線方向の端面から突出する突出部を有する雌螺子が形成された筒状体を樹脂成形によって製造することができる。
【0014】
本開示に係るカートリッジは、塗布体を把持する把持部を有し、把持部から延びる外周に雄螺子が形成されたスクリュー部と、雄螺子に螺合する雌螺子を有し、スクリュー部の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って延在する筒状部と、スクリュー部及び筒状部の少なくとも一部を収容するスリーブと、を備えたカートリッジである。スクリュー部及び筒状部の少なくともいずれかは破断跡を有し、破断跡は、一体に形成されていたスクリュー部及び筒状部が分離されて形成された跡である。
【0015】
本開示に係るカートリッジの製造方法は、塗布体を把持する把持部を有し、把持部から延びる外周に雄螺子が形成されたスクリュー部と、雄螺子に螺合する雌螺子を有し、スクリュー部の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って延在する筒状部と、スクリュー部及び筒状部の少なくとも一部を収容するスリーブと、を備えたカートリッジの製造方法である。カートリッジの製造方法は、スクリュー部及び筒状部を接続部を介して一体に形成する工程と、スリーブの内部にスクリュー部及び筒状部の少なくとも一部を収容する工程と、スクリュー部及び筒状部の少なくともいずれかを軸線方向に押すことによって接続部を破断する工程と、を備える。
【0016】
このカートリッジ、及びカートリッジの製造方法では、スリーブの内部において、塗布体を把持する把持部及び雄螺子が形成されたスクリュー部が、当該雄螺子に螺合する雌螺子を有する筒状部と一体に形成される。カートリッジ、及びカートリッジの製造方法では、スクリュー部及び筒状部の少なくともいずれかが軸線方向に押されることによって接続部が破断し、スクリュー部及び筒状部の少なくともいずれかに破断跡が形成される。このように、スクリュー部及び筒状部の少なくともいずれかを軸線方向に押して接続部を破断することができるので、カートリッジの組み付けを容易に行うことができる。このカートリッジは、スクリュー部、筒状部及びスリーブのいずれにも径方向等に揺動する部分を有しない。従って、接続部を破断した後に雄螺子に雌螺子を確実に螺合させることができるので、組み付け性を向上させることができると共に螺合の信頼性を向上させることができる。
【0017】
スクリュー部及び筒状部の少なくとも一部を収容する工程では、スリーブに対してスクリュー部が同期回転可能に係合してもよい。カートリッジの製造方法は、把持部に塗布体を把持させる工程と、スリーブに対して筒状部を相対回転させることにより、雄螺子と雌螺子の螺合作用によって筒状部にスクリュー部を繰り戻す工程と、を備えてもよい。この場合、スリーブにスクリュー部及び筒状部を収容した後に、スクリュー部の把持部に塗布体を把持させ、スクリュー部と同期回転するスリーブに対して筒状体が相対回転することによって筒状部にスクリュー部を繰り戻すことができる。従って、スリーブの内部への塗布体の収容までの一連の組み付けを一層効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、螺合の信頼性を向上できると共に、組み付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係るカートリッジを備えた塗布容器を示す断面図である。
【
図2】(a)は、実施形態に係るカートリッジを示す断面図である。(b)は、
図2(a)のカートリッジの塗布体が前進限に達した状態を示す断面図である。
【
図3】(a)は、実施形態に係るカートリッジ中間体を示す側面図である。(b)は、
図3(a)のA-A線断面図である。
【
図4】(a)は、実施形態に係るカートリッジ中間体を
図3(a)とは異なる方向から見た側面図である。(b)は、
図4(a)のB-B線断面図である。
【
図5】実施形態に係るカートリッジ中間体におけるスクリュー部と筒状部との接続部を示す斜視図である。
【
図6】
図5の接続部が破断して形成された破断跡を有する筒状部を示す斜視図である。
