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  • 特開-測定装置および測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141912
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】測定装置および測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 21/00 20060101AFI20230928BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20230928BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20230928BHJP
【FI】
G01D21/00 M
G06F11/34 138
G06F3/0481
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048492
(22)【出願日】2022-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.JAVASCRIPT
3.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】保坂 恭男
【テーマコード(参考)】
2F076
5B042
5E555
【Fターム(参考)】
2F076BA01
2F076BE03
2F076BE04
2F076BE12
2F076BE17
5B042GB02
5B042MA08
5B042MC37
5E555AA05
5E555BA21
5E555BB21
5E555BC04
5E555CA02
5E555CA18
5E555CB02
5E555CB05
5E555CB44
5E555DB03
5E555DB20
5E555DB25
5E555EA03
5E555EA15
5E555EA25
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】リモートコマンドをコード化したファイルとして出力する。
【解決手段】測定装置1は、グラフィカルユーザインタフェース上で操作した手順を、それと等価なリモートコマンドによるSCPIコマンドのファイルとして出力する機能を有し、グラフィカルユーザインタフェースの操作によるリモート制御で測定対象Wの測定を行う複数のモジュール11aが着脱可能な測定器ユニット2を有し、グラフィカルユーザインタフェースのウィジェットごとにモジュール11aの切り替えコマンド込みのリモートコマンドが紐付けられており、ウィジェットを操作したときに、ウィジェットに紐付けられたリモートコマンドとその引数をSCPIコマンドとしてウィジェットが操作された順番に記録するコマンド記録手段17と、記録した記録済みコマンドをコード化した言語に変換したファイルとして出力するファイル出力手段18と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフィカルユーザインタフェース上で操作した手順を、それと等価なリモートコマンドによるSCPIコマンドのファイルとして出力する機能を有し、前記グラフィカルユーザインタフェースの操作によるリモート制御で測定対象(W)の測定を行う複数のモジュール(11a)が着脱可能な測定器ユニット(2)を備えた測定装置(1)であって、
前記グラフィカルユーザインタフェースのウィジェットごとに前記モジュールの切り替えコマンド込みのリモートコマンドが紐付けられており、
前記ウィジェットを操作したときに、該ウィジェットに紐付けられたリモートコマンドとその引数をSCPIコマンドとして前記ウィジェットが操作された順番に記録するコマンド記録手段(17)と、
前記記録した記録済みコマンドをコード化した言語に変換したファイルとして出力するファイル出力手段(18)と、を備えたことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記コード化した言語がインタプリタ型プログラミング言語であることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記測定器ユニットが複数台からなり、
前記リモートコマンドが前記モジュールおよび前記測定器ユニットの切り替えコマンド込みとして前記グラフィカルユーザインタフェースのウィジェットごとに紐付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
グラフィカルユーザインタフェース上で操作した手順を、それと等価なリモートコマンドによるSCPIコマンドのファイルとして出力し、前記グラフィカルユーザインタフェースの操作によるリモート制御で複数のモジュール(11a)が着脱可能な測定器ユニット(2)を備えた測定装置(1)により測定対象(W)の測定を行う測定方法であって、
