IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヴァレオジャパンの特許一覧

<>
  • 特開-車両用空調装置 図1
  • 特開-車両用空調装置 図2
  • 特開-車両用空調装置 図3
  • 特開-車両用空調装置 図4
  • 特開-車両用空調装置 図5
  • 特開-車両用空調装置 図6
  • 特開-車両用空調装置 図7
  • 特開-車両用空調装置 図8
  • 特開-車両用空調装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141886
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/24 20060101AFI20230928BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20230928BHJP
   B60H 3/06 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B60H1/24 661A
B60H1/00 102F
B60H3/06 611A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048452
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】泉川 志郎
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA09
3L211BA21
3L211BA51
3L211DA03
3L211DA04
3L211DA93
(57)【要約】
【課題】本開示は、送風機から吹出される空気の風量又は風速などに左右されることなく、粒子センサに安定した空気が供給されることで、正確に粒子濃度を測定することができる粒子センサを備えた車両用空調装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態に係る車両用空調装置1は、インペラを収容し内部を空気が通流するスクロールハウジング30と、モータハウジングに収容されたモータと、モータ冷却用通路70と、粒子センサ2と、を備える車両用空調装置において、スクロールハウジングは、舌部34bと、スクロールハウジングの周壁のうち舌部の下流側の壁に設けられた冷却風分岐孔36と、を有し、モータ冷却用通路は、冷却風分岐孔と連通するとともに空気流出口71を有し、粒子センサは、センサ筐体2aと空気流出口から流出した空気を取り込む空気取込口2bとを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラ(51)を収容し内部を空気が通流するスクロールハウジング(30)と、前記インペラ(51)を回転駆動する回転軸を有しモータハウジング(50)に収容されたモータ(52)と、前記スクロールハウジング(30)を通流する空気の一部を前記モータ(52)を冷却する冷却風として通流させるモータ冷却用通路(70)と、粒子センサ(2)と、を備える車両用空調装置(1)において、
前記スクロールハウジング(30)は、舌部(34b)と、前記スクロールハウジング(30)の周壁(34)のうち前記舌部(34b)の下流側の壁(34d)に設けられた冷却風分岐孔(36)と、を有し、
前記モータ冷却用通路(70)は、前記冷却風分岐孔(36)と連通するとともに空気流出口(71)を有し、
前記粒子センサ(2)は、センサ筐体(2a)と該センサ筐体(2a)に設けられて前記空気流出口(71)から流出した空気を取り込む空気取込口(2b)とを有することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記車両用空調装置(1)は、前記スクロールハウジング(30)の空気流の上流側に連接してフィルタ(25)を収容するフィルタハウジング(20)を有し、
前記スクロールハウジング(30)は、前記フィルタ(25)を通過した空気を吸い込む吸込口(31)を有する第1壁(32)と、該第1壁(32)に対向する第2壁(33)と、前記第1壁(32)及び前記第2壁(33)の周縁部同士を連接する渦巻き状の前記周壁(34)と、を有し、
前記フィルタハウジング(20)は、前記フィルタ(25)の着脱方向に開口するフィルタ挿入口(21)と、該フィルタ挿入口(21)側に設けられた角部(26(26a,26b))と、を有し、該角部(26(26a,26b))は、前記スクロールハウジング(30)の前記周壁(34)よりも外側に軒状に延出しており、かつ、前記角部(26(26a,26b))として前記舌部(34b)の近傍に位置する第1角部(26a)と前記角部(26(26a,26b))のうち前記第1角部(26a)とは異なる第2角部(26b)とを有し、
前記粒子センサ(2)が占める空間は、前記角部(26(26a,26b))から前記回転軸の軸方向に沿って前記周壁(34)側に延びる軒下空間(40(41,42))のうち前記第1角部(26a)の軒下空間(41)又は前記第2角部(26b)の軒下空間(42)と重複していることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記粒子センサ(2)の占める空間は、前記第1角部(26a)の軒下空間(41)と重複しており、
前記車両用空調装置(1)は、前記冷却風分岐孔(36)を介して前記スクロールハウジング(30)と連通するモータ冷却用空気導入室(60)を有し、
前記モータ冷却用通路(70)は、前記モータ冷却用空気導入室(60)を兼ねており、
