(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141909
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 6/28 20060101AFI20230928BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65D6/28 L
B65F1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048485
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 元幸
(72)【発明者】
【氏名】阿部 隼也
【テーマコード(参考)】
3E023
3E061
【Fターム(参考)】
3E023AA03
3E023MA07
3E023MB02
3E061AA01
3E061AB04
3E061AB09
3E061AD04
3E061AD05
3E061CA13
3E061CA22
3E061CA25
3E061DB11
3E061DB17
(57)【要約】
【課題】 コンパクトに梱包することができ、簡易な構造でありながら、変形しにくい剛性に優れた収納箱を提供する。
【解決手段】 複数枚の側板2a,2b,2c,2dで構成され天面が開口された本体と、各側板の上辺を支持する上部枠体5と、各側板の底辺を支持する下部枠体4と、上部枠体5に取り付けられて本体の開口を塞ぐ蓋3とを備え、各側板は、各側板の上辺側の端部近傍に上部枠体5と係合させるための被係合部である上部係合部を有し、各側板の底辺側の端部近傍に下部枠体4と係合させるための被係合部である下部係合部を有し、上部枠体5はその縁部に上部係合部と係合する上部枠体係合部を有し、下部枠体4はその縁部に下部係合部と係合する下部枠体係合部を有し、上部係合部と上部枠体係合部との係合と下部係合部と下部枠体係合部との係合により、各側板が上部枠体5と下部枠体4とにそれぞれ固定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の側板で構成され天面が開口された本体と、側板の上辺を支持する上部枠体と、側板の底辺を支持する下部枠体と、上部枠体に取り付けられて本体の開口を塞ぐ蓋とを備え、
前記側板は、側板の上辺側の端部近傍に上部枠体と係合させるための被係合部である上部係合部を有し、側板の底辺側の端部近傍に下部枠体と係合させるための被係合部である下部係合部を有し、
前記上部枠体は、その縁部に、前記上部係合部と係合する上部枠体係合部を有し、
前記下部枠体は、その縁部に、前記下部係合部と係合する下部枠体係合部を有し、
前記上部係合部と前記上部枠体係合部との係合と、前記下部係合部と前記下部枠体係合部との係合により、前記複数枚の側板が上部枠体と下部枠体とにそれぞれ固定される
ことを特徴とする収納箱。
【請求項2】
前記側板は、幅方向の端部を折り返して形成された折り返し部を有し、当該折り返し部同士が重ね合わされて隣り合う側板が連結され、
前記収納箱は、重ね合わされた折り返し部同士を保持する連結具を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の収納箱。
【請求項3】
前記上部枠体は、外側の上部枠体外壁と、上部枠体外壁よりも高さ方向に長さを有する上部枠体内壁と、上部枠体外壁と上部枠体内壁との間に前記側板が差し込まれるスペースと、上部枠体の角部における当該スペースに上部枠体内壁から角部の頂点へ向かって延びる上部側板保持リブとを有し、
前記上部側板保持リブが、重ね合わされた折り返し部を保持する
ことを特徴とする請求項2に記載の収納箱。
【請求項4】
前記上部枠体内壁の上端面が、前記上部枠体外壁の上端面よりも高い位置で前記本体の開口を形成し、