前記グラフィカルユーザインタフェースのウィジェットごとに前記モジュールの切り替えコマンド込みのリモートコマンドを紐付けるステップと、
前記ウィジェットを操作したときに、該ウィジェットに紐付けられたリモートコマンドとその引数をSCPIコマンドとして前記ウィジェットが操作された順番に記録するステップと、
前記記録した記録済みコマンドをコード化した言語に変換したファイルとして出力するステップと、を含むことを特徴とする測定方法。
【請求項5】
前記コード化した言語がインタプリタ型プログラミング言語であることを特徴とする請求項4に記載の測定方法。
【請求項6】
前記測定器ユニットを複数台で構成するステップと、
前記リモートコマンドを前記モジュールおよび前記測定器ユニットの切り替えコマンド込みとして前記グラフィカルユーザインタフェースのウィジェットごとに紐付けるステップと、を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートコマンドを用いた外部からの制御により測定を行うことが可能な測定装置および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のモジュールを備えた測定器をリモートコマンドで制御する場合には、その測定器のリモートコマンド取扱説明書を読んでグラフィカルユーザインタフェースの操作にあたるリモートコマンドとその引数を列挙し、かつ制御対象のモジュールを切り替えるリモートコマンドを適宜入れ込むことをユーザで実施していた。なお、この種のリモートコマンドを用いて制御を行う測定装置としては、例えば下記特許文献1に開示される測定器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-310736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の測定装置において、顧客はテキスト形式で出力したSCPIコマンドを、顧客側でプログラムに組み込んだり、出力されてSCPIテキストファイルを読み込んでリモートコマンドとして出力するプログラムを作成するなど、使用するために何らかの手間が必要となっており、またプログラム組み込みに付随するトラブルが生じるおそれがあり、改善が求められていた。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、リモートコマンドをコード化したファイルとして出力することができる測定装置および測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された測定装置は、グラフィカルユーザインタフェース上で操作した手順を、それと等価なリモートコマンドによるSCPIコマンドのファイルとして出力する機能を有し、前記グラフィカルユーザインタフェースの操作によるリモート制御で測定対象Wの測定を行う複数のモジュール11aが着脱可能な測定器ユニット2を備えた測定装置1であって、
前記グラフィカルユーザインタフェースのウィジェットごとに前記モジュールの切り替えコマンド込みのリモートコマンドが紐付けられており、
前記ウィジェットを操作したときに、該ウィジェットに紐付けられたリモートコマンドとその引数をSCPIコマンドとして前記ウィジェットが操作された順番に記録するコマンド記録手段17と、
前記記録した記録済みコマンドをコード化した言語に変換したファイルとして出力するファイル出力手段18と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載された測定装置は、請求項1の測定装置において、
前記コード化した言語がインタプリタ型プログラミング言語であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に記載された測定装置は、請求項1または2の測定装置において、
前記測定器ユニットが複数台からなり、
前記リモートコマンドが前記モジュールおよび前記測定器ユニットの切り替えコマンド込みとして前記グラフィカルユーザインタフェースのウィジェットごとに紐付けられることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に記載された測定方法は、グラフィカルユーザインタフェース上で操作した手順を、それと等価なリモートコマンドによるSCPIコマンドのファイルとして出力し、前記グラフィカルユーザインタフェースの操作によるリモート制御で複数のモジュール11aが着脱可能な測定器ユニット2を備えた測定装置1により測定対象Wの測定を行う測定方法であって、
前記グラフィカルユーザインタフェースのウィジェットごとに前記モジュールの切り替えコマンド込みのリモートコマンドを紐付けるステップと、