前記空気流出口(71)は、前記モータ冷却用空気導入室(60)の壁のうち前記冷却風分岐孔(36)が設けられた前記周壁(34)に対向する対向壁(62)に設けられ、
前記車両用空調装置(1)は、前記対向壁(62)の外面と、該対向壁(62)の外面から筒状に突出する筒部(80)と、前記粒子センサ(2)と、で囲まれた空気流緩衝空間(90)を有し、
前記空気流出口(71)及び前記空気取込口(2b)は前記空気流緩衝空間(90)に開口していることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記空気流出口(71)の中心を通る法線(L1)と前記空気取込口(2b)の中心を通る法線(L2)とは互いにずれていることを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記車両用空調装置(1)は、前記筒部(80)の内壁面から突出し、かつ、前記空気流緩衝空間(90)を、前記空気流出口(71)を含む第1空間(98)と前記空気取込口(2b)を含む第2空間(99)とに区画するリブ(83)と、該リブ(83)に設けられて前記第1空間(98)と前記第2空間(99)とを連通させる連通孔(84)と、を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記車両用空調装置(1)は、前記筒部(80)に設けられた少なくとも一つの排出孔(91,92,93)を有し、
前記空気流出口(71)から取り出された空気の一部は、前記排出孔(91,92,93)を通って前記空気流緩衝空間(90)の外に排出されることを特徴とする請求項3~5のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記空気流出口(71)の面積をS0、前記排出孔(91,92,93)の合計面積をSdとしたとき、S0<Sdの関係を満たすことを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記車両用空調装置(1)は、前記筒部(80)の内壁面から突出し、かつ、前記空気流緩衝空間(90)を、前記空気流出口(71)を含む第1空間(98)と前記空気取込口(2b)を含む第2空間(99)とに区画するリブ(83)と、該リブ(83)に設けられて前記第1空間(98)と前記第2空間(99)とを連通させる連通孔(84)と、前記筒部(80)に設けられた排出孔(91,92,93)と、を有し、
前記空気流出口(71)から取り出された空気の一部は、前記排出孔(91,92,93)を通って前記空気流緩衝空間(90)の外に排出され、
前記排出孔(91,92,93)として、前記第1空間(98)に設けられた第1排出孔(91)と、前記第2空間(99)に設けられた第2排出孔(92)と、前記筒部(80)と前記センサ筐体(2a)との境界部に設けられた第3排出孔(93)と、を有し、
前記第1排出孔(91)の面積をS1、前記第2排出孔(92)の面積をS2、前記第3排出孔(93)の面積をS3としたとき、S3<S2<S1の関係を満たすことを特徴とする請求項3~7のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記モータ冷却用通路(70)は、前記モータハウジング(50)内の空間を含み、
前記粒子センサ(2)の占める空間は、前記第2角部(26b)の軒下空間(42)と重複しており、
前記空気流出口(71)は、前記モータ冷却用通路(70)のうち前記冷却風分岐孔(36)から前記モータ(52)に前記冷却風を供給する通路の任意の場所に設けられ、
前記空気流出口(71)と前記空気取込口(2b)とは、直接的に又は間接的に接続部材(75)で接続されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用空調装置、特には粒子センサを備える車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子センサを備えた車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1で開示している空調装置では、インテークボックスにおいて、送風機の上流に粒子センサを備えている。粒子センサは、車室内の空気が取り込まれる空気導入室に開口するように設けられており、空気導入室を通流する空気の一部を取り込んでその空気を粒子濃度の測定に利用している。このことから、特許文献1で開示している空調装置に取り付けられている粒子センサは、車室内の空気の粒子濃度を測定することができる。したがって、車室内を流れてきた空気が清潔であるかどうか判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020‐071140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、車室内を流れてきた空気ではなく、空調装置から車室内に吹出す空気が清潔であるかどうか判断したいというニーズがある。例えば空調装置内を通流する空気の粒子濃度を測定することによって、空調装置内に搭載されているフィルタが正常に機能しているかを判断し、フィルタの交換時期の目安などに利用することができる。このような用途で粒子センサを利用したい場合、フィルタを通流した空気を測定に用いることが必要である。一般的な車両用空調装置の構造では、フィルタが送風機の上流に設けられている場合があるが、このような場合、フィルタの下流、かつ、送風機の上流には粒子センサを取り付けるスペースが少ないことがあり、送風機の下流に粒子センサを設けることが好ましい。しかし、送風機の下流に粒子センサを取り付けた際、粒子センサが検知した値は、送風機から吹出される空気の風量又は風速などの環境に左右されることが分かった。つまり、送風機から吹出される風量又は風速が大きい場合、単位時間当たりの粒子がセンサを通過する量が多くなり、風量又は風速が小さい場合よりも粒子濃度が高く検知されてしまう場合がある。または、多くの粒子がセンサ内を流れることによって粒子センサが正常に検知できず、風量又は風速が小さい場合よりも粒子濃度が低く検知されてしまう場合がある。