【
図7】
図5の筒状体の製造工程を説明するための図である。
【
図8】(a)及び(b)は、実施形態に係るカートリッジの製造方法の工程を説明するための図である。
【
図9】(a)及び(b)は、実施形態に係るカートリッジの製造方法の工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るカートリッジ中間体、カートリッジ中間体の製造方法、カートリッジ、及びカートリッジの製造方法の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0021】
本開示において、「塗布体」は、塗布対象である被塗布部に塗布されるものを示している。「塗布体」は、例えば、化粧料、パフ、スポンジ、チップ、含浸体若しくはブラシ等の化粧料塗布具、又は、筆若しくは文房具等の描画材であってもよい。本実施形態では、塗布体が化粧料である例について説明する。
【0022】
「化粧料」は、例えば、アイライナー、アイブロウ、アイシャドウ、リップスティック、リップライナー、リップグロス、コンシーラー、ダイヤルペン又は美容スティックである。「化粧料」は、柔軟性材料(例えば、半固形状、軟固形状、ゼリー状、ムース状又はこれらを含む練り物等)を含む棒状物であってもよい。
【0023】
実施形態において、塗布容器はカートリッジを備える。「カートリッジ」は、交換可能な部品を示している。実施形態において、「カートリッジ」は、塗布容器に対して着脱可能とされている。「カートリッジ中間体」は、カートリッジを構成する部品を示している。「カートリッジ中間体」は、スクリュー部と、筒状部と、スクリュー部及び筒状部を互いに接続する接続部とを有する。「カートリッジ中間体」は、当該接続部が破断される前のカートリッジ中間体、及び当該接続部が破断された後のカートリッジ中間体、の双方を含む。
【0024】
図1は、実施形態に係るカートリッジ10を備える塗布容器1を示す断面図である。
図1に示されるように、塗布容器1は丸棒状を呈する。塗布容器1は、例えば、内部に収容された塗布体Mを使用者の操作によって繰り出す塗布体繰出容器である。一例として、塗布体Mは棒状化粧料である。塗布容器1では、塗布体Mを繰り戻すことも可能である。
【0025】
塗布容器1は、塗布容器1の軸線Lが延びる方向である軸線方向D1に沿って延在している。本実施形態において、「軸線」とは、塗布容器の軸線であって、例えば、塗布容器の長手方向に沿って延在する塗布容器の中心線を示している。「軸線方向」とは、例えば、塗布容器の長手方向であって、軸線に沿った方向、すなわち、軸線が延びる方向を示している。
【0026】
塗布容器1は、キャップ2と、塗布体Mを保持するカートリッジ10と、カートリッジ10が着脱可能とされた本体部20とを備える。キャップ2は、本体部20に着脱可能とされている。カートリッジ10は、例えば、塗布体Mを使い切った後に本体部20から外すことが可能とされている。また、本体部20に新たなカートリッジ10を装着することが可能とされている。
【0027】
本実施形態では、本体部20から見てカートリッジ10が設けられる方向、及び塗布体Mを繰り出す方向を「前」、「前側」又は「前方」とし、カートリッジ10から見て本体部20が設けられる方向、及び塗布体Mを繰り戻す方向を「後」、「後側」又は「後方」として説明する。
【0028】
キャップ2は、例えば、軸線方向D1に沿って延在する。キャップ2は、例えば、有底筒状を呈する。キャップ2は、カートリッジ10が軸線方向D1に沿って挿入される開口2bと、開口2bに挿入されたカートリッジ10の外周面に対向する内周面2cとを有する。内周面2cには、本体部20が軸線方向D1に係合する環状凹部2d及び環状凸部2fが形成されており、環状凸部2fは環状凹部2dよりもキャップ2の開口2b寄りの位置に設けられる。キャップ2の環状凹部2d及び環状凸部2fに本体部20が軸線方向D1に沿って係合することにより、本体部20にキャップ2が装着される。
【0029】