前記ウィジェットを操作したときに、該ウィジェットに紐付けられたリモートコマンドとその引数をSCPIコマンドとして前記ウィジェットが操作された順番に記録するステップと、
前記記録した記録済みコマンドをコード化した言語に変換したファイルとして出力するステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に記載された測定方法は、請求項4の測定方法において、
前記コード化した言語がインタプリタ型プログラミング言語であることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6に記載された測定方法は、請求項4または5の測定方法において、
前記測定器ユニットを複数台で構成するステップと、
前記リモートコマンドを前記モジュールおよび前記測定器ユニットの切り替えコマンド込みとして前記グラフィカルユーザインタフェースのウィジェットごとに紐付けるステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生成されたファイルがコードそのものとなり、顧客がGUI上で操作した手順を、リモートコマンドとして実行できるようになる。これにより、従来のようにSCPIコマンドを、顧客側でプログラムに組み込んだり、出力されてSCPIテキストファイルを読み込んでリモートコマンドとして出力するプログラムを作成するなどの手間が無くなり、プログラム組み込みに付随するトラブルも解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る測定装置のブロック構成図である。
図2】本発明に係る測定装置の操作画面の一部を示す図である。
図3】本発明に係る測定装置におけるリモートコマンド生成機能の処理手順を示すフローチャートである。
図4】保存されるファイルの内容の一例を示す図である。
図5】本発明に係る測定装置によりコード化されたファイルを出力する処理手順を示すフローチャートである。
図6】本発明に係る測定装置のテンプレートコードの一例を示す図である。
図7】本発明に係る測定装置にて生成されるPython Codeの一例を示す図である。
図8】複数台の測定器ユニットと1台の外部装置の接続例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
本発明は、リモートコマンドを用いた外部からの制御により測定を行うことが可能な測定装置および測定方法に関するものである。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態の測定装置1は、グラフィカルユーザインタフェース(以下、GUIと略称する)の操作と等価なリモートコマンドとその引数をSCPI(Standard Commands for Programmable Instruments)コマンドとして出力するリモートコマンド生成機能を有し、測定器ユニット2と、測定器ユニット2をリモート制御して測定対象Wの各種測定を行うための外部装置(パーソナルコンピュータ)3からなる。
【0017】
なお、SCPIは、測定装置のリモート制御コマンド用に策定されたコマンド文法およびデータ構造に関する規格である。
【0018】
測定器ユニット2は、測定部11、操作表示部12、モード指定手段13、パラメータ選択手段14、測定制御手段15、インタフェース16、コマンド記録手段17、ファイル出力手段18を備えて概略構成される。
【0019】
測定部11は、測定器ユニット2の各スロットに対して任意に組み合わせて着脱可能な複数のモジュール11aを備えて構成され、測定対象Wに対する各種測定を行う。複数のモジュール11aは、例えば測定装置1が誤り率測定装置で構成される場合、信号発生用のPPGモジュール、信号受信用のEDモジュール、クロック信号発生用のシンセサイザモジュールなどで構成される。なお、測定器ユニット2には、ユニットを特定するためのユニットIDが付与されるとともに、複数のモジュール11aにもそれぞれを特定するためのモジュールIDが付与されている。
【0020】
操作表示部12は、GUIとして、例えば電源スイッチ、カーソル移動用のカーソルキー、リモートコマンド生成開始/終了ボタンなどを含んで構成され、リモートコマンドの生成開始/終了の指示、GUIの操作と等価なSCPIコマンドを保存するファイル名の指定、測定内容を決定する各項目のパラメータの選択操作、測定部11の起動操作などを行う際に操作される。
【0021】
なお、操作表示部12によりリモートコマンドを生成するにあたっては、操作表示部12のGUIのウィジェット(ボタン、テキストボックス、プルダウンメニュー等のインタフェース部品)ごとにモジュール11aの切り替えコマンドを含むリモートコマンドが紐付けられている。
【0022】