【0005】
本開示は、送風機から吹出される空気の風量又は風速などに左右されることなく、粒子センサに安定した空気が供給されることで、正確に粒子濃度を測定することができる粒子センサを備えた車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用空調装置は、インペラを収容し内部を空気が通流するスクロールハウジングと、前記インペラを回転駆動する回転軸を有しモータハウジングに収容されたモータと、前記スクロールハウジングを通流する空気の一部を前記モータを冷却する冷却風として通流させるモータ冷却用通路と、粒子センサと、を備える車両用空調装置において、前記スクロールハウジングは、舌部と、前記スクロールハウジングの周壁のうち前記舌部の下流側の壁に設けられた冷却風分岐孔と、を有し、前記モータ冷却用通路は、前記冷却風分岐孔と連通するとともに空気流出口を有し、前記粒子センサは、センサ筐体と該センサ筐体に設けられて前記空気流出口から流出した空気を取り込む空気取込口とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る車両用空調装置は、前記スクロールハウジングの空気流の上流側に連接してフィルタを収容するフィルタハウジングを有し、前記スクロールハウジングは、前記フィルタを通過した空気を吸い込む吸込口を有する第1壁と、該第1壁に対向する第2壁と、前記第1壁及び前記第2壁の周縁部同士を連接する渦巻き状の前記周壁と、を有し、前記フィルタハウジングは、前記フィルタの着脱方向に開口するフィルタ挿入口と、該フィルタ挿入口側に設けられた角部と、を有し、該角部は、前記スクロールハウジングの前記周壁よりも外側に軒状に延出しており、かつ、前記角部として前記舌部の近傍に位置する第1角部と前記角部のうち前記第1角部とは異なる第2角部とを有し、前記粒子センサが占める空間は、前記角部から前記回転軸の軸方向に沿って前記周壁側に延びる軒下空間のうち前記第1角部の軒下空間又は前記第2角部の軒下空間と重複していることが好ましい。軒下空間はデッドスペースとなるところ、粒子センサがデッドスペースに配置されることで、車両用空調装置の大型化をより抑制することができる。
【0008】
本発明に係る車両用空調装置では、前記粒子センサの占める空間は、前記第1角部の軒下空間と重複しており、前記車両用空調装置は、前記冷却風分岐孔を介して前記スクロールハウジングと連通するモータ冷却用空気導入室を有し、前記モータ冷却用通路は、前記モータ冷却用空気導入室を兼ねており、前記空気流出口は、前記モータ冷却用空気導入室の壁のうち前記冷却風分岐孔が設けられた前記周壁に対向する対向壁に設けられ、前記車両用空調装置は、前記対向壁の外面と、該対向壁の外面から筒状に突出する筒部と、前記粒子センサと、で囲まれた空気流緩衝空間を有し、前記空気流出口及び前記空気取込口は前記空気流緩衝空間に開口していることが好ましい。軒下空間はデッドスペースとなるところ、粒子センサがデッドスペースに配置されることで、車両用空調装置の大型化をより抑制することができる。また、粒子センサに導入される空気量が少なくなるので、風量又は風速などに左右されることなく安定した空気を粒子センサに供給することができ、より正確に粒子濃度を測定することができる。
【0009】
本発明に係る車両用空調装置では、前記空気流出口の中心を通る法線と前記空気取込口の中心を通る法線とは互いにずれていることが好ましい。粒子センサに供給される風量及び風速が抑制されて、より正確に粒子濃度を測定することができる。
【0010】
本発明に係る車両用空調装置は、前記筒部の内壁面から突出し、かつ、前記空気流緩衝空間を、前記空気流出口を含む第1空間と前記空気取込口を含む第2空間とに区画するリブと、該リブに設けられて前記第1空間と前記第2空間とを連通させる連通孔と、を有することが好ましい。リブによって粒子センサに供給される風量が抑制されて、より正確に粒子濃度を測定することができる。
【0011】
本発明に係る車両用空調装置は、前記筒部に設けられた少なくとも一つの排出孔を有し、前記空気流出口から取り出された空気の一部は、前記排出孔を通って前記空気流緩衝空間の外に排出されることが好ましい。空気の一部が排出孔から排出されることで粒子センサに供給される風量が抑制されて、より正確に粒子濃度を測定することができる。
【0012】
本発明に係る車両用空調装置では、前記空気流出口の面積をS0、前記排出孔の合計面積をSdとしたとき、S0<Sdの関係を満たすことが好ましい。空気流緩衝空間内を通流する空気の空気圧が、空気流出口の上流側経路を通流する空気の空気圧よりも抑制されるので、より正確に粒子濃度を測定することができる。
【0013】
本発明に係る車両用空調装置は、前記筒部の内壁面から突出し、かつ、前記空気流緩衝空間を、前記空気流出口を含む第1空間と前記空気取込口を含む第2空間とに区画するリブと、該リブに設けられて前記第1空間と前記第2空間とを連通させる連通孔と、前記筒部に設けられた排出孔と、を有し、前記空気流出口から取り出された空気の一部は、前記排出孔を通って前記空気流緩衝空間の外に排出され、前記排出孔として、前記第1空間に設けられた第1排出孔と、前記第2空間に設けられた第2排出孔と、前記筒部と前記センサ筐体との境界部に設けられた第3排出孔と、を有し、前記第1排出孔の面積をS1、前記第2排出孔の面積をS2、前記第3排出孔の面積をS3としたとき、S3<S2<S1の関係を満たすことが好ましい。空気流緩衝空間を通流する空気の空気圧を早期に抑制して粒子センサに供給される空気の圧力変動の影響をより小さくすることができるので、より正確に粒子濃度を測定することができる。