本体部20は、例えば、外筒21と、外筒21に収容される中筒22とを備える。外筒21は、カートリッジ10及び中筒22が挿入される開口21bと、開口21bに挿入された中筒22の外周面に対向する内周面21cとを有する。内周面21cには、中筒22が係合する中筒係合部21dと、カートリッジ10が係合するカートリッジ係合部21fとが形成されている。
【0030】
中筒係合部21dは、中筒22が軸線方向D1に係合する環状凹部21g及び環状凸部21hを有する。環状凸部21hは環状凹部21gよりも外筒21の開口21b寄りの位置に設けられる。カートリッジ係合部21fは、中筒係合部21dから見て開口21bとは反対側に設けられる。カートリッジ係合部21fは、カートリッジ10が外筒21の周方向に係合する複数の凸部21jを有する。複数の凸部21jは外筒21の周方向に沿って並んでいる。
【0031】
中筒22は、中筒22の軸線方向D1の一端に位置する第1開口22bと、中筒22の軸線方向D1の他端に位置する第2開口22cとを有する。第1開口22bは前方に向けられており、第2開口22cは後方に向けられている。第1開口22bにはカートリッジ10の一部(後述するスリーブ11)が挿入される。
【0032】
中筒22は、キャップ2が軸線方向D1に係合する第1環状凸部22dと、外筒21の開口21bに入り込む第2環状凸部22fと、外筒21の中筒係合部21dに軸線方向D1に係合する第3環状凸部22gとを有する。第1環状凸部22d、第2環状凸部22f及び第3環状凸部22gは、この順で軸線方向D1に沿って並んでいる。
【0033】
中筒22は、例えば、弾性変形可能とされたバネ部22hを有する。バネ部22hは、バネ部22hの内外を連通するスリット22jが形成された筒状を呈する。このようにスリット22jが形成されることにより、バネ部22hでは適度な強度を維持した上で軸線方向D1への付勢力を発揮できる。バネ部22hは、軸線方向D1に押し込まれた状態で軸線方向D1に変形可能とされている。中筒22は、第1開口22bから挿入されたカートリッジ10の外周面が対向する内周面22kを有する。中筒22は、カートリッジ10が軸線方向D1に係合する環状凸部22pを内周面22kに有する。
【0034】
次に、カートリッジ10について説明する。
図2(a)及び
図2(b)はカートリッジ10を示す断面図である。
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示されるように、カートリッジ10では、本体部20からキャップ2が外された状態において塗布体Mの繰り出し、及び塗布体Mの繰り戻しが可能とされている。
【0035】
カートリッジ10は、筒状を呈するスリーブ11と、カートリッジ中間体15とを有する。カートリッジ中間体15は、スリーブ11に挿入される筒状部12と、筒状部12の内部において軸線方向D1に沿って移動するスクリュー部13とを有する。
【0036】
スリーブ11は、塗布体Mが露出する第1開口11bと、筒状部12が挿入される第2開口11cとを有する。第1開口11bは前方に向けられ、第2開口11cは後方に向けられる。スリーブ11は、第1開口11bから延在するテーパ部11dと、中筒22に挿入される挿入部11fとを有する。テーパ部11dは挿入部11fの前方に位置する。
【0037】
スリーブ11は、テーパ部11dと挿入部11fの間に位置する段差部11gを有する。テーパ部11dの直径は、第1開口11bから段差部11gに向かうに従って大きくなっている。段差部11gは、中筒22にスリーブ11が挿入された状態において中筒22の前端22qに軸線方向D1に沿って対向する部位である。
【0038】
挿入部11fは、筒状を呈する。例えば、挿入部11fは、段差部11gにおけるスリーブ11の直径よりも小さな直径を有する円筒状を呈する。挿入部11fの外周面には、中筒22の環状凸部22pが軸線方向D1に係合する環状凹部11hが形成されている。環状凹部11hは、第2開口11cと段差部11gの間に形成されている。スリーブ11は、筒状部12に対向する内周面11jを有する。内周面11jには、筒状部12が軸線方向D1に係合する環状凸部11k及び環状凹部11pが形成されている。環状凸部11kは、環状凹部11pよりも第2開口11c寄りの位置に設けられる。
【0039】