前記上部枠体外壁の上端面と前記開口を塞ぐ蓋との間で形成される空間に、前記開口を塞ぐ蓋を開閉させるためのヒンジ機構が設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ箱等の収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミ箱等といった、内部に物を収納する空間を有する収納箱は、プラスチックで一体成型したものや金属プレス等による板金で作られるものがある。プラスチックで一体成型したものは、内部が空洞であるため輸送時にスタッキングが可能という利点がある一方で、破損のおそれがあり、収納箱を梱包するための外箱は大きなサイズを必要とするので無駄が多くなるという欠点がある。金属板金による場合も破損や変形のおそれがある。そのため、このような収納箱について損傷や変形を防止する観点等から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1では、折曲加工された4面を形成し、側端が無端状に接合された筒状をなすサイドパネルを有する格納箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の格納箱では、サイドパネルの各板材の接合部を隠すための構成部材やシール部材が必要で、構造が複雑になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、コンパクトに梱包することができ、簡易な構造でありながら、変形しにくい剛性に優れた収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る収納箱は、複数枚の側板で構成され天面が開口された本体と、側板の上辺を支持する上部枠体と、側板の底辺を支持する下部枠体と、上部枠体に取り付けられて本体の天面を塞ぐ蓋とを備え、前記側板は、側板の上辺側の端部近傍に上部枠体と係合させるための被係合部である上部係合部を有し、側板の底辺側の端部近傍に下部枠体と係合させるための被係合部である下部係合部を有し、前記上部枠体は、その縁部に、前記上部係合部と係合する上部枠体係合部を有し、前記下部枠体は、その縁部に、前記下部係合部と係合する下部枠体係合部を有し、前記上部係合部と前記上部枠体係合部との係合と、前記下部係合部と前記下部枠体係合部との係合により、前記複数枚の側板が上部枠体と下部枠体とにそれぞれ固定されることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記側板は、幅方向の端部を折り返して形成された折り返し部を有し、当該折り返し部同士が重ね合わされて隣り合う側板が連結され、前記収納箱は、重ね合わされた折り返し部同士を保持する連結具を備えるのが好ましい。
【0008】
また、前記上部枠体は、外側の上部枠体外壁と、上部枠体外壁よりも高さ方向に長さを有する上部枠体内壁と、上部枠体外壁と上部枠体内壁との間に前記側板が差し込まれるスペースと、上部枠体の角部における当該スペースに上部枠体内壁から角部の頂点へ向かって延びる上部側板保持リブとを有し、前記上部側板保持リブが、重ね合わされた折り返し部を保持するが好ましい。
【0009】
さらに、前記上部枠体内壁の上端面が、前記上部枠体外壁の上端面よりも高い位置で前記本体の開口を形成し、前記上部枠体外壁の上端面と前記開口を塞ぐ蓋との間で形成される空間に、前記開口を塞ぐ蓋を開閉させるためのヒンジ機構が設けられるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る収納箱によれば、収納箱本体を複数枚の側板で構成し、側板の上辺を支持する上部枠体と、側板の底辺を支持する下部枠体とに、側板との係合部を設け、側板上辺と側板底辺とにそれぞれ枠体と係合する被係合部を設けているので、側板が上下の枠体で支持され、簡易な構造でも変形しにくい剛性に優れた収納箱が実現可能となる。また、各部品に分けてコンパクトに梱包することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る収納箱の斜視図である。
【
図2】収納箱の構成部品を分解して示す斜視図である。
【
図3】下部枠体と側板との接続関係を示す図である。
【
図4】上部枠体と側板との接続関係を示す図である。
【
図11】
図1のA部分における縦方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る収納箱について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る収納箱の斜視図である。