【0014】
本発明に係る車両用空調装置では、前記モータ冷却用通路は、前記モータハウジング内の空間を含み、前記粒子センサの占める空間は、前記第2角部の軒下空間と重複しており、前記空気流出口は、前記モータ冷却用通路のうち前記冷却風分岐孔から前記モータに前記冷却風を供給する通路の任意の場所に設けられ、前記空気流出口と前記空気取込口とは、直接的に又は間接的に接続部材で接続されていることが好ましい。軒下空間はデッドスペースとなるところ、粒子センサがデッドスペースに配置されることで、車両用空調装置の大型化をより抑制することができる。また、送風機から吹出される空気流から分岐したモータ冷却風を粒子センサに導入することで、風量又は風速などに左右されることなく安定した空気を粒子センサに供給することができ、より正確に粒子濃度を測定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、送風機から吹出される空気の風量又は風速などに左右されることなく、粒子センサに安定した空気が供給されることで、正確に粒子濃度を測定することができる粒子センサを備えた車両用空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る車両用空調装置の一部を示す概略縦断面図である。
図2】スクロールハウジング及びモータ冷却用空気導入室の一例を示す概略横断面図であり、粒子センサの取り付け例の一例を示す図である。
図3】フィルタハウジング及びスクロールハウジングを斜め下方から見た概略図であり、軒下空間を説明するための図である。
図4図2の空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分を拡大して示す概略横断面図である。
図5】空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分の変形例の第一例を示す概略横断面図である。
図6】空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分の変形例の第二例を示す概略横断面図である。
図7】空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分の変形例の第三例を示す概略横断面図である。
図8】空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分の変形例の第四例を示す概略横断面図である。
図9】フィルタハウジング及びスクロールハウジングの概略底面図であり、粒子センサの取り付け例の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明の一態様を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0018】
図1は、本実施形態に係る車両用空調装置の一部を示す概略縦断面図である。図2は、スクロールハウジング及びモータ冷却用空気導入室の一例を示す概略横断面図であり、粒子センサの取り付け例の一例を示す図である。図2では、インペラ51の図示を省略している。本実施形態に係る車両用空調装置1は、図1又は図2に示すように、インペラ51を収容し内部を空気が通流するスクロールハウジング30と、インペラ51を回転駆動する回転軸Oを有しモータハウジング50に収容されたモータ52と、スクロールハウジング30を通流する空気の一部をモータ52を冷却する冷却風として通流させるモータ冷却用通路70(図2に図示)と、粒子センサ2(図2に図示)と、を備える車両用空調装置において、スクロールハウジング30は、図2に示すように、舌部34bと、スクロールハウジング30の周壁34のうち舌部34bの下流側の壁に設けられた冷却風分岐孔36と、を有し、モータ冷却用通路70は、冷却風分岐孔36と連通するとともに空気流出口71を有し、粒子センサ2は、センサ筐体2aとセンサ筐体2aに設けられて空気流出口71から流出した空気を取り込む空気取込口2bとを有する。
【0019】
車両用空調装置1は、図1に示すように、HVACケースの最上流に、インテークハウジング10を有する。インテークハウジング10は、導入口11(11a,11b)を有する。導入口11(11a,11b)は、外気導入口11a及び内気導入口11bのいずれかであってもよい。インテークハウジング10の内部には、インテークドア12が設けられ、外気導入口11aから導入される外気と内気導入口11bから導入される内気との比率を変更する。
【0020】
スクロールハウジング30は、図1に示すように、HVACケースの一部であり、インペラ51を収容するとともに、インペラ51の回転によって発生する空気流れを下流に向けて通流させる空気流路35を形成する。空気流路35のスクロールハウジング30の下流には、蒸発器3が配置され、必要に応じて空気を除湿・冷却する。インペラ51は送風機の構成部品の一つであり、モータ52の駆動で回転することによって軸方向から吸引した空気を径外方向に吹出す。スクロールハウジング30は、第1壁32と、第2壁33と、周壁34とを有することが好ましい。第1壁32は、車両用空調装置1が横置きタイプであるとき上壁となる壁であり、吸込口31が開口している。第2壁33は、車両用空調装置1が横置きタイプであるとき下壁となる壁である。周壁34は、図2に示すように、インペラ51(図1に図示)を取り囲む渦巻き壁34aと、渦巻き壁34aの巻き始めに連なる舌部34bと、渦巻き壁34aの巻き終わりに連なる巻き終わり部34cと、巻き終わり部34cに対向し舌部34bの下流側に連なる下流壁34dと、を有する。下流壁34dには、冷却風分岐孔36が開口している。