筒状部12は、スリーブ11に挿入される挿入部12bと、スリーブ11に挿入部12bが挿入された状態でカートリッジ10の外部に露出する露出部12cとを有する。挿入部12bは露出部12cから前方に延在する。例えば、露出部12cの外径は、挿入部12bの外径よりも大きい。
【0040】
図3(a)は、カートリッジ中間体15を示す側面図である。
図3(b)は、
図3(a)のA-A線断面図である。
図3(a)及び
図3(b)は、本体部20に装着される前の状態におけるカートリッジ中間体15を示している。本体部20に装着された状態ではスクリュー部13の一部が筒状部12に入り込んでいる。
【0041】
カートリッジ中間体15は、筒状部12と、スクリュー部13と、筒状部12及びスクリュー部13を互いに接続する接続部14とを有する。そして、本体部20に装着される前には、スクリュー部13は筒状部12に入り込んでおらず、接続部14を介してスクリュー部13が筒状部12に接続されている。接続部14は、筒状部12及びスクリュー部13の少なくともいずれかが軸線方向D1に押されることによって破断される部位である。本体部20に装着される前には、筒状部12及びスクリュー部13は、接続部14を介して一体に形成されている。
【0042】
スクリュー部13は、スクリュー部13の回転軸線に相当する軸線Nを有し、筒状部12は軸線Nに沿って延在する。カートリッジ中間体15がスリーブ11に装着された状態においてスクリュー部13の軸線Nは前述した軸線Lと一致する。筒状部12は、例えば、本体部20に係合する本体部係合部12dを有する。
【0043】
本体部係合部12dは露出部12cに設けられる。本体部係合部12dは、筒状部12の周方向に沿って並ぶ複数の凸部12fを有する。本体部係合部12dは、複数の凸部12fのそれぞれが当該周方向に沿って並ぶ2つの凸部21jの間に入り込むことにより、外筒21に当該周方向に係合する。
【0044】
挿入部12bは、例えば、段付き筒状を呈する。挿入部12bは、スリーブ11の内周面に対向する外周面12gを有する。外周面12gには、スリーブ11に軸線方向D1に係合する係合部12hと、スリーブ11の内周面に当接する当接部12jとが形成されている。
【0045】
係合部12hは、後方に向かうに従って筒状部12が拡径するように傾斜する傾斜面12kと、傾斜面12kの後部に位置する環状凸部12pとを有する。筒状部12は、傾斜面12k及び環状凸部12pが環状凸部11kを乗り越えて環状凹部11pに嵌まることにより、スリーブ11に軸線方向D1に係合する。
【0046】
当接部12jは、筒状部12の径方向に貫通するコの字状のスリット12qと、筒状部12の径方向の外側に突出する突出部12rとを有する。スリット12qは、軸線方向D1に延びると共に筒状部12の周方向に沿って並ぶ一対の第1スリット部12sと、一対の第1スリット部12sの後端において筒状部12の周方向に延在する第2スリット部12tとによって構成されている。突出部12rは、一対の第1スリット部12sの間に設けられる。すなわち、コの字状のスリット12qの内側に突出部12rが設けられる。よって、突出部12rは、筒状部12の径方向に弾性を有する。
【0047】
スクリュー部13は、筒状部12から軸線方向D1に沿って延びる雄螺子13bと、雄螺子13bから見て筒状部12とは反対側の端部において塗布体Mを把持する把持部13cとを有する。雄螺子13bは、把持部13cから延びるスクリュー部13の外周に形成されている。雄螺子13bは、スクリュー部13の外周において螺旋状に延在するねじ山である。
【0048】
把持部13cは、例えば、雄螺子13bが接続された基部13dと、基部13dから雄螺子13bの反対側に延びる複数の爪部13fとを有する。基部13dは、スリーブ11の内周面に形成された凸部11qにスリーブ11の周方向に係合する。なお、理解の容易化のため、
図2等において凸部11qは破線で示されている。把持部13cはスリーブ11に対するスクリュー部13の回り止めとして機能する。よって、スクリュー部13はスリーブ11に対して同期回転可能に係合する。
【0049】