また、操作表示部12は、例えば液晶表示器などの各種表示器を含んで構成され、リモートコマンドの生成開始を通知する画面の表示、測定部11が行う測定内容を決定する各項目のパラメータを設定するための操作画面の表示、測定部11による測定結果の表示などを行う。
【0023】
なお、図1では、操作部と表示部が一体化された操作表示部12として図示して説明するが、操作表示部12を別体の操作部と表示部で構成してもよい。
【0024】
モード指定手段13は、測定器ユニット2の動作モードを測定モードまたはコマンド生成モードの何れかを指定する。測定モードは、測定部11に測定を行わせて測定結果を操作表示部12に表示させるモードである。コマンド生成モードは、外部装置3からインタフェース16を介して測定制御手段15により測定部11をリモート制御して測定を行わせるためのリモートコマンドを生成するモードである。このモード指定手段13は、操作表示部12に対する操作に基づいてモードの指定を行う。
【0025】
例えば、装置起動時(電源投入時)に電源スイッチ以外の特定キーが押されているか否かを調べ、電源スイッチ以外の特定キーが押されていないときには測定モードを指定し、電源スイッチ以外の特定のキー(例えば図3の操作画面13aの開始/終了キー13b)が押されているときにはコマンド生成モードを指定する。
【0026】
パラメータ選択手段14は、モード指定手段13によってコマンド生成モードが指定されている状態で、操作表示部12のGUIのウィジェットの操作により設定画面のカーソルの位置に入力して設定されるパラメータを選択する。
【0027】
測定制御手段15は、モード指定手段13によって測定モードが指定されている状態で測定を開始する操作がされると、設定画面上で選択された各項目のパラメータにしたがって測定部11を制御して測定対象Wに対する測定を行う。
【0028】
インタフェース16は、信号が送信されるチャネルであって、チャネルごとにID(インタフェースID)が付与されており、測定器ユニット2をリモート制御するための外部装置(パーソナルコンピュータ)3との間で通信を行うためのものである。モード指定手段13によって測定モードが指定されている状態で、外部装置3からインタフェース16を介してリモートコマンドが測定制御手段15に入力されると、入力されたリモートコマンドにしたがって測定制御手段15が測定部11を制御して測定対象Wに対する測定を行う。
【0029】
コマンド記録手段17は、操作表示部12のGUIのウィジェットを操作してパラメータ選択手段14によりパラメータを選択したときに、そのパラメータを選択したウィジェットに紐付けられたリモートコマンドとその引数をSCPIコマンドとして操作表示部12のGUIのウィジェットを操作した順番に記録する。
【0030】
ファイル出力手段18は、出力先がSCPIファイルの場合、コマンド記録手段17により記録されたSCPIコマンドを、操作表示部12のウィジェットを操作した順番でテキスト形式のSCPIファイルとして出力する。
【0031】
ファイル出力手段18は、出力先がコード化した言語ファイル(インタプリタ型プログラミング言語またはコンバイル型プログラミング言語)、例えばインタプリタ型プログラミング言語のPython Codeファイルの場合、コマンド記録手段17により記録された記録済みコマンドにPythonの送信関数「com.Send Data0」を組み合わせる。そして、テンプレートコード(PythonでSCPI通信部分を記載したコード)にPythonの送信関数を組み合わせた記録済みコマンドを組み込む。さらに、GUIで指定したIPアドレス・ポート番号をテンプレートコードに組み込み、そのテンプレートコードをPython Codeファイルとして出力する。
【0032】
次に、上記のように構成された測定装置1によるリモートコマンドの生成方法について図2図4を参照しながら説明する。
【0033】
図2の操作画面13aの開始/終了ボタン13bをクリックすると、不図示のリモートコマンド生成開始を通知するポップアップ画面が現れ、GUIの操作をSCPIファイルに変換する旨が表示される。
【0034】
そして、不図示のポップアップ画面内のOKをクリックした後、GUIの操作と等価なSCPIコマンドをコマンド記録手段17に保存するファイル名を指定すると、操作が記録中であることをユーザに示すべく、開始/終了ボタン13bが強調表示(例えば緑色)される。
【0035】
その後、GUI上での全ての操作が終わり、開始/終了ボタン13bをクリックすると、開始/終了ボタン13bの色が元に戻り、指定したファイル名でGUIの操作と等価なSCPIコマンドがテキスト形式のSCPIファイルとしてGUIのウィジェットを操作した順番にコマンド記録手段17に保存され、操作表示部12の操作により必要に応じてコマンド記録手段17に保存されたテキスト形式のSCPIファイルをファイル出力手段18からGUIのウィジェットが操作された順番で出力する。