【0021】
モータ52は、図1に示すように、スクロールハウジング30の第2壁33に取り付けられている。モータ52の回転軸Oは、車両上下方向に沿っていることが好ましい。モータハウジング50は、スクロールハウジング30の第2壁33に取り付けられる。図1では、モータハウジング50の内壁面とモータ52の側面との間に隙間が図示されていないが、モータハウジング50の内壁面とモータ52の側面との間にモータ冷却風が流れる空間が設けられていることが好ましい。
【0022】
本実施形態に係る車両用空調装置は、図2に示すように、舌部34b及び下流壁34dの外側にモータ冷却用空気導入室60を有することが好ましい。モータ冷却用空気導入室60は、空気流路35を流れる空気の一部を、モータ52(図1に図示)を冷却するための冷却風として取り込む空間を形成する。モータ冷却用空気導入室60の底面には冷却口61が設けられている。冷却口61はモータハウジング50にホース又は配管などの接続部63(例えば図9に図示)で接続されている。接続部63は、HVACケースと一体に形成されていてもよい。
【0023】
モータ52の駆動によってインペラ51が回転すると、導入口11へ空気が取り込まれる。取り込まれた空気は、フィルタ25を通って、吸込口31からインペラ51に吸い込まれ、スクロールハウジング30の空気流路35を通ってHVACケースの下流に向けて通流される。このとき、空気流路35を流れる空気の一部は、冷却風分岐孔36を通ってモータ冷却用通路70へ取り込まれ、冷却口61からモータハウジング50へ導入されてモータ52を冷却する。
【0024】
モータ冷却用通路70は、冷却風分岐孔36から分岐してきた冷却風が流れる空間である。車両用空調装置1がモータ冷却用空気導入室60を有する場合、モータ冷却用通路70は、モータ冷却用空気導入室60内の空間72、冷却口61とモータハウジング50とを接続する接続部63(例えば図9に図示)内の空間73及びモータハウジング50内の空間74を含む。また、車両用空調装置1がモータ冷却用空気導入室60を有さない場合、モータ冷却用通路70は、冷却風分岐孔36とモータハウジング50とを接続する接続部材(不図示)内の空間であってもよい。
【0025】
空気流出口71は、モータ冷却用通路70を流れる空気の一部を、粒子センサ2による検出用空気としてモータ冷却用通路70の外側に取り出すための開口である。本実施形態は、空気流出口71がモータ冷却用空気導入室60の壁のうち下流壁34dに対向する対向壁62に設けられる形態(図2に図示)、空気流出口71がモータハウジング50の壁に設けられる形態(図9に図示)、及び空気流出口71がモータ冷却用通路70のその他の任意の場所に設けられる形態(不図示)を包含する。その他の任意の場所は、例えば、モータ冷却用空気導入室60の底壁又は冷却口61とモータハウジング50とを接続する接続部63(例えば図9に図示)の壁である。
【0026】
粒子センサ2は、空気中の粒子を検出しカウントする計測器である。粒子センサの種類は、特に限定されないが、センサ筐体2aとセンサ筐体2aに設けられて空気を取り込む空気取込口2bとを有することが好ましい。センサ筐体2aは、粒子センサの外郭をなすハウジングであり、センサの発光部(不図示)及び受光部(不図示)などを収容する。空気取込口2bは、センサ筐体2aに設けられた開口であり、粒子センサ2内に検出対象となる空気を取り込む開口である。空気取込口2bと空気流出口71とは、図2に示すように直接的に接続されていてもよいし、ホース又は配管などの接続部材(不図示)を介して間接的に接続されていてもよい(不図示)。粒子センサ2は、計測済みの空気を排出させる排出口2c(図4に図示)を更に備えていてもよい。粒子センサ2は、センサ筐体2a内に空気を取り込むためのブロア(不図示)を有することが好ましい。これによって、粒子センサ2は自力で空気の取込み及び排出をすることができる。
【0027】
図3は、フィルタハウジング及びスクロールハウジングを斜め下方から見た概略図であり、軒下空間を説明するための図である。本実施形態に係る車両用空調装置1は、スクロールハウジング30の空気流の上流側に連接してフィルタ25(図1に図示)を収容するフィルタハウジング20を有し、スクロールハウジング30は、フィルタ25を通過した空気を吸い込む吸込口31(図1に図示)を有する第1壁32と、第1壁32に対向する第2壁33と、第1壁32及び第2壁33の周縁部同士を連接する渦巻き状の周壁34と、を有し、フィルタハウジング20は、フィルタ25の着脱方向に開口するフィルタ挿入口21と、フィルタ挿入口21側に設けられた角部26と、を有し、角部26(26a,26b)は、スクロールハウジング30の周壁34よりも外側に軒状に延出しており、かつ、角部26(26a,26b)として舌部34bの近傍に位置する第1角部26aと角部26(26a,26b)のうち第1角部26aとは異なる第2角部26bとを有し、粒子センサ(不図示)が占める空間は、角部26(26a,26b)から回転軸Oの軸方向に沿って周壁34側に延びる軒下空間40(41,42)のうち第1角部26aの軒下空間41又は第2角部26bの軒下空間42と重複していることが好ましい。軒下空間40(41,42)はデッドスペースとなるところ、粒子センサ2がデッドスペースに配置されることで、車両用空調装置1の大型化をより抑制することができる。
【0028】