把持部13cは、スクリュー部13の周方向に沿って並ぶ複数の爪部13fを有する。各爪部13fは基部13dから前方に延び出している。例えば、爪部13fの厚さは前方に向かうに従って薄くなっている。把持部13cでは、スクリュー部13の周方向に沿って並ぶ複数の爪部13fの内側の空間に塗布体Mが把持される。
【0050】
図4(a)は、
図3(a)とは異なる方向から見たカートリッジ中間体15を示す側面図である。
図4(b)は、
図4(a)のB-B線断面図である。
図4(b)に示されるように、爪部13fの径方向内側には軸線方向D1に沿って延びる突部13gが形成されている。把持部13cでは、各爪部13fの突部13gが塗布体Mに食い込むことにより、塗布体Mをより強固に把持することが可能である。
【0051】
筒状部12は、スクリュー部13の雄螺子13bに螺合する雌螺子12vを有する。筒状部12は、例えば、複数(一例として2つ)の雌螺子12vを有する。複数の雌螺子12vは、例えば、筒状部12の径方向に沿って並んでいる。しかしながら、雌螺子12vの数及び配置態様は上記の例に限定されない。
【0052】
一例として、
図3(b)に示されるように、前方から見た場合において雌螺子12vは球状を呈する。雌螺子12vは、例えば、筒状部12の軸線方向D1の端面12wから突出する突出部12xを有する。また、雌螺子12vは、端面12wに対し、前方に突出すると共に筒状部12の径方向の内側に突出している。雌螺子12vの外周面は、例えば、湾曲面とされている。
【0053】
筒状部12に対してスリーブ11及びスクリュー部13が相対回転すると、雌螺子12vに対して雄螺子13bが螺旋状に移動することによってスクリュー部13が筒状部12に対して軸線方向D1に移動する。これにより、スクリュー部13の把持部13cに把持された塗布体Mが軸線方向D1に移動するので、塗布体Mの繰り出し及び繰り戻しが可能となる。
【0054】
前述したように、カートリッジ中間体15がスリーブ11に装着される前において筒状部12及びスクリュー部13は接続部14を介して一体に形成されている。
図5は、筒状部12の端面12wの周囲を拡大した斜視図である。
図3(b)及び
図5に示されるように、カートリッジ中間体15は、例えば、複数の接続部14を有する。
【0055】
例えば、筒状部12の周方向に沿って複数の接続部14が並ぶように配置されている。一例として、筒状部12の周方向における一対の雌螺子12vの間に接続部14が配置されている。例えば、カートリッジ中間体15は4つの接続部14を有し、軸線方向D1に直交する断面において4つの接続部14が放射状に配置されていてもよい。筒状部12の周方向における接続部14の厚さは、筒状部12の径方向の外側に向かうに従って薄くなっている。例えば、接続部14は、筒状部12の径方向の外側に向かうに従って幅が狭くなる台形状を呈する。
【0056】
図5及び
図6に示されるように、接続部14は、筒状部12及びスクリュー部13が軸線方向D1に沿って互いに接近する方向に外力を受けるときに破断する。そして、筒状部12及びスクリュー部13の少なくともいずれかは、接続部14が破断して形成された跡である破断跡16を有する。破断跡16は、一体に形成されていたスクリュー部13及び筒状部12が分離されて形成された跡である。
図6は、筒状部12に形成された破断跡16を示している。
【0057】
例えば、破断跡16は、台形状の接続部14の幅狭とされた部分が破断されて形成されている。一例として、破断跡16は、軸線方向D1に沿って延びる長辺、及び筒状部12の周方向に沿って延びる短辺を有する長方形状を呈する。このように接続部14が破断して破断跡16が形成された状態で筒状部12及びスクリュー部13は互いに分離する。
【0058】
次に、本実施形態に係るカートリッジ中間体15の製造方法、及びカートリッジ10の製造方法について説明する。まず、カートリッジ中間体15の製造方法では、筒状部12を製造する(筒状部を製造する工程)。
図7は、筒状部12を製造する方法を模式的に示す筒状部12の断面斜視図である。筒状部12は、例えば、コアピンB1及びスライドB2を含む金型Bによって射出成形される。