図2は、収納箱の構成部品を分解して示す斜視図である。
【0014】
本実施の形態の収納箱1は、例えばゴミ箱等のような、内部に物を収納する空間を有する箱型の収納具であり、上部が開口された本体2と、本体2の開口を閉じる蓋3と、収納箱の底部となる下部枠体4とを備えている。
【0015】
本体2は、前側の側板2a、後側の側板2b、左側の側板2c、右側の側板2dという複数枚の金属製の板状体で構成されており、内部は物を収納する空間として空洞になっている。本体2の底側は下部枠体4によって支持され、本体2の天面側は上部枠体5によって支持されている。
【0016】
下部枠体4は、収納箱1の底部となり、本体2を構成する各側板を底面側で支持する枠体であり、例えば、プラスチックで構成されている。
【0017】
上部枠体5は、収納箱1の天面側に配置され、本体2を構成する各側板を天面側で支持する枠体であるとともに、蓋3と袋保持具6とが取り付けられる枠体であり、下部枠体4と同様に、例えばプラスチックで構成されている。
【0018】
袋保持具6は、例えば、収納箱1をゴミ箱として用いる場合に、ゴミ袋等を収納箱1内に保持するための支持部材である。
【0019】
図3は、下部枠体と側板との接続関係を示す図である。
【0020】
ここでは、下部枠体4と、前側の側板2aおよび左側の側板2cとの接続関係を示している。
【0021】
下部枠体4は、その縁部に、下部枠体外壁41と下部枠体内壁42とを備えている。下部枠体外壁41と下部枠体外壁41の内側にある下部枠体内壁42との間のスペースに各側板の底辺が垂直に立てられるようになっている。下部枠体外壁41の内側には、内側へ突出した爪状の下部枠体係合部43が少なくとも1つ以上設けられている。
【0022】
各側板の底辺側である下端近傍には、この下部枠体4の下部枠体係合部43と合致する位置に設けられた貫通孔である下部係合部22が備えられており、下部枠体係合部43が下部係合部22に嵌め込まれて両者が係合することにより、各側板と下部枠体4とは連結され、各側板の底側は下部枠体4によって支持される。
【0023】
下部枠体係合部43は下部枠体4側の係合部であり、下部係合部22は側板側の係合部である。下部枠体係合部43は爪状の突出した形状であり、下部係合部22はこの突出した爪が嵌合される貫通孔であるということから、下部係合部22を下部枠体係合部43に係合される被係合部として捉えることもできる。ただし、側板の方の係合部を貫通孔とする必要はなく、下部枠体係合部43の形状と下部係合部22の形状とを入れ替えてもよい。
【0024】
図4は、上部枠体と側板との接続関係を示す図である。
【0025】
ここでは、上部枠体5と、前側の側板2aおよび右側の側板2dとの接続関係を示している。
【0026】
上部枠体5は、その縁部に、上部枠体外壁51と上部枠体内壁52とを備えている。上部枠体内壁52は、外側に位置する上部枠体外壁51よりも高さ方向に長さを有しており、上部枠体外壁51と上部枠体外壁51の内側にある上部枠体内壁52との間のスペースに各側板の上辺が垂直に差し込まれるようになっている。上部枠体外壁51の内側の面には、内側へ突出した爪状の上部枠体係合部53が少なくとも1つ以上設けられている。
【0027】
各側板の上辺側である上端近傍には、この上部枠体5の上部枠体係合部53と合致する位置に設けられた貫通孔である上部係合部21が備えられており、上部枠体係合部53が上部係合部21に嵌め込まれて両者が係合することにより、各側板と上部枠体5とは連結され、各側板の上辺側は上部枠体5によって支持される。
【0028】
上部枠体係合部53は上部枠体5側の係合部であり、上部係合部21は側板側の係合部である。上部枠体係合部53は爪状の突出した形状であり、上部係合部21はこの突出した爪が嵌合される貫通孔であるということから、上部係合部21を上部枠体係合部53に係合される被係合部として捉えることもできる。ただし、側板の方の係合部を貫通孔とする必要はなく、上部枠体係合部53の形状と上部係合部21の形状とを入れ替えてもよい。
【0029】
また、下部枠体係合部43の形状および下部係合部22の形状の組み合わせと、上部枠体係合部53の形状および上部係合部21の形状の組み合わせを異ならせるようにしてもよい。