フィルタハウジング20は、図1に示すように、HVACケースのうち、インテークハウジング10の下流側、かつ、スクロールハウジング30の上流側の部分である。フィルタハウジング20は、フィルタ25を保持できるように構成されている。図3を用いてフィルタハウジング20の一例を説明する。なお、図3では、フィルタ25の図示を省略している。図3では一例として、フィルタ25(図1に図示)が直方体形状である場合、フィルタハウジング20が、フィルタ25を載置する四角形状の底面部23と、底面部23に対向する天面部22と、底面部23及び天面部22の相互に向かい合う一対の側辺同士をそれぞれ連結する一対の側面部24と、を有する角筒状であり、筒の一方の開口がフィルタ挿入口21となっている形態を示した。フィルタ挿入口21は、車両後方に向けて開口することが好ましい。天面部22は、四角枠状になっており、枠の開口からフィルタ25の吸入面が臨めるようになっている。底面部23はスクロールハウジング30の第1壁32と別体に形成されているか、又は第1壁32と一体に形成されていてもよい。底面部23が第1壁32と別体である形態は、例えば、底面部23が第1壁32の吸込口31に対応する部分に開口を有する四角形状の板であり、渦巻き状の第1壁32の上面に載置されている形態である。底面部23が第1壁32と一体である形態は、例えば、底面部23が吸込口31を有する四角形状の板であり、吸込口31の周囲の渦巻き状の部分が第1壁32となる形態である。一対の側面部24は、フィルタ25の着脱方向に延設する。フィルタ25の着脱方向は、例えば車両の前後方向に沿っている。
【0029】
角部26(26a,26b)は、図3に示すように、フィルタハウジング20のうちスクロールハウジング30よりも外側に張り出した部分である。例えばフィルタハウジング20の底面部23が四角形状であるとき、フィルタハウジング20は、角部26(26a,26b)として、底面部23の頂点のうちフィルタ挿入口21側の車両左側頂点C1から伸びる2辺と底面部23に接するスクロールハウジング30の周壁34の上端辺とで囲まれた第1角部26aと、底面部23の頂点のうちフィルタ挿入口21側の車両右側頂点C2から伸びる2辺と底面部23に接するスクロールハウジング30の周壁34の上端辺とで囲まれた第2角部26bとを有する。
【0030】
軒下空間40(41,42)は、図3に示すように、角部26(26a,26b)の真下に延びる空間である。軒下空間40(41,42)は第1角部26aの軒下空間(第1軒下空間ということもある。)41と第2角部26bの軒下空間(第2軒下空間ということもある。)42とを有することが好ましい。軒下空間40(41,42)は、図3に示すように、外周空間41a,42aを含む。外周空間41a,42aは、軒下空間40(41,42)のうち第2壁33の外壁面を回転軸Oの軸方向に直交するよう延長させた仮想面よりも角部26(26a,26b)側の空間である。外周空間41a,42aは、軒下空間40(41,42)のうち周壁34の外側に隣接する空間ということもできる。
【0031】
粒子センサ2が占める空間は、第1軒下空間41又は第2軒下空間42と重複していることが好ましく、外周空間41a,42aと重複していることがより好ましい。図2において、フィルタハウジング20、角部26(26a,26b)及び軒下空間40(41,42)を破線で示した。図2では、軒下空間40(41,42)は、図2の紙面に対して垂直方向に延在する。本実施形態は、粒子センサ2が占める空間が軒下空間40(41,42)と重複している形態として、粒子センサ2の一部分が軒下空間40(41,42)からはみ出ているがその他の部分は軒下空間40(41,42)内にある形態(図2に図示)、及び粒子センサ2の全体が軒下空間40(41,42)内に収容されている形態(図9に図示)を包含する。車両用空調装置1の3次元外形状は凹凸を有する。この凹凸によって生じた空間のうち、車両用空調装置1を平面視、正面視、側面視又は底面視したシルエット(以降、単に「車両用空調装置1の2次元シルエット」ということがある。)内の空間はデッドスペースとなる。このような空間としては、軒下空間40(41,42)が挙げられる。本実施形態では、粒子センサ2が占める空間を軒下空間40(41,42)と重複させることで、粒子センサ2が、車両用空調装置1の2次元シルエットから大きくはみ出ることがないので、デッドスペースを有効利用して車両用空調装置1の大型化を抑制することができる。
【0032】
本実施形態に係る車両用空調装置1では、粒子センサ2は、軒下空間40(41,42)内に収容されていることが好ましい。軒下空間40(41,42)はデッドスペースとなるところ、粒子センサ2がデッドスペース内に収まることで、大型化をより抑制することができる。
【0033】
本実施形態に係る車両用空調装置1では、粒子センサ2は、外周空間41a,42a(図3に図示)内に収容されることが好ましい。軒下空間40(41,42)はデッドスペースとなるところ、粒子センサ2がデッドスペース内に収まることで、大型化をより抑制することができる。
【0034】
本実施形態に係る車両用空調装置1では、粒子センサ2の占める空間は、図2に示すように、第1角部26aの軒下空間41と重複しており、車両用空調装置1は、冷却風分岐孔36を介してスクロールハウジング30と連通するモータ冷却用空気導入室60を有し、モータ冷却用通路70は、モータ冷却用空気導入室60を兼ねており、空気流出口71は、モータ冷却用空気導入室60の壁のうち冷却風分岐孔36が設けられた周壁(下流壁)34dに対向する対向壁62に設けられ、車両用空調装置1は、対向壁62の外面と、対向壁62の外面から筒状に突出する筒部80と、粒子センサ2と、で囲まれた空気流緩衝空間90を有し、空気流出口71及び空気取込口2bは空気流緩衝空間90に開口していることが好ましい。軒下空間41はデッドスペースとなるところ、粒子センサ2がデッドスペースに配置されることで、車両用空調装置1の大型化をより抑制することができる。また、送風機から吹出される空気流から分岐してモータ冷却用空気導入室60へ流入してきた空気の一部が空気流緩衝空間90を介して粒子センサ2に導入されることで、粒子センサ2に導入される空気量を少なくすることができる。その結果、風量又は風速などに左右されることなく安定した空気を粒子センサ2に供給することができ、より正確に粒子濃度を測定することができる。