図7では、説明の便宜上、筒状部12を実線で描くと共に、金型Bを破線で簡略化して描いている。また、筒状部12の幅方向D2の両側には、スライドB2とは別の一対のスライド金型が設けられている。当該スライド金型は、スライドB2と一体であってもよいし、スライドB2とは別体であってもよい。なお、
図7では、便宜上、当該一対のスライド金型の図示を省略している。
【0059】
まず、軸線方向D1に延びるように金型BのコアピンB1を配置する(コアピンを配置する工程)。次に、コアピンB1の先端B11に接触すると共にコアピンB1の幅方向D2に沿って並ぶように一対のスライドB2を配置する(一対のスライドを配置する工程)。そして、コアピンB1、一対のスライドB2、及び前述した一対のスライド金型によって画成された金型Bの内部空間に溶融樹脂を流し込み、当該溶融樹脂を硬化させることによって筒状部12を形成する(筒状部を形成する工程)。
【0060】
このとき、コアピンB1及びスライドB2によって画成される金型Bの内部空間には、スクリュー部13及び接続部14の樹脂成形のための領域も形成されているので、筒状部12及びスクリュー部13が接続部14を介して一体に形成される(一体に形成する工程)。
【0061】
次に、カートリッジ10の製造方法について説明する。
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、スリーブ11にカートリッジ中間体15を挿入する。すなわち、スリーブ11の内部にスクリュー部13及び筒状部12を収容する(スクリュー部及び筒状部の少なくとも一部を収容する工程)。このとき、スリーブ11の後方からスクリュー部13を挿入し、スリーブ11の内周面に形成された凸部11qに把持部13cが筒状部12の周方向に係合する。そして、基部13dの前端をスリーブ11の内周面に形成された突出部11rに当接させて、スリーブ11に対するスクリュー部13の位置を前進限とする。このとき、筒状部12の露出部12cの前端12yは、スリーブ11の後端11sから離隔している。
【0062】
続いて、スクリュー部13及び筒状部12の少なくともいずれかを軸線方向D1に押して接続部14を破断する。例えば、
図8(b)及び
図9(a)に示されるように、筒状部12を軸線方向D1(一例として前方)に押して接続部14を破断させる(接続部を破断する工程)。
【0063】
このとき、筒状部12に破断跡16が形成されると共にスクリュー部13から筒状部12が分離して、筒状部12及びスクリュー部13が互いに独立して移動可能な状態となる。また、筒状部12の露出部12cがスリーブ11に対して前進し、露出部12cの前端12yがスリーブ11の後端11sに接触する。
【0064】
そして、スクリュー部13の把持部13cに塗布体Mを把持させる(塗布体を把持させる工程)。具体的には、把持部13cの複数の爪部13fの間に塗布体Mを差し込んで把持部13cに塗布体Mを保持させる。なお、
図9(a)及び
図9(b)では、説明の便宜上、塗布体Mの図示を省略している。
【0065】
その後、スリーブ11及びスクリュー部13に対して筒状部12を相対回転させることにより、雄螺子13bと雌螺子12vの螺合作用を働かせて筒状部12にスクリュー部13を繰り戻す(スクリュー部を繰り戻す工程)。以上の工程を経てカートリッジ中間体15の製造方法、及びカートリッジ10の製造方法の一連の工程が完了する。
【0066】
次に、本実施形態に係るカートリッジ中間体15、カートリッジ10、カートリッジ中間体15の製造方法、及びカートリッジ10の製造方法から得られる作用効果について説明する。カートリッジ中間体15、及びカートリッジ中間体15の製造方法では、塗布体Mを把持する把持部13c及び雄螺子13bが形成されたスクリュー部13が、雄螺子13bに螺合する雌螺子12vを有する筒状部12と一体に形成されている。スクリュー部13及び筒状部12は、スクリュー部13の軸線Nが延びる方向である軸線方向D1に沿って延在している。スクリュー部13及び筒状部12は接続部14を介して一体に形成されている。スクリュー部13及び筒状部12の少なくともいずれかが軸線方向D1に押されることによって接続部14が破断する。