【0030】
下部枠体4および上部枠体5と各側板との接続については、後でさらに詳述する。
【0031】
【0032】
側板同士の接続関係として、ここでは、後側の側板2bと右側の側板2dとの連結を図示しているが、4枚の側板はそれぞれ隣り合う側板と同様に連結される。
【0033】
側板2bおよび側板2dともに、幅方向の端部が収納箱1の内側方向へ折り返されて折り返し部23が形成されている。ここでは、側板2bおよび側板2dの左右の両端が略V字状に折り返されている例を示している。折り返し部23には、高さ方向に一定の間隔で貫通孔24が設けられている。左右の両端に形成された折り返し部23同士を重ね合わせたとき、貫通孔24同士も重ね合わされるようになっている。そして、重ね合わされた2つの貫通孔24に側板連結具7を嵌め入れることで、側板2bおよび側板2dは連結される。
【0034】
図6は、側板連結具7の斜視図である。側板連結具7は、略U字状の保持具であり、内側に爪状の凸部が形成されている。この凸部が重ね合わされた2つの貫通孔24に嵌め入れられて係合することで、側板2bおよび側板2dを連結し、その連結状態を保持する。なお、凸部が内側の一方にのみ配置されているとしてもよいし、略U字状の内側に凸部が対向するように配置されていてもよい。
【0035】
側板の左右端を折り返して形成された折り返し部23は、側板同士の連結部として機能するだけでなく、各側板および収納箱1の本体の剛性を高めることにも資する。収納箱1の本体は複数(ここでは4枚)の側板で構成されるので、上部枠体5および下部枠体4だけで保持しようとすれば、本体へ外力が掛かったときに各側板は力の逃げやすい方向へ曲がって変形してしまうことになる。そのような変形を避けるために、折り返し部23同士を重ねて固定する構成とすることで、上部枠体5および下部枠体4だけでなく側板同士で互いに保持することで、各側板および収納箱1の本体剛性が高められている。なお、折り返し部23は、側板の幅方向の一方の端部のみを折り返して、折り返された端部同士を重ね合わせるように構成してもよいが、本体剛性を高める観点等からは幅方向の両端、つまり左右端に折り返し部23を設けるのが好ましい。
【0036】
なお、側板同士の連結は、
図5に示す他に次のような連結としてもよい。
【0037】
【0038】
後側の側板2eと右側の側板2fとを連結するにあたり、一方の側板2fの折り返し部23bの先端をU字状に折り曲げて、他方の側板2eの折り返し部23aの先端を包み込むようにして、側板2fと側板2eとを連結する。
【0039】
つまり、折り返し部23bと折り返し部23aとを重ね合わせたときに、折り返し部23bのU字状に折り曲げられた先端が折り返し部23aの先端を挟持することで側板2fと側板2eとを連結し連結状態を保持するものである。
【0040】
【0041】
【0042】
後側の側板2gと右側の側板2hとを連結するにあたり、それぞれの折り返し部23cの先端で重ね合わされる面と反対側の面から突出して高さ方向へ延びる凸部23dを設け、この凸部23dに側板連結具7aを嵌め入れて側板2gと側板2hとを連結する。
【0043】
つまり、折り返し部23c同士を重ね合わせたときに、それぞれの折り返し部23cの端部に設けられた凸部23d同士も背中合わせとなって高さ方向に連続した凸状部を形成する。凸状部は折り返し部23cの全長に亘って形成されており、この凸状部に略U字状の側板連結具7aを係合させて側板2gと側板2hとを連結し連結状態を保持するものである。
【0044】
ここで、側板連結具7aも高さ方向に連続した長尺状になっており、略U字状の内側に対向する凸部が設けられており、この凸部が上述の折り返し部23cの凸状部と係合することになる。
【0045】
このように、側板同士は、左右の両端を折り返して形成された折り返し部同士を重ね合わせることにより係合される。これにより、側板同士が互いに保持し合って、各側板および収納箱1の本体剛性を高めている。なお、折り返し部における連結方法は、上記のものに限られない。例えば、隣り合う側板の折り返し部の一方に貫通孔または凹部の側板被係合部を設けて、他方にこれに係合する凸状の爪等の側板係合部を設けるとしてもよい。また、側板係合部と側板被係合部とを折り返し部の縦方向に交互に配置するようにしてもよい。側板係合部と側板被係合部との係合のみによって、側板同士を連結するとしてもよいし、側板係合部と側板被係合部とを係合させ、さらに上述の側板連結具7等を用いて側板同士を連結するとしてもよい。