【0035】
図4は、図2の空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分を拡大して示す概略横断面図である。空気流緩衝空間90は、図4に示すように、対向壁62の外面と、対向壁62の外面から筒状に突出する筒部80と、粒子センサ2と、で囲まれた空間である。筒部80は、対向壁62の外面から突出する胴部81と胴部81に連接して粒子センサ2に固定されるセンサ取付部82とを有することが好ましい。筒部80は、例えば、円筒状若しくは角筒状又はこれらを組み合わせた形状を有する。組み合わせた形状は、例えば、胴部81が角筒状であり、対向壁62の外面側の基端81a側とは反対側の端に例えば円形状の開口81cを有する壁面81bを有し、円形状の開口81cの周縁にセンサ取付部82として円筒状の部材を連接させた形態である。胴部81は角筒状に限定されず、例えば円筒状又は楕円筒状であってもよい。また、センサ取付部82は円筒状に限定されず、例えば角筒状又は楕円筒状であってもよい。胴部81の基端81aは、対向壁62の外面のうち空気流出口71の周囲の壁面に固定される。筒部80は、モータ冷却用空気導入室60の壁面と一体であるか(図4に図示)、又は別体であってもよい(不図示)。センサ取付部82の先端82aは、空気取込口2bの周辺に設けられたリブ2dに固定されるか(図4に図示)、又はセンサ筐体2aの外面のうち空気取込口2bの周囲の壁面に固定されていてもよい(不図示)。
【0036】
本実施形態に係る車両用空調装置では、図4に示すように、空気流出口71の中心を通る法線L1と空気取込口2bの中心を通る法線L2とは互いにずれていることが好ましい。これによって、空気流出口71から流出した空気が空気取込口2bにそのまま流入することが防止され、粒子センサ2に供給される風量及び風速が抑制されて、より正確に粒子濃度を測定することができる。空気取込口2bは、空気流出口71の中心を通る法線L1が通らない位置に設けられていることがより好ましい。
【0037】
図5は、空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分の変形例の第一例を示す概略横断面図である。図6は、空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分の変形例の第二例を示す概略横断面図である。本実施形態に係る車両用空調装置は、図5又は図6に示すように、筒部80の内壁面から突出し、かつ、空気流緩衝空間90を、空気流出口71を含む第1空間98と空気取込口2bを含む第2空間99とに区画するリブ83と、リブ83に設けられて第1空間98と第2空間99とを連通させる連通孔84(84a,84b)と、を有することが好ましい。リブ83によって粒子センサ2に供給される風量が抑制されて、より正確に粒子濃度を測定することができる。リブ83は、例えば板状の仕切壁であり、図5に示すように筒部80の横断面の一部だけを横切るように設けられるか、又は図6に示すように筒部80の横断面の全体を横切るように設けられていてもよい。リブ83が図5に示すように筒部80の横断面の一部だけを横切るように設けられるとき、連通孔84aは、リブ83と筒部80の内壁面の一部との間の隙間である。また、リブ83が図6に示すように筒部80の横断面の全体を横切るように設けられるとき、連通孔84bは、リブ83に設けられた貫通孔である。
【0038】
図7は、空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分の変形例の第三例を示す概略横断面図である。本実施形態に係る車両用空調装置は、図7に示すように、筒部80に設けられた少なくとも一つの排出孔91,93を有し、空気流出口71から取り出された空気の一部は、排出孔91,93を通って空気流緩衝空間90の外に排出されることが好ましい。空気の一部が排出孔91,93から排出されることで粒子センサ2に供給される風量が抑制されて、より正確に粒子濃度を測定することができる。排出孔91は筒部80の胴部81に設けられた貫通孔であるか、又は排出孔93は筒部80のセンサ取付部82に設けられた貫通孔であってもよい。図7では、一例として排出孔91,93が2個設けられた形態を示したが、本発明はこれに限定されず、排出孔91又は排出孔93のいずれか1個だけが設けられた形態であるか、又は排出孔91及び排出孔93に加えて、1個以上の排出孔(不図示)が更に設けられた形態であってもよい。
【0039】