【0036】
ここで、GUI上での操作の具体例を示して説明する。図2の操作画面13aの開始/終了キー13bをクリックし(ST1)、リモートコマンド生成機能が開始されると(ST2)、ユーザ操作として、図2の操作画面13aのテキストボックス13cにパラメータ「2.400000」を入力して測定器ユニット2(ユニットID:No.1)のモジュール11a(モジュールID:No.7)の[Bitrate]を設定する(ST3)。これにより、ソフトウエア動作としては、パラメータに紐づけられた切り替えコマンド込みのSCPIコマンド「:UENTry:ID1;:MODule:ID7;」、「:OUTPut:DATA:BITRate」と入力した数値「2.400000」の組み合わせをコマンド記録手段17に記録する(ST4)。
【0037】
次に、ユーザ操作として、図2の操作画面13aのボタン13dをクリックして測定器ユニット2(ユニットID:No.1)のモジュール11a(モジュールID:No.6)の[Equalizer]を「ON」にする(ST5)。これにより、ソフトウエア動作としては、ボタン13dに紐づけられた切り替えコマンド込みのSCPIコマンド「:UENTry:ID1;:MODUle:ID6;」、「:INPut:DATA:EQUalizer:LFEQ:SET」と設定の「ON」の組み合わせをコマンド記録手段17に記録する(ST6)。
【0038】
次に、ユーザ操作として、図2の操作画面13aのボタン13eをクリックして測定器ユニット2(ユニットID:No.1)のモジュール11a(モジュールID:No.7)の[Data]をプルダウンメニューから「ON」にする(ST7)。これにより、ソフトウエア動作としては、ボタン13eに紐づけられた切り替えコマンド込みのSCPIコマンド「:UENTry:ID1;:MODUle:ID7;」、「:OUTPut:DATA:OUTPut」と設定の「ON」の組み合わせをコマンド記録手段17に記録する(ST8)。
【0039】
そして、ユーザ操作として、上述したGUI上での全ての操作が終わり、開始/終了ボタン13bをクリックすると(ST9)、ソフトウエア動作としては、コマンド記録手段17に記録した記録済みコマンドを、GUIのウィジェットを操作した順番にテキスト形式のSCPIファイルとしてファイル出力手段18から出力し、リモートコマンド生成機能を終了する(ST10)。
【0040】
ここで、図4はコマンド記録手段17に保存されるファイルの内容の一例を示している。図4のファイルの内容について説明すると、:UENTry:ID 1;は、「コマンド出力先を測定器ユニット2(ユニットID:No.1)に切り替える」を意味し、:MODule:ID 7は、「コマンド出力先をモジュール11a(モジュールID:No.7)に切り替える」を意味し、MODule:ID 6は、「コマンド出力先をモジュール11a(モジュールID:No.6)に切り替える」を意味する。また、:OUTPut:DATA:BITRate、:INPut:DATA:EQUalizer:LFEQ:SET、:OUTPut:DATA:OUTPutは、GUI上のウィジェットに紐付けられた各コマンドを意味する。
【0041】
このように、上述したリモートコマンド生成機能によれば、複数のモジュールを備えた測定器ユニットのGUI上のウィジェット(ボタン・テキストボックス等の各部品)の操作と等価なリモートコマンドとを切り替えコマンド込みで紐づけることにより、GUIの操作と等価なリモートコマンドとその引数を、切り替えコマンドとともにSCPIコマンドとしてGUI上のウィジェットを操作した順番でテキスト形式のSCPIファイルに出力する。これにより、顧客が複数のモジュールを備えた測定器ユニットのGUI上での操作と等価で正確な切り替えコマンド込みのSCPIコマンドが操作した順番で列挙されてファイルに出力されるので、リモートコマンド取扱説明書を読む必要がなく、短時間で測定作業を実施できるうえ、取扱説明書の解釈ミスも発生しないことから、手戻り等の時間損失がなく、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0042】
次に、コマンド記録手段17に記録された記録済みコマンドを、プログラムとして完成したファイルとして出力するための処理について図5~7を参照しながら説明する。
【0043】
ファイル出力手段18が出力するコード化した言語がPython Codeの場合、コマンド記録手段17に記録された記録済みコマンドにPythonの送信関数「com.Send Data0」を組み合わせる(ST11)。
【0044】
次に、テンプレートコード(PythonでSCPI通信部分を記載したコード)にST11の記録済みコマンドを組み込む(ST12)。例えばST11の記録済みコマンドを図6に示すテンプレートコードの「ZZZZ」の部分に組み込む。