【0067】
スクリュー部13及び筒状部12の少なくともいずれかを軸線方向D1に押すことによって接続部14を破断することが可能となるので、カートリッジ中間体15の組み付けを容易に行うことができる。カートリッジ中間体15は、スクリュー部13及び筒状部12のいずれにも径方向等に揺動する部分を有しない。従って、接続部14を破断した後に雄螺子13bに雌螺子12vを確実に螺合させることができるので、組み付け性を向上させることができると共に螺合の信頼性を向上させることができる。
【0068】
前述したように、雌螺子12vは、筒状部12の軸線方向D1の端面12wから突出する突出部12xを有してもよい。この場合、雌螺子12vが突出部12xを有することにより、スクリュー部13の雄螺子13bと雌螺子12vとの距離を短くすることが可能となる。
【0069】
従って、スクリュー部13及び筒状部12の少なくともいずれかが軸線方向D1に押されたときに雄螺子13bと雌螺子12vとが勢いよく衝突することを抑制できるので、雄螺子13b及び雌螺子12vの破損を抑制できる。また、雌螺子12vが筒状部12の端面12wから突出する突出部12xを有することにより、雄螺子13bと雌螺子12vを見ながら組み付けを行うことができるため、組み付けを容易に行えると共に組み付け時の不具合をより確実に抑制できる。さらに、雌螺子12vが筒状部12の端面12wから突出する突出部12xを有することにより、筒状部12に対する軸線方向D1へのスクリュー部13の移動距離を長くできるので、塗布体Mをより長く繰り出すことができる。
【0070】
前述したように、突出部12xの外周面が湾曲面とされていてもよい。この場合、スクリュー部13の雄螺子13bに対する雌螺子12vの接触面積を広く確保できるので、軸線方向D1に押されたときに生じる雄螺子13bに対する雌螺子12vの衝突による衝撃を緩和することができる。従って、雄螺子13b及び雌螺子12vの破損をより確実に抑制できる。
【0071】
前述したカートリッジ中間体15の製造方法における一体に形成する工程では、金型Bによってスクリュー部13及び筒状部12が接続部14を介して一体に形成される。カートリッジ中間体15の製造方法は、軸線方向D1に延びるように金型BのコアピンB1を配置する工程と、コアピンB1の軸線方向D1の先端B11に接触すると共にコアピンB1の幅方向D2に沿って並ぶように、金型Bの一対のスライドB2を配置する工程と、コアピンB1及び一対のスライドB2を含む金型Bによって画成された空間に樹脂を流し込み、樹脂を硬化させて筒状部12を形成する工程と、を含んでもよい。この場合、コアピンB1及び一対のスライドB2により、軸線方向D1の端面12wから突出する突出部12xを有する雌螺子12vが形成された筒状部12を樹脂成形によって製造することができる。
【0072】
本実施形態に係るカートリッジ10、及びカートリッジ10の製造方法では、スリーブ11の内部において、塗布体Mを把持する把持部13c及び雄螺子13bが形成されたスクリュー部13が、雄螺子13bに螺合する雌螺子12vを有する筒状部12と一体に形成される。カートリッジ10、及びカートリッジ10の製造方法では、スクリュー部13及び筒状部12の少なくともいずれかが軸線方向D1に押されることによって接続部14が破断し、スクリュー部13及び筒状部12の少なくともいずれかに破断跡16が形成される。
【0073】
このように、スクリュー部13及び筒状部12の少なくともいずれかを軸線方向D1に押して接続部14を破断することができるので、カートリッジ10の組み付けを容易に行うことができる。カートリッジ10は、スクリュー部13、筒状部12及びスリーブ11のいずれにも径方向等に揺動する部分を有しない。従って、接続部14を破断した後に雄螺子13bに雌螺子12vを確実に螺合させることができるので、組み付け性を向上させることができると共に螺合の信頼性を向上させることができる。
【0074】