図8は、空気流緩衝空間及び粒子センサを含む部分の変形例の第四例を示す概略横断面図である。本実施形態に係る車両用空調装置は、図8に示すように、筒部80の内壁面から突出し、かつ、空気流緩衝空間90を、空気流出口71を含む第1空間98と空気取込口2bを含む第2空間99とに区画するリブ83と、リブ83に設けられて第1空間98と第2空間99とを連通させる連通孔84と、筒部80に設けられた排出孔91,92,93と、を有し、空気流出口71から取り出された空気の一部は、排出孔91,92,93を通って空気流緩衝空間90の外に排出され、排出孔91,92,93として、第1空間98に設けられた第1排出孔91と、第2空間99に設けられた第2排出孔92と、筒部80とセンサ筐体2aとの境界部に設けられた第3排出孔93と、を有し、第1排出孔91の面積をS1、第2排出孔92の面積をS2、第3排出孔93の面積をS3としたとき、S3<S2<S1の関係を満たすことが好ましい。排出孔の面積を空気流出口71に近いほど大きくすることで、空気流緩衝空間90を通流する空気の空気圧を早期に抑制して粒子センサ2に供給される空気の圧力変動の影響をより小さくすることができるので、より正確に粒子濃度を測定することができる。第3排出孔93が設けられる筒部80とセンサ筐体2aとの境界部は、例えば、センサ取付部82である。第1排出孔91、第2排出孔92及び第3排出孔の各面積S1,S2,S3は、空気流緩衝空間90内に開口している第1排出孔91、第2排出孔92又は第3排出孔の面積である。図8では一例として連通孔84がリブ83と筒部80の内壁面の一部との間の隙間84aである形態を示したが、連通孔84はリブ83に設けられた貫通孔84b(図6に図示)であってもよい。
【0040】
本実施形態に係る車両用空調装置1では、空気流出口71の面積をS0、排出孔91,92,93の合計面積をSdとしたとき、S0<Sdの関係を満たすことが好ましい。空気流緩衝空間90内を通流する空気の空気圧が、空気流出口71の上流側経路を通流する空気の空気圧よりも抑制されるので、より正確に粒子濃度を測定することができる。排出孔の合計面積Sdは、図7の形態では排出孔91の面積と排出孔93の面積との合計であり、図8の形態では排出孔91の面積と排出孔92の面積と排出孔93の面積との合計である。排出孔91,92,93の各面積S1,S2,S3は、空気流緩衝空間90内に開口している各排出孔91,92,93の面積であり、空気流出口71の面積S0は、空気流緩衝空間90内に開口している空気流出口71の面積である。
【0041】
図9は、フィルタハウジング及びスクロールハウジングの概略底面図であり、粒子センサの取り付け例の別の例を示す図である。本実施形態に係る車両用空調装置1では、モータ冷却用通路70は、モータハウジング50内の空間74を含み、粒子センサ2の占める空間は、第2角部26bの軒下空間42と重複しており、空気流出口71は、モータ冷却用通路70のうち冷却風分岐孔36(図1に図示)からモータ52(図1に図示)に冷却風を供給する通路の任意の場所に設けられ、空気流出口71と空気取込口2bとは、直接的に又は間接的に接続部材75で接続されていることが好ましい。軒下空間42はデッドスペースとなるところ、粒子センサ2がデッドスペースに配置されることで、車両用空調装置1の大型化をより抑制することができる。また、送風機から吹出される空気流から分岐したモータ冷却風を粒子センサ2に導入することで、風量又は風速などに左右されることなく安定した空気を粒子センサに供給することができ、より正確に粒子濃度を測定することができる。
【0042】
モータ冷却用通路70は、モータ冷却用空気導入室60内の空間72、冷却口61とモータハウジング50とを接続する接続部63(例えば図9に図示)内の空間73及びモータハウジング50内の空間74を含む。
【0043】
空気流出口71は、図9では一例としてモータハウジング50の側壁に設けた形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、冷却口61とモータハウジング50とを接続する接続部63の壁に設けられてもよい。
【0044】
接続部材75は、例えば、ホース又は配管である。図9では一例として、空気流出口71と空気取込口2bとが接続部材75で直接的に接続されている形態を示したが、本発明はこれに限定されず、空気流出口71と空気取込口2bとが接続部材75で間接的に接続されていてもよい。空気流出口71と空気取込口2bとが接続部材75で間接的に接続される形態は、例えば、空気流出口71と空気取込口2bとが空気流緩衝空間90を介して接続部材75で接続される形態である。
【符号の説明】
【0045】
1 車両用空調装置
2 粒子センサ
2a センサ筐体
2b 空気取込口
2c 排出口
2d リブ
3 蒸発器
10 インテークハウジング
11 導入口
11a 外気導入口
11b 内気導入口
12 インテークドア
20 フィルタハウジング
21 フィルタ挿入口
22 天面部
23 底面部
24 側面部
25 フィルタ
26(26a,26b) 角部
26a 第1角部
26b 第2角部
30 スクロールハウジング
31 吸込口
32 第1壁
33 第2壁
34 周壁
34a 渦巻き壁
34b 舌部
34c 巻き終わり部
34d 下流壁
35 空気流路
36 冷却風分岐孔
40(41,42) 軒下空間
41 第1軒下空間
42 第2軒下空間
41a,42a 外周空間
50 モータハウジング
51 インペラ
52 モータ
60 モータ冷却用空気導入室
61 冷却口
62 対向壁
63 接続部
70 モータ冷却用通路
71 空気流出口
72 モータ冷却用空気導入室内の空間
73 接続部材内の空間
74 モータハウジング内の空間
75 接続部材
80 筒部
81 胴部
81a 基端
81b 壁面
81c 開口
82 センサ取付部
82a 先端
83 リブ
84(84a,84b) 連通孔
90 空気流緩衝空間
91,92,93 排出孔
91 第1排出孔
92 第2排出孔
93 第3排出孔
98 第1空間
99 第2空間
L1 空気流出口の中心を通る法線
L2 空気取込口の中心を通る法線
S0 空気流出口の面積
S1 第1排出孔の面積
S2 第2排出孔の面積
S3 第3排出孔の面積
Sd 排出孔の合計面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9