【0046】
各側板と、下部枠体4および上部枠体5との接続について再び説明する。
【0047】
図9は、下部枠体4の角部、つまり、
図3におけるB部分を拡大して示す図である。
【0048】
下部枠体4は、角部において、重ね合わされた側板の折り返し部23の保持および収容のための構成を備えている。
【0049】
より具体的に説明すると、下部枠体4は、角部における下部枠体外壁41と下部枠体内壁42との間のスペースに下部側板保持リブ44を備えている。
【0050】
下部側板保持リブ44は、下部枠体4の縁部四隅において下部枠体内壁42から角の先端に向かって平行に延びる一対のリブである。言い換えれば、下部側板保持リブ44は、下部枠体内壁42と直交して角の頂点へ向かう一対のリブともいえる。この下部側板保持リブ44に、重ね合わされた側板の折り返し部23が差し込まれることで、下部側板保持リブ44は側板同士の連結部分を保持するようになっている。また、下部枠体4の下部枠体内壁42は、角部において内側へ凹んでおり下部枠体内壁凹部45が形成されている。この下部枠体内壁凹部45は、折り返し部23の折り返した長さ分を収容するための空間となる。
【0051】
図10は、上部枠体5の角部、つまり、
図4におけるC部分を拡大して示す図である。
【0052】
上部枠体5も、角部において、重ね合わされた折り返し部23の保持および収容のための構成を備えている。
【0053】
より具体的に説明すると、上部枠体5は、角部における上部枠体外壁51と上部枠体内壁52との間のスペースに上部側板保持リブ54を備えている。
【0054】
上部側板保持リブ54は、上部枠体5の縁部四隅において上部枠体内壁52から角の先端に向かって平行に延びる一対のリブである。言い換えれば、上部側板保持リブ54は、上部枠体内壁52と直交して角の頂点へ向かう一対のリブともいえる。この上部側板保持リブ54に、重ね合わされた側板の折り返し部23が差し込まれることで、上部側板保持リブ54は側板同士の連結部分を保持するようになっている。上部枠体5の角部は、上述した下部枠体4の角部とは異なり、折り返し部23の折り返した長さ分を収容するための空間を確保するため、上部枠体内壁52の角部と上部枠体外壁51の角部との間が、下部枠体内壁42の角部と下部枠体外壁41の角部との間よりも広く形成されている。そして、上部枠体内壁52の角部は、上述した下部枠体内壁42と異なり、角部で内側へ凹んだ下部枠体内壁凹部45ではなく、平面部分である上部枠体内壁平面部55として形成されている。
【0055】
上部枠体5は、上部枠体内壁52の内側は、内部に物を収納するために開口されている。そのため、下部枠体内壁凹部45のような内側に出っ張りを設けずに、上部枠体内壁52の角を落として、直線的または曲線的な上部枠体内壁平面部55とするのが好ましい。また、上部枠体内壁52の内側が開口されていることから、上部枠体5の剛性を確保するうえで、角の空間を広く取り、当該部分のプラスチック樹脂の構成面積を増加させるのが好ましいともいえる。
【0056】
なお、下部枠体4の角部も上部枠体5の角部と同様の構成としてもよいし、上部枠体5の角部を下部枠体4の角部の構成と同様にすることを排除するものでもない。
【0057】
図11は、
図1のA部分における縦方向の断面図である。
【0058】
上部枠体5を構成する上部枠体外壁51と上部枠体内壁52とにおいて、上部枠体内壁52の方が上部枠体外壁51よりも高さ方向に長さを有している。上部枠体外壁51および上部枠体内壁52はそれぞれ垂直面を構成しているところ、上部枠体外壁51の上端は、上部枠体外壁51の上端から上部枠体内壁52の垂直面に向かって水平な面である上部枠体外壁縁部56が形成されている。上部枠体外壁縁部56の反対側の面は、収納箱1の組立時に側板が垂直に差し込まれることになる。
【0059】
この上部枠体外壁縁部56と蓋3との間に空間57が形成され、この空間57に蓋3を開閉するためのヒンジ機構として蓋軸31と蓋軸受け部32とが設けられている。蓋軸31は、蓋3を開閉するために蓋3の一端に取り付けられる回転軸であり、蓋軸受け部32は蓋軸31の軸受けである。