前述したように、スクリュー部13及び筒状部12を収容する工程では、スリーブ11に対してスクリュー部13が同期回転可能に係合してもよい。カートリッジ10の製造方法は、把持部13cに塗布体Mを把持させる工程と、スリーブ11に対して筒状部12を相対回転させることにより、雄螺子13bと雌螺子12vの螺合作用によって筒状部12にスクリュー部13を繰り戻す工程と、を備えてもよい。この場合、スリーブ11にスクリュー部13及び筒状部12を収容した後に、スクリュー部13の把持部13cに塗布体Mを把持させ、スクリュー部13と同期回転するスリーブ11に対して筒状部12が相対回転することによって筒状部12にスクリュー部13を繰り戻すことができる。従って、スリーブ11の内部への塗布体Mの収容までの一連の組み付けを一層効率よく行うことができる。
【0075】
以上、本開示に係るカートリッジ中間体、カートリッジ中間体の製造方法、カートリッジ、及びカートリッジの製造方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係るカートリッジ中間体、カートリッジ中間体の製造方法、カートリッジ、及びカートリッジの製造方法は、前述の実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、カートリッジ中間体又はカートリッジを構成する部品の構成、形状、大きさ、数、材料及び配置態様、並びに、カートリッジ中間体の製造方法又はカートリッジの製造方法の工程の内容及び順序は、前述した実施形態に限られず適宜変更可能である。
【0076】
例えば、前述の実施形態では、外筒21及び中筒22を有する本体部20に装着されるカートリッジ10について説明した。しかしながら、カートリッジが取り付けられる本体部の構造は、外筒21及び中筒22を有するものに限られず適宜変更可能である。前述の実施形態では、内部に収容された塗布体Mを使用者の操作によって繰り出す塗布体繰出容器である塗布容器1を構成するカートリッジ10について説明した。しかしながら、カートリッジは、塗布材繰出容器以外の塗布容器を構成するものであってもよい。例えば、カートリッジは、ノック式等の機械的な押出機構を備えた塗布容器を構成するものであってもよいし、スクイーズ式の押出機構を備えた塗布容器を構成するものであってもよい。
【0077】
前述の実施形態では、塗布体Mが棒状化粧料である例について説明した。しかしながら、塗布体は棒状化粧料以外のものであってもよい。例えば、塗布体は、液状化粧料等の液体を含浸するブラシ、筆又はスポンジ等であってもよい。更に、塗布容器は、化粧料容器以外の容器であってもよく、塗布体として描画材を備える筆記具、デザイン用ペンシル又は文房具等であってもよい。このように、本開示に係るカートリッジの塗布体は、種々の容器に適用させることが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1…塗布容器、2…キャップ、2b…開口、2c…内周面、2d…環状凹部、2f…環状凸部、10…カートリッジ、11…スリーブ、11b…第1開口、11c…第2開口、11d…テーパ部、11f…挿入部、11g…段差部、11h…環状凹部、11j…内周面、11k…環状凸部、11p…環状凹部、11q…凸部、11r…突出部、11s…後端、12…筒状部、12b…挿入部、12c…露出部、12d…本体部係合部、12f…凸部、12g…外周面、12h…係合部、12j…当接部、12k…傾斜面、12p…環状凸部、12q…スリット、12r…突出部、12s…第1スリット部、12t…第2スリット部、12v…雌螺子、12w…端面、12x…突出部、12y…前端、13…スクリュー部、13b…雄螺子、13c…把持部、13d…基部、13f…爪部、13g…突部、14…接続部、15…カートリッジ中間体、16…破断跡、20…本体部、21…外筒、21b…開口、21c…内周面、21d…中筒係合部、21f…カートリッジ係合部、21g…環状凹部、21h…環状凸部、21j…凸部、22…中筒、22b…第1開口、22c…第2開口、22d…第1環状凸部、22f…第2環状凸部、22g…第3環状凸部、22h…バネ部、22j…スリット、22k…内周面、22p…環状凸部、22q…前端、B…金型、B1…コアピン、B2…スライド、B11…先端、D1…軸線方向、D2…幅方向、L…軸線、M…塗布体、N…軸線。