【0045】
続いて、GUIで指定したIPアドレス・ポート番号をST12のテンプレートコードに組み込む(ST13)。例えばGUIで指定したIPアドレス・ポート番号を図6に示すテンプレートコードの「XXXX」、「YYYY」の部分に組み込む。
【0046】
そして、ST13のテンプレートコードをPython Codeとしてファイルに出力し、処理を終了する。例えば図6に示すテンプレートコードを図7に示すPython Codeファイルとして出力する。この図7のPython Codeファイルにおける図6の「XXXX」、「YYYY」に対応する部分には、GUIで指定したIPアドレス・ポート番号として、「5001」、「127.0.0.1」が組み込まれる。また、図7における図6の「ZZZZ」に対応する部分には、Pythonの送信関数として、「com.SendData(’:UENTry:ID 1;:MODule:ID 7;:OUTPut:DATA:BITRate 2.400000’)、com.SendData(’:UENTry:ID 1;:MODule:ID 6;:INPut:DATA:EQUalizer:LFEQ:SET ON’)、com.SendData(’:UENTry:ID 1;:MODule:ID 7;:OUTPut:DATA:OUTPut ON’)」が組み込まれる。
【0047】
ところで、上述した実施の形態では、複数のモジュール11aを備えた1台の測定器ユニット2を1台の外部装置3でリモート制御する場合を例にとって説明したが、これに限定されるものではない。例えば図5に示すように、複数のモジュール11aを備えた測定器ユニット2を複数台用意し、1台の外部装置3で複数台の測定器ユニット2を同時にリモート制御する構成、1台の外部装置3で複数台の測定器ユニット2を順次切り替えながらリモート制御する構成とすることもできる。この場合、上述したGUIの操作による切り替えコマンド込みのSCPIコマンドの記録およびファイル出力に対応するため、複数台の測定器ユニット2にはそれぞれを特定するユニットIDが付与されるとともに、各測定器ユニット2の測定部11が備えるモジュール11aにもそれぞれを特定するモジュールIDが付与されている。
【0048】
また、上述した実施の形態では、コード化した言語として、そのままプログラムの実行が可能なインタプリタ型プログラミング言語のPythonを例にとって説明したが、これに限定されるものではない。例えばPythonに代えて、Perl,PHP,Ruby,Java Script,LUA,TCL/TK,Batch,Power Shell,Bourne Shell,TCSH等のインタプリタ型プログラミング言語を用いてもよい。
【0049】
なお、インタプリタ型プログラミング言語に代えてコンバイル型プログラミング言語(例えばC,C++,C#,Java,Pascal,Fortran,COBOL,Basic等)を用いることもできる。この場合、プログラムを実行するにあたってコンパイルが必要となる。
【0050】
このように、本実施の形態では、コマンド記録手段17により記録された記録済みコマンド(指定したファイル名でGUIの操作と等価なSCPIコマンドがテキスト形式のSCPIファイルとしてGUIのウィジェットを操作した順番に記録したコマンド)をインタプリタ型プログラミング言語のデファクトスタンダードとなっている言語であるPython(インタプリタ型プログラミング言語の一例)のコードとして出力する。これにより、生成されたファイルがコードそのものとなり、顧客がGUI上で操作した手順を、リモートコマンドとして実行できるようになる。その結果、従来のようにSCPIコマンドを、顧客側でプログラムに組み込んだり、出力されてSCPIテキストファイルを読み込んでリモートコマンドとして出力するプログラムを作成するなどの手間が無くなり、プログラム組み込みに付随するトラブルも解消することが可能となる。
【0051】
以上、本発明に係る測定装置および測定方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述および図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例および運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 測定装置
2 測定器ユニット
3 外部装置
11 測定部
11a モジュール
12 操作表示部
13 モード指定手段
13a 操作画面
13b 開始/終了ボタン
13c テキストボックス
13d,13e ボタン
14 パラメータ選択手段
15 測定制御手段
16 インタフェース
17 コマンド記録手段
18 ファイル出力手段
W 測定対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8