【0060】
この蓋軸31および蓋軸受け部32が上部枠体外壁縁部56の平面上に配置されることで、蓋3を開閉するときにこれらのヒンジ機構が上部枠体外壁51の外縁から外方向へ飛び出ないようになっている。このヒンジ機構を本体外面となる上部枠体外壁51の外縁から外方向へ飛び出るようにすると、その分だけ収納箱1を設置する際に奥行きが必要となる。設置時の奥行きをコンパクトなものとするために、上部枠体5の上部の開口部分である開口部58が、上部枠体外壁縁部56よりも上方に設けられる構成としている。より詳細に述べれば、上部枠体内壁52の上端面に位置する開口部58は、上部枠体外壁51の上端面である上部枠体外壁縁部56よりも高い位置となるように形成されている。そして、上部枠体外壁縁部56と蓋3との間に空間57が形成され、空間57にヒンジ機構が収まるように構成されている。なお、この空間57は、蓋3を開閉する際の手掛け部にもなっている。
【0061】
以上のように構成された収納箱1は、下記の手順で組み立てられる。
【0062】
下部枠体4を平坦な面に置き、下部枠体4に設けられた下部枠体係合部43に各側板の下部係合部22を嵌め入れる。各側板の左右側端の折り返し部23を重ね合わせて側板連結具7で隣り合う側板同士を連結する。上部枠体5に設けられた上部枠体係合部53に各側板の上部係合部21を嵌め入れる。上部枠体5の開口部を塞ぐ蓋材を取り付けて蓋3とし、上部枠体5に袋保持具6を取り付けて、収納箱1が完成する。
【0063】
このように、本実施の形態に係る収納箱は、4枚の金属製側板、側板同士を連結する連結具、連結された側板を抑える上下の枠体、上部の開口を塞ぐ蓋、内部に配置される袋保持具で構成されている。すなわち、収納箱本体が複数枚の側板で構成され、側板の上辺を支持する上部の枠体および側板の底辺を支持する下部の枠体のそれぞれに側板との係合部が設けられ、側板の上辺および底辺にそれぞれ上下の枠体と係合する被係合部が設けられており、これらの係合により上下の枠体が側板を支持するので、簡易な構造でありながら、変形しにくい剛性に優れた収納箱が得られる。また、組立式で各構成部品は分割されているので、コンパクトに梱包することができる。さらに、側板同士を連結具で連結し、連結された側板が上部の枠体と下部の枠体とで保持されるとともに、連結された側板同士が互いを支持するので、収納箱の剛性はさらに優れたものとなる。
【0064】
以上、本発明に係る収納箱について実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【0065】
例えば、上記実施の形態では、側板側の係合部と枠体側の係合部の形状も爪状と貫通孔との係合で説明したが、爪状と凹部との係合や凸部と凹部との嵌合による係合などであってもよく、配置位置や大きさ、長さについて特に限定するものではない。
【0066】
また、収納箱の本体は4枚の側板で構成することに限られるものではなく、L字状に構成された2枚の側板で構成されるとしてもよい。さらに、L字状に構成された1枚の側板と、2枚の平板状の側板との組み合わせで構成されるとしてもよい。つまり、収納箱の本体は少なくとも2枚以上の板状体で構成されるものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る収納箱は、組立て式の収納箱に適しており、特にゴミ箱等に適している。
【符号の説明】
【0068】
1 収納箱
2 本体
2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h 側板
3 蓋
4 下部枠体
5 上部枠体
6 袋保持具
7,7a 側板連結具
21 上部係合部
22 下部係合部
23,23a,23b,23c 折り返し部
23d 凸部
24 貫通孔
31 蓋軸
32 蓋軸受け部
41 下部枠体外壁
42 下部枠体内壁
43 下部枠体係合部
44 下部側板保持リブ
45 下部枠体内壁凹部
51 上部枠体外壁
52 上部枠体内壁
53 上部枠体係合部
54 上部側板保持リブ
55 上部枠体内壁平面部
56 上部枠体外壁縁部
57 空間
58 